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Title:
MOLTEN METAL POURING NOZZLE AND CONTINUOUS MOLDING DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/078433
Kind Code:
A1
Abstract:
A molten metal pouring nozzle which can continuously cast high-quality ingots for a long time period without reacting with the molten metal. The molten metal pouring nozzle (20) is placed between a molten metal receiving section (10) and a mold (40) of a continuous molding device (1). The molten metal pouring nozzle (20) has a tubular body (22) having at least one molten metal pouring path (21) and made from a fire resistant substance. A sleeve (23) made from a material having a heat conductivity in the range of 10 to 30 W/(m·˚C) and not reacting with the molten metal is fitted in the molten metal pouring path (21) of the body (22).

Inventors:
FUKUDA MASASHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/072968
Publication Date:
June 25, 2009
Filing Date:
December 17, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SHOWA DENKO KK (JP)
FUKUDA MASASHI (JP)
International Classes:
B22D11/04; B22D11/00; B22D41/50
Foreign References:
JPS6246164U1987-03-20
JP2006150448A2006-06-15
JPH11170014A1999-06-29
JP2006110558A2006-04-27
Other References:
See also references of EP 2243575A4
Attorney, Agent or Firm:
SHIMIZU, Yoshihito et al. (4-26 Minamisemba 3-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 81, JP)
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Claims:
 連続鋳造装置の溶湯受部と鋳型との間に配設される注湯用ノズルであって、
 少なくとも1つの注湯通路を有し耐火物からなる筒形の本体部を備え、この本体部の注湯通路に、熱伝導率が10~30W/(m・℃)で溶湯と反応しない材料で構成されたスリーブが嵌装されていることを特徴とする注湯用ノズル。
 前記スリーブの厚さが0.5~3mmである請求項1に記載の注湯用ノズル。
 前記スリーブに凸部または凹部を設ける一方、前記凸部または凹部に対応する凹部または凸部を本体部に設け、これらの凹凸嵌合によりスリーブが本体部の注湯通路に対して抜け止め状態に嵌装されている請求項1に記載の注湯用ノズル。
 前記スリーブの溶湯入口側端部に外方に突出する鍔部を設ける一方、前記本体部の注湯通路の入口側端面に前記鍔部を嵌合させる凹部が設けられている請求項3に記載の注湯用ノズル。
 前記溶湯通路は、本体部の中心から偏位した位置に設けられている請求項1に記載の注湯用ノズル。
 前記本体部は複数の溶湯通路を有している請求項1に記載の注湯用ノズル。
 前記スリーブの材料は、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、グラファイトのいずれかである請求項1~6のいずれかに記載の注湯用ノズル。
 前記本体部を構成する耐火物の熱伝導率が0.1~0.4W/(m・℃)である請求項1~6に記載の注湯用ノズル。
 溶湯受部と、鋳型と、前記溶湯受け部と鋳型との間に配設された注湯用ノズルとを備え、
 前記注湯用ノズルは、少なくとも1つの注湯通路を有し耐火物からなる筒形の本体部を備え、この本体部の注湯通路に、熱伝導率が10~30W/(m・℃)で溶湯と反応しない材料で構成されたスリーブが嵌装されていることを特徴とする連続鋳造装置。
 前記連続鋳造装置は、前記注湯用ノズルの溶湯通路および鋳型の成形孔の中心軸がほぼ水平となるように配置される水平連続鋳造装置である請求項9に記載の連続鋳造装置。
Description:
注湯用ノズルおよび連続鋳造装

 本発明は、溶湯受部と鋳型との間に配設 る注湯用ノズル、およびこの注湯用ノズル 備えた連続鋳造装置に関する。

 図6は従来の水平連続鋳造装置(2)の構造を 示している(特許文献1、2参照)。

 前記水平連続鋳造装置(2)において、溶湯 部(10)内の溶湯(M)は、出湯口(11)を通り、注 用ノズル(70)の注湯通路(71)を通った後、ほぼ 水平に設置された筒状鋳型(40)内に入り、こ で強制冷却されて溶湯の外表面に凝固殻が 成される。さらに鋳型(40)から引き出された 塊(S)に冷却水(C)が直接放射され、鋳塊内部 で金属の凝固が進行しつつ鋳塊(S)が連続的 引き出される。また、(43)は、鋳型(40)の入 側に開口して鋳型内に潤滑油を供給するた の供給管である。

 前記注湯用ノズル(70)の材料としては、熱伝 導率が0.1~0.4W/(m・℃)程度の耐火材、例えばケ イ酸カルシウムを多く含む耐火材が使用され ている。

特開平11-170014号公報

特開2006-110558号公報

 上記構成の水平連続鋳造装置(2)でMgを1%以 上含有するアルミニウム合金を鋳造する場合 、溶湯と注湯用ノズル(70)を構成するケイ酸 ルシウムとが反応して、Ca、Mg、Oを含む化合 物を生成し、これらの反応生成物が注湯通路 (71)の壁面に付着するという問題点があった 注湯通路(71)に反応生成物が付着した状態で 続鋳造を行うと、流路断面における溶湯(M) 温度分布が不均一になり、鋳塊品質の低下 原因となり、さらに反応生成物が蓄積され いくと注湯通路(71)が塞がれて長時間の連続 運転が不可能となることがある。また、溶湯 (M)の流れにより壁面から反応生成物が剥がれ 落ちて溶湯(M)に混入すると、反応生成物を巻 き込んだままで凝固して鋳塊品質が著しく低 下する。

 本発明は、上述した技術背景に鑑み、溶 との反応を防止して、高品質の鋳塊を長時 連続的に鋳造できる注湯用ノズル、および の注湯ノズルを備えた連続鋳造装置の提供 目的とする。

 即ち、本発明は下記[1]~[10]に記載の構成 有する。

 [1]連続鋳造装置の溶湯受部と鋳型との間に 設される注湯用ノズルであって、
 少なくとも1つの注湯通路を有し耐火物から なる筒形の本体部を備え、この本体部の注湯 通路に、熱伝導率が10~30W/(m・℃)で溶湯と反 しない材料で構成されたスリーブが嵌装さ ていることを特徴とする注湯用ノズル。

 [2]前記スリーブの厚さが0.5~3mmである前項 1に記載の注湯用ノズル。

 [3]前記スリーブに凸部または凹部を設け 一方、前記凸部または凹部に対応する凹部 たは凸部を本体部に設け、これらの凹凸嵌 によりスリーブが本体部の注湯通路に対し 抜け止め状態に嵌装されている前項1または 2に記載の注湯用ノズル。

 [4]前記スリーブの溶湯入口側端部に外方 突出する鍔部を設ける一方、前記本体部の 湯通路の溶湯入口側端面に前記鍔部を嵌合 せる凹部が設けられている前項3に記載の注 湯用ノズル。

 [5]前記溶湯通路は、本体部の中心から偏 した位置に設けられている前項1~4のいずれ に記載の注湯用ノズル。

 [6]前記本体部は複数の溶湯通路を有して る前項1~5のいずれかに記載の注湯用ノズル

 [7]前記スリーブの材料は、窒化ケイ素、 化ケイ素、窒化ホウ素、グラファイトのい れかである前項1~6のいずれかに記載の注湯 ノズル。

 [8]前記本体部を構成する耐火物の熱伝導 が0.1~0.4W/(m・℃)である前項1~7に記載の注湯 ノズル。

 [9]溶湯受部と、鋳型と、前記溶湯受け部と 型との間に配設された注湯用ノズルとを備 、
 前記注湯用ノズルは、少なくとも1つの注湯 通路を有し耐火物からなる筒形の本体部を備 え、この本体部の注湯通路に、熱伝導率が10~ 30W/(m・℃)で溶湯と反応しない材料で構成さ たスリーブが嵌装されていることを特徴と る連続鋳造装置。

 [10]前記連続鋳造装置は、前記注湯用ノズ ルの溶湯通路および鋳型の成形孔の中心軸が ほぼ水平となるように配置される水平連続鋳 造装置である前項9に記載の連続鋳造装置。

 上記[1]に記載の注湯用ノズルは、本体部 溶湯通路がスリーブで覆われているため、 湯と本体部とは接触しない。このため、溶 と本体部を構成する耐火物との反応物が生 することもなく、反応生成物の蓄積によっ 溶湯の温度分布が不均一になったり流れが 害されることもない。ひいては、反応生成 に起因する鋳塊の品質低下がなく、高品質 鋳塊を長時間連続して鋳造することができ 。

 上記[2]に記載の注湯用ノズルによれば、 リーブは適度な強度を有している。しかも 湯が過度に抜熱されることもないので、溶 が早期に冷却されて流動性を低下すること ない。

 上記[3][4]に記載の各注湯用ノズルによれ 、注湯通路からのスリーブの脱落を阻止す ことができる。

 上記[5][6]に記載の各注湯用ノズルによれ 、溶湯の温度分布を制御することができる

 上記[7]に記載の注湯用ノズルにおいて、 料として、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化 ウ素、グラファイトはスリーブの条件を満 す材料である。

 上記[8]に記載の注湯用ノズルによれば、 れた断熱性が確保される。

 上記[9]に記載の連続鋳造装置は、上記[1]~ [8]のいずれに記載の注湯用ノズルを有してい るので、注湯用ノズルで反応物が生成されず 、高品質の鋳塊を長時間連続して鋳造するこ とができる。

 上記[10]に記載の連続鋳造装置が水平連続 鋳造装置である場合は、重力により鋳塊が鋳 型の下面側に押し付けられることで冷却が早 くなる傾向があり、部分的に凝固開始が速く なって鋳型における凝固バランスが崩れて凝 固組織が不均質となる。このように、水平連 続鋳造では竪型連続鋳造よりも凝固バランス が崩れる可能性が高いため、スリーブの嵌着 により注湯用ノズルを通過する溶湯の温度分 布を制御できる本発明を適用する意義が大き い。

本発明にかかる注湯用ノズルの一実施 態、およびこの注湯用ノズルを備えた水平 続鋳造装置を示す模式断面図である。 注湯用ノズルの鋳型側端面を鋳型の成 孔から見た図である。 他の注湯用ノズルおよびこの注湯用ノ ルを備えた水平連続鋳造装置を示す模式断 図である。 他の注湯用ノズルの鋳型側端面を鋳型 の成形孔から見た図である。 他の注湯用ノズルの鋳型側端面を鋳型 の成形孔から見た図である。 他の注湯用ノズルの鋳型側端面を鋳型 の成形孔から見た図である。 他の注湯用ノズルの鋳型側端面を鋳型 の成形孔から見た図である。 本発明の連続鋳造装置の他の実施形態 示す模式面図である。 従来の水平連続鋳造装置を示す模式断 図である。

符号の説明

1…水平連続鋳造装置(連続鋳造装置)
10…溶湯受部
20,30,50,55,60,65,70…注湯用ノズル
21,31,51,56,61,66,71…注湯通路
22,32,52,57,62,67…本体部
23,33,53,58,63,68…スリーブ
40…鋳型
41…成形孔

 図1および図2は示す水平連続鋳造装置(1) 、本発明にかかる連続鋳造装置の一実施形 である。

 前記水平連続鋳造装置(1)において、(10)は 側壁に出湯口(11)を有する溶湯受部、(20)は断 円形の注湯通路(21)を有する注湯用ノズル、 (40)は断面円形の成形孔(41)を有する筒状の鋳 である。これら(10)(20)(40)は、出湯口(11)、注 湯通路(21)、成形孔(41)が連通し、かつ連通し 孔の中心軸がほぼ水平になるように配置さ ている。そして、溶湯受部(10)内の溶湯(M)は 、注湯用ノズル(20)の注湯通路(21)を通って鋳 (40)の成形孔(41)に導入され、冷却を受けて 固する。凝固した鋳塊(S)は図外の引出装置 よって連続的に鋳型(40)から引き抜かれる。 き抜きの速度が鋳造速度となり、例えば300~ 1500mm/minの速度で鋳造することができる。

 前記鋳型(40)は、内部にキャビティ(42)を し、このキャビティ(42)に図外の供給管から 入される冷却水(C)を流通させることにより 鋳型(40)を冷却して成形孔(41)内の鋳塊(S)を 次冷却するとともに、出口側に設けられた 口部から冷却水(C)を噴出させて出口から鋳 されてくる鋳塊(S)に放射し、鋳塊(S)を二次 却するものとなされている。また、前記成 孔(41)の入口側にはこの成形孔(41)に開口する 潤滑油供給管(43)が設けられている。

 図2は鋳型(40)の成形孔(41)側から見た注湯 ノズル(20)であり、成形孔(41)に臨む注湯用 ズル(20)の端面を示している。前記注湯用ノ ル(20)は、耐火物からなる本体部(22)中心に 径(D1)の円形の注湯通路(21)が穿設され、この 本体部(22)の注湯通路(21)に、本体部(22)よりも 熱伝導率の良い窒化ケイ素からなる円筒形の スリーブ(23)が嵌装されている。前記スリー (23)の外径は注湯通路(21)の直径(D1)に対応し スリーブ(23)は注湯通路(21)の壁面に密着状態 で嵌装されている。かかる構成により、注湯 通路(21)は本体部(22)が露出することなくスリ ブ(23)で覆われている。また、前記スリーブ (23)の内径は(D2)であり、断面において直径(D2) の円形空間が実質的な注湯通路となっている 。

 前記本体部(22)を構成する耐火物は何ら限 定されないが、熱伝導率が0.1~0.4W/(m・℃)の断 熱性の高い材料を用いることが好ましい。熱 伝導率が0.1W/(m・℃)未満では構造材としての 縮歪応力を満たす材料の入手が困難であり 0.4W/(m・℃)を超えると断熱性が不足する。 に0.12~0.17W/(m・℃)の材料が好ましい。前記範 囲の熱伝導率を有する材料として、ケイ酸カ ルシウム、シリカとアルミナの混合物等を例 示できる。特に、スリーブ(23)を構成する材 の熱伝導率が該スリーブ材(23)の近傍を囲む 体部(22)を構成する耐火物の熱伝導率の25~300 倍であることが好ましく、特に59~250倍である ことが好ましい。両者の熱伝導率の比率が上 記範囲内となるように材料を選定することで 、溶湯(M)からの熱を本体部(22)へ逃がすこと くスリーブ(23)に閉じこめることができ、さ にスリーブ(23)内の熱移動により温度の均一 化が得られ、注湯通路(21)内の温度の均一化 得られるからである。

 一方、前記スリーブ(23)は溶湯(M)に直接接 触する部分であり、溶湯(M)と反応しない材料 で構成する必要がある。溶湯(M)と反応しない 材料は概して熱伝導率が良く抜熱性の高いも のであるが、ノズルとして必要な断熱性は本 体部(22)によって確保されているので、本体 (22)のような低い熱伝導率は要求されない。 のため、スリーブ(23)の材料は、溶湯と反応 しない材料を得られる熱伝導率が10~30W/(m・℃ )のものを用いる。熱伝導率が10W/(m・℃)未満 は気孔率の高いものとなって繰り返しの使 が困難であり、30W/(m・℃)を超えると溶湯と の反応性が高い物質が多くなるためである。 特に好ましい熱伝導率は、16~26W/(m・℃)であ 。前記範囲の熱伝導率を有し、かつ溶湯と 反応性の材料として、窒化ケイ素、炭化ケ 素、窒化ホウ素、グラファイトを推奨でき 。

 また、前記スリーブの厚さ(T)は0.5~0.3mmの 囲が好ましい。厚さ(T)が0.5mm未満では強度 弱く破損の危険性が高くなり、また十分な 応防止効果を得られないおそれがある。一 、3mmを越えると鋳造開始時に抜熱され、流 での溶湯(M)の流動性が低下するおそれがあ 。前記スリーブ(23)の好ましい厚さ(T)は1~2mm ある。

 上述した構造の注湯用ノズル(20)は、溶湯 (M)が直接接触するスリーブ(23)とは反応しな のでは反応物は生成されない。また、溶湯(M )の流路としての断熱性は本体部(22)により確 されているので溶湯(M)が早期に冷却されて 動性を低下することもない。従って、溶湯( M)の流路に反応生成物が付着して流路断面に ける溶湯温度が不均一になることがなく、 つ剥がれ落ちた反応生成物が溶湯(M)に混入 て鋳塊(S)に巻き込まれることもないので、 質の良い鋳塊を連続鋳造できる。さらに、 応生成物が蓄積されて流路を塞ぐこともな ので、長時間の連続運転が可能となる。こ らにより、高品質の鋳塊を効率良く製造す ことができる。

 また、溶湯(M)と本体部(22)とは直接接触し ないので本体部(22)の損傷や消耗が免れるの 、スリーブ(23)を交換すれば本体部(22)を繰り 返し使用することができる。

 図1のスリーブ(23)は、本体部(22)の注湯通 (21)とのクリアランスを可及的に小さくする ことで本体部(22)からの抜け落ちを阻止して るが、以下のように凹凸嵌合を利用するこ により抜け落ちを確実に阻止することがで る。

 図3に示す注湯用ノズル(30)において、ス ーブ(33)は概略円筒形であり、その外径は本 部(32)の溶湯通路(31)の直径(D1)に対応する寸 に設定されている。また、円筒体の溶湯入 側の周縁には外方に突出する鍔部(34)が設け られている。一方、前記本体部(32)の溶湯通 (31)の溶湯入口側の端面には、前記鍔部(34)の 肉厚に対応する凹陥状の段差部(35)が形成さ ている。そして、前記本体部(32)の溶湯通路( 31)の入口側からスリーブ(33)を挿入するとス ーブ(33)の鍔部(34)が本体部(32)の段差部(35)に 合し、注湯用ノズル(30)の入口側端面は、2 の部材によって連続する一つの平面を形成 る。このような嵌合構造の注湯用ノズル(30) おいて、溶湯(M)は常に鋳型(40)側へと流れる ので鍔部(34)が段差部(35)に押し付けられるこ となり、スリーブ(33)は抜け止め状態となる 。

 注湯用スリーブにおける本体部とスリー の嵌合構造は図示例に限定されない。スリ ブに凹部を設け、本体部に凸部を設けるよ にしても良い。但し、薄肉のスリーブに凹 を設けると強度が低下するので、厚肉の本 部に凹部を設けてスリーブに凸部を設ける とが好ましい。また、スリーブに凸部を設 ることでスリーブの強度も向上する。

 本発明の注湯用スリーブにおいて、注湯 路の数や位置は限定されない。図1~3に示し 注湯用スリーブ(20)(30)は中心に1つの注湯通 (21)(31)を有するものであるが、注湯通路を 心から偏位した位置に設けることも、複数 注湯通路を設けることもできる。

 図4A~図4Dは、鋳型(40)の成形孔(41)側から見 た注湯用ノズルの端面を示している。図4Aの 湯用ノズル(50)は、本体部(52)の中心から外 に寄った位置に1つの注湯通路(51)を設けたも のであり、注湯通路(51)にはスリーブ(53)が嵌 されている。図4Bの注湯用ノズル(55)は、本 部(57)の中心を挟んで上下に2つの注湯通路(5 6)を設けたものであり、各注湯通路(56)にはス リーブ(58)が嵌装されている。図4Cの注湯用ノ ズル(60)は、本体部(62)の下方部に3つの注湯通 路(61)を設けたものであり、各注湯通路(61)に スリーブ(63)が嵌装されている。図4Dの注湯 ノズル(65)は、本体部(67)の中心を挟んで上 左右に4つの注湯通路(66)を設けたものであり 、各注湯通路(66)にはスリーブ(68)が嵌装され いる。

 上述したようにスリーブは本体部よりも 伝導率の良い材料で構成されているので、 湯通路の数や位置の設定によりスリーブか の抜熱量を調節することができ、ひいては 型に流入させる溶湯の温度分布を調節して 型における凝固バランスを調節することが きる。

 また、本発明の注湯用スリーブを備えた 続鋳造装置において、注湯用スリーブ以外 部分の構成は何ら限定されない。例えば、 5に示した水平連続鋳造装置は、鋳型(40)の 形孔(41)の周壁に自己潤滑性の高い材料、例 ばグラファイトで形成したスリーブ(45)を装 着することにより鋳塊の滑りを向上させたも のである。

 本発明の連続鋳造装置は、注湯用ノズル 注湯通路および鋳型の成形孔の中心軸がほ 水平となるように配置されて鋳塊がほぼ水 に進行する図示例の水平連続鋳造装置に限 されるものではなく、竪型連続鋳造装置等 他の鋳造装置に適用することもできる。但 、以下の理由により、本発明による効果は 平連続鋳造装置において顕著である。

 水平連続鋳造においては、鋳塊は重力に り鋳型の下面側に押し付けられることで冷 が早くなり、それに伴い下面側の凝固開始 速くなると考えられる。部分的に凝固開始 速くなると鋳型における凝固バランスが崩 て凝固組織が不均質となる。このように、 平連続鋳造では竪型連続鋳造よりも凝固バ ンスが崩れる可能性が高いため、スリーブ 嵌着により注湯用ノズルを通過する溶湯の 度分布を制御できる本発明を適用する意義 大きい。

 本発明の注湯用ノズルは、任意の金属の 造に用いることができる。例えば、アルミ ウムまたはアルミニウム合金の連続鋳造に 用できる。特に固着しやすい金属の連続鋳 に用いる場合に顕著な効果を奏することが きる。かかる固着しやすい金属として、Mg 有Al合金を例示できる。

 図1および図2に示す本発明の水平連続鋳 装置(1)、および図6に示す従来の水平連続鋳 装置(2)において、溶湯受部(10)と鋳型(40)と 間に配置する注湯用ノズル(20)(70)の条件を変 えてJIS 5056アルミニウム合金の連続鋳造試験 を行った。

 表1に示す実施例1~4の前記注湯用ノズル(20 )は、断面円形の注湯通路(21)を有する本体部( 22)に円筒形のスリーブ(23)を嵌装したもので る。前記本体部(22)の材料として熱伝導率が0 .138W/(m・℃)のケイ酸カルシウム板(ニチアス 式会社製、商品名:ルミボード)を用い、前記 スリーブ(23)の材料として熱伝導率が16.7W/(m・ ℃)の窒化ケイ素を用いた。前記スリーブ(23) 、厚さ(T)が0.5mm、1.0mm、2.0mm、3.0mmの4種類を 備した。これらのスリーブ(23)の内径はいず れも15mmであり、外径を変化させることで前 厚さ(T)となされている。一方、前記本体部(2 2)には各スリーブ(23)の外径に対応する直径の 注湯通路(21)を穿設し、注湯通路(21)にスリー (23)を嵌装した。

 一方、比較例の注湯用ノズル(70)は、前記 ケイ酸カルシウム板に直径15mmの注湯通路(71) 穿設したものである。

 また、各実施例および比較例において、 型(40)の成形孔の直径は40mmである。

 上記注湯用ノズル(20)(70)を備えた水平連 鋳造装置(1)(2)により、鋳造温度:700℃±10℃、 鋳造速度:600mm/minの条件で連続鋳造を行い、 滑な鋳造が不可能となるまで連続運転を行 た。

 連続鋳造した鋳塊(S)の外観を観察すると もに、FPMAにより介在物を調べて品質を評価 した。また、鋳造後の注湯用ノズル(20)(70)の 部を観察し、反応生成物の有無とスリーブ( 23)または本体部(71)の状態を調べた。その結 、各実施例のスリーブ(23)には溶湯(M)と反応 た形跡はなく反応生成物も認められなかっ 。一方、比較例の注湯通路(71)の壁面には溶 湯(M)との反応が認められ、反応生成物が蓄積 されていた。比較例の連続運転は、注湯通路 (71)に蓄積された反応生成物によって阻害さ たものである。

 さらに、連続鋳造時間、反応生成物、鋳 品質に基づいて、○(優れている)と×(劣っ いる)の2段階で総合的に評価した。

 表1に注湯用ノズルの構成を示すとともに 、評価結果を表1に示す。

 表1より、注湯用ノズルの注湯通路にスリ ーブを嵌装することにより、溶湯との反応物 の生成がなく、高品質の鋳塊を効率良く鋳造 できることを確認することができた。

 本願は、2007年12月18日に出願された日本 特許出願の特願2007-326371号の優先権主張を伴 うものであり、その開示内容はそのまま本願 の一部を構成するものである。

 ここに用いられた用語および表現は、説 のために用いられたものであって限定的に 釈するために用いられたものではなく、こ に示されかつ述べられた特徴事項の如何な 均等物をも排除するものではなく、この発 のクレームされた範囲内における各種変形 も許容するものであると認識されなければ らない。

 本発明の注湯用ノズルは、本体部の溶湯 路に溶湯と反応しないスリーブが嵌装され いので、溶湯と本体部とが接触せず、これ の反応生成物が発生しない。このため、反 生成物の蓄積によって連続運転が阻害され ことがないので、長時間の安定した鋳造に 用できる。