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Patent Searching and Data


Title:
NOVEL STEVIA VARIETY AND METHOD OF PRODUCING SWEETENER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/093610
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided are stevioside sweeteners having a high purity. As the results of breeding through crossing and selecting and DNA testing, varieties of Stevia rebaudiana bertoni are identified. By crossing these varieties, a novel variety which enables continuous cultivation of the specific variety is developed (Deposition No. FERM BP-10870). By extracting dry leaves of this variety, a sweet component containing stevioside at a high concentration can be obtained in a stable state. From this extract, various favorable stevioside sweeteners can be produced.

Inventors:
MORITA TOYOSHIGE (JP)
MORITA KOJI (JP)
KANZAKI SHINYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/050878
Publication Date:
July 30, 2009
Filing Date:
January 21, 2009
Export Citation:
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Assignee:
MORITA KAGAKU KOGYO (JP)
MORITA TOYOSHIGE (JP)
MORITA KOJI (JP)
KANZAKI SHINYA (JP)
International Classes:
A01H5/12; A23L27/00; A23L27/10; A23L27/20; C12P19/56; C12Q1/68; C12N15/09
Domestic Patent References:
WO2006093229A12006-09-08
Foreign References:
JP2003009878A2003-01-14
JP2002171930A2002-06-18
JPS5718779B21982-04-19
JPS54147976A1979-11-19
JP2002262822A2002-09-17
JPH02163056A1990-06-22
Other References:
See also references of EP 2245921A4
Attorney, Agent or Firm:
TANAKA, Mitsuo et al. (IMP Building 3-7, Shiromi 1-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 01, JP)
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Claims:
 ステビオサイド100重量部に対してレバウデイオサイドAを多くとも8重量部しか含まないステビア・レバウディアナ・ベルトニー品種であって、RAPD法によるDNA解析において210bpの位置に特徴的な塩基配列を示す植物体。
 ステビア・レバウディアナ・ベルトニー品種(国際寄託番号:FERM BP-10870)の種子より得られる、請求項1の植物体。
 請求項1に記載の植物体またはその乾燥葉を水、または含水溶媒で抽出することを特徴とする甘味料の製造方法。
 請求項2に記載の植物体またはその乾燥葉を水、または含水溶媒で抽出することを特徴とする甘味料の製造方法。
 請求項3に記載の方法により得られる甘味料から、ステビオサイド100重量部に対してレバウデイオサイドAを多くとも5重量部しか含まず、かつ純度が93%以上である高純度ステビオサイドを得る方法。
 請求項4に記載の方法により得られる甘味料から、ステビオサイド100重量部に対してレバウデイオサイドAを多くとも5重量部しか含まず、かつ純度が93%以上である高純度ステビオサイドを得る方法。
 請求項3に記載の方法により得られる甘味料からα-グルコシルステビオサイドを得る方法。
 請求項4に記載の方法により得られる甘味料からα-グルコシルステビオサイドを得る方法。
 請求項7に記載の方法により得られる甘味料から、付加糖鎖を調整したα-グルコシルステビオサイドを得る方法。
 請求項8に記載の方法により得られる甘味料から、付加糖鎖を調整したα-グルコシルステビオサイドを得る方法。
下記のプライマー
 順方向プライマー:CACGCGAACTCCTCGACTCGACC
 逆方向プライマー:GCTGCATGCTTGCATGCATGAAATC
を用いてRAPD法によるDNA解析を実施し、請求項1のステビア・レバウディアナ・ベルトニー品種を選択する方法。
Description:
新規ステビア種および甘味料製 方法

 本発明は、ステビオサイドの含有比率が めて高く、かかる形質を有する植物体を種 により継続的に生産することのできるステ ア・レバウディアナ・ベルトニーの品種に する植物体、該植物体から得られる種子を いた植物体、および/またはその乾燥葉より 抽出される甘味料の製造方法、およびそれら 甘味料からα-グルコシルステビオサイドを製 造する方法に関する。

 ステビアは南米パラグアイを原産地とする 科多年生植物で、学名をステビア・レバウ ィアナ・ベルトニー(Stevia Rebaudiana Bertoni) いう。ステビアは砂糖の300倍以上の甘味を つ成分を含むので、この甘味成分を抽出し 天然甘味料として用いる為に栽培されてい 。
 ステビアの甘味成分としては、ステビオサ ド(C 38 H 60 O 18 )、レバウディオサイドA(C 44 H 70 O 23 )、レバウディオサイドC、D、E、ズルコサイ A等が知られている。一般に栽培されている テビア品種では上記甘味成分の内ステビオ イド(以下、ST)が主成分で、ST100重量部に対 てレバウディオサイドA(以下、RA)の含有量 40重量部程度、レバウディオサイドCの含量 それよりやや少ない。しかし、品種によっ はレバウディオサイドCを主成分とするもの どもあり、様々である。

 STは砂糖の300倍の甘味度を有するので天然 味料として食品工業界で広く用いられてお 、その甘味は比較的砂糖に似ているが、RAと 比較すると苦み等の不快味が後味に残ること が知られている。これに対して、RAは良質の 味質とSTに対して1.3倍~1.5倍の甘味度を有す ので、一般にはSTよりもRAの含有率の高いス テビア甘味料が好ましいとされている。
 例えば、本発明者らは従来品種から交配選 を繰り返して品種改良を行い、RAに対してST が極微量しか含有されないステビア品種を得 、それら品種から得られた種子による、育苗 が容易でかつ甘味成分内容を継続栽培できる 新品種の開発をした(後記特許文献1、2参照)
 しかしながら、渋み、辛み等の舌で知覚さ る味の中でも甘みの質は非常に微妙である RAと比較した場合苦み等の不快味が後味に るとされているSTであっても、その濃度、純 度を高めることにより雑味が除去されて甘味 の質が改善され、甘味料としての用途が広が る。例えばSTの後味に感じる甘味質は塩性食 に使用することにより塩カドをマスキング ることができる。また、果汁の渋みや有機 、その塩類のマスキング剤としての利用が 能であり、RAとは異なる甘味料としてST甘味 料も食品分野で必要とされている。
 また、αーグルコシル化とそれに続く糖鎖 整によりステビア抽出物の甘味を改善する 法は知られている(後記特許文献3参照)。か る方法により得られるαーグルコシルステビ オサイドを主体とする甘味料は、一般的なス テビア抽出物に比べて、ST以外の甘味成分に る甘味質の妨害が少ないことが特徴である
 もとよりSTはステビア甘味料の主成分であ から、その利用を促進することは資源の有 活用の観点からも好ましい。

特開2002-262822号公報

国際公開第2006/093229号パンフレット

特開平02-163056号公報

 従来、高純度のSTを得るには再結晶を繰り すしか方法が無かった。再結晶ではステビ に含まれるST以外の成分が再結晶収率を低下 させる原因となっており、取り分けRAはSTに ぐステビアの甘味成分であることから、高 度STの生産コストの削減と安定した収量を保 つためにはRA含量の低いステビア新品種の開 が求められていた。
 また、ステビア植物の品種改良においては 丈、葉形だけではその識別が不可能であり また、ステビア植物は自家不和合性により 種化が容易に生じるため種子を用いた栽培 は甘味成分を一定に保つのは不可能とされ いた。

 本発明者らは従来品種から交配選抜を繰 返して品種改良を行い、STに対してRAを極微 量しか含有しないステビア品種を得、それか ら種子による育苗が容易で、甘味成分内容を 継続して栽培できる品種の開発に成功した。

 本発明のステビア新品種の乾燥葉より得 れるステビア抽出物はRAの含量が低くSTの含 量が高いので、一度再結晶すれば実質上RAを まない高純度のST甘味料が得られる。或い 、当該抽出物を酵素処理することにより甘 質の改善されたST甘味料を得ることができる 。

 本発明の第1の態様は、ST100重量部に対し RAを多くとも8重量部しか含まないステビア レバウディアナ・ベルトニー品種である。 のため、後述するように交配と選別を繰り してST100重量部に対してRAを多くとも8重量 しか含まないステビア・レバウディアナ・ ルトニー品種に属する新たな植物体を創造 、特定のプライマーを用いたDNA解析により その品種を特定した。

 本発明の第2の態様は、ST100重量部に対し RAを多くとも8重量部しか含まない高純度ST 味料の製造方法であり、上記の植物体また その乾燥葉を水、または含水溶媒で抽出し 得られた粗生成物を再結晶する甘味料の製 方法である。

 本発明の第3の態様は、α-グルコシル化ス テビオサイド甘味料の製造方法であって、上 記の植物体またはその乾燥葉を水、または含 水溶媒で抽出し、得られた粗生成物または該 粗生成物の再結晶により得られた高純度STに えばシクロデキストリングルコシルトラン フェラーゼを作用させ、グルコースをα付 させる方法である。

 本発明の第4の態様は、糖鎖調整を行った α-グルコシル化ステビオサイド甘味料の製造 方法であって、上記第3の態様で得られる甘 料を例えばグルコアミラーゼのようなα-1,4- ルコシダーゼで処理し、付加する糖鎖を調 する方法である。

 本発明の第5の態様は、後述する如く特定 のプライマーを用いたRAPD(Random Amplified Polymo rphic DNA;増幅断片多型DNA)法によるDNA解析であ る。

 これら目的を達成するために本発明者らは 配と選別による品種改良を実施した。この 合、選別された品種の特定方法が重要な意 を持つ。前述のとおりステビアは自家不和 性が強いために特定された品種間での交配 重要で、本発明者らは、RAPD法によって、DNA 鑑定による品種の特定方法を検討した。
 RAPD法はDNAの解析手法の1つであり、複数の ライマーを用いてPCR(ポリメラーゼ連鎖反応) を行うと、用いたプライマーと同一または類 似の配列に挟まれたDNAの領域が増幅されるの で、その増幅されたDNAのパターンを電気泳動 で解析する方法である。また、セチルトリメ チルアンモニウムブロミド(CTAB:Cetyl Trimethyl  Ammonium Bromide)は長鎖アルキル基をもつ第4級 ンモニウム塩基であり、核酸のようなポリ ニオンと不溶性の複合体を形成するために 酸の単離に利用することができる。

 DNAの違いにより品種識別する手段はCTABによ り植物体からゲノムDNAを単離し、リボ核酸(RN A)を除去し、プライマーミックスを用いてPCR により得られたPCR増幅産物をアガロースゲ 電気泳動法によって得られるDNAフィンガー リントの違いにより区別する。本発明の植 体の場合、後述するように210bp上部に特徴 な塩基配列を示すことが確認された。
 実際には、原料の植物体について、選択的 沈殿させたゲノムDNAを雛型とし、プライマ として例えば
 順方向プライマー:CACGCGAACTCCTCGACTCGACC
 逆方向プライマー:GCTGCATGCTTGCATGCATGAAATC
を用いて96℃10秒、65℃30分、72℃30秒35サイク 、さらに72℃で2分間反応させた。反応後、P CR産物を6%変性ポリアクリルアミド電気泳動 より分画し、SYBR Goldにより染色後、青色光 ランスイルミネーターにて可視化した。そ 結果、供試した10品種では約190bpおよび210bp 位置に多型を示すバンドが検出され、F1タ プの遺伝子型が確認された。これらのバン は再現性良く増幅されることを確認し、特 のDNAバンドにより植物体が確認できる。

 甘味料の製造には、当該植物体および/ま たはその乾燥葉から水、または含水有機溶媒 にて抽出し、次いで抽出液をそのまま濃縮す るか、または必要に応じて陽イオン交換樹脂 、陰イオン交換樹脂、活性炭等でイオン性不 純物を除去し、吸着樹脂に甘味成分を吸着さ せ親水性溶媒で溶離して,必要に応じて陽イ ン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、活性炭等 処理し溶離液を濃縮、乾燥して甘味料が得 れる。甘味料の製造方法はその他脱色等の 用精製手段を適宣施すことが出来、高純度ST を得る方法は膜分離、アルコール抽出、結晶 化等の慣用手段を適宜施すことができる。ま た、結晶化の方法は結晶溶媒としてエタノー ル、メタノール等の有機溶媒に要すれば水を 加えて、適宣使用することができる。得られ た甘味料は他の天然、人工甘味料、希釈剤等 を加えることもできる。

 得られた甘味料はキャンデー、ゼリー、 料、粉末飲料、インスタント麺、ジャム、 菓、チューインガム、和菓子、健康食品、 ョコレート、卓状甘味料、焼き菓子、珍味, 水練り食品、乳酸飲料、乳酸菌飲料、コーヒ ー飲料、ココア飲料、茶飲料、リキュール、 ワイン、シャーベット、シリアル食品、植物 繊維含有食品、ソース、醤油、味噌、食酢, レッシング、マヨネーズ、ケチャップ、カ ー、スープ、米菓、アラレ類、パン類、ビ ケット、クラッカー、ホットケーキの素、 物缶詰、野菜缶詰、食肉製品、魚肉練り製 、塩性食品、漬物、複合調味料、嗜好性食 、化粧品などに使用することにより、カロ ー低下、糖類削減、融点降下、甘味質改善 およびマスキング効果等が得られ、また他 甘草グリチルリチン、羅漢果、ソーマチン の高甘味度天然甘味料、サイクラミン酸ソ ダ、サッカリンナトリウム、アスパラテー 、スクラロース、ネオテーム等に人工甘味 、オリゴ糖類、糖アルコール類、糖類、デ ストリンなどの希釈剤等をさらに添加する ともできる。

〔STを高濃度で含有する品種の育種過程〕
 育種は従来ステビア品種の交配による選抜 て行い、まず、STを従来品よりも高濃度で 有する品種SSを交配し、得られた種子から比 較的STを多く含む品種SS-1を選択して、それら を更に人工的に交配し、得られた種子から、 さらにRAの含有濃度の低い品種同士を交配し ST100重量部に対してRAを5重量部以下しか含 ない品種を10品種開発し、内1品種は耐寒性 悪いことから他の9品種をF1ST-1~F1ST-9の高ST品 とした。
 これら高STから得られた種子を播種し、植 体を育成してそれらから得られた乾燥葉を 析し、甘味成分が高ST品種と差がないことを 確認し、その遺伝子を検索し、同一遺伝子を 有する品種をF1ST品種とした。

 さらに出願人は、今回、本発明に係るF1ST品 種より得られた種子について、既に国際寄託 を完了した(独立行政法人産業技術総合研究  特許生物寄託センター:茨城県つくば市東1 目1番地1 中央第6、2007年7月13日、受託番号F ERM BP-10870)。従って、その寄託に係るF1ST品種 の種子から、容易に本発明の植物体を容易に 入手することができる。ステビアは自家不和 合性であり、種子から常に目的の植物体が得 られるとは限らないとされていたが、本願に 記載されたDNA鑑定に従って選別した品種によ る交配では常に目的とする植物体を得ること ができる。
 また必要ならば、他のステビア種と交配し 後記実施例1に準じて選別を行えば、STを高 度で含有する植物体を極めて容易に入手す ことができる。これら植物体はすべて、国 寄託をしたST品種の種子から得られる植物 に含まれる。

 以下に、育種過程およびその特性等を具体 に記載する。本発明は本育種過程、栽培方 に限定されるものでない。
実施例1
 STを比較的高濃度に含有する品種の交配で られた種子より、2001年にST比較的高含有す 品種を選抜し、守田化学工業(株)新見工場内 ビニールハウス内で人工的にかけ合わせ、得 られた種子を02年3月に新見工場内のビニール ハウスに播種、発芽した苗を育苗ポットに移 植し、5月上旬に苗丈8cm程度以上の苗500本を 場内圃場に10アール当たり窒素、リン、カリ の肥料成分各20kgを施肥し2週間後に移植した 7月上旬に追肥として10アール当たり窒素、 ン、カリの肥料成分各10kgを追肥した。

 9月上旬に調査し、その甘味成分を分析し 、ST100部に対してRAを30部以下しか含まない株 SS品種を選抜した。2002年にSS品種を新見工場 ビニールハウス内で人工的にかけ合わせ、 られた種子を2003年3月に新見工場内のビニ ルハウスに播種、発芽した苗を育苗ポット 移植し、5月上旬に苗丈7cm程度以上の苗300本 工場内圃場に10アール当たり窒素、リン、 リの肥料成分各20kgを施肥し2週間後に移植し た。7月上旬に追肥として10アール当たり窒素 、リン、カリの肥料成分各10kgを追肥した。

 9月上旬に調査し、その甘味成分を分析し 、ST100部に対してRAを15重量部以下しか含まな い株SS-1を選抜し、03年にそれらを交配させて 得られた種子を04年3月に新見工場内のビニー ルハウスに播種、発芽した苗を育苗ポットに 移植し、5月上旬に苗丈7cm程度以上の苗300本 工場内圃場に10アール当たり窒素、リン、カ リの肥料成分各20kgを施肥し2週間後に移植し 。7月上旬に追肥として10アール当たり窒素 リン、カリの肥料成分各10kgを追肥した。

 9月上旬に調査し、その甘味成分を分析し、 ST100部に対してRAを8重量部以下しか含まない 9株をF1ST品種とし、2004年にF1ST品種を交配し て得られた種子を05年3月に新見工場内のビニ ールハウスに播種、発芽した苗を育苗ポット に移植し、5月上旬に苗丈7cm程度以上の苗1000 を工場内圃場に10アール当たり窒素、リン カリの肥料成分各20kgを施肥し2週間後に移植 した。7月上旬に追肥として10アール当たり窒 素、リン、カリの肥料成分各10kgを追肥した
 9月上旬に全てを収穫し、その乾燥葉の甘味 成分を分析し、ST100部に対してRAを8重量部以 しか含まないことを確認した。

比較試験1(5月)
 ST品種との他品種SNとの比較のために、2006 3月にF1ST品種、SN品種から得られた種子各1500 粒を新見工場内のビニールハウスに播種、発 芽した苗を育苗ポットに移植し、5月上旬に 育の同程度の苗各400本を工場内圃場に10アー ル当たり窒素、リン、カリの肥料成分各20kg 施肥し2週間後に移植した。

 5月中旬にF1ST、SNの各品種200本の葉部を分離 し、乾燥後分析試料とした。
 甘味成分の測定は下記条件の高速液体クロ トグラフィーにより行った。
  高速クロマトグラフィー分析方法
  使用カラム  リクロソルブNH 2  5μ 4mm×250mm
  流速     1.5ml/分
  展開溶媒   アセトニトリル:水=82:18
  測定波長   210nm
 分析結果は次のとおりであった。

比較試験2(9月)
 7月中旬に追肥を行い、9月上旬に各品種150 を地上部から刈り取った後、葉部を分離し 乾燥後平均甘味成分を測定し、分析試料と た。
 分析結果は次のとおりであった。
 F1ST、SN品種は生育につれて甘味成分含量が える傾向が見られたが、F1ST品種ではRAの含 に大きな増加は見られなかった。

遺伝子塩基配列の特定
<DNA抽出> 
 DNA抽出はCTAB法により行い、各サンプルより 採取した葉、約0.2gを乳鉢中で液体窒素によ 凍結し、乳棒にて粉砕した。粉砕したサン ルは1.5mlマイクロチューブ中で0.5mlの2%CTAB溶 (100mM Tris-HCl pH 8.0, 20mM EDTA pH 8.0, 2% CTAB , 1.4M NaCl, 1% PVP)と混和し、65℃で30分イン ュベートした。0.5mlのクロロホルム/イソア ルアルコール(24:1)を加え、10分間撹拌した後 、15000rpmで15分遠心分離し、水層を別の1.5mlマ イクロチューブに移した。さら等量の100%イ プロパノールを加え、15000rpmで15分遠心分離 、沈殿を75%エタノールでリンスした後、乾 させ400μlのTEバッファーで溶解した。RNase溶 液(1mg/ml)を1μl加え、37℃で1時間インキュベー トしたのち、等量のTE飽和フェノールを加え 和してから15000rpmで30分間遠心分離した。水 層を別のマイクロチューブに移し1/10量の3M酢 酸ナトリウムと等量のイソプロパノールを加 え、混和し15000rpmで30分間遠心分離した。得 れた沈殿を75%エタノールで2回リンスしたの 乾燥させ50μlのTEバッファーに溶解しDNAサン プルとした。

<PCR分析>
 得られたDNAサンプルを鋳型として下記の反 液組成にてPCR反応を行った。PCRサイクルは9 6℃で30秒反応させた後、96℃10秒、65℃30分、7 2℃30秒35サイクル、さらに72℃で2分反応させ 。反応後、PCR産物は6%変性ポリアクリルア ド電気泳動により分画し、SYBR Goldにより染 後、青色光トランスイルミネーターにて可 化した。その結果、供試した10品種では約19 0bpおよび210bpの位置に多型を示すバンドが検 され、F1STタイプの遺伝子型が確認された。 これらのバンドは再現性良く増幅されること を確認しており、識別マーカーとして有効で ある。

実施例2 高純度ST甘味料の製造
(1)抽出
 5月および9月にF1ST1~9品種から得られた乾燥 各2gをそれぞれ混合して18gとし、20倍量の水 で甘味が感じられなくなるまで数回抽出した 。陰イオン交換樹脂(デュオライトA-4)20ml、お よび粒状活性炭5mlを充填したカラムに通液し 、次いで通過液を吸着樹脂(ダイヤイオンHP-20 )100mlを充填したカラムに通して甘味成分を吸 着させ、十分水洗後メタノール300mlで溶離し 。溶離液を減圧下に濃縮し、乾燥して淡黄 色の粉末を得た。
(2)再結晶
 上記の抽出精製物(F1ST品種5月、9月)各10gを10 倍量の95%メタノールに加熱溶解した後に、4 に6日間冷却放置し、得られた結晶を分離し 冷メタノールで洗浄後、減圧乾燥し、白色 結晶7.5gおよび7.4gを得た。
 比較のためにSNからも同様の処理をしてそ ぞれ白色の結晶(SN-CRY)4.6gを得、高速液体ク マトグラフィー(条件は実施例1と同様)でこ を分析した。

 表3に抽出精製物の分析結果を示す。表中の STはステビオサイド、RAはレバウディオサイ Aである。
 本発明のF1ST1~9品種より得られたSTを一度再 晶するだけで、実質上RAを含まない高純度 ST甘味料が得られた。

官能試験1
 実施例2で得られたF1ST5月およびSN-CRYの粉末 各0.02%溶液を調製し、ステビア甘味料の味 に精通したパネラー10人により苦み、渋み、 および甘味質を比較した。
 各試料において苦味、渋みに大きな差は無 が、F1ST品種は、味質の切れが他の試料より 改善されていることが分かる。

実施例3 α-グルコシルステビオサイド甘味料 の製造
 実施例2に準じて得られたF1ST9月、実施例3で 得られた粉末の各4gとα-グルコシル糖化物と てDE(デンプン分解率):10のデキストリン8gを 20mlに加熱溶解した後、70℃に冷却し、塩化 ルシウムを基質総量に対して1mmolとなる様 添加すると共に、pHを6.0に調整して、シクロ デキストリングルコシルトランスフェラーゼ を100単位加え、温度70℃で24時間反応させた その後、各反応液を95℃に30分間保持して酵 を加熱失活させた。

 各反応液を濾過して浮遊物を除去した後 それぞれ濾液を合成吸着樹脂ダイヤイオンH P-20を100ml充填したカラムに通し、十分に水洗 を行った後、メタノール300mlで溶離した。溶 液を、陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA -94)を充填したカラムに通し、脱塩、脱色を った後、減圧下で濃縮、乾燥してα―グルコ シルステビオサイドである酵素処理α-F1STを2. 6gおよび酵素処理α-F1ST-CRYを2.5g、それぞれ白 粉末として得た。

実施例4 付加糖鎖の調整
 実施例3の酵素処理α-F1STと酵素処理α-F1ST-CRY 各1gに市販のグルコアミラーゼ〔グルコチー 長瀬産業(株)製〕を固形分に対して1%添加し 、温度50℃で5時間反応させた。反応後、95℃ 30分間加熱して酵素を失活させた。各反応 を濾過して浮遊物を除去した後、濾液をそ ぞれ、合成吸着樹脂ダイヤイオンHP-20を100ml 填したカラムに通し、十分に水洗を行った 、メタノール300mlで溶離した。溶離液は陰 オン交換樹脂(アンバーライトIRA-94)を充填し たカラムに通し、脱塩、脱色を行った後、減 圧下で濃縮、乾燥して付加糖鎖調整済みα-F1S Tを0.7g、および付加糖鎖調整済みα-F1ST-CRYを0. 6g、それぞれ白色粉末として得た。
 比較試験として実施例2で得られたF1SN品種 ら得られた淡黄白色の粉末を同様に酵素処 α-SN.さらに糖鎖調整して付加糖鎖調整α-SN-CR Yを得た。

官能試験2
 官能試験1と同様にして、酵素処理α-F1STと 素処理α-SNの甘味質を比較した。
 本発明のステビア新品種より得られるSTは の純度が高いので、α-グルコシル化を行う とにより後味および甘味質が改善される。

官能試験3
 官能試験1と同様にして、糖鎖調整α-ST-CRYと 糖鎖調整α-SN-CRYの甘味質を比較した。
本発明のステビア新品種より得られるSTはそ 純度が高いので、α-グルコシル化および糖 調整をすることにより、雑味がなく、後味 よび甘味質が改善されたST甘味料を与える

 本発明のステビア・レバウディアナ・ベ トニー新品種はRAの含量が低くSTの含量が高 いので、これを育成して得られる乾燥葉から 各種の好適なステビオサイド甘味料を製造す ることができる。