Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
OIL-WATER SEPARATION FILTER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/175310
Kind Code:
A1
Abstract:
This oil-water separation filter includes a non‐woven fabric for filtration in which a large number of pores that penetrate between one side where a mixed liquid containing water and oil flows in and the other side facing the one side are formed between fibers. An oil-water separation film is formed on the fiber surface of the non‐woven fabric for filtration at a ratio of 0.1-30 g per 1 m2 of the non‐woven fabric for filtration, and has a silica sol hydrolysate which contains a fluorine-containing functional group component having the functions of both water repellency and oil repellency and represented by formula (1). The fluorine-containing functional group component is contained in the silica sol hydrolysate in a proportion of 0.01-10 mass%, and the air permeability of the oil-water separation filter is 0.05 ml/cm2/sec-10 ml/cm2/sec.

Inventors:
SHIRAISHI SHINYA (JP)
KOSHIYAMA HIROSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2020/006763
Publication Date:
September 03, 2020
Filing Date:
February 20, 2020
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
MITSUBISHI MAT ELECTRONIC CHEMICALS CO LTD (JP)
International Classes:
B01D17/04; B01D17/022; B01D69/02; B01D71/70
Foreign References:
JP2016064388A2016-04-28
JP2018141063A2018-09-13
JP2015187220A2015-10-29
JP2016172249A2016-09-29
JP2016074830A2016-05-12
JP2019042707A2019-03-22
Attorney, Agent or Firm:
SUDA, Masayoshi (JP)
Download PDF:
Claims:
\¥0 2020/175310 33 卩(:17 2020 /006763

請求の範囲

[請求項 1 ] 水と油とを含む混合液体が流入する一面と、 この一面に対向する前 記混合液体が流出する他面との間を貫通する多数の気孔が繊維間に形 成されたろ過用不織布を含む油水分離フィルターであって、

前記繊維表面に油水分離膜が前記ろ過用不織布 1 当り〇. 1 9 〜 3 0 9の割合で形成され、

前記油水分離膜は、 撥水性及び撥油性の双方の機能を有するフッ素 含有官能基成分を含むシリカゾル加水分解物を有し、 前記フッ素含有官能基成分は、 前記シリカゾル加水分解物中、 〇. 0 1質量%〜 1 〇質量%の割合で含まれ、

前記フッ素含有官能基成分は、 下記の _般式 (1) 又は式 (2) で 示されるペルフルオロエーテル構造を含むことを特徴とする油水分離 フイルター。

[化 1 ]

〇卩¾+1__¾¾ 〇-◦「 2「__

[化 2]

〇卩 2卩+1__〇9 29 - -丫

( 2 ) 上記式 (1) 及び式 (2) 中、 、 及び「は、 それぞれ同一又は 互いに異なる 1〜 6の整数であって、 直鎖状又は分岐状であってもよ い。 また上記式 (1) 及び式 (2) 中、 Xは、 炭素数 2〜 1 0の炭化 水素基であって、 エーテル結合、 結合、 合及びスルホンアミ ド結合から選択される 1種以上の結合を含んでい てもよい。 また上記式 (1) 及び式 (2) 中、 丫は、 シリカゾル加水 分解物の主成分である。

[請求項 2] 前記シリカゾル加水分解物は、 更に炭素数 2〜 7のアルキレン基成 分を〇. 5〜 2 0質量%含む請求項 1記載の油水分離フィルター。

[請求項 3] 前記ろ過用不織布が単一層により構成されるか、 又は複数層の積層 体により構成される請求項 1又は 2記載の油水分離フィルター。

[請求項 4] 前記ろ過用不織布を構成する繊維がポリエチレンテレフタレート ( 巳丁) 、 ポリプロピレン ( ) 、 ガラス、 アルミナ、 炭素、 セル ロース、 パルプ、 ナイロン及び金属からなる群より選ばれた 1種又は 2種以上の繊維である請求項 1ないし 3いずれか 1項に記載の油水分 離フィルター。

[請求項 5] 前記水と油とを含む混合液体が流入する _面に相当するろ過用不織 布を構成する繊維がガラス繊維である請求項 4記載の油水分離フィル 夕

[請求項 6] 前記混合液体が流出する側のろ過用不織布の他面に、 前記ろ過用不 織布を支持する補強用不織布が重ね合わせて設けられ、 前記補強用不 織布の通気度が 2 0 秒以上であって、 前記補強用不織 布の引張強度が 7 0 1\!以上である請求項 1ないし 5いずれか 1項に記 載の油水分離フィルター。

[請求項 7] 前記補強用不織布を構成する繊維がポリエチレンテレフタレート (

P E T) 、 ポリプロピレン (P P) 、 セルロース、 パルプ、 ナイロン 、 竹及び金属からなる群より選ばれた 1種又は 2種以上の繊維である 請求項 6記載の油水分離フィルター。

Description:
\¥02020/175310 1 卩(:17 2020 /006763 明 細 書

発明の名称 : 油水分離フィルター

技術分野

[0001] 本発明は、 簡易な構成で、 油がエマルジョン化した乳化油又は水溶性油 を 水と油に分離可能な油水分離フィルターに関 する。 更に詳しくは、 撥水性及 び撥油性 (以下、 撥水撥油性ということもある。 ) を有する油水分離膜がろ 過用不織布の繊維表面に形成された油水分離 フィルターに関するものである 。 なお、 本国際出願は、 201 9年 2月 27日に出願した日本国特許出願第 335 1 3号 (特願 201 9-0335 1 3) 及び 2020年 1月 7日に出 願した日本国特許出願第 1 026号 (特願 2020— 001 026) に基づ く優先権を主張するものであり、 特願 201 9-0335 1 3及び特願 20 20-001 026の全内容を本国際出願に援用する。

背景技術

[0002] 一般に、 水と油とを含む混合液体は、 その油水の混合状態に応じて、 水面 に油が浮上する浮上油と、 油の粒子が水中に浮遊している分散油と、 油と水 が混ざりエマルジョン化している乳化油又は 水溶性油とに分類される。

[0003] 本出願人は、 水と油とを含む混合液体が流入する一面と、 この一面に対向 する他面との間を貫通する多数の気孔を備え た不織布からなる多孔質基材を 有する油水分離多孔質体及びこれを備えた油 水分離フィルターを提案した ( 特許文献 1 (請求項 1、 請求項 7、 段落[0020]、 段落[0074]) 参照 。 ) 。 この油水分離多孔質体は、 気孔の開口径が 0. 1 以上、 1 80 以下であり、 気孔の表面に油水分離体が形成され、 油水分離体が、 撥油性 付与基及び親水性付与基を有するフッ素系化 合物を含む油水分離材を備える 先行技術文献

特許文献

[0004] 特許文献 1 :特開 201 6-64405号公報 \¥0 2020/175310 2 卩(:171? 2020 /006763

特許文献 2 :特開 2 0 0 0— 2 0 2 2 4 7号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005] 水と油とを含む混合液体が上述した浮上油や 分散油、 即ち非水溶性油であ る場合、 図 8 (3) に示すように、 非水溶性油 1の油粒子 1 3の表面は〇1 ~ 1 3 等のアルキル基 1 13で覆われている。 このアルキル基 1 13は水との親和力が なく非親水性であるため、 非水溶性油 1 を放置すると、 油粒子 1 3は水 1 〇 より比重が小さいため、 その表面張力を下げようとして、 油粒子 1 3同士が 結合しながら、 浮上する。 そのため、 特許文献 1 に示される親水撥油性を有 する油水分離体を備えた油水分離フィルター では、 混合液体が非水溶性油の 場合には、 この混合液体を水分と油分に分離してろ過す ることが可能である

[0006] _方、 混合液体が油と水が混ざりエマルジョン化し ている乳化油又は水溶 性油である場合、 図 8 (匕) に示すように、 水溶性油 2の油粒子 2 3 の表面 には水酸基 2 13で覆われている。 この水酸基 2 は水 2〇との親和力が高く 、 水溶性油 2を放置しても油粒子 2 3は水中で安定して分散している。 特許 文献 1 に示される油水分離フィルターでは、 油水分離体が親水撥油性を有す るフッ素系化合物であるため、 水中で油粒子が安定して分散している水溶性 油は、 その水酸基で覆われた油粒子が親水性付与基 を有する油水分離体で化 学的に阻止されずに、 不織布等の多孔質基材を通過してしまい、 混合液体を 水分と油分に分離できない課題があった。 このため中空糸膜を用いた油水分 離装置により、 乳化油又は水性油を水と油に分離する技術が 知られている ( 例えば、 特許文献 2 (請求項 6、 段落 [ 0 0 2 8 ]、 図 5) 参照。 ) 。 しかし ながら、 こうした油水分離装置は構造が複雑である課 題があった。

[0007] 本発明の目的は、 簡易な構成で、 油がエマルジョン化した乳化油又は水溶 性油を水と油に分離可能な油水分離フィルタ ーを提供することにある。 本発 明の別の目的は、 物理的強度を向上し得る油水分離フィルター を提供するこ とにある。 \¥0 2020/175310 3 卩(:17 2020 /006763 課題を解決するための手段

[0008] 本発明者らは、 第一に、 油水分離フィルターのろ過用不織布の繊維表 面に 形成する油水分離膜に撥水撥油性を有するフ ッ素含有官能基成分を含ませる ことにより、 ろ過用不織布の繊維表面が化学的に水溶性油 の油粒子を弾かせ 、 第二に、 油水分離膜に水酸基を持つシリカゾル加水分 解物を主成分として 用いることでろ過用不織布に通水性を保持し 、 第三に、 油水分離フィルター の通気度を所定の値にすることにより、 ろ過用不織布の気孔を小さく して物 理的に水溶性油の油粒子の通過を阻止するよ うにして、 本発明に到達した。

[0009] 本発明の第 1の観点は、 水と油とを含む混合液体が流入する一面と、 この 一面に対向する他面との間を貫通する多数の 気孔が繊維間に形成されたろ過 用不織布を含む油水分離フィルターであって 、 前記繊維表面に油水分離膜が 前記ろ過用不織布 1 2 当り〇. 1 9〜3 0 9の割合で形成され、 前記油水分 離膜は、 撥水性及び撥油性の双方の機能を有するフッ 素含有官能基成分を含 むシリカゾル加水分解物を有し、 前記フッ素含有官能基成分は、 前記シリカ ゾル加水分解物中、 〇. 〇 1質量%〜 1 〇質量%の割合で含まれ、 前記油水 分離フィルターの通気度が〇. 0 5〇1 1 /〇〇1 2 /秒〜 1 0〇1 1 /〇〇1 2 /秒で あって、 前記フッ素含有官能基成分は、 下記の一般式 (1) 又は式 (2) で 示されるペルフルオロエーテル構造を含むこ とを特徴とする油水分離フィル 夕 _ である。

[0010] [化 1 ] 2 + 1-0- 29-’〇 -  ^ 2 (·- X-丫

[001 1 ] [化 2]

〇卩¾+1-〇 -〇9¾ _ _

( 2 )

[0012] 上記式 (1) 及び式 (2) 中、 、 9及び「は、 それぞれ同一又は互いに \¥0 2020/175310 4 卩(:171? 2020 /006763

異なる 1〜 6の整数であって、 直鎖状又は分岐状であってもよい。 また上記 式 (1) 及び式 (2) 中、 Xは、 炭素数 2〜 1 0の炭化水素基であって、 エ —テル結合、 〇〇一 N H結合、 〇一 0 0— 1\1 1 ~ 1結合及びスルホンアミ ド結合 から選択される 1種以上の結合を含んでいてもよい。 また上記式 (1) 及び 式 (2) 中、 丫は、 シリカゾル加水分解物の主成分である。

[0013] 本発明の第 2の観点は、 第 1の観点に基づく発明であって、 前記シリカゾ ル加水分解物は、 更に炭素数 2〜 7のアルキレン基成分を〇. 5質量%〜 2 〇質量%含む油水分離フィルターである。

[0014] 本発明の第 3の観点は、 第 1又は第 2の観点に基づく発明であって、 前記 ろ過用不織布が単一層により構成されるか、 又は複数層の積層体により構成 される油水分離フィルターである。

[0015] 本発明の第 4の観点は、 第 1ないし第 3の観点のうちいずれかの観点に基 づく発明であって、 前記ろ過用不織布を構成する繊維がポリエチ レンテレフ タレート ( 巳丁) 、 ポリプロピレン ( ) 、 ガラス、 アルミナ、 炭素、 セルロース、 パルプ、 ナイロン及び金属からなる群より選ばれた 1種又は 2 種以上の繊維である油水分離フィルターであ る。

[0016] 本発明の第 5の観点は、 第 4の観点に基づく発明であって、 前記水と油と を含む混合液体が流入する一面に相当するろ 過用不織布を構成する繊維がガ ラス繊維である油水分離フィルターである。

[0017] 本発明の第 6の観点は、 第 1ないし第 5の観点のうちいずれかの観点に基 づく発明であって、 前記混合液体が流出する側のろ過用不織布の 他面に、 前 記ろ過用不織布を支持する補強用不織布が重 ね合わせて設けられ、 前記補強 用不織布の通気度が 前記補強用不織布の 引張強度が 7 0 1\!以上である油水分離フィルターである。

[0018] 本発明の第 7の観点は、 第 6の観点に基づく発明であって、 前記補強用不 織布を構成する繊維がポリエチレンテレフタ レート ( 巳丁) 、 ポリプロピ レン ( ) 、 セルロース、 パルプ、 ナイロン、 竹及び金属からなる群より 選ばれた 1種又は 2種以上の繊維である油水分離フィルターで る。 \¥0 2020/175310 5 卩(:171? 2020 /006763

発明の効果

[0019] 本発明の第 1の観点の油水分離フィルターでは、 繊維表面に油水分離膜が ろ過用不織布 1 2 当り 0 . 1 9〜3 0 9の割合で形成され、 油水分離膜が、 前述した一般式 (1) 又は式 (2) で示される撥水性及び撥油性の双方の機 能を有するフッ素含有官能基成分を含むこと から、 また同時に油水分離フィ ルターの通気度を〇. に規定して ろ過用不織布の気孔を限定していることから 、 油水分離フィルター内に混合 液体が浸入したときに、 混合液体の油粒子が気孔の孔径より大きい場 合には 、 物理的に混合液体の油粒子の通過を阻止する 。 そして混合液体の油粒子が 気孔の孔径より僅かに小さい場合でも、 ろ過用不織布の繊維表面が化学的に 水溶性油の油粒子を弾かせる。

[0020] —方、 ポリテトラフルオロエチレン等に代表される 撥水撥油性を示す材料 は、 水酸基が無いため、 ろ過用不織布に通水性を付与することが困難 である が、 本発明は、 油水分離膜が水酸基を有しているシリカゾル 加水分解物を主 成分としているため、 ろ過用不織布に通水性を付与することができ る。 この 結果、 混合液体が乳化油又は水溶性油であっても、 油水分離フィルターに油 が溜まり、 水は油水分離フィルターを通過して、 水と油に分離することがで きる。 更に本発明の油水分離膜は、 シリカゾル加水分解物を主成分として含 むため、 油水分離膜がろ過用不織布の繊維表面に強固 に密着し耐久性がある

[0021 ] 本発明の第 2の観点の油水分離フィルターでは、 油水分離膜に含まれるフ ッ素含有官能基成分が、 更に炭素数 2〜 7のアルキレン基成分を〇. 5質量 %〜2 0質量%含むため、 繊維との密着性が得られ、 油水分離膜の厚さが均 一になり、 油水分離膜により一層優れた油水分離性能を 付与することができ る。

[0022] 本発明の第 3の観点の油水分離フィルターでは、 ろ過用不織布が単一層に より構成される場合には、 簡単な構成の油水分離フィルターになり、 ろ過用 不織布が複数層の積層体により構成される場 合には、 流入する混合液体の油 \¥0 2020/175310 6 卩(:17 2020 /006763

分の含有割合、 油粒子のサイズ等の性状に応じて各層を構成 することができ る。

[0023] 本発明の第 4の観点の油水分離フィルターでは、 ろ過用不織布を構成する 繊維の材質を、 ポリエチレンテレフタレート ( 巳丁) 、 ポリプロピレン ( ) 、 ガラス、 アルミナ、 炭素、 セルロース、 パルプ、 ナイロン及び金属 の繊維の中から、 流入する混合液体の油分の含有割合、 油粒子のサイズ等の 性状に応じて、 或いは後述する油水分離膜を形成するための 液組成物中のエ ポキシ基含有シランが加水分解してなる炭素 数 2〜 7のアルキレン基成分の 含有量に応じて、 選択することができる。

[0024] 本発明の第 5の観点の油水分離フィルターでは、 水と油とを含む混合液体 が流入する一面に相当するろ過用不織布を構 成する繊維をガラス繊維にする ことにより、 シリカゾル加水分解物を主成分として含む油 水分離膜が、 より 一層強固にガラス繊維に密着し、 ろ過用不織布の繊維から剥離しにくくなる

[0025] 本発明の第 6の観点の油水分離フィルターでは、 前記ろ過用不織布の他面 に、 前記ろ過用不織布を支持する補強用不織布が 重ね合わせて設けられ、 前 記補強用不織布の通気度が 2 0 I 2 /秒以上であって、 前記補強用不 織布の引張強度が 7 0 1\1以上であるため、 油水分離フィルターの物理的強度 を向上することができる。

[0026] 本発明の第 8の観点の油水分離フィルターでは、 前記補強用不織布を構成 する繊維の材質を、 ポリエチレンテレフタレート ( 巳丁) 、 ポリプロピレ ン ( ) 、 セルロース、 パルプ、 ナイロン、 竹及び金属の繊維の中から、 ろ過用不織布の物理的強度に応じて、 選択して油水分離フィルターの強化を 図ることができる。

図面の簡単な説明

[0027] [図 1]本発明実施形態の油水分離フィルターを えた油水分離装置の構成図で ある。

[図 2]本実施形態の単一層のろ過用不織布の断 図である。 \¥0 2020/175310 7 卩(:171? 2020 /006763

[図 3]本実施形態の二層のろ過用不織布の断面 である。

[図 4]本実施形態の単一層のろ過用不織布に補 用不織布が重ね合わされた断 面図である。

[図 5]本実施形態の二層のろ過用不織布に補強 不織布が重ね合わされた断面 図である。

[図 6]本実施形態のひだ織り状態で単一層のろ 用不織布に補強用不織布が重 ね合わされたプリーツ状の油水分離フィルタ ーの斜視図である。

[図 7]実施例及び比較例の各油水分離フィルタ のろ過試験に用いた装置の構 成図である。

[図 8]図 8 ( 3 ) は水と油とを含む混合液体が非水溶性油であ る場合の油粒子 の模式図であり、 図 8 (匕) は水と油とを含む混合液体が水溶性油である 場 合の油粒子の模式図である。

発明を実施するための形態

[0028] 次に本発明を実施するための形態について図 面を参照して説明する。

[0029] 〔油水分離装置〕

図 1 に示すように、 本実施形態の油水分離装置 1 0は、 水と油とを含む混 合液体 1 1が流入する筒状の混合液体流入部 1 2と、 混合液体 1 1の油を水 から分離するシート状の油水分離フィルタ _ 1 3と、 油水分離フィルタ _ 1 3で分離した水 1 4を集める漏斗状の集水部 1 6と、 集水部 1 6から流入す る水 1 4を貯える有底筒状の貯水部 1 7とを備える。 混合液体流入部 1 2の 上方には混合液体の流入管 1 8が設けられ、 貯水部 1 7の底部には排水管 1 9が設けられる。

[0030] 油水分離フィルタ _ 1 3が後述するろ過用不織布のみで構成される 合に は、 図示しないが、 油水分離フィルタ _ 1 3の下面全体には、 混合液体流入 部 1 2内の混合液体の液圧にフィルタ _ 1 3が耐えられるように、 ろ過用不 織布を補強するための金属製の多孔質の支持 板が設けられ、 油水分離フィル 夕 _ 1 3とこの支持板は 混合液体流入部 1 2と集水部 1 6により挟持され る。 油水分離フィルタ _ 1 3がろ過用不織布と補強用不織布の積層体で 成 \¥0 2020/175310 8 卩(:171? 2020 /006763

される場合には、 金属製の多孔質の支持板は不要である。

[0031 ] 〔油水分離フィルター〕

本実施形態の油水分離フィルタ _ 1 3は、 ろ過用不織布とこの不織布の繊 維表面に形成された油水分離膜とを備える。 図 2に示すように、 この油水分 離フィルタ _ 1 3の主たる構成要素であるろ過用不織布 2 0は、 水と油とを 含む混合液体が流入する _ 面 2 0 8と、 この一面 2 0 8に対向する、 ろ過液 が流出する他面 2 0匕を有し、 単一層からなる。 図 3に示すように、 ろ過用 不織布を、 上層のろ過用不織布 3 0と下層のろ過用不織布 4 0の二層の積層 体にして、 油水分離フィルタ _ 2 3を構成してもよい。 この場合、 上層のろ 過用不織布 3 0の上面が水と油とを含む混合液体が流入す 一面 3 0 3 とな り、 下層のろ過用不織布 4 0の下面がこの一面 3 0 3に対向する、 ろ過液が 流出する他面 4 0匕となる。 ろ過用不織布 3 0の下面 3 0匕がろ過用不織布 4 0の上面 4 0 3 に密着する。 なお、 積層体は二層に限らず、 三層、 四層等 の複数層から構成することもできる。

[0032] 図 2の拡大図に示すように、 ろ過用不織布 2 0は多数の繊維 2 0〇が絡み 合って形成され、 繊維と繊維の間には気孔 2 0 が形成される。 気孔 2 0 はろ過用不織布 2 0の一面 2 0 3と他面 2 0匕との間を貫通する。 ろ過用不 織布の繊維 2 0〇の表面には油水分離膜 2 1が形成される。 油水分離膜 2 1 は、 ろ過用不織布の繊維表面に不織布 1 2 当り〇. 1 〜 3 0 9の割合で形 成される。 油水分離膜 2 1は、 前述した一般式 (1) 又は式 (2) で示され る撥水撥油性を有するフッ素含有官能基成分 を含むシリカゾル加水分解物に より形成される。 フッ素含有官能基成分は、 シリカゾル加水分解物中、 〇. 0 1質量%〜 1 〇質量%の割合で含まれる。 繊維表面に油水分離膜 2 1が形 成された油水分離フィルタ _ 1 3の状態で、 ろ過用不織布 2 0は〇. 0 5〇1 の通気度を有するように作製される。 通 気度は」 丨 3—1_ 1 9 1 3 : 2 0 0 0に記載のフラジール形試験機を用いて 測定される。

[0033] 図 4に示すように、 ろ過用不織布 2 0の他面 2 0匕に、 ろ過用不織布 2 0 \¥0 2020/175310 9 卩(:171? 2020 /006763

を支持する補強用不織布 5 0の一面 5 0 3が密着するように補強用不織布 5 0を重ね合わせて設けることにより、 油水分離フィルター 3 3を構成しても よい。

[0034] 図 4に示す油水分離フィルタ _ 3 3では、 ろ過用不織布 2 0の一面 2 0 3 に水と油とを含む混合液体が流入し、 補強用不織布 5 0の他面 5 0匕からろ 過液が流出する。 こうすることにより、 前述した金属製の多孔質の支持板を 設けずに済む。 図 5に示すように、 ろ過用不織布 3 0と下層のろ過用不織布 4 0の二層の積層体を支持するように補強用不 布 5 0を重ねて合せて油水 分離フィルタ _ 4 3を構成することもできる。 この油水分離フィルタ _ 4 3 では、 下層のろ過用不織布 4 0の下面 4 0匕が補強用不織布 5 0の上面 5 0 3に密着し、 ろ過用不織布 3 0の一面 3 0 3に水と油とを含む混合液体が流 入し、 ろ過用不織布 4 0を通って補強用不織布 5 0の他面 5 0匕からろ過液 が流出する。

[0035] 図 6に示すように、 図 4に示したろ過用不織布 2 0と補強用不織布 5 0の 積層体を重ね合わせた状態で、 積層体に山谷を有するようにひだ織りに成形 してプリーツ状の油水分離フィルター3 3に形成してもよい。 こうすること により、 混合液体の流入圧力に杭して物理的強度の高 い油水分離フィルター 3 3を作製することができる。 水と油とを含む混合液体が流入したときに、 このひだ織り状態を保つために、 積層体の山谷に相応した山谷を有する複数 の支持枠 4 6、 4 6の間隔をあけて補強用不織布 5 0側から揷入して油水分 離フィルタ _ 3 3を支持することが好ましい。 なお、 補強用不織布 5 0が補 強する不織布は、 単一層のろ過用不織布 2 0に限らず、 図示しないが、 ろ過 用不織布 3 0及び 4 0からなる積層体でもよく、 また二層の積層体に限らず 、 三層又は四層等の複数層からなる積層体でも よい。

[0036] 油水分離膜がろ過用不織布 1 2 当り 0 . 1 9未満又はフッ素含有官能基成 分が〇. 0 1質量%未満では、 撥水撥油性の効果に乏しく、 油水分離性能が 不十分となり、 ろ過用不織布 1 2 当り 3 0 9を超えると、 通気度が 0 . 0 5 0! I /〇〇! 2 /秒未満となる。 フッ素含有官能基成分が 1 0質量%を超えると \¥0 2020/175310 10 卩(:171? 2020 /006763

、 ろ過用不織布への密着性が悪くなる。 ろ過用不織布 1 2 当り〇. 5 9〜 1 〇 9が好ましい。 またフッ素含有官能基成分はシリカゾル加水 分解物中、 〇 . 1質量%〜 5質量%の範囲で含まれることが好ましい。 通気度が 0 . 0 5 I 2 /秒未満では、 通水性に劣り、 ろ過液を得るのが困難になる。 1 〇 01 丨 秒を超えると、 ろ過用不織布の気孔 2 0 の大きさが混合液 体中の油粒子 2 2よりも遙かに大きくなり、 油粒子 2 2が水とともにろ過用 不織布の気孔を通して油水分離フィルタ _ 1 3から抜け落ち、 水と油とを分 離することができない。 通気度は 0 .

であることが好ましい。

[0037] このような油水分離フィルタ _ 1 3を備えた油水分離装置 1 0の作用につ いて説明する。 図 1 に示すように、 先ず油水分離フィルタ _ 1 3を混合液体 流入部 1 2と集水部 1 6により挟持する。 次いで流入管 1 8から水と油とを 含む混合液体 1 1 を混合液体流入部 1 2に供給する。 この実施形態の混合液 体は水溶性油である。 混合液体流入部 1 2に貯えられた混合液体 1 1は、 油 水分離フィルタ _ 1 3を構成するろ過用不織布 2 0の一面 2 0 3 (図 2) に 接触する。 ここで油水分離フィルター 1 3は所定の通気度を有するため、 ま た油水分離膜 2 1が撥水撥油性を示すため、 水溶性油の水 (図示せず) は油 水分離膜 2 1 に弾かれながらも、 シリカゾル加水分解物の水酸基の存在によ り、 図 2の拡大図に示す繊維 2 0〇と繊維 2 0〇の間に形成された気孔 2 0 を通過して他面 2 0匕に至り、 そこから滴下して集水部 1 6に集められる 。 集められた水 1 4は集水部 1 6から貯水部 1 7に流れ落ちて、 貯水部 1 7 に溜まる。 貯水部 1 7に水 1 4が一定量貯留された時点で、 図示しない排水 バルブを開いて排水管 1 9より油と分離した水 1 4を得る。

[0038] その一方、 図 2の拡大図に示すように、 油粒子 2 2はろ過用不織布 2 0の 繊維表面に形成された油水分離膜 2 1の撥油性により、 また油水分離フィル ターの所定の通気度のため、 気孔 2 0 の孔径より粒径が大きい場合は勿論 のこと、 気孔 2 0 の孔径より粒径が僅かに小さくても、 油水分離フィルタ - 1 3を通過できず、 ろ過用不織布 2 0の繊維 2 0〇と繊維 2 0〇の間に留 \¥0 2020/175310 1 1 卩(:171? 2020 /006763

まる。 ろ過用不織布 2 0に溜まった油は、 定期的に油水分離フィルタ _ 1 3 を油水分離装置 1 〇から取り外して、 回収処理する。

[0039] 〔油水分離フィルターの製造方法〕

〔ろ過用不織布の準備〕

先ず、 0 .

用不織布を準備する。 具体的には、 後述する油水分離膜がろ過用不織布の繊 維表面に形成された油水分離フィルターにな った状態で、 〇. 0 5〇1 丨 /〇 2/秒〜 1 秒の通気度を有するろ過用不織布を準備する 。 油 水分離膜がろ過用不織布 1 2 当り上記範囲にて多目に厚膜で形成され る場合 には、 通気度の大きいろ過用不織布が選定され、 油水分離膜がろ過用不織布 1 2 当り上記範囲にて少な目に薄膜で形成さ れる場合には、 通気度の小さい ろ過用不織布が選定される。

[0040] このろ過用不織布としては、 例えば、 セルロース混合エステル性のメンブ レンフィルター、 ガラス繊維ろ紙、 ポリエチレンテレフタレート繊維とガラ ス繊維を混用した不織布 (安積濾紙社製、 商品名 = 3 5 6) がある。 このよ うにろ過用不織布は、 ポリエチレンテレフタレート ( 巳丁) 、 ポリプロピ レン ( ) 、 ガラス、 アルミナ、 炭素、 セルロース、 パルプ、 ナイロン及 び金属からなる群より選ばれた 1種又は 2種以上の繊維から作られる。 繊維 は、 2以上の繊維を混合した繊維でもよい。 繊維の太さ (繊維径) は、 上記 通気度が得られるように、 〇. 〇 1 ~ 1 〇 の太さが好適である。 不 織布の厚さは、 油水分離フィルターが単一層である場合には 、 〇. 1 〜 複数層の積層体である場合には、 積層体の厚さが〇.

になる厚さである。 本発明の油水分離膜形成材料の主成分がシリ カゾル加 水分解物であるため、 繊維との密着性を得るために、 水酸基をもつ材料が好 ましい。 その中でも、 ガラス、 アルミナ、 セルロースナノ繊維等は、 繊維径 も細いものがあり、 通気度を上記範囲内の低い値にすることがで きる。

[0041 ] 前述したようにろ過用不織布が図 3に示すように複数のろ過用不織布 3 0 、 4 0を積層した積層体である場合、 水と油とを含む混合液体が流入する一 \¥0 2020/175310 12 卩(:171? 2020 /006763

面に相当するろ過用不織布 3 0を構成する繊維をガラス繊維にすることに り、 シリカゾル加水分解物を主成分として含む油 水分離膜が、 より一層強固 にガラス繊維に密着し、 ろ過用不織布の繊維から剥離しにくくなる。

[0042] 〔補強用不織布の準備〕

ろ過用不織布の繊維表面に油水分離膜が形成 される一方、 補強用不織布 5 0には、 その繊維表面に油水分離膜は形成されない。 補強用不織布 5 0は、 その通気度が 以上である。 好ましくは、

/秒以上 1 5 0 I 〇! 2 /秒以下である。 また補強用不織布の引張強度が

7 0 1\1以上である。 好ましくは 1 0 0 1\1以上 1 5 0 1\!以下である。 補強用不 織布の通気度をろ過用不織布より低くするの は、 ろ過速度の低下を防止する ためである。 また引張強度が 7 0 !\1未満では、 水と油とを含む混合液体が流 入したときに、 混合液体の流入に杭せずに、 ろ過用不織布を補強できず、 ろ 過用不織布が変形するおそれがある。

[0043] 補強用不織布 5 0を構成する繊維の材質は、 ポリエチレンテレフタレート ( 巳丁) 、 ポリプロピレン ( ) 、 セルロース、 パルプ、 ナイロン、 竹 及び金属からなる 1種又は 2種以上である。 補強用不織布 5 0を、 ろ過用不 織布の物理的強度に応じて、 こうした材質の繊維の不織布の中から適切な 材 質の繊維を選択することができる。 補強用不織布 5 0を構成する繊維は、 2 以上の繊維を混合した繊維でもよい。 補強用不織布 5 0の厚さは、 0 . 2 111 ~ 1 01 111であることが好ましく、 〇. 〜〇. 8 111 111であることが更 に好ましい。 なお、 ろ過用不織布の補強材として不織布を選定す るのは、 補 強材として金網等の網状体、 多孔質の金属板、 目皿等を選定した場合、 網目 や孔が大きいときには、 これらの補強材は、 水と油とを含む混合液体が流入 したときに、 ろ過用不織布が網目や孔に入り込んで、 ろ過用不織布を損傷さ せるおそれがある。 特にろ過するために上記混合液体に圧力が加 わった場合 その損傷が顕著になり、 油漏れのおそれがある。 また網目や孔が小さいとき には、 上記混合溶液をろ過するときの抵抗が大きく なる不具合がある。

[0044] 〔ろ過用不織布の繊維表面への油水分離膜の 形成方法〕 \¥0 2020/175310 13 卩(:171? 2020 /006763

本実施の形態のろ過用不織布の繊維表面に 油水分離膜を形成するには、 後 述する油水分離膜形成用液組成物を、 後述する沸点が 1 2 0 ° ◦未満の炭素数 1〜 4の範囲にあるアルコールで、 液組成物に対する質量比 (液組成物: ア ルコール) が 1 : 1〜 5 0の割合になるように希釈した液を調製し、 この希 釈液にろ過用不織布をディッビングして希釈 液から引上げ、 大気中、 室温で ろ過用不織布を水平な金網等の上に拡げて _ 定の液分量になるまで脱液する 。 別法として、 引き上げた不織布をマングルロール (絞り機) に通して脱液 する。 脱液したろ過用不織布は、 大気中、 2 5〜 1 4 0 ° 〇の温度で〇. 5時 間〜 2 4時間乾燥する。 これにより、 図 2の拡大図に示すように、 ろ過用不 織布 2 0を構成している繊維 2 0〇の表面に油水分離膜 2 1が形成される。 油水分離膜は、 ろ過用不織布 1 2 当り〇. 1 9〜 3 0 9の範囲内で、 脱液量 が少ない場合には、 厚膜にろ過用不織布の繊維表面に形成され、 脱液量が多 い場合には、 薄膜にろ過用不織布の繊維表面に形成される 。

[0045] 〔ろ過用不織布と補強用不織布との重ね合わ せ〕

脱液後、 乾燥したろ過用不織布は、 図 4及び図 5に示すように、 補強用不 織布 5 0との重ね合わせて油水分離フィルタ _ 3 3及び 4 3となる。 本実施 形態の補強用不織布で補強された油水分離フ ィルターの厚さは、 特に限定さ れないが、 〇. 2 の範囲にあることが好ましい。 また重ね合わ せは、 特別の接着剤を用いずに、 ろ過用不織布と補強用不織布が密着するよ うに互いに接触させて行うことが好ましい。 また重ね合わせた状態での油水 分離フィルターの通気度は〇.

範囲にあることが好ましい。

[0046] 〔油水分離膜形成用液組成物の製造方法〕

油水分離膜を形成するための液組成物は次の 方法により製造される。

〔混合液の調製〕

先ず、 ケイ素アルコキシドとしてのテトラメ トキシシラン又はテトラエト キシシランと、 アルキレン基成分となるエポキシ基含有シラ ンと、 フッ素含 有官能基成分となるフッ素含有シラン、 沸点が 1 2 0 ° 〇未満の炭素数 1〜 4 \¥0 2020/175310 14 卩(:171? 2020 /006763

の範囲にあるアルコールと、 水とを混合して混合液を調製する。 このケイ素 アルコキシドとしては、 具体的には、 テトラメ トキシシラン、 そのオリゴマ —又はテトラェトキシシラン、 そのオリゴマーが挙げられる。 例えば、 耐久 性の高い油水分離膜を得る目的には、 テトラメ トキシシランを用いることが 好ましく、 一方、 加水分解時に発生するメタノールを避ける場 合は、 テトラ ェトキシシランを用いることが好ましい。

[0047] 上記アルキレン基成分となるェポキシ基含有 シランとしては、 具体的には 、 2—(3 , 4—ェポキシシクロヘキシル)ェチルトリメ トキシシラン、 3 - グリシドキシプロピルメチルジメ トキシシラン、 3—グリシドキシプロピル メチルジェトキシシラン、 3—グリシドキシプロピルトリメ トキシシラン、

3 -グリシドキシプロピルトリェトキシシラン は多官能ェポキシシランが 挙げられる。 アルキレン基成分はケイ素アルコキシドとア ルキレン基成分の 合計質量に対して 1質量%〜 4 0質量%、 好ましくは 2 . 5質量%〜 2 0質 量%含まれる。 アルキレン基成分が下限値の 1質量%未満では、 水酸基を含 まない不織布の繊維に膜を形成した場合に、 繊維への密着性が不十分になる 。 また上限値の 4 0質量%を超えると、 形成した膜の耐久性が低くなる。 ア ルキレン基成分を上記 1〜 4 0質量%の範囲になるようにェポキシ基含有 ランを含むと、 ェポキシ基も加水分解重合過程において開環 して重合に寄与 し、 これにより乾燥過程にレべリング性が改善し 膜厚さが均一になる。 なお 、 ろ過用不織布の繊維がガラス繊維等の親水基 を含む場合には、 アルキレン 基成分の含有量は極少量であるか、 若しくはゼロでもよい。 一方、 ろ過用不 織布の繊維が親水基を含まない場合には、 このアルキレン基成分をシリカゾ ル加水分解物 (口) 中、 〇. 5〜 2 0質量%含むことが好ましい。

[0048] 炭素数 1〜 4の範囲にあるアルコールは、 この範囲にある 1種又は 2種以 上のアルコールが挙げられる。 このアルコールとしては、 例えば、 メタノー ル (沸点 6 4 . 7 °〇 、 ェタノール (沸点約 7 8 . 3 °〇 、 プロパノール ( n _プロパノール (沸点 9 7 _ 9 8 °〇 、 イソプロパノール (沸点 8 2 . 4 °〇 ) が挙げられる。 特にメタノール又はェタノールが好ましい。 これらの \¥0 2020/175310 15 卩(:171? 2020 /006763

アルコールは、 ケイ素アルコキドとの混合がしやすいためで ある。 上記水と しては、 不純物の混入防止のため、 イオン交換水や純水等を使用するのが望 ましい。 ケイ素アルコキシド及びエポキシ基含有シラ ンに炭素数 1〜 4の範 囲にあるアルコールと水を添加して、 好ましくは 1 0 ° 〇~ 3 0 ° 〇の温度で 5 分〜 2 0分間撹拌することにより混合液を調製する

[0049] 〔加水分解物 (シリカゾル加水分解物) の調製〕

上記調製された混合液と有機酸、 無機酸又はチタン化合物からなる触媒と を混合する。 このとき液温を好ましくは 3 0 ° 〇〜8 0 ° 〇の温度に保持して好 ましくは 1〜 2 4時間撹拌する。 これにより、 ケイ素アルコキシドとアルキ レン基成分となるエポキシ基含有シランとフ ッ素含有官能基成分となるフッ 素含有シランの加水分解物 (以下、 シリカゾル加水分解物ということもある 。 ) が調製される。 加水分解物は、 ケイ素アルコキシドを 2〜 5 0質量%、 エポキシ基含有シランを最大 3 0質量%まで、 フッ素含有官能基成分となる フッ素含有シランを〇. 〇〇 5質量%〜 3質量%、 炭素数 1〜 4の範囲にあ るアルコールを 2 0質量%〜 9 8質量%、 水を〇. 1質量%〜 4 0質量%、 有機酸、 無機酸又はチタン化合物を触媒として〇. 0 1質量%〜 5質量%の 割合で混合してケイ素アルコキシド、 エポキシ基含有シラン及びフッ素含有 官能基成分となるフッ素含有シランの加水分 解反応を進行させることで得ら れる。 フッ素含有官能基成分となるフッ素含有シラ ンが下限値の〇. 0 0 5 質量%未満では、 形成した膜に撥水撥油性が生じにくく、 上限値の 3質量% を超えると、 ろ過用不織布の繊維表面に密着しにくい。

[0050] 炭素数 1〜 4の範囲にあるアルコールの割合を上記範囲 限定したのは、 アルコールの割合が下限値未満では、 ケイ素アルコキシドが、 溶液中に溶解 せず分離してしまうこと、 加水分解反応中に反応液がゲル化しやすく、 一方 、 上限値を超えると、 加水分解に必要な水、 触媒量が相対的に少なくなるた めに、 加水分解の反応性が低下して、 重合が進まず、 膜の密着性が低下する ためである。 水の割合を上記範囲に限定したのは、 下限値未満では加水分解 速度が遅くなるために、 重合が進まず、 塗布膜の密着性が不十分になり、 一 \¥0 2020/175310 16 卩(:171? 2020 /006763

方、 上限値を超えると加水分解反応中に反応液が ゲル化し、 水が多過ぎるた めケイ素アルコキシド化合物がアルコール水 溶液に溶解せず、 分離する不具 合を生じるからである。

[0051 ] 加水分解物中の 3 I 〇 2 濃度 (3 I 〇 2 分) は 1質量%〜 4 0質量%であるも のが好ましい。 加水分解物の 3 丨 〇 2 濃度が下限値未満では、 重合が不十分で あり、 膜の密着性の低下やクラックの発生が起こり やすく、 上限値を超える と、 相対的に水の割合が高くなりケイ素アルコキ シドが溶解せず、 反応液が ゲル化する不具合を生じる。

[0052] 有機酸、 無機酸又はチタン化合物は加水分解反応を促 進させるための触媒 として機能する。 有機酸としてはギ酸、 シュウ酸が例示され、 無機酸として は塩酸、 硝酸、 リン酸が例示され、 チタン化合物としてはテトラプロポキシ チタン、 テトラブトキシチタン、 テトライソプロポキシチタン、 乳酸チタン 等が例示される。 触媒は上記のものに限定されない。 上記触媒の割合を上記 範囲に限定したのは、 下限値未満では反応性に乏しく重合が不十分 になるた め、 膜が形成されず、 一方、 上限値を超えても反応性に影響はないが、 残留 する酸による不織布の繊維の腐食等の不具合 を生じる。

[0053] フッ素含有官能基成分となるフッ素含有シラ ンは、 下記一般式 (3) 及び 式 (4) で示される。 上記式 (3) 及び式 (4) 中のペルフルオロエーテル 基としては、 より具体的には、 下記式 (5) 〜式 (1 3) で示されるベルフ ルオロエーテル構造を挙げることができる。

[0054] [化 3]

( 3 )

[0055] \¥02020/175310 17 卩(:17 2020 /006763

[化 4]

[0056] [化 5]

〇2 — 0—〇ゥ 4 -〇 -〇2 ^ -

(5)

[0057] [化 6]

¾ 5 - 0 -。36-0-〇 2 4 -

(6)

[0058] [化 7]

5 トア _ ◦'し 3 6_リー^ 2* ~ -

(7)

[0059] [化 8]

〇49—〇-〇3^6~〇 -¾^ 4 ~

(8)

[0060] [化 9]

〇3 ァ— 0— 0 ? -〇— ¾ -

(9)

[0061] [化 10]

〇2 一〇-〇2 4 _

(1 0) \¥02020/175310 18 2020 /006763

[0062] [化 11]

。2 5 _ 〇_¾ 6_

(1 1)

[0063] [化 12]

〇3「7 - 0 _¾ 6 -'

(1 2)

[0064] [化 13] し < 31~7 _〇—し 4 8_

(1 3)

[0065] また、 上記式 (3) 及び式 (4) 中の Xとしては、 下記式 (1 4) 〜式 (

1 8) で示される構造を挙げることができる。 なお、 下記式 (1 4) はエー テル結合、 下記式 (1 5) はエステル結合、 下記式 (1 6) はアミ ド結合、 下記式 (1 7) はウレタン結合、 下記式 (1 8) はスルホンアミ ド結合を含 む例を示している。

[0066] [化 14]

(1 4)

[0067] [化 15]

2 丨丨 3

— R 〇- C ~~ R—

(1 5)

[0068] [化 16]

( 1 6) \¥0 2020/175310 19 2020 /006763

[0069] [化 17]

( 1 7 )

[0070] [化 18]

(1 8)

[0071 ] ここで、 上記式 (1 4) 〜式 (1 8) 中、 V及び は炭素数が 0から 1 0 の炭化水素基、 は水素原子又は炭素数 1から 6の炭化水素基である。 炭化水素基の例とは、 メチレン基、 エチレン基等のアルキレン基が挙げられ 、 の炭化水素基の例とは、 メチル基、 エチル基等のアルキル基の他、 フエ ニル基等も挙げられる。

[0072] また、 上記式 (3) 及び式 (4) 中、 は、 メチル基、 エチル基、 プロピ ル基等が挙げられる。

[0073] また、 上記式 (3) 及び式 (4) 中、 は、 加水分解されて 3 I - 0 - 3

I結合を形成可能な加水分解性基であれば特 限定されるものではない。 こ のような加水分解性基としては、 具体的には、 例えば、 メ トキシ基、 エトキ シ基、 プロポキシ基、 ブトキシ基などのアルコキシ基、 フエノキシ基、 ナフ トキシ基などのアリールオキシ基、 ベンジルオキシ基、 フエネチルオキシ基 などのアラルキルオキシ基、 アセトキシ基、 プロピオニルオキシ基、 ブチリ ルオキシ基、 バレリルオキシ基、 ビバロイルオキシ基、 ベンゾイルオキシ基 などのアシルオキシ基等が挙げられる。 これらの中でも、 メ トキシ基、 エト キシ基を適用することが好ましい。

[0074] ここで、 上記式 (3) 及び式 (4) で表されるペルフルオロエーテル構造 を有するフッ素含有官能基成分となるフッ素 含有シランの具体例としては、 例えば、 下記式 (1 9) 〜式 (2 7) で表される構造が挙げられる。 なお、 \¥02020/175310 20 卩(:17 2020 /006763 下記式 (1 9) 〜 (27) 中、 はメチル基又はェチル基である。

[0075] [化 19]

C3F 7 -0-C3F 6 -0-C2F4-C-NH-C3H 6 -Si-(0R)3

0

(1 9)

[0076] [化 20]

(20)

[0077] [化 21]

(2 1)

[0078] [化 22]

(22)

[0079] [化 23]

(23)

[0080] [化 24]

[0081] [化 25] \¥0 2020/175310 21 卩(:171? 2020 /006763

( 2 5 )

[0082] [化 26]

( 2 6 )

[0083] [化 27]

(2 7)

[0084] 上述したように、 本実施の形態の油水分離膜形成用液組成物に 含まれるフ ッ素含有官能基成分は、 分子内にベルフルオロエーテル基とアルコキ シシリ ル基とをそれぞれ 1以上有する構造となっていて、 酸素原子に炭素数が 6以 下の短鎖長のベルフルオロアルキル基とベル フルオロアルキレン基が複数結 合したベルフルオロエーテル基を有しており 、 分子内のフッ素含有率が高い ため、 形成した膜に優れた撥水撥油性を付与するこ とができる。

[0085] 〔油水分離膜形成用液組成物〕

本実施の形態の油水分離膜形成用液組成物は 、 上記製造方法で製造され、 前述したフッ素含有官能基成分を含むシリカ ゾル加水分解物と、 溶媒とを含 む。 このフッ素含有官能基成分は、 上記の一般式 (1) 及び式 (2) で示さ れるペルフルオロエーテル構造を有し、 シリカゾル加水分解物中、 0 . 0 1 質量%〜 1 〇質量%含まれる。

[0086] 上記溶媒は、 水と炭素数 1〜 4のアルコールとの混合溶媒であるか、 或い は水と炭素数 1〜 4のアルコールと上記アルコール以外の有機 媒との混合 溶媒である。 ペルフルオロエーテル構造の具体例としては 、 上述した式 (5 ) 〜式 (2 7) で示される構造を挙げることができる。

[0087] 本実施の形態の油水分離膜形成用液組成物が シリカゾル加水分解物を主成 分として含むため、 膜のろ過用不織布の繊維への密着性に優れ、 剥離しにく い高い強度の油水分離膜が得られる。 またシリカゾル加水分解物が上記一般 \¥0 2020/175310 22 卩(:171? 2020 /006763

式 (1) 又は (2) で示されるベルフルオロエーテル構造のフッ 素含有官能 基成分を含むため、 撥水並びに撥油の効果がある。 フッ素含有官能基成分の 含有割合が 0 . 0 1質量%未満では形成した膜に撥水撥油性を 与できず、

1 〇質量%を超えると膜の弾き等が発生し成膜 性に劣る。 好ましいフッ素含 有官能基成分の含有割合は〇. 1質量%〜 5質量%である。

実施例

[0088] 次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく 説明する。 初めに、 ろ過用不 織布のみからなる油水分離フィルターに関す る実施例 1〜 6及び比較例 1〜 6を説明し、 次に実施例 1のろ過用不織布に補強用不織布を重ね合わ た油 水分離フィルターに関する試験例 1〜 3及び比較試験例 1〜 3を説明する。

[0089] <実施例 1>

ケイ素アルコキシドとしてテトラメ トキシシラン (丁1\/1〇3) の 3〜 5量 体 (三菱化学社製、 商品名 リヶート !\/! 3 5 1) 8 . 5 2 9と、 ァ ルキレン基成分となるエポキシ基含有シラン として 3 -グリシドキシプロピ ルトリメ トキシシラン (〇 丁1\/1 3 :信越化学工業社製、 商品名 : <巳1\/1 - 4 0 3) 〇. 4 8 9と、 フッ素含有官能基成分として式 (1 9) で表わされ るフッ素含有シラン エチル基) 〇. 2 4 9と、 有機溶媒としてエタノ —ル (沸点 7 8 . 3 °〇 1 7 . 3 4 9とを混合し、 更にイオン交換水 3 . 3 7 9を添加して、 セパラブルフラスコ内で 2 5 °〇の温度で 5分間撹拌 することにより混合液を調製した。 またこの混合液に、 触媒として濃度 3 5 質量%の塩酸〇. 0 5 9を添加し、 4 0 °〇で 2時間撹拌した。 これにより、 シリカゾル加水分解物を含む油水分離膜形成 用液組成物を調製した。 この調 製内容を表 1 に示す。

[0090] \¥02020/175310 23 卩(:171? 2020 /006763

[表 1]

[0091] 得られた油水分離膜形成用液組成物のシリカ ゾル加水分解物には、 フッ素 含有官能基成分が 4. 5質量%と、 炭素数 7のアルキレン基成分が 7. 8質 量%含まれていた。 次に油水分離膜形成用液組成物のシリカゾル 加水分解物 1. 〇 9に、 工業アルコール (日本アルコール産業社製、 1、 29.

〇 9を添加混合して、 液組成物の希釈液を調製した。 この希釈液に、 油水分 離フィルターの基材として、 2. 5 2 /秒の通気度を有する二層の ろ過用不織布を 30秒間ディッビングした。 二層のろ過用不織布は、 上層が ガラス繊維からなるろ過用不織布と下層が 巳丁繊維からなるろ過用不織布 の積層体であった。 希釈液から二層のろ過用不織布を引上げ、 水平の金網の 上に拡げ、 室温で 30分間放置して、 脱液した。 その後 1 20 ° 〇に維持され た乾燥機に二層のろ過用不織布を 30分間入れて乾燥し、 油水分離フィルタ \¥0 2020/175310 24 卩(:171? 2020 /006763

—を得た。 この油水分離フィルターの通気度は 1 . 2〇1 丨 /〇〇1 2 /秒であつ た。 二層のろ過用不織布のディッビング前の質量 と乾燥後の質量の差から、 ろ過用不織布の繊維表面に形成された油水分 離膜の質量として換算した。 こ の結果、 油水分離膜はろ過用不織布 1 2 当り 4 . 0 9と算出された。 以上の 結果を表 2に示す。

[0092] [表 2]

[0093] <実施例 2〜 6、 比較例 2〜 4 >

実施例 2〜 6及び比較例 2〜 4について、 表 2に示すように、 油水分離フ ィルターのろ過用不織布の種類及びフッ素系 化合物の種類を選定し、 実施例 1 に示される丁1\/1〇3の添加量、 ◦ 丁1\/1 3の添加量及びフッ素含有シラン の添加量をそれぞれ変更した。 それ以外は実施例 1 と同様にして、 実施例 2 \¥02020/175310 25 卩(:171? 2020 /006763

〜 6、 比較例 2〜 4の油水分離膜形成用液組成物を得た。 これらの液組成物 に実施例 1 と同一の工業アルコールを添加し、 実施例 1 と同様にして、 ろ過 用不織布ディッビング用の希釈液を調製した 。 これらの希釈液に表 2に示す ろ過用不織布を実施例 1 と同様にディッビングし、 乾燥して、 表 2に示す特 性を有する油水分離フィルターを得た。 なお、 表 2において、 フッ素系化合 物として式 (1 9) 〜式 (23) で表わされるフッ素含有シランの式中の はすべてエチル基である。

[0094] なお、 実施例 5, 6及び比較例 4に用いたろ過用不織布は、 実施例 1のろ 過用不織布と異なり、 巳丁繊維とガラス繊維の混合繊維 (質量比で 巳丁 :ガラス =80 : 20) からなり、 それらの通気度 (希釈液ディッビング前 ) は、 それぞれ 1 2.

. 〇 I /〇 2 /秒であった。 また希釈液ディッビング後の油水分離フィル 夕一としての通気度はそれぞれ 9. 6〇1 丨 /〇〇1 2 /秒、 7.

秒及び 1 2. 0〇1 丨 /〇〇1 2 /秒であった。 また比較例 1〜 3に用いたろ過用 不織布は、 実施例 1 と同一に構成されたガラス繊維のろ過用不織 布と 巳丁 繊維のろ過用不織布の二層からなり、 その通気度 (希釈液ディッビング前) は、 それぞれ 2. 5〇1 丨 /〇〇1 2 /秒、 2. 秒及び 1.

2/秒であった。 また希釈液ディッビング後の油水分離フィル ターとし ての通気度は、 それぞれ 2. 3〇1 丨 /〇〇^/秒、 〇. 02〇1 丨 /〇〇^/秒及 び〇. 03〇! 丨 /〇〇1 2 /秒であった。

[0095] <比較例 1 >

比較例 1では、 実施例 1 と同一のろ過用不織布を用いたが、 シリカゾル加 水分解物中にフッ素含有官能基成分となるフ ッ素含有シランを含まなかった

[0096] <比較例 5>

比較例 5では、 油水分離フィルターの基材として、 市販されている目開き 1 のポリテトラフルオロエチレン ( 丁 巳) 製のメンブランフイルタ —を未処理のまま用いて、 これを油水分離フィルターとした。 実施例 1のよ \¥0 2020/175310 26 卩(:171? 2020 /006763

うな油水分離膜形成用液組成物の希釈液に はディッビングしなかった。

[0097] <比較例 6>

フッ素系化合物として、 特許文献 1の撥油性付与基及び親水性付与基 (撥 油親水性) を有する合成例 1で示される下記式 (2 8) で示されるフッ素系 化合物を準備した。 このフッ素系化合物〇. 5 9を実施例 1 と同一の工業ア ルコール 9 9 . 5 9に溶解し、 希釈液 (濃度〇. 5質量%) を調製した。

[0098] [化 28]

(2 8)

[0099] この希釈液に、 1 . 1 I /〇 2 /秒の通気度を有する実施例 1 と同一に 構成された二層のろ過用不織布を 3 0秒間ディッビングした。 それ以外は実 施例 1 と同様にして、 油水分離フィルターを得た。 この油水分離フィルター の通気度は 1 . 油水分離膜はろ過用不織布 1 〇! 2 当 り 1 . 0 9と算出された。

[0100] <比較試験その 1及び評価>

実施例 1〜 6及び比較例 1〜 6で得られた 1 2種類のろ過用不織布のみか らなる油水分離フィルターを、 それぞれ別々に、 図 7に示す油水分離試験装 置 1 0 0に取り付けた。 この試験装置 1 0 0では、 図 1 に示した油水分離装 置 1 0に対応する要素の各符号に 1 0 0を加えて、 試験装置 1 0 0の各符号 を示している。 この油水分離試験装置 1 0 0では、 乳化油としては、 日立産 機製スク 〇 1 !_ 巳乂丁〇. 2 5 9と イオン交換水 5リッ トルとを 9 0 0 0 「 で 3分間混合し、 白濁した油濃 度が 5 0 である乳化油 (水と油とを含む混合液体) を用いた。 この乳 化油を混合液体流入部 1 1 2に供給し、 油水分離フィルタ _ 1 1 3でろ過し た。 油水分離フィルタ _ 1 1 3を通過して貯水部 (枝付きフラスコ) 1 1 7 に貯えられたろ過液 1 1 4を採取し、 そのろ過液の濁度と、 ろ過液の油濃度 を次の方法により評価した。 その結果を表 3に示す。 なお、 油水分離フィル 夕一 1 1 3は金属製の目皿 1 2 0で支持した。 また乳化油をろ過するに際し て、 フラスコ 1 1 7の枝管 1 2 1 に接続された図示しない吸引ポンプにより 、 実施例 1〜 6及び比較例 1〜 6で得られた 1 2種類の油水分離フィルター を所定の真空度 (_ 1 〇 1< 3 ) に調節しながら、 フラスコ内を減圧して、 油水分離フィルタ _ 1 1 3を吸引ろ過した。 符号 1 2 2は真空計である。

[0101] (3) ろ過液の濁度

ろ過液の濁度は、 ラコムテスター濁度計丁 1\1 - 1 0 0 (アズワン社製) を 用いて測定した。 濁度は小さい方が油水分離性が良好であり、 1 . 5以下が 合格水準である。

[0102] (« ろ過液の油濃度

ろ過液の油濃度は、 油分測定計 (堀場製作所社製、 0〇!\/1 _ 5 5 5) を 用いてろ過液の残留油分を測定し、 ろ過液の油濃度とした。 この油分測定計 の検出限界は油種により異なるが、 用いた乳化油では 1 である。

[0103]

\¥0 2020/175310 28 卩(:171? 2020 /006763

[表 3]

[0104] 表 3から明らかなように、 比較例 1では、 シリカゾル加水分解物中にフッ 素含有官能基成分となるフッ素含有シランを 含まなかったため、 油水分離フ ィルターを通過したろ過液の濁度は 3 . 0であり、 またろ過液には油が 1 5 . 0 111混入していた。

[0105] 比較例 2では、 シリカゾル加水分解物中のフッ素含有官能基 成分の含有量 が 1 1 . 6質量%と多過ぎたため、 油水分離フィルターを混合液体が通過せ ず、 ろ過できなかった。

[0106] 比較例 3では、 不織布 1 当りの油水分離膜の質量が 3 3 . 0質量%と多 過ぎたため、 油水分離フィルターの通気度が〇. 0 3 I 2 /秒と低過 ぎたため、 油水分離フィルターを混合液体が通過せず、 ろ過できなかった。

[0107] 比較例 4では、 通気度が 1 2 . 0 2 /秒である油水分離フィルタ 一を用いたが、 不織布 1 2 当りの油水分離膜の質量が 0 . 0 5 9と少な過ぎ たため、 油水分離フィルターの撥油効果が不足し、 ろ過液の濁度は 2 . 0で \¥02020/175310 29 卩(:171? 2020 /006763

あり、 またろ過液に油が 8. 0 111混入し、 油の除去が十分でなかった。

[0108] 比較例 5では、 油水分離フィルターとして、 丁 巳製のメンプレンフィ ルターを用いたが、 フィルターを混合液体が通過せず、 ろ過できなかった。

[0109] 比較例 6では、 油水分離フィルターの油水分離膜に親水撥油 性が付与され ており、 混合液体が乳化油であったため、 ろ過液の濁度は 3. 0であり、 ま たろ過液には油が 1 3. 0 111混入し、 油の除去が十分でなかった。

[0110] それに対して、 実施例 1〜 6の油水分離フィルターは、 油水分離膜が不織 布 1 2 当り〇. 1 59〜 28 9 の割合で形成され、 撥水性及び撥油性の双方 の機能を有するフッ素含有官能基成分がシリ カゾル加水分解物中、 0. 02 質量%〜 9. 8質量%の割合で含まれ、 油水分離フィルターの通気度が〇.

範囲を満たしていることから、 評価試験を行ったところ、 ろ過液の濁度は 1 . 5以下で合格であり、 ろ過液の油濃度は、 ノルマルヘキサン抽出物質含有 許容量 (鉱油類含有量) の 5 を満たしており、 実施例 1〜 6の油水分 離フィルターは油水分離性能があることを確 認できた。

[0111] 次に、 実施例 1のろ過用不織布に補強用不織布を重ね合わ た油水分離フ ィルターに関する試験例 1〜 3及び比較試験例 1〜 3を説明する。 ここで用 いた不織布の引張強度は、 一般不織布試験方法」 丨 3 !_ 1 9 1 3 201 0 に準じて、 東洋精機製作所製ストログラフ 〇により測定した。

[0112] <試験例 1 >

試験例 1では、 ろ過用不織布として実施例 1のガラス繊維層 (上層) と 巳丁繊維層 (下層) からなる二層の積層体を用いた。 このろ過用不織布は、 ディッビング液を脱液し乾燥した後の厚さが 〇. 3 であって、 通気度は 1. であった。 このろ過用不織布の引張強度は 701\1であ った。 また補強用不織布として 巳丁繊維層 (上層) とガラス繊維層 (下層 ) からなる二層の積層体を用いた。 この補強用不織布は、 厚さが〇. 4 であって、 通気度は 40 2 /秒であった。 この補強用不織布の引張 強度は 1 30 !\1であった。 以上の結果を表 4に示す。 \¥0 2020/175310 30 卩(:171? 2020 /006763

[01 13] [表 4]

[01 14] <試験例 2、 3及び比較試験例·!〜 3 >

試験例 2、 3及び比較試験例 1〜 3の油水分離フィルターについて、 ろ過 用不織布は、 試験例 1 と同一のものを用いた。 試験例 2、 3及び比較試験例 2 , 3の油水分離フィルターについて、 補強用不織布には、 その種類、 厚さ 、 通気度及び引張強度を表 4に示す不織布を用いた。 比較試験例 1では、 補 強用不織布を用いなかった。

[01 15] <比較試験その 2及び評価 >

試験例 1〜 3及び比較試験例 1〜 3で得られた 6種類の油水分離フィルタ 一を、 それぞれ別々に、 比較試験その 1 と同様に比較試験その 2を行った。 比較試験その 2では、 図 7に示す油水分離試験装置 1 0 0から目皿 1 2 0を 取り外した。 そして吸引ポンプにより、

なる真空度で比較試験その 1 と同一の水と油を含む混合液体を吸引ろ過し た 。 比較試験その 1 と同量の混合液体の油水分離フィルターを通 過する時間も 測定した。 その結果を表 5に示す。

[01 16] \¥0 2020/175310 31 卩(:171? 2020 /006763

[表 5]

[01 17] 表 5から明らかなように、 比較試験例 1では、 補強用不織布を用いなかっ たため、 油水分離試験装置において、 _ 1 0 3の真空度でろ過吸引した ときには、 ろ過液の油濃度が 1 未満であり、 またろ過液の濁度は〇.

5と低くかったが、 _ 2 0 1< 3 の真空度でろ過吸引したときに、 ろ過液の 油濃度が 2 2 〇1であり、 またろ過液の濁度は 5 0と高く、 油漏れが見ら れた。 ろ過用不織布が破損したと考えられた。

[01 18] 比較試験例 2では、 補強用不織布の通気度が 1 〇〇 I /〇 2 /秒及び引 張強度が 5 0 1\!であったため、 油水分離試験装置において、 _ 1 0 1< 3の 真空度でろ過吸引したときには、 ろ過液の油濃度が 1 未満であり、 ま たろ過液の濁度は〇. 6と低く問題はなかったが、 _ 2 0 1< 3の真空度で ろ過吸引したときに、 ろ過液の油濃度が 5 であり、 またろ過液の濁度 は 1 0と高く、 油漏れが見られた。 引張強度が不足し、 ろ過用不織布が破損 したと考えられた。

[01 19] 比較試験例 3では、 補強用不織布の通気度が

度が 1 7 0 1\1であったため、 油水分離試験装置において、 一 1 0 1< 3の真 空度でろ過吸引したときには、 ろ過液の油濃度が 1 未満であり、 また ろ過液の濁度は〇. 6と低くかったが、 ろ過液の通過時間が 3 5 0秒と長過 ぎたため、 不合格とし、 _ 2 0 !< 3の真空度での油水分離試験は実施しな \¥0 2020/175310 32 卩(:171? 2020 /006763

かった。

[0120] それに対して、 試験例 1〜 3の油水分離フィルターは、 実施例 1のろ過用 不織布を用い、 補強用不織布の通気度が 2〇 丨 /〇〇^/秒〜8 0 I /〇 2/秒及び引張強度が 1 0 0 1\1 ~ 1 5 0 1\1であった。 これらの油水分離フィ ルターは、 第 6の観点の発明の範囲を満たしていることか 、 評価試験を行 ったところ、 ろ過液の濁度は 1 . 5以下で合格であり、 ろ過液の油濃度は、 ノルマルヘキサン抽出物質含有許容量 (鉱油類含有量) の 5 を満たし ており、 物理的強度が向上して油水分離性能があるこ とを確認できた。

産業上の利用可能性

[0121 ] 本発明の油水分離フィルターは、 油がエマルジヨン化した乳化油又は水溶 性油から、 油を分離して水を回収する必要のある分野に 用いられる。