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Title:
ORGANIC SWITCHING ELEMENT AND METHOD FOR PRODUCTION THEREOF
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/031507
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] To provide a switching element comprising two electrodes and an organic bistable material sandwiched between the electrodes, which is expected to be applied to an organic memory element. [MEANS FOR SOLVING PROBLEMS] Disclosed is an organic switching element which comprises two electrodes and an organic thin film containing a metal microparticle and sandwiched between the electrodes, and which exhibits such a current bistability that the organic switching element has two stable resistivity values against a voltage applied, wherein the metal microparticle is dispersed in the organic thin film with a metal-microparticle-dispersing agent comprising a polymer having a dithiocarbamate group and having a weight average molecular weight of 500 to 5000000.

Inventors:
FUJITA KATSUHIKO (JP)
ICHIKAWA HISASHI (JP)
YASUI KEI (JP)
OZAWA MASAAKI (JP)
ODOI KEISUKE (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/065699
Publication Date:
March 12, 2009
Filing Date:
September 01, 2008
Export Citation:
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Assignee:
UNIV KYUSHU (JP)
NISSAN CHEMICAL IND LTD (JP)
FUJITA KATSUHIKO (JP)
ICHIKAWA HISASHI (JP)
YASUI KEI (JP)
OZAWA MASAAKI (JP)
ODOI KEISUKE (JP)
International Classes:
H01L51/30; H01L27/28; H01L51/05
Foreign References:
JP2006245549A2006-09-14
JP2004513513A2004-04-30
Attorney, Agent or Firm:
HANABUSA, Tsuneo et al. (Shin-Ochanomizu Urban Trinity2, Kandasurugadai 3-chom, Chiyoda-ku Tokyo 62, JP)
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Claims:
金属微粒子を含有する有機薄膜を2つの電極で挟んだ構造を有し、印加される電圧に対して2種類の安定な抵抗値を持つ電流双安定性を示すスイッチング素子において、前記金属微粒子が、ジチオカルバメート基を含有し重量平均分子量が500~5000000である高分子からなる金属微粒子分散剤によって前記有機薄膜中に分散されていることを特徴とするスイッチング素子。
前記金属微粒子が、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、タリウム及びビスマスよりなる群より選択される少なくとも1種である請求項1に記載のスイッチング素子。
前記金属微粒子が、金、銀、白金、銅、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム及びイリジウムよりなる群より選択される少なくとも1種である請求項2に記載のスイッチング素子。
前記金属微粒子の金属種が金、銀、白金及び銅よりなる群より選択される少なくとも1種である請求項3に記載のスイッチング素子。
前記金属微粒子分散剤が式(1):
{式中、R 1 は水素原子又はメチル基を、R 2 及びR 3 は、それぞれ、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数1~5のヒドロキシアルキル基または炭素原子数7~12のアリールアルキル基を表し、また、R 2 とR 3 は互いに結合し、窒素原子と共に環を形成していてもよいジチオカルバメート基を表し、A 1 は式(2)または式(3): 
            
(式中、A 2 はエーテル結合又はエステル結合を含んでいても良い炭素原子数1ないし30の直鎖状、枝分かれ状又は環状のアルキレン基を表し、Y 1 、Y 2 、Y 3 又はY 4 は、それぞれ、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す)を表し、nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100,000の整数を表す。}で表される分岐状高分子である請求項1に記載のスイッチング素子。
前記金属微粒子の平均粒径が1nm以上500nm以下である請求項1に記載のスイッチング素子。
前記有機薄膜を形成するマトリックス高分子がポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、又はハイパーブランチポリマーである請求項1に記載のスイッチング素子。
前記ハイパーブランチポリマーが、式(4)で表されるものである、請求項7に記載のスイッチング素子。
(式中、R 1 は水素原子又はメチル基を表し、A 1 は式(5)又は式(6):
{式中、A 2 はエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1~30の直鎖状、枝分かれ状又は環状のアルキレン基を表し、X 1 、X 2 、X 3 及びX 4 は、それぞれ、水素原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。)を表し、nは繰り返し単位構造の数であって2~100000の整数を表す。}
前記ハイパーブランチポリマーは、式中のA 2 が、式(7)、または式(8)で表されるものである、請求項8に記載のスイッチング素子。
(式中、mは2~10の整数を表す)
基板上に電極を形成する工程、形成された電極上に金属微粒子を含有する有機薄膜を形成する工程、形成された有機薄膜上に電極を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング素子の製造方法。
Description:
有機スイッチング素子およびそ 製造方法

 本発明は、有機メモリ素子などへの応用 期待される、2つの電極間に有機双安定性材 料を挟み込んだスイッチング素子に関する。

 従来の半導体材料に対して、低コスト、 い柔軟性などの特性を有する有機電子材料 特性は目覚しい進展をみせている。特に、 料に電圧を印加していくと、ある電圧以上 急激に回路の電流が増加してスイッチング 象が観測される有機双安定材料は、高密度 有機メモリ素子などへの適用が検討されて る。

 このような素子の動作機構は二つの抵抗 態での可逆的なスイッチングによってなさ る。例えば、Yang Yangらは、アミノイミダゾ ールジカーボニトリル(AIDCN)、ヒドロキシキ リンアルミニウム(Alq)などの有機半導体やポ リスチレン、PMMA等の有機絶縁体中に、アル ニウム、銅、銀、金、ニッケル、マグネシ ム、インジウム、カルシウム、リチウム等 どの高導電率材料を薄膜形成、もしくは微 子として分散させることにより、電圧印加 よって高抵抗状態と低抵抗状態の双安定性 得ることができ、電圧をゼロにしても情報 保持される不揮発性メモリであることを示 た(特許文献1、2、非特許文献1参照)。

 また、特許文献3には、一つの分子内に電子 供与性の官能基と電子受容性の官能基とを有 する有機双安定材料層中に、導電性微粒子と して平均粒径5nm以下の白金またはロジウム微 粒子が分散したスイッチング素子が記載され ている。そしてこれにより、粒径にばらつき の少ない微粒子を膜厚の薄い微粒子分散層中 に均一に分散することができるので、安定し た特性のスイッチング素子が得られることが 記載される。

特表2004-513513号公報

特開2005-101594号公報

特開2004-200569号公報 PROCEEDINGS OF THE IEEE、 93,  7 (2005)

 上記の金属微粒子分散型のスイッチング 子においては、一般に有機半導体及び有機 縁体に用いられる材料より金属微粒子に用 られる材料の方が高コストである。このた 、金属微粒子の含有量を低減することは、 記素子の低コスト化にとって非常に重要で り、一方、金属微粒子の含有量が低減して 電流双安定性を有していることが必要とさ る。そして、金属微粒子の含有量の低減は 有機半導体又は有機絶縁体における金属微 子の分散性を高めることにより達せられる のと考えられる。これに対し、上記特許文 1、2及び非特許文献1に記載の技術は、有機 導体又は有機絶縁体における金属微粒子の 散剤について具体的に提案していない。ま 、特許文献3に記載の発明は、一つの分子内 に電子供与性の官能基と電子受容性の官能基 とを有する有機双安定材料を採用することを 記載しているけれども、その採用により導電 性微粒子の含有量が低減し得るとともに素子 が電流双安定性を有することについては何ら 記載するものではない。

 本発明者らは、上記の課題を解決するた に鋭意検討した結果、ジチオカルバメート を含有する金属微粒子分散剤を採用したこ により有機半導体及び有機絶縁体中での分 性を高めることができ、これによって、金 微粒子の含有量を低減させることに成功し 。

 即ち、本発明は、第1観点として、金属微粒 子を含有する有機薄膜を2つの電極で挟んだ 造を有し、印加される電圧に対して2種類の 定な抵抗値を持つ電流双安定性を示すスイ チング素子において、前記金属微粒子が、 チオカルバメート基を含有し重量平均分子 が500~5000000である高分子からなる金属微粒 分散剤によって前記有機薄膜中に分散され いることを特徴とするスイッチング素子、
 第2観点として、前記金属微粒子が、スカン ジウム、チタン、バナジウム、クロム、マン ガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、 ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジ ルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウ ム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム 、インジウム、スズ、アンチモン、ハフニウ ム、タンタル、タングステン、レニウム、オ スミウム、イリジウム、白金、金、水銀、タ リウム及びビスマスよりなる群より選択され る少なくとも1種である第1観点に記載のスイ チング素子、
 第3観点として、前記金属微粒子が、金、銀 、白金、銅、ニッケル、ルテニウム、ロジウ ム、パラジウム、オスミウム及びイリジウム よりなる群より選択される少なくとも1種で る第2観点に記載のスイッチング素子、
 第4観点として、前記無機微粒子の金属種が 金、銀、白金及び銅よりなる群より選択され る少なくとも1種である第3観点に記載のスイ チング素子、
 第5観点として、前記金属微粒子分散剤が式 (1):
{式中、R 1 は水素原子又はメチル基を、R 2 及びR 3 は、それぞれ、炭素原子数1~5のアルキル基、 炭素原子数1~5のヒドロキシアルキル基または 炭素原子数7~12のアリールアルキル基を表し また、R 2 とR 3 は互いに結合し、窒素原子と共に環を形成し ていてもよいジチオカルバメート基を表し、 A 1 は式(2)または式(3): 
(式中、A 2 はエーテル結合又はエステル結合を含んでい ても良い炭素原子数1ないし30の直鎖状、枝分 かれ状又は環状のアルキレン基を表し、Y 1 、Y 2 、Y 3 又はY 4 は、それぞれ、水素原子、炭素原子数1ない 20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアル コキシ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミ ノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す) 表し、nは繰り返し単位構造の数であって2な いし100,000の整数を表す。}で表される分岐状 分子である第1観点に記載のスイッチング素 子、
 第6観点として、前記金属微粒子の平均粒径 が1nm以上500nm以下である第1観点に記載のスイ ッチング素子、
 第7観点として、前記有機薄膜を形成するマ トリックス高分子がポリスチレン、ポリメタ クリル酸メチル、又はハイパーブランチポリ マーである第1観点に記載のスイッチング素 、
 第8観点として、前記ハイパーブランチポリ マーが、式(4)で表されるものである、第7観 に記載のスイッチング素子、
{式中、R 1 は水素原子又はメチル基を表し、A 1 は式(5)又は式(6):
(式中、A 2 はエーテル結合又はエステル結合を含んでい てもよい炭素原子数1~30の直鎖状、枝分かれ 又は環状のアルキレン基を表し、X 1 、X 2 、X 3 及びX 4 は、それぞれ、水素原子、炭素原子数1~20の ルキル基、炭素原子数1~20のアルコキシ基、 ロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、 ミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表 。)を表し、nは繰り返し単位構造の数であ て2~100000の整数を表す。}
 第9観点として、前記ハイパーブランチポリ マーは、式中のA 2 が、式(7)、または式(8)で表されるものである 、第8観点に記載のスイッチング素子、
(式中、mは2~10の整数を表す)
 第10観点として、基板上に電極を形成する 程、形成された電極上に金属微粒子を含有 る有機薄膜を形成する工程、形成された有 薄膜上に電極を形成する工程を含むことを 徴とする第1観点に記載のスイッチング素子 製造方法、
である。

 微粒子分散型の有機メモリ素子において、 来のアルカンチオール被覆型の金属微粒子 対して、ジチオカルバメート基を有する高 子により分散された金属微粒子を用いるこ により、金属微粒子の分散性が高いため特 の安定性が高く、且つ金属微粒子の使用量 低減させることができ、素子の低コスト化 達成できる。
 例えば、膜厚200nmの有機薄膜において所期 電流双安定性を得るためには、従来のドデ ンチオール分散剤を用いたときは、金微粒 濃度が2質量%以上であることが必要とされる のに対し、本発明における金属微粒子分散剤 を用いたときは、金微粒子濃度がそのおよそ 十分の一の0.2質量%であっても十分である。

 以下、本発明を実施するための詳細を説明 る。
 図1に本発明のスイッチング素子1の実施形 を示す模式図を挙げる。スイッチング素子1 、基板上に第一電極2、有機薄膜3、第二電 4を積層した構造となっており、第一電極2及 び第二電極4は、電気結線5及び6によってそれ ぞれ、電子制御ユニット7に接続されている このうち、有機薄膜3は、金属微粒子8がマト リックス9中に分散して形成されている。
 第一電極及び第二電極の形成方法としては 真空蒸着法、スパッタ法、塗布法、インク ェット法、印刷法、ゾルゲル法等が挙げる とができ、更にそのパターニング方法とし は、フォトリソグラフィー法、インクジェ ト法、スクリーン印刷、オフセット印刷、 版印刷等の印刷法、マイクロコンタクトプ ンティング法、シャドーマスクを用いた蒸 法及びこれらの手法を複数組み合わせた方 が挙げることができる。
 また有機薄膜は、蒸着法、スピンコート法 ディップ法などから適宜選択して積層され 。

 第一電極および第二電極材料としては、Au Pt、Ag、Al、Cu、Rh、Ir、In、Ni、Pd、As、Se、Te Mo、W、Mg、Zn等の金属、Mg/Cu、Mg/Ag、Mg/Al、Mg/I n等の合金、SnO 2 、InO 2 、ZnO、InO 2 ・SnO 2 (ITO)、Sb 2 O 5 ・SnO 2 (ATO)等の金属酸化物、導電性ポリアニリン、 電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン の導電性高分子、カーボン等が挙げられる

 有機薄膜に用いられる微粒子としては、 機化合物によって分散安定化されており、 均粒径が1~500nm、好ましくは1~100nm、より好 しくは、1~10nmのものが使用できる。また、 属微粒子の金属種としては、スカンジウム チタン、バナジウム、クロム、マンガン、 、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウ 、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニ ム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロ ウム、パラジウム、銀、カドミウム、イン ウム、スズ、アンチモン、ハフニウム、タ タル、タングステン、レニウム、オスミウ 、イリジウム、白金、金、水銀、タリウム びビスマスよりなる群より選択される少な とも1種が挙げられる。好ましくは、金、銀 白金、銅、ニッケル、ルテニウム、ロジウ 、パラジウム、オスミウム及びイリジウム りなる群より選択される少なくとも1種が挙 げられる。また、さらに好ましくは、金、銀 、白金及び銅よりなる群より選択される少な くとも1種が挙げられる。

 有機薄膜のマトリックスとしては、ポリ チレン、ポリエステル類、ポリビニルアル ール、ポリカーボネート、ポリアクリル酸 チル等のポリアクリル酸類、ポリメタクリ 酸メチル等のポリメタクリル酸類、ポリオ フィン類、ポリアミド類、ポリイミド類、 リウレタン類、ポリアセタール類、ポリシ コーン類、ポリビニルピリジン等の材料が 用可能であり、好ましくは、ポリスチレン びポリメタクリル酸メチルが挙げられる。

 有機薄膜をスピンコート法やディップ法 どで塗布する場合は、トルエン、キシレン ジクロロベンゼン等の芳香族系溶媒、メチ エチルケトン、シクロヘキサノン等のケト 系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル 溶媒から選択して用いられる。

 本発明においては、ジチオカルバメート基 有する高分子からなる金属微粒子分散剤が 用される。この金属微粒子分散剤の含有に り、平均粒径が10nm以下、例えばおよそ3.5nm 金属微粒子に対しての分散状態を作り出す とができる。
 本発明において使用される金属微粒子分散 による分散状態については、STEM装置を用い てHAAD(High angle annular dark field;高角散乱環状 暗視野法)に従う測定によって判明してきて り、中核の金属微粒子分散剤の周囲外側に 置するジチオカルバメート基に金属微粒子 付着することにより金属ナノ粒子の分散が 能となり、且つ金属微粒子の凝集を持続し 阻止することができるものとなっていると えられる。
 従って、かかる金属微粒子分散剤を有機薄 に含有させた本発明のスイッチング素子に っては、有機薄膜中の金属微粒子がナノ粒 状態で均一に分散されており、分散性が高 ることにより、金属微粒子の含有量を低減 せても安定な分散状態を形成でき、そして 子の低コスト化を図ることができる。
 なお、金属微粒子分散剤は、ゲル浸透クロ トグラフィーによるポリスチレン換算で測 される重量平均分子量Mwが500~5000000の範囲の ものが使用される。該範囲以外のものである と、金属微粒子の分散性が十分ではない。好 ましくは、金属微粒子分散剤は1000~1000000の重 量平均分子量を有し、より好ましくは2000~5000 00であり、特に好ましくは3000~200000である。 た、金属微粒子分散剤の分散度Mw(重量平均 子量)/Mn(数平均分子量)としては1.0~7.0であり 好ましくは1.1~6.0であり、より好ましくは1.2 ~5.0である。

 スイッチング素子は例えば、マトリックス び金属微粒子分散剤で処理された金属微粒 からなる溶液を電極層の上面に塗布し、そ てアニーリングを行い有機薄膜を作成し、 らにその上に電極層を蒸着することによっ 、作製され得る。
 金属微粒子分散剤で処理された金属微粒子 溶液は、金属塩の水溶液に還元剤を添加し 金属イオンを還元することによって得られ 。金属塩としては、塩化金酸、硝酸銀、硫 銅、硝酸銅、塩化第一白金、塩化パラジウ 、酢酸パラジウム、硝酸パラジウム、塩化 ジウム、酢酸ロジウム、塩化ルテニウム、 酸ルテニウム、塩化イリジウム、酢酸イリ ウム等が挙げられる。また還元剤としては えば、水素化ホウ素ナトリウム等のアルカ 金属水素化ホウ素塩、ヒドラジン化合物、 エン酸又はその塩、コハク酸又はその塩、 スコルビン酸又はその塩等を使用すること できる。金属微粒子分散剤の添加量は、上 金属イオン100重量部に対して50~2000重量部が 好ましい。50重量部未満であると、上記金属 粒子の分散性が不充分であり、2000重量部を 超えると、有機物含有量が多くなり、物性等 に不具合が生じやすくなる。より好ましくは 、100~1000重量部である。

 さらに、金属微粒子中に含まれるナトリ ム、カリウム、カルシウムイオン等の不純 イオンは、より少ない方が素子の繰り返し 現性が向上するため望ましい。これらの不 物イオンは、水やアルコールなどの溶媒に る再沈澱法や金属微粒子を水と相溶しない 機溶媒に溶解させ、水と分液させる方法、 た、イオン交換樹脂を用いた方法などによ て洗浄、除去することができる。

 以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳し 説明するが、本発明はこれら実施例のみに 定されるものではない。
 なお、式中の略語「Et」はエチル基を表す

合成例1
<N,N-ジエチルジチオカルバミルメチルスチ ンの合成>
 2Lの反応フラスコに、クロロメチルスチレ [セイミケミカル(株)製、CMS-14(商品名)]120g、N ,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム3 和物[関東化学(株)製]181g及びアセトン1400gを 込み、撹拌下で、温度40℃で1時間反応させ 。反応後、析出した塩化ナトリウムを濾過 て除き、その後エバポレーターで反応溶液 らアセトンを留去し、反応粗粉末を得た。 の反応粗粉末をトルエンに再溶解し、トル ン/水系で分液後、零下20℃の冷凍庫内でト エン相から目的物を再結晶した。再結晶物 濾過、真空乾燥して、白色粉末の目的物206g (収率97%)を得た。液体クロマトグラフィーに る純度(相対面積百分率)は100%であった。ま 、DSC測定での融点は56℃であった。

合成例2
<ジチオカルバメート基を分子末端に有す スチレン系ハイパーブランチポリマー(HPS)の 合成>
 300mlの反応フラスコに、合成例1で得られたN ,N-ジエチルジチオカルバミルメチルスチレン 108g及びトルエン72gを仕込み、撹拌して淡黄 透明溶液を調製した後、反応系内を窒素置 した。この溶液の真ん中から100Wの高圧水銀 [セン特殊光源(株)製、HL-100]を点灯させ、内 部照射による光重合反応を、撹拌下、温度30 で12時間行なった。次に、この反応液をメ ノール3000gに添加してポリマーを高粘度な塊 状状態で再沈した後、上澄み液をデカンテー ションで除いた。さらにこのポリマーをテト ラヒドロフラン300gに再溶解した後、この溶 をメタノール3000gに添加してポリマーをスラ リー状態で再沈した。このスラリーを濾過し 、真空乾燥して、白色粉末の目的物48g(HPS)を た。ゲル浸透クロマトグラフィーによるポ スチレン換算で測定される重量平均分子量M wは20,000、分散度Mw/Mnは3.5であった。

合成例3
<HPS-Auの合成>
 合成例2で得られたHPS0.5gをTHF200mlに溶解させ 、これに30mM塩化金酸水溶液6.7mLを加えた。次 いで0.1M水素化ホウ素ナトリウム水溶液10mLを5 分間程度かけて滴下した。滴下に伴って溶液 は褐色へと変化した。30分間攪拌を行った後 THFを減圧により留去すると水に不溶の黒色 沈殿が析出した。これを濾過してイオン交 水で洗浄した後、THF20mlを加えて溶解させ、 メタノールにより再沈殿を行った。得られた 粉末を回収し、乾燥を行った。得られた金微 粒子(HPS-Au)のTHF溶液のUVスペクトルを図2に示 。また、誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP -AES)により組成物中のナトリウム及び金含有 を求めた結果、それぞれ、150ppm及び6.4wt%で った。また、イオンクロマトグラフィー[ダ イオネックス社製 ICS-500]によって、塩素含 量を求めた結果、63ppmであった。
 図2の結果より、金ナノ粒子の表面プラズモ ン吸収がおよそ520nm付近に観察されたため、 微粒子(HPS-Au)が実際に生成されたことが確 された。

合成例4
<HPS-Auの精製>
 合成例3で得られたHPS-Au2gをTHF20mLに溶解させ 、水40g・メタノール60gの混合溶媒に滴下して 再沈澱を行った。得られた粉末を回収し、乾 燥を行った。得られた精製済み金微粒子(HPS-A u)について誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP -AES)により組成物中のナトリウム及び金含有 を求めた結果、それぞれ、38ppm及び8.1wt%で った。また、イオンクロマトグラフィーに って、塩素含有量を求めた結果、34ppmであっ た。

合成例5
<HPS-Hの合成(ジチオカルバメート基の還元 去)>
 300mlの反応フラスコに、合成例2で得たジチ カルバメート基を分子末端に有するハイパ ブランチポリマー(HPS)14g、水素化トリブチ スズ[アルドリッチ社製]28g、トルエン140gを 込み、撹拌して無色透明溶液を調製した後 反応系内を窒素置換した。この溶液の真ん から100Wの高圧水銀灯[セン特殊光源(株)製、H L-100]を点灯させ、内部照射による反応を、撹 拌下、室温で15分間行なった。次にこの反応 にトルエン500gを添加して希釈し、この希釈 液をメタノール3600gに添加して、ハイパーブ ンチポリマーをスラリー状態で再沈した。 のスラリーを濾過し、真空乾燥して、白色 末のジチオカルバメート基が水素に置換さ たハイパーブランチポリマー(HPS-H)5.3gを得 。ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリ チレン換算で測定される重量平均分子量Mwは 33,000、分散度Mw/Mnは4.26であった。

合成例6
<N,N-ジエチルジチオカルバミルエチルメタ リレートの合成>
 2Lの反応フラスコに、クロロエチルメタク レート[ランカスター社製]100g、N,N-ジエチル チオカルバミド酸ナトリウム3水和物[関東 学(株)製]178g、アセトン1100gを仕込み、撹拌 、40℃で14時間反応させた。反応後、析出し 塩化ナトリウムを濾過して除き、その後エ ポレーターで反応溶液からアセトンを留去 せ、反応粗粉末を得た。この反応粗粉末を1 ,2-ジクロロエタンに再溶解させ、1,2-ジクロ エタン/水系で分液後、1,2-ジクロロエタン相 から1,2-ジクロロエタンを留去させて黄色液 の目的物171g(収率97%)を得た。液体クロマト ラフィーによる純度(面百値)は96%であった。

合成例7
<ジチオカルバメート基を分子末端に有す アクリル系ハイパーブランチポリマー(HPEMA) 合成>
 300mlの反応フラスコに、合成例6で得られたN ,N-ジエチルジチオカルバミルエチルメタクリ レート90g、トルエン90gを仕込み、撹拌して淡 黄色透明溶液を調製した後、反応系内を窒素 置換した。この溶液の真ん中から100Wの高圧 銀灯[セン特殊光源(株)製、HL-100]を点灯させ 内部照射による光重合反応を、撹拌下、室 で5時間行った。次にこの反応液をメタノー ル3000gに添加してポリマーを高粘度な塊状状 で再沈した後、上澄み液をデカンテーショ で除いた。さらにこのポリマーをテトラヒ ロフラン400gに再溶解した後、この溶液をメ タノール5000gに添加してポリマーをスラリー 態で再沈した。このスラリーを濾過し、真 乾燥して、白色粉末の目的物(HPEMA)44gを得た 。ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリス チレン換算で測定される重量平均分子量Mwは3 1,000、分散度Mw/Mnは2.66であった。

合成例8
<HPEMA-Hの合成(ジチオカルバメート基の還元 除去)>
 300mlの反応フラスコに、合成例7で得たジチ カルバメート基を分子末端に有するハイパ ブランチポリマー(HPEMA)15g、水素化トリブチ ルスズ[アルドリッチ製]30g、テトラヒドロフ ン135gを仕込み、撹拌して淡黄色透明溶液を 調製した後、反応系内を窒素置換した。この 溶液の真ん中から100Wの高圧水銀灯[セン特殊 源(株)製、HL-100]を点灯させ、内部照射によ 反応を、撹拌下、室温で1時間行なった。次 にこの反応液をヘキサン2000gに添加して、ハ パーブランチポリマーをスラリー状態で再 した。このスラリーを濾過し、真空乾燥し 、白色粉末の目的物(HPEMA-H)5.7gを得た。ゲル 浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン 換算で測定される重量平均分子量Mwは25,000、 散度Mw/Mnは1.81であった。

合成例9
<HPS-Ptの合成>
 Pt(DBA) 2 (0.2mmol、132mg)(DBA:ジベンジリデンアセトン)を2 0mL反応シュレンク管に入れ、窒素置換した。 THF(5mL)を加え数分攪拌した。合成例2で得られ たHPS(0.1mmol、26.5mg)を二つ口フラスコ(20mL)に入 れ、窒素置換した後THF(5mL)を加えた溶液を滴 により加えた。系中を水素で置換し、室温 16時間攪拌した。反応溶液をメタノールで 沈精製を行い、濾過、減圧乾燥し黒色沈殿(3 5mg)を得た。走査型電子顕微鏡(TEM:JEOL社製 JTE M2100F)観察により、HPS-Ptの粒子系は2nmであっ 。

実施例1
 図1に示すようなスイッチング素子を作成し た。まず、あらかじめ洗浄されたガラス基板 の上面にアルミニウム(Al)を80nmの厚さで真空 着しAl電極層2を作成した。次に、マトリッ スとして式(9)で示されるハイパーブランチ リマー(HPS)、金属微粒子として合成例3で得 れた金微粒子(HPS-Au)からなる有機薄膜3を作 した。有機薄膜3は、まずオルト-ジクロロ ンゼン中に、HPS、HPS-Au及び8ヒドロキシキノ ン(8HQ)を、重量比が60:20:20となるよう溶解し て溶液を調製し、この溶液をAl電極層2の上面 にスピンコートし、150℃で30分アニーリング 行うことにより作成した。有機薄膜3の膜厚 は200nmであった。有機薄膜3の上面に、Al電極 4を蒸着させた。Al電極層4の膜厚は80nmであ た。有機薄膜3上下のAl電極2および4は、水晶 振動子膜厚計で膜厚を観測しながら約1×10 -6 トルの真空下において蒸着した。

 この素子のJ-V特性を図3に示す。使用した電 圧走査は0.15V/ステップであり
、下の曲線21(実線)は0Vから電圧を上昇させな がら電流密度を測定した掃引を示し、上の曲 線22(破線)は0Vまで電圧を低下させながら電流 密度を測定した掃引を示す。
この素子は当初、電圧を上昇させる掃引時に 0.1~3.0Vの電圧領域において10 -14 ~10 -13 (1/ω・cm)の導電率を示しているが、バイアス 圧3.5Vにおいて導電率が急激に増大する。そ の後電圧を低下させる掃引時に、同じ0.1~3.0V 電圧領域において10 -8 (1/ω・cm)の導電率を示すという電流双安定特 を示した。この素子は3.5Vまでの電圧掃引に 対しては高導電状態・低導電状態それぞれの 安定状態を維持し続けるが、6V以上へ電圧を 昇させる掃引を行うことで低導電状態と転 され、6V以上から電圧を低下させる掃引を うことで高導電状態に戻すことができた。

 また、二つの安定状態の切り替え手法と て、6V以上の電圧を印加する事のみによっ も低導電状態へ転換することができ、4.5Vか 3.0Vまで0.5Vステップで4点の電圧を印加する とで高導電状態へ切り替えることができた

実施例2
 図1の有機薄膜3の厚さを90nmから700nmまで変 させたこと以外は実施例1に従って多数のス ッチング素子を作成した。この素子は有機 膜3の厚さが360nm以下の場合に高導電状態と 導電状態を可逆的に転換できる電流双安定 を示した。膜厚と急激な導電率増大が起き 閾値電圧との関係を示すグラフを図4に示す 。

実施例3
 図1の有機薄膜3に含まれる、HPSとHPS-Auの混 比率を変化させたことを除いて実施例1に従 て多数の素子を作成した。混合層中の8HQ含 量は20重量%で固定し、HPSとHPS-Auの重量比率 10:70から79.8:0.2まで変化させた。合成例3よ 、これは有機薄膜中の組成比で金の含有率 4.5重量%から0.013重量%に相当する。これらの 子のうち、金微粒子の重量比率が2重量%以 の素子は可逆的な電流双安定性を示した。 の含有率が0.13重量%である素子のJ-V特性を図 5に示す。

実施例4
 金属微粒子として合成例9で得られた白金微 粒子(HPS-Pt)に代えたこと以外は、実施例1と同 様に素子を作成した。このデバイスのJ-V特性 を図9に示す。

比較例1
 二相系のクラスター合成法(M.Brust,et.al., Chem .Comm.7,801(1994))に従い、ドデカンチオールで保 護された金微粒子(C12SH-Au)を作成した。この 微粒子について、誘導結合プラズマ発光分 装置(ICP-AES)により組成物中の金含有量を求 た結果、67wt%であった。

比較例2
 マトリックスとしてポリスチレン(PS)、金属 微粒子として比較例1で得られた金微粒子(C12S H-Au)に代えたこと以外は、実施例1と同様に素 子を作成した。さらに、実施例3に従ってC12SH -Auの含有量が異なる素子を作成した。有機薄 膜の8HQ含有量は20重量%で固定し、PSとC12SH-Au 重量比を60:20から79.8:0.2まで変化させてデバ ス作成を行った。これは比較例1より有機薄 膜中の組成比で金の含有率が13重量%から0.13 量%に相当する。これらの素子のうち、金の 有率が1.3重量%以上の素子は可逆的な電流双 安定性を示した。金の含有率が1.3重量%であ 素子のJ-V特性のグラフを図6に示す。

 PSとC12SH-Auを用いたデバイスはPS混合層の 成比で金が1.3重量%以上必要であったが、HPS とHPS-Auを用いたデバイスはHPS混合層の組成比 で金が0.13重量%でも動作した。これより、ジ オカルバメート基を有する高分子により分 された金属微粒子を用いることにより、金 微粒子の使用量を低減させることができる とがわかった。

試験例
 実施例1に従って素子を作成する際に、合成 例3で得られた精製前のHPS-Auを用いた素子と 合成例4で得られた精製済みHPS-Auを用いた素 を作成した。実施例1に従い、高導電状態と 低導電状態を20回繰り返し切り替えた際の、1 .8Vにおける電流密度を観測した。それぞれ20 以上の素子を作成し、高導電状態および低 電状態それぞれが取りうる電流密度の範囲 計測した結果を図7及び図8に示す。高導電 態、低導電状態いずれも精製済みHPS-Auを用 た素子において測定値のばらつきが小さく っていた。これより、精製したHPS-Auを用い ことによって、繰り返し再現性が向上し、 えられた情報を読み出す際に曖昧さが低減 ることがわかった。

本発明のスイッチング素子の実施形態 示す模式図である。 合成例3によって得られた金微粒子のUV ペクトルである。 実施例1で述べたスイッチング素子の電 流密度対電圧(J-V)特性のグラフである。図中 曲線21は0Vからバイアス電圧を上昇させたと きの曲線であり、曲線22は0Vまで電圧を低下 せたときの曲線を示す。 膜厚と急激な導電率増大が起きた閾値 圧との関係を示すグラフである。 実施例3で述べたスイッチング素子の電 流密度対電圧(J-V)特性のグラフである。図中 曲線31は0Vからバイアス電圧を上昇させたと きの曲線であり、曲線32は0Vまで電圧を低下 せたときの曲線を示す。 比較例2で述べたスイッチング素子の電 流密度対電圧(J-V)特性のグラフである。図中 曲線41は0Vからバイアス電圧を上昇させたと きの曲線であり、曲線42は0Vまで電圧を低下 せたときの曲線を示す。 試験例で述べた精製前のHPS-Auを用いた イッチング素子を20回ずつ切り替えた際に 測定された電流密度の範囲を示すグラフで る。図中、黒丸と白丸はそれぞれ高導電状 と低導電状態の電流密度平均値を表し、一 ごとに一つの素子に対応する。エラーバー 20回の測定で観測された電流密度の範囲を示 す。 試験例で述べた精製済みHPS-Auを用いた イッチング素子を20回ずつ切り替えた際に 測定された電流密度の範囲を示すグラフで る。図中、黒丸と白丸は図7の説明と同様の 味を有する。 実施例4で述べたスイッチング素子の電 流密度対電圧(J-V)特性のグラフである。曲線5 1は0Vからバイアス電圧を上昇させたときの曲 線であり、曲線52は0Vまで電圧を低下させた きの曲線を示す。

符号の説明

 1 スイッチング素子  2 第一電極  3  機薄膜  4 第二電極  5,6 電気結線  7 電 子制御ユニット  8 金属微粒子  9 マトリ クス