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Title:
PHARMACEUTICAL COMPOSITION FOR PREVENTION OR TREATMENT OF DISEASE ASSOCIATED WITH TEAR REDUCTION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/102790
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] To provide a pharmaceutical composition for the prevention or treatment of a disease associated with tear reduction. [MEANS FOR SOLVING PROBLEMS] Disclosed is a pharmaceutical composition for the prevention or treatment of a disease associated with tear reduction (dry eye, keratoconjunctivitis sicca, corneal epithelial disorder, alacrima, xerophthalmia, age-related dry eye, an eye disorder in Stevens-Johnson syndrome, an eye disorder in Sjogren syndrome, a corneal/conjunctival ulcer, dryness during wearing contact lenses), which comprises a phenylethanolaminotetralin carboxylic acid amide derivative represented by the general formula (I) or a pharmacologically acceptable salt thereof or the like as an active ingredient. (I) wherein A represents a lower alkylene group; B represents an amino group, a di-lower-alkylamino group, or a 3- to 7-membered alicyclic amino group which may have an oxygen atom in the ring; a carbon atom marked with an asterisk (*) represents a carbon atom having an R- or S-configuration or a carbon atom having a R/S mixed configuration; and a carbon atom marked with (S) represents a carbon atom having an S-configuration.

Inventors:
KOBAYASHI MAMORU (JP)
ASARI TETSUYA (JP)
TADACHI MARIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/052814
Publication Date:
August 28, 2008
Filing Date:
February 20, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KISSEI PHARMACEUTICAL (JP)
KOBAYASHI MAMORU (JP)
ASARI TETSUYA (JP)
TADACHI MARIKO (JP)
International Classes:
A61K31/165; A61K31/4453; A61K31/5375; A61P25/02; A61P27/02; A61P27/04; A61P27/14
Domestic Patent References:
WO1997038970A11997-10-23
WO2001041806A12001-06-14
WO2007026630A12007-03-08
WO1997038970A11997-10-23
WO2001041806A12001-06-14
Foreign References:
FR149175A
Other References:
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YOSHIFUMI H. ET AL.: "Acute and chronic effects of FR-149175, a beta3-adrenergic receptor agonists, on energy expenditure in Zucker fatty rats", AMERICAN JOURANL OF PHYSIOLOGY REGULATORY, INTEGRATIVE AND COMPARATIVE PHYSIOLOGY, vol. 287, 2004, pages R336 - R341, XP008112433
HIROSHI H. ET AL.: "Discovery of a Novel and Potent Human and Rat beta3-Adrenergic Receptor Agonist, [3-[(2-R)-[[(2R)-(3-Chlorophenyl)-2-hydroxyethyl]amino]propyl]-1H-indol-7-yloxy] acetic", ACID, CHEMICAL AND PHARMACEUTICAL BULLETIN, vol. 53, no. 2, 2005, pages 184 - 198, XP002424904
JUN SHIMAZAKI ET AL., GANKA (OPHTHALMOLOGY), vol. 37, 1995, pages 765 - 770
"Dry eye clinic", 2000, pages: 43 - 53
"Medical Aoi Publication", 1993, article "Ocular Surface no Shindan to Chiryo (Diagnosis and Treatment of Ocular Surface", pages: 15 - 30
LEMP M.A. ET AL.: "Adler's physiology of the eye", 1992, MOSBY YEAR BOOK COMPANY, article "The lacrimal apparatus", pages: 18 - 28
PETOUNIS A.D. ET AL., INT. OPHTHALM., vol. 13, 1989, pages 75 - 80
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MASUO AKAHANE ET AL., NAUNYN-SCHMIEDEBERG'S ARCH. PHARMACOL., vol. 358, 1998, pages R518
HIROSHI HARADA ET AL., CHEM. PHARM. BULL., vol. 53, 2005, pages 184 - 198
YOSHIFUMI HATAKEYAMA ET AL., AM J PHYSIOL REGULATORY INTEGRATIVE COMP PHYSIOL, vol. 287, 2004, pages R336 - 341
TERUYUKI YANAGIWSAWA ET AL., TOHOKU J. EXP. MED., vol. 192, 2000, pages 181 - 193
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Claims:
 一般式
(式中のAは低級アルキレン基であり、Bはアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基または環内に酸素原子を含んでいてもよい3~7員環の脂環式アミノ基であり、*が付された炭素原子はR配置またはS配置の炭素原子若しくはそれらが混合した炭素原子を示し、(S)が付された炭素原子はS配置の炭素原子を示す)で表されるフェニルエタノールアミノテトラリンカルボン酸アミド誘導体、〔3-[(2R)-〔〔(2R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル〕アミノ〕プロピル-1H-インドール-7-イルオキシ〕酢酸、〔(S)-8- 〔(R)-2-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチルアミノ〕-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾシクロヘプテン-2-イルオキシ〕酢酸エチルおよび6-〔2-(R)-〔〔2-(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル〕アミノ]プロピル〕-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸ならびにそれらの薬理学的に許容される塩から選択される化合物を有効成分として含有する涙液の減少に伴う疾患の予防または治療用医薬組成物。
 有効成分が、一般式
(式中のAは低級アルキレン基であり、Bはアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基または環内に酸素原子を含んでもよい3~7員環の脂環式アミノ基であり、(R)が付された炭素原子はR配置の炭素原子を示し、(S)が付された炭素原子はS配置の炭素原子を示す)で表されるフェニルエタノールアミノテトラリンカルボン酸アミド誘導体またはその薬理学的に許容される塩である請求項1記載の医薬組成物。
 有効成分が、式
のいずれかで表される化合物またはその薬理学的に許容される塩である請求項2記載の医薬組成物。
 一般式
(式中のAは低級アルキレン基であり、Bはアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基または環内に酸素原子を含んでいてもよい3~7員環の脂環式アミノ基であり、*が付された炭素原子はR配置またはS配置の炭素原子若しくはそれらが混合した炭素原子を示し、(S)が付された炭素原子はS配置の炭素原子を示す)で表されるフェニルエタノールアミノテトラリンカルボン酸アミド誘導体、〔3-[(2R)-〔〔(2R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル〕アミノ〕プロピル-1H-インドール-7-イルオキシ〕酢酸、〔(S)-8- 〔(R)-2-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチルアミノ〕-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾシクロヘプテン-2-イルオキシ〕酢酸エチルおよび6-〔2-(R)-〔〔2-(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル〕アミノ]プロピル〕-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸ならびにそれらの薬理学的に許容される塩から選択される化合物を有効成分として含有する涙液中タンパク量増加用医薬組成物。
 有効成分が、一般式
(式中のAは低級アルキレン基であり、Bはアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基または環内に酸素原子を含んでもよい3~7員環の脂環式アミノ基であり、(R)が付された炭素原子はR配置の炭素原子を示し、(S)が付された炭素原子はS配置の炭素原子を示す)で表されるフェニルエタノールアミノテトラリンカルボン酸アミド誘導体またはその薬理学的に許容される塩である請求項4記載の医薬組成物。
 有効成分が、式
のいずれかで表される化合物またはその薬理学的に許容される塩である請求項5記載の医薬組成物。
 一般式
(式中のAは低級アルキレン基であり、Bはアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基または環内に酸素原子を含んでいてもよい3~7員環の脂環式アミノ基であり、*が付された炭素原子はR配置またはS配置の炭素原子若しくはそれらが混合した炭素原子を示し、(S)が付された炭素原子はS配置の炭素原子を示す)で表されるフェニルエタノールアミノテトラリンカルボン酸アミド誘導体、〔3-[(2R)-〔〔(2R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル〕アミノ〕プロピル-1H-インドール-7-イルオキシ〕酢酸、〔(S)-8- 〔(R)-2-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチルアミノ〕-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾシクロヘプテン-2-イルオキシ〕酢酸エチルおよび6-〔2-(R)-〔〔2-(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル〕アミノ]プロピル〕-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸ならびにそれらの薬理学的に許容される塩から選択される化合物を有効成分として含有する涙液中ムチン分泌促進用医薬組成物。
 有効成分が、一般式
(式中のAは低級アルキレン基であり、Bはアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基または環内に酸素原子を含んでもよい3~7員環の脂環式アミノ基であり、(R)が付された炭素原子はR配置の炭素原子を示し、(S)が付された炭素原子はS配置の炭素原子を示す)で表されるフェニルエタノールアミノテトラリンカルボン酸アミド誘導体またはその薬理学的に許容される塩である請求項7記載の医薬組成物。
 有効成分が、式
のいずれかで表される化合物またはその薬理学的に許容される塩である請求項8記載の医薬組成物。
 涙液の減少に伴う疾患が、ドライアイ、乾性角結膜障害、角結膜上皮障害、涙液分泌減少症、眼球乾燥症、加齢乾性眼、スチーブンス-ジョンソン症候群の眼障害、シェーグレン症候群の眼障害、角結膜潰瘍、乏涙症、乾性角結膜炎、眼類天疱瘡、眼瞼縁炎、閉眼不全、知覚神経麻痺、アレルギー性結膜炎、ウィルス性結膜炎後、または白内障手術後、コンタクトレンズ装着時もしくはVDT作業時の乾燥から選択される少なくとも一つの疾患である、請求項1~3の何れかに記載の医薬組成物。
 剤形が、経口投与剤である、請求項1~10の何れかに記載の医薬組成物。
 剤形が、非経口投与剤である、請求項1~10の何れかに記載の医薬組成物。
 非経口投与剤が、点眼剤である、請求項12記載の医薬組成物。
 請求項1~3のいずれか1項に記載のフェニルエタノールアミノテトラリンカルボン酸アミド誘導体、〔3-[(2R)-〔〔(2R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル〕アミノ〕プロピル-1H-インドール-7-イルオキシ〕酢酸、〔(S)-8- 〔(R)-2-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチルアミノ〕-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾシクロヘプテン-2-イルオキシ〕酢酸エチルおよび6-〔2-(R)-〔〔2-(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル〕アミノ]プロピル〕-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸ならびにそれらの薬理学的に許容される塩から選択される化合物を有効量投与することからなる、涙液の減少に伴う疾患の予防または治療方法。
 請求項4~6のいずれか1項に記載のフェニルエタノールアミノテトラリンカルボン酸アミド誘導体、〔3-[(2R)-〔〔(2R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル〕アミノ〕プロピル-1H-インドール-7-イルオキシ〕酢酸、〔(S)-8- 〔(R)-2-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチルアミノ〕-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾシクロヘプテン-2-イルオキシ〕酢酸エチルおよび6-〔2-(R)-〔〔2-(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル〕アミノ]プロピル〕-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸ならびにそれらの薬理学的に許容される塩から選択される化合物を有効量投与することからなる、涙液中タンパク量増加方法。
 請求項7~9のいずれか1項に記載のフェニルエタノールアミノテトラリンカルボン酸アミド誘導体、〔3-[(2R)-〔〔(2R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル〕アミノ〕プロピル-1H-インドール-7-イルオキシ〕酢酸、〔(S)-8- 〔(R)-2-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチルアミノ〕-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾシクロヘプテン-2-イルオキシ〕酢酸エチルおよび6-〔2-(R)-〔〔2-(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル〕アミノ]プロピル〕-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸ならびにそれらの薬理学的に許容される塩から選択される化合物を有効量投与することからなる、涙液中ムチン分泌促進方法。
 涙液の減少に伴う疾患の予防または治療用医薬組成物を製造するための、請求項1~3のいずれか1項に記載のフェニルエタノールアミノテトラリンカルボン酸アミド誘導体、〔3-[(2R)-〔〔(2R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル〕アミノ〕プロピル-1H-インドール-7-イルオキシ〕酢酸、〔(S)-8- 〔(R)-2-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチルアミノ〕-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾシクロヘプテン-2-イルオキシ〕酢酸エチルおよび6-〔2-(R)-〔〔2-(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル〕アミノ]プロピル〕-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸ならびにそれらの薬理学的に許容される塩から選択される化合物の使用。
 涙液中タンパク量増加用医薬組成物を製造するための、請求項4~6のいずれか1項に記載のフェニルエタノールアミノテトラリンカルボン酸アミド誘導体、〔3-[(2R)-〔〔(2R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル〕アミノ〕プロピル-1H-インドール-7-イルオキシ〕酢酸、〔(S)-8- 〔(R)-2-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチルアミノ〕-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾシクロヘプテン-2-イルオキシ〕酢酸エチルおよび6-〔2-(R)-〔〔2-(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル〕アミノ]プロピル〕-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸ならびにそれらの薬理学的に許容される塩から選択される化合物の使用。
 涙液中ムチン分泌促進用医薬組成物を製造するための、請求項7~9のいずれか1項に記載のフェニルエタノールアミノテトラリンカルボン酸アミド誘導体、〔3-[(2R)-〔〔(2R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル〕アミノ〕プロピル-1H-インドール-7-イルオキシ〕酢酸、〔(S)-8- 〔(R)-2-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチルアミノ〕-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾシクロヘプテン-2-イルオキシ〕酢酸エチルおよび6-〔2-(R)-〔〔2-(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル〕アミノ]プロピル〕-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸ならびにそれらの薬理学的に許容される塩から選択される化合物の使用。
 
Description:
涙液の減少に伴う疾患の予防ま は治療用医薬組成物

 本発明は、涙液の減少に伴う疾患の予防 たは治療に有用な医薬組成物に関するもの ある。

 さらに詳しく述べれば、本発明は、一般式
(式中のAは低級アルキレン基であり、Bはアミ ノ基、ジ低級アルキルアミノ基または環内に 酸素原子を含んでいてもよい3~7員環の脂環式 アミノ基であり、*が付された炭素原子はR配 若しくはS配置の炭素原子またはそれらが混 合した炭素原子を示し、(S)が付された炭素原 子はS配置の炭素原子を示す)で表されるフェ ルエタノールアミノテトラリンカルボン酸 ミド誘導体もしくはその薬理学的に許容さ る塩、AJ-9766、FR-149175またはN-5984等を有効成 分として含有する涙液の減少に伴う疾患の予 防または治療に有用な医薬組成物等に関する ものである。

 涙液の減少に伴う疾患の代表的なものは ドライアイである。ドライアイは、ドライ イ研究会により、涙液(層)の質的または量 な異常により引き起こされた角結膜上皮障 であると定義され、涙液(層)の質的および量 的異常と、角結膜上皮障害をそれぞれ検査す ることにより行われる診断基準が提唱されて いる(例えば、非特許文献1参照)。この診断基 準は10年ごとに見直しが行われ、現在は1995年 の基準が広く一般的に用いられている。海外 では、NIH診断基準(Lempら、1995年)が一般的に いられる。ドライアイの主な自覚症状とし 、眼の乾き、痛み、痒み、角結膜上皮障害 よる眼のかすみ、重篤な視力障害等が知ら ている。

 ドライアイ以外にも、乾性角結膜障害、 結膜上皮障害、涙液分泌減少症、眼球乾燥 、加齢乾性眼、スチーブンス-ジョンソン症 候群の眼障害、シェーグレン症候群の眼障害 、角結膜潰瘍、乏涙症、乾性角結膜炎、眼類 天疱瘡、眼瞼縁炎、閉眼不全、知覚神経麻痺 、アレルギー性結膜炎、ウィルス性結膜炎後 、または白内障手術後、コンタクトレンズ装 着時もしくはVDT(Visual display terminal)作業時の 乾燥等も、涙液の減少に伴う同様の症状を呈 する疾患群と捉えることができる。

 これらの涙液の減少に伴う疾患の治療に いては、涙点プラグや、涙点閉鎖術などの 科的治療も行われているが、点眼剤による 物療法が中心である。主に、涙液の増加を かる目的での人工涙液と、その涙液を角結 上皮上に安定させる目的のヒアルロン酸ナ リウムの点眼液が用いられている。しかし がら、涙液層を構成する水層、油層および 液層が健全な角結膜表面を維持するのに重 であると言われており、現在用いられてい 薬剤では、その効果は十分ではない。また アレルギーや炎症に起因する場合にはステ イド薬や抗アレルギー薬の点眼剤が使用さ ているが、ステロイド剤の連用による眼圧 昇等の副作用が問題となる場合がある。OA 器の注視作業の増加、空気汚染、アレルギ 等の患者側環境の変化も関連し、患者数は すます増加しており、有効な治療薬の早期 発が望まれている(例えば、非特許文献2参照 )。

 涙液の減少には、涙液の分泌量が減少する 合と、涙液の蒸散、排出が亢進する場合の つの要因がある。涙液の分泌には、主に三 神経支配領域(角膜、結膜、皮膚、鼻、感情 など)の刺激による反射性分泌と、角結膜表 を保護する基礎的分泌がある。涙液分泌を 進する神経経路には、三叉神経、副交感神 および交感神経の3つがあり(非特許文献3参 )、反射性分泌は、主に主涙腺により担われ いるといわれているが、他の分泌腺の関与 指摘されている(非特許文献4参照)。主涙腺 交感および副交感神経系またはニューロペ チドYといった神経ペプチドを介して調節さ れると報告されている。涙液分泌はβアドレ リン受容体遮断薬(プロプラノロールなど) より抑制されることから、涙液分泌にβ 1 アドレナリン受容体(以下、β 1 ARという)もしくはβ 2 アドレナリン受容体(以下、β 2 ARという)サブタイプの関与が推察されている (非特許文献5参照)。一方、涙液の蒸散を防ぐ 脂質分泌はマイボーム腺(Meibomian gland)、ツァ イス腺(gland of Zeis)およびモル腺(gland of Moll )に由来し(非特許文献4参照)、交感および副 感神経系やサブスタンスPといった神経ペプ ドにより調節を受ける。さらに、粘液層を 成するムチン等の糖タンパクは、杯細胞(gob let cell)や涙腺における粘液分泌細胞より分 される(非特許文献6参照)ことが判明してい が、詳細な分泌機構については不明な点が い。これらの脂質および粘液分泌の機能低 は、角結膜における涙液三層構造の破綻を たし、結果的にドライアイに深く関与する いわれている。

 涙腺および角結膜から供給される涙液には 各種電解質、タンパク、ビタミンA等の生理 活性物質が含有される。涙液中に分泌される タンパクのうち、角結膜由来の糖タンパクと して、ムチンが知られている。ムチンは角結 膜表面の湿潤性の保持に役立ち、また瞬目の 動きに対し潤滑剤としても角結膜を保護して いる(非特許文献3参照)。そのほかに、細菌が 寄り集まって巣を作るのを防ぐ役割や、粘液 が細菌をつつんで排除する役割も担っている (非特許文献3参照)。また、涙腺由来のタンパ クとして、ムチン、ラクトフェリン、リポカ イン、IgA、補体、フィブロネクチン、EGF(上 増殖因子)、HGF(肝細胞増殖因子)、TGF(トラン フォーミング増殖因子)β 1 、TGFβ 2 、各種サイトカイン、アミラーゼ、SOD(スー ーオキシドジスムターゼ)、リゾチーム等が られており、これらは水分の蒸散防止、抗 作用、眼組織への栄養供給等を担っている 考えられている。これらのタンパクを含む 液の分泌を促進することにより、ドライア 等における角結膜上皮損傷部位の修復やそ 悪化を防止する薬剤の開発が望まれる。涙 中へムチン分泌の促進作用を有する物質は ライアイを始めとし、角膜上皮に障害が認 られる角膜炎、結膜炎、角膜上皮剥離およ 角膜潰瘍等の角膜疾患の治療に有用である とが期待される。

 前記一般式(I)で表されるフェニルエタノー アミノテトラリンカルボン酸アミド誘導体 、β 2 AR刺激作用を有し、切迫流・早産の防止、気 閉塞性障害、気管支狭窄性障害に起因する 患の予防および治療並びに尿路結石症の疼 緩解および排石促進に有用であることが知 れている(特許文献1参照)。また、当該フェ ルエタノールアミノテトラリンカルボン酸 ミド誘導体のひとつである2-〔(2S)-2-〔〔(2R) -2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)エチ 〕アミノ〕-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-7 -イルオキシ〕-N,N-ジメチルアセトアミドはβ 2 AR刺激作用とβ 3 アドレナリン受容体(以下、β 3 ARという)刺激作用も併せ持つということが報 告されている(非特許文献7参照)。しかしなが ら、前記一般式(I)で表されるフェニルエタノ ールアミノテトラリンカルボン酸アミド誘導 体が、涙液量や涙液中タンパク量を増加させ ることも、涙液の減少に伴う疾患に対して有 効であることも、記載も示唆もされていない 。

 AJ-9677(化学名:〔3-[(2R)-〔〔(2R)-(3-クロロフェ ニル)-2-ヒドロキシエチル〕アミノ〕プロピ -1H-インドール-7-イルオキシ〕酢酸、非特許 献8参照)、FR‐149175(化学名:〔(S)-8- 〔(R)-2-(3 -クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチルアミノ -6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾシクロヘプテ ン-2-イルオキシ〕酢酸エチル 一塩酸塩一水 物、非特許文献9参照)およびN-5984(化学名:6- 2-(R)-〔〔2-(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキ シエチル〕アミノ]プロピル〕-2,3-ジヒドロ-1, 4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸、非特許 文献10参照、KRP-204とも言う)は、β 3 AR刺激作用を有することが知られている。し しながら、これらの化合物が、涙液量や涙 中タンパク量を増加させ、涙液の減少に伴 疾患に対して有効であることは知られてい い。

 β 1 AR刺激作用に比してβ 2 選択的な数種のβ 2 AR刺激薬が、涙液の分泌量促進および/または 涙液中へのタンパク分泌促進作用を有し、乾 性眼障害等の予防、治療に有効であること、 およびβ 1 AR刺激作用を有するβアドレナリン受容体刺 薬よりも心臓系作用への悪影響がない点で 用であることが報告されている(特許文献2) しかしながら、ドライアイを始めとし、角 上皮に障害が認められる角膜炎、結膜炎、 膜上皮剥離および角膜潰瘍等の角膜疾患の 療において、角膜や結膜の湿潤性を保つの 重要な役割を担っているムチンの分泌促進 果に関して記載は無く、いずれも実用化に 至っていない。

国際公開97-38970号パンフレット

国際公開01-41806号パンフレット 島崎潤ほか著、眼科、1995年、第37巻、p.7 65-770 坪田一男編、ドライアイクリニック、医 学書院、2000年、p.43-53 小口芳久ら監修、Ocular Surfaceの診断と治 療、メディカル葵出版、1993年、p.15-30 Lemp M.A.ほか、The lacrimal apparatus. Adler’ s physiology ofthe eye、第9版、Mosby Year Book社 1992年、p.18-28 Petounis A.D.ほか、Int Ophthalm、1989年、第13 巻、p.75-80 Sullivan D.A.ほか、Lacrimal grand,tear film, an d dry eye syndromes,Plenum Press社、1994年、p.1-9 赤羽増夫ほか、 Naunyn-Schmiedeberg’s Arch.P harmacol、1998年、Vol.358(Suppl.1)、p.R518 Hiroshi Haradaほか、 Chem.Pharm.Bull、2005年、 Vol.53、p.184-198 Yoshifumi Hatakeyamaほか、 Am J Physiol Regula tory Integrative Comp Physiol、2004年、Vol.287、p.R33 6-R341 Teruyuki Yanagisawaほか、 Tohoku J.Exp.Med.、20 00年、Vol.192、p.181-193

 本発明は、涙液の減少に伴う疾患の予防 たは治療用医薬組成物を提供することを目 とする。

 本発明者らは、上記課題に対し鋭意研究し 結果、前記一般式(I)で表される化合物およ その薬理学的に許容される塩等が、涙液分 量および涙液中タンパク量を増加させるこ 、特に選択的β 2 AR刺激薬に比べ涙液中タンパク量およびムチ 分泌を顕著に増加させることを見出し、本 明を成すに至った。

 すなわち、本発明は、
 〔1〕一般式
(式中のAは低級アルキレン基であり、Bはアミ ノ基、ジ低級アルキルアミノ基または環内に 酸素原子を含んでいてもよい3~7員環の脂環式 アミノ基であり、*が付された炭素原子はR配 またはS配置の炭素原子若しくはそれらが混 合した炭素原子を示し、(S)が付された炭素原 子はS配置の炭素原子を示す)で表されるフェ ルエタノールアミノテトラリンカルボン酸 ミド誘導体、〔3-[(2R)-〔〔(2R)-(3-クロロフェ ニル)-2-ヒドロキシエチル〕アミノ〕プロピ -1H-インドール-7-イルオキシ〕酢酸、〔(S)-8- 〔(R)-2-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチ アミノ〕-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾシク ロヘプテン-2-イルオキシ〕酢酸エチルおよび 6-〔2-(R)-〔〔2-(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロ キシエチル〕アミノ]プロピル〕-2,3-ジヒドロ -1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸ならび にそれらの薬理学的に許容される塩から選択 される化合物を有効成分として含有する涙液 の減少に伴う疾患の予防または治療用医薬組 成物;
 〔2〕有効成分が、一般式
(式中のAは低級アルキレン基であり、Bはアミ ノ基、ジ低級アルキルアミノ基または環内に 酸素原子を含んでもよい3~7員環の脂環式アミ ノ基であり、(R)が付された炭素原子はR配置 炭素原子を示し、(S)が付された炭素原子はS 置の炭素原子を示す)で表されるフェニルエ タノールアミノテトラリンカルボン酸アミド 誘導体またはその薬理学的に許容される塩で ある前記 〔1〕記載の医薬組成物;
〔3〕有効成分が、式
のいずれかで表される化合物またはその薬理 学的に許容される塩である前記〔2〕記載の 薬組成物;
 〔4〕一般式
(式中のAは低級アルキレン基であり、Bはアミ ノ基、ジ低級アルキルアミノ基または環内に 酸素原子を含んでいてもよい3~7員環の脂環式 アミノ基であり、*が付された炭素原子はR配 またはS配置の炭素原子若しくはそれらが混 合した炭素原子を示し、(S)が付された炭素原 子はS配置の炭素原子を示す)で表されるフェ ルエタノールアミノテトラリンカルボン酸 ミド誘導体、〔3-[(2R)-〔〔(2R)-(3-クロロフェ ニル)-2-ヒドロキシエチル〕アミノ〕プロピ -1H-インドール-7-イルオキシ〕酢酸、〔(S)-8- 〔(R)-2-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチ アミノ〕-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾシク ロヘプテン-2-イルオキシ〕酢酸エチルおよび 6-〔2-(R)-〔〔2-(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロ キシエチル〕アミノ]プロピル〕-2,3-ジヒドロ -1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸ならび にそれらの薬理学的に許容される塩から選択 される化合物を有効成分として含有する涙液 中タンパク量増加用医薬組成物;
 〔5〕有効成分が、一般式
(式中のAは低級アルキレン基であり、Bはアミ ノ基、ジ低級アルキルアミノ基または環内に 酸素原子を含んでもよい3~7員環の脂環式アミ ノ基であり、(R)が付された炭素原子はR配置 炭素原子を示し、(S)が付された炭素原子はS 置の炭素原子を示す)で表されるフェニルエ タノールアミノテトラリンカルボン酸アミド 誘導体またはその薬理学的に許容される塩で ある前記〔4〕記載の医薬組成物;
〔6〕有効成分が、式
のいずれかで表される化合物またはその薬理 学的に許容される塩である前記〔5〕記載の 薬組成物;
 〔7〕一般式
(式中のAは低級アルキレン基であり、Bはアミ ノ基、ジ低級アルキルアミノ基または環内に 酸素原子を含んでいてもよい3~7員環の脂環式 アミノ基であり、*が付された炭素原子はR配 またはS配置の炭素原子若しくはそれらが混 合した炭素原子を示し、(S)が付された炭素原 子はS配置の炭素原子を示す)で表されるフェ ルエタノールアミノテトラリンカルボン酸 ミド誘導体、〔3-[(2R)-〔〔(2R)-(3-クロロフェ ニル)-2-ヒドロキシエチル〕アミノ〕プロピ -1H-インドール-7-イルオキシ〕酢酸、〔(S)-8- 〔(R)-2-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチ アミノ〕-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾシク ロヘプテン-2-イルオキシ〕酢酸エチルおよび 6-〔2-(R)-〔〔2-(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロ キシエチル〕アミノ]プロピル〕-2,3-ジヒドロ -1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸ならび にそれらの薬理学的に許容される塩から選択 される化合物を有効成分として含有する涙液 中ムチン分泌促進用医薬組成物;
 〔8〕有効成分が、一般式
(式中のAは低級アルキレン基であり、Bはアミ ノ基、ジ低級アルキルアミノ基または環内に 酸素原子を含んでもよい3~7員環の脂環式アミ ノ基であり、(R)が付された炭素原子はR配置 炭素原子を示し、(S)が付された炭素原子はS 置の炭素原子を示す)で表されるフェニルエ タノールアミノテトラリンカルボン酸アミド 誘導体またはその薬理学的に許容される塩で ある前記〔7〕記載の医薬組成物;
〔9〕有効成分が、式
のいずれかで表される化合物またはその薬理 学的に許容される塩である前記〔8〕記載の 薬組成物;
 〔10〕涙液の減少に伴う疾患が、ドライア 、乾性角結膜障害、角結膜上皮障害、涙液 泌減少症、眼球乾燥症、加齢乾性眼、スチ ブンス-ジョンソン症候群の眼障害、シェー レン症候群の眼障害、角結膜潰瘍、乏涙症 乾性角結膜炎、眼類天疱瘡、眼瞼縁炎、閉 不全、知覚神経麻痺、アレルギー性結膜炎 ウィルス性結膜炎後、または白内障手術後 コンタクトレンズ装着時もしくはVDT作業時 乾燥から選択される少なくとも一つの疾患 ある、前記〔1〕~〔3〕の何れかに記載の医 組成物;
 〔11〕剤形が、経口投与剤である、前記〔1 ~〔10〕の何れかに記載の医薬組成物;
 〔12〕剤形が、非経口投与剤である、前記 1〕~〔10〕の何れかに記載の医薬組成物;
 〔13〕非経口投与剤が、点眼剤である、前 〔12〕記載の医薬組成物;
 〔14〕前記〔1〕~〔3〕の何れか1項に記載の ェニルエタノールアミノテトラリンカルボ 酸アミド誘導体、〔3-[(2R)-〔〔(2R)-(3-クロロ フェニル)-2-ヒドロキシエチル〕アミノ〕プ ピル-1H-インドール-7-イルオキシ〕酢酸、〔( S)-8- 〔(R)-2-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシ チルアミノ〕-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾ シクロヘプテン-2-イルオキシ〕酢酸エチルお よび6-〔2-(R)-〔〔2-(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒ ドロキシエチル〕アミノ]プロピル〕-2,3-ジヒ ドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸な らびにそれらの薬理学的に許容される塩から 選択される化合物を有効量投与することから なる、涙液の減少に伴う疾患の予防または治 療方法;
 〔15〕前記〔4〕~〔6〕の何れか1項に記載の ェニルエタノールアミノテトラリンカルボ 酸アミド誘導体、〔3-[(2R)-〔〔(2R)-(3-クロロ フェニル)-2-ヒドロキシエチル〕アミノ〕プ ピル-1H-インドール-7-イルオキシ〕酢酸、〔( S)-8- 〔(R)-2-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシ チルアミノ〕-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾ シクロヘプテン-2-イルオキシ〕酢酸エチルお よび6-〔2-(R)-〔〔2-(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒ ドロキシエチル〕アミノ]プロピル〕-2,3-ジヒ ドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸な らびにそれらの薬理学的に許容される塩から 選択される化合物を有効量投与することから なる、涙液中タンパク量増加方法;
 〔16〕前記〔7〕~〔9〕の何れか1項に記載の ェニルエタノールアミノテトラリンカルボ 酸アミド誘導体、〔3-[(2R)-〔〔(2R)-(3-クロロ フェニル)-2-ヒドロキシエチル〕アミノ〕プ ピル-1H-インドール-7-イルオキシ〕酢酸、〔( S)-8- 〔(R)-2-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシ チルアミノ〕-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾ シクロヘプテン-2-イルオキシ〕酢酸エチルお よび6-〔2-(R)-〔〔2-(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒ ドロキシエチル〕アミノ]プロピル〕-2,3-ジヒ ドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボン酸な らびにそれらの薬理学的に許容される塩から 選択される化合物を有効量投与することから なる、涙液中ムチン分泌促進方法;
 〔17〕涙液の減少に伴う疾患の予防または 療用医薬組成物を製造するための、前記〔1 ~〔3〕の何れか1項に記載のフェニルエタノ ルアミノテトラリンカルボン酸アミド誘導 、〔3-[(2R)-〔〔(2R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒ ロキシエチル〕アミノ〕プロピル-1H-インド ル-7-イルオキシ〕酢酸、〔(S)-8- 〔(R)-2-(3- ロロフェニル)-2-ヒドロキシエチルアミノ〕- 6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾシクロヘプテン -2-イルオキシ〕酢酸エチルおよび6-〔2-(R)-〔 2-(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル 〕アミノ]プロピル〕-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾ オキシン-2-(R)-カルボン酸ならびにそれらの 薬理学的に許容される塩から選択される化合 物の使用;
 〔18〕涙液中タンパク量増加用医薬組成物 製造するための、前記〔4〕~〔6〕の何れか1 に記載のフェニルエタノールアミノテトラ ンカルボン酸アミド誘導体、〔3-[(2R)-〔〔(2 R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル〕 ミノ〕プロピル-1H-インドール-7-イルオキシ 酢酸、〔(S)-8- 〔(R)-2-(3-クロロフェニル)-2- ドロキシエチルアミノ〕-6,7,8,9-テトラヒド -5H-ベンゾシクロヘプテン-2-イルオキシ〕酢 酸エチルおよび6-〔2-(R)-〔〔2-(R)-(3-クロロフ ニル)-2-ヒドロキシエチル〕アミノ]プロピ 〕-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カ ルボン酸ならびにそれらの薬理学的に許容さ れる塩から選択される化合物の使用;
 〔19〕涙液中ムチン分泌促進用医薬組成物 製造するための、前記〔7〕~〔9〕の何れか1 に記載のフェニルエタノールアミノテトラ ンカルボン酸アミド誘導体、〔3-[(2R)-〔〔(2 R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル〕 ミノ〕プロピル-1H-インドール-7-イルオキシ 酢酸、〔(S)-8- 〔(R)-2-(3-クロロフェニル)-2- ドロキシエチルアミノ〕-6,7,8,9-テトラヒド -5H-ベンゾシクロヘプテン-2-イルオキシ〕酢 酸エチルおよび6-〔2-(R)-〔〔2-(R)-(3-クロロフ ニル)-2-ヒドロキシエチル〕アミノ]プロピ 〕-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カ ルボン酸ならびにそれらの薬理学的に許容さ れる塩から選択される化合物の使用;等に関 るものである。

 前記一般式(I)で表される化合物、〔3-[(2R)- 〔(2R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチ 〕アミノ〕プロピル-1H-インドール-7-イルオ シ〕酢酸、〔(S)-8- 〔(R)-2-(3-クロロフェニ )-2-ヒドロキシエチルアミノ〕-6,7,8,9-テトラ ドロ-5H-ベンゾシクロヘプテン-2-イルオキシ 〕酢酸エチルおよび6-〔2-(R)-〔〔2-(R)-(3-クロ フェニル)-2-ヒドロキシエチル〕アミノ]プ ピル〕-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-( R)-カルボン酸ならびにそれらの薬理学的に許 容される塩から選択される化合物(以下、「 記有効成分」ともいう)は、涙液および涙液 タンパク分泌促進作用を示し、ドライアイ の涙液の減少に伴う疾患の予防または治療 有用である。また、前記有効成分は、β 2 AR刺激作用が同程度である選択的β 2 AR刺激薬の硫酸テルブタリンと比べ、涙液中 ンパク量、特にムチン分泌を顕著に増加さ るので、涙液中タンパク量増加用、または 液中ムチン分泌促進用の医薬組成物として 用である。

 前記有効成分は、顕著な涙液および涙液中 ンパク分泌作用を示す。前記有効成分にお て、好ましい化合物としては、2-〔(2S)-2-〔 (2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル) チル〕アミノ〕-1,2,3,4-テトラヒドロナフタ ン-7-イルオキシ〕-N,N-ジメチルアセトアミド (以下、化合物1と称する)、1-〔2-〔(2S)-2-〔〔( 2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)エ ル〕アミノ〕-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレ -7-イルオキシ〕アセチル〕ピペリジン、4-〔 2-〔(2S)-2-〔〔(2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキ フェニル)エチル〕アミノ〕-1,2,3,4-テトラヒ ロナフタレン-7-イルオキシ〕アセチル〕モ ホリン、およびそれらの薬理学的に許容さ る塩;AJ-9677、FR-149175ならびにN-5984等が挙げ れ、既存の選択的β 2 AR刺激薬よりも優れた効果を示す。本発明の 記一般式(I)で表される化合物は、公知の方 (特許文献1参照)やそれに準じた方法に従い 造することができる。また、AJ-9677、FR-149175 およびN-5984も、公知の方法やそれに準じた方 法に従い製造することができる。

 前記有効成分の投与量は、個々の化合物 種類により、患者の体重、年齢、性別、疾 の程度に応じて適宜定めればよい。例えば 成人に対する投与量は、経口投与で1~1000mg/ 、点眼投与で0.001~1%の範囲とするのが好ま い。

 前記一般式(I)で表される化合物において ジ低級アルキルアミノ基とは炭素数1~6の直 状または枝分かれ状のアルキルでジ置換さ たアミノ基をいい、例えば、ジメチルアミ 基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミ 基等が挙げられる。低級アルキレン基とは 素数1~6の直鎖状または枝分かれ状のアルキ ン基をいい、例えば、メチレン基、エチレ 基、トリエチレン基等が挙げられる。環内 酸素原子を含んでもよい3~7員環の脂環式ア ノ基とは、炭素数2~6の環状アルキルアミノ をいい、例えば1-ピロリジニル基、ピペリ ノ基、モルホリノ基等が挙げられる。

 本発明の医薬組成物は、涙液や涙液中タ パクの分泌促進作用を示し、涙液の減少に う疾患の予防又は治療に有用である。本発 において、涙液の減少に伴う疾患とは、涙 の質的及び/又は量的異常による眼の乾燥症 状とそれに関連した角結膜上皮障害をいい、 涙液分泌の減少、涙液の蒸散や排出の亢進の いずれの要因によるものも含み、例えば、ド ライアイ、乾性角結膜障害、角結膜上皮障害 、涙液分泌減少症、眼球乾燥症、加齢乾性眼 、スチーブンス-ジョンソン症候群の眼障害 シェーグレン症候群の眼障害、角結膜潰瘍 乏涙症、乾性角結膜炎、眼類天疱瘡、眼瞼 炎、閉眼不全、知覚神経麻痺、アレルギー 結膜炎、ウィルス性結膜炎後、又は白内障 術後、コンタクトレンズ装着時もしくはVDT 業時の乾燥等が挙げられる。ドライアイに 、非特許文献1に記載の診断基準等に基づく のほか、涙液の質的異常もしくは量的異常( 減少)またはそれらに伴う角結膜上皮障害等 特徴としてドライアイと診断されるものお びドライアイの疑いがあるものを含む。

 前記有効成分は、常法によりその薬理学 に許容される塩とすることができる。その うな塩としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ 水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの鉱酸と 酸付加塩、ギ酸、酢酸、メタンスルホン酸 p-トルエンスルホン酸、プロピオン酸、ク ン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、酪酸 シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、乳酸、 ンゴ酸、炭酸、グルタミン酸、アスパラギ 酸等の有機酸との酸付加塩、ナトリウム塩 カリウム塩等の無機塩基との塩を挙げるこ ができる。

 前記有効成分を実際の治療に用いる場合 適当な医薬組成物、例えば、散剤、顆粒剤 細粒剤、ドライシロップ剤、錠剤、カプセ 剤等の経口投与剤;点眼剤、注射剤、貼付剤 、坐剤等の非経口投与剤;等が挙げられ、経 投与剤および点眼剤が好ましい。特に経口 与剤は防腐剤等による粘膜刺激作用に過敏 患者に好ましい。また、これらの医薬組成 は、前記有効成分を、例えば、賦形剤、崩 剤、結合剤、滑沢剤、希釈剤、緩衝剤、等 化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、 定化剤、溶解補助剤等の製剤担体と適宜混 または希釈、溶解し、常法により種々の剤 のものを製造して使用してもよい。

 以下に本発明を実施例に基づいてさらに 細に説明するが、本発明はその内容に限定 れるものではない。

実施例1
ウサギにおける涙液、涙液中タンパクおよび ムチン測定試験
 日本白色雄性ウサギ(約3kg)を一群3匹として 用した。ペントバルビタール(40mg/kg、静脈 投与)麻酔下に化合物1の1/2硫酸塩(0.1%リン酸 衝溶液pH7.4)、硫酸テルブタリン(0.1%リン酸 衝溶液pH7.4)またはそれらの溶媒(リン酸緩衝 pH7.4)をそれぞれ両眼に50μL投与した。涙液 泌量は、予め重量を測定したろ紙(ワットマ No.41、厚さ0.22μm、2.5×15mm)を右または左眼の 下結膜嚢に2枚挿入し、挿入前後の重量差(挿 後重量-挿入前重量)にて算出した。測定は 点眼投与5分前および投与5分後においてそれ ぞれ5分間行った。なお、各測定開始5分前に 所麻酔剤0.4%塩酸オキシブプロカイン(参天 薬株式会社)(50μL)を点眼し、ろ紙挿入直前に 涙液および点眼麻酔剤を拭った。

 各測定後に回収したろ紙は測定時間毎に ューブに移し、リン酸緩衝液(pH7.4)500μLを加 え、ボルテックスミキサーで30秒間混和した ろ紙を抜き取り、470×gで5分間遠心後、上清 中のタンパク濃度をMicro BCA Protein Assay Reage nt Kit(pierce社)にて測定した。涙液中タンパク 量は、得られたタンパク濃度と涙液分泌量よ り算出した。涙液分泌量および涙液中タンパ ク変化量は、溶媒、化合物1の1/2硫酸塩また 硫酸テルブタリンのそれぞれ投与前の分泌 に対する投与後の測定時間に算出した分泌 の差とした。なお、その際涙液分泌量1mgを1 Lとして算出した。

 また、涙液分泌量測定と同時点にインプ ッションサイトロジー法により、直径3mmの 形セルロースアセテートのフィルターを結 に30秒間押し当て、回収したフィルターをpe riodic acid/Schiff(PAS)染色した。フィルターを透 徹、封入後、顕微鏡の一定視野内に存在する PAS陽性杯細胞数をカウントした。

 PAS陽性杯細胞数(%)は、溶媒点眼群におけるP AS陽性杯細胞数に対する率(%)を示す。PAS陽性 細胞数の減少は、結膜からのムチン分泌促 作用を示している。その結果を表1に示した 。各値は3例の平均値を示し、化合物1の1/2硫 塩は、溶媒および硫酸テルブタリン群と比 して涙液分泌量は約30%増、涙液中タンパク は約200%増、結膜由来のムチン分泌は約50%増 と、顕著に増加させた。

実施例2
ウサギにおける涙液、涙液中タンパクおよび ムチン測定試験
 実施例1と同様の方法でN-5984を評価し、その 結果を表2に示した。N-5984は、溶媒と比較し 涙液分泌量、涙液中タンパク量及び結膜由 のムチン分泌を顕著に増加させた。

 本発明の医薬組成物は、涙液の減少に伴 疾患の予防または治療剤として極めて有用 ある。