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Patent Searching and Data


Title:
PLASMA DISPLAY PANEL AND MANUFACTURING METHOD THEREOF
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/104246
Kind Code:
A1
Abstract:
A PDP having a panel structure improved to make improvement in discharging delay. More particularly, a PDP having a new protective film structure which allows panels with uniform characteristics to be mass-produced with superior yields. The PDP has a pair of substrate structures (1, 9) which face each other via a discharge space formed by filling a discharge gas. One (1) of such a pair of substrate structures (1, 9) includes display electrodes (2X, 2Y) arranged on a substrate (1a), a dielectric layer (3) to coat the display electrodes (2X, 2Y), and a protective layer (4) to coat the dielectric layer (3). The protective layer (4) has a plurality of orientation-aligned MgO single crystals (4b) attached onto an MgO film (4a). For the MgO single crystals (4b), a value given by dividing three times the number of a standard deviation of a coverage onto the MgO film (4a) by an average value of a coverage is 20% or less.

Inventors:
YAMARYO YASUHITO (JP)
KANEKO YOSHIYUKI (JP)
TACHIHARA HIROYUKI (JP)
UENO TAKAHIRO (JP)
KAWASAKI TAKASHI (JP)
OTOMI ATSUO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/052737
Publication Date:
August 27, 2009
Filing Date:
February 19, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HITACHI LTD (JP)
YAMARYO YASUHITO (JP)
KANEKO YOSHIYUKI (JP)
TACHIHARA HIROYUKI (JP)
UENO TAKAHIRO (JP)
KAWASAKI TAKASHI (JP)
OTOMI ATSUO (JP)
International Classes:
H01J9/02; H01J11/12; H01J11/40
Foreign References:
JP2006147417A2006-06-08
JP2007149384A2007-06-14
JP2007128894A2007-05-24
JP2007109597A2007-04-26
Attorney, Agent or Firm:
NOGAWA, Shintaro (JP)
Shintaro Nogawa (JP)
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Claims:
放電ガスを封入して形成された放電空間を介して対向する一対の基板構体を備え、前記一対の基板構体の一方は、基板上に配置された表示電極と、この表示電極を被覆する誘電体層と、この誘電体層を被覆する保護層を備え、
前記保護層は、MgO膜上に配向の揃った複数のMgO単結晶が付着されて構成され、
前記MgO単結晶は、前記MgO膜に対する被覆率の標準偏差の3倍を被覆率の平均値で除した値が20%以下であるプラズマディスプレイパネル。
前記保護層は、(200)面のX線回折信号強度の規格化後の値が、前記MgO膜1μmあたりの(111)面のX線回折信号強度の1倍以上である請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
前記MgO単結晶は、粒度分布での累積50%値が0.6μm以上である請求項1又は2に記載のプラズマディスプレイパネル。
前記MgO単結晶は、粒度分布での累積10%値が累積50%値の0.5倍以上である請求項2に記載のプラズマディスプレイパネル。
前記MgO膜は、表面に(111)面を有し、前記MgO単結晶は、(100)面を有し、
前記MgO単結晶は、前記MgO膜の(111)面を部分的に被覆するように、前記MgO単結晶のそれぞれの(100)面が揃えられて前記MgO膜の表面と平行となる状態で均等に分散配布されている請求項1又は2に記載のプラズマディスプレイパネル。
前記MgO単結晶は、前記(100)面の反対側の結晶面が前記MgO膜面と面接触する形で分散配布されてなる請求項5に記載のプラズマディスプレイパネル。
前記被覆率の平均値は、0.1~10%である請求項1又は2に記載のプラズマディスプレイパネル。
請求項1又は2に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記MgO単結晶は、スプレー塗布の霧化圧が150kPa以上300kPa以下の条件でMgO単結晶の濃度が0.01~2wt%であるスラリーを前記MgO膜の上方からスプレーすることによって前記MgO膜上に付着させるプラズマディスプレイパネルの製造方法。
Description:
プラズマディスプレイパネル及 その製造方法

 本発明は、プラズマディスプレイパネル( 以下、「PDP」と呼ぶ。)及びその製造方法に する。

 現在、一般に商品化されているAC駆動方式 PDPは面放電型である。
 面放電型PDPでは、カラー表示のための蛍光 層を表示電極対からパネルの厚さ方向に遠 けて配置することができ、それによって放 時のイオン衝撃による蛍光体の特性劣化を 減することができる。従って、面放電型PDP 、対を成すXおよびYの表示電極を前面基板 背面基板とに振り分けて配置する対向放電 に比べて、長寿命化に適している。

 上記一般の面放電型AC型PDPの前面基板で 、XおよびYの表示電極を覆う誘電体層が放電 時のイオンの衝撃により劣化することを防ぐ ために保護層を設ける。この保護層は、誘電 体層が放電時のイオンの衝撃により劣化する のを防ぐだけでなく、該保護層にイオンが衝 突することにより、二次電子を放出し、放電 を成長させる機能も有する。

 上記保護膜として、耐イオン衝撃性や二 電子の放出のしやすさから、酸化マグネシ ム(MgO)の薄膜が用いられるのが一般的であ 。

 上記MgOの保護膜は2次電子放射係数が高く 、放電開始電圧を低減するには極めて有効で あるが、パネルの高精細化の要求に対して更 にアドレス速度を向上させる必要から新たに 放電遅れの問題が提起されている。即ちいわ ゆるフルハイビジョン規格に従って1080ライ の走査を所定のフレーム時間の中で階調表 に必要なサブフィールド分行うには放電遅 を如何に短縮するかが大きな課題となる。

 ここで、放電遅れとは、一般に形成遅れ 統計遅れの和として考えられる。形成遅れ 、電極間に生成した初電子が発生してから 確な放電が形成されるまでの時間であり、 数回放電を実施したときのほぼ最小放電時 と見なされている。統計遅れは、電圧印加 ら電離が始まり放電が開始するまでの時間 あり、一般には多数回放電を繰り返した際 ばらつきはほぼこれによるため、統計遅れ 呼ばれている。これらの放電遅れが長いと 表示ミス防止のためにアドレス(表示の書き 込み)時間を長くせざるを得ず、実際に必要 表示期間が短くなるなどの悪影響を与える したがって、PDPにとって、放電遅れが短い とが望ましい。

 放電遅れを短くするための一つの解決策 して従来MgO保護膜の上にMgOの単結晶粒子を 散配布する技術が例えば特開2006-147417号な で提案されている。しかしながら、かかる 来の技術ではパネル個々の特性を一様にそ えることが難しく、この点の改善が望まれ いた。

 本発明は、放電遅れを改善するための改 されたパネル構造を有するPDPの提供を目的 するものであり、更に具体的には特性の一 なパネルを歩留まり良く量産できる新しい 護膜構成を有するPDPの提供を目的とするも である。

 本発明のPDPは、放電ガスを封入して形成 れた放電空間を介して対向する一対の基板 体を備え、前記一対の基板構体の一方は、 板上に配置された表示電極と、この表示電 を被覆する誘電体層と、この誘電体層を被 する保護層を備え、前記保護層は、MgO膜上 配向の揃った複数のMgO単結晶が付着されて 成され、前記MgO単結晶は、前記MgO膜に対す 被覆率の標準偏差の3倍を被覆率の平均値で 除した値が20%以下である。

 本発明は、MgO膜の上にMgO単結晶を配向を揃 て付着させるという考え方を骨子とするも である。このように配置することにより放 遅れを改善しながらパネル特性を均一にす ことができる。
 また、本発明は、MgO膜に対するMgO単結晶の 覆率の標準偏差の3倍を被覆率の平均値で除 した値が20%以下であるという特徴も有してい る。このようにすることによってパネル点灯 時の画面内における明暗のムラの発生を抑制 できる。

 なお、被覆率の標準偏差の3倍を被覆率の平 均値で除した値を基準とした理由は、以下の 通りである。被覆率の分布が正規分布である と仮定し、標準偏差をσとして表すと、平均 +/-3σの中に全データの99.73%が含まれること ら測定値のばらつきの広さを3σで表した。 た、相対的に比較するために平均値に対す ばらつきの広さを表す目的で3σを平均値で した。
 本発明において、「被覆率」とは、分散配 した面に対して垂直方向に観察した時、下 MgO保護膜の面積に対するMgOの単結晶の面積 割合である。被覆率は、0.6mm×0.6mmの正方形 視野範囲で直線的に10mmの等間隔で10点以上( 例:10点、11点又は12点)の測定点で測定する。 た、本発明において、「標準偏差」とは、 本に基づいて予測した標準偏差を意味する

 被覆率の標準偏差の3倍を被覆率の平均値で 除した値を20%以下にする方法は、特に限定さ れないが、一例では、MgO単結晶の濃度が比較 的低いスラリーを高い霧化圧でMgO膜上にスプ レー塗布することによって実現可能である。
 以下、本発明の種々の実施形態等を例示す 。

 前記保護層は、(200)面のX線回折信号強度の 格化後の値が、前記MgO膜1μmあたりの(111)面 X線回折信号強度の1倍以上であってもよい
 前記MgO単結晶は、粒度分布での累積50%値が0 .6μm以上であってもよい。
 前記MgO単結晶は、粒度分布での累積10%値が 積50%値の0.5倍以上であってもよい。
 前記MgO膜は、表面に(111)面を有し、前記MgO 結晶は、(100)面を有し、前記MgO単結晶は、前 記MgO膜の(111)面を部分的に被覆するように、 記MgO単結晶のそれぞれの(100)面が揃えられ 前記MgO膜の表面と平行となる状態で均等に 散配布されていてもよい。前記MgO単結晶は 前記(100)面の反対側の結晶面が前記MgO膜面と 面接触する形で分散配布されてなってもよい 。
 ガス放電空間に露出する放電面が良好な初 電子放出機能と2次電子放出機能を有するこ とが放電遅れを改善する上で重要であり、従 って下地となるMgO膜は(111)面が表面に露出し 主に2次電子放出機能を担うように形成され 、その上に分散して配布されるMgO単結晶は主 に初期電子放出機能を担うよう(100)面を保護 面方向にそろえて設けられる。このような しい放電面の採用により放電遅れを改善す ことが出来るほか、下地MgO膜の上でMgO単結 の配向を(100)面に揃えたことにより製造す パネルの特性を均一化することができる。 た、下地MgO膜の表面とMgO単結晶との接触が 定した面接触となるためMgO単結晶の剥離や 散による部分的特性変化の問題も起こらな 。
 また、前記被覆率の平均値は、0.1~10%であっ てもよい。本発明によれば、このように被覆 率が比較的低い場合でもパネル点灯時の画面 内における明暗のムラの発生を抑制すること ができる。

 また、本発明は、上記構成のPDPの製造方法 あって、前記MgO単結晶は、スプレー塗布の 化圧が150kPa以上300kPa以下の条件でMgO単結晶 濃度が0.01~2wt%であるスラリーを前記MgO膜の 方からスプレーすることによって前記MgO膜 に付着させるPDPの製造方法も提供する。こ 方法によれば、MgO膜に対するMgO単結晶の被 率の標準偏差の3倍を被覆率の平均値で除し た値を20%以下にすることが容易である。
 ここで示した種々の実施形態等は、互いに み合わせることができる。

 上記のような新しい放電面の採用により 電遅れを改善することができる。また、MgO の上にMgO単結晶を配向を揃えて付着させる とにより、パネル特性を均一にすることが きる。また、下地MgO膜に対するMgO単結晶の 覆率を均一に揃えたことにより、MgO単結晶 被覆率が小さい場合でもパネル点灯時の画 内における明暗のムラの発生を抑制するこ ができる。

本発明の一実施形態のPDPの構成を示す 視図である。 図1中の前面側基板構体を部分的に切り 出し、上下を反転させた斜視図である。 本発明の一実施形態のPDPの保護層形成 利用可能なスプレー塗布装置の一例を示す 式図である。 本発明に関連する関連実験でのX線回折 測定の結果を示す。 本発明に関連する関連実験での放電遅 試験の結果を示す放電遅れと累積放電成功 率の関係を示すグラフである。

符号の説明

1:前面側基板構体 1a:前面基板 2X、2Y:表示 極 3:前面基板の誘電体層 4:保護層 4a:MgO膜  4b:MgO単結晶 5:隔壁 6R:蛍光体層R 6G:蛍光体 G 6B:蛍光体層B 7:背面側基板構体の誘電体  8:アドレス電極 9:背面側基板構体 9a:背面 板 10:透明電極 11:バス電極 21:気体導入管 22:タンク 23:スラリー 24:配管 25:ポンプ 26: 配管 27:気体導入管 28:スプレーガン 29:基板

 以下、本発明の実施形態を図面を用いて 明する。図面や以下の記述中で示す内容は 例示であって、本発明の範囲は、図面や以 の記述中で示すものに限定されない。以下 実施形態では、カラー表示用のAC駆動型の3 極面放電型PDPを例にとって説明を進める。

1.PDP
 図1及び図2を用いて本発明の一実施形態のPD Pについて説明する。図1は、本実施形態のPDP 構造を示す斜視図である。図2は、図1中の 面側基板構体1を部分的に切り出し、上下を 転させた斜視図である。

 本実施形態のPDPは、放電ガスを封入して 成された放電空間を介して対向する前面側 板構体1と背面側基板構体9を備える。

 前面側基板構体1は、前面基板1a上に配置 れた複数の表示電極2X、2Yと、この表示電極 2X、2Yを被覆する誘電体層3と、この誘電体層3 を被覆する保護層4を備え、保護層4は、MgO膜4 a上に配向の揃った複数のMgO単結晶4bが付着さ れて構成される。

 背面側基板構体9は、背面基板9a上に配置さ たデータ電極8と、アドレス電極(データ電 とも呼ばれる)8を覆う誘電体層7と、誘電体 7の上でアドレス電極8の両側に配置された隔 壁5と、隔壁5の側面及び誘電体層7の表面に形 成された蛍光体層6を備える。
 以下、各構成要素について詳細に説明する

1-1.前面基板、表示電極、誘電体層、保護膜( 面側基板構体)
 前面基板1aの種類は、特に限定されず、前 基板1aは、例えば、ガラス基板等の透明基板 からなる。

 前面基板1aの内側面には、水平方向に延 る複数の表示電極2Xと表示電極2Yとが平行に 置されている。隣接する表示電極2Xと表示 極2Yとの間がすべて表示ラインになる。なお 、このPDPは、表示電極2Xと表示電極2Yとが等 隔に配置され、隣接する表示電極2Xと表示電 極2Yとの間がすべて表示ラインになる、いわ るALIS構造のPDPであるが、対になる表示電極 2Xと表示電極2Yとが放電の発生しない間隔(非 電ギャップ)を隔てて配置された構造のPDPで あっても、本発明を適用することができる。

 各表示電極2X、2Yは、ITO、SnO 2 などからなる透明電極10と、例えばAg、Au、Al Cu、Crおよびそれらの積層体(例えばCr/Cu/Crの 積層構造)などからなる金属製のバス電極11と から構成されている。表示電極2X、2Yは、Ag、 Auについてはスクリーン印刷のような厚膜形 技術を用い、その他の金属については蒸着 やスパッタ法などの薄膜形成技術とエッチ グ技術とを用いることにより、所定の本数 厚さ、幅および間隔で形成することができ 。透明電極10は主に放電に寄与し、蛍光体 発光を前面基板1a側から見ることができるよ うに光透過性である。バス電極11は主に放電 の電流を流すため、低抵抗性であることが ましい。透明電極10及びバス電極11の形状は 、特に限定されず、ストレート形、T字形又 梯子形等の何れであってもよい。透明電極10 とバス電極11の形状は、同じであっても互い 異なっていてもよい。例えば、透明電極10 T字形や梯子形にして、バス電極11をストレ ト形にしてもよい。

 表示電極2X、2Yの上には、表示電極2X、2Yを うように誘電体層3が形成されている。誘電 層3は、低融点ガラス粉末を主成分とするフ リットペーストを、前面基板1a上にスクリー 印刷法で塗布し、焼成することにより形成 ている。また、シート状の誘電体層を貼り けて焼成する方法もある。さらに誘電体層3 は、プラズマCVD法でSiO 2 膜を成膜することにより形成してもよい。

 誘電体層3の上には、表示の際の放電によ り生じるイオンの衝突による衝撃から誘電体 層3を保護するための保護層4が形成されてい 。保護層4の詳細は、後述する。

1-2.背面基板、アドレス電極、誘電体層、隔 、蛍光体層(背面側基板構体)
 背面基板9aの種類は、特に限定されず、背 基板9aは、例えば、ガラス基板等の透明基板 からなる。

 背面基板9aの内側面には、平面的に見て 示電極2X、2Yと交差する方向に複数のアドレ 電極8が形成され、そのデータ電極8を覆っ 誘電体層7が形成されている。アドレス電極8 は、表示電極2Yとの交差部で発光セルを選択 るためのアドレス放電を発生させるもので り、例えばCr/Cu/Crの3層構造で形成されてい 。

 アドレス電極8は、この他に、例えばAg、A u、Al、Cu、Crなどで形成することもできる。 ドレス電極8も、表示電極2X、2Yと同様に、Ag Auについてはスクリーン印刷のような厚膜 成技術を用い、その他の金属については蒸 法やスパッタ法などの薄膜形成技術とエッ ング技術を用いることにより、所定の本数 厚さ、幅および間隔で形成することができ 。

 背面基板の誘電体層7は、前面基板1a上の 電体層3と同じ材料、同じ方法を用いて形成 することができる。

 隣接する2つのアドレス電極8間の誘電体 7の上には、放電空間を仕切る複数の隔壁5が 形成されている。本実施形態の隔壁5の形状 ストライプ状である。隔壁5の形状は、ミア ダ形、格子形又は梯子形であってもよい。

 隔壁5は、サンドブラスト法、フォトエッ チング法などにより形成することができる。 例えば、サンドブラスト法では、低融点ガラ スフリット、バインダー樹脂、溶媒などから なるフリットペーストを誘電体層7上に塗布 て乾燥させた後、そのフリットペースト層 に隔壁パターンの開口を有する切削マスク 設けた状態で切削粒子を吹き付けて、マス の開口部に露出したフリットペースト層を 削し、さらに焼成することにより形成する また、フォトエッチング法では、切削粒子 切削することに代えて、バインダー樹脂に 光性の樹脂を使用し、マスクを用いた露光 よび現像の後、焼成することにより形成す 。

 隔壁5で区切られた放電空間の側面および 底面には、赤(R)、緑(G)、青(B)の蛍光体層6R、6 G、6Bが形成されている。蛍光体層6R、6G、6Bは 、蛍光体粉末とバインダー樹脂と溶媒とを含 む蛍光体ペーストを隔壁で区切られた放電空 間内にスクリーン印刷またはディスペンサを 用いた方法などで塗布し、これを各色ごとに 繰り返した後、焼成することにより形成して いる。

 蛍光体層6R、6G、6Bは、蛍光体粉末と感光 材料とバインダー樹脂とを含むシート状の 光体層材料(いわゆるグリーンシート)を使 し、フォトリソグラフィー技術で形成する ともできる。この場合、所定の色のシート 基板上の表示領域全面に貼り付けて、露光 現像を行い、これを各色ごとに繰り返すこ で、対応する隔壁5間に各色の蛍光体層6を形 成することができる。

 以上に述べてきた前面側基板構体1と背面 側基板構体9とを、表示電極2X、2Yとアドレス 極8とが交差するように対向配置し、周囲を 封止し、隔壁5で囲まれた放電空間にNeを主成 分としXeを含む放電ガスを充填することによ PDPが完成する。このPDPでは、表示電極2X、2Y とアドレス電極8との交差部の放電空間が、 示の最小単位である1つのセル(単位発光領域 )となる。1画素はR、G、Bの3つのセルで構成さ れる。

1-3.保護層
 次に、本発明が特徴とする保護層4について 詳細に説明する。保護層4は、MgO膜4a上に配向 の揃った複数のMgO単結晶4bが付着されて構成 れる。

 MgO膜4aは、電子ビーム蒸着法やスパッタ法 ような当該分野で公知な薄膜プロセスで形 することができる。
 MgO単結晶4bは、MgOのみからなってもよいが 結晶構造に影響を与えない程度に少量の別 成分(例えば、フラックスの残渣)を含んでい てもよい。MgO単結晶4bは、立方晶であり、全 の結晶面は、物理的及び化学的性質におい 等価である。このため、複数のMgO単結晶4b MgO膜4a上に付着され、各MgO単結晶4bの何れか 結晶面がMgO膜4aの表面と接触すると、複数 MgO単結晶4bの配向は同じ方位に揃う。つまり 、複数のMgO単結晶4bの配向は、MgO単結晶4bの 晶面とMgO膜4aとの間に挟まるような微小な粒 子によって阻害されない限り同じ方位に揃う 。なお、「配向の揃った」とは、立方晶の結 晶面の法線方向が互いに一致していることを 意味し、この方向が一致していれば、立方晶 がその法線周りに回転していても構わない。

 ここで、電子ビーム蒸着法で成膜した下 MgO膜4aの表面は微視的には柱状結晶構造の 凸を持ち柱状結晶の登頂間に微細な隙間が る。従って、前記凹凸間隔が付着させるMgO 結晶の粒径より小さいと下地膜面は実質的 平坦と見做すことができ、配向面を揃える に都合が良い。すなわち、前記下地MgO膜の 状結晶の登頂間隔の2倍より小さい粒径のMgO 結晶が多く混在していると、その単結晶は 記登頂間の隙間に傾いて入り込み全体の配 面が揃わなくなる。かかる観点から本発明 おいては、複数のMgO単結晶4bの粒度分布で 累積50%値は、0.6μm以上が好ましく、0.9μm以 がさらに好ましい。すなわち配向を揃える めの技術要件としては単位体積当り半分以 のMgO単結晶の粒径が0.6μm以上であることが 要であり、好ましくは0.9μm以上さらには1.3μ m以上のものを用いる。粒径が小さすぎると 記のようにMgO単結晶4bの角がMgO膜4a面の凹凸 入り込むので、0.1μm以下の粒径のものは含 ないことが望ましい。また、上記累積50%値 、30μm以下が好ましい。粒径が大きすぎる 2次電子放出機能を担う下地MgO膜の露出面積 狭くなり放電電圧が上昇するからである。M gO単結晶4bの粒度分布は、レーザー回折式の 度分布計を用いて求めることができる。

 複数のMgO単結晶4bの粒度分布での累積50% は、具体的には、例えば、0.6、0.7、0.8、0.9 1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2 、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3 4、5、10、15、20、25、30μmである。上記累積50 %値の範囲は、ここで例示した数値の何れか2 の間の範囲内であってもよい。

 複数のMgO単結晶4bの粒度分布での累積10% は、特に限定されないが、累積50%値の0.5倍 上であることが好ましい。この場合、複数 MgO単結晶4b中の微細なMgO単結晶4bの割合が小 い。微細なMgO単結晶4bは、比較的サイズが きなMgO単結晶4bの結晶面とMgO膜4aとの間に挟 り、MgO単結晶4bの結晶面とMgO膜4aとの接触を 妨げ、複数のMgO単結晶4bの配向が揃うのを妨 る。累積10%値が累積50%値の0.5倍以上である 合、微細なMgO単結晶4bの割合が小さくなり 複数のMgO単結晶4bの配向が揃いやすい。

 複数のMgO単結晶4bの粒度分布での累積10% は、具体的には、例えば、累積50%値の0.5、0. 55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95倍で ある。上記累積10%値は、ここで例示した数値 の何れか2つの間の範囲内であってもよく、 れか1つ以上であってもよい。累積10%値が累 50%値に近いほど複数のMgO単結晶4bの配向が いやすい。

 複数のMgO単結晶4bの配向が揃っているか うかは、X線回折(XRD)での(200)面の信号強度と (111)面の信号強度との比に基づいて判断する とができる。(200)面は、(100)面と等価であり 、(200)面の信号は、複数のMgO単結晶4bの配向 揃っている場合に強く、複数のMgO単結晶4bの 配向が揃っていない場合には非常に弱くなる 。一方、(111)面の信号は、主にMgO膜4aからの 号であり、複数のMgO単結晶4bの配向が揃って いるかどうかにはほとんど依存しない。従っ て、{(200)面の信号強度/(111)面の信号強度}の は、複数のMgO単結晶4bの配向が揃っているか どうかを示しており、一例では、規格化後の (200)面の信号強度が、MgO膜1μmあたりの(111)面 信号強度の1倍以上である場合に複数のMgO単 結晶4bの配向が揃っていると判断することが きる。なお、規格化とは、(111)面と(200)面の 存在比が1/1の時、実測の信号強度比は11.6/100 なるのを勘案し、(111)面を基準として、(200) 面の実測の信号強度に0.116を掛けることであ 。

 MgO単結晶4bの作製方法は、特に限定され いが、一例では、気相法で作製したMgO種結 と少量のフラックス(反応促進剤)を混合して 焼成し、得られた焼成物を解砕することによ って作製することができる。気相法で作製し たMgO種結晶は、サイズが小さくかつサイズの ばらつきが大きいので、気相法で作製したMgO 種結晶をMgO膜4a上に散布してもその配向は揃 ない。一方、上記方法で作製したMgO単結晶4 bは、サイズが比較的大きく且つサイズのば つきが小さい。従って、このMgO単結晶4bをMgO 膜4a上に散布すると複数のMgO単結晶4bの配向 揃う。フラックスとしては、例えば、マグ シウムのハロゲン化物(フッ化マグネシウム )を用いることができる。

 焼成は、例えば、1000~1700℃で、1~5時間行 。一般に、MgO単結晶4bのサイズは、焼成温 が高くなるほど、焼成時間が長くなるほど フラックスの添加量が多いほど大きくなる また、サイズが小さなものほど焼成時の結 成長の速度が速いので焼成温度が高くなる ど、焼成時間が長くなるほど、フラックス 添加量が多いほどサイズのばらつきが小さ なる。従って、MgO単結晶4bの粒度分布が所望 の状態になるように焼成温度、時間及びフラ ックスの添加量を適宜設定する。焼成の温度 は、例えば、1000、1100、1200、1300、1400、1500、 1600又は1700℃である。焼成の温度は、ここで 示した何れか2つの数値の間の範囲内であっ てもよい。焼成の時間は、例えば、1、2、3、 4又は5時間である。焼成の時間は、ここで例 した何れか2つの数値の間の範囲内であって もよい。フラックスの添加量は、例えば、0.0 01~0.1wt%であり、具体的には、例えば、0.001、0 .002、0.005、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.0 7、0.08、0.09又は0.1wt%である。フラックスの添 加量は、ここで例示した数値の何れか2つの の範囲内であってもよい。焼成物の解砕を う方法は、特に限定されないが、例えば、 成物を乳鉢に入れて、それを乳棒ですり潰 て粉体状にする方法が挙げられる。

 気相法によるMgO種結晶の作製は、例えば 特開2004-182521号公報に記載された方法や、 材料』昭和62年11月号、第36巻第410号の第1157~ 1161頁の『気相法によるマグネシア粉末の合 とその性質』に記載された方法で行うこと できる。また、気相法で作製したMgO種結晶 、宇部マテリアルズ株式会社から購入して よい。

 複数のMgO単結晶4bは、MgO膜4aに対する被覆率 の標準偏差の3倍を被覆率の平均値で除した が20%以下である。この場合、面内ばらつき 抑えられ、パネル点灯時の画面内における 暗のムラを抑制することができる。
 被覆率の標準偏差の3倍を被覆率の平均値で 除した値は、具体的には、例えば、0、1、5、 10、15、20%である。被覆率の標準偏差の3倍を 覆率の平均値で除した値は、ここで例示し 数値の何れか2つの間の範囲内であってもよ い。また、被覆率の平均値は、10%を超えると 、雰囲気中から保護層4に吸着される不純物 増加し、吸着された不純物により緑色蛍光 が劣化して緑色発光が弱くなり表示色に赤 が増しいわゆる画面内における赤ムラが顕 になるため、10%以下(例えば0.1~10%)が望まし 、具体的には例えば、0.1、0.3、0.5、1、1.5、2 、2.5、3、4、5、10%である。また、被覆率の平 均値は、ここで例示した数値の何れか2つの の範囲内であってもよい。

1-4.保護層の形成方法
 保護層4の形成方法は、特に限定されないが 、一例では、保護層4は、MgO膜4aに対するMgO単 結晶4bの被覆率の標準偏差の3倍を被覆率の平 均値で除した値が20%以下となるように複数の MgO単結晶4bをMgO膜4a上に付着させることによ て形成することができる。
 また、MgO単結晶4bをMgO膜4a上に付着させる方 法を特に限定されない。一例では、MgO単結晶 4bの濃度が0.01~2wt%であるスラリーをスプレー 布の霧化圧が150kPa以上300kPa以下の条件でMgO 4aの上方からスプレーすることによって、Mg O単結晶4bをMgO膜4a上に付着させることができ 。MgO単結晶4bは、MgO膜4a上の全面または一部 に付着させることができる。

 スラリーの分散媒は特に限定されないが 水酸基やカルボニル基やニトリル基のよう 極性の高い分子構造を持ち、MgOの単結晶を かさない化合物が好ましく、2-プロパノー (イソプロピルアルコール、IPA)のようなアル コールがさらに好ましい。

 スラリー中のMgO単結晶4bの濃度は、0.01~2wt %である。スラリーの濃度が濃すぎるとスプ ー塗布の際に霧化された液滴中でMgO単結晶4b が凝集して均一な塗布状態を実現できなくな る場合があるからである。MgO単結晶4bの濃度 、具体的には例えば、0.01、0.05、0.1、0.2、0. 3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2wt%で る。MgO単結晶4bの濃度は、ここで例示した 値の何れか2つの間の範囲内であってもよい

 スラリーのスプレー塗布は、一例では、 3に示すような塗布装置を用いて行うことが できる。図3の塗布装置では、タンク22に入っ た上記組成のスラリー23は、ポンプ25の作用 よって、配管24、26を通ってスプレーガン28 移送され、スプレーガン28から基板29に向け 吐出される。また、ポンプ25の作用によっ スラリー23を移送する代わりに、タンク22に けられた気体導入管21を通じて空気や窒素 どの気体で圧力をかけて、スラリー23をスプ レーガン28まで圧送してもよい。

 スプレーガン28としては、スラリーと空 とを2液化状態に霧化して吐出する、いわゆ 2流体エア霧化方式のものを使用する。この とき、スラリーを霧化するための空気の圧力 いわゆる霧化圧を高圧にすることで霧化され たスラリーの液滴が細かくなり、液滴中での MgO単結晶4bの凝集が起こりにくくなる。さら 、液滴が細かくなることで、液滴がMgO膜4a 着弾後すぐに溶媒が蒸発するので、着弾後 溶媒が蒸発する前に液滴どうしが互いに結 することでMgO単結晶4bが凝集することを防ぐ ことができ、MgO膜4aに対するMgO単結晶4bの被 率が均一になるように分散配布することが きる。ただし、霧化圧が高すぎると、液滴 細かくなりすぎ、着弾する前に溶媒が蒸発 てしまい、MgO膜4aにMgO単結晶4bが付着しない

 かかる観点から、MgO膜4aに対するMgO単結 4bの被覆率が均一になるように分散配布する ためには、スプレーガンにかかる霧化圧は150 kPa以上300kPa以下が好ましい。具体的には、例 えば、150、160、170,180,190、200、210,220,230,240,250 、300kPaである。霧化圧は、ここで例示した数 値の何れか2つの間の範囲内であってもよい

2.効果実証実験
 以下の効果実証実験では、MgO膜4aに対するMg O単結晶4bの被覆率の標準偏差の3倍を被覆率 平均値で除した値が20%以下の場合と、20%を える場合とで点灯時の画面内における明暗 ムラを比較することにより、本発明の効果 実証した。

2-1.MgO単結晶の製造方法
 以下の方法でMgO単結晶4bを作製した。
 まず、MgO種結晶(宇部マテリアルズ株式会社 製、商品名:気相法高純度超微粉マグネシア(2 000A))にフラックスとしてMgF 2 (フルウチ化学株式会社製、純度:99.99%)を48ppm 加した。これを乳鉢と乳棒ですり潰すこと よって混合及び粉砕を実施した。

 次に、混合及び粉砕後の上記原料を大気 で、焼成時間を1時間、温度を1450℃で焼成 行った。次に、乳鉢と乳棒を用いて焼成物 解砕し、MgO単結晶4bを作製した。

 ここで得られたMgO単結晶4bについて、レ ザー回折式の粒度分布計(型式:HELOS&RODOS、 Sympatec社製)を用いて粒度分布を求めた。その 結果、累積10%値、累積50%値、累積90%値は、そ れぞれ、0.8μm、1.2μm、2.1μmであった。累積10% 値は、累積50%値の0.67倍であり、得られたMgO 結晶4bは、微細な粒子の含有量が少ないこと が分かる。

2-2.PDPの製造方法
 次に、MgO膜4a上に配向の揃った複数のMgO単 晶4bを付着させたPDPを以下の方法で製造した 。

2-2-1.概要
 図1に示すようにガラスからなる前面基板1a に表示電極2X、2Y、誘電体層3、保護層4(MgO膜 4a及びその上に付着した配向の揃った複数のM gO単結晶4b)を形成することによって前面側基 構体1を作製した。また、ガラスからなる背 面基板9a上にアドレス電極8、誘電体層7、隔 5及び蛍光体層6G、6B、6Rを形成することによ て背面側基板構体9を作製した。次に、前面 側基板構体1と背面側基板構体9を重ね合わせ 周縁部を封着材で封止することによって内 に気密な放電空間を有するパネルを作製し 。次に、放電空間内を排気後、放電ガスを 入し、PDPを完成させた。

2-2-2.MgO膜4a上にMgO単結晶4bを付着させる方法
 MgO単結晶4bは、以下の方法でMgO膜4a上に付着 させた。
 まず、MgO単結晶4bをIPA(関東化学株式会社製 電子工業用)に混合し、超音波分散機で分散 させて凝集解砕させ、スラリーを作製した。

 次に、MgO膜4a上に塗装用スプレーガンを用 て上記スラリーをスプレー塗布し、MgO単結 4bをMgO膜4a上に付着させた。スプレーガンは 2流体エア霧化方式のものを用いた。スラリ ー中のMgO単結晶4bの濃度と、スプレーガンに かる霧化圧は、表1のように設定した。MgO単 結晶4bは、MgO単結晶4bの密度が1m 2 当り0.1gとなるように付着させた。

[規則26に基づく補充 14.03.2008] 

 MgO単結晶4bを付着させた後に顕微鏡を用 て被覆率の測定を行った。顕微鏡の倍率は 10倍であり、視野範囲は、0.6mm×0.6mmの正方形 であった。被覆率は、バス電極11に対して、0 度、45度、90度の方向に10mm間隔でそれぞれ12 測定した。また、得られた被覆率の値を用 て、被覆率の標準偏差の3倍を被覆率の平均 で除した値を算出した。その結果を表2~表4 示す。

[規則26に基づく補充 14.03.2008] 

[規則26に基づく補充 14.03.2008] 

[規則26に基づく補充 14.03.2008] 

 表2~表4を参照すると、被覆率の標準偏差 3倍を被覆率の平均値で除した値は、比較例 では、バス電極11に対して0度の方向では39%、 バス電極11に対して45度の方向では46%、バス 極11に対して90度の方向では26%であった。こ に対し、実施例で、バス電極11に対して0度 方向では20%、バス電極11に対して45度の方向 では17%、バス電極11に対して90度の方向では17 %であった。

2-2-3.その他
 その他の条件は、以下の通りにした。

前面側基板構体1:
 透明電極10の幅:270μm
 バス電極11の幅:95μm
 放電ギャップの幅:100μm
 誘電体層3:低融点ガラスペーストの塗布焼 により形成、厚さ:30μm
 MgO膜4a:電子ビーム蒸着によるMgO層、厚さ:1.1 μm
背面側基板構体9:
 アドレス電極8の幅:70μm
 誘電体層7:低融点ガラスペーストの塗布焼 により形成、厚さ:10μm
 アドレス電極8の真上での蛍光体層6G、6B、6R の厚さ:20μm
 隔壁5の高さ:140μm 頂部での幅:50μm
 隔壁5のピッチ:360μm
 放電ガス:Ne96%-Xe4%、500Torr

2-3.点灯試験
 次に、製造した各PDPについて点灯試験を行 画面内における明暗のムラを評価した。点 試験の結果を表5に示す。明暗のムラの評価 は、目視によって行った。

 表5を参照すると、実施例では明暗のムラが 改善されていることが分かる。この結果は、 被覆率の標準偏差の3倍を被覆率の平均値で した値が20%以下でMgO単結晶4bがMgO膜4aに付着 れたPDPは、MgO単結晶4bが均一に付着されて ることで、良好な放電特性を得ることがで ることを示している。
 また、以下の関連実験で示すように、MgO膜4 a上において複数のMgO単結晶4bの配向を揃える ことによって放電遅れを大幅に改善すること ができる。
 以上より、本発明によれば放電遅れが大幅 改善され且つ明暗のムラが改善されたPDPが られることが実証された。

3.関連実験
 次に、「2-1.MgO単結晶の製造方法」で示した 方法で製造したMgO単結晶4bを用いれば、MgO膜4 a上において複数のMgO単結晶4bの配向を揃える ことができ、これによって放電遅れを大幅に 改善することができることを示す関連実験に ついて説明する。
 この関連実験では、PDPは、基本的に、上記 「2-2.PDPの製造方法」の項で説明した方法で 製造した。但し、MgO単結晶4bは、以下の方法 MgO膜4a上に付着させた。PDPの製造後に放電 れ試験を行った。
 以下、詳細に説明する。

3-1.MgO膜4a上にMgO単結晶4bを付着させる方法
 まず、MgO単結晶4bをIPA(関東化学株式会社製 電子工業用)1Lに対して2gの割合で混合し、 音波分散機で分散させて凝集解砕させ、ス リーを作製した。

 次に、MgO膜4a上に塗装用スプレーガンを用 て上記スラリーをスプレー塗布し、その後 ドライエアを吹き付けて乾燥させる工程を 回繰り返すことによってMgO単結晶4bをMgO膜4a に付着させた。スプレーガンは、2流体エア 霧化方式のものを用いた。スプレーガンにか かる霧化圧は、60kPaとした。MgO単結晶4bは、Mg O単結晶4bの密度が1m 2 当り0.3gとなるように付着させた。

 MgO単結晶4bを付着させる前後にXRD測定を った。その結果を図4に示す。図4を参照する と、MgO単結晶4bを付着させる前には(111)面の 号と(222)面の信号が観測され、MgO単結晶4bを 着させた後には(111)面の信号と(222)面の信号 に加えて(200)面の信号が観察された。(111)面 信号強度と(222)面の信号強度は、MgO単結晶4b 付着させる前後で変化しなかった。規格化 の(200)面の信号強度は、MgO膜1μmあたりの(111 )面の信号強度の1.9倍であった。この結果は 複数のMgO単結晶4bの配向が揃っていることを 示している。また、上記のMgO種結晶を同様の 方法でMgO膜4a上に付着させたものについてもX RD測定を行ったところ、(200)面の信号強度は 極めて小さく、規格化後の(200)面の信号強度 は、MgO膜1μmあたりの(111)面の信号強度の0.5倍 未満であった。

 また、MgO単結晶4bを付着させる前後に光 を測定し、光沢変化率を求めた。光沢は、 式会社堀場製作所製ハンディ光沢計IG-331を いて測定角60度で測定した。その結果、光沢 変化率は、30%であった。この値は、MgO単結晶 4bによるMgO膜被覆率に換算すると、6%程度と えられる。

3-2.放電遅れ試験
 次に、製造した各PDPについて放電遅れ試験 行った。放電遅れ試験では、アドレス電極8 に電圧を印加し、この電圧印加時から実際に 放電が開始されるまでの時間を測定した。放 電開始までの時間は1000回測定した。放電遅 と累積放電成功確率の関係を図5に示す。
 図5に、配向の揃った複数のMgO単結晶4bがMgO 4a上に付着している場合と、付着していな 場合の結果を示す。図5を参照すると、前者 場合に放電遅れが改善されていることが分 る。この結果は、MgO膜4a上に配向の揃った 数のMgO単結晶4bが付着した構造の保護層4を つPDPは、放電遅れなどの放電特性の改善が られて、良好な放電特性を得ることができ ことを示している。

 以上より、「2-1.MgO単結晶の製造方法」で 示した方法で製造したMgO単結晶4bを用いれば MgO膜4a上において複数のMgO単結晶4bの配向を 揃えることができ、これによって放電遅れを 大幅に改善することができることが実証され た。

 以上の実施形態では前記基板に一対の表 電極、背面基板にアドレス電極を配置した3 電極面放電型PDPを例にとって説明したが、本 発明はこれに限らず例えば前面基板上にアド レス電極と一対の表示電極とを配置した3電 面放電型PDPにも適用でき、この場合アドレ 電極上に絶縁層を介して表示電極が配置さ 、表示電極上に誘電体層と保護層が設けら る。この他、対向する基板上に対をなすXお びYの表示電極を振り分けて配置したAC駆動 式の2電極対向放電型PDPへの適用も可能であ る。

 本発明の適用によって、放電遅れを改善 ることができるとともに、パネル点灯時の 面内における明暗のムラによる表示不良を 減することができ、またパネルを歩留り良 量産することができる。したがって、本発 を適用したプラズマディスプレイパネルは 低価格で良質の表示を提供する上で有用で る。




 
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