Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
PLASMA DISPLAY PANEL AND METHOD FOR MANUFACTURING SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/122742
Kind Code:
A1
Abstract:
A plasma display is equipped with a front plate (1) provided with a substrate (10), plural display electrode pairs disposed in a stripe pattern on the substrate, a dielectric layer (15) disposed so as to cover the respective display electrode pairs and the substrate, a dielectric protective film (16) disposed so as to cover the dielectric layer, and particulates (17) each containing a metal oxide crystal dispersed on the surface of the dielectric protective film. The display electrode pair consists of band-shaped scan electrode (12) and sustain electrode (13) each having a stacked structure of a transparent electrode (12a, 13a) and a bus electrode (12b, 13b). When in the surface of the dielectric protective film, a region facing the bus electrode of the scan electrode is defined as a first region and the remaining region other than the first region is defined as a second region, the coverage of the first region with particulates is lower than that of the second region therewith. Thus, the charge accumulation amount in the first region can be effectively increased, so that the discharge starting voltage can be prevented from rising.

Inventors:
MAESHIMA SATOSHI
KUROMIYA MICHIRU
NISHITANI SEIJI
MORITA MASASHI
Application Number:
PCT/JP2009/001530
Publication Date:
October 08, 2009
Filing Date:
April 01, 2009
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
PANASONIC CORP (JP)
MAESHIMA SATOSHI
KUROMIYA MICHIRU
NISHITANI SEIJI
MORITA MASASHI
International Classes:
H01J9/02; H01J17/16; H01J17/49
Foreign References:
JP2008016214A2008-01-24
JP2006114484A2006-04-27
JP2008091247A2008-04-17
JP2007311075A2007-11-29
Attorney, Agent or Firm:
TANAKA, Mitsuo et al. (JP)
Mitsuo Tanaka (JP)
Download PDF:
Claims:
 前面板と背面板とを対向配置するとともに周囲を封着して放電空間を形成したプラズマディスプレイパネルであって、
 前記前面板は、
 基板と、
 前記基板上にストライプ状に配置された複数の表示電極対と、
 前記それぞれの表示電極対及び前記基板を覆うように配置された誘電体層と、
 前記誘電体層を覆うように配置された誘電体保護膜と、
 前記誘電体保護膜の表面上に分散された金属酸化物の結晶を含む微粒子と、
 を備え、
 前記表示電極対は、透明電極とバス電極との積層構造をそれぞれ有する帯状の走査電極と維持電極とで構成され、
 前記誘電体保護膜の前記表面において、前記走査電極のバス電極と対向する領域を第1領域とし、前記第1領域を除いた残りの領域を第2領域としたとき、前記誘電体保護膜の前記表面が前記微粒子に覆われる被覆率は前記第1領域の方が前記第2領域よりも小さい、プラズマディスプレイパネル。
 前記第1領域における前記被覆率は、前記第2領域における前記被覆率の90%以下である、請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
 前記誘電体保護膜の前記表面において、前記走査電極のバス電極及び前記維持電極のバス電極と対向する領域を第3領域とし、前記第3領域を除いた残りの領域を第4領域とするとき、前記被覆率は前記第3領域の方が前記第4領域よりも小さい、請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
 前記第3領域における前記被覆率は、前記第4領域における前記被覆率の90%以下である、請求項3に記載のプラズマディスプレイパネル。
 請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法であって
 前記誘電体保護膜の表面上への前記微粒子の分散配置は、
 粘度の異なる少なくとも2つの揮発性溶媒を混合した混合溶媒に前記微粒子を分散させたインクを前記誘電体保護膜の表面上に塗布し、
 前記塗布したインクを真空乾燥して、前記混合溶媒を揮発させることにより行われる、
 プラズマディスプレイパネルの製造方法。
 前記混合溶媒の25℃での粘度が、5mPa・s以上10mPa・s以下である、請求項5に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
 前記混合溶媒のうちの一方の溶媒と他方の溶媒との25℃での蒸気圧差が100Pa以上である、請求項5に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
 請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
 前記誘電体保護膜の表面上への前記微粒子の分散配置は、
 少なくとも2つの揮発性溶媒を混合した混合溶媒に前記微粒子を分散させたインクを前記誘電体保護膜の表面上に塗布し、
 前記走査電極を加熱して、前記走査電極と対向する前記誘電体保護膜の表面上の領域を加熱し、
 前記塗布したインクを乾燥して、前記混合溶媒を揮発させることにより行われる、
 プラズマディスプレイパネルの製造方法。
 前記走査電極の加熱は、前記走査電極に電圧を印加することにより行われる、請求項8に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
Description:
プラズマディスプレイパネル及 その製造方法

 本発明は、誘電体保護膜上に金属酸化物 結晶を含む微粒子が分散配置されたプラズ ディスプレイパネル及びその製造方法に関 る。

 コンピュータ用モニタやテレビジョン受 機等に用いられる表示デバイスとして、大 面で薄型軽量化を実現することができるプ ズマディスプレイ装置が普及している。

 このプラズマディスプレイ装置が備える ラズマディスプレイパネル(以下、PDPという )としては、DC(直流)型とAC(交流)型の2タイプ PDPがあることが知られている。これらのう AC型のPDPの方が、信頼性、画質など様々な面 でDC型のPDPより優れているとして、一般的に 用されている。以下、従来例のAC型のPDPの 成について説明する。

 従来例のPDPは、前面板と背面板とで放電空 を挟んだ構造を有している。
 前面板は、前面基板と、前面基板の一方の 上にストライプ状に配置された複数の表示 極対とを備えている。表示電極対は、互い 並列に配置された帯状の走査電極と維持電 とで構成されている。互いに隣り合う表示 極対間には、それぞれ帯状の遮蔽層(ブラッ クストライプ)が配置されている。これらの 示電極対及び遮蔽層の上から前記ガラス基 の一方の面を覆うように誘電体層が配置さ 、当該誘電体層を覆うように誘電体保護膜 配置されている。

 背面板は、背面ガラス基板と、背面ガラ 基板の一方の面上にストライプ状に配置さ た複数のアドレス電極と、これらのアドレ 電極を覆うように配置された誘電体ガラス とを備えている。誘電体ガラス層には、複 の隔壁がストライプ状に配置されている。 れらの隔壁は、アドレス電極に平行で、且 、背面板の厚み方向から見たとき、互いに り合う隔壁間にアドレス電極が位置するよ に配置されている。互いに隣り合う隔壁の 面と誘電体ガラス層とで構成される溝部に 、赤色、緑色、又は青色の蛍光体層が順次 布されている。

 PDPは、前記のように構成された前面板と 面板とが互いの電極形成面側が対向するよ に配置され、その周辺部をフリットガラス の封着部材により封着された密閉構造にな ている。この密閉構造により形成された密 空間には、ネオン(Ne)及びキセノン(Xe)など 放電ガスが、例えば400Torr~600Torrの圧力で封 されて放電空間が形成されている。表示電 対とアドレス電極との間に映像信号電圧が 択的に印加されたとき、放電空間にはガス 電が発生する。より詳しくは、点灯すべき 電空間における走査電極とアドレス電極と 間では、誘電体保護膜の表面に電荷を蓄積 るアドレス放電が発生し、走査電極と維持 極との間では、前記電荷が蓄積された放電 間において、画像形成に用いられる紫外線 発生する維持放電が発生する。PDPは、当該 ス放電によって生じる紫外線により蛍光体 が励起して可視光を発光することで、カラ 映像を表示することができる。

 近年、PDPは更なる高精細化が求められて り、市場では低コスト、低消費電力、高輝 を実現できるフルHD(ハイディフィニション) (1920×1080画素:プログレッシブ表示)PDPが要求 れている。

 前記要求を満足させる方法の1つとしては 、前記アドレス放電を発生させるための誘電 体保護膜の初期電子の放出特性(以下、電子 出特性という)を改善することが知られてい 。誘電体保護膜の電子放出特性を改善する 法としては、例えば、MgO(酸化マグネシウム )で構成される誘電体保護膜にSi(ケイ素)やAl( ルミニウム)を添加することが挙げられる。 これにより、誘電体保護膜からの初期電子の 放出数を増加させることができ、画像のちら つきの原因となるアドレス放電ミス(いわゆ 、書き込み不良)を防ぐことが可能となる。

 しかしながら、誘電体保護膜の電子放出 性を改善する場合、誘電体保護膜からの初 電子の放出数を増加させるために、誘電体 護膜のメモリー機能としての電荷の蓄積量 時間と共に減少する減衰率が大きくなると う課題がある。電荷の蓄積量が減少した場 には、走査電極とアドレス電極との間に発 する電位差が低下することとなり、アドレ 放電の開始に必要な電圧(以下、放電開始電 圧という)が上昇することになる。すなわち 誘電体保護膜の電子放出特性を改善するこ と、放電開始電圧の上昇を抑えることとは レードオフの関係にある。

 この課題を改善する技術として、例えば 許文献1(国際公開WO2004/049375号パンフレット) や特許文献2(特開2008-16214号公報)に開示され いるような、誘電体保護膜の表面上に金属 化物の結晶を含む微粒子を分散配置する技 がある。

 前記技術によれば、分散配置された微粒 が電子放出特性を改善するので、誘電体保 膜は、電子放出特性を改善する必要がなく 電荷を蓄積して放電開始電圧の上昇を抑え 機能のみを有すればよい。すなわち、前記 術では、分散配置された微粒子と誘電体保 膜とで、誘電体保護膜の電子放出特性の改 と放電開始電圧の上昇の抑制の役割をそれ れ分担させることで、前記課題を改善する とができる。

国際公開WO2004/049375号パンフレット

特開2008-16214号公報

 しかしながら、前記技術では、分散配置 れた微粒子により誘電体保護膜の一部が覆 隠されるために、当該覆い隠された誘電体 護膜の一部は、電荷を蓄積することができ 、放電開始電圧の上昇の抑制に寄与しない このため、電子放出特性の改善のために微 子を多数配置すると、その分、放電開始電 の上昇の抑制効果が低減することとなる。 って、前記技術には未だ改善の余地がある

 従って、本発明の目的は、前記問題を解 することにあって、電子放出特性を改善し つ、放電開始電圧の上昇をさらに抑制する とができるPDP及びその製造方法を提供する とにある。

 前記目的を達成するために、本発明は以下 ように構成する。
 本発明の第1態様によれば、前面板と背面板 とを対向配置するとともに周囲を封着して放 電空間を形成したプラズマディスプレイパネ ルであって、
 前記前面板は、
 基板と、
 前記基板上にストライプ状に配置された複 の表示電極対と、
 前記それぞれの表示電極対及び前記基板を うように配置された誘電体層と、
 前記誘電体層を覆うように配置された誘電 保護膜と、
 前記誘電体保護膜の表面上に分散された金 酸化物の結晶を含む微粒子と、
 を備え、
 前記表示電極対は、透明電極とバス電極と 積層構造をそれぞれ有する帯状の走査電極 維持電極とで構成され、
 前記誘電体保護膜の前記表面において、前 走査電極のバス電極と対向する領域を第1領 域とし、前記第1領域を除いた残りの領域を 2領域としたとき、前記誘電体保護膜の前記 面が前記微粒子に覆われる被覆率は前記第1 領域の方が前記第2領域よりも小さい、プラ マディスプレイパネルを提供する。

 本発明の第2態様によれば、前記第1領域 おける前記被覆率は、前記第2領域における 記被覆率の90%以下である、第1態様に記載の プラズマディスプレイパネルを提供する。

 本発明の第3態様によれば、前記誘電体保 護膜の前記表面において、前記走査電極のバ ス電極及び前記維持電極のバス電極と対向す る領域を第3領域とし、前記第3領域を除いた りの領域を第4領域とするとき、前記被覆率 は前記第3領域の方が前記第4領域よりも小さ 、第1態様に記載のプラズマディスプレイパ ネルを提供する。

 本発明の第4態様によれば、前記第3領域 おける前記被覆率は、前記第4領域における 記被覆率の90%以下である、第3態様に記載の プラズマディスプレイパネルを提供する。

 本発明の第5態様によれば、前記第1態様に 載のプラズマディスプレイパネルの製造方 であって、
 前記誘電体保護膜の表面上への前記微粒子 分散配置は、
 粘度の異なる少なくとも2つの揮発性溶媒を 混合した混合溶媒に前記微粒子を分散させた インクを前記誘電体保護膜の表面上に塗布し 、
 前記塗布したインクを真空乾燥して、前記 合溶媒を揮発させることにより行われる、
 プラズマディスプレイパネルの製造方法を 供する。

 本発明の第6態様によれば、前記混合溶媒 の25℃での粘度が、5mPa・s以上10mPa・s以下で る、第5態様に記載のプラズマディスプレイ ネルの製造方法を提供する。

 本発明の第7態様によれば、前記混合溶媒 のうちの一方の溶媒と他方の溶媒との25℃で 蒸気圧差が100Pa以上である、第5態様に記載 プラズマディスプレイパネルの製造方法を 供する。

 本発明の第8態様によれば、前記第1態様に 載のプラズマディスプレイパネルの製造方 であって、
 前記誘電体保護膜の表面上への前記微粒子 分散配置は、
 少なくとも2つの揮発性溶媒を混合した混合 溶媒に金属酸化物の結晶を含む微粒子を分散 させたインクを前記誘電体保護膜の表面上に 塗布し、
 前記走査電極を加熱して、前記走査電極と 向する前記誘電体保護膜の表面上の領域を 熱し、
 前記塗布したインクを乾燥して、前記混合 媒を揮発させることにより行われる、
 プラズマディスプレイパネルの製造方法を 供する。

 本発明の第9態様によれば、前記走査電極 の加熱は、前記走査電極に電圧を印加するこ とにより行われる、第8態様に記載のプラズ ディスプレイパネルの製造方法を提供する

 本発明にかかるプラズマディスプレイに れば、走査電極のバス電極と対向する第1領 域における被覆率が、第1領域を除く残りの 2領域における被覆率よりも小さくなるよう 構成している。ここで、第1領域は、アドレ ス放電時に電圧が印加される電圧がピークと なる領域であり、アドレス放電の電圧印加時 において印加前の電位差を大きく保つ必要の ある領域である。従って、誘電体保護膜の表 面に同量の微粒子を分散する場合において、 第1領域と第2領域の被覆率を同一にした場合 比べて、第1領域における電荷の蓄積量を効 果的に増やすことができる。これにより、ア ドレス放電に必要な走査電極とアドレス電極 との間の電位差を十分に確保することができ 、放電開始電圧の上昇をさらに抑制すること ができる。また、このとき、誘電体保護膜の 表面全体における被覆率は変化させる必要が ないので、電子放出特性の改善効果は維持す ることができる。

 本発明にかかるプラズマディスプレイの 造方法によれば、粘度の異なる少なくとも2 つの揮発性溶媒を混合した混合溶媒に微粒子 を分散させたインクを誘電体保護膜の表面上 に塗布するようにしている。これにより、イ ンクの表面の形状がレベリングされる際に、 誘電体保護膜の表面の隆起部分に向かってイ ンクの表面張力が発生したとしても、混合溶 媒のうちの一方の高粘度の溶媒の粘性により 微粒子の隆起部分への移動が抑制される。従 って、走査電極のバス電極と対向する領域内 にある隆起部分に分散される微粒子の量が少 なくなるので、走査電極のバス電極と対向す る領域における被覆率がそれ以外の領域にお ける被覆率よりも小さくなる。その結果、前 述したように、電子放出特性を改善しつつ、 放電開始電圧の上昇をさらに抑制することが できるプラズマディスプレイを製造すること ができる。

 本発明のこれらと他の目的と特徴は、添付 れた図面についての好ましい実施の形態に 連した次の記述から明らかになる。この図 においては、
図1は、本発明の実施形態にかかるPDPの 基本構成を模式的に示す斜視図であり、 図2は、図1に示すPDPの模式断面図であ 、 図3は、誘電体保護膜の表面全体におけ る被覆率と放電遅延バラツキとの関係を示す グラフであり、 図4は、誘電体保護膜の表面全体におけ る被覆率と放電開始電圧上昇率との関係を示 すグラフであり、 図5は、誘電体保護膜の表面において走 査電極と対向する領域を除いた残りの領域に おける被覆率に対する前記走査電極と対向す る領域の割合と、放電開始電圧上昇率との関 係を示すグラフであり、 図6は、本発明の実施形態にかかるPDPの 前面板を誘電体保護層側から見た一部拡大平 面図であり、 図7は、本発明の変形形態にかかるPDPの 模式断面図であり、 図8は、図7のPDPの前面板を誘電体保護 側から見た一部拡大平面図であり、 図9は、図7とは別の変形形態にかかるPD Pの模式断面図である。

 本発明の記述を続ける前に、添付図面にお て同じ部品については同じ参照符号を付し いる。
 以下、本発明の最良の実施の形態について 図面を参照しながら説明する。

 《実施形態》
 図1及び図2を用いて、本発明の第1実施形態 かかるPDP100の構成について説明する。図1は 、本発明の実施形態にかかるPDP100の基本構造 を模式的に示す斜視図である。PDP100の基本構 造は、一般的な交流面放電型PDPと同様である 。図2は、PDP100の模式断面図である。

 図1において、PDP100は、PDP用前面板1と、 面板1に対向配置されたPDP用背面板2とを備え ている。前面板1と背面板2との間の外周部に 、ガラスフリットなどの封着部材(図示せず )が配置されている。当該封着部材によって PDP100が気密封着され、PDP100の内部に放電空 30が形成されている。放電空間30には、例え 、ネオン(Ne)及びキセノン(Xe)などの放電ガ が、例えば400Torr~600Torrの圧力で封入されて る。

 前面板1には、ガラス等で構成された前面 基板10を備えている。前面基板10の表面上に 、帯状の表示電極対11と遮光層(ブラックス ライプ)14とが、互いに平行に複数配列(スト イプ状に配置)されている。表示電極対11は 互いに並列に配置された帯状の走査電極12 維持電極13とで構成されている。走査電極12 維持電極13とは、図2に示すように、それぞ 可視光を透過するための透明電極12a,13aと、 当該透明電極12a,13a上に配置され、各電極の 抗を低くするためのバス電極12b,13bとの積層 造で構成されている。透明電極12a,13aの幅は 、例えば180~200μm程度であり、バス電極12b,13b 幅は、例えば60μm~70μm程度である。なお、 査電極12及び維持電極13の厚みはそれぞれ、 光層14の厚みよりも厚い。

 また、前面基板10の表面上には、表示電 対11及び遮光層14をそれぞれ覆うように誘電 層15が配置されている。このように配置さ ることにより、誘電体層15はコンデンサとし ての働きをする。

 誘電体層15の表面上には、誘電体層15を覆 うように誘電体保護膜16が設けられている。 電体保護膜16は、例えばMgOを主成分とし、EB (電子ビーム)蒸着機やプラズマガン蒸着機な を用いた成膜法、スパッタ法、又はCVD法な に代表される薄膜プロセスで形成されてい 。誘電体保護膜16は、放電によって発生し 高エネルギーのイオンから走査電極12と維持 電極13と誘電体層15とを保護するとともに、 電空間30に二次電子を効率良く放出して放電 開始電圧を低減する機能を有する。

 誘電体保護膜16の表面上には、例えばMgO どの金属酸化物の結晶を含む微粒子の一例 ある微粒子結晶17が分散されている。ここで は一例として、微粒子結晶17は、単独で生成 れたMgOを主成分とし、結晶性が高いMgOを含 でいる割合が誘電体保護膜15よりも高く、 電体保護膜15よりも放電空間30に二次電子を り効率良く放出して放電開始を促す機能を するものとする。この微粒子結晶17は、平 粒子径が0.9μm~2.0μmの範囲内となるように形 されることが好ましい。微粒子結晶17の平 粒子径が0.9μm未満の場合には、結晶性の高 MgOの割合が少なく、所望の二次電子の放出 率を得ることができずに、放電開始を促す 能が損なわれる恐れがある。一方、微粒子 晶17の平均粒子径が2.0μmより大きい場合には 、前面板1と背面板2とを対向配置して貼り合 せたときに、微粒子結晶17が後述する背面 2の隔壁23と接触して当該隔壁23を破壊する確 率が上昇する。この場合、不灯などの不良が 発生する確率が上昇することになる。なお、 ここでいう平均粒子径とは、体積累積平均径 (D50)を意味する。

 また、図2(及び図6)に示すように、誘電体 保護膜16の表面において、走査電極12のバス 極12bと対向する領域を領域X(第1領域)とし、 域Xを除く残りの領域を領域Y(第2領域)とし とき、誘電体保護膜16の表面が微粒子結晶17 覆われる被覆率は領域Xの方が領域Yよりも さくなっている。この被覆率については、 で詳しく説明する。

 背面板2は、ガラス等で構成された背面基 板20を備えている。背面基板20の表面上には 複数の帯状のアドレス電極21が、それぞれ表 示電極対16と直交するとともに、互いに平行 配置されている。

 また、背面基板20の表面上には、それぞ のアドレス電極21を覆うように下地誘電体層 22が配置されている。下地誘電体層22上には 放電空間30をアドレス電極21毎に区画するよ に、アドレス電極21の延在方向と平行に複 の隔壁23が配列されている。互いに隣り合う 隔壁23,23の側面と下地誘電体層22とで形成さ る溝部24には、紫外線により赤色、緑色、又 は青色に発光する蛍光体層25が順次塗布され いる。

 前記構成により、表示電極対11とアドレ 電極21とが互いに直交する交差部には、それ ぞれ放電セル31が形成される。すなわち、放 セル31は、マトリクス状に配置されている これらの放電セル31がPDP100の画像表示部とな り、表示電極対11の延在方向に並ぶ赤色、緑 、及び青色の蛍光体層25を有する3個の放電 ル31が、カラー表示のための画素となる。

 例えば、外部に設置された駆動回路から 走査電極12とアドレス電極21との間、及び走 査電極12と維持電極13との間に各駆動信号が 次印加されると、各放電セル31内にガス放電 が発生する。より詳しくは、点灯すべき放電 セル31における走査電極12とアドレス電極21と の間では、誘電体保護膜16の表面に電荷を蓄 するアドレス放電が発生し、走査電極12と 持電極13との間では、前記電荷が蓄積された 放電セル31において、画像形成に用いられる 外線を発生する維持放電が発生する。PDP100 、このようにして点灯すべき放電セル31内 発生した紫外線が、当該放電セル31に対応す る蛍光体層25を励起して可視光を発光させる とにより、カラー映像を表示することがで る。

 次に、誘電体保護膜16の表面が微粒子結 17に覆われる被覆率について説明する。ここ で、被覆率とは、誘電体保護膜16の表面が微 子結晶17に覆われる面積の割合を意味する この被覆率は、例えば、最大発光波長550nmの ハロゲン光源に対する直線透過率の減少率に より評価することができる。

 図3は、誘電体保護膜16の表面全体におけ 被覆率と放電遅延バラツキ比率との関係を すグラフである。ここで「放電遅延バラツ 」とは、各放電セル31において、走査電極12 とアドレス電極21との間に電圧を印加してか アドレス放電が開始されるまでの時間のバ ツキ幅を意味する。この放電遅延バラツキ 、被覆率に応じて変化するものである。「 電遅延バラツキ比率」とは、誘電体保護膜1 6の表面上に微粒子結晶17を全く配置していな い場合の基準放電遅延バラツキに対する放電 遅延バラツキの割合を百分率で示したものを いう。誘電体保護膜16の電子放出特性が高い 、放電遅延バラツキ比率は小さくなり、画 のちらつきなどの画像劣化の原因となるア レス放電ミス(いわゆる、書き込み不良)を ぐことができる。

 図3に示すように、被覆率が増加すると、 放電遅延バラツキ比率は低くなる。例えば、 被覆率が5%のとき、放電遅延バラツキ比率は 20%である。すなわち、誘電体保護膜16の表 の5%に微粒子結晶17を分散することで、放電 延バラツキ比率を80%低減することができ、 電体保護膜16の電子放出特性を大幅に改善 ることができる。

 図4は、誘電体保護膜16の表面全体におけ 被覆率と放電開始電圧(Vscn_pdともいう)の上 率との関係を示すグラフである。ここで、 放電開始電圧」とは、アドレス放電が開始 れるのに必要な電圧をいう。「放電開始電 上昇率」とは、誘電体保護膜16の表面上に 粒子結晶17を全く配置していない場合の基準 放電開始電圧に対する放電開始電圧の上昇量 の比率を百分率で示したものをいう。

 図4に示すように、被覆率が増加すると、 放電開始電圧上昇率は大きくなる。これは、 被覆率の増加に伴い、誘電体保護膜16の露出 面が少なくなるため、蓄積可能な電荷量(以 下、壁電荷量という)が低減し、アドレス放 に十分な壁電荷量を得ることができず、走 電極5とアドレス電極12の間に十分な電位差 形成されていないためと考えられる。

 なお、放電開始電圧は低い程、PDP100のパ ル設計上でも低電圧で駆動できることにな ため、電源や各電気部品として、耐圧及び 量の小さい部品を使用することが可能とな 。なお、各走査電極12に電圧を順次印加す ためのMOSFETなどの半導体スイッチング素子 して、例えば耐圧150V程度の素子を使用した 合には、放電開始電圧は、温度による変動 考慮して100V以下に抑えることが求められる 。

 図3及び図4の関係より、放電遅延バラツ を小さく(電子放出特性を改善)するためには 、被覆率を大きくする必要があるが、放電開 始電圧上昇率を小さくするためには、被覆率 を小さくする必要があることが分かる。すな わち、放電遅延バラツキを小さくすることと 、放電開始電圧上昇率を小さくすることとは 、トレードオフの関係にある。

 このため、放電遅延バラツキを小さくす とともに放電開始電圧上昇率を小さくする は、被覆率を一定の範囲内で設定すること 好ましい。ここで、誘電体保護膜16の表面 体における被覆率が5%未満の場合には、放電 遅延バラツキの低減効果が少ないだけでなく 、PDP100を量産するときに微粒子結晶17の配置 製造上のばらつきが想定以上に大きくなる れがある。一方、誘電体保護膜16の表面全 における被覆率が11%より大きい場合には、 4より放電開始電圧上昇率が約30%以上となる とがある。この場合、PDP100の量産時に生じ 誘電体保護膜16の特性のバラツキを考慮す と、放電開始電圧が100V以上になるものが発 する恐れがある。この場合には、前記した うに、各走査電極12に電圧を順次印加する めの半導体スイッチング素子として、耐圧15 0V程度の素子を使用することができない。従 て、誘電体保護膜16の表面全体における被 率は、約5%~約11%の範囲内で設定することが ましい。

 図5の実線で示す曲線は、誘電体保護膜16 表面全体における被覆率を8%としたときの 領域Yにおける被覆率Y1に対する領域Xにおけ 被覆率X1の割合(X1/Y1)と放電開始電圧上昇率 の関係を示している。なお、誘電体保護膜1 6の表面全体における被覆率が変化した場合 は、前記割合(X1/Y1)と放電開始電圧上昇率と 関係を示す曲線は、図4に示すように誘電体 保護膜16の表面全体における被覆率と放電開 電圧上昇率とがリニアな関係(比例関係)に るので、図5のほぼ上下方向に平行移動する のと思われる。図5において、点線で示す曲 線は、下から順に、誘電体保護膜16の表面全 における被覆率が5%、10%、11%であるときに すと思われる、前記割合(X1/Y1)と放電開始電 上昇率との関係を示している。

 誘電体保護膜16の表面全体における被覆 が8%の場合において、被覆率Y1に対する被覆 X1の割合を1.0にしたとき、すなわち領域X及 領域Yの区別無く誘電体保護膜16の表面全体 おいて均一の被覆率としたとき、図5より放 電開始電圧上昇率は約20%である。一方、被覆 率Y1に対する被覆率X1の割合を例えば0.7にし とき、図5より放電開始電圧上昇率は約13%で る。すなわち、被覆率Y1に対する被覆率X1の 割合を1.0から0.7まで低くすることで、放電開 始電圧上昇率を約20%から約13%まで減少させる ことができる。

 また、図5より、放電開始電圧上昇率は被 覆率Y1に対する被覆率X1の割合が約1.0である きを境にして急激に低減していくことが分 る。従って、被覆率Y1に対する被覆率X1の割 を約1.0より小さくすることで、言い換えれ 、領域Xにおける被覆率X1を領域Yにおける被 覆率Y1よりも小さくすることで、放電開始電 上昇率を抑えることができる。図6は、領域 Xにおける被覆率X1が領域Yにおける被覆率Y1よ りも小さくなるように微粒子結晶17を誘電体 護膜16の表面上に配置した一例を拡大平面 として示している。

 なお、被覆率X1は、被覆率Y1よりも小さけ れば小さいほど好ましいが、PDP100の量産時に おける製造上のバラツキにより、被覆率Y1に する被覆率X1の割合は±0.05程度、すなわち0. 95~1.05の範囲内でバラツキがあるものと考え れる。この場合、前記製造上のバラツキに り、被覆率X1が被覆率Y1よりも小さくなるも が生じることが考えられるが、本発明はこ を含むことを意図しない。前記製造上のバ ツキを含まないことを明確にするため、被 率Y1に対する被覆率X1の割合を0.9以下、すな わち被覆率X1を被覆率Y1の90%以下とすること より好ましい。この場合、前記製造上のバ ツキがあったとしても、被覆率X1は被覆率Y1 りも確実に小さくなる。また、図5に示すよ うに、被覆率Y1に対する被覆率X1の割合が0.9 下であるときの勾配は、前記割合が0.9~1.0で るときの勾配に比べて急勾配になっている 従って、放電開始電圧上昇率の抑制効果が り高い。

 本発明の実施形態かかる前面板1によれば 、走査電極12のバス電極12bと対向する領域Xに おける被覆率X1が、領域Xを除く残りの領域Y おける被覆率Y1よりも小さくなるように構成 しているので、領域Xと領域Yの被覆率を同一 した場合と比べて、領域Xではより多くの壁 電荷量を得ることができる。ここで、領域X 、アドレス放電時に印加される電圧がピー となる領域であり、アドレス放電の電圧印 時において印加前の電位差を大きく保つ必 のある領域である。従って、領域Xにおいて り多くの壁電荷量が得られることによって アドレス放電に必要な走査電極12とアドレ 電極21との間の電位差を十分に確保すること ができ、放電開始電圧の上昇をさらに抑制す ることができる。また、このとき、誘電体保 護膜16の表面全体における被覆率は変化させ 必要がないので、電子放出特性の改善効果 維持することができる。従って、本発明の 施形態にかかる前面板1によれば、微粒子結 晶17を分散することにより電子放出特性を改 しつつ、放電開始電圧の上昇をさらに抑制 ることができる。

 なお、前記では、走査電極12のバス電極12 bと対向する領域Xにおける被覆率X1が、領域X 除く残りの領域Yにおける被覆率Y1よりも小 くなるように構成したが、本発明はこれに 定されない。例えば、誘電体保護膜16の表 において、走査電極12のバス電極12b及び維持 電極13のバス電極13bと対向する領域M(第3領域) における被覆率が、図7及び図8に示すように 当該領域Mを除く残りの領域N(第3領域)にお る被覆率よりも小さくなるように構成して よい。バス電極12b,13bと対向する領域Mは、ア ドレス放電時に電圧を印加される領域を含み 、アドレス放電の電圧印加時において印加前 の電位差を大きく保つ必要のある領域である 。従って、誘電体保護膜16の表面に同量の微 子結晶17を分散する場合において、領域Mに ける被覆率を他の領域Nよりも小さくするこ とで、当該領域Mにおける壁電荷量を増やす とができ、放電開始電圧の上昇をさらに抑 することができる。また、誘電体保護膜16の 表面全体における被覆率は変化させる必要が ないので、電子放出特性の改善効果は維持す ることができる。なお、被覆率X1,Y1について 述したのと同様の理由で、領域Mにおける被 覆率は領域Nにおける被覆率の90%以下である とが好ましい。

 次に、本発明の実施形態にかかる前面板1 の製造方法について説明する。ここでは一例 として、バス電極12b,13bを覆う誘電体保護膜16 の部分が、図9に示すように、それぞれの電 12,13の厚みの影響により例えば2μm程度隆起 、当該隆起部分を利用して、領域Mにおける 覆率が領域Nにおける被覆率よりも小さくな るようにした前面板1の製造方法について説 する。

 まず、前面基板10上に、表示電極対11及び 遮光層14と誘電体層15と誘電体保護膜16とを順 に積層形成したものを準備するとともに、粘 度及び蒸気圧の異なる2つの揮発性溶媒(例え アルコール系溶媒)を混合した溶媒に微粒子 結晶17を分散したインクを準備する。このと 、誘電体保護膜16は、バス電極12b,13bを覆う 電体保護膜16の部分がそれぞれの電極12,13の 厚みの影響により隆起するように形成されて いる。

 次いで、スリットコータ工法により、誘電 保護膜16の表面上に前記インクを、液膜厚 10μm以上20μm以下になるように塗布する。
 次いで、前記インクを真空乾燥して前記混 溶媒を蒸発気化させ、誘電体保護膜16の表 上に微粒子結晶17を残存させる。

 前記前面板1の製造方法において、混合溶 媒は、25℃での粘度が5mPa・s以上10mPa・s以下 あるものとする。また、混合溶媒を構成す 一方の溶媒と他方の溶媒との蒸気圧差は100Pa 以上とする。前記のように混合溶媒の粘度及 び蒸気圧差を設定した理由については、後で 詳しく説明する。

 また、混合溶媒のうち一方の溶媒の25℃ 蒸気圧は、量産時に溶媒の自然気化による 量変化を少なく安定させるために500Pa以下と し、他方の溶媒の25℃での蒸気圧は、前記真 乾燥時に残留せずに乾燥するように10Pa以下 とする。また、インク中における微粒子結晶 17は、インクが10μm以上20μm以下の液膜厚で塗 布されて真空乾燥されたときに、前述した被 覆率5%~12%を実現できるように、0.4wt%~1.0wt%の 量濃度で分散されている。

 また、前記スリットコータ工法は、例え 、インクを圧送するポンプと、インク圧を 一化するマニホールドと呼ばれる液溜まり 液流れを均質化するスリットを有するダイ を使用して行うことができる。誘電体保護 16の表面とダイ先端とのギャップ距離を100μ m以上150μm以下の範囲内に保ちながらインク 圧送するポンプの印圧とダイの塗布速度を50 mm/sで一定に作動させることで、誘電体保護 16の表面上にインクを、液膜厚が10μm以上20μ m以下になるように塗布することができる。

 なお、ギャップ距離を100μm以上としたの 、誘電体保護膜16の表面の凹凸や塗布動作 機械精度の観点から、ダイ先端と誘電体保 膜16の表面との衝突を防止して安定的に量産 できるようにするためである。なお、インク の液膜厚が10μm未満である場合には、ギャッ 距離が100μm未満でなければ、インクを均一 液膜厚にすることができない。一方、誘電 保護膜16の表面上に塗布されるインクの液 厚が20μmより大きい場合には、前記真空乾燥 のために搬送される際に、当該搬送に使用さ れるローラなどに起因する温度ムラの影響で 、インクの液膜厚の均一性が損なわれる恐れ がある。このため、ここでは、インクの液膜 厚を10μm以上20μm以下としている。

 また、ギャップ距離を150μm以下としたの 、25℃での粘度が5mPa・s以上10mPa・s以下であ る混合溶液を含むインクを、均一な液膜厚で 塗布するためである。なお、塗布速度50mm/sは 、生産性により固定されている。

 また、前記真空乾燥は、例えば、金属容 内にインクの真空乾燥前の前面板1を設置し たのち、ドライ真空ポンプによって金属容器 内を、例えば真空度が3Pa以下になるまで真空 排気することにより行うことができる。

 次に、混合溶媒の粘度について説明する

 混合溶媒の25℃での粘度を5mPa・s未満とし た場合、塗布したインクが所望の塗布エリア よりさらに広がり、前面板1と背面板2とを気 封着するガラスフリットなどの封着部材に 着し、気密性が損なわれる恐れがある。一 、混合溶媒の25℃での粘度を10mPa・sより大 くした場合、前記液膜厚を上限値である20μm としたときに、均一な液膜厚を得るために必 要なギャップ距離を100μm未満にする必要性が 生じる。ギャップ距離を100μm未満にした場合 には、前述したように、安定的に量産するこ とが困難になる。このため、ここでは、混合 溶媒の25℃での粘度を、5mPa・s以上10mPa・s以 としている。

 次に、混合溶媒を構成する一方の溶媒と 方の溶媒との蒸気圧差を100Pa以上とした理 について説明する。

 前記蒸気圧差を100Pa以上とした主な理由 、領域Mにおける被覆率が領域Nにおける被覆 率よりも小さくなるようにするためである。

 本実施形態にかかる前面板1において、誘 電体保護膜16は、上述したように走査電極12 び維持電極13のバス電極12b,13bを覆う部分が 図9に示すように断面で見たとき、それぞれ 電極12,13の厚みの影響により例えば2μm程度 起している。このため、例えば、微粒子結 17を低粘度の揮発性溶媒に分散して誘電体 護膜16の表面上に塗布した場合には、液膜表 面の形状が重力によりレベリングされる際に 、誘電体保護膜16の凹凸により、前記溶媒の 面張力が隆起部分16a,16aに向かって発生する 。このため、前記溶媒中に分散された微粒子 結晶17が隆起部分16a,16aに移動する。この結果 、走査電極12及び維持電極13のバス電極12b,13b 対向する領域Mにおける被覆率が、それ以外 の領域Nの被覆率よりも大きくなってしまう

 これに対して、本実施形態のように混合 媒に微粒子結晶17を分散したインクを誘電 保護膜16の表面に塗布した場合には、前記と 同様に、インクの表面の形状がレベリングさ れる際に、インクの表面張力が隆起部分16a,16 aに向かって発生するが、混合溶媒を構成す 一方の高粘度溶媒の粘性により微粒子結晶17 の移動が抑制される。さらに、前記真空乾燥 時においては、混合溶媒のうち蒸気圧が高い 溶媒から乾燥するため、混合溶媒において蒸 気圧が低い溶媒の占める割合が増加する。一 般に、蒸気圧が低い溶媒の方がその粘度は高 い。このため、蒸気圧が低い溶媒の占める割 合が増加した場合には、混合溶媒としての粘 度が増加することになる。従って、微粒子結 晶17の移動を抑制する効果がさらに高くなる このとき、前記蒸気圧差を100Pa以上とする 、微粒子結晶17の移動を抑制する効果をさら に高めることができる。

 また、前記レベリング後のインクの液膜 は、隆起部分16a,16aよりもそれ以外の凹状部 分の方が厚くなる。このため、前記真空乾燥 後に誘電体保護膜16の表面上に残存する微粒 結晶17の量は、隆起部分16a,16aの方が凹状部 よりも少なくなる。これにより、領域Mにお ける被覆率が領域Nにおける被覆率よりも小 くなる。

 本実施形態にかかる前面板1の製造方法に よれば、領域Mにおける被覆率を領域Nにおけ 被覆率よりも小さくすることを、低コスト 実現することができる。また、揮発性溶媒 揮発させることにより微粒子結晶17を誘電 保護膜16の表面上に配置するようにしている ので、微粒子結晶17が凝集して偏在すること 抑えることができる。

 なお、本発明は前記製造方法に限定され ものではなく、その他種々の態様で実施で る。例えば、スクリーン印刷工法を利用し 、微粒子結晶17を分散した高粘度のペース を誘電体保護膜16の表面に塗布したのち乾燥 、焼成することによっても、本実施形態の微 粒子結晶17の配置を実現することができる。

 なお、前記乾燥の前に走査電極12に電圧 印加することで、電気抵抗熱を発生させて 査電極12のバス電極12bと対向する領域Xの温 を上昇させ、領域X近傍の液膜の表面張力を 下させることができる。これにより、領域X 近傍の液膜から領域Yに向かって表面張力が 生して領域X上の微粒子結晶17が領域Yへ移動 、本実施形態の微粒子結晶17の配置を実現 ることができる。

 なお、前記では、走査電極12に電圧を印 することで領域Xの温度を上昇させたが、別 加熱手段を設けて、当該加熱手段により走 電極12を加熱することで、領域Xの温度を上 させてもよい。

 本発明にかかるPDP及びその製造方法は、 子放出特性を改善しつつ、放電開始電圧の 昇をさらに抑制することができるので、例 ば、コンピュータ用モニタやテレビジョン 像機等に用いられるフルハイディフィニシ ンPDPとして有用である。

 本発明は、添付図面を参照しながら好ま い実施の形態に関連して充分に記載されて るが、この技術に熟練した人々にとっては 々の変形や修正は明白である。そのような 形や修正は、添付した請求の範囲による本 明の範囲から外れない限りにおいて、その に含まれると理解されるべきである。

 2008年4月2日に出願された日本国特許出願N o.2008-95891号の明細書、図面、および特許請求 の範囲の開示内容は、全体として参照されて 本明細書の中に取り入れられるものである。




 
Previous Patent: WO/2009/122725

Next Patent: WO/2009/122753