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Patent Searching and Data


Title:
PNEUMATIC TIRE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/084634
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a pneumatic tire (1) which is equipped in at least the portion of a tire surface (9) with turbulence generating protrusions (11) for generating turbulences and which has an external diameter of 2 m or more. The pneumatic tire (1) is characterized in that the turbulence generating protrusions (11) extend linearly or curvilinearly in the tire radius direction, and in that the turbulence generating protrusions (11) satisfy a relation of h = √{1/(V/R)} x coefficient κ, wherein the coefficient κ = 27.0 to 29.5, if the largest protrusion height (mm) of the turbulence generating protrusions (11) from the tire surface (9) is "h", if the vehicle speed (km/h) is "V" and if the tire external diameter (m) is "R".

Inventors:
INOUE TAKUMI
KUROISHI KAZUYA
ARAKI KENJI
Application Number:
PCT/JP2008/073739
Publication Date:
July 09, 2009
Filing Date:
December 26, 2008
Export Citation:
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Assignee:
BRIDGESTONE CORP (JP)
INOUE TAKUMI
KUROISHI KAZUYA
ARAKI KENJI
International Classes:
B60C13/00; B60C15/00
Domestic Patent References:
WO2007032405A12007-03-22
Foreign References:
JP2009029378A2009-02-12
JP2006076431A2006-03-23
Other References:
See also references of EP 2233322A4
Attorney, Agent or Firm:
MIYOSHI, Hidekazu et al. (2-8 Toranomon 1-chom, Minato-ku Tokyo 01, JP)
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Claims:
 タイヤ表面の少なくとも一部に、乱流を発生させる乱流発生用突起が設けられ、タイヤ外径が2m以上である空気入りタイヤであって、
 前記乱流発生用突起は、前記タイヤ径方向へ向けて直線状又は曲線状で延在し、
 前記タイヤ表面から前記乱流発生用突起の最も突出する位置までの突起高さ(mm)を“h”、車両速度(km/h)を“V”、タイヤ外径(m)を“R”とすると、
 h=√{1/(V/R)}×係数κ、
 ただし、係数κ=27.0~29.5の関係を満たすことを特徴とする空気入りタイヤ。
 前記乱流発生用突起の前記タイヤ径方向に対して傾く角度である傾斜角度(θ)は、-70°≦θ≦70°の範囲を満たすことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
 トレッド幅方向断面において、前記乱流発生用突起の最もタイヤ径方向内側である突起最内位置から、リムフランジの最もタイヤ径方向外側であるリム最外位置までの距離である突起リム距離(d)は、30mm以上に設定されることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
 前記乱流発生用突起の最もタイヤ径方向外側である突起最外位置から前記トレッド最外位置までの距離である外側端部距離(D)は、前記タイヤ高さ(SH)に対して10%以上であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
 前記乱流発生用突起の延在方向に対して略直交する幅である突起幅(w)は、2~10mmであることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
 前記乱流発生用突起は、タイヤ表面におけるタイヤ最大幅の位置であるタイヤ幅最大位置から、リムフランジと接するビード部のタイヤ径方向外側の位置であるビード外側位置までの範囲に設けられ、かつ、前記タイヤ表面側に向かって窪む複数の凹部を有することを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
 前記タイヤ表面から前記乱流発生用突起の最も突出する位置までの突起高さを“h”、前記凹部の深さを“d”としたときに、0.90≧d/h≧0.30の関係を満たすことを特徴とする請求項6に記載の空気入りタイヤ。
 互いに隣接する前記凹部同士の間隔を“L”、前記乱流発生用突起の延在方向に対する前記凹部の幅を“e”としたときに、0.10≦e/L≦0.30の関係を満たすことを特徴とする請求項6に記載の空気入りタイヤ。
 前記凹部の側部と底部との連結部分は、1mm以上の円弧部で形成されることを特徴とする請求項6に記載の空気入りタイヤ。
 前記乱流発生用突起は、前記タイヤ径方向へ向けて直線状又は曲線状で変位する複数の屈曲部を有するとともに、前記乱流発生用突起の延在方向に対して略直交する幅である突起幅(w)が前記延在方向で同一であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
 前記タイヤ表面から前記乱流発生用突起の最も突出する位置までの突起高さを“h”、前記突起幅を“w”としたときに、1.0≦h/w≦10の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
 前記タイヤ表面から前記乱流発生用突起の最も突出する位置までの突起高さを“h”、互いに隣接する前記乱流発生用突起同士の間隔のピッチを“p”、前記突起幅を“w”としたときに、1.0≦p/h≦20.0、かつ、1.0≦(p-w)/w≦100.0の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
Description:
空気入りタイヤ

 本発明は、タイヤ表面の少なくとも一部 、乱流を発生させる乱流発生用突起が設け れ、タイヤ外径が2m以上である空気入りタ ヤに関する。

 一般に、空気入りタイヤにおけるタイヤ 度の上昇は、材料物性の変化などの経時的 化を促進したり、高速走行時にはトレッド の破損などの原因になり、耐久性の観点か 好ましくないとされている。特に、重荷重 の使用となるオフザロードラジアルタイヤ( ORR)や、トラック・バスラジアルタイヤ(TBR)、 パンク走行時(内圧0kPa走行時)のランフラット タイヤにおいては、タイヤの耐久性を向上さ せるために、タイヤ温度を低減させることが 大きな課題となっている。

 例えば、ビード部がリムフランジと接す 位置の近傍での厚さをトレッド幅方向外側 厚くし、かつ、この厚くした補強部がリム ランジを包み込む形状(いわゆる、リムガー ド)で構成される空気入りタイヤが開示され いる(特開2006-76431号公報)。これによれば、 イドウォール部におけるタイヤ表面(特に、 ード部)の撓みを抑制してタイヤ温度を低減 できる。

 しかしながら、上述した従来の空気入り イヤでは、ビード部が厚いことによって、 ビード部での温度が上昇してしまう。この め、荷重時の倒れ込みにより補強部が破壊 てしまうことがあり、この破壊で生じたク ック等の進展によりビード部近傍が故障し しまうという問題があった。

 特に、重荷重用タイヤでは、荷重時の倒 込みが大きいため、補強部を設けることが 念されている。しかし、この重荷重用タイ では、ビード部に補強部が設けられていな ても、他のサイドウォール部におけるタイ 表面と比べてビード部は元々厚く形成され いることにより、該ビード部での温度が上 してしまい、ビード部の耐久性のみならず タイヤの耐久性が低下してしまう。

 そこで、本発明は、タイヤ温度、特に、 ード部近傍の温度の低減を図ることができ タイヤの耐久性を向上させることができる 気入りタイヤを提供することを目的とする

 上述した状況に基づいて、発明者らは、 イヤ温度を効率的に低減させることについ 分析した。この結果、車両の走行に伴って 両前方から発生する風(走行風)の速度や、 気入りタイヤの回転に伴ってタイヤ回転方 前方から発生する回転風の速度を速くして ビード部の温度上昇を抑制することが、タ ヤ温度の放熱率を高めることが判明した。

 そこで、本発明は、次のような特徴を有 ている。まず、本発明の第1の特徴は、タイ ヤ表面(タイヤ表面9)の少なくとも一部に、乱 流を発生させる乱流発生用突起(例えば、乱 発生用突起11)が設けられ、タイヤ外径が2m以 上である空気入りタイヤ(例えば、空気入り イヤ1)であって、前記乱流発生用突起は、前 記タイヤ径方向へ向けて直線状又は曲線状で 延在し、前記タイヤ表面から前記乱流発生用 突起の最も突出する位置までの突起高さ(mm) “h”、車両速度(km/h)を“V”、タイヤ外径(m) を“R”とすると、h=√{1/(V/R)}×係数κ、ただ 、係数κ=27.0~29.5の関係を満たすことを要旨 する。

 かかる特徴によれば、突起高さhが上記式 を満たすことによって、車両の走行に伴って 車両前方から発生する走行風、及び、空気入 りタイヤの回転に伴ってタイヤ回転方向前方 から発生する回転風が乱流発生用突起を乗り 越える際に、乱流発生用突起の前側で圧力が 上昇する。これによれば、圧力上昇に伴い、 乱流発生用突起を通過する走行風及び回転風 の流れを加速させる(すなわち、タイヤ温度 放熱率を高める)ことができる。加速した走 風及び回転風により、タイヤ温度、特に、 ード部近傍の温度の低減を図ることができ タイヤの耐久性を向上させることができる

 本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特 に係り、前記乱流発生用突起の前記タイヤ 方向に対して傾く角度である傾斜角度(θ)は -70°≦θ≦70°の範囲を満たすことを特徴と る要旨とする。

 本発明の第3の特徴は、本発明の第1の特 に係り、トレッド幅方向断面において、前 乱流発生用突起の最もタイヤ径方向内側で る突起最内位置(P1)から、リムフランジの最 タイヤ径方向外側であるリム最外位置P2ま の距離である突起リム距離(d)は、30mm以上に 定されることを要旨とする。

 本発明の第4の特徴は、本発明の第1の特 に係り、前記乱流発生用突起の最もタイヤ 方向外側である突起最外位置(P3)から前記ト ッド最外位置(トレッド最外位置13a)までの 離である外側端部距離(D)は、前記タイヤ高 (SH)に対して10%以上であることを要旨とする

 なお、突起リム距離(d)や外側端部距離(D) 、正規リムに装着された状態で正規内圧が 填された際(正規荷重が負荷された際も含む )で計測された値であるものとする。この「 規リム」とは、タイヤが基づいている規格 含む規格体系において、当該規格がタイヤ に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標 準リム、TRAであれば "Design Rim" 、或いはETRT Oであれば "Measuring Rim" を意味する。また、 上記「正規内圧」とは、上記規格がタイヤ毎 に定めている空気圧であり、JATMAであれば最 空気圧、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT V ARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値 ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。ま 、上記「正規荷重」とは、上記規格がタイ 毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最 大負荷能力、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS A T VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大 、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY"である。

 本発明の第5の特徴は、本発明の第1の特 に係り、前記乱流発生用突起の延在方向に して略直交する幅である突起幅(w)は、2~10mm あることを要旨とする。

 本発明の第6の特徴は、本発明の第1の特 に係り、前記乱流発生用突起は、タイヤ表 におけるタイヤ最大幅の位置であるタイヤ 最大位置(P10)から、リムフランジと接するビ ード部のタイヤ径方向外側の位置であるビー ド外側位置(P11)までの範囲に設けられ、かつ 前記タイヤ表面側に向かって窪む複数の凹 (凹部112)を有することを要旨とする。

 本発明の第7の特徴は、本発明の第6の特 に係り、前記タイヤ表面から前記乱流発生 突起の最も突出する位置までの突起高さを h”、前記凹部の深さを“d”としたときに、 0.90≧d/h≧0.30の関係を満たすことを要旨とす 。

 本発明の第8の特徴は、本発明の第6の特 に係り、互いに隣接する前記凹部同士の間 を“L”、前記乱流発生用突起の延在方向に する前記凹部の幅を“e”としたときに、0.1 0≦e/L≦0.30の関係を満たすことを特徴とする 求項6に記載の空気入りタイヤ。

ことを要旨とする。

 本発明の第9の特徴は、本発明の第6の特 に係り、前記凹部の側部と底部との連結部 は、1mm以上の円弧部で形成されることを要 とする。

 本発明の第10の特徴は、本発明の第1の特 に係り、前記乱流発生用突起は、前記タイ 径方向へ向けて直線状又は曲線状で変位す 複数の屈曲部を有するとともに、前記乱流 生用突起の延在方向に対して略直交する幅 ある突起幅(w)が前記延在方向で同一である とを要旨とする。

 本発明の第11の特徴は、本発明の第1の特 に係り、前記タイヤ表面から前記乱流発生 突起の最も突出する位置までの突起高さを h”、前記突起幅を“w”としたときに、1.0 h/w≦10の関係を満たすことを要旨とする。

 本発明の第12の特徴は、本発明の第1の特 に係り、前記タイヤ表面から前記乱流発生 突起の最も突出する位置までの突起高さを h”、互いに隣接する前記乱流発生用突起同 士の間隔のピッチを“p”、前記突起幅を“w としたときに、1.0≦p/h≦20.0、かつ、1.0≦(p- w)/w≦100.0の関係を満たすことを要旨とする。

発明の効果
 本発明によれば、タイヤ温度、特に、ビー 部近傍の温度の低減を図ることができ、タ ヤの耐久性を向上させることができる空気 りタイヤを提供することができる。

図1は、第1実施形態に係る空気入りタ ヤ1を示す側面図である。 図2は、第1実施形態に係る空気入りタ ヤ1を示す一部断面斜視図である。 図3は、第1実施形態に係る空気入りタ ヤ1を示すトレッド幅方向断面図である。 図4は、第1実施形態に係る乱流発生用 起11を示す上面図である。 図5は、第1実施形態に係る乱流発生用 起11の延在方向に略直交する断面図である。 図6は、変形例1に係る乱流発生用突起11 Aの延在方向に略直交する断面図である。 図7は、変形例2に係る乱流発生用突起11 Bの延在方向に略直交する断面図である。 図8は、変形例3に乱流発生用突起11Cの 在方向に略直交する断面図である。 図9は、変形例4に係る乱流発生用突起11 Dの延在方向に略直交する断面図である。 図10は、比較評価における空気入りタ ヤの熱伝達率を示すグラフである(その1)。 図11は、比較評価における空気入りタ ヤの熱伝達率を示すグラフである(その2)。 図12は、比較評価における空気入りタ ヤの熱伝達率を示すグラフである(その3)。 図13は、第2実施形態に係る空気入りタ イヤ100を示す側面図である。 図14は、第2実施形態に係る空気入りタ イヤ100を示す一部断面斜視図である。 図15は、第2実施形態に係る空気入りタ イヤ100を示すトレッド幅方向断面図である。 図16は、第2実施形態に係る乱流発生用 突起111を示す斜視・断面図である。 図17は、第2実施形態に係る乱流発生用 突起111を示す径方向側面図である。 図18は、第2実施形態に係る乱流発生用 突起111を示す上面図である。 図19は、変形例1に係る乱流発生用突起 111Aを示す斜視・断面図である。 図20は、変形例2に係る乱流発生用突起 111Bを示す斜視・断面図である。 図21は、変形例3に係る乱流発生用突起 111Cを示す斜視・断面図である。 図22は、変形例4に係る乱流発生用突起 111Dを示す斜視・断面図である。 図23は、変形例5に係る乱流発生用突起 111Eを示す斜視・断面図である。 図24は、第3実施形態に係る空気入りタ イヤ200を示す一部断面斜視図である。 図25は、第3実施形態に係る空気入りタ イヤ200を示すトレッド幅方向断面図である。 図26は、第3実施形態に係る空気入りタ イヤ200を示す一部側面図(図25のA矢視図)であ 。 図27は、第3実施形態に係る乱流発生用 突起211を示す斜視図である。 図28は、第3実施形態に係る乱流発生用 突起211を示す断面図である。 図29は、変形例1に係る空気入りタイヤ 200Aを示す一部断面斜視図である。 図30は、変形例に係る空気入りタイヤ2 00Aを示す一部側面図である。 図31は、変形例2に係る空気入りタイヤ 200Bを示す一部断面斜視図である。 図32は、変形例2に係る空気入りタイヤ 200Bを示す一部側面図である。

[第1実施形態]
 次に、本発明に係る空気入りタイヤの一例 ついて、図面を参照しながら説明する。具 的には、(1)空気入りタイヤの構成、(2)乱流 生用突起の構成、(3)乱流発生用突起の変形 、(4)比較評価、(5)作用・効果、(6)その他の 態について、説明する。

 なお、以下の図面の記載において、同一 たは類似の部分には、同一又は類似の符号 付している。ただし、図面は模式的なのも であり、各寸法の比率などは現実のものと 異なることを留意すべきである。従って、 体的な寸法などは以下の説明を参酌して判 すべきものである。また、図面相互間にお ても互いの寸法の関係や比率が異なる部分 含まれている。

(1)空気入りタイヤの構成
 まず、第1実施形態に係る空気入りタイヤ1 構成について、図1~図3を参照しながら説明 る。図1は、第1実施形態に係る空気入りタイ ヤ1を示す側面図である。図2は、第1実施形態 に係る空気入りタイヤ1を示す一部断面斜視 である。図3は、第1実施形態に係る空気入り タイヤ1を示すトレッド幅方向断面図である なお、第1実施形態に係る空気入りタイヤ1は 、タイヤ外径が2m以上である重荷重用タイヤ あるものとする。

 図1~図3に示すように、空気入りタイヤ1は 、ビードコア3a、ビードフィラー3b及びビー トゥ3cを少なくとも含む一対のビード部3と 該ビードコア3aで折り返すカーカス層5とを えている。

 カーカス層5の内側には、チューブに相当 する気密性の高いゴム層であるインナーライ ナー7が設けられている。また、カーカス層5 トレッド幅方向外側、すなわち、サイドウ ール部におけるタイヤ表面9(タイヤサイド 面)には、タイヤ表面9からトレッド幅方向外 側へ突出し、乱流を発生させる乱流発生用突 起11が設けられている。

 なお、タイヤ表面は、タイヤ外面(例えば 、トレッド部やサイドウォール部の外表面) びタイヤ内面(例えば、インナーライナーの 表面)を含むものとする。

 カーカス層5のタイヤ径方向外側には、路 面と接するトレッド部13が設けられている。 た、カーカス層5とトレッド部13との間には トレッド部13を補強する複数のベルト層15が 設けられている。

(2)乱流発生用突起の構成
 次に、乱流発生用突起11の構成について、 1~図5を参照しながら説明する。なお、図4は 第1実施形態に係る乱流発生用突起11を示す 面図である。図5は、第1実施形態に係る乱 発生用突起11の延在方向(長手方向)に略直交 る断面図である。

 図1~図5に示すように、乱流発生用突起11 、タイヤ径方向へ向けて直線状で延在して る。乱流発生用突起11は、乱流発生用突起11 延在方向(すなわち、略タイヤ径方向)に略 交する断面形状が略四角形で形成されてい 。

 トレッド幅方向断面において、乱流発生 突起11の最もタイヤ径方向内側である突起 内位置P1から、リムフランジ17の最もタイヤ 方向外側であるリム最外位置P2までの距離 ある突起リム距離dは、30mm以上かつ200mm以下 あることが好ましい。

 なお、突起リム距離dが30mmよりも小さい 、リムフランジ17との接触により、乱流発生 用突起11が削れてしまうことがあり、該乱流 生用突起11の耐久性が低下してしまうこと ある。一方、突起リム距離dが200mmよりも大 いと、他のサイドウォール部におけるタイ 表面9と比べて元々厚く形成されるビード部3 近傍の温度を低減させるには不十分であり、 タイヤ温度を効率的に低減させることができ ない場合がある。

 乱流発生用突起11の最もタイヤ径方向外 である突起最外位置P3からトレッド最外位置 13aまでの距離である外側端部距離Dは、タイ 高さSHに対して10%以上である。特に、外側端 部距離Dは、広範囲を冷却してビード部3への 伝導が少なくするために、タイヤ高さSHに して20%以下がさらに好ましい。

 なお、外側端部距離Dがタイヤ高さSHに対 て10%よりも短いと、乱流発生用突起11が路 と接して削れてしまうことがあり、該乱流 生用突起11の耐久性が低下してしまう場合が ある。

 具体的には、突起最外位置P3は、タイヤ 度、特に、ビード部3近傍の温度の低減を図 ために、タイヤ最大幅TWの位置よりもタイ 径方向内側に位置することが好ましい。

 乱流発生用突起11では、タイヤ表面9から 流発生用突起11の最も突出する位置までの 起高さ(mm)を“h”、車両速度(km/h)を“v”、 イヤ外径(m)を“r”とすると、h=√{1/(v/r)}×係 数κ ・・・ 式I、ただし、係数κ=27.0~29.5の 係を満たす。

 なお、突起高さhが上記式により求められ た値よりも小さいと、乱流発生用突起11を乗 越える走行風の流れを加速させるには不十 であり、タイヤ温度を効率的に低減させる とができない場合がある。一方、突起高さh が上記式により求められた値よりも大きいと 、乱流発生用突起11内の温度(蓄熱温度)を低 させるには不十分であるとともに、乱流発 用突起11の強度が弱くなりすぎてしまい、上 述した問題が発生する場合がある。

 ここで、上記式I h=√{1/(V/R)}×κ を導き した経緯について説明する。乱流発生用突 11の本来の機能は、タイヤ表面9近傍の速度 界層における上層、又は、該境界層より上 速度が速い領域の空気層を利用して乱流を 生させ、タイヤ表面9を積極的に熱交換を行 ことである。この速度境界層の厚さは、タ ヤ回転の角速度に関係し、角速度が遅いほ 速度境界層が厚いということが知られてい 。

 つまり、速度境界層の厚さD∝回転体半径r/ (レイノルズ数Re) から、
 回転体のRe∝r 2 ×角速度ωを代入して、D∝√(1/ω) ・・・式II  を導くことができる。

 タイヤ外径の大きな建設車両用タイヤは、 度に対して角速度が小さくなるため、速度 界層の厚さを考慮して、突起高さhを設定す る必要がある。この建設車両用タイヤにおい て、車両速度Vやタイヤ外径Rから最適な突起 さhを求めた実験結果を表1に示す。

 表1に示すように、実験結果によると、タ イヤ外径4mのタイヤで車両速度60km/hで走行す 場合、突起高さhは7.5mm前後が最適であるこ が分かった。また、タイヤ外径2mのタイヤ 車両速度60km/hで走行する場合、突起高さhは5 .0mm前後が最適であることが分かった。

 さらに、タイヤ外径4mのタイヤで車両速 20km/hで走行する場合、突起高さhは13.0mm前後 最適であることが分かった。また、タイヤ 径2mのタイヤで車両速度20km/hで走行する場 、突起高さhは9.0mm前後が最適であることが かった。

 つまり、実験結果から、上記式II D∝√(1 /ω) をほぼ示していると言える。この結果か ら、D∝√(1/ω) と、ω∝V/R になることを考 すると、h=√{1/(V/R)}×κ という関係が成り立 つ。

 そして、上記式I h=√{1/(V/R)}×κ から、κ=h √(V/R)・・・ 式III を導くことができる。 の式IIIにより求められる係数κの値を表2に す。

 上述した実験結果から車両速度Vやタイヤ外 径Rから最適な突起高さhが分かっている。こ ため、表2に示すように、タイヤ外径4mのタ ヤで車両速度60km/hで走行する場合には、κ=7 .5×√(60/4)となり、κ=29.05 となる。また、タ ヤ外径2mのタイヤで車両速度60km/hで走行す 場合、κ=5.0×√(60
/2)となり、κ=27.39 となる。

 さらに、タイヤ外径4mのタイヤで車両速 20km/hで走行する場合には、κ=13.0×√(20/4)と り、κ=29.07 となる。また、タイヤ外径2mの イヤで車両速度20km/hで走行する場合には、κ =9.0×√(20/2)となり、κ=28.46 となる。

 以上のことから、発明者は、上記式I h= {1/(v/r)}×係数κ、ただし、係数κ=27.0~29.5の関 を導いた。例えば、タイヤ外径が4mのタイ では、建設車両の実用速度に相当する20~60km/ hの車両速度を考えた場合、7.5mm≦h≦13mmの範 が好ましく、鉱山毎に最頻速度領域に合わ た高さに設定することが望ましい。

 乱流発生用突起11の延在方向に対して略 交する幅である突起幅wは、乱流発生用突起1 1の延在方向で同一である。この突起幅wは、2 ~10mmであることが好ましい(図5参照)。

 なお、突起幅wが2mmよりも小さいと、乱流 発生用突起11の強度が弱くなりすぎてしまい 走行風により乱流発生用突起11が振動して まい、乱流発生用突起11自体の耐久性が低下 してしまう場合がある。一方、突起幅wが10mm りも大きいと、乱流発生用突起11内の温度( 熱温度)を低減させるには不十分であり、タ イヤ温度を効率的に低減させることができな い場合がある。

 図4に示すように、乱流発生用突起11のタ ヤ径方向に対して傾く角度である傾斜角度 は、-70°≦θ≦70°の範囲を満たすことが好ま しい。空気入りタイヤ1は、回転体であるた 、サイドウォール部におけるタイヤ表面9の 気の流れは、遠心力により径方向外側に向 っている。つまり、乱流発生用突起11の空 の流入に対し背面側の澱み部分を低減し放 を向上させるため、乱流発生用突起11の傾斜 角度θを上記角度範囲に設定することが好ま い。

 なお、乱流発生用突起11の傾斜角度θは、 回転体である空気入りタイヤ1のタイヤ径方 位置により空気の流れの速度が若干異なる め、各乱流発生用突起11が異なる傾斜角度θ 設定してもよい。

 図5に示すように、上述した突起高さを“ h”、互いに隣接する乱流発生用突起11同士の 間隔のピッチを“p”、突起幅を“w”とした きに、1.0≦p/h≦20.0、かつ、1.0≦(p-w)/w≦100.0 の関係を満たすことが好ましい。なお、「p/h 」とは、乱流発生用突起11の最もタイヤ径方 内側(突起最内位置(P1))から乱流発生用突起 最もタイヤ径方向外側(突起最外位置(P2))ま 中間の位置で測定されるものとする。

 特に、2.0≦p/h≦15.0の関係に設定すること が好ましく、4.0≦p/h≦10.0の関係に設定する とがさらに好ましい。また、5.0≦(p-w)/w≦70.0 の関係に設定することが好ましく、10.0≦(p-w) /w≦30.0の関係に設定することがさらに好まし い。なお、ピッチ(p)は、各乱流発生用突起11 延在方向の中央における幅を2等分した互い の点間の距離とする。

 上記のように、p/hで規定される空気の流 (乱流)は、ピッチpを細かく刻み過ぎると、 なわちピッチpを狭くすると、溝底部に空気 の流れが入り込まず、ピッチpを広げすぎる 乱流発生用突起11の形状加工が無い場合と同 等となってしまうため、上記した数値範囲に 設定することが好ましい。

 また、(p-w)/wは、ピッチpに対する突部の の割合を示すものであり、これが小さすぎ ことは、放熱を向上させたい面の面積に対 る乱流発生用突起11の表面積の割合が等しく なることと同様である。乱流発生用突起11は ゴムでなり表面積増加による放熱向上効果 期待できないため、(p-w)/wの最小値を1.0に規 定している。

(3)乱流発生用突起の変形例
 上述した第1実施形態に係る乱流発生用突起 11は、以下のように変形してもよい。なお、 述した第1実施形態に係る空気入りタイヤ1 同一部分には同一の符号を付して、相違す 部分を主として説明する。

(3-1)変形例1
 まず、変更例1に係る乱流発生用突起11Aにつ いて、図6を参照しながら説明する。図6は、 形例1に係る乱流発生用突起11Aの延在方向に 略直交する断面図である。

 図6(a)~図6(c)に示すように、乱流発生用突 11Aは、部分の劣化によるクラックの発生を 止するために、乱流発生用突起11Aの延在方 に略直交する断面形状が略台形で形成され いる。

 なお、この断面形状において、乱流発生 突起11Aの一方の側面とタイヤ表面9とがなす 傾斜角度θa、及び、乱流発生用突起11の他方 側面とタイヤ表面9とがなす傾斜角度θbは、 必ずしも同じ角度である必要はない。

(3-2)変形例2
 次に、変更例2に係る乱流発生用突起11Bにつ いて、図7を参照しながら説明する。図7は、 形例2に係る乱流発生用突起11Bの延在方向に 略直交する断面図である。

 図7(a)及び図7(b)に示すように、乱流発生 突起11Bは、略四角形である場合と比べて、 側辺の寸法や剛性を確保しつつ、ゴムの使 量を減らすために、乱流発生用突起11Bの延 方向に略直交する断面形状が略三角形で形 されている。

 なお、この断面形状において、乱流発生 突起11Bの一方の側面とタイヤ表面9とがなす 傾斜角度θc、及び、乱流発生用突起11Bの他方 の側面とタイヤ表面9とがなす傾斜角度θdは 必ずしも同じ角度である必要はない。

(3-3)変形例3
 次に、変更例3に係る乱流発生用突起11Cにつ いて、図8を参照しながら説明する。図8は、 形例3に係る乱流発生用突起11Cの延在方向に 略直交する断面図である。

 図8(a)及び図8(b)に示すように、乱流発生 突起11Cは、乱流発生用突起11Cの延在方向に 直交する断面形状が段差19を有する段付き形 状で形成されている。

 この場合、段差19は、図8(a)に示すように 乱流発生用突起11Cの両方の側面に設けられ いてもよく、図8(b)に示すように、乱流発生 用突起11Cの一方の側面に設けられていてもよ い。

 なお、この断面形状において、乱流発生 突起11Cの一方の側面とタイヤ表面9とがなす 傾斜角度θe、及び、乱流発生用突起11Cの他方 の側面とタイヤ表面9とがなす傾斜角度θfは 必ずしも直角である必要はなく、かつ、同 角度である必要はない。また、段差19の一方 の面と他方の面とは、交差角度θgが略直角の みに限定されるものではなく、傾斜していて も勿論よい。

(3-4)変形例4
 次に、変更例4に係る乱流発生用突起11Dにつ いて、図9を参照しながら説明する。図9は、 形例4に係る乱流発生用突起11Dの延在方向に 略直交する断面図である。

 図9(a)及び図9(b)に示すように、乱流発生 突起11Dは、乱流発生用突起11Dび延在方向に 直交する断面形状が略四角形で形成されて る。乱流発生用突起11Dには、乱流発生用突 11D自体の放熱率を高めるために、乱流発生 突起11Dの延在方向に略直交する方向(すなわ 、略タイヤ周方向)に貫通する貫通孔21が形 されている。

 なお、貫通孔21が形成される乱流発生用 起11Dでは、必ずしも乱流発生用突起11Dの延 方向に略直交する断面形状が略四角形であ 必要はなく、例えば、図9(c)に示すように、 台形であってもよく、図9(d)に示すように、 略三角形であってもよく、図9(e)に示すよう 、段差19を有する段付き形状であってもよい 。

(4)比較評価
 次に、本発明の効果をさらに明確にするた に、以下の従来例及び実施例に係る空気入 タイヤを用いて行った試験結果について説 する。なお、本発明はこれらの例によって んら限定されるものではない。

 従来例及び実施例に係る空気入りタイヤの 成及びビード部の温度上昇試験について、 3を参照しながら説明する。なお、ビード部 の温度上昇試験は、タイヤサイズ:53/80R63、正 規内圧、正規荷重の条件下(建設車両用タイ )で行う。

 表3に示すように、従来例に係る空気入り タイヤには、乱流発生用突起が設けられてい ない。実施例に係る空気入りタイヤ1には、 流発生用突起11が設けられている。

<ビード部の温度上昇試験>
 各空気入りタイヤを正規リムに組んで上記 件下のもと、360トンのダンプの前輪に装着 て、速度15km/hで24時間走行した後、リムフ ンジの上で約20mmかつカーカス層のトレッド 方向外側で約5mmの位置の温度上昇を計測し 。なお、この温度は、タイヤ周方向で均等 6箇所計測した平均値である。

 この結果、実施例に係る空気入りタイヤ1 は、従来例に係る空気入りタイヤと比べて、 ビード部の温度上昇が少ない(4.5度少ない)た 、該ビード部近傍の温度の低減を図ること できると分かった。すなわち、実施例に係 空気入りタイヤ1は、乱流発生用突起11が設 られているため、タイヤ温度、特に、ビー 部近傍の温度の低減を図ることができると かった。

<耐久性試験>
 次に、乱流発生用突起のp/h、(p-w)/w、傾斜角 度を変えたものを用いて、耐
久性試験の結果を図10~図12に示す。なお、図1 0~図12のグラフの縦軸は、ヒータに定電圧を 加して一定の熱量を発生させ、それを送風 で送ったときのタイヤ表面の温度と風速を 定して求めた熱伝達率である。すなわち、 の熱伝達率が大きいほど、冷却効果が高く 耐久性に優れている。ここでは、乱流発生 突起が設けられていない空気入りタイヤ(従 例)の熱伝達率を“100”に設定している。

 なお、この熱伝達率測定試験は、以下の 件下(建設車両用タイヤ)で行った。

  ・ タイヤサイズ : 53/80R63
  ・ ホイールサイズ : 36.00/5.0
  ・ 内圧条件 : 600kPa
  ・ 荷重条件 : 83.6t
  ・ 速度条件 : 20km/h
 図10に示すように、乱流発生用突起11の間隔 pと高さhの比の値(p/h)と、耐久性能との関係 、p/hが1.0以上で、かつ20.0以下の範囲内であ ことにより熱伝達率が高まっている。p/hは 2.0から15.0の範囲に設定することで、さらに 熱伝達率が良く耐久性が高くなっている。こ のため、1.0≦p/h≦20.0の範囲に設定すること よく、特に、2.0≦p/h≦15.0の範囲に設定する とが好ましく、4.0≦p/h≦10.0の範囲に設定す ることがさらに好ましいことが分かる。

 図11に示すように、(p-w)/wと熱伝達率(上記 熱伝達率と同様の方法で測定)との関係は、1. 0≦(p-w)/w≦100.0の範囲内であることにより熱 達率が高まっている。特に、5.0≦(p-w)/w≦70.0 の範囲に設定することが好ましく、10.0≦(p-w) /w≦30.0の範囲に設定することがさらに好まし いことが分かる。

 図12に示すように、タイヤ径方向から傾 乱流発生用突起の傾斜角度θは、0~70°の範囲 内や0~-70°の範囲内であることが好ましいこ が分かる。

(5)作用・効果
 以上説明した本実施の形態に係る空気入り イヤ1では、突起高さh(mm)=√{1/(車両速度(km)/ タイヤ外径(m))}×29の関係を満たす。これによ れば、車両の走行に伴って車両前方から発生 する走行風、及び、空気入りタイヤ1の回転 伴ってタイヤ回転方向前方から発生する回 風が乱流発生用突起11を乗り越える際に、乱 流発生用突起11を乗り越える該乱流発生用突 11の前側で圧力が上昇する。この圧力上昇 伴い、乱流発生用突起11を通過する走行風及 び回転風の流れを加速させる(すなわち、タ ヤ温度の放熱率を高める)ことができる。こ 加速した走行風及び回転風により、タイヤ 度、特に、ビード部近傍の温度の低減を図 ことができ、タイヤの耐久性を向上させる とができる。

 具体的には、図5に示すように、走行風及 び回転風(以下、主流S1)は、乱流発生用突起11 よりタイヤ表面9から剥離されて乱流発生用 起11の前方側のエッジ部Eを乗り越えて、乱 発生用突起11の背面側(後側)へ向けて加速す 。

 そして、加速した主流S1は、乱流発生用突 11の背面側でタイヤ表面9に対して鉛直方向 流れる(いわゆる、下降流)。このとき、主流 S1の流れが滞留する部分(領域
)で流れる流体S2は、乱流発生用突起11の背面 で滞留する熱を奪って主流S1に再び流れ、 の主流1は、次の乱流発生用突起11のエッジ Eを乗り越えて加速する。

 さらに、次の乱流発生用突起11のタイヤ 転方向に対する前側(前面側)では、主流S1が 留する部分(領域)で流れる流体S3は、乱流発 生用突起11の前面側で滞留する熱を奪って主 S1に再び流れる。

 つまり、主流S1がエッジ部Eを乗り超えて 速し、かつ、流体S2,S3が熱を奪って主流S1に 再び流れることによって、広範囲でタイヤ温 度を低減させることができ、特に、乱流発生 用突起11の根元部分や、主流S1が鉛直方向で 触する領域を低減させることができる。

 また、乱流発生用突起11の傾斜角度θが-70 °≦θ≦70°の範囲を満たすことによって、走 風を利用してタイヤ温度の低減を図ること 勿論、空気入りタイヤ1の回転に伴って発生 する回転風をも利用してタイヤ温度の低減を さらに図ることが可能となる。

 特に、建設車両(例えば、ダンプトラック やクレーダー、トラクター、トレーラー)等 、タイヤを覆うタイヤカバー(フェンダー等) が設けられていないため、該建設車両等に装 着される重荷重タイヤに上記乱流発生用突起 11を適用することによって、車両速度が遅い 合(例えば、10~50km/h)であっても、乱流発生 突起11を乗り越える走行風及び回転風の流れ を加速させることができ、タイヤ温度を低減 させることができる。

(6)その他の形態
 上述したように、本発明の第1実施形態を通 じて本発明の内容を開示したが、この開示の 一部をなす論述及び図面は、本発明を限定す るものであると理解すべきではない。

 具体的には、乱流発生用突起11は、タイ 表面9と略平行な上面及びタイヤ表面9(底面) 平面である場合、この対向する面が必ずし 平行に形成されている必要はなく、例えば タイヤ回転方向(車両走行方向)に向けて傾 (上昇・下降)していてもよく、対向する面が 非対称であってもよい。

 また、乱流発生用突起11は、タイヤ径方 へ向けて直線状で延在しているものとして 明したが、これに限定されるものではなく 例えば、タイヤ径方向に向けて曲線状で延 しても勿論よい。

 さらに、空気入りタイヤ1は、突起高さh(m m)=√{1/(車両速度(km)/タイヤ外径(m))}×29 の関 を満たす乱流発生用突起11を備えているも として説明したが、これに限定されるもの はない。例えば、上記式により算出された 起高さh(mm)を有する乱流発生用突起11を空気 りタイヤ1に成型する方法など、上記式を用 いて製造する方法であってもよいことは勿論 である。

 また、空気入りタイヤ1は、重荷重用タイ ヤであるものとして説明したが、これに限定 されるものではなく、一般の乗用車用ラジア ルタイヤ、バイアスタイヤ等であっても勿論 よい。

 この開示から当業者には様々な代替実施 形態、実施例及び運用技術が明らかとなろ 。したがって、本発明の技術的範囲は、上 の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発 特定事項によってのみ定められるものであ 。

[第2実施形態]
 以下において、第2実施形態に係る空気入り タイヤ100について、図面を参照しながら説明 する。具体的には、(1)乱流発生用突起の構成 、(2)凹部の変形例、(3)比較評価、(4)作用・効 果について、(5)その他の形態について説明す る。なお、上述した第1実施形態に係る空気 りタイヤ1と同一部分には同一の符号を付し 、相違する部分を主として説明する。

(1)乱流発生用突起の構成
 まず、第2実施形態に係る乱流発生用突起111 の構成について、図13~図18を参照しながら説 する。図13は、第2実施形態に係る空気入り イヤ100を示す側面図である。図14は、第2実 形態に係る空気入りタイヤ100を示す一部断 斜視図である。図15は、第2実施形態に係る 気入りタイヤ100を示すトレッド幅方向断面 である。

 図16(a)は、第2実施形態に係る乱流発生用 起111を示す斜視図である。図16(b)は、第2実 形態に係る乱流発生用突起111の延在方向に 直交する断面図である。図17は、第2実施形 に係る乱流発生用突起111を示す径方向側面 である。図18は、第2実施形態に係る乱流発 用突起111を示す上面図である。

 図13~図15に示すように、乱流発生用突起11 1は、タイヤ表面9におけるタイヤ最大幅TWの 置であるタイヤ幅最大位置P10から、リムフ ンジ17と接するビード部3のタイヤ径方向外 の位置であるビード外側位置P11までの範囲r 設けられている。

 具体的には、乱流発生用突起111は、該乱 発生用突起111の延在方向(すなわち、長手方 向)に略直交する断面形状が略四角形で形成 れている。また、乱流発生用突起111は、タ ヤ表面9側(突起底面)に向かって窪む複数の 部112を有している。この凹部112は、全て同 の深さにより形成されている。

 凹部112の側部は、乱流発生用突起111の延 方向に略直角でタイヤ表面9側に向かって形 成されている。また、凹部112の底部は、凹部 112の開閉(伸縮)により応力が集中して底部に 生するクラック(亀裂)を抑制するために、 面形状が円弧状である円弧部Rにより形成さ ている。

 図16に示すように、タイヤ表面9から乱流 生用突起111の最も突出する位置までの突起 さを“h”、 凹部112の深さを“d”としたと きに、0.90≧d/h≧0.30の関係を満たすことが好 しい。

 なお、凹部112の深さ(d)に対する突起高さ( h)の比の値(d/h)が0.30よりも小さいと、荷重に る凹部112の開閉(伸縮)可能な範囲が小さく ってしまい、乱流発生用突起111自体の変形 抑制する効果が小さくなってしまう場合が る。一方、凹部112の深さ(d)に対する突起高 (h)の比の値(d/h)が0.90よりも大きいと、乱流 生用突起111による乱流を発生させる効果が さくなってしまう場合がある。

 互いに隣接する凹部112同士の間隔を“L” 、 乱流発生用突起111の延在方向に対する凹 112の幅を“e”としたときに、0.10≦e/L≦0.30 関係を満たすことが好ましい。この隣接す 凹部112同士の間隔(L)は、凹部112の幅(e)を2等 分した互いの点間の距離とする。

 なお、凹部112の幅(e)に対する凹部112同士 間隔(L)の比の値(e/L)が0.30よりも大きいと、 起高さ(h)が低い範囲が広く設けられてしま ことになって、乱流発生用突起111内の温度( 蓄熱温度)を低減させるには不十分であり、 イヤ温度を効率的に低減させることができ い場合がある。一方、凹部112の幅(e)に対す 凹部112同士の間隔(L)の比の値(e/L)が0.10より 小さいと、凹部112の幅(e)が狭くなって該凹 112が閉じるスペースがなくなってしまい、 流発生用突起111の変形を抑制する効果が小 くなってしまう場合がある。

 タイヤ表面9から乱流発生用突起111の最も 突出する位置までの突起高さ(h)は、3~20mmに設 定されることが好ましい。特に、突起高さ(h) は、7.5~15mmに設定されることが好ましい。

 なお、突起高さ(h)が3mmよりも小さいと、乱 発生用突起111を乗り越える回転風や走行風 流れを加速させるには不十分であり、タイ 温度を効率的に低減させることができない 合がある。一方、突起高さ(h)が20mmよりも大 きいと、乱流発生用突起111内の温度(蓄熱温 )を低減させるには不十分であるとともに、 流発生用突起111の強度が弱くなりすぎて回 風や走行風により乱流発生用突起111が振動 てしまい、
乱流発生用突起111自体の耐久性が低下してし まう場合がある。

 図17に示すように、第1実施形態で説明し ように、上記突起高さを“h”、乱流発生用 突起11間のピッチを“p”、上記突起幅を“w でとしたときに、1.0≦p/h≦20.0、かつ、1.0≦( p-w)/w≦100.0の関係を満たすことが好ましい。

 図18に示すように、第1実施形態で説明し ように、乱流発生用突起111のタイヤ径方向 対して傾く角度である傾斜角度(θ1)は、-70° ≦θ1≦70°(±70°)の範囲を満たすことが好まし い。

 また、乱流発生用突起111は、上記突起高 を“h”、突起幅を“w”でとしたときに、1. 0≦h/w≦10の関係を満たすことが好ましい。

 なお、突起高さ(h)に対する突起幅(w)の比 値(h/w)が1.0よりも小さいと、乱流発生用突 111を乗り越える回転風や走行風を加速させ には不十分であり、タイヤ温度、特に、ビ ド部3近傍の温度を効率的に低減させること できない場合がある。一方、突起高さ(h)に する突起幅(w)の比の値(h/w)が10よりも大きい と、乱流発生用突起111内の温度(蓄熱温度)を 減させるには不十分であり、タイヤ温度を 率的に低減させることができない場合があ 。

(2)凹部の変形例
 上述した第2実施形態に係る凹部112は、以下 のように変形してもよい。なお、上述した第 2実施形態に係る凹部112と同一部分には同一 符号を付して、相違する部分を主として説 する。

(2-1)変形例1
 上述した第2実施形態に係る該凹部112の底部 は、円弧部Rにより形成されているものとし 説明したが、以下のように変形してもよい 図19(a)は、変形例1に係る乱流発生用突起111A 示す斜視図である。図19(b)は、変形例1に係 乱流発生用突起111Aの延在方向に略直交する 断面図である。

 図19に示すように、乱流発生用突起111Aに ける凹部112Aの側面と底部との連結部分(コ ナー)は、凹部112Aの開閉(伸縮)により応力が 中して底部に発生するクラック(亀裂)を抑 するために、1mm以上の円弧部R1で形成されて いる。凹部112Aの底部は、一方の円弧部R1と他 方の円弧部R1とが平面で連結されている。

(2-2)変形例2
 上述した第2実施形態に係る凹部112の底部は 、円弧部Rにより形成されているものとして 明したが、以下のように変形してもよい。 20(a)は、変形例2に係る乱流発生用突起111Bを す斜視図である。図20(b)は、変形例2に係る 流発生用突起111Bの延在方向に略直交する断 面図である。

 図20に示すように、乱流発生用突起111Bに ける凹部112Bの底部は、平面で形成されてい る。すなわち、凹部112Bの側面と底部とは、 直角に連結されている。

(2-3)変形例3
 上述した第2実施形態に係る凹部112の側部は 、乱流発生用突起111の延在方向に略直角に形 成されているものとして説明したが、以下の ように変形してもよい。図21(a)は、変形例3に 係る乱流発生用突起111Cを示す斜視図である 図21(b)は、変形例3に係る乱流発生用突起111C 延在方向に略直交する断面図である。

 図21に示すように、乱流発生用突起111Cに ける凹部112Cの一方の側面は、乱流発生用突 起111Cの延在方向に略直角でタイヤ表面9側に かって形成されている。また、他方の側面 、乱流発生用突起111Cの延在方向に対して所 定角度α(例えば、120°)を傾斜して形成されて いる。なお、凹部112Cの一方の側面と他方の 面とが同一の傾斜角度であっても勿論よい

 凹部11Aの底部には、凹部112Cの開閉(伸縮) より応力が集中して底部に発生するクラッ (亀裂)を抑制するために、1つの円弧部R2が けられている。

(2-4)変形例4
 上述した第2実施形態に係る凹部112は、全て 同一の深さにより形成されているものとして 説明したが、以下のように変形してもよい。 図22(a)は、変形例4に係る乱流発生用突起111D 示す斜視図である。図22(b)は、変形例4に係 乱流発生用突起111Dの延在方向に略直交する 面図である。

 図22に示すように、乱流発生用突起111Dに いて、隣接する凹部112Dは、異なる深さ(図 では、深さd1,深さd2)により形成されている なお、隣接する凹部112Dは、必ずしも異なる さである必要はなく、複数の凹部112Dのうち の少なくとも1つが異なる深さであっても勿 よい。

(2-5)変形例5
 上述した第2実施形態に係る凹部112の底部は 、円弧部Rにより形成されているものとして 明したが、以下のように変形してもよい。 23(a)は、変形例5に係る乱流発生用突起111Eを す斜視図である。図23(b)は、変形例5に係る 流発生用突起111Eの延在方向に略直交する断 面図である。

 図23に示すように、乱流発生用突起111Eに ける凹部112Eの側部は、乱流発生用突起111E 延在方向に略直角に形成されている。また 凹部112Eの底部には、凹部112Eの開閉(伸縮)に り応力が集中して底部に発生するクラック( 亀裂)を抑制するために、半円状の円弧部R3が 設けられている。

(3)比較評価
 次に、本発明の効果をさらに明確にするた に、以下の従来例、比較例及び実施例に係 空気入りタイヤを用いて行った試験結果に いて説明する。なお、本発明はこれらの例 よってなんら限定されるものではない。

 従来例、比較例及び実施例に係る空気入り イヤの構成、破損(外観)状態及びビード部 温度上昇試験について、表4を参照しながら 明する。なお、ビード部の温度上昇試験は タイヤサイズ:53/80R63、正規内圧、正規荷重 条件下(建設車両用タイヤ)で行う。

 表4に示すように、従来例に係る空気入り タイヤには、乱流発生用突起が設けられてい ない。また、比較例に係る空気入りタイヤに は、凹部が形成されていない乱流発生用突起 が設けられている。さらに、実施例に係る空 気入りタイヤ100には、凹部112が形成されてい る乱流発生用突起111が設けられている。

<破損(外観)状態>
 各空気入りタイヤを正規リムに組んで上記 件下のもと、320トンのダンプの前輪に装着 て、速度15km/hで24時間走行した後に破損が 生しているか否かを外観視した(第1試験)。 た、上記条件のもと、速度15km/hで1ヶ月間走 した後に破損が発生しているか否かを外観 した(第2試験)。

 この結果、従来例、比較例及び実施例に る空気入りタイヤは、第1試験及び第2試験 おいてクラック(亀裂)等の破損が発生しなか ったが、比較例に係る空気入りタイヤは、第 2試験において乱流発生用突起の先端から一 でクラックが発生することが分かった。

 すなわち、凹部112が形成される乱流発生 突起111を有する空気入りタイヤ100(実施例) は、凹部が形成されていない乱流発生用突 を有する空気入りタイヤ(比較例)と比べて、 クラック(亀裂)等の破損の発生を抑制するこ ができるため、サイドウォール部、特に、 流発生用突起の耐久性を向上させてタイヤ 耐久性を向上させることができることが分 った。

<ビード部の温度上昇試験>
 各空気入りタイヤを正規リムに組んで上記 件下のもと、320トンのダンプの前輪に装着 て、速度15km/hで24時間走行した後、リムフ ンジの上で約20mmかつカーカス層のトレッド 方向外側で約5mmの位置の温度上昇を計測し 。なお、この温度は、タイヤ周方向で3箇所 均等に計測した平均値である。

 この結果、比較例及び実施例に係る空気 りタイヤは、従来例に係る空気入りタイヤ 比べて、ビード部の温度上昇が少ないため 該ビード部近傍の温度の低減を図ることが きると分かった。すなわち、乱流発生用突 を有する空気入りタイヤ(比較例及び実施例 )は、乱流発生用突起を有しない空気入りタ ヤ(従来例)と比べて、タイヤ温度、特に、ビ ード部近傍の温度の低減を図ることができる と分かった。

<総合評価>
 以上のように、実施例に係る空気入りタイ 100は、従来例及び比較例に係る空気入りタ ヤと比べて、タイヤ温度の低減を図ること できるとともに、タイヤ表面に発生するク ック(亀裂)等の破損を抑制することができ サイドウォール部、特に、乱流発生用突起 耐久性を向上させてタイヤの耐久性を向上 せることができると分かった。

 なお、上記破損(外観)状態やビード部の 度上昇試験では、建設車両用タイヤで行っ が、乗用車用タイヤやトラック・バス用タ ヤ、航空機用タイヤなどに適用しても同じ とが言える。

(4)作用・効果
 以上説明した第2実施形態に係る空気入りタ イヤ1では、乱流発生用突起11がタイヤ幅最大 位置P1からビード外側位置P2までの範囲に設 られている。これによれば、空気入りタイ 1の回転に伴ってタイヤ回転方向前方から発 する回転風や、車両の走行に伴って車両前 から発生する走行風を加速させることがで るため、タイヤ温度の放熱率を高めること できる。つまり、加速した回転風や走行風 よって、タイヤ温度、特に、ビード部3近傍 の温度の低減を図ることができ、タイヤの耐 久性を向上させることができる。

 ここで、従来の空気入りタイヤには、空 入りタイヤの外周側は熱伝導性の低いゴム が配置されることが多く、タイヤ内部に温 分布が発生して、タイヤの内部の温度が相 的に高くなり、タイヤ全集に渡って均一に 率よく放熱することができないという問題 あった。

 特に、重荷重用タイヤは、重荷重や悪路 使用されることが多いため、サイドウォー 部の撓みが大きい。このため、重荷重用タ ヤに従来の技術を適用した場合、サイドウ ール部に放熱用溝状部が設けられていると タイヤ表面と放熱用溝状部との連結部分に ラック(亀裂)等の破損が発生しやすく、サ ドウォール部の耐久性が低下してしまう。

 そこで、第2実施形態では、乱流発生用突 起11が複数の凹部11Aを有することによって、 イドウォール部が変形することに追従して 凹部の開閉(伸縮)により乱流発生用突起が 形可能となり、タイヤ表面9に発生するクラ ク(亀裂)等の破損を抑制することができる め、サイドウォール部、特に、乱流発生用 起11の耐久性を向上させてタイヤの耐久性を 向上させることができる。

(5)その他の形態
 上述したように、本発明の実施の形態を通 て本発明の内容を開示したが、この開示の 部をなす論述及び図面は、本発明を限定す ものであると理解すべきではない。

 具体的には、乱流発生用突起111は、タイ 表面9と略平行な上面及びタイヤ表面9(底面) が平面である場合、この対向する面が必ずし も平行に形成されている必要はなく、例えば 、タイヤ回転方向(車両走行方向)に向けて傾 (上昇・下降)していてもよく、対向する面 非対称であってもよい。

 この開示から当業者には様々な代替実施 形態、実施例及び運用技術が明らかとなろ 。したがって、本発明の技術的範囲は、上 の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発 特定事項によってのみ定められるものであ 。

[第3実施形態]
 以下において、第3実施形態に係る空気入り タイヤ200について、図面を参照しながら説明 する。具体的には、(1)乱流発生用突起の構成 、(2)乱流発生用突起の変形例、(3)比較評価、 (4)作用・効果について、(5)その他の形態につ いて説明する。なお、上述した第1実施形態 係る空気入りタイヤ1と同一部分には同一の 号を付して、相違する部分を主として説明 る。

(1)乱流発生用突起の構成
 まず、第3実施形態に係る乱流発生用突起211 の構成について、図24~図28を参照しながら説 する。図24は、第3実施形態に係る空気入り イヤ200を示す一部断面斜視図である。図25 、第3実施形態に係る空気入りタイヤ200を示 トレッド幅方向断面図である。図26は、第3 施形態に係る空気入りタイヤ200を示す一部 面図(図25のA矢視図)である。図27は、第3実 形態に係る乱流発生用突起211を示す斜視図 ある。図28は、第3実施形態に係る乱流発生 突起211を示す断面図である。

 図24~図28に示すように、乱流発生用突起21 1は、タイヤ径方向へ向けて直線状で変位す 複数の屈曲部212を有している。すなわち、 在方向(長手方向)における乱流発生用突起211 の側面である突起側面には、複数の面により 複数の屈曲部212が形成されている。なお、乱 流発生用突起211は、複数の屈曲部212によりタ イヤ径方向に対して交互に傾いている。

 乱流発生用突起211の最もタイヤ径方向内 である突起最内位置(P20)からビードトゥ3cま での距離である内側端部距離(D1)は、ビード ゥ3cからトレッド最外位置13aまでのタイヤ高 さ(SH)に対して10%以上である。内側端部距離(D 1)は、ビード部3に配置されてタイヤ最大幅(TW )の位置にかからなくするために、タイヤ高 (SH)に対して35%以下がさらに好ましい。

 なお、内側端部距離(D1)がタイヤ高さ(SH) 対して10%よりも短いと、リムフランジ17との 接触により、乱流発生用突起211が削れてしま うことがあり、該乱流発生用突起211の耐久性 が低下してしまう場合がある。

 また、乱流発生用突起211の最もタイヤ径 向外側である突起最外位置(P21)は、トレッ ショルダー端部TS(いわゆる、ハンプ部)より タイヤ径方向内側に設けられている。この 起最外位置(P21)は、ビード部3全体に該乱流 生用突起211を配置させたいため、トレッド 外位置13aからタイヤ高さ(SH)に対して57%の位 置よりもタイヤ径方向外側に設けられること が好ましい。すなわち、突起最外位置(P21)は ビードトゥ3cからタイヤ高さ(SH)に対して43% 位置から、トレッドショルダー端部TSまで 範囲(R)に設けられることが好ましい。

 なお、突起最外位置(P21)がトレッドショ ダー端部TSよりもタイヤ径方向外側に設けら れると、乱流発生用突起211が路面と接して削 れてしまうことがあり、該乱流発生用突起211 の耐久性が低下してしまう場合がある。

 具体的には、突起最外位置(P2)は、タイヤ 温度、特に、ビード部3近傍の温度の低減を るために、タイヤ最大幅(TW)の位置よりもタ ヤ径方向内側に位置することが好ましいが トレッドショルダー端部TS近傍の温度を低 させたい場合には、トレッドショルダー端 TS付近まで位置していてもよい。

 ここで、乱流発生用突起211の延在方向に して略直交する幅である突起幅(w)は、延在 向で同一である。具体的には、図27及び図28 に示すように、乱流発生用突起211は、タイヤ 表面9から乱流発生用突起211の最も突出する 置までの突起高さを“h”、突起幅を“w”で としたときに、1.0≦h/w≦10の関係を満たす。

 なお、突起高さ(h)に対する突起幅(w)の比 値(h/w)が1.0よりも小さいと、乱流発生用突 211を乗り越える走行風の流れを加速させる は不十分であり、タイヤ温度、特に、ビー 部3近傍の温度を効率的に低減させることが きない場合がある。一方、突起高さ(h)に対 る突起幅(w)の比の値(h/w)が10よりも大きいと 、乱流発生用突起211内の温度(蓄熱温度)を低 させるには不十分であり、タイヤ温度を効 的に低減させることができない場合がある

 また、突起高さ(h)は、第2実施形態で説明 したように、3~20mmであることが好ましい。特 に、突起高さ(h)は、7.5~15mmであることが好ま い。

 図27及び図28に示すように、第1実施形態 び第2実施形態で説明したように、上述した 起高さを“h”、互いに隣接する乱流発生用 突起211同士の間隔のピッチを“p”、突起幅 “w”としたときに、1.0≦p/h≦20.0、かつ、1.0 ≦(p-w)/w≦100.0の関係を満たすことが好ましい 。なお、「p/h」とは、乱流発生用突起211の最 もタイヤ径方向内側(突起最内位置(P20))から 流発生用突起211の最もタイヤ径方向外側(突 最外位置(P21))まで中間の位置で測定される のとする。すなわち、図26に示すように、 p/h」は、乱流発生用突起211の中間線(ML)上で 定されるものとする。

 図26に示すように、第1実施形態及び第2実 施形態で説明したように、乱流発生用突起211 のタイヤ径方向に対して傾く角度である傾斜 角度(θ)は、-70°≦θ≦70°(±70°)の範囲を満た ことが好ましい。

 また、乱流発生用突起211は、乱流発生用 起211の延在方向に沿って不連続に分割され いる構成であってもよく、タイヤ周方向に って不均一に配置された構成であってもよ 。サイドウォール部におけるタイヤ表面9に 設けられる乱流発生用突起211の空気の流入に 対して、タイヤ回転方向に対する後側(すな ち、背面側)では澱みが生じて、該乱流発生 突起211が設けられていない場合と比べて、 熱効果が悪化する部分が生じる。この放熱 果が悪化する部分を削減して平均的な熱伝 率を向上させるには、乱流発生用突起211が 流発生用突起211の延在方向に不連続に分割 れていることが有効となる。

(2)乱流発生用突起の変形例
 上述した変形例に係る乱流発生用突起211は 以下のように変形してもよい。なお、上述 た第3実施形態に係る乱流発生用突起211と同 一部分には同一の符号を付して、相違する部 分を主として説明する。

(2-1)変形例1
 上述した第3実施形態に係る乱流発生用突起 211は、複数の屈曲部212によりタイヤ径方向に 対して交互に傾いているものとして説明した が、以下のように変形してもよい。図29は、 形例1に係る空気入りタイヤ200Aを示す一部 面斜視図である。図30は、変形例に係る空気 入りタイヤ200Aを示す一部側面図である。

 図29及び図30に示すように、空気入りタイ ヤ200Aにおける乱流発生用突起211Aは、複数の 曲部212Aによりタイヤ径方向に対して傾く部 分である傾斜部分213Aと、タイヤ径方向に対 て略平行な部分である平行部分213Bとによっ 構成されている。傾斜部分213Aと乱流発生用 突起211Aとは、一定の等間隔で設けられてい 。

(2-2)変形例2
 上述した第3実施形態に係る乱流発生用突起 211は、タイヤ径方向へ向けて直線状で変位す る複数の屈曲部212を有しているものとして説 明したが、以下のように変形してもよい。図 31は、変形例2に係る空気入りタイヤ200Bを示 一部断面斜視図である。図32は、変形例2に る空気入りタイヤ200Bを示す一部側面図であ 。

 図31及び図32に示すように、空気入りタイ ヤ200Bにおける乱流発生用突起211Bは、タイヤ 方向へ向けて曲線状で等間隔に変位する複 の屈曲部212Bを有している。なお、乱流発生 用突起211Bは、複数の屈曲部212Bによりタイヤ 方向に対して交互に傾いている。

(3)比較評価
 次に、本発明の効果をさらに明確にするた に、以下の従来例及び実施例に係る空気入 タイヤを用いて行った試験結果について説 する。なお、本発明はこれらの例によって んら限定されるものではない。

 従来例及び実施例に係る空気入りタイヤの 成及びビード部の温度上昇試験について、 1を参照しながら説明する。なお、ビード部 の温度上昇試験は、タイヤサイズ:53/80R63、正 規内圧、正規荷重の条件下(建設車両用タイ )で行う。

 表5に示すように、従来例に係る空気入り タイヤには、乱流発生用突起が設けられてい ない。実施例に係る空気入りタイヤ200には、 乱流発生用突起211が設けられている。

<ビード部の温度上昇試験>
 空気入りタイヤを正規リムに組んで上記条 下のもと、360トンのダンプの前輪に装着し 、速度15km/hで24時間走行した後、リムフラ ジと接するビード部のタイヤ径方向外側の 置であるビード外側位置(P20)内の温度上昇を 計測した。なお、このビード外側位置(P20)内 温度は、タイヤ周方向で6箇所均等に計測し た平均値である。

 この結果、実施例に係る空気入りタイヤ2 00は、従来例に係る空気入りタイヤと比べて ビード部の温度上昇が少ないため、該ビー 部近傍の温度の低減を図ることができると かった。すなわち、実施例に係る空気入り イヤ200は、乱流発生用突起211が設けられて るため、タイヤ温度、特に、ビード部近傍 温度の低減を図ることができると分かった

(4)作用・効果
 以上説明した第3実施形態に係る空気入りタ イヤ200では、乱流発生用突起211が屈曲部212を 有するとともに、突起幅(w)が延在方向で同一 である。これによれば、車両の走行に伴って 車両前方から発生する走行風、及び、空気入 りタイヤ1の回転に伴ってタイヤ回転方向前 から発生する回転風が乱流発生用突起211を り越える際に、乱流発生用突起211を乗り越 る該乱流発生用突起211の前側で圧力が上昇 る。この圧力上昇に伴い、乱流発生用突起21 1を通過する走行風及び回転風の流れを加速 せる(すなわち、タイヤ温度の放熱率を高め )ことができる。この加速した走行風及び回 転風により、タイヤ温度、特に、ビード部近 傍の温度の低減を図ることができ、タイヤの 耐久性を向上させることができる。

 また、乱流発生用突起211が、タイヤ径方 へ向けて直線状で等間隔に変位する複数の 曲部212を有することによって、荷重等によ 空気入りタイヤ200のサイド部が圧縮すると 屈曲部212により乱流発生用突起211がタイヤ 方向へ撓みやすくなっているため、乱流発 用突起211自体の耐久性を向上させることが きる。

 また、乱流発生用突起211Bが、タイヤ径方 向へ向けて曲線状で等間隔に変位する複数の 屈曲部212Bを有することによって、荷重等に り空気入りタイヤ200Bのサイド部が圧縮する 、屈曲部212Bにより乱流発生用突起211Bがタ ヤ径方向へ撓みやすくなっているため、乱 発生用突起211B自体の耐久性を向上させるこ ができる。

 また、突起高さ(h)に対する突起幅(w)の比 値が1.0≦h/w≦10の関係を満たすことによっ 、乱流発生用突起211を乗り越えて加速した 行風及び回転風で、タイヤ温度、特に、ビ ド部3近傍の温度の低減させる効果が高くな 。

(5)その他の形態
 上述したように、本発明の実施の形態を通 て本発明の内容を開示したが、この開示の 部をなす論述及び図面は、本発明を限定す ものであると理解すべきではない。

 具体的には、乱流発生用突起211は、タイ 表面9と略平行な上面及びタイヤ表面9(底面) が平面である場合、この対向する面が必ずし も平行に形成されている必要はなく、例えば 、タイヤ回転方向(車両走行方向)に向けて傾 (上昇・下降)していてもよく、対向する面 非対称であってもよい。

 この開示から当業者には様々な代替実施 形態、実施例及び運用技術が明らかとなろ 。したがって、本発明の技術的範囲は、上 の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発 特定事項によってのみ定められるものであ 。

産業上の利用の可能性

 以上のように、本発明に係る空気入りタ ヤは、タイヤ温度、特に、ビード部近傍の 度の低減を図ることができ、タイヤの耐久 を向上させることができるため、タイヤの 造技術などにおいて有用である。