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Title:
PORPHYRAZINE DYE AND INK COMPRISING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/005125
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an ink composition comprising a phthalocyanine-type dye represented by the formula (1) or a salt thereof. The ink composition can be used for the ink-jet printing of plain paper to provide a printed matter having extremely excellent water resistance. (1) wherein the rings A-D independently represent a benzene ring or a pyridine ring; M represents a metal atom or the like; X represents a carbonyl group or the like; Y represents a hydrogen atom, a nitro group, a hydroxy group, a sulfo group, a carboxyl group, an amino group, an alkoxy, alkylthio or alkylsulfonyl group which may be substituted, an aryloxy, arylthio, arylsulfonyl, heteroaryloxy, heteroarylthio, heteroarylsulfonyl or amino group which may be substituted, or the like; and L represents a number of 2 to 8.

Inventors:
YONEDA TAKASHI (JP)
FUJII TAKAFUMI (JP)
SHIMIZU SHINSUKE (JP)
KITAYAMA HIROKAZU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/062067
Publication Date:
January 08, 2009
Filing Date:
July 03, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON KAYAKU KK (JP)
YONEDA TAKASHI (JP)
FUJII TAKAFUMI (JP)
SHIMIZU SHINSUKE (JP)
KITAYAMA HIROKAZU (JP)
International Classes:
C09D11/00; B41J2/01; B41M5/00; C07D487/22; C09B47/00; C09B47/16
Foreign References:
JP3413223B22003-06-03
JPS56144267A1981-11-10
JPH08302224A1996-11-19
Attorney, Agent or Firm:
SAEKI, Norio (Aminosan Kaikan Building 15-8, Nihonbashi 3-chom, Chuo-ku Tokyo 27, JP)
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Claims:
 下記式(1)

(式中、点線の環A~Dは、それぞれ独立にベンゼン環またはピリジン環を表し、少なくとも1つ以上はベンゼン環であり、
Mは水素原子、金属原子、金属酸化物、金属水酸化物、または金属ハロゲン化物を表し、
Xはカルボニル基もしくはスルホニル基を表し、
Yは水素原子;ニトロ基;水酸基;スルホ基;カルボキシル基;アミノ基(置換基として、アリール基、ヘテロアリール基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、アルキルチオ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、ヘテロアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、スルファモイル基、カルバモイル基、水酸基、アミノ基、アセチルアミノ基、ウレイド基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、から成る群から選択される1種又は2種以上の基を有しても良い);置換基としてアリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、アルキルチオ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、ヘテロアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、スルファモイル基、カルバモイル基、水酸基、アミノ基、アセチルアミノ基、ウレイド基、ニトロ基、シアノ基及びハロゲン原子から成る群から選択される1種又は2種以上の基を有しても良い、アルコキシ基、アルキルチオ基及びアルキルスルホニル基よりなる群から選ばれる基;置換基としてアルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、アルキルチオ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、ヘテロアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、スルファモイル基、カルバモイル基、水酸基、アミノ基、アセチルアミノ基、ウレイド基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子から成る群から選択される1種又は2種以上の置換基で置換されていてもよい、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールスルホニル基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基及びヘテロアリールスルホニル基よりなる群から選ばれる基;を表し、
Lは2から8である、
をそれぞれ表す)
で表される色素またはその塩を含有するインク組成物。
 式(1)で表される色素又はその塩が、下記式(111)

(式中、Mは水素原子、金属原子、金属酸化物、金属水酸化物、または金属ハロゲン化物を表し、
Xはカルボニル基もしくはスルホニル基を示し、
Yは水素原子またはカルボキシル基を表し、
Lは2から8であり、
Z 1 からZ 8 はそれぞれ独立して窒素原子または炭素原子を表し、Z 1 とZ 2 、Z 3 とZ 4 、Z 5 とZ 6 、Z 7 とZ 8 の4つの組み合わせのうち、少なくとも1つは炭素原子同士の組合わせであり、かつ上記4つの組合わせのそれぞれにおいて両者がともに窒素原子となることはない)、
で表される色素又はその塩である請求項1に記載のインク組成物。
 Mが銅原子である請求項1又は2に記載のインク組成物。
 さらに有機溶剤を含有する請求項1又は2に記載のインク組成物。
 インクジェット記録用である請求項1又は2に記載のインク組成物。
 インク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法において、インクとして請求項1又は2に記載のインク組成物またはそのインク組成物を含むインクセットを使用することを特徴とするインクジェット記録方法。
 被記録材が情報伝達用シートである請求項6に記載のインクジェット記録方法。
 請求項1又は2に記載のインク組成物を含有するインク容器。
 請求項8に記載のインク容器を有するインクジェットプリンター。
 請求項1又は2に記載のインクで着色された着色体。
下記式(2)

(式(2)中、Lは2から8であり、
Z 1 からZ 8 はそれぞれ独立して窒素原子または炭素原子を表し、Z 1 とZ 2 、Z 3 とZ 4 、Z 5 とZ 6 、Z 7 とZ 8 の4つの組み合わせのうち、少なくとも1つは炭素原子同士の組合わせであり、かつ上記4つの組合わせのそれぞれにおいて両者がとも窒素原子となることはない)
で表される色素又はその塩。
 請求項11に記載の色素又はその塩を含有するインク組成物。
 更に有機溶剤を含有する請求項11に記載のインク組成物。
 請求項11に記載の色素又はその塩、又は請求項12又は13に記載のインク組成物で着色された着色体。
Description:
ポルフィラジン色素及びこれを 有するインク

 本発明は水溶性のポルフィラジン色素又 その塩、これを含有するインク組成物及び れにより着色された着色体に関する。

 各種カラー記録方法の中で、その代表的方 の一つであるインクジェットプリンタによ 記録方法は、インクの吐出方式が各種開発 れているが、いずれもインクの小滴を発生 せ、これを種々の被記録材料(紙、フィルム 、布帛等)に付着させ記録を行うものである この方法は、記録ヘッドと被記録材料とが 接接触しない為、音の発生がなく静かであ 、また小型化、高速化、カラー化が容易と う特長の為、近年急速に普及しつつあり、 後とも大きな伸長が期待されている。従来 万年筆、フェルトペン等のインク及びイン ジェット記録用インクとしては、水溶性の 料を水性媒体に溶解したインクが使用され おり、これらの水性インクにおいてはペン やインク吐出ノズルでのインクの目詰まり 防止すべく、一般に水溶性の有機溶剤が添 されている。これらのインクにおいては、 分な濃度の記録画像を与えること、ペン先 ノズルの目詰まりを生じないこと、被記録 上での乾燥性がよいこと、滲みが少ないこ 、保存安定性に優れること等が要求される また形成される記録画像には、耐水性、耐 性、耐光性、および耐ガス性等の堅牢度が められている。
 インクジェットのノズル詰まりは、ノズル 近でインク中の水分が他の溶剤や添加剤よ も先に蒸発し、水分が少なく溶剤や添加剤 多いという組成状態になったときに色素が 晶化し析出することに由来するものが多い よって、インクを蒸発乾燥させた場合にお ても結晶が析出しにくいということが非常 重要な要求性能の一つである。またこの理 により、溶剤や添加剤に対する高い溶解性 色素に求められる性質のひとつである。

 ところで、コンピューターのカラーディ プレー上の画像又は文字情報をインクジェ トプリンタによりカラ-で記録するには、一 般にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブ ラック(K)の4色のインクによる減法混色が用 られ、これにより記録画像がカラーで表現 れる。CRT(ブラウン管)ディスプレー等におけ るレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)による加 法混色画像を減法混色画像で出来るだけ忠実 に再現するには、インクに使用される各色素 、中でもY、M、Cのそれぞれが、標準に近い色 相を有し且つ鮮明であることが望まれる。又 、インクは長期の保存に対して安定であり、 また前記のようにプリントした画像の濃度が 高く、しかも印刷画像の堅牢度に優れている 事が求められる。

 近年のインクジェット技術の発達により 印刷スピードの向上がめざましく、オフィ 環境での主用途である普通紙へのドキュメ トの印刷に、電子トナーを用いたレーザー リンターと同じ様に、インクジェットプリ ターを用いる動きが出ている。インクジェ トプリンターは記録紙の種類を選ばない、 械の価格が比較的安いという利点があり、 にSOHO等の小~中規模オフィス環境で普及が んでいる。このように普通紙への印刷を用 としてインクジェットプリンターを使用す 場合、印刷物に求められる品質の中でも色 や耐水性がより重視される傾向がある。こ らの性能を満たす為には顔料インクを用い という方法が提案されている。しかしなが 、顔料インクは溶液ではなく固体の顔料を 散させた分散液であるために、顔料インク 用いるとそのインクの保存安定性が不良で るという問題や、プリンターヘッドのノズ が詰まるという問題などが比較的に起こり すい。また、顔料インクを使用した場合、 刷画像の耐擦性が低いことも問題とされる とが多い。染料インクの場合、このような 料インクであるがゆえに生じる問題は比較 起こりにくいとされる。しかし、染料イン は特に耐水性において顔料インクと比較し 著しく劣り、それに対する改良が強く望ま ている。

 普通紙上での耐水性向上という問題に対し は古くから多くの提案がなされている。耐 性に優れ、色相や耐光性などの改良を行っ インクジェット用の青色色素としては、例 ば特許文献1に記載のC.I.Direct Blue 86やC.I.Dir ect Blue 199が提案されている。
 特許文献2には、カーボンブラックとフタロ シアニン誘導体とを含む顔料組成物が開示さ れている。
 特許文献3には、ジメチルアミノメチル銅フ タロシアニン及びその誘導体の製造方法が開 示されている。

特開第2001-294786号公報

特開昭58-167654号公報

特開昭62-135568号公報

 特許文献1に記載の染料は、特定の普通紙上 での耐水性については優れているが、市場に 出回る各種の普通紙の多くに対して耐水性が 優れているとは言えず、その適用範囲は狭い 。よって、より多くの種類の普通紙上で一様 に優れた耐水性をもち、耐光性や色相、色濃 度にも優れたシアン色素が求められていた。
 本発明は水または水溶性有機溶剤に対する 解性が高く、インクジェット記録に適する 相と鮮明性を有し、色濃度が高く、且つ記 物の耐光性、耐ガス性、耐湿性、および特 耐水性などの堅牢性に優れた水溶性のシア 色素及びそれを含有する保存安定性の良い ンク組成物を提供する事を目的とする。

  本発明者等は前記課題を解決すべく、鋭 検討の結果、特定の式で示される水溶性ポ フィラジン色素及びそれを含有するインク 成物が前記課題を解決するものであること 見出し、本発明を完成させたものである。
即ち、本発明は、
(1)下記式(1)で表される色素またはその塩を含 有するインク組成物、

(式中、点線の環A~Dは、それぞれ独立にベン ン環またはピリジン環を表し、少なくとも1 以上はベンゼン環であり、
Mは水素原子、金属原子、金属酸化物、金属 酸化物、または金属ハロゲン化物を表し、
Xはカルボニル基もしくはスルホニル基を表 、
Yは水素原子;ニトロ基;水酸基;スルホ基;カル キシル基;アミノ基(置換基として、アリー 基、ヘテロアリール基、アルキル基、アル キシ基、アルキルスルホニル基、アルキル オ基、アリールアミノ基、ジアリールアミ 基、ヘテロアリールアミノ基、ジヘテロア ールアミノ基、アルキルアミノ基、ジアル ルアミノ基、スルホ基、カルボキシル基、 ン酸基、スルファモイル基、カルバモイル 、水酸基、アミノ基、アセチルアミノ基、 レイド基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン 子、から成る群から選択される1種又は2種以 上の基を有しても良い);置換基としてアリー 基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、ア キルスルホニル基、アルキルチオ基、アリ ルアミノ基、ジアリールアミノ基、ヘテロ リールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ 、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基 スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、ス ファモイル基、カルバモイル基、水酸基、 ミノ基、アセチルアミノ基、ウレイド基、 トロ基、シアノ基及びハロゲン原子から成 群から選択される1種又は2種以上の基を有 ても良い、アルコキシ基、アルキルチオ基 びアルキルスルホニル基よりなる群から選 れる基;置換基としてアルキル基、アルコキ 基、アルキルスルホニル基、アルキルチオ 、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基 ヘテロアリールアミノ基、ジヘテロアリー アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキル ミノ基、スルホ基、カルボキシル基、リン 基、スルファモイル基、カルバモイル基、 酸基、アミノ基、アセチルアミノ基、ウレ ド基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子 ら成る群から選択される1種又は2種以上の 換基で置換されていてもよい、アリールオ シ基、アリールチオ基、アリールスルホニ 基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリ ルチオ基及びヘテロアリールスルホニル基 りなる群から選ばれる基;を表し、
Lは2から8である、
をそれぞれ表す)、
(2)式(1)で表される色素又はその塩が、下記式 (111)で表される色素又はその塩である(1)に記 のインク組成物、
式(111)

(式中、Mは水素原子、金属原子、金属酸化物 金属水酸化物、または金属ハロゲン化物を し、
Xはカルボニル基もしくはスルホニル基を示 、
Yは水素原子またはカルボキシル基を表し、
Lは2から8であり、
Z 1 からZ 8 はそれぞれ独立して窒素原子または炭素原子 を表すが、Z 1 とZ 2 、Z 3 とZ 4 、Z 5 とZ 6 、Z 7 とZ 8 の4つの組み合わせのうち、少なくとも1つは 素原子同士の組合わせであり、かつ上記4つ の組合わせのそれぞれにおいて両者がともに 窒素原子となることはない)、
(3)Mが銅原子である(1)又は(2)に記載の色素又 その塩を含有するインク組成物、
(4)さらに有機溶剤を含有する(1)から(3)のいず れか一項に記載のインク組成物、
(5)インクジェット記録用である(1)から(4)のい ずれか一項に記載のインク組成物、
(6)インク滴を記録信号に応じて吐出させて被 記録材に記録を行うインクジェット記録方法 において、インクとして(1)から(5)のいずれか 一項に記載のインク組成物またはそのインク 組成物を含むインクセットを使用することを 特徴とするインクジェット記録方法、
(7)被記録材が情報伝達用シートである(6)に記 載のインクジェット記録方法、
(8)(1)から(5)のいずれか一項に記載のインク組 成物を含有するインク容器、
(9)(8)に記載のインク容器を有するインクジェ ットプリンター、
(10)(1)から(5)のいずれか一項に記載のインク 着色された着色体、
(11)下記式(2)で表される色素又はその塩、

(式中、Lは2から8であり、
Z 1 からZ 8 はそれぞれ独立して窒素原子または炭素原子 を表し、Z 1 とZ 2 、Z 3 とZ 4 、Z 5 とZ 6 、Z 7 とZ 8 の4つの組み合わせのうち、少なくとも1つは 素原子同士の組合わせであり、かつ上記4つ の組合わせのそれぞれにおいて両者がともに 窒素原子となることはない)、
(12)(11)に記載の色素又はその塩を含有するイ ク組成物、
(13)更に有機溶剤を含有する(11)に記載のイン 組成物、
(14)(11)に記載の色素又はその塩、又は、(12)又 は(13)に記載のインク組成物で着色された着 体、
に関する。

 本発明の上記式(1)で示される水溶性ポルフ ラジン色素又はその塩は、水や水溶性有機 剤に対する溶解性に優れる。またインク組 物を製造する過程での、例えばメンブラン ィルターに対するろ過性が良好という特徴 有し、インクジェット記録紙上で非常に鮮 なシアン色の色相を与える。又、この化合 を含有する本発明のインク組成物は長期間 存後の結晶析出、物性変化、色相変化等も く、貯蔵安定性が極めて良好である。そし 本発明のインク組成物を用いてインクジェ ト記録した場合、被記録材(例えば紙、フィ ルム等)を選択することなく、種々の被記録 において、理想的なシアン色の色相を得る とができ、写真調のカラー画像を紙の上に 実に再現させることも可能である。
 更に本発明のインク組成物は、従来の染料 ンクと比較して普通紙上での耐水性が極め 向上している。また、写真画質用インクジ ット専用紙やフィルムのような多孔性白色 機物を表面に塗工した被記録材に記録して 各種堅牢性、すなわち耐水性、耐湿性、耐 ス性、および耐光性が良好であり、写真調 記録画像の長期保存安定性にも優れている 従って、本発明のインク組成物は、記録メ ィアを選ばないことが特徴の一つであり、 ンクジェット印刷に非常に適していると言 る。
 以上のように、上記式(1)の水溶性ポルフィ ジン色素はインク用、特にインクジェット 録用インクのシアン色素として極めて有用 ある。 

 本発明を詳細に説明する。
 本発明において、以下の用語は特に断りの い限り、以下に述べる意味で使用される。
 「アリール」の用語はアリールに含まれる のは何れも含まれるが、通常炭素数6~14、好 ましくは6~12、より好ましくは6~10のアリール を意味する。
 「ヘテロアリール」の用語はヘテロアリー に含まれるものは何れも含まれるが、通常 環構成原子として窒素原子、酸素原子、又 硫黄原子をそれぞれ独立に1乃至2含む炭素 3~9、好ましくは炭素数3~8、より好ましくは 素数4~5のヘテロアリール基を意味する。該 テロアリール基を構成する環としては4~6員 、より好ましくは5~6員環が好ましい。それ が1~3個、好ましくは1又は2個、より好ましく は1個で形成されているものが好ましく、6員 がより好ましい。
 「アルキル」の用語はアルキルに含まれる のは何れも含まれるが、通常炭素数1~16、好 ましくは炭素数1~12、より好ましくは炭素数1~ 6、さらに好ましくは炭素数1~4のアルキルを 味し、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでも いが、直鎖又は分岐鎖のものが好ましく、 鎖のものがさらに好ましい。
 「アルコキシ」の用語は、「アルキルオキ 」の意味で使用され、アルキルは上記と同 である。
 本発明のインクジェット記録に適したイン は、前記式(1)のポルフィラジン色素を含有 ることを特徴とする。すなわち、本発明は フタロシアニンもしくはアザフタロシアニ (通常、フタロシアニンと呼ばれているもの の4つのベンゾ(ベンゼン)環の1個から3個を窒 原子を含むヘテロ6員環、通常はピリジン環 に置き換えたもの)を色素母核として用い、 こに、o-カルボキシ置換ベンズアミドメチル 基又はo-カルボキシ置換ベンゼンスルホンア ドメチル基(これらの基はベンゼン環上に、 更に置換基を有しても良い)を導入した色素 インクジェット用のインクに非常に適し、 つ、該インクで記録された画像は、極めて 水性に優れることを見出し、完成されたも である。

 前記式(1)において、点線の環A~D(以下単に環 A~Dという)は、それぞれ独立にベンゼン環ま はピリジン環を表し、少なくとも1つ以上は ンゼン環であり、
 Mは水素原子、金属原子、金属酸化物、金属 水酸化物、または金属ハロゲン化物を表し、
 Xはカルボニル基もしくはスルホニル基を表 し、
 Yは水素原子;ニトロ基;水酸基;スルホ基;カ ボキシル基;アミノ基(置換基として、アリー ル基、ヘテロアリール基、アルキル基、アル コキシ基、アルキルスルホニル基、アルキル チオ基、アリールアミノ基、ジアリールアミ ノ基、ヘテロアリールアミノ基、ジヘテロア リールアミノ基、アルキルアミノ基、ジアル キルアミノ基、スルホ基、カルボキシル基、 リン酸基、スルファモイル基、カルバモイル 基、水酸基、アミノ基、アセチルアミノ基、 ウレイド基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン 原子から成る群から選択される1種又は2種以 の基を有しても良い);置換基としてアリー 基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、ア キルスルホニル基、アルキルチオ基、アリ ルアミノ基、ジアリールアミノ基、ヘテロ リールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ 、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基 スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、ス ファモイル基、カルバモイル基、水酸基、 ミノ基、アセチルアミノ基、ウレイド基、 トロ基、シアノ基、ハロゲン原子から成る から選択される1種又は2種以上の基で置換さ れていてもよい、アルコキシ基、アルキルチ オ基及びアルキルスルホニル基から成る群か ら選択される基;置換基としてアルキル基、 ルコキシ基、アルキルスルホニル基、アル ルチオ基、アリールアミノ基、ジアリール ミノ基、ヘテロアリールアミノ基、ジヘテ アリールアミノ基、アルキルアミノ基、ジ ルキルアミノ基、スルホ基、カルボキシル 、リン酸基、スルファモイル基、カルバモ ル基、水酸基、アミノ基、アセチルアミノ 、ウレイド基、ニトロ基、シアノ基、ハロ ン原子から成る群から選択される1種又は2種 以上の基で置換されていてもよい、アリール オキシ基、アリールチオ基、アリールスルホ ニル基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロア リールチオ基及びヘテロアリールスルホニル 基から成る群から選択される基;を表し、
 Lは2から8である。
 上記の環A~Dのうち0から3個がピリジンであ 、残りはベンゼンである。ピリジンの個数 増えるにしたがって、耐水性は向上するが 水及び有機溶剤等への溶解性は低下する傾 にある。このため、ピリジンの個数は耐水 と溶解性を考慮しながら、適宜調節し、バ ンスの良い比率を選択すれば良い。ピリジ の個数は、平均値で、通常0~2の範囲が好ま く、より好ましくは0~1.5、更に好ましくは0~1 .25の範囲であり、0の時最も好ましい。残り ベンゼン環である。例えば、ピリジン環の 数が1より大きく、2より小さい時は、ピリジ ンが1つの化合物と、2つの化合物の混合物で り、その混合物におけるピリジン数の平均 が上記の範囲であることを意味する。
環A~Dの2つがピリジンである場合には、2つの リジン環が隣に並んで(例えばA及びB)いる化 合物または対向する位置に向かい合って(例 ばA及びC)いる化合物の両者混合物と考えら る。製造法の説明や実施例において構造式 化合物を記載する場合、それらをわざわざ 載するのは煩雑であり、分かり難いものと る上、本発明においてそれらをわざわざ区 する必要性も無いので、特に断らない限り 、便宜上、A及びCの2個がピリジン環で、B及 Dがベンゼン環である化合物の構造式を記載 し、上記の両者の化合物(通常は両者の化合 の混合物)を示すものとする。

 前記Mは、水素原子、金属原子、金属酸化物 、金属水酸化物、または金属ハロゲン化物を 表す。
 金属原子の具体例としては例えば、Li、Na、 K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等が挙 られる。
 金属酸化物としてはVO、GeO等が挙げられる
 金属水酸化物としては例えば、Si(OH) 2 、Cr(OH) 2 、Sn(OH) 2 、AlOH等が挙げられる。
 金属ハロゲン化物としては例えば、SiCl 2 、VCl、VCl 2 、VOCl、FeCl、GaCl、ZrCl、AlCl等が挙げられる。
 これらの中でもCu、Ni、Zn、Al、AlOHが好まし 、Cuが最も好ましい。

 上記Xはカルボニル基もしくはスルホニル 基を示し、シアン色素の色相の点からはスル ホニルが好ましい。

 上記Yが置換基を有しないアルコキシ基の場 合、該アルコキシ基は直鎖、分岐鎖又は環状 のいずれでもよいが、直鎖又は分岐鎖のもの が好ましく、直鎖のものがさらに好ましい。 炭素数は1~16、好ましくは1~12、より好ましく 1~6、さらに好ましくは1~4である。
 Yが環状アルコキシ基である場合、該アルコ キシ基はYが置換するベンゼン環と縮環した 環式構造を形成する。この例としては2-又は 3-クマラノン型、及び2-、3-又は4-クロマノン のビシクロ[4,3,0]及びビシクロ[4,4,0]型等の 構造が好ましい。
 アルコキシ基の具体例として、メトキシ、 トキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチル キシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、 ニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオ シ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシ、 トラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、 キサデシルオキシ等が挙げられる。

 上記Yが置換基を有しないアルキルチオ基 の場合、該アルキルチオ基は上記の「置換基 を有しないアルコキシ基」の説明において、 酸素原子が硫黄原子に変わる点を除き、同じ 説明をすることができる。即ち、該アルキル チオ基は直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでも よいが、直鎖又は分岐鎖のものが好ましく、 直鎖のものがさらに好ましい。炭素数は1~16 好ましくは1~12、より好ましくは1~6、さらに ましくは1~4である。具体的な基においても 酸素原子を硫黄原子に置き換えた基を挙げ ことができる。一例を挙げると、2-クマラ ンは1,2-ジヒドロチオナフテン-2-オンと、ま メトキシはメチルチオと読み替えればよい 具体的にはメチルチオ、エチルチオ、プロ ルチオ、ブチルチオ、アミルチオ、ヘキシ チオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ、ノニ チオ、デシルチオ、ウンデシルチオ、ドデ ルチオ、トリデシルチオ、テトラデシルチ 、ペンタデシルチオ又はヘキサデシルチオ 挙げられる。

 上記Yが置換基を有しないアルキルスルホニ ル基の場合、該アルキルスルホニル基の「ア ルキル」は直鎖、分岐鎖又は環状のいずれで もよいが、直鎖又は分岐鎖のものが好ましく 、直鎖のものがさらに好ましい。炭素数は1~1 6、好ましくは1~12、より好ましくは1~6、さら 好ましくは1~4である。
アルキルスルホニル基の具体例として、メチ ルスルホニル、エチルスルホニル、プロピル スルホニル、ブチルスルホニル、ペンチルス ルホニル、ヘキシルスルホニル、オクチルス ルホニル、ノニルスルホニル、デシルスルホ ニル、ウンデシルスルホニル、ドデシルスル ホニル、トリデシルスルホニル、テトラデシ ルスルホニル、ペンタデシルスルホニル、ヘ キサデシルスルホニル等が挙げられる。

 上記Yが置換基を有しない、アリールオキシ 基、アリールチオ基及びアリールスルホニル 基からなる群から選ばれる基の場合、該基に おける「アリール」の用語は、炭素数6~14、 ましくは6~12、より好ましくは6~10のアリール 基を意味する。
 該アリール基の具体例としてはフェニル、 フチル、アントラセニル、ターフェニル等 挙げられ、フェニル及びナフチルが好まし 、フェニルがより好ましい。

 上記Yが置換基を有しない、ヘテロアリール オキシ基、ヘテロアリールチオ基及びヘテロ アリールスルホニル基からなる群から選ばれ る基の場合、該基における「へテロアリール 」の用語は、環構成原子として窒素原子、酸 素原子、又は硫黄原子をそれぞれ独立に1乃 2含む炭素数3~9、好ましくは3~8、より好まし は4~5のヘテロアリール基を意味する。
 ヘテロアリール基の具体例としては、ピラ ン、ピリミジン、ピリダジン、ピリジン、 ンズイミダゾール、キノリン等の窒素原子 含有するもの;フラン、ベンゾフラン等の酸 素原子を含有するもの;チオフェン、ベンゾ オフェン等の硫黄原子を含有するもの;イミ ゾール、チアゾール、オキサゾール、ベン イミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンズ ソチアゾール、ベンズオキサゾール、ベン イソオキサゾール等の炭素原子以外に2種以 上の環構成へテロ原子を含有するもの;が挙 られる。該へテロアリール基としては単環 のものが好ましく、単環系で窒素原子を含 するものがより好ましく、これに加えて6員 であるものがさらに好ましい。
 上記Yは、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロ アリールチオ基又はヘテロアリールスルホニ ル基であるよりも、アリールオキシ基、アリ ールチオ基又はアリールスルホニル基である 方が好ましい。

 上記のYが置換基を有する、アルコキシ基 、アルキルチオ基及びアルキルスルホニル基 からなる群から選ばれる基である場合、これ らの基における置換基(以下アルコキシ基等 おける置換基とも言う)としてはアリール基 ヘテロアリール基、アルコキシ基、アルキ スルホニル基、アルキルチオ基、アリール ミノ基、ジアリールアミノ基、ヘテロアリ ルアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基、 ルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ス ホ、カルボキシル、リン酸、スルファモイ 、カルバモイル、水酸基、アミノ、アセチ アミノ、ウレイド、ニトロ、シアノ又は/及 びハロゲン原子が挙げられる。

 上記アルコキシ基等における置換基がアリ ル基又はヘテロアリール基である場合、該 リール基又はヘテロアリール基は、上記「Y が置換基を有しない、アリールオキシ基、ア リールチオ基及びアリールスルホニル基から なる群から選ばれる基」である場合又は「Y 置換基を有しない、ヘテロアリールオキシ 、ヘテロアリールチオ基及びヘテロアリー スルホニル基からなる群から選ばれる基」 ある場合について、それぞれ記載した「ア ール」又は「ヘテロアリール」と同じ意味 表す。
また、上記アルコキシ基等における置換基が アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、ヘ テロアリールアミノ基又は/及びジヘテロア ールアミノ基である場合、該置換基におけ 「アリール」又は「ヘテロアリール」の用 は、上記の「上記アルコキシ基等における 換基がアリール基又はヘテロアリール基で る場合」の「アリール」又は「ヘテロアリ ル」と同じ意味を表す。

 上記アルコキシ基等における置換基がアル キシ基、アルキルスルホニル基、アルキル オ基である場合には、上記「Yが置換基を有 しないアルコキシ基」、「Yが置換基を有し いアルキルスルホニル基」及び「Yが置換基 有しないアルキルチオ基」についてそれぞ 記載した場合の各基と同じ意味を表す。
 また、上記アルコキシ基等における置換基 、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基 ある場合、これらの置換基における「アル ル」の用語は、上記「Yが置換基を有しない アルキルスルホニル基の場合」の「アルキル 」と同じ意味を表す。

 上記アルコキシ基等における置換基がハ ゲン原子である場合、具体例としてはフッ 原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等 挙げられ、フッ素原子又は塩素原子が好ま く、塩素原子がより好ましい。

 上記のYが置換基を有する、アリールオキシ 基、アリールチオ基、アリールスルホニル基 、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリール チオ基及びヘテロアリールスルホニル基から なる群から選ばれる基である場合、該置換基 (以下アリールオキシ等における置換基とも う)としてはアルキル基、アルコキシ基、ア キルスルホニル基、アルキルチオ基、アリ ルアミノ基、ジアリールアミノ基、ヘテロ リールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ 、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基 スルホ、カルボキシル、リン酸、スルファ イル、カルバモイル、水酸基、アミノ、ア チルアミノ、ウレイド、ニトロ、シアノ又 /及びハロゲン原子が挙げられる。
 上記アリールオキシ等における置換基がア コキシ基、アルキルスルホニル基、アルキ チオ基、アリールアミノ基、ジアリールア ノ基、ヘテロアリールアミノ基、ジヘテロ リールアミノ基、アルキルアミノ基、ジア キルアミノ基及びハロゲン原子である場合 これらの基における「アルキル」、「アリ ル」及び「ヘテロアリール」の用語は、上 Yの置換基を有しない各基の説明、又はYの れぞれの基における置換基の説明において 説明したと同じ意味を有する。
上記アリールオキシ等における置換基がアル キル基の場合、該アルキル基は直鎖、分岐鎖 又は環状のいずれでもよいが、直鎖又は分岐 鎖のものが好ましく、直鎖のものがさらに好 ましい。炭素数は1~16、好ましくは1~12、より ましくは1~6、さらに好ましくは1~4である。
 アルキル基の具体例として、メチル、エチ 、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、 デシル、トリデシル、テトラデシル、ペン デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。

 上記Yとしては、水素原子;ニトロ;カルボ シル;置換されていてもよい、アルコキシ基 、アルキルチオ基及びアルキルスルホニル基 からなる群から選ばれる基;置換されていて よい、アリールオキシ基、アリールチオ基 アリールスルホニル基及びアミノ基からな 群から選ばれる基;が好ましく、水素原子又 カルボキシルがより好ましい。Yとしては最 も好ましいのは水素原子である。

 上記Yが置換基を有する場合、該置換基は上 記の群から選択される1種又は2種以上のもの よいが、置換基の数は1~4、好ましくは1~3、 り好ましくは1~2、特に好ましくは1である。
 上記Yが置換基を1つ有する場合、該置換基 してはスルホ、カルボキシル、リン酸又は 酸基が好ましく、より好ましくはスルホ、 ルボキシル又は水酸基であり、さらに好ま くはスルホ又はカルボキシルである。
 上記Yが2種以上の置換基を有する場合、そ うちの1つはスルホ、カルボキシル、リン酸 は水酸基;より好ましくはスルホ、カルボキ シル又は水酸基;さらに好ましくはスルホ又 カルボキシル;から選択される基であるのが い。

 上記のLは2から8である。Lが大きくなるに つれて、溶解性は向上する傾向にあるが、耐 水性は低下する傾向にあり、溶解性と耐水性 を考慮しながら、Lの数を適宜調節すれば良 。Lとしては通常2~8、3~7がより好ましく、4~6 あることがさらに好ましい。Lが4~5の場合は 適度の水溶性とよりよい耐水性を得ることが 出来、5~6の場合には、適度の耐水性とよりよ い水溶性を得ることが出来る。最も好ましく は4~5である。

 上記のM、X、Y、Yの置換基、及びLについて 好ましく挙げたもの同士を組合わせたもの より好ましく、より好ましく挙げたもの同 を組合わせたものはさらに好ましい。その 、さらに好ましいもの同士等についても同 である。
 具体的に例を挙げると、Mが銅原子、Yが水 原子又はカルボキシル基の組み合わせ、よ 好ましくはMが銅原子、Yが水素原子の組み合 わせを挙げることができる。又、更に好まし い組み合わせとしては、これらのM及びYの組 合わせに、更に、Lが3~7、より好ましくは4~6 の場合を加えた組み合わせを挙げることがで きる。
また、これらの各組合わせに、更に、Xがス ホニル基である場合を組み合わせた組み合 せは、更に好ましい組み合わせとして挙げ ことが出来る。
 また、上記の各組み合わせに、更に、後記 るピリジン環での置換度0~2,より好ましくは 0~1.5,更に好ましくは0~1.25、最も好ましくはピ リジン環の置換度0(環A~Dの全てがベンゼン環) を組み合わせた組み合わせは、更に好ましい 組み合わせとして挙げることが出来る。

 また、上記式(1)の色素として、好ましいも の一つは、前記式(111)で表される色素であ 。式(111)において、Mは水素原子、金属原子 金属酸化物、金属水酸化物、または金属ハ ゲン化物を表し、
Xはカルボニル基もしくはスルホニル基を示 、
Yは水素原子またはカルボキシル基、好まし は水素原子を表し、
Lは2から8であり、
Z 1 からZ 8 はそれぞれ独立して窒素原子または炭素原子 を表し、Z 1 とZ 2 、Z 3 とZ 4 、Z 5 とZ 6 、Z 7 とZ 8 の4つの組み合わせのうち、少なくとも1つは 素原子同士の組合わせであり、かつ残りの3 つの組合わせにおいても、窒素原子同士の組 み合わせを含まない。即ち、上記4つの組み わせのそれぞれにおいて、何れか一方は炭 原子であり、他方が炭素原子かまたは窒素 子を表し、他方の少なくとも一つは、炭素 子を表す。

 上記式(111)において、M、X、Y及びLは、好ま いもの及び好ましいものの組み合わせ等を めて、上記式(1)と同じである。
Z 1 とZ 2 、Z 3 とZ 4 、Z 5 とZ 6 、Z 7 とZ 8 の4つの組合わせのうち、窒素原子を含む組 せの数は、平均値で、通常0~2の範囲が好ま く、より好ましくは0~1.5、更に好ましくは0~1 .25の範囲である。窒素原子を含まない残りの 組合せは、炭素原子同士の組み合わせである 。上記4つの組み合わせが全て炭素原子同士 組み合わせの場合がシアン色素としての色 において最も好ましい。

 上記式(1)の色素としてさらに好ましいもの 一つは、前記式(2)の色素である。
 式(2)中、Lは2から8、好ましくは3~7、より好 しくは4~6であり、
 Z 1 からZ 8 はそれぞれ独立して窒素原子または炭素原子 を表し、Z 1 とZ 2 、Z 3 とZ 4 、Z 5 とZ 6 、Z 7 とZ 8 の組み合わせのうち、少なくとも1つは炭素 子同士の組合わせであり、かつ残りの3つの 合わせにおいても、窒素原子同士の組み合 せを含まない。即ち、上記4つの組み合わせ のそれぞれにおいて、何れか一方は炭素原子 であり、他方が炭素原子かまたは窒素原子を 表し、他方の少なくとも一つは、炭素原子を 表す。
 上記式(2)において、Lは上記式(1)と、又Z 1 からZ 8 は上記式(111)と、好ましいもの等を含めてそ ぞれ同じでよい。
 具体的な好ましい組み合わせとしては、Lが 4~6であり、上記4つの組み合わせにおける窒 原子での置換割合が0~2、より好ましくは0~1.5 、更に好ましくは0~1.25、最も好ましくは上記 4つの組み合わせ全てが炭素原子同士の組み わせの場合である。

 上記式(1)の化合物は分子内に有するスルホ カルボキシおよびリン酸などを利用して塩 形成することも可能である。式(1)の化合物 塩としては、式(1)の化合物と、無機金属、 ンモニウム及び有機塩基からなる群から選 れる塩基との塩を挙げることが出来る。
 無機金属としてはアルカリ金属やアルカリ 類金属が挙げられる。アルカリ金属の例と ては、リチウム、ナトリウム、カリウム等 挙げられる。アルカリ土類金属としては、 えばカルシウム、マグネシウム等があげら る。
有機塩基としては、特に有機アミンが挙げら れ、例えばメチルアミン、エチルアミン等の 炭素数1から3の低級アルキルアミン類、モノ タノールアミン、ジエタノールアミン、ト エタノールアミン、モノイソプロパノール ミン、ジイソプロパノールアミン、トリイ プロパノールアミン等のモノ、ジまたはト (炭素数1から4の低級アルカノール)アミン類 があげられる。
 式(1)の化合物の好ましい塩としては、ナト ウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金 との塩(アルカリ金属塩)、モノエタノール ミン、ジエタノールアミン、トリエタノー アミン、モノイソプロパノールアミン、ジ ソプロパノールアミン、トリイソプロパノ ルアミン等との塩(モノ、ジまたはトリ(炭素 数1から4の低級アルカノール)アミンのオニウ ム塩)、及びアンモニアとの塩(アンモニウム )があげられる。
 なお、これらの塩に関する記載は何れも式( 2)及び式(111)においても同様である。

 本発明の前記式(1)で表されるポルフィラジ 色素における、環A~D、X及びYの具体例、及 Lの数を表1に示す。
下記の例は、本発明の色素を具体的に説明す るために代表的な化合物を示すもので、下記 の例に限定されるものではない。尚、表中に おいてスルホン酸などの官能基は遊離酸の形 で記す。
また、環A~Dには後記するように窒素原子の位 置異性体などが存在し、色素合成の際には異 性体の混合物として得られる。これら異性体 は単離が困難であり、また分析による異性体 の特定も困難である。このため通常混合物の まま使用するが、異性体の混合物であっても 本発明において特に問題は生じないためここ ではこれら異性体を区別することなく、構造 式での表示は前記のように便宜的に一つの構 造式で記載する。

 次に、アザフタロシアニン(通常、フタロシ アニンと呼ばれているものの4つのベンゾ(ベ ゼン)環1個から3個をピリジン環に置き換え もの)の製造方法を説明する。
 後記式(6)で表される銅ポルフィラジン色素 、例えば触媒及び銅化合物の存在下、ピリ ンジカルボン酸誘導体とフタル酸誘導体と 反応させる事により得られる。ピリジンジ ルボン酸誘導体とフタル酸誘導体の反応の ル比を変えることにより環A~Dとして導入さ るピリジン環の数とベンゼン環の数を調整 ることが可能である。
 例えば本発明におけるA~Dの4つの6員芳香環 うち、1~3個がピリジン環であり、残りがベ ゼン環の場合には、その含有割合に応じて ピリジンジカルボン酸誘導体の使用割合を 0.0~0.75モルの割合の範囲で、フタル酸誘導体 の使用割合を0.25~1.0モルの範囲で、両者の合 が1モルとなる割合で使用することにより、 目的とする化合物を得ることができる。
 例えば、ピリジン環が1個で、ベンゼン環が 3個の場合、ピリジンジカルボン酸誘導体を0. 25モル、フタル酸誘導体を0.75モルの割合で使 用すればよい。
 ピリジンジカルボン酸誘導体としては、隣 する2つの位置にそれぞれカルボキシル基、 またはそれから誘導される反応性の基(酸ア ド基、イミド基、酸無水物基及びカルボニ リル基等)を有するピリジンジカルボン酸誘 体(ピリジンジカルボン酸も含む)が挙げら る。具体的にはキノリン酸、3,4-ピリジンジ ルボン酸等のジカルボン酸化合物、無水キ リン酸、3,4-ピリジンジカルボン酸無水物等 の酸無水物、ピリジン-2,3-ジカルボキシアミ 等のアミド化合物、ピリジン-2,3-ジカルボ 酸モノアミド等のジカルボン酸モノアミド 合物、キノリン酸イミド等の酸イミド化合 、ピリジン-2,3-ジカルボニトリル等のジカル ボニトリル化合物があげられる。中でもピリ ジン-2,3-ジカルボン酸又はこれと同様の置換 置に上記の反応性の基を有する誘導体が好 しい。 またフタル酸誘導体としては、フ ル酸、無水フタル酸、フタルアミド、フタ ミン酸、フタルイミド、フタロニトリル、1, 3-ジイミノイソインドリン及び2-シアノベン アミド等があげられる。

 下記式(6)で表される銅ポルフィラジンの合 方法には一般的にニトリル法とワイラー法 呼ばれる2つがあり、反応条件等が異なる。
 ニトリル法とはピリジン-2,3-ジカルボニト ル、フタロニトリル等のジカルボニトリル 合物を原料にして合成する方法である。
 それに対し、ワイラー法はフタル酸、キノ ン酸、3,4-ピリジンジカルボン酸等のジカル ボン酸化合物、無水フタル酸、無水キノリン 酸、3,4-ピリジンジカルボン酸無水物等の酸 水物化合物、フタルアミド、ピリジン-2,3-ジ カルボキシアミド等のジカルボキシアミド化 合物、フタラミック酸、ピリジン-2,3-ジカル ン酸モノアミド等のジカルボン酸モノアミ 化合物、フタルイミド、キノリン酸イミド の酸イミド化合物を原料に用いる。またワ ラー法では尿素の添加が必須であり、尿素 使用量はピリジンジカルボン酸誘導体とフ ル酸誘導体の総計1モルに対し5~100倍モル量 ある。

式(6)

式中、環A~Dは式(1)における意味と同じ意味 を表す。

 反応は溶媒の存在下に行われ、ニトリル法 おいては溶媒としては沸点100℃以上、より ましくは130℃以上の有機溶媒が用いられる 該有機溶媒として、例えば、n-アミルアル ール、n-ヘキサノール、シクロヘキサノール 、2-メチル-1-ペンタノール、1-ヘプタノール 1-オクタノール、2-エチルヘキサノール、N,N- ジメチルアミノエタノール、ベンジルアルコ ール、エチレングリコール、プロピレングリ コール、トリクロロベンゼン、クロロナフタ レン、ニトロベンゼン、キノリン、スルホラ ン及び尿素等が挙げられる。
 また、ワイラー法においては、溶媒として 点150℃以上、より好ましくは180℃以上の非 ロトン性有機溶媒が用いられる。例えば、 リクロロベンゼン、クロロナフタレン、ニ ロベンゼン、キノリン、スルホラン及び尿 等である。
 溶媒の使用量はピリジンジカルボン酸誘導 とフタル酸誘導体の総計の1~100質量倍であ 。

 触媒としては、以下のものが使用できる。
ニトリル法においてはキノリン、1,8-ジアザ シクロ[5,4,0]-7-ウンデセン、トリブチルアミ 、アンモニア、N,N-ジメチルアミノエタノー ル等のアミン類、ナトリウムエトキシド、ナ トリウムメトキシド等のアルカリ金属アルコ ラート類があげられる。
 またワイラー法においてはモリブデン酸ア モニウム及びホウ酸等があげられる。
触媒の添加量は、ピリジンジカルボン酸誘導 体とフタル酸誘導体の総計1モルに対し、0.001 ~1倍モルである。

 銅化合物としては、金属銅、銅のハロゲン 物、カルボン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、アセ ルアセトナート、錯体等が挙げられる。例 ば、塩化銅、臭化銅、酢酸銅、銅アセチル セトナート等が挙げられる。
 銅以外の中心金属を有するポルフィラジン 合成したい場合には、対応する金属塩を用 るか、またはポルフィラジン環を合成した 、常法に従って中心金属の交換反応を行え よい。
 銅化合物の使用量は、含窒素複素芳香環ジ ルボン酸誘導体とフタル酸誘導体の総計1モ ルに対し、0.15~0.35倍モルである。

 ニトリル法では反応温度は通常100~200℃であ り、好ましくは130~170℃である。
一方、ワイラー法では反応温度は150~300℃で り、好ましくは170~220℃である。
反応時間は反応条件により変わるが通常1~40 間である。反応終了後、目的物を濾過分離 洗浄及び乾燥する事により、銅ポルフィラ ンが得られる。

 前記式(6)における環A~Dのうち、2つがピリ ジン環で、残り2つがベンゼン環である化合 、すなわち銅ジベンゾビス(2,3-ピリド)ポル ィラジンを例にあげて、合成方法を更に詳 に説明する。

 例えば、スルホラン溶媒中、キノリン酸( 0.5モル)、無水フタル酸(0.5モル)、塩化銅(II)(0 .25モル)、リンモリブデン酸アンモニウム(0.00 4モル)及び尿素(6モル)を200℃で、5時間反応さ せることにより前記式(6)における環A~Dのうち 2つがピリジン環で、残り2つがベンゼン環で る銅ジベンゾビス(2,3-ピリド)ポルフィラジ が得られる。キノリン酸、無水フタル酸、 属化合物、溶媒及び触媒等の種類や使用量 より反応性は異なり上記に限定されるもの はない。

 また、上記合成法で合成した場合、主成 は銅ジベンゾビス(2,3-ピリド)ポルフィラジ であり、これらにはピリジン環の位置とピ ジン環窒素原子の位置の異なる5種類の異性 体{下記式(7-A)~(7-E)}が生成する。それと同時 、前記式(6)における環A~Dのうち1つがピリジ 環で、残り3つがベンゼン環で表される銅ト リベンゾ(2,3-ピリド)ポルフィラジン(後記式(8 ))と、前記式(6)における環A~Dのうち3つがピリ ジン環で、残り1つがベンゼン環で表される ベンゾトリス(2,3-ピリド)ポルフィラジンが 生し、これらの化合物にも更にピリジン環 素原子の位置異性体{下記式(9-A)~(9-D)}が存在 複雑な混合物となる。また、少量ではある 銅テトラキス(2,3-ピリド)ポルフィラジン及 銅フタロシアニン(銅テトラベンゾポルフィ ラジン)も生成する。通常、これらの混合物 ら目的物のみを単離することは難しく、平 値として2つがピリジン環で、残り2つがベン ゼン環である銅ジベンゾビス(2,3-ピリド)ポル フィラジンとしてそのまま使用している場合 がほとんどである。

 上記の銅ジベンゾビス(2,3-ピリド)ポルフィ ジンの合成方法に準じて、1つがピリジン環 で、残り3つがベンゼン環の化合物等を得る とができる。この場合、ピリジンジカルボ 酸誘導体とフタル酸誘導体の使用割合を、 的化合物のピリジン環とベンゼン環の比率 応じて変えて合成すればよい。
 また、環A~Dの全てがベンゼン環である化合 は、上記合成方法において、原料化合物と て、ピリジンジカルボン酸誘導体を使用す ことなく、フタル酸誘導体のみを使用して 反応を行えばよい。

式(7-A)~(7-E)


式(8)


式(9-A)~(9-D)

 次に、本発明の式(1)の色素の製造方法につ て記載する。
 なお、以下の各式において、環A~D、M、X、Y L等の記号は何れも式(1)におけると同じ意味 を表す。
 式(1)で表される色素は下記式(3)で表される 合物を塩基性水溶液で加水分解することに り得る事が出来る。
 式(3)

 上記式(3)の化合物は、例えば、特許第3413223 号に記載の方法、又はそれに準じて、上記式 (6)で表される化合物と下記式(4)で表される化 合物とを脱水縮合させるか、または、式(6)で 表される化合物、下記式(5)で表される化合物 及びパラホルムアルデヒドの3者を脱水縮合 せればよい。
 該縮合に用いる脱水縮合剤としては、硫酸 発煙硫酸、ポリリン酸、無水酢酸、五酸化 燐等があげられるが、これらに限定される のでは無い。また、上記脱水縮合剤を1種ま たは2種以上組み合わせて使用する事もでき 。

式(4)


式(5)

 上記の3者を脱水縮合反応させる場合は、 通常縮合剤として、硫酸、発煙硫酸、ポリリ ン酸等が使用される。また、硫酸、発煙硫酸 を用いる場合、上記式(3)で表される化合物中 に存在する1つ以上のベンゼン環上に、スル 基を導入することも可能である。

 通常、脱水縮合剤は溶媒をかねて用いられ 使用される量は、重量比で上記式(6)で表さ る化合物の5~20倍量、好ましくは8~15倍量で る。
反応温度、反応時間等の反応条件は、フタル イミドメチル基の導入数や脱水縮合剤の種類 等によって異なる。
 反応温度は、通常50~160℃であり、反応時間 、通常1~20時間である。

 式(4)で表される化合物の使用量は、導入す フタルイミドメチル基の数により異なり、 常、導入したい数に応じて変えればよい。 えば上記式(6)の化合物に対して1~8倍モル、 ましくは2~8倍モルである。式(4)で表される 合物のかわりに式(5)で表される化合物とパ ホルムアルデヒドとを使用することも可能 あり、この場合、式(5)で表される化合物は 式(4)で表される化合物と同量でよい。パラ ルムアルデヒドは通常(5)で表される化合物 1~2倍モル量使用する。
 また、式(4)で表される化合物は、式(5)で表 れる化合物とホルマリン水溶液とを反応さ ることにより別途、合成する事も出来る。

 得られた式(3)で表される化合物の加水分 により本発明の上記式(1)で表される色素を ることが出来る。該加水分解に使用される 基としてはアルカリ金属の水酸化物、例え 水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙 られる。使用される塩基はこれらに限定さ るものでは無い。

 加水分解反応は上記塩基を添加して得ら る塩基性水溶液中で行われる。該塩基性水 液の塩基濃度は0.5~10質量%であり、その使用 量はフタルイミドメチル化フタロシアニンの 3~20倍量である。反応温度は通常10~90℃、より 好ましくは15~70℃である。

 こうして得られた本発明の色素は酸析ま は塩析により分離することが出来る。酸析 例えば、塩酸、硫酸等の酸により、反応液 pHを1~3に調整し、目的化合物を析出させる とにより、行われる。この時の温度は特に 定されないが、通常20~80℃、好ましくは20~60 である。塩析は、例えば、反応液を、酸性~ アルカリ性、好ましくはpH1~11の範囲に調整し 、食塩等の塩を加えて、目的化合物を析出さ せることにより、行われる。塩析の際の温度 は特に限定されないが、通常20~80℃、好まし は40~70℃に加熱後、食塩等を加えて塩析す のが好ましい。

 本発明の色素は、天然及び合成繊維材料又 混紡品の染色、筆記用インク及びインクジ ット記録用インク組成物の製造等に適して る。
 本発明の上記式(1)の色素を含む反応液は、 発明のインク組成物の製造に直接使用する も出来る。また、反応液から該色素を単離 例えば反応液のスプレー乾燥などの方法に り、該色素を単離した後、得られた色素を ンク組成物に加工することもできる。本発 のインク組成物は、上記式(1)で表される色 を水性媒体中に通常0.1~20質量%、より好まし くは1~10質量%、更に好ましくは2~8質量%含有す る。

 本発明のインク組成物は、通常、前記式( 1)の色素を水、/又は水と水溶性有機溶剤(水 の混和可能な有機溶剤)の混合溶液などの水 媒体に溶解し、必要に応じインク調製剤を 加することにより得ることができる。この ンク組成物をインクジェットプリンタ用の ンクとして使用する場合、不純物として含 する金属陽イオンの塩化物、例えば塩化ナ リウム及び硫酸塩(代表的なものとしては硫 酸ナトリウム)等の無機物の含有量が少ない のを用いるのが好ましい。この場合、例え 塩化ナトリウムと硫酸ナトリウムの総含有 は、インク中に含有する色素の総質量中に1 量%以下が好ましい。無機不純物の少ない色 素を製造するには、例えばそれ自体公知の逆 浸透膜による方法又は本発明の色素又はその 塩の乾燥品あるいはウェットケーキをメタノ ールなどのアルコール及び水の混合溶媒中で 撹拌して懸濁精製し、固体を濾過分離し、乾 燥するなどの方法で脱塩処理すればよい。

 本発明のインク組成物は、前記式(1)の色 と媒体としての水を含み、必要に応じて、 溶性有機溶剤を、本発明の効果を害しない 囲内において含有しても良い。水溶性有機 剤は、染料溶解剤、乾燥防止剤(湿潤剤)、 度調整剤、浸透促進剤、表面張力調整剤、 泡剤等の作用を果たす。その他のインク調 剤としては、例えば、防腐防黴剤、pH調整剤 、キレート試薬、防錆剤、紫外線吸収剤、粘 度調整剤、染料溶解剤、褪色防止剤、乳化安 定剤、表面張力調整剤、消泡剤、分散剤、及 び分散安定剤等の公知の添加剤が挙げられる 。水溶性有機溶剤の含有量はインク全体に対 して0~60質量%、好ましくは10~50質量%であり、 の他のインク調製剤はインク全体に対して0 ~20質量%、好ましくは0~15質量%用いるのが良い 。上記以外の残部は水である。

 本発明で使用しうる水溶性有機溶剤とし は、例えばメタノール、エタノール、n-プ パノール、イソプロパノール、n-ブタノール 、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブ タノール等のC1~C4アルカノール;N,N-ジメチル ルムアミドまたはN,N-ジメチルアセトアミド のアミド類;2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロ ドン、ヒドロキエチル-2-ピロリドン、1,3-ジ チルイミダゾリジン-2-オンまたは1,3-ジメチ ルヘキサヒドロピリミド-2-オン等の複素環式 ケトン;アセトン、メチルエチルケトン、2-メ チル-2-ヒドロキシペンタン-4-オン等の脂肪族 ケトンまたは脂肪族ケトアルコール;テトラ ドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル; チレングリコール、1,2-または1,3-プロピレ グリコール、1,2-または1,4-ブチレングリコー ル、1,6-ヘキシレングリコール、ジエチレン リコール、トリエチレングリコール、テト エチレングリコール、ジプロピレングリコ ル、ポリエチレングリコール、ポリプロピ ングリコール、またはチオジグリコール等 (C2~C6)アルキレン単位を有するモノ、オリゴ たはポリアルキレングリコールまたはチオ リコール;グリセリン、ヘキサン-1,2,6-トリ ール等のポリオール(好ましくはトリオール) ;エチレングリコールモノメチルエーテル、 チレングリコールモノエチルエーテル、ジ チレングリコールモノメチルエーテル、ジ チレングリコールモノエチルエーテル、ジ チレングリコールモノブチルエーテル(ブチ カルビトール)、トリエチレングリコールモ ノメチルエーテル、トリエチレングリコール モノエチルエーテル等の多価アルコールの(C1 ~C4)モノアルキルエーテル;γーブチロラクト またはジメチルスルホキシド等があげられ 。

 上記の水溶性有機溶剤として好ましいも は、イソプロパノール、グリセリン、モノ ジまたはトリエチレングリコール、ジプロ レングリコール、2-ピロリドン、N-メチル-2- ピロリドンおよびブチルカルビトールであり 、より好ましくはイソプロパノール、グリセ リン、ジエチレングリコール、2-ピロリドン N-メチル-2-ピロリドンおよびブチルカルビ ールである。これらの水溶性有機溶剤は、 独もしくは混合して用いられる。

 防腐防黴剤としては、例えば、有機硫黄系 有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロア ルスルホン系、ヨードプロパギル系、N-ハ アルキルチオ系、ベンゾチアゾール系、ニ リル系、ピリジン系、8-オキシキノリン系、 イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジン オキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系 、フェノール系、第4アンモニウム塩系、ト アジン系、チアジアジン系、アニリド系、 ダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブ ム化インダノン系、ベンジルブロムアセテ ト系、および無機塩系等の化合物が挙げら る。
 有機ハロゲン系化合物としては、例えばペ タクロロフェノールナトリウムが挙げられ ピリジンオキシド系化合物としては、例え 2-ピリジンチオール-1-オキサイドナトリウ が挙げられ、イソチアゾリン系化合物とし は、例えば1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン 2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-ク ロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-ク ロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンマグネ ウムクロライド、5-クロロ-2-メチル-4-イソチ アゾリン-3-オンカルシウムクロライド、2-メ ル-4-イソチアゾリン-3-オンカルシウムクロ イド等が挙げられる。
 その他の防腐防黴剤として酢酸ソーダ、ソ ビン酸ソーダ、安息香酸ナトリウム等があ られる。防腐防黴剤のその他の具体例とし は、例えば、アベシア社製 商品名プロク ルGXL(S)およびプロクセルXL-2(S)等が好ましく げられる。

 pH調整剤は、インクの保存安定性を向上 せる目的で、インクのpHを6.0~11.0の範囲に制 できるものであれば任意の物質を使用する とができる。例えば、ジエタノールアミン トリエタノールアミンなどのアルカノール ミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム 水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸 物、水酸化アンモニウム、あるいは炭酸リ ウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど アルカリ金属の炭酸塩などが挙げられる。

 キレート試薬としては、例えばエチレン アミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸 トリウム、ヒドロキシエチルエチレンジア ン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミ 五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリ ムなどがあげられる。

 防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩 チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸ア モニウム、ジイソプロピルアンモニウムナ トライト、四硝酸ペンタエリスリトール、 シクロヘキシルアンモニウムナイトライト どがあげられる。

 紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフ ノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合 、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物、 チルベン系化合物、又はベンズオキサゾー 系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍 を発する化合物(いわゆる蛍光増白剤)も用 ることができる。

 粘度調整剤としては、水溶性有機溶剤の に、水溶性高分子化合物があげられ、例え ポリビニルアルコール、セルロース誘導体 ポリアミン、ポリイミン等があげられる。

 染料溶解剤としては、例えば尿素、ε-カ ロラクタム、エチレンカーボネート等があ られる。尿素を使用するのが好ましい。

 褪色防止剤は、画像の保存性を向上させ 目的で使用される。褪色防止剤としては、 種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を 用することができる。有機の褪色防止剤と てはハイドロキノン類、アルコキシフェノ ル類、ジアルコキシフェノール類、フェノ ル類、アニリン類、アミン類、インダン類 クロマン類、アルコキシアニリン類、及び テロ環類などがあり、金属錯体としてはニ ケル錯体、及び亜鉛錯体などがある。

 表面張力調整剤としては、界面活性剤が げられ、例えばアニオン界面活性剤、両性 面活性剤、カチオン界面活性剤、及びノニ ン界面活性剤などがあげられる。

 アニオン界面活性剤としてはアルキルス ホカルボン酸塩、α-オレフィンスルホン酸 、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢 塩、N-アシルアミノ酸およびその塩、N-アシ ルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオ キシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸 塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸 塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩 、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アル キルフェノール型燐酸エステル、アルキル型 燐酸エステル、アルキルアリルスルホン酸塩 、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキル シルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀 酸塩などが挙げられる。

 カチオン界面活性剤としては2-ビニルピ ジン誘導体、ポリ4-ビニルピリジン誘導体な どがある。

 両性界面活性剤としてはラウリルジメチ アミノ酢酸ベタイン、2-アルキル-N-カルボ シメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニ ムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピル メチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチル リアミノエチルグリシン、その他イミダゾ ン誘導体などがある。

 ノニオン界面活性剤としては、ポリオキ エチレンノニルフェニルエーテル、ポリオ シエチレンオクチルフェニルエーテル、ポ オキシエチレンドデシルフェニルエーテル ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポ オキシエチレンラウリルエーテル、ポリオ シエチレンアルキルエーテル等のエーテル ;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、 ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル 、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノス テアレート、ソルビタンモノオレエート、ソ ルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレ ンモノオレエート、ポリオキシエチレンステ アレートなどのエステル系;2,4,7,9-テトラメチ ル-5-デシン-4,7-ジオール、3,6-ジメチル-4-オク チン-3,6-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3- オールなどのアセチレングリコール(アルコ ル)系(例えば、日信化学社製 商品名サーフ ノール104、82、465、オルフィンSTG等)等が挙 られる。

 消泡剤としては、高酸化油系、グリセリ 脂肪酸エステル系、フッ素系またはシリコ ン系の化合物が必要に応じて用いられる。

 これらのインク調製剤は、単独もしくは 合して用いられる。なお、本発明のインク 表面張力は通常25~70mN/m、より好ましくは25~6 0mN/mである。また本発明のインクの粘度は30mP a・s以下が好ましく、20mPa・s以下に調整する とがより好ましい。

 本発明のインク組成物を製造するにあた 、添加剤などの各薬剤を溶解させる順序に 特に制限はない。用いる水はイオン交換水 たは蒸留水など不純物が少ない物が好まし 。さらに、必要に応じメンブランフィルタ などを用いて精密濾過を行って夾雑物を除 てもよく、インクジェットプリンタ用のイ クとして使用する場合は精密濾過を行うこ が好ましい。精密濾過を行うフィルターの 径は通常1ミクロン~0.1ミクロン、好ましく 、0.8ミクロン~0.2ミクロンである。

 本発明の色素を含有するインク組成物は 印捺、複写、マーキング、筆記、製図、ス ンピング、又は記録(印刷)、特にインクジ ット記録等への使用に適する。また本発明 インク組成物は、インクジェットプリンタ ノズル付近における乾燥に対しても結晶析 は起こりにくく、ヘッドの閉塞も起こりに い。さらに本発明のインク組成物をインク ェット記録に用いた場合、水、光、オゾン 酸化窒素ガス、及び摩擦に対する良好な耐 を有する高品質のシアン色の印捺物が得ら 、特に普通紙上の耐水性が極めて良好であ 。

 インクジェットプリンタには、高精細な 像を供給することを目的に、高濃度のイン と低濃度のインクの2種類のインクが1台の リンタに装填されたものもある。その場合 本発明の色素を用いて高濃度のインク組成 と、低濃度のインク組成物をそれぞれ作製 、それらをインクセットとして使用しても い。またどちらか一方だけに該色素を用い もよい。また本発明の色素と公知のシアン 素とを併用してもよい。また他の色、例え ブラックインクの調色用、あるいはイエロ 色素やマゼンタ色素と混合して、グリーン ンクやブルー(又はバイオレット)インクを調 製する目的で本発明の色素を用いることもで きる。

 本発明の着色体とは本発明の色素で着色 れた物質のことである。着色体の材質には に制限はなく、例えば紙、フィルムなどの 報伝達用シート、繊維や布(セルロース、ナ イロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター 基材等、着色されるものであればなんでも く、これらに限定されない。着色法として 、例えば浸染法、捺染法、スクリーン印刷 の印刷法、インクジェットプリンタによる 法等があげられるが、インクジェットプリ タによる方法が好ましい。

 情報伝達用シートとしては、特に制約はな 、普通紙はもちろん、表面処理されたもの 具体的には紙、合成紙、フィルム等の基材 インク受容層を設けたものなどが用いられ 。ここでインク受容層は、例えば上記基材 カチオン系ポリマーを含浸あるいは塗工す 方法、または多孔質シリカ、アルミナゾル 特殊セラミックスなどのインク中の色素を 収し得る無機微粒子をポリビニルアルコー やポリビニルピロリドン等の親水性ポリマ と共に上記基材表面に塗工する方法などに り設けられる。このようなインク受容層を けたものは通常インクジェット専用紙、イ クジェット専用フィルム、光沢紙、または 沢フィルム等と呼ばれる。
 普通紙は、特にインク受容層を設けていな 紙のことを指し、用途によってさまざまな のが数多く市販されている。市販されてい 普通紙の一例を挙げると、インクジェット としては、両面上質普通紙(セイコーエプソ ン社製)、カラー普通紙、(キヤノン社製)、Mul tipurpose Paper、All-in-one Printing Paper(Hewlett Pack ard社製)などがある。この他、特に用途をイ クジェット印刷に限定しないPPC用紙なども 通紙である。
 本発明のインク組成物は、上記のような普 紙上での耐水性が特に優れているが、その の、光、オゾン、湿度や摩擦などに対する 性にも優れる。インクジェット印刷用にイ ク受容層を設けているインクジェット専用 、専用フィルム、光沢紙または光沢フィル などでの耐水性にも優れ、またそれらの情 伝達用シート上での耐光性、耐ガス性、耐 性及び耐擦性などにも優れる。

 本発明のインクジェット記録方法で、被記 材に記録するには、例えば上記のインク組 物が充填された容器(通常はインクジェット プリンタに使用するインク容器)をインクジ ットプリンタの所定位置にセットし、通常 方法で、被記録材に記録すればよい。本発 のインクジェット記録方法は、本発明のイ ク組成物と共に、イエローインク、マゼン インク、必要に応じて、グリーンインク、 ルー(又はバイオレット)インク、レッドイン ク、及びブラックインク等を使用しうる。こ の場合、各色のインクは、それぞれの容器に 注入され、それらの容器を、インクジェット プリンタの所定位置に装填して使用する。
 インクジェットプリンタには、例えば機械 振動を利用したピエゾ方式や加熱により生 る泡を利用したバブルジェット(登録商標) 式等を利用したものがある。本発明のイン ジェット記録方法は、いかなる方式であっ も使用が可能である。

 本発明のインク組成物は、鮮明なシアン色 あり、普通紙やインクジェット専用紙や光 紙に記録した画像の鮮明度が高く、インク ェット記録法に適した色相を有する。また その記録画像の堅牢度、特に普通紙に記録 た場合の耐水性が非常に高いことを特徴と る。
 本発明のインク組成物は貯蔵中に沈澱、分 することがない。また、本発明のインク組 物をインクジェット記録に使用した場合、 ズル付近におけるインク組成物の乾燥によ 結晶析出は非常に起こりにくく、噴射器(イ ンクヘッド)を閉塞することもない。本発明 インク組成物は連続式インクジェットプリ タを用い、比較的長い時間間隔においてイ クを再循環させて使用する場合においても 又はオンデマンド式インクジェットプリン による断続的な使用においても、物理的性 の変化を起こさない。

 以下に本発明を更に実施例により具体的 説明する。尚、本文中「部」及び「%」とあ るのは、特別の記載のない限り質量基準であ る。

なお実施例にて合成した上記式(1)の化合物 は全て上記のように異性体などを含む混合物 である。従って、特に断りの無い限り、主要 成分の化学構造式、またはその中の一つの化 学構造式を記載した。なお、収量についても 該異性体等を含む。

実施例1
 下記式(10)で表される色素の合成;
(式(1)において、Yが水素原子、Xがスルホニル 、Lが5~6であり、環A~Dの全てがベンゼン環で る色素)
式(10)

 ポリリン酸(116%)80.6部中に、銅フタロシアニ ン5.76部、o-スルホベンズイミド20.15部及びパ ホルムアルデヒド3.30部を添加し、液温を140 ℃まで上昇させた。140~145℃において8時間反 を行った後、反応液を60℃まで冷却し、そ に水100部を加え、結晶を析出させた。結晶 濾過分離し、水600部で洗浄し、ウェットケ キ60.6部を得た。得られたウェットケーキを 水280部及び水酸化ナトリウム6.0部の混合液 に添加し、20~25℃で6時間反応させた。反応 を濾過し、得られた濾液に36%塩酸を加え、p Hを1に調整し結晶を析出させた。結晶を濾過 離し、水600部で洗浄、乾燥し、上記式(10)で 表される色素15.5部を青色粉末として得た。
λmax:678.0nm、645.0nm(DMF中)

実施例2
 下記式(11)で表される色素の合成;
(式(1)において、Yが水素原子、Xがスルホニル 、Lが4~5であり、環A~Dの全てがベンゼン環で る色素)
式(11)

 ポリリン酸(116%)80.6部中に、銅フタロシアニ ン5.76部、o-スルホベンズイミド16.12部及びパ ホルムアルデヒド2.64部を添加し、次いで液 温を140℃まで上昇させた。140~145℃において8 間反応を行った後、反応液を60℃まで冷却 、そこに水100部を加え、結晶を析出させた 結晶を濾過分離し、水600部で洗浄し、ウェ トケーキ55.6部を得た。得られたウェットケ キを、水280部及び水酸化ナトリウム4.8部の 合液中に添加し、20~25℃で6時間反応させた 反応液を濾過し、得られた濾液に36%塩酸を え、濾液のpHを1に調整し結晶を析出させた 結晶を濾過分離し、水600部で洗浄、乾燥し 上記式(11)で表される色素14.5部を青色粉末 して得た。
λmax:678.0nm、642.0nm(DMF中)

実施例3
 下記式(12)で表される色素の合成;
(式(1)において、Yが水素原子、Xがスルホニル 、Lが3~4であり、環A~Dの全てがベンゼン環で る色素)
式(12)

 ポリリン酸(116%)80.6部中に、銅フタロシアニ ン5.76部、o-スルホベンズイミド12.09部及びパ ホルムアルデヒド1.98部を添加し、次いで液 温を140℃まで上昇させた。140~145℃において8 間反応を行った後、反応液を60℃まで冷却 、そこに水100部を加え、結晶を析出させた 結晶を濾過分離し、水600部で洗浄し、ウェ トケーキ47.1部を得た。得られたウェットケ キを、水280部及び水酸化ナトリウム3.6部の 合液中に添加し、20~25℃で6時間反応させた 、反応液を濾過し、得られた濾液に36%塩酸 加え、濾液のpHを1に調整し、結晶を析出さ た。結晶を濾過分離し、水600部で洗浄、乾 し式(12)で表される色素12.2部を青色粉末と て得た。
λmax:675.0nm、642.0nm(DMF中)

実施例4
 下記式(13)で表される色素の合成;
(式(1)において、Yが水素原子、Xがスルホニル 、Lが4~5であり、環A~Dのうち1.25がピリジン環 残りがベンゼン環である色素)
式(13)

(1)前記式(6)において、環A~Dのうち1.25がピリ ン環で残りがベンゼン環で表される化合物 合成
 四つ口フラスコに、スルホラン250部、フタ イミド20.2部、キノリン酸10.4部、尿素72.0部 塩化銅(II)・2水和物(純度97.0%)8.8部及びモリ デン酸アンモニウム1.0部を加え、液温を200 まで上昇させ、同温度で5時間保持した。反 応終了後反応液を65℃まで冷却し、そこにメ ノール200部を投入し、析出した結晶を濾過 離した。得られた結晶をメタノール150部、 いて温水200部で洗浄、乾燥し、ウェットケ キ72.5部を得た。得られたウェットケーキ全 量を5%塩酸500部中に投入し、液温を60℃に上 させ、同温度で1時間保持した。析出した結 を濾過分離し、水200部で洗浄した。次いで 得られたウェットケーキ全量を10%アンモニ 水500部中に投入し、液温を60℃で1時間保持 た。析出した結晶を濾過分離し、水300部、 タノール100部で洗浄し、ウェットケーキ33.3 部を得た。得られたウェットケーキを80℃で 燥し、標記式(6)のポルフィラジン化合物19.6 部を青色結晶として得た。

(2)ポリリン酸(116%)40.3部中に実施例4-(1)で得た ポルフィラジン化合物5.76部、o-スルホベンズ イミド16.12部及びパラホルムアルデヒド2.64部 を添加し、次いで液温を140℃まで上昇させた 。140~145℃において8時間反応を行った後、反 液を60℃まで冷却し、そこに水50部を加え、 結晶を析出させた。結晶を濾過分離し、水150 部で洗浄し、ウェットケーキ13.9部を得た。 られたウェットケーキを、水70部及び水酸化 ナトリウム2.4部の混合液中に添加し、20~25℃ 6時間反応させた。反応液を濾過し、得られ た濾液に36%塩酸を加え、濾液のpHを1に調整し 結晶を析出させた。結晶を濾過分離し、水600 部で洗浄、乾燥し、上記式(13)で表される色 6.25部を青色粉末として得た。
λmax:668.0nm、624.0nm(DMF中)

実施例5 
 下記式(14)で表される色素の合成;
(式(1)において、Yが水素原子、Xがカルボニル 、Lが3~4であり、環A~Dの全てがベンゼン環で る色素)

 ポリリン酸(116%)40.3部中に銅フタロシアニン 2.88部、フタルイミド3.22部及びパラホルムア デヒド1.56部を添加し、次いで液温を140℃ま で上昇させた。140~145℃において8時間反応を った後、反応液を60℃まで冷却し、そこに 50部を加え、結晶を析出させた。結晶を濾過 分離し、水300部で洗浄し、ウェットケーキ17. 3部を得た。得られたウェットケーキを、水14 0部及び水酸化ナトリウム2.4部の混合液中に 加し、20~25℃で6時間反応させた。反応液を 過し、得られた濾液に36%塩酸を加え、濾液 pHを1に調整し結晶を析出させた。結晶を濾 分離し、水300部で洗浄、乾燥し上記式(14)で される色素6.11部を青色粉末として得た。
λmax:679.0nm、626.0nm(DMF中)

実施例6 
 下記式(15)で表される色素の合成;
(式(1)において、Yが水素原子、Xがカルボニル 、Lが4~5であり、環A~Dのうち1.5がピリジン環 残りがベンゼン環である色素)
式(15)

(1)前記式(6)において、環A~Dのうち1.5がピリジ ン環で残りがベンゼン環で表される化合物の 合成
四つ口フラスコに、スルホラン250部、フタル イミド18.4部、キノリン酸12.5部、尿素72.0部、 塩化銅(II)・2水和物(純度97.0%)8.8部、モリブデ ン酸アンモニウム1.0部を加え、200℃まで昇温 し、同温度で5時間保持した。反応終了後65℃ まで冷却し、そこにメタノール200部投入し、 結晶を濾過した。得られた結晶をメタノール 150部、続いて温水200部で洗浄、乾燥し、ウェ ットケーキ72.2部を得た。得られたウェット ーキ全量を5%塩酸500部中に投入し、60℃に昇 し、同温度で1時間保持した。結晶を濾過し 水200部で洗浄した。次いで、得られたウェッ トケーキ全量を10%アンモニア水500部中に投入 し、60℃で1時間保持し、結晶を濾過、水300部 、メタノール100部で洗浄し、ウェットケーキ 33.6部を得た。得られたウェットケーキを80℃ で乾燥し、標題化合物19.8部を青色結晶とし 得た。
λmax:663.5nm(ピリジン中)

(2)ポリリン酸(116%)40.3部中に実施例6-(1)で得た ポルフィラジン化合物2.89部、N-ヒドロキシメ チルフタルイミド3.90部を添加し、次いで液 を140℃まで上昇させた。140~145℃において8時 間反応を行った後、反応液を60℃まで冷却し そこに水50部を加え、結晶を析出させた。 晶を濾過分離し、水150部で洗浄し、ウェッ ケーキ13.9部を得た。得られたウェットケー を、水70部及び水酸化ナトリウム2.4部の混 液中に添加し、20~25℃で6時間反応させた。 応液を濾過し、得られた濾液に36%塩酸を加 、濾液のpHを1に調整し結晶を析出させた。 晶を濾過分離し、水600部で洗浄、乾燥し上 式(15)で表される色素6.25部を青色粉末として 得た。
λmax:656.0nm、616.0nm(DMF中)

実施例7 
 下記式(16)で表される色素の合成;
(式(1)において、Yがカルボキシル、Xがカルボ ニル、Lが3~4であり、環A~Dの全てがベンゼン である色素)
式(16)

 ポリリン酸(116%)40.3部中に銅フタロシアニン 2.88部、トリメリット酸イミド6.30部及びパラ ルムアルデヒド0.99部を添加し、次いで液温 を140℃まで上昇させた。140~145℃において8時 反応を行った後、反応液を60℃まで冷却し そこに水50部を加え、結晶を析出させた。結 晶を濾過分離し、水300部で洗浄し、ウェット ケーキ33.4部を得た。得られたウェットケー を、水280部及び水酸化ナトリウム水溶液3.6 の混合液中に添加し、20~25℃で6時間反応さ た。反応液を濾過し、得られた濾液に36%塩 を加え、濾液のpHを1に調整し結晶を析出さ た。析出した結晶を濾過分離し、水300部で 浄し、次いで乾燥して式(18)で表される色素6 .3部を青色粉末として得た。
λmax:673.0nm、613.0nm(DMF中)

評価例
(A)インクの調製
 上記実施例1で得られた本発明のフタロシア ニン色素を用いて下記表2に示した組成比で 合して本発明のインク組成物とした後、0.45 mのメンブランフィルターで濾過する事によ 夾雑物を除き、本発明のインクを調製した 尚、水はイオン交換水を使用し、インク組 物のpHがおよそ9.5となるようにアンモニア 溶液で調整後、総量が100部になるように水 加えた。
 また実施例2~7で得られた本発明の色素につ ても上記と同様にしてインクを調製した。

比較例1 
 比較例1として、色素成分として実施例1で られたフタロシアニン化合物の代わりに、 許文献1の色素としてNo.1の色素(C.I.Direct Blue 86)を用いた以外は、上記表2と同様の組成比 比較用のインク組成物を調製し、評価を行 た。比較用に用いた上記No.1の色素はフタロ シアニン骨格中に、平均で2個のスルホン酸 を有するもので、その代表的な化合物は、 記式(19)(スルホン酸基の位置は3位)で表され 。
式(19)

比較例2 
 比較例2として、常法に従い、比較例1で用 た色素の塩交換を行うことにより上記式(19) 表される色素のナトリウムをアンモニウム 変換した色素を調製し、これを用いて上記 同様に比較用のインク組成物を調製し、評 を行った。

(B)インクジェットプリント
 インクジェットプリンタ(キヤノン社製 商 名:PIXUS ip4100)を用いて、表3に示す3種類の 通紙にインクジェット記録を行った。イン ジェット記録の際、チェック柄のパターン( 度100%と0%の1.5mm角正方形を交互に組み合わ たパターン)を作成し、コントラストの高い アン-ホワイトの印字物を得た。また、反射 濃度が数段階の階調が得られるように画像パ ターンも作成し、シアン色の濃度諧調のある グラデーションの印字物を得た。
 耐水性試験の目視判断を行う際には、チェ ク柄の印刷物を用いた。
 耐水性試験の色素残存率測定は、グラデー ョンの印字物を用い、試験前の印字物の反 濃度D値が1に最も近い部分について反射濃 の測定を行った。また、反射濃度は測色シ テム(SectroEye、GretagMacbeth社製)を用いて測定 た。
 記録画像の各種試験方法および試験結果の 価方法を以下に記載する。

表3
普通紙1 
 キヤノン社製
 LBP PAPER LS-500
普通紙2
 Hewlett Packard社製
 Multipurpose Paper
普通紙3
 Hewlett Packard社製
 All-in-One Printing Paper

(C)印刷物のL*、a*、b*測定
 プリントしたグラデーションの印字物中で もっとも反射濃度が高い部分について上記 色システムを用いてL*、a*、b*値を測定した 実施例1~6で得られた色素を含有する各イン 組成物の結果を表4に、同様に比較例1の結 を表5に、比較例2の結果を表6にそれぞれ記 。また、目視による各実施例及び比較例の アン色の色相も併せて記す。

表4
実施例1
       L*     a*     b*   目視によ 色相
普通紙1  51.2  -37.4  -44.0    高鮮明
普通紙2  54.3  -34.6  -45.3    高鮮明
普通紙3  54.9  -34.0  -44.5    高鮮明

実施例2
       L*     a*     b*   目視によ 色相
普通紙1  52.1  -35.3  -39.6    高鮮明
普通紙2  55.2  -32.4  -40.6    高鮮明
普通紙3  56.1  -32.2  -40.3    高鮮明

実施例3
       L*     a*     b*   目視によ 色相
普通紙1  51.1  -30.5  -34.8    高鮮明
普通紙2  50.3  -31.4  -40.2    高鮮明
普通紙3  49.9  -32.2  -41.2    高鮮明

実施例4
       L*     a*     b*   目視によ 色相
普通紙1  47.6  -22.6  -40.1    赤味
普通紙2  48.0  -23.3  -45.6    赤味
普通紙3  47.9  -23.5  -45.8    赤味

実施例5
       L*     a*     b*   目視によ 色相
普通紙1  63.7  -30.0  -20.0    緑味
普通紙2  64.9  -30.3  -25.0    緑味
普通紙3  65.2  -30.2  -25.2    緑味

実施例6
       L*     a*     b*   目視によ 色相
普通紙1  59.5  -18.2  -34.3    赤味
普通紙2  61.4  -16.1  -36.5    赤味
普通紙3  62.1  -15.7  -36.0    赤味

実施例7
        L*    a*     b*  目視による 相
普通紙1  55.0  -29.2  -29.5    緑味
普通紙2  56.0  -28.5  -32.3    緑味
普通紙3  55.9  -29.1  -32.9    緑味

表5
比較例1
       L*     a*     b*   目視によ 色相
普通紙1  45.9  -35.5  -42.9    赤味
普通紙2  47.8  -31.6  -49.7    赤味
普通紙3  48.6  -31.2  -49.7    赤味

表6
比較例2
       L*     a*     b*   目視によ 色相
普通紙1  44.5  -35.6  -39.7    赤味
普通紙2  46.2  -31.3  -39.7    赤味
普通紙3  47.1  -31.0  -49.5    赤味

(D)耐水性試験1(滴下試験:滲み)
 印刷後24時間乾燥を行ったチェック柄の印 物に対して、イオン交換水を1滴滴下し、そ まま自然乾燥した。乾燥後、パターンのに みの程度を目視で評価し、以下の基準で3段 階に評価した。
  全く滲みが無い(どこに滴下したのか判別 可能)・・・・○
  ほとんど滲みが無い(滴下場所は判別でき )・・・・・・△
  明らかに滲んでいる・・・・・・・・・ ・・・・・・・・×
結果を表7に示す。

(E)耐水性試験2(浸漬試験1:色落ち及び着色)
 印刷後24時間乾燥を行ったチェック柄の印 物に対して、イオン交換水中に1時間浸漬し 。乾燥後、パターンの着色部分の色落ち具 とホワイト部分の着色具合とを目視で評価 、以下の基準で3段階に評価した。
  色落ちや着色が全く無い・・・・・・・ ・・・・○
  色落ちや着色がやや見られる・・・・・ ・・・・△
  明らかに色落ちや着色が見られる・・・ ・・・・×
結果を表8に示す。

(E)耐水性試験3(浸漬試験2:色素残存率)
 印刷後24時間乾燥を行ったグラデーション 印字物に対して、イオン交換水中に1時間浸 した。乾燥後、反射濃度を前記の測色シス ムを用いて測色した。測定後、色素残存率 (試験後の反射濃度/試験前の反射濃度)×100(% )で計算して求め、以下の基準で3段階で評価 た。
  色素残存率が90%以上・・・・・・・・○
  色素残存率が50%以上90%未満・・・△
  色素残存率が50%未満・・・・・・・・×
結果を表9に示す。

表7 耐水性試験1(滲み)の結果

      (普通紙1)(普通紙2)(普通紙3)
  実施例1   △    ○     ○
  実施例2   ○    ○     ○
  実施例3   ○    ○     ○
  実施例4   ○    ○     ○
  実施例5   ○    ○     ○
  実施例6   ○    ○     ○
  実施例7   ○    ○     ○
  比較例1   ×    ×     ×
  比較例2   ×    ×     ×

表8 耐水性試験2(色落ち及び着色)の結果

      (普通紙1)(普通紙2)(普通紙3)
  実施例1   △     ○     ○
  実施例2   ○     ○     ○
  実施例3   ○     ○     ○
  実施例4   ○     ○     ○
  実施例5   ○     ○     ○
  実施例6   ○     ○     ○
  実施例7   ○     ○     ○
  比較例1   ×     ×     ×
  比較例2   ×     ×     ×

表9 耐水性試験3(色素残存率)の結果

      (普通紙1)(普通紙2)(普通紙3)
  実施例1   △     △     △ 
  実施例2   ○     ○     ○
  実施例3   ○     ○     ○
  実施例4   ○     ○     ○
  実施例5   ○     ○     ○
  実施例6   ○     ○     ○
  実施例7   ○     ○     ○
  比較例1   ×     ×     △
  比較例2   ×     ×     △

 表7~9の結果より明らかなように、比較例1及 び2は、耐水性試験においては、にじみ(耐水 試験1)が明らかに認められ、色落や着色(耐 性試験2)も明らかに認められ、更に色素残 率においても、普通紙3の場合にやや良好で るのを除き、普通紙1及び2においては何れ 色素残存率が50%未満と、いずれの試験にお て、耐水性が悪いことを示している。
 これに対して本発明の実施例のインクは、 水性試験1~3のいずれの場合も、普通紙1~3の てにおいて、極めて良好(実施例1のものの 、色素残存率においてやや良好)という結果 得られ、普通紙での耐水性が極めて高いこ がわかる。
 また、表4から明らかなように、本発明の上 記一般式(1)で表される色素は、該式中のX及 環A~Dを適宜選択することにより、得られる 素の色相に変化を与えることができる。す わち、環A~D全てがベンゼン環の場合、Xがス ホニル基であると、高鮮明かつ標準色に近 シアン色素が得られ、カルボニル基である 緑味の色相のシアン色素が得られる。また A~Dにピリジン環が含まれる場合(実施例4及 6)、Xがスルホニル基またはカルボニル基の れであっても、赤味の色相のシアン色素が られる。
 従って、標準色に近いシアン色素、緑味の アン色素、赤みのシアン色素など、目的に じて、適宜構造を変えることにより、目的 シアン色素を得ることが出来る。

 以上の結果から、本発明の水溶性フタロ アニン化合物はインクジェット記録用のイ ク組成物を調製するのに適しており、各種 堅牢性、特に耐水性に極めて優れ、また水 解性が高く、良好で鮮明な色相を持つ。こ らの特徴から、本発明のフタロシアニン化 物は各種の記録用インク色素、特にインク ェットインク用のシアン色の色素として非 に有用な化合物であることが明らかである