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Title:
POWER DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/130951
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a power device capable of improving driving efficiency and power generation efficiency. In a power device (1), an output shaft (3a) of a heat engine (3) is coupled to driven parts (DW, DW) via a first transmission (20). A rotating machine (31) comprises a first rotor (34) provided with a magnetic pole row in which respective two adjacent magnetic poles (34a) are disposed to have polarities different from each other, a stator (33) provided with an armature row that is disposed so as to face the magnetic pole row to generate a rotating magnetic field between the magnetic pole row and the armature row by predetermined plural armature magnetic poles, and a second rotor (35) provided with a soft magnetic body row that is composed of plural soft magnetic bodies (35a) arranged at a distance from each other and is disposed between the magnetic pole row and the armature row. The ratio of the number of armature magnetic poles to the number of magnetic poles (34a) to the number of soft magnetic bodies (35a) is set to 1:m:(1+m)/2 (m≠1.0). One of the first and second rotors (34, 35) is coupled to the output shaft (3a) of the heat engine (3), and the other thereof is coupled to the driven parts (DW, DW).

Inventors:
AKUTSU SHIGEMITSU (JP)
ABE NORIYUKI (JP)
OYA SATOYOSHI (JP)
KASAOKA KOTA (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/054535
Publication Date:
October 29, 2009
Filing Date:
March 10, 2009
Export Citation:
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Assignee:
HONDA MOTOR CO LTD (JP)
AKUTSU SHIGEMITSU (JP)
ABE NORIYUKI (JP)
OYA SATOYOSHI (JP)
KASAOKA KOTA (JP)
International Classes:
H02K16/02; B60K6/26; B60K6/36; B60K6/387; B60K6/48; B60K6/543; B60K6/547; B60L50/16
Foreign References:
JP2004175320A2004-06-24
JP2007325471A2007-12-13
JPH10248205A1998-09-14
JPH08111963A1996-04-30
JP2008067592A2008-03-21
Attorney, Agent or Firm:
TAKAHASHI, TOMOO (JP)
Tomoo Takahashi (JP)
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Claims:
 被駆動部を駆動するための動力装置であって、
 動力を出力するための出力軸を有する熱機関と、
 当該熱機関の前記出力軸と前記被駆動部に連結され、前記熱機関の動力を変速して前記被駆動部に伝達するための第1変速装置と、
 回転機と、を備え、
 当該回転機は、
 周方向に並んだ所定の複数の磁極で構成され、かつ隣り合う各2つの前記磁極が互いに異なる極性を有するように配置された磁極列を有する、前記周方向に回転自在の第1ロータと、
 前記周方向に並んだ複数の電機子で構成され、前記磁極列に対向するように配置されるとともに、前記複数の電機子に発生する所定の複数の電機子磁極により前記周方向に回転する回転磁界を前記磁極列との間に発生させるための電機子列を有する、不動のステータと、
 互いに間隔を隔てて前記周方向に並んだ所定の複数の軟磁性体で構成され、かつ前記磁極列と前記電機子列の間に配置された軟磁性体列を有する、前記周方向に回転自在の第2ロータと、を有し、
 前記電機子磁極の数と前記磁極の数と前記軟磁性体の数との比が、1:m:(1+m)/2(m≠1.0)に設定され、前記第1および第2のロータの一方が前記熱機関の前記出力軸に連結されるとともに、他方が前記被駆動部に連結されていることを特徴とする動力装置。
 前記第1変速装置は、変速比を無段階に変更可能な無段変速装置で構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の動力装置。
 前記第1および第2のロータの前記他方からの動力を変速し、前記被駆動部に伝達するための第2変速装置をさらに備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の動力装置。
 前記熱機関の動力を変速し、前記第1および第2のロータの前記一方に伝達するための第3変速装置をさらに備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の動力装置。
 前記熱機関の前記出力軸と前記被駆動部の間を接続・遮断する第1クラッチをさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の動力装置。
 前記熱機関の前記出力軸の逆転を制限または阻止するためのブレーキ機構をさらに備えることを特徴とする、請求項5に記載の動力装置。
 前記第1および第2のロータの前記他方を回転不能に保持するためのロータロック機構をさらに備えることを特徴とする、請求項5に記載の動力装置。
 前記第1および第2のロータの前記他方から伝達された動力によって回転する前記被駆動部の回転方向を、正転方向および逆転方向の一方に選択的に切り換える正逆転切換機構をさらに備えることを特徴とする、請求項5ないし7のいずれかに記載の動力装置。
 前記第1および第2のロータの前記他方は、前記正逆転切換機構を介して前記被駆動部に連結されており、
 前記正逆転切換機構は、
 サンギヤ、リングギヤ、ならびに前記サンギヤおよび前記リングギヤに噛み合うプラネタリギヤを回転自在に支持するキャリアを有し、前記サンギヤおよび前記リングギヤの一方が、前記第1および第2のロータの前記他方に連結され、前記サンギヤおよび前記リングギヤの他方が、前記被駆動部に連結された遊星歯車装置と、
 前記サンギヤおよび前記リングギヤの前記一方と前記キャリアの間を接続・遮断する第2クラッチと、
 前記キャリアを回転不能に保持するためのキャリアロック機構とを有することを特徴とする、請求項8に記載の動力装置。
 前記第1ロータが前記熱機関の前記出力軸に連結され、前記第2ロータが前記被駆動部に連結されていることを特徴とする、請求項1に記載の動力装置。
 被駆動部を駆動するための動力装置であって、
 動力を出力するための出力軸を有し、当該出力軸が、変速装置を用いることなく、前記被駆動部に連結された熱機関と、
 当該熱機関の前記出力軸と前記被駆動部の間を接続・遮断する第1クラッチと、
 回転機と、を備え、
 当該回転機は、
 周方向に並んだ所定の複数の磁極で構成され、かつ隣り合う各2つの前記磁極が互いに異なる極性を有するように配置された磁極列を有する、前記周方向に回転自在の第1ロータと、
 前記周方向に並んだ複数の電機子で構成され、前記磁極列に対向するように配置されるとともに、前記複数の電機子に発生する所定の複数の電機子磁極により、前記周方向に回転する回転磁界を前記磁極列との間に発生させるための電機子列を有する、不動のステータと、
 互いに間隔を隔てて前記周方向に並んだ所定の複数の軟磁性体で構成され、かつ前記磁極列と前記電機子列の間に配置された軟磁性体列を有する、前記周方向に回転自在の第2ロータと、を有し、
 前記電機子磁極の数と前記磁極の数と前記軟磁性体の数との比が、1:m:(1+m)/2(m≠1.0)に設定され、前記第1および第2のロータの一方が前記熱機関の前記出力軸に連結されるとともに、他方が前記被駆動部に連結されていることを特徴とする動力装置。
 前記第1および第2のロータの前記他方からの動力を変速し、前記被駆動部に伝達するための変速装置をさらに備えることを特徴とする、請求項11に記載の動力装置。
 前記熱機関の前記出力軸の逆転を制限または阻止するためのブレーキ機構をさらに備えることを特徴とする、請求項11または12に記載の動力装置。
 前記第1および第2のロータの前記他方を回転不能に保持するためのロータロック機構をさらに備えることを特徴とする、請求項11または12に記載の動力装置。
 前記第1および第2のロータの前記他方から伝達された動力によって回転する前記被駆動部の回転方向を、正転方向および逆転方向の一方に選択的に切り換える正逆転切換機構をさらに備えることを特徴とする、請求項11に記載の動力装置。
 前記第1および第2のロータの前記他方は、前記正逆転切換機構を介して前記被駆動部に連結されており、
 前記正逆転切換機構は、
 サンギヤ、リングギヤ、ならびに前記サンギヤおよび前記リングギヤに噛み合うプラネタリギヤを回転自在に支持するキャリアを有し、前記サンギヤおよび前記リングギヤの一方が、前記第1および第2のロータの前記他方に連結され、前記サンギヤおよび前記リングギヤの他方が、前記被駆動部に連結された遊星歯車装置と、
 前記サンギヤおよび前記リングギヤの前記一方と前記キャリアの間を接続・遮断する第2クラッチと、
 前記キャリアを回転不能に保持するためのキャリアロック機構とを有することを特徴とする、請求項15に記載の動力装置。
 前記第1ロータが前記熱機関の前記出力軸に連結され、前記第2ロータが前記被駆動部に連結されていることを特徴とする、請求項11に記載の動力装置。
 被駆動部を駆動するための動力装置であって、
 動力を出力するための出力軸を有し、当該出力軸が前記被駆動部に連結された熱機関と、
 当該熱機関の前記出力軸と前記被駆動部の間を接続・遮断する第1クラッチと、
 回転機と、を備え、
 当該回転機は、
 周方向に並んだ所定の複数の磁極で構成され、かつ隣り合う各2つの前記磁極が互いに異なる極性を有するように配置された磁極列を有する、前記周方向に回転自在の第1ロータと、
 前記周方向に並んだ複数の電機子で構成され、前記磁極列に対向するように配置されるとともに、前記複数の電機子に発生する所定の複数の電機子磁極により、前記周方向に回転する回転磁界を前記磁極列との間に発生させるための電機子列を有する、不動のステータと、
 互いに間隔を隔てて前記周方向に並んだ所定の複数の軟磁性体で構成され、かつ前記磁極列と前記電機子列の間に配置された軟磁性体列を有する、前記周方向に回転自在の第2ロータと、を有し、
 前記電機子磁極の数と前記磁極の数と前記軟磁性体の数との比が、1:m:(1+m)/2(m≠1.0)に設定され、前記第1および第2のロータの一方が前記熱機関の前記出力軸に連結されるとともに、他方が前記被駆動部に連結されており、
 前記熱機関の動力を変速し、前記第1および第2のロータの前記一方に伝達するための変速装置をさらに備えることを特徴とする動力装置。
 前記熱機関の前記出力軸の逆転を制限または阻止するためのブレーキ機構をさらに備えることを特徴とする、請求項18に記載の動力装置。
 前記第1および第2のロータの前記他方を回転不能に保持するためのロータロック機構をさらに備えることを特徴とする、請求項18に記載の動力装置。
 前記第1および第2のロータの前記他方から伝達された動力によって回転する前記被駆動部の回転方向を、正転方向および逆転方向の一方に選択的に切り換える正逆転切換機構をさらに備えることを特徴とする、請求項18ないし20のいずれかに記載の動力装置。
 前記第1および第2のロータの前記他方は、前記正逆転切換機構を介して前記被駆動部に連結されており、
 前記正逆転切換機構は、
 サンギヤ、リングギヤ、ならびに前記サンギヤおよび前記リングギヤに噛み合うプラネタリギヤを回転自在に支持するキャリアを有し、前記サンギヤおよび前記リングギヤの一方が、前記第1および第2のロータの前記他方に連結され、前記サンギヤおよび前記リングギヤの他方が、前記被駆動部に連結された遊星歯車装置と、
 前記サンギヤおよび前記リングギヤの前記一方と前記キャリアの間を接続・遮断する第2クラッチと、
 前記キャリアを回転不能に保持するためのキャリアロック機構とを有することを特徴とする、請求項21に記載の動力装置。
 前記第1ロータが前記熱機関の前記出力軸に連結され、前記第2ロータが前記被駆動部に連結されていることを特徴とする、請求項18に記載の動力装置。
Description:
動力装置

 本発明は、被駆動部を駆動するための動 装置に関する。

 従来、この種の動力装置として、例えば 許文献1に開示されたものが知られている。 この動力装置は、車両の駆動輪を駆動するた めのものであり、駆動源としての内燃機関お よび回転機と、この駆動輪に動力を伝達する ための無段変速装置および遊星歯車装置を備 えている。遊星歯車装置は、サンギヤ、リン グギヤおよびキャリアを有する一般的なシン グルピニオンタイプのもので、このサンギヤ はハイクラッチを介して、このリングギヤは ロークラッチを介して、駆動輪に連結されて いる。内燃機関は、主軸を介して上記のキャ リアに連結されており、この主軸は、無段変 速装置の入力プーリに連結されている。また 、回転機、無段変速装置の出力プーリおよび サンギヤは、副軸を介して互いに連結されて いる。

 以上の構成の動力装置は、その動作モー の1つとして、主として低速走行中に用いら れるトルク循環モードを有している。このト ルク循環モード中には、上記のハイクラッチ を遮断することでサンギヤと駆動輪の間を遮 断し、ロークラッチを接続することでリング ギヤと駆動輪の間を接続する。以上により、 内燃機関のトルクは、主軸を介してキャリア に伝達され、回転機のトルクは、副軸、無段 変速装置および主軸を介してキャリアに伝達 される。また、キャリアに伝達されたトルク は、リングギヤとサンギヤに分配され、リン グギヤに分配されたトルクは駆動輪に伝達さ れる。一方、サンギヤに分配されたトルクは 、副軸に伝達され、回転機のトルクと合成さ れた後、無段変速装置を介して主軸に伝達さ れ、さらに、内燃機関のトルクと合成された 後、キャリアに伝達される。以上のように、 トルク循環モード中、内燃機関および回転機 の動力は、無段変速装置および遊星歯車装置 を循環しながら、駆動輪に伝達される。

 上述したように、従来の動力装置では、 ルク循環モード中、内燃機関および回転機 ら駆動輪への動力の伝達が、遊星歯車装置 必ず経由して行われるので、遊星歯車装置 おける機械的な歯車の噛み合いによる動力 伝達ロスによって、動力装置の駆動効率が くなってしまう。また、回転機の動力が、 星歯車装置に加え、無段変速装置を必ず経 するので、無段変速装置における動力の伝 ロスによって、動力装置の駆動効率がさら 低くなってしまう。

 また、トルク循環モード中、駆動輪の動 を用いて回転機により発電を行った場合に 、駆動輪から回転機への動力の伝達が、遊 歯車装置および無段変速装置を必ず経由し 行われるので、遊星歯車装置および無段変 装置における動力の伝達ロスによって、十 な発電効率を得ることができない。さらに トルク循環モード中、内燃機関の動力を用 て回転機により発電を行う場合、キャリア 介してサンギヤに分配された動力を用いて 電が行われる。このように、この場合にも 内燃機関から回転機への動力の伝達が、遊 歯車装置を必ず経由して行われるので、遊 歯車装置における動力の伝達ロスによって 十分な発電効率を得ることができない。

 また、遊星歯車装置という複数の歯車や を組み合わせた複雑な機構を用いるため、 の構成が非常に複雑であり、それに加え、 星歯車装置における複数の歯車の間のバッ ラッシによって、駆動輪の回転速度をきめ かく制御することができない。

 本発明は、以上のような課題を解決する めになされたものであり、駆動効率および 電効率を高めることができる動力装置を提 することを目的とする。

特開2004-175320号公報

 上記の目的を達成するため、請求項1に係 る発明は、被駆動部(実施形態における(以下 本項において同じ)駆動輪DW,DW)を駆動するた めの動力装置1、1A~1C、1G~1Jであって、動力を 力するための出力軸(クランク軸3a)を有する 熱機関(エンジン3)と、熱機関の出力軸と被駆 動部に連結され、熱機関の動力を変速して被 駆動部に伝達するための第1変速装置(無段変 装置20)と、回転機31と、を備え、回転機31は 、周方向に並んだ所定の複数の磁極(永久磁 34a)で構成され、かつ隣り合う各2つの磁極が 互いに異なる極性を有するように配置された 磁極列を有する、周方向に回転自在の第1ロ タ34と、周方向に並んだ複数の電機子(鉄芯33 a、U相コイル33c、V相コイル33d、W相コイル33e) 構成され、磁極列に対向するように配置さ るとともに、複数の電機子に発生する所定 複数の電機子磁極により周方向に回転する 転磁界を磁極列との間に発生させるための 機子列を有する、不動のステータ33と、互 に間隔を隔てて周方向に並んだ所定の複数 軟磁性体(コア35a)で構成され、かつ磁極列と 電機子列の間に配置された軟磁性体列を有す る、周方向に回転自在の第2ロータ35と、を有 し、電機子磁極の数と磁極の数と軟磁性体の 数との比が、1:m:(1+m)/2(m≠1.0)に設定され、第1 および第2のロータ34,35の一方が熱機関の出力 軸に連結されるとともに、他方が被駆動部に 連結されていることを特徴とする。

 この動力装置の回転機によれば、周方向 回転自在の第1ロータの磁極列と、不動のス テータの電機子列が互いに対向しており、こ れらの磁極列と電機子列の間に、周方向に回 転自在の第2ロータの軟磁性体列が配置され いる。また、これらの磁極列、電機子列お び軟磁性体列をそれぞれ構成する複数の磁 、電機子および軟磁性体は、周方向に並ん いる。さらに、ステータの電機子列は、そ 複数の電機子に発生する所定の複数の電機 磁極によって周方向に回転する回転磁界を 極列との間に発生させることが可能である また、隣り合う各2つの磁極が互いに異なる 性を有しており、隣り合う各2つの軟磁性体 間には、間隔が空いている。上記のように、 磁極列と電機子列の間において、複数の電機 子磁極による回転磁界が発生するとともに軟 磁性体列が配置されていることから、各軟磁 性体は、電機子磁極と磁極によって磁化され る。このことと、上記のように隣り合う各2 の軟磁性体間に間隔が空いていることによ て、磁極と軟磁性体と電機子磁極を結ぶよ な磁力線が発生する。このため、電機子へ 電力の供給により回転磁界を発生させると この磁力線による磁力の作用によって、電 子に供給された電力は動力に変換され、そ 動力が、第1ロータや第2ロータから出力され る。

 ここで、電機子に供給された電力および 転磁界の電気角速度ωmfと等価のトルクを駆 動用等価トルクTeという。以下、この駆動用 価トルクTeと、第1および第2のロータに伝達 されるトルク(以下、それぞれ「第1ロータ伝 トルクT1」「第2ロータ伝達トルクT2」とい )の関係、および、回転磁界、第1および第2 ロータの電気角速度の間の関係について説 する。

 本発明の回転機を次の条件(A)および(B)の下 構成した場合には、回転機に相当する等価 路は図64のように示される。
 (A)電機子がU相、V相およびW相の3相コイルを 有する
 (B)電機子磁極が2個、磁極が4個、すなわち 電機子磁極のN極およびS極を1組とする極対 が値1、磁極のN極およびS極を1組とする極対 が値2であり、軟磁性体が3個である
 なお、このように、本明細書で用いる「極 」は、N極およびS極の1組をいう。

 この場合、軟磁性体のうちの第1軟磁性体を 通過する磁極の磁束ψk1は、次式(1)で表され 。
 ここで、ψfは磁極の磁束の最大値、θ1およ θ2は、U相コイルに対する磁極の回転角度位 置および第1軟磁性体の回転角度位置である また、この場合、電機子磁極の極対数に対 る磁極の極対数の比が値2.0であるため、磁 の磁束が回転磁界に対して2倍の周期で回転( 変化)するので、上記の式(1)では、そのこと 表すために、(θ2-θ1)に値2.0が乗算されてい 。

 したがって、第1軟磁性体を介してU相コイ を通過する磁極の磁束ψu1は、式(1)にcosθ2を 算することで得られた次式(2)で表される。

 同様に、軟磁性体のうちの第2軟磁性体を通 過する磁極の磁束ψk2は、次式(3)で表される
 電機子に対する第2軟磁性体の回転角度位置 が、第1軟磁性体に対して2π/3だけ進んでいる ため、上記の式(3)では、そのことを表すため に、θ2に2π/3が加算されている。

 したがって、第2軟磁性体を介してU相コイ を通過する磁極の磁束ψu2は、式(3)にcos(θ2+2 /3)を乗算することで得られた次式(4)で表さ る。

 同様に、軟磁性体のうちの第3軟磁性体を介 してU相コイルを通過する磁極の磁束ψu3は、 式(5)で表される。

 図64に示すような回転機では、軟磁性体を してU相コイルを通過する磁極の磁束ψuは、 記の式(2)、(4)および(5)で表される磁束ψu1~ψ u3を足し合わせたものになるので、次式(6)で される。

 また、この式(6)を一般化すると、軟磁性体 介してU相コイルを通過する磁極の磁束ψuは 、次式(7)で表される。
 ここで、a、bおよびcはそれぞれ、磁極の極 数、軟磁性体の数および電機子磁極の極対 である。また、この式(7)を、三角関数の和 積の公式に基づいて変形すると、次式(8)が られる。

 この式(8)において、b=a+cとするとともに、co s(θ+2π)=cosθに基づいて整理すると、次式(9)が 得られる。
 この式(9)を三角関数の加法定理に基づいて 理すると、次式(10)が得られる。

 この式(10)の右辺の第2項は、a-c≠0を条件と て、級数の総和やオイラーの公式に基づい 整理すると、次式(11)から明らかなように値 0になる。

 また、上記の式(10)の右辺の第3項も、a-c≠0 条件として、級数の総和やオイラーの公式 基づいて整理すると、次式(12)から明らかな ように値0になる。

 以上により、a-c≠0のときには、軟磁性体を 介してU相コイルを通過する磁極の磁束ψuは 次式(13)で表される。
 また、この式(13)において、a/c=αとすると、 次式(14)が得られる。

 さらに、この式(14)において、c・θ2=θe2とす るとともに、c・θ1=θe1とすると、次式(15)が られる。
 ここで、θe2は、U相コイルに対する軟磁性 の回転角度位置θ2に電機子磁極の極対数cを 算していることから明らかなように、U相コ イルに対する軟磁性体の電気角度位置を表す 。また、θe1は、U相コイルに対する磁極の回 角度位置θ1に電機子磁極の極対数cを乗算し ていることから明らかなように、U相コイル 対する磁極の電気角度位置を表す。

 同様に、軟磁性体を介してV相コイルを通過 する磁極の磁束ψvは、V相コイルの電気角度 置がU相コイルに対して電気角2π/3だけ進ん いることから、次式(16)で表される。また、 磁性体を介してW相コイルを通過する磁極の 磁束ψwは、W相コイルの電気角度位置がU相コ ルに対して電気角2π/3だけ遅れていること ら、次式(17)で表される。

 また、上記の式(15)~(17)でそれぞれ表される 束ψu~ψwを時間微分すると、次式(18)~(20)がそ れぞれ得られる。
 ここで、ωe1は、θe1の時間微分値、すなわ 、ステータに対する第1ロータの角速度を電 角速度に換算した値(以下「第1ロータ電気 速度」という)であり、ωe2は、θe2の時間微 値、すなわち、ステータに対する第2ロータ 角速度を電気角速度に換算した値(以下「第 2ロータ電気角速度」という)である。

 さらに、軟磁性体を介さずにU相~W相のコ ルを直接、通過する磁極の磁束は、極めて さく、その影響は無視できる。このため、 磁性体を介してU相~W相のコイルをそれぞれ 過する磁極の磁束ψu~ψwの時間微分値dψu/dt~d ψw/dt(式(18)~(20))は、電機子列に対して磁極や 磁性体が回転するのに伴ってU相~W相のコイ に発生する逆起電圧(誘導起電圧)をそれぞ 表す。

 このことから、U相、V相およびW相のコイル それぞれ流れる電流Iu、IvおよびIwは、次式( 21)、(22)および(23)で表される。
 ここで、Iは、U相~W相のコイルを流れる電流 の振幅(最大値)である。

 また、これらの式(21)~(23)より、U相コイルに 対する回転磁界のベクトルの電気角度位置θm fは、次式(24)で表されるとともに、U相コイル に対する回転磁界の電気角速度(以下「磁界 気角速度」という)ωmfは、次式(25)で表され 。

 さらに、U相~W相のコイルに電流Iu~Iwがそれ れ流れることで第1および第2のロータに出力 される機械的出力(動力)Wは、リラクタンス分 を除くと、次式(26)で表される。
 この式(26)に上記の式(18)~(23)を代入し、整理 すると、次式(27)が得られる。

 さらに、この機械的出力Wと、前述した第1 よび第2のロータ伝達トルクT1,T2と、第1およ 第2のロータ電気角速度ωe1,ωe2との関係は、 次式(28)で表される。
 これらの式(27)および(28)から明らかなよう 、第1および第2のロータ伝達トルクT1,T2は、 式(29)および(30)でそれぞれ表される。

 また、電機子列に供給された電力と機械的 力Wが互いに等しい(ただし、損失は無視)こ と、前記式(25)および(27)から、前述した駆 用等価トルクTeは、次式(31)で表される。
 さらに、これらの式(29)~(31)より、次式(32)が 得られる。
 この式(32)で表されるトルクの関係、および 式(25)で表される電気角速度の関係は、遊星 車装置のサンギヤとリングギヤとキャリア おけるトルクおよび回転速度の関係とまっ く同じである。以下、サンギヤ、リングギ およびキャリアを総称して、「遊星歯車装 の三要素」という。

 さらに、前述したように、b=a+cおよびa-c 0を条件として、式(25)の電気角速度の関係お よび式(32)のトルクの関係が成立する。この 件b=a+cは、磁極の数をp、電機子磁極の数をq すると、b=(p+q)/2、すなわち、b/q=(1+p/q)/2で表 される。ここで、p/q=mとすると、b/q=(1+m)/2が られることから明らかなように、上記のb=a+c という条件が成立していることは、電機子磁 極の数と磁極の数と軟磁性体の数との比が、 1:m:(1+m)/2であることを表す。また、上記のa-c 0という条件が成立していることは、m≠1.0 あることを表す。本発明の回転機によれば 電機子磁極の数と磁極の数と軟磁性体の数 の比が、1:m:(1+m)/2(m≠1.0)に設定されているの で、式(25)に示す電気角速度の関係と式(32)に すトルクの関係が成立し、回転機が適正に 動することが分かる。

 また、式(25)および(32)から明らかなよう 、α=a/c、すなわち、電機子磁極の極対数に する磁極の極対数の比を設定することによ て、磁界電気角速度ωmf、第1および第2のロ タ電気角速度ωe1,ωe2の間の関係と、駆動用 価トルクTe、第1および第2のロータ伝達トル T1,T2の間の関係を自由に設定でき、したが て、回転機の設計の自由度を高めることが きる。この効果は、複数の電機子のコイル 相数が前述した値3以外の場合にも同様に得 れる。

 以上のように、回転機では、電機子への 力供給により回転磁界を発生させると、前 した磁極と軟磁性体と電機子磁極を結ぶよ な磁力線が発生し、この磁力線による磁力 作用によって、電機子に供給された電力は 力に変換され、その動力が、第1ロータや第 2ロータから出力されるとともに、上述した うな電気角速度やトルクの関係が成立する このため、電機子に電力を供給していない 態で、第1および第2のロータの少なくとも一 方に動力を入力することにより、この少なく とも一方のロータを電機子に対して回転させ ると、電機子において、発電が行われるとと もに、回転磁界が発生し、この場合にも、磁 極と軟磁性体と電機子磁極を結ぶような磁力 線が発生するとともに、この磁力線による磁 力の作用によって、上述した式(25)に示す電 角速度の関係と式(32)に示すトルクの関係が 立する。

 すなわち、発電した電力および磁界電気 速度ωmfと等価のトルクを発電用等価トルク とすると、この発電用等価トルク、第1およ 第2のロータ伝達トルクT1,T2の間にも、式(32) ような関係が成立する。以上から明らかな うに、本発明の回転機は、遊星歯車装置と 般的な1ロータタイプの回転機を組み合わせ た装置と同じ機能を有する。

 本発明の回転機が上述した機能を有する め、前述した従来の動力装置と異なり、動 を分配または合成して伝達するための遊星 車装置は不要であり、また、前述した構成 よれば、この回転機の第1および第2のロー の一方(以下「一方のロータ」という)が熱機 関の出力軸に、他方(以下「他方のロータ」 いう)が被駆動部に、それぞれ連結されてい 。したがって、熱機関と回転機と被駆動部 間における動力の伝達を、遊星歯車装置に ける動力の伝達ロスを伴わずに行うことが きる。したがって、熱機関や回転機による 駆動部の駆動効率、被駆動部の動力を用い 回転機の発電効率、および熱機関の動力を いた回転機の発電効率をいずれも高めるこ ができる。また、遊星歯車装置を用いる従 の場合と比較して、その構成を単純化でき とともに、歯車の間におけるバックラッシ よる影響を受けることなく、被駆動部の速 を精度良く制御することができる。

 さらに、熱機関の出力軸は、第1変速装置 を介して、被駆動部に連結されている。した がって、被駆動部に伝達される熱機関の動力 は、第1変速装置によって変速される。以下 この第1変速装置による熱機関と被駆動部を ぶ動力の伝達経路を「第1伝達経路」という 。また、回転機における回転磁界の発生中に は、前述した磁力線による磁力によって、一 方のロータが他方のロータに磁気的に連結さ れているため、熱機関の出力軸は、一方のロ ータおよび他方のロータを介して、被駆動部 に連結されている。以下、これらの要素によ る熱機関と被駆動部を結ぶ動力の伝達経路を 「第2伝達経路」という。この第2伝達経路に ける第1ロータと第2ロータの間での動力の 達は、磁力線による磁力を介して非接触で われるので、その伝達効率が高い。

 以上のように、熱機関と被駆動部を連結 る伝達経路として、第1伝達経路に加え、第 1変速装置を含まない動力の伝達効率の高い 2伝達経路を有するので、第2伝達経路におい て、熱機関と被駆動部の連結を、変速装置を 用いることなく行った場合には、熱機関から 被駆動部への動力の伝達を必ず変速装置を介 して行う場合と比較して、変速装置における 動力の伝達ロスを抑制することができる。ま た、互いに並列な第1および第2の伝達経路を するので、被駆動部などの運転状態に応じ 、第1および第2の伝達経路のうちの最適な 達経路を選択したり、第1伝達経路と第2伝達 経路とを介して被駆動部に伝達されるエネル ギの比率を、最適な効率が得られるように設 定したりすることが可能になる。なお、本明 細書において「変速装置」とは、入力された 動力を互いに異なる複数の変速比の1つで変 可能なものをいう。

 さらに、例えば、他方のロータを被駆動 に変速装置を用いることなく連結するとと に、回転機と被駆動部の間の動力の伝達を 被駆動部にそのようにして連結された他方 ロータを介して行った場合には、必ず変速 置を介して行う従来の場合と異なり、変速 置における動力の伝達ロスが生じることが い。したがって、回転機による被駆動部の 動効率と、被駆動部の動力を用いた回転機 よる発電効率をさらに高めることができる

 また、前述したように、電機子磁極の極 数に対する磁極の極対数の比(以下「極対数 比」という)αを設定することによって、磁界 電気角速度ωmf、第1および第2のロータ電気角 速度ωe1,ωe2の間の関係と、駆動用等価トルク Te、第1および第2のロータ伝達トルクT1,T2の間 の関係を自由に設定できる。このことは、電 力供給による回転磁界の発生中のみならず、 発電による回転磁界の発生中にも同様に当て はまる。この場合、具体的には、式(32)から らかなように、極対数比αが大きいほど、第 1および第2のロータ伝達トルクT1,T2に対し、 動用等価トルクTeがより小さくなる。このこ とは、発電中にも同様に当てはまる。したが って、極対数比αをより大きな値に設定する とによって、ステータの小型化を図ること でき、ひいては、動力装置の小型化を図る とができる。

 また、式(25)から、磁界電気角速度ωmf、 1および第2のロータ電気角速度ωe1,ωe2の間の 関係は、例えば図65のように示される。同図 、いわゆる速度共線図であり、この速度共 図および後述する他の速度共線図では、値0 を示す横線に交わる縦線は、各パラメータの 回転速度を表すためのものであり、この縦線 上に表される白丸と横線との隔たりが、各パ ラメータの回転速度に相当する。

 この図65から明らかなように、極対数比α が小さいほど、速度共線図における磁界電気 角速度ωmfを表す縦線と第2ロータ電気角速度 e2を表す縦線の間の距離が小さいため、第1 ータ電気角速度ωe1と第2ロータ電気角速度ωe 2の差(δω1)に対する、第2ロータ電気角速度ωe 2と磁界電気角速度ωmfの差(δω2)の比(δω2/δω1 )は、より小さくなる。したがって、極対数 αをより小さな値に設定することによって、 第2ロータ電気角速度ωe2が第1ロータ電気角速 度ωe1を上回るような場合において、磁界電 角速度ωmfの過大化による損失の発生により 動効率や発電効率が低下するのを、防止す ことができる。

 請求項2に係る発明は、請求項1に記載の 力装置1、1A~1C、1G~1Jにおいて、第1変速装置 、変速比を無段階に変更可能な無段変速装 20で構成されていることを特徴とする。

 本発明の回転機では、式(25)や図65から明 かなように、回転磁界の発生に伴うステー 、第1および第2のロータの間でのエネルギ( 力・動力)の入出力中、回転磁界、第1およ 第2のロータは、回転速度に関する共線関係 保ちながら回転する。したがって、第1ロー タと第2ロータの回転速度の比が変化すれば それに応じて、第2ロータと回転磁界の回転 度の比も変化することになる。

 また、一方のロータは熱機関の出力軸に 結され、他方のロータは被駆動部に連結さ ていることから、一方のロータおよび他方 ロータの回転速度は、熱機関の回転速度お び被駆動部の速度にそれぞれ相当する。こ ため、第1変速装置の変速比が変化し、熱機 関および被駆動部の間の回転速度の関係が変 化すると、一方のロータと他方のロータの回 転速度の比が変化するとともに、上述した回 転磁界、第1および第2のロータの速度関係に づいて、他方のロータと回転磁界の回転速 の比も変化する。以上のことから、第1変速 装置の変速比を変更することによって、被駆 動部と熱機関の回転速度の比を変化させるの と同時に、被駆動部と回転磁界の回転速度の 比も変化させることができる。

 本発明によれば、第1変速装置として無段 変速装置を用いるので、被駆動部に対する熱 機関および回転磁界の回転速度の比を無段階 に任意に制御でき、したがって、熱機関およ び回転機の良好な効率が得られるように、そ れらの出力を制御しながら、被駆動部を駆動 することが可能になる。したがって、動力装 置全体としての駆動効率を高めることができ る。

 請求項3に係る発明は、請求項1または2に 載の動力装置1B、1Iにおいて、第1および第2 ロータ34,35の他方からの動力を変速し、被 動部に伝達するための第2変速装置(変速装置 70)をさらに備えることを特徴とする。

 この構成によれば、回転機の他方のロー から被駆動部に伝達される動力を、第2変速 装置によって変速することが可能である。こ のため、例えば、被駆動部の負荷が極めて大 きいときに、第2変速装置の変速比を減速側 制御することによって、他方のロータから 駆動部に伝達されるトルクを増大させるこ ができるので、他方のロータの小型化、ひ ては、回転機の小型化およびコストの削減 図ることができる。

 また、被駆動部の速度が極めて高いとき 、第2変速装置の変速比を増速側に制御する ことによって、被駆動部の速度に対し、他方 のロータの回転速度を低下させることができ るので、他方のロータの回転速度の過大化に よる回転機の故障を防止できる。他方のロー タが第1ロータであり、かつ、その磁極が永 磁石の磁極である場合には、永久磁石は軟 性体よりも強度が低いことから、上記のよ な不具合が発生しやすいため、特に有効で る。さらに、第2変速装置の変速比を制御す ことによって、被駆動部の速度に対し、他 のロータの回転速度を適切に制御でき、そ により、回転機による被駆動部の駆動効率 よび発電効率を高めることができる。

 請求項4に係る発明は、請求項1または2に 載の動力装置1C、1Jにおいて、熱機関の動力 を変速し、第1および第2のロータ34,35の一方 伝達するための第3変速装置(変速装置80)をさ らに備えることを特徴とする。

 この構成によれば、熱機関から一方のロ タに伝達される動力を、第3変速装置によっ て変速することが可能である。このため、例 えば、熱機関の回転数が極めて高いときに、 第3変速装置の変速比を減速側に制御するこ によって、熱機関の回転数に対して、一方 ロータの回転速度を低下させることができ ので、一方のロータの回転速度の過大化に る回転機の故障を防止することができる。 方のロータが第1ロータであり、かつ、その 極が永久磁石の磁極である場合には、上記 ような不具合が発生しやすいため、特に有 である。また、変速装置の変速比を増速側 制御することによって、熱機関から一方の ータに入力されるトルクを小さくすること できるので、一方のロータの小型化、ひい は、回転機の小型化およびコストの削減を ることが可能になる。

 請求項5に係る発明は、請求項1に記載の 力装置1、1A~1C、1G~1Jにおいて、熱機関の出力 軸と被駆動部の間を接続・遮断する第1クラ チ(クラッチCL3)をさらに備えることを特徴と する。

 この構成によれば、他方のロータが被駆 部に連結された状態で、熱機関の出力軸と 駆動部の間が、第1クラッチによって接続・ 遮断される。このため、第1クラッチによる 機関の出力軸と被駆動部の間の遮断により 熱機関の出力軸を介した一方のロータと被 動部の連結を解くことによって、回転機と 駆動部の間の動力の伝達を、他方のロータ みを介して行うことができる。したがって 他方のロータを、被駆動部に変速装置を用 ることなく連結した場合には、変速装置に ける動力の伝達ロスが生じることがなく、 転機の駆動効率および発電効率をさらに高 ることができる。

 また、請求項1の作用で述べたように、回 転機における駆動用等価トルクTe(または発電 用等価トルク)、第1および第2のロータ伝達ト ルクT1,T2の間の関係は、遊星歯車装置の三要 の間のトルクの関係と同じになっている。 のため、第1クラッチにより熱機関の出力軸 と被駆動部の間を遮断するとともに、回転機 の動作を制御することによって、熱機関のト ルクを、一方のロータおよび他方のロータを 介して被駆動部に伝達できるとともに、その ようにして被駆動部に伝達されるトルクを漸 増させることができる。したがって、熱機関 が内燃機関である場合において、被駆動部の フリクションが極めて大きいときでも、エン ジンストールを伴わずに、停止中の被駆動部 を駆動できるため、熱機関と被駆動部の間の 連結を、摩擦式の発進クラッチを用いずに行 うことが可能になる。このような摩擦式の発 進クラッチは、その作動に必要なエネルギが 非常に大きいため、その駆動源として熱機関 を用いた場合には、熱機関の燃費が悪化する 。したがって、本発明によれば、そのような 場合と比較して、熱機関の燃費を向上させる ことができる。

 請求項6に係る発明は、請求項5に記載の 力装置1、1A~1C、1G~1Jにおいて、熱機関の出力 軸の逆転を制限または阻止するためのブレー キ機構(ワンウェイクラッチCL1、ケースCA)を らに備えることを特徴とする。

 この構成によれば、熱機関の出力軸の逆 が、ブレーキ機構によって制限または阻止 れる。このため、第1クラッチにより熱機関 の出力軸と被駆動部の間を遮断するとともに 、熱機関の出力軸に連結された一方のロータ の一方向への回転を、ブレーキ機構で阻止ま たは制限することによって、回転機による前 述した駆動用等価トルクTeを、一方のロータ 支点として他方のロータに伝達し、さらに 駆動部に伝達することができる。したがっ 、熱機関の出力軸の逆転を制限または阻止 ながら、被駆動部を回転機の動力で適切に 動することができる。また、この場合、第1 クラッチによる熱機関の出力軸と被駆動部の 間の遮断によって、熱機関を引きずることが ないので、その高い駆動効率を得ることがで きる。

 請求項7に係る発明は、請求項5に記載の 力装置1、1A~1C、1G~1Jにおいて、第1および第2 ロータ34,35の他方を回転不能に保持するた のロータロック機構(電磁ブレーキCL2、クラ チCL4、電磁ブレーキCL5)をさらに備えること を特徴とする。

 この構成によれば、他方のロータが、ロ タロック機構によって回転不能に保持され 。このため、被駆動部に連結された他方の ータを、ロータロック機構により回転不能 保持するとともに、第1クラッチにより熱機 関の出力軸と被駆動部の間を遮断することに よって、被駆動部を駆動することなく、駆動 用等価トルクTeを、他方のロータを支点とし 一方のロータを介して熱機関の出力軸に伝 することができる。また、この場合、回転 界の回転方向を制御することによって、熱 関の出力軸を正転させることができる。以 のように、被駆動部を駆動することなく、 機関の出力軸を正転させることができ、ひ ては、熱機関が内燃機関である場合に、内 機関を始動することができる。

 請求項8に係る発明は、請求項5ないし7の ずれかに記載の動力装置1A~1C、1H~1Jにおいて 、第1および第2のロータ34,35の他方から伝達 れた動力によって回転する被駆動部の回転 向を、正転方向および逆転方向の一方に選 的に切り換える正逆転切換機構60をさらに備 えることを特徴とする。

 この構成によれば、請求項5や請求項6の 用で述べたように第1クラッチにより熱機関 出力軸と被駆動部の間を遮断した状態で、 機関や回転機の動力を、他方のロータを介 て被駆動部に伝達する際に、正逆転切換機 により被駆動部の回転方向を切り換えるこ によって、被駆動部の正転および逆転を選 的に行うことができる。この場合、熱機関 内燃機関であり、かつ、被駆動部のフリク ョンが極めて大きいときでも、請求項5の作 用から明らかなように、摩擦式の発進クラッ チを用いることなく、熱機関の動力を一方の ロータおよび他方のロータを介して被駆動部 に伝達し、エンジンストールを伴わずに、停 止状態の被駆動部を正転・逆転させることが できる。

 請求項9に係る発明は、請求項8に記載の 力装置1A~1C、1H~1Jにおいて、第1および第2の ータ34,35の他方は、正逆転切換機構60を介し 被駆動部に連結されており、正逆転切換機 60は、サンギヤS、リングギヤR、ならびにサ ンギヤSおよびリングギヤRに噛み合うプラネ リギヤPを回転自在に支持するキャリアCを し、サンギヤSおよびリングギヤRの一方が、 第1および第2のロータ34,35の他方に連結され サンギヤSおよびリングギヤRの他方が、被駆 動部に連結された遊星歯車装置PSと、サンギ SおよびリングギヤRの一方とキャリアCの間 接続・遮断する第2クラッチ(クラッチCL4)と キャリアCを回転不能に保持するためのキャ リアロック機構(電磁ブレーキCL5)とを有する とを特徴とする。

 この構成によれば、他方のロータが正逆 切換機構を介して被駆動部に連結されてお 、正逆転切換機構は遊星歯車装置を有して る。また、この遊星歯車装置のサンギヤお びリングギヤの一方(以下「一方のギヤ」と いう)が他方のロータに連結され、サンギヤ よびリングギヤの他方(以下「他方のギヤ」 いう)が被駆動部に連結されている。また、 一方のギヤとキャリアの間が、第2クラッチ よって接続・遮断され、キャリアがキャリ ロック機構によって回転不能に保持される このため、他方のロータからの動力を、正 転切換機構を介して被駆動部に伝達する場 に、一方のギヤとキャリアの間を第2クラッ で接続するとともに、キャリアロック機構 キャリアの回転を許容することによって、 方のギヤ、キャリアおよび他方のギヤが、 じ回転方向に一体に回転する。したがって この場合において被駆動部が正転または逆 するように各要素を連結することによって 被駆動部を正転または逆転させることがで る。また、上記のように一方のギヤ、キャ アおよび他方のギヤが一体に回転するので 遊星歯車装置において、ギヤの噛み合いに る動力の伝達ロスを伴わずに、他方のロー からの動力を被駆動部に伝達することがで る。

 さらに、第2クラッチにより一方のギヤと キャリアの間を遮断するとともに、キャリア ロック機構によりキャリアを回転不能に保持 することによって、他方のロータからの動力 は、一方のギヤ、プラネタリギヤ、および他 方のギヤを介して、被駆動部に伝達される。 その際、上記のようにキャリアが回転不能に 保持されるため、他方のギヤは、一方のギヤ に対して逆方向に回転する。したがって、前 述したように一方のギヤ、キャリアおよび他 方のギヤが同方向に一体に回転する場合にお いて、被駆動部が正転または逆転するように 各要素を連結したときには、上記のように他 方のギヤが一方のギヤに対して逆方向に回転 するので、被駆動部を逆転または正転させる ことができる。以上のように、正逆転切換機 構を、遊星歯車装置、第2クラッチおよびキ リアロック機構の組み合わせによって、比 的単純に構成することができる。

 請求項10に係る発明は、請求項1に記載の 力装置1、1A~1Cにおいて、第1ロータ34が熱機 の出力軸に連結され、第2ロータ35が被駆動 に連結されていることを特徴とする。

 この構成によれば、第1および第2のロー が、熱機関の出力軸および被駆動部にそれ れ連結されている。前述したように駆動用 価トルクTe、第1および第2のロータ伝達トル T1,T2の間の関係が、遊星歯車装置の三要素 間のトルクの関係と同じであることから、 機関を回転機でアシストした場合、熱機関 よび回転機のトルクは、被駆動部に次のよ にして伝達される。

 すなわち、駆動用等価トルクTeが前述し 磁力線による磁力により第2ロータに伝達さ るのに伴って、それに釣り合うように、熱 関のトルクの一部が、第1ロータに伝達され 、さらに、磁力線による磁力により第2ロー に伝達される。このように、駆動用等価ト クTeと、熱機関から第1ロータに伝達された 1ロータ伝達トルクT1とを合成した合成トル が第2ロータに伝達され、この合成トルクは 駆動部に伝達される。また、被駆動部には この合成トルクに加え、熱機関のトルクか 第1ロータ伝達トルクT1を差し引いた残りの ルクが、第1変速装置を介して伝達される。 以上の結果、被駆動部には、熱機関のトルク および駆動用等価トルクTeの和と等しい大き のトルクが伝達される。

 以上のように、回転機によるアシスト中 上記の第1ロータ伝達トルクT1の分、第1変速 装置を介さずに、動力を被駆動部に伝達でき るので、第1変速装置における動力の伝達ロ を抑制できる。したがって、第2ロータを被 動部に変速装置を用いることなく連結した 合には、動力装置全体としての駆動効率を らに高めることができる。また、上記の第1 ロータ伝達トルクT1の分、第1変速装置に伝達 されるトルクを低減できるため、第1変速装 として、低減された伝達トルクに見合った のを採用することによって、第1変速装置の 効率化と小型化を図ることができ、ひいて 、動力装置全体としての駆動効率のさらな 高効率化と小型化を達成できる。

 前記目的を達成するため、請求項11に係 発明は、被駆動部(実施形態における(以下、 本項において同じ)駆動輪DW,DW)を駆動するた の動力装置1D、1E、1K、1Lであって、動力を出 力するための出力軸(クランク軸3a)を有し、 力軸が、変速装置を用いることなく、被駆 部に連結された熱機関(エンジン3)と、熱機 の出力軸と被駆動部の間を接続・遮断する 1クラッチ(クラッチCL3)と、回転機31と、を備 え、回転機31は、周方向に並んだ所定の複数 磁極(永久磁石34a)で構成され、かつ隣り合 各2つの磁極が互いに異なる極性を有するよ に配置された磁極列を有する、周方向に回 自在の第1ロータ34と、周方向に並んだ複数 電機子(鉄芯33a、U相コイル33c、V相コイル33d W相コイル33e)で構成され、磁極列に対向す ように配置されるとともに、複数の電機子 発生する所定の複数の電機子磁極により、 方向に回転する回転磁界を磁極列との間に 生させるための電機子列を有する、不動の テータ33と、互いに間隔を隔てて周方向に並 んだ所定の複数の軟磁性体(コア35a)で構成さ 、かつ磁極列と電機子列の間に配置された 磁性体列を有する、周方向に回転自在の第2 ロータ35と、を有し、電機子磁極の数と磁極 数と軟磁性体の数との比が、1:m:(1+m)/2(m≠1.0 )に設定され、第1および第2のロータ34,35の一 が熱機関の出力軸に連結されるとともに、 方が被駆動部に連結されていることを特徴 する。

 この動力装置によれば、熱機関の出力軸 、変速装置を用いることなく、被駆動部に 結され、回転機の第1および第2のロータの 方すなわち一方のロータが、熱機関の出力 に連結されており、第1および第2のロータの 他方すなわち他方のロータが、被駆動部に連 結されている。また、他方のロータが被駆動 部に連結された状態で、熱機関の出力軸と被 駆動部の間が、第1クラッチによって接続・ 断される。さらに、この回転機は、請求項1 回転機と同様に構成されており、したがっ 、この回転機では、電機子への電力供給中 よび電機子での発電中、式(25)に示す電気角 速度の関係と式(32)に示すトルクの関係が成 する。

 このように、請求項1の動力装置と同様、 本発明の回転機が遊星歯車装置および一般的 な回転機を組み合わせた機能を有しており、 そのような回転機の一方のロータおよび他方 のロータが熱機関および被駆動部にそれぞれ 連結されているので、前述した従来の動力装 置のように遊星歯車装置を介して連結する場 合と比較して、熱機関や回転機による被駆動 部の駆動効率と、被駆動部の動力を用いた回 転機の発電効率をいずれも高めることができ る。その他、請求項1の動力装置と同様、遊 歯車装置を用いることによる不具合を回避 き、それによる前述した効果を得ることが きる。

 また、本発明によれば、請求項1の動力装 置と異なり、熱機関の出力軸と被駆動部の連 結が、変速装置を用いることなく行われてい る。したがって、熱機関から被駆動部への動 力の伝達を、変速装置での動力の伝達ロスを 伴わずに行うことができ、熱機関による被駆 動部の駆動効率をさらに高めることができる 。

 さらに、本発明によれば、例えば、請求 5の動力装置と同様、第1クラッチにより熱 関の出力軸と被駆動部の間を遮断するとと に、回転機の動作を制御することによって 熱機関のトルクを、一方のロータおよび他 のロータを介して被駆動部に伝達できると もに、そのようにして被駆動部に伝達され トルクを漸増させることができる。したが て、熱機関が内燃機関である場合において 被駆動部のフリクションが極めて大きいと でも、摩擦式の発進クラッチを用いること く、熱機関の動力を被駆動部に伝達し、エ ジンストールを伴わずに、停止状態の被駆 部を駆動することができる。また、そのよ に摩擦式の発進クラッチが不要であるので その駆動源として熱機関を用いる場合と比 して、熱機関の燃費を向上させることがで る。

 さらに、熱機関から被駆動部に伝達され 動力を、無段変速装置を用いることなく、 段階に変速することができる。具体的には 上述したように第1クラッチによる遮断と回 転機の動作の制御を行うことにより、熱機関 から被駆動部に、一方のロータおよび他方の ロータを介してトルクを伝達する。この場合 、前述した図65に示すように磁界電気角速度 mf、第1および第2のロータ電気角速度ωe1,ωe2 間の関係が共線関係にあることから、回転 界の回転速度を制御することによって、熱 関に連結された一方のロータの回転速度に して、被駆動部に連結された他方のロータ 回転速度を無段階に任意に制御できる。し がって、熱機関から被駆動部に伝達される 力を無段階に変速することができる。

 また、他方のロータを被駆動部に変速装 を用いることなく連結することによって、 機関から被駆動部への動力の伝達を上述し ように他方のロータを介して行う場合にお て、変速装置における動力の伝達ロスが生 ることがなく、したがって、この場合にお る駆動効率をさらに高めることができる。 らに、回転機と被駆動部の間の動力の伝達 、上記のように被駆動部に変速装置を用い ことなく連結された他方のロータを介して うことにより、変速装置における動力の伝 ロスが生じることがなく、したがって、回 機による被駆動部の駆動効率と、被駆動部 動力を用いた回転機による発電効率をさら 高めることができる。

 また、前述したように本発明の回転機が 求項1の回転機と同様に構成されているので 、極対数比αをより大きな値に設定すること よって、ステータの小型化を図ることがで 、ひいては、動力装置の小型化を図ること できる。同じ理由により、極対数比αをよ 小さな値に設定することによって、磁界電 角速度ωmfの過大化による損失の発生により 動効率や発電効率が低下するのを、防止す ことができる。

 以上のように、本発明によれば、請求項1 の第1変速装置を備える動力装置による効果 同様に得ることができる。また、熱機関の 力軸が被駆動部に変速装置を用いることな 連結されており、すなわち、請求項1の第1変 速装置が省略されており、その分、動力装置 の小型化およびコストの削減を図ることがで きる。

 請求項12に係る発明は、請求項11に記載の 動力装置1E、1Lにおいて、第1および第2のロー タ34,35の他方からの動力を変速し、被駆動部 伝達するための変速装置70をさらに備える とを特徴とする。

 この構成によれば、回転機の他方のロー から被駆動部に伝達される動力を、変速装 によって変速することが可能である。この め、例えば、請求項3の動力装置と同様、被 駆動部の負荷や回転数に応じた変速装置の変 速比の制御によって、回転機の小型化および コストの削減や、他方のロータの回転速度の 過大化による回転機の故障を防止できる。他 方のロータが第1ロータであり、かつ、その 極が永久磁石の磁極である場合には、上記 ような不具合が発生しやすいため、特に有 である。また、変速装置の変速比の制御に って、被駆動部の速度に対し、他方のロー の回転速度を適切に制御でき、それにより 回転機の駆動効率および発電効率を高める とができる。

 請求項13に係る発明は、請求項11または12 記載の動力装置1D、1E、1K、1Lにおいて、熱 関の出力軸の逆転を制限または阻止するた のブレーキ機構(ワンウェイクラッチCL1、ケ スCA)をさらに備えることを特徴とする。

 この構成によれば、熱機関の出力軸の逆 が、ブレーキ機構によって制限または阻止 れる。このため、第1クラッチにより熱機関 の出力軸と被駆動部の間を遮断するとともに 、熱機関の出力軸に連結された一方のロータ の一方向への回転を、ブレーキ機構で制限ま たは阻止することによって、請求項6の動力 置と同様、回転機による駆動用等価トルクTe を被駆動部に伝達することができる。したが って、熱機関の出力軸の逆転を制限または阻 止しながら、被駆動部を回転機の動力で適切 に駆動することができる。また、この場合、 第1クラッチの遮断によって、熱機関を引き ることがないので、その高い駆動効率を得 ことができる。

 請求項14に係る発明は、請求項11または12 記載の動力装置1D、1E、1K、1Lにおいて、第1 よび第2のロータ34,35の他方を回転不能に保 するためのロータロック機構(クラッチCL4、 電磁ブレーキCL5)をさらに備えることを特徴 する。

 この構成によれば、他方のロータが、ロ タロック機構によって回転不能に保持され 。このため、ロータロック機構により他方 ロータを回転不能に保持し、第1クラッチに より熱機関の出力軸と被駆動部の間を遮断す るとともに、ステータで発生する回転磁界の 回転方向を制御することによって、請求項7 動力装置と同様、被駆動部を駆動すること く、熱機関の出力軸を正転させることがで 、ひいては、熱機関を始動することができ 。

 請求項15に係る発明は、請求項11に記載の 動力装置1D、1E、1K、1Lにおいて、第1および第 2のロータ34,35の他方から伝達された動力によ って回転する被駆動部の回転方向を、正転方 向および逆転方向の一方に選択的に切り換え る正逆転切換機構60をさらに備えることを特 とする。

 この構成によれば、請求項11の作用で述 たように第1クラッチにより熱機関の出力軸 被駆動部の間を遮断した状態で、熱機関や 転機の動力を、他方のロータを介して被駆 部に伝達する際に、正逆転切換機構により 駆動部の回転方向を切り換えることによっ 、請求項8の動力装置と同様、被駆動部の正 転および逆転を選択的に行うことができる。 この場合、請求項11の作用から明らかなよう 、熱機関が内燃機関であり、かつ、被駆動 のフリクションが極めて大きい場合でも、 擦式の発進クラッチを用いることなく、熱 関の動力を一方のロータおよび他方のロー を介して被駆動部に伝達し、エンジンスト ルを伴わずに、停止状態の被駆動部を正転 逆転させることができる。

 請求項16に係る発明は、請求項15に記載の 動力装置1D、1E、1K、1Lにおいて、第1および第 2のロータ34,35の他方は、正逆転切換機構60を して被駆動部に連結されており、正逆転切 機構60は、サンギヤS、リングギヤR、ならび にサンギヤSおよびリングギヤRに噛み合うプ ネタリギヤPを回転自在に支持するキャリア Cを有し、サンギヤSおよびリングギヤRの一方 が、第1および第2のロータ34,35の他方に連結 れ、サンギヤSおよびリングギヤRの他方が、 被駆動部に連結された遊星歯車装置PSと、サ ギヤSおよびリングギヤRの一方とキャリアC 間を接続・遮断する第2クラッチ(クラッチCL 4)と、キャリアCを回転不能に保持するための キャリアロック機構(電磁ブレーキCL5)とを有 ることを特徴とする。

 この構成によれば、正逆転切換機構が請 項9の正逆転切換機構と同様に構成されてい る。したがって、請求項9の動力装置と同様 遊星歯車装置において、ギヤの噛み合いに る動力の伝達ロスを伴わずに、被駆動部を 転または逆転させることができる。また、 逆転切換機構を比較的単純に構成すること できる。

 請求項17に係る発明は、請求項11に記載の 動力装置1D、1Eにおいて、第1ロータ34が熱機 の出力軸に連結され、第2ロータ35が被駆動 に連結されていることを特徴とする。

 この構成によれば、第1および第2のロー が、熱機関の出力軸および被駆動部にそれ れ連結されている。したがって、請求項11の 作用で述べたように第1クラッチにより熱機 の出力軸と被駆動部の間を遮断した状態で 被駆動部に熱機関のトルクを伝達する場合 、前記式(32)から明らかなように、駆動用等 トルクTe(または発電用等価トルク)と、第1 ータに伝達された熱機関のトルクとをいず も、第2ロータにおいて正のトルクとして合 し、被駆動部に伝達することができる。し がって、より大きなトルクを被駆動部に伝 することができる。

 前記目的を達成するため、請求項18に係 発明は、被駆動部(実施形態における(以下、 本項において同じ)駆動輪DW,DW)を駆動するた の動力装置1F、1Mであって、動力を出力する めの出力軸(クランク軸3a)を有し、出力軸が 被駆動部に連結された熱機関(エンジン3)と、 熱機関の出力軸と被駆動部の間を接続・遮断 する第1クラッチ(クラッチCL3)と、回転機31と を備え、回転機31は、周方向に並んだ所定 複数の磁極(永久磁石34a)で構成され、かつ隣 り合う各2つの磁極が互いに異なる極性を有 るように配置された磁極列を有する、周方 に回転自在の第1ロータ34と、周方向に並ん 複数の電機子(鉄芯33a、U相コイル33c、V相コ ル33d、W相コイル33e)で構成され、磁極列に対 向するように配置されるとともに、複数の電 機子に発生する所定の複数の電機子磁極によ り、周方向に回転する回転磁界を磁極列との 間に発生させるための電機子列を有する、不 動のステータ33と、互いに間隔を隔てて周方 に並んだ所定の複数の軟磁性体(コア35a)で 成され、かつ磁極列と電機子列の間に配置 れた軟磁性体列を有する、周方向に回転自 の第2ロータ35と、を有し、電機子磁極の数 磁極の数と軟磁性体の数との比が、1:m:(1+m)/2 (m≠1.0)に設定され、第1および第2のロータ34,3 5の一方が熱機関の出力軸に連結されるとと に、他方が被駆動部に連結されており、熱 関の動力を変速し、第1および第2のロータ34, 35の一方に伝達するための変速装置80をさら 備えることを特徴とする。

 この動力装置によれば、熱機関の出力軸 被駆動部に連結され、回転機の第1および第 2のロータの一方すなわち一方のロータが、 機関の出力軸に連結されており、第1および 2のロータの他方すなわち他方のロータが、 被駆動部に連結されている。また、他方のロ ータが被駆動部に連結された状態で、熱機関 の出力軸と被駆動部の間が、第1クラッチに って接続・遮断される。さらに、この回転 は、請求項1の回転機と同様に構成されてお 、したがって、この回転機では、電機子へ 電力供給中および電機子での発電中、式(25) に示す電気角速度の関係と式(32)に示すトル の関係が成立する。

 このように、請求項1の動力装置と同様、 本発明の回転機が遊星歯車装置および一般的 な回転機を組み合わせた機能を有しており、 そのような回転機の一方のロータおよび他方 のロータが、熱機関の出力軸および被駆動部 にそれぞれ連結されている。したがって、請 求項1の動力装置と同様、遊星歯車装置を用 ることによる不具合を回避でき、それによ 前述した効果、すなわち、熱機関や回転機 よる被駆動部の駆動効率の高効率化や、被 動部の動力を用いた回転機の発電効率の高 率化などの効果を得ることができる。

 また、本発明によれば、例えば、請求項1 1の動力装置と同様、第1クラッチにより熱機 の出力軸と被駆動部の間を遮断するととも 、回転機の動作を制御することによって、 機関のトルクを、一方のロータおよび他方 ロータを介して被駆動部に伝達できるとと に、そのようにして被駆動部に伝達される 機関のトルクを漸増させることができる。 たがって、熱機関が内燃機関である場合に いて、被駆動部のフリクションが極めて大 いときでも、摩擦式の発進クラッチを用い ことなく、熱機関の動力を被駆動部に伝達 、エンジンストールを伴わずに、停止状態 被駆動部を駆動することができる。また、 のように摩擦式の発進クラッチが不要にな ので、その駆動源として熱機関を用いる場 と比較して、熱機関の燃費を向上させるこ ができる。

 さらに、上述したように第1クラッチによ る遮断と回転機の動作の制御により熱機関か ら被駆動部にトルクを伝達するとともに、回 転磁界の速度を制御することによって、請求 項11の動力装置と同様、熱機関に連結された 方のロータの回転速度に対して、被駆動部 連結された他方のロータの回転速度を無段 に任意に制御できる。したがって、熱機関 ら被駆動部に伝達される動力を、無段変速 置を用いることなく、無段階に変速するこ ができる。

 また、他方のロータを被駆動部に変速装 を用いることなく連結することによって、 機関から被駆動部への動力の伝達を上述し ように他方のロータを介して行う場合にお て、変速装置における動力の伝達ロスが生 ることがなく、したがって、この場合にお る駆動効率をさらに高めることができる。 らに、回転機と被駆動部の間の動力の伝達 、上記のように被駆動部に変速装置を用い ことなく連結された他方のロータを介して うことにより、変速装置における動力の伝 ロスが生じることがなく、したがって、回 機による被駆動部の駆動効率と、被駆動部 動力を用いた回転機による発電効率をさら 高めることができる。

 また、本発明の回転機が請求項1の回転機 と同様に構成されているので、前述した極対 数比αをより大きな値に設定することによっ 、ステータの小型化を図ることができ、ひ ては、動力装置の小型化を図ることができ 。同じ理由により、極対数比αをより小さ 値に設定することによって、磁界電気角速 ωmfの過大化による損失の発生により駆動効 や発電効率が低下するのを、防止すること できる。

 さらに、本発明によれば、熱機関から一 のロータに伝達される動力を、変速装置に って変速することが可能である。このため 請求項4の動力装置と同様、一方のロータの 回転速度の過大化による回転機の故障を防止 することができる。一方のロータが第1ロー であり、かつ、その磁極が永久磁石の磁極 ある場合には、上記のような不具合が発生 やすいため、特に有効である。それに加え 一方のロータの小型化、ひいては、回転機 小型化およびコストの削減を図ることが可 になる。

 請求項19に係る発明は、請求項18に記載の 動力装置1F、1Mにおいて、熱機関の出力軸の 転を制限または阻止するためのブレーキ機 (ワンウェイクラッチCL1、ケースCA)をさらに えることを特徴とする。

 この構成によれば、第1クラッチにより熱 機関の出力軸と被駆動部の間を遮断するとと もに、熱機関の出力軸に連結された一方のロ ータの一方向への回転を、ブレーキ機構で制 限または阻止することによって、請求項6の 力装置と同様、熱機関の出力軸の逆転を制 または阻止しながら、被駆動部を回転機の 力で適切に駆動することができる。また、 の場合、第1クラッチの遮断によって、熱機 を引きずることがないので、その高い駆動 率を得ることができる。

 請求項20に係る発明は、請求項18または19 記載の動力装置1F、1Mにおいて、第1および 2のロータ34,35の他方を回転不能に保持する めのロータロック機構(クラッチCL4、電磁ブ ーキCL5)をさらに備えることを特徴とする。

 この構成によれば、ロータロック機構に り他方のロータを回転不能に保持し、第1ク ラッチにより熱機関の出力軸と被駆動部の間 を遮断するとともに、ステータで発生する回 転磁界の回転方向を制御することによって、 請求項7の動力装置と同様、被駆動部を駆動 ることなく、熱機関の出力軸を正転させる とができ、ひいては、熱機関を始動するこ ができる。

 請求項21に係る発明は、請求項18ないし20 いずれかに記載の動力装置1F、1Mにおいて、 第1および第2のロータ34,35の他方から伝達さ た動力によって回転する被駆動部の回転方 を、正転方向および逆転方向の一方に選択 に切り換える正逆転切換機構60をさらに備え ることを特徴とする。

 この構成によれば、請求項18や19の作用で 述べたように第1クラッチにより熱機関の出 軸と被駆動部の間を遮断した状態で、熱機 や回転機の動力を、他方のロータを介して 駆動部に伝達する際に、正逆転切換機構に り被駆動部の回転方向を切り換えることに って、請求項8の動力装置と同様、被駆動部 正転および逆転を選択的に行うことができ 。この場合、請求項18の作用から明らかな うに、熱機関が内燃機関であり、かつ、被 動部のフリクションが極めて大きい場合で 、摩擦式の発進クラッチを用いることなく 被駆動部に熱機関の動力を伝達し、エンジ ストールを伴わずに、停止状態の被駆動部 正転・逆転させることができる。

 請求項22に係る発明は、請求項21に記載の 動力装置1F、1Mにおいて、第1および第2のロー タ34,35の他方は、正逆転切換機構60を介して 駆動部に連結されており、正逆転切換機構60 は、サンギヤS、リングギヤR、ならびにサン ヤSおよびリングギヤRに噛み合うプラネタ ギヤPを回転自在に支持するキャリアCを有し 、サンギヤSおよびリングギヤRの一方が、第1 および第2のロータ34,35の他方に連結され、サ ンギヤSおよびリングギヤRの他方が、被駆動 に連結された遊星歯車装置PSと、サンギヤS よびリングギヤRの一方とキャリアCの間を 続・遮断する第2クラッチ(クラッチCL4)と、 ャリアCを回転不能に保持するためのキャリ ロック機構(電磁ブレーキCL5)とを有するこ を特徴とする。

 この構成によれば、正逆転切換機構が請 項9の正逆転切換機構と同様に構成されてい る。したがって、請求項9の動力装置と同様 遊星歯車装置において、ギヤの噛み合いに る動力の伝達ロスを伴わずに、被駆動部を 転または逆転させることができる。また、 逆転切換機構を比較的単純に構成すること できる。

 請求項23に係る発明は、請求項18に記載の 動力装置1Fにおいて、第1ロータ34が熱機関の 力軸に連結され、第2ロータ35が被駆動部に 結されていることを特徴とする。

 この構成によれば、第1および第2のロー が、熱機関の出力軸および被駆動部にそれ れ連結されている。したがって、請求項18の 作用で述べたように、第1クラッチにより熱 関の出力軸と被駆動部の間を遮断した状態 、被駆動部に熱機関のトルクを伝達する場 に、請求項17の動力装置と同様、駆動用等価 トルクTe(または発電用等価トルク)と、第1ロ タに伝達された熱機関のトルクとをいずれ 、第2ロータにおいて正のトルクとして合成 し、被駆動部に伝達することができる。した がって、より大きなトルクを被駆動部に伝達 することができる。

第1実施形態による動力装置を概略的に 示す図である。 エンジンや回転機を制御する制御装置 示すブロック図である。 回転機の拡大断面図である。 図1の回転機のステータ、第1および第2 ロータを周方向に展開し、概略的に示す図 ある。 磁界電気角速度、第1および第2のロー 電気角速度の間の関係の一例を示す速度共 図である。 図1の回転機の第1ロータを回転不能に 持した状態で、ステータに電力を供給した 合における動作を説明するための図である 図6の続きの動作を説明するための図で ある。 図7の続きの動作を説明するための図で ある。 図5に示す状態から、電機子磁極が電気 角2πだけ回転したときにおける電機子磁極や コアの位置関係を説明するための図である。 図1の回転機の第2ロータを回転不能に 持した状態で、ステータに電力を供給した 合における動作を説明するための図である 図10の続きの動作を説明するための図 ある。 図11の続きの動作を説明するための図 ある。 本発明の回転機の第1ロータを回転不 に保持した場合におけるU相~W相の逆起電圧 推移の一例を示す図である。 本発明の回転機の第1ロータを回転不 に保持した場合における駆動用等価トルク 第1および第2のロータ伝達トルクの推移の一 例を示す図である。 本発明の回転機の第2ロータを回転不 に保持した場合におけるU相~W相の逆起電圧 推移の一例を示す図である。 本発明の回転機の第2ロータを回転不 に保持した場合における駆動用等価トルク 第1および第2のロータ伝達トルクの推移の一 例を示す図である。 図1に示す動力装置におけるトルクの 達状況をEVクリープ中について示す図である 。 図1に示す動力装置における磁界回転 度、第1および第2のロータ回転速度の間の関 係の一例を、EV発進時について示す速度共線 である。 図1に示す動力装置におけるトルクの 達状況をEV走行中ENG始動時について示す図で ある。 図1に示す動力装置における磁界回転 度、第1および第2のロータ回転速度の間の関 係の一例を、EV走行中ENG始動時、(a)車速が比 的低い場合について、(b)車速が比較的高い 合について示す速度共線図である。 図1に示す動力装置におけるトルクの 達状況をアシスト中について示す図である 図1に示す動力装置におけるトルクの 達状況を駆動時発電中について示す図であ 。 図1に示す動力装置におけるエンジン ルクに対する足軸駆動トルクやCVT伝達トル などの比を、アシスト中および駆動時発電 にエンジントルクを一定とした場合につい 示す図である。 図1に示す動力装置におけるトルクの 達状況を、減速回生中でかつ足軸入力トル に対するエンジン駆動トルクの割合が小さ 場合について示す図である。 図1に示す動力装置におけるトルクの 達状況を、減速回生中でかつ足軸入力トル に対するエンジン駆動トルクの割合が大き 場合について示す図である。 図1に示す動力装置におけるトルクの 達状況を、減速回生中、クラッチを遮断す とともに、第1ロータを回転不能に保持した 合について示す図である。 図1に示す動力装置におけるトルクの 達状況を停車中ENG始動時について示す図で る。 図1に示す動力装置における磁界回転 度、第1および第2のロータ回転速度の間の関 係の一例を、停車中ENG始動時について示す速 度共線図である。 図1に示す動力装置におけるトルクの 達状況をENGクリープ中について示す図であ 。 図1に示す動力装置における磁界回転 度、第1および第2のロータ回転速度の間の関 係の一例を、ENG発進時について示す速度共線 図である。 図1に示す動力装置におけるトルクの 達状況をENG発進時について示す図である。 第2実施形態による動力装置を概略的 示す図である。 第3実施形態による動力装置を概略的 示す図である。 第4実施形態による動力装置を概略的 示す図である。 第5実施形態による動力装置を概略的 示す図である。 図35の動力装置における回転磁界が正 している場合の変速動作を説明するための である。 図35の動力装置における回転磁界が逆 している場合の変速動作を説明するための である。 第6実施形態による動力装置を概略的 示す図である。 第7実施形態による動力装置を概略的 示す図である。 図1や図35などの動力装置において、極 対数比を第1所定値および第2所定値にそれぞ 設定したときの磁界回転速度、第1および第 2のロータ回転速度の間の関係の一例を示す 度共線図である。 第8実施形態による動力装置を概略的 示す図である。 図41に示す動力装置におけるトルクの 達状況を停車中ENG始動時について示す図で る。 図41に示す動力装置における磁界回転 度、第1および第2のロータ回転速度の間の 係の一例を、停車中ENG始動時について示す 度共線図である。 図41に示す動力装置におけるトルクの 達状況をENGクリープ中について示す図であ 。 図41に示す動力装置における磁界回転 度、第1および第2のロータ回転速度の間の 係の一例を、ENG発進時について示す速度共 図である。 図41に示す動力装置におけるトルクの 達状況をアシスト中について示す図である 図41に示す動力装置におけるトルクの 達状況を駆動時発電中について示す図であ 。 図41に示す動力装置におけるエンジン ルクに対する足軸駆動トルクやCVT伝達トル などの比を、アシスト中および駆動時発電 にエンジントルクを一定とした場合につい 示す図である。 図41に示す動力装置におけるトルクの 達状況を、減速回生中にクラッチを接続し 場合について示す図である。 図41に示す動力装置における磁界回転 度、第1および第2のロータ回転速度の間の 係の一例を、減速回生中にクラッチを遮断 た場合について示す速度共線図である。 図41に示す動力装置におけるトルクの 達状況を、減速回生中にクラッチを遮断し 場合について示す図である。 図41に示す動力装置におけるトルクの 達状況を、減速回生中、クラッチを遮断す とともに、第2ロータを回転不能に保持した 場合について示す図である。 図41に示す動力装置におけるトルクの 達状況をEVクリープ中について示す図であ 。 図41に示す動力装置における磁界回転 度、第1および第2のロータ回転速度の間の 係の一例を、EV発進時について示す速度共線 図である。 第9実施形態による動力装置を概略的 示す図である。 第10実施形態による動力装置を概略的 示す図である。 第11実施形態による動力装置を概略的 示す図である。 第12実施形態による動力装置を概略的 示す図である。 図58の動力装置における回転磁界が正 している場合の変速動作を説明するための である。 図58の動力装置における回転磁界が逆 している場合の変速動作を説明するための である。 第13実施形態による動力装置を概略的 示す図である。 第14実施形態による動力装置を概略的 示す図である。 図41や図58などの動力装置において、 対数比を第1所定値および第2所定値にそれぞ れ設定したときの磁界回転速度、第1および 2のロータ回転速度の間の関係の一例を示す 度共線図である。 本発明の回転機の等価回路を示す図で ある。 本発明の回転機における磁界電気角速 度、第1および第2のロータ電気角速度の間の 係の一例を示す速度共線図である。

 以下、図面を参照しながら、本発明の好 しい実施形態について説明する。なお、図 中の断面を示す部分のハッチングは、適宜 省略するものとする。図1は、本発明の第1 施形態による動力装置1を概略的に示してい 。この動力装置1は、車両(図示せず)の駆動 DW,DW(被駆動部)を駆動するためのものであり 、駆動源としての内燃機関3(熱機関)および回 転機31と、駆動輪DW,DWに駆動力を伝達するた の第1動力伝達経路PT1、第2動力伝達経路PT2、 差動ギヤ機構9、および駆動軸10,10と、内燃機 関3や回転機31の動作を制御するためのECU2を えている。

 内燃機関(以下「エンジン」という)3は、 えばガソリンエンジンであり、その吸気管 は、スロットル弁(いずれも図示せず)が設 られている。このスロットル弁の開度(以下 スロットル弁開度」という)は、ECU2によっ 制御され、それにより、エンジン3に吸入さ る吸入空気量が制御される。

 上記の第1動力伝達経路PT1は、フライホイ ール3bと、互いに平行に配置された第1主軸4 よび副軸5と、無段変速装置20(第1変速装置) 有している。この第1主軸4は、エンジン3の ランク軸3a(出力軸)に、フライホイール3bを して連結されており、軸受け4a,4aに回転自在 に支持されている。また、第1主軸4には、ワ ウェイクラッチCL1と回転機31の後述する第1 ータ34が一体に設けられている。このよう 、この第1ロータ34は、第1主軸4およびフライ ホイール3bを介して、クランク軸3aに常に連 されている。

 上記のワンウェイクラッチCL1は、第1主軸 4が連結されたクランク軸3aに逆転させるよう な動力が作用したときには、第1主軸4と不動 ケースCAとの間を接続するとともに、正転 せるような動力が作用したときには、第1主 4とケースCAの間を遮断するように構成され いる。すなわち、ワンウェイクラッチCL1お びケースCAによって、クランク軸3aが第1主 4とともに正転する場合にのみ、その回転が 容され、クランク軸3aの逆転が阻止される なお、本実施形態では、ワンウェイクラッ CL1およびケースCAが、本発明におけるブレー キ機構に相当する。

 無段変速装置20は、いわゆるベルト式の のであり、駆動プーリ21、従動プーリ22、伝 ベルト23、およびプーリ幅可変機構24などに よって構成されている。

 駆動プーリ21は、互いに対向する円錐台 状の可動シーブ21aおよび固定シーブ21bを有 ている。可動シーブ21aは、上述した第1主軸4 に、その軸線方向に移動可能でかつ相対的に 回転不能に取り付けられており、固定シーブ 21bは、第1主軸4に固定されている。また、可 シーブ21aおよび固定シーブ21bの互いの対向 はそれぞれ、斜面状に形成され、それによ 、可動シーブ21aと固定シーブ21bの間に、伝 ベルト23を巻き掛けるためのV字状のベルト が形成されている。

 従動プーリ22は、上記駆動プーリ21と同様 に構成されている。すなわち、従動プーリ22 、互いに対向する円錐台形状の可動シーブ2 2aおよび固定シーブ22bを有している。可動シ ブ22aは、前記副軸5に、その軸線方向に移動 可能にかつ回転不能に取り付けられており、 固定シーブ22bは、副軸5に固定されている。 軸5は、軸受け5a,5aに回転自在に支持されて る。また、可動シーブ22aおよび固定シーブ22 bの対向面は斜面状に形成され、それにより 可動シーブ22aと固定シーブ22bの間に、V字状 ベルト溝が形成されている。伝達ベルト23 、金属製のものであり、2つのプーリ21,22に そのベルト溝に嵌った状態で巻き掛けられ いる。

 プーリ幅可変機構24は、2つのプーリ21,22 プーリ幅を変更することによって、2つのプ リ21,22の有効径を変化させるものである。 ーリ幅可変機構24は、可動シーブ21aおよび22a の内部にそれぞれ形成されたドライブ側油室 24aおよびドリブン側油室24bと、油圧ポンプ( 示せず)から両油室24aおよび24bに供給される 圧をそれぞれ制御するためのドライブ側電 弁24cおよびドリブン側電磁弁24dとを有して る。両電磁弁24c,24dはECU2に接続されており( 2参照)、それらの弁開度がECU2により制御さ る。

 以上の構成により、無段変速装置20では ECU2による2つの電磁弁24c,24dの弁開度の制御 より、2つの油室24a,24bに供給される油圧がそ れぞれ制御されることによって、2つの可動 ーブ21a,22aが軸線方向にそれぞれ駆動される これにより、2つのプーリ21,22の有効径が無 階に変更されることによって、無段変速装 20の変速比が無段階に制御される。

 また、上述した副軸5には、ギヤ5bが一体 設けられており、このギヤ5bは、アイドラ 8と一体の第1アイドラギヤ8aに噛み合ってい 。このアイドラ軸8は、軸受け8d,8dに回転自 に支持されており、アイドラ軸8には、第2 イドラギヤ8bが一体に設けられている。この 第2アイドラギヤ8bは、前記差動ギヤ機構9の ヤ9aに噛み合っており、差動ギヤ機構9は、 記駆動軸10,10を介して駆動輪DW,DWに連結され いる。

 また、副軸5の従動プーリ22とギヤ5bの間 は、クラッチCL3(第1クラッチ)が設けられて る。このクラッチCL3は、エンジン3を駆動源 する摩擦式多板クラッチであり、副軸5の従 動プーリ22側の部分に連結された入力軸と、 軸5のギヤ5b側の部分に連結された出力軸(い ずれも図示せず)を有している。クラッチCL3 締結度合はECU2によって制御され、それによ 、無段変速装置20と駆動輪DW,DWの間が接続・ 遮断される。

 以上の構成により、クラッチCL3が接続さ ると、エンジン3のクランク軸3aは、第1動力 伝達経路PT1(フライホイール3b、第1主軸4、無 変速装置20、副軸5)、クラッチCL3、ギヤ5b、 1アイドラギヤ8a、アイドラ軸8、第2アイド ギヤ8b、ギヤ9a、差動ギヤ機構9、および駆動 軸10,10を介して、駆動輪DW,DWに機械的に連結 れる。また、クラッチCL3の接続中、無段変 装置20を制御することによって、エンジン3 動力は、無段階に変速され、駆動輪DW,DWに伝 達される。さらに、クラッチCL3が遮断される と、第1動力伝達経路PT1を介した、クランク 3aおよびこれと一体の第1ロータ34と駆動輪DW, DWとの連結が解かれる。

 前記第2動力伝達径路PT2は、第1動力伝達 路PT1と並列に設けられており、第2主軸6、お よびこれと一体のギヤ6bを有している。この 2主軸6は、中空に形成されるとともに、軸 け6a,6aに回転自在に支持されており、その内 側には、第1主軸4が回転自在に嵌合している また、第2主軸6には、電磁ブレーキCL2(ロー ロック機構)と回転機31の後述する第2ロータ 35が一体に設けられている。上記のギヤ6bは アイドラ軸8と一体の第3アイドラギヤ8cに噛 合っている。

 以上のように、第2ロータ35は、第2動力伝 達経路PT2(第2主軸6、ギヤ6b)、第3アイドラギ 8c、アイドラ軸8、第2アイドラギヤ8b、ギヤ9a 、差動ギヤ機構9、および駆動軸10,10を介して 、変速装置を用いることなく、駆動輪DW,DWに に機械的に連結されている。

 また、上記の電磁ブレーキCL2は、ECU2に接 続されており(図2参照)、ECU2によりONまたはOFF され、ON状態のときに、第2主軸6とともに第2 ータ35を回転不能に保持するとともに、OFF 態のときに、第2ロータ35の回転を許容する

 さらに、図1および図3に示すように、前 回転機31は、ステータ33と、ステータ33に対 するように設けられた第1ロータ34と、両者33 ,34の間に設けられた第2ロータ35を有している 。これらのステータ33、第2ロータ35および第1 ロータ34は、第1主軸4の径方向(以下、単に「 方向」という)に、外側からこの順で並んで おり、同心状に配置されている。なお、図3 は、第1主軸4などの一部の要素を、図示の便 宜上、スケルトン図的に描いている。

 上記のステータ33は、回転磁界を発生さ るものであり、図3および図4に示すように、 鉄芯33a(電機子)と、この鉄芯33aに設けられたU 相、V相およびW相のコイル33c,33d,33e(電機子)を 有している。なお、図3では、便宜上、U相コ ル33cのみを示している。鉄芯33aは、複数の 板を積層した円筒状のものであり、第1主軸 4の軸線方向(以下、単に「軸線方向」という) に延びており、ケースCAに取り付けられてい 。また、鉄芯33aの内周面には、12個のスロ ト33bが形成されており、これらのスロット33 bは、軸線方向に延びるとともに、第1主軸4の 周方向(以下、単に「周方向」という)に等間 で並んでいる。上記のU相~W相のコイル33c~33e は、スロット33bに分布巻き(波巻き)で巻回さ るとともに、パワードライブユニット(以下 「PDU」という)40を介して、バッテリ45に接続 れている。このPDU40は、インバータなどか なる電気回路で構成されており、ECU2に接続 れている(図2参照)。

 以上の構成のステータ33では、バッテリ45 から電力が供給され、U相~W相のコイル33c~33e 電流が流れたときに、または、後述するよ に発電が行われたときに、鉄芯33aの第1ロー 34側の端部に、4個の磁極が周方向に等間隔 発生する(図6参照)とともに、これらの磁極 よる回転磁界が周方向に回転する。以下、 芯33aに発生する磁極を「電機子磁極」とい 。また、周方向に隣り合う各2つの電機子磁 極の極性は、互いに異なっている。なお、図 6や後述する他の図面では、電機子磁極を、 芯33aやU相~W相のコイル33c~33eの上に、(N)およ (S)で表記している。

 図4に示すように、第1ロータ34は、8個の 久磁石34a(磁極)から成る磁極列を有している 。これらの永久磁石34aは、周方向に等間隔で 並んでおり、この磁極列は、ステータ33の鉄 33aに対向している。各永久磁石34aは、軸線 向に延びており、その軸線方向の長さが、 テータ33の鉄芯33aのそれと同じに設定され いる。

 また、永久磁石34aは、リング状の固定部3 4bの外周面に取り付けられている。この固定 34bは、軟磁性体、例えば鉄または複数の鋼 を積層したもので構成されており、その内 面が、円板状のフランジ34cの外周面に取り けられている。このフランジ34cは、前述し 第1主軸4に一体に設けられている。以上に り、永久磁石34aを含む第1ロータ34は、第1主 4と一体に回転自在になっている。さらに、 上記のように軟磁性体で構成された固定部34b の外周面に永久磁石34aが取り付けられている ので、各永久磁石34aには、ステータ33側の端 に、(N)または(S)の1つの磁極が現れる。なお 、図4や後述する他の図面では、永久磁石34a 磁極を(N)および(S)で表記している。また、 方向に隣り合う各2つの永久磁石34aの極性は 互いに異なっている。

 第2ロータ35は、6個のコア35a(軟磁性体)か 成る軟磁性体列を有している。これらのコ 35aは、周方向に等間隔で並んでおり、この 磁性体列は、ステータ33の鉄芯33aと第1ロー 34の磁極列との間に、それぞれ所定の間隔 隔てて配置されている。各コア35aは、軟磁 体、例えば複数の鋼板を積層したものであ 、軸線方向に延びている。また、コア35aの 線方向の長さは、永久磁石34aと同様、ステ タ33の鉄芯33aのそれと同じに設定されている 。さらに、コア35aは、円板状のフランジ35bの 外端部に、軸線方向に若干延びる筒状の連結 部35cを介して取り付けられている。このフラ ンジ35bは、前述した第2主軸6に一体に設けら ている。これにより、コア35aを含む第2ロー タ35は、第2主軸6と一体に回転自在になって る。なお、図4や図6では、便宜上、連結部35c およびフランジ35bを省略している。

 次に、以上の構成の回転機31の動作につい 説明する。前述したように、回転機31では、 電機子磁極が4個、永久磁石34aの磁極(以下「 石磁極」という)が8個、コア35aが6個である すなわち、電機子磁極の数と磁石磁極の数 コア35aの数との比(以下「極数比」という) 、1:2.0:(1+2.0)/2に設定されている。このこと 、前述した式(18)~(20)から明らかなように、 テータ33に対して第1ロータ34や第2ロータ35が 回転するのに伴ってU相~W相のコイル33c~33eに れぞれ発生する逆起電圧(以下、それぞれ「U 相逆起電圧Vcu」「V相逆起電圧Vcv」「W相逆起 圧Vcw」という)は、次式(33)、(34)および(35)で 表される。

 ここで、ψFは、磁石磁極の磁束の最大値 ある。また、θER1は、第1ロータ電気角であ 、特定のU相コイル33c(以下「基準コイル」 いう)に対する第1ロータ34の特定の永久磁石3 4aの回転角度位置を、電気角度位置に換算し 値である。すなわち、第1ロータ電気角θER1 、この特定の永久磁石34aの回転角度位置(以 下「第1ロータ回転角θR1」という)に、電機子 磁極の極対数、すなわち値2を乗算した値で る。さらに、θER2は、第2ロータ電気角であ 、上記の基準コイルに対する第2ロータ35の 定のコア35aの回転角度位置を、電気角度位 に換算した値である。すなわち、第2ロータ 気角θER2は、この特定のコア35aの回転角度 置(以下「第2ロータ回転角θR2」という)に、 機子磁極の極対数(値2)を乗算した値である

 また、上記の式(33)~(35)におけるωER1は、θ ER1の時間微分値、すなわち、ステータ33に対 る第1ロータ34の角速度を電気角速度に換算 た値(以下「第1ロータ電気角速度」という) ある。さらに、ωER2は、θER2の時間微分値、 すなわち、ステータ33に対する第2ロータ35の 速度を電気角速度に換算した値(以下「第2 ータ電気角速度」という)である。

 また、前述した極数比と前記式(21)~(23)から らかなように、U相、V相およびW相のコイル3 3c,33d,33eをそれぞれ流れる電流(以下、それぞ 「U相電流Iu」「V相電流Iv」「W相電流Iw」と う)は、次式(36)、(37)および(38)で表される。

 ここで、Iは、U相~W相のコイル33c~33eを流れ 電流の振幅(最大値)である。さらに、極数比 と前記式(24)および(25)から明らかなように、 準コイルに対するステータ33の回転磁界の クトルの電気角度位置(以下「磁界電気角度 置θMFR」という)は、次式(39)で表され、ステ ータ33に対する回転磁界の電気角速度(以下「 磁界電気角速度ωMFR」という)は、次式(40)で される。

 このため、磁界電気角速度ωMFRと第1ロー 電気角速度ωER1と第2ロータ電気角速度ωER2 関係をいわゆる共線図で表すと、例えば図5 ように示される。

 また、ステータ33に供給された電力および 界電気角速度ωMFRと等価のトルクを駆動用等 価トルクTSEとすると、この駆動用等価トルク TSEと、第1ロータ34に伝達されるトルク(以下 第1ロータ伝達トルク」という)TR1と、第2ロ タ35に伝達されるトルク(以下「第2ロータ伝 トルク」という)TR2との関係は、極数比と前 記式(32)から明らかなように、次式(41)で表さ る。

 上記の式(40)および(41)でそれぞれ表され 電気角速度およびトルクの関係は、サンギ およびリングギヤのギヤ比が1:2である遊星 車装置のサンギヤ、リングギヤおよびキャ アにおける回転速度およびトルクの関係と ったく同じである。

 次に、ステータ33に供給された電力が、 体的にどのようにして動力に変換され、第1 ータ34や第2ロータ35から出力されるかにつ て説明する。まず、図6~図8を参照しながら 第1ロータ34を回転不能に保持した状態でス ータ33に電力を供給した場合について説明す る。なお、図6~図8では、便宜上、複数の構成 要素の符号を省略している。このことは、後 述する他の図面においても同様である。また 、理解の容易化のために、図6~図8に示される 同じ1つの電機子磁極およびコア35aに、ハッ ングを付している。

 まず、図6(a)に示すように、ある1つのコ 35aの中心と、ある1つの永久磁石34aの中心が 周方向に互いに一致するとともに、そのコ 35aから3つ目のコア35aの中心と、その永久磁 石34aから4つ目の永久磁石34aの中心が、周方 に互いに一致した状態から、回転磁界を、 図の左方に回転するように発生させる。そ 発生の開始時においては、互いに同じ極性 有する1つおきの電機子磁極の位置を、中心 コア35aと一致している各永久磁石34aの中心 周方向に一致させるとともに、この電機子 極の極性をこの永久磁石34aの磁石磁極の極 と異ならせる。

 前述したようにステータ33による回転磁 が第1ロータ34との間に発生することと、コ 35aを有する第2ロータ35がステータ33と第1ロ タ34の間に配置されていることから、電機子 磁極および磁石磁極により、各コア35aは磁化 される。このことと、隣り合う各コア35aの間 に間隔が空いていることから、電機子磁極と コア35aと磁石磁極を結ぶような磁力線MLが発 する。なお、図6~図8では、便宜上、鉄芯33a 固定部34bにおける磁力線MLを省略している このことは、後述する他の図面においても 様である。

 図6(a)に示す状態では、磁力線MLは、周方 の位置が互いに一致している電機子磁極、 ア35aおよび磁石磁極を結び、かつ、これら 電機子磁極、コア35aおよび磁石磁極のそれ れの周方向の各両側に隣り合う電機子磁極 コア35aおよび磁石磁極を結ぶように発生す 。また、この状態では、磁力線MLが直線状 あることにより、コア35aには、周方向に回 させるような磁力は作用しない。

 そして、回転磁界の回転に伴って電機子 極が図6(a)に示す位置から図6(b)に示す位置 回転すると、磁力線MLが曲がった状態になり 、それに伴い、磁力線MLが直線状になるよう 、コア35aに磁力が作用する。この場合、磁 線MLで互いに結ばれた電機子磁極および磁 磁極を結ぶ直線に対して、磁力線MLが、この コア35aにおいて回転磁界の回転方向(以下「 界回転方向」という)と逆方向に凸に曲がっ 状態になるため、上記の磁力は、コア35aを 界回転方向に駆動するように作用する。こ ような磁力線MLによる磁力の作用により、 ア35aは、磁界回転方向に駆動され、図6(c)に す位置に回転し、コア35aが設けられた第2ロ ータ35も、磁界回転方向に回転する。なお、 6(b)および(c)における破線は、磁力線MLの磁 量が極めて小さく、電機子磁極とコア35aと 石磁極の間の磁気的なつながりが弱いこと 表している。このことは、後述する他の図 においても同様である。

 また、回転磁界がさらに回転するのに伴 、上述した一連の動作、すなわち、「磁力 MLがコア35aにおいて磁界回転方向と逆方向 凸に曲がる→磁力線MLが直線状になるように コア35aに磁力が作用する→コア35aおよび第2 ータ35が、磁界回転方向に回転する」という 動作が、図7(a)~(d)、図8(a)および(b)に示すよう に、繰り返し行われる。以上のように、第1 ータ34を回転不能に保持した状態で、ステー タ33に電力を供給した場合には、上述したよ な磁力線MLによる磁力の作用によって、ス ータ33に供給された電力は動力に変換され、 その動力が第2ロータ35から出力される。

 また、図9は、図6(a)の状態から電機子磁 が電気角2πだけ回転した状態を示しており 図9と図6(a)の比較から明らかなように、コア 35aは、電機子磁極に対して1/3の回転角度だけ 、同方向に回転していることが分かる。この 結果は、前記式(40)において、ωER1=0とするこ によって、ωER2=ωMFR/3が得られることと合致 する。

 次に、図10~図12を参照しながら、第2ロー 35を回転不能に保持した状態で、ステータ33 に電力を供給した場合の動作について説明す る。なお、図10~図12では、理解の容易化のた に、同じ1つの電機子磁極および永久磁石34a に、ハッチングを付している。まず、図10(a) 示すように、前述した図6(a)の場合と同様、 ある1つのコア35aの中心と、ある1つの永久磁 34aの中心が、周方向に互いに一致するとと に、そのコア35aから3つ目のコア35aの中心と 、その永久磁石34aから4つ目の永久磁石34aの 心が、周方向に互いに一致した状態から、 転磁界を、同図の左方に回転するように発 させる。その発生の開始時においては、互 に同じ極性を有する1つおきの電機子磁極の 置を、中心がコア35aと一致している各永久 石34aの中心と周方向に一致させるとともに この電機子磁極の極性をこの永久磁石34aの 石磁極の極性と異ならせる。

 図10(a)に示す状態では、図6(a)の場合と同 、磁力線MLは、周方向の位置が互いに一致 ている電機子磁極、コア35aおよび磁石磁極 結び、かつ、これらの電機子磁極、コア35a よび磁石磁極のそれぞれの周方向の各両側 隣り合う電機子磁極、コア35aおよび磁石磁 を結ぶように発生する。また、この状態で 、磁力線MLが直線状であることにより、永久 磁石34aには、周方向に回転させるような磁力 は作用しない。

 そして、回転磁界の回転に伴って電機子 極が図10(a)に示す位置から図10(b)に示す位置 に回転すると、磁力線MLが曲がった状態にな 、それに伴い、磁力線MLが直線状になるよ に、永久磁石34aに磁力が作用する。この場 、この永久磁石34aが、磁力線MLで互いに結ば れた電機子磁極およびコア35aの延長線上より も磁界回転方向に進んだ位置にあるため、上 記の磁力は、この延長線上に永久磁石34aを位 置させるように、すなわち、永久磁石34aを磁 界回転方向と逆方向に駆動するように作用す る。このような磁力線MLによる磁力の作用に り、永久磁石34aは、磁界回転方向と逆方向 駆動され、図10(c)に示す位置に回転し、永 磁石34aが設けられた第1ロータ34も、磁界回 方向と逆方向に回転する。

 また、回転磁界がさらに回転するのに伴 、上述した一連の動作、すなわち、「磁力 MLが曲がり、磁力線MLで互いに結ばれた電機 子磁極およびコア35aの延長線上よりも、永久 磁石34aが磁界回転方向に進んだ位置に位置す る→磁力線MLが直線状になるように永久磁石3 4aに磁力が作用する→永久磁石34aおよび第1ロ ータ34が、磁界回転方向と逆方向に回転する という動作が、図11(a)~(d)、図12(a)および(b) 示すように、繰り返し行われる。以上のよ に、第2ロータ35を回転不能に保持した状態 、ステータ33に電力を供給した場合には、上 述したような磁力線MLによる磁力の作用によ て、ステータ33に供給された電力は動力に 換され、その動力が第1ロータ34から出力さ る。

 また、図12(b)は、図10(a)の状態から電機子 磁極が電気角2πだけ回転した状態を示してお り、図12(b)と図10(a)の比較から明らかなよう 、永久磁石34aは、電機子磁極に対して1/2の 転角度だけ、逆方向に回転していることが かる。この結果は、前記式(40)において、ωER 2=0とすることによって、-ωER1=ωMFR/2が得られ ことと合致する。

 また、図13および図14は、電機子磁極、コ ア35aおよび永久磁石34aの数を、値16、値18お び値20にそれぞれ設定し、第1ロータ34を回転 不能に保持するとともに、ステータ33への電 の供給により第2ロータ35から動力を出力し 場合におけるシミュレーション結果を示し いる。図13は、第2ロータ電気角θER2が値0~2π まで変化する間におけるU相~W相の逆起電圧Vcu ~Vcwの推移の一例を示している。

 この場合、第1ロータ34が回転不能に保持 れていることと、電機子磁極および磁石磁 の極対数がそれぞれ値8および値10であるこ と、前記式(25)から、磁界電気角速度ωMFR、 1および第2のロータ電気角速度ωER1,ωER2の間 の関係は、ωMFR=2.25・ωER2で表される。図13に すように、第2ロータ電気角θER2が値0~2πま 変化する間に、U相~W相の逆起電圧Vcu~Vcwは、 ぼ2.25周期分、発生している。また、図13は 第2ロータ35から見たU相~W相の逆起電圧Vcu~Vcw の変化状態を示しており、同図に示すように 、これらの逆起電圧は、第2ロータ電気角θER2 を横軸として、W相逆起電圧Vcw、V相逆起電圧V cvおよびU相逆起電圧Vcuの順に並んでおり、こ のことは、第2ロータ35が磁界回転方向に回転 していることを表す。以上のような図13に示 シミュレーション結果は、上述した式(25)に 基づくωMFR=2.25・ωER2の関係と合致する。

 さらに、図14は、駆動用等価トルクTSE、 1および第2のロータ伝達トルクTR1,TR2の推移 一例を示している。この場合、電機子磁極 よび磁石磁極の極対数がそれぞれ値8および 10であることと、前記式(32)から、駆動用等 トルクTSE、第1および第2のロータ伝達トル TR1,TR2の間の関係は、TSE=TR1/1.25=-TR2/2.25で表さ れる。図14に示すように、駆動用等価トルクT SEは、ほぼ-TREFに、第1ロータ伝達トルクTR1は ほぼ1.25・(-TREF)に、第2ロータ伝達トルクTR2 、ほぼ2.25・TREFになっている。このTREFは所 のトルク値(例えば200Nm)である。このような 図14に示すシミュレーション結果は、上述し 式(32)に基づくTSE=TR1/1.25=-TR2/2.25の関係と合 する。

 また、図15および図16は、電機子磁極、コ ア35aおよび永久磁石34aの数を図13および図14 場合と同様に設定し、第1ロータ34に代えて 2ロータ35を回転不能に保持するとともに、 テータ33への電力の供給により第1ロータ34か ら動力を出力した場合におけるシミュレーシ ョン結果を示している。図15は、第1ロータ電 気角θER1が値0~2πまで変化する間におけるU相~ W相の逆起電圧Vcu~Vcwの推移の一例を示してい 。

 この場合、第2ロータ35が回転不能に保持 れていることと、電機子磁極および磁石磁 の極対数がそれぞれ値8および値10であるこ と、前記式(25)から、磁界電気角速度ωMFR、 1および第2のロータ電気角速度ωER1,ωER2の間 の関係は、ωMFR=-1.25・ωER1で表される。図15に 示すように、第1ロータ電気角θER1が値0~2πま 変化する間に、U相~W相の逆起電圧Vcu~Vcwは、 ほぼ1.25周期分、発生している。また、図15は 、第1ロータ34から見たU相~W相の逆起電圧Vcu~Vc wの変化状態を示しており、同図に示すよう 、これらの逆起電圧は、第1ロータ電気角θER 1を横軸として、U相逆起電圧Vcu、V相逆起電圧 VcvおよびW相逆起電圧Vcwの順に並んでおり、 のことは、第1ロータ34が磁界回転方向と逆 向に回転していることを表す。以上のよう 図15に示すシミュレーション結果は、上述し た式(25)に基づくωMFR=-1.25・ωER1の関係と合致 る。

 さらに、図16は、駆動用等価トルクTSE、 1および第2のロータ伝達トルクTR1,TR2の推移 一例を示している。この場合にも、図14の場 合と同様、式(32)から、駆動用等価トルクTSE 第1および第2のロータ伝達トルクTR1,TR2の間 関係は、TSE=TR1/1.25=-TR2/2.25で表される。図16 示すように、駆動用等価トルクTSEは、ほぼTR EFに、第1ロータ伝達トルクTR1は、ほぼ1.25・TR EFに、第2ロータ伝達トルクTR2は、ほぼ-2.25・T REFになっている。このような図16に示すシミ レーション結果は、上述した式(32)に基づく TSE=TR1/1.25=-TR2/2.25の関係と合致する。

 以上のように、回転機31では、ステータ33 への電力供給により回転磁界を発生させると 、前述した磁石磁極とコア35aと電機子磁極を 結ぶような磁力線MLが発生し、この磁力線ML よる磁力の作用によって、電機子に供給さ た電力は動力に変換され、その動力が、第1 ータ34や第2ロータ35から出力される。この 合、磁界電気角速度ωMFR、第1および第2のロ タ電気角速度ωER1,ωER2の間に、前記式(40)に す関係が成立するとともに、駆動用等価ト クTSE、第1および第2のロータ伝達トルクTR1,T R2の間に、前記式(41)に示す関係が成立する。

 このため、ステータ33に電力を供給して ない状態で、第1および第2のロータ34,35の少 くとも一方に動力を入力することにより、 の少なくとも一方をステータ33に対して回 させると、電機子において、発電が行われ とともに、回転磁界が発生し、この場合に 、磁石磁極と軟磁性体と電機子磁極を結ぶ うな磁力線MLが発生するとともに、この磁力 線MLによる磁力の作用によって、式(40)に示す 電気角速度の関係と式(41)に示すトルクの関 が成立する。

 すなわち、発電した電力および磁界電気 速度ωMFRと等価のトルクを発電用等価トル TGEとすると、この発電用等価トルクTGE、第1 よび第2のロータ伝達トルクTR1,TR2の間にも 式(41)に示す関係が成立する。以上から明ら なように、本発明の回転機は、遊星歯車装 と一般的な1ロータタイプの回転機とを組み 合わせた装置と同じ機能を有する。

 また、図2に示すように、ECU2には、クラ ク角センサ51から、クランク軸3aのクランク 度位置を表す検出信号が出力される。ECU2は 、このクランク角度位置に基づいてエンジン 回転数NEを算出する。さらに、ECU2には、第1 ーリ回転数センサ52から前述した駆動プーリ 21の回転数である駆動側プーリ回転数NDRを表 検出信号が、第2プーリ回転数センサ53から 述した従動プーリ22の回転数である従動側 ーリ回転数NDNを表す検出信号が、出力され 。ECU2は、駆動側プーリ回転数NDRおよび従動 プーリ回転数NDNに基づいて、無段変速装置2 0の変速比RATIO(=NDR/NDN)を算出する。

 また、ECU2には、第1回転角センサ54および 第2回転角センサ55からそれぞれ、第1および 2のロータ回転角θR1,θR2を表す検出信号が、 力される。ECU2は、検出された第1および第2 ロータ回転角θR1,θR2に基づいて、第1および 第2のロータ34,35の回転速度(以下、それぞれ 第1ロータ回転速度VR1」「第2ロータ回転速度 VR2」という)をそれぞれ算出する。さらに、EC U2は、第1および第2のロータ回転角θR1,θR2と 記式(39)に基づき、PDU40を制御することによ て、ステータ33に供給する電力や、ステータ 33で発電する電力、回転磁界の回転速度(以下 「磁界回転速度」という)VMFを制御する。

 また、ECU2には、電流電圧センサ56から、 ッテリ45に入出力される電流・電圧値を表 検出信号が、出力される。ECU2は、この検出 号に基づいて、バッテリ45の充電状態SOCを 出する。さらに、ECU2には、アクセル開度セ サ57から車両のアクセルペダル(図示せず)の 踏み込み量であるアクセル開度APを表す検出 号が、車速センサ58から車速VPを表す検出信 号が、出力される。

 ECU2は、I/Oインターフェース、CPU、RAMおよ びROMなどからなるマイクロコンピュータで構 成されており、上述した各種のセンサ51~58か の検出信号に応じて、エンジン3や回転機31 動作を制御する。

 次に、ECU2による制御によって行われる動 力装置1の動作について説明する。この動力 置1の動作モードには、EVクリープ、EV発進、 EV走行中ENG始動、ENG走行、減速回生、停車中E NG始動、ENGクリープ、およびENG発進が含まれ 。以下、これらの動作モードについて、EV リープから順に説明する。また、動力装置1 すべての回転要素について、エンジン3のク ランク軸3aの正転方向と同方向に回転するこ を「正転」といい、逆転方向と同方向に回 することを「逆転」という。

  ・EVクリープ
 このEVクリープは、エンジン3を停止した状 で、回転機31のみを駆動源として用い、車 のクリープ運転を行う動作モードである。EV クリープ中、電磁ブレーキCL2をOFF状態に制御 することにより第2ロータ35の回転を許容する とともに、クラッチCL3を遮断することによっ て、前述した第1動力伝達経路PT1を介したク ンク軸3aと駆動輪DW,DWとの連結を解く。また バッテリ45からステータ33に電力を供給し、 回転磁界を正転するように発生させる。

 前述したように、ワンウェイクラッチCL1 よって、第1ロータ34がクランク軸3aととも 逆転するのが阻止されている。このため、 述した回転機31の機能や前記式(41)から明ら なように、ステータ33への電力供給に伴い、 第2ロータ35に、駆動用等価トルクTSEの3倍の きさのトルクが伝達される。このトルクは 第1ロータ34の逆転が阻止されていることと 回転磁界を正転させることから、第2ロータ3 5を正転させるように作用する。また、第2ロ タ35に伝達されたトルクは、図17に示すよう に、無段変速装置20を介さずに、第2動力伝達 経路PT2や差動ギヤ機構9などを介して、駆動 DW,DWに伝達され、その結果、駆動輪DW,DWが正 し、車両が前進する。この場合、ステータ3 3に供給される電力は、第2ロータ回転速度VR2 非常に小さくなるように制御され、それに り、車速VPが非常に小さいクリープ運転が われる。なお、図17および後述するトルクの 伝達状況を示す他の図では、矢印付きの太い 破線はトルクの流れを示している。また、ス テータ33では、実際には、トルクは電気エネ ギの形態で伝達されるが、図17および後述 るトルクの伝達状況を示す他の図では、便 上、ステータ33におけるエネルギの入出力を 、トルクの流れの中に、ハッチングを付して 示している。

  ・EV発進
 このEV発進は、上述したEVクリープ中から、 エンジン3を停止した状態で、回転機31のみを 駆動源として用いて車両を発進させ、走行さ せる動作モードである。EV発進時、上述したE Vクリープの場合と同様にして電磁ブレーキCL 2およびクラッチCL3を制御し(電磁ブレーキCL2: OFF、クラッチCL3:遮断)、バッテリ45からステ タ33に供給する電力を増大させ、駆動用等価 トルクTSEを増大させるとともに、正転してい る回転磁界の磁界回転速度VMFを高める。これ により、図18に実線で示すように、第1ロータ 回転速度VR1が値0、すなわち、クランク軸3aが 停止した状態で、第2ロータ回転速度VR2がほ 値0の状態(同図に破線で図示)から上昇し、 れに伴い、第2ロータ35が連結された駆動輪DW ,DWの回転速度が上昇し、すなわち、車両が発 進し、走行する。

 なお、図18の速度共線図では、前述した 65に示す速度共線図と同様、値0を示す横線 交わる縦線は、各パラメータの回転速度を すためのものであり、この縦線上に表され 白丸と横線との隔たりが、各パラメータの 転速度に相当する。同図および後述する他 速度共線図では、便宜上、この白丸の付近 各パラメータの回転速度の符号を表記する ともに、正転方向を「+」で、逆転方向を「- 」で、それぞれ表記している。

  ・EV走行中ENG始動
 このEV走行中ENG始動は、上述したEV発進によ る車両の走行中に、エンジン3を始動する動 モードである。EV走行中ENG始動時、EV発進に いて遮断されていたクラッチCL3を接続する とによって、駆動輪DW,DWを、第1動力伝達経 PT1を介してクランク軸3aに連結する(電磁ブ ーキCL2はOFF状態に制御)。これにより、図19 示すように、回転機31からの駆動用等価ト クTSEの一部が、アイドラ軸8から、副軸5、お よび無段変速装置20を介して第1主軸4に伝達 れた後、さらにその一部が第1ロータ34を介 て第2ロータ35に伝達され、その残りがエン ン3に伝達される。その状態で、図20(a)に実 で示すように、磁界回転速度VMFを、第2ロー 回転速度VR2がそのときの値に保持されるよ に、クラッチCL3の接続前の状態(同図の破線 )から低下させる。以上により、第1ロータ34 よびクランク軸3aが正転し、第1ロータ回転 度VR1およびエンジン回転数NEが上昇する。そ の状態で、検出されたクランク角度位置に応 じ、エンジン3の燃料噴射弁や点火プラグ(い れも図示せず)の点火動作を制御することに よって、エンジン3が始動される。

 また、EV走行中ENG始動時、駆動用等価ト クTSE、すなわちステータ33に供給される電力 と磁界回転速度VMFは、駆動輪DW,DWおよびエン ン3にトルクが十分に伝達されるように制御 される。さらに、クラッチCL3を接続する際、 その締結力を漸増させるように制御する。こ れにより、駆動輪DW,DWに伝達されるトルクが 減するのを防止でき、良好なドライバビリ ィを確保することができる。また、無段変 装置20の変速比RATIOは、磁界回転速度VMF、第 1および第2のロータ回転速度VR1,VR2に応じ、前 記式(40)で示されるこれらの速度関係が保た るように制御される。

 さらに、EV走行中ENG始動時、図20(b)に実線 で示すように(同図の破線:クラッチCL3の接続 )、第2ロータ回転速度VR2、すなわち車速VPが 比較的高い場合でも、内燃機関および回転機 を直結したタイプと異なり、上述した変速比 RATIOおよび磁界回転速度VMFの制御によって、 1ロータ回転速度VR1、すなわちエンジン回転 数NEを比較的低い状態に保ちながら、エンジ 3を始動することができる。したがって、始 動時のエンジン3のトルク変動を抑制でき、 ンジン始動に伴って発生する振動やノイズ 抑制できるので、商品性を向上させること できる。

  ・ENG走行
 このENG走行は、エンジン3の動力を用いて、 車両を走行させる運転モードである。ENG走行 中、電磁ブレーキCL2をOFF状態に制御するとと もに、クラッチCL3の接続によりクランク軸3a 第1動力伝達経路PT1を介して駆動輪DW,DWに連 する。また、基本的には、エンジン3の動力 を、無段変速装置20で変速するとともに、第1 動力伝達経路PT1を介して駆動輪DW,DWに伝達す 。エンジン3の動作や無段変速装置20の変速 RATIOは、算出されたエンジン回転数NEや、検 出されたアクセル開度APなどに応じて制御さ る。

 また、ENG走行中、次の条件(a)および(b)の一 が成立しているときには、バッテリ45から テータ33に電力を供給し、エンジン3を回転 31でアシストする。
 (a)要求トルクPMCMD>所定の上限値PMH
 (b)充電状態SOC>第1所定値SOCL
 ここで、要求トルクPMCMDは、車両に要求さ るトルクであり、検出された車速VPや、アク セル開度APに応じて算出される。上限値PMHは 無段変速装置20の伝達可能な上限トルクよ も若干小さな値に設定されている。第1所定 SOCLは、バッテリ45が過放電にならないよう 値に設定されている。このように、回転機3 1によるアシストは、要求トルクPMCMDが無段変 速装置20の伝達可能な上限トルクに近い値の きに、またはバッテリ45の電力が十分に残 ているときに行われる。

 また、回転機31では、その前述した機能 より、回転磁界、第1および第2のロータ34,35 回転方向が互いに同じであるときには、駆 用等価トルクTSEおよび第1ロータ伝達トルク TR1が正のトルクとして合成され、第2ロータ 達トルクTR2として出力される。このため、 記の回転機31によるアシスト中、図21に示す うに、駆動用等価トルクTSEが第2ロータ35に 達されるのに伴い、エンジン3のトルクの一 部が、第1ロータ34を介して第2ロータ35に伝達 される。このように、第2ロータ35には、駆動 用等価トルクTSEとエンジン3のトルクの一部 を合成した合成トルクが伝達される。この 合、前記式(41)から明らかなように、第1ロー タ34には、駆動用等価トルクTSEの2倍の大きさ のトルクがエンジン3から伝達される。

 また、第2ロータ35に伝達されたトルクは 第2動力伝達経路PT2や差動ギヤ機構9を介し 、駆動輪DW,DWに伝達され、エンジン3の残り トルクは、無段変速装置20などの第1動力伝 経路PT1や差動ギヤ機構9を介して、駆動輪DW,D Wに伝達される。その結果、駆動輪DW,DWに伝達 されるトルクは、各ギヤによる変速などがな いとすれば、エンジン3のトルクと駆動用等 トルクTSEとの和に等しくなる。さらに、エ ジン3および回転機31の出力は、要求トルクPM CMDを発生できる範囲で、最良の効率が得られ るように制御される。

 さらに、ENG走行における回転機31のアシ ト中、無段変速装置20の変速比RATIOは、次の うにして制御される。まず、要求トルクPMCM Dおよび車速VPに応じ、NECMDマップおよびVMFCMD ップ(何れも図示せず)を検索することなど よって、目標エンジン回転数NECMDおよび目標 磁界回転速度VMFCMDをそれぞれ算出する。これ らのマップでは、NECMD値およびVMFCMD値は、そ ときの要求トルクPMCMDおよび車速VPに対して 、エンジン3および回転機31の最良の効率が得 られるように、かつ、前記式(40)に基づく磁 回転速度VMF、第1および第2のロータ回転速度 VR1,VR2の間の関係が保たれるように設定され いる。次いで、エンジン回転数NEおよび磁界 回転速度VMFが算出されたNECMD値およびVMFCMD値 それぞれなるように、変速比RATIOを制御す 。これにより、第1および第2のロータ34,35の 度関係は、回転磁界の磁界回転方向が第1お よび第2のロータ34,35の回転方向と同方向にな るように制御される。

 また、ENG走行中、次の条件(c)および(d)がい れも成立しているときには、PDU40を制御す ことによって、回転機31で発電を行うととも に、発電した電力をバッテリ45に充電する。 の発電は、第1動力伝達経路PT1、アイドラ軸 8、および第2動力伝達経路PT2を介して第2ロー タ35に伝達されるエンジン3の動力を用いて行 われる。以下、この発電を「駆動時発電」と いう。
 (c)要求トルクPMCMD≦所定の発電可能上限値PM EH
 (d)充電状態SOC<第2所定値SOCH
 ここで、発電可能上限値PMEHは、前述した上 限値PMHよりも小さな値に設定されている。第 2所定値SOCHは、バッテリ45が過充電にならな ような値に設定されている。すなわち、駆 時発電は、要求トルクPMCMDおよび充電状態SOC が比較的小さいときに行われる。

 また、回転機31では、その前述した機能 ら、回転磁界、第1および第2のロータ34,35の 転方向が互いに同じであるときには、発電 、第2ロータ伝達トルクTR2が分割され、発電 用等価トルクTGEおよび第1ロータ伝達トルクTR 1として出力される。このため、上記の駆動 発電中、図22に示すように、エンジン3のト クの一部が、第2ロータ35を介して、ステー 33に発電用等価トルクTGEとして伝達されるの に伴い、第1ロータ34にも、第2ロータ35を介し て、エンジン3のトルクの一部が伝達される この場合の分配比は、前述したように式(41) 発電時にも成立するため、TGE:TR1=1:2である

 また、駆動時発電中、上記のように第1ロ ータ34に伝達されたトルクとエンジン3のトル クは、合成された後、無段変速装置20を含む 1動力伝達経路PT1を介して、アイドラ軸8に 達され、アイドラ軸8に伝達されたトルクの 部が駆動輪DW,DWに、残りは、第2動力伝達経 PT2を介して、第2ロータ35に伝達される。こ 場合、各ギアによる変速などがないとすれ 、駆動輪DW,DWに伝達されるトルクは、エン ン3のトルクから発電用等価トルクTGEを差し いた大きさになる。

 さらに、駆動時発電中、エンジン3の出力 および回転機31で発電する電力は、要求トル PMCMDを発生できる範囲で、最良の効率が得 れるように制御される。さらに、無段変速 置20の変速比RATIOの制御は、上述したアシス 時と同様にして行われる。これにより、第1 および第2のロータ34,35の速度関係は、アシス ト時と同様、磁界回転方向が第1および第2の ータ34,35の回転方向と同方向になるように 御される。なお、この場合、目標エンジン 転数NECMDおよび目標磁界回転速度VMFCMDを検索 するためのマップとして、アシスト時とは異 なるマップが用いられる。

 図23は、上述した回転機31によるアシスト 中および駆動時発電中、供給された混合気の 燃焼により発生したエンジン3のトルク(以下 エンジントルク」という)TENGを一定とした 合において、駆動輪DW,DWや無段変速装置20な に伝達されるトルクを、エンジントルクTENG に対する比で表したものである。なお、図23 は、各ギヤによる変速などはないものとみ している。同図に示すように、アシスト中 駆動輪DW,DWに伝達されるトルク(以下、適宜 足軸駆動トルク」という)TDRDWは、エンジン ルクTENGと駆動用等価トルクTSEとの和に等し く、TSE値が大きいほど、より大きくなる。

 また、前述したように、アシスト中、エ ジントルクTENGの一部が、第1ロータ34に伝達 され、残りは無段変速装置20に伝達されると もに、第1ロータ34に伝達された第1ロータ伝 達トルクTR1と駆動用等価トルクTSEが合成され 、第2ロータ35に伝達される。このことと、第 1ロータ伝達トルクTR1が駆動用等価トルクTSE 2倍の大きさになることから、図23に示すよ に、第2ロータ伝達トルクTR2は、駆動用等価 ルクTSEが大きいほど、より大きくなる。ま 、駆動用等価トルクTSEが大きいほど、第1ロ ータ伝達トルクTR1が大きくなることによって 、無段変速装置20に伝達されるトルク(以下、 適宜「CVT伝達トルク」という)TCVTは、より小 くなる。

 さらに、図23において、矢印AおよびBは、 車両の最大出力時における足軸駆動トルクTDR DWおよびCVT伝達トルクTCVTをそれぞれ表してい る。無段変速装置20をエンジン3に直結した場 合、エンジントルクTENGが無段変速装置20にそ のまま伝達されるのに対し、本実施形態によ れば、図23に矢印Cで示すように、上記の第1 ータ伝達トルクTR1の分、CVT伝達トルクTCVTを 減することができる。

 また、図23に示すように、駆動時発電中 足軸駆動トルクTDRDWは、エンジントルクTENG ら発電用等価トルクTGEを差し引いた大きさ なり、発電用等価トルクTGEが大きいほど、 なわち発電する電力量が大きいほど、より さくなる。さらに、前述したように第2ロー 伝達トルクTR2がステータ33および第1ロータ3 4に分配されるため、第2ロータ伝達トルクTR2 、発電用等価トルクTGEが大きいほど、より きくなる。また、第1ロータ34に分配された ルクとエンジントルクTENGとの合成トルクが 無段変速装置20に伝達されることと、発電用 価トルクTGEが大きいほど、この第1ロータ34 分配されるトルクがより大きくなることか 、CVT伝達トルクTCVTは、発電用等価トルクTGE が大きいほど、より大きくなる。さらに、図 23において、矢印DおよびEは、通常の駆動時 電中における足軸駆動トルクTDRDWおよびCVT伝 達トルクTCVTをそれぞれ表している。

 また、駆動時発電中、発電用等価トルクT GEすなわち発電する電力量は、所定の上限値 下に制御される。さらに、前述したように 駆動時発電は、要求トルクPMCMDが発電可能 限値PMEH以下のときに行われ、このPMEH値は、 発電用等価トルクTGEが上記の所定の上限値の 場合に、上記の合成トルクが無段変速装置20 伝達可能な上限トルクよりも若干、小さく るように設定されている。以上により、駆 時発電の実行中、CVT伝達トルクTCVTがこの上 限トルクを超えるのを防止でき、したがって 、過大なトルクが伝達されることによる無段 変速装置20の故障を防止することができる。

  ・減速回生
 この減速回生は、車両の前方への減速走行 、すなわち車両が惰性で前進しているとき 、駆動輪DW,DWの慣性エネルギを用いて、回 機31において発電を行うとともに、発電した 電力をバッテリ45に充電する動作モードであ 。減速回生中、上述したENG走行の場合と同 、電磁ブレーキCL2をOFF状態に制御するとと に、クラッチCL3を接続する。また、回転機3 1において、第2動力伝達経路PT2を介して第2ロ ータ35に伝達される駆動輪DW,DWの動力を電力 変換し、発電を行い、発電した電力をバッ リ45に充電する。

 図24および図25に示すように、減速回生中 、第2ロータ35に伝達された駆動輪DW,DWの慣性 よるトルクは、上述した駆動時発電の場合 同様、ステータ33と第1ロータ34に分配され 。図24は、駆動輪DW,DWのトルクに対する、駆 輪DW,DWからエンジン3に伝達されるトルクの 合が小さい場合を示している。この場合、 図に示すように、駆動輪DW,DWのトルクの全 が、第2動力伝達経路PT2を介して第2ロータ35 伝達されるとともに、第2ロータ35を介して 記のように第1ロータ34に分配されたトルク 一部が、第1動力伝達経路PT1、アイドラ軸8 および第2動力伝達経路PT2を介して、第2ロー タ35にさらに伝達される。このように、第2ロ ータ35には、駆動輪DW,DWのトルクの全部と第1 ータ34に分配されたトルクの一部とを合成 た合成トルクが伝達される。また、第1ロー 34に分配されたトルクの残りは、第1主軸4を 介してエンジン3に伝達される。以上の結果 各ギヤによる変速などがないとすれば、ス ータ33に伝達される発電用等価トルクTGEとエ ンジン3に伝達されるトルクとの和は、駆動 DW,DWのトルクと等しくなる。

 また、減速回生中、駆動輪DW,DWのトルク 対する、駆動輪DW,DWからエンジン3に伝達さ るトルクの割合が大きい場合には、図25に示 すように、駆動輪DW,DWのトルクの一部が、第2 動力伝達経路PT2を介して第2ロータ35に伝達さ れ、残りは、副軸5および無段変速装置20を介 して、第1主軸4に伝達される。また、第1主軸 4に伝達されたトルクは、第1ロータ34に分配 れたトルクと合成された後、エンジン3に伝 される。以上の結果、各ギヤによる変速な がないとすれば、発電用等価トルクTGEとエ ジン3に伝達されるトルクとの和は、駆動輪 DW,DWのトルクと等しくなる。

 さらに、減速回生中、無段変速装置20の 速比RATIOは、前述した駆動時発電の場合と同 様、回転機31の最良の発電効率が得られるよ に制御され、それにより、第1および第2の ータ34,35の速度関係は、磁界回転方向が第1 よび第2のロータ34,35の回転方向と同方向に るように制御される。

 なお、減速回生による運転を次のように て行ってもよい。すなわち、クラッチCL3を 断するとともに、例えば電磁ブレーキやバ ドブレーキなどで構成されたロック機構(図 示せず)により、第1ロータ34を回転不能に保 することによって、第1ロータ回転速度VR1を 0に保持し、その状態で駆動輪DW,DWの動力を いて回転機31で発電を行ってもよい。これ より、図26に示すように、駆動輪DW,DWのトル はすべて、無段変速装置20を含む第1動力伝 経路PT1を介さずに、第2動力伝達経路PT2を介 して第2ロータ35に伝達されるので、駆動輪DW, DWの動力を、クランク軸3aに伝達せずに、電 に変換し、発電することができる。

  ・停車中ENG始動
 この停車中ENG始動は、車両の停止中に、エ ジン3を始動する動作モードである。停車中 ENG始動時、電磁ブレーキCL2のON制御により第2 ロータ35を回転不能に保持するとともに、ク ッチCL3の遮断によって、第1動力伝達経路PT1 を介したクランク軸3aと駆動輪DW,DWの連結を く。また、バッテリ45からステータ33に電力 供給する。これにより、回転機31の前述し 機能から明らかなように、駆動用等価トル TSEの2倍の大きさのトルクが、第1ロータ34に 達され、さらに、図27に示すように、第1主 4を介してクランク軸3aに伝達される。この 合、図28に示すように、回転磁界を逆転さ る。以上により、同図に示すように、第2ロ タ回転速度VR2が値0の状態、すなわち、駆動 輪DW,DWが停止した状態で、第1ロータ34がクラ ク軸3aとともに正転する。その状態で、エ ジン3の燃料噴射弁や点火プラグの点火動作 制御することによって、エンジン3が始動さ れる。

  ・ENGクリープ
 このENGクリープは、エンジン3の動力を用い て、車両のクリープ運転を行う動作モードで ある。ENGクリープ中、電磁ブレーキCL2のOFF制 御により第2ロータ35の回転を許容し、クラッ チCL3の遮断により第1動力伝達経路PT1を介し クランク軸3aと駆動輪DW,DWの連結を解く。ま 、回転機31において、第1ロータ34に伝達さ るエンジン3の動力の一部を電力に変換し、 電を行う。

 この発電に伴い、第2ロータ35には、発電 等価トルクTGEがステータ33から伝達される この場合、回転磁界が第1ロータ34の回転方 と逆方向に回転するため(図30に破線で示し 速度共線図を参照)、発電用等価トルクTGEは 第2ロータ35を第1ロータ34の回転方向と同方 に回転させるように作用する。また、図29 示すように、上記の発電用等価トルクTGEに り合うように、エンジントルクTENGの一部が 第1ロータ34を介して第2ロータ35にさらに伝 される。この場合、発電用等価トルクTGEと 1ロータ伝達トルクTR1の合成比は1:2である。 さらに、第2ロータ35に伝達されたトルクは、 第2動力伝達経路PT2を介して、駆動輪DW,DWに伝 達され、その結果、駆動輪DW,DWが正転する。 た、ENGクリープ中、回転機31において発電 る電力量は、第2ロータ回転速度VR2が非常に さくなるように制御され、それにより、ク ープ運転が行われる。

 このENGクリープでは、上述したようにエ ジントルクTENGの一部が駆動輪DW,DWに伝達さ るので、駆動輪DW,DWから大きな反力がエン ン3に作用するのを防止でき、したがって、 ンジンストールを伴わずに、クリープ運転 行うことができる。なお、以上のENGクリー による運転は、主として、充電状態SOCが小 いときや、車両の登坂時などに行われ、前 した車両の減速走行後の停車中にも行われ 。

  ・ENG発進
 このENG発進は、エンジン3の動力を用いて、 車両を発進させる動作モードであり、上述し たENGクリープによる運転中から車両を発進さ せる場合に選択される。ENG発進時、上述した ENGクリープの場合と同様、電磁ブレーキCL2お よびクラッチCL3を、OFF状態および遮断状態に それぞれ制御する。また、回転機31により発 する電力量を漸増させることによって、発 用等価トルクTGEを漸増させるとともに、逆 している回転磁界の磁界回転速度VMFを(図30 破線で示した速度共線図を参照)、値0にな ように制御する。なお、磁界回転速度VMFが 0のときには、エンジン3の動力(エネルギ)は ステータ33には伝達されず、第2ロータ35に べて伝達され、さらに、第2動力伝達経路PT2 介して駆動輪DW,DWに伝達される。

 そして、磁界回転速度VMFが値0になった後 には、バッテリ45からステータ33に電力を供 し、回転磁界を正転させる(図30の実線参照) その結果、図31に示すように、駆動用等価 ルクTSEおよびエンジントルクTENGが第2ロータ 35で合成された後、第2動力伝達経路PT2を介し て駆動輪DW,DWに伝達される。この場合、駆動 等価トルクTSE、すなわちステータ33に供給 れる電力と磁界回転速度VMFは、漸増するよ に制御される。以上により、図30に実線で示 すように、第2ロータ回転速度VR2が、それま の値0の状態(同図の破線)から上昇し、それ 伴い、車両が発進する。そして、車速VPが適 当に上昇した後には、無段変速装置20の変速 RATIOを制御することによって、クラッチCL3 入力軸および出力軸の回転数を互いに等し なるように制御し、その状態でクラッチCL3 接続され、前述したENG走行による運転が行 れる。

 上述したように、ENG発進時、発電用等価 ルクTGEおよび駆動用等価トルクTSEを漸増さ るので、エンジン3から第1および第2のロー 34,35を介して駆動輪DW,DWに伝達されるトルク が漸増する。したがって、駆動輪DW,DWからの きな反力がエンジン3に作用するのを防止で き、エンジンストールを伴わずに、車両を発 進させることができる。

 以上のように、本実施形態によれば、エ ジン3のクランク軸3aと第1ロータ34および駆 輪DW,DWとの連結、および、第2ロータ35と駆 輪DW,DWの連結が、従来の動力装置と異なり、 動力の分配・合成用の遊星歯車装置を用いる ことなく行われている。したがって、遊星歯 車装置における動力の伝達ロスが生じること がなく、エンジン3や回転機31による駆動輪DW, DWの駆動効率、駆動輪DW,DWの動力を用いた回 機31の発電効率、およびエンジン3の動力を いた回転機31の発電効率をいずれも高めるこ とができる。同じ理由により、遊星歯車装置 を用いる従来の場合と比較して、その構成を 単純化できるとともに、歯車の間におけるバ ックラッシによる影響を受けることなく、車 速VPを精度良く制御することができる。

 また、第2ロータ35が、無段変速装置20を まない第2動力伝達経路PT2を介して、駆動輪D W,DWに連結されており、クランク軸3aは、クラ ッチCL3の接続中には、無段変速装置20を含む 1動力伝達経路PT1を介して、駆動輪DW,DWに連 されており、回転磁界の発生中には、第1ロ ータ34や、第2ロータ35、第2動力伝達経路PT2を 介して、駆動輪DW,DWに連結されている。さら 、回転機31によるアシスト中、第1ロータ伝 トルクTR1の分、無段変速装置20を介さずに 力を駆動輪DW,DWに伝達できるので、無段変速 装置20における動力の伝達ロスを抑制でき、 力装置1全体としての駆動効率を高めること ができる。また、第1ロータ伝達トルクTR1の 、CVT伝達トルクTCVTを低減できるので、低減 れたCVT伝達トルクTCVTに見合った無段変速装 置を採用することによって、無段変速装置20 高効率化と小型化を図ることができ、ひい は、動力装置1全体としての小型化と駆動効 率のさらなる高効率化を達成できる。

 さらに、図17および図26を用いて説明した ように、EV発進時や減速回生中に、クラッチC L3の遮断によって、回転機31と駆動輪DW,DWの間 の動力の伝達を、第2動力伝達経路PT2や第2ロ タ35を介して、無段変速装置20をまったく介 さずに行うことができる。したがって、無段 変速装置20における動力の伝達ロスを完全に 避でき、回転機31による駆動輪DW,DWの駆動効 率と、駆動輪DW,DWの動力を用いた回転機31の 電効率をより一層、高めることができる。

 また、回転機31において、電機子磁極の 対数に対する永久磁石34aの磁石磁極の極対 の比(以下「極対数比」という)αが値2.0に設 されている。このような極対数比αの設定 より、EV発進時やENG発進時など、第2ロータ35 から駆動輪DW,DWに大きなトルクを伝達するよ な場合に、前記式(32)から明らかなように、 例えば極対数比αが値1.0未満のときよりも大 なトルクを、第2ロータ35から出力し、駆動 DW,DWに伝達することができる。したがって ステータ33に要求される駆動用等価トルクTSE および発電用等価トルクTGEの最大値をより小 さくすることができ、それにより、ステータ 33の小型化、ひいては、動力装置1のさらなる 小型化を図ることができる。さらに、上述し た極対数比αの設定によって、アシスト中、 対数比αが値1.0未満の場合と比較して、大 なトルクを第1ロータ34に伝達できるので、CV T伝達トルクTCVTをさらに低減でき、無段変速 置20のさらなる小型化を図ることができる

 また、変速比RATIOを無段階に変更可能な 段変速装置20が設けられているとともに、ア シスト中、エンジン回転数NEおよび磁界回転 度VMFが、エンジン3および回転機31の最良の 率が得られるように設定されたNECMD値およ VMFCMD値にそれぞれなるように、無段変速装 20の変速比RATIOが制御される。これにより、 ンジン3および回転機31の最良の効率が得ら るように、それらの出力を制御しながら、 動輪DW,DWを駆動することができる。したが て、動力装置1全体としての駆動効率をさら 高めることができる。

 さらに、ENG発進時、クラッチCL3を遮断す とともに、回転機31での発電電力およびス ータ33への供給電力を制御することによって 、エンジン3から第1および第2のロータ34,35を して駆動輪DW,DWに伝達されるトルクを漸増 せるので、エンジンストールを伴わずに、 両を発進させることができる。このため、 ンジン3と駆動輪DW,DWの間の連結を、摩擦式 発進クラッチを用いずに行うことが可能に る。また、車両の発進後、変速比RATIOの制御 によって、クラッチCL3の入力軸および出力軸 の回転数を互いに等しくなるように制御した 状態で、クラッチCL3が接続される。このため 、前述したEV走行中ENG始動による運転を、ク ッチCL3の接続によって行わず、スタータ(図 示せず)を用いて行う場合には、クラッチCL3 して、摩擦式のものに代えて、作動に必要 エネルギがより小さなON/OFF式の、例えばド 歯式のクラッチを用いることができる。そ 場合には、摩擦式の発進クラッチの駆動源 してエンジン3を用いた場合と比較して、エ ジン3の燃費を向上させることができる。

 さらに、図17および図18を用いて説明した ように、EVクリープ中やEV発進時、ワンウェ クラッチCL1およびケースCAにより、クランク 軸3aの逆転が阻止されるとともに、クラッチC L3により、クランク軸3aと駆動輪DW,DWの間が遮 断される。したがって、クランク軸3aの逆転 阻止しながら、駆動輪DW,DWを回転機31の動力 で適切に駆動することができる。この場合、 クラッチCL3の遮断により、エンジン3を引き ることがないので、その高い駆動効率を得 ことができる。

 また、図27および図28を用いて説明したよ うに、停車中ENG始動時、電磁ブレーキCL2によ り第2ロータ35を回転不能に保持し、クラッチ CL3によりクランク軸3aと駆動輪DW,DWの間を遮 するとともに、ステータ33に電力を供給し、 回転磁界を逆転させる。これにより、駆動輪 DW,DWを駆動することなく、クランク軸3aを正 させることができ、ひいては、エンジン3を 動することができる。

 次に、図32を参照しながら、本発明の第2 施形態による動力装置1Aについて説明する この動力装置1Aは、第1実施形態の動力装置1 比較して、正逆転切換機構60をさらに備え 点が主に異なっている。図32において、第1 施形態と同じ構成要素については、同じ符 を用いて示している。なお、同図において 便宜上、無段変速装置20については、簡略化 して示している。このことは、後述する他の 図面についても同様である。以下、第1実施 態と異なる点を中心として説明する。

 上記の正逆転切換機構60は、遊星歯車装 PS、クラッチCL4(第2クラッチ、ロータロック 構)および電磁ブレーキCL5(キャリアロック 構、ロータロック機構)を有している。この 星歯車装置PSは、サンギヤSと、このサンギ Sの外周に設けられたリングギヤRと、両ギ S,Rに噛み合う複数(例えば3つ)のプラネタリ ヤP(2つのみ図示)と、プラネタリギヤPを回転 自在に支持するキャリアCなどで構成されて る。サンギヤSは、前述した第2主軸6に一体 設けられており、第2主軸6と一体に回転自在 になっている。また、上記のリングギヤRは ドーナツ板状のフランジを介して、第3主軸6 cに一体に設けられている。この第3主軸6cは 中空に形成されるとともに、回転自在に設 られており、その内側には、前述した第1主 4が回転自在に嵌合している。以上の構成に より、リングギヤRは、第3主軸6cと一体に回 自在になっている。また、第1実施形態と異 り、前述した電磁ブレーキCL2は設けられて らず、前述したギヤ6bは、第2主軸6ではなく 、第3主軸6cに一体に設けられている。

 以上のように、サンギヤSは、第2主軸6を して第2ロータ35に連結されており、リング ヤRは、第3主軸6cやアイドラ軸8、差動ギヤ 構9などを介して駆動輪DW,DWに連結されてい 。すなわち、第2ロータ35は、第2主軸6、遊星 歯車装置PS、第3主軸6c、ギヤ6b、第3アイドラ ヤ8c、アイドラ軸8、第2アイドラギヤ8b、ギ 9a、差動ギヤ機構9、および駆動軸10,10を介 て、変速装置を用いることなく、駆動輪DW,DW に常に機械的に連結されている。本実施形態 では、上記の第2主軸6からギヤ6bまでの一連 構成要素が、第2動力伝達経路PT2に相当する

 上記のクラッチCL4は、例えば電磁クラッ であり、その締結度合がECU2により制御され ることによって、キャリアCと第2主軸6の間、 すなわち、キャリアCとサンギヤSの間を接続 遮断する。電磁ブレーキCL5は、ECU2によりON たはOFFされ、ON状態のときに、キャリアCを 転不能に保持するとともに、OFF状態のとき 、キャリアCの回転を許容する。

 以上の構成の動力装置1Aは、第1実施形態 同様、EV発進やENG発進などの各種の動作モ ドによって運転される。また、車両を前進 せる場合には、クラッチCL4の接続によりキ リアCとサンギヤSの間を接続するとともに、 電磁ブレーキCL5のOFF制御によりキャリアCの 転を許容する。その状態で、EV発進やENG発進 などの動作モードによる運転を前述したよう にして行うと、第2ロータ35に伝達された動力 は、サンギヤS、キャリアCおよびプラネタリ ヤPを介して、リングギヤRに伝達され、そ に伴い、サンギヤS、キャリアCおよびリング ギヤRは、第2ロータ35とともに一体に回転す 。また、リングギヤRに伝達された動力は、 3主軸6cや差動ギヤ機構9などを介して、駆動 輪DW,DWに伝達される。その結果、駆動輪DW,DW 正転し、車両が前進する。

 一方、車両を後進させる場合には、クラ チCL4の遮断によりキャリアCとサンギヤSの を遮断するとともに、電磁ブレーキCL5のON制 御によりキャリアCを回転不能に保持し、さ に、クラッチCL3を遮断状態に保持する。そ 状態で、EV発進やENG発進などの動作モードに よる運転を前述したようにして行うと、第2 ータ35に伝達された動力は、サンギヤSおよ プラネタリギヤPを介して、リングギヤRに伝 達され、上記のようにキャリアCが回転不能 保持されているため、リングギヤRは、サン ヤSすなわち第2ロータ35に対して、逆方向に 回転する。また、リングギヤRに伝達された 力は、第3主軸6cなどを介して駆動輪DW,DWに伝 達され、その結果、駆動輪DW,DWが逆転し、車 が後進する。この場合、遊星歯車装置PSの 性から明らかなように、リングギヤRには、 ンギヤSに伝達されたトルクが増大した状態 で伝達される。

 上述したような車両の後進を、エンジン3 の動力を用いて行う場合において、充電状態 SOCが前述した第1所定値SOCLよりも小さいとき は、エンジン回転数NEを、回転磁界が逆転 るように高めるとともに、回転機31で発電を 行い、発電した電力をバッテリ45に充電する これにより、図29や図30を用いて説明したENG クリープ中の動作から明らかなように、バッ テリ45を充電しながら、車両を後進させるこ ができる。

 以下、上述したようにクラッチCL4の接続 電磁ブレーキCL5のOFF制御によって、第2ロー タ35からの動力の回転方向を変更せずに、そ まま駆動輪DW,DWに伝達する正逆転切換機構60 の動作モードを、「正転モード」という。ま た、クラッチCL4の遮断と電磁ブレーキCL5のON 御によって、第2ロータ35からの動力の回転 向を逆方向に変更して、駆動輪DW,DWに伝達 る正逆転切換機構60の動作モードを、「逆転 モード」という。

 正逆転切換機構60における逆転モードの 択により駆動輪DW,DWを逆転させる場合には、 クラッチCL3は常に遮断状態に保持され、それ により、駆動輪DW,DWへの動力の伝達は、第1動 力伝達経路PT1を介さずに、第2動力伝達経路PT 2を介して行われる。換言すれば、逆転モー が選択されているときには、前述した各種 動作モードのうち、クラッチCL3が接続状態 保持されるENG走行などの動作モードは選択 れず、クラッチCL3が遮断状態に保持されるEV 発進やENG発進などの動作モードが選択される 。また、車両の前方への減速走行中に選択さ れる減速回生中には、正転モードが選択され る。

 なお、本実施形態では、図27を用いて説 した停車中ENG始動が選択されているときに 、第2ロータ35は次のようにして回転不能に 持される。すなわち、電磁ブレーキCL5のON制 御によりキャリアCを回転不能に保持すると もに、クラッチCL4の接続によりキャリアCと 2主軸6の間、すなわち、キャリアCと第2ロー タ35の間を接続する。これにより、第2ロータ 35は、キャリアCとともに回転不能に保持され る。

 以上のように、正逆転切換機構60のクラ チCL4および電磁ブレーキCL5を、第2ロータ35 回転不能に保持するロータロック機構とし 併用することができる。したがって、これ を併用せずに別個に設ける場合と比較して 動力装置1Aの部品点数を削減でき、ひいては 、動力装置1Aの小型化およびコストの削減を 成することができる。

 以上のように、本実施形態によれば、遊 歯車装置PS、クラッチCL4および電磁ブレー CL5で構成された単純な構成の正逆転切換機 60によって、第2ロータ35からの動力を用いた 駆動輪DW,DWの正転および逆転、すなわち、車 の前進および後進を、選択的に行うことが きる。この場合、第1実施形態で述べたENG発 進時の動作から明らかなように、摩擦式の発 進クラッチを用いることなく、エンジン3の 力を駆動輪DW,DWに伝達し、エンジンストール を伴わずに、停止中の車両を前進または後進 させることができる。また、車両の前進時に は、サンギヤS、キャリアCおよびリングギヤR が一体に回転するため、遊星歯車装置PSにお て、ギヤの噛み合いによる動力の伝達ロス 伴わずに、駆動輪DW,DWに動力を伝達するこ ができる。したがって、車両の前進時には 第1実施形態による効果をまったく同様に得 ことができる。なお、クラッチCL3の接続に りサンギヤS、キャリアCおよびリングギヤR 一体に回転しているときに、車両が後進す ように、遊星歯車装置PSと駆動輪DW,DWを連結 してもよい。

 次に、図33を参照しながら、本発明の第3 施形態による動力装置1Bについて説明する この動力装置1Bは、上述した第2実施形態の 力装置1Aと比較して、変速装置70(第2変速装 )をさらに備える点が主に異なっている。図3 3において、第2実施形態と同じ構成要素につ ては、同じ符号を用いて示している。以下 第2実施形態と異なる点を中心として説明す る。

 上記の変速装置70は、例えば、無段変速 置20と同様に構成されたベルト式の無段変速 装置であり、入力軸71および出力軸(図示せず )を有しており、この入力軸71に入力された動 力を、無段階に変速して上記の出力軸に出力 可能に構成されている。変速装置70の変速比r atio(入力軸71の回転数/出力軸の回転数)は、ECU 2によって制御される。また、入力軸71には、 ギヤ71aが一体に設けられており、このギヤ71a は、前述したギヤ6bに噛み合っている。さら 、変速装置70の出力軸は、前述したアイド 軸8に直結されている。

 以上のように、第2ロータ35は、第2主軸6 遊星歯車装置PS、第3主軸6c、ギヤ6b、ギヤ71a 変速装置70、アイドラ軸8、第2アイドラギヤ 8b、ギヤ9a、差動ギヤ機構9、および駆動軸10,1 0を介して、駆動輪DW,DWに常に機械的に連結さ れている。本実施形態では、上記の第2主軸6 ら変速装置70までの一連の構成要素が、第2 力伝達経路PT2に相当する。

 以上の構成の動力装置1Bでは、前述したEV 発進時や、ENG発進時、回転機31によるアシス 中、駆動時発電中などのように、第2ロータ 35から駆動輪DW,DWに動力を伝達する場合に、 速装置70の変速比ratioが次のようにして制御 れる。まず、要求トルクPMCMDおよび車速VPに 応じ、マップ(図示せず)を検索することによ て、目標磁界回転速度VMFCMDを算出する。こ マップでは、目標磁界回転速度VMFCMDは、そ ときの要求トルクPMCMDおよび車速VPに対して 、回転機31の最良の効率が得られるように設 されている。また、上記のマップは、エン ン3の停止時用と運転時用とに別個に用意さ れている。次いで、磁界回転速度VMFが算出さ れたVMFCMD値になるように、変速比ratioを制御 る。

 この場合、アシスト中および駆動時発電 、無段変速装置20の変速比RATIOは、第1実施 態と異なり、次のようにして制御される。 なわち、所定の目標エンジン回転数NECMDにエ ンジン回転数NEがなるように、変速比RATIOを 御する。この目標エンジン回転数NECMDは、エ ンジン3の最良の効率が得られるように設定 れている。本実施形態によれば、第1および 2の実施形態と異なり、変速装置70の変速比r atioを制御することによって、車速VPに対して 、第2ロータ回転速度VR2を自由に制御するこ ができる。

 したがって、無段変速装置20および変速 置70の変速比RATIO,ratioを制御することによっ 、車速VPに対し、エンジン回転数NEおよび磁 界回転速度VMFを、前記式(40)に基づく磁界回 速度VMF、第1および第2のロータ回転速度VR1,VR 2の間の関係とは無関係に、別個に自由に制 することができる。したがって、エンジン3 よび回転機31のより良好な効率が得られる うに、エンジン回転数NEおよび磁界回転速度 VMFをそれぞれ制御でき、それにより、エンジ ン3の駆動効率と回転機31の駆動効率および発 電効率を高めることができる。

 また、変速比ratioは、EV発進時などのよう に、車速VPが低く、回転機31に要求されるト クが大きいときには、値1.0よりも大きな減 側の所定値に制御される。これにより、第2 ータ35に伝達されたトルクは、変速装置70に おいて増大された後、駆動輪DW,DWに伝達され 。それに応じて、第2ロータ35に伝達される ルクが小さくなるように、回転機31に供給 れる電力(あるいは回転機31で発電される電 )が制御される。したがって、本実施形態に れば、回転機31に要求されるトルクの最大 を小さくすることができ、回転機31の小型化 およびコストの削減を図ることができる。

 さらに、車速VPが極めて高いときには、 速比ratioは、値1.0よりも小さな高速側の所定 値に制御される。これにより、車速VPに対し 、第2ロータ回転速度VR2が低下するので、第 2ロータ回転速度VR2の過大化による回転機31の 故障を防止することができる。

 なお、本実施形態では、第2ロータ35が駆 輪DW,DWに、変速装置70を介して連結されてい るため、第1実施形態のような変速装置にお る動力の伝達ロスの回避による効果は得ら ないものの、それ以外の第2実施形態による 果については、同様に得ることができる。

 次に、図34を参照しながら、本発明の第4 施形態による動力装置1Cについて説明する この動力装置1Cは、第2実施形態の動力装置1A と比較して、変速装置80(第3変速装置)をさら 備える点が主に異なっている。図34におい 、第2実施形態と同じ構成要素については、 じ符号を用いて示している。以下、第2実施 形態と異なる点を中心として説明する。

 上記の変速装置80は、入力軸81、出力軸、 遊星歯車装置、およびクラッチなどで構成さ れており(いずれも図示せず)、入力軸81に入 された動力を、出力軸にそのまま出力する 能と、減速した状態で出力する機能とを有 ている。このように、変速装置80では、変速 段として、変速比(入力軸81の回転数/出力軸 回転数)が値1.0よりも大きな所定値である第1 速と、変速比が値1.0である第2速とから成る 2つの変速段が設定されており、これらの変 段の切換はECU2によって行われる。

 また、動力装置1Cでは、第1および第2の実 施形態と異なり、フライホイール3bは、第1主 軸4ではなく、変速装置80の入力軸81に直結さ ており、第1主軸4は、変速装置80の出力軸に 直結されている。このように、第1ロータ34は 、第1主軸4、変速装置80およびフライホイー 3bを介して、クランク軸3aに常に機械的に連 されている。また、クラッチCL3の接続中、 ランク軸3aは、フライホイール3b、変速装置 80、第1主軸4、無段変速装置20、副軸5、クラ チCL3、ギヤ5b、第1アイドラギヤ8a、アイドラ 軸8、第2アイドラギヤ8b、ギヤ9a、差動ギヤ機 構9、および駆動軸10,10を介して、駆動輪DW,DW 機械的に連結されている。本実施形態では 上記のフライホイール3bから副軸5までの一 の構成要素が、第1動力伝達経路PT1に相当す る。さらに、差動ギヤ機構9のギヤ9aと第2ア ドラギヤ8bのギヤ比は、値1.0よりも大きな所 定値に設定されており、両ギヤ9a,8bによる減 度合は比較的大きい。

 以上の構成の動力装置1Cでは、ENG発進時 ENG走行中、変速装置80の変速段は、エンジン 回転数NEが極めて高いときには第1速に制御さ れ、それ以外のときには第2速に制御される これにより、エンジン回転数NEが極めて高い ときに、エンジン3の動力が、減速された状 で第1ロータ34に伝達されるので、第1ロータ 転速度VR1の過大化による回転機31の故障を 止することができる。前述したように第1ロ タ34は強度の低い永久磁石34aなどで構成さ ているため、上記の効果を特に有効に得る とができる。

 さらに、上述した変速装置80の変速段の 御によって、ENG発進時など、第1および第2の ロータ34,35を介して駆動輪DW,DWに極めて大き トルクが伝達されるようなときに、変速段 第2速に制御され、それにより、第1速に制御 した場合と比較して、第1ロータ34に入力され るエンジントルクTENGは小さくなる。それに じて、第1ロータ34に伝達されるエンジント クTENGが小さくなるように、回転機31で発電 れる電力が制御される。また、第1ロータ34 伝達されたエンジントルクTENGは、第2アイド ラギヤ8bおよびギヤ9aによる減速によって増 された状態で、駆動輪DW,DWに伝達される。以 上により、回転機31に要求されるトルクの最 値を小さくすることができ、回転機31のさ なる小型化およびコストの削減を図ること できる。

 なお、本実施形態では、クランク軸3aが 動輪DW,DWに、変速装置80を介して連結されて るため、第2実施形態のような変速装置にお ける動力の伝達ロスの抑制による効果は得ら れないものの、それ以外の第2実施形態によ 効果については、同様に得ることができる

 なお、これまでに述べた第1~第4の実施形 では、クラッチCL3を無段変速装置20と駆動 DW,DWの間に設けているが、第1主軸4の無段変 装置20と第1ロータ34の間に設けてもよい。 の場合、図19を用いて説明したEV走行中ENG始 時において、クラッチCL3の接続前に、各実 形態と異なり、無段変速装置20の両プーリ21 ,22に回転機31の動力が伝達され、両プーリ21,2 2が回転するので、その変速比RATIOを、両プー リ21,22および伝達ベルト23の接触面が傷つく を抑えながら、任意の値に制御することが きる。それに加え、図27を用いて説明した停 車中ENG始動時に、無段変速装置20を引きずる となく、エンジン3を始動することができる 。

 次に、図35を参照しながら、本発明の第5 施形態による動力装置1Dについて説明する この動力装置1Dは、第2実施形態の動力装置1A と比較して、無段変速装置20が省略されてい 点が主に異なっている。図35において、第2 施形態と同じ構成要素については、同じ符 を用いて示している。以下、第2実施形態と 異なる点を中心として説明する。

 第1主軸4には、ギヤ4bが一体に設けられて おり、このギヤ4bは、前述した副軸5と一体の ギヤ5bに噛み合っている。これらのギヤ4b,5b ギヤ比は、例えば1:1に設定されている。ま 、第2実施形態と異なり、前述したアイドラ 8には、第1アイドラギヤ8aが設けられておら ず、クラッチCL3は、その入力軸および出力軸 が副軸5およびアイドラ軸8にそれぞれ直結さ ており、その締結度合がECU2により制御され ることによって、副軸5とアイドラ軸8の間を 続・遮断する。さらに、前述したギヤ6bと 3アイドラギヤ8cのギヤ比は、例えば1:1.5に設 定されている。

 以上のように、動力装置1Dには、変速装 は設けられていない。また、以上の構成に り、クラッチCL3の接続中、クランク軸3aは、 フライホイール3b、第1主軸4、ギヤ4b、ギヤ5b 副軸5、クラッチCL3、アイドラ軸8、第2アイ ラギヤ8b、ギヤ9a、差動ギヤ機構9、および 動軸10,10を介して、変速装置を用いることな く、駆動輪DW,DWに機械的に連結されている。 たがって、車両の走行中、クラッチCL3が接 されている状態では、エンジン回転数NEは 速VPによって一義的に定まる。本実施形態で は、上記のフライホイール3bから副軸5までの 一連の構成要素が、第1動力伝達経路PT1に相 する。

 以上の構成の動力装置1Dでは、前述したEV クリープ、EV発進、EV走行中ENG始動、停車中EN G始動、ENGクリープ、およびENG発進による運 と、正逆転切換機構60を用いた車両の前後進 の切換が、第1および第2の実施形態の場合と 様にして行われ、ENG走行や減速回生のみが 第1および第2の実施形態の場合と異なって る。以下、これらについて説明する。

 まず、ENG走行について説明する。ENG走行 は、エンジン3の動力を伝達するための伝達 モードとして、第1伝達モードおよび第2伝達 ードが含まれる。この第1伝達モードは、後 述する車速VPに関する所定の条件が成立して ないときに選択され、第2伝達モードは、こ の所定の条件が成立しているときに選択され る。まず、第1伝達モードについて説明する

 第1伝達モード中、クラッチCL3の遮断によ って、上述した第1動力伝達経路PT1を介した ランク軸3aと駆動輪DW,DWの連結を解くととも 、回転機31の動作を制御することにより、 ンジントルクTENGを、第1および第2のロータ34 ,35と、第2主軸6などの第2動力伝達経路PT2を介 して、駆動輪DW,DWに伝達する。この場合、エ ジン回転数NE、車速VPなどによって定まる回 転磁界の回転方向が正転方向であるときには 、バッテリ45の電力がステータ33に供給され 逆転方向であるときには、回転機31において 発電が行われる。これにより、図30や図31を いて説明したENG発進の場合と同様、電力供 時には駆動用等価トルクTSEとエンジントル TENGが、発電時には発電用等価トルクTGEとエ ジントルクTENGが、いずれも正のトルクとし て合成された後、第2ロータ35や第2動力伝達 路PT2を介して、駆動輪DW,DWに伝達される。

 また、第1伝達モード中、エンジン3から 動輪DW,DWに伝達される動力は、磁界回転速度 VMFを制御することによって無段階に変速され る。すなわち、回転機31が無段変速装置とし 機能する。以下、この点について、図36お び図37を参照しながら説明する。

 前述した連結関係から明らかなように、 1ロータ回転速度VR1はエンジン回転数NEと等 く、第2ロータ回転速度VR2は、各ギヤによる 変速などがないとすれば、車速VPに相当する したがって、磁界回転速度VMFと、第1および 第2のロータ回転速度VR1,VR2と、エンジン回転 NEと、車速VPの関係は、図36や図37に示すよ に、1つの速度共線図上に表される。図36に すように、回転磁界が正転している場合に 、駆動輪DW,DWに伝達される動力は、同図に示 す中抜きの矢印から明らかなように、磁界回 転速度VMFを上昇させることによって増速側に 、低下させることによって減速側に、それぞ れ無段階に変速される。

 また、図37に示すように、回転磁界が逆 している場合には、駆動輪DW,DWに伝達される 動力は、同図に示す中抜きの矢印から明らか なように、磁界回転速度VMFを上昇させること によって減速側に、低下させることによって 増速側に、それぞれ無段階に変速される。こ の場合、磁界回転速度VMFは値0近傍に制御さ 、それにより、変速をある程度行いながら バッテリ45における電力の入出力が抑制され る。

 さらに、第1伝達モード中、要求トルクPMC MDが極めて大きくなり、車両を急加速させる 合には、スロットル弁開度などの制御によ 、エンジン回転数NEを急上昇させ、エンジ トルクTENGを急増させる。また、第1および第 2のロータ回転速度VR1,VR2の間の関係によって まる回転磁界の回転方向が、正転方向であ ときには(図36参照)、ステータ33に電力を供 し、逆転方向であるとき(図37参照)には、回 転機31において発電を行う。これにより、エ ジントルクTENGと駆動用等価トルクTSE(また 発電用等価トルクTGE)がいずれも、正のトル として合成された後、駆動輪DW,DWに伝達さ 、車両が急加速する。

 上記のように、車両の急加速時、第1伝達 モードによる動力伝達を行い、クラッチCL3の 遮断により、第1動力伝達経路PT1を介したエ ジン3と駆動輪DW,DWとの機械的な連結を解く とによって、エンジン回転数NEをそのときの 車速VPとは無関係に上昇させることができ、 ンジントルクTENGを急増させることができる 。また、そのようなエンジントルクTENGと駆 用または発電用等価トルクTSE,TGEとがいずれ 、正のトルクとして合成され、駆動輪DW,DW 伝達されるので、より大きなトルクを駆動 DW,DWに伝達できる。したがって、車両を速や かに加速させることができ、その商品性を高 めることができる。

 さらに、第1伝達モード中における車両の 登坂走行時には、充電状態SOCに応じて、エン ジン回転数NEおよび回転機31の動作を制御す 。具体的には、充電状態SOCが第1所定値SOCLよ りも大きく、バッテリ32の電力が十分に残っ いるときには、エンジン回転数NEを、車速VP に応じ、回転磁界が正転するように制御する とともに、バッテリ45から回転機31に電力を 給し、回転磁界を正転させる。これにより 上述したように、回転機31においてエンジン トルクTENGと駆動用等価トルクTSEが合成され 後、駆動輪DW,DWに伝達される。

 一方、車両の登坂走行中、充電状態SOCが 1所定値SOCLを下回ったときには、エンジン 転数NEを、回転磁界が逆転するように制御す るとともに、回転機31において発電を行い、 電した電力をバッテリ45に充電する。これ より、上述したように、回転機31においてエ ンジントルクTENGと発電用等価トルクTGEが合 された後、駆動輪DW,DWに伝達される。なお、 このバッテリ45の充電は、充電状態SOCが前述 た第2所定値SOCHに達するまで行われる。以 により、バッテリ45の過放電および過充電を 防止しながら、登坂走行を継続して行うこと ができる。

 また、第1伝達モード中、車両が定速走行 状態になり、かつ、車速VPが所定車速以上に ったときには、第1伝達モードに代えて、第 2伝達モードが選択される。第2伝達モード中 第1伝達モード中に遮断されていたクラッチ CL3を接続することによって、クランク軸3aを 第1および第2の動力伝達経路PT1,PT2の双方を して駆動輪DW,DWに連結する。このクラッチCL 3の接続は、スロットル弁開度の制御などに るエンジン回転数NEの制御によってクラッチ CL3の入力軸および出力軸の回転数を互いに同 じにした状態で、行われる。上記の所定回転 数は、クラッチCL3の接続により、クランク軸 3aを駆動輪DW,DWに第1動力伝達経路PT1を介して 結した場合に、エンジンストールを伴わず 車両を走行させることが可能な最低の回転 に設定されており、エンジン3の最大発生ト ルクが大きいほど、より小さな値に設定され ている。

 さらに、クラッチCL3が接続された第2伝達 モード中、スロットル弁開度は、車速VPによ て一義的に定まるエンジン回転数NEにおい 、エンジン3の最良の燃費が得られるように 御される。クラッチCL3が接続されていると には、エンジン3は駆動輪DW,DWに機械的にほ 直結された状態になるため、極めて高い駆 効率を得ることができる。

 また、第2伝達モードにおいて、上述した スロットル弁開度の制御(以下「最良燃費制 」という)の実行中、エンジン3から駆動輪DW, DWに伝達されるトルクが、要求トルクPMCMDに して不足するときには、その不足分を補う うに、ステータ33に電力が供給され、回転機 31によるアシストが行われる。一方、エンジ 3から駆動輪DW,DWに伝達されるトルクが要求 ルクPMCMDに対して余るときには、その余剰 を用いて、回転機31において発電が行われる とともに、発電した電力がバッテリ45に充電 れる。このような回転機31の制御によって 上述したようなクラッチCL3を接続した状態 エンジン3の最良の燃費が得られる運転領域 、拡大することができる。なお、上記の回 機31によるアシストは、充電状態SOCに応じ 行われる。

 なお、第1伝達モード中には、クラッチCL3 が遮断されるため、前述した正逆転切換機構 60の動作モードとして正転モードまたは逆転 ードが選択されるものの、第2伝達モード中 には、クラッチCL3が接続されるため、正転モ ードのみが選択される。

 また、減速回生には、その回生モードと て、第1回生モードおよび第2回生モードが まれる。まず、第1回生モードについて説明 る。

 この第1回生モード中には、クラッチCL3を 接続し、正逆転切換機構60の動作モードを正 モードに設定する(クラッチCL4:接続、電磁 レーキCL5:OFF)とともに、回転機31において発 を行い、発電した電力をバッテリ45に充電 る。第1実施形態において、図24および図25を 用いて説明したように、減速回生中、クラッ チCL3が接続された状態時では、エンジン3が 1動力伝達経路PT1を介して駆動輪DW,DWに機械 に連結されているため、ステータ33に伝達さ れる発電用等価トルクTGE、すなわち、充電さ れる電力は、エンジン3のフリクションが小 く、それにより、駆動輪DW,DWからエンジン3 伝達されるトルクが小さいほど、より大き 値に制御することができる。このため、第1 生モードは、エンジン回転数NEが低いため エンジン3のフリクションが小さいときに選 される。

 第2回生モード中の制御は、第1回生モー 中の制御と比較して、クラッチCL3を遮断す 点のみが異なっている。この場合、回転機31 の前述した機能から明らかなように、駆動輪 DW,DWから第2動力伝達経路PT2を介して第2ロー 35に伝達されたトルクは、ステータ33および 1ロータ34に1:2の分配比で分配される。この うにクラッチCL3の遮断時には、第1ロータ34 作用するエンジン3のフリクションが大きい ほど、ステータ33においてより大きな電力を 電することができるため、第2回生モードは 、エンジン回転数NEが高いためにエンジン3の フリクションが大きいときに選択される。な お、第1~第4の実施形態において、本実施形態 と同様にして減速回生による運転を行っても よいことは、もちろんである。

 また、第1実施形態と同様、クラッチCL3を 遮断するとともに、例えば電磁ブレーキやバ ンドブレーキなどで構成されたロック機構に より、第1ロータ34を回転不能に保持すること によって、第1ロータ回転速度VR1を値0に保持 、その状態で駆動輪DW,DWの動力を用いて減 回生による運転を行ってもよい。これによ 、図26を用いて説明したように、駆動輪DW,DW 動力を電力にすべて変換し、発電すること できる。

 以上のように、本実施形態によれば、ク ンク軸3aおよび第2ロータ35の双方が駆動輪DW ,DWに変速装置を用いることなく連結されてい るので、変速装置における動力の伝達ロスを 回避でき、エンジン3および回転機31による駆 動輪DW,DWの駆動効率と回転機31の発電効率を めることができる。また、第2実施形態の無 変速装置20が省略されており、その分、動 装置1Dの小型化およびコストの削減を達成す ることができる。

 さらに、ENG発進時には、回転機31におい 一旦、発電し、バッテリ45に充電した後に、 バッテリ45から回転機31への電力供給を行い ENG発進後のクラッチCL3を遮断した状態では 磁界回転速度VMFを値0近傍に制御する。また 所定の定速走行中には、クラッチCL3を接続 、エンジン3の動力を、ほぼ直結状態で駆動 輪DW,DWに伝達し、要求トルクPMCMDに応じて、 転機31によるアシストおよび発電を行う。以 上により、車両の走行中、バッテリ45への電 の入出力をほぼバランスさせることができ ので、バッテリ45の小型化を図ることがで 、それにより、動力装置1Dのさらなる小型化 およびコストの削減を達成することができる 。また、ENG発進後におけるクラッチCL3の遮断 中、図36および図37を用いて説明したように エンジン3の動力を、無段階に変速し、駆動 DW,DWに伝達することができる。

 さらに、クラッチCL3の遮断中、エンジン ルクTENGと駆動用等価トルクTSE(または発電 等価トルクTGE)とが、正のトルクとして第2ロ ータ35において合成された後、駆動輪DW,DWに 達されるので、より大きなトルクを駆動輪DW ,DWに伝達することができる。

 なお、本実施形態では、第2実施形態と異 なり、無段変速装置20が設けられていないた 、無段変速装置20による効果は得られない のの、それ以外の第2実施形態による効果に いては、同様に得ることができる。すなわ 、第1実施形態と同じ回転機31を有すること ら、動力の分配・合成用の遊星歯車装置を いないことによる効果や、前述した極対数 αの設定による効果が同様に得られるとと に、ENG発進が第1実施形態と同様にして行わ ることから、摩擦式の発進クラッチが不要 あることによる効果が同様に得られる。ま 、ワンウェイクラッチCL1、ケースCAおよび ラッチCL3を有することによるEV発進に関する 効果が同様に得られ、クラッチCL3,CL4および 磁ブレーキCL5を有することによる停車中ENG 動に関する効果が同様に得られるとともに 正逆転切換機構60を有することによる効果が 同様に得られる。

 また、本実施形態において、前述したEV 行中ENG始動をクラッチCL3の接続により行う 合には、第1および第2のロータ34,35の連結関 から明らかなように、クラッチCL3の接続に い、第1および第2のロータ回転速度VR1,VR2の 度比が、所定の速度比に固定される。この め、車速VPが高く、第2ロータ回転速度VR2が いときには、クラッチCL3を完全に接続せず 、滑らせることによって、エンジン回転数N Eをエンジン3の始動に適した低めの値に制御 、その状態で、燃料噴射弁などを制御し、 ンジン3を始動する。したがって、第1実施 態と同様、エンジン3の始動に伴って発生す 振動やノイズを抑制できるので、商品性を 上させることができる。

 次に、図38を参照しながら、本発明の第6 施形態による動力装置1Eについて説明する 同図に示すように、この動力装置1Eは、上述 した第5実施形態の動力装置1Dに、前述した第 3実施形態の変速装置70を組み合わせたもので ある。すなわち、動力装置1Eでは、第2ロータ 35は、第3実施形態で述べた遊星歯車装置PSや 速装置70を含む第2動力伝達経路PT2を介して 駆動輪DW,DWに常に機械的に連結されている また、動力装置1Eは、第5実施形態で述べた 種の動作モードにより第5実施形態と同様に て運転されるとともに、変速装置70が第3実 形態の場合と同様にして制御される。

 したがって、本実施形態によれば、主と て、回転機31の小型化およびコストの削減 図ることができるなど、第3および第5の実施 形態による効果の双方を同様に得ることがで きる。なお、本実施形態では、第2ロータ35が 駆動輪DW,DWに、変速装置70を介して連結され いるため、第5実施形態のような変速装置に ける動力の伝達ロスの回避による効果は得 れない。

 次に、図39を参照しながら、本発明の第7 施形態による動力装置1Fについて説明する 同図に示すように、この動力装置1Fは、第5 施形態の動力装置1Dに、前述した第4実施形 の変速装置80を組み合わせたものである。す なわち、動力装置1Fでは、第1ロータ34は、第1 主軸4、変速装置80およびフライホイール3bを して、クランク軸3aに常に機械的に連結さ ている。また、クラッチCL3の接続中には、 ランク軸3aは、フライホイール3b、変速装置8 0、第1主軸4、ギヤ4b、ギヤ5b、副軸5、クラッ CL3、アイドラ軸8、第2アイドラギヤ8b、ギヤ 9a、差動ギヤ機構9、および駆動軸10,10を介し 、駆動輪DW,DWに機械的に連結されている。 実施形態では、上記のフライホイール3bから 副軸5までの一連の構成要素が、第1動力伝達 路PT1に相当する。また、差動ギヤ機構9のギ ヤ9aと第2アイドラギヤ8bのギヤ比は、第4実施 形態と同様に設定されている。

 さらに、動力装置1Fは、第5実施形態で述 た各種の動作モードにより第5実施形態と同 様にして運転されるとともに、変速装置80が 4実施形態の場合と同様にして制御される。 したがって、本実施形態によれば、主として 、第1ロータ回転速度VR1の過大化による回転 31の故障を防止できるなど、第4および第5の 施形態による効果の双方を同様に得ること できる。すなわち、第1実施形態と同じ回転 機31を有することから、動力の分配・合成用 遊星歯車装置を用いないことによる効果や 極対数比αの設定による効果が同様に得ら るとともに、ENG発進が第1実施形態と同様に て行われることから、摩擦式の発進クラッ が不要であることによる効果が同様に得ら る。

 また、ワンウェイクラッチCL1、ケースCA よびクラッチCL3を有することによるEV発進に 関する効果が同様に得られ、クラッチCL3,CL4 よび電磁ブレーキCL5を有することによる停 中ENG始動に関する効果が同様に得られると もに、正逆転切換機構60を有することによる 効果が同様に得られる。さらに、第5実施形 と同様、クラッチCL3の遮断と回転機31の動作 の制御によって、エンジン3の動力を無段階 変速して駆動輪DW,DWに伝達できるとともに、 クラッチCL3の遮断中、エンジントルクTENGと 動用等価トルクTSE(または発電用等価トルクT GE)とを、正のトルクとして合成した後、駆動 輪DW,DWに伝達できる。

 なお、本実施形態では、クランク軸3aが 動輪DW,DWに、変速装置80を介して連結されて るため、第5実施形態のような変速装置にお ける動力の伝達ロスの回避による効果は得ら れない。

 なお、これまでに述べた第1~第7の実施形 では、極対数比αは値2.0に設定されている 、極対数比αを値1.0よりも小さく設定した場 合には、次の効果が得られる。すなわち、図 40は、極対数比αを値1.0よりも小さな第1所定 Xに設定した場合(実線)における磁界回転速 VMF、第1および第2のロータ回転速度VR1,VR2の の関係を、値1.0よりも大きな第2所定値Yに 定した場合におけるこれらの回転速度の間 関係(破線)とともに示している。また、同図 では、前述した連結関係から、第1ロータ回 速度VR1がエンジン回転数NEと等しく、かつ、 第2ロータ回転速度VR2が車速VPと等しいものと みなしている。

 例えば、車両の高速走行中で、図40に示 ように、エンジン回転数NEが所定の最高回転 数NEHにあり、かつ、車速VPが所定の最高速度V PHにあるときには、第2ロータ回転速度VR2が比 較的高い第1ロータ回転速度VR1を上回ること よって、磁界回転速度VMFは、比較的高い第2 ータ回転速度VR2を上回り、非常に高くなる これに対し、極対数比αを第1所定値Xに設定 した場合には、第2所定値Yに設定した場合よ もδV1分、磁界回転速度VMFを低下させること ができ、それにより、磁界回転速度VMFの過大 化による損失の発生により駆動効率や発電効 率が低下するのを、防止することができる。

 また、第1~第7の実施形態では、第1ロータ 34を駆動輪DW,DWに連結しているが、第1ロータ3 4は、クランク軸3aに連結されていれば、駆動 輪DW,DWに連結されていなくてもよい。例えば クランク軸3aを2つの回転軸にギヤなどを用 て連結し、一方の回転軸を第1ロータ34に連 するとともに、他方の回転軸を、第1主軸4 介して駆動輪DW,DWに連結してもよい。この場 合、第7実施形態において、クランク軸3aを駆 動輪DW,DWに変速装置80を介さずに連結できる で、第5実施形態と同様、変速装置における 力の伝達ロスの回避による駆動効率の高効 化を図ることができる。

 次に、図41を参照しながら、本発明の第8 施形態による動力装置1Gについて説明する この動力装置1Gは、前述した第1実施形態の 力装置1と比較して、エンジン3に対する第1 よび第2のロータ34,35の連結関係が逆になっ いる点のみが異なっている。図41において、 第1実施形態と同じ構成要素については、同 符号を用いて示している。以下、第1実施形 と異なる点を中心として説明する。

 図41に示すように、第2ロータ35は第1主軸4 に、第1ロータ34は第2主軸6に、それぞれ一体 設けられている。すなわち、動力装置1Gで 、第2ロータ35は、第1主軸4およびフライホイ ール3bを介して、クランク軸3aに常に機械的 連結されており、第1ロータ34は、第1実施形 で述べた変速装置を含まない第2動力伝達経 路PT2を介して、駆動輪DW,DWに常に機械的に連 されている。また、クラッチCL3の接続中、 ランク軸3aは、第1実施形態で述べた無段変 装置20を含む第1動力伝達経路PT1を介して、 動輪DW,DWに機械的に連結されている。さら 、クラッチCL3は、第1実施形態と異なり、摩 式のクラッチではなく、ドグ歯式のクラッ で構成されている。

 次に、ECU2の制御による動力装置1Gの動作 ついて説明する。動力装置1Gは、第1実施形 で述べたEVクリープなどの各種の動作モー を有しており、上記のような連結関係から これらの動作モードにおける制御の一部が 第1実施形態の場合と異なっている。以下、 れらの動作モードについて、停車中ENG始動 ら順に説明する。

  ・停車中ENG始動
 停車中ENG始動時、電磁ブレーキCL2をON状態 制御することによって、第2主軸6およびこれ と一体の第1ロータ34を回転不能に保持すると ともに、クラッチCL3の遮断により、第1動力 達経路PT1を介したクランク軸3aと駆動輪DW,DW 連結を解く。また、ステータ33に電力を供 する。以上により、図42に示すように、ステ ータ33からの駆動用等価トルクTSEが、第2ロー タ35に伝達され、さらに、クランク軸3aに伝 される。この場合、前記式(41)から明らかな うに、クランク軸3aには、駆動用等価トル TSEの3倍の大きさのトルクが伝達される。ま 、図43に示すように、回転磁界を正転させ 。以上により、同図に示すように、第1ロー 回転速度VR1が値0の状態、すなわち、駆動輪 DW,DWが停止した状態で、第2ロータ35がクラン 軸3aとともに正転する。その状態で、エン ン3の燃料噴射弁や点火プラグの点火動作を 御することによって、エンジン3が始動され る。

  ・ENGクリープ
 ENGクリープ中、電磁ブレーキCL2をOFF状態に 御することによって、第2主軸6およびこれ 一体の第1ロータ34の回転を許容する。また クラッチCL3を遮断し、回転機31において、第 2ロータ35に伝達されるエンジン3の動力の一 を電力に変換し、発電を行うとともに、発 した電力をバッテリ45に充電する。

 この発電に伴い、図44に示すように、エ ジントルクTENGの一部が、第2ロータ35に伝達 れ、この第2ロータ35に伝達されたトルクは ステータ33および第1ロータ34に分配される この場合のトルク分配比は、発電用等価ト クTGE:第1ロータ伝達トルクTR1=1:2である。ま 、第1ロータ34に分配されたトルクは、第2主 6などの第2動力伝達経路PT2を介して、駆動 DW,DWに伝達され、駆動輪DW,DWを正転させる方 に作用する。さらに、回転機31で発電する 力量は、第1ロータ回転速度VR1が非常に小さ なるように制御され、それにより、クリー 運転が行われる。このように、ENGクリープ 、第1実施形態と同様、エンジントルクTENG 一部が駆動輪DW,DWに伝達されるので、エンジ ンストールを伴わずに、クリープ運転を行う ことができる。

  ・ENG発進
 ENG発進時、上述したENGクリープの場合と同 、電磁ブレーキCL2およびクラッチCL3をOFF状 および遮断状態にそれぞれ制御するととも 、エンジントルクTENGおよびエンジン回転数 NEを高める。そして、回転機31で発電する電 量を漸増させることにより、第2ロータ35か ステータ33に伝達される発電用等価トルクTGE を漸増させる。この場合、上述したように、 第2ロータ35に伝達されたトルクが、ステータ 33と第1ロータ34に1:2の分配比で分配されるの 、上記のように発電用等価トルクTGEを漸増 せることによって、エンジン3から第2ロー 35および第1ロータ34を介して駆動輪DW,DWに伝 されるトルクが漸増する。さらに、発電に って発生する磁界回転速度VMFを高める。

 以上により、図45に実線で示すように、 1ロータ回転速度VR1が、それまでのほぼ値0の 状態(同図の破線)から上昇し、第1ロータ34に 結された駆動輪DW,DWの回転速度、すなわち 速VPも上昇し、車両が発進する。そして、車 速VPが適当に上昇した後には、無段変速装置2 0の変速比RATIOを制御することによって、クラ ッチCL3の前述した入力軸および出力軸の回転 数を互いに等しくなるように制御し、その状 態で、クラッチCL3を接続し、ENG走行による運 転が行われる。

 上述したように、ENG発進時、第1実施形態 と同様、エンジン3から駆動輪DW,DWに伝達され るトルクを漸増させることができるので、エ ンジンストールを伴わずに、車両を発進させ ることができる。

  ・ENG走行
 ENG走行中、前述した第1実施形態と同様、電 磁ブレーキCL2およびクラッチCL3をOFF状態およ び接続状態にそれぞれ制御するとともに、基 本的には、エンジン3の動力を、無段変速装 20で変速するとともに、第1動力伝達経路PT1 介して駆動輪DW,DWに伝達する。

 また、ENG走行中、エンジン3の動力は、基 本的には、最良の燃費が得られるように制御 される。さらに、充電状態SOCが前述した第1 定値SOCLよりも大きく、すなわち、バッテリ4 5の電力が十分に残っており、かつ、上記の うに制御されるエンジン3の動力がそのとき 車速VPおよび要求トルクPMCMDで定まる要求出 力に対して不足するときには、その不足分を 補うように、バッテリ45からステータ33に電 を供給し、回転機31によるアシストを行う。

 このアシスト中、図46に示すように、ス ータ33からの駆動用等価トルクTSEと、第1ロ タ34に後述するように伝達されるトルクが合 成され、第2ロータ35に伝達される。この場合 のトルク合成比は、駆動用等価トルクTSE:第1 ータ伝達トルクTR1=1:2である。第2ロータ35に 伝達されたトルクと、エンジントルクTENGは 成された後、第1主軸4および無段変速装置20 介してアイドラ軸8に伝達される。このアイ ドラ軸8に伝達されたトルクの一部は、第2動 伝達経路PT2(第2主軸6)を介して第1ロータ34に 伝達され、残りは、差動ギヤ機構9などを介 て駆動輪DW,DWに伝達される。以上の結果、駆 動輪DW,DWに伝達されるトルクは、各ギヤによ 変速などがないとすれば、エンジントルクT ENGと駆動用等価トルクTSEとの和に等しくなる 。

 一方、車両の走行中、充電状態SOCが前述 た第2所定値SOCHよりも小さく、すなわち、 ッテリ45の電力が比較的小さく、かつ、上述 したように最良の燃費が得られるように制御 されるエンジン3の動力が上述した要求出力 対して余るときには、その余剰分を用い、 転機31によって前述した駆動時発電を行うと ともに、発電した電力をバッテリ45に充電す 。この発電は、第1実施形態と同様、第2ロ タ35に伝達されるエンジン3の動力を用いて われる。

 この駆動時発電中、図47に示すように、 ンジントルクTENGの一部が、第2ロータ35に伝 され、さらに、ステータ33および第1ロータ3 4に1:2の分配比で分配される。エンジントル TENGの残りは、無段変速装置20に伝達され、 1ロータ34に上記のように分配されたトルク ともに、アイドラ軸8などを介して駆動輪DW,D Wに伝達される。その結果、駆動輪DW,DWに伝達 されるトルクは、各ギヤによる変速などがな いとすれば、エンジントルクTENGから、ステ タ33に伝達される発電用等価トルクTGEを差し 引いた大きさになる。

 また、アシスト中および駆動時発電中、 段変速装置20の変速比RATIOの制御は、第1実 形態と同様にして行われ、エンジン3および 転機31の最良の効率が得られるように行わ る。これにより、第1および第2のロータ34,35 速度関係は、磁界回転方向が第1および第2 ロータ34,35の回転方向と同方向になるように 制御される。

 図48は、上述した回転機31によるアシスト 中および駆動時発電中、エンジントルクTENG 一定とした場合において、駆動輪DW,DWや無段 変速装置20などに伝達されるトルクを、エン ントルクTENGに対する比で表したものである 。なお、図48において、各ギヤによる変速な はないものとする。同図に示すように、ア スト中、駆動輪DW,DWに伝達される足軸駆動 ルクTDRDWは、エンジントルクTENGと駆動用等 トルクTSEとの和に等しく、TSE値が大きいほ 、より大きくなる。また、前述したように 第2ロータ35に伝達された第2ロータ伝達トル TR2とエンジントルクTENGを合成した合成トル クが、無段変速装置20に伝達されることと、 動用等価トルクTSEが大きいほど、この第2ロ ータ伝達トルクTR2がより大きくなることから 、無段変速装置20に伝達されるCVT伝達トルクT CVTは、駆動用等価トルクTSEが大きいほど、よ り大きくなる。さらに、図48において、矢印H およびIは、車両の最大出力時における足軸 動トルクTDRDWおよびCVT伝達トルクTCVTをそれ れ表している。

 また、図48に示すように、駆動時発電中 足軸駆動トルクTDRDWは、エンジントルクTENG ら発電用等価トルクTGEを差し引いた大きさ なり、発電用等価トルクTGEが大きいほど、 なわち発電する電力量が大きいほど、より さくなる。さらに、前述したように、発電 伴い、第2ロータ伝達トルクTR2がステータ33 よび第1ロータ34に分配されることから、第2 ータ伝達トルクTR2は、ステータ33に分配さ る発電用等価トルクTGEが大きいほど、より きくなる。また、エンジントルクTENGの一部 第2ロータ35に伝達されるとともに、エンジ トルクTENGの残りが無段変速装置20に伝達さ るため、CVT伝達トルクTCVTは、第2ロータ伝 トルクTR2が大きいほど、すなわち、発電用 価トルクTGEが大きいほど、より小さくなる

 また、図48において、矢印JおよびKは、通 常の駆動時発電中における足軸駆動トルクTDR DWおよびCVT伝達トルクTCVTをそれぞれ表してい る。無段変速装置20をエンジン3に直結した場 合、エンジントルクTENGが無段変速装置20にそ のまま伝達されるのに対し、本実施形態によ れば、第2ロータ伝達トルクTR2の分、図48に矢 印Lで示すように、CVT伝達トルクTCVTを低減す ことができる。この場合、第2ロータ35から テータ33および第1ロータ34へのトルク分配 が1:2であるので、発電用等価トルクTGEの3倍 大きさのトルクの分、CVT伝達トルクTCVTは低 減される。

  ・減速回生
 減速回生中、第1実施形態と同様、電磁ブレ ーキCL2をOFF状態に制御するとともに、回転機 31において発電を行い、発電した電力をバッ リ45に充電する。

 減速回生中、クラッチCL3を接続状態に保 したときには、図49に示すように、第2ロー 35に後述するように伝達されたトルクは、 テータ33および第1ロータ34に分配される。第 1ロータ34に分配されたトルクは、第2主軸6を してアイドラ軸8に伝達され、駆動輪DW,DWの ルクとともに、副軸5や無段変速装置20を介 て、第1主軸4に伝達される。第1主軸4に伝達 されたトルクの一部は、第2ロータ35に伝達さ れ、残りはエンジン3に伝達される。以上の 果、ステータ33に伝達される発電用等価トル クTGEとエンジン3に伝達されるトルクとの和 、駆動輪DW,DWのトルクと等しくなる。なお、 この場合、無段変速装置20の変速比RATIOは、 1実施形態と同様、回転機31の最良の発電効 が得られるように制御され、それにより、 1および第2のロータ34,35の速度関係は、磁界 転方向が第1および第2のロータ34,35の回転方 向と同方向になるように制御される。

 また、減速回生中、クラッチCL3を遮断し と仮定した場合に、そのときのエンジン回 数NEに相当する第2ロータ回転速度VR2と、車 VPに相当する第1ロータ回転速度VR1とによっ 定まる回転磁界の回転方向が、図50に示す うに、第1ロータ34の回転方向と逆方向であ ときには、クラッチCL3を遮断した状態で、 電を行うことができる。この場合、回転磁 が第1ロータ34の回転方向と逆方向に回転す ため、図51に示すように、駆動輪DW,DWから第2 動力伝達経路PT2を介して第1ロータ34に伝達さ れたトルクと、ステータ33からの発電用等価 ルクTGEは、第2ロータ35において合成され、 ンジン3に伝達される。すなわち、この場合 、エンジン3から第2ロータ35に作用するフリ ションを利用して、第1ロータ34に伝達され 駆動輪DW,DWの動力(エネルギ)を、ステータ33 伝達し、電力に変換することができる。し がって、上記のようにクラッチCL3を遮断し 状態で発電を行う場合には、エンジン3のフ クションが大きいほど、より大きな電力を 電し、バッテリ45に充電することができる

 逆に、減速回生中、クラッチCL3を接続し いるときには、エンジン3および駆動輪DW,DW 、第1動力伝達経路PT1を介して互いに機械的 に連結されているため、エンジン3のフリク ョンが大きいほど、駆動輪DW,DWからエンジン 3に伝達されるトルクがより大きくなり、そ 結果、ステータ33に分配される発電用等価ト ルクTGEが小さくなり、バッテリ45に充電され 電力が小さくなる。以上のことから、減速 生中、エンジン3のフリクションが小さいと きには、クラッチCL3が接続され、大きいとき には、クラッチCL3が遮断され、それにより、 より大きな電力をバッテリ45に充電すること できる。

 また、減速回生を次のようにして行って よい。すなわち、クラッチCL3を遮断すると もに、例えば電磁ブレーキやバンドブレー などで構成されたロック機構(図示せず)に り、第2ロータ35を回転不能に保持すること よって、第2ロータ回転速度VR2を値0に保持し 、その状態で駆動輪DW,DWの動力を用いて回転 31で発電を行ってもよい。これにより、図52 に示すように、駆動輪DW,DWのトルクをすべて 無段変速装置20を含む第1動力伝達経路PT1を さずに、第2動力伝達経路PT2を介して第1ロ タ34に伝達できるとともに、駆動輪DW,DWの動 を電力にすべて変換し、発電することがで る。

  ・EVクリープ
 EVクリープ中には、電磁ブレーキCL2および ラッチCL3をOFF状態および遮断状態にそれぞ 制御するとともに、バッテリ45からステータ 33に電力を供給し、回転磁界を逆転するよう 発生させる。第2ロータ35は、ワンウェイク ッチCL1およびケースCAによって、クランク 3aとともに逆転するのを阻止されている。こ のため、図53に示すように、ステータ33から 駆動用等価トルクTSEは、第1ロータ34に伝達 れ、さらに、無段変速装置20を含む第1動力 達経路PT1を介さずに、第2動力伝達経路PT2を して、駆動輪DW,DWに伝達される。また、ス ータ33に供給される電力は、第1ロータ回転 度VR1が非常に小さくなるように制御され、 れにより、クリープ運転が行われる。

  ・EV発進
 EV発進時、上述したEVクリープと同様にして 電磁ブレーキCL2およびクラッチCL3を制御し( 磁ブレーキCL2:OFF、クラッチCL3:遮断)、バッ リ45からステータ33に供給する電力を増大さ 、駆動用等価トルクTSEを増大させるととも 、逆転している回転磁界の磁界回転速度VMF 高める。これにより、図54に示すように、 2ロータ回転速度VR2が値0、すなわち、クラン ク軸3aが停止した状態で、第1ロータ回転速度 VR1が上昇し、それに伴い、車両が発進し、走 行する。

  ・EV走行中ENG始動
 EV走行中ENG始動時、ステータ33への電力供給 を停止し、車両を惰性で走行させる。その状 態で、スタータ(図示せず)によってクランク 3aを正転させるとともに、燃料噴射弁など 制御することによって、エンジン3を始動す 。また、エンジン3の始動後、無段変速装置 20の変速比RATIOを制御することによって、ク ッチCL3の入力軸および出力軸の回転数を互 に等しくなるように制御し、その状態で、 れまで遮断されていたクラッチCL3を接続す 。

 以上のように、本実施形態によれば、エ ジン3のクランク軸3aと第2ロータ35および駆 輪DW,DWとの連結、および、第1ロータ34と駆 輪DW,DWの連結が、従来の動力装置と異なり、 動力の分配・合成用の遊星歯車装置を用いる ことなく行われている。したがって、遊星歯 車装置における動力の伝達ロスが生じること がなく、エンジン3や回転機31による駆動輪DW, DWの駆動効率、駆動輪DW,DWの動力を用いた回 機31の発電効率、およびエンジン3の動力を いた回転機31の発電効率をいずれも高められ るなど、遊星歯車装置を用いないことによる 効果を、第1実施形態の場合と同様に得るこ ができる。

 また、第1ロータ34が無段変速装置20を含 ない第2動力伝達経路PT2を介して、駆動輪DW,D Wに連結されており、クランク軸3aは、クラッ チCL3の接続中には、無段変速装置20を含む第1 動力伝達経路PT1を介して、駆動輪DW,DWに連結 れており、回転磁界の発生中には、第2ロー タ35や、第1ロータ34、第2動力伝達経路PT2を介 して、駆動輪DW,DWに連結されている。さらに 回転機31による駆動時発電中、第2ロータ伝 トルクTR2の分、無段変速装置20を介さずに 力を駆動輪DW,DWに伝達できるので、無段変速 装置20における動力の伝達ロスを抑制でき、 力装置1全体としての駆動効率を高めること ができる。また、第2ロータ伝達トルクTR2の 、CVT伝達トルクTCVTを低減できるので、低減 れたCVT伝達トルクTCVTに見合った無段変速装 置を採用することによって、無段変速装置20 高効率化と小型化を図ることができ、ひい は、動力装置1G全体としての小型化と駆動 率のさらなる高効率化を達成できる。

 さらに、図52および図53を用いて説明した ように、減速回生中やEV発進時に、クラッチC L3の遮断によって、回転機31と駆動輪DW,DWの間 の動力の伝達を、第2動力伝達経路PT2や第1ロ タ34を介して、無段変速装置20をまったく介 さずに行うことができる。したがって、無段 変速装置20における動力の伝達ロスを完全に 避でき、回転機31による駆動輪DW,DWの駆動効 率と、駆動輪DW,DWの動力を用いた回転機31の 電効率をより一層、高めることができる。

 また、第1実施形態と同様、回転機31にお て、極対数比αが値2.0に設定されているの 、ステータ33の小型化、ひいては、動力装置 1G全体としてのさらなる小型化を図ることが きるとともに、駆動時発電中、CVT伝達トル TCVTをさらに低減でき、無段変速装置20のさ なる小型化を図ることができる。

 さらに、無段変速装置20の変速比RATIOが第 1実施形態と同様にして制御される。これに り、エンジン3および回転機31の最良の効率 得られるように、それらの出力を制御しな ら、駆動輪DW,DWを駆動することができる。し たがって、動力装置1G全体としての駆動効率 高めることができる。

 また、第1実施形態と同様、ENG発進時、ク ラッチCL3を遮断するとともに、回転機31の動 を制御することによって、エンジン3から第 2および第1のロータ35,34を介して駆動輪DW,DWに 伝達されるトルクを漸増させるので、エンジ ンストールを伴わずに、車両を発進させるこ とができる。それに加え、ENG発進後やEV走行 ENG始動後、クラッチCL3の接続を、その入力 および出力軸の回転数が互いに等しい状態 行うことができるので、本実施形態では、 1実施形態と異なり、クラッチCL3として、摩 擦式のクラッチではなく、ドグ歯式のクラッ チを用いている。したがって、エンジン3の 費を向上させることができる。

 さらに、図53および図54を用いて説明した ように、EVクリープ中やEV発進時、ワンウェ クラッチCL1およびケースCAにより、クランク 軸3aの逆転が阻止されるとともに、クラッチC L3により、クランク軸3aと駆動輪DW,DWの間が遮 断される。したがって、クランク軸3aの逆転 阻止しながら、駆動輪DW,DWを回転機31の動力 で適切に駆動することができる。この場合、 クラッチCL3の遮断により、エンジン3を引き ることがないので、その高い駆動効率を得 ことができる。

 また、図42および図43を用いて説明したよ うに、停車中ENG始動時、電磁ブレーキCL2によ り第1ロータ34を回転不能に保持し、クラッチ CL3によりクランク軸3aと駆動輪DW,DWの間を遮 するとともに、ステータ33に電力を供給し、 回転磁界を正転させる。これにより、駆動輪 DW,DWを駆動することなく、クランク軸3aを正 させることができ、ひいては、エンジン3を 動することができる。

 次に、図55を参照しながら、本発明の第9 施形態による動力装置1Hについて説明する 同図に示すように、この動力装置1Hは、上述 した第8実施形態の動力装置1Gに、前述した第 2実施形態の正逆転切換機構60を組み合わせた ものである。すなわち、動力装置1Hでは、第1 ロータ34は、第2実施形態で述べた遊星歯車装 置PSを含む第2動力伝達経路PT2を介して、変速 装置を用いることなく、駆動輪DW,DWに常に機 的に連結されている。また、動力装置1Hは 第8実施形態で述べた各種の動作モードによ 第8実施形態と同様にして運転されるととも に、正逆転切換機構60が第2実施形態と同様に して制御される。

 したがって、本実施形態によれば、EV発 やENG発進などのように、回転機31やエンジン 3の動力を、第1ロータ34および第2動力伝達経 PT2を介して駆動輪DW,DWに伝達する場合に、 2実施形態と同様、正逆転切換機構60の制御 よって、駆動輪DW,DWの正転および逆転、すな わち、車両の前進および後進を、選択的に行 うことができる。この場合、第8実施形態で べたENG発進時の動作から明らかなように、 擦式の発進クラッチを用いることなく、エ ジン3の動力を駆動輪DW,DWに伝達し、エンジ ストールを伴わずに、停止中の車両を前進 たは後進させることができる。また、第2実 形態と同様、車両の前進時、サンギヤS、キ ャリアCおよびリングギヤRが一体に回転する め、遊星歯車装置PSにおいて、ギヤの噛み いによる動力の伝達ロスを伴わずに、動力 駆動輪DW,DWに伝達することができる。その他 、第8実施形態による効果を同様に得ること できる。

 次に、図56を参照しながら、本発明の第10 実施形態による動力装置1Iについて説明する 同図に示すように、この動力装置1Iは、上 した第9実施形態の動力装置1Hに、前述した 3実施形態の変速装置70を組み合わせたもの ある。すなわち、動力装置1Iでは、第1ロー 34は、第3実施形態で述べた遊星歯車装置PSや 変速装置70を含む第2動力伝達経路PT2を介して 、駆動輪DW,DWに常に機械的に連結されている また、動力装置1Iは、第9実施形態で述べた 種の動作モードにより第9実施形態と同様に して運転されるとともに、変速装置70が第3実 施形態と同様にして制御される。

 したがって、本実施形態によれば、主と て、第3および第9の実施形態による効果の 方を同様に得ることができる。この場合、 実施形態では、第3実施形態と異なり、強度 低い永久磁石34aで構成された第1ロータ34が 速装置70を介して駆動輪DW,DWに連結されてい るため、第1ロータ回転速度VR1の過大化によ 回転機31の故障を防止する上で、特に有効で ある。なお、本実施形態では、第1ロータ34が 駆動輪DW,DWに、変速装置70を介して連結され いるため、第9実施形態のような変速装置に ける動力の伝達ロスの回避による効果は得 れない。

 次に、図57を参照しながら、本発明の第11 実施形態による動力装置1Jについて説明する 同図に示すように、この動力装置1Jは、第9 施形態の動力装置1Hに、第4実施形態の変速 置80を組み合わせたものである。すなわち 動力装置1Jでは、第2ロータ35は、第1主軸4、 速装置80およびフライホイール3bを介して、 クランク軸3aに常に機械的に連結されている また、クラッチCL3の接続中、クランク軸3a 、第4実施形態で述べた変速装置80および無 変速装置20を含む第1動力伝達経路PT1を介し 、駆動輪DW,DWに機械的に連結されている。さ らに、差動ギヤ機構9のギヤ9aと第2アイドラ ヤ8bのギヤ比は、第4実施形態と同様に設定 れている。さらに、動力装置1Jは、第9実施 態で述べた各種の動作モードにより第9実施 態と同様にして運転されるとともに、変速 置80が第4実施形態と同様にして制御される

 したがって、本実施形態によれば、主と て、第4および第9の実施形態による効果の 方を同様に得ることができる。なお、本実 形態では、クランク軸3aが第2ロータ35に、変 速装置80を介して連結されているため、第9実 施形態のような変速装置における動力の伝達 ロスの抑制による効果は得られない。

 なお、第8~第11実施形態では、クラッチCL3 を無段変速装置20と駆動輪DW,DWの間に設けて るが、第1主軸4の無段変速装置20と第2ロータ 35の間に設けてもよい。この場合、EV走行中EN G始動時において、クラッチCL3の接続前に、 実施形態と異なり、無段変速装置20の両プー リ21,22に回転機31の動力が伝達され、両プー 21,22が回転するので、その変速比RATIOを、両 ーリ21,22および伝達ベルト23の接触面が傷つ くのを抑えながら、任意の値に制御すること ができる。それに加え、図42を用いて説明し 停車中ENG始動時に、無段変速装置20を引き ることなく、エンジン3を始動することがで る。

 次に、図58を参照しながら、本発明の第12 実施形態による動力装置1Kについて説明する 同図に示すように、この動力装置1Kは、前 した第5実施形態の動力装置1Dと比較して、 ンジン3に対する第1および第2のロータ34,35の 連結関係が逆になっている点のみが異なって いる。第2ロータ35は第1主軸4に、第1ロータ34 第2主軸6に、それぞれ一体に設けられてい 。換言すれば、動力装置1Kは、前述した第9 施形態の動力装置1Gと比較して、無段変速装 置20が省略されている点のみが異なっており 動力装置1Kには、変速装置は設けられてい い。

 このように、第2ロータ35は、第8実施形態 と同様、第1主軸4およびフライホイール3bを して、クランク軸3aに常に機械的に連結され ている。また、第1ロータ34は、第2実施形態 述べた第2動力伝達経路PT2を介して、変速装 を用いることなく、駆動輪DW,DWに常に機械 に連結されている。さらに、クラッチCL3の 続中、クランク軸3aは、第5実施形態で述べ 第1動力伝達経路PT1を介して、変速装置を用 ることなく、駆動輪DW,DWに機械的に連結さ ている。

 また、動力装置1Kでは、前述したEVクリー プ、EV発進、EV走行中ENG始動、停車中ENG始動 ENGクリープ、およびENG発進による運転や、 逆転切換機構60を用いた車両の前後進の切換 が、第8および第9の実施形態と同様にして行 れ、ENG走行のみが第8および第9の実施形態 異なっている。以下、この点について説明 る。

 ENG走行には、第5実施形態と同様、エンジ ン3の動力を伝達するための伝達モードとし 、第1伝達モードおよび第2伝達モードが含ま れる。第2伝達モードは、車両が所定車速以 の定速走行状態にあるときに選択され、第1 達モードは、それ以外のときに選択される まず、第1伝達モードについて説明する。

 第1伝達モード中、クラッチCL3の遮断によ って、第1動力伝達経路PT1を介したクランク 3aと駆動輪DW,DWの連結を解くとともに、回転 31の動作を制御することにより、エンジン ルクTENGを、第2および第1のロータ35,34と、第 2主軸6などの第2動力伝達経路PT2を介して、駆 動輪DW,DWに伝達する。この場合、エンジン回 数NE、車速VPなどによって定まる回転磁界の 回転方向が正転方向であるときには、第5実 形態と異なり、回転機31において発電が行わ れ、逆転方向であるときには、バッテリ45か ステータ33に電力が供給される。これによ 、発電時には、図44などを用いて説明したENG 発進時と同様、エンジントルクTENGが、ステ タ33および第1ロータ34に分配され、第1ロー 34に伝達されたトルクは、第2動力伝達経路PT 2を介して、駆動輪DW,DWに伝達される。また、 上述したステータ33への電力供給時には、エ ジントルクTENGが、駆動用等価トルクTSEを反 力とし、第2ロータ35を介して第1ロータ34に伝 達され、さらに、第2動力伝達径路PT2を介し 、駆動輪DW,DWに伝達される。

 また、第1伝達モード中、エンジン3から 動輪DW,DWに伝達される動力は、磁界回転速度 VMFを制御することによって無段階に変速され る。すなわち、回転機31が無段変速装置とし 機能する。以下、この点について、図59お び図60を参照しながら説明する。

 前述した連結関係から明らかなように、 2ロータ回転速度VR2はエンジン回転数NEと等 く、第1ロータ回転速度VR1は、各ギヤによる 変速などがないとすれば、車速VPに相当する したがって、磁界回転速度VMFと、第1および 第2のロータ回転速度VR1,VR2とエンジン回転数N Eと車速VPの関係は、図59や図60に示すように 1つの速度共線図上に表される。

 図59に示すように、回転磁界が正転して る場合には、駆動輪DW,DWに伝達される動力は 、同図に示す中抜きの矢印から明らかなよう に、磁界回転速度VMFを上昇させることによっ て減速側に、低下させることによって増速側 に、それぞれ無段階に変速される。また、図 60に示すように、回転磁界が逆転している場 には、駆動輪DW,DWに伝達される動力は、同 に示す中抜きの矢印から明らかなように、 界回転速度VMFを上昇させることによって増 側に、低下させることによって減速側に、 れぞれ無段階に変速される。この場合、磁 回転速度VMFは値0近傍に制御され、それによ 、変速をある程度行いながら、バッテリ45 おける電力の入出力が抑制される。

 さらに、第1伝達モード中、要求トルクPMC MDが極めて大きくなり、車両を急加速させる 合には、スロットル弁開度などの制御によ 、エンジン回転数NEを急上昇させ、エンジ トルクTENGを急増させる。また、第1および第 2のロータ回転速度VR1,VR2の間の関係によって まる回転磁界の回転方向が、正転方向であ ときには(図59参照)、回転機31で発電を行う ともに、発電した電力をバッテリ45に充電 、逆転方向であるとき(図60参照)には、ステ タ33に電力を供給する。これにより、上述 たように、急増したエンジントルクTENGが第2 ロータ35や、第1ロータ34、第2動力伝達経路PT2 を介して、駆動輪DW,DWに伝達される。その結 、車両が急加速する。

 さらに、第1伝達モード中、回転機31での 電電力、およびステータ33への供給電力は れぞれ、駆動用等価トルクTSEおよび発電用 価トルクTGEがエンジントルクTENGの1/3になる うに制御される。

 上記のように、車両の急加速時、第5実施 形態と同様、第1伝達モードによる動力伝達 行い、クラッチCL3の遮断により、第1動力伝 経路PT1を介したエンジン3と駆動輪DW,DWとの 械的な連結を解くことによって、エンジン 転数NEをそのときの車速VPとは無関係に上昇 させることができ、エンジントルクTENGを急 させることができる。また、上述した回転 31の制御によって、回転機31の前述した機能 ら明らかなように、急増したエンジントル TENGの2/3の大きさのトルクが、第2ロータ35や 第1ロータ34を介して、駆動輪DW,DWに伝達され ので、比較的大きなトルクを駆動輪DW,DWに 達できる。したがって、車両を速やかに加 させることができ、その商品性を高めるこ ができる。

 さらに、第1伝達モード中における車両の 登坂走行時には、充電状態SOCに応じて、エン ジン回転数NEおよび回転機31の動作を制御す 。具体的には、充電状態SOCが第1所定値SOCLよ りも大きく、バッテリ32の電力が十分に残っ いるときには、エンジン回転数NEを、車速VP に応じ、回転磁界が逆転するように制御する とともに、バッテリ45から回転機31に電力を 給し、回転磁界を逆転させる。これにより エンジントルクTENGが、駆動輪DW,DWに前述し ように伝達される。

 一方、車両の登坂走行中、充電状態SOCが 1所定値SOCLを下回ったときには、エンジン 転数NEを、回転磁界が正転するように制御す るとともに、回転機31において発電を行い、 電した電力をバッテリ45に充電する。これ より、エンジントルクTENGが、駆動輪DW,DWに 述したように伝達される。なお、このバッ リ45の充電は、充電状態SOCが前述した第2所 値SOCHに達するまで行われる。以上により、 5実施形態と同様、バッテリ45の過放電およ 過充電を防止しながら、登坂走行を継続し 行うことができる。

 また、第2伝達モード中、第1伝達モード に遮断されていたクラッチCL3を接続するこ によって、クランク軸3aを、第1および第2の 力伝達経路PT1,PT2の双方を介して駆動輪DW,DW 連結する。このクラッチCL3の接続は、第5実 施形態と同様、スロットル弁開度の制御など によるエンジン回転数NEの制御によってクラ チCL3の入力軸および出力軸の回転数を互い 同じにした状態で、行われる。

 さらに、クラッチCL3が接続された第2伝達 モード中、スロットル弁開度は、第5実施形 と同様、車速VPによって一義的に定まるエン ジン回転数NEにおいて、エンジン3の最良の燃 費が得られるように制御される。クラッチCL3 が接続されているときには、エンジン3は駆 輪DW,DWに機械的にほぼ直結された状態になる ため、極めて高い駆動効率を得ることができ る。

 また、上述したスロットル弁開度による 良燃費制御の実行中、エンジン3から駆動輪 DW,DWに伝達されるトルクが、要求トルクPMCMD 対して不足するときには、その不足分を補 ように、ステータ33に電力が供給され、回転 機31によるアシストが行われる一方、要求ト クPMCMDに対して余るときには、その余剰分 用いて、回転機31において発電が行われると ともに、発電した電力がバッテリ45に充電さ る。このような回転機31の制御によって、 述したようなクラッチCL3を接続した状態で ンジン3の最良の燃費が得られる運転領域を 拡大することができる。なお、上記の回転 31によるアシストは、充電状態SOCに応じて われる。

 以上のように、本実施形態によれば、ク ンク軸3aおよび第1ロータ34の双方が駆動輪DW ,DWに変速装置を用いることなく連結されてい るので、変速装置における動力の伝達ロスを 回避でき、エンジン3および回転機31による駆 動輪DW,DWの駆動効率と回転機31の発電効率を めることができる。また、第9実施形態の無 変速装置20が省略されており、その分、動 装置1Kの小型化およびコストの削減を達成す ることができる。さらに、図59および図60を いて説明したように、ENG走行中の第1伝達モ ドにおいて、エンジン3の動力を、無段階に 変速し、駆動輪DW,DWに伝達することができる

 なお、本実施形態では、第9実施形態と異 なり、無段変速装置20が設けられていないた 、その変速比RATIOの制御による効果は得ら ないものの、それ以外の第9実施形態による 果については、同様に得ることができる。 なわち、第9実施形態と同じ回転機31を有す ことから、分配・合成用の遊星歯車装置を いないことによる効果や、極対数比αの設 による効果が同様に得られるとともに、ENG 進が第9実施形態と同様にして行われること ら、摩擦式の発進クラッチが不要であるこ による効果が同様に得られる。また、ワン ェイクラッチCL1、ケースCAおよびクラッチCL 3を有することによるEV発進に関する効果が同 様に得られ、クラッチCL3,CL4および電磁ブレ キCL5を有することによる停車中ENG始動に関 る効果が同様に得られるとともに、正逆転 換機構60を有することによる効果が同様に得 られる。

 次に、図61を参照しながら、本発明の第13 実施形態による動力装置1Lについて説明する 同図に示すように、この動力装置1Lは、上 した第12実施形態の動力装置1Kに、第3実施形 態の変速装置70を組み合わせたものである。 なわち、動力装置1Lでは、第1ロータ34は、 3実施形態で述べた遊星歯車装置PSや変速装 70を含む第2動力伝達経路PT2を介して、駆動 DW,DWに常に連結されている。また、動力装置 1Lは、第12実施形態で述べた各種の動作モー により第12実施形態と同様にして運転される とともに、変速装置70が第3実施形態と同様に して制御される。

 したがって、本実施形態によれば、主と て、回転機31の小型化およびコストの削減 図ることができるなど、第3および第12の実 形態による効果の双方を同様に得ることが きる。なお、本実施形態では、第1ロータ34 駆動輪DW,DWに、変速装置70を介して連結され いるため、第12実施形態のような変速装置 おける動力の伝達ロスの回避による効果は られない。

 次に、図62を参照しながら、本発明の第14 実施形態による動力装置1Mについて説明する 同図に示すように、この動力装置1Mは、第12 実施形態の動力装置1Kに、第4実施形態の変速 装置80を組み合わせたものである。すなわち 動力装置1Mでは、第11実施形態と同様、第2 ータ35は、第1主軸4、変速装置80およびフラ ホイール3bを介して、クランク軸3aに常に機 的に連結されている。また、クラッチCL3の 続中、クランク軸3aは、第7実施形態で述べ 変速装置80を含む第1動力伝達経路PT1を介し 、駆動輪DW,DWに機械的に連結されている。 らに、動力装置1Mは、第12実施形態で述べた 種の動作モードにより第12実施形態と同様 して運転されるとともに、変速装置80が第4 施形態と同様にして制御される。

 したがって、本実施形態によれば、主と て、第2ロータ回転速度VR2の過大化による回 転機31の故障を防止できるなど、第4および第 12の実施形態による効果の双方を同様に得る とができる。すなわち、第12実施形態と同 回転機31を有することから、分配・合成用の 遊星歯車装置を用いないことによる効果や、 極対数比αの設定による効果が同様に得られ とともに、ENG発進が第12実施形態と同様に て行われることから、摩擦式の発進クラッ が不要であることによる効果が同様に得ら る。

 また、ワンウェイクラッチCL1、ケースCA よびクラッチCL3を有することによるEV発進に 関する効果が同様に得られ、クラッチCL3,CL4 よび電磁ブレーキCL5を有することによる停 中ENG始動に関する効果が同様に得られると もに、正逆転切換機構60を有することによる 効果が同様に得られる。さらに、第12実施形 と同様、クラッチCL3の遮断と回転機31の動 の制御によって、エンジン3の動力を無段階 変速して駆動輪DW,DWに伝達できる。なお、 実施形態では、クランク軸3aが駆動輪DW,DWに 変速装置80を介して連結されているため、 12実施形態のような変速装置における動力の 伝達ロスの回避による効果は得られない。

 なお、これまでに述べた第8~第14の実施形 態では、極対数比αは値2.0に設定されている 、極対数比αを値1.0よりも小さく設定した 合には、次の効果が得られる。すなわち、 63は、極対数比αを値1.0よりも小さな第1所定 値Xに設定した場合(実線)における磁界回転速 度VMF、第1および第2のロータ回転速度VR1,VR2の 間の関係を、値1.0よりも大きな第2所定値Yに 定した場合におけるこれらの回転速度の間 関係(破線)とともに示している。また、同 では、前述した連結関係から、第1ロータ回 速度VR1が車速VPと等しく、かつ、第2ロータ 転速度VR2がエンジン回転数NEと等しいもの みなしている。

 例えば、車両の低速走行中の急加速時で 図63に示すように、エンジン回転数NEが所定 の最高回転数NEHにあり、かつ、車速VPが比較 低い所定速度VPLにあるときには、第1ロータ 回転速度VR1が比較的低く、かつ第2ロータ回 速度VR2が比較的高いことによって、磁界回 速度VMFは、比較的高い第2ロータ回転速度VR2 上回り、非常に高くなる。これに対し、極 数比αを第1所定値Xに設定した場合には、第 2所定値Yに設定した場合よりもδV2分、磁界回 転速度VMFを低下させることができ、それによ り、磁界回転速度VMFの過大化による損失の発 生により駆動効率や発電効率が低下するのを 、防止することができる。

 また、第8~第14の実施形態では、第2ロー 35を駆動輪DW,DWに連結しているが、第2ロータ 35は、クランク軸3aに連結されていれば、駆 輪DW,DWに連結されていなくてもよい。例えば 、クランク軸3aを2つの回転軸にギヤなどを用 いて連結し、一方の回転軸を第2ロータ35に連 結するとともに、他方の回転軸を、第1主軸4 介して駆動輪DW,DWに連結してもよい。この 合、第14実施形態において、クランク軸3aを 動輪DW,DWに変速装置80を用いることなく連結 できるので、第12実施形態と同様、変速装置 おける動力の伝達ロスの回避による駆動効 の高効率化を図ることができる。

 なお、本発明は、説明した実施形態に限 されることなく、種々の態様で実施するこ ができる。例えば、実施形態は、電機子磁 が4個、磁石磁極が8個、コア35aが6個であり すなわち、本発明における電機子磁極の数 磁極の数と軟磁性体の数との比が、1:2:1.5の 例であるが、これらの数の比が1:m:(1+m)/2(m≠1. 0)を満たすものであれば、電機子磁極、磁石 極およびコア35aの数として、任意の数を採 可能である。また、実施形態では、コア35a 鋼板で構成しているが、他の軟磁性体で構 してもよい。さらに、実施形態では、ステ タ33および第1ロータ34を、径方向の外側お び内側にそれぞれ配置しているが、これと 逆に、径方向の内側および外側にそれぞれ 置してもよい。また、実施形態では、ステ タ33、第1および第2のロータ34,35を径方向に ぶように配置し、いわゆるラジアルタイプ して回転機31を構成しているが、ステータ33 第1および第2のロータ34,35を軸線方向に並ぶ ように配置し、いわゆるアキシャルタイプと して回転機31を構成してもよい。

 さらに、実施形態では、1つの磁極を、単 一の永久磁石34aの磁極で構成しているが、複 数の永久磁石の磁極で構成してもよい。例え ば、2つの永久磁石の磁極がステータ33側で近 づき合うように、これらの2つの永久磁石を V字状に並べることにより、1つの磁極を構成 することによって、前述した磁力線MLの指向 を高めることができる。また、実施形態に ける永久磁石34aに代えて、電磁石や移動磁 を発生可能な電機子を用いてもよい。さら 、実施形態では、U相~W相のコイル33c~33eをス ロット33bに分布巻きで巻回しているが、これ に限らず、集中巻きでもよい。また、実施形 態では、コイル33c~33eを、U相~W相の3相コイル 構成しているが、回転磁界を発生できれば このコイルの相数はこれに限らず、任意で る。さらに、スロット33bの数として、実施 態で示した以外の任意の数を採用してもよ ことはもちろんである。また、実施形態で 、スロット33bや、永久磁石34a、コア35aを等 隔に配置しているが、不等間隔に配置して よい。

 さらに、実施形態では、本発明における 1変速装置として、無段変速装置20を用いて るが、有段式の変速装置を用いてもよいこ はもちろんである。また、実施形態では、 段変速装置20として、ベルト式のものを用 ているが、トロイダル式のものや油圧式の のを用いてもよい。さらに、実施形態で用 られる変速装置70は、ベルト式の無段変速装 置であるが、トロイダル式や油圧式の無段変 速装置でもよく、有段式の変速装置でもよい 。また、実施形態では、変速装置80の変速段 2段の例であるが、これに限らず、他の変速 段数でもよいことはもちろんである。このこ とは、各変速段の変速比についても同様であ る。さらに、変速装置80として、ベルト式、 ロイダル式または油圧式の無段変速装置を いてもよいことはもちろんである。

 また、実施形態では、クラッチCL3として 摩擦式多板クラッチやドグ歯式のクラッチ 用いているが、電磁クラッチを用いてもよ 。さらに、実施形態の電磁ブレーキCL2に代 て、第2または第1のロータ35,34を回転不能に 保持する、例えばバンドブレーキまたは湿式 多板クラッチで構成されたロータロック機構 を用いてもよい。また、実施形態のワンウェ イクラッチCL1およびケースCAに代えて、クラ ク軸3aの逆転を制限する、例えばバンドブ ーキまたは湿式多板クラッチで構成された レーキ機構でもよい。

 さらに、実施形態のワンウェイクラッチC L1およびケースCAに代えて、例えば電磁ブレ キやバンドブレーキなどで構成されたロッ 機構を用いて、第1または第2のロータ34,35を 転不能に保持してもよい。この場合、第1実 施形態などのように、第1ロータ34を回転不能 に保持するときには、前述したEV発進時、回 磁界を逆転させることによって、駆動輪DW,D Wを逆転させ、車両を後進させることができ 。また、第8実施形態などのように、第2ロー タ35を回転不能に保持するときには、前述し EV発進時、回転磁界を正転させることによ て、駆動輪DW,DWを逆転させ、車両を後進させ ることができる。

 また、実施形態では、正逆転切換機構60 して、遊星歯車装置PSやクラッチCL4を組み合 わせたものを用いているが、駆動輪DW,DWの回 方向を正転方向および逆転方向の一方に選 的に切換可能なものであれば、他のタイプ ものを用いてもよいことはもちろんである さらに、実施形態では、正逆転切換機構60 サンギヤSおよびリングギヤRを、第2主軸6お び第3主軸6cにそれぞれ連結しているが、こ らの連結関係を逆にしてもよく、すなわち 第3主軸6cおよび第2主軸6にそれぞれ連結し もよいことは、もちろんである。また、実 形態では、クラッチCL4は、電磁クラッチで るが、摩擦式多板クラッチでもよい。さら 、実施形態の電磁ブレーキCL5に代えて、キ リアCを回転不能に保持する、例えばバンド レーキまたは湿式多板クラッチで構成され キャリアロック機構を用いてもよい。また 必要性に応じて、正逆転切換機構60を省略 てもよいことはもちろんである。その場合 は、本発明における他方のロータを回転不 に保持するためのロータロック機構として 電磁ブレーキCL2が用いられる。

 さらに、実施形態では、エンジン3や回転 機31などの各種の要素を制御する制御装置を ECU2およびPDU40で構成しているが、マイクロ ンピュータと電気回路の組み合わせで構成 てもよい。また、実施形態では、本発明に ける熱機関としてのエンジン3は、ガソリン エンジンであるが、ディーゼルエンジンや、 外燃機関でもよい。さらに、実施形態は、本 発明を車両に適用した例であるが、本発明は 、これに限らず、例えば船舶や航空機に適用 可能である。その他、本発明の趣旨の範囲内 で、細部の構成を適宜、変更することが可能 である。

産業上の利用の可能性

 本発明の動力装置は、駆動効率および発 効率を高める上で、極めて有用である。