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Patent Searching and Data


Title:
PROCESS FOR PRODUCTION OF DESUBSTITUTED COMPOUNDS, ORGANIC SEMICONDUCTOR FILM AND PROCESS FOR PRODUCTION OF THE FILM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/034971
Kind Code:
A1
Abstract:
A process for the production of desubstituted compounds which comprises applying external stimulus to a compound bearing a solvent-soluble group (B) as represented by the general formula: A-(B)m [wherein A is a solvent-insoluble compound residue; B is a specific solvent-soluble group; and m is a natural number, with the proviso that the solvent-soluble group (B) is bonded to a carbon atom of the solvent-insoluble compound residue (A)] to eliminate the solvent-soluble group (B) and thus forming a solvent-insoluble compound corresponding to the compound obtained by replacing the group (B) of the above starting compound by a hydrogen atom; a process for the production of organic semiconductor film which comprises the step of forming a film of a π-conjugated compound bearing a substituent represented by the general formula (2-I) on a substrate and the step of eliminating the substituent from the compound; and organic semiconductor film and organic electronic devices, obtained by the process: general formula (2-I) wherein R11 is a substituent exclusive of hydrogen.

Inventors:
TAKAHASHI KEITA (JP)
KITAMURA TETSU (JP)
WATANABE TETSUYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/066252
Publication Date:
March 19, 2009
Filing Date:
September 09, 2008
Export Citation:
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Assignee:
FUJIFILM CORP (JP)
TAKAHASHI KEITA (JP)
KITAMURA TETSU (JP)
WATANABE TETSUYA (JP)
International Classes:
H01L51/30; C09B47/24; H01L21/336; H01L29/786; H01L51/05; H01L51/40
Foreign References:
JPH0569673A1993-03-23
JP2005119165A2005-05-12
JP2007067045A2007-03-15
JPH02123768A1990-05-11
JP2002301870A2002-10-15
JP2003101104A2003-04-04
JPH07188234A1995-07-25
JP2006165533A2006-06-22
JP2006131574A2006-05-25
JP2005093990A2005-04-07
JP2004256450A2004-09-16
JP2004006750A2004-01-08
JP2003304014A2003-10-24
JP2006182989A2006-07-13
JP2006249436A2006-09-21
JP2004320007A2004-11-11
JP2004319982A2004-11-11
JP2005079203A2005-03-24
JP2005294809A2005-10-20
JP2005277029A2005-10-06
JP2005079204A2005-03-24
JP2005119165A2005-05-12
JP2003306623A2003-10-31
JPH11286637A1999-10-19
JP2001240763A2001-09-04
JP2001262039A2001-09-26
JP2001247788A2001-09-11
JP2001262018A2001-09-26
JP2001335734A2001-12-04
JPH05148436A1993-06-15
JPH05295312A1993-11-09
JPH0797541A1995-04-11
JPH0782515A1995-03-28
JPH07118584A1995-05-09
JP2001271003A2001-10-02
JPH08169172A1996-07-02
JPH0827693A1996-01-30
JPH02276670A1990-11-13
JPH07276789A1995-10-24
JPH09323475A1997-12-16
JPS62238783A1987-10-19
JPH10153989A1998-06-09
JPH10217473A1998-08-18
JPH10235995A1998-09-08
JPH10337947A1998-12-22
JPH10217597A1998-08-18
JP2002166638A2002-06-11
JP2002121440A2002-04-23
JP2002154201A2002-05-28
JP2002144696A2002-05-22
JP2002080759A2002-03-19
JP2000299465A2000-10-24
JP2000297365A2000-10-24
JPH07137466A1995-05-30
JPH04163552A1992-06-09
JPH04128703A1992-04-30
JPH04175753A1992-06-23
JPH0635182A1994-02-10
JP2003234460A2003-08-22
JP2003332551A2003-11-21
JP2005268609A2005-09-29
Other References:
NATURE, vol. 388, 1997, pages 131
APPLIED PHYSICS LETTERS, vol. 84, 2004, pages 2085
CHEMICAL REVIEWS, vol. 107, 2007, pages 1296 - 1323
ADVANCED MATERIALS, vol. 11, 1999, pages 480 - 483
HIROFUSA SHIRAI; NAGAO KOBAYASHI: "Phthalocyanine -Chemistry and Function", 1997, INDUSTRIAL PUBLISHING & CONSULTING, INC., pages: 1 - 62
RYO HIROHASHI; KEI-ICHI SAKAMOTO; EIKO OKUMURA: "Phthalocyanine as a functional dye", 2004, INDUSTRIAL PUBLISHING & CONSULTING, INC., pages: 29 - 77
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"Organic Field-Effect Transistors", 2007, CRC PRESS, pages: 159 - 228
APPLIED PHYSICS LETTERS, vol. 85, 2004, pages 5757 - 5759
Attorney, Agent or Firm:
IIDA, Toshizo (1-10 Shimbashi 3-chome, Minato-k, Tokyo 04, JP)
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Claims:
 溶媒可溶性基Bを有する化合物A-(B) m (式中、Aは溶媒不溶性化合物残基を表し、Bは下記一般式(I)で表される溶媒可溶性基を表す。mは自然数を表す。ただし、溶媒可溶性基Bは、溶媒不溶性化合物残基A中の炭素原子に結合している。)に外部刺激を与えて前記溶媒可溶性基Bを脱離させ、代わりに水素原子が結合した溶媒不溶性化合物とすることを特徴とする置換基脱離化合物の製造方法。
(式中、Xは水素原子または置換基を表し、nは1又は2の整数を表す。)
 前記外部刺激が150~500℃に加熱することであることを特徴とする請求項1記載の置換基脱離化合物の製造方法。
 前記溶媒不溶性化合物残基Aが、2つ以上の芳香族炭化水素環または芳香族へテロ環が縮環され及び/又は共有結合で連結された構造のπ共役系化合物の残基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の置換基脱離化合物の製造方法。
 前記溶媒不溶性化合物残基Aが色素骨格であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の置換基脱離化合物の製造方法。
 前記溶媒可溶性基Bが下記一般式(II)で表される基であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の置換基脱離化合物の製造方法。
(式中、Xは水素原子または置換基を表す。)
 前記溶媒可溶性基Bが下記一般式(III)で表される基であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の置換基脱離化合物の製造方法。
(式中、R 1 ~R 3 はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
 前記化合物A-(B) m が下記一般式(IV)で表される化合物であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の置換基脱離化合物の製造方法。
(式中、Mは、金属原子または水素原子を表す。Mが水素原子を表す場合、2つの水素原子がN 1 ~N 4 のいずれか2つの窒素原子にそれぞれ結合する。Qは、芳香族炭化水素環または芳香族へテロ環を形成するのに必要な原子群を表す。複数のQは同一でも異なっていてもよい。R 4 ~R 6 はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。nは自然数である。nが2以上の場合、複数の-SO 2 C(R 4 )(R 5 )(R 6 )基は同一でも異なっていてもよい。)
 前記化合物A-(B) m がフタロシアニン化合物である、請求項7記載の置換基脱離化合物の製造方法。
 顔料が溶媒可溶性基Bにより修飾された構造の顔料前駆体A-(B) m (式中、Aは顔料残基を表し、Bは下記一般式(I)で表される溶媒可溶性基を表す。mは自然数を表す。ただし、溶媒可溶性基Bは、顔料残基A中の炭素原子に結合している。)に外部刺激を与えて前記溶媒可溶性基Bを脱離させ、代わりに水素原子が結合した顔料に転換することを特徴とする顔料微粒子の製造方法。
(式中、Xは水素原子または置換基を表し、nは1又は2の整数を表す。)
 下記一般式(I)で表される置換基を有するフタロシアニン化合物(ただし、前記置換基は、フタロシアニン化合物残基中の炭素原子に結合している。)に外部刺激を与えて前記置換基を脱離させ、代わりに水素原子が結合したフタロシアニン化合物に転換することを特徴とするフタロシアニン化合物の製造方法。
(式中、Xは水素原子または置換基を表し、nは1又は2の整数を表す。)
 溶媒可溶性基Bを有する化合物A-(B) m (式中、Aは溶媒不溶性化合物残基を表し、Bは下記一般式(I)で表される溶媒可溶性基を表す。mは自然数を表す。ただし、溶媒可溶性基Bは、溶媒不溶性化合物残基A中の炭素原子に結合している。)を溶媒に溶解し、この溶解液を基材に塗布して塗付膜とし、該塗布膜における前記化合物A-(B) m に外部刺激を与えて前記溶媒可溶性基Bを脱離させ、代わりに水素原子が結合した溶媒不溶性化合物とし、その薄膜を形成することを特徴とする薄膜の製造方法。
(式中、Xは水素原子または置換基を表し、nは1又は2の整数を表す。)
 下記一般式(2-I)で表される置換基を有するπ共役系化合物を基板上に成膜する工程、及び該化合物から前記置換基を脱離させる工程を含むことを特徴とする有機半導体膜の製造方法。
(式中、R 11 は水素原子以外の置換基を表す。)
 前記化合物が下記一般式(2-II)で表される化合物である、請求項12記載の有機半導体膜の製造方法。
(式中、M 1 は、金属原子または水素原子を表す。M 1 が水素原子を表す場合、2つの水素原子がN 11 ~N 14 のいずれか2つの窒素原子にそれぞれ結合する。Q 1 は、芳香族炭化水素環または芳香族へテロ環を形成するのに必要な原子群を表す。複数のQ 1 は同一でも異なっていてもよい。R 12 は水素原子以外の置換基を表す。n 1 は自然数である。n 1 が2以上の場合、複数の-SO 2 R 12 基は同一でも異なっていてもよい。)
 前記化合物がフタロシアニン類である、請求項13記載の有機半導体膜の製造方法。
 前記の化合物を基板上に成膜する工程が、前記化合物を溶媒に溶解させた溶液を基板上に塗布乾燥して成膜する工程である、請求項12~14のいずれか1項に記載の有機半導体膜の製造方法。
 前記の置換基を脱離させる工程が熱処理である、請求項12~15のいずれか1項に記載の有機半導体膜の製造方法。
 請求項12~16のいずれか1項に記載の方法により得られる有機半導体膜。
 請求項17記載の有機半導体膜を含む有機電子デバイス。
 請求項17記載の有機半導体膜を含む有機電界効果トランジスタ。
 請求項17記載の有機半導体膜を含む有機光電変換素子。
Description:
置換基脱離化合物の製造方法、 機半導体膜およびその製造方法

 本発明は、特定の置換基を脱離して得た 換基脱離化合物の製造方法に関し、この技 を用いた顔料微粒子の製造方法、フタロシ ニン化合物の製造方法、および薄膜の製造 法に関する。

 また、本発明は、有機半導体膜およびそ 製造方法に関し、特定の置換基を有するπ 役系化合物を用いて有機半導体膜を製造す 方法に関する。

 インキ、塗料、樹脂などに使用される着色 としては、大きく分けて染料と顔料に分類 れる。例えば高精細度を求められるインク ェット用記録液(インク)の色材において、 料を用いたインクによって形成される画像 、高透明度、高精細度や優れた演色性など 特徴を有するが、耐候性及び耐水性などに 題を有する場合が多い。
 そこで近年、画像の耐候性及び耐水性の問 を解決するために、染料に代えて有機顔料 カーボンブラックなどの顔料を用いたイン への移行が始まっている。また従来、顔料 着色材としての物性を中心に研究されてき が、近年になり顔料の分子物性に注目が集 ってきている(例えば、「機能性顔料の技術 と応用用途展開」,シーエムシーを参照。)。

 このように顔料へ研究が移行する中で、 害になる問題点の一つとして、一般に顔料 水や有機溶剤等の溶媒に対する溶解性が乏 いことが挙げられる。例えばインク中で生 る顔料の凝集等に起因して顔料の分散が不 定になり、インクの吐出等、信頼性の観点 問題がある場合が多い。

 これに対して有機材料を可溶化する反応性 換基を導入した前駆体に、外部刺激を与え ことによって置換基を脱離させる方法が提 されている(例えば、ネイチャー(Nature),1997 ,Vol.388,p.131及び特開平7-188234号公報を参照。) 。この方法は、例えば、顔料分子中のアミノ 基やアルコール性又はフェノール性ヒドロキ シ基がt-ブトキシカルボニル基(Boc基)で修飾 れた構造の顔料前駆体について、加熱等す ことでBoc基を脱離させるものである。
 しかし、この方法は置換基が窒素原子もし は酸素原子に連結される必要があるため化 物に制限があった。さらに前駆体の保存性 観点からも改善が求められていた。

 また、近年、レトロディールス-アルダー反 応を利用して溶媒可溶性の高い前駆体から外 部刺激を与えることによりポルフィリンやフ タロシアニンへ変換する方法が精力的に研究 されている(例えば、アプライド・フィジク ・レターズ(Applied Physics Letters),2004年,Vol.84,p .2085、特開2006-165533号公報、特開2006-131574号公 報、特開2005-93990号公報、特開2004-256450号公報 、特開2004-6750号公報、特開2003-304014号公報、 開2006-182989号公報、特開2006-249436号公報、特 開2004-320007号公報、特開2004-319982号公報、特 2005-79203号公報、特開2005-294809号公報、特開20 05-277029号公報、及び特開2005-79204号公報を参 。)。
 しかし、これらの例は前駆体・処理後に得 れる化合物の保存性の観点から改善が必要 あった。またいずれも煩雑な合成を必要と るため適用範囲が狭く、より簡便に合成可 な置換基の開発が必要とされていた。

 一方、有機半導体材料を用いたデバイス 、従来のシリコンなどの無機半導体材料を いたデバイスと比べて簡単なプロセスによ 製造でき、さらに、分子構造を変化させる とで容易に材料特性を変化させることが可 であるため材料のバリエーションが豊富で り、無機半導体材料では成し得なかったよ な機能や素子を実現することが可能になる 考えられ、近年盛んに研究されている。特 、溶液を基板上に塗布する工程いわゆる溶 プロセスにより素子作製が可能な有機半導 材料は、低コスト生産や大面積化が容易で るため、大いに期待されている(Chemical Revie ws,107,1296-1323(2007))。

 有機半導体材料は高分子材料と低分子材料 大別される。
 ポリチオフェン誘導体P3HT(ポリ(3-ヘキシル オフェン))に代表される高分子材料は、溶媒 可溶性(溶解性)や塗布成膜性に優れているが 高純度化が困難なことや、分子量に分布が じてしまうこと、分子構造の立体規則性等 不完全部分に由来する膜中での構造欠陥が 能を制限する要因になるなどの理由から、 在までに性能や安定性の観点で十分満足で る材料は見出されていない。
 これに対し、ペンタセン、オリゴチオフェ 、フタロシアニンなどに代表される低分子 料は、昇華精製や再結晶、カラムクロマト ラフィーなどの様々な精製法が適用できる め高純度化が可能であり、分子構造が定ま ているため秩序の高い結晶構造を取りやす 、高い特性を示すものが多く知られている

 しかしながら、これまでに報告されてい 比較的特性が良好な低分子材料は、溶媒可 性に乏しく、成膜には製造コストの高い真 プロセス(真空条件下での成膜方法)により 膜しなければならないものが一般的である 例えば、ペンタセンは、真空蒸着法により 膜することでアモルファスシリコンを凌ぐ 常に高いキャリア移動度やオン-オフ比を示 が、汎用溶媒に対する溶解性が乏しく、い ゆる溶液プロセスでの成膜に適していない これまでに見出されている、比較的良好な 導体特性を示し、かつ溶液プロセスで成膜 能な有機半導体材料はごく限られている。

 一方、有機半導体材料の溶媒可溶性を向 させるために有機半導体骨格にアルキル基 どの置換基を導入する方法が知られている しかし、置換基の導入は、しばしば分子同 の間の配列やパッキングを阻害し、半導体 性の低下につながる。

 この問題を解決し、溶液プロセス適性と 導体特性を両立すべく、これまでに溶媒へ 溶解性が高いペンタセンやポルフィリンの 駆体を溶液プロセスで成膜し、その後に熱 どの外部刺激を与えることで半導体へと変 し、電界効果トランジスタを作製する方法 報告されている(Advanced Materials,11,480-483(1999) 、特開2003-304014号公報)。しかし、これらの例 では、いずれも半導体前駆体や処理後に得ら れる半導体の化学的安定性や動作安定性など の観点で改善が求められていた。

 本発明者らは、以上のような課題を解決 べく鋭意検討を重ねた結果、従来用いられ いたBoc基とは異なる特定の置換基を有する 合物を前駆体として用いることにより、溶 性が良く、かつこれに熱などの外部刺激を えることにより置換基の脱離反応を速やか 進行させることができ、しかも反応物及び 成物の保存安定性が高く、必要により生成 の結晶構造を制御しうることを見出した。

 また、本発明者らは、従来とは異なる特定 置換基を有するπ共役系化合物を有機半導 の前駆体として用いることにより、基板上 の成膜が容易で、かつ得られる膜に熱など 外部刺激を加えることにより置換基の脱離 応が効率的に進行し、化学的安定性および 導体動作安定性が高く良好な半導体特性を す有機半導体膜が得られることを見出した
 本発明はこれらの知見により完成するに至 たものである。

 本発明によれば、以下の手段が提供される:
(1)溶媒可溶性基Bを有する化合物A-(B) m (式中、Aは溶媒不溶性化合物残基を表し、Bは 下記一般式(I)で表される溶媒可溶性基を表す 。mは自然数を表す。ただし、溶媒可溶性基B 、溶媒不溶性化合物残基A中の炭素原子に結 合している。)に外部刺激を与えて前記溶媒 溶性基Bを脱離させ、代わりに水素原子が結 した溶媒不溶性化合物とすることを特徴と る置換基脱離化合物の製造方法。
(式中、Xは水素原子または置換基を表し、nは 1又は2の整数を表す。)
(2)前記外部刺激が150~500℃に加熱することで ることを特徴とする(1)記載の置換基脱離化 物の製造方法。
(3)前記溶媒不溶性化合物残基Aが、2つ以上の 香族炭化水素環または芳香族へテロ環が縮 され及び/又は共有結合で連結された構造の π共役系化合物の残基であることを特徴とす (1)又は(2)に記載の置換基脱離化合物の製造 法。
(4)前記溶媒不溶性化合物残基Aが色素骨格で ることを特徴とする(1)~(3)のいずれか1項に記 載の置換基脱離化合物の製造方法。
(5)前記溶媒可溶性基Bが下記一般式(II)で表さ る基であることを特徴とする(1)~(4)のいずれ か1項に記載の置換基脱離化合物の製造方法
(式中、Xは水素原子または置換基を表す。)
(6)前記溶媒可溶性基Bが下記一般式(III)で表さ れる基であることを特徴とする(1)~(5)のいず か1項に記載の置換基脱離化合物の製造方法
(式中、R 1 ~R 3 はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表 す。)
(7)前記化合物A-(B) m が下記一般式(IV)で表される化合物であるこ を特徴とする(1)~(6)のいずれか1項に記載の置 換基脱離化合物の製造方法。
(式中、Mは、金属原子または水素原子を表す Mが水素原子を表す場合、2つの水素原子がN 1 ~N 4 のいずれか2つの窒素原子にそれぞれ結合す 。Qは、芳香族炭化水素環または芳香族へテ 環を形成するのに必要な原子群を表す。複 のQは同一でも異なっていてもよい。R 4 ~R 6 はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表 す。nは自然数である。nが2以上の場合、複数 の-SO 2 C(R 4 )(R 5 )(R 6 )基は同一でも異なっていてもよい。)
(8)前記化合物A-(B) m がフタロシアニン化合物である、(7)記載の置 換基脱離化合物の製造方法。
(9)顔料が溶媒可溶性基Bにより修飾された構 の顔料前駆体A-(B) m (式中、Aは顔料残基を表し、Bは下記一般式(I) で表される溶媒可溶性基を表す。mは自然数 表す。ただし、溶媒可溶性基Bは、顔料残基A 中の炭素原子に結合している。)に外部刺激 与えて前記溶媒可溶性基Bを脱離させ、代わ に水素原子が結合した顔料に転換すること 特徴とする顔料微粒子の製造方法。
(式中、Xは水素原子または置換基を表し、nは 1又は2の整数を表す。)
(10)下記一般式(I)で表される置換基を有する タロシアニン化合物(ただし、前記置換基は フタロシアニン化合物残基中の炭素原子に 合している。)に外部刺激を与えて前記置換 基を脱離させ、代わりに水素原子が結合した フタロシアニン化合物に転換することを特徴 とするフタロシアニン化合物の製造方法。
(式中、Xは水素原子または置換基を表し、nは 1又は2の整数を表す。)
(11)溶媒可溶性基Bを有する化合物A-(B) m (式中、Aは溶媒不溶性化合物残基を表し、Bは 下記一般式(I)で表される溶媒可溶性基を表す 。mは自然数を表す。ただし、溶媒可溶性基B 、溶媒不溶性化合物残基A中の炭素原子に結 合している。)を溶媒に溶解し、この溶解液 基材に塗布して塗付膜とし、該塗布膜中の 記化合物A-(B) m に外部刺激を与えて前記溶媒可溶性基Bを脱 させ、代わりに水素原子が結合した溶媒不 性化合物とし、その薄膜を形成することを 徴とする薄膜の製造方法。
(式中、Xは水素原子または置換基を表し、nは 1又は2の整数を表す。)

[12]下記一般式(2-I)で表される置換基を有する π共役系化合物を基板上に成膜する工程、及 該化合物から前記置換基を脱離させる工程 含むことを特徴とする有機半導体膜の製造 法。
(式中、R 11 は水素原子以外の置換基を表す。)
[13]前記化合物が下記一般式(2-II)で表される 合物である、[12]項に記載の有機半導体膜の 造方法。
(式中、M 1 は、金属原子または水素原子を表す。M 1 が水素原子を表す場合、2つの水素原子がN 11 ~N 14 のいずれか2つの窒素原子にそれぞれ結合す 。Q 1 は、芳香族炭化水素環または芳香族へテロ環 を形成するのに必要な原子群を表す。複数の Q 1 は同一でも異なっていてもよい。R 12 は水素原子以外の置換基を表す。n 1 は自然数である。n 1 が2以上の場合、複数の-SO 2 R 12 基は同一でも異なっていてもよい。)
[14]前記化合物がフタロシアニン化合物であ 、[13]項に記載の有機半導体膜の製造方法。
[15]前記の化合物を基板上に成膜する工程が 前記化合物を溶媒に溶解させた溶液を基板 に塗布乾燥して成膜する工程である、[12]~[14 ]のいずれか1項に記載の有機半導体膜の製造 法。
[16]前記の置換基を脱離させる工程が熱処理 ある、[12]~[15]のいずれか1項に記載の有機半 体膜の製造方法。
[17][12]~[16]のいずれか1項に記載の方法により られる有機半導体膜。
[18][17]項に記載の有機半導体膜を含む有機電 デバイス。
[19][17]項に記載の有機半導体膜を含む有機電 効果トランジスタ。
[20][17]項に記載の有機半導体膜を含む有機光 変換素子。

 以下、前記(1)~(8)項に記載の置換基脱離化合 物の製造方法、前記(9)項に記載の顔料微粒子 の製造方法、前記(10)項に記載のフタロシア ン化合物の製造方法、及び前記(11)項に記載 薄膜の製造方法を併せて、本発明の第1の実 施態様という。
 また、前記[12]~[16]項に記載の有機半導体膜 製造方法、前記[17]項に記載の有機半導体膜 、前記[18]項に記載の有機電子デバイス、前 [19]項に記載の有機電界効果トランジスタ、 び前記[20]項に記載の有機光電変換素子を併 せて、本発明の第2の実施態様という。
 ここで、特に断らない限り、本発明とは、 記第1及び第2の実施態様の全てを包含する 味である。

 本発明の上記及び他の特徴及び利点は、 宜添付の図面を参照して、下記の記載から り明らかになるであろう。

図1は、例示化合物(1)(化合物1a)のTG/DTA 定結果を示す図である。 図2(a)及び(b)は、例示化合物(1)のMALDI-TOF -MSスペクトル測定結果を示す図であり、図2(a )が加熱処理前のもの、図2(b)が加熱処理後の のである。 図3(a)、(b)及び(c)は、例示化合物(1)のX 回折測定結果を示す図であり、図3(a)が加熱 理前と350℃加熱後のもの、図3(b)が加熱処理 前と400℃加熱後のもの、図3(c)が加熱処理前 550℃加熱処理後のものである。 図4は、例示化合物(1)のSC/DSC測定結果を 示す図である。 図5は、例示化合物(51)(化合物1b)のTGの 定結果を示す図である。 図6は、例示化合物(52)(化合物1c)のTGの 定結果を示す図である。 図7は、例示化合物(53)(化合物7a)のTGの 定結果を示す図である。 図8は、例示化合物(54)(化合物7b)のTGの 定結果を示す図である。 図9は、例示化合物(1)からなる膜の吸収 スペクトルを示す図であり、図中、「薄膜1 が加熱処理前のもの、「薄膜2」が加熱処理 のものである。 図10は、比較化合物1からなる膜の吸収 スペクトルを示す図であり、図中、「薄膜3 が加熱処理前のもの、「薄膜4」が加熱処理 のものである。 図11は、比較例2で得られた結晶のX線 折測定結果を示す図である。 図12は、実施例1のα型結晶のX線回折測 定結果と比較例2のα型結晶のX線回折測定結 とを対比した図である。 図13は、市販の4置換スルホン酸ナトリ ウム銅フタロシアニンのTG/DTAの測定結果を示 す図である。

図14は、有機電界効果トランジスタの ップコンタクト型素子の構造を概略的に示 断面図である。 図15-1は、有機電界効果トランジスタ のボトムコンタクト型素子の構造を概略的に 示す断面図である。 図15-2は、本発明の第2の実施態様の 機光電変換素子の構造を概略的に示す断面 である。 図16(a)及び(b)は、本発明の第2の実施態 様の化合物1aからなる膜の、図16(a)が加熱処 前および図16(b)が加熱処理後のFET特性を示す 図である。 図17は、化合物1aからなる膜の、加熱 理前および加熱処理後の吸収スペクトルを す図である。

 以下、本発明について詳細に説明する。
 まず、本発明の第1の実施態様について詳細 に説明する。
 本発明の第1の実施態様の置換基脱離化合物 の製造方法は、特定の化合物を溶媒に溶解さ せる工程、及び該化合物から前記置換基を脱 離させる工程を含む。ここで、前記特定の化 合物はA-(B) m で表される。式中、Aは溶媒不溶性化合物残 を表し、Bは前記一般式(I)で表される溶媒可 性基を表し、mは自然数を表す。以下、溶媒 可溶性基Bを有する化合物A-(B) m を「溶媒可溶性前駆体化合物」という。
 本発明の第1の実施態様の製造方法に用いら れる溶媒可溶性前駆体化合物において、溶媒 可溶性基Bは、溶媒不溶性化合物残基A中の炭 原子に結合している。そして、置換基を脱 させる工程で、溶媒不溶性化合物残基A中の 炭素原子に結合していた溶媒可溶性基Bが脱 し、代わりに水素原子が結合した溶媒不溶 化合物、好ましくはA-(H) m (式中、Aは溶媒不溶性化合物残基を表し、Hは 水素原子を表す。mは自然数を表す。)で表さ る化合物が得られる。

 本発明の第1の実施態様に用いられる溶媒 可溶性前駆体化合物は、溶媒不溶性化合物に おける任意の炭素原子に結合した水素原子等 を取り去った溶媒不溶性化合物残基Aに、溶 可溶性基Bが結合した構造をしている。ここ 、溶媒可溶性基Bは、下記一般式(I)で表され る。

 前記一般式(I)中、Xは水素原子又は置換基 を表し、nは1又は2の整数を表す。

 Xで表される置換基の例としては、ハロゲ ン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビ クロアルキル基等の環状構造を含む。)、ア ケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロア ルケニル基等の環状構造を含む。)、アルキ ル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基 ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、 ルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオ シ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基 カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボ ルオキシ基、アリールオキシカルボニルオ シ基、アミノ基(アニリノ基を含む。)、アシ ルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、ア ルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキ シカルボニルアミノ基、スルファモイルアミ ノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミ ノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリ ールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイ ル基、スルホ基、アルキル又はアリールスル フィニル基、アルキル又はアリールスルホニ ル基、アシル基、アリールオキシカルボニル 基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル 基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基 、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィ ニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリ ル基が挙げられる。

 更に詳しくは、Xで表される置換基の例と しては、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、 素原子、ヨウ素原子)、アルキル基〔直鎖、 岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル を表す。これらは、アルキル基(好ましくは 炭素数1~30のアルキル基、例えばメチル、エ ル、n-プロピル、イソプロピル、t-ブチル、n -オクチル、エイコシル、2-クロロエチル、2- アノエチル、2―エチルヘキシル)、シクロ ルキル基(好ましくは、炭素数3~30の置換また は無置換のシクロアルキル基、例えば、シク ロヘキシル、シクロペンチル、4-n-ドデシル クロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好まし くは、炭素数5~30の置換もしくは無置換のビ クロアルキル基、つまり、炭素数5~30のビシ ロアルカンから水素原子を一個取り去った 価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプ タン-2-イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン-3-イル) 更に環構造が多いトリシクロ構造なども包 するものである。以下に説明する置換基に いても、特に断らない限り、アルキル基(例 えばアルキルチオ基のアルキル基)は、上記 念のアルキル基を表す。〕、

アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換も くは無置換のアルケニル基を表す。それら 、アルケニル基(好ましくは炭素数2~30の置換 または無置換のアルケニル基、例えば、ビニ ル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル )、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3 ~30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル 基、つまり、炭素数3~30のシクロアルケンの 素原子を一個取り去った一価の基である。 えば、2-シクロペンテン-1-イル、2-シクロヘ セン-1-イル)、ビシクロアルケニル基(置換 しくは無置換のビシクロアルケニル基、好 しくは、炭素数5~30の置換もしくは無置換の シクロアルケニル基、つまり二重結合を一 持つビシクロアルケンの水素原子を一個取 去った一価の基である。例えば、ビシクロ[ 2,2,1]ヘプト-2-エン-1-イル、ビシクロ[2,2,2]オ ト-2-エン-4-イル)を包含するものである。]、

アルキニル基(好ましくは、炭素数2~30の置 または無置換のアルキニル基、例えば、エ ニル、プロパルギル、トリメチルシリルエ ニル基、アリール基(好ましくは炭素数6~30 置換もしくは無置換のアリール基、例えば ェニル、p-トリル、ナフチル、m-クロロフェ ル、o-ヘキサデカノイルアミノフェニル)、 テロ環基(好ましくは5または6員の置換もし は無置換の、芳香族性もしくは非芳香族性 ヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り いた一価の基であり、更に好ましくは、炭 数3~30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基 ある。例えば、2-フリル、2-チエニル、2-ピ ミジニル、2-ベンゾチアゾリル)、シアノ基 ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、

アルコキシ基(好ましくは、炭素数1~30の置 もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、 トキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t-ブ キシ、n-オクチルオキシ、2-メトキシエトキ )、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6~ 30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基 例えば、フェノキシ、2-メチルフェノキシ 4-t-ブチルフェノキシ、3-ニトロフェノキシ 2-テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シ ルオキシ基(好ましくは、炭素数3~20のシリル オキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ 、t-ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環 オキシ基(好ましくは、炭素数2~30の置換もし は無置換のヘテロ環オキシ基、1-フェニル トラゾール-5-オキシ、2-テトラヒドロピラニ ルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくはホル ルオキシ基、炭素数2~30の置換もしくは無置 換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6~3 0の置換もしくは無置換のアリールカルボニ オキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセ ルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイ オキシ、ベンゾイルオキシ、p-メトキシフェ ニルカルボニルオキシ)、

カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素 1~30の置換もしくは無置換のカルバモイルオ シ基、例えば、N,N-ジメチルカルバモイルオ キシ、N,N-ジエチルカルバモイルオキシ、モ ホリノカルボニルオキシ、N,N-ジ-n-オクチル ミノカルボニルオキシ、N-n-オクチルカルバ モイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキ 基(好ましくは、炭素数2~30の置換もしくは無 置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えば メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボ ニルオキシ、t-ブトキシカルボニルオキシ、n -オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキ カルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7~3 0の置換もしくは無置換のアリールオキシカ ボニルオキシ基、例えば、フェノキシカル ニルオキシ、p-メトキシフェノキシカルボニ ルオキシ、p-n-ヘキサデシルオキシフェノキ カルボニルオキシ)、

アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1~ 30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基 炭素数6~30の置換もしくは無置換のアニリノ 基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチ ルアミノ、アニリノ、N-メチル-アニリノ、ジ フェニルアミノ)、アシルアミノ基(好ましく 、ホルミルアミノ基、炭素数1~30の置換もし くは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、 炭素数6~30の置換もしくは無置換のアリール ルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミ 、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラ ロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5-ト -n-オクチルオキシフェニルカルボニルアミ )、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、 炭素数1~30の置換もしくは無置換のアミノカ ボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミ 、N,N-ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N- ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリ ノカルボニルアミノ)、

アルコキシカルボニルアミノ基(好ましく 炭素数2~30の置換もしくは無置換アルコキシ ルボニルアミノ基、例えば、メトキシカル ニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t -ブトキシカルボニルアミノ、n-オクタデシル オキシカルボニルアミノ、N-メチルーメトキ カルボニルアミノ)、アリールオキシカルボ ニルアミノ基(好ましくは、炭素数7~30の置換 しくは無置換のアリールオキシカルボニル ミノ基、例えば、フェノキシカルボニルア ノ、p-クロロフェノキシカルボニルアミノ m-(n-オクチルオキシ)フェノキシカルボニル ミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは 、炭素数0~30の置換もしくは無置換のスルフ モイルアミノ基、例えば、スルファモイル ミノ、N,N-ジメチルアミノスルホニルアミノ N-n-オクチルアミノスルホニルアミノ)、

アルキル又はアリールスルホニルアミノ基 (好ましくは炭素数1~30の置換もしくは無置換 アルキルスルホニルアミノ、炭素数6~30の置 換もしくは無置換のアリールスルホニルアミ ノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチ ルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルア ミノ、2,3,5-トリクロロフェニルスルホニルア ミノ、p-メチルフェニルスルホニルアミノ)、 メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは 炭素数1~30の置換もしくは無置換のアルキル オ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n- キサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましく は炭素数6~30の置換もしくは無置換のアリー チオ、例えば、フェニルチオ、p-クロロフェ ニルチオ、m-メトキシフェニルチオ)、ヘテロ 環チオ基(好ましくは炭素数2~30の置換または 置換のヘテロ環チオ基、例えば、2-ベンゾ アゾリルチオ、1-フェニルテトラゾール-5-イ ルチオ)、

スルファモイル基(好ましくは炭素数0~30の 換もしくは無置換のスルファモイル基、例 ば、N-エチルスルファモイル、N-(3-ドデシル オキシプロピル)スルファモイル、N,N-ジメチ スルファモイル、N-アセチルスルファモイ 、N-ベンゾイルスルファモイル、N-(N‘-フェ ルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ 、アルキル又はアリールスルフィニル基(好 しくは、炭素数1~30の置換または無置換のア ルキルスルフィニル基、6~30の置換または無 換のアリールスルフィニル基、例えば、メ ルスルフィニル、エチルスルフィニル、フ ニルスルフィニル、p-メチルフェニルスルフ ィニル)、アルキル又はアリールスルホニル (好ましくは、炭素数1~30の置換または無置換 のアルキルスルホニル基、6~30の置換または 置換のアリールスルホニル基、例えば、メ ルスルホニル、エチルスルホニル、フェニ スルホニル、p-メチルフェニルスルホニル)

アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2~ 30の置換または無置換のアルキルカルボニル 、炭素数7~30の置換もしくは無置換のアリー ルカルボニル基、炭素数4~30の置換もしくは 置換の炭素原子でカルボニル基と結合して るヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチ 、ピバロイル、2-クロロアセチル、ステアロ イル、ベンゾイル、p-n-オクチルオキシフェ ルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2― フリルカルボニル)、アリールオキシカルボ ル基(好ましくは、炭素数7~30の置換もしくは 無置換のアリールオキシカルボニル基、例え ば、フェノキシカルボニル、o-クロロフェノ シカルボニル、m-ニトロフェノキシカルボ ル、p-t-ブチルフェノキシカルボニル)、アル コキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2~30 置換もしくは無置換アルコキシカルボニル 、例えば、メトキシカルボニル、エトキシ ルボニル、t-ブトキシカルボニル、n-オクタ デシルオキシカルボニル)、カルバモイル基( ましくは、炭素数1~30の置換もしくは無置換 のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N- チルカルバモイル、N,N-ジメチルカルバモイ ル、N,N-ジ-n-オクチルカルバモイル、N-(メチ スルホニル)カルバモイル)、

アリール又はヘテロ環アゾ基(好ましくは 素数6~30の置換もしくは無置換のアリールア 基、炭素数3~30の置換もしくは無置換のヘテ ロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p-クロ フェニルアゾ、5-エチルチオ-1,3,4-チアジア ール-2-イルアゾ)、イミド基(好ましくは、N- スクシンイミド、N-フタルイミド)、ホスフィ ノ基(好ましくは、炭素数2~30の置換もしくは 置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホ フィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフ ノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ま くは、炭素数2~30の置換もしくは無置換のホ フィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオ チルオキシホスフィニル、ジエトキシホス ィニル)、ホスフィニルオキシ基(好ましく 、炭素数2~30の置換もしくは無置換のホスフ ニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホス ィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィ ルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好まし は、炭素数2~30の置換もしくは無置換のホス ィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホス ィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニ アミノ)、シリル基(好ましくは、炭素数3~30 置換もしくは無置換のシリル基、例えば、 リメチルシリル、t-ブチルジメチルシリル フェニルジメチルシリル)が挙げられる。

 上記の置換基の中で、水素原子を有する のは、これを取り去り更に上記の基で置換 れていてもよい。そのような置換基の例と ては、アルキルカルボニルアミノスルホニ 基、アリールカルボニルアミノスルホニル 、アルキルスルホニルアミノカルボニル基 アリールスルホニルアミノカルボニル基が げられる。その例としては、メチルスルホ ルアミノカルボニル、p-メチルフェニルス ホニルアミノカルボニル、アセチルアミノ ルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル基 挙げられる。また、Xはさらに置換基によっ 置換されていてもよい。

 前記一般式(I)においてnは2であることが ましく、前記一般式(I)で表される置換基は 好ましくは下記一般式(II)で表される置換基 ある。

 前記一般式(II)中、Xは、前記一般式(I)にお るXと同義であり、好ましい範囲も同様であ 。
 さらに、前記一般式(II)で表される置換基は 、好ましくは下記一般式(III)で表される置換 である。

 前記一般式(III)中、R 1 ~R 3 はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表 す。R 1 ~R 3 のうち、2つ以上が水素原子以外の置換基で ることが好ましく、より好ましくは3つとも 素原子以外の置換基である場合である。

 R 1 ~R 3 で表される置換基の例としては、それぞれ独 立に、前記のXで表される置換基の例として げたものと同様である。また、R 1 、R 2 、R 3 は互いに連結して環を形成してもよい。
 R 1 ~R 3 で表される置換基として好ましくは、それぞ れ独立に、ハロゲン原子、炭素数1~30の置換 しくは無置換のアルキル基、炭素数6~30の置 もしくは無置換のアリール基、5または6員 置換もしくは無置換のヘテロ環基、シアノ 、炭素数1~30の置換もしくは無置換のアルコ シ基、炭素数2~30の置換または無置換のアル キルカルボニル基、炭素数7~30の置換もしく 無置換のアリールカルボニル基、炭素数2~30 置換もしくは無置換アルコキシカルボニル 、炭素数7~30の置換もしくは無置換のアリー ルオキシカルボニル基である。さらに好まし くは、ハロゲン原子、炭素数1~30のアルキル 、シアノ基、炭素数2~30の置換または無置換 アルキルカルボニル基、炭素数2~30の置換も しくは無置換アルコキシカルボニル基である 。最も好ましくは、R 1 ~R 3 がいずれもメチル基の場合である。

 化合物分子内に有する前記一般式(I)で表 れる置換基の数に特に制限はない。溶媒可 性や成膜性の観点からは、前記置換基の数 多いほど有利であるが、その一方、薄膜の 一性の観点からは、置換基の脱離前後での 積変化が小さい方が好ましい。そのため、 子内に有する前記一般式(I)で表される置換 の数は1個~4個であることが好ましい。前記 般式(I)で表される置換基を分子内に複数有 る場合は、それらは同一であっても異なっ いてもよい。

 本発明の第1の実施態様の製造方法に用いら れる溶媒可溶性前駆体化合物は、上述のとお り溶媒可溶性基を有しており、溶媒不溶性化 合物における任意の水素原子等を取り去った 溶媒不溶性化合物残基に、溶媒可溶性基が結 合した構造をしている。そして本発明の第1 実施態様の置換基脱離化合物の製造方法に いては、上記前駆体化合物の溶媒可溶性基 脱離させ、溶媒不溶性の化合物とする。
 本発明の第1の実施態様において、「溶媒可 溶性」とは、溶媒に対して、溶剤を加熱還流 した後に室温まで冷却した状態で0.1質量%以 の溶解度を有することをいう。好ましくは0. 5質量%以上であり、より好ましくは1質量%以 である。また、「溶媒不溶化」とは、前記 媒可溶性の状態よりも1桁以上溶解度を低下 せることをいう。具体的には、溶媒に対し 、溶剤を加熱還流した後に室温まで冷却し 状態で、0.1質量%以上の溶解度(溶媒可溶性) ら0.01質量%以下に溶解度を低下させること 好ましく、0.5質量%以上の溶解度(溶媒可溶性 )から0.05質量%以下に溶解度を低下させること がより好ましく、1質量%以上の溶解度(溶媒可 溶性)から0.1質量%未満に溶解度を低下させる とが特に好ましい。そして、「溶媒不溶性 とは、溶媒に対して、溶剤を加熱還流した に室温まで冷却した状態で0.1質量%未満の溶 解度を有することをいい、0.05質量%以下であ ことが好ましく、0.01質量%以下であること より好ましい。
 上記「溶媒可溶性」及び「溶媒不溶性」の 度を規定するときの溶媒の種類は特に限定 れず、実際に用いる溶媒及び温度により定 てもよいが、例えば水(蒸留水)に対する溶 度(25℃)として特定することができる。ただ 、本発明の第1の実施態様に用いられる溶媒 がこれによって限定されるものではない。

 本発明の第1の実施態様の製造方法によりπ 役系化合物を得ることができ、π共役系化 物としては広いπ共役平面を有する化合物で あればいかなるものでもよいが、ベンゼン環 、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、 トリアジン環、ピロール環、ピラゾール環、 イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾ ール環、チアゾール環、フラン環、チオフェ ン環であり、より好ましくは、ベンゼン環、 ピリジン環、ピラジン環、ピロール環、ピラ ゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環 、チアゾール環、チオフェン環などの芳香族 炭化水素環または芳香族へテロ環が2つ以上 縮環された、および/または共有結合で連結 れており、それらの芳香族炭化水素環また 芳香族へテロ環がそれぞれ有するπ電子が 縮環及び/又は連結による相互作用によって 環及び/又は連結環全体に非局在化した構造 であることが好ましい。縮環された及び/又 共有結合で連結された芳香族炭化水素環ま は芳香族へテロ環の数は、2~20個が好ましく 3~12個がより好ましい。
 π共役系化合物の具体例としては、テトラ ン、ペンタセン、トリフェニレン、ヘキサ ンゾコロネンなどの縮合多環化合物、クォ ターチオフェンやセキシチオフェンなどの テロ環オリゴマー、フタロシアニン類、ポ フィリン類などが挙げられる。

 また、本発明の第1の実施態様の製造方法 により得られる溶媒不溶性化合物として、UV 収剤として用いられる化合物とすることが き、例えば、トリアジン系化合物、ベンゾ リアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化 物などが挙げられる。また、有機顔料とし 用いられる化合物とすることができ、いか るものであってもよいが、例えば、アゾ顔 (例えば不溶性アゾ顔料としては不溶性モノ アゾ顔料と不溶性ジスアゾ顔料に大別され、 不溶性モノアゾ顔料としてはアセト酢酸アリ ーリド系、β-ナフトール系、ナフトールAS系 ベンズイミダゾロン系が挙げられ、不溶性 スアゾ顔料としてはアセト酢酸アリーリド 、ピラゾロン系、縮合アゾ系が挙げられる またアゾレーキ顔料も挙げられる。)、縮合 多環顔料(例えば、アントラキノン系、イソ ンドリノン系、イソインドリン系、キナク ドン系、ペリレン系、ペリノン系、ジオキ ジン系、ジケトピロロピロール系、インジ 系、キノフタロン系が挙げられる。)、金属 体顔料(例えばフタロシアニン系、アゾメチ ン系、ニトロソ系が挙げられる。)、その他 顔料(例えばアジン系、昼光蛍光顔料、カー ンブラック)が挙げられる。

 本発明の第1の実施態様では化合物の化学 的安定性の観点から、π共役系化合物として テトラセン、ペンタセン、トリフェニレン ヘキサベンゾコロネン、ポルフィリン類な が好ましく、UV吸収剤としてはトリアジン 化合物、ベンゾトリアゾール系化合物が好 しく、有機顔料としては縮合多環顔料また 金属錯体顔料が好ましい。さらに好ましく 、テトラセン、ペンタセン、トリフェニレ 、ヘキサベンゾコロネン、トリアジン系化 物、縮合多環顔料または金属錯体顔料であ 。

 上述した目的化合物を得る観点から、溶 不溶性化合物における任意の炭素原子に結 した水素原子を取り去った溶媒不溶性化合 残基Aとしては、2つ以上の芳香族炭化水素 または芳香族へテロ環が縮環され及び/又は 有結合で連結された構造のπ共役系化合物 残基であることが好ましい。また、色素骨 であることが好ましい。さらに、溶媒不溶 化合物残基Aとしては、顔料残基であること 好ましく、フタロシアニン化合物残基であ ことが好ましい。

 本発明の第1の実施態様に用いられる溶媒 可溶性前駆体化合物は、化合物の化学的安定 性の観点から、下記一般式(IV)で表される化 物であることがさらに好ましく、下記一般 (IV)で表される化合物がフタロシアニン化合 であることが特に好ましい。ここで、フタ シアニン化合物は、フタロシアニン骨格を する化合物をいい、フタロシアニンに置換 が結合した誘導体である。

 前記一般式(IV)中、Qは芳香族炭化水素環ま は芳香族へテロ環を形成するのに必要な原 群を表す。複数のQは同一でも異なっていて よい。ここで、芳香族炭化水素環または芳 族へテロ環としては4~10員環が好ましく、5~7 員環がより好ましく、5および6員環がさらに ましく、6員環が特に好ましい。
 Qにより形成される芳香族ヘテロ環に含まれ るヘテロ原子は特に限定されないが、窒素、 酸素、硫黄、セレン、ケイ素、ゲルマニウム 又はリンが好ましく、窒素、酸素又は硫黄が さらに好ましく、窒素が特に好ましい。Qに り形成される芳香族ヘテロ環ひとつに含有 れるヘテロ原子数は特に限定されないが、1~ 3が好ましい。

 Qにより形成される芳香族炭化水素環または 芳香族ヘテロ環の具体例としては、ベンゼン 環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環 、ピリダジン環、ピロール環、ピラゾール環 、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサ ゾール環、オキサジアゾール環、チアゾール 環、チアジアゾール環、フラン環、チオフェ ン環、セレノフェン環、シロール環、ゲルモ ール環、ホスホール環等が挙げられる。
 Qにより形成される芳香族炭化水素環または 芳香族ヘテロ環は、置換基を有していてもよ く、置換基としては、前述のR 1 ~R 3 で挙げたものが適用できる。

 Qにより形成される芳香族炭化水素環または 芳香族ヘテロ環はさらに他の環と縮合環を形 成してもよく、縮合する環としては、ベンゼ ン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン 環、ピリダジン環、ピロール環、ピラゾール 環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキ サゾール環、オキサジアゾール環、チアゾー ル環、チアジアゾール環、フラン環、チオフ ェン環、セレノフェン環、シロール環、ゲル モール環、ホスホール環等が挙げられる。上 記の置換基および縮合環は、さらに置換基を 有していてもよく、さらに他の環と縮合して いてもよい。置換基としては、前述のR 1 ~R 3 として挙げたものが適用できる。

 Qにより形成される芳香族炭化水素環また は芳香族ヘテロ環として好ましくは、ベンゼ ン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン 環、トリアジン環、ピロール環、ピラゾール 環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキ サゾール環、チアゾール環、フラン環、チオ フェン環であり、より好ましくは、ベンゼン 環、ピリジン環、ピラジン環、ピロール環、 ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾー ル環、チアゾール環、チオフェン環であり、 さらに好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環 、ピラジン環、ピラゾール環、イミダゾール 環、チオフェン環であり、特に好ましくはベ ンゼン環、ピリジン環、ピラジン環である。

 前記一般式(IV)中、フタロシアニン骨格に結 合している-SO 2 C(R 4 )(R 5 )(R 6 )基は、分子内のどこに結合していてもよい 、好ましくはQにより形成される芳香族炭化 素環または芳香族へテロ環に置換している R 4 ~R 6 は、前記一般式(III)におけるR 1 ~R 3 と同義であり、好ましい範囲も同様である。 nは自然数である。nが2以上の場合、複数の-SO 2 C(R 4 )(R 5 )(R 6 )基は、同一でも異なっていてもよい。

 前記一般式(IV)中、Mは金属原子または水素 子を表す。Mが水素原子を表す場合、2つの水 素原子がN 1 ~N 4 のいずれか2つの窒素原子にそれぞれ結合す 。
 Mが金属原子を表す場合、安定な錯体を形成 するものであれば金属はいかなるものでも良 く、Li、Na、K、Be、Mg、Ca、Ba、Al、Si、Hg、Cr、 Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Pd、Cd、Sn、Pt、Pb、Sr、 V、Mn、Ti、In又はGaなどを使用することができ る。金属原子には置換基が結合していてもよ く、置換基としては前述のR 1 ~R 3 で挙げたものを用いることができる。
 Mとして好ましくはMg、Ca、AlCl、SiCl 2 、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Pd、Sn、SnCl 2 、Pt、Pb、V=O、Mn又はTi=Oが用いられ、より好 しくはFe、Co、Ni、Cu又はZnが用いられ、特に ましくはCu又はZnが用いられる。なお、Mが 素原子である場合も好ましく、Mが水素原子 ある場合、前記一般式(IV)は下記一般式(IV’ )で表される。

 前記一般式(IV’)において、Q、R 4 、R 5 、R 6 及びnは、それぞれ前記一般式(IV)におけるQ、 R 4 、R 5 、R 6 及びnと同義であり、好ましい範囲も同様で る。

 一般に、複数の置換基を有するフタロシ ニン化合物には、置換基の結合している位 の異なる位置異性体が存在し得る。本発明 第1の実施態様においても例外ではなく、場 合によっては数種類の位置異性体が考えられ る。本発明の第1の実施態様においては、フ ロシアニン化合物は単一の化合物として用 てもよいし、位置異性体の混合物として用 ることもできる。位置異性体の混合物とし 用いる場合には、混合している位置異性体 数、それぞれの位置異性体における置換基 置換位置、および位置異性体の混合比率は かなるものでもよい。

 以下に、本発明の第1の実施態様に用いられ るフタロシアニン化合物の好ましい具体例を 挙げるが、本発明はこれらの例示した化合物 に限定されるものではない。
 下記表1~4において、例えば「R α1 /R α2 」という表記は「R α1 及びR α2 のいずれか一方」という意味を表しており、 従ってこの表記のある化合物は置換位置異性 体の混合物である。また、R α1 ~R α8 又はR β1 ~R β8 が無置換の場合、即ち水素原子が置換してい る場合は表記を省略している。置換基の*印 、下記一般式(V)で表されるフタロシアニン 導体への結合部位を示す。Buはブチル基を、 Meはメチル基を表す。

 本発明の第1の実施態様におけるフタロシ アニン化合物のフタロシアニン環形成反応は 、白井汪芳,小林長夫編・著「フタロシアニ -化学と機能-」(アイピーシー社,1997年刊)の 1~62頁、廣橋亮,坂本恵一,奥村映子編「機能 色素としてのフタロシアニン」(アイピーシ 社,2004年刊)の第29~77頁に準じて行うことが きる。

 フタロシアニン化合物の代表的な合成方 としては、これらの文献に記載のワイラー 、フタロニトリル法、リチウム法、サブフ ロシアニン法、および塩素化フタロシアニ 法などが挙げられる。本発明の第1の実施態 様においては、フタロニトリル法を好ましく 用いることができる。具体的には、t-ブチル ルホニルフタロニトリル等のような前記一 式(I)で表される置換基を有する化合物を原 として、フタロシアニン環形成反応を行う とが好ましい。フタロシアニン環形成反応 おいて、いかなる反応条件を用いてもよい 環形成反応においては、フタロシアニンの 心金属となる種々の金属を添加することが ましいが、中心金属を持たないフタロシア ン化合物を合成後に、所望の金属を導入し もよい。反応溶媒としては、いかなる溶媒 用いてもよいが、好ましくは高沸点の溶媒 ある。また、環形成反応促進のために、酸 たは塩基を用いてもよい。最適な反応条件 、目的とするフタロシアニン化合物の構造 より異なるが、上記の文献に記載された具 的な反応条件を参考に設定することができ 。

 上記のフタロシアニン化合物の合成に使 する原料としては、無水フタル酸、フタル ミド、フタル酸およびその塩、フタル酸ジ ミド、フタロニトリル、1,3-ジイミノイソイ ンドリンなどの誘導体を用いることができる 。これらの原料は通常のいかなる方法で合成 してもよい。

 また、本発明の第1の実施態様に用いられ る化合物は、特開2005-119165号公報等の記載を 照して、前記溶媒不溶性化合物に前記一般 (I)で表される置換基を導入して調製するこ ができる。

 本発明の第1の実施態様の置換基脱離化合物 の製造方法では、まず、本発明の第1の実施 様に用いられる溶媒可溶性前駆体化合物A-(B) m を溶媒に溶解させることが好ましい。
 溶媒としては、水及び/又は有機溶媒を用い ることができる。有機溶媒としては、例えば 、ヘキサン、オクタン、デカン、トルエン、 キシレン、エチルベンゼン、1-メチルナフタ ン、1,2-ジクロロベンゼン等の炭化水素系溶 媒;例えば、アセトン、メチルエチルケトン メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノ 等のケトン系溶媒;例えば、ジクロロメタン クロロホルム、テトラクロロメタン、ジク ロエタン、トリクロロエタン、テトラクロ エタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼ 、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素 溶媒;例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢 酸アミル等のエステル系溶媒;例えば、メタ ール、プロパノール、ブタノール、ペンタ ール、ヘキサノール、シクロヘキサノール メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エ レングリコール等のアルコール系溶媒;例え 、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン ジオキサン、アニソール等のエーテル系溶 ;例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジ チルアセトアミド、1-メチル-2-ピロリドン 1-メチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルスル フォキサイド等の極性溶媒などを用いること ができる。
 溶液中の溶媒可溶性前駆体化合物の濃度は 特に限定されず、用途によって異なるが、 述の「溶媒可溶性」として定義された濃度 囲で溶解することができる。

 本発明の第1の実施態様の置換基脱離化合物 の製造方法においては、上記溶媒可溶性前駆 体化合物を溶媒に溶解させた溶液を用いて塗 布などを行った後、加熱などの外部刺激を与 えることで溶媒可溶性基を脱離させ、溶媒不 溶性化合物に転換することができる。
 前記外部刺激としてはヒーターを用いた熱 理が代表的である。加熱温度は、150℃以上 好ましく、200℃以上がより好ましく、250℃ 上がさらに好ましい。また、上限は、550℃ 下が好ましく、500℃以下がより好ましく、4 00℃以下がさらに好ましい。高温であるほど 応時間は短く、低温であるほど脱離反応に 要な時間は長くなる。これらの加熱は、窒 やアルゴンなどの不活性雰囲気下で行うこ が好ましい。
 用途によっては、加熱温度や加熱時間を変 ることで、前記一般式(I)で表される置換基 一部のみを脱離させて、生成する化合物の 性を調整することも可能である。例えば、 機半導体膜として用いる場合、移動度を調 することができる。
 加熱方法は、ヒーターを用いた伝熱による 熱の他、本発明の第1の実施態様に用いられ る溶媒可溶性前駆体化合物を含有する層の近 傍に光を吸収する層を設け、光をこの層で吸 収させることにより加熱してもよい。

 また、前記外部刺激としては、前記一般式( I)で表される置換基を分解させるための任意 処理を行うことができ、上記のような熱処 の他、光分解処理や、又は化学分解(有機又 は無機の酸又は塩基使用)によって実施する とができる。これらの変換方法を組み合わ ることもできる。
 光分解処理の場合、赤外線ランプや、化合 が吸収する波長の光を照射すること(例えば 405nm以下の波長に露光)等を利用してもよい。 その際に半導体レーザーを用いてもよい。例 えば、近赤外域のレーザー光(通常は780nm付近 の波長のレーザー光)、可視レーザー光(通常 、630nm~680nmの範囲の波長のレーザー光)、波 390~440nmのレーザー光が挙げられる。
 特に好ましくは波長390~440nmのレーザー光で り、440nm以下の範囲の発振波長を有する半 体レーザー光が好適に用いられる。中でも ましい光源としては、390~440(更に好ましくは 390~415nm)の範囲の発振波長を有する青紫色半 体レーザー光、中心発振波長850nmの赤外半導 体レーザー光を光導波路素子を使って半分の 波長にした中心発振波長425nmの青紫色SHGレー ー光を挙げることができる。
 また、化学分解の場合に好ましく用いるこ ができる有機又は無機の酸又は塩基として 、例えば酸として、鉱酸類(例えば硫酸、塩 酸、臭化水素酸、硝酸、リン酸等)、有機カ ボン酸類(例えば酢酸、蓚酸、ギ酸、プロピ ン酸、安息香酸等)、又はスルホン酸類(例 ばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、 ンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等 )を用いるのが好ましく、より好ましくは硫 、塩酸、臭化水素酸または酢酸であり、特 好ましくは硫酸または塩酸である。なおこ らの酸は、単独または二種以上を混合して 用してもよい。塩基として好ましくは、有 塩基、アルキルメタル、メタルハイドライ (例えばナトリウムハイドライド等)等である 。更に好ましくはトリエチルアミン、ピリジ ン又はナトリウムハイドライドである。特に 好ましくはトリエチルアミン又はピリジンで ある。

 前記溶媒不溶性化合物としてフタロシアニ 化合物を得る実施態様においては、、溶媒 溶性基を有するフタロシアニン化合物(ただ し、前記置換基は、フタロシアニン化合物残 基中の炭素原子に結合している。)を溶媒に 解させた後、加熱などの外部刺激を与える とで前記置換基を脱離させて、無置換フタ シアニン化合物を得ることができる。
 フタロシアニン化合物は、その分子物性に 目が集まってきているが、溶媒不溶性であ ことが研究の足枷となっている。本発明の 1の実施態様によれば、特殊な置換基の導入 や分子修飾によらず、特定の溶媒可溶性基で 置換された構造のフタロシアニン化合物を一 般的な溶媒に溶解した溶液を用いて薄膜形成 などを行うことができる。その後に置換基を 脱離させることで無置換フタロシアニン化合 物による薄膜を得ることができ、複雑な工程 を必要とせずに、半導体薄膜や微細加工膜の 製造などを効率的に行うことができる。

 前記溶媒不溶性化合物として顔料を得る 施態様においては、顔料が溶媒可溶性基に り修飾された構造の顔料前駆体を溶媒に溶 させた後、加熱などの外部刺激を与えるこ で顔料に転換させ、溶媒中に顔料微粒子が 散した顔料分散液を得ることができる。上 顔料微粒子の粒径は特に限定されないが、 ノメートルサイズのものとして得る場合に 、平均粒径が1~1000nmであることが好ましく 10~500nmであることがより好ましい。得られた 顔料粒子は、例えば、塗料、印刷インク、電 子写真用トナー、インクジェットインク、カ ラーフィルタなどの用途に好ましく用いるこ とができる。

 本発明の第1の実施態様の置換基脱離化合物 の製造方法により色素化合物を得る実施態様 において、得られる色素の用途としては、画 像、特にカラー画像を形成するための画像記 録材料が挙げられ、具体的には、以下に詳述 するインクジェット方式記録材料を始めとし て、感熱記録材料、感圧記録材料、電子写真 方式を用いる記録材料、転写式ハロゲン化銀 感光材料、印刷インク、記録ペン等があり、 好ましくはインクジェット方式記録材料、感 熱記録材料、電子写真方式を用いる記録材料 であり、更に好ましくはインクジェット方式 記録材料である。
 また、CCDなどの固体撮像素子やLCD、PDP等の ィスプレーで用いられるカラー画像を記録 再現するためのカラーフィルタ、各種繊維 染色の為の染色液にも適用できる。
 本発明の第1の実施態様により得られる色素 は、その用途に適した溶媒可溶性、分散性、 熱移動性などの物性を、置換基で調整して使 用する。また、本発明の第1の実施態様によ 得られる色素は、用いられる系に応じて溶 状態、乳化分散状態、さらには固体分散状 でも使用することができる。

 本発明の第1の実施態様において顔料微粒子 を製造する実施態様においては、そこで得ら れる顔料微粒子を用いてインクを作製するこ とができる。当該インクは、したがって少な くとも一種の本発明の第1の実施態様により られる顔料微粒子等を色素として含有する ンクを意味する。
 インクは、媒体を含有させることができる 、媒体として溶媒を用いた場合は特にイン ジェット記録用インクとして好適である。 ンクは、媒体として、親油性媒体や水性媒 を用いて、それらの中に、本発明の第1の実 施態様により得られる色素を溶解及び/又は 散させることによって作製することができ 。好ましくは、水性媒体を用いる場合であ 。インクには、媒体を除いたインク用組成 も含まれる。
 インクは、必要に応じてその他の添加剤を 有しうる。その他の添加剤としては、例え 、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化 定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤 防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤 、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤 、キレート剤等の公知の添加剤(特開2003-306623 号公報に記載)が挙げられる。これらの各種 加剤は、水溶性インクの場合にはインク液 直接添加する。油溶性染料を分散物の形で いる場合には、染料分散物の調製後分散物 添加するのが一般的であるが、調製時に油 又は水相に添加してもよい。

 本発明の第1の実施態様により得られる色 素を水性媒体に分散させる場合は、特開平11- 286637号公報、特開2001-240763号公報、特開2001-26 2039号公報、特開2001-247788号公報等に記載され ているように色素と油溶性ポリマーとを含有 する着色微粒子を水性媒体に分散させたり、 特開2001-262018号公報、特開2001-240763号公報、 開2001-335734号公報等に記載されているように 高沸点有機溶媒に溶解した本発明の第1の実 態様により得られる色素を水性媒体中に分 させることが好ましい。本発明の第1の実施 様により得られる色素を水性媒体に分散さ る場合の具体的な方法、使用する油溶性ポ マー、高沸点有機溶剤、添加剤及びそれら 使用量は、前記特許文献に記載されたもの 好ましく使用することができる。あるいは 前記色素を固体のまま微粒子状態に分散し もよい。分散時には、分散剤や界面活性剤 使用することができる。

 分散装置としては、簡単なスターラーや ンペラー攪拌方式、インライン攪拌方式、 ル方式(例えば、コロイドミル、ボールミル 、サンドミル、アトライター、ロールミル、 アジテーターミル等)、超音波方式、高圧乳 分散方式(高圧ホモジナイザー;具体的な市販 装置としてはゴーリンホモジナイザー、マイ クロフルイダイザー、DeBEE2000(商品名)等)を使 用することができる。上記のインクジェット 記録用インクの調製方法については、先述の 特許文献以外にも特開平5-148436号、同5-295312 、同7-97541号、同7-82515号、同7-118584号、同11-2 86637号、特開2001-271003号の各公報に詳細が記 されており、本発明の第1の実施態様により られる色素を用いたインクジェット記録用 ンクの調製にも利用できる。

 前記水性媒体は、水を主成分とし、所望 より、水混和性有機溶剤を添加した混合物 用いることができる。前記水混和性有機溶 の例は特開2003-306623号公報に記載のものが 用できる。尚、前記水混和性有機溶剤は、 種類以上を併用してもよい。

 インクジェット記録用インク100質量部中 、本発明の第1の実施態様により得られる色 素を0.1質量部以上20質量部以下含有するのが ましく、0.2質量部以上10質量部以下含有す のがより好ましく、0.5~9質量部含有するのが さらに好ましい。また、インクジェット用イ ンクには、本発明の第1の実施態様により得 れる色素とともに、他の色素を併用しても い。2種類以上の色素を併用する場合は、色 の含有量の合計が前記範囲となっているの 好ましい。

 インクは、単色の画像形成のみならず、 ルカラーの画像形成に用いることができる フルカラー画像を形成するために、マゼン 色調インク、シアン色調インク、及びイエ ー色調インクを用いることができ、また、 調を整えるために、更にブラック色調イン を用いてもよい。

 さらに、インクジェット記録用インクは 本発明の第1の実施態様により得られる色素 の他に別のシアン染料を同時に用いることが 出来る。適用できるイエロー染料、適用でき るマゼンタ染料、適用できるシアン染料とし ては、各々任意のものを使用することができ るが、特開2003-306623号公報の段落番号0090~0092 記載の各染料が利用できる。適用できる黒 材としては、ジスアゾ、トリスアゾ、テト アゾ染料のほか、カーボンブラックの分散 を挙げることができる。

 インクジェット記録方法は、前記インク ェット記録用インクにエネルギーを供与し 、公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コー 紙、例えば特開平8-169172号公報、同8-27693号 報、同2-276670号公報、同7-276789号公報、同9-3 23475号公報、特開昭62-238783号公報、特開平10-1 53989号公報、同10-217473号公報、同10-235995号公 、同10-337947号公報、同10-217597号公報、同10-3 37947号公報等に記載されているインクジェッ 専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛 ガラス、金属、陶磁器等に画像を形成する なお、インクジェット記録方法として特開2 003-306623号公報の段落番号0093~0105の記載が適 できる。

 画像を形成する際に、光沢性や耐水性を えたり耐候性を改善したりする目的からポ マーラテックス化合物を併用してもよい。 テックス化合物を受像材料に付与する時期 ついては、着色剤を付与する前であっても 後であっても、また同時であってもよく、 たがって添加する場所も受像紙中であって 、インク中であってもよく、あるいはポリ ーラテックス単独の液状物として使用して 良い。具体的には、特開2002-166638号公報、 開2002-121440号公報、特開2002-154201号公報、特 2002-144696号公報、特開2002-080759号公報、特願 2000-299465号明細書、特願2000-297365号明細書な に記載された方法を好ましく用いることが きる。

 カラートナー100質量部中における本発明の 1の実施態様により得られる色素の含有量は 特に制限がないが、0.1質量部以上含有するの が好ましく、1~20質量部がより好ましく、2~10 量部含有するのが最も好ましい。
 本発明の第1の実施態様により得られる色素 を導入するカラートナー用バインダー樹脂と しては一般に使用される全てのバインダーが 使用できる。例えば、スチレン系樹脂・アク リル系樹脂・スチレン/アクリル系樹脂・ポ エステル樹脂等が挙げられる。
 トナーに対して流動性向上、帯電制御等を 的として無機微粉末、有機微粒子を外部添 しても良い。表面をアルキル基含有のカッ リング剤等で処理したシリカ微粒子、チタ ア微粒子が好ましく用いられる。なお、こ らは数平均一次粒子径が10~500nmのものが好 しく、さらにはトナー中に0.1~20質量%添加す のが好ましい。

 離型剤としては、従来使用されている離 剤は全て使用することができる。具体的に 、低分子量ポリプロピレン・低分子量ポリ チレン・エチレン-プロピレン共重合体等の オレフィン類、マイクロクリスタリンワック ス・カルナウバワックス・サゾールワックス ・パラフィンワックス等があげられる。これ らの添加量はトナー中に1~5質量%添加するこ が好ましい。

 荷電制御剤としては、必要に応じて添加 ても良いが、発色性の点から無色のものが ましい。例えば4級アンモニウム塩構造のも の、カリックスアレン構造を有するものなど が挙げられる。

 キャリアとしては、鉄・フェライト等の 性材料粒子のみで構成される非被覆キャリ 、磁性材料粒子表面を樹脂等によって被覆 た樹脂被覆キャリアのいずれを使用しても い。このキャリアの平均粒径は体積平均粒 で30~150μmが好ましい。

 トナーが適用される画像形成方法として 、特に限定されるものではないが、例えば 光体上に繰り返しカラー画像を形成した後 転写を行って画像を形成する方法や、感光 に形成された画像を逐次中間転写体等へ転 し、カラー画像を中間転写体等に形成した に紙等の画像形成部材へ転写しカラー画像 形成する方法等があげられる。

 感熱記録材料は、支持体上に本発明の第1の 実施態様により得られる色素をバインダーと ともに塗設したインクシート、及び画像記録 信号に従ってサーマルヘッドから加えられた 熱エネルギーに対応して移行してきた色素を 固定する受像シートから構成される。インク シートは、本発明の第1の実施態様により得 れる化合物をバインダーと共に溶剤中に溶 することによって、或いは溶媒中に微粒子 に分散させることによってインク液を調製 、該インクを支持体上に塗布して適宜に乾 することにより形成することができる。支 体上のインクの塗布量は特に制限するもの はないが、好ましくは30~1000mg/m 2 である。好ましいバインダー樹脂、インク溶 媒、支持体、更には受像シートについては、 特開平7-137466号公報に記載されたものを好ま く用いることができる。

 該感熱記録材料をフルカラー画像記録が 能な感熱記録材料に適用するには、シアン 像を形成することができる熱拡散性シアン 素を含有するシアンインクシート、マゼン 画像を形成することができる熱拡散性マゼ タ色素を含有するマゼンタインクシート、 エロー画像を形成することができる熱拡散 イエロー色素を含有するイエローインクシ トを支持体上に順次塗設して形成すること 好ましい。また、必要に応じて他に黒色画 形成物質を含むインクシートがさらに形成 れていてもよい。

 カラーフィルタの形成方法としては、初 にフォトレジストによりパターンを形成し 次いで染色する方法、或いは特開平4-163552 、同4-128703号、同4-175753号等の各公報に開示 れているように色素を添加したフォトレジ トによりパターンを形成する方法がある。 発明の第1の実施態様により得られる色素を カラーフィルタに導入する場合に用いられる 方法としては、これらのいずれの方法を用い てもよいが、好ましい方法としては、特開平 4-175753号公報や同6-35182号公報に記載されたと ころの、熱硬化性樹脂、キノンジアジド化合 物、架橋剤、色素及び溶剤を含有してなるポ ジ型レジスト組成物、並びに、それを基体上 に塗布後、マスクを通して露光し、該露光部 を現像してポジ型レジストパターンを形成さ せ、上記ポジ型レジストパターンを全面露光 し、次いで露光後のポジ型レジストパターン を硬化させることからなるカラーフィルタの 形成方法を挙げることができる。また、常法 に従いブラックマトリックスを形成させ、RGB 原色系あるいはY、M、C補色系カラーフィルタ を得ることができる。カラーフィルタの場合 も色素の使用量の制限はないが0.1~50質量%が ましい。

 この際使用する熱硬化性樹脂、キノンジ ジド化合物、架橋剤、及び溶剤とそれらの 用量については、前記特許文献に記載され いるものを好ましく使用することができる

 前記溶媒不溶性化合物が結晶性を示す場 、本発明の第1の実施態様の製造方法を用い ることで、必要により前記溶媒不溶性化合物 の結晶系を制御することができる。本発明の 第1の実施態様に用いられる前記の一般式(I) 表される置換基を有する溶媒可溶性前駆体 合物がアモルファスの結晶構造を示すとき 本発明の第1の実施態様の方法により置換基 脱離させて溶媒不溶性化合物に転換し、結 として結晶転移を起こさせることができる 例えば、銅フタロシアニンは同質異晶を示 、α、β、ε、γ、δ、π、χ、R等の結晶が報 されている(例えば、「機能性色素としての フタロシアニン基礎編・応用編」(アイピー ー)を参照。)。本発明の第1の実施態様によ フタロシアン化合物を得る実施態様におい 制御できる結晶系は、好ましくはα、β又は であり、より好ましくはα又はβである。特 、準安定のα型結晶は、従来アシッドペー ト法により作成していたため結晶子が小さ 、X線回折測定結果のピークがブロードにな ていたが、本発明の第1の実施態様では、加 熱によって効率よくα型結晶を作製すること できるため、半値幅が小さいシャープなピ クが得られ、結晶子が大きいα型結晶を作 することができる。

 本発明の第1の実施態様において、上記溶 媒可溶性前駆体化合物を溶媒に溶解させた後 に、基材上に塗布し、乾燥させてから、加熱 などの外部刺激を与えることで溶媒可溶性基 を脱離させて、溶媒不溶性化合物の薄膜を製 造することができる。上記基材としては例え ば基板が挙げられるが、その他部材の上面や 壁面等であってもよい。

 本実施態様に用いられる基板としては、ポ エチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン レフタレート(PET)などのポリエステルフィル ム、ポリイミドフィルム、セラミック、シリ コン、石英、ガラスなどの種々の材料を用い ることができる。好ましくはセラミック、シ リコン、石英またはガラスであり、より好ま しくはシリコン、石英またはガラスである。 また、用途に応じていかなる基板を選択して もよい。例えば、フレキシブルな素子の用途 の場合にはフレキシブル基板を用いることが できる。
 また、基板の厚さは、特に限定されないが 好ましくは1~1000μmであり、より好ましくは1 0~800μmである。

 本発明の第1の実施態様において、前記溶 媒可溶性前駆体化合物の溶液を基板上に塗布 し成膜する場合、その方法はいかなる方法で もよいが、溶液プロセスにより成膜すること が特に好ましい。溶液プロセスによる成膜と は、ここでは有機化合物を溶解させることが できる溶媒中に溶解させ、その溶液を基板上 に塗布し乾燥させて成膜する方法を指す。具 体的には、キャスト法、ブレードコーティン グ法、ワイヤーバーコーティング法、スプレ ーコーティング法、ディッピング(浸漬)コー ィング法、ビードコーティング法、エアー イフコーティング法、カーテンコーティン 法、インクジェット法、スピンコート法、 ングミュア-ブロジェット(Langmuir-Blodgett)(LB) などの通常の方法を用いることができる。 発明の第1の実施態様においては、キャスト 法、スピンコート法、およびインクジェット 法を用いることがさらに好ましい。このよう な溶液プロセスにより、表面が平滑で大面積 の薄膜を低コストで生産することが可能とな る。

 溶液プロセスにより基板上に成膜する場合 層を形成する材料を適当な有機溶媒(例えば 、ヘキサン、オクタン、デカン、トルエン、 キシレン、エチルベンゼン、1-メチルナフタ ン、1,2-ジクロロベンゼン等の炭化水素系溶 媒;例えば、アセトン、メチルエチルケトン メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノ 等のケトン系溶媒;例えば、ジクロロメタン クロロホルム、テトラクロロメタン、ジク ロエタン、トリクロロエタン、テトラクロ エタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼ 、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素 溶媒;例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢 酸アミル等のエステル系溶媒;例えば、メタ ール、プロパノール、ブタノール、ペンタ ール、ヘキサノール、シクロヘキサノール メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エ レングリコール等のアルコール系溶媒;例え 、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン ジオキサン、アニソール等のエーテル系溶 ;例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジ チルアセトアミド、1-メチル-2-ピロリドン 1-メチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルスル フォキサイド等の極性溶媒など)及び/又は水 溶解又は分散させて塗布液とし、各種の塗 法により薄膜を形成することができる。
 その塗布液中の本発明の第1の実施態様に用 いられる化合物の濃度は、好ましくは0.1~80質 量%、より好ましくは0.1~10質量%であり、これ より任意の厚さの膜を形成できる。

 また、成膜の際に樹脂バインダーを用いる とも可能である。この場合、層を形成する 料とバインダー樹脂とを前述の適当な溶媒 溶解させ、または分散させて塗布液とし、 種の塗布法により薄膜を形成することがで る。樹脂バインダーとしては、ポリスチレ 、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポ エステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリ レタン、ポリシロキサン、ポリスルフォン ポリメチルメタクリレート、ポリメチルア リレート、セルロース、ポリエチレン、ポ プロピレン等の絶縁性ポリマー、およびこ らの共重合体、ポリビニルカルバゾール、 リシラン等の光伝導性ポリマー、ポリチオ ェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリ ラフェニレンビニレン等の導電性ポリマー どを挙げることができる。樹脂バインダー 、単独で使用してもよく、あるいは複数併 しても良い。薄膜の機械的強度を考慮する ガラス転移温度の高い樹脂バインダーが好 しい。
 樹脂バインダーは使わない方が有機半導体 特性上好ましいが、目的によっては使用す こともある。この場合の樹脂バインダーの 用量は、特に制限はないが、薄膜中、好ま くは0.1~30質量%で用いられる。

 また、成膜の際、基板を加熱または冷却 てもよく、基板の温度を変化させることで 質や膜中での分子のパッキングを制御する とが可能である。基板の温度としては特に 限はないが、0℃~200℃の間であることが好 しい。

 本発明の第1の実施態様に用いられる溶媒 可溶性前駆体化合物は、特に溶液プロセスに よる成膜に適している。真空蒸着法、スパッ タリング法、イオンプレーティング法、分子 ビームエピタキシー(MBE)法などの物理気相成 法、あるいはプラズマ重合などの化学気相 着(CVD)法などの真空プロセスにより成膜す ことも可能であるが、これらは製造コスト 高く、膜表面の平滑性に劣るため好ましく い。また、溶液プロセスで成膜するために 、上記で挙げた溶媒などに材料が溶解する とが必要であるが、単に溶解するだけでは 十分である。通常、真空プロセスで成膜す 材料でも、溶媒にある程度溶解させること できる。しかし、溶液プロセスでは、材料 溶媒に溶解させて塗布した後で、溶媒が蒸 して薄膜が形成する過程がある。ここで、 液プロセスに適さない材料は、結晶性の高 ものが多いため、この過程で結晶化してし い、良好な薄膜を形成させることが困難で る。これに対し、本発明の第1の実施態様に いられる溶媒可溶性前駆体化合物は、この うな結晶化が起こりにくい点でも優れてい 。

 前記化合物を含有する溶液の塗布量は、 媒の種類や溶液の濃度などによって異なる 、形成される薄膜の膜厚が好ましくは5nm~50 m、より好ましくは20nm~500nmとなるように適宜 決定される。なお、膜厚は、この範囲に制限 されるものではなく、用途によって異なる。

 作製された膜は、後処理により調整する とができる。例えば、加熱処理や溶媒蒸気 の暴露により膜のモルホロジーや膜中での 子のパッキングを変化させることで特性を 上させることが可能である。また、酸化性 たは還元性のガスや溶媒、物質などにさら 、あるいはこれらを混合することで酸化あ いは還元反応を起こし、膜中での会合状態 調整することができる。

 本発明の第1の実施態様の製造方法におい ては、上述のとおり、溶液プロセスに適した 溶媒可溶性をもつ前駆体化合物を用いる。そ して、これに外部刺激を与えるが、その前後 における耐光性等の保存安定性、つまり上記 溶媒可溶性前駆体化合物及びこれに外部刺激 を与えて得られる目的化合物を所定期間保管 しても分解してしまったり変化してしまった りしない性質を有する。これは、従来用いら れていたBoc基を導入した前駆体化合物とは異 なる。そして上記特定の置換基を有する化合 物を前駆体として用いることにより、各種溶 媒への溶解が容易で、かつ溶液や塗膜に熱な どの外部刺激を加えることにより置換基を効 率的に脱離させて有用な化合物を高収率で得 ることができる。また、この技術を用いて、 純度の高い顔料微粒子、フタロシアニン化合 物、およびその薄膜形成を効率的に行うこと ができる。

 以下、本発明の第2の実施態様について詳細 に説明する。
 本発明の第2の実施態様の有機半導体膜の製 造方法は、前記の一般式(2-I)で表される置換 を有するπ共役系化合物(以下、「本発明の 2の実施態様に用いられる化合物」という。 )を基板上に成膜する工程、及び該化合物か 前記置換基を脱離させる工程を含む。

[π共役系化合物]
 本発明の第2の実施態様におけるπ型共役系 合物としては、広いπ共役平面を有する化 物であればいかなるものでもよいが、ベン ン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジ 環、トリアジン環、ピロール環、ピラゾー 環、イミダゾール環、トリアゾール環、オ サゾール環、チアゾール環、フラン環、チ フェン環であり、より好ましくは、ベンゼ 環、ピリジン環、ピラジン環、ピロール環 ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾ ル環、チアゾール環、チオフェン環などの 香族炭化水素環または芳香族へテロ環が2つ 上、縮環された、および/または共有結合で 連結されており、それらの芳香族炭化水素環 または芳香族へテロ環がそれぞれ有するπ電 が、縮環及び/又は連結による相互作用によ って縮環及び/又は連結環に非局在化した構 であることが好ましい。縮環された及び/又 共有結合で連結された芳香族炭化水素環ま は芳香族へテロ環の数は、1~20個が好ましく 、2~12個がより好ましい。
 本発明の第2の実施態様におけるπ型共役系 合物の具体例としては、テトラセン、ペン セン、トリフェニレン、ヘキサベンゾコロ ンなどの縮合多環化合物、クォーターチオ ェンやセキシチオフェンなどのヘテロ環オ ゴマー、フタロシアニン類、ポルフィリン などが挙げられる。
 また、本発明の第2の実施態様におけるπ型 役系化合物は溶媒不溶性であり、下記一般 (2-I)で表される置換基を該化合物に置換さ ることによって溶媒に可溶化することがで る。ここで、溶媒不溶性とは、該溶媒に対 て、該溶剤を加熱還流した後に室温まで冷 した状態で1質量%未満の溶解度を有すること と定義する。好ましくは0.5質量%未満であり より好ましくは0.1質量%未満である。また、 媒に可溶とは、該溶媒に対して、該溶剤を 熱還流した後に室温まで冷却した状態で1質 量%以上の溶解度を有する化合物と定義する 好ましくは3質量%以上であり、より好ましく は5質量%以上である。

(一般式(2-I)で表される置換基)
 本発明の第2の実施態様に用いられる化合物 は、下記一般式(2-I)で表される置換基を有す 。
 一般式(2-I)で表される置換基について説明 る。

 前記一般式(2-I)において、R 11 は水素以外の置換基を表す。このR 11 で表わされる置換基は、前記一般式(I)中のX 表わされる置換基と同義であり、その例、 体例、及び好ましい例も同様である。

 R 11 で表される置換基として好ましくは、ハロゲ ン原子、炭素数1~30の置換もしくは無置換の ルキル基、炭素数6~30の置換もしくは無置換 アリール基、5又は6員の置換もしくは無置 のヘテロ環基、ヒドロキシ基、シアノ基、 素数1~30の置換もしくは無置換のアルコキシ 、炭素数2~30の置換または無置換のアルキル カルボニル基、炭素数7~30の置換もしくは無 換のアリールカルボニル基、炭素数2~30の置 もしくは無置換アルコキシカルボニル基、 素数7~30の置換もしくは無置換のアリールオ キシカルボニル基である。さらに好ましくは 、ハロゲン原子、炭素数1~30のアルキル基、 ドロキシ基、シアノ基、炭素数2~30の置換ま は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数2 ~30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニ ル基である。より好ましくは、t-ブチル基、s -ブチル基、i-プロピル基、置換または無置換 のアミノ基、フェニル基のいずれかであり、 最も好ましくはt-ブチル基である。

 分子内に有する前記一般式(2-I)で表され 置換基の数に特に制限はない。溶媒可溶性 成膜性の観点からは、前記置換基の数が多 ほど有利であるが、その一方、半導体特性 観点からは、置換基の脱離前後での体積変 が小さい方が膜中での分子のパッキング変 が小さくなるため好ましい。そのため、分 内に有する前記一般式(2-I)で表される置換基 の数は1個~8個であることが好ましく、1個~4個 であることがより好ましい。前記一般式(2-I) 表される置換基を分子内に複数有する場合 、それらは同一であっても異なっていても い。

 一般式(2-I)で表される置換基は熱などの 部刺激により容易にその一部または全部を 離させることができる。また、一般式(2-I)で 表される置換基は電子求引性であるため、前 記π共役系化合物の酸化耐性が高くなり、化 的に安定なπ共役系化合物となる。

(一般式(2-II)で表される化合物)
 本発明の第2の実施態様に用いられる化合物 は、化合物の化学的安定性および半導体動作 安定性、半導体特性の観点からは、下記一般 式(2-II)で表される化合物であることが好まし く、フタロシアニン化合物であることが特に 好ましい。ここで、フタロシアニン化合物は 、フタロシアニン骨格を有する化合物をいい 、フタロシアニンに置換基が結合した誘導体 である。

 前記一般式(2-II)中のQ 1 は、前記一般式(I)中のQと同義であり、その 、好ましい具体例も同様である。

 前記一般式(2-II)中、π共役系化合物骨格に 合している-SO 2 R 12 基は、分子内のどこに結合していてもよいが 、好ましくはQ 1 により形成される芳香族炭化水素環または芳 香族へテロ環に置換している。R 12 は、前記の一般式(2-I)におけるR 11 と同義であり、好ましい範囲も同様である。 n 1 は自然数である。n 1 が2以上の場合、複数の-SO 2 R 12 基は、同一でも異なっていてもよい。

 前記一般式(2-II)中のM 1 は、前記一般式(I)中のMと同義であり、その や好ましい具体例も同様である。
 M 1 が水素原子である場合、前記一般式(2-II)は下 記一般式(2-II’)で表される。

 前記一般式(2-II’)において、Q 1 、R 12 及びn 1 は、前記一般式(2-II)におけるQ 1 、R 12 及びn 1 と同義であり、好ましい範囲も同様である。

(異性体の存在)
 一般に、複数の置換基を有するフタロシア ン化合物には、置換基の結合している位置 異なる位置異性体が存在し得る。本発明の 2の実施態様に用いられる化合物においても 例外ではなく、場合によっては数種類の位置 異性体が考えられる。本発明の第2の実施態 においては、フタロシアニン化合物は単一 化合物として用いても良いし、位置異性体 混合物として用いることもできる。位置異 体の混合物として用いる場合には、混合し いる位置異性体の数、それぞれの位置異性 における置換基の置換位置、および位置異 体の混合比率はいかなるものでも良い。

(純度)
 高いキャリア移動度を示すための条件とし 、有機半導体材料が高純度であることが挙 られる。有機半導体膜中に不純物が微量で 含まれると、不純物がキャリアのトラップ なり、あるいは結晶構造に欠陥をもたらす め、移動度の低下を引き起こす。このよう 観点からは、不純物の濃度が低いことが望 しく、好ましくは10質量%以下、より好まし は1質量%以下である場合である。材料の純 は、例えば液体クロマトグラフィー(HPLC)に り調べることができる。

(好ましい具体例)
 以下に、本発明の第2の実施態様に用いられ る化合物の好ましい具体例を挙げるが、本発 明の第2の実施態様はこれらの例示した化合 に限定されるわけではない。下記の化合物1~ 10では、位置異性体混合物を一つの化合物と て表記している。
 例示した化合物中、Mは2価の金属または水 原子を表す。Mが金属を表す場合、Mとしては 、例えば、Cu、Zn、Fe、Co、Ni等の単一金属の 、3価以上の金属と他の元素が結合して2価に なっている原子団、例えば、AlCl、Ti=O、V=O、S iCl 2 等も含まれる。また、Mが水素原子の場合、2 の水素原子がイソインドール環の窒素原子 よびイソインドリン環のいずれか2つの窒素 原子にそれぞれ結合する。

 置換基が少なくとも1つ脱離することによ り、化合物1、2、5、6、7、8、9、10はp型有機 導体へ、化合物3、4、11はn型有機半導体へと 変換される。

 さらに、本発明の第2の実施態様に用いら れるフタロシアニン化合物の好ましい具体例 としては、前記例示化合物(1)~(54)が挙げられ が、これに限定されるものではない。

(合成法)
 フタロシアニン化合物の合成は、白井汪芳, 小林長夫編・著「フタロシアニン-化学と機 -」(アイピーシー社,1997年刊)の第1~62頁、廣 亮,坂本恵一,奥村映子編「機能性色素として のフタロシアニン」(アイピーシー社,2004年刊 )の第29~77頁、特開2005-119165号公報等に記載の 法に準じて行うことができる。

 フタロシアニン化合物の代表的な合成方 としては、これらの文献に記載のワイラー 、フタロニトリル法、リチウム法、サブフ ロシアニン法、および塩素化フタロシアニ 法などが挙げられる。具体的には、t-ブチ スルホニルフタロニトリル等のような前記 般式(2-I)で表される置換基を有する化合物を 原料として、フタロシアニン環形成反応を行 うことが好ましい。本発明の第2の実施態様 おいては、フタロシアニン環形成反応にお ていかなる反応条件を用いても良い。環形 反応においては、フタロシアニンの中心金 となる種々の金属を添加することが好まし が、中心金属を持たないフタロシアニン化 物を合成後に、所望の金属を導入しても良 。反応溶媒としては、いかなる溶媒を用い も良いが、好ましくは高沸点の溶媒である また、環形成反応促進のために、酸または 基を用いても良い。最適な反応条件は、目 とするフタロシアニン化合物の構造により なるが、上記の文献に記載された具体的な 応条件を参考に設定することができる。

 上記のフタロシアニン化合物の合成に使 する原料としては、無水フタル酸、フタル ミド、フタル酸およびその塩、フタル酸ジ ミド、フタロニトリル、1,3-ジイミノイソイ ンドリンなどの誘導体を用いることができる 。これらの原料を、必要に応じて適宜一般式 (2-I)で表される置換基に置換し、上記段落[012 7]、[0128]に記載の方法で合成することにより 上記フタロシアニン化合物を得ることがで る。また、これらの一般式(2-I)で表される 換基で置換された原料は公知のいかなる方 で合成しても良い。具体的には、例えば、3- t-ブチルスルホニルフタロニトリルと中心金 源となる金属塩とを、DBU(1,8-ジアザビシク 〔5.4.0〕-7-ウンデセン)存在下、ブタノール で加熱することにより、例示化合物1を得る とができる。

 また、本発明の第2の実施態様に用いられ る、フタロシアニン化合物以外のπ共役系化 物骨格を有する化合物については、「Organic  Field-Effect Transistors」(CRC Press,2007年刊)の159 -228頁の記載、もしくはそこで引用されてい る文献等を参照して調製することができる。

[成膜工程]
 本発明の第2の実施態様では、まず、前記の 一般式(2-I)で表される置換基を有する化合物 基板上に成膜する。

(基板)
 本発明の第2の実施態様においては、ポリエ チレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレ タレート(PET)などのポリエステルフィルム ポリイミドフィルム、セラミック、シリコ 、石英、ガラスなどの種々の材料を基板と て用いることができ、用途に応じていかな 基板を選択してもよい。例えば、フレキシ ルな素子の用途の場合にはフレキシブル基 を用いることができる。また、基板の厚さ 特に限定されない。

(成膜方法)
 本発明の第2の実施態様において、前記化合 物を基板上に成膜する方法はいかなる方法で も良いが、溶液プロセスにより成膜すること が特に好ましい。
 溶液プロセスによる成膜とは、ここでは有 化合物を溶解させることができる溶媒中に 解させ、その溶液を基板上に塗布し乾燥さ て成膜する方法を指す。具体的には、キャ ト法、ブレードコーティング法、ワイヤー ーコーティング法、スプレーコーティング 、ディッピング(浸漬)コーティング法、ビ ドコーティング法、エアーナイフコーティ グ法、カーテンコーティング法、インクジ ット法、スピンコート法、ラングミュア-ブ ジェット(Langmuir-Blodgett)(LB)法などの通常の 法を用いることができる。本発明の第2の実 態様においては、キャスト法、スピンコー 法、およびインクジェット法を用いること さらに好ましい。このような溶液プロセス より、表面が平滑で大面積の有機半導体膜 低コストで生産することが可能となる。

(塗布条件)
 溶液プロセスにより基板上に成膜する場合 層を形成する材料を適当な有機溶媒(例えば 、ヘキサン、オクタン、デカン、トルエン、 キシレン、エチルベンゼン、1-メチルナフタ ン、1,2-ジクロロベンゼン等の炭化水素系溶 媒;例えば、アセトン、メチルエチルケトン メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノ 等のケトン系溶媒;例えば、ジクロロメタン クロロホルム、テトラクロロメタン、ジク ロエタン、トリクロロエタン、テトラクロ エタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼ 、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素 溶媒;例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢 酸アミル等のエステル系溶媒;例えば、メタ ール、プロパノール、ブタノール、ペンタ ール、ヘキサノール、シクロヘキサノール メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エ レングリコール等のアルコール系溶媒;例え 、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン ジオキサン、アニソール等のエーテル系溶 ;例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジ チルアセトアミド、1-メチル-2-ピロリドン 1-メチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルスル フォキサイド等の極性溶媒など)及び/又は水 溶解又は分散させて塗布液とし、各種の塗 法により薄膜を形成することができる。
 その塗布液中の本発明の第2の実施態様に用 いられる化合物の濃度は、好ましくは0.1~80質 量%、より好ましくは0.1~10質量%であり、これ より任意の厚さの膜を形成できる。

 また、成膜の際に樹脂バインダーを用いる とも可能である。この場合、層を形成する 料とバインダー樹脂とを前述の適当な溶媒 溶解させ、または分散させて塗布液とし、 種の塗布法により薄膜を形成することがで る。樹脂バインダーとしては、ポリスチレ 、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポ エステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリ レタン、ポリシロキサン、ポリスルフォン ポリメチルメタクリレート、ポリメチルア リレート、セルロース、ポリエチレン、ポ プロピレン等の絶縁性ポリマー、およびこ らの共重合体、ポリビニルカルバゾール、 リシラン等の光伝導性ポリマー、ポリチオ ェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリ ラフェニレンビニレン等の導電性ポリマー どを挙げることができる。樹脂バインダー 、単独で使用してもよく、あるいは複数併 しても良い。薄膜の機械的強度を考慮する ガラス転移温度の高い樹脂バインダーが好 しく、電荷移動度を考慮すると極性基を含 ない構造の樹脂バインダーや光伝導性ポリ ー、導電性ポリマーが好ましい。
 樹脂バインダーは使わない方が有機半導体 特性上好ましいが、目的によっては使用す こともある。この場合の樹脂バインダーの 用量は、特に制限はないが、本発明の第2の 実施態様の有機半導体膜中、好ましくは0.1~30 質量%で用いられる。

 用途によっては別の半導体材料や添加剤 添加した混合溶液を塗布し、複数の材料種 らなるブレンド膜としてもよい。例えば、 電変換層を作製する場合、別の半導体材料 の混合溶液を用いることが好ましく、用い 別の半導体材料としては、本発明の第2の実 施態様で用いる化合物の置換基が脱離した後 の極性(p型、n型)とは別の極性のものを混合 ることが好ましい。

 混合する別の半導体材料がp型材料である場 合、ホール輸送性を示す材料であれば有機半 導体材料、無機半導体材料のうちいかなる材 料を用いてもよいが、好ましくはp型π共役高 分子(例えば、置換または無置換のポリチオ ェン、ポリセレノフェン、ポリピロール、 リパラフェニレン、ポリパラフェニレンビ レン、ポリチオフェンビニレン、ポリアニ ンなど)、縮合多環化合物(例えば、置換また は無置換のアントラセン、テトラセン、ペン タセン、アントラジチオフェン、ヘキサベン ゾコロネンなど)、トリアリールアミン化合 (例えば、m-MTDATA、2-TNATA、NPD、TPD、mCP、CBPな )、ヘテロ5員環化合物(例えば、置換または 置換のオリゴチオフェン、TTFなど)、フタロ シアニン化合物(置換または無置換の各種中 金属のフタロシアニン、ナフタロシアニン アントラシアニン、テトラピラジノポルフ ラジン)、ポルフィリン化合物(置換または無 置換の各種中心金属のポルフィリン)、p型無 半導体(例えば、Si 1-X C X (0≦X≦1)、CuI、CuS、GaAs、ZnTe、Cu 2 O、Cu 2 S、CuSCN、CuF、CuCl、CuBr、CuInSe 2 、CuInS 2 、CuAlSe 2 、CuGaSe 2 、CuGaS 2 、GaP、NiO、CoO、FeO、Bi 2 O 3 、MoO 2 、Cr 2 O 3 などの無機酸化物)のいずれかであり、より ましくはp型π共役高分子、縮合多環化合物 トリアリールアミン化合物、ヘテロ5員環化 物、フタロシアニン化合物、ポルフィリン 合物のいずれかであり、さらに好ましくは p型π共役高分子である。

 混合する別の半導体材料がn型材料である場 合、ホール輸送性を有するものであれば有機 半導体材料、無機半導体材料のうち、いかな るものでもよいが、好ましくはフラーレン化 合物、電子欠乏性フタロシアニン化合物、ナ フタレンテトラカルボニル化合物、ペリレン テトラカルボニル化合物、TCNQ化合物、n型π 役高分子、n型無機半導体であり、より好ま くはフラーレン化合物、電子欠乏性フタロ アニン化合物、ナフタレンテトラカルボニ 化合物、ペリレンテトラカルボニル化合物 π共役高分子であり、特に好ましくはフラ レン化合物、π共役高分子である。本発明の 第2の実施態様において、フラーレン化合物 は、置換または無置換のフラーレンを指し フラーレンとしてはC 60 、C 70 、C 76 、C 78 、C 80 、C 82 、C 84 、C 86 、C 88 、C 90 、C 96 、C 116 、C 180 、C 240 、C 540 などのいずれでもよいが、好ましくは置換ま たは無置換のC 60 、C 70 、C 86 であり、特に好ましくはPCBM([6,6]-フェニル-C 61 -酪酸メチルエステル)およびその類縁体(C 60 部分をC 70 、C 86 等に置換したもの、置換基のベンゼン環を他 の芳香環またはヘテロ環に置換したもの、メ チルエステルをn-ブチルエステル、i-ブチル ステル等に置換したもの)である。電子欠乏 フタロシアニン類とは、電子求引基が4つ以 上結合した各種中心金属のフタロシアニン(F 16 MPc、FPc-S8など)、ナフタロシアニン、アント シアニン、置換または無置換のテトラピラ ノポルフィラジンなどである。ナフタレン トラカルボニル化合物としてはいかなるも でもよいが、好ましくはナフタレンテトラ ルボン酸無水物(NTCDA)、ナフタレンビスイミ 化合物(NTCDI)、ペリノン顔料(Pigment Orange 43 Pigment Red 194など)である。ペリレンテトラ ルボニル化合物としてはいかなるものでも いが、好ましくはペリレンテトラカルボン 無水物(PTCDA)、ペリレンビスイミド化合物(PT CDI)、ベンゾイミダゾール縮環体(PV)である。T CNQ化合物とは、置換または無置換のTCNQおよ 、TCNQのベンゼン環部分を別の芳香環やヘテ 環に置き換えたものであり、例えば、TCNQ、 TCAQ、TCN3Tなどである。無機半導体とは、電子 輸送性を有するものであればいかなるもので もよいが、例えばTiO 2 、TiSrO 3 、ZnO、Nb 2 O 3 、SnO 2 、WO 3 、Si、SiO、CdS、CdSe、V 2 O 5 、ZnS、ZnSe、SnSe、KTaO 3 、FeS 2 、PbS、InP、GaAs、CuInS 2 、CuInSe 2 、LiF、CaFなどである。n型有機半導体材料の に好ましい例を以下に示す。
 なお、式中のRとしては、いかなるものでも 構わないが、水素原子、置換基または無置換 で分岐または直鎖のアルキル基(好ましくは 素数1~18、より好ましくは1~12、さらに好まし くは1~8のもの)、置換または無置換のアリー 基(好ましくは炭素数6~30、より好ましくは6~2 0、より好ましくは6~14のもの)のいずれかであ ることが好ましい。

 複数の材料種の混合溶液を用いる場合、 合する材料種のうち、本発明の第2の実施態 様に用いられる化合物が10~99.9質量%であるこ が好ましく、20~99質量%であることがより好 しく、30~99質量%であることがさらに好まし 。

 また、成膜の際、基板を加熱または冷却 てもよく、基板の温度を変化させることで 質や膜中での分子のパッキングを制御する とが可能である。基板の温度としては特に 限はないが、好ましくは-200℃~400℃、より ましくは-100℃~300℃、さらに好ましくは0℃~2 00℃である。

 本発明の第2の実施態様に用いられる前記 の一般式(2-I)で表される置換基を有するπ共 系化合物は、特に溶液プロセスによる成膜 適している。本発明の第2の実施態様では、 空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ ティング法、分子ビームエピタキシー(MBE) などの物理気相成長法、あるいはプラズマ 合などの化学気相蒸着(CVD)法などの真空プロ セスにより成膜することも可能であるが、こ れらは製造コストが高く、膜表面の平滑性に 劣るため好ましくない。また、溶液プロセス で成膜するためには、上記で挙げた溶媒など に材料が溶解することが必要であるが、単に 溶解するだけでは不十分である。通常、真空 プロセスで成膜する材料でも、溶媒にある程 度溶解させることができる。しかし、溶液プ ロセスでは、材料を溶媒に溶解させて塗布し た後で、溶媒が蒸発して薄膜が形成する過程 がある。ここで、溶液プロセスに適さない材 料は、結晶性の高いものが多いため、この過 程で結晶化してしまい、良好な薄膜を形成さ せることが困難である。これに対し、本発明 の第2の実施態様に用いられる前記の一般式(2 -I)で表される置換基を有するπ共役系化合物 、このような結晶化が起こりにくい点でも れている。

 前記化合物を含有する溶液の塗布量は、 媒の種類や溶液の濃度などによって異なる 、形成される有機半導体膜の膜厚が後述の 囲内となるように適宜決定される。

[置換基脱離工程]
 前記の一般式(2-I)で表される置換基を有す π共役系化合物を基板上に成膜した後、該化 合物から前記置換基を脱離させる。
 前記一般式(2-I)で表される置換基の脱離反 は、好ましくは150℃以上、より好ましくは20 0℃以上、さらに好ましくは250℃以上に加熱 ることで引き起こすことができる。加熱温 の上限は好ましくは500℃以下、より好まし は450℃以下、さらに好ましくは400℃以下で る。高温であるほど反応時間は短く、低温 あるほど脱離反応に必要な時間は長くなる
 有機半導体膜の用途によっては、加熱温度 加熱時間を変えることで、前記一般式(2-I) 表される置換基の一部のみを脱離させて、 機半導体膜の特性(例えば移動度)を調整する ことも可能である。前記一般式(2-I)で表され 置換基のうち、脱離させる割合は、好まし は30%~100%、より好ましくは40%~100%、さらに好 ましくは50%~100%である。
 加熱にはヒーターを用いた伝熱による加熱 他、赤外線ランプや、化合物が吸収する波 の光を照射することを利用してもよい。ま 、前記の一般式(2-I)で表される置換基を有 るπ共役系化合物の膜の近傍に光を吸収する 層を設け、光をこの層で吸収させることによ り加熱してもよい。これらの加熱は、窒素や アルゴン、真空中などの不活性ガス雰囲気下 で行うことが好ましい。

[有機半導体材料]
 本発明の第2の実施態様における有機半導体 材料とは、半導体の特性を示す有機材料のこ とである。無機材料からなる半導体の場合と 同様に、正孔をキャリアとして伝導するp型 機半導体と、電子をキャリアとして伝導す n型有機半導体がある。有機半導体中のキャ アの流れやすさはキャリア移動度μで表さ る。用途にもよるが、一般に移動度は高い がよく、10 -7 cm 2 /Vs以上であることが好ましく、10 -6 cm 2 /Vs以上であることがより好ましく、10 -5 cm 2 /Vs以上であることがさらに好ましい。移動度 は電界効果トランジスタ(FET)素子を作製した きの特性や飛行時間計測(TOF)法により求め ことができる。

(有機半導体膜の後処理)
 作製された有機半導体膜は、後処理により 性を調整することができる。例えば、加熱 理や溶媒蒸気への暴露により膜のモルホロ ーや膜中での分子のパッキングを変化させ ことで特性を向上させることが可能である また、酸化性または還元性のガスや溶媒、 質などにさらす、あるいはこれらを混合す ことで酸化あるいは還元反応を起こし、膜 でのキャリア密度を調整することができる

(膜厚)
 有機半導体膜の膜厚は、特に制限されず、 いられる電子デバイスの種類などにより異 るが、好ましくは5nm~50μm、より好ましくは1 0nm~5μm、さらに好ましくは20nm~500nmである。

[有機電子デバイス]
 本発明の第2の実施態様の有機電子デバイス は、前記の方法により得られた有機半導体膜 を含む。ここで、有機電子デバイスとは、有 機半導体を含有しかつ2つ以上の電極を有し その電極間に流れる電流や生じる電圧を、 気、光、磁気、化学物質などにより制御す デバイス、あるいは、印加した電圧や電流 より、光や電場、磁場などを発生させるデ イスである。例としては、有機光電変換素 、有機電界効果トランジスタ、有機電界発 素子、ガスセンサ、有機整流素子、有機イ バータ、情報記録素子などが挙げられる。 機光電変換素子は光センサ用途、エネルギ 変換用途(太陽電池)のいずれにも用いること ができる。これらの中で、好ましくは有機電 界効果トランジスタ、有機光電変換素子、有 機電界発光素子であり、より好ましくは有機 電界効果トランジスタ、有機光電変換素子で あり、特に好ましくは有機電界効果トランジ スタである。

(有機電界効果トランジスタ)
 本発明の第2の実施態様の有機電子デバイス の好ましい一実施態様である有機電界効果ト ランジスタの素子構成について、図14を参照 ながら説明する。
 図14は、本発明の第2の実施態様の有機半導 膜を用いた有機電界効果トランジスタ素子 構造を概略的に示す断面図である。図14の ランジスタは積層構造を基本構造として有 るものであり、最下層に基板11(例えば、ポ エチレンナフトエート(PEN)、ポリエチレンテ レフタレート(PET)などのポリエステルフィル 、ポリイミドフィルム、セラミック、シリ ン、石英、ガラスなど)を配置し、その上面 の一部に電極12を設け、さらに該電極12を覆 、かつ電極12以外の部分で基板11と接するよ に絶縁体層13を設けている。さらに絶縁体 13の上面に有機半導体層14を設け、その上面 一部に2つの電極15aと15bとを隔離して配置し ている。
 電極12、電極15a及び電極15bの構成材料は、 電性を示すものであれば特に制限なく用い ことができ、Cr、Al、Ta、Mo、Nb、Cu、Ag、Au、P t、Pd、In、NiあるいはNdなどの金属材料やこれ らの合金材料、あるいはカーボン材料、導電 性高分子など、既知の導電性材料であれば特 に制限することなく使用できる。なお、図14 示した構成はトップコンタクト型素子と呼 れるが、図15-1に示すように電極15a及び15bが 有機半導体層14の下部にあるボトムコンタク 型素子も好ましく用いることができる。

 ゲート幅(チャンネル幅)W及びゲート長(チ ャンネル長)Lに特に制限はないが、これらの W/Lが10以上であることが好ましく、20以上で あることがより好ましい。

 各層の厚さに特に制限はないが、より薄 トランジスタとする必要がある場合には、 えばトランジスタ全体の厚さを0.1~0.5μmとす ることが好ましく、そのために各層の厚さを 10~400nmとすることが好ましく、電極の厚さを1 0~50nmとすることが好ましい。

 絶縁層13を構成する材料は、必要な絶縁 果が得られれば特に制限はないが、例えば 二酸化ケイ素、窒化ケイ素、ポリエステル 縁材料、ポリカーボネート絶縁材料、アク ルポリマー系絶縁材料、エポキシ樹脂系絶 材料、ポリイミド絶縁材料、ポリパラキシ レン樹脂系絶縁材料などが挙げられる。絶 層13の上面は表面処理がなされていてもよく 、例えば、二酸化ケイ素表面をヘキサメチル ジシラザン(HMDS)やオクタデシルトリクロロシ ラン(OTS)の塗布により表面処理した絶縁層を ましく用いることができる。

(封止)
 素子を大気や水分から遮断し、素子の保存 を高めるために、素子全体を金属の封止缶 ガラス、窒化ケイ素やアルミナなどの無機 料、パリレンなどの高分子材料などで封止 ても良い。

 [有機光電変換素子]
 図15-2は本発明の第2の実施態様の有機半導 材料を用いた代表的な有機光電変換素子の 造を概略的に示す断面図である。図15-2の素 は積層構造を有するものであり、最下層に 板21を配置し、その上面に電極層22を設け、 さらにその上層に、前記の方法により得られ た有機半導体膜からなる有機光電変換層23を け、さらにその上面に電極層24を設けてい 。電極層22や24と有機光電変換層23との間に 、図15-2中には表記されていないが、表面の 滑性を高めるバッファ層、ホールまたは電 の電極からの注入を促進するキャリア注入 、ホールまたは電子を輸送するキャリア輸 層、ホールまたは電子を阻止するキャリア ロック層など(1つの層が前記複数の役割を ねることもある)が含まれていても良い。本 明の第2の実施態様においては、電極層と光 電変換層との間に用いるこれらの層を、その 役割によらず全てバッファ層という言葉で表 すことにする。なお、電極層や各層は必ずし も平面でなくてもよく、大きな凹凸を有して いたり、三次元的な形状(例えば、くし型)で っても良い。

 基板21として用いる材料は、可視光また 赤外光を透過するものであれば特に制限は い。可視光または赤外光の透過率は、60%以 であることが好ましく、70%以上であること より好ましく、80%以上であることが最も好 しい。このような材料の例としては、ポリ チレンナフトエート(PEN)、ポリエチレンテレ フタレート(PET)などのポリエステルフィルム ポリイミドフィルム、セラミック、シリコ 、石英、ガラスなどが挙げられる。厚みは に制限はない。

 電極層22として用いる材料は、可視光また 赤外光を透過し、導電性を示すものであれ 特に制限はない。可視光または赤外光の透 率は、60%以上であることが好ましく、70%以 であることがより好ましく、80%以上である とが最も好ましい。そのような材料として 、ITO、IZO、SnO 2 、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、ZnO、AZO(Al ープ酸化亜鉛)、GZO(ガリウムドープ酸化亜 )、TiO 2 、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)などの透明導電 酸化物が好ましく、プロセス適性や平滑性 観点からITOまたはIZOが特に好ましい。膜厚 制限はないが、1nm~200nmであることが好まし 、5nm~100nmであることがより好ましい。電極2 2が構造自立性を有するものである場合、基 11は必ずしも必要ではなく、電極22が基板21 兼ねる場合は、膜厚は前述の厚みより厚く もよい。

 有機光電変換層を構成する材料は、本発 の第2の実施態様で用いる化合物(または本 明の第2の実施態様で用いる化合物から置換 の一部または全部が脱離した化合物)単独で もよいし、別の半導体材料を組み合わせて用 いてもよいが、別の半導体材料を組み合わせ て用いることが好ましい。別の半導体材料を 組み合わせて使用する場合の成分、組成等は 前述の通りである。

 バッファ層として用いられる材料はキャ アを輸送する能力のある材料であれば有機 料および無機材料のいかなるものを用いて 良いが、好ましくはアモルファス性のもの ある。ホール輸送性のバッファ材料として いかなるものでも良いが、好ましくは導電 高分子(例えばPEDOT:PSS)、p型π共役系高分子 トリアリールアミン化合物、p型無機半導体 あり、より好ましくは導電性高分子、トリ リールアミン化合物である。電子輸送性の ッファ材料としてはいかなるものでも良い 、好ましくはフラーレン化合物、電子欠乏 フタロシアニン化合物、ナフタレンテトラ ルボニル化合物、ペリレンテトラカルボニ 化合物、n型π共役高分子、金属錯体化合物( 例えばAlq、BAlqなど)、バソクプロイン、n型無 機半導体、より好ましくは、ナフタレンテト ラカルボニル化合物、金属錯体化合物、バソ クプロイン、n型無機半導体である。

 電極層24として用いる材料は、導電性を すものであれば特に制限はないが、光利用 率を高める観点からは、光反射性の高い材 が好ましく、Al、Pt、W、Au、Ag、Ta、Cu、Cr、Mo 、Ti、Ni、Pd、Znが好ましく、Al、Pt、Au、Agが り好ましい。電極層24の膜厚は、特に制限は ないが、1nm~1μmであることが好ましく、5nm~500 nmであることがより好ましい。

 素子の保存性を高めるためには、素子が 活性雰囲気を保てるよう、封止することが ましく、好ましい封止用材料としては金属 ガラス、窒化ケイ素、アルミナなどの無機 料、パリレンなどの高分子材料が挙げられ 。封止の際に、乾燥剤等を封入しても良い

 本発明の第2の実施態様の有機薄膜光電変換 素子は、エネルギー変換用途(有機薄膜太陽 池)として用いても良いし、光センサ(固体撮 像素子等)として用いても良い。エネルギー 換用途で用いる場合、本発明の第2の実施態 の有機薄膜光電変換素子を単独で用いても いし、他の有機薄膜光電変換素子と積層(タ ンデム)しても良い。タンデムの方法につい は、Applied Physics Letters,2004,85,5757-5759.に詳細 に記載されており、参考にできる。光センサ として用いる場合には、S/N比を向上させるた め、電極12と電極14の間にバイアスを印加し 信号を読み出すことが好ましく、この場合 光電変換層にかけるバイアスは1.0×10 5 V/cm以上1.0×10 7 V/cm以下であることが好ましい。有機薄膜光 変換素子を用いた固体撮像素子としては、 開2003-234460、特開2003-332551、特開2005-268609な に詳細に記載されており、参考にできる。

 前記の一般式(2-I)で表される置換基を有 るπ共役系化合物を有機半導体の前駆体とし て用いることにより、基板上への成膜が容易 で、かつ、こうして成膜したものに熱などの 外部刺激を加えることにより置換基の脱離反 応が効率的に進行し、化学的安定性および半 導体動作安定性が高く良好な半導体特性を示 す有機半導体膜が得られる。本発明の第2の 施態様の有機半導体膜およびこれを用いた 子デバイス(特に電界効果トランジスタ(FET) 有機光電変換素子)は、高純度であり、半導 動作安定性が高く、良好な半導体特性を示 。

 本発明は、溶液プロセスに好適に対応し る溶媒可溶性の前駆体化合物を用い、該前 体化合物及びこれに外部刺激を与えて得た 的化合物のいずれにおいても良好な保存安 性を示し、工業利用性の高い置換基脱離化 物の製造方法の提供を課題とする。また、 の技術を用い、優れた特性を有する、顔料 粒子、フタロシアニン化合物、および薄膜 効率的な製造方法の提供を課題とする。

 本発明の置換基脱離化合物の製造方法に れば、溶媒可溶性の前駆体化合物を原料と て用いたため溶液プロセスに好適に対応す ことができ、しかも前記前駆体化合物に外 刺激を与えることにより置換基の脱離反応 速やかに進行させ目的の化合物を得ること できる。さらに、本発明の製造方法におい は、前記前駆体化合物及びこれに外部刺激 与えて得られる目的化合物のいずれにおい も耐光性等の保存安定性が高く、その原料 び生成物としての保管を可能とし、製造工 の自由度を高め効率化するとともに高品質 実現しうるという優れた作用効果を奏する また、この技術を用いて、高純度で優れた 性を有する顔料微粒子、フタロシアニン化 物、およびその薄膜を効率的に製造するこ ができる。

 また、本発明は、上述の技術的背景に鑑 てなされたものであり、その課題は、溶液 ロセスでの素子作製に適した溶媒可溶性を しながら、成膜後に化学的安定性および半 体動作安定性が高く良好な半導体特性を示 、特定の置換基を有する化合物を用いて得 れる有機半導体膜、およびその製造方法、 びに該半導体膜を用いた有機電子デバイス 提供することにある。

 本発明の方法により、溶液プロセスによる 膜が可能であり、化学的安定性および半導 動作安定性が高く良好な半導体特性を示す 機半導体膜を低コストで効率的に製造する とができる。
 本発明の有機半導体膜およびこれを用いた 子デバイス(特に電界効果トランジスタ(FET)) は、有機半導体材料が高純度であり、半導体 動作安定性が高く、良好な半導体特性を示す 。

 以下、本発明を実施例に基づき更に詳細 説明するが、本発明はこれらに限定される のではない。

<実施例1>
 特開2005-119165号公報に記載の色素化合物(I-1) の合成に従って、例示化合物(1)(M=Cuの化合物) [または化合物1a(前記化合物1においてM=Cuの化 合物)]を調製した。この例示化合物(1)はクロ ホルム等の溶媒に溶解した。
 以下のようにして、調製した例示化合物(1) 所定温度に加熱し、加熱前後の分子量およ 結晶構造の変化について測定した。

(TG/DTA測定)
 調製した例示化合物(1)について熱分析(TG/DTA 測定)を行った。TG/DTA測定は、Seiko Instruments  Inc.製、EXSTAR6000(商品名)を用い、N 2 気流下(流量200ml/min)、30℃~550℃の範囲におい 10℃/分で昇温を行い、質量減少率を求めた 測定結果を図1に示す。図1は、例示化合物(1 )のTG/DTA測定結果を示すグラフである。なお 以下の各実施例・比較例においても、TGの測 定は上記の装置及び条件により行った。

 図1中、一番上の曲線は、温度に対する質量 変化(TG)を示し、一番下の曲線は、温度に対 る熱の出入り(エンタルピー変化)(DTA)を示し 真中の曲線は、TGの時間当たりの変化量(微 値)(DTG)を示す。
 図1中の一番上の曲線から、200℃を越えたあ たりから徐々に質量減少が起こり、340℃位ま での間に約50%程度の質量減少が起きたことが わかった。この質量減少は、例示化合物(1)に おける置換基(-SO 2 C(CH 3 ) 3 基)の質量分に相当する。また、図1中の一番 の曲線から、約240℃付近から吸熱し始め、3 40℃程度まで吸熱が起きたことがわかった。 れらの結果から、加熱により例示化合物(1) ら置換基が脱離したことが分かる。

(MALDI-TOF-MS測定)
 窒素気流下、10℃/分の昇温速度で400℃まで 熱した前後の例示化合物(1)について、それ れマトリックス支援イオン化-飛行時間型質 量分析(MALDI-TOF-MS)測定を行った。MALDI-TOF-MS測 は、Applied Biosystems社製Voyager-DE PRO(商品名) 使用し、マトリックスとしてα-シアノ-4-ヒ ロキシケイ皮酸(東京化成社製)を用いてい れもポジモードで行った。スペクトル測定 果を図2に示す。図2(a)は例示化合物(1)の加熱 処理前のMALDI-TOF-MSスペクトル測定結果を示す グラフであり、図2(b)は例示化合物(1)の加熱 理後のMALDI-TOF-MSスペクトル測定結果を示す ラフである。
 加熱処理前の状態を示す図2(a)では、例示化 合物(1)の分子量に相当する1056([M + ]+1)のピークが見られたが、加熱処理後の状 を示す図2(b)では、このピークが消失し、新 に無置換の銅フタロシアニン(CuPc:C 32 H 16 CuN 8 )の分子量に相当する575([M + ])のピークが現れることがわかった。また、3 50℃及び550℃まで加熱した場合もそれぞれ同 の結果が得られた。この結果からも、例示 合物(1)が加熱により無置換の銅フタロシア ンに変換されたことが分かった。

(X線回折測定)
 窒素気流下、10℃/分の昇温速度で350℃、400 又は550℃まで加熱した例示化合物(1)につい 、それぞれX線回折測定を行った。X線回折 定は、Rigaku社製X-RAY DIFFRACTOMETER RINT-2500(商 名)を使用した。測定結果を図3に示す。
 図3の結果から明らかなように、加熱前には アモルファス固体だった例示化合物(1)が、そ れぞれ加熱後には結晶化していることがわか った。また、温度を上昇させるに従い、結晶 系が変化することがわかり、350℃、400℃の時 の結晶系はα型で、550℃まで加熱した場合に β型のフタロシアニン化合物顔料が形成さ たことがわかる。

(熱量変化の測定)
 例示化合物(1)について、DSC装置:Seiko Instrume nts Inc.製DSC6200R(商品名)を用い、SUS製密閉セ に試料を密閉し、30℃~550℃の範囲において10 ℃/minで昇温し、前記のTG-DTA測定で求めた分 温度領域における熱量変化を測定した。測 結果を図4に示す。
 図4の結果から明らかなように、350℃付近に 色素分解に起因する吸熱ピークが観測され、 さらに430℃付近の質量減少のない領域に発熱 ピークを観測された。この結果からも、加熱 された例示化合物(1)は、430℃付近で結晶系が α型からβ型に変化することがわかる。

 以上の測定結果から、例示化合物(1)[溶媒可 溶性前駆体化合物]はアモルファス固体状の のであり、加熱によって置換基(-SO 2 C(CH 3 ) 3 基)が脱離し、結晶性の無置換の銅フタロシ ニン(α型)に変換され、さらに430℃付近で結 系がβ型に変化することがわかった。

<実施例2>
 α-t-ブチルスルホニルフタロニトリル6.21gを ヘキサメチルジシラザン10.5ml、ジメチルホル ムアミド6.4mlに添加し、さらに臭化亜鉛1.40g 添加した。その後100℃で8時間攪拌し、その メタノールで濾過して例示化合物(51)[また 化合物1b(前記化合物1においてM=Znの化合物)] 4.00gを得た、そのMSスペクトルは1057(=〔M + 〕+1:極性ポジ)であった。この例示化合物(51) クロロホルム等の溶媒に溶解した。
 図5に例示化合物(51)のTGの測定結果を示す。
 上記で得た例示化合物(51)を400℃で加熱し、 その残渣のMSスペクトルを測定したところMS ペクトルのピークは576(=〔M + 〕:極性ポジ)に変化した。これらの結果から 例示化合物(51)から300℃付近で置換基が脱離 し、亜鉛フタロシアニン顔料に変化したこと がわかる。

<実施例3>
 α-t-ブチルスルホニルフタロニトリル20.0gを N,N’-ジメチルエチレンジアミン2.2g、N-メチ ピロリドン25mlに添加し、160℃で8時間攪拌し た。その後メタノールで濾過して例示化合物 (52)[または化合物1c(前記化合物1においてM=H 2 の化合物)]を3.50gを得た、そのMSスペクトルは 996(=〔M + 〕+1:極性ポジ)であった。この例示化合物(52) クロロホルム等の溶媒に溶解した。
 図6に例示化合物(52)のTG測定結果示す。
 上記で得た例示化合物(52)を400℃で加熱し、 その残渣のMSスペクトルを測定したところMS ペクトルのピークは514(=〔M + 〕:極性ポジ)に変化した。これらの結果から 例示化合物(52)から置換基が脱離し、無金属 (水素型)フタロシアニン顔料に変化したこと わかる。
 液体クロマトグラフィー(HPLC;カラム:TSK-gel  ODS-80Ts(東ソー製、商品名)、4.6×150mm、溶離液: THF/H 2 O=47/53(AcOH,NEt 3 各0.1%)、検出波長254nmおよび675nm)により、化 物1a、化合物1b、化合物1cの純度が99%以上で ることを確認した。

<実施例4>
 市販の4置換スルホン酸亜鉛フタロシアニン (例示化合物(53)[または化合物7a(M=Znの化合物)] 、フロンティア・サイエンス社(Frontier Scienti fic)製のMSスペクトルは895(=〔M + 〕:極性ネガ)であった。この例示化合物(53)は 水溶性であった。
 この化合物のTGを測定した結果を図7に示す
 4置換スルホン酸亜鉛フタロシアニンを250℃ で加熱しても水溶性を示した。TGにおける初 の重量減少は溶剤もしくは水に起因すると えられる。その後400℃まで加熱し、その残 のMSスペクトルを測定したところMSスペクト ルのピークは576(=〔M + 〕:極性ポジ)に変化した。これらの結果から 例示化合物(53)から置換基(-SO 3 H基)が脱離し、亜鉛フタロシアニン顔料に変 したことがわかる。

<実施例5>
 市販の4置換スルホン酸無金属フタロシアニ ン(例示化合物(54)[または化合物7b(M=H 2 の化合物)]、フロンティア・サイエンス社製) のMSスペクトルは832(=〔M + 〕-1:極性ネガ)であった。この例示化合物(54) 水溶性であった。
 この化合物のTGを測定した結果を図8に示す
 例示化合物(54)を250℃で加熱しても水溶性を 示した。TGにおける初期の重量減少は溶剤も くは水に起因すると考えられる。その後400 まで加熱し、その残渣のMSスペクトルを測 したところMSスペクトルのピークは514(=〔M + 〕:極性ポジ)に変化した。これらの結果から 例示化合物(54)から置換基が脱離し、無置換 の無金属(水素型)フタロシアニン顔料に変化 たことがわかる。

<実施例6>
 化合物1aと同様に化合物1b、化合物1c、化合 7a、化合物7bについて400℃まで加熱した前後 でMALDI-TOF-MS測定を行った。加熱前にはそれぞ れの分子量に相当する1057([M+H] + )、994(M + )、896(M + )、834(M + )が観測されたのに対し、加熱処理後にはい れも前記ピークが消失し、新たに576(ZnPc:C 32 H 16 N 8 Znの分子量に相当)、514(H 2 Pc:C 32 H 18 N 8 の分子量に相当)、576(ZnPc:C 32 H 16 N 8 Znの分子量に相当)、514(H 2 Pc:C 32 H 18 N 8 の分子量に相当)のピークが観測された。

 以上の結果から、化合物1aと同様に加熱処 により化合物1b、化合物1c、化合物7a、化合 7bの置換基が脱離し、それぞれ無置換のZnPc H 2 Pc、ZnPc、H 2 Pcへと変換されることが分かった。

<実施例7>
(薄膜1の作製)
 例示化合物(1)[溶媒可溶性前駆体化合物]2gを 、クロロホルム100ml中に添加して溶解し、色 前駆体含有塗布液を調製した。厚さ1.0mmの ラス板上に、調製した色素含有溶液をスピ コート法により回転数500~1000rpmまで変化させ ながら23℃、50%RHの条件で塗布して色素膜(薄 1)を作製した。この時の有機膜を偏光光学 微鏡および電子顕微鏡で観察したところ、 一なアモルファス膜が形成されていた。

 また、作製した膜について吸収スペクトル 測定した。吸収スペクトルは紫外可視分光 度計(島津製作所製、商品名、MPC-2200/UV-2400) 用いて測定した。測定結果を図9に示す。吸 収スペクトルは図に示すとおりであり、スペ クトル形状が色素前駆体含有塗布液の吸収ス ペクトル(図示せず)に類似していることから 膜中で溶媒可溶性前駆体化合物は変化せず また分子同士がほとんど分子間相互作用し いないことが分かった(λ max =673nm)。

(薄膜2の作製)
 次に、前記薄膜1について、空気下350℃で3 間熱処理した後に前記と同様にして膜の吸 スペクトルを測定した。測定結果を図9に示 。吸収スペクトルは図に示すとおりであり 加熱処理により置換基が脱離し、膜中での 子同士の分子間相互作用が増大しているこ が分かった(λ max =709nm)。また、上記実施例1の結果と併せてみ と、上記加熱処理により得られた薄膜は、 的の溶媒不溶性のフタロシアニン化合物(銅 フタロシアニン(α型))からなる薄膜であるこ がわかる。

<比較例1>
(薄膜3の作製)
 実施例2において、例示化合物(1)の代わりに 「ネイチャー(Nature),1997年,Vol.388,p.131」に記載 の化合物(下記比較化合物1)を用いたこと以外 は実施例1と同様にして薄膜3を作製した。
 作製した膜について実施例2と同様にして吸 収スペクトルを測定した。測定結果を図10に す。吸収スペクトルは図に示すとおりであ 、スペクトル形状が下記比較化合物1溶解し た溶液の吸収スペクトルに類似していること から、比較化合物1は変化せず、また膜中で 子同士がほとんど分子間相互作用していな ことが分かった(λ max =435nm)。

(薄膜4の作製)
 次に、前記薄膜3について、空気下180℃で3 間熱処理した後に前記と同様にして膜の吸 スペクトルを測定した。測定結果を図10に示 す。吸収スペクトルは図に示すとおりであり 、加熱処理により置換基(Boc基)が脱離し、ジ トピロロピロール化合物顔料が生成し、ま 膜中での該顔料分子同士の分子間相互作用 増大していることが分かった(λ max =546nm)。

光堅牢性評価
<色素膜の耐光性評価>
 上記薄膜1~4をそれぞれ23℃、50%RHで24時間保 した後、メリーゴーランド型耐光試験機(イ ーグルエンジニアリング社製、セルテスト機 III型、Schott製WG320フィルタ付、いずれも商品 )を用いて耐光性試験を行った。耐光性試験 直前の色素膜および耐光性試験48時間後の色 膜について、UV-1600PC(商品名、SHIMADZU社製)を 用いて吸収スペクトルを測定し、最大吸収波 長における吸光度の変化を読み取った。結果 を表6に示す。

 表6の結果から明らかなように、例示化合 物(1)及び比較化合物1はいずれも熱処理によ て置換基が脱離して堅牢性の高い色素膜が られた。しかし、Boc基を有する熱処理前の 較化合物1は光堅牢性が大きく劣るものであ た。これに対し、本発明の第1の実施態様に 用いられる例示化合物(1)は熱処理前において も光堅牢性が優れるものであった。この結果 から、本発明の第1の実施態様によれば、置 基の脱離前後において、つまり溶媒可溶性 駆体化合物及びこれから得た溶媒不溶性化 物のいずれにおいても極めて高い保存安定 を示すことがわかる。

<比較例2>
 例示化合物(1)の代わりに銅フタロシアニン( 東京化成社製β型)を用いて、アシッドペース ティング法により微細α型の銅フタロシアニ 結晶を得た。具体的には、銅フタロシアニ (東京化成社製β型)2.5gを濃硫酸25mlに溶解さ た後に、0℃で水500ml中に注入して、上記微 α型の結晶を得た。

 得られた微細α型結晶について、それぞ X線回折測定を行った。X線回折測定は、Rigaku 社製X-RAY DIFFRACTOMETER RINT-2500(商品名)を使用 た。結果を図11に示す。また、実施例1にお るX線回折測定結果のうち図3中のα型結晶の ータ(350℃又は400℃加熱したもの)と、比較 2におけるX線回折測定結果を示す図11中のチ ートとを合わせて対比したものを図12に示 。

 図の結果から明らかなように、実施例1及 び比較例2で得られたものはいずれもα型銅フ タロシアニン結晶構造のピークを示した。し かし比較例2で得られた結晶に比べて参考例1 より得られた結晶の方が、半値幅がより小 かった。このことから、準安定のα型結晶 場合、大きな結晶子を作製することは困難 あるにも関わらず、本発明の第1の実施態様 よれば結晶子が大きいα型結晶を作製する とができることがわかる。

<比較例3>
 市販の4置換スルホン酸ナトリウム銅フタロ シアニン(アルドリッチ社製)のTG/DTAを測定し 結果を以下に示す。この比較化合物(2)は水 溶解した。この化合物のTGを測定した結果 図13に示す。TGにおける初期の重量減少は溶 もしくは水に起因する。その後400℃まで加 しても重量減少を起こさない。この結果か 、上記4置換スルホン酸ナトリウム銅フタロ シアニンからの置換基(スルホン酸ナトリウ )の脱離には400℃を超える高温を必要とする とがわかる。

実施例2-1
(吸収スペクトル測定用薄膜試料およびFET特 測定用試料の作製)
 化合物1a(1mg)をクロロホルム(1mL)に溶解させ この溶液を石英基板上にキャストすること 、厚さ1μm以下で厚みが均一な吸収スペクト ル測定用薄膜試料を得た。
 また、同様にFET特性測定用基板上にキャス することで、厚さ1μm以下の厚みが均一なFET 特性測定用試料を得た。FET特性測定用基板と しては、図15-1に示したボトムコンタクト型 構成のものを使用した。ソースおよびドレ ン電極としてくし型に配置されたクロム/金( ゲート幅W=100000μm、ゲート長L=100μm)、絶縁膜 してSiO 2 (膜厚200nm)を備えたボトムコンタクト構造の リコン基板を用いた。

(FET特性の測定)
 まず、上記のFET特性測定用試料についてFET 性(ゲート電圧100V印加時のドレイン電圧-ド イン電流特性)を測定した。FET特性はセミオ ートプローバー(ベクターセミコン製、商品 、AX-2000)を接続した半導体パラメーターアナ ライザー(Agilent製、商品名、4156C)を用いて常 ・窒素雰囲気下(グローブボックス中)で測 した。測定結果を図16(a)に示す。
 図16(a)から明らかなように、加熱処理前の 料では、FET特性を全く示さなかった。この の有機膜を偏光光学顕微鏡および電子顕微 で観察したところ、均一なアモルファス膜 形成されていることが確認できた。

 次に、上記のFET特性測定用試料について窒 雰囲気下300℃で5分間加熱処理した後にFET特 性を測定した。測定結果を図16(b)に示す。
 図16(b)から明らかなように、加熱処理後の 料では、良好なp型の半導体特性を示した。 レイン電流I d を表わす式I d =(W/2L)μC i (V g -V th ) 2 (式中、Lはゲート長、Wはゲート幅、C i は絶縁層の単位面積当たりの容量、V g はゲート電圧、V th は閾値電圧を表す。)を用いてキャリア移動 μを算出すると、3.1×10 -5 cm 2 /Vsであった。また、ドレイン電圧-100V印加時 ート電圧-ドレイン電流特性における最大お よび最小ドレイン電流値(I d )の比より算出したオン/オフ比は、5×10 2 であった(ゲート電圧-100V時)。1ヶ月間大気中 放置した後、同様の測定を行ったところ、 動度の変化量は5%以内であり、大気下での 定性が高いことが分かった。

(吸収スペクトルの測定)
 まず、上記の吸収スペクトル測定用薄膜試 について吸収スペクトルを測定した。吸収 ペクトルは紫外可視分光光度計(島津製作所 製、商品名、MPC-2200/UV-2400)を用いて測定した 次に、該試料について窒素雰囲気下300℃で5 分間加熱処理した後に同様にして吸収スペク トルを測定した。測定結果を図17に示す。
 図17から明らかなように、加熱処理前の試 では、スペクトル形状が溶液の吸収スペク ルに類似していることから、膜中で分子同 がほとんど分子間相互作用していないこと 分かった(λ max =675nm)。一方、加熱処理後の試料では、加熱 理により置換基が脱離し、膜中での分子同 の分子間相互作用が増大していることが分 った(λ max =742nm)。

実施例2-2
 化合物1aの代わりに化合物1bを用いた以外は 実施例2-1と同様にしてFET特性を調べたところ 、化合物1aと同様に、加熱前には全くFET特性 示さず、加熱処理後には良好なp型半導体特 性を示した。移動度は4.0×10 -7 cm 2 /Vsだった。
実施例2-3
 化合物1aの代わりに化合物1cを用いた以外は 実施例2-1と同様にしてFET特性を調べたところ 、化合物1aと同様に、加熱前には全くFET特性 示さず、加熱処理後には良好なp型半導体特 性を示した。移動度は9.1×10 -6 cm 2 /Vsだった。
実施例2-4
 塗布溶液として、化合物1a(1mL)のクロロホル ム(1mL)溶液を用いる代わりに化合物7aの純水(1 mL)溶液を用いた以外は実施例2-1と同様にして FET特性を調べたところ、化合物1aと同様に、 熱前には全くFET特性を示さず、加熱処理後 は良好なp型半導体特性を示した。移動度は 1.1×10 -7 cm 2 /Vsだった。
実施例2-5
 塗布溶液として、化合物1a(1mL)のクロロホル ム(1mL)溶液を用いる代わりに化合物7bの純水(1 mL)溶液を用いた以外は実施例2-1と同様にして FET特性を調べたところ、化合物1aと同様に、 熱前には全くFET特性を示さず、加熱処理後 は良好なp型半導体特性を示した。移動度は 2.7×10 -6 cm 2 /Vsだった。

比較例2-1
 化合物1aの代わりに銅フタロシアニン(CuPc:C 32 H 16 N 8 Cu、東京化成より購入し昇華精製したもの)を 用いたこと以外は実施例2-1と同様にしてFET特 性測定用試料を作製した。
 作製した試料について実施例2-1と同様にし FET特性を測定したが、全くFET特性を示さな った。また、実施例2-1と同様にして加熱処 を行った後にFET特性を測定したが、やはり くFET特性を示さなかった。
 測定に用いた素子を偏光顕微鏡および電子 微鏡により観察したところ、銅フタロシア ンのクロロホルムへの溶解性が極めて低い め、膜を形成していないことが分かった。
比較例2-2
 化合物1bの代わりに亜鉛フタロシアニン(ZnPc :C 32 H 16 N 8 Zn、東京化成より購入し昇華精製したもの)を 用いたこと以外は実施例2-2と同様にしてFET特 性測定用試料を作製した。
 作製した試料について実施例2-1と同様にし FET特性を測定したが、全くFET特性を示さな った。また、実施例2-2と同様にして加熱処 を行った後にFET特性を測定したが、やはり くFET特性を示さなかった。
 測定に用いた素子を偏光顕微鏡および電子 微鏡により観察したところ、亜鉛フタロシ ニンのクロロホルムへの溶解性が極めて低 ため、膜を形成していないことが分かった
比較例2-3
 化合物1cの代わりに無金属フタロシアニン(H 2 Pc:C 32 H 20 N 8 、東京化成より購入し昇華精製したもの)を いたこと以外は実施例2-3と同様にしてFET特 測定用試料を作製した。
 作製した試料について実施例2-1と同様にし FET特性を測定したが、全くFET特性を示さな った。また、実施例2-3と同様にして加熱処 を行った後にFET特性を測定したが、やはり くFET特性を示さなかった。
 測定に用いた素子を偏光顕微鏡および電子 微鏡により観察したところ、無金属フタロ アニンのクロロホルムへの溶解性が極めて いため、膜を形成していないことが分かっ 。
比較例2-4
 化合物7aの代わりに亜鉛フタロシアニン(ZnPc :C 32 H 16 N 8 Zn、東京化成より購入し昇華精製したもの)を 用いたこと以外は実施例2-4と同様にしてFET特 性測定用試料を作製した。
 作製した試料について実施例2-1と同様にし FET特性を測定したが、全くFET特性を示さな った。また、実施例2-2と同様にして加熱処 を行った後にFET特性を測定したが、やはり くFET特性を示さなかった。
 測定に用いた素子を偏光顕微鏡および電子 微鏡により観察したところ、亜鉛フタロシ ニンの純水への溶解性が極めて低いため、 を形成していないことが分かった。
比較例2-5
 化合物7bの代わりに無金属フタロシアニン(H 2 Pc:C 32 H 20 N 8 、東京化成より購入し昇華精製したもの)を いたこと以外は実施例2-5と同様にしてFET特 測定用試料を作製した。
 作製した試料について実施例2-1と同様にし FET特性を測定したが、全くFET特性を示さな った。また、実施例2-3と同様にして加熱処 を行った後にFET特性を測定したが、やはり くFET特性を示さなかった。
 測定に用いた素子を偏光顕微鏡および電子 微鏡により観察したところ、無金属フタロ アニンの純水への溶解性が極めて低いため 膜を形成していないことが分かった。

実施例2-6
 ITO電極がパターニングされたガラス基板(2.5 cm×2.5cm)を、イソプロピルアルコール中で超 波洗浄した後、乾燥した。さらに、ITO電極 面の有機汚染物質を除去するためにUVオゾン 処理を30分間行った。次に、ITO基板上にPEDOT( リ(3,4-エチレンジオキシチオフェン))/PSS(ポ スチレンスルホン酸)水溶液(BaytronP(標準品)) をスピンコート(4000rpm、60秒間)し、120℃で10 間乾燥することにより、膜厚約50nmのホール 送性バッファ層を形成させた。膜厚は、触 式膜厚計(アルバック社製、商品名:DEKTAK 6M) により測定した(以下同)。次いで、化合物1a PCBM([6,6]-フェニル-C 61 -酪酸メチルエステル)のクロロホルム混合溶 (15mg+15mg/mL)をバッファ層の上に1000rpmでスピ コートすることで、厚さ200nm以下の厚みが ぼ均一な有機半導体(有機光電変換層)前駆体 膜を形成させた。窒素雰囲気下、10℃/分で400 ℃まで加熱し、400℃で5分間保持することで 機半導体膜へと変換し、光電変換層を作製 た。この光電変換層の上に、真空蒸着装置( ルバック社製、商品名:EBX-8C)を用いて、2×10 -4 以下の真空度で、バッファ層としてLiFを約1nm 、金属電極としてアルミニウムを約80nm、順 真空蒸着することにより、有効面積0.04cm 2 の有機光電変換素子を得た。
 この素子にソーラーシミュレータ(Oriel社製 150W簡易型)を用いてAM1.5、100mW/cm 2 の擬似太陽光を照射し、電気化学アナライザ ー(BAS社製、商品名:ALSモデル660B)を用いて電 -電圧特性を測定したところ、光電流および 起電力が発生し、良好な光電変換特性を示 た。光起電力は0.40Vだった。

比較例2-6
 実施例2-6において、化合物1aの代わりに銅 タロシアニン(CuPc:C 32 H 16 N 8 Cu、東京化成より購入し昇華精製したもの)を 用いたこと以外は実施例2-6と同様にして有機 光電変換素子を作製した。
 作製した試料について実施例2-6と同様にし 光電変換特性を測定したが、全く光電変換 性を示さなかった。
 測定に用いた素子を偏光顕微鏡および電子 微鏡により観察したところ、銅フタロシア ンのクロロホルムへの溶解性が極めて低い め、膜を形成していないことが分かった。

 本発明をその実施態様とともに説明した 、我々は特に指定しない限り我々の発明を 明のどの細部においても限定しようとする のではなく、添付の請求の範囲に示した発 の精神と範囲に反することなく幅広く解釈 れるべきであると考える。

 本願は、2007年9月12日に日本国で特許出願 された特願2007-237313、及び2007年9月12日に日本 国で特許出願された特願2007-237315に基づく優 権を主張するものであり、これらはいずれ ここに参照してその内容を本明細書の記載 一部として取り込む。