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Patent Searching and Data


Title:
PROTEIN ANALYSIS METHOD USING ISOTOPE COMPOUND AS LABEL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/156139
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a protein analysis method which is characterized by making a mass discrimination between a protein contained in a sample and the protein contained in another sample by using a combination of at least two types of stable isotopes of a compound represented by the formula (I) or a salt thereof as labeling compounds. Wherein R1, R2 and R3 independently represent a hydrogen, a halogen or an alkyl.

Inventors:
MATSUKAWA SHIGERU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/061243
Publication Date:
December 24, 2008
Filing Date:
June 19, 2008
Export Citation:
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Assignee:
UNIV FUKUI NAT UNIV CORP (JP)
MATSUKAWA SHIGERU (JP)
International Classes:
G01N27/62
Foreign References:
JP2005181011A2005-07-07
JP2003107066A2003-04-09
JP2007127631A2007-05-24
Other References:
CRAIG D.B. ET AL.: "Determination of picomolar concentrations of proteins using novel amino reactive chameleon labels and capillary electrophoresis laser-induced fluorescence detection", ELECTROPHORESIS, vol. 26, no. 11, 9 May 2005 (2005-05-09), pages 2208 - 2213, XP002504553
ION GHIVIRGA ET AL.: "Rotation Barriers in Pyridinium Salts Depend on the Number of Available Ground State Conformations", CROATICA CHEMICA ACTA, vol. 77, no. 1-2, 2004, pages 391 - 396
GOSHE M.B. ET AL.: "Stable isotope-coded proteomic mass spectrometry", CURRENT OPINION IN BIOTECHNOLOGY, vol. 14, no. 1, February 2003 (2003-02-01), pages 101 - 109, XP009020301
Attorney, Agent or Firm:
TAKASHIMA, Hajime (Bldg. 1-1, Fushimimachi 4-chome,Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 44, JP)
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Claims:
 質量分析計を用いて2種以上のタンパク質含有試料を対比して、それぞれの試料に含まれる同種のタンパク質の量比を分析するタンパク質分析方法であって、式(I):

(式中、R 1 、R 2 及びR 3 はそれぞれ同一又は異なって、水素、ハロゲン又はアルキルを示す)
で表される化合物又はその塩の2種以上の安定同位体の組み合わせを標識化合物として用いてそれぞれの試料に含まれる同種のタンパク質に質量差を与えることを含む、タンパク質分析方法。
 式(I)の化合物が、2,4,6-トリメチルピリリウムである、請求項1に記載の方法。
 前記組み合わせに含まれる安定同位体間の質量差が2以上である、請求項1に記載の方法。
 質量分析計を用いて2種以上のタンパク質含有試料を対比して、それぞれの試料に含まれる同種のタンパク質の量比を分析するために用いられる試薬キットであって、標識化合物として式(I):

(式中、R 1 、R 2 及びR 3 はそれぞれ同一又は異なって、水素、ハロゲン又はアルキルを示す)
で表される化合物又はその塩の2種以上の安定同位体の組み合わせを含む、キット。
 式(I)の化合物が、2,4,6-トリメチルピリリウムである、請求項4に記載のキット。
 前記組み合わせに含まれる安定同位体間の質量差が2以上である、請求項4に記載のキット。
 質量分析されるタンパク質を含有する内部標準試料もまた前記標識化合物の安定同位体の一つで標識して質量分析に付すこと、及び内部標準試料由来のMSスペクトル強度に対するタンパク質含有試料由来のMSスペクトル強度の比を求めることにより、それぞれのタンパク質含有試料に含まれる同種のタンパク質の量比を決定することを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
Description:
同位体化合物を標識として使用 るタンパク質の分析方法

 本発明は、タンパク質を分析する方法に する。さらに詳細には、本発明は、質量分 計を用いて2種以上のタンパク質含有試料を 対比して、それぞれの試料に含まれる同種の タンパク質の量比を分析する方法に関する。 本発明はまた、質量分析計を用いたタンパク 質の分析に有用な試薬キットを提供する。

 様々な生物のゲノム構造解析が進展して 細胞内で働くことがあると予想されるタン ク質の候補がその一次構造情報として集積 れてきた。しかし、遺伝子情報から引き出 れるタンパク質情報はあくまでも情報であ 、実体ではないことに注意が必要である。 実、細胞や組織では核内の全遺伝子情報の 部しか翻訳されていないといわれ、しかも 細胞や組織の由来によってその種類は様々 ある。また、発生から分化の過程でも、発 するタンパク質の質や量が刻々と変化して るようである。細胞内では、更に、多様な ンパク質が複雑に相互作用して細胞の生命 動を維持しているが、それら相互の関連を らかにすることにより、遺伝子の機能解析 進めていくことが求められている。

 プロテオーム解析は、細胞の機能を支え 多様なタンパク質間の関係を総合的にとら ようとする試みである。この目的に合致す 合理的方法論が開発されてきているが、あ 特定の代謝反応に関与するタンパク質の一 の構成成分を明らかにすること(同定)さえ 、現状では多くの困難を伴う。このように 様性に富むタンパク質の集合であるプロテ ームの変化を、総合的に、しかも迅速に把 することが求められている。

 従来タンパク質の分離のために利用され いるSDSゲル電気泳動法は、分子量に関して い分離能を持つ。一方、タンパク質の荷電 基づき分離する等電点電気泳動法は、技術 な問題を克服しているが、試料調製に困難 抱えている。この両者の性質を併せ持つ分 技術である2次元電気泳動法は、現状では最 も優れた分離能をもつ方法ではあるが、再現 性に問題を残し、それを克服するために多色 蛍光標識法と併用した所謂DIGE法が開発実用 されている。この方法は自動化が困難では るが、再現性や定量性の確保が難しいとい 問題はある程度克服された。

 一方、液体クロマトグラフ、質量分析計 びデータ解析システムを結合し、試料の分 からタンパク質の同定に至る過程を一貫し オンラインで自動的に行う大規模なタンパ 質同定システムが開発されている。このシ テムは感度が極めて高く、試料はほんの少 でよいうえに質量が極めて正確に得られる め、標的タンパク質に由来する2、3種のペ チド断片の質量が分かるだけでそのタンパ 質を同定することが出来ることが多い。或 は、質量分析を用いてペプチドのアミノ酸 列を直接決定し、そのアミノ酸配列からタ パク質を同定することも可能である。

 また、正常と病態との間における細胞や組 内のタンパク質の量の変化や、発生中の組 、脳を含めた様々の疾患の組織、又は遺伝 の変異によって機能変化した組織で発現す タンパク質の量を知ることは、病態解明の めの重要なヒントになる。それゆえ、細胞 のタンパク質を同定する技術だけでなく、 ンパク質を定量する技術への需要もまた高 っている。
 従来、標的タンパク質に対して特異的に結 する抗体の結合を間接的に検出することで 的タンパク質の存在量を相対的に決めてき 。この方法においては、標的タンパク質が に同定されていて、かつそのタンパク質を 出できる抗体が得られている必要がある。
 一方、同位体を利用して同一タンパク質に 料間で質量差を与えた後質量分析に付すこ により、存在比を分析する方法も現在用い れている。この方法は、未同定のタンパク の同定と定量を一度の分析で達成出来る利 がある。この方法のために、ICAT(登録商標) 薬、iTRAQ(登録商標)試薬、ICPL(登録商標)試薬 、NBS(登録商標)試薬などの標識試薬が利用さ ている(例えば、特許文献1参照)。また、軽 素原子と重酸素原子とを含む2種類の水の中 で対比試料に別々に消化酵素を働かせた時に 、新生するカルボン酸のOHとして酸素が取り まれ、質量差が2のペプチドが出来、それを 質量分析で分離して量比を決める方法、或い はCやNの軽原子と重原子とを含むアミノ酸中 培養した細胞の全タンパク質をこれらのア ノ酸で構成するようにしてから両者の成分 存在比を調べる方法など多くの工夫がなさ ている。
 上述した標識試薬の内、ICAT試薬及びNBS試薬 については、それらが結合するアミノ酸残基 はそれぞれシステイン及びトリプトファンで あり、これらはタンパク質中での含有量が少 ないため、タンパク質によっては分析にかか らない場合があることや、2種の試料間での 較に限定されていることなど、様々の欠点 抱えている。また、タンパク質のリジン残 のアミノ基を標識するiTRAQ試薬とICPL試薬は 不安定な活性カルボン酸を用いてアミド結 を形成するために試薬の保存が難しい。ま 、これら4種類の試薬はいずれも高価であり それもまたこれらの利用を制限する原因と っている。

特開2003-107066号公報

 本発明は上述のような従来のタンパク質 量技術の問題点を鑑みなされたものであり タンパク質の同定及びその定量情報をより 単な処理で得ることのできるタンパク質分 方法を提供することを主眼とする点では先 技術から大きな違いはないが、本発明の目 は、機能性、利便性及び経済性に優れたタ パク質分析方法及びそれに用いるキットを 供することにある。

 本発明者は、上記課題を解決するために 標的ペプチドを質量分析計にて同定・定量 ることを特徴とするタンパク質分析方法に 目し鋭意検討を重ねた結果、本発明に用い 化合物であるピリリウム誘導体の安定同位 の組み合わせが、質量分析によるタンパク の定量のための標識化合物として非常に有 であることを見出し、本発明を完成するに った。

 すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]質量分析計を用いて2種以上のタンパク質 有試料を対比して、それぞれの試料に含ま る同種のタンパク質の量比を分析するタン ク質分析方法であって、式(I):

(式中、R 1 、R 2 及びR 3 はそれぞれ同一又は異なって、水素、ハロゲ ン又はアルキルを示す)
で表される化合物又はその塩の2種以上の安 同位体の組み合わせを標識化合物として用 てそれぞれの試料に含まれる同種のタンパ 質に質量差を与えることを含む、タンパク 分析方法。
[2]式(I)の化合物が、2,4,6-トリメチルピリリウ ムである、[1]に記載の方法。
[3]前記組み合わせに含まれる安定同位体間の 質量差が2以上である、[1]に記載の方法。
[4]質量分析計を用いて2種以上のタンパク質 有試料を対比して、それぞれの試料に含ま る同種のタンパク質の量比を分析するため 用いられる試薬キットであって、標識化合 として式(I):

(式中、R 1 、R 2 及びR 3 はそれぞれ同一又は異なって、水素、ハロゲ ン又はアルキルを示す)
で表される化合物又はその塩の2種以上の安 同位体の組み合わせを含む、キット。
[5]式(I)の化合物が、2,4,6-トリメチルピリリウ ムである、[4]に記載のキット。
[6]前記組み合わせに含まれる安定同位体間の 質量差が2以上である、[4]に記載のキット。
[7]質量分析されるタンパク質を含有する内部 標準試料もまた前記標識化合物の安定同位体 の一つで標識して質量分析に付すこと、及び 内部標準試料由来のMSスペクトル強度に対す タンパク質含有試料由来のMSスペクトル強 の比を求めることにより、それぞれのタン ク質含有試料に含まれる同種のタンパク質 量比を決定することを含む、[1]~[3]のいずれ に記載の方法。

 本発明のタンパク質分析方法によれば、 単な処理でタンパク質の定量情報を得るこ が可能となる。本発明はまた、かかるタン ク質分析方法に利用されるキットを提供す 。

内部標準試料を利用したタンパク質の 量方法の流れを示す図である。 内部標準試料を利用して多種類試料中 タンパク質を定量する方法の流れを示す図 ある。 ヒト血清アルブミンの同位体標識物由 のペプチドのトータルイオンクロマトグラ を表す図である。横軸は保持時間(分)、縦 は相対強度(%)を表す。 図3のクロマトグラム上の時間23.86分か 23.92分の間のイオンの質量分析データを表 図である。横軸は質量(m/z)、縦軸は相対強度 (%)を表す。

 本発明は、質量分析計を用いて2種以上の タンパク質含有試料を対比して、それぞれの 試料に含まれる同種のタンパク質の量比を分 析するタンパク質分析方法に関わる。本発明 は特に、上記式(I)で表される化合物又はその 塩(以下、これらを単に本発明の化合物とも する)の2種以上の安定同位体の組み合わせを 標識化合物として用いてそれぞれの試料に含 まれる同種のタンパク質に質量差を与えるこ とを含む、タンパク質分析方法を提供する。

 式(I)中のR 1 、R 2 及びR 3 はそれぞれ同一又は異なって、水素、ハロゲ ン又はアルキルを示す。R 1 、R 2 及びR 3 は、好ましくは水素、ハロゲン、又は炭素数 1~6のアルキル(例えば、メチル、エチル、プ ピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、 ソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシ 等)であり、より好ましくは炭素数1~3のアル ル(例えば、メチル又はエチル)である。ま 、前記ハロゲンとしては、例えばフッ素、 素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。

 式(I)の化合物の好ましい例としては、2,4, 6-トリメチルピリリウム、2-エチル-4,6-ジメチ ルピリリウム及び2,6-ジエチル-4-メチルピリ ウムなどが挙げられる。

 本発明の化合物は、通常、塩の形態で利 される。その場合、該塩は式(I)の化合物及 任意の陰イオン原子又は陰イオン分子から る塩である。該陰イオン原子又は陰イオン 子としては、ヘキサフルオロリン酸、トリ ルオロメタンスルホン酸、テトラフルオロ ウ酸等の陰イオンが挙げられ、タンパク質 標識反応を妨げない限り特にその種類は限 されないが、好ましくはテトラフルオロホ 酸の陰イオンである。

 従って、好ましい本発明の化合物の例と ては、2,4,6-トリメチルピリリウム・テトラ ルオロホウ酸、2-エチル-4,6-ジメチルピリリ ウム・テトラフルオロホウ酸塩又は2,6-ジエ ル-4-メチルピリリウム・テトラフルオロホ 酸などが挙げられる。

 本発明においては、質量の異なる本発明の 合物の安定同位体によりそれぞれの試料に まれるタンパク質又はペプチドを標識する とによって、同種のタンパク質又はペプチ に質量差を与える。使用される安定同位体 の質量差は、質量分析計により質量差を与 られた同種のタンパク質又はペプチドを分 することが出来る限り特に限定されないが 通常2以上であり、好ましくは3以上である 質量差の上限も、本発明の化合物が安定に 在し得る限り特に限定されない。通常は化 物間の質量差を 12 Cと 13 Cとの間の質量差により与えるので、質量差 上限は本発明の化合物中に含まれる炭素原 の個数に等しい。

 本発明の化合物は、例えば
1) Balaban, A.T., Boulton A.J., Organic Synthesis, Co ll., vol.5, p.1112(1973);vol.49, p.121(1969). 
2) Balaban, A.T., Boulton A.J., Organic Synthesis, Co ll., vol.5, p.1114(1973)
3) Ghiviriga I., Czerwinski E. W., Balaban A.T., Cro atia Chemica Acta, vol.77(1-2), p.391-396 (2004)
等で教示されている方法に従って合成するこ とが出来る。

 次に、上に挙げた3つの化合物、2,4,6-トリ メチルピリリウム・テトラフルオロホウ酸塩 、2-エチル-4,6-ジメチルピリリウム・テトラ ルオロホウ酸塩及び2,6-ジエチル-4-メチルピ リウム・テトラフルオロホウ酸塩を例とし 、標識化合物として用いられる好適な安定 位体について説明する。

 2,4,6-トリメチルピリリウム・テトラフル ロホウ酸塩の好適な3種の安定同位体の組み 合わせの一例を式(II):

に示す。但し、 13 Cに置換する炭素原子の位置は任意であり、 化合物中に含まれる 13 C原子の数を変更しない範囲で式(II)に示され 位置以外の炭素原子が 13 Cに置換されていてもよい。上記3種の化合物 ら選択される2又は3種を組み合わせて本発 の方法に用いることが出来る。なお、以後 式(II)中に示すように、各同位体をそれぞれP y0、Py4又はPy8と呼称し、また、これらを総称 てPy化合物と呼ぶこととする。式(II)中、Cの 左肩に数字13がある炭素原子が質量数13の炭 原子である。すなわち、最低質量の標識化 物(化学式(Py0))の全ての炭素は質量数12で、 間の質量数の標識化合物(化学式(Py4))は質量 12の炭素原子8個のうち4個を質量数13の炭素 子で置き換えている。第三番目の同位体化 物(化学式(Py8))はPy0の全ての炭素原子を質量 数13の炭素原子に置換してある。そのため、 種の標識化合物の質量差の関係はPy0、Py0+4(= Py4)、Py0+8(=Py8)となる。また、これらのPy化合 における前記安定同位体間の質量差は4であ る。

 同様に、2-エチル-4,6-ジメチルピリリウム ・テトラフルオロホウ酸塩の好適な4種の安 同位体の組み合わせの一例を式(III):

に示す。但し、 13 Cに置換する炭素原子の位置は任意であり、 化合物中に含まれる 13 C原子の数を変更しない範囲で式(III)に示され た位置以外の炭素原子が 13 Cに置換されていてもよい。上記4種の化合物 ら選択される2、3又は4種を組み合わせて本 明の方法に用いることが出来る。なお、以 、式(III)中に示すように、各同位体をそれ れPyE0、PyE3、PyE6又はPyE9と呼称し、また、こ らを総称してPyE化合物と呼ぶこととする。 (III)中、黒丸は質量13の炭素原子を表す。す なわち、最低質量の標識化合物(化学式(PyE0)) 全ての炭素は質量数12で、第二番目の質量 の標識化合物(化学式(PyE3))は質量数12の炭素 子9個のうち3個を質量数13の炭素原子で置き 換えている。第三番目の標識化合物(化学式(P yE6))はPyE3における 12 Cを全て 13 Cに置換し、かつPyE3における 13 Cを全て 12 Cに置換したもので、第四番目の標識化合物( 学式(PyE9))はPyE0の全ての炭素原子を 13 Cに置換してある。そのため、4種の標識化合 の質量差の関係はPyE0、PyE0+3(=PyE3)、PyE0+6(=PyE 6)、PyE0+9(=PyE9)となる。また、PyE化合物におけ る前記安定同位体間の質量差は3~9である。

 更に、同様に、2,6-ジエチル-4-メチルピリ リウム・テトラフルオロホウ酸塩の好適な4 の安定同位体の組み合わせの一例を式(IV):

に示す。但し、 13 Cに置換する炭素原子の位置は任意であり、 化合物中に含まれる 13 C原子の数を変更しない範囲で式(IV)に示され 位置以外の炭素原子が 13 Cに置換されていてもよい。上記4種の化合物 ら選択される2、3又は4種を組み合わせて本 明の方法に用いることが出来る。なお、以 、式(IV)中に示すように、各同位体をそれぞ れPydE0、PydE4、PydE6又はPydE10と呼称し、また、 これらを総称してPydE化合物と呼ぶこととす 。式(IV)中、黒丸は質量数13の炭素原子を表 ている。4種の標識化合物の質量差の関係はP ydE0、PydE0+4(=PydE4)、PydE0+6(=PydE6)、PydE0+10(=PydE10) となっている。また、PydE化合物における前 安定同位体間の質量差は、2~10である。
 なお、上記のPy化合物、PyE化合物及びPydE化 物において、質量数13の炭素原子の位置は 成過程から論理的に帰納されたものであり 質量数は質量分析装置で確認されている。

 本発明の化合物によるタンパク質又はペプ ドの標識は、例えば以下の文献:Craig D.B., W etzl B.K., Duerkop A., and Wolfbeis O.S., Electrophor esis, vol.26, p.2208-2213(2005)等に記載された周知 の方法により行うことができる。
 また、本発明の化合物は例えば下記の反応:  

で、タンパク質又はペプチドのリジン残基 のε-アミノ基と結合する。稀にα-アミノ基と 反応することもある。この反応により、本発 明の化合物はタンパク質又はペプチドを標識 する。

 なお、本明細書において、ペプチドとい 用語は、アミノ酸の個数が数個から十数個 ものを指す事とする。当該分野で周知のよ に、標的タンパク質を同定・定量するため 、通常、そのタンパク質をタンパク質分解 素で切断することにより得られるペプチド 質量分析に付される。

 本発明の化合物を標識として利用する利 は例えば次の通りである。すなわち、前記 識反応は温和かつ迅速であること;前記標識 反応により4級アミンを形成し、標的タンパ 質の電荷に影響しないため、その後の電気 動分離も可能であること;本発明の化合物は 温保存が可能であること;及び、本発明の化 合物の溶液も室温で安定であること、などで ある。また、例えば前記Py化合物、PyE化合物 びPydE化合物でそうであったように、本発明 の化合物は、3種以上の安定同位体の組み合 せで標識化合物として用いることが出来る め、最大比較対象試料数は通常3種以上であ 、これは多種試料間での同種のタンパク質 量比の分析において高い効率性をもたらす 更にはまた、本発明の化合物は、タンパク 質量分析に用いられる前記試薬(ICAT試薬、NB S試薬、iTRAQ試薬及びICPL試薬)と比較して、サ プルあたりの費用が安価であるという利点 有する。

 本発明の方法は、対比される2種以上のタ ンパク質含有試料に対して、本発明の化合物 の2種以上の安定同位体の組み合わせを標識 合物として用いてそれぞれの試料に含まれ 同種のタンパク質に質量差を与えることを む。標識された同種のタンパク質は、試料 で化学的性質に違いは無く、質量数のみ異 る。そのため、後述するように、化学的性 による分離(例えば液体クロマトグラフ、SDS- PAGE又は2次元電気泳動)によって同種のペプチ ドを他の種類のペプチドから分離し、その後 の質量分析で同種のペプチドを質量差を利用 して互いに分離することが可能となる。

 前記2種以上のタンパク質含有試料として は、例えば、同種の生体組織について、健常 状態のサンプル及び疾病状態のサンプルから 採取した計2種類の試料の場合、或いは種々 発生段階の、ある種の細胞培養由来の試料 どが挙げられる。

 本発明の方法の実施に当たっては、タン ム型の質量分析計を用いて、タンパク質の 定も定量と同時に行うことが通常想定され 。本発明の方法に利用される質量分析計と ては、例えば、四重極飛行時間型のタンデ 型質量分析計(MS/MS)又はフーリエ変換質量分 析計(FT-MS)などが挙げられる。これらの装置 成としては、従来と同様なものを利用する とが可能である。

 本発明の化合物を用いるタンパク質の分 は、当業者に周知の手順に従って実施され る。以下に、本発明の方法を利用してタン ク質を定量するための一般的な手順を簡単 説明する。以下の説明では、対比するタン ク質含有試料の種類数に触れていないが、 際は標識に用いる安定同位体の種類までの 料を対比することが出来、更には、後述す 内部標準法を用いることにより、実質的に 料が何種類であってもそれらを対比するこ が可能となる。

 本発明の方法を利用するタンパク質の定量 、通常、以下の工程:
 工程1)対比するタンパク質含有試料のそれ れを、同位体によって異なる質量数を持つ 発明の化合物で標識し、それぞれのタンパ 質含有試料に含まれる同種のタンパク質に 量差を与える工程;
 工程2)各同位体標識したタンパク質含有試 を混合する工程;
 工程3)工程2の混合物中のタンパク質を任意 相互に分離した後、制限酵素によりタンパ 質を特定アミノ酸部位で切断し、同位体標 したペプチド含有試料とする工程;及び
 工程4)前記同位体標識したペプチドのMSスペ クトルを測定し、同位体標識によって質量差 を与えられた同種のペプチドのそれぞれにつ いてMSスペクトル強度を得て、その強度比に ってタンパク質の量比を求める工程;
を含む。

 以下に前記各工程について詳細に説明する 、以下の説明は本発明の実施態様を制限す ものではない。なお、本発明の方法の大ま な流れを図1に示したので、より良い理解の ために適宜参照されたい。図1の分析では、 部由来のタンパク質含有試料(前記Py0化合物( 質量M)で標識)、正常部由来のタンパク質含有 試料(前記Py4化合物(質量M+4)で標識)及びそれ から作製される内部標準試料(前記Py8化合物( 質量M+8)で標識)からなる3種類の試料中のタン パク質の定量を行っている。
 工程1における標識は、例えば以下のように して行う。すなわち、前以て分析される試料 中の全タンパク質のSH基を還元・アルキル化 ておいてから、塩基性条件下で、適当な溶 中(例えば、トリス塩酸緩衝液を含む尿素中 )に溶解したタンパク質含有試料に本発明の 合物を添加し、瞬時に混合し反応させる。 応は室温下30分間で終えても良く、又は標識 効率を増大させるために12時間まで延長して 良い。
 工程2において、工程1で標識した各タンパ 質含有試料を混合する。未反応の標識化合 はゲルろ過法又はタンパク質沈殿試薬によ て除去し、標識タンパク質を集めて濃縮す 。
 工程3は、大別して以下の2つの方法:
 (a)前記タンパク質混合液を1次元ゲル分離、 2次元ゲル分離又は適当なクロマトメディア 大まかに分離するなどしたタンパク質をタ パク質分解酵素で加水分解し、ペプチドを 離する;又は、
 (b)前以て(a)のように含有タンパク質を相互 離のためにゲル分離やクロマト展開するこ なく、前記タンパク質混合物を直接タンパ 質分解酵素で分解する、
のいずれかに従う。タンパク質の分解のため には、一次選択のトリプシン以外に、Argペプ チダーゼやGluペプチダーゼなどを二次選択と して用いるが、Lysエンドペプチダーゼは用い ない。

 ペプチドを遊離した後、該ペプチドを質量 析に付すまでの流れは以下の通りである。 なわち、
 (a)の操作により分離したタンパク質から遊 した標識ペプチド及び非標識ペプチドにつ ては、ペプチドの分離操作無しで直接MALDI-T OF/MSにより質量分析する場合もある。また、 体クロマトグラフによりペプチドを分離後 ESI/MS/MS分析することも可能である。
 一方(b)の操作により遊離したペプチドは、2 次元液体クロマトグラフシステムによって、 例えば、1次元分離をSCXカラムで行い、溶出 た成分を第2の逆相樹脂カラムにより分離し ESI/MS/MSに導入することで、標識ペプチドの 対強度とそのアミノ酸配列情報を一度の分 で獲得する。
 ここで、次工程のMSスペクトルの測定に用 るペプチドの分子量は、特に限定されない 、天然に存在する同位体元素の影響による 析精度の低下を考慮すると、該分子量は好 しくは1000~3000であり、より好ましくは1500~200 0である。従って、工程3は、好ましくは、タ パク質の分解酵素分解産物から、上記範囲 分子量を有するペプチドを単離することを む。

 次いで、周知の分析技術を用いて前記ペプ ド由来のMSスペクトルを得ることが出来る 同位体標識によって、異なる試料由来の同 のペプチドは異なる質量を持つため、前記MS スペクトルデータにおいては、異なる試料由 来のペプチドは分離したピークとして現れる 。従って、それら分離したピークの強度を対 比することにより、前記ペプチドの試料間で の量比、すなわち前記タンパク質の試料間で の量比が求まる。
 但し、前述のMSスペクトルデータからのピ ク強度の対比においては、例えば特開2005-181 011に教示されているようにして、天然に存在 する同位体元素に起因するペプチドの同位体 ピークとの重なりを除去して量比の補正をす る必要がある。

 更に、前記工程1~4に引き続いて以下の工程:
工程5)工程4のMSスペクトルを参照して、各ペ チドからアミノ酸配列を特定すべきペプチ を選択し、該ペプチドから生成されるプロ クトイオンのMS/MSスペクトルによって、該 プチドのアミノ酸配列を定性する工程;及び
 工程6)前記ペプチドのアミノ酸配列に基づ 、既知DNA配列より対応するタンパク質を同 する工程;
も加えることにより、前記タンパク質を同定 することも可能である。タンパク質の同定は 、工程5及び6に示した手順に従って、周知の 法で行うことが出来る。

 本発明の実施態様の一つにおいて、上述 た本発明によるタンパク質分析方法であっ 、質量分析されるタンパク質を含有する内 標準試料もまた本発明の化合物の安定同位 の一つで標識して質量分析に付すこと、及 内部標準試料由来のMSスペクトル強度に対 るタンパク質含有試料由来のMSスペクトル強 度の比を求めることにより、それぞれのタン パク質含有試料に含まれる同種のタンパク質 の量比を決定することを含む、タンパク質分 析方法もまた提供される。

 本明細書において、内部標準試料という 語は、同種のタンパク質の試料間での量比 分析するに当たって、内部標準試料以外の 試料中での該タンパク質の量と内部標準試 中の該タンパク質の量とを比較することに り各試料中での含有量の相対値を求め、そ 相対値を試料間で対比することにより、分 される全試料間での該タンパク質の量比を 定するために利用される試料をいう。

 上記目的のために、内部標準試料は、分 される試料中に存在するあらゆるタンパク を含むことが好ましい。そのため、例えば 下のようにして内部標準試料は作製される すなわち、分析される全てのタンパク質含 試料から総タンパク質含有量が等しい出発 料をそれぞれ作製した後、該出発試料を等 混合する。

 内部標準試料を用いるタンパク質分析は 内部標準試料もまた本発明の化合物の安定 位体の一つで標識して、分析される他のタ パク質含有試料と共に上述した本発明によ タンパク質分析方法を適用することによっ なされる。

 内部標準試料を使用することにより、本 明の方法に用いる標識化合物の安定同位体 種類数より多くの種類の試料を定量するこ が可能となる。また、内部標準試料を利用 ることにより、複数試料間でのタンパク質 含有量の比較が高い精度で可能となる。

 図2に多種類試料間での同種のタンパク質の 量比を分析する手順の一例を示す。図2の分 は、説明の便宜上、その試料数は6であり、 つ標識に用いる安定同位体の組み合わせは4 種である場合を想定している。
 まず、6種類の試料から前述のようにして内 部標準試料(図2ではISと表記)を作製する。ま 、6種類の試料をそれぞれ3種類の試料から るグループ1(試料A、B、Cを含む)及びグルー 2(試料D、E、Fを含む)に分別する。前述した 順に従って、標的タンパク質由来のペプチ のMSスペクトルの測定をグループ毎に行う。 その結果得られるのが、図2の下部にあるよ なMSスペクトルである。前述の通り、標識ペ プチドのMSスペクトルはペプチド中の天然同 体存在比を反映して質量1ずつ異なる複雑な ものであり、その補正をする必要がある。前 記補正後の最大強度のスペクトル(例えば図2 A1、B1及びC1について前記補正をしたもの)は 天然同位体の存在の影響が無く、ペプチドの 存在量を反映している。また、内部標準試料 由来の標識ペプチドのMSスペクトル強度を各 ループの分析での共通の比較の基準とする めに、混合試料作製にあたって内部標準試 から分析毎に等量加える。内部標準試料由 のペプチドのMSスペクトル強度は理論的に 両グループの測定で等しいので、前記補正 たIS1の強度で前記補正したA、B及びCの強度 規格化し、また同様に前記補正したIS2の強 で前記補正したD、E及びFの強度を規格化し ものは、共通の基準で規格化したものとな 相互に比較することが出来る。この比較か 6種類の試料間での標的タンパク質の量比が まる。

 本発明の化合物は、3種以上の安定同位体の 組み合わせで標識化合物として用いることが 出来るため、2種の安定同位体のみの標識化 物と比較して、内部標準試料を利用する多 試料間での同種のタンパク質の量比の分析 おいて、顕著に向上した能率を示すことは らかである。それゆえ、本発明の方法は、 えば以下の用途:
 (1)多数患者の臨床試料における病気のマー ータンパク質の発見と変動の解析(臨床検査 );
 (2)ヒトや動物の様々の組織で発現している ンパク質の存在比の網羅的比較解析(生化学 );
 (3)培養細胞や動物に薬剤を投与した後での 胞内での発現タンパク質の存在量の時系列 化の解析;及び
 (4)発生段階における発現タンパク質の詳細 時系列変動の解析(発生工学)、
など、他種試料の網羅的プロテオミクス解析 の必要な場合において、非常に有用である。

 別の局面において、本発明はまた、上述 たタンパク質分析方法に用いられる試薬キ トであって、標識化合物として式(I)で表さ る化合物又はその塩の2種以上の安定同位体 の組み合わせを含む、キットを提供する。式 (I)で表される化合物又はその塩に関する定義 、安定同位体や組み合わせの態様は上述の通 りである。

 前記キットに含まれる式(I)の化合物の例と ては:
 (a)前記Py0化合物、Py4化合物及びPy8化合物か 選択される2又は3種の組み合わせ;
 (b)前記PyE0化合物、PyE3化合物、PyE6化合物及 PyE9化合物から選択される2、3又は4種の組み 合わせ;及び
 (c)前記PydE0化合物、PydE4化合物、PydE6化合物 びPydE10化合物から選択される2、3又は4種の み合わせ
が挙げられる。

 本発明の一つの実施態様において、前記 ットに含まれる式(I)の化合物は、2,4,6-トリ チルピリリウムである。

 本発明の別の実施態様において、前記キ トにおける前記組み合わせに含まれる安定 位体間の質量差は2以上である。

 前記キットは、前記安定同位体の組み合 せ以外に、1種以上のタンパク質分解酵素、 反応緩衝液、洗浄溶液、又は本発明の化合物 との組み合わせ使用に必要若しくは好適なそ の他の成分を含んでいても良い。前記キット はまた、任意でその使用説明書を含む。また 、本発明のキットは、未反応成分除去試薬( 浄試薬)、制限酵素、ペプチド精製用カラム 精製用溶媒などを更に含んでいてもよい。

 本明細書中で挙げられた特許及び特許出 明細書を含む全ての刊行物に記載された内 は、本明細書での引用により、その全てが 示されたと同程度に本明細書に組み込まれ ものである。

 以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳し 説明するが、本発明は下記実施例等に何ら 限されるものではない。

実施例1:同位体標識HASのLC/MS分析
 ヒトの血清蛋白の一種であるHSA(Human Serum A lbumin)を前以て前記同位体標識化合物Py0、Py4 びPy8(Py化合物)で標識した。Py化合物は、
1) Balaban, A.T., Boulton A.J., Organic Synthesis, Co ll., vol.5, p.1112(1973);vol.49, p.121(1969). 
2) Balaban, A.T., Boulton A.J., Organic Synthesis, Co ll., vol.5, p.1114(1973)
3) Ghiviriga I., Czerwinski E. W., Balaban A.T., Cro atia Chemica Acta, vol.77(1-2), p.391-396 (2004)
に記載された合成法に従い合成した。即ち、 無水酢酸13mmolとt-ブタノール1mmolの混合溶液 テトラフルオロホウ酸0.95mmolを滴下し、発熱 が90℃を超えないようにして反応させた。反 液を室温冷却後に析出した粗結晶を得、こ をメタノールで再結晶して精製した。更に られた結晶をODSカラムに付し、水-アセトニ トリルグラジエント溶出にて精製した。同位 体標識Py4は、炭素原子が全て 13 Cで置換したt-ブタノール 13 C4 [ 13 C3アセトン及び 13 C1ヨウ化メチル(米国ケンブリッジ・アイソト ープ・ラボラトリーズ:CILより購入)からグリ ア反応により合成した]と 12 Cの無水酢酸から前記と同様の方法で合成し 製した。またPy8は 13 C4無水酢酸及び 13 C4 t-ブタノ-ルから合成し精製した。29.2μg HS Aを6M尿素含有ホウ酸緩衝液(pH8.5)50μLに溶解し 、5mM DTT、10mMモノヨードアセトアミドで還元 メチル化(総量60μL)してから、3分割(A,B,C各20μ L)し、AにPy0、BにPy4、CにPy8を1mMで加え55℃で30 分間反応させて標識した。標識後に2D-CleanUp 薬(GEヘルスケアバイオサイエンス)により未 応試薬を取り除いた。3種の同位体標識HASを 1:2:0.5(=Py0標識物:Py4標識物:Py8標識物)で混合し てから、トリプシン消化した。遊離したペプ チド(標識、非標識ペプチドを含有)をLC/MSで 析した。
 図3は同位体標識HAS由来のペプチドのトータ ルイオンクロマトグラムを表す図である。横 軸は液体クロマト(LC)の溶出時間(分)、縦軸は 相対強度(%)を表している。ピークは分離され たペプチドに対応するが、質量数のみ異なる 同一のペプチドは同一のピークに含まれるこ とに注意されたい。
 図4はクロマトグラム上の時間23.86分から23.9 2分までの間のイオンの質量分析(MS)データを す図である。これは同位体標識試薬Py0、Py4 びPy8で標識された同一ペプチドが溶出した 間における質量スペクトルに対応している Py0で標識されたペプチドが最も小さな質量 持っている。それから質量が4大きい位置に Py4で標識されたペプチドのピークが現れた。 更に、それより質量が4大きい位置にPy8で標 されたペプチドのピークが現れた。これら ピーク強度の比は、3種の同位体標識HASを混 した割合の1:2:0.5(=Py0標識物:Py4標識物:Py8標 物)であった。この結論に至る分析結果の解 は以下のように行った。HASのトリプシン分 物をLC/MS分析し、Py標識された3種のピーク セットで備わったペプチドを19種類選び、そ の質量分布をコンピューターソフトで解析し ピーク高さの比を計算した。結果は全ての標 識ペプチドの平均値で1:2.2(±0.34):0.55(±0.27)で った。ペプチド分子量とこの比の分布をプ ットすると分子量が1500~2000の間では正確な 率(1:2:0.5)が得られ、この範囲が好適な分析 象実用域となることが判明した。分子量が2 000を超えるとスペクトルが天然同位体元素の 影響を受けて複雑化し、主ピークの質量数が 4離れても、サブピークの混入がかなり認め れ、主ピークの実質のピーク高の判定が難 くなることがわかった。一般的には使用し 分析装置ではイオンの価数zは3が多かったが 、2、4、5価も認められた。
 質量数4違いの間にあるサブピークは、天然 に存在する同位体元素の影響で現れる。なお 、LC/MS分析で用いたイオン化法のESI法(electron spray ionization)では、イオンの価数は2以上と るが、このペプチドイオンは2価となり、実 際のペプチドの質量は測定値の2倍になる。 測値が700.8917と702.8966の差を2倍すると4にな 。704.9054と702.8966の差を2倍すると4になる。
 前記質量分析の結果は、本発明の化合物が 2種以上の試料のそれぞれに含まれる同種の タンパク質の量比を分析するために有用であ ることを示している。

 本発明のタンパク質分析方法によれば、簡 な処理でタンパク質の定量情報を得ること 可能となる。本発明はまた、かかるタンパ 質分析方法に利用されるキットを提供する
 本発明は日本で出願された特願2007-164249(出 日:2007年6月21日)を基礎としており、その内 は本明細書に全て包含されるものである。




 
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