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Title:
RADIAL TIRE FOR HEAVY LOAD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/143188
Kind Code:
A1
Abstract:
A radial tire for heavy load comprising a bead core, a carcass ply layer, an inner liner A-layer, a belt and a tread, which simultaneously satisfies the relationships of the formula: P/G≤1.00 (I) (wherein P/G is the oxygen permeation resisting performance of the inner liner A-layer, P is the value of [oxygen permeation rate of the inner liner A-layer at 20°C/65% RH (cm3•cm/cm2 •sec•cmHg)]x1010, and G is the product gauge (mm) of the inner liner A-layer), and the formula: D≤6.0 (II) (wherein D is the distance (mm) from the tire-radius-direction outside interface of the inner liner A-layer to the coating rubber interface of a crossing belt layer). The radial tire for heavy load is improved in low fuel consumption and simultaneously attains a tire durability and weight saving.

Inventors:
ISHIDA KOUJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/059073
Publication Date:
November 27, 2008
Filing Date:
May 16, 2008
Export Citation:
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Assignee:
BRIDGESTONE CORP (JP)
ISHIDA KOUJI (JP)
International Classes:
B60C9/08; B60C5/14; B60C9/18
Domestic Patent References:
WO2008013183A12008-01-31
WO2004081099A12004-09-23
WO1998033688A11998-08-06
WO1998033668A11998-08-06
Foreign References:
JP2006117099A2006-05-11
JP2007100003A2007-04-19
JP2007112000A2007-05-10
JP2004176048A2004-06-24
JPH11199713A1999-07-27
Other References:
See also references of EP 2147803A4
Attorney, Agent or Firm:
OHTANI, Tamotsu (Bridgestone Toranomon Bldg.6F. 25-2, Toranomon 3-chome, Minato-k, Tokyo 01, JP)
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Claims:
 ビードコア、カーカスプライ層、インナーライナーA層、ベルト及びトレッドを備えるタイヤであって、下記関係式(I)
     P/G≦1.00・・・・・(I)
(式中、P/GはインナーライナーA層の耐酸素透過性能を示し、Pは、インナーライナーA層の20℃、65%RHにおける酸素透過量(cm 3 ・cm/cm 2 ・sec・cmHg)×10 10 で表される値、GはインナーライナーA層の製品ゲージ(mm)を示す。)及び関係式(II)
     D≦6.0・・・・・(II)
(式中、Dは、インナーライナーA層のタイヤ径方向外側の界面からベルト交錯層の被覆ゴム界面までの距離(mm)を示す。)で表される関係を同時に満足することを特徴とする重荷重用ラジアルタイヤ。
 前記カーカスプライ層の内側にインナーライナーB層、最内層にインナーラインーA層を配設した請求項1に記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
 前記インナーライナーA層の厚さが、4mm~1×10 -5 mmである請求項1又は2に記載の重荷重用タイヤ。
 下記関係式(III)
     P/G≦0.50・・・・・(III)
及び関係式(IV)
     D≦5.2・・・・・(IV)
で表される関係を同時に満足する請求項1に記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
 インナーライナーA層の20℃、65%RHにおけるP値が、0.03以下である請求項~4のいずれかに記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
 インナーライナーA層が、エチレン含有量25~50モル%のエチレン-ビニルアルコール共重合体100質量部に対して、エポキシ化合物1~50重量部を反応させて得られる変性エチレン-ビニルアルコール共重合体からなる層を含む請求項1~5のいずれかに記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
 インナーライナーA層が、マトリックス樹脂中に柔軟樹脂が分散している樹脂組成物層を単層又は該樹脂組成物層を含む多層熱可塑性樹脂フイルム層である請求項1~6のいずれかに記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
 前記柔軟樹脂の23℃におけるヤング率が500MPa以下である請求項7に記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
 前記柔軟樹脂が、水酸基と反応する官能基を有する請求項7又は8に記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
 前記樹脂組成物の-20℃におけるヤング率が1500MPa以下である請求項1~9のいずれかに記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
 前記樹脂組成物における前記柔軟樹脂の含有率が10~30質量%であり、マトリックス樹脂中に分散している柔軟樹脂の平均粒径が2μm以下である請求項1~10のいずれかに記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
 前記樹脂組成物からなる層が架橋されている請求項1~11のいずれかに記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
 インナーライナーA層を構成するマトリックス樹脂が、前記変性エチレン-ビニルアルコール共重合体からなる請求項7~12のいずれかに記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
 前記変性エチレン-ビニルアルコール共重合体からなる層又は前記樹脂組成物からなる層の表面層として熱可塑性ウレタン系エラストマーを用いる請求項1~13のいずれかに記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
Description:
重荷重用ラジアルタイヤ

 本発明は、トラック・バス用に用いられ 重荷重用ラジアルタイヤに関する。さらに しくは、タイヤ耐久性と軽量化を両立した 荷重用ラジアルタイヤに関するものである

 ベルト故障に対するタイヤの耐久性を考え 場合、ベルト交錯層のコードを被覆してい ゴムのタイヤに充填された空気中の酸素浸 による酸化劣化を抑えることが重要になっ くる。そこでこれまでなされた検討では、 ンナーライナーのゲージを増すか、インナ ライナーの酸素透過性を下げることでベル 交錯層のコードを被覆しているゴムの劣化 抑制してきたが、耐久性は向上するものの タイヤの軽量化とのバランスには限界があ ことが分かっている。
 一方、タイヤの軽量化構造として各種部材 薄ゲージ化や、ベルト構造の簡素化(ベルト 層の枚数減)、及びその組み合わせが考えら る。近年ベルト交錯層を二、三層目に有す 一般的な四層のベルト構造に対して、ベル 角度の最適化によりベルトを一層削減した 層のベルト構造が提案されており、軽量化 共に、走行成長を抑えられる構造として検 がなされている。しかしながら、三層のベ ト構造はベルト交錯層が四層のベルト構造 比べてタイヤ内面に配設された状態になる めに、充填空気中の酸素の浸透が交錯層に 達し、被服ゴムの劣化を促進し、ベルト故 によるタイヤの耐久性が低下することが確 されている。そこで、インナーライナーの ージを厚くすることも出来るが、軽量化と 逆方向であり、この簡素化された軽量ベル 構造を適用し、耐久性と軽量化の両立を図 ためには、ベルトコードの被服ゴムの劣化 を左右する酸素透過量を制御することが最 重要な課題といえる。

 この酸素透過量を制御する方法として、多 の耐酸素透過性の優れたインナーライナー 開発されている。例えば、ブチルゴム、特 ハロゲン化ブチルゴム配合系の最適化や、 気透過性が低い樹脂フイルムの利用および 属蒸着膜などが挙げられる。配合系の最適 の手法としては、酸素透過性の悪い低分子 分の原料や充填材として空気遮断性のある 酸カルシウムや扁平クレーが利用できる。 た樹脂フイルムにはエチレン-ビニルアルコ ールを骨格とするもの(例えば、特許文献1参 )やナイロン樹脂とイソモノオレフィンとパ ラメチルスチレンとの共重合体の塩素化又は 臭素化変性共重合体であるブチルゴムからな る熱可塑性樹脂/エラストマーブレンド等が 用できる(例えば、特許文献2又は3参照)。
 さらに、空気遮断性の非常に高い金属蒸着 (例えば、特許文献4参照)を用いることも可 である。フイルムや金属蒸着膜を利用した 合、ゴム成分からなるインナーライナーの 量が大幅に削減できるため軽量化には非常 有利である。

 また、インナーライナーの耐酸素透過性の に、酸素を遮断するインナーライナー層と 接するゴムの界面からベルト交錯層の界面 での距離が重要な要素となる。ベルト交錯 までの距離を制御する手法としては、イン ーライナーとプライ層の間にあるタイゴム( インナーライナ-B層)、プライ-ベルト間ゴム( ライインサート)の変更、ベルト層の枚数の 増減が挙げられ、各部材の薄ゲージ化及び削 減はタイヤの軽量化につながる。ただし、ベ ルト交錯層までの距離を不用意にタイヤ内面 に近づけると前述のようにベルト故障に起因 する耐久性の悪化を招く。
 しかしながら、少資源、少エネルギーのた にタイヤの軽量化と耐久性を両立させる技 の開発要求は益々高くなってきており、更 る開発が望まれている。

特開2004-176048号公報

特開平11-199713号公報

WO2004/081099号パンフレット

WO98/33688号パンフレット

 本発明は、このような状況下で、タイヤ耐 性と軽量化を両立した重荷重用ラジアルタ ヤを提供することを目的とするものである
 本発明者は、前記目的を達成するために鋭 研究を重ねた結果、ベルト交錯層への酸素 透量を決めるインナ―ライナー(A層)のイン ーライナー性能=
P(インナーライナーA層の20℃、65%RHにおける 素透過量(cm 3 ・cm/cm 2 ・sec・cmHg))×10 10 /G(インナーライナーA層の製品ゲージ(mm))を特 定の値以下とし、かつD(インナーライナーA層 のタイヤ径方向外側の界面から交錯層の被覆 ゴム界面までの距離(mm))を特定の値以下とす ことでその目的を達成し得ることを見出し 。本発明は、かかる知見に基づいて完成し ものである。これによりタイヤの低燃費性 も改善することができる。
 すなわち本発明は、
[1] ビードコア、カーカスプライ層、インナ ライナーA層、ベルト及びトレッドを備える タイヤであって、下記関係式(I)
     P/G≦1.00・・・・・(I)
(式中、P/GはインナーライナーA層の耐酸素透 性能を示し、Pは、インナーライナーA層の20 ℃、65%RHにおける酸素透過量(cm 3 ・cm/cm 2 ・sec・cmHg)×10 10 で示される値、GはインナーライナーA層の製 ゲージ(mm)を示す。)及び関係式(II)
     D≦6.0・・・・・(II)
(式中、Dは、インナーライナーA層のタイヤ径 方向外側の界面からベルト交錯層の被覆ゴム 界面までの距離(mm)を示す。)で表される関係 同時に満足することを特徴とする重荷重用 ジアルタイヤ、
[2] 前記カーカスプライ層の内側にインナー イナーB層、最内層にインナーラインーA層 配設した上記[1]の重荷重用ラジアルタイヤ
[3] 前記インナーライナーA層の厚さが、4mm~1 10 -5 mmである上記[1]又は[2]の重荷重用タイヤ、
[4] 下記関係式(III)
     P/G≦0.50・・・・・(III)
及び関係式(IV)
     D≦5.2・・・・・(IV)
で表される関係を同時に満足する上記[1]の重 荷重用ラジアルタイヤ、
[5] インナーライナーA層の20℃、65%RHにおけ P値が、0.03以下である上記[1]~[4いずれかの重 荷重用ラジアルタイヤ、
[6] インナーライナーA層が、エチレン含有量 25~50モル%のエチレン-ビニルアルコール共重 体100質量部に対して、エポキシ化合物1~50重 部を反応させて得られる変性エチレン-ビニ ルアルコール共重合体からなる層を含む上記 [1]~[5]いずれかの重荷重用ラジアルタイヤ、
[7] インナーライナーA層が、マトリックス樹 脂中に柔軟樹脂が分散している樹脂組成物層 を単層又は該樹脂組成物層を含む多層熱可塑 性樹脂フイルム層である上記[1]~[6]いずれか 重荷重用ラジアルタイヤ、
[8] 前記柔軟樹脂の23℃におけるヤング率が50 0MPa以下である上記[7]の重荷重用ラジアルタ ヤ、
[9] 前記柔軟樹脂が、水酸基と反応する官能 を有する上記[7]又は[8]の重荷重用ラジアル イヤ、
[10] 前記樹脂組成物の-20℃におけるヤング率 が1500MPa以下である上記[1]~[9]いずれかの重荷 用ラジアルタイヤ、
[11] 前記樹脂組成物における前記柔軟樹脂の 含有率が10~30質量%であり、マトリックス樹脂 中に分散している柔軟樹脂の平均粒径が2μm 下である上記[1]~[10]いずれかの重荷重用ラジ アルタイヤ、
[12] 前記樹脂組成物からなる層が架橋されて いる上記[1]~[11]いずれかの重荷重用ラジアル イヤ、
[13] インナーライナーA層を構成するマトリ クス樹脂が、前記変性エチレン-ビニルアル ール共重合体からなる上記[7]~[12]いずれか 重荷重用ラジアルタイヤ、及び
[14] 前記変性エチレン-ビニルアルコール共 合体からなる層又は前記樹脂組成物からな 層の表面層として熱可塑性ウレタン系エラ トマーを用いる上記[1]~[13]いずれかの重荷重 用ラジアルタイヤ、
を提供するものである。

本発明の重荷重用タイヤの実施態様の 例を示す部分断面図である。

符号の説明

  1:インナーライナーA層(タイヤ最内面空気 断層)
  2:インナーライナーB層
  3:カーカスプライ
  4:プライインサート
  5:ベルト層

 本発明の重荷重用ラジアルタイヤは、下記 係式(I)
     P/G≦1.00・・・・・(I)
(式中、P/GはインナーライナーA層の耐酸素透 性能を示し、Pは、インナーライナーA層の20 ℃、65%RHにおける酸素透過量(cm 3 ・cm/cm 2 ・sec・cmHg)×10 10 で表される値、GはインナーライナーA層の製 ゲージ(mm)を示す。)及び関係式(II)
     D≦6.0・・・・・(II)
(式中、Dは、インナーライナーA層のタイヤ径 方向外側の界面から交錯層の被覆ゴム界面ま での距離(mm)を示す。)で表される関係を同時 満足する必要がある。
 ここで本発明について図1に基づいて詳細に 説明をする。図1は本発明の1実施態様を示す 荷重用タイヤの部分断面図である。
 1はインナーライナーA層(タイヤ最内面空気 断層)、2は必要に応じて設けられるインナ ライナーB層、3はラジアルコード層よりなる カーカスプライ、4は必要に応じて設けられ プライインサート(プライ-ベルト間ゴム)、5 ベルト層で図1は4層ベルト構造の例を示す カーカスプライ側から順に、1ベルト(1B)、2 ルト(2B)、3ベルト(3B)、4ベルト(4B)を示す。4 ベルト構造の場合、交錯層は2ベルトと3ベル トで構成され、ゴム被覆された層内ではコー ドが互いに平行に延び、隣接する層間(2ベル と3ベルト)ではコードが互いに交差しタイ 赤道面を挟んで逆方向に延びるように積層 れており、内圧や回転によるせりだし(径成 )を抑える箍効果や路面からの入力を受け止 めて緩和したりする役目を果たしている。

 上記関係式(I)に示されているP/Gはインナー イナーA層の「耐酸素透過性能」を示すもの であり(以後インナーライナー性能というこ がある。)、Pは、インナーライナーA層の20℃ 、65%RHにおける酸素透過量(cm 3 ・cm/cm 2 ・sec・cmHg)×10 10 で示される値、GはインナーライナーA層の製 ゲージ(mm)を示す。
 前記A層のインナーライナー性能(P/G)は1以下 である必要がある。1を超えると交錯層を被 しているゴムの酸化劣化に対する影響が大 くなる可能性がある。好ましいインナーラ ナー性能(P/G)は0.5以下であり、0.3以下が特に 望ましい。
 酸素透過性を改良する手段としては、ゴム の変更やフイルムインナーライナーの適用 があり、低分子量成分であるオイルの減量 カーボンブラック対比遮蔽効果が高い炭酸 ルシウムや扁平クレーの適用等が挙げられ 。特に樹脂フイルムインナーライナーや金 蒸着膜を含むインナーライナーの適用が、 酸素透過性能やタイヤの軽量化観点から見 も好ましい。中でも、変性エチレン-ビニル アルコール共重合体からなる樹脂フイルムイ ンナーライナーが好ましい。
 また、同時に上記関係式(II)に示されるイン ナーライナーA層のタイヤ径方向外側の界面 ら交錯層の被覆ゴム界面までの距離Dを6mm以 にすることが必要である。6mmを超えるとタ ヤの軽量化が困難になる。
 上記インナーライナーA層の厚さは4mm~1×10 -5 mmが好ましい。より好ましくは2mm~1×10 -5 mm、0.5mm~1×10 -5 mmの範囲が特に好ましい。インナーライナーA 層の厚さが4より厚いとタイヤ重量が重くな 転がり抵抗が悪化し、1×10 -5 より薄いとガスバリア性を確保できない。
 インナーライナーA層の厚さを上記範囲とし 、インナーライナー性能(P/G)を1以下、Dを6mm 下を満足することでタイヤ耐久性と軽量化 両立した重荷重用ラジアルタイヤを得るこ ができる。

 図1を用いて、インナーライナーA層のタイ 径方向外側の界面から交錯層の被覆ゴム界 までの距離Dを具体的に説明する。図1の場合 は4層のベルト構造を有しているため、該Dの は、2のインナーライナーB層、3のカーカス ライ、4のプライインサート及び5に示され 1ベルト(1B)のそれぞれの製品ゲージの合計で ある。
 三層のベルト構造の場合は図示されてはい いが、交錯層が1ベルト(1B)と2ベルト(2B)から 構成されるために、前記Dの値は2のインナー イナーB層、3のカーカスプライ及び必要に じて設けられる4のプライインサートそれぞ の製品ゲージの合計であり、三層のベルト 造の場合、は四層のベルト構造に比べベル 層が一枚少ないため、軽量化に関しては有 であるが、前記Dの値は、一枚のベルト層の 厚みの分だけ短くなる。そのためそれに対応 した「耐酸素透過性能」を有するインナーラ イナーを用いバランスをとることが好ましい 。
 また、交錯層を含むベルトが三層構造であ 場合は関係式(III)のP/Gが0.5以下で関係式(IV) Dが5.2以下であることが好ましい。この関係 式を満足することによって、より軽量化され たタイヤ耐久性の優れた重荷重用ラジアルタ イヤを得ることができる。

 本発明で用いられるインナーライナーA層 の20℃、65RH%におけるP値が2.0以下であること 好ましく、0.2以下であることがより好まし 、0.03以下であることが特に好ましい。

[インナーライナーA層]
<変性エチレン-ビニルアルコール共重合体& gt;
 前記インナーライナーA層は、エチレン含有 量25~50モル%のエチレン-ビニルアルコール共 合体100質量部に対して、エポキシ化合物1~50 量部を反応させて得られる変性エチレン-ビ ニルアルコール共重合体からなる樹脂フイル ム層を含むことが好ましい。
 エチレン-ビニルアルコール共重合体は、空 気透過量が極めて低く、耐空気透過性が優れ ており、好ましい素材である。エチレン-ビ ルアルコール共重合体にエポキシ化合物を 応させて得られた変性エチレン-ビニルアル ール共重合体が好ましい。このように変性 ることにより、未変性のエチレン-ビニルア ルコール共重合体の弾性率を大幅に下げるこ とができ、屈曲時の破断性、クラックの発生 度合いを改良することができる。

 この変性処理に用いられるエチレン-ビニル アルコール共重合体においては、エチレン単 位含有量は25~50モル%であることが好ましい。 良好な耐屈曲性及び耐疲労性を得る観点から は、エチレン単位含有量は、より好適には30 ル%以上であり、さらに好適には35モル%以上 である。また、耐酸素透過性の観点からは、 エチレン単位含有量は、より好適には48モル% 以下であり、さらに好適には45モル%以下であ る。エチレン単位含有量が25モル%未満の場合 は耐屈曲性及び耐疲労性が悪化するおそれが ある上、溶融成形性が悪化するおそれがある 。また、50モル%を超えると耐酸素透過性が不 足する場合がある。
 さらに、前記エチレン-ビニルアルコール共 重合体のケン化度は好ましくは90モル%以上で あり、より好ましくは95モル%以上であり、さ らに好ましくは98モル%以上であり、最適には 99モル%以上である。ケン化度が90モル%未満で は、耐酸素透過性及び積層体作製時の熱安定 性が不充分となるおそれがある。

 変性処理は、前記の未変性エチレン-ビニ ルアルコール共重合体100質量部に対して、エ ポキシ化合物を、好ましくは1~50質量部、よ 好ましくは2~40質量部、さらに好ましくは5~35 質量部を反応させることにより行うことがで きる。この際、適当な溶媒を用いて、溶液中 で反応させるのが有利である。

 溶液反応による変性処理法では、エチレ -ビニルアルコール共重合体の溶液に酸触媒 あるいはアルカリ触媒存在下でエポキシ化合 物を反応させることによって変性エチレン- ニルアルコール共重合体が得られる。反応 媒としては、ジメチルスルホキシド、ジメ ルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及 N-メチルピロリドン等のエチレン-ビニルア コール共重合体の良溶媒である極性非プロ ン性溶媒が好ましい。反応触媒としては、p- トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ト リフルオロメタンスルホン酸、硫酸及び三弗 化ホウ素等の酸触媒や水酸化ナトリウム、水 酸化カリウム、水酸化リチウム、ナトリウム メトキサイド等のアルカリ触媒が挙げられる 。これらの内、酸触媒を用いることが好まし い。触媒量としては、エチレン-ビニルアル ール共重合体100質量部に対し、0.0001~10質量 程度が適当である。また、エチレン-ビニル ルコール共重合体及びエポキシ化合物を反 溶媒に溶解させ、加熱処理を行うことによ ても変性エチレン-ビニルアルコール共重合 体を製造することができる。

 変性処理に用いられるエポキシ化合物は に制限はされないが、一価のエポキシ化合 であることが好ましい。二価以上のエポキ 化合物である場合、エチレン-ビニルアルコ ール共重合体との架橋反応が生じゲル、ブツ 等の発生により積層体の品質が低下するおそ れがある。変性エチレン-ビニルアルコール 重合体の製造の容易性、耐酸素透過性、耐 曲性及び耐疲労性の観点から、好ましい一 エポキシ化合物としてグリシドール及びエ キシプロパンが挙げられる。

<柔軟樹脂>
 本発明の重荷重用ラジアルタイヤにおける ンナーライナーA層を構成する熱可塑性フイ ルムとして、マトリックス樹脂中に柔軟樹脂 が分散している樹脂組成物層であることが好 ましい。柔軟樹脂は水酸基と反応する官能基 を有し、23℃におけるヤング率が500MPa以下で る樹脂が好ましい。
 柔軟樹脂を分散させるマトリックス樹脂と ては、前記エチレン含有量25~50モル%のエチ ン-ビニルアルコール共重合体100質量部に対 し、エポキシ化合物1~50質量部反応させて得 れる変性エチレン-ビニルアルコール共重合 が好ましい。上記変性エチレン-ビニルアル コール共重合体は、通常のエチレン-ビニル ルコール共重合体に比べて弾性率が低く、 らに、水酸基と反応する官能基を有し、上 物性を満たす柔軟樹脂を分散させることで 性率をさらに低下させることができる。そ ため、上記変性エチレン-ビニルアルコール 重合体からなるマトリックス中に柔軟樹脂 分散させてなる樹脂組成物は、弾性率が大 に低下し、屈曲時の耐破断性が高く、また クラックも発生し難い、マトリックス樹脂 に柔軟樹脂が分散している樹脂組成物が好 しい。

 本発明の重荷重用ラジアルタイヤにおける ンナーライナーA層を構成する熱可塑性フイ ルムとして、マトリックス樹脂中に柔軟樹脂 が分散している樹脂組成物層であることが好 ましい。
 該マトリックスを構成する熱可塑性樹脂と ては、ガスバリア性が良好で、適度の機械 強度を有するものであればよく、特に制限 れずに、様々な樹脂フイルムを用いること できる。このような樹脂フイルムの素材と ては、例えばポリアミド系樹脂、ポリ塩化 ニリデン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エ レン-ビニルアルコール共重合体系樹脂、さ らには熱可塑性ウレタン系エラストマーなど を挙げることができる。これらは一種を単独 で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用 いてもよい。また、これらの素材を用いて作 製された樹脂フイルムは、単層フイルムであ っても良く、二層以上の多層フイルムであっ ても良い。
 前記素材の中で、エチレン-ビニルアルコー ル共重合体樹脂は、空気透過量が極めて低く 、ガスバリア性に優れており、好ましい素材 である。特に上述の変性エチレン-ビニルア コール共重合体樹脂好ましい。

 柔軟樹脂は水酸基と反応する官能基を有し 23℃におけるヤング率が500MPa以下である樹 が好ましい。
 柔軟樹脂を分散させるマトリックス樹脂と ては、前記エチレン含有量25~50モル%のエチ ン-ビニルアルコール共重合体100質量部に対 し、エポキシ化合物1~50質量部反応させて得 れる変性エチレン-ビニルアルコール共重合 が好ましい。上記変性エチレン-ビニルアル コール共重合体は、通常のエチレン-ビニル ルコール共重合体に比べて弾性率が低く、 らに、水酸基と反応する官能基を有し、上 物性を満たす柔軟樹脂を分散させることで 性率をさらに低下させることができる。そ ため、上記変性エチレン-ビニルアルコール 重合体からなるマトリックス中に柔軟樹脂 分散させてなる樹脂組成物は、弾性率が大 に低下し、屈曲時の耐破断性が高く、また クラックも発生し難い。

 上記変性エチレン-ビニルアルコール共重合 体からなるマトリックス中に分散させる柔軟 樹脂は、水酸基と反応する官能基を有し、23 におけるヤング率が500MPa以下であり、水酸 と反応する官能基有することで変性エチレ -ビニルアルコール共重合体中に柔軟樹脂が 均一に分散する。ここで、水酸基と反応する 官能基としては、無水マレイン酸残基、水酸 基、カルボキシル基、アミノ基等が挙げられ る。
 かかる水酸基と反応する官能基を有する柔 樹脂として、具体的には、無水マレイン酸 性水素添加スチレン-エチレン-ブタジエン- チレンブロック共重合体、無水マレイン酸 性超低密度ポリエチレン等が挙げられる。 た柔軟樹脂の23℃におけるヤング率が500MPa 下であると、樹脂組成物の弾性率を低下さ ることができ、その結果耐屈曲性を向上さ ることができる。

 上記樹脂組成物は-20℃におけるヤング率 1500MPa以下であることが好ましい。-20℃にお けるヤング率が1500MPa以下であると寒冷地で 用した際の耐久性を向上させることができ 。

 また、上記樹脂組成物における柔軟樹脂の 有率は、10~30質量%の範囲であることが好ま い。柔軟樹脂の含有率を上記範囲にするこ によってガスバリア性の低下を抑え、耐屈 性を向上させることができる。
 さらに、上記柔軟樹脂の変性エチレン-ビニ ルアルコール共重合体に分散している状態で の平均粒径は、2μm以下であることが好まし 。平均粒径が2μmを超えると上記樹脂組成物 らなる層の耐屈曲性を充分に改善できない それがあり、ガスバリア性の低下、延いて タイヤの内圧保持性の悪化をもたらすこと ある。なお、樹脂組成物中の柔軟樹脂の平 粒径は、例えば、サンプルを凍結し、該サ プルをミクロトームにより切片にして、透 電子顕微鏡(TEM)で観察することができる。

 上記樹脂組成物は、変性エチレン-ビニル アルコール共重合体と柔軟樹脂を混練して調 整することができる。また、上記樹脂組成物 は、インナーライナーの製造時フイルム状で あることが好ましく、樹脂組成物からなる層 は、溶融成形、好ましくはTダイ法、インフ ーション法等の押出成形により、好ましく 150~270℃の溶融温度でフイルムやシート等に 形さらインナーライナーとして使用される

 上記樹脂組成物からなる層は、架橋されて ることが好ましい。樹脂組成物からなる層 、架橋されていない場合、タイヤの加工工 でインナーライナーが著しく変形して不均 となり、インナーライナーのガスバリア性 耐屈曲性、耐疲労性が悪化することがある
 ここで、架橋方法としては、エネルギー線 照射する方法が好ましく、エネルギー線と ては、紫外線、電子線,X線、α線、γ線等の 離放射線が挙げられ、これらの中でも電子 が特に好ましい。電子線の照射は、樹脂組 物をフイルムやシート等の成形体に加工し 後に行うことが好ましい。ここで電子線の 量は、10~60Mradの範囲が好ましく、20~50Mradの 囲がさらに好ましい。電子線の線量が10Mrad 満では、架橋が進みにくく、一方,60Mradを越 えると、成形体の劣化が進みやすくなる。

<熱可塑性ウレタン系エラストマー>
 本発明の重荷重用ラジアルタイヤにおける ンナーライナーA層を構成する樹脂組成物か らなるフイルムの表面層として、熱可塑性ウ レタン系エラストマー層を含むものが好まし く、特に熱可塑性ウレタン系エラストマー層 を含むと共に、前記変性エチレン-ビニルア コール共重合体層を一層以上含む多層フイ ムからなる層が好ましい。また、熱可塑性 レタン系エラストマーは、耐水性とゴムに する接着性に優れており、特に多層フイル において、外層部分に配置して使用するこ が好ましい。
 このような多層フイルムの具体例としては 前記の変性エチレン-ビニルアルコール共重 合体フイルム又はマトリックス樹脂中に柔軟 樹脂が分散している樹脂組成物フイルムの両 面に、それぞれ熱可塑性ウレタン系エラスト マーフイルムが積層された三層構造の多層フ イルムを挙げることができる。

  また、本発明の重荷重用ラジアルタイヤ おけるインナーライナーA層を構成する熱可 性樹脂フイルムの前記熱可塑性ウレタン系 ラストマー(以下、TPUと略記することがある 。)は、分子中にウレタン基(-NH-COO-)をもつエ ストマーであり、(1)ポリオール(長鎖ジオー ル)、(2)ジイソシアネート、(3)短鎖ジオール 三成分の分子間反応によって生成する。ポ オールと短鎖ジオールは、ジイソシアネー と付加反応をして線状ポリウレタンを生成 る。この中でポリオールはエラストマーの 軟な部分(ソフトセグメント)になり、ジイソ シアネートと短鎖ジオールは硬い部分(ハー セグメント)になる。TPUの性質は、原料の性 、重合条件、配合比によって左右され、こ 中でポリオールのタイプがTPUの性質に大き 影響する。基本的特性の多くは長鎖ジオー の種類で決定されるが、硬さはハードセグ ントの割合で調整される。
 種類としては、(イ)カプロラクトン型(カプ ラクトンを開環して得られるポリラクトン ステルポリオール)、(ロ)アジピン酸型(=ア ペート型)<アジピン酸とグリコールとのア ジピン酸エステルポリオール>、(ハ)PTMG(ポ テトラメチレングリコール)型(=エーテル型) <テトラヒドロフランの開環重合で得られ ポリテトラメチレングリコール>などがあ 。

 本発明において、インナーライナーA層を構 成する樹脂フイルムの成形方法に特に制限は なく、単層フイルムの場合、従来公知の方法 、例えば溶液流延法、溶融押出法、カレンダ ー法などを採用することができるが、これら の方法の中で、Tダイ法やインフレーション どの溶融押出法が好適である。また、多層 イルムの場合は、共押出しによるラミネー 法が好ましく用いられる。
 本発明におけるインナーライナーA層を構成 する樹脂フイルム層の厚さは、熱可塑性樹脂 フイルムの積層体をインナーライナーとして 用いる場合の薄ゲージ化の観点から、200μm以 下が好ましい。また、薄すぎるとインナーラ イナーA層をインナーライナーB層に例えば、 着剤層ケムロック6250(ロードコーポレーシ ン社製)を介して接合した効果が十分に発揮 れないおそれが生じる。したがって、イン ーライナーA層の厚さの下限は1μm程度であ 、より好ましい厚さは10~150μm、さらに好ま い厚さは20~100μmの範囲である。

[インナーライナーB層]
 本発明の重荷重用ラジアルタイヤにおいて プライコーテイングゴムとスチールコード の接着を確保するために、所望によりイン ーライナーB層をカーカスプライ層とインナ ーライナーA層との間に設けることができる インナーライナーB層を構成するゴム状弾性 としては、ブチルゴム、ジエン系ゴム等が 適なものとして例示される。
 インナーライナーB層にクラックが発生した 後の、前記クラックの伸展を抑制する観点か らは、ゴム状弾性体として、ブチルゴム及び ジエン系ゴムを含む組成物を用いることが好 ましい。当該インナーライナーB層における ム成分中のブチル系ゴムの好ましい含有量 、耐酸素透過性の点から70~100質量%であり、 ゴム成分中には、0~50質量%、好ましくは0~30 量%の割合で、ジエン系ゴムを含有させるこ とができる。インナーライナーB層としてか る組成物を用いることにより、インナーラ ナーB層に微小なクラックが発生した場合に いても酸素透過を良好に抑制することがで る。
 また、本発明重荷重ラジアルタイヤ用のイ ナーライナーは上記樹脂組成物からなる層( インナーライナーA層)とインナーライナーB層 との間に接着剤層を設けることもできる。な お、上記接着剤層に使用する接着剤としては 、塩化ゴム・イソシアネート系の接着剤が挙 げられる。

 インナーライナーB層は、プライコーテイン グゴム及びインナーライナーA層に隣接する 通常、プライコーテイングゴムにはブラス ッキされたスチールコードとの接着を確保 るためにナフテン酸コバルトやステアリン コバルトなどの接着プロモーターと通常の ム組成物に比べて多量の硫黄が配合されて る。
 インナーライナーB層を省略しプライコーテ イングゴムとマトリックス樹脂中に柔軟樹脂 が分散している樹脂組成物層であるコバルト や硫黄の配合されていないインナーライナー A層が隣接した場合、バッシュブレッド現象 よりスチールコードがインナーライナーA層 近くなることによって部分的にプライこー イングゴムとスチールコードとの接着が低 する。そのような問題を避けるために、イ ナーライナーB層を設けることが好ましい。

 本発明に係わるインナーライナーB層のゴ ム状弾性体層の厚さは、通常50~2000μm範囲で ることが好ましく、100~1000μm範囲であること がさらに好ましく、300~800μm範囲であること 特にこのましい。インナーライナーB層の厚 の合計が50μm未満ではその効果が十分発揮 れず、樹脂組成物からなる層に破断・亀裂 生じた際の弊害を制御することが困難とな ,タイヤの内圧保持性を十分に維持できない とがある。一方、2000μmを越えると、タイヤ 重量の低減効果が小さくなる。

 当該インナーライナーB層には、耐酸素透過 性、耐低温クラック性及び耐屈曲疲労性など を向上させるために、前記ゴム成分以外に、 無機充填剤を含有させることができる。無機 充填剤としては、層状又は板状のものが好ま しく、このようなものとしては、例えばカオ リン、クレー、マイカ、長石、シリカ及びア ルミナの含水複合体などが挙げられる。この 無機充填剤の含有量は、前記ゴム成分100質量 部当たり、通常10~180質量部程度、好ましくは 20~120質量部の範囲である。
 また、未加硫ゴムの強度を向上させるなど 目的で、前記ゴム成分100質量部当たり、さ にカーボンブラック0~50質量部、好ましくは 10~50質量部を含有させることができる。

 本発明に係わるインナーライナーB層のゴ ム状弾性体層の厚さは、通常200μm以上である 。その上限は、インナーライナーとして用い る場合の薄ゲージ化を考慮するとタイヤサイ ズにより適宜決められる。

 次に、本発明を実施例により、さらに詳細 説明するが、本発明は、これらの例によっ なんら限定されるものではない。なお、各 の測定法は下記の方法に基づいておこなっ 。
<インナーライナーA層[A~C]、フイルムイン ーライナーA層[D~E]及び金属蒸着膜インナー イナー[F]の製造>
 第1表に記載の配合組成に基づいて、常法に より混練り機を用いてインナーライナーA~C層 を製造した。
 また、樹脂フイルムDの変性エチレン-ビニ アルコール共重合体は特開2004-176048号公報の 記載に基づいて、樹脂フイルムEのDVAは特開11 -199713号公報及び金属蒸着膜FのAL蒸着膜はWO98/ 33668号パンフレットの記載に基づいて製造し 。それぞれその代表例を示す。

*1.炭酸カルシウム、白石工業社製 、商品名 Silver-W」、平均粒径約2μm、扁平率 約3
*2.カオリンクレーJ.M.HUBER社製 、商品名「POLY FILE DL」、平均粒径 約10μm、扁平率 約15%
注1.製造例1,2により得られた樹脂フイルムDを 用いた。
注2.製造例3により得られた樹脂フイルムEを いた。
注3.製造例4により得られた金属蒸着膜Fを用 た。
注4.製造例5より得られた樹脂組成物1~3を用い た。

製造例1 樹脂フイルムD
合成例1  変性エチレン-ビニルアルコール共 重合体-1の製造
 加圧反応槽に、エチレン含量44モル%、ケン 度99.9モル%のエチレン-ビニルアルコール共 合体(190℃、21.18N荷重下MFR:5.5g/10分)2質量部 びN-メチル-2-ピロリドン8質量部を仕込み、12 0℃で、2時間加熱攪拌することにより、エチ ン-ビニルアルコール共重合体を完全に溶解 させた。これにエポキシ化合物としてエポキ シプロパン0.4質量部を添加後、160℃で4時間 熱した。加熱終了後、蒸留水100質量部に析 させ、多量の蒸留水で充分にN-メチル-2-ピロ リドン及び未反応のエポキシプロパンを洗浄 し、変性エチレン-ビニルアルコール共重合 を得た。さらに、得られた変性エチレン-ビ ルアルコール共重合体を粉砕機で粒子径2mm 度に細かくした後、再度多量の蒸留水で十 に洗浄した。洗浄後の粒子を8時間室温で真 空乾燥した後、2軸押出機を用いて200℃で溶 し、ペレット化した。尚、得られた変性エ レン-ビニルアルコール共重合体の23℃にお るヤング率は1300MPaであった。

(1)23℃におけるヤング率の測定
 東洋精機社製二軸押出し機によって、下記 し出し条件で製膜し、厚さ20μmの単層フイ ムを作製した。次に該フイルムを用いて、 15mmの短冊状の試験片を作成し、23℃、50%RHの 条件下で恒温室内に1週間放置した後、株式 社島津製作所製オートグラフ[AG-A500型]を用 てチャック間隔50mm、引張り速度50mm/分の条 で、23℃50RHにおける応力-歪曲線を測定し、 力-歪曲線の初期傾きからヤング率を求めた 。
 スクリュー:フルフライト
 シリンダー、ダイ温度設定:C1/C2/C3/ダイ=200/2 00/200(℃)

(2)エチレン-ビニルアルコール共重合体のエ レン含量及びケン化度の測定
 重水素化ジメチルスルホキシドを溶媒とし 1 H-NMR測定[日立電子社製「JNM-GX-500型」を使用] 得られたスペクトルから算出値である。

(3)エチレン-ビニルアルコール共重合体のメ トフローレートの測定
 上記メルトフローレート(MFR)の測定は、メ トインデクサーL244[宝工業株式会社製]の内 9.55mm、長さ162mmのシリンダーにサンプルを充 填し、190℃で溶融した後、重さ2160g、直径9.48 mmのプランジャーを使用して均等に荷重をか 、シリンダー中央に設けた径2.1mmのオリフ スより単位時間当たり押し出される樹脂量(g /10分)から求めた。
 但し、エチレン-ビニルアルコール共重合体 の融点が190℃付近あるいは190℃を越える場合 は2160g荷重下、融点以上の複数の温度で測定 、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、M FRの対数を縦軸にプロットし、190℃に外挿し 算出した値をメルトフロー(MFR)とした。

製造例2 3層フイルムの作製
 製造例1で得られた変性EVOHと、エラストマ として熱可塑性ポリウレタン((株)クラレ製 クラミロン3190)とを使用し、2種3層共押出装 を用いて、下記共押出成形条件で3層フイル ム(熱可塑性ポリウレタン層/変性EVOH層/熱可 性ポリウレタン層)を作製した。各層の厚み 、変性EVOH層、熱可塑性ポリウレタン層とも に20μmである。
 共押出成形条件は以下のとおりである。
  層構成:
   熱可塑性ポリウレタン/変性EVOH/熱可塑性 ポリウレタン
   (厚み20/20/20、単位はμm)
  各樹脂の押出温度:
   C1/C2/C3/ダイ=170/170/220/220℃
  各樹脂の押出機仕様:
  熱可塑性ポリウレタン:
   25mmφ押出機 P25-18AC(大阪精機工作株式会 製)
  変性EVOH:
   20mmφ押出機 ラボ機ME型CO-EXT(株式会社東 精機製)
  Tダイ仕様:
   500mm幅2種3層用 (株式会社プラスチック 学研究所製)
  冷却ロールの温度:50℃
  引き取り速度:4m/分

樹脂フイルムE
製造例3、熱可塑性エラストマーの製造
 ゴム成分:Br-IPMS:EXXPRO 89-4 (エクソン化学製) 60質量部と加硫系:亜鉛華0.3質量部、ステアリ ン酸亜鉛1.2質量部、ステアリン酸0.6質量部を バンバリーミキサーに投入し、約2分間混練 、120℃で放出して加硫系入りエラストマー 分を調整し、ゴム用ペレタイザーでペレッ 化した。その後、エラストマー成分と樹脂 分N11(ナイロン11):リルサンBMN O (アトケム製 )、8質量部、N6/661)(ナイロン6/66共重合体): ( レ製) アミランCM6001、32質量部をドライブレ ンドし、2軸混練機に投入し、動的加硫して 可塑性エラストマー組成物を作製した。こ 時の混練条件は、温度230℃、剪断速度1000s-1 行なった。2軸混練によって作製された熱可 塑性エラストマー組成物は、水冷した後、ペ レット化して、次に単軸押出機でTダイを通 て、厚さ100μmのフイルム化を実施した。

金属蒸着膜F
製造例4、AL蒸着膜の製造
約30nmのアルミニウムで片面だけが被覆され 厚さ12μmのPET(ポリエチレンテレフタレート) リエステル層から成り、RHONE-POULENCカンパニ イによって市販されているCLARYL34.10フイルム 接着された厚さ0.6mmの天然ゴムを基材とし 透過性支持材から成る「CLARYL」を用いた。 膜は支持体として天然ゴム層とポリエステ (PET)層を含む。

合成例2  変性エチレン-ビニルアルコール共 重合体-2の合成
 エチレン含量44モル%、ケン化度99.9モル%の チレン-ビニルアルコール共重合体(190℃、21. 18N荷重下MFR:5.5g/10分)に替えてエチレン含量32 ル%、ケン化度99.9%のエチレン-ビニルアルコ ール共重合体(190℃、21.18N荷重下MFR:7.0g/10分) 用いる以外は、上記合成例1と同様にして変 エチレン-ビニルアルコール共重合体を合成 し、ペレット化した。なお、得られた変性エ チレン-ビニルアルコール共重合体は23℃にお けるヤング率が1700MPaであった。

合成例3  柔軟樹脂-1の合成
 無水マレイン酸変性水素添加スチレン-エチ レン-スチレンブロック共重合体を公知の方 により合成し、ペレット化した。得られた 水マレイン酸変性水素添加スチレン-エチレ -スチレンブロック共重合体は、23℃におけ ヤング率が3MPa、スチレン含量が20%、無水マ レイン酸量が0.3meq/gであった。
 なお、23℃におけるヤング率は、上記変性 チレン-ビニルアルコール共重合体と同様の 法で測定した。

合成例4  柔軟樹脂-2の合成
 無水マレイン酸変性超低密度ポリエチレン 公知の方法により合成し、ペレト化した。 られた無水マレイン酸変性超低密度ポリエ レンは、23℃におけるヤング率が40MPa、無水 マレイン酸量が0.04meq/gであった。

<樹脂組成物フイルム>
製造例5 樹脂組成物フイルム1~3の作製
 合成例2で得られた変性エチレン-ビニルア コール共重合体-2と、合成例3、4で得られた 軟樹脂とを二軸押し出し機で混練し、第2表 に示す配合処方の樹脂組成物を得た。ここで 、樹脂組成物中の柔軟樹脂の平均粒径は、得 られた樹脂組成物の試料を凍結した後、該試 料をミクロトームにより切片にして、透過電 子顕微鏡で測定した。また、設定温度を-20℃ に変更する以外には、上記ヤング率の測定方 法と同様にして、樹脂組成物の-20℃のヤング 率を測定した。測定結果を第2表に示す。
 次に、得られた樹脂組成物と熱可塑性ウレ ン(TPU)((株)クラレ製、クラミロン3190)とを使 用し、2種3層共押出装置を用いて、下記共押 成形条件で3層フイルム(熱可塑性ポリウレ ン層/樹脂組成物層/熱可塑性ポリウレタン層 )又は(熱可塑性ポリウレタン層/変性EVOH層/熱 塑性ポリウレタン層)を作製した。各フイル ムに使用した各層の厚みは、第2表に示す。
 なお、フイルム4は変性エチレン-ビニルア コール共重合体のみを使用した。
共押出成形条件は以下のとおりである。
  層構成:
   熱可塑性ポリウレタン/変性EVOH/熱可塑性 ポリウレタン又は熱可塑
性ポリウレタン/樹脂組成物/熱可塑性ポリウ タン
   各樹脂の押出温度:
   C1/C2/C3/ダイ=170/170/220/220℃
  各樹脂の押出機仕様:
  熱可塑性ポリウレタン:
   25mmφ押出機 P25-18AC(大阪精機工作株式会 製)
  変性EVOH:
   20mmφ押出機 ラボ機ME型CO-EXT(株式会社東 精機製)
  Tダイ仕様:
   500mm幅2種3層用 (株式会社プラスチック 学研究所製)
  冷却ロールの温度:50℃
  引き取り速度:4m/分

(4)耐屈曲性の評価
 21cm×30cmカットされたフイルムを50枚作製し それぞれのフイルムを0℃で7日間調湿した 、ASTM F 392-74に準拠して、理化学工業社製 ルボフレックステスターを使用し屈曲回数50 回、75回、100回、125回、150回、175回、200回、2 25回、250回、300回、400回、500回、600回、700回 800回、1000回、1500回屈曲させた後、ピンホ ルの数を測定した。それぞれの屈曲回数に いて、測定を5回行い、その平均値をピンホ ル個数とした。屈曲回数を横軸に、ピンホ ル数(N)を縦軸に取り、上記測定結果をプロ トしピンホール数が1個のときの屈曲回数(Np 1)を外挿により求め、有効数字2桁とした。但 し1500回の屈曲でピンホールが観察されない イルムについては、以降500回おきに屈曲回 を増やし、ピンホールがみられた屈曲回数 (Np1)とした。評価結果を
第2表に示す。

 表2から変性エチレン-ビニルアルコール共 合体に柔軟樹脂を配合した樹脂組成物は耐 曲性が大幅に改良されることが分かる。

実施例1~27、比較例1~4
 トラック・バス用重荷重ラジアルタイヤ、 イズ11R22.5を第3表~第5表の記載に従って、常 法にて試作した。各例ごとにベルト層の枚数 、ベルト角度について記載した。ベルトはカ ーカスコード側から順に1ベルト、2ベルト、3 ベルト、4ベルトであることを示す。
 ベルト傾斜角度の数値の前に付した符号Rは 、コード、横方向溝が右上がり,Lは、コード 横方向溝が左上がりであることを示す。
(5)インナーライナーの酸素透過量の測定
 作成したゴム、各フイルムを、20℃、65%RHに て五日間調湿した。該調湿済みのゴム、各フ イルム2枚のサンプルを使用して、モダンコ トロール社製MOCON OX-TRAN2/20型を用い、20℃-65 %RH条件下でJIS K7126(等圧法)に記載の方法に準 じて、酸素透過量を測定し、その平均値を求 め、以下の式に基づいてP値を求めた。
P=平均値(酸素透過量)×10 10
(6)製品ゲージ
 タイヤカットセクションを作成後、周上5箇 所の平均ゲージとして算出した。
(7)劣化後のロングラン(LR)走行距離>
 タイヤの事前劣化を酸素/空気=50%/50%、内圧9 00kPaにて2ヶ月間放置し、その後、空気100%充 、内圧900kPa、80Km/hでドラム走行させたとき 故障に至る距離を指数化したもの。数値の きいほうが耐劣化性に優れる。
(8)走行成長率
 内圧800kPa充填時、QCドラム3ステップ収量後 タイヤ成長比率(試験前及び試験後の半径成 長比)

 第3表~第5表から次のようなことが分かる。
 四層ベルトから三層ベルトに変更し交錯そ の距離Dが短くなってもP/Gの値を適正化し両 者のバランスをとることによってタイヤ耐久 性、軽量化、及び低燃費性に優れる重荷重ラ ジアルタイヤを得ることができる。インナー ライナーA層に、変性エチレン-ビニルアルコ ル共重合体を含む樹脂フイルム、及びAL蒸 膜等を適用することによって、タイヤ耐久 、軽量化、及び低燃費性に優れる重荷重用 ジアルタイヤを提供することができる。

 本発明は、タイヤ耐久性と軽量化を両立 た重荷重用用ラジアルタイヤを提供するこ ができる共に、タイヤの低燃費性をも改善 ることができる。