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Title:
RAILWAY ROLLING STOCK DRIVE UNIT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/104593
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a railway rolling stock drive unit 12 for rotatably driving the wheels of railway rolling stock, which specifically comprises: a reduction gear housing 13 supported on the inner diameter surface of a wheel 11 so as to rotate as one with the wheel 11; an input-side rotating member 14 which has eccentric parts 16a, 16b and which is connected to a drive source; revolving members 17, 18 rotatably supported relative to the eccentric parts 16a, 16b so as to perform a revolving motion about the rotary axis of the input-side rotating member 14; a rotation regulating member 119 that permits the revolving motion while preventing the rotating motion of the revolving members 17, 18; and an outer circumferential engaging member 20 which is fixed to the reduction gear housing 13 and engages with the outer circumference of the revolving members 17, 18 so as to cause decelerated rotation of the reduction gear housing 13 with respect to the input-side rotating member 14.

Inventors:
MIKI DAISUKE (JP)
KATAOKA YUKIHIRO (JP)
ADACHI TAKAYA (JP)
YAMADA MASAHIRO (JP)
TAMADA KENJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/052678
Publication Date:
August 27, 2009
Filing Date:
February 17, 2009
Export Citation:
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Assignee:
NTN TOYO BEARING CO LTD (JP)
MIKI DAISUKE (JP)
KATAOKA YUKIHIRO (JP)
ADACHI TAKAYA (JP)
YAMADA MASAHIRO (JP)
TAMADA KENJI (JP)
International Classes:
B61C9/46; F16H1/32
Foreign References:
JP2007230508A2007-09-13
JPS6023344U1985-02-18
JP2002115747A2002-04-19
JP2007230508A2007-09-13
Attorney, Agent or Firm:
ITOH, Hidehiko et al. (Oriental Sakaisuji Bldg. 21-19, Shimanouchi 1-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 82, JP)
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Claims:
 鉄道車両の車輪を回転駆動する駆動ユニットであって、
前記駆動ユニットは、
 車輪の内径面に保持されて、車輪と一体回転する減速機ハウジングと、
 偏心部を有し、駆動源に接続されている入力側回転部材と、
 前記偏心部に相対回転自在に保持されて、前記入力側回転部材の回転軸心を中心とする公転運動を行う公転部材と、
 前記公転部材の公転運動を許容しつつ、自転運動を阻止する自転規制部材と、
 減速機ハウジングに固定され、前記公転部材の外周に係合して前記減速機ハウジングを前記入力側回転部材に対して減速回転させる外周係合部材とを備える、鉄道車両駆動ユニット。
 前記駆動ユニットは、前記偏心部の偏心運動によって生じる不均一な荷重を吸収するバランス調整機構をさらに備える、請求項1に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記バランス調整機構は、
 偏心運動による遠心力を互いに打消し合う位相で配置される第1および第2の偏心部を含む、請求項2に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記バランス調整機構は、前記公転部材の偏心運動による不釣合い慣性偶力を打消す位相で前記入力側回転部材に嵌合固定されたカウンタウェイトを含む、請求項2に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記駆動ユニットは、
 前記減速機ハウジングの内部に配置され、車両本体に連結固定される固定部材と、
 車輪の嵌合位置の軸方向一方側および他方側で前記減速機ハウジングを前記固定部材に対して回転自在に支持する第1および第2の車軸軸受とをさらに備える、請求項1に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記第1および第2の車軸軸受は、前記固定部材の外径面に固定される内輪と、前記減速機ハウジングの内径面に固定される外輪と、前記内輪および前記外輪の間に配置される複数の円錐ころとを含む円錐ころ軸受であって、互いの小径側端部を向かい合わせて配置されている、請求項5に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記公転部材は、外周にトロコイド曲線で構成される複数の波形を有し、
 前記外周係合部材は、前記複数の波形に係合する複数の外ピンである、請求項1に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記自転規制部材は、前記入力側回転部材の回転軸心を中心とする円周上の固定位置で前記固定部材に保持される複数の内ピンであって、
 前記公転部材は、前記内ピンの外径より所定分だけ径が大きく前記内ピンを受入れる複数の穴を有する、請求項1に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記減速機ハウジングの内部に配置され、車両本体に固定連結される固定部材をさらに含み、
 前記公転部材は、径方向に延びる油路を有する、請求項1に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記自転規制部材は、前記入力側回転部材の回転軸心を中心とする円周上の固定位置で前記固定部材に保持される複数の内ピンであり、
 前記公転部材は、前記内ピンの外径より所定分だけ径が大きく前記内ピンを受入れる複数の孔を有しており、前記油路は、前記孔を通過するように設けられている、請求項9に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記公転部材は、外周にトロコイド曲線で構成される複数の波形を有し、
 前記油路の径方向外側の端部は、前記波形の谷部分に位置する、請求項9に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記公転部材は、前記油路の途中に潤滑油を一時的に保持する潤滑油保持空間をさらに有する、請求項9に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記油路の径方向内側端部の開口部の直径と、径方向外側端部の開口部の直径とは、異なる大きさである、請求項9に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記駆動ユニットは、
 前記入力側回転部材の内部を軸方向に延びる軸心油路と、
 前記軸心油路から前記入力側回転部材の外径面に向かって延びる潤滑油供給口と、
 前記固定部材に設けられた潤滑油排出口と、
 前記潤滑油排出口および前記軸心油路を接続し、前記潤滑油排出口から排出された潤滑油を前記軸心油路に還流する循環油路とをさらに備える、請求項9に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記減速機ハウジングは、その内部に潤滑油の封入された空間を有し、
 前記減速機構は、少なくともその一部が潤滑油に浸かった状態で前記空間内に配置されている、請求項9に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記減速機ハウジングの内部に配置され、車両本体に固定連結される固定部材をさらに備え、
 前記自転規制部材および前記外周係合部材のうちの少なくともいずれか一方には、前記公転部材と当接する位置に回転自在な状態で軸受が取り付けられており、前記軸受は、径方向に貫通する貫通孔を有する、請求項1に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記貫通孔は、前記公転部材と当接する位置に設けられる、請求項16に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記偏心部は、偏心運動による遠心力を互いに打消し合う位相で前記入力側回転部材に配置される第1および第2の偏心部を含み、
 前記公転部材は、前記第1および第2の偏心部それぞれに回転自在に保持される第1および第2の公転部材を含む、請求項16に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記軸受は、前記第1および第2の公転部材の両方に当接する位置に延在し、前記貫通孔は、前記第1および第2の公転部材の間の位置に設けられる、請求項18に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記自転規制部材および前記外周係合部材のうちの少なくともいずれか一方は、その内部に潤滑油保持空間と、前記潤滑油保持空間から径方向に延びる貫通孔とを有する、請求項16に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記公転部材は、径方向に延びる油路を有する、請求項16に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記駆動ユニットは、
 前記入力側回転部材の内部を軸方向に延びる軸心油路と、
 前記軸心油路から前記入力側回転部材の外径面に向かって延びる潤滑油供給口と、
 前記固定部材に設けられた潤滑油排出口と、
 前記潤滑油排出口および前記軸心油路を接続し、前記潤滑油排出口から排出された潤滑油を前記軸心油路に還流する循環油路とをさらに備える、請求項16に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記減速機ハウジングは、その内部に潤滑油の封入された空間を有し、
 前記減速機構は、少なくともその一部が潤滑油に浸かった状態で前記空間内に配置されている、請求項16に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記減速機ハウジングの内部に配置され、車両本体に固定連結される固定部材とをさらに備え、
 前記自転規制部材および前記外周係合部材のうちの少なくともいずれか一方は、その内部に潤滑油保持空間と、前記潤滑油保持空間から径方向に延びる貫通孔とを有する、請求項1に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記潤滑油保持空間には、潤滑油を含浸した多孔質部材が格納されている、請求項24に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記多孔質部材は、焼結金属、および発泡グリースのうちのいずれか一方を含むものである、請求項25に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記公転部材は、径方向に延びる油路を有する、請求項24に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記自転規制部材および前記外周係合部材には、前記公転部材と当接する位置に回転自在な状態で軸受が取り付けられており、前記公転部材および前記軸受のうちの少なくともいずれか一方は、焼結金属で形成されている、請求項24に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記駆動ユニットは、
 前記入力側回転部材の内部を軸方向に延びる軸心油路と、
 前記軸心油路から前記入力側回転部材の外径面に向かって延びる潤滑油供給口と、
 前記固定部材に設けられた潤滑油排出口と、
 前記潤滑油排出口および前記軸心油路を接続し、前記潤滑油排出口から排出された潤滑油を前記軸心油路に還流する循環油路とをさらに備える、請求項24に記載の鉄道車両駆動ユニット。
 前記減速機ハウジングは、その内部に潤滑油の封入された空間を有し、
 前記減速機構は、少なくともその一部が潤滑油に浸かった状態で前記空間内に配置されている、請求項24に記載の鉄道車両駆動ユニット。
Description:
鉄道車両駆動ユニット

 この発明は、鉄道車両駆動ユニット、特 左右の車輪を独立して駆動可能な鉄道車両 動ユニットに関するものである。

 従来の鉄道車両駆動ユニットは、例えば 特開2007-230508号公報に開示されている。同 報に開示されている鉄道車両駆動ユニット 、モータと、モータの回転を減速して車輪 伝達する減速機とを備える。

 この鉄道車両駆動ユニットには、鉄道車 の運行に必要なトルクを発生させる共に、 い客室スペースを得るために、小型で高減 比が得られるサイクロイド減速機が採用さ ている。具体的には、モータと一体回転す 入力軸と、入力軸に設けられた偏心部に回 自在に支持される曲線板と、曲線板の外周 係合して曲線板に自転運動を生じさせる外 ンと、曲線板の自転運動を回転運動に変換 て車輪に伝達する内ピンとで構成される。

 鉄道車両の車輪には、鉄道車両本体の自 によるラジアル荷重と、旋回時の遠心力に るアキシアル荷重とが負荷される。ここで 上記構成の鉄道車両駆動ユニットは、車輪 重心位置が減速機から大きく離れているの 、車輪から減速機に大きなモーメント荷重 負荷される。これは、減速機のスムーズな 転を阻害すると共に、鉄道車両駆動ユニッ の耐久性を低下させる原因となる。

 この発明の目的は、小型で高減速比が得 れると共に、より信頼性の高い鉄道車両駆 ユニットを提供することである。

 この発明の他の目的は、小型で高減速比 得られると共に、潤滑性能を向上した、よ 信頼性の高い鉄道車両駆動ユニットを提供 ることである。

 この発明のさらに他の目的は、小型で高 速比が得られると共に、潤滑性能を向上し 、より信頼性の高い鉄道車両駆動ユニット 提供することである。

 この発明に係る鉄道車両駆動ユニットは 鉄道車両の車輪を回転駆動する駆動ユニッ である。具体的には、鉄道車両駆動ユニッ は、車輪の内径面に保持されて、車輪と一 回転する減速機ハウジングと、偏心部を有 、駆動源に接続されている入力側回転部材 、偏心部に相対回転自在に保持されて、入 側回転部材の回転軸心を中心とする公転運 を行う公転部材と、公転部材の公転運動を 容しつつ、自転運動を阻止する自転規制部 と、減速機ハウジングに固定され、公転部 の外周に係合して減速機ハウジングを入力 回転部材に対して減速回転させる外周係合 材とを備える。入力側回転部材と、公転部 と、自転規制部材と、外周係合部材とはサ クロイド減速機を構成する。

 サイクロイド減速機を採用することによ 、小型で高減速比を得ることができる。ま 、車輪を減速機ハウジングの外径面に嵌合 定したので、車輪の重心を適切な位置に配 することができる。その結果、信頼性の高 鉄道車両駆動ユニットを得ることができる

 好ましくは、駆動ユニットは、偏心部の 心運動によって生じる不均一な荷重を吸収 るバランス調整機構をさらに備える。これ より、車輪に安定してトルクを伝達するこ が可能となる。

 一実施形態として、バランス調整機構は 偏心運動による遠心力を互いに打消し合う 相で配置される第1および第2の偏心部を含 。他の実施形態として、バランス調整機構 、公転部材の偏心運動による不釣合い慣性 力を打消す位相で入力側回転部材に嵌合固 されたカウンタウェイトを含む。

 好ましくは、駆動ユニットは、減速機ハ ジングの内部に配置され、車両本体に連結 定される固定部材と、車輪の嵌合位置の軸 向一方側および他方側で減速機ハウジング 固定部材に対して回転自在に支持する第1お よび第2の車軸軸受とをさらに備える。さら 好ましくは、第1および第2の車軸軸受は、固 定部材の外径面に固定される内輪と、減速機 ハウジングの内径面に固定される外輪と、内 輪および外輪の間に配置される複数の円錐こ ろとを含む円錐ころ軸受であって、互いの小 径側端部を向かい合わせて配置されている。 高負荷容量の円錐ころ軸受を背面組み合わせ (DB)で使用することにより、車輪に負荷され モーメント荷重を適切に支持することが可 となる。

 一実施形態として、公転部材は、外周に ロコイド曲線で構成される複数の波形を有 ている。外周係合部材は、複数の波形に係 する複数の外ピンである。

 一実施形態として、自転規制部材は、入 側回転部材の回転軸心を中心とする円周上 固定位置で固定部材に保持される複数の内 ンである。公転部材は、内ピンの外径より 定分だけ径が大きく内ピンを受入れる複数 穴を有する。

 この発明によれば、サイクロイド減速機 採用したので、小型で高減速比を得ること できる。また、車輪を減速機ハウジングの 径面に嵌合固定したので、車輪の重心を適 な位置に配置することができる。その結果 信頼性の高い鉄道車両駆動ユニットを得る とができる。

 鉄道車両駆動ユニットは、減速機ハウジ グの内部に配置され、車両本体に固定連結 れる固定部材をさらに備え、公転部材は、 方向に延びる油路を有するのが好ましい。

 このように、公転部材が油路を有するた 、油路を通じて、鉄道車両駆動ユニットを 成する各部へ容易に潤滑油を供給すること できる。その結果、潤滑性能を向上させる とができる。

 好ましくは、自転規制部材は、入力側回 部材の回転軸心を中心とする円周上の固定 置で固定部材に保持される複数の内ピンで り、公転部材は、内ピンの外径より所定分 け径が大きく内ピンを受入れる複数の孔を しており、油路は、孔を通過するように設 られている。こうすることにより、公転部 と内ピンとの接触部分に積極的に潤滑油を 給することができる。

 さらに好ましくは、公転部材は、外周に ロコイド曲線で構成される複数の波形を有 、油路の径方向外側の端部は、波形の谷部 に位置する。こうすることにより、公転部 と外周係合部材との係合時に破損等するの 防止することができる。

 さらに好ましくは、公転部材は、油路の 中に潤滑油を一時的に保持する潤滑油保持 間をさらに有する。こうすることにより、 分な量の潤滑油が供給されている時には公 部材内に潤滑油を保持しておき、潤滑油の 給量が低下した時には、潤滑油保持空間に 持されている潤滑油を油路に放出すること できる。その結果、より安定して潤滑油を 給することができる。

 さらに好ましくは、油路の径方向内側端 の開口部の直径と、径方向外側端部の開口 の直径とは、異なる大きさである。こうす ことにより、潤滑油の供給される方向に合 せて、開口部を大きくすることができ、油 に容易に潤滑油を流入させることができる

 一実施形態として、駆動ユニットは、入 側回転部材の内部を軸方向に延びる軸心油 と、軸心油路から入力側回転部材の外径面 向かって延びる潤滑油供給口と、固定部材 設けられた潤滑油排出口と、潤滑油排出口 よび軸心油路を接続し、潤滑油排出口から 出された潤滑油を軸心油路に還流する循環 路とをさらに備える。こうすることにより 入力側回転部材から潤滑油を供給して、回 時の遠心力に伴う入力側回転部材周辺の潤 油量不足を解消することができ、より潤滑 能を向上させることができる。

 他の実施形態として、減速機ハウジング 、その内部に潤滑油の封入された空間を有 、減速機構は、少なくともその一部が潤滑 に浸かった状態で空間内に配置されている

 鉄道車両駆動ユニットは、減速機ハウジ グの内部に配置され、車両本体に固定連結 れる固定部材とを備え、自転規制部材およ 外周係合部材のうちの少なくともいずれか 方には、公転部材と当接する位置に回転自 な状態で軸受が取り付けられており、軸受 、径方向に貫通する貫通孔を有するのが好 しい。

 このように、自転規制部材および外周係 部材のうちの少なくともいずれか一方に取 付けられる軸受は、貫通孔を有するため、 通孔を通じて、公転部材との当接部分等の 道車両駆動ユニットを構成する各部へ容易 潤滑油を供給することができる。その結果 潤滑性能を向上させることができる。

 好ましくは、貫通孔は、公転部材と当接 る位置に設けられる。こうすることにより 公転部材と軸受との当接部分に積極的に潤 油を供給することができる。

 一実施形態として、偏心部は、偏心運動 よる遠心力を互いに打消し合う位相で入力 回転部材に配置される第1および第2の偏心 を含み、公転部材は、第1および第2の偏心部 それぞれに回転自在に保持される第1および 2の公転部材を含む。

 好ましくは、軸受は、第1および第2の公 部材の両方に当接する位置に延在し、貫通 は、第1および第2の公転部材の間の位置に設 けられる。こうすることにより、貫通孔に容 易に潤滑油を流入させることができる。

 さらに好ましくは、自転規制部材および 周係合部材のうちの少なくともいずれか一 は、その内部に潤滑油保持空間と、潤滑油 持空間から径方向に延びる貫通孔とを有す 。こうすることにより、十分な量の潤滑油 供給されている時には貫通孔を通じて潤滑 保持空間に潤滑油を保持しておき、潤滑油 供給量が低下した時には、潤滑油保持空間 保持されている潤滑油を貫通孔を通じて放 することができる。その結果、より安定し 潤滑油を供給することができる。

 さらに好ましくは、公転部材は、径方向 延びる油路を有する。こうすることにより 油路を通じて、鉄道車両駆動ユニットを構 する各部へ潤滑油を供給することができる その結果、より潤滑性能を向上させること できる。

 一実施形態として、駆動ユニットは、入 側回転部材の内部を軸方向に延びる軸心油 と、軸心油路から入力側回転部材の外径面 向かって延びる潤滑油供給口と、固定部材 設けられた潤滑油排出口と、潤滑油排出口 よび軸心油路を接続し、潤滑油排出口から 出された潤滑油を軸心油路に還流する循環 路とをさらに備える。こうすることにより 入力側回転部材から潤滑油を供給して、回 時の遠心力に伴う入力側回転部材周辺の潤 油量不足を解消することができ、より潤滑 能を向上させることができる。

 他の実施形態として、減速機ハウジング 、その内部に潤滑油の封入された空間を有 、減速機構は、少なくともその一部が潤滑 に浸かった状態で空間内に配置されている

 また、鉄道車両駆動ユニットは、減速機 ウジングの内部に配置され、車両本体に固 連結される固定部材を備え、自転規制部材 よび外周係合部材のうちの少なくともいず か一方は、その内部に潤滑油保持空間と、 滑油保持空間から径方向に延びる貫通孔と 有するのが好ましい。

 このように、貫通孔と、潤滑油保持空間 が設けられていることにより、十分な量の 滑油が供給されている時には貫通孔を通じ 潤滑油保持空間に潤滑油を保持しておき、 滑油の供給量が低下した時には、潤滑油保 空間に保持されている潤滑油を貫通孔を通 て放出することができる。その結果、潤滑 能を向上させることができる。

 好ましくは、潤滑油保持空間には、潤滑 を含浸した多孔質部材が格納されている。 うすることにより、貫通孔を通じて徐々に 滑油が染み出すので、長期間に亘って安定 て潤滑油を供給することができる。

 一実施形態として、多孔質部材は、焼結 属、および発泡グリースのうちのいずれか 方を含むものである。

 さらに好ましくは、公転部材は、径方向 延びる油路を有する。こうすることにより 油路を通じて、鉄道車両駆動ユニットを構 する各部へ潤滑油を供給することができる その結果、より潤滑性能を向上させること できる。

 さらに好ましくは、自転規制部材および 周係合部材には、公転部材と当接する位置 回転自在な状態で軸受が取り付けられてお 、公転部材および軸受のうちの少なくとも ずれか一方は、焼結金属で形成されている こうすることにより、十分な量の潤滑油が 給されている時には潤滑油が染み込んで保 することができ、潤滑油の供給量が低下し 時には保持されている潤滑油が徐々に染み すので、長期間に亘って安定して潤滑油を 給することができる。

 一実施形態として、駆動ユニットは、入 側回転部材の内部を軸方向に延びる軸心油 と、軸心油路から入力側回転部材の外径面 向かって延びる潤滑油供給口と、固定部材 設けられた潤滑油排出口と、潤滑油排出口 よび軸心油路を接続し、潤滑油排出口から 出された潤滑油を軸心油路に還流する循環 路とをさらに備える。こうすることにより 入力側回転部材から潤滑油を供給して、回 時の遠心力に伴う入力側回転部材周辺の潤 油量不足を解消することができ、より潤滑 能を向上させることができる。

 他の実施形態として、減速機ハウジング 、その内部に潤滑油の封入された空間を有 、減速機構は、少なくともその一部が潤滑 に浸かった状態で空間内に配置されている

この発明の一実施形態に係る鉄道車両 車輪駆動装置を示す図である。 図1のII-IIにおける断面図である。 図1の偏心部周辺の拡大図である。 この発明の第2実施形態に係る鉄道車両 用車輪駆動装置を示す図である。 図4のV-Vにおける断面図である。 図4の偏心部周辺の拡大図である。 両持ち内ピン周辺の拡大図である。 片持ち内ピン周辺の拡大図である。 この発明の他の実施形態に係る鉄道車 用車輪駆動装置を示す図である。 図9のX-Xにおける断面図である。 曲線板と当接する位置に貫通孔を設け た例を示す図である。 潤滑油移送機構の一例である。 潤滑油移送機構の他の例である。 潤滑油移送機構のさらに他の例である 。 潤滑油移送機構を備えたバランスウェ イトを示す図である。 この発明のさらに他の実施形態に係る 鉄道車両用車輪駆動装置を示す図である。 図16のXVII-XVIIにおける断面図である。 車軸軸受の拡大図である。 密封部材の正面図である。

 (1)第1実施の形態
 図1~図3を参照して、この発明の一実施形態 係る鉄道車両駆動ユニット12および鉄道車 駆動ユニット12を含む鉄道車両用車輪駆動装 置10を説明する。なお、図1は鉄道車両用車輪 駆動装置10の概略断面図、図2は図1のII-IIにお ける断面図、図3は偏心部16a,16b周辺の拡大図 ある。

 まず、図1を参照して、鉄道車両用車輪駆 動装置10は、鉄道車両用車輪11(以下「車輪11 という)と、車輪11の内径面に保持されて、 動源(図示省略)の回転を減速して車輪11に伝 する駆動ユニット12(以下「鉄道車両駆動ユ ット12」という)とで構成されており、鉄道 両本体(図示省略)の下部に配置されている

 鉄道車両駆動ユニット12は、減速機ハウ ング13と、入力側回転部材14と、減速機構15 、固定部材としてのキャリア23と、第1およ 第2の車軸軸受24,25とを主に備える。

 減速機ハウジング13は、車輪11の内径面に 保持されると共に、内部に減速機構15を保持 ている。なお、減速機構15とは、偏心部材16 、公転部材としての曲線板17,18、自転規制部 としての複数の内ピン19、外周係合部材と ての複数の外ピン20、およびこれらに付随す る部材によって構成されており、入力側回転 部材14の回転を減速して減速機ハウジング13 伝達する。

 また、減速機ハウジング13の内径面とキ リア23の外径面との間には第1および第2の車 軸受24,25が配置されている。そして、減速 ハウジング13は、キャリア23に対して回転自 となっており、車輪11と一体回転する出力 回転部材(車軸)としても機能する。

 第1の車軸軸受24は、キャリア23の外径面 固定される内輪24aと、減速機ハウジング13の 内径面に固定される外輪24bと、内輪24aおよび 外輪24bの間に配置される複数の円錐ころ24cと 、隣接する円錐ころ24cの間隔を保持する保持 器24dとを含む円錐ころ軸受である。第2の転 り軸受25も同様の構成であるので、説明は省 略する。第1および第2の車軸軸受24,25として 負荷容量の円錐ころ軸受を採用することに り、車輪11に作用するラジアル荷重およびア キシアル荷重を適切に支持することができる 。

 また、第1の車軸軸受24は車輪11の嵌合位 (より具体的には「車輪11の嵌合幅中心」で って、図1中一点差線lで示す位置を指す)の 方向一方側(図1中の右側)で、第2の車軸軸受2 5は車輪11の嵌合位置の軸方向他方側(図1中の 側)でそれぞれ減速機ハウジング13をキャリ 23に対して回転自在に支持している。この 施形態においては、第1および第2の車軸軸受 24,25それぞれの車輪11の嵌合幅中心からの距 (オフセット)は、等しく設定されている。

 さらに、第1および第2の車軸軸受24,25は、 互いの小径側端部を向かい合わせて配置され ている(背面組合せ)。これにより、車輪11に 用するモーメント荷重を適切に支持するこ ができる。

 また、減速機ハウジング13の軸方向両端 には、減速機ハウジング13の内部に潤滑油を 封入するための密封部材26,27が設けられてい 。この密封部材26,27は、キャリア23の外径面 に摺接するリップ部を有し、減速機ハウジン グ13の内径面に固定されて、減速機ハウジン 13と一体回転する。

 入力側回転部材14は、駆動源(例えば、モ タ等)に接続されて、駆動源の回転に伴って 回転する。また、曲線板17,18の両側で転がり 受28a,28bによって両持ち支持されており、キ ャリア23に対して回転自在に保持されている なお、この実施形態においては、転がり軸 28a,28bとして円筒ころ軸受を採用している。 また、転がり軸受28aのさらに外側(図1中の右 )は、減速機ハウジング13の内部に潤滑油を 入する密封部材29が配置されている。

 偏心部材16は、第1および第2の偏心部16a,16 bを有し、入力側回転部材14に嵌合固定されて いる。第1および第2の偏心部16a,16bは、偏心運 動による遠心力を互いに打ち消しあう位相、 つまり180°位相を変えて配置されている。す わち、第1および第2の偏心部16a,16bは、偏心 動によって生じる不均一な荷重を吸収する ランス調整機構としても機能する。

 曲線板17は、転がり軸受30によって第1の 心部16aに相対回転自在に保持されている。 して、入力側回転部材14の回転軸心を中心と する公転運動を行う。また、図2を参照して 曲線板17は、厚み方向に貫通する第1および 2の貫通孔17a,17bと、外周にエピトロコイド等 のトロコイド系曲線で構成される複数の波形 17cを有する。

 第1の貫通孔17aは、曲線板17の中央部に形 されており、第1の偏心部16aおよび転がり軸 受30を受け入れる。第2の貫通孔17bは、曲線板 17の自転軸心を中心とする円周上に等間隔に 数個設けられており、キャリア23に保持さ る内ピン19を受入れる。波形17cは、減速機ハ ウジング13に保持される外ピン20に係合して 曲線板17の回転を減速機ハウジング13に伝達 る。なお、曲線板18も同様の構成であって 転がり軸受31によって第2の偏心部16bに回転 在に保持されている。

 転がり軸受30は、偏心部16aの外径面に嵌 し、その外径面に内側軌道面を有する内輪 材30aと、曲線板17の貫通孔17aの内径面に直接 形成された外側軌道面と、内側軌道面および 外側軌道面の間に配置される複数の円筒ころ 30bと、隣接する円筒ころ30bの間隔を保持する 保持器30cとを備える円筒ころ軸受である。転 がり軸受31も同様の構成であるので、説明は 略する。

 なお、2枚の曲線板17,18の中心点をGとする と、中心点Gは車輪11の重心位置と一致させて いるが、車輪11から鉄道車両駆動ユニット12 負荷されるモーメント荷重を極小化させる めには、中心点Gと車輪重心位置とをオフセ トさせたほうがよい。これにより、構成部 (「曲線板17,18、内ピン19、および外ピン20等 」を指す)が傾いて、接触部分に過大な負荷 生じるのを防止することができる。その結 、鉄道車両駆動ユニット12の回転がスムーズ になると共に、耐久性が向上する。

 また、2つ曲線板17,18の間には、複数の内 ン19に外接する外接リング34が配置されてい る。これにより、曲線板17,18の軸方向の動き を規制している。なお、曲線板17,18と外接 ング34とは滑り接触するので、互いに接触す る壁面に研削加工を施す等するのが望ましい 。また、この外接リング34の機能は、複数の ピン19に内接する内接リング、または複数 外ピン20に内接する内接リングでも代替する ことができる。

 内ピン19は、入力側回転部材14の回転軸心 を中心とする円周軌道上に等間隔に複数個設 けられている。複数の内ピン19のうちの一部 、中央に大径部と、両端に大径部より相対 に直径の小さい小径部とを有する略円柱形 である。そして、小径部がキャリア23に保 されると共に、大径部が曲線板17,18の第2の 通孔17b,18bの内部に位置している。また、大 部の端面は、キャリア23の壁面に当接して ピン19を位置決めする基準面として機能する 。なお、他の内ピン19は、長手方向全域で直 が同一の単純円柱形状である。

 さらに、曲線板17,18の第2の貫通孔17b,18bの 内壁面に当接する位置(大径部)には、内ピン ラー19aが取り付けられている。これにより 曲線板17,18と内ピン19との摩擦抵抗を低減す ることができる。なお、この実施形態に係る 内ピンカラー19aは、滑り軸受である。

 なお、第2の貫通孔17b,18bの直径は、内ピ 19の直径(「内ピンカラー19aを含む最大外径 を指す)と比較して所定分だけ大きく設定さ ている。その結果、内ピン19は、曲線板17,18 が入力側回転部材14の回転に伴って回転しよ とする際に、曲線板の公転運動を許容しつ 、自転運動を阻止する自転規制部材として 能する。

 外ピン20は、入力側回転部材14の回転軸心 を中心とする円周軌道上に等間隔に複数個設 けられている。この外ピン20は、その中央部 減速機ハウジングに保持されると共に、両 部が車軸軸受24,25に当接して固定されてい 。そして、外ピン20は、曲線板17,18の波形17c, 18cに係合して、減速機ハウジング13を入力側 転部材14に対して減速回転させる。ここで 入力側回転部材14と、曲線板17,18と、内ピン1 9と、外ピン20とはサイクロイド減速機を構成 する。

 さらに、曲線板17,18の波形17c,18cに当接す 位置には、外ピンカラー20aが取り付けられ いる。これにより、曲線板17,18と外ピン20と の摩擦抵抗を低減することができる。なお、 この実施形態に係る外ピンカラー20aは、滑り 軸受である。

 カウンタウェイト21は、重心と異なる位 に入力側回転部材14を受け入れる貫通孔を有 し、偏心部16aの偏心運動による不釣合い慣性 偶力を打消す位相、つまり偏心部16aと180°位 を変えて入力側回転部材14に嵌合固定され いる。つまり、カウンタウェイト21は、偏心 部16aの偏心運動によって生じる不均一な荷重 を吸収するバランス調整機構として機能する 。なお、カウンタウェイト22も同様の構成で って、偏心部16bの偏心運動による不釣合い 性偶力を打ち消す位相で入力側回転部材14 嵌合固定されている。

 図3を参照して、2枚の曲線板17,18の中心点G 右側について、中心点Gと曲線板17の中心と 距離をL 1 、曲線板17、転がり軸受30、および偏心部16a 質量の和をm 1 、曲線板17の重心の回転軸心からの偏心量を 1 とし、中心点Gとカウンタウェイト21との距離 をL 2 、カウンタウェイト21の質量をm 2 、カウンタウェイト21の重心の回転軸心から 偏心量をε 2 とすると、L 1 ×m 1 ×ε 1 =L 2 ×m 2 ×ε 2 を満たす関係となっている。また、図3の中 点Gの左側の曲線板18とカウンタウェイト22と の間にも同様の関係が成立する。

 キャリア23は、鉄道車両本体に連結固定 れており、曲線板17,18に対面する壁面に内ピ ン19を保持すると共に、外径面に嵌合固定さ た第1および第2の車軸軸受24,25によって減速 機ハウジング13を、内径面に嵌合固定された がり軸受28a,28bによって入力側回転部材14を れぞれ回転自在に支持している。

 また、キャリア23には、減速機構15と車軸 軸受24,25との間で潤滑油を循環させる潤滑油 環機構を備える。この潤滑油循環機構は、 力側回転部材14の回転に伴って生じる遠心 を利用して潤滑油を循環させる。具体的に 、キャリア23の内部を径方向に貫通し、潤滑 油を径方向外側から径方向内側に向かって還 流する複数の潤滑油路32,33が形成されている

 潤滑油路32の径方向外側の開口部は、第1 車軸軸受24の大径側端部と密封部材26との間 に設けられている。同様に、潤滑油路33の径 向外側の開口部は、第2の車軸軸受25の大径 端部と密封部材27との間に設けられている 円錐ころ軸受24,25の内部の潤滑油は、遠心力 によって大径側端部から排出される。そこで 、潤滑油路32,33の径方向外側の開口部は、第1 および第2の車軸軸受24,25の大径側端部に隣接 する位置に設けるのが望ましい。

 一方、潤滑油路32の径方向内側の開口部 、偏心部16aに対面する位置に設けられてい 。同様に、潤滑油路32の径方向内側の開口部 は、偏心部16bに対面する位置に設けられてい る。入力側回転部材14は高速回転するので、 心部16a,16bの周辺、より具体的には転がり軸 受30,31には多くの潤滑油が必要となる。そこ 、潤滑油路32,33の径方向内側の開口部は、 心部16a,16bに対面する位置に設けるのが望ま い。

 上記構成の鉄道車両駆動ユニット12の作 原理を詳しく説明する。

 まず、駆動源の回転に伴って入力側回転 材14および偏心部材16が一体回転する。この とき、曲線板17,18も回転しようとするが、第2 の貫通孔17b,18bに挿通する内ピン19に自転運動 を阻止され、公転運動のみを行うことになる 。つまり、曲線板17,18は、入力側回転部材14 回転軸心を中心とする円周軌道上を平行移 する。

 曲線板17,18が公転運動すると、波形17c,18c 外ピン20とが係合し、減速機ハウジング13お よび車輪11が入力側回転部材14と同一方向に 体回転する。このとき、曲線板17,18から減速 機ハウジング13に伝達される回転は減速され 高トルクになっている。

 具体的には、外ピン20の数をZ A 、曲線板17,18の波形の数をZ B とすると、鉄道車両駆動ユニット12の減速比 Z B /(Z A -Z B )で算出され、さらに減速比をnとすると、図1 の実施形態における速度比は1/(n+1)で算出さ る。図2に示す実施形態では、Z A =24、Z B =22であるので、減速比は11となり、速度比は1 /12となる。したがって、低トルク、高回転型 の駆動源を採用した場合でも、車輪11に必要 トルクを伝達することが可能となる。

 このように、多段構成とすることなく大 な減速比を得ることができる減速機構15を 用することにより、コンパクトで高減速比 鉄道車両駆動ユニット12を得ることができる 。また、内ピン19および外ピン20の曲線板17,18 に当接する位置にカラー19a,20aを設けたこと より、接触部分の摩擦抵抗が低減される。 の結果、鉄道車両駆動ユニット12の伝達効率 が向上する。

 次に、上記構成の鉄道車両駆動ユニット1 2の潤滑油の流れを詳しく説明する。

 まず、減速機ハウジング13の内部には、 め潤滑油が封入されている。この潤滑油は 入力側回転部材14が回転に伴う遠心力によっ て径方向外側に運ばれる。このとき、転がり 軸受28a,28b,30,31、曲線板17,18と転がり軸受30,31 の間、曲線板17,18と内ピン19との間、内ピン 19と内ピンカラー19aとの間、曲線板17,18と外 リング34との間、曲線板17,18と外ピン20との 、および外ピン20と外ピンカラー20aとの間に それぞれ供給される。

 さらに、潤滑油は、第1および第2の車軸 受24,25の小径側端部から軸受内部を通って、 大径側端部側に排出される。そして、第1お び第2の車軸軸受24,25と密封部材26,27とで囲ま れた空間に到達した潤滑油は、潤滑油路32,33 通って入力側回転部材14の周辺に還流する

 このように、鉄道車両駆動ユニット12の 部で潤滑油を循環させることにより、潤滑 の封入量を削減することができる。その結 、鉄道車両駆動ユニット12の発熱およびトル ク損失を低減することができると共に、高速 回転部(「偏心部材16の周辺」を指す)の潤滑 確保することができる。また、入力側回転 材14の回転に伴う遠心力を利用して潤滑油を 循環させることにより、外部に循環装置を設 ける場合と比較して装置をコンパクト化する ことができる。

 なお、上記の実施形態においては、減速 構15の曲線板17,18を180°位相を変えて2枚設け たが、この曲線板の枚数は任意に設定するこ とができ、例えば、曲線板を3枚設ける場合 、120°位相を変えて設けるとよい。

 また、上記の実施形態において、偏心部1 6a,16bを有する偏心部材16を入力側回転部材14 嵌合固定した例を示したが、これに限るこ なく、入力側回転部材14の外径面に直接偏心 部16a,16bを形成してもよい。

 また、上記の実施形態における転がり軸 24,25,28a,28b,30,31は、図1の形態に限定される となく、例えば、すべり軸受、円筒ころ軸 、円錐ころ軸受、針状ころ軸受、自動調心 ろ軸受、深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受、3 接触球軸受、4点接触玉軸受等、すべり軸受 であるか転がり軸受であるかを問わず、転動 体がころであるか玉であるかを問わず、さら には複列か単列かを問わず、あらゆる軸受を 適用することができる。

 また、上記の実施形態におけるカラー19a, 19bは、滑り軸受である例を示したが、これに 限ることなく、転がり軸受を採用してもよい 。この場合、厚み方向にコンパクト化する観 点から針状ころ軸受を採用するのが望ましい 。

 (2)第2実施の形態
 次に、図4~図8を参照して、この発明の第2実 施形態に係る鉄道車両駆動ユニット112および 鉄道車両駆動ユニット112を含む鉄道車両用車 輪駆動装置110を説明する。なお、図4はこの 施の形態における鉄道車両用車輪駆動装置11 0の概略断面図、図5は図4のV-Vにおける断面図 、図6は偏心部116a,116b周辺の拡大図、図7は内 ン119の拡大図、図8は内ピン120の拡大図であ る。

 まず、図4を参照して、鉄道車両用車輪駆 動装置110は、鉄道車両用車輪111(以下「車輪11 1」という)と、車輪111の内径面に保持されて 駆動源(図示省略)の回転を減速して車輪111 伝達する駆動ユニット112(以下「鉄道車両駆 ユニット112」という)とで構成されており、 第1実施形態と同様に鉄道車両本体(図示省略) の下部に配置されている。

 鉄道車両駆動ユニット112は、減速機ハウ ング113と、入力側回転部材114と、減速機構1 15と、固定部材としての第1および第2のキャ ア124,125と、第1および第2の車軸軸受126,127と 鉄道車両駆動ユニット112内で潤滑油を潤滑 せる潤滑油循環機構とを主に備える。

 減速機ハウジング113は、車輪111の内径面 保持されると共に、内部に減速機構115を保 している。なお、減速機構115とは、偏心部 116、公転部材としての曲線板117,118、自転規 制部材としての複数の内ピン119,120、外周係 部材としての複数の外ピン121、およびこれ に付随する部材によって構成されており、 力側回転部材114の回転を減速して減速機ハ ジング113に伝達する。

 また、減速機ハウジング113の内径面と第1 および第2のキャリア124,125の外径面との間に 第1および第2の車軸軸受126,127が配置されて る。そして、減速機ハウジング113は、第1お よび第2のキャリア124,125に対して回転自在と っており、車輪111と一体回転する出力側回 部材(車軸)としても機能する。

 第1の車軸軸受126は、第1のキャリア124の 径面に固定される内輪126aと、減速機ハウジ グ113の内径面に固定される外輪126bと、内輪 126aおよび外輪126bの間に配置される複数の円 いころ126cと、隣接する円すいころ126cの間 を保持する保持器126dとを含む円すいころ軸 である。第2の転がり軸受127も同様の構成で あるので、説明は省略する。第1および第2の 軸軸受126,127として高負荷容量の円すいころ 軸受を採用することにより、車輪111に作用す るラジアル荷重およびアキシアル荷重を適切 に支持することができる。

 また、第1の車軸軸受126は車輪111の嵌合位 置(より具体的には「車輪111の嵌合幅中心」 あって、図4中一点鎖線lで示す位置を指す) 軸方向一方側(図4中の右側)で、第2の車軸軸 127は車輪111の嵌合位置の軸方向他方側(図4 の左側)でそれぞれ減速機ハウジング113を第1 および第2のキャリア124,125に対して回転自在 支持している。この実施形態においては、 1および第2の車軸軸受126,127それぞれの車輪1 11の嵌合幅中心からの距離(オフセット)は、 しく設定されている。

 さらに、第1および第2の車軸軸受126,127は 互いの小径側端部を向かい合わせて配置さ ている(背面組合せ)。これにより、車輪111 作用するモーメント荷重を適切に支持する とができる。

 また、減速機ハウジング113の軸方向両端 には、減速機ハウジング113の内部に潤滑油 封入するための密封部材128,129が設けられて いる。この密封部材128,129は、第1および第2の キャリア124,125の外径面に摺接するリップ部 有し、減速機ハウジング113の内径面に固定 れて、減速機ハウジング113と一体回転する

 入力側回転部材114は、駆動源(例えば、モ ータ等)に接続されて、駆動源の回転に伴っ 回転する。また、曲線板117,118の両側で転が 軸受130a,130bによって両持ち支持されており 第1および第2のキャリア124,125に対して回転 在に保持されている。なお、この実施形態 おいては、転がり軸受130a,130bとして円筒こ 軸受を採用している。また、転がり軸受130a のさらに外側(図4中の右側)は、減速機ハウジ ング113の内部に潤滑油を封入する密封部材131 が配置されている。

 偏心部材116は、第1および第2の偏心部116a, 116bを有し、入力側回転部材114に嵌合固定さ ている。第1および第2の偏心部116a,116bは、偏 心運動による遠心力を互いに打ち消しあう位 相、つまり180°位相を変えて配置されている すなわち、第1および第2の偏心部116a,116bは 偏心運動によって生じる不均一な荷重を吸 するバランス調整機構としても機能する。

 曲線板117は、転がり軸受132によって第1の 偏心部116aに相対回転自在に保持されている そして、入力側回転部材114の回転軸心を中 とする公転運動を行う。また、図5を参照し 、曲線板117は、厚み方向に貫通する第1およ び第2の貫通孔117a,117bと、外周にエピトロコ ド等のトロコイド系曲線で構成される複数 波形117cと、内部を径方向に延びる油路117dと 、油路117dの途中に潤滑油を一時的に保持す 潤滑油保持空間117eとを有する。

 第1の貫通孔117aは、曲線板117の中央部に 成されており、第1の偏心部116aおよび転がり 軸受132を受け入れる。第2の貫通孔117bは、曲 板117の自転軸心を中心とする円周上に等間 に複数個設けられており、第1および第2の ャリア124,125に保持される内ピン119,120を受入 れる。波形117cは、減速機ハウジング113に保 される外ピン121に係合して、曲線板117の回 を減速機ハウジング113に伝達する。なお、 線板118も同様の構成であって、転がり軸受13 3によって第2の偏心部116bに回転自在に保持さ れている。また、曲線板117は第1の公転部材 あり、曲線板118は第2の公転部材である。

 油路117dは、第1の貫通孔117aから曲線板117 外周面に向かって延びている。なお、油路1 17dの位置は特に限定されないが、図5に示す うに、第2の貫通孔117bを通過するように設け るのが望ましい。これにより、曲線板117と内 ピン119,120との接触部分に積極的に潤滑油を 給することができる。また、油路117dの径方 外側の端部は、波形117cの谷部分に形成する のが望ましい。曲線板117と外ピン121との係合 時に破損等するのを防止するためである。

 また、油路117dは、円周方向に等間隔に複 数設けられている。これにより、供給する潤 滑油の量を多くすることができる。また、油 路117dは、径方向に真っ直ぐに延びる形状で る。これにより、潤滑油を径方向に容易に 給することができる。また、油路117dの径方 内側端部の開口部の直径と、径方向外側端 の開口部の直径とは、異なる大きさである 具体的には、油路117dの径方向内側端部の開 口部の直径は、径方向外側端部の開口部の直 径より大きく設けられている。

 また、油路117dから分岐する潤滑油保持空 間117eを設けることにより、十分な量の潤滑 が供給されている時には曲線板117内に潤滑 を保持しておき、潤滑油の供給量が低下し 時には潤滑油保持空間117eに保持されている 滑油を油路117dに放出することができる。こ れにより、より安定して潤滑油を供給するこ とができる。

 また、潤滑油保持空間117eは、第1の貫通 117aと第2の貫通孔117bとの間の領域に位置す 。また、潤滑油保持空間117eは、円周方向に びる形状であって、円周方向に等間隔に複 設けられている油路117dと油路117dとを結ぶ うに設けられている。これにより、保持す 潤滑油の量を多くすることができる。また 一つの油路117dから流入した多量の潤滑油を の複数の油路117dを通じて、円周方向に均等 に供給することができる。

 また、曲線板117を焼結金属等の多孔質部 で形成してもよい。この場合、潤滑油保持 間117eを設けなくとも、多孔質部材の空孔に よって、曲線板117が潤滑油を保持することが できる。したがって、十分な量の潤滑油が供 給されている時には曲線板117に潤滑油が染み 込んで保持することができ、潤滑油の供給量 が低下した時には曲線板117に保持されている 潤滑油が徐々に染み出すので、長期間に亘っ て安定して潤滑油を供給することができる。

 また、曲線板117において、他の構成部品 当接する部分、具体的には、転がり軸受132 当接する第1の貫通孔117aの内壁面、内ピン11 9,120と当接する第2の貫通孔117bの内壁面、お び外ピン121と当接する曲線板117の外周面等 、HL(High Lubrication)処理を施してもよい。な 、HL処理とは、表面に、ランダムに無数の微 小凹形状のくぼみを設ける処理である。これ により、くぼみによって潤滑油を保持するこ とができ、当接部分の油膜切れを適切に防止 することができる。

 転がり軸受132は、偏心部116aの外径面に嵌 合し、その外径面に内側軌道面を有する内輪 部材132aと、曲線板117の貫通孔117aの内径面に 接形成された外側軌道面と、内側軌道面お び外側軌道面の間に配置される複数の円筒 ろ132bと、隣接する円筒ころ132bの間隔を保 する保持器132cとを備える円筒ころ軸受であ 。転がり軸受133も同様の構成であるので、 明は省略する。

 なお、2枚の曲線板117,118の中心点をGとす と、中心点Gは車輪111の中心位置と一致させ ているが、車輪111から鉄道車両駆動ユニット 112に負荷されるモーメント荷重を極小化させ るためには、中心点Gと車輪中心位置とをオ セットさせたほうがよい。これにより、構 部品(「曲線板117,118、内ピン119,120、および ピン121等」を指す)が傾いて、接触部分に過 な負荷が生じるのを防止することができる その結果、鉄道車両駆動ユニット12の回転 スムーズになると共に、耐久性が向上する

 また、2つ曲線板117,118の間には、複数の ピン119,120に外接する外接リング136が配置さ ている。これにより、曲線板117,118の軸方向 の動き量を規制している。なお、曲線板117,11 8と外接リング136とは滑り接触するので、互 に接触する壁面に研削加工を施す等するの 望ましい。また、この外接リング136の機能 、複数の内ピン119,120に内接する内接リング または複数の外ピン121に内接する内接リン でも代替することができる。

 内ピン119,120は、入力側回転部材114の回転 軸心を中心とする円周軌道上に等間隔に複数 個設けられている。また、曲線板117,118の第2 貫通孔117b,118bの内壁面に当接する位置(両持 ち内ピン119では、大径部119aの位置)には、内 ン軸受119e,120eが取り付けられている。内ピ 軸受119e,120eは、曲線板117,118の両方に当接す る位置に延在するように設けられている。こ れにより、曲線板117,118と内ピン119,120との摩 抵抗を低減することができる。なお、この 施形態における内ピン軸受119e,120eは、滑り 受である。

 なお、内ピン軸受119e,120eを焼結金属等の 孔質部材で形成してもよい。これにより、 孔質部材の空孔によって、内ピン軸受119e,12 0eが潤滑油を保持することができる。そして 徐々に保持した潤滑油が染み出すので、曲 板117,118と内ピン軸受119e,120eとの当接部分や 内ピン軸受119e,120eと内ピン119,120との間に、 期間に亘って安定して潤滑油を供給するこ ができる。

 図7を参照して、内ピン119は、軸方向中央 部に大径部119aと、軸方向両端部に大径部19a り直径が小さい第1および第2の小径部119b,119c と、大径部119aと第1および第2の小径部119b,119c の間に案内部119dとを含む。第1および第2の小 径部119b,119cの外周面には、それぞれ雄ねじが 形成されている。案内部119dの外径は、両持 内ピン119を受け入れる孔124a,125aの内径と一 するように設定されており、第1および第2の キャリア124,125に対して内ピン119の径方向の 置決めをするために用いられる。

 この内ピン119は、第1および第2のキャリ 124,125に両持ち支持される両持ち内ピンであ 。より具体的には、第1の小径部119bは、第1 キャリア124に直接固定されており、第2の小 径部119cは、押圧固定手段(後述する)によって 第2のキャリア25を大径部119aの端面に押し付 て固定されている。

 図8を参照して、内ピン120は、長手方向全 域で直径が同一の単純円柱形状であって、軸 方向一方側端部のみを第1のキャリア124に片 ち支持されている片持ち内ピンである。

 また、片持ち内ピン120には、その内部に 滑油保持空間120aと、潤滑油保持空間120aか 径方向に延びる貫通孔120bとが設けられてい 。同様に、内ピン軸受120eにも、径方向に貫 通する貫通孔120fが設けられている。なお、 通孔120b,120fの位置は特に限定されないが、 4に示すように、曲線板117,118の間の空間に対 面する位置に設けるのが望ましい。

 潤滑油保持空間120aは、内ピン120の軸方向 一方側端面から軸方向に凹む形状である。潤 滑油保持空間120aには潤滑油が保持されてお 、主に、内ピン120と内ピン軸受120eとの間、 よび内ピン軸受120eと曲線板117,118との接触 分に潤滑油を供給する。具体的には、十分 量の潤滑油が供給されている時には潤滑油 持空間120a内に潤滑油を保持しておき、潤滑 の供給量が低下したときには潤滑油保持空 120aに保持されている潤滑油を貫通孔120b,120f を通じて放出する。これにより、より安定し て潤滑油を供給することができる。

 さらに、潤滑油保持空間120aに潤滑油を含 浸した多孔質部材(図示省略)を格納してもよ 。これにより、貫通孔120b,120fを通じて徐々 潤滑油が染み出すので、長期間に亘って安 して潤滑油を供給することができる。なお 多孔質部材としては、焼結金属や発泡グリ ス等が挙げられる。

 内ピン120に設けられている貫通孔120bと、 内ピン軸受120eに設けられている貫通孔120fと 、連続するように設けられており、径方向 真っ直ぐに延びる形状である。これにより 潤滑油を径方向に容易に供給することがで る。

 なお、上記の実施形態においては、片持 内ピン120にのみ潤滑油保持空間120aおよび貫 通孔120bを設け、内ピン軸受120eにのみ貫通孔1 20fを設けた例を示したが、両持ち内ピン119お よび内ピン軸受119eも同様の構成とすること できる。また、内ピン119,120だけに留まらず 外ピン121および外ピン軸受121aをも同様の構 成とすることができる。

 なお、第2の貫通孔117b,118bの直径は、内ピ ン119,120の直径(「内ピン軸受119e,120eを含む最 外径」を指す)と比較して所定分だけ大きく 設定されている。その結果、内ピン119は、曲 線板117,118が入力側回転部材114の回転に伴っ 回転しようとする際に、曲線板117,118の公転 動を許容しつつ、自転運動を阻止する自転 制部材として機能する。

 外ピン121は、入力側回転部材114の回転軸 を中心とする円周軌道上に等間隔に複数個 けられている。この外ピン121は、その中央 が減速機ハウジング113に保持されると共に 両端部が車軸軸受126,127に当接して固定され ている。そして、外ピン121は、曲線板117,118 波形117c,118cに係合して、減速機ハウジング11 3を入力側回転部材114に対して減速回転させ 。

 さらに、曲線板117,118の波形117c,118cに当接 する位置には、外ピン軸受121aが取り付けら ている。これにより、曲線板117,118と外ピン1 21との摩擦抵抗を低減することができる。な 、この実施形態に係る外ピン軸受121aは、滑 り軸受である。また、外ピン軸受121aを焼結 属等の多孔質部材で形成してもよい。

 カウンタウェイト122は、重心と異なる位 に入力側回転部材114を受け入れる貫通孔を し、偏心部116aの偏心運動による不釣合い慣 性偶力を打消す位相、つまり偏心部116aと180° 位相を変えて入力側回転部材114に嵌合固定さ れている。つまり、カウンタウェイト122は、 偏心部116aの偏心運動によって生じる不均一 荷重を吸収するバランス調整機構として機 する。なお、カウンタウェイト123も同様の 成であって、偏心部116bの偏心運動による不 合い慣性偶力を打ち消す位相で入力側回転 材114に嵌合固定されている。

 図6を参照して、2枚の曲線板117,118の中心点G の右側について、中心点Gと曲線板117の中心 の距離をL 11 、曲線板117、転がり軸受132、および偏心部116 aの質量の和をm 11 、曲線板117の重心の回転軸心からの偏心量を ε 11 とし、中心点Gとカウンタウェイト122との距 をL 12 、カウンタウェイト122の質量をm 12 、カウンタウェイト122の重心の回転軸心から の偏心量をε 12 とすると、L 11 ×m2 11 ×ε 11 =L 12 ×m 12 ×ε 12 を満たす関係となっている。また、図6の中 点Gの左側の曲線板118とカウンタウェイト123 の間にも同様の関係が成立する。

 第1および第2のキャリア124,125は、鉄道車 本体に連結固定されており、曲線板117,118に 対面する壁面に内ピン119,120を保持すると共 、外径面に嵌合固定された第1および第2の車 軸軸受126,127によって減速機ハウジング113を 内径面に嵌合固定された転がり軸受130a,130b よって入力側回転部材114をそれぞれ回転自 に支持している。

 第1のキャリア124は、両持ち内ピン119の第 1の小径部119bを受け入れる孔124aと、片持ち内 ピン120の軸方向一方側端部を受け入れる孔124 bとを有する。なお、孔124aは、内壁面に雌ね が形成されているねじ穴である。一方、孔1 24bは、単純孔(ねじが形成されていない孔)で る。

 第2のキャリア125は、両持ち内ピン119の第 2の小径部119cを受け入れる貫通孔125aと、片持 ち内ピン120の軸方向他方側端部を受け入れる 孔125bとを有する。なお、貫通孔125aの直径は 2の小径部119cより、孔125bの直径は片持ち内 ン120のよりそれぞれ大きく設定されている

 ここで、内ピン119,120を第1および第2のキ リア124,125に取り付ける方法を説明する。ま ず、内ピン119,120を第1のキャリア124に固定す 。具体的には、両持ち内ピン119の第1の小径 部119bを孔124aに螺合固定すると共に、片持ち ピン120の軸方向一方側端部を孔124bに圧入固 定する。

 なお、内ピン119,120と第1のキャリア124と 固定方法は、上記の例に限ることなく、例 ば、両持ち内ピン119の一方側端部を孔124aに 入し、片持ち内ピン120の一方側端部と孔124b とにねじを形成して両者を螺合してもよい。

 次に、内ピン119,120それぞれに内ピン軸受 119e,120eを嵌め入れる。

 そして、両持ち内ピン119の第2の小径部119 cが貫通孔125aに、片持ち内ピン120の軸方向他 側端部が孔125bにそれぞれ嵌まり込むように 第2のキャリア125を嵌め入れる。このとき、 ピン119,120と貫通孔125a,125bとの間には隙間が けられているので、ある程度の製造誤差や 付け誤差を許容することができる。

 最後に、両持ち内ピン119を押圧固定手段 よって固定する。この実施形態における押 固定手段は、第2の小径部119cに設けられた ねじと、これに螺合するナット137とで構成 れる。つまり、第2の小径部119cにナット137を 螺合すると、第2のキャリア125が大径部119aに し付けられるので、両持ち内ピン119が第1お よび第2のキャリア124,125に対して強固に固定 れる。

 このとき、案内部119dによって、両持ち内 ピン119が径方向に位置決めされる。なお、図 7に示す案内部119dは円柱形状であるが、これ 限らず、任意の形状を採用することができ 。例えば、案内部を両持ち内ピン119の端部 向かって直径が徐々に小さくなる円錐形状 し、孔124a,125aの両持ち内ピン119対面する側 開口部も案内部の形状に対応する円錐面と れば、さらに簡単に位置決めを行うことが きる。

 上記のようにすることで、鉄道車両駆動 ニット112の組立性が向上する。なお、組立 向上および部品点数の削減等の観点からは 両持ち内ピン119を片持ち内ピン120よりも少 くするのが望ましい。ただし、内ピン119,120 には曲線板117,118から荷重が負荷されるので 両持ち内ピン119および片持ち内ピン120は、 れぞれ等間隔に配置するのが望ましい。

 潤滑油循環機構は、入力側回転部材114の 部を軸方向に延びる軸心油路114aと、軸心油 路114aから入力側回転部材114の外径面に向か て延びる潤滑油供給口114bと、第2のキャリア 125に設けられた潤滑油排出口125cと、潤滑油 出口125cおよび軸心油路114aを接続し、潤滑油 排出口125cから排出された潤滑油を軸心油路11 4aに還流する循環油路134と、潤滑油排出口125c から排出された潤滑油を一時的に貯留する潤 滑油貯留部135とを主に備える。

 なお、この実施形態における潤滑油供給 114bは、偏心部材116を保持する位置に設けら れている。また、偏心部材116および転がり軸 受132,133の内輪132a,133aには、潤滑油供給口114b 連通する貫通孔116c,132d,133dが設けられてお 、潤滑油は、これらを通って鉄道車両駆動 ニット112内に供給される。

 また、この実施形態における潤滑油排出 125cは、第2の車軸軸受127と密封部材129との から第2のキャリア125の内部を通って、鉄道 両駆動ユニット112の外部へ潤滑油を排出す 。

 さらに、この実施形態における潤滑油貯 部135は、鉄道車両駆動ユニット112の外部に 置した例を示したが、これに限ることなく 例えば、第2のキャリア125の内部に配置して もよい。また、この潤滑油貯留部135に貯留さ れる潤滑油を濾過する濾過装置(図示省略)を り付けてもよい。

 ここで、上記構成の鉄道車両駆動ユニッ 112の作動原理を詳しく説明する。

 まず、駆動源の回転に伴って入力側回転 材114および偏心部材116が一体回転する。こ とき、曲線板117,118も回転しようとするが、 第2の貫通孔117b,118bに挿通する内ピン119,120に 転運動を阻止され、公転運動のみを行うこ になる。つまり、曲線板117,118は、入力側回 転部材114の回転軸心を中心とする円周軌道上 を平行移動する。

 曲線板117,118が公転運動すると、波形117c,1 18cと外ピン121とが係合し、減速機ハウジング 113および車輪111が入力側回転部材114と同一方 向に一体回転する。このとき、曲線板117,118 ら減速機ハウジング113に伝達される回転は 速され、高トルクになっている。

 具体的には、外ピン121の数をZ A1 、曲線板117,118の波形117c,118cの数をZ B1 とすると、鉄道車両駆動ユニット12の減速比 Z B1 /(Z A1 -Z B1 )で算出され、さらに減速比をn1とすると、図 4の実施形態における速度比は1/(n1+1)で算出さ れる。図5に示す実施形態では、Z A1 =24、Z B1 =22であるので、減速比は11となり、速度比は1 /12となる。したがって、低トルク、高回転型 の駆動源を採用した場合でも、車輪111に必要 なトルクを伝達することが可能となる。

 このように、鉄道車両駆動ユニット112は 車輪111を減速機ハウジング113の外径面に嵌 固定したので、車輪111の中心を適切な位置 配置することができる。その結果、信頼性 高い鉄道車両駆動ユニット112を得ることが きる。

 また、多段構成とすることなく大きな減 比を得ることができる減速機構115を採用す ことにより、コンパクトで高減速比の鉄道 両駆動ユニット112を得ることができる。ま 、内ピン119,120および外ピン121の曲線板117,11 8に当接する位置に内ピン軸受119e,120eおよび ピン軸受121aを設けたことにより、接触部分 摩擦抵抗が低減される。その結果、鉄道車 駆動ユニット112の伝達効率が向上する。

 次に、上記構成の鉄道車両駆動ユニット1 12の潤滑油の流れを詳しく説明する。まず、 心油路114aを流れる潤滑油は、入力側回転部 材114の回転に伴う遠心力によって潤滑油供給 口114bから流出する。

 鉄道車両駆動ユニット112内部の潤滑油に さらに遠心力が作用するので、潤滑油供給 114bから流出した潤滑油は、転がり軸受133,13 2の内側軌道面や、円筒ころ132b,133bや、外側 道面等を潤滑する。そして、曲線板117,118の 路117d,118dに流入したり、曲線板117,118の表面 等を伝いながら、遠心力によって径方向外側 に移動する。このとき、油路117d,118dに流入し た潤滑油の一部は、潤滑油保持空間117e,118eに 保持される。そして、第2の貫通孔117b,118bの 置まで到達すると、曲線板117,118と内ピン軸 119e,120eとの当接部分を潤滑する。また、内 ン軸受120eに設けられている貫通孔120fに流 して、内ピン軸受120eと内ピン120との間を潤 する。このとき、潤滑油の一部は、内ピン1 20に設けられている貫通孔120bに流入して、潤 滑油保持空間120aに保持される。そしてさら 、遠心力によって径方向外側に移動し、曲 板117,118の外周面の位置まで到達すると、曲 板117,118と外ピン軸受121aとの当接部分や、 1および第2の車軸軸受126,127等を潤滑する。

 そして、車軸軸受126,127と密封部材128,129 の間の空間に到達した潤滑油は、潤滑油排 口125cから鉄道車両駆動ユニット112の外部へ 出され、潤滑油貯留部135に一時的に貯留さ た後に循環油路134を経由して軸心油路114aに 還流する。

 このように、鉄道車両駆動ユニット112は 曲線板117,118に油路117d,118dを設けたので、油 路117d,118dを通じて、曲線板117,118と内ピン軸 119e,120eとの当接部分等の各部へ容易に潤滑 を供給することができる。また、油路117d,118 dの径方向内側端部の開口部の直径は、径方 外側端部の開口部の直径より大きく設けら ているため、油路117d,118dに容易に潤滑油を 入させることができる。

 また、内ピン軸受120eに貫通孔120fを設け ので、貫通孔120fを通じて、内ピン軸受120eと 内ピン120との間等の各部へ容易に潤滑油を供 給することができる。

 また、内ピン120に貫通孔120bと潤滑油保持 空間120aとを設けたので、十分な量の潤滑油 供給されている時には貫通孔120bを通じて潤 油保持空間120aに潤滑油を保持しておき、潤 滑油の供給量が低下した時には、潤滑油保持 空間120aに保持されている潤滑油を貫通孔120b 通じて放出することができる。

 また、潤滑油循環機構を設けて、入力側 転部材114から鉄道車両駆動ユニット112内に 滑油を供給することにより、回転時の遠心 に伴う入力側回転部材114周辺の潤滑油量不 を解消することができる。また、潤滑油排 口125cから潤滑油を排出することによって、 攪拌抵抗を抑えて鉄道車両駆動ユニット112の トルク損失を低減することができる。

 また、高速回転時においては、排出しき ない潤滑油を一時的に潤滑油貯留部135に貯 しておくことができる。その結果、鉄道車 駆動ユニット112のトルク損失の増加を防止 ることができる。一方、低速回転時におい は、遠心力が小さくなって潤滑油排出口125c に到達する潤滑油量が少なくなっても、潤滑 油貯留部135に貯留されている潤滑油を軸心油 路114aに還流することができる。その結果、 道車両駆動ユニット112に安定して潤滑油を 給することができる。

 さらに、潤滑油貯留部135に濾過装置を設 れば、鉄道車両駆動ユニット112から排出さ る潤滑油から摩耗粉等の異物を取り除いて 環させることができるので、長期間に亘っ 高い潤滑性能を維持することが可能となる

 なお、上記の実施形態においては、油路1 17dは、径方向に真っ直ぐに延びる形状である 例について説明したが、これに限ることなく 、例えば、曲線状であってもよいし、径方向 に傾斜する形状であってもよい。

 また、上記の実施形態においては、油路1 17dは、円周方向に等間隔に複数設けられてい る例について説明したが、これに限ることな く、一箇所設けられていてもよいし、円周方 向に所定の間隔を空けて複数設けられていて もよい。

 また、上記の実施形態においては、潤滑 保持空間117eは、第1の貫通孔117aと第2の貫通 孔117bとの間の領域に位置する例について説 したが、これに限ることなく、第2の貫通孔1 17bと曲線板117の外周面との間の領域に位置し てもよい。

 また、上記の実施形態においては、内ピ 120に設けられている貫通孔120bと、内ピン軸 受120eに設けられている貫通孔120fとは、径方 に真っ直ぐに延びる形状である例について 明したが、これに限ることなく、曲線状で ってもよいし、径方向に傾斜する方向に延 る形状であってもよい。

 また、上記の実施形態においては、片持 内ピン120に潤滑油保持空間120aおよび貫通孔 120bを設け、内ピン軸受120eに貫通孔120fを設け る例について説明したが、これに限ることな く、片持ち内ピン120および両持ち内ピン119の 全ての内ピン119,120に潤滑油保持空間および 通孔を設け、全ての内ピン軸受119e,120eに貫 孔を設けてもよい。また、円周方向に交互 設ける等、選択的に設けてもよい。

 なお、後述する第3および第4の実施形態 ように、底部領域から上部領域に潤滑油を ぶ場合には、上部領域に位置する内ピン119,1 20に潤滑油保持空間および貫通孔を設け、上 領域に位置する内ピン軸受119e,120eに貫通孔 設けることが好ましい。上部領域では底部 域に比べると、重力によって潤滑油が下方 に移動してしまうことから、潤滑油量不足 発生しやすくなる。しかし、上部領域に位 する内ピン119,120に潤滑油保持空間および貫 通孔を設け、上部領域に位置する内ピン軸受 119e,120eに貫通孔を設けることにより、上部領 域で放出された潤滑油を貫通孔から容易に流 入させると共に、潤滑油保持空間に保持する ことができる。その結果、潤滑油量不足を解 消することができる。

 また、上記の第2実施形態においては、減 速機構115の曲線板117,118を180°位相を変えて2 設けたが、この曲線板の枚数は任意に設定 ることができ、例えば、曲線板を3枚設ける 合は、120°位相を変えて設けるとよい。

 また、上記の実施形態において、偏心部1 16a,116bを有する偏心部材116を入力側回転部材1 14に嵌合固定した例を示したが、これに限る となく、入力側回転部材114の外径面に直接 心部116a,116bを形成してもよい。

 (3)第3以降の実施の形態
 次に、この発明の第3実施形態に係る鉄道車 両駆動ユニット112aおよび鉄道車両駆動ユニ ト112aを含む鉄道車両用車輪駆動装置110aを説 明する。なお、以下に示す図において、同一 の構成要素には第2実施の形態と同一の参照 号を付し、説明は省略する。図9は鉄道車両 車輪駆動装置110aの概略断面図、図10は図9の X-Xにおける断面図、図11は内ピン120の拡大図 ある。図12~14は潤滑油移送機構としてのポ プを示す図、図15は潤滑油移送機構を備えた バランスウェイト122を示す図である。

 図9および図10を参照して、他の実施形態 係る鉄道車両駆動ユニット112aは、減速機ハ ウジング113と、入力側回転部材114と、減速機 構115と、固定部材としての第1および第2のキ リア124,125と、第1および第2の車軸軸受126,127 と、入力側回転部材114の回転を利用して潤滑 油を移送する潤滑油移送機構とを主に備える 。

 減速機ハウジング113は、内部に潤滑油の 入された空間を有し、車輪111の内径面に保 されている。潤滑油の封入された空間とは 減速機ハウジング113、第1および第2のキャ ア124,125、および密封部材128,129で囲まれた領 域を指す。また、内部に減速機構115を保持し ている。

 減速機構115は、偏心部材116、公転部材と ての曲線板117,118、自転規制部材としての複 数の内ピン119,120、外周係合部材としての複 の外ピン121、およびこれらに付随する部材 よって構成されており、入力側回転部材114 回転を減速して減速機ハウジング113に伝達 る。

 また、減速機構115は、少なくとも一部が 滑油に浸かった状態で潤滑油の封入された 間内に配置されている。具体的には、減速 構115の停止時における油面高さが、図9の直 線mの位置になるように潤滑油が封入されて る。

 曲線板117,118に設けられている油路117d,118d は、油路117d,118dの径方向内側端部の開口部の 直径と、径方向外側端部の開口部の直径とが 、異なる大きさである。具体的には、油路117 d,118dの径方向外側端部の開口部の直径は、径 方向内側端部の開口部の直径より大きく設け られている。

 また、図11を参照して、内ピン120に設け れている貫通孔120bと、内ピン軸受120eに設け られている貫通孔120fとは、曲線板117,118の間 空間に対面する位置と、曲線板117,118と当接 する位置とに設けられている。こうすること により、曲線板117,118と内ピン軸受120eとの当 部分に積極的に潤滑油を供給することがで る。また、この場合、曲線板117,118と当接す る位置に設けられる貫通孔120b,120fは、曲線板 117,118に設けられた油路117d,118dと対面する位 に設けることが好ましい。こうすることに り、油路117d,118dに流入した潤滑油を容易に 通孔120b,120fに流入させることができる。

 潤滑油移送機構は、入力側回転部材114の 転を利用して、上記した潤滑油の封入され 空間の底部領域から上部領域に潤滑油を運 。より具体的には、第1のキャリア124の内部 に配置されるポンプ141と、ポンプ141から空間 の底部領域に向かって延び、ポンプ141に潤滑 油を供給する潤滑油供給路138と、ポンプ141か ら空間の上部領域に向かって延び、ポンプ141 からの潤滑油を排出する潤滑油排出路139とを 含む。

 図12を参照して、ポンプ141は、外径面に歯 を有し、入力側回転部材114と一体回転する 動歯車142と、内径面に駆動歯車142に噛合す 歯形を有し、第1のキャリア124に回転自在に 持されて駆動歯車142の回転中心c 1 から水平方向一方側にずれた点c 2 を中心として回転する従動歯車143とを備える サイクロイドポンプである。

 上記構成のポンプ141は、入力側回転部材1 14が反時計回り(正回転)に回転したときに、 間の底部領域から潤滑油供給路138を通じて み上げた潤滑油を、潤滑油排出路139を通じ 上部領域に排出することができる。

 一方、このポンプ141は、入力側回転部材114 時計回り(逆回転)に回転したときには潤滑 を移送することができない。そこで、この ンプ141とは異なる位置に、入力側回転部材11 4が時計回りに回転したときに潤滑油を移送 能な第2のポンプを設けるのが望ましい。具 的には、ポンプ141と同じ構造で、c 1 ,c 2 の位置関係を逆転させたポンプを設ければよ い。

 また、図13を参照して、他の実施形態に るポンプ151は、外径面に歯形を有し、入力 回転部材114と一体回転する駆動歯車152と、 径面に駆動歯車152に噛合する歯形を有し、 動歯車152の水平方向一方側に回転自在に配 される従動歯車153とで構成される。なお、 の実施形態においては、従動歯車153は、第1 キャリア124に回転自在に取り付けられた回 軸124cに嵌合固定されている。

 図12のポンプ141に代えて、上記構成のポ プ151を採用しても、入力側回転部材114が反 計回りに回転したときに潤滑油を移送する とができる。また、ポンプ141と同じ構造で 駆動歯車152と従動歯車153との位置関係を逆 させた第2のポンプを設ければ、入力側回転 材114が時計回りに回転したときにも潤滑油 移送することが可能となる。

 さらに、図14を参照して、さらに他の実 形態に係るポンプ161は、外径面に歯形を有 、入力側回転部材114と一体回転する駆動歯 162と、外径面に駆動歯車162に噛合する歯形 有し、駆動歯車162の水平方向一方側に回転 在に配置される第1従動歯車163と外径面に駆 歯車162に噛合する歯形を有し、駆動歯車162 水平方向他方側に回転自在に配置される第2 従動歯車164とで構成される。なお、この実施 形態においては、従動歯車163,164は、第1のキ リア124に回転自在に取り付けられた回転軸1 24c,124dに嵌合固定されている。

 上記構成のポンプ161によれば、入力側回 部材114が反時計回りに回転したときに、駆 歯車162と第1従動歯車163とが潤滑油を移送す る第1のポンプとして機能する。一方、入力 回転部材114が時計回りに回転したときに、 動歯車162と第2従動歯車164とが潤滑油を移送 る第2のポンプとして機能する。これにより 、図12または図13に示すポンプ141,151を2箇所に 配置する場合と比較して、ポンプを配置する スペースを小さくすることができる。

 上記の各実施形態においては、潤滑油移 機構としてポンプを採用した例を示したが これに限ることなく、入力側回転部材114の 転を利用して潤滑油を移送するあらゆる構 を採用することができる。例えば、図15に すように、カウンタウェイト122に潤滑油移 機構を設けてもよい。カウンタウェイト123 ついても同様であるので、説明は省略する

 図15を参照して、カウンタウェイト122は 大径扇状部122aと、大径扇状部122aより半径が 小さく、互いの弦を接するように大径扇状部 122aに接続される小径扇状部122bとを含む。

 また、大径扇状部122aには、その弦に開口 部を有し、大径扇状部122aの内部を周方向に びる周方向油路122cと、周方向油路122cから大 径扇状部122aの外径面に向かって延びる径方 油路122dとが設けられている。さらに、バラ スウェイト122の端面には、厚み方向に突出 る複数のフィン122eが設けられている。

 なお、鉄道車両駆動ユニット112aを構成す るその他の要素については、上記した第2実 形態の鉄道車両駆動ユニット112と共通する で、説明は省略する。

 ここで、他の実施形態に係る鉄道車両駆 ユニット112aの潤滑油の流れを詳しく説明す る。まず、潤滑油は、減速機ハウジング113の 内部の空間内、すなわち、減速機ハウジング 113、第1および第2のキャリア124,125、および密 封部材128,129で囲まれた領域内に封入されて り、減速機構115の停止時における油面高さ 、図9の直線mの位置である。

 次に、入力側回転部材114が回転すると、 滑油移送機構としてのポンプ141が、空間の 部領域から潤滑油供給路138を通じて汲み上 た潤滑油を、潤滑油排出路139を通じて上部 域に排出する。また、潤滑油移送機構とし のカウンタウェイト122は、回転しながら空 の底部領域と上部領域との間を移動する。 のとき、底部領域で周方向油路122cおよび径 方向油路122dに潤滑油を保持し、上部領域で 滑油を放出すると共に、フィン122eによって 滑油を掻き揚げる。これにより、空間の上 領域(図9の入力側回転部材114より上側の領 )に潤滑油を供給することができる。

 潤滑油移送機構によって放出された潤滑 は、曲線板117,118の油路117d,118dに流入したり 、曲線板117,118の表面等を伝いながら、重力 よって下方向に移動する。そして、第2の貫 孔117b,118bの位置まで到達すると、上部領域 位置する構成部品、例えば、曲線板117,118と 内ピン軸受119e,120eとの当接部分を潤滑する。 また、内ピン軸受120eに設けられている貫通 120fに流入して、内ピン軸受120eと内ピン120と の間を潤滑する。このとき、潤滑油の一部は 、内ピン120に設けられている貫通孔120bに流 して、潤滑油保持空間120aに保持される。

 そして、第2の貫通孔117b,118bの位置から、 重力によってさらに下方向に移動する。この とき、移動する潤滑油の一部は、潤滑油保持 空間117e,118e保持される。そして、第1の貫通 117a,118aの位置まで到達すると、転がり軸受13 3,132の外側軌道面や、円筒ころ132b,133bや、内 軌道面等を潤滑しながら、底部領域に戻さ る。

 このように、潤滑油移送機構を上記構成 することにより、減速機ハウジング113内の 間の上部領域にも積極的に潤滑油を供給す ことができるので、潤滑性能に優れた鉄道 両駆動ユニット112aを得ることができる。な お、上述した潤滑油移送機構(ポンプ141,151,161 、カウンタウェイト122)を全て設ける必要は く、少なくとも1つ設ければ、この発明の効 を得ることができる。

 また、油路117d,118dの径方向外側端部の開 部の直径は、径方向内側端部の開口部の直 より大きく設けられているため、油路117d,11 8dに容易に潤滑油を流入させることができる

 次に、この発明の第4実施形態に係る鉄道 車両駆動ユニット112bおよび鉄道車両駆動ユ ット112bを含む鉄道車両用車輪駆動装置110bを 説明する。なお、以下に示す図において、同 一の構成要素には同一の参照番号を付し、説 明は省略する。図16は鉄道車両用車輪駆動装 110bの概略断面図、図17は図14のXVII-XVIIにお る断面図、図18は第1の車軸軸受126を示す図 図19は密封部材128の正面図である。

 図16および図17を参照して、さらに他の実 施形態に係る鉄道車両駆動ユニット112bは、 速機ハウジング113と、入力側回転部材114と 減速機構115と、固定部材としての第1および 2のキャリア124,125と、第1および第2の車軸軸 受126,127と、減速機ハウジング113の回転を利 して潤滑油を移送する潤滑油移送機構とを に備える。

 減速機ハウジング113は、内部に潤滑油の 入された空間を有し、車輪111の内径面に保 されている。潤滑油の封入された空間とは 減速機ハウジング113、第1および第2のキャ ア124,125、および密封部材128,129で囲まれた領 域を指す。また、内部に減速機構115を保持し ている。

 減速機構115は、偏心部材116、公転部材と ての曲線板117,118、自転規制部材としての複 数の内ピン119,120、外周係合部材としての複 の外ピン121、およびこれらに付随する部材 よって構成されており、入力側回転部材114 回転を減速して減速機ハウジング113に伝達 る。

 また、減速機構115は、少なくとも一部が 滑油に浸かった状態で潤滑油の封入された 間内に配置されている。具体的には、減速 構115の停止時における油面高さが、図16の 線mの位置になるように潤滑油が封入されて る。

 曲線板117,118に設けられている油路117d,118d は、油路117d,118dの径方向内側端部の開口部の 直径と、径方向外側端部の開口部の直径とは 、同じ大きさである。ここで、油路117d,118dは 、上記した第3実施形態のように、油路117d,118 dの径方向外側端部の開口部の直径は、径方 内側端部の開口部の直径より大きく設ける とが好ましい。ここで、異なる大きさとす 場合には、それぞれ開口部を別々に加工す 必要がある。しかし、同じ大きさとするこ により、同時に加工することができ、加工 を向上させることができる。

 また、曲線板117,118に設けられている潤滑 油保持空間117e,118eは、油路117d,118dから円周方 向に突出する形状であって、油路117d,118dと油 路117d,118dとを結ぶことなく、油路117d,118d毎に 固有に設けられている。

 潤滑油移送機構は、減速機ハウジング113 回転を利用して、上記した潤滑油の封入さ た空間の底部領域から上部領域に潤滑油を ぶ。具体的には、減速機ハウジング113、お び減速機ハウジング113の回転に伴って回転 る部材の表面に形成される凹凸部である。 お、「減速機ハウジング113の回転に伴って 転する部材」には、例えば、外ピン121およ 外ピン軸受121a、第1および第2の車軸軸受126, 127の外輪126b,127b、円すいころ126c,127c、および 保持器127d,127d、密封部材128,129等が該当する

 図17を参照して、減速機ハウジング113の 径面には、凹凸部113aが形成されている。こ 実施形態における凹凸部113aは、減速機ハウ ジング113の回転方向と交差する方向に延びる 突条である。なお、この凹凸部113aは、減速 ハウジング113の内径面に直接形成してもよ し、内径面に凹凸部113aを有する環状ベルト( 図示省略)を減速機ハウジング113の内径面に め込んでもよい。

 なお、突条の形状は特に限定されないが この実施形態においては、減速機ハウジン 113の回転軸線に垂直な突条の断面形状は、 いに平行な短辺と長辺とを有する等脚台形 なっている。そして、短辺が減速機ハウジ グ113の内径面に接するように配置されてい 。つまり、減速機ハウジング113の円周方向 向く突条の壁面(等脚台形の斜辺に相当する 壁面)は、減速機ハウジング113の内径面の接 に対して鋭角に接している。これにより突 の潤滑油を保持する能力が向上する。

 また、突条は、減速機ハウジング113の内 面の12箇所に30°間隔で配置されている。こ ように、複数の突条を等間隔で配置するこ により、潤滑油を安定して移送することが 能となる。

 また、図18を参照して、第1の車軸軸受126 も凹凸部126eが形成されている。この実施形 態における凹凸部126eは、外輪126bの内径面、 すいころ126cの端面、および保持器126dの端 に設けられている。なお、第2の車軸軸受127 同様であるので、説明は省略する。

 さらに、図16を参照して、密封部材128に 、減速機ハウジング113の回転方向と交差す 方向に張り出す堰128aが設けられている。こ 堰128aも潤滑油移送機構として機能する。図 19を参照して、この実施形態における堰128aは 、45°の間隔を空けて8箇所に等間隔に設けら ている。

 なお、鉄道車両駆動ユニット112bを構成す るその他の要素については、上記した第2実 形態の鉄道車両駆動ユニット112と共通する で、説明は省略する。

 ここで、さらに他の実施形態に係る鉄道 両駆動ユニット112bの潤滑油の流れを詳しく 説明する。まず、潤滑油は、減速機ハウジン グ113の内部の空間内、すなわち、減速機ハウ ジング113、第1および第2のキャリア124,125、お よび密封部材128,129で囲まれた領域内に封入 れており、減速機構15の停止時における油面 高さは、図16の直線mの位置である。

 次に、減速機ハウジング113が回転すると 潤滑油移送機構(凹凸部113a,126e、および堰128 )は、回転しながら空間の底部領域と上部領 との間を移動する。このとき、底部領域で 滑油を保持し、上部領域で潤滑油を放出す 。これにより、空間の上部領域(図16の入力 回転部材114より上側の領域)に潤滑油を供給 ることができる。

 潤滑油移送機構によって放出された潤滑 は、第3実施形態と同様に、上部領域に位置 する構成部品、特に内ピン119と内ピン軸受119 eとの間、内ピン軸受119eと曲線板117,118との間 を潤滑しながら、重力によって底部領域に戻 される。また、その一部は、潤滑油保持空間 117e,120aに保持される。

 潤滑油移送機構を上記構成とすることに り、減速機ハウジング113内の空間の上部領 にも積極的に潤滑油を供給することができ ので、潤滑性能に優れた鉄道車両駆動ユニ ト112を得ることができる。なお、上述した 滑油移送機構(凹凸部113a,126e、および堰128) 全て設ける必要はなく、少なくとも1つ設け ば、この発明の効果を得ることができる。

 なお、上記の第2実施形態以降の実施の形 態における転がり軸受126,127,130a,130b,132,133は 図4の形態に限定されることなく、例えば、 べり軸受、円筒ころ軸受、円すいころ軸受 針状ころ軸受、自動調心ころ軸受、深溝玉 受、アンギュラ玉軸受、3点接触球軸受、4 接触玉軸受等、すべり軸受であるか転がり 受であるかを問わず、転動体がころである 玉であるかを問わず、さらには複列か単列 を問わず、あらゆる軸受を適用することが きる。

 また、上記の実施形態における内ピン軸 119e,120eおよび外ピン軸受121aは、滑り軸受で ある例を示したが、これに限ることなく、転 がり軸受を採用してもよい。この場合、厚み 方向にコンパクト化する観点から針状ころ軸 受を採用するのが望ましい。

 以上、図面を参照してこの発明の実施形 を説明したが、この発明は、図示した実施 態のものに限定されない。図示した実施形 に対して、この発明と同一の範囲内におい 、あるいは均等の範囲内において、種々の 正や変形を加えることが可能である。

 この発明は、鉄道車両駆動ユニットに有 に利用される。




 
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