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Patent Searching and Data


Title:
REFLECTIVE MASK BLANC FOR EUV LITHOGRAPHY
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/084680
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a reflective mask blank for EUV lithography, which has an absorbent layer having low reflectance in the wavelength ranges of EUV light and pattern inspection light. The absorbent layer can be easily controlled to have a desired film composition and a desired film thickness. Specifically disclosed is a reflective mask blank for EUV lithography, wherein a reflective layer reflecting EUV light and an absorbent layer absorbing EUV light are sequentially formed on a substrate in this order. This reflective mask blank for EUV lithography is characterized in that the absorbent layer contains tantalum (Ta) and hafnium (Hf), and that the Hf content is 20-60 at% and the Ta content is 40-80 at% in the absorbent layer.

Inventors:
HAYASHI KAZUYUKI (JP)
KADOWAKI KAZUO (JP)
SUGIYAMA TAKASHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/074875
Publication Date:
July 17, 2008
Filing Date:
December 25, 2007
Export Citation:
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Assignee:
ASAHI GLASS CO LTD (JP)
HAYASHI KAZUYUKI (JP)
KADOWAKI KAZUO (JP)
SUGIYAMA TAKASHI (JP)
International Classes:
H01L21/027; G03F1/24; G03F1/54; G03F7/20
Foreign References:
JP2007273514A2007-10-18
JP2007085899A2007-04-05
JP2004039884A2004-02-05
JPH07114173A1995-05-02
Other References:
See also references of EP 1973147A4
Attorney, Agent or Firm:
SENMYO, Kenji et al. (SIA Kanda Square 17, Kanda-konyacho, Chiyoda-k, Tokyo 35, JP)
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Claims:
 基板上に、EUV光を反射する反射層と、EUV光を吸収する吸収体層と、がこの順に形成されたEUVリソグラフィ用反射型マスクブランクであって、
 前記吸収体層が、タンタル(Ta)およびハフニウム(Hf)を含有し、
 前記吸収体層における、Hfの含有率が20~60at%であり、Taの含有率が40~80at%であることを特徴とするEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
 基板上に、EUV光を反射する反射層と、EUV光を吸収する吸収体層と、がこの順に形成されたEUVリソグラフィ用反射型マスクブランクであって、
 前記吸収体層が、タンタル(Ta)、ハフニウム(Hf)および窒素(N)を含有し、 前記吸収体層において、TaおよびHfの合計含有率が40~70at%であり、TaとHfの組成比がTa:Hf=8:2~4:6であり、Nの含有率が30~60at%であることを特徴とするEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
 前記吸収体層において、TaとHfの組成比がTa:Hf=7:3~4:6であることを特徴とする請求項2に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
 前記吸収体層は、B、SiおよびGeの合計含有率が5at%以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
 前記吸収体層が、Zrを0.1~1.0at%含有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
 前記吸収体層が、Crを5at%以下含有する請求項1ないし5のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
 前記吸収体層の結晶状態が、アモルファスであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
 前記吸収体層表面の表面粗さ(rms)が、0.5nm以下であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
 前記吸収体層の膜厚が、50~200nmであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
 前記吸収体層上に、マスクパターンの検査に使用する検査光における低反射層が形成されており、
 前記低反射層が、タンタル(Ta)、ハフニウム(Hf)および酸素(O)を含有し、 前記低反射層において、TaおよびHfの合計含有率が30~80at%であり、TaとHfの組成比が8:2~4:6であり、Oの含有率が20~70at%であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
 前記低反射層において、TaとHfの組成比がTa:Hf=7:3~4:6であることを特徴とする請求項10に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
 前記吸収体層上に、マスクパターンの検査に使用する検査光における低反射層が形成されており、
 前記低反射層が、タンタル(Ta)、ハフニウム(Hf)、酸素(O)および窒素(N)を含有し、
 前記低反射層において、TaおよびHfの合計含有率が30~80at%であり、TaとHfの組成比がTa:Hf=8:2~4:6であり、NおよびOの合計含有率が20~70at%であり、NとOの組成比がN:O=9:1~1:9であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
 前記低反射層において、TaとHfの組成比がTa:Hf=7:3~4:6であることを特徴とする請求項12に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
 基板上に、EUV光を反射する反射層、EUV光を吸収する吸収体層、およびマスクパターンの検査に使用する検査光における低反射層がこの順に形成されたEUVリソグラフィ用反射型マスクブランクであって、
 前記低反射層が、タンタル(Ta)、ハフニウム(Hf)および酸素(O)を含有し、 前記低反射層において、TaおよびHfの合計含有率が30~80at%であり、TaとHfの組成比がTa:Hf=8:2~4:6であり、Oの含有率が20~70at%であることを特徴とするEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
 前記低反射層において、TaとHfの組成比がTa:Hf=7:3~4:6であることを特徴とする請求項14に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
 基板上に、EUV光を反射する反射層、EUV光を吸収する吸収体層、およびマスクパターンの検査に使用する検査光における低反射層がこの順に形成されたEUVリソグラフィ用反射型マスクブランクであって、
 前記低反射層が、タンタル(Ta)、ハフニウム(Hf)、酸素(O)および窒素(N)を含有し、
 前記低反射層において、TaおよびHfの合計含有率が30~80at%であり、TaとHfの組成比がTa:Hf=8:2~4:6であり、NおよびOの合計含有率が20~70at%であり、NとOの組成比がN:O=9:1~1:9であることを特徴とするEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
 前記低反射層において、TaとHfの組成比がTa:Hf=7:3~4:6であることを特徴とする請求項16に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
 前記低反射層が、Zrを0.1~1.0at%含有することを特徴とする請求項10ないし17のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
 前記低反射層表面の表面粗さ(rms)が、0.5nm以下であることを特徴とする請求項10ないし18のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
 前記低反射層の膜厚が、5~30nmであることを特徴とする請求項10ないし19のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
 前記反射層と前記吸収体層との間に、前記吸収体層へのパターン形成時に前記反射層を保護するための保護層が形成されており、
 吸収体層に形成されるパターンの検査に用いられる光の波長に対する前記保護層表面での反射光と、前記低反射層表面での反射光と、のコントラストが、30%以上であることを特徴とする請求項10ないし20のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
 前記保護層が、Ru、Ru化合物、SiO 2 およびCrNからなる群のうちのいずれか1つで形成されることを特徴とする、請求項21に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
 前記吸収体層に形成されるパターンの検査に用いられる光の波長に対する、前記低反射層表面の反射率が15%以下であることを特徴とする請求項10ないし22のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
 前記吸収体層が、TaHf化合物ターゲットを用いたスパッタリング法を行うことにより形成されることを特徴とする請求項1に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
 前記吸収体層が、窒素を含む雰囲気中でTaHf化合物ターゲットを用いたスパッタリング法を行うことにより形成されることを特徴とする請求項2に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
 前記TaHf化合物ターゲットの組成が、Ta=30~70at%、Hf=70~30at%であることを特徴とする請求項24または25に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
 前記TaHf化合物ターゲットが、Zrを0.1~5.0at%含有する請求項24ないし26のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
 前記低反射層が、酸素を含む雰囲気中でTaHf化合物ターゲットを用いたスパッタリング法を行うことにより形成されることを特徴とする請求項10または14に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
 前記低反射層が、窒素及び酸素を含む雰囲気中でTaHf化合物ターゲットを用いたスパッタリング法を行うことにより形成されることを特徴とする請求項12または16に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
 前記TaHf化合物ターゲットの組成が、Ta=30~70at%、Hf=70~30at%であることを特徴とする請求項28または29に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
 前記TaHf化合物ターゲットが、Zrを0.1~5.0at%含有する請求項29ないし30のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
Description:
EUVリソグラフィ用反射型マスク ランク

 本発明は、半導体製造等に使用されるEUV( Extreme Ultra Violet:極端紫外)リソグラフィ用反 射型マスクブランク(以下、本明細書におい 、「EUVマスクブランク」という。)に関する

 従来、半導体産業において、Si基板等に 細なパターンからなる集積回路を形成する で必要な微細パターンの転写技術として、 視光や紫外光を用いたフォトリソグラフィ が用いられてきた。しかし、半導体デバイ の微細化が加速している一方で、従来のフ トリソグラフィ法の限界に近づいてきた。 ォトリソグラフィ法の場合、パターンの解 限界は露光波長の1/2程度であり、液浸法を いても露光波長の1/4程度と言われており、Ar Fレーザ(193nm)の液浸法を用いても45nm程度が限 界と予想される。そこで45nm以降の露光技術 して、ArFレーザよりさらに短波長のEUV光を いた露光技術であるEUVリソグラフィが有望 されている。本明細書において、EUV光とは 軟X線領域または真空紫外線領域の波長の光 をさし、具体的には波長10~20nm程度、特に13. 5nm±0.3nm程度の光線を指す。

 EUV光は、あらゆる物質に対して吸収され すく、かつこの波長で物質の屈折率が1に近 いため、従来の可視光または紫外光を用いた フォトリソグラフィのような屈折光学系を使 用することができない。このため、EUV光リソ グラフィでは、反射光学系、すなわち反射型 フォトマスクとミラーとが用いられる。

 マスクブランクは、フォトマスク製造用 用いられるパターニング前の積層体である EUVマスクブランクの場合、ガラス等の基板 にEUV光を反射する反射層と、EUV光を吸収す 吸収体層とがこの順で形成された構造を有 ている。反射層としては、高屈折層と低屈 層とを交互に積層することで、EUV光を層表 に照射した際の光線反射率が高められた多 反射膜が通常使用される。吸収体層には、E UV光に対する吸収係数の高い材料、具体的に たとえば、CrやTaを主成分とする材料が用い られる。

 特許文献1には、タンタルホウ素合金の窒化 物(TaBN)、タンタルホウ素合金の酸化物(TaBO)、 及びタンタルホウ素合金の酸窒化物(TaBNO)が EUV光に対する吸収係数が高いことに加えて パターン検査光の波長域(190nm~260nm)の深紫外 の反射率が低いことから、吸収体層の材料 して好ましいとされている。
 また、特許文献1,2には、吸収体層表面を平 性に優れた面にするためには、吸収体層の 晶状態がアモルファスであることが好まし とされており、TaBN膜、TaBO膜およびTaBNO膜の 結晶状態をアモルファスとするためには、こ れらの膜におけるBの含有率が5~25at%であるこ が好ましいとされている。

特開2004-6798号公報

特開2004-6799号公報

 しかしながら、吸収体層をTaBO膜またはTaBNO とした場合、膜のOの含有率が増加すると、 該吸収体層の絶縁性が増し、該吸収体層に電 子線描画する際にチャージアップが起こるの で好ましくない。
 一方、吸収体層をTaBN膜とした場合、電子線 描画時にチャージアップが発生するおそれは ほとんどない。

 吸収体層をTaBN膜とする場合、欠点が発生 しにくい方法であるマグネトロンスパッタリ ング法などを用いて成膜することが多い。こ の際、例えば、TaターゲットおよびBターゲッ トを使用し、窒素雰囲気中でこれらターゲッ トを同時に放電させることによってTaBN膜を 成することができる。また、TaBの化合物タ ゲットを用いて、該化合物ターゲットを窒 雰囲気中で放電させることによってもTaBN膜 形成することができる。

 しかしながら、例えば、Taターゲットおよ Bターゲットを用いた手法の場合、Bターゲッ トは、抵抗値が高くかつ軽元素であるため、 Taターゲットと比較して成膜速度が1/10以下で あることが多い。そのため、特許文献1に記 されているように、膜の結晶状態をアモル ァスにするのに必要なBの含有率(5at%以上)を 加するためには、Taターゲットの成膜速度 低下させる必要があるが、生産効率が著し 低下するため望ましくない。
 一方、TaB化合物ターゲットを用いた手法に いて、例えばBを20at%、Taを80at%含む化合物タ ーゲットを使用した場合、実際に膜中に添加 されるBの最大含有率は6at%程度であり、膜のB の含有率を5at%以上に制御するのは難しい。 に、Nを添加すると、膜のBの含有率は4at%以 になり、膜の結晶状態をアモルファスにす ことができない。
 この問題を解決するため、TaB化合物ターゲ ト中のB含有量を更に増やすこと(例えばBを5 0at%、Taを50at%)によって、膜のBの含有率の増 が期待されるが、TaBターゲット中のBの含有 が増すにつれて、ターゲットの密度が低く ることにより、加工性が悪くなる。さらに TaBターゲットの抵抗値が大きくなり、放電 不安定になるとともに、成膜速度が遅くな 。放電が不安定になることによって、膜の 成や膜厚にばらつきが生じたり、場合によ ては成膜不能となるおそれがある。

 本発明は、上記した従来技術の問題点を 決するため、EUVマスクブランクとしての特 に優れ、特にEUV光およびパターン検査光の 長域の反射率が低く、かつ該所望の膜組成 よび膜厚に制御することが容易な吸収体層 有するEUVマスクブランクを提供することを 的とする。

 本発明者らは、上記課題を解決するため 意検討した結果、吸収体層をTaおよびHfを含 有する膜(TaHf膜)とすることにより、膜の結晶 状態がアモルファスになり、かつエッチング 特性および光学特性に優れた吸収層が得られ ることを見出した。さらに、このTaHf膜を吸 体層とした場合、成膜速度の低下を招かず かつ安定的に製造できることを見出した。

 本発明は、上記の知見に基づいてなされた のであり、基板上に、EUV光を反射する反射 と、EUV光を吸収する吸収体層と、がこの順 形成されたEUVリソグラフィ用反射型マスク ランクであって、
 前記吸収体層が、タンタル(Ta)およびハフニ ウム(Hf)を含有し、
 前記吸収体層における、Hfの含有率が20~60at% であり、Taの含有率が40~80at%であることを特 とするEUVリソグラフィ用反射型マスクブラ クを提供する。

 また、本発明は、基板上に、EUV光を反射す 反射層と、EUV光を吸収する吸収体層と、が の順に形成されたEUVリソグラフィ用反射型 スクブランクであって、
 前記吸収体層が、タンタル(Ta)、ハフニウム (Hf)および窒素(N)を含有し、 前記吸収体層に おいて、TaおよびHfの合計含有率が40~70at%であ り、TaとHfの組成比がTa:Hf=8:2~4:6であり、Nの含 有率が30~60at%であることを特徴とするEUVリソ ラフィ用反射型マスクブランクを提供する
 前記吸収体層において、TaとHfの組成比が7:3 ~4:6であることが好ましい。

 本発明のEUVマスクブランクにおいて、前記 収体層は、B、SiおよびGeの合計含有率が5at% 下であることが好ましい。
 本発明のEUVマスクブランクにおいて、前記 収体層が、Zrを0.1~1.0at%含有してもよい。
 本発明のEUVマスクブランクにおいて、前記 収体層の結晶状態が、アモルファスである とが好ましい。
 また、本発明のEUVマスクブランクにおいて 前記吸収体層表面の表面粗さ(rms)が0.5nm以下 であることが好ましい。
 また、本発明のEUVマスクブランクにおいて 前記吸収体層の膜厚が、50~200nmであること 好ましい。

 本発明のEUVマスクブランクは、前記吸収体 上に、マスクパターンの検査に使用する検 光における低反射層が形成されており、
 前記低反射層が、タンタル(Ta)、ハフニウム (Hf)および酸素(O)を含有し、 前記低反射層に おいて、TaおよびHfの合計含有率が30~80at%であ り、TaとHfの組成比がTa:Hf=8:2~4:6であり、Oの含 有率が20~70at%であることが好ましい。
 前記低反射層において、TaとHfの組成比がTa: Hf=7:3~4:6であることが好ましい。

 また、本発明のEUVマスクブランクは、前記 収体層上に、マスクパターンの検査に使用 る検査光における低反射層が形成されてお 、
 前記低反射層が、タンタル(Ta)、ハフニウム (Hf)、酸素(O)および窒素(N)を含有し、
 前記低反射層において、TaおよびHfの合計含 有率が30~80at%であり、TaとHfの組成比がTa:Hf=8:2 ~4:6であり、NおよびOの合計含有率が20~70at%で り、NとOの組成比がN:O=9:1~1:9であることが好 ましい。
 前記低反射層において、TaとHfの組成比が7:3 ~4:6であることが好ましい。

 また、本発明は、基板上に、EUV光を反射す 反射層、EUV光を吸収する吸収体層、および スクパターンの検査に使用する検査光にお る低反射層がこの順に形成されたEUVリソグ フィ用反射型マスクブランクであって、
 前記低反射層が、タンタル(Ta)、ハフニウム (Hf)および酸素(O)を含有し、 前記低反射層に おいて、TaおよびHfの合計含有率が30~80at%であ り、TaとHfの組成比がTa:Hf=8:2~4:6であり、Oの含 有率が20~70at%であることを特徴とするEUVリソ ラフィ用反射型マスクブランクを提供する
 前記低反射層において、TaとHfの組成比がTa: Hf=7:3~4:6であることが好ましい。

 また、本発明は、基板上に、EUV光を反射す 反射層、EUV光を吸収する吸収体層、および スクパターンの検査に使用する検査光にお る低反射層がこの順に形成されたEUVリソグ フィ用反射型マスクブランクであって、
 前記低反射層が、タンタル(Ta)、ハフニウム (Hf)、酸素(O)および窒素(N)を含有し、
 前記低反射層において、TaおよびHfの合計含 有率が30~80at%であり、TaとHfの組成比がTa:Hf=8:2 ~4:6であり、NおよびOの合計含有率が20~70at%で り、NとOの組成比がN:O=9:1~1:9であることを特 徴とするEUVリソグラフィ用反射型マスクブラ ンクを提供する。
 前記低反射層において、TaとHfの組成比がTa: Hf=7:3~4:6であることが好ましい。

 吸収体層に低反射層が形成されている場合 前記低反射層が、Zrを0.1~1.0at%含有すること 好ましい。
 また、吸収体層上に低反射層が形成されて る場合、前記低反射層表面の表面粗さ(rms) 0.5nm以下であることが好ましい。
 また、吸収体層上に低反射層が形成されて る場合、前記低反射層の膜厚が5~30nmである とが好ましい。

 また、本発明のEUVマスクブランクは、前記 射層と前記吸収体層との間に、前記吸収体 へのパターン形成時に前記反射層を保護す ための保護層が形成されており、
 吸収体層に形成されるパターンの検査に用 られる光の波長に対する前記保護層表面で 反射光と、前記低反射層表面での反射光と のコントラストが、30%以上であることが好 しい。

 反射層と吸収体層との間に保護層が形成さ ている場合、前記保護層が、Ru、Ru化合物、 SiO 2 およびCrNからなる群のうちのいずれか1つで 成されることが好ましい。

 吸収体層上に低反射層が形成されている 合、前記吸収体層に形成されるパターンの 査に用いられる光の波長に対する、前記低 射層表面の反射率が15%以下であることが好 しい。

 本発明のEUVマスクブランクは、前記吸収体 が、TaHf化合物ターゲットを用いたスパッタ リング法を行うことにより形成されることが 好ましい。
 また、吸収体層がタンタル(Ta)、ハフニウム (Hf)および窒素(N)を含有する本発明のEUVマス ブランクにおいて、前記吸収体層が、窒素 含む雰囲気中でTaHf化合物ターゲットを用い スパッタリング法を行うことにより形成さ ることが好ましい。
 ここで、前記TaHf化合物ターゲットの組成が 、Ta=30~70at%、Hf=70~30at%であることが好ましい
 また、前記TaHf化合物ターゲットが、Zrを0.1~ 5.0at%含有してもよい。

 吸収体層上にタンタル(Ta)、ハフニウム(Hf) よび酸素(O)を含有する低反射層が形成され 場合、前記低反射層が、酸素を含む雰囲気 でTaHf化合物ターゲットを用いたスパッタリ グ法を行うことにより形成されることが好 しい。
 また、吸収体層上にタンタル(Ta)、ハフニウ ム(Hf)、酸素(O)および窒素(N)を含有する低反 層が形成される場合、前記低反射層が、窒 及び酸素を含む雰囲気中でTaHf化合物ターゲ トを用いたスパッタリング法を行うことに り形成されることが好ましい。
 ここで、前記TaHf化合物ターゲットの組成が 、Ta=30~70at%、Hf=70~30at%であることが好ましい
 また、前記TaHf化合物ターゲットが、Zrを0.1~ 5.0at%含有してもよい。

 本発明のEUVマスクブランクは、吸収体層 電気抵抗率が低いHfを含有するため、吸収 層が電気抵抗率が高く、絶縁性のBを含有す 場合のように、吸収体層を成膜する際に成 速度が低下したり、成膜時に放電が不安定 なることがない。この結果、吸収体層を形 する際に膜組成や膜厚にばらつきが生じた 、さらには成膜不能になるといった問題が じるおそれがない。

 本発明のEUVマスクブランクは、吸収体層の 晶状態がアモルファスであるため、吸収体 面が平滑性に優れている。この結果、吸収 層に形成されるパターンのエッジラフネス 大きくなることがなく、パターンの寸法精 が悪化することがない。
 また、吸収体層が、EUV光の光線反射率、お びパターン検査光の波長域の光線反射率が い等、EUVマスクブランクとして優れた特性 有している。
 また、TaおよびHfを含有する吸収体層は、TaB N膜に比べてエッチングレートが高いことか 、エッチング時におけるレジストのダメー を低減する効果が期待される。また、レジ トのダメージ低減により、レジストの薄膜 が期待される。

 本発明のEUVマスクブランクにおいて、吸 体層上に低反射層を形成することにより、 ターン検査光の波長域の光線反射率をさら 低くおさえることができ、該マスクブラン にパターン形成した後で実施されるパター 検査時のコントラストが良好である。さら 、前記低反射層の結晶構造がアモルファス あるため、吸収体表面が平滑性に優れてい 。この結果、吸収体層に形成されるパター のエッジラフネスが大きくなることがなく パターンの寸法精度が悪化することがない

 本発明のEUVマスクブランクにおいて、ス ッタリング法によって吸収体層および低反 層を形成する際、特定の組成を有するTaHf化 合物ターゲットを用いることにより、放電の 不安定化や膜の組成や膜厚のばらつきを回避 できる。

図1は、本発明のEUVマスクブランクの1 施形態を示す概略断面図である。 図2は、図1に示すEUVマスクブランク1の 収体層14(および低反射層15)にパターン形成 た状態を示している。

符号の説明

  1:EUVマスクブランク
 11:基板
 12:反射層(多層反射膜)
 13:保護層
 14:吸収体層
 15:低反射層

 以下、図面を参照して本発明のEUVマスクブ ンクを説明する。
 図1は、本発明のEUVマスクブランクの1実施 態を示す概略断面図である。図1に示すマス ブランク1は、基板11上にEUV光を反射する反 層12と、EUV光を吸収する吸収体層14とがこの 順に形成されている。反射層12と吸収体層14 の間には、吸収体層14へのパターン形成時に 反射層12を保護するための保護層13が形成さ ている。吸収体層14上には、マスクパターン の検査に使用する検査光における低反射層15 形成されている。但し、本発明のEUVマスク ランク1において、図1に示す構成中、基板11 、反射層12および吸収体層14のみが必須であ 、保護層13および低反射層15は任意の構成要 である。
 以下、マスクブランク1の個々の構成要素に ついて説明する。

 基板11は、EUVマスクブランク用の基板とし の特性を満たすことが要求される。そのた 、基板11は、低熱膨張係数(具体的には、20℃ における熱膨張係数が0±0.05×10 -7 /℃であることが好ましく、特に好ましくは0 0.03×10 -7 /℃)を有し、平滑性、平坦度、およびマスク ランクまたはパターン形成後のフォトマス の洗浄等に用いる洗浄液への耐性に優れた のが好ましい。基板11としては、具体的に 低熱膨張係数を有するガラス、例えばSiO 2 -TiO 2 系ガラス等を用いるが、これに限定されず、 β石英固溶体を析出した結晶化ガラスや石英 ラスやシリコンや金属などの基板を用いる ともできる。
 基板11は、表面粗さ(rms)0.15nm以下の平滑な表 面と100nm以下の平坦度を有していることがパ ーン形成後のフォトマスクにおいて高反射 および転写精度が得られるために好ましい
 基板11の大きさや厚みなどはマスクの設計 等により適宜決定されるものである。後で す実施例では外形6インチ(152mm)角で、厚さ0.2 5インチ(6.3mm)のSiO 2 -TiO 2 系ガラスを用いた。
 基板11の反射層12が形成される側の表面には 欠点が存在しないことが好ましい。しかし、 存在している場合であっても、凹状欠点およ び/または凸状欠点によって位相欠点が生じ いように、凹状欠点の深さおよび凸状欠点 高さが2nm以下であり、かつこれら凹状欠点 よび凸状欠点の半値幅が60nm以下であること 好ましい。

 反射層12は、EUVマスクブランクの反射層 して所望の特性を有するものである限り特 限定されない。ここで、反射層12に特に要求 される特性は、高EUV光線反射率であることで ある。具体的には、EUV光の波長領域の光線を 入射角6度で反射層12表面に照射した際に、波 長13.5nm付近の光線反射率の最大値が60%以上で あることが好ましく、65%以上であることがよ り好ましい。また、反射層12の上に保護層13 低反射層15を設けた場合であっても、波長13. 5nm付近の光線反射率の最大値が60%以上である ことが好ましく、65%以上であることがより好 ましい。

 反射層12は、高EUV光線反射率を達成でき ことから、通常は高屈折層と低屈折率層を 互に複数回積層させた多層反射膜が反射層12 として用いられる。反射層12をなす多層反射 において、高屈折率層には、Moが広く使用 れ、低屈折率層にはSiが広く使用される。す なわち、Mo/Si多層反射膜が最も一般的である 但し、多層反射膜はこれに限定されず、Ru/S i多層反射膜、Mo/Be多層反射膜、Mo化合物/Si化 物多層反射膜、Si/Mo/Ru多層反射膜、Si/Mo/Ru/Mo 多層反射膜、Si/Ru/Mo/Ru多層反射膜も用いるこ ができる。

 反射層12をなす多層反射膜を構成する各 の膜厚および層の繰り返し単位の数は、使 する膜材料および反射層に要求されるEUV光 反射率に応じて適宜選択することができる Mo/Si反射膜を例にとると、EUV光線反射率の最 大値が60%以上の反射層12とするには、多層反 膜は膜厚2.3±0.1nmのMo層と、膜厚4.5±0.1nmのSi とを繰り返し単位数が30~60になるように積 させればよい。

 なお、反射層12をなす多層反射膜を構成す 各層は、マグネトロンスパッタリング法、 オンビームスパッタリング法など、周知の 膜方法を用いて所望の厚さになるように成 すればよい。例えば、イオンビームスパッ リング法を用いてSi/Mo多層反射膜を形成する 場合、ターゲットとしてSiターゲットを用い スパッタガスとしてArガス(ガス圧1.3×10 -2 Pa~2.7×10 -2 Pa)を使用して、イオン加速電圧300~1500V、成膜 速度0.03~0.30nm/secで厚さ4.5nmとなるようにSi膜 成膜し、次に、ターゲットとしてMoターゲッ トを用い、スパッタガスとしてArガス(ガス圧 1.3×10 -2 Pa~2.7×10 -2 Pa)を使用して、イオン加速電圧300~1500V、成膜 速度0.03~0.30nm/secで厚さ2.3nmとなるようにMo膜 成膜することが好ましい。これを1周期とし 、Si膜およびMo膜を40~50周期積層させること よりSi/Mo多層反射膜が成膜される。

 反射層12表面が酸化されるのを防止する め、反射層12をなす多層反射膜の最上層は酸 化されにくい材料の層とすることが好ましい 。酸化されにくい材料の層は反射層12のキャ プ層として機能する。キャップ層として機 する酸化されにくい材料の層の具体例とし は、Si層を例示することができる。反射層12 をなす多層反射膜がSi/Mo膜である場合、最上 をSi層とすることによって、該最上層をキ ップ層として機能させることができる。そ 場合キャップ層の膜厚は、11±2nmであること 好ましい。

 保護層13は、エッチングプロセス、通常は ライエッチングプロセスにより吸収体層14に パターン形成する際に、反射層12がエッチン プロセスによるダメージを受けないよう、 射層12を保護することを目的として設けら る。したがって保護層13の材質としては、吸 収体層14のエッチングプロセスによる影響を けにくい、つまりこのエッチング速度が吸 体層14よりも遅く、しかもこのエッチング ロセスによるダメージを受けにくい物質が 択される。この条件を満たす物質としては たとえばCr、Al、Ta又はこれらの窒化物、Ru又 はRu化合物(RuB、RuSi等)、ならびにSiO 2 、Si 3 N 4 、Al 2 O 3 やこれらの混合物が例示される。これらの中 でも、Ru又はRu化合物(RuB、RuSi等)、CrN又はSiO 2 が好ましく、Ru又はRu化合物(RuB、RuSi等)が密 性や吸収性の点で特に好ましい。
 保護層13の厚さは1~60nmであることが好まし 。

 保護層13は、マグネトロンスパッタリング 、イオンビームスパッタリング法など周知 成膜方法を用いて成膜する。マグネトロン パッタリング法によりRu膜を成膜する場合、 ターゲットとしてRuターゲットを用い、スパ タガスとしてArガス(ガス圧1.0×10 -1 Pa~10×10 -1 Pa)を使用して投入電力30W~500W、成膜速度5~50nm/ minで厚さ2~5nmとなるように成膜することが好 しい。

 吸収体層14に特に要求される特性は、EUV光 反射率が極めて低いことである。具体的に 、EUV光の波長領域の光線を吸収体層14表面に 照射した際に、波長13.5nm付近の最大光線反射 率が0.5%以下であることが好ましく、0.1%以下 あることがより好ましい。
 上記の特性を達成するため、EUV光の吸収係 が高い材料で構成されることが好ましい。
 本発明のEUVマスクブランク1の吸収体層14は タンタル(Ta)およびハフニウム(Hf)を以下に べる特定の比率で含有することで上記の特 を達成する。

 吸収体層14のHfの含有率は20~60at%である。吸 体層14のHfの含有率が20at%未満だと、吸収体 14の結晶状態がアモルファスとなりにくい 吸収体層14のHfの含有率が60at%超だと、吸収 層のエッチング特性が悪化し、要求される ッチング選択比を満足することが困難とな 。
 本発明のEUVマスクブランクは、吸収体層14 Hf含有率が上記範囲であることにより、吸収 体層の結晶状態がアモルファスとなりやすく 、吸収体表面が平滑性に優れている。また、 吸収体層14が、EUV光の光線反射率、およびパ ーン検査光の波長域の光線反射率が低い等 EUVマスクブランクとして優れた特性を有し いる。
 吸収体層14のHfの含有率は、30~50at%であるこ がより好ましく、30~45at%であることがさら 好ましい。

 なお、特許文献1には、極端紫外領域を含む 短波長域の露光光の吸収体で構成する吸収体 層を下層とし、マスクパターンの検査に使用 する検査光の吸収体で構成する低反射層を上 層とした二層構造の吸収体において、上層お よび下層に含まれる金属元素の一例としてHf 挙げられているが、TaおよびHfを含有する構 成は全く記載されていない。また、特許文献 1では、吸収体層をTaBN膜、TaBO膜およびTaBNO膜 した場合、結晶状態がアモルファスとなる 記載されているが、Hfを含む構成とした場 に結晶状態がアモルファスになるとは一切 載されていない。
 なお、BやSiなどの元素を混合することで、 属結晶をアモルファス化できることは広く られており、特許文献1ではそれを使用して 吸収体層をアモルファス化することで表面を 平滑化している。しかし、TaとHfという2つの 属元素を同時に含有する膜がアモルファス することは知られておらず、特許文献1にお いても、TaおよびHfは吸収体層に含有可能な 多くの金属元素の一例として挙げられてい にすぎない。

 本発明によれば、BやSiなど、従来金属結晶 アモルファス化に寄与することが公知の元 を用いることなしに、吸収体層の結晶状態 アモルファス化できる。なお、従来金属結 のアモルファス化に寄与することが公知の 素としては、B、Si以外にGeが挙げられる。 れらの元素は、金属結晶のアモルファス化 寄与するものであるが、吸収体層に含有さ た場合に不可避な問題点も生じる。例えば Bを含有させた場合、成膜に使用するターゲ トの抵抗値が大きくなるため、放電が不安 になるとともに、成膜速度が遅くなる。放 が不安定になることによって、膜の組成や 厚にばらつきが生じたり、場合によっては 膜不能となる等の問題が生じる。また、Si 含有させた場合、SiのEUV吸収係数が小さいた め、吸収体層のEUV光の吸収特性を低下させる という等の問題が生じる。
 したがって、吸収体層14は、これらB、Siお びGeの元素を実質的に含有しないことが好ま しく、B、SiおよびGeの元素の合計含有率が5at% 以下であることが好ましい。これらの元素の 合計含有率は4at%以下であることがより好ま く、3at%以下であることがさらに好ましい。

 吸収体層14において、Hfを除いた残部はTa あることが好ましい。したがって、吸収体 14におけるTaの含有率は、40~80at%であること 好ましい。吸収体層14におけるTaの含有率は 50~70at%であることがより好ましく、55~70at%で ることがさらに好ましい。

 なお、吸収体層14は、必要に応じてTaおよび Hf以外の元素を含んでいてもよい。この場合 吸収体層14に含める元素は、EUV光線の吸収 性等のマスクブランクとしての適性を満た 必要がある。
 吸収体層14に含めることができる元素の一 として、窒素(N)が挙げられる。吸収体層14が 微結晶構造であった場合、Nを含有させるこ により、結晶粒径をさらに小さくすること 可能であり、吸収体層14表面の平滑性を向上 させる効果を有する。また、吸収体層14にNを 含有することにより、吸収体層14で発生する 力を低減する効果が期待される。

 吸収体層14がNを含有する場合、吸収体層1 4におけるTaおよびHfの合計含有率が40~70at%で り、TaとHfの組成比がTa:Hf=8:2~4:6であることが 好ましい。なお、本発明において、TaとHfの 成比とは、TaとHfの原子比での組成比を意味 る。TaおよびHfの合計含有率が40at%未満であ と、EUV光の光線反射率を十分低くすること できない。TaおよびHfの合計含有率が70at%超 あると、平滑性の向上および応力低減の効 が小さい。また、Hfが上記組成比より低い 合、吸収体層14の結晶状態がアモルファスと なりにくい。吸収体層14のHfが上記組成比よ 高い場合、吸収体層のエッチング特性が悪 し、要求されるエッチング選択比を満足し くくなる。

 吸収体層14におけるNの含有率は30~60at%で ることが好ましい。Nの含有率が上記よりも い場合、膜密度が下がり、EUV光の吸収係数 低下し、十分なEUV光線の吸収特性が得られ い可能性がある。また、吸収体層14の耐酸 が低下する可能性がある。

 TaおよびHfの合計含有率は、45~80at%である とがより好ましく、45~75at%であることがさ に好ましい。また、TaとHfの組成比は、7:3~4:6 であることがより好ましく、6.5:3.5~4.5:5.5であ ることがさらに好ましく、6:4~5:5であること 特に好ましい。N含有率は、20~55at%であるこ がより好ましく、25~55at%であることがさらに 好ましい。

 吸収体層14は、成膜時に使用するターゲッ からのZrを0.1~1.0at%含有してもよい。Zrの量を 低く抑えることで、EUVの吸収性能を向上させ る点で好ましい。
 また、吸収体層14は、酸素(O)を20at%以下含む ことがエッチングレートが良好となる点で好 ましい。10at%以下がさらに好ましく、5at%以下 が特に好ましい。また、吸収体層14は、炭素( C)を10at%以下含むことが好ましい。5at%以下が らに好ましく、3at%以下が特に好ましい。
 ただし、吸収層としての好ましいエッチン レートや密着性などを考慮すると、吸収体 14中に、Crは5at%以下含むことが好ましい。
 さらに、EUV光の吸収係数の点からは、Si,Mo,B ,Y,Zr,Nb,La,Tiからなる群から選ばれる1種以上の 元素の合計量は、10at%以下が好ましく、5at%以 下であることがさらに好ましい。
 なお、上記添加金属の添加量の限定は、後 する低反射層にも適用できる。

 吸収体層14は、上記の構成であることによ 、その結晶状態はアモルファスであること 好ましい。本明細書において、「結晶状態 アモルファスである」と言った場合、全く 晶構造を持たないアモルファス構造となっ いるもの以外に、微結晶構造のものを含む 吸収体層14が、アモルファス構造の膜または 微結晶構造の膜であれば、吸収体層14の表面 平滑性に優れている。
 本発明のEUVマスクブランク1では、吸収体層 14がアモルファス構造の膜または微結晶構造 膜であることにより、吸収体層14表面の表 粗さ(rms)が0.5nm 以下であることが好ましい ここで、吸収体層14表面の表面粗さは原子間 力顕微鏡(Atomic Force Microscope)を用いて測定す ることができる。吸収体層14表面の表面粗さ 大きいと、吸収体層14に形成されるパター のエッジラフネスが大きくなり、パターン 寸法精度が悪くなる。パターンが微細にな に従いエッジラフネスの影響が顕著になる め、吸収体層14表面は平滑であることが要求 される。
 吸収体層14表面の表面粗さ(rms)が0.5nm以下で れば、吸収体層14表面が十分平滑であるた 、エッジラフネスの影響によってパターン 寸法精度が悪化するおそれがない。吸収体 14表面の表面粗さ(rms)は0.4nm以下であること より好ましく、0.3nm以下であることがさらに 好ましい。

 なお、吸収体層14の結晶状態がアモルフ スであること、すなわち、アモルファス構 であること、または微結晶構造であること 、X線回折(XRD)法によって確認することがで る。吸収体層14の結晶状態がアモルファス構 造であるか、または微結晶構造であれば、XRD 測定により得られる回折ピークにシャープな ピークが見られない。

 吸収体層14の厚さは、50~200nmであることが 好ましく、50~100nmがさらに好ましい。

 上記した構成の吸収体層14は、TaHf化合物タ ゲットを用いたスパッタリング法、例えば マグネトロンスパッタリング法またはイオ ビームスパッタリング法を実施することに り形成することができる。
 なお、吸収体層14がNを含有しない場合、す わち、TaおよびHfのみを含有する場合、不活 性ガス雰囲気中、例えば、アルゴン(Ar)雰囲 中でTaHf化合物ターゲットを放電することに り吸収体層14を形成する。
 一方、吸収体層14がNを含有する場合、すな ち、Ta、HfおよびNを含有する場合、アルゴ で希釈した窒素(N 2 )雰囲気中でTaHf化合物ターゲットを放電させ ことによって吸収体層14を形成する。
 TaHf化合物ターゲットは、その組成がTa=30~70a t%、Hf=70~30at%であることが、所望の組成の吸 体層を得ることができ、かつ膜の組成や膜 のばらつきを回避できる点で好ましい。TaHf 合物ターゲットは、Zrを0.1~5.0at%含有しても い。
 なお、電気抵抗率が低いHfを含有するTaHf化 物ターゲットを使用するため、電気抵抗率 高く絶縁性のBを含有するTaB化合物ターゲッ トを使用した場合と違い、
成膜が非常に安定しており、膜組成や膜厚の 制御を容易に行うことが可能である。

 上記した方法で吸収体層14を形成するには 具体的には以下の成膜条件で実施すればよ 。
吸収体層(Nを含有しない)を形成す る場合
スパッタガス:Arガス(ガス圧1.0×10 -1 Pa~50×10 -1 Pa、好ましくは1.0×10 -1 Pa~40×10 -1 Pa、より好ましくは1.0×10 -1 Pa~30×10 -1 Pa。)
投入電力:30~1000W、好ましくは50~750W、より好 しくは80~500W
成膜速度:2.0~60nm/min、好ましくは3.5~45nm/min、 り好ましくは5~30nm/min
吸収体層(Nを含有する)を形成する 場合
スパッタガス:ArとN 2 の混合ガス(N 2 ガス濃度5~80vol%、好ましくは10~75vol%、より好 しくは20~70vol%。ガス圧1.0×10 -1 Pa~50×10 -1 Pa、好ましくは1.0×10 -1 Pa~40×10 -1 Pa、より好ましくは1.0×10 -1 Pa~30×10 -1 Pa。)
投入電力:30~1000W、好ましくは50~750W、より好 しくは80~500W
成膜速度:2.0~60nm/min、好ましくは3.5~45nm/min、 り好ましくは5~30nm/min

 低反射層15はマスクパターンの検査に使 する検査光において、低反射となるような で構成される。EUVマスクを作製する際、吸 体層にパターンを形成した後、このパター が設計通りに形成されているかどうか検査 る。このマスクパターンの検査では、検査 として通常257nm程度の光を使用した検査機が 使用される。つまり、この257nm程度の光の反 率の差、具体的には、吸収体層14がパター 形成により除去されて露出した面と、パタ ン形成により除去されずに残った吸収体層14 表面と、の反射率の差によって検査される。 ここで、前者は反射層12表面または保護層13 面であり、通常は保護層13表面である。した がって、検査光の波長に対する保護層13表面 吸収体層14表面との反射率の差が小さいと 査時のコントラストが悪くなり、正確な検 が出来ないことになる。

 上記した構成の吸収体層14は、EUV光線反 率が極めて低く、EUVマスクブランク1の吸収 として優れた特性を有しているが、検査光 波長について見た場合、光線反射率が必ず も十分低いとは言えない。この結果、検査 の波長での吸収体層14表面の反射率と保護 13表面の反射率との差が小さくなり、検査時 のコントラストが十分得られない可能性があ る。検査時のコントラストが十分得られない と、マスク検査においてパターンの欠陥を十 分判別できず、正確な欠陥検査を行えないこ とになる。

 本発明のEUVマスクブランク1では、吸収体層 14上に検査光における低反射層15を形成する とにより、検査時のコントラストが良好と る、別の言い方をすると、検査光の波長で 光線反射率が極めて低くなる。具体的には 検査光の波長領域の光線を低反射層15表面に 照射した際に、該検査光の波長の最大光線反 射率が15%以下であることが好ましく、10%以下 であることがより好ましく、5%以下であるこ がさらに好ましい。
 低反射層15における検査光の波長の光線反 率が15%以下であれば、該検査時のコントラ トが良好である。具体的には、保護層13表面 における検査光の波長の反射光と、低反射層 15表面における検査光の波長の反射光と、の ントラストが、30%以上となる。

 本明細書において、コントラストは下記式( 1)を用いて求めることができる。
コントラスト(%)=((R 2 -R 1 )/(R 2 +R 1 ))×100  式(1)
 ここで、検査光の波長におけるR 2 は保護層13表面での反射率であり、R 1 は低反射層15表面での反射率である。なお、 記R 1 およびR 2 は、図2に示すように、図1に示すEUVマスクブ ンク1の吸収体層14(および低反射層15)にパタ ーンを形成した状態で測定する。上記R 2 は、図2中、パターン形成によって吸収体層14 および低反射層15が除去され、外部に露出し 反射層12表面または保護層13表面で測定した 値であり、R 1 はパターン形成によって除去されずに残った 低反射層15表面で測定した値である。
 本発明において、上記式(1)で表されるコン ラストが45%以上であることがより好ましく 60%以上であることがさらに好ましく、80%以 であることが特に好ましい。

 低反射層15は、上記の特性を達成するため 検査光の波長の屈折率が吸収体層14よりも低 い材料で構成され、その結晶状態がアモルフ ァスであることが好ましい。
 本発明のEUVマスクブランク1の低反射層15で 、Ta、Hfおよび酸素(O)を以下に述べる特定の 比率で含有することで上記の特性を達成する 。

 低反射層15は、TaおよびHfの合計含有率が3 0~80at%であり、TaとHfの組成比が8:2~4:6であるこ とが好ましい。TaおよびHfの合計含有率が30at% 未満であると、低反射層15の導電性が低下し 反射層15に電子線描画する際にチャージア プの問題が生じる可能性がある。TaおよびHf 合計含有率が80at%超であると、パターン検 光の光線反射率を十分低くすることができ い。また、Hfが上記組成比より低い場合、低 反射層15の結晶状態がアモルファスとなりに い。低反射層15のHfが上記組成比より高い場 合、低反射層のエッチング特性が悪化し、要 求されるエッチング選択比を満足することが できない可能性がある。

 低反射層15における、Oの含有率は20~70at% あることが好ましい。Oの含有率が20at%より い場合、パターン検査光の波長域の光線反 率を十分低くすることができない可能性が る。Oの含有率が70at%より高い場合、低反射 15の耐酸性が低下し、低反射層15の絶縁性が し低反射層15に電子線描画する際にチャー アップが起こる等の問題が生じる可能性が る。

 TaおよびHfの合計含有率は、35~80at%である とがより好ましく、35~75at%であることがさ に好ましい。また、TaとHfの組成比は、Ta:Hf=7 :3~4:6であることがより好ましく、6.5:3.5~4.5:5.5 であることがさらに好ましく、6:4~5:5である とが特に好ましい。Oの含有率は、20~65at%で ることがより好ましく、25~65at%であることが さらに好ましい。

 なお、低反射層15は、必要に応じてTa、Hfお びO以外の元素を含んでいてもよい。この場 合、低反射層15に含める元素は、EUV光線の吸 特性等のマスクブランクとしての適性を満 す必要がある。
 低反射層15に含めることができる元素の一 として、窒素(N)が挙げられる。低反射層15が Nを含有することにより、低反射層15表面の平 滑性が向上すると考えられる。

 低反射層15がNを含有する場合、低反射層1 5のTaおよびHfの合計含有率は30~80at%であり、Ta とHfの組成比がTa:Hf=8:2~4:6であり、NおよびOの 計含有率は20~70at%であり、NとOの組成比が9:1 ~1:9であることが好ましい。なお、本発明に いて、NとOの組成比とは、NとOの原子比での 成比を意味する。TaおよびHfの合計含有率が 30at%未満であると、低反射層15の導電性が低 し低反射層15に電子線描画する際にチャージ アップの問題が生じる可能性がある。Taおよ Hfの合計含有率が80at%超であると、パターン 検査光の光線反射率を十分低くすることがで きない。低反射層15のHfが上記組成比より低 場合、低反射層15の結晶状態がアモルファス とならない可能性がある。低反射層15のHfが 記組成比より高い場合、低反射層のエッチ グ特性が悪化し、要求されるエッチング選 比を満足することができない可能性がある また、NおよびOの含有率が20at%より低い場合 パターン検査光の波長域の光線反射率を十 低くすることができない可能性がある。Nお よびOの含有率が70at%より高い場合、低反射層 15の耐酸性が低下し、低反射層15の絶縁性が し低反射層15に電子線描画する際にチャージ アップが起こる等の問題が生じる可能性があ る。

 TaおよびHfの合計含有率は、35~80at%である とがより好ましく、35~75at%であることがさ に好ましい。また、TaとHfの組成比は、Ta:Hf=7 :3~4:6であることがより好ましく、6.5:3.5~4.5:5.5 であることがさらに好ましく、6:4~5:5である とが特に好ましい。NおよびOの合計含有率は 、20~65at%であることがより好ましく、25~65at% あることがさらに好ましい。

 低反射層15は、上記の構成であることによ 、その結晶状態はアモルファスであり、そ 表面が平滑性に優れている。具体的には、 反射層15表面の表面粗さ(rms)が0.5nm以下であ ことが好ましい。
 上記したように、エッジラフネスの影響に ってパターンの寸法精度の悪化が防止する め、吸収体層14表面は平滑であることが要 される。低反射層15は、吸収体層14上に形成 れるため、同様の理由から、その表面は平 であることが要求される。
 低反射層15表面の表面粗さ(rms)が0.5nm以下で れば、低反射層15表面が十分平滑であるた 、エッジラフネスの影響によってパターン 寸法精度が悪化するおそれがない。低反射 15表面の表面粗さ(rms)は0.4nm以下であること より好ましく、0.3nm以下であることがさらに 好ましい。
 なお、表面粗さの低減という点では、低反 層15にNを含有させることが好ましい。

 なお、低反射層15の結晶状態がアモルフ スであること、すなわち、アモルファス構 であること、または微結晶構造であること 、X線回折(XRD)法によって確認することがで る。低反射層15の結晶状態がアモルファス構 造であるか、または微結晶構造であれば、XRD 測定により得られる回折ピークにシャープな ピークが見られない。

 吸収体層14上に低反射層15を形成する場合 、吸収体層14と低反射層15との合計膜厚が55~13 0nmであることが好ましい。また、低反射層15 膜厚が吸収体層14の膜厚よりも大きいと、 収体層14でのEUV光吸収特性が低下するおそれ があるので、低反射層15の膜厚は吸収体層の 厚よりも小さいことが好ましい。このため 低反射層15の厚さは5~30nmであることが好ま く、10~20nmであることがより好ましい。

 上記した構成の低反射層15は、TaHf化合物タ ゲットを用いたスパッタリング法、例えば マグネトロンスパッタリング法またはイオ ビームスパッタリング法を実施することに り形成することができる。
 なお、低反射層15がNを含有しない場合、す わち、Ta、HfおよびOを含有する場合、不活 ガス、例えばアルゴン、で希釈した酸素(O 2 )雰囲気中でTaHf化合物ターゲットを放電させ ことによって低反射層15を形成する。また 、不活性ガス雰囲気中でTaHf化合物ターゲッ を放電させてTaおよびHfを含有する膜を形成 した後、例えば酸素プラズマ中にさらしたり 、酸素を用いたイオンビームを照射すること によって、形成された膜を酸化することによ り、Ta、HfおよびOを含有する低反射層15とし もよい。
 一方、低反射層15がNを含有する場合、すな ち、Ta、Hf、OおよびNを含有する場合、アル ンで希釈した酸素(O 2 )・窒素(N 2 )混合ガス雰囲気中でTaHf化合物ターゲットを 電させることによって低反射層15を形成す 。または、アルゴンで希釈した窒素(N 2 )雰囲気中でTaHf化合物ターゲットを放電させ ことによってTa、HfおよびNを含有する膜を 成した後、例えば酸素プラズマ中にさらし り、酸素を用いたイオンビームを照射する とによって、形成された膜を酸化すること より、Ta、Hf、OおよびNを含有する低反射層15 としてもよい。
 TaHf化合物ターゲットは、その組成がTa=30~70a t%、Hf=70~30at%であることが、所望の組成の低 射層を得ることができ、かつ膜の組成や膜 のばらつきを回避できる点で好ましい。TaHf 合物ターゲットは、Zrを0.1~5.0at%含有しても い。

 上記した方法で吸収体層14を形成するには 具体的には以下の成膜条件で実施すればよ 。
吸収体層(Nを含有しない)を形成す る場合
スパッタガス:Arガス(ガス圧1.0×10 -1 Pa~50×10 -1 Pa、好ましくは1.0×10 -1 Pa~40×10 -1 Pa、より好ましくは1.0×10 -1 Pa~30×10 -1 Pa。)
投入電力:30~1000W、好ましくは50~750W、より好 しくは80~500W
成膜速度:2.0~60nm/min、好ましくは3.5~45nm/min、 り好ましくは5~30nm/min
低反射層(Nを含有しない)を形成す る場合
スパッタガス:ArとO 2 の混合ガス(O 2 ガス濃度3~80vol%、好ましくは5~60vol%、より好 しくは10~40vol%。ガス圧1.0×10 -1 Pa~50×10 -1 Pa、好ましくは1.0×10 -1 Pa~40×10 -1 Pa、より好ましくは1.0×10 -1 Pa~30×10 -1 Pa。)
投入電力:30~1000W、好ましくは50~750W、より好 しくは80~500W
成膜速度:2.0~60nm/min、好ましくは3.5~45nm/min、 り好ましくは5~30nm/min
低反射層(Nを含有する)を形成する 場合
スパッタガス:ArとO 2 とN 2 の混合ガス(O 2 ガス濃度5~40vol%、N 2 ガス濃度5~40vol%、好ましくはO 2 ガス濃度6~35vol%、N 2 ガス濃度6~35vol%、より好ましくはO 2 ガス濃度10~30vol%、N 2 ガス濃度10~30vol%。ガス圧1.0×10 -1 Pa~50×10 -1 Pa、好ましくは1.0×10 -1 Pa~40×10 -1 Pa、より好ましくは1.0×10 -1 Pa~30×10 -1 Pa。)
投入電力:30~1000W、好ましくは50~750W、より好 しくは80~500W
成膜速度:2.0~60nm/min、好ましくは3.5~45nm/min、 り好ましくは5~30nm/min

 なお、本発明のEUVマスクブランク1におい て、吸収体層14上に低反射層15を形成するこ が好ましいのは、パターンの検査光の波長 EUV光の波長とが異なるからである。したが て、パターンの検査光としてEUV光(13.5nm付近) を使用する場合、吸収体層14上に低反射層15 形成する必要はないと考えられる。検査光 波長は、パターン寸法が小さくなるに伴い 波長側にシフトする傾向があり、将来的に 193nm、さらには13.5nmにシフトすることも考え られる。

 本発明のEUVマスクブランク1は、反射層12、 護層13、吸収体層14および低反射層15以外に EUVマスクブランクの分野において公知の機 膜を有していてもよい。このような機能膜 具体例としては、例えば、特表2003-501823号 報に記載されているものように、基板の静 チャッキングを促すために、基板の裏面側 施される高誘電性コーティングが挙げられ 。ここで、基板の裏面とは、図1の基板11に いて、反射層12が形成されている側とは反対 側の面を指す。このような目的で基板の裏面 に施す高誘電性コーティングは、シート抵抗 が100ω/□以下となるように、構成材料の電気 伝導率と厚さを選択する。高誘電性コーティ ングの構成材料としては、公知の文献に記載 されているものから広く選択することができ る。例えば、特表2003-501823号公報に記載の高 電率のコーティング、具体的には、シリコ 、TiN、モリブデン、クロム、TaSiからなるコ ーティングを適用することができる。高誘電 性コーティングの厚さは、例えば10~1000nmとす ることができる。
 高誘電性コーティングは、公知の成膜方法 例えば、マグネトロンスパッタリング法、 オンビームスパッタリング法といったスパ タリング法、CVD法、真空蒸着法、電解メッ 法を用いて形成することができる。

 以下、実施例及び比較例を用いて本発明を らに説明する。
実施例1
 本実施例では、図1に示すEUVマスクブランク 1を作製した。但し、実施例1のEUVマスクブラ ク1では、吸収体層14上に低反射層15を形成 なかった。
 成膜用の基板11として、SiO 2 -TiO 2 系のガラス基板(外形6インチ(152mm)角、厚さが 6.3mm)を使用した。このガラス基板の熱膨張率 は0.2×10 -7 /℃、ヤング率は67GPa、ポアソン比は0.17、比 性は3.07×10 7 m 2 /s 2 である。このガラス基板を研磨により、表面 粗さ(rms)が0.15nm以下の平滑な表面と100nm以下 平坦度に形成した。

 基板11の裏面側には、マグネトロンスパッ リング法を用いて厚さ100nmのCr膜を成膜する とによって、シート抵抗100ω/□の高誘電性 ーティングを施した。
 平板形状をした通常の静電チャックに、形 したCr膜を用いて基板11(外形6インチ(152mm)角 、厚さ6.3mm)を固定して、該基板11の表面上に オンビームスパッタリング法を用いてSi膜 よびMo膜を交互に成膜することを40周期繰り すことにより、合計膜厚272nm((4.5nm+2.3nm)×40) Si/Mo多層反射膜(反射層12)を形成した。
 さらに、Si/Mo多層反射膜(反射層12)上に、イ ンビームスパッタリング法を用いてRu膜(膜 2.5nm)と成膜することにより、保護層13を形 した。

 Si膜、Mo膜およびRu膜の成膜条件は以下の通 である。
Si膜の成膜条件
ターゲット:Siターゲット(ホウ素ドープ)
スパッタガス:Arガス(ガス圧0.02Pa)
電圧:700V
成膜速度:0.077nm/sec
膜厚:4.5nm
Mo膜の成膜条件
ターゲット:Moターゲット
スパッタガス:Arガス(ガス圧0.02Pa)
電圧:700V
成膜速度:0.064nm/sec
膜厚:2.3nm
Ru膜の成膜条件
ターゲット:Ruターゲット
スパッタガス:Arガス(ガス圧0.02Pa)
電圧:500V
成膜速度:0.023nm/sec
膜厚:2.5nm

 次に、保護層13上に、TaおよびHfを含有する 収体層14(TaHf膜)を、マグネトロンスパッタ ング法を用いて形成することにより、基板11 上に反射層12、保護層13および吸収体層14がこ の順で形成されたEUVマスクブランク1を得た
 吸収体層14の成膜条件は以下の通りである
吸収体層14(TaHf膜)の成膜条件
ターゲット:TaHf化合物ターゲット(組成比:Ta55a t%、Hf45at%)
スパッタガス:Arガス(ガス圧:0.3Pa)
投入電力:150W
成膜速度:0.29nm/sec
膜厚:60nm

 上記の手順で得られるEUVマスクブランクの 収体層に対し下記の評価(1)~(4)を実施した。
(1)膜組成
 吸収体層14(TaHf膜)の組成を、X線光電子分光 置(X-ray Photoelectron Spectrometer)(PERKIN ELEMER-PHI 社製:番号5500)を用いて測定した。吸収体層14( TaHf膜)の組成比(at%)は、Ta:Hf=55:45(Taの含有率が 55at%、Hfの含有率が45at%)である。Zrの含有率は 0.3~0.7at%である。

(2)結晶状態
 吸収体層14(TaHf膜)の結晶状態を、X線回折装 (X-Ray Diffractmeter)(RIGAKU社製)で確認した。得 れる回折ピークにはシャープなピークが見 れないことから、吸収体層14(TaHf膜)の結晶 態がアモルファス構造または微結晶構造で ることを確認した。

(3)表面粗さ
 吸収体層14(TaHf膜)の表面粗さは、原子間力 微鏡(SII社製、SPI-3800)を用いて、dynamic force  modeで測定した。表面粗さの測定領域は1μm×1 mであり、カンチレバーには、SI-DF40(SII社製) 用いた。
 吸収体層の表面粗さ(rms)は0.10nmであった。

(4)抵抗値
 吸収体層14(TaHf膜)の抵抗値を四探針測定器( 菱油化社製:LorestaAP MCP-T400)を用いて測定し ところ1.8×10 -4 ω・cmであった。

実施例2
 本実施例では、吸収体層14上にTa、Hf、Oおよ びNを含有する低反射層15(TaHfON膜)が形成され EUVマスクブランク1を作製した。
 本実施例において、保護層13上に吸収体層14 を形成する手順までは実施例1と同様に実施 た。吸収体層14上に、波長257nmの検査光に対 る低反射層15としてTa、Hf、OおよびNを含有 る低反射層(TaHfON膜)を、マグネトロンスパッ タリング法を用いて形成した。低反射層の組 成比(at%)は、実施例1と同様の方法で測定した 結果、Ta:Hf:N:O=35:15:15:35である。
 低反射層15(TaHfON膜)の成膜条件は以下の通り である。
低反射層15(TaHfON膜)の成膜条件
ターゲット:TaHf化合物ターゲット(組成比:Ta55a t%、Hf45at%)
スパッタガス:ArとN 2 とO 2 の混合ガス(Ar:45体積%、N 2 :23体積%、O 2 :32体積%、ガス圧:0.3Pa)
投入電力:150W
成膜速度:0.13nm/sec
膜厚:10nm

 上記の手順で得られるEUVマスクブランクの 反射層15(TaHfON膜)に対し下記の評価(5)を実施 した。
(5)反射特性(コントラスト評価)
 実施例1において、保護層13(Ru膜)まで形成し た段階で、該保護層13表面におけるパターン 査光(波長257nm)の反射率を分光光度計を用い て測定した。また、実施例2で低反射層15(TaHfO N膜)を形成した後、該低反射層表面における ターン検査光の反射率を測定した。その結 、保護層13層表面での反射率は60.0%であり、 低反射層15(TaHfON膜)表面の反射率は1.8%であっ 。これらの結果と上記した式を用いてコン ラストを求めたところ94.1%であった。
 得られたEUVマスクブランク1について、低反 射層15(TaHfON膜)表面にEUV光(波長13.5nm)を照射し てEUV光の反射率を測定した。その結果、EUV光 の反射率は0.4%であり、EUV吸収特性に優れて ることが確認された。

 また、上記手順で得られるEUVマスクブラン の吸収体層(TaHf膜)のエッチング特性を以下 手順で評価した。
(6)エッチング特性
 エッチング特性については、上記手順で作 されたEUVマスクブランクを用いて評価する わりに以下の方法で評価した。
 RFプラズマエッチング装置の試料台(4インチ 石英基板)上に、試料として下記に記載の方 でRu膜またはTaHf膜が各々成膜されたSiチップ (10mm×30mm)を設置した。この状態で試料台に設 置されたSiチップのRu膜またはTaHf膜を以下の 件でプラズマRFエッチングした。
バイアスRF:50W
エッチング時間:120sec
トリガー圧力:3Pa
エッチング圧力:1Pa
エッチングガス:Cl 2 /Ar
ガス流量(Cl 2 /Ar):20/80sccm
電極基板間距離:55mm

 Ru膜の成膜は、マグネトロンスパッタリン 法により、以下の成膜条件で実施した。
Ru膜の成膜条件
ターゲット:Ruターゲット
スパッタガス:Arガス(ガス圧:0.3Pa)
出力:150W
成膜速度:0.25nm/sec
膜厚:2.5nm

 TaHf膜は、マグネトロンスパッタリング法を 用いて、TaHf化合物ターゲットをAr雰囲気下で 放電させることにより成膜した。なお、成膜 は以下の2通りの条件で実施した。
TaHf膜の成膜条件(1)
ターゲット:TaHf化合物ターゲット(組成比:Ta55a t%、Hf45at%)
スパッタガス:Arガス(ガス圧:0.3Pa)
投入電力:150W
成膜速度:0.29nm/sec
膜厚:60nm
TaHf膜の成膜条件(2)
ターゲット:TaHf化合物ターゲット(組成比:Ta45a t%、Hf55at%)
スパッタガス:Arガス(ガス圧:0.3Pa)
投入電力:150W
成膜速度:0.35nm/sec
膜厚:60nm

 上記条件で成膜したRu膜、およびTaHf膜(1)、( 2)についてエッチング速度を求め、下記式を いてエッチング選択比を求めた。
エッチング選択比
  =(TaHf膜のエッチング速度)/(Ru膜のエッチン グ速度)
 TaHf膜(1),(2)のエッチング選択比は以下の通 である。
TaHf膜(1)
TaHf膜のエッチング速度:19.8(nm/min)
Ru膜のエッチング速度:1.48(nm/min)
エッチング選択比:13.3
TaHf膜(2)
TaHf膜のエッチング速度:19.0(nm/min)
Ru膜のエッチング速度:1.48(nm/min)
エッチング選択比:12.8
 保護層13とのエッチング選択比は10以上が望 ましいが、TaHf膜(1),(2)はいずれも十分なエッ ング選択比を有していた。また、TaHf膜(1),(2 )はエッチングレートが、後述する比較例1のT aBN膜に比べて高いことから、エッチング時に おけるレジストのダメージを低減する効果が 期待される。また、レジストのダメージ低減 により、レジストの薄膜化が期待される。

実施例3
 本実施例では、吸収体14上にTa、HfおよびOを 含有する低反射層15(TaHfO膜)が形成されたEUVマ スクブランク1を作製した。
 本実施例において、保護層13上に吸収体層14 を形成する手順までは実施例1と同様に実施 た。吸収体層14上に、波長257nmの検査光に対 る低反射層15としてTa、HfおよびOを含有する 低反射層(TaHfO膜)を、マグネトロンスパッタ ング法を用いて形成した。低反射層の組成 (at%)は、実施例1と同様の方法で測定した結 、Ta:Hf:O=40:20:40である。
 低反射層15(TaHfO膜)の成膜条件は以下の通り ある。
低反射層15(TaHfO膜)の成膜条件
ターゲット:TaHf化合物ターゲット(Ta55at%、Hf45a t%)
スパッタガス:ArとO 2 の混合ガス(Ar:70vol%、O 2 :30vol%、ガス圧:0.3Pa)
投入電力:150W
成膜速度:0.43nm/sec
膜厚:10nm
 得られた低反射層15(TaHfO膜)のコントラスト 価を実施例2と同様の手順で実施した。その 結果、保護層13層表面での反射率は60.0%であ 、低反射層15(TaHfO膜)表面の反射率は2.6%であ た。これらの結果と上記した式を用いてコ トラストを求めたところ91.7%であった。
 また、低反射層15(TaHfO膜)表面のEUV光の反射 を測定した。その結果、EUV光の反射率は0.4% であり、EUV吸収特性に優れていることが確認 された。

比較例1
 比較例1は、吸収体層がタンタルホウ素合金 の窒化物(TaBN)膜であること以外は、実施例1 同様の手順で実施した。TaBN膜は、TaBターゲ ト(Ta:B=50at%:50at%)を用いて以下の条件で成膜 た。
TaBN層の成膜条件
ターゲット:TaBターゲット(組成比:Ta50at%、B50at %)
スパッタガス:Arガス、N 2 ガス(Ar:86体積%、N 2 :14体積%、ガス圧:0.3Pa)
投入電力:150W
成膜速度:0.05nm/sec
膜厚:60nm

 得られたTaBN膜の組成(at%)を、X線光電子分光 装置を用いて測定したところ、Bの含有率は5a t%以上であった。
 成膜後のTaBN膜の結晶状態を、X線回折装置 確認したところ、得られる回折ピークには ャープなピークが見られないことから、吸 体層の結晶状態がアモルファス構造または 結晶構造であることを確認した。
 また、成膜後のTaBN膜表面の表面粗さ(rms)を 実施例1と同様の方法で確認したところ、0.2 nmであった。

 また、吸収体層14上に低反射層としてタン ルホウ素合金の酸窒化物(TaBON)を形成し、実 例2と同様の手順で、保護層13(Ru膜)およびTaB ON層表面におけるパターン検査光(波長257nm)の 反射率を測定した。TaBON膜は、TaBターゲット( Ta:B=50at%:50at%)を用いて以下の条件で成膜した
TaBON層の成膜条件
ターゲット:TaBターゲット(組成比:Ta50at%、B50at %)
スパッタガス:Arガス、N 2 ガス、O 2 ガス(Ar:60体積%、N 2 :20体積%、O 2 :20体積%、ガス圧:0.3Pa)
投入電力:150W
成膜速度:0.05nm/sec
膜厚:10nm
 その結果、吸収体層14表面での反射率は60.0% であり、TaBON層表面の反射率は9.9%であった。 これらの結果と上記した式を用いてコントラ ストを求めたところ71.7%であり、実施例2と比 較してコントラストは低いことが確認された 。

 TaBN膜について、上記と同様の手順でエッ チング特性を評価した。その結果、TaBN膜の ッチング選択比は10.4であった(TaBN膜のエッ ング速度:15.4(nm/min)、Ru膜のエッチング速度:1 .48(nm/min))。

 なお、比較例1のTaBN層の成膜速度は、実 例1の成膜速度の1/6程度とかなり遅かった。 た、再現性を確認するため、比較例1の条件 で複数回実施したが、放電が不安定であり、 成膜ができない場合があったり、膜組成や膜 厚の制御が著しく困難であることが確認され た。

比較例2
 比較例2は、吸収体層(TaHf膜)におけるHf含有 が20at%未満(たとえば10at%)であること以外、 施例1と同様の手順で実施する。なお、Hf含 率が20at%未満の吸収体層(TaHf膜)は、Hf含有率 が20at%未満のTaHf化合物ターゲットを用いてマ グネトロンスパッタリング法を実施すること により形成する。
 得られる吸収体層(TaHf膜)の結晶状態をX線回 折装置を用いて確認すると、得られる回折ピ ークにシャープなピークが見られることから 、吸収体層(TaHf膜)が結晶質であることが確認 される。また、表面粗さ(rms)は0.6nmである。

比較例3
 比較例3は、吸収体層(TaHf膜)におけるHf含有 が60at%超(たとえば70at%)であること以外、実 例1と同様の手順で実施する。なお、Hf含有 が60at%超の吸収体層(TaHf膜)は、Hf含有率が60a t%超のTaHf化合物ターゲットを用いてマグネト ロンスパッタリング法を実施することにより 形成する。
 得られる吸収体層(TaHf膜)の結晶状態をX線回 折装置を用いて確認すると、得られる回折ピ ークにシャープなピークが見られないことか ら、吸収体層(TaHf膜)がアモルファス構造また は微結晶構造であることを確認できる。また 、表面粗さ(rms)も0.1nmである。

 吸収体層(TaHf膜)について、実施例2と同様 の手順でエッチング特性を評価する。その結 果、TaHf膜のエッチング選択比は5以下(TaHf膜 エッチング速度:5.18(nm/min)、Ru膜のエッチン 速度:1.48(nm/min))であり、実施例2と比較して エッチング選択比が低いことが確認できる

 本発明のEUVマスクブランクは、特にEUV光お びパターン検査光の波長域の反射率が低く かつ該所望の膜組成および膜厚に制御する とが容易な吸収体層を有するので、半導体 業において、フォトマスク製造用に有用で る。
 
 なお、2006年12月27日に出願された日本特許 願2006-350932号の明細書、特許請求の範囲、図 面及び要約書の全内容をここに引用し、本発 明の明細書の開示として、取り入れるもので ある。