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Patent Searching and Data


Title:
REFRIGERATION DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/098863
Kind Code:
A1
Abstract:
A refrigeration circuit (11) has an oil separator (60) for separating oil from a high-pressure refrigerant and also has a recovery mechanism (40) for recovering energy of the separated oil. Power recovered by the recovery mechanism (40) is used as a power source for a compression mechanism (20). The oil separated by the oil separator (60) is supplied to the compression mechanism (20) after being cooled by an oil cooler (80). In a compression stroke of the compression mechanism (20), the refrigerant is compressed so as to be close to an isothermal line, and this reduces compression power.

Inventors:
OKAMOTO TETSUYA (JP)
FURUSHO KAZUHIRO (JP)
KAWANO TAKAYUKI (JP)
KASAHARA SHINICHI (JP)
OKAMOTO MASAKAZU (JP)
YAMAGUCHI TAKAHIRO (JP)
MORIWAKI MICHIO (JP)
FURUI SYUUJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/000408
Publication Date:
August 13, 2009
Filing Date:
February 03, 2009
Export Citation:
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Assignee:
DAIKIN IND LTD (JP)
OKAMOTO TETSUYA (JP)
FURUSHO KAZUHIRO (JP)
KAWANO TAKAYUKI (JP)
KASAHARA SHINICHI (JP)
OKAMOTO MASAKAZU (JP)
YAMAGUCHI TAKAHIRO (JP)
MORIWAKI MICHIO (JP)
FURUI SYUUJI (JP)
International Classes:
F25B1/00; F25B11/02; F25B43/02
Foreign References:
JP2003322421A2003-11-14
JPH04203764A1992-07-24
JP2004053199A2004-02-19
JP2001141315A2001-05-25
JP2007147212A2007-06-14
Attorney, Agent or Firm:
MAEDA, Hiroshi et al. (5-7 Hommachi 2-chome,Chuo-ku, Osaka-shi, Osaka 53, JP)
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Claims:
 冷媒を圧縮する圧縮機構を有して冷媒が循環して冷凍サイクルを行う冷媒回路を備えた冷凍装置であって、
 上記冷媒回路には、上記圧縮機構で圧縮した高圧冷媒中から油を分離する油分離手段と、該油分離手段で分離された油のエネルギーを回収するための回収機構とが設けられていることを特徴とする冷凍装置。
 請求項1において、
 上記冷媒回路には、上記回収機構でエネルギーを回収した油を上記圧縮機構へ供給するための油導入路が接続されていることを特徴とする冷凍装置。
 請求項2において、
 上記冷媒回路には、上記油分離手段で分離した油を冷却する冷却手段が設けられていることを特徴とする冷凍装置。
 請求項3において、
 上記冷媒回路は、上記圧縮機構によって冷媒を臨界圧力まで圧縮する冷凍サイクルを行うように構成されていることを特徴とする冷凍装置。
 請求項3又は4において、
 上記油導入路は、上記圧縮機構の圧縮行程の途中に油を供給するように構成されていることを特徴とする冷凍装置。
 請求項3又は4において、
 上記油導入路は、上記圧縮機構の吸入側に油を供給するように構成されていることを特徴とする冷凍装置。
 請求項1乃至6のいずれか1つにおいて、
 上記回収機構は、油によって回転駆動される可動部と、該可動部に連結する出力軸とを有することを特徴とする冷凍装置。
 請求項7において、
 上記圧縮機構は、上記回収機構の出力軸と連結して駆動されるように構成されていることを特徴とする冷凍装置。
 請求項7又は8において、
 上記冷媒回路には、冷媒によって回転駆動されると共に上記回収機構の出力軸と連結する可動部を有する膨張機構が設けられていることを特徴とする冷凍装置。
 請求項7乃至9のいずれか1つにおいて、
 上記回収機構の出力軸と連結して駆動される発電機を備えていることを特徴とする冷凍装置。
Description:
冷凍装置

 本発明は、冷媒が循環して冷凍サイクル 行う冷媒回路を備えた冷凍装置に関し、特 冷凍装置の省エネ対策に係るものである。

 従来より、冷凍サイクルを行う冷媒回路 備えた冷凍装置は、室内の空調を行う空気 和装置等に広く適用されている。

 特許文献1には、この種の空気調和装置が 開示されている。空気調和装置には、冷媒が 循環して冷凍サイクルを行う冷媒回路が設け られている。冷媒回路には、圧縮機、室内熱 交換器、膨張弁、室外熱交換器等が接続され ている。例えば空気調和装置の冷房運転時に は、圧縮機で圧縮された冷媒が室外熱交換器 で凝縮(放熱)した後、膨張弁で減圧される。 圧後の冷媒は、室内熱交換器で蒸発し、こ により室内空気が冷却されて冷房が行われ 。

 また、同文献に記載の冷媒回路には、圧縮 の摺動部を潤滑するための油(冷凍機油)が 在している。即ち、圧縮機の圧縮機構では ピストンや駆動軸の軸受け部等が油によっ 潤滑される。この油は、冷媒と共に圧縮機 ら吐出される。そこで、冷媒回路には、圧 機の吐出側に油分離器が設けられている。 分離器では、高圧冷媒中から油が分離され 。分離後の油は、油戻し管へ流入し、キャ ラリーチューブで減圧された後、圧縮機へ 給される。

特開2007-147212号公報

 特許文献1に開示のように、高圧冷媒中か ら分離された油は、キャピラリーチューブ等 で減圧されてから、圧縮機の吸入側へ送られ る。つまり、従来の冷凍装置では、圧縮機で 油の昇圧にエネルギーを費やしているにも拘 わらず、この油のエネルギーをキャピラリー チューブ等の減圧機構により無駄に捨ててい たため、結果として圧縮機の効率の低下を招 いていた。

 本発明は、かかる点に鑑みてなされたも であり、その目的は、冷媒が循環して冷凍 イクルを行う冷凍装置において、油の昇圧 起因するエネルギーのロスを緩和し、ひい は冷凍装置の省エネルギー化を図ることで る。

 第1の発明は、冷媒を圧縮する圧縮機構(20 )を有して冷媒が循環して冷凍サイクルを行 冷媒回路(11)を備えた冷凍装置を前提として る。そして、この冷凍装置は、冷媒回路(11) には、圧縮機構(20)で圧縮した高圧冷媒中か 油を分離する油分離手段(60)と、該油分離手 (60)で分離された油のエネルギーを回収する ための回収機構(40)とが設けられていること 特徴とするものである。

 第1の発明の冷媒回路(11)には、油分離手 (60)と回収機構(40)とが設けられる。油分離手 段(60)では、高圧冷媒中から油が分離される 分離後の油は、高圧冷媒とほぼ同じ圧力と っている。回収機構(40)は、分離後の油の動 (即ち、油の持つエネルギー)を回収する。 まり、高圧冷媒と分離された油は、圧縮機 (20)において油を昇圧させるために使われた 力を、運動エネルギー、位置エネルギー、 力エネルギー等のエネルギーとして保有し いる。回収機構(40)は、分離後の油からこの ようなエネルギーを回収する。その結果、従 来であれば、高圧の油を所定の減圧機構で減 圧してエネルギーのロスを招いていたが、本 発明では、このようなエネルギーを回収して 所定の動力源として利用することができる。

 第2の発明は、第1の発明の冷凍装置にお て、上記冷媒回路(11)には、上記回収機構(40) でエネルギーを回収した油を上記圧縮機構(20 )へ供給するための油導入路(70)が接続されて ることを特徴とするものである。

 第2の発明では、回収機構(40)で上記のエ ルギーが回収された油が、油導入路(70)を通 て圧縮機構(20)へ供給される。この油は、圧 縮機構(20)の各摺動部の潤滑に利用され、圧 途中の冷媒に流入した油は冷媒と共に再び 縮されて圧縮機構(20)から吐出される。

 第3の発明は、第2の発明の冷凍装置にお て、上記冷媒回路(11)には、上記油分離手段( 60)で分離した油を冷却する冷却手段(80)が設 られていることを特徴とするものである。

 第3の発明では、油分離手段(60)で分離し 油が、冷却手段(80)によって冷却される。こ ため、圧縮機構(20)へは、比較的低温の油が 供給されることになる。その結果、圧縮機構 (20)の圧縮行程では、冷媒の圧縮と同時に油 よる冷媒の冷却が行われる。これにより、 縮行程では、冷媒の温度の昇温が抑制され がら、且つ冷媒の圧力だけが上昇していく つまり、圧縮機構(20)へ比較的低温の油を導 して圧縮中の冷媒を冷却することで、冷媒 P-h線図(モリエル線図)上において、等温線 近づくように圧縮され、いわゆる等温圧縮 行われる。その結果、冷媒の圧縮に要する 力が低減され、圧縮機構(20)の効率が向上す 。

 一方、圧縮機構(20)で冷媒を油によって冷 却する場合、圧縮機構(20)へ導入する油の量 多ければ多いほど冷却効果が高まり、冷媒 圧縮に要する動力も小さくなる。ところが このように油の導入量が多くなると、圧縮 構(20)では、油の昇圧に伴う動力が増大して まう。その結果、油による冷媒の冷却効果 よって得られる冷媒の圧縮動力の削減量よ も、油の昇圧に要する圧縮動力の増加量の が大きくなり、圧縮機構(20)の全体の動力が かえって大きくなる虞がある。

 しかしながら、本発明では、圧縮機構(20) への油の導入量を比較的多量として油の昇圧 に要する圧縮動力が増大したとしても、この 油の昇圧に要したエネルギーが、上述の回収 機構(40)によって回収される。従って、本発 では、圧縮機構(20)へ低温油を積極的に導入 ることで、冷媒の圧縮動力を効果的に低減 き、且つ回収機構(40)で回収できる動力を増 大できる。その結果、本発明では、装置全体 としての動力を効果的に低減できる。

 第4の発明は、第3の発明の冷凍装置にお て、上記冷媒回路(11)は、上記圧縮機構(20)に よって冷媒を臨界圧力以上まで圧縮する冷凍 サイクルを行うように構成されていることを 特徴とするものである。

 第4の発明の冷媒回路(11)では、高圧冷媒 臨界圧力以上となる冷凍サイクルが行われ 。このような冷凍サイクル(以下、超臨界サ クルという)では、上述の圧縮機構(20)への 温油の導入による冷媒の圧縮動力の低減効 が大きくなる。

 具体的には、上記超臨界サイクルでは、 縮機構(20)の圧縮行程で冷媒を冷却しても、 この冷媒が過熱蒸気のまま昇圧されて凝縮す ることがない。つまり、超臨界サイクルの圧 縮行程では、冷媒を冷却しても、この冷媒が 気液二相領域(凝縮領域)に至ることがない。 って、本発明では、一般的な冷凍サイクル( 冷媒を臨界圧力よりも小さい範囲で圧縮する 冷凍サイクル)と比較して、いわゆる等温圧 による冷媒の圧縮動力の低減効果を向上で る。

 第5の発明は、第3又は第4の発明の冷凍装 において、上記油導入路(70)は、上記圧縮機 構(20)の圧縮行程の途中に油を供給するよう 構成されていることを特徴とするものであ 。

 第5の発明では、冷却手段(80)で冷却され 比較的低温となった油が、圧縮機構(20)の圧 行程の途中(即ち、冷媒が吸入圧力と吐出圧 力との間の中間圧力となる箇所)へ供給され 。ここで、圧縮機構(20)の圧縮行程の途中で 、既に冷媒が圧縮(断熱圧縮)されて昇温さ ている。従って、この箇所に低温の油を導 することで、冷媒が油よりも低温になるこ を回避できる。これにより、その後の圧縮 程では、冷媒が油によって加熱されて過熱 縮されることを回避できる。従って、この うな過熱圧縮に起因して、冷媒の圧縮動力 低減効果が損なわれるのを回避でき、いわ る等温圧縮による冷媒の圧縮動力の低減効 を向上できる。

 第6の発明は、第3又は第4の発明の冷凍装 において、上記油導入路(70)は、上記圧縮機 構(20)の吸入側に油を供給するように構成さ ていることを特徴とするものである。

 第6の発明では、冷却手段(80)で冷却され 比較的低温となった油が、圧縮機構(20)の吸 側へ供給される。これにより、圧縮機構(20) では、圧縮行程の開始時から冷媒が油によっ て冷却されるので、上記等温圧縮による冷媒 の圧縮動力の低減効果を向上できる。

 第7の発明は、第1乃至第6のいずれか1つの 発明の冷凍装置において、上記回収機構(40) 、油によって回転駆動される可動部(50)と、 可動部(50)に連結する出力軸(42)とを有する とを特徴とするものである。

 第7の発明では、回収機構(40)に可動部(50) 出力軸(42)とが設けられる。回収機構(40)で 、高圧冷媒中から分離された油によって可 部(50)が回転駆動される。その結果、可動部( 50)と連結する出力軸(42)も回転する。このよ な出力軸(42)の回転動力は、例えば発電機や の機器の駆動動力として利用される。

 第8の発明は、第7の発明の冷凍装置にお て、上記圧縮機構(20)は、上記回収機構(40)の 出力軸(42)と連結して駆動されるように構成 れていることを特徴とするものである。

 第8の発明では、回収機構(40)で回収され 油の動力(即ち、油のエネルギー)が、出力軸 (42)を介して圧縮機構(20)の動力源として利用 れる。ここで、上述のように、圧縮機構(20) へ供給する油の導入量が多くなると、上記の 等温圧縮による冷媒の圧縮動力が低減される が、この際には、圧縮機構(20)での油の昇圧 要する動力も大きくなる。しかしながら、 発明では、このように油の導入量を多くす ことで、回収機構(40)で回収される動力が大 くなり、この動力の増大分だけ圧縮機構(20) の動力が低減される。即ち、本発明では、圧 縮機構(20)へ低温油を積極的に導入すること 、冷媒の圧縮動力を効果的に低減でき、且 回収機構(40)で回収できる動力を増大できる その結果、本発明では、圧縮機構(20)の全体 として動力が効果的に削減され、圧縮機構(20 )の効率が効果的に向上する。

 第9の発明では、第7又は第8の発明の冷凍 置において、上記冷媒回路(11)には、冷媒に よって回転駆動されると共に上記回収機構(40 )の出力軸(42)と連結する可動部を有する膨張 構(30)が設けられていることを特徴とするも のである。

 第9の発明の冷媒回路(11)には、冷媒によ て回転駆動される膨張機構(30)が設けられる そして、回収機構(40)の出力軸(42)には、膨 機構(30)の可動部も連結される。つまり、出 軸(42)は、回収機構(40)で回収された動力と 膨張機構(30)で冷媒の膨張により得られた動 (即ち、膨張動力)との双方によって、回転 動される。このような出力軸(42)の回転動力 、第8の発明の圧縮機構(20)の駆動動力等に 用される。

 第10の発明は、第7乃至第9のいずれか1つ 発明の冷凍装置において、上記回収機構(40) 出力軸(42)と連結して駆動される発電機(45) 備えていることを特徴とするものである。

 第10の発明では、回収機構(40)で回収され 油のエネルギーが、出力軸(42)を介して発電 機(45)の駆動動力として利用される。その結 、本発明では、発電機(45)で電力を発生する とができ、この電力を他の要素機械等の動 源として利用できる。

 本発明によれば、油分離手段(60)によって 高圧冷媒中の油を分離した後、この油のエネ ルギー(即ち、油の動力)を回収機構(40)によっ て回収するようにしている。つまり、従来の ものであれば、昇圧後の油のエネルギーをキ ャピラリーチューブ等の減圧機構によって無 駄に捨てていたのに対し、本発明では、この ような油のエネルギーを回収機構(40)で回収 ることができる。その結果、本発明によれ 、この油のエネルギーを利用して所定の要 機械等を駆動することができ、冷凍装置の エネルギー性の向上を図ることができる。

 また、第2の発明では、回収機構(40)でエ ルギーを回収した後の油を、圧縮機構(20)へ 給するようにしている。従って、この油に って圧縮機構(20)の各摺動部の潤滑を行うこ とができ、各摺動部の機械損失の低減、ある いは焼き付きの防止を図り、冷凍装置の信頼 性を向上できる。

 更に、第3の発明では、油分離手段(60)で 離した油を冷却手段(80)で冷却してから、圧 機構(20)へ供給するようにしている。これに より、本発明によれば、圧縮機構(20)の圧縮 程で、いわゆる等温圧縮を行うことができ 圧縮機構(20)での冷媒の圧縮動力を大幅に低 することができる。しかも、本発明では、 分離手段(60)で分離した油のエネルギーを回 収機構(40)で回収するようにしている。従っ 、本発明では、圧縮機構(20)への低温油の導 量が多ければ多いほど、回収機構(40)で回収 できるエネルギーも多くなる。即ち、圧縮機 構(20)で等温圧縮を行うために、低温油を積 的に圧縮機構(20)へ供給すると、圧縮機構(20) では、油の昇圧に要する動力も増大してしま うが、本発明では、このように昇圧された油 のエネルギーを動力として回収しているので 、圧縮機構(20)全体としての動力を大幅に低 することが可能となる。

 また、このように多量の低温油を圧縮機 (20)へ導入するようにすると、圧縮機構(20) ら吐出される冷媒の温度を低く抑えること できる。その結果、吐出冷媒の温度上昇に 因する冷凍装置のシステム異常や、圧縮機 (20)の損傷を未然に回避できる。また、圧縮 構(20)の各摺動部の温度上昇も抑えることが でき、各摺動部の焼き付きを確実に防止でき ると共に、油(冷凍機油)の劣化も防止できる その結果、冷凍装置の信頼性を更に向上で る。

 加えて、圧縮機構(20)へ低温の油を多量に 導入することで、圧縮機構(20)のモータの周 温度も低く抑えることができる。その結果 モータ効率を向上させて、圧縮機構(20)の入 を更に削減することができる。

 また、第4の発明では、高圧冷媒を臨界圧 力以上まで圧縮する、超臨界サイクルを行い ながら、低温油を圧縮機構(20)へ導入するよ にしている。これにより、圧縮機構(20)の圧 行程では、冷媒を凝縮させることなく、等 線に近づくように圧縮でき、冷媒の圧縮動 を効果的に削減できる。

 更に、第5の発明では、低温油を圧縮機構 (20)の圧縮途中へ供給するようにしている。 れにより、本発明では、圧縮機構(20)で冷媒 有る程度昇温させてから、昇温後の冷媒を で冷却することができる。その結果、低温 によって冷媒を確実に冷却することができ 等温圧縮による圧縮動力の低減効果を更に 上させることができる。

 また、第6の発明では、低温油を圧縮機構 (20)の吸入側へ供給するようにしている。こ により、本発明では、圧縮機構(20)の圧縮行 の開始時から冷媒を低温油によって冷却す ことができ、等温圧縮による圧縮動力の低 効果を更に向上させることができる。

 第7の発明では、回収機構(40)で回収した のエネルギーによって出力軸(42)を回転させ ことができ、この回転動力を所定の動力源 して利用できる。そして、第8の発明によれ ば、出力軸(42)の回転動力を圧縮機構(20)の駆 動力として利用できる。また、第9の発明に よれば、膨張機構(30)で回収した冷媒のエネ ギーと、回収機構(40)で回収した油のエネル ーとの双方で出力軸(42)を回転させることが でき、出力軸(42)で発生する回転動力を増大 せることができる。更に、第10の発明によれ ば、出力軸(42)の回転動力を利用して、発電 (45)で電力を発生させることができ、この電 を冷凍装置の各要素機械の動力源として適 利用できる。

図1は、実施形態1に係る空気調和装置 概略構成を示す配管系統図である。 図2は、回収機構を拡大した縦断面図で ある。 図3は、回収機構の内部を表した横断面 図であり、ピストンの動作を示すものである 。 図4は、本実施形態の理想的な冷凍サイ クルを示すものであり、図4(A)はP-h線図を、 4(B)は、P-V線図を表したものである。 図5は、一般的な冷凍サイクルを示すも のであり、図5(A)はP-h線図を、図5(B)は、P-V線 を表したものである。 図6は、油インジェクション量と、圧縮 機構の動力との関係を示すグラフである。 図7は、油インジェクション量と、COPの 改善率との関係を示すグラフである。 図8は、実施形態1の変形例に係る空気 和装置の概略構成を示す配管系統図である 図9は、実施形態2に係る空気調和装置 概略構成を示す配管系統図である。 図10は、実施形態3に係る空気調和装置 の概略構成を示す配管系統図である。 図11は、実施形態4に係る空気調和装置 の概略構成を示す配管系統図である。 図12は、実施形態5に係る空気調和装置 における圧縮機構の動作中の第1の状態を示 横断面図である。 図13は、実施形態5に係る空気調和装置 における圧縮機構の動作中の第2の状態を示 横断面図である。 図14は、コントローラの構成を示すブ ック図である。 図15は、実施形態6に係る空気調和装置 のコントローラの構成を示すブロック図であ る。 図16は、圧縮機構の第1の状態を示す横 断面図である。 図17は、圧縮機構の第2の状態を示す横 断面図である。 図18は、比較例の圧縮機での等温圧縮 よる動力削減効果を示すグラフである。 図19は、実施形態6の圧縮機構での等温 圧縮による動力削減効果を示すグラフである 。 図20は、その他の実施形態の変形例1に 係る空気調和装置の概略構成を示す配管系統 図である。 図21は、その他の実施形態の変形例2に 係る空気調和装置の概略構成を示す配管系統 図である。 図22は、その他の実施形態の変形例3に 係る空気調和装置の概略構成を示す配管系統 図である。 図23は、その他の実施形態の変形例4に 係る空気調和装置の概略構成を示す配管系統 図である。 図24は、その他の等温圧縮が行われる 凍サイクルの一例を示すP-h線図である。 図25は、比較例に係る圧縮機構の横断 図である。

符号の説明

10  空気調和装置(冷凍装置)
11  冷媒回路
20  圧縮機構
30  膨張機構
40  回収機構
42  出力軸
45  発電機
50  ピストン(可動部)
60  油分離器(油分離手段)
70  油導入管
80  油クーラ(冷却手段)

 以下、本発明の実施形態を図面に基づい 詳細に説明する。

  《発明の実施形態1》
 本発明の実施形態1ついて説明する。本発明 に係る冷凍装置は、室内の空調を行う空気調 和装置(10)を構成している。空気調和装置(10) 、冷房運転と暖房運転とを切り換えて行う うに構成されている。

  〈空気調和装置の全体構成〉
 図1に示すように、空気調和装置(10)は、冷 回路(11)を備えている。冷媒回路(11)では、冷 媒が循環することで冷凍サイクルが行われる 。冷媒回路(11)には、冷媒として二酸化炭素(C O 2 )が充填されている。そして、冷媒回路(11)で 、冷媒が臨界圧力以上まで圧縮される冷凍 イクル(いわゆる超臨界サイクル)が行われ 。更に、冷媒回路(11)には、ポリアルキレン リコール(PAG)から成る油(冷凍機油)が混在し ている。

 冷媒回路(11)には、油動力回収型圧縮ユニ ット(C/O)と、膨張ユニット(E)と、室外熱交換 (12)と、室内熱交換器(13)と、第1四方切換弁( 14)と、第2四方切換弁(15)とが設けられている また、冷媒回路(11)には、油分離器(60)と油 入路(70)と油クーラ(80)とが設けられている。

 油動力回収型圧縮ユニット(C/O)は、圧縮 構(20)と回収機構(40)と電動機(25)とがケーシ グ(図示省略)の内部に収容されて構成されて いる。圧縮機構(20)は、ロータリ式の容積型 縮機を構成している。圧縮機構(20)では、そ 圧縮室において冷媒が臨界圧力以上まで圧 される。回収機構(40)は、本体部(41)と出力 (42)とを有している。回収機構(40)の本体部(41 )は、ロータリ式の容積型の流体機械を構成 ている。出力軸(42)は、圧縮機構(20)と上記本 体部(41)とを連結している。電動機(25)は、出 軸(42)を回転駆動させるモータを構成し、出 力周波数(即ち、出力軸の回転速度)を可変と るインバータ式に構成されている。

 油動力回収型圧縮ユニット(C/O)には、圧 機構(20)へ冷媒を吸入させるための吸入管(22) と、圧縮機構(20)で圧縮された冷媒を吐出さ るための吐出管(23)とが設けられている。ま 、油動力回収型圧縮ユニット(C/O)には、回 機構(40)の本体部(41)へ油(冷凍機油)を流入さ るための油流入管(43)と、この本体部(41)の を流出させるための油流出管(44)とが設けら ている。

 膨張ユニット(E)は、膨張機構(30)と膨張側 出力軸(31)と膨張側発電機(35)とがケーシング( 図示省略)の内部に収容されて構成されてい 。膨張機構(30)は、ロータリ式の容積型膨張 構を構成している。膨張機構(30)では、その 膨張室において冷媒が膨張して減圧される。 膨張機構(30)では、膨張室で膨張する冷媒に って可動部としてのピストン(図示省略)が回 転駆動され、ピストンと連結する膨張側出力 軸(31)が更に回転駆動される。これにより、 張側発電機(35)が駆動されて発電が行われる つまり、膨張側発電機(35)は、膨張機構(30) 膨張側出力軸(31)と連結して駆動される駆動 象を構成している。膨張ユニット(E)で発電 れた電力は、油動力回収型圧縮ユニット(C/O )や他の要素機械の動力として利用される。 た、膨張ユニット(E)には、膨張機構(30)へ冷 を流入させるための流入管(33)と、膨張機構 (30)から冷媒を流出させるための流出管(34)と 設けられている。

 室外熱交換器(12)は、冷媒を室外空気と熱 交換させるための空気熱交換器である。また 、室内熱交換器(13)は、冷媒を室内空気と熱 換させるための空気熱交換器である。

 第1四方切換弁(14)及び第2四方切換弁(15)は 、それぞれ第1から第4までのポートを有して る。第1四方切換弁(14)では、第1のポートが 出ライン(18)を介して上記吐出管(23)と接続 、第2のポートが吸入ライン(17)を介して上記 吸入管(22)と接続している。また、第1四方切 弁(14)では、第3のポートが室外熱交換器(12) 一端と接続し、第4のポートが室内熱交換器 (13)の一端と接続している。第2四方切換弁(15) では、第1のポートが上記流入管(33)と接続し 第2のポートが上記流出管(34)と接続してい 。また、第2四方切換弁(15)では、第3のポー が室外熱交換器(12)の他端と接続し、第4のポ ートが室内熱交換器(13)の他端と接続してい 。

 第1四方切換弁(14)と第2四方切換弁(15)とは 、それぞれ、第1のポートと第3のポートとが 通し且つ第2のポートと第4のポートとが連 する第1状態(図1の実線で示す状態)と、第1の ポートと第4のポートが連通し且つ第2のポー と第3のポートが連通する第2状態(図1の破線 で示す状態)とに切り換わるように構成され いる。

 油分離器(60)は、上記吐出ライン(18)の途 に設けられている。油分離器(60)は、縦長の 円筒形状の密閉容器から成り、高圧冷媒中 ら油を分離する油分離手段を構成している 油分離器(60)には、その胴部に冷媒/油流入 (61)が接続され、その頂部に冷媒排出管(62)が 接続され、その底部に油排出管(63)が接続さ ている。油分離器(60)では、冷媒/油流入管(61 )から流入した冷媒中から油が分離される。 お、油分離器(60)での油の分離方法としては 旋回流を利用して油を遠心分離する方法や 冷媒と油との比重差を利用して油を沈降分 する方法等が挙げられる。そして、油分離 (60)内では、油が分離された後の冷媒が冷媒 排出管(62)を流出し、分離後の油が油排出管(6 3)を流出する。

 油導入路(70)は、油分離器(60)で分離した を圧縮機構(20)へ供給する流路を構成してい 。油導入路(70)は、第1導油管(71)と第2導油管 (72)とを含んで構成されている。

 第1導油管(71)は、その始端が油分離器(60) 油排出管(63)と接続し、その終端が油流入管 (43)と接続している。第1導油管(71)には、上記 油クーラ(80)が設けられている。油クーラ(80) 、油分離器(60)で分離した油を冷却する冷却 手段であり、例えば空冷式の熱交換器で構成 されている。

 第2導油管(72)は、その始端が油流出管(44) 接続し、その終端が圧縮機構(20)の油インジ ェクションポート(24)と接続している。圧縮 構(20)の油インジェクションポート(24)は、そ の圧縮室での圧縮行程の途中箇所に開口して いる。つまり、本実施形態の油導入路(70)は 油分離器(60)で分離した油を圧縮機構(20)の圧 縮行程の途中へ供給するように、圧縮機構(20 )に接続されている。

  〈回収機構の構成〉
 上記回収機構(40)の構成について図2及び図3 参照しながら更に説明する。
回収機構(40)は、油の動力(即ち、油の持つエ ルギー)を回収するものである。つまり、高 圧冷媒と分離された油は、圧縮機構(20)にお て油を昇圧させるために使われた動力を、 動エネルギー、位置エネルギー、圧力エネ ギー等のエネルギーとして保有している。 こで、回収機構(40)は、このような油のエネ ギーを動力として回収する。回収機構(40)の 本体部(41)は、いわゆる揺動ピストン型のロ タリ式流体機械で構成されている。また、 力軸(42)は、その一端が本体部(41)と連結し、 その他端部が圧縮機構(20)の可動部(ピストン) と連結している。つまり、圧縮機構(20)は、 収機構(40)の出力軸(42)と連結して駆動される 駆動対象を構成している。また、出力軸(42) は、主軸部(42a)と偏心部(42b)とが形成されて る。偏心部(42b)は、主軸部(42a)に対して所定 量だけ偏心し、且つ主軸部(42a)よりも大径に 成されている。

 回収機構の本体部(41)には、その下部から 上部へ向かって順に、フロントヘッド(46)、 リンダ(47)、及びリアヘッド(48)が設けられて いる。シリンダ(47)は、上下に出力軸(42)が貫 する筒状に形成されている。シリンダ(47)は 、その下端がフロントヘッド(46)に閉塞され その上端がリアヘッド(48)に閉塞されている

 図3にも示すように、シリンダ(47)の内部( リンダ室)には、可動部としてのピストン(50 )が収容されている。ピストン(50)は、円環状 るいは円筒状に形成されている。ピストン( 50)の内部には、出力軸(42)の偏心部(42b)が係合 して連結している。ピストン(50)は、その外 面がシリンダ(47)の内周面に、一方の端面が ロントヘッド(46)に、他方の端面がリアヘッ ド(48)にそれぞれ摺接している。シリンダ(47) には、その内周面とピストン(50)の外周面と の間に油室(49)が形成される。油室(49)は、上 油流入管(43)及び油流出管(44)が連通してい 。

 ピストン(50)には、ブレード(51)が一体に けられている。ブレード(51)は、ピストン(50) の半径方向へ延びる板状に形成されており、 ピストン(50)の外周面から外側へ突出してい 。このブレード(51)はシリンダ(47)のブレード 溝(52)に挿入されている。シリンダ(47)のブレ ド溝(52)は、シリンダ(47)を厚み方向へ貫通 ると共に、シリンダ(47)の内周面に開口して る。

 シリンダ(47)には、一対のブッシュ(53)が けられている。各ブッシュ(53)は、内側面が 面となって外側面が円弧面となるように形 された小片である。シリンダ(47)において、 一対のブッシュ(53)は、ブッシュ孔(54)に挿入 れてブレード(51)を挟み込んだ状態となる。 ブッシュ(53)は、その内側面がブレード(51)と 接し、その外側面がシリンダ(47)と摺動する 。そして、ピストン(50)と一体のブレード(51) 、ブッシュ(53)を介してシリンダ(47)に支持 れ、シリンダ(47)に対して回動自在で且つ進 自在となっている。

 シリンダ(47)内の油室(49)は、ピストン(50) びブレード(51)によって仕切られている。そ して、図3におけるブレード(51)の左側の部屋 油流入管(43)と連通し、右側の部屋が油流出 管(44)と連通している。

  -運転動作-
 実施形態1に係る空気調和装置(10)の運転動 について説明する。空気調和装置(10)は、第1 四方切換弁(14)及び第2四方切換弁(15)の設定に 応じて、冷房運転と暖房運転とが可能となっ ている。まず、空気調和装置(10)の冷房運転 の基本的な動作について説明する。

 冷房運転時には、第1四方切換弁(14)及び 2四方切換弁(15)が第1状態(図1に実線で示す状 態)に設定され、冷媒回路(11)で冷媒が循環し 蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。その結 、冷房運転時には、室外熱交換器(12)が放熱 器(凝縮器)となり、室内熱交換器(13)が蒸発器 となる冷凍サイクルが行われる。また、冷媒 回路(11)では、その高圧が冷媒である二酸化 素の臨界圧力よりも高い値に設定され、い ゆる超臨界サイクルが行われる。

 油動力回収型圧縮ユニット(C/O)では、電 機(25)によって圧縮機構(20)が回転駆動される 。圧縮機構(20)では、吸入管(22)から圧縮室へ 入された冷媒が圧縮され、圧縮された冷媒 吐出管(23)より吐出される。圧縮機構(20)か 吐出された冷媒は、吐出ライン(18)を流れ、 媒/油流入管(61)を通じて油分離器(60)内へ流 する。

 油分離器(60)の内部では、冷媒中から油が 分離され、油が分離された後の冷媒が上部に 溜まり、分離後の油が底部に溜まり込む。分 離後の冷媒は、冷媒排出管(62)を流出し、室 熱交換器(12)を流れる。室外熱交換器(12)では 、高圧冷媒が室外空気へ放熱する。室外熱交 換器(12)を流出した冷媒は、流入管(33)を通じ 膨張ユニット(E)の膨張機構(30)へ流入する。

 膨張機構(30)では、膨張室で高圧冷媒が膨 張し、これによって膨張側出力軸(31)が回転 動される。その結果、膨張側発電機(35)が駆 されて、膨張側発電機(35)から電力が発生す る。この電力は、圧縮機構(20)や他の要素機 へ供給される。膨張機構(30)で膨張した冷媒 、流出管(34)を通じて膨張ユニット(E)から送 り出される。

 膨張ユニット(E)を流出した冷媒は、室内 交換器(13)を流れる。室内熱交換器(13)では 冷媒が室内空気から吸熱して蒸発する。そ 結果、室内空気が冷やされて冷房が行われ 。室内熱交換器(13)を流出した冷媒は、吸入 (22)を通じて圧縮機構(20)へ吸入されて再び 縮される。

 このような冷房運転時には、空気調和装 (10)の成績係数(COP)を改善するために、油イ ジェクション動作が行われる。具体的には 油分離器(60)で分離した油は、油排出管(63) 通じて第1導油管(71)を流れる。この冷媒は、 油クーラ(80)で所定温度まで冷却される。冷 後の冷媒は、油流入管(43)を通じて油動力回 型圧縮ユニット(C/O)の回収機構(40)の本体部( 41)へ流入する。

 回収機構(40)の本体部(41)では、油室(49)を れる油によってピストン(50)が回転駆動され 、ピストン(50)がシリンダ(47)内を、図3の(A)→ (B)→(C)→(D)→(A)→…という順に偏心回転する 。このピストン(50)の偏心回転に伴い、偏心 (42b)、更には主軸部(42a)が回転駆動される。 の結果、この回転動力は、圧縮機構(20)を駆 動するための駆動動力として利用される。以 上のように、油動力回収型圧縮ユニット(C/O) は、回収機構(40)によって回収された油のエ ネルギーが、圧縮機構(20)の駆動動力として 収され、圧縮機構(20)の動力が軽減される。

 油室(49)でエネルギーが回収された油は、 所定圧力まで減圧された後、油流出管(44)を じて回収機構(40)の本体部(41)から流出する。 流出後の油は、第2導油管(72)を介して圧縮機 (20)の油インジェクションポート(24)へ流入 る。その結果、圧縮機構(20)では、圧縮室で 圧縮行程の途中へ低温の油が供給され、油 ンジェクション動作が行われる。

 この油インジェクション動作により、冷 運転時の圧縮機構(20)では、冷媒がP-h線図上 の等温線に近づくように圧縮され、いわゆる 等温圧縮が行われる。この点について、図4(A )及び(B)を参照しながら説明する。ここで、 4(A)は、理想的な等温圧縮での冷凍サイクル 示すP-h線図であり、図4(B)は、図4(A)の冷凍 イクルに対応するP-V線図である。

 冷房運転時の冷媒回路(11)では、圧縮機構 (20)の吸入側の冷媒が所定温度だけ過熱され ようなスーパーヒート制御が行われる。こ 吸入冷媒は、図4のA点より圧縮機構(20)で圧 され、所定量だけ昇圧/昇温されてからB点で 油と混合する。圧縮機構(20)で冷媒と油とが 合されると、上記油クーラ(80)で冷却されて 温となった油により、冷媒が冷却される。 まり、圧縮行程では、B点以降において冷媒 が油によって冷やされながら、更に圧縮され る。その結果、冷媒は、図4(A)に示す等温線( えば約40℃)に沿うように圧縮されて、目標 高圧圧力(C点)に至る。このように、A点→B →C点のような挙動で冷媒を圧縮させること 、圧縮機構(20)で冷媒を圧縮するのに要する 動力が効果的に低減される。

 即ち、例えば圧縮行程で一般的な断熱圧 が行われると、冷媒は図4に示すA→B→C’の ような挙動で圧縮される。その結果、この冷 凍サイクルでは、冷媒の圧縮動力が大きくな ってしまう。これに対し、本実施形態のよう に、油インジェクション動作により圧縮行程 中に冷媒を冷却すると、一般的な断熱圧縮と 比して、図4(B)のB点-C点-C’点で囲まれる面積 δS分だけ圧縮機構(20)での冷媒の圧縮動力を 減できる。

 また、本実施形態のように、冷媒として 酸化炭素を用いて超臨界サイクルを行うも で、上記の油インジェクション動作を行う 、圧縮機構(20)の圧縮動力の削減効果が向上 する。この点について以下に説明する。

 まず、本実施形態の冷媒回路(11)では、上 述のように、二酸化炭素を臨界圧力(図4(A)のc P点に示す圧力)以上となるように、圧縮行程 冷媒を圧縮している。このため、圧縮行程 はB点→C点で冷媒を冷却しながら圧縮する 、冷媒が気液二相領域(凝縮領域)に至ること を回避できる。つまり、超臨界サイクルでは 、油の冷熱が冷媒の凝縮に利用されることを 回避できるので、冷媒を効果的に低温化する ことができ、冷媒の挙動を等温線に近づける ことができる。

 これに対し、例えば図5に示す、通常の蒸 気圧縮式冷凍サイクル(ここでは、冷媒をR410A とした場合)の圧縮行程では、冷媒が臨界圧 よりも小さい範囲で圧縮される。このため この冷凍サイクルに上記油インジェクショ 動作を適用した場合、A1点で冷媒が圧縮され てB1点から冷媒が油で冷却される際に、冷媒 気液二相領域(凝縮領域)に至ってしまう。 の結果、この冷凍サイクルでは、B1点→C1点 範囲でしか等温圧縮を行うことができない

 以上のような理由により、図5の冷凍サイ クルに油インジェクション動作を適用した場 合には、圧縮機構の圧縮動力の削減量が図5(B )のB1点-C1点-C1’点で囲まれるδS’となってし まう。これに対し、本実施形態の超臨界サイ クルに油インジェクション動作を適用した場 合には、圧縮機構(20)の圧縮動力の削減量がδ Sとなり、圧縮動力の削減効果が高いものと る。

 更に、本実施形態では、上述のように、 収機構(40)によって油の動力を回収している 。これにより、油インジェクション動作によ る冷媒の圧縮動力の低減効果を図りつつ、更 に油の昇圧に必要な圧縮動力も低減される。 この点について図6を参照しながら説明する

 上記油インジェクション動作を行うと、 縮機構(20)では、冷媒の圧縮動力(図6のWr)に えて、油の昇圧に要する動力(図6のWo)を費 すことになる。ここで、冷媒の圧縮動力Wrは 、上述のように、油インジェクション動作に よる等温圧縮の効果により小さくなる。従っ て、冷媒の圧縮動力Wrは、圧縮機構(20)へ供給 される低温の油の量(油インジェクション量Go il)が多ければ多いほど、小さくなっていく。 一方、このように油インジェクション量Goil 多くなると、圧縮機構(20)では、油の昇圧に する圧縮動力Woが増大していく。従って、 縮機構(20)では、その全体としての動力Wt(即 、Wr+Wo)と、油インジェクション量Goilとの関 係が、図6で示すような関係となり、油イン ェクション量Goilが所定値(Gb)よりも大きくな ると、かえって圧縮機構(20)の全体の動力Wtが 増大してしまう虞がある。

 そこで、本実施形態では、油の昇圧に要 る圧縮動力Woを回収するべく、回収機構(40) 用いるようにしている。具体的に、例えば インジェクション量Goilを所定値より大きい Gbとして油インジェクション動作を行った場 、油の昇圧に要する圧縮動力Woも増大する 、油動力回収型圧縮ユニット(C/O)では、昇圧 後の油の動力(運動エネルギー)が、圧縮機構( 20)の駆動動力として回収される。その結果、 本実施形態では、油インジェクション量Goil 多量としても、この空気調和装置(10)で比較 高いCOPの改善率(等温圧縮による効果)を得 ことができる。

 即ち、例えば図7に示すように、回収機構 (40)で油の動力を回収しないもの(図7の破線L-0 )では、油インジェクション量が所定値Gbより も多くなると、等温圧縮の効果に起因する冷 媒の圧縮動力Wrの削減量よりも油の昇圧に要 る動力Woの方が大きくなってしまい、COP改 率がかえって低くなってしまう。しかしな ら、回収機構(40)で油の動力を回収するよう すると、油の昇圧に要する動力Woの増大に い、圧縮機構(20)へ回収される油の動力が大 くなる。その結果、例えば回収機構(40)の動 力回収率が50%のもの(図7の実線L-50)では、油 ンジェクション量を多くしても、高いCOP改 率を得ることができる。そして、このCOP改 率は、回収機構(40)の動力回収率が高ければ いほど(例えば図7の実線L-80(油動力回収率80% )や実線L-100(油動力回収率100%)を参照)、特に インジェクション量Goilが多い条件下で増大 ることになる。

  -実施形態1の効果-
 上記実施形態1では、油分離器(60)で高圧冷 中から油を分離し、この油のエネルギーを 収機構(40)で回収して圧縮機構(20)の駆動動力 として利用するようにしている。このため、 圧縮機構(20)で油の昇圧に要した動力を回収 構(40)で回収でき、空気調和装置(10)の省エネ ルギーを向上できる。

 また、上記実施形態1では、油分離器(60) 分離した油を油クーラ(80)で冷却し、低温と た油を圧縮機構(20)へ供給している。このた め、圧縮機構(20)では、図4に示すような等温 縮の挙動(即ち、A点→B点→C点)に近づくよ に、冷媒を圧縮することができ、冷媒の圧 動力を大幅に削減することができる。しか 、油インジェクション量Goilを多くすること 、冷媒の冷却効果が向上して冷媒の圧縮動 が更に低減される一方、回収機構(40)で回収 される油のエネルギーも増大する。その結果 、空気調和装置(10)のCOP改善率を大幅に向上 き、省エネ性を更に向上できる。なお、こ で、空気調和装置(10)のCOP改善率を効果的に 上させるための、油インジェクション量(質 量流量)は、圧縮機構(20)への吸入冷媒の量(質 量流量)の約0.5倍以上約6.0倍以下の範囲であ ことが好ましい。

 加えて、このように油インジェクション を多くして、圧縮機構(20)へ低温の油を積極 的に導入することで以下のような副次的な効 果も得られる。具体的には、まず、圧縮機構 (20)の吐出冷媒の昇温を防止でき、空気調和 置(10)のシステム異常や、圧縮機構(20)の機械 的な損傷を回避できる。また、圧縮機構(20) は、ピストンや軸受け等の摺動部の潤滑が 分図られ、且つ摺動部の放熱効果も向上す 。その結果、これらの摺動部での機械損失 増大や焼き付きを防止できる。更に、圧縮 構(20)では、油も比較的低い温度に抑えられ ために、油の温度が過剰となって劣化する とも回避できる。加えて、圧縮機構(20)では 、その周囲温度も比較的低温に抑えられる。 その結果、油動力回収型圧縮ユニット(C/O)で 、そのケーシング内の温度も比較的低くな 。これにより、電動機(25)の周囲温度も低く なることから、電動機(25)のモータ効率が向 し、圧縮機構(20)の入力が更に低減されるこ になる。

 また、上記実施形態1では、高圧冷媒を臨 界圧力以上まで圧縮する、超臨界サイクルを 行いながら、低温油を圧縮機構(20)へ導入す ようにしている。これにより、圧縮機構(20) 圧縮行程では、冷媒を凝縮させることなく 温線に近づくように圧縮でき(例えば図4参 )、通常の冷凍サイクル(例えば図5参照)と比 して、冷媒の圧縮動力を効果的に削減でき 。

 更に、上記実施形態1では、低温とした油 を圧縮機構(20)の圧縮途中へ供給するように ている。これにより、圧縮機構(20)で冷媒を る程度昇温させてから、昇温後の冷媒を油 冷却することができる。このため、油と混 する冷媒が、油よりも低い温度になるのを 避でき、冷媒が油によって加熱されてしま のを防止できる。その結果、低温油によっ 冷媒を確実に冷却することができ、等温圧 による圧縮動力の低減効果を更に向上させ ことができる。

  〈実施形態1の変形例1〉
 上記実施形態1では、冷媒を膨張する膨張機 構として、容積型流体機械から成る膨張機構 (30)を用いるようにしている。しかしながら 図8に示すように、膨張機構として開度が調 自在な電子式の膨張弁(38)を用いて冷媒を減 圧するようにしても良い。

  《発明の実施形態2》
 本発明の実施形態2について説明する。実施 形態2では、冷媒回路(11)の構成が上記実施形 1と異なっている。図9に示すように、実施 態2の冷媒回路(11)では、圧縮機構(20)と膨張 構(30)とが一体となって膨張圧縮ユニット(C/E )に組み込まれ、回収機構(40)が油動力回収ユ ット(O)に組み込まれている。

 具体的に、膨張圧縮ユニット(C/E)は、圧 機構(20)と膨張機構(30)と膨張側出力軸(31)と 動機(25)とがケーシング(図示省略)内に収容 れて構成されている。圧縮機構(20)と膨張機 (30)とは、膨張側出力軸(31)を介して互いに 結している。つまり、膨張圧縮ユニット(C/E) では、膨張機構(30)で回収された冷媒のエネ ギーが、圧縮機構(20)の駆動動力として利用 れる。換言すると、圧縮機構(20)は、膨張機 構(30)の膨張側出力軸(31)と連結して駆動され 駆動対象を構成している。

 また、油動力回収ユニット(O)は、回収機 (40)と発電機(45)とがケーシング(図示省略)に 収容されて構成されている。回収機構(40)の 力軸(42)は、発電機(45)と連結されている。つ まり、油動力回収ユニット(O)では、回収機構 (40)で回収された油の動力(即ち、油のエネル ー)によって発電機(45)が駆動され、この発 機(45)で電力が発生する。発電機(45)で発生し た電力は、圧縮機構(20)や他の要素機械の駆 動力として利用される。

 実施形態2の空気調和装置(10)の冷房運転 には、圧縮膨張ユニット(C/E)の圧縮機構(20) 圧縮された冷媒が、油分離器(60)に流入する 油分離器(60)で油が分離された冷媒は、室外 熱交換器(12)で放熱した後、圧縮膨張ユニッ (C/E)の膨張機構(30)で膨張する。その結果、 張機構(30)で膨張する冷媒により得られた動 (即ち、膨張動力)が、圧縮機構(20)の駆動動 として利用される。膨張機構(30)で膨張した 冷媒は、室内熱交換器(13)で蒸発して室内の 房に利用された後、圧縮膨張ユニット(C/E)の 圧縮機構(20)に吸入される。

 一方、油分離器(60)で分離された油は、油 クーラ(80)で冷却された後、油動力回収ユニ ト(O)の回収機構(40)へ流入する。回収機構(40) では、油室(49)の油によって出力軸(42)が回転 動され、発電機(45)が駆動される。その結果 、発電機(45)で電力が発生する。

 回収機構(40)で動力が回収されて減圧した 油は、圧縮膨張ユニット(C/E)の圧縮機構(20)の 油インジェクションポート(24)へ流入する。 縮機構(20)では、圧縮途中の冷媒が油によっ 冷却されることで、冷媒が等温線に近づく うに圧縮される。その結果、冷媒の圧縮に する動力が軽減される。

 以上のように、本実施形態においても、 インジェクション量を比較的多めに設定す ことで、等温圧縮効果により、冷媒の圧縮 力が低減され、且つ昇圧後の油から回収さ る油の動力(即ち、油のエネルギー)も多く る。その結果、実施形態2においても、空気 和装置(10)のCOPが効果的に向上する。

  《発明の実施形態3》
 本発明の実施形態3について説明する。実施 形態3では、冷媒回路(11)の構成が上記各実施 態と異なっている。図10に示すように、実 形態3の冷媒回路(11)では、圧縮機構(20)が圧 ユニット(C)に組み込まれ、膨張機構(30)と回 機構(40)とが一体的に油動力回収型膨張ユニ ット(E/O)に組み込まれている。

 具体的に、圧縮ユニット(C)は、圧縮機構( 20)と駆動軸(21)と電動機(25)とがケーシング(図 示省略)に収容されて構成されている。圧縮 構(20)と電動機(25)とは、駆動軸(21)を介して いに連結している。つまり、圧縮ユニット(C )では、電動機(25)によって圧縮機構(20)が駆動 される。

 また、油動力回収型膨張ユニット(E/O)は 膨張機構(30)と回収機構(40)と発電機(45)とが ーシング(図示省略)に収容されて構成されて いる。回収機構(40)の出力軸(42)には、その端 に上記膨張機構(30)が連結し、その中間部に 発電機(45)が連結している。つまり、油動力 収型膨張ユニット(E/O)では、膨張機構(30)で 媒のエネルギーが回収され、且つ回収機構(4 0)で油のエネルギーが回収される。これらの ネルギーは、出力軸(42)を介して発電機(45) 駆動動力として利用される。換言すると、 電機(45)は、回収機構(40)及び膨張機構(30)と 力軸(42)を介して連結して駆動される駆動対 を構成している。その結果、発電機(45)では 、上記実施形態1の膨張ユニット(E)よりも多 の電力が発生する。発電機(45)で発生した電 は、圧縮機構(20)や他の要素機械の駆動動力 として利用される。

 実施形態3の空気調和装置(10)の冷房運転 には、圧縮ユニット(C)の圧縮機構(20)で圧縮 れた冷媒が、油分離器(60)に流入する。油分 離器(60)で油が分離された冷媒は、室外熱交 器(12)で放熱した後、油動力回収型膨張ユニ ト(E/O)の膨張機構(30)で膨張する。その結果 膨張機構(30)で膨張する冷媒により得られた 動力は、発電機(45)の発電に利用される。膨 機構(30)で膨張した冷媒は、室内熱交換器(13) で蒸発して室内の冷房に利用された後、圧縮 ユニット(C)の圧縮機構(20)に吸入される。

 一方、油分離器(60)で分離された油は、油 クーラ(80)で冷却された後、油動力回収型膨 ユニット(E/O)の回収機構(40)へ流入する。回 機構(40)では、油室(49)の油の動力によって出 力軸(42)が回転駆動され、発電機(45)が駆動さ る。その結果、発電機(45)で電力が発生する 。

 回収機構(40)で動力が回収されて減圧した 油は、油動力回収型膨張ユニット(E/O)を流出 、圧縮ユニット(C)の圧縮機構(20)の油インジ ェクションポート(24)へ流入する。圧縮機構(2 0)では、圧縮途中の冷媒が油によって冷却さ ることで、冷媒が等温線に近づくように圧 される。その結果、冷媒の圧縮に要する動 が軽減される。以上のように、本実施形態 おいても、油インジェクション量を比較的 めに設定することで、等温圧縮効果により 冷媒の圧縮動力が低減され、且つ昇圧後の から回収される油のエネルギーも多くなる その結果、実施形態3においても、空気調和 装置(10)のCOPが効果的に向上する。

  《発明の実施形態4》
 本発明の実施形態4について説明する。実施 形態4では、冷媒回路(11)の構成が上記各実施 態と異なっている。図11に示すように、実 形態4の冷媒回路(11)では、圧縮機構(20)と膨 機構(30)と回収機構(40)とが一体的に油動力回 収型膨張圧縮ユニット(C/E/O)に組み込まれて る。

 具体的に、油動力回収型膨張圧縮ユニッ (C/E/O)は、圧縮機構(20)と膨張機構(30)と回収 構(40)と電動機(25)とがケーシング(図示省略) に収容されて構成されている。回収機構(40) 出力軸(42)には、その端部に膨張機構(30)が連 結し、その中間部に圧縮機構(20)が連結して る。また、出力軸(42)には、膨張機構(30)と圧 縮機構(20)との間に電動機(25)が連結している 以上のように、油動力回収型膨張圧縮ユニ ト(C/E/O)では、膨張機構(30)で冷媒のエネル ーが回収され、且つ回収機構(40)で油のエネ ギーが回収される。これらの双方のエネル ーは、出力軸(42)を介して圧縮機構(20)を回 駆動する動力として利用される。換言する 、圧縮機構(20)は、回収機構(40)及び膨張機構 (30)と出力軸(42)を介して連結して駆動される 動対象を構成している。その結果、油動力 収型膨張圧縮ユニット(C/E/O)では、上記実施 形態1の油動力回収型圧縮ユニット(C/O)と比較 して、電動機(25)による圧縮機構(20)の駆動電 が軽減される。

 実施形態4の空気調和装置(10)の冷房運転 には、油動力回収型膨張圧縮ユニット(C/E/O) 圧縮機構(20)で圧縮された冷媒が、油分離器 (60)に流入する。油分離器(60)で油が分離され 冷媒は、室外熱交換器(12)で放熱した後、膨 張機構(30)で膨張する。その結果、膨張機構(3 0)で膨張した冷媒のエネルギーは、出力軸(42) を介して圧縮機構(20)の駆動動力として利用 れる。膨張機構(30)で膨張した冷媒は、室内 交換器(13)で蒸発して室内の冷房に利用され た後、圧縮ユニット(C)の圧縮機構(20)に吸入 れる。

 一方、油分離器(60)で分離された油は、油 クーラ(80)で冷却された後、回収機構(40)へ流 する。回収機構(40)では、油室(49)の油によ て出力軸(42)が回転駆動され、この出力軸(42) の回転動力が圧縮機構(20)の駆動動力として 用される。

 回収機構(40)でエネルギーが回収されて減 圧した油は、圧縮機構(20)の油インジェクシ ンポート(24)へ流入する。圧縮機構(20)では、 圧縮途中の冷媒が油によって冷却されること で、冷媒が等温線に近づくように圧縮される 。その結果、冷媒の圧縮に要する動力が軽減 される。以上のように、本実施形態において も、油インジェクション量を比較的多めに設 定することで、等温圧縮効果により、冷媒の 圧縮動力が低減され、且つ昇圧後の油から回 収される油のエネルギーも多くなる。その結 果、実施形態4においても、空気調和装置(10) COPが効果的に向上する。

  《発明の実施形態5》
 本発明の実施形態5について説明する。実施 形態5の空気調和装置(10)は、上述した各実施 態について、油インジェクション機構(100) コントローラ(95)とを付与したものである。

  〈圧縮機構及び油インジェクション機構 構成〉
 まず、実施形態5における圧縮機構(20)の概 構成と油インジェクション機構(100)の概要に ついて説明する。なお、この例では、上述の 実施形態1の空気調和装置(10)において、圧縮 構(20)に油インジェクション機構(100)を設け いる。

 図12に示すように、この圧縮機構(20)は、 記回収機構(40)と同様に、揺動ピストン型の ロータリ式流体機械で構成されている。圧縮 機構(20)は、圧縮室(26)を有し、この圧縮室(26) へ作動流体である冷媒として二酸化炭素を吸 入して、圧縮するように構成されている。ま た、油インジェクション機構(100)は、油イン ェクションポート(24)を開閉可能に構成され 、所定のタイミングで上記圧縮室(26)へ冷凍 油を供給するように構成されている。この 縮機構(20)は、上述したように油動力回収型 縮ユニット(C/O)のケーシング内に収納され いる。

 この圧縮機構(20)は、圧縮室(26)を有する リンダ(27)内でのピストン(28)の動作により冷 媒を吸入して圧縮するように構成されている 。また、この圧縮機構(20)は、圧縮室(26)が断 円形に形成されるとともに、ピストン(28)が 該圧縮室(26)内で偏心回転運動をするように 成されている。

 上記ピストン(28)は、出力軸であるクラン ク軸(42)のクランクピン(42c)に嵌合して偏心回 転運動をする環状部(28a)と、この環状部(28a) 一体に形成されたブレード(28b)とを有してい る。ブレード(28b)は、プレート状であって、 状部(28a)の径方向外側へ延在している。シ ンダ(27)は、ブレード(28b)を摺動可能に保持 る揺動ブッシュ(29)を有している。揺動ブッ ュ(29)は、それぞれほぼ半円形の吸入側ブッ シュ(29a)と吐出側ブッシュ(29b)とから構成さ ている。吸入側ブッシュ(29a)と吐出側ブッシ ュ(29b)は、一部で連結して一体にしてもよい

 シリンダ(27)には、圧縮室(26)へ冷媒を吸 するように一端が圧縮室(26)に開口した吸入 ート(22a)が形成されている。この吸入ポー (22a)の他端は、上記吸入ライン(17)の吸入管(2 2)と連通している。また、シリンダ(27)は、上 記回収機構(40)と同様に、軸方向の両端面を ぐ2枚の端板(27a,27b)(電動機側の端板(27a)をフ ントヘッドといい、電動機と反対側の端板( 27b)をリヤヘッドという)を有している。フロ トヘッド(27a)とリヤヘッド(27b)の一方には、 圧縮室(26)で圧縮された冷媒を油動力回収型 縮ユニット(C/O)のケーシング内の空間へ吐出 するための吐出ポート(23a)が形成されている この吐出ポート(23a)には吐出弁としてリー 弁(図示せず)が設けられていて、圧縮室(26) の圧力と上記油動力回収型圧縮ユニット(C/O) のケーシング内の圧力との圧力差が所定値に 達すると吐出ポート(23a)が開くようになって る。この油動力回収型圧縮ユニット(C/O)の ーシングには上記吐出管(23)が直に接続され おり、吐出ポート(23a)を流出した冷媒は、 出管(23)を経て冷媒回路(11)の吐出ライン(18) 吐出される。

 上記吸入ポート(22a)は、図12において縦軸 の上方向を0°の位置とすると、そこから横軸 の右方向へθsだけ角度をとった位置に設けら れている。また、上記油インジェクション機 構(100)は、シリンダ(27)に設けられた噴射ノズ ル部(101)を有し、この噴射ノズル部(101)は角 がθiの位置に設けられていて、油インジェ ションポート(24)を介して圧縮室(26)に連通し ている。以上の構成により、上記吸入ポート (22a)と油インジェクションポート(24)は、図13 示す吸入行程中には圧縮室(26)を介して互い に連通する位置に配置されていることになる 。

 上記油インジェクション機構(100)の噴射 ズル部(101)は、円筒状のインジェクションケ ース(102)と、このインジェクションケース(102 )の軸方向へスライド可能なスプール(103)と、 このスプール(103)を駆動する駆動機構(104)と 有している。インジェクションケース(102)の 一端には、上記油インジェクションポート(24 )と連通する油噴射口(105)が形成されている。 また、インジェクションケース(102)の他端に 、上述の油導入路(70)の第2導油管(72)と繋が 油供給管(106)が接続されている。

 上記スプール(103)は、油噴射口(105)側の端 部がテーパ状の弁部(107)として形成されてい 。油噴射口(105)は、インジェクションケー (102)の内面側が、スプール(103)の弁部(107)と じ角度のテーパ面により形成された弁座(108) になっている。この構成において、スプール (103)が後退して弁部(107)の外周面がインジェ ションケース(102)の弁座(108)の内周面から離 ると(図12の状態)、油供給管(106)から供給さ てきた冷凍機油が弁部(107)と弁座(108)の間の 隙間を通って油インジェクションポート(24) ら圧縮室(26)内へ噴射される。一方、スプー (103)が前進して弁部(107)の外周面がインジェ クションケース(102)の弁座(108)の内周面に圧 すると(図13の状態)、油供給管(106)から供給 れてきた冷凍機油は、インジェクションケ ス(102)内が密閉空間になるために、圧縮室(26 )へは噴射されなくなる。

 スプール(103)を軸方向へ進退させる駆動 構(104)としては、ソレノイド機構(109)が用い れている。ソレノイド機構(109)は、スプー (103)に固定された鉄心(110)と、インジェクシ ンケース(102)に固定されたコイル(111)とを有 している。インジェクションケース(102)内に 、スプール(103)を後退させる方向へバネ力 加えるコイルバネ(112)が設けられ、スプール (103)には、コイルバネ(112)の一端を受けるバ 受け(113)が固定されている。コイルバネ(112) 他端は、インジェクションケース(102)の油 射口(105)側の端面に接している。

 上記ソレノイド機構(109)のコイル(111)に電 流を流さない状態では、スプール(103)が可動 囲の後端まで後退する。このとき、鉄心(110 )はコイル(111)の中心から外れており、スプー ル(103)の弁部(107)と油噴射口(105)の弁座(108)と 間には隙間が形成されている(図12)。一方、 ソレノイド機構(109)のコイル(111)に電流を流 た状態では、コイルバネ(112)のバネ力に抗し て鉄心(110)がスプール(103)の前方へに引っ張 れ、スプール(103)の弁部(107)と油噴射口(105) 弁座(108)とが圧接する(図13)。このとき、上 の隙間がなくなり、インジェクションケー (102)の内部が密閉空間となる。

  〈コントローラの構成〉
 実施形態5の空気調和装置(10)は、上記油イ ジェクション機構(100)を制御する制御手段と して、コントローラ(95)を有している。

 上記圧縮機構(20)を制御するコントローラ (制御手段)(95)は、図14のブロック図に示すよ に構成されている。コントローラ(95)は、入 力値(諸元)読込部(96)と、測定値(または設定 )読込部(97)と、計算値決定部(98)とを有して る。入力値読込部(96)と測定値読込部(97)は、 計算値決定部(98)へ信号を送るように、この 算値決定部(98)と接続されている。計算値決 部(98)では、吸入ポート(22a)の位置θsと、油 ンジェクションポート(24)の位置θiと、クラ ンク軸(42)の回転速度ωと、クランク軸(42)の 転角度の現在値θcとに基づいて、インジェ ションタイミングが求められ、コントロー (95)から油インジェクション機構(100)へ制御 号が送られる。そして、この制御信号に基 いてソレノイド機構(109)のオンとオフが制御 され、油の噴射タイミングがコントロールさ れる。

 具体的には、圧縮機構(20)において吸入行 程と圧縮行程と吐出行程とを1サイクルとす 動作中に、吸入行程が終了する位置をイン ェクション開始点とし、吐出行程が終了す 前の位置(この実施形態ではピストン(28)が油 インジェクションポート(24)を通過する位置 達した点)をインジェクション終了点として コントローラ(95)が、インジェクション開始 点からインジェクション終了点の範囲の少な くとも一部で油インジェクション動作を行う ように上記油インジェクション機構(100)を制 する。特に、コントローラ(95)を、インジェ クション開始点からインジェクション終了点 の範囲の全体で油インジェクション動作を行 うように構成することが、その範囲の全域に わたって等温圧縮を行えるようにするために 好ましい。

  〈油インジェクション動作中の噴射ノズ 部の開閉タイミング〉
 次に、油インジェクション動作中の噴射ノ ル部(101)の開閉タイミングについて説明す 。

 まず、コントローラ(95)には、入力値読込 部(96)に、吸入ポート(22a)の位置θsと油インジ ェクション機構(100)の位置θiとが、予め設定 れた位置として入力されている。このコン ローラ(95)では、運転中のクランク軸(42)の 転速度ωと、クランク軸(42)の回転角度の現 値θcとが、測定値読込部(97)で測定される。 して、計算値決定部(98)において、これらの 値に基づいてインジェクションタイミングが 求められる。

 このインジェクションタイミングは、吸 行程と圧縮行程と吐出行程とを1サイクルと する動作中に、吸入行程が終了する位置をイ ンジェクション開始点θsとし、吐出行程が終 了する前の位置(具体的にはピストン(28)が油 ンジェクションポート(24)を通過する位置に 達した点)をインジェクション終了点θiとし 、インジェクション開始点θsからインジェ ション終了点θいの範囲の少なくとも一部か 、またはその範囲の全部で油インジェクショ ン動作を行うように定められる。この範囲の 全部で油インジェクション動作を行う場合は 、図12に示すようにピストン(28)がθsからθiの 範囲に位置しているときに油インジェクショ ン機構(100)の噴射ノズル部(101)のスプール(103) を後退させて油噴射口(105)を開口させ、図13 示すようにピストン(28)がθiからθsの範囲に 置しているときに油インジェクション機構( 100)の噴射ノズル部(101)のスプール(103)を前進 せて油噴射口(105)を閉塞することになる。

 そして、コントローラ(95)は、図14の計算 決定部(98)で求めたインジェクション時間δt の間だけ油噴射口(105)が開口されるようにイ ジェクションタイミングを決定して、油イ ジェクション機構(100)の油噴射口(105)を開閉 し、圧縮機構(20)への油インジェクション動 を制御する。

 ここで、従来の油インジェクション機構( 100)では、油噴射口(105)が常に開口していたの で、図25に示すようにピストン(28)がθiからθs の範囲に位置するときは、吸入ポート(22a)と インジェクションポート(24)が圧縮室(26)を して連通してしまい、油インジェクション ート(24)から圧縮室(26)に入った油が吸入ポー ト(22a)へ逆流してしまうことがあった。

 これに対して、本実施形態では、図12に すように、ピストン(28)がθsからθiの範囲に 置しているときは油インジェクション機構( 100)のスプール(103)を後退させて油噴射口(105) 開口させるようにしているので、その範囲 は正常なインジェクション動作を行うこと できるし、図13に示すようにピストン(28)が iからθsの範囲に位置しているときは油イン ェクション機構(100)のスプール(103)を前進さ せて油噴射口(105)を閉塞するようにしている で、その範囲では無駄な油インジェクショ 動作が行われない。

 以上のように、実施形態5では、吸入行程 と圧縮行程と吐出行程とを1サイクルとする ストン(28)の動作中に、吸入ポート(22a)と油 ンジェクションポート(24)が連しない間は油 ンジェクションポート(24)を開くようにして いるので、その間は油インジェクション動作 をすることによって上述した等温圧縮の効果 を充分に得ることができる。また、ピストン (28)の動作中に吸入ポート(22a)と油インジェク ションポート(24)が連通する間は油インジェ ションポート(24)を閉じるようにしているの 、その間は油が圧縮室(26)に流入するのを防 止できる。ピストン(28)の動作中に吸入ポー (22a)と油インジェクションポート(24)が連通 る間に油インジェクションポート(24)が開い いると、油インジェクションポート(24)から 圧縮室(26)に流入した冷凍機油が吸入ポート(2 2a)へ逆流して冷媒の吸入が妨げられるおそれ があるが、本実施形態では冷凍機油が吸入ポ ート(22a)へ逆流することはない。したがって 吸入損失が発生してしまうのを防止できる

 また、この実施形態では、圧縮機回転速 、吸入圧力、吐出圧力、エンタルピ、冷媒 環量などの多くの値から必要な冷却量を計 して液冷媒噴射装置の開口時間やインジェ ション量を算出したり、圧縮機入力を測定 てそれが最小値になるようにするための計 ロジックをコントローラ(95)に実装したりす る必要はなく、単純に吸入ポート(22a)位置を ンジェクション開始点θsとし、油インジェ ションポート(24)の位置をインジェクション 終了点θiとして、その範囲内でタイミングを とって油インジェクション動作を行うように しているため、油インジェクション機構(100) おけるインジェクションタイミングの算出 非常に容易になり、単純な計算ロジックを 装するだけで効果的な油インジェクション 可能となる。

 以上のことから、本実施形態によれば、 インジェクションによる等温圧縮を行う圧 機において、吸入損失を増加させることな 冷却に必要な大量の油をインジェクション ることができるとともに、複雑な制御をし くても効果的な等温圧縮の実現が可能とな 、大幅なシステム性能の向上が可能となる

  《発明の実施形態6》
 本発明の実施形態6について説明する。実施 形態6の空気調和装置(10)は、上記実施形態5と 同様の油インジェクション機構(100)を有する 方、実施形態5とコントローラ(95)の構成が なるものである。

  〈コントローラの構成〉
 実施形態6のコントローラ(95)は、図15のブロ ック図に示すように構成されている。コント ローラ(95)は、入力値(諸元)読込部(96)と、測 値(または設定値)読込部(97)と、計算値決定 (98)とを有している。入力値読込部(96)と測定 値読込部(97)は、計算値決定部(98)へ信号を送 ため、この計算値決定部(98)と接続されてい る。計算値決定部(98)では、シリンダ容積Vcと 、吸入ポート位置θsと、油インジェクション 位置θi(以上、入力値読込部(96)のデータ)と、 クランク軸(42)の回転速度ωと、クランク軸(42 )の回転角度の現在値θcと、吸入ガス温度Tsと 、冷媒回路(11)の低圧圧力Lpと、冷媒回路(11) 高圧圧力Hpと、インジェクション油温度Toと インジェクション油圧力Po(以上、測定値読 部(97)のデータ)とに基づいて、油インジェ ション動作のタイミングが求められる。つ り、圧縮途中の冷媒ガス温度をTrとしたとき に、Tr=Toとなるインジェクション開始位置θ1 、圧縮途中の冷媒ガス圧力をPrとしたとき Pr=Poとなるインジェクション終了位置θ2と、 θ1からθ2に達するまでのインジェクション時 間δtとが求められて、これらの値を表す制御 信号がコントローラ(95)から油インジェクシ ン機構(100)へ送られる。そして、この制御信 号に基づいてソレノイド機構(109)のオンとオ が制御され、油の噴射タイミングがコント ールされる。なお,圧縮途中の冷媒ガス温度 Trと圧縮途中の冷媒ガス圧力Prは,シリンダ容 Vcや吸入ポート位置θsなどの圧縮機諸元と 吸入ガス温度Tsや冷媒回路(11)の低圧圧力Lp、 冷媒回路(11)の高圧圧力Hpなどの測定値と、予 めコントローラに記録された冷媒物性データ とから算出する。図15中のインジェクション 始位置θ1とインジェクション終了点θ2の計 には、圧縮途中の冷媒ガス温度Trと圧縮途 の冷媒ガス圧力Prの算出過程(冷媒温度検出 段と冷媒圧力検出手段)も含まれている。

 具体的には、吸入行程と圧縮行程と吐出 程とを1サイクルとする動作中に、上記圧縮 室(26)内の冷媒の温度Trがインジェクションさ れる油の温度Toになる位置をインジェクショ 開始点θ1とし、圧縮室(26)内の冷媒の圧力Tr 吐出圧力Hpに達する位置をインジェクショ 終了点θ2として、コントローラ(95)が、イン ェクション開始点θ1からインジェクション 了点θ2の範囲の少なくとも一部で油インジ クション動作を行うように上記油インジェ ション機構(100)を制御する。特に、コント ーラ(95)を、インジェクション開始点θ1から ンジェクション終了点θ2の範囲の全体で油 ンジェクション動作を行うように構成する とが、その範囲の全域にわたって等温圧縮 行えるようにするために好ましい。

  〈油インジェクション動作中の噴射ノズ 部の開閉タイミング〉
 次に、油インジェクション動作中の噴射ノ ル部(101)の開閉タイミングについて説明す 。

 まず、コントローラ(95)には、入力値読込 部(96)に、シリンダ容積Vcと、吸入ポート位置 θsと、油インジェクション位置θiとが、予め 設定された位置として入力されている。この コントローラ(95)では、クランク軸(42)の回転 度ωと、クランク軸(42)の回転角度の現在値 cと、吸入ガス温度Tsと、冷媒回路(11)の低圧 力Lpと、冷媒回路(11)の高圧圧力Hpと、イン ェクション油温度Toと、インジェクション油 圧力Poとが、測定値読込部(97)で測定される。 そして、計算値決定部(98)において、これら 値に基づいて、インジェクションタイミン が求められる。具体的には、圧縮途中の冷 ガス温度をTrとしたときにTr=Toとなるインジ クション開始位置θ1と、圧縮途中の冷媒ガ 圧力をPrとしたときにPr=Hpとなるインジェク ション終了位置θ2と、θ1からθ2に達するまで のインジェクション時間δtとが求められて、 これらの値を表す制御信号がコントローラ(95 )から油インジェクション機構(100)へ送られる 。そして、この制御信号に基づいてソレノイ ド機構(109)のオンとオフが制御され、油の噴 タイミングがコントロールされる。

 このインジェクションタイミングは、吸 行程と圧縮行程と吐出行程とを1サイクルと する動作中に、上記圧縮室(26)内の冷媒の温 Trがインジェクションされる油の温度Toにな 位置をインジェクション開始点θ1とし、圧 室(26)内の冷媒の圧力Prが吐出圧力Hpに達す 位置をインジェクション終了点θ2として、 ントローラ(95)が、インジェクション開始点 1からインジェクション終了点θ2の範囲の少 くとも一部か、またはその範囲の全部で油 ンジェクション動作を行うように定められ 。この範囲の全部で油インジェクション動 を行う場合は、図16においてθ1のポイント らθ2のポイントまでの範囲の全体で行われ そのときに油インジェクション機構(100)のス プール(103)を後退させて油噴射口(105)を開口 せる。また、図17に示すようにピストン(28) θ2からθ1の範囲に位置しているときには、 インジェクション機構(100)のスプール(103)を 進させて油噴射口(105)を閉塞することにな 。

 そして、コントローラ(95)は、計算値決定 部(98)で求めたインジェクションタイミング 基づいて油インジェクション機構(100)の油噴 射口(105)を開閉し、圧縮機構(20)への油インジ ェクション動作を制御する。

 ここで、従来の油インジェクション機構( 100)では、油インジェクション動作時におい 、冷凍機油の温度Toが冷媒の温度Trよりも高 ときは冷媒が過熱されてしまい、過熱圧縮 よる動力損失が生じてしまうことになる。

 これに対して、本実施形態では、図16に すように、ピストン(28)がθ1からθ2の範囲に 置しているときは油インジェクション機構( 100)のスプール(103)を後退させて油噴射口(105) 開口させるようにしているので、その範囲 は冷媒の温度Trが冷凍機油の温度Toよりも高 い領域がなく、等温圧縮により仕事量を十分 に削減できる。また、図17に示すように、ピ トン(28)がθ2を過ぎてθ1に至るまでの範囲で は、油インジェクション機構(100)のスプール( 103)を前進させて油噴射口(105)を閉塞するよう にしているので、その範囲では、無駄な油イ ンジェクション動作が行われず、過熱圧縮に よる動力損失は生じない。

 以上のように、実施形態6では、吸入行程と 圧縮行程と吐出行程とを1サイクルとするピ トン(28)の動作中に、上記圧縮室(26)内の冷媒 の温度Trがインジェクションされる油の温度T oになる位置をインジェクション開始点θ1と 、圧縮室(26)内の冷媒の圧力が吐出圧力に達 る位置をインジェクション終了点θ2として インジェクション開始点θ1からインジェク ョン終了点θ2の範囲の少なくとも一部か、 たはその範囲の全部で油インジェクション 作を行うようにしている。θsからθiの範囲 全体でインジェクションを行う場合は、図1 8に示すように等温圧縮により削減される仕 量を相殺するように作用する仕事量が過熱 縮により発生していたのに対して、本実施 態によれば、θ1からθ2の範囲内でだけ油イ ジェクション動作を行うようにしたことに り、図19に示すように過熱圧縮による仕事量 が発生しないようにしているので、等温圧縮 による効果を高めることが可能となる。以上 のことから、本実施形態によれば、冷却に必 要な大量の油をインジェクションすることが できるし、過熱圧縮による動力損失も生じな いので、効果的な等温圧縮の実現が可能とな り、大幅なシステム性能の向上が可能とな
  《その他の実施形態》
 上記の各実施形態については、上述した各 成以外にも以下のような変形例の構成とす ことができる。

  〈変形例1〉
 上述した各実施形態において、油分離器(60) で冷媒中から分離した油を圧縮機構(20)の圧 途中ではなく、圧縮機構(20)の吸入側(低圧側 )へ供給するようにしても良い。即ち、例え 図20に示すように、上記各実施形態の油導入 路(70)は、分離後の油を圧縮機構(20)の吸入側 供給するように構成しても良い。なお、図2 0の例では、上述の実施形態1について、油導 路(70)の第2導油管(72)の終端を吸入ライン(17) に接続したものである。この変形例において も、油クーラ(80)で冷却した油により、圧縮 構(20)で圧縮される冷媒を同時に冷却するこ ができ、上述のような等温圧縮の効果を得 ことができる。

  〈変形例2〉
 上述した各実施形態において、油クーラ(80) で冷却した油を回収機構(40)へ供給するので なく、回収機構(40)でエネルギーを回収した を油クーラ(80)で冷却しても良い。即ち、例 えば図21に示すように、上記各実施形態につ て、油導入路(70)において油クーラ(80)を回 機構(40)の下流側に配置しても良い。なお、 21の例では、上述の実施形態1について、回 機構(40)の下流側に油クーラ(80)を配置して る。この変形例においても、回収機構(40)で のエネルギーを回収でき、且つ油クーラ(80) で冷却した油を圧縮機構(20)へ供給すること 、上述のような等温圧縮の効果を得ること できる。また、図21の変形例のようにすると 、圧縮機構(20)へ供給される直前の油を油ク ラ(80)で冷却することができるので、圧縮機 (20)へ安定して低温の油を供給できる。その 結果、上記の等温圧縮の効果を更に向上させ ることができる。

  〈変形例3〉
 上述した各実施形態において、例えば図22 示すように、冷媒回路(11)に内部熱交換器(90) を付与するようにしても良い。なお、図22の では、上述の変形例2(図21の例)について、 媒回路(11)に内部熱交換器(90)を接続している 。

 具体的に、内部熱交換器(90)は、第1流路(9 1)と第2流路(92)とを有し、両者の流路(91,92)を れる冷媒同士を熱交換させるものである。 1流路(91)は、冷媒回路(11)で放熱器(例えば冷 房運転時の室外熱交換器(12))で放熱した後、 張機構(30)へ流入する前の冷媒が流れる高圧 ライン(19)に接続されている。また、第2流路( 92)は、吸入ライン(17)に接続されている。従 て、内部熱交換器(90)では、第1流路(91)を高 冷媒が、第2流路(92)を流れる低圧冷媒によっ て冷却される。その結果、この変形例の冷房 運転時には、高圧側の冷媒の過冷却度が大き くなり、室内熱交換器(13)での冷房能力が向 する。また、第2流路(92)を流れる低圧冷媒は 、第1流路(91)を流れる高圧冷媒によって過熱 れるので、吸入過熱度が大きくなる。その 果、図22に示すように、低温の油を圧縮機 (20)の吸入側へ供給した場合にも、吸入冷媒 油よりも高温とすることができ、油による 媒の冷却効果を充分に得ることができる。

  〈変形例4〉
 上述した各実施形態において、例えば図23 示すように、油分離器(60)を他の箇所に設け ようにしても良い。なお、図23の例は、上 の実施形態1について、変形例3で述べた高圧 ライン(19)に油分離器(60)を配置している。こ 変形例においても、油分離器(60)には、圧縮 機構(20)で昇圧された油が溜まり込むので、 の油を回収機構(40)へ送ることで、この油の ネルギーを回収することができる。また、 の変形例では、冷房運転時の油分離器(60)に 溜まる油は、室外熱交換器(12)で放熱後の油 なる。つまり、この変形例の油分離器(60)に 、上記の各実施形態と比較して低温の油が まり込む。従って、この変形例の油インジ クション動作では、一層低温とした油を圧 機構(20)へ供給でき、上述の等温圧縮の効果 を更に向上させることができる。

  〈その他の変形例〉
 上述した各実施形態では、油分離器(60)で分 離した油を圧縮機構(20)へ供給することで、 縮機構(20)の圧縮行程で冷媒を等温圧縮させ ようにしている(図4を参照)。ここで、図4に 示す例では、圧縮行程の一部の期間(即ち、B からC点に至るまでの間)において、冷媒を 温圧縮させているが、圧縮行程の全期間に いて、冷媒を等温圧縮させても良い。また 圧縮行程の一部の期間は、図4の例に限られ ものではなく、異なるタイミングであって 良い。

 また、図4に示す等温圧縮は、圧縮行程中 に冷媒がほぼ等温線に沿うように圧縮されて いる。しかしながら、図4は、上述のように 想的な等温圧縮を例示したものに過ぎず、 発明の等温圧縮は、必ずしも図4に示すよう 挙動でなくても良い。具体的には、例えば 24に示すように、本発明の等温圧縮は、油 よって冷却される冷媒が等温線に対して少 ずつ離れてしまうような挙動で圧縮される のであっても良い。つまり、本発明の「等 圧縮」とは、圧縮行程中の冷媒が油によっ 冷却されることで、圧縮行程において、一 的な断熱圧縮と比較して冷媒が等温線に近 くように圧縮されること(つまり、いわゆる 似的な等温圧縮)を含むものである。

 上述した各実施形態では、油分離器(60)で 分離した油を積極的に圧縮機構(20)へ供給し いわゆる等温圧縮を行うものについて、本 明の回収機構(40)を適用するようにしている しかしながら、例えば圧縮機構(20)から流出 した油を、油戻し管を介して圧縮機構(20)の 入側へ返送し、圧縮機構(20)の潤滑不良を防 するような冷媒回路について、この油戻し に本発明の回収機構(40)を適用しても良い。 このようにしても、高圧の油の運動エネルギ ーを回収機構(40)によって回収することがで 、冷凍装置のCOPを改善することができる。

 また、上述した各実施形態の回収機構(40) の本体部(41)は、ロータリ式の容積型流体機 で構成されている。しかしながら、上記本 部(41)を例えばスクロール式の容積型流体機 で構成しても良いし、例えば非容積型の流 機械(例えばタービン式の非容積型の流体機 械)で構成するようにしても良い。また、上 の圧縮機構(20)や膨張機構(30)を他の形式の流 体機械で構成しても良いのは勿論のことであ る。

 また、上述した各実施形態において、冷 回路(11)に充填される冷媒として、他の冷媒 を用いるようにしても良い。また、冷媒回路 (11)の冷媒中に混在する油(冷凍機油)として他 の油を用いるようにしても良い。

 また、上述した各実施形態では、室内の 調を行う空気調和装置(10)について本発明を 適用しているが、例えば冷蔵庫や冷凍庫内を 冷却する冷凍装置や、他の冷凍装置に本発明 を適用しても良い。

 なお、以上の実施形態は、本質的に好ま い例示であって、本発明、その適用物、あ いはその用途の範囲を制限することを意図 るものではない。

 以上説明したように、本発明は、冷媒が 環して冷凍サイクルを行う冷媒回路を備え 冷凍装置について有用である。