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Title:
RESIN COMPOSITION CONTAINING THERMOPLASTIC POLYURETHANE AND HOT-MELT ADHESIVE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/149682
Kind Code:
A1
Abstract:
A thermoplastic-polyurethane-containing resin composition which can be melted at a low temperature, is capable of short-time bonding, and has excellent flexibility; and a hot-melt adhesive. The thermoplastic-polyurethane-containing resin composition has structural units derived from: one or more diol compounds (I) comprising a polyester-ether diol (A) obtained from an initiator (a), a dicarboxylic anhydride (b), and an alkylene oxide (c); a diisocyanate compound (II); and a chain extender (III). When the proportions by mass (mass%) of the three kinds of structural units are indicated by [I], [II], and [III], respectively, ([II]+[III])/([I]+[II]+[III]) is from 0.20 to 0.40. The resin composition has an NCO index of 0.9-1.0, and the proportion of the structural units derived from the dicarboxylic anhydride (b) in the polyester-ether diol (A) is 10-50 mass%.

Inventors:
NAKAMURA MAKITO (JP)
SATO HISASHI (JP)
ARAI TAKEAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/059464
Publication Date:
December 11, 2008
Filing Date:
May 22, 2008
Export Citation:
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Assignee:
ASAHI GLASS CO LTD (JP)
NAKAMURA MAKITO (JP)
SATO HISASHI (JP)
ARAI TAKEAKI (JP)
International Classes:
C08G18/65; C08G18/42; C09J7/00; C09J175/06
Domestic Patent References:
WO2005116102A12005-12-08
WO2005010068A12005-02-03
Foreign References:
JPH0372525A1991-03-27
JP2002504578A2002-02-12
JP2004075982A2004-03-11
JP2000017035A2000-01-18
JPH0115833A
JP2001011148A2001-01-16
JP2004143314A2004-05-20
JP2000336142A2000-12-05
JP2005126595A2005-05-19
Other References:
See also references of EP 2154168A4
Attorney, Agent or Firm:
SENMYO, Kenji et al. (SIA Kanda Square17, Kanda-konyacho, Chiyoda-k, Tokyo 35, JP)
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Claims:
 ジオール化合物(I)とジイソシアネート化合物(II)と鎖延長剤(III)とに由来する構成単位を有する熱可塑性ポリウレタンを含む樹脂組成物であって、
 前記ジオール化合物(I)、ジイソシアネート化合物(II)、および鎖延長剤(III)に由来する構成単位の質量割合(質量%)を、それぞれ[I]、[II]、[III]としたとき、([II]+[III])/([I]+[II]+[III])=0.20~0.40であり、
 前記ジオール化合物(I)のヒドロキシ基のモル数をM I 、前記ジイソシアネート化合物(II)のイソシアネート基のモル数をN II 、前記鎖延長剤(III)のイソシアネート基と反応し得る官能基のモル数をM III としたとき、N II /(M I +M III )=0.90~1.05の条件を満たしており、
 前記ジオール化合物(I)は、1分子あたり2個の活性水素原子を有する開始剤(a)とジカルボン酸無水物(b)とアルキレンオキシド(c)とに由来する構成単位を有するポリエステルエーテルジオール(A)を含有し、
 前記ジカルボン酸無水物(b)に由来する構成単位が、ポリエステルエーテルジオール(A)中に10~50質量%含有されていることを特徴とする熱可塑性ポリウレタンを含む樹脂組成物。
 前記ポリエステルエーテルジオール(A)におけるジカルボン酸無水物(b)とアルキレンオキシド(c)に由来する構成単位のモル比が、[アルキレンオキシド(c)の物質量(mol)]/[ジカルボン酸無水物(b)の物質量(mol)]=50/50~95/5である、請求項1に記載の熱可塑性ポリウレタンを含む樹脂組成物。
 前記開始剤(a)に由来する構成単位が、ポリエステルエーテルジオール(A)中に1~60質量%含有されている、請求項1または2に記載の熱可塑性ポリウレタンを含む樹脂組成物。
 前記ジカルボン酸無水物(b)が無水フタル酸である、請求項1~3のいずれかに記載の熱可塑性ポリウレタンを含む樹脂組成物。
 前記開始剤(a)の水酸基価換算分子量が62~4000である、請求項1~4のいずれかに記載の熱可塑性ポリウレタンを含む樹脂組成物。
 前記ジオール化合物(I)とジイソシアネート化合物(II)とを反応させてイソシアネート基末端プレポリマーを合成し、その後に、該イソシアネート基末端プレポリマーと鎖延長剤(III)とを反応させることにより得られる、請求項1~5のいずれかに記載の熱可塑性ポリウレタンを含む樹脂組成物。
 ジオール化合物(I)とジイソシアネート化合物(II)とを反応させてイソシアネート基末端プレポリマーを合成し、その後に、該イソシアネート基末端プレポリマーと鎖延長剤(III)とを反応させる熱可塑性ポリウレタンを含む樹脂組成物の製造方法であって、
 前記ジオール化合物(I)、ジイソシアネート化合物(II)、および鎖延長剤(III)の質量割合(質量%)を、それぞれ[I]、[II]、[III]としたとき、([II]+[III])/([I]+[II]+[III])=0.20~0.40であり、
 前記ジオール化合物(I)のヒドロキシ基のモル数をM I 、前記ジイソシアネート化合物(II)のイソシアネート基のモル数をN II 、前記鎖延長剤(III)のイソシアネート基と反応し得る官能基のモル数をM III としたとき、N II /(M I +M III )=0.90~1.05の条件を満たしており、
 前記ジオール化合物(I)は、1分子あたり2個の活性水素原子を有する開始剤(a)とジカルボン酸無水物(b)とアルキレンオキシド(c)とに由来する構成単位を有するポリエステルエーテルジオール(A)を含有し、
 前記ジカルボン酸無水物(b)に由来する構成単位が、ポリエステルエーテルジオール(A)中に10~50質量%含有されている
 ことを特徴とする熱可塑性ポリウレタンを含む樹脂組成物の製造方法。
 請求項1~6のいずれかに記載の熱可塑性ポリウレタンを含む樹脂組成物を含有するホットメルト接着剤。
 衣料繊維用接着フィルムである、請求項8に記載のホットメルト接着剤。
Description:
熱可塑性ポリウレタンを含む樹 組成物およびホットメルト接着剤

 本発明は、熱可塑性ポリウレタンを含む 脂組成物および該樹脂組成物を含有するホ トメルト接着剤に関する。

 ホットメルト接着剤に用いられる熱可塑 ポリウレタンを含む樹脂組成物(以下、ポリ ウレタン樹脂ということがある。)は、主に ポリエステルジオール、ポリエーテルジオ ル等の高分子量ジオールとジイソシアネー 化合物、および鎖延長剤である低分子量ジ ールを反応させることにより得られる。該 ットメルト接着剤は、破断伸度が大きい点 、100%モジュラス(100%伸張時における弾性応 )が低いために風合いが良い点等から衣料用 の接着剤として広く使用されている。

 しかし、該ホットメルト接着剤を耐熱性 低い被着体に使用する場合には、被着体を 護する理由から加熱温度や加熱時間に制限 ある。そのため、ホットメルト接着剤が充 に溶融せず被着体に含浸し難いため、高い 着性が得られないことがあった。また、接 工程のサイクルタイムを短縮させることも 要であるため、低温かつ短時間の加熱で高 接着性が得られるホットメルト接着剤が望 れている。

 低温・短時間で接着できるホットメルト 着剤に用いることのできるポリウレタン樹 としては、ジイソシアネート化合物と水酸 含有化合物(ジオール化合物および鎖延長剤 )との混合比率を調整し、ポリウレタン樹脂 分子量を下げることで溶融温度を低くする のが考えられる。しかし、該ポリウレタン 脂は溶融温度が若干低下するが、樹脂強度 低下してしまうために接着性も低下すると う問題がある。

 特許文献1では、メチル基やエチル基等の 側鎖を有する鎖延長剤を用いて、溶融温度を 低下させたポリウレタン樹脂が例示されてい る。しかし、該ポリウレタン樹脂は溶融温度 が低くなっているものの、ハードセグメント (ジイソシアネート化合物からなる部分)の凝 力が低下してしまうため、樹脂強度も低く ってしまう。

 特許文献2では、分子量400~800の高分子量 リオールと、分子量60~140の低分子量ポリオ ルとを併用し、低温でのラミネート加工性 よび接着性を改善したポリウレタン樹脂が 示されている。しかし、該ポリウレタン樹 は、前記高分子量ポリオールの分子量が通 用いられるものに比べて小さく、ハードセ メント間距離が短くなる。そのため、硬い リウレタン樹脂しか得られず、衣料等の柔 かい被着体の接着に用いた場合に、被着体 風合いが損なわれてしまうという問題があ 。

 また、従来、ホットメルト接着剤に用いら るジオール化合物としては、主に脂肪族ポ エステルジオール、ポリカプロラクトンジ ール等の結晶性ポリオールがあるが、該結 性ポリオールを用いた場合には、樹脂強度 柔軟性とをバランスよく兼ね備えることが しい。そのため、樹脂強度や接着性を高く ると、柔軟性が損なわれてしまうという問 がある。
 前記の問題を解決するためには、結晶性ポ オールに、ポリオキシプロピレンジオール ような非結晶性のジオール化合物を混合さ ることが考えられる。しかし、結晶性ポリ ールとポリオキシプロピレンジオールとは 溶性が悪く、分離または白濁が起こるため 製造上および外観上の問題がある。

 また、熱可塑性ポリウレタンを含む樹脂組 物としては、ポリオキシプロピレンポリオ ル等の開始剤にアルキレンオキシドおよび クトンを共重合させて得られるポリエステ エーテルポリオールを用いたものや(特許文 献3)、ポリエステルポリオールと、オキシエ レン鎖を有するポリオールと、ポリイソシ ネート化合物とを反応させたものがある(特 許文献4)。しかし、該ポリウレタン樹脂では ホットメルト接着剤としての用途は想定さ ておらず、仮に当該用途においても高い接 性が得られない。
 以上のように、低温・短時間で高い接着性 得られ、柔軟性の高いホットメルト接着剤 得ることは困難であった。したがって、溶 温度が低く、柔軟性に優れ、短時間の加熱 高い接着性を有するホットメルト接着剤が られる、ポリウレタン樹脂が望まれている

特開2000-336142号公報

特開2005-126595号公報

国際公開第05/116102号パンフレット

国際公開第05/010068号パンフレット

 本発明は、低温で溶融でき、短時間の加 で充分な接着性が得られ、かつ柔軟性に優 た熱可塑性ポリウレタンを含む樹脂組成物 よび該熱可塑性ポリウレタンを含む樹脂組 物を含有したホットメルト接着剤を提供す 。

 本発明の熱可塑性ポリウレタンを含む樹脂 成物は、ジオール化合物(I)とジイソシアネ ト化合物(II)と鎖延長剤(III)とに由来する構 単位を有する熱可塑性ポリウレタンを含み 前記ジオール化合物(I)、ジイソシアネート 合物(II)、および鎖延長剤(III)に由来する構 単位の質量割合(質量%)を、それぞれ[I]、[II] 、[III]としたとき、([II]+[III])/([I]+[II]+[III])=0.20 ~0.40であり、前記ジオール化合物(I)のヒドロ シ基のモル数をM I 、前記ジイソシアネート化合物(II)のイソシ ネート基のモル数をN II 、前記鎖延長剤(III)のイソシアネート基と反 し得る官能基のモル数をM III としたとき、N II /(M I +M III )=0.90~1.05の条件を満たしている。
また、前記ジオール化合物(I)は、1分子あた 2個の活性水素原子を有する開始剤(a)とジカ ボン酸無水物(b)とアルキレンオキシド(c)と 由来する構成単位を有するポリエステルエ テルジオール(A)を含有し、前記ジカルボン 無水物(b)に由来する構成単位が、ポリエス ルエーテルジオール(A)中に10~50質量%含有さ ている。

 本発明の熱可塑性ポリウレタンを含む樹脂 成物は、前記ポリエステルエーテルジオー (A)におけるジカルボン酸無水物(b)とアルキ ンオキシド(c)に由来する構成単位のモル比 、[アルキレンオキシド(c)の物質量(mol)]/[ジ ルボン酸無水物(b)の物質量(mol)]=50/50~95/5で るのが好ましい。
 また、前記開始剤(a)に由来する構成単位が ポリエステルエーテルジオール(A)中に1~60質 量%含有されているのが好ましい。
 また、前記ジカルボン酸無水物(b)は無水フ ル酸であるのが好ましく、前記開始剤(a)の 酸基価換算分子量は62~4000であるのが好まし い。
 また、本発明の熱可塑性ポリウレタンを含 樹脂組成物は、前記ジオール化合物(I)とジ ソシアネート化合物(II)とを反応させ、その 後に、鎖延長剤(III)を加えて反応させて得ら たものであるのが好ましい。

 本発明の熱可塑性ポリウレタンを含む樹脂 成物の製造方法は、ジオール化合物(I)とジ ソシアネート化合物(II)とを反応させてイソ シアネート基末端プレポリマーを合成し、そ の後に、該イソシアネート基末端プレポリマ ーと鎖延長剤(III)とを反応させる方法であっ 、前記ジオール化合物(I)、ジイソシアネー 化合物(II)、および鎖延長剤(III)の質量割合( 質量%)を、それぞれ[I]、[II]、[III]としたとき ([II]+[III])/([I]+[II]+[III])=0.20~0.40であり、前記 オール化合物(I)のヒドロキシ基のモル数をM I 、前記ジイソシアネート化合物(II)のイソシ ネート基のモル数をN II 、前記鎖延長剤(III)のイソシアネート基と反 し得る官能基のモル数をM III としたとき、N II /(M I +M III )=0.90~1.05の条件を満たしており、前記ジオー 化合物(I)は、1分子あたり2個の活性水素原 を有する開始剤(a)とジカルボン酸無水物(b) アルキレンオキシド(c)とに由来する構成単 を有するポリエステルエーテルジオール(A) 含有し、前記ジカルボン酸無水物(b)に由来 る構成単位が、ポリエステルエーテルジオ ル(A)中に10~50質量%含有されていることを特 とする。
 また、本発明のホットメルト接着剤は、前 熱可塑性ポリウレタンを含む樹脂組成物を 有する。
 また、本発明のホットメルト接着剤は、衣 繊維用接着フィルムとして使用するのが好 しい。

 本発明の熱可塑性ポリウレタンを含む樹脂 成物は、溶融温度が低く、短時間の加熱で 分な接着性が得られ、かつ柔軟性が高い。
 また、本発明によれば、前記熱可塑性ポリ レタンを含む樹脂組成物を含有し、溶融温 が低く、短時間での接着性および柔軟性に れたホットメルト接着剤が提供できる。

 [ポリウレタン樹脂]
 本発明の熱可塑性ポリウレタンを含む樹脂 成物(以下、ポリウレタン樹脂とする。)は ジオール化合物(I)とジイソシアネート化合 (II)と鎖延長剤(III)とに由来する構成単位を する熱可塑性ポリウレタンを含有する。
 ジオール化合物(I)は、開始剤(a)とジカルボ 酸無水物(b)とアルキレンオキシド(c)とに由 する構成単位を有するポリエステルエーテ ジオール(A)を含有する。

 (開始剤(a))
 開始剤(a)は、1分子あたり2個の活性水素原 を有する化合物であればよく、ポリエーテ ジオール、ポリエステルエーテルジオール ポリエステルジオール、2価アルコール類が げられる。中でも、得られるポリエステル ーテルジオール(A)の粘度が低く、作業性に れることからポリエーテルジオールが好ま い。
 ポリエーテルジオールは、2価アルコール類 にアルキレンオキシドを付加することにより 得られる、水酸基あたりの水酸基価換算分子 量が300~4000の化合物であり、後述するポリエ テルエーテルジオール(A)の製造の際に触媒( x)として複合金属シアン化物錯体触媒を用い 場合に好ましい。
 2価アルコール類としては、たとえば、エチ レングルコール、ジエチレングリコール、ポ リエチレングリコール、プロピレングリコー ル、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジ ールが挙げられる。

 開始剤(a)の水酸基価換算分子量は62~4000で あるのが好ましく、400~2000であるのがより好 しい。前記水酸基価換算分子量が62以上で れば、得られるポリウレタン樹脂が柔軟性 有する。また、前記水酸基価換算分子量が40 00以下であれば、得られるポリウレタン樹脂 機械強度および接着性が向上する。

 開始剤(a)由来の構成単位は、ポリエステ エーテルジオール(A)中に1~60質量%含有され のが好ましく、10~60質量%含有されるのがよ 好ましい。開始剤(a)由来の構成単位の含有 が1質量%以上であれば、目的のポリエステル エーテルジオール(A)が得やすい。また、開始 剤(a)由来の構成単位の含有量が60質量%以下で あれば、ポリエステルエーテルジオール(A)中 のジカルボン酸無水物(b)の含有量を多くでき るため、得られるポリウレタン樹脂の機械物 性、接着特性が向上する。

 (ジカルボン酸無水物(b))
 ジカルボン酸無水物(b)としては、たとえば 無水フタル酸などの芳香族ジカルボン酸無 物;ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒド ロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フ タル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸な どの脂環族ジカルボン酸無水物;無水マレイ 酸、無水コハク酸、ドデセニル無水コハク 、オクタデセニル無水コハク酸などの飽和 たは不飽和脂肪族ジカルボン酸無水物など 挙げられる。なかでも、無水フタル酸が好 しい。該理由は、芳香族のジカルボン酸無 物である無水フタル酸は極めて凝集力や極 が高く、各種被着体への接着性に寄与が大 いことである。

 ジカルボン酸無水物(b)由来の構成単位は ポリエステルエーテルジオール(A)中に10~50 量%含有される。また、該含有量は15~40質量% あるのが好ましい。ジカルボン酸無水物(b) 来の構成単位の含有量が10質量%以上であれ 、接着性に優れたポリウレタン樹脂が得ら る。また、ジカルボン酸無水物(b)由来の構 単位の含有量が50質量%以下であれば、柔軟 に優れたポリウレタン樹脂が得られる。

 (アルキレンオキシド(c))
 アルキレンオキシド(c)としては、炭素数2~4 アルキレンオキシドであるのがよく、たと ば、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキ シド、2,3-ブチレンオキシド、エチレンオキ ドが挙げられる。アルキレンオキシドは1種 みを用いても、2種以上を併用してもよい。 アルキレンオキシド(c)は、エチレンオキシド 、またはプロピレンオキシドを用いるのが好 ましく、プロピレンオキシドのみを用いるの がより好ましい。

 アルキレンオキシド(c)は、ジカルボン酸 水物(b)に対するモル比が、[アルキレンオキ シド(c)の物質量(mol)]/[ジカルボン酸無水物(b) 物質量(mol)]=50/50~95/5であるのが好ましく、50 /50~80/20であるのがより好ましい。アルキレン オキシド(c)とジカルボン酸無水物(b)とのモル 比が前記下限値以上であれば、ポリエステル エーテルジオール(A)中の未反応のジカルボン 酸無水物(b)の量が抑えられ、ポリエステルエ ーテルジオール(A)の酸価を低くできる。また 、アルキレンオキシド(c)のモル比が、前記上 限値以下であれば、得られるポリウレタン樹 脂の接着性および柔軟性が向上する。

 また、アルキレンオキシド(c)をジカルボン 無水物(b)に対して過剰に添加し、末端にア キレンオキシド(c)をブロックで付加反応さ ることにより、得られるポリエステルエー ルジオール(A)の酸価を低減できる。
 また、ポリエステルエーテルジオール(A)の 重合鎖(ジカルボン酸無水物(b)とアルキレン オキシド(c)とが共重合する部分)中では、ジ ルボン酸無水物(b)とアルキレンオキシド(c) が交互に付加反応していたり、アルキレン キシド(c)がブロック付加反応していたりす 。しかし、ジカルボン酸無水物(b)とアルキ ンオキシド(c)ではジカルボン酸無水物(b)の が反応性に優れ、且つジカルボン酸無水物(c )は連続して付加反応しないため、共重合鎖 のアルキレンオキシド(c)ブロックはアルキ ンオキシド(c)数個程度と短い。そのため、 始剤(a)の水酸基価換算分子量および末端部 のアルキレンオキシド(c)の付加量を調整す ことでポリエステルエーテルジオール(A)の 体の構造が設計できる。

 (ポリエステルエーテルジオール(A))
 ポリエステルエーテルジオール(A)は、水酸 あたりの水酸基価換算分子量が250~10000であ のが好ましく、1000~10000であるのがより好ま しく、1000~5000であるのがさらに好ましい。水 酸基あたりの水酸基価換算分子量が250以上で あれば、得られるポリウレタン樹脂の機械物 性・柔軟性が向上し、また被着体への接着性 が向上する。また、水酸基あたりの水酸基価 換算分子量が10000以下であれば、得られるポ ウレタン樹脂の機械物性が向上し、粘度を くしやすい。
 ポリエステルエーテルジオール(A)の水酸基 換算分子量は、開始剤(a)に共重合させるジ ルボン酸無水物(b)およびアルキレンオキシ (c)のモル数を適宜調整することによって容 に調整できる。
 なお、水酸基価換算分子量とは、そのポリ ールの水酸基数に基づいて、以下の式を用 て計算された分子量を意味している。
 〔水酸基価換算分子量〕=(56100/〔水酸基価 )×〔ポリオールの水酸基数〕

 また、ポリエステルエーテルジオール(A)は 共重合鎖あたりの平均分子量(M’)が、100~300 0であることが好ましく、200~2000であることが より好ましい。ただし、共重合鎖あたりの平 均分子量(M’)とは、ジカルボン酸無水物(b)お よびアルキレンオキシド(c)の共重合によって 形成される共重合鎖1つあたりの平均分子量 意味しており、水酸基価換算分子量から開 剤(a)の水酸基価換算分子量を除き、該分子 を開始剤(a)の官能基数で割った値である。
 共重合鎖あたりの平均分子量(M’)が100以上 あれば、得られるポリウレタン樹脂の接着 が向上する。また、共重合鎖あたりの平均 子量(M’)が3000以下であれば、得られるポリ エステルエーテルジオール(A)の粘度が高くな り過ぎない。共重合鎖あたりの平均分子量(M )は、水酸基価換算分子量と同様に、開始剤 (a)に対して共重合させるジカルボン酸無水物 (b)およびアルキレンオキシド(c)のモル数を適 宜調整することによって容易に調整できる。

 ポリエステルエーテルジオール(A)の酸価 2.0mgKOH/g以下であるのが好ましく、1.0mgKOH/g 下であるのがより好ましく、ゼロであって よい。ポリエステルエーテルジオール(A)の 価が2.0mgKOH/g以下であれば、ジイソシアネー 化合物との反応性が良くなり、また得られ ポリウレタン樹脂の耐加水分解性が向上す 。

 (ジオール化合物(I))
 ジオール化合物(I)は、ポリエステルエーテ ジオール(A)以外に他のジオール(B)を含んで てもよい。
 他のジオール(B)としては、たとえば、ポリ ステルエーテルジオール(A)以外のポリエス ルエーテルジオール;1分子あたりの活性水 原子数が2個である化合物を開始剤としてア キレンオキシドを開環付加重合させて得ら る、ポリオキシプロピレンジオール、ポリ キシエチレンジオール、若しくはポリオキ エチレンプロピレンジオール;2価アルコー 類と2価カルボン酸とを縮合反応させて得ら るポリエステルジオール;2価アルコール類 開始剤としてラクトンモノマーを開環付加 合させて得られる、ポリエステルジオール ポリオキシテトラメチレンジオール、ポリ ーボネートジオール等が挙げられる。
 他のジオール(B)の水酸基あたりの水酸基価 算分子量は、250~10000が好ましく、1000~10000が より好ましく、1000~5000がさらに好ましい。

 ジオール化合物(I)(100質量%)中のポリエステ エーテルジオール(A)の含有量は、30質量%以 であるのが好ましく、50質量%以上であるの より好ましく、実質的に100質量%であるのが さらに好ましい。
 ジオール化合物(I)の水酸基あたりの水酸基 換算分子量は250~10000が好ましく、1000~10000が より好ましく、1000~5000が特に好ましい。

 (ジイソシアネート化合物(II))
 ジイソシアネート化合物(II)は、ジオール化 合物(I)および鎖延長剤(III)と反応させてポリ レタン樹脂が得られるものであればよく、 とえば、ジフェニルメタンジイソシアネー 、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリ ンジイソシアネート等の芳香族ジイソシア ート化合物;キシリレンジイソシアネート、 タテトラメチルキシレンジイソシアネート のアラルキルジイソシアネート化合物;ヘキ サメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチ ルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪 族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイ シアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキ シルイソシアネート)等の脂環族ジイソシア ート化合物;ならびに、前記ジイソシアネー 化合物から得られるウレタン変性体が挙げ れる。なかでも、高分子ジオールとの反応 に優れていること、および得られるポリウ タン樹脂の樹脂強度・接着性が良好である とから、芳香族ジイソシアネートおよび該 レタン変性体が好ましく、ジフェニルメタ ジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシア ネート、2,6-トリレンジイソシアネート、な びに該ウレタン変性体であるのが好ましい
 ジイソシアネート化合物(II)は1種を単独で いてもよく、2種以上を併用してもよい。

 (鎖延長剤(III))
 鎖延長剤(III)は、イソシアネート基と反応 うる官能基を2つ有する化合物であり、水酸 価換算分子量が500以下のものが好ましく、3 00以下のものがより好ましい。官能基として 、ヒドロキシ基、1級もしくは2級のアミノ が好ましい。
 鎖延長剤(III)としては、たとえば、エチレ グリコール、プロピレングリコール、1,4-ブ ンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘ サンジオール等の2価アルコール類;エタノー ルアミン、アミノプロピルアルコール、3-ア ノシクロヘキシルアルコール、p-アミノベ ジルアルコール等のアミノアルコール類;エ レンジアミン、1,2-プロピレンジアミン、1,4 -ブチレンジアミン、2,3-ブチレンジアミン、 キサメチレンジアミン、シクロヘキサンジ ミン、ピペラジン、キシリレンジアミン、 リレンジアミン、フェニレンジアミン、ジ ェニルメタンジアミン、3,3’-ジクロルジフ ェニルメタンジアミン等のジアミン類;ヒド ジン、モノアルキルヒドラジン、1,4-ジヒド ジノジエチレン等のヒドラジン類;カルボヒ ドラジド、アジピン酸ヒドラジド等のジヒド ラジド類等が挙げられる。なかでも、2価ア コール類が好ましい。
 鎖延長剤(III)は、1種を単独で使用してもよ 、2種以上を併用してもよい。

 (ポリウレタン樹脂の構成)
 本発明の熱可塑性ポリウレタンを含む樹脂 成物は、以上説明した、ジオール化合物(I) ジイソシアネート化合物(II)と鎖延長剤(III) に由来する構成単位を有する熱可塑性ポリ レタンを含み、前記ジオール化合物(I)、ジ ソシアネート化合物(II)、および鎖延長剤(II I)に由来する構成単位の質量割合(質量%)を、 れぞれ[I]、[II]、[III]としたとき、([II]+[III])/ ([I]+[II]+[III])=0.20~0.40である。また、前記式の は0.20~0.35であるのが好ましい。
 前記式の値が0.20以上であれば、ポリウレタ ン樹脂は充分な接着性を有し、溶融温度が低 くなりすぎない。また、前記式の値が0.40以 であれば、ポリウレタン樹脂は充分な柔軟 を有する。

 また、ジオール化合物(I)およびジイソシア ート化合物(II)および鎖延長剤(III)は、ジオ ル化合物(I)のヒドロキシ基のモル数をM I 、鎖延長剤(III)のイソシアネート基と反応し る官能基のモル数をM III 、ジイソシアネート化合物(II)のイソシアネ ト基のモル数をN II としたとき、N II /(M I +M III )=0.90~1.05の条件を満たす。また、前記式の値 0.90~1.02であるのが好ましく、0.92~0.98である がより好ましい。前記式の値が0.90以上であ れば、得られるポリウレタン樹脂が優れた機 械強度を有する。また、前記式の値が1.05以 であれば、得られるポリウレタン樹脂が優 た加熱流動性を有する。
 ただし、鎖延長剤(III)のイソシアネート基 反応し得る官能基のモル数とは、ヒドロキ 基と、1級もしくは2級のアミノ基の合計のモ ル数を意味する。

 熱可塑性ポリウレタンを含む樹脂組成物 、熱可塑性ポリウレタン以外に安定剤を含 でいてもよい。安定剤としては、酸化防止 、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種安定剤 挙げられる。前記安定剤の添加量は、ポリ レタン樹脂100質量部に対して0.1~5質量部で るのが好ましく、0.1~1質量部がより好ましい 。

 [ホットメルト接着剤]
 本発明のホットメルト接着剤は、以上説明 たポリウレタン樹脂を含有する接着剤であ 。ホットメルト接着剤は、ポリウレタン樹 以外に必要に応じて各種添加剤を含有でき 。
 添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収 、光安定剤等の各種安定剤が挙げられる。
前記添加剤の添加量は、ポリウレタン樹脂100 質量部に対して0.1~5質量部であるのが好まし 。
 また、本発明においては可塑剤を使用しな ても充分な柔軟性と接着性が両立できるが 場合により添加剤として可塑剤を含有させ ことで柔軟性および加熱流動性が調整でき 。可塑剤の添加量は、ポリウレタン樹脂100 量部に対して0~20質量部であるのが好ましく 、0超~10質量部がより好ましい。可塑剤の添 量が20質量部以下であれば、可塑剤のブリー ドアウト(滲み出し)による接着性の低下の影 が少なくなる。
 また、本発明のホットメルト接着剤は、衣 用フィルムとして用いることができる。

 [ポリウレタン樹脂の製造方法]
 以下、本発明の熱可塑性ポリウレタンを含 樹脂組成物の製造方法について説明する。
 本発明におけるポリエステルエーテルジオ ル(A)は、開始剤(a)に、ジカルボン酸無水物( b)およびアルキレンオキシド(c)を共重合させ ことにより製造できる。ポリエステルエー ルジオール(A)の製造には、重合反応の速度 高い点から、触媒(x)を用いるのが好ましい

 (触媒(x))
 触媒(x)としては、開環付加重合触媒が好適 用いられ、たとえば、水酸化カリウム、水 化セシウム等のアルカリ触媒;複合金属シア ン化物錯体触媒;ホスファゼン触媒が挙げら る。なかでも、重量平均分子量と数平均分 量との比(Mw/Mn)の値がより小さいポリエステ エーテルジオール(A)が得られることから、 合金属シアン化物錯体触媒がより好ましい

 複合金属シアン化物錯体触媒としては、 鉛ヘキサシアノコバルテート錯体に有機配 子が配位したものが好ましい。有機配位子 しては、エチレングリコールジメチルエー ル、ジエチレングリコールジメチルエーテ 等のエーテル類や、tert-ブチルアルコール ようなアルコール類が好ましい。

 触媒(x)の使用量は、生成物であるポリエ テルエーテルジオール(A)に対して0.0001~0.1質 量%とするのが好ましく、0.003~0.03質量%とする のがより好ましい。触媒(x)の使用量を0.0001質 量%以上とすれば、重合反応が充分に進行す 。また、触媒(x)の使用量を0.1質量%以下とす ば、残存触媒の悪影響が少なくなる。

 (ポリエステルエーテルジオール(A)の製造方 法)
 ポリエステルエーテルジオール(A)の製造方 としては、下記のようにするのがよい。
 まず、開始剤(a)、ジカルボン酸無水物(b)、 よび触媒(x)を予め反応容器に投入しておき そこにアルキレンオキシド(c)をゆっくりと えながら反応させる。
 該反応では、ジカルボン酸無水物(b)の開環 応がアルキレンオキシド(c)の開環反応より 早く、ジカルボン酸無水物(b)は連続して付 反応しないため、ジカルボン酸無水物(b)と ルキレンオキシド(c)とが交互に付加した共 合鎖を有するポリエステルエーテルジオー (A)が得られる。

 ついで、得られたポリエステルエーテルジ ール(A)を含有するジオール化合物(I)と、ジ ソシアネート化合物(II)と鎖延長剤(III)とを 応させてポリウレタン樹脂を得る。
 ポリウレタン樹脂を得る方法としては、(1) オール化合物(I)とジイソシアネート化合物( II)と鎖延長剤(III)とを一度に反応させる方法( ワンショット法)、(2)予めジオール化合物(I) ジイソシアネート化合物(II)とを反応させて ソシアネート基末端プレポリマーを合成し その後に鎖延長剤(III)をさらに加えて鎖延 反応を行う方法(プレポリマー法)等の公知の 方法が挙げられる。本発明のポリウレタン樹 脂は、加工性形成に優れる点から(2)のプレポ リマー法により製造されるのが好ましい。

 (プレポリマー法)
 以下、プレポリマー法を用いたポリウレタ 樹脂の製造方法について説明する。
 ジオール化合物(I)とジイソシアネート化合 (II)とを予め反応させてイソシアネート基末 端プレポリマーを合成する方法としては公知 のものが利用でき、たとえば、ジオール化合 物(I)とジイソシアネート化合物(II)とを乾燥 素気流下、60~100℃で1~20時間加熱反応する方 がある。該反応は、N II /M I =1.8~2.5の範囲内でジオール化合物(I)とジイソ アネート化合物(II)とを反応させるのが好ま しい。また、N II /M I の値は2.0~2.5であるのがより好ましい。N II /M I の値を1.8以上とすれば、得られるイソシアネ ート基末端プレポリマーの粘度が高くなりす ぎず、作業性が向上する。また、N II /M I の値を2.5以下とすれば、鎖延長剤(III)と反応 せる際に、得られるポリウレタン樹脂が発 することを抑制できる。

 次いで、前記方法により得られたイソシア ート基末端プレポリマーと鎖延長剤(III)と 反応させることでポリウレタン樹脂を製造 る。該反応では、N II /(M I +M III )=0.90~1.05、および([II]+[III])/([I]+[II]+[III])=0.20~0. 40を満たすように、鎖延長剤(III)とイソシア ート基末端プレポリマーとを反応させる。

 イソシアネート基末端プレポリマーと鎖延 剤(III)との反応温度は、80~180℃であるのが ましい。反応温度を80℃以上とすれば、充分 な反応速度が得られる。
また、反応温度を180℃以下とすれば、原料が 充分に混合されないまま硬化してしまう等の 不具合を生じる恐れが小さい。反応温度は、 反応段階によって、それぞれ適切な温度に設 定してもよい。

 イソシアネート基末端プレポリマーと鎖 長剤(III)との反応は溶媒中で行ってもよい たとえば、溶媒中でイソシアネート基末端 レポリマーを合成してイソシアネート基末 プレポリマー溶液を得て、該溶液に鎖延長 (III)を添加して、ポリウレタン樹脂を含む溶 液を得ることもできる。溶媒としては、公知 の化合物(アルコール類、ケトン類、エステ 類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類 )が使用できる。

 前記ジオール化合物(I)とジイソシアネート 合物(II)との反応、およびイソシアネート基 末端プレポリマーと鎖延長剤(III)との反応に 、公知のウレタン化反応触媒を用いること できる。
 ウレタン化反応触媒としては、たとえば、 ブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラ レート、ジブチル錫ジオクトエート、2-エ ルヘキサン酸錫等の有機錫化合物;鉄アセチ アセトナート、塩化第二鉄等の鉄化合物;ト リエチルアミン、トリエチルジアミン等の三 級アミン系触媒が挙げられ、なかでも有機錫 化合物が好ましい。

 前記ウレタン化反応触媒の使用量は、イ シアネート基末端プレポリマーと鎖延長剤( III)との合計質量を100質量部としたとき、0.000 1~1.0質量部であるのが好ましく、0.0001~0.05質 部であるのがより好ましい。たとえば、イ シアネート基末端プレポリマーと鎖延長剤(I II)とを型内で反応させて成形体を得る場合に は、ウレタン化反応触媒の使用量を0.0001質量 部以上にすることで成形体の脱型可能時間を 許容可能な時間まで早めやすく、1.0質量部以 下にすることで反応混合物の硬化反応を適度 に長くして好ましいポットライフが確保でき る。

 (特徴)
 以上説明したように、本発明の熱可塑性ポ ウレタンを含む樹脂組成物およびホットメ ト接着剤は、溶融温度が低く、短時間の加 でも充分な接着性が得られ、柔軟性も高い
 充分な接着性が得られる理由としては、ジ ール化合物(I)がジカルボン酸無水物(b)由来 構成単位を含むポリエステルエーテルジオ ル(A)を含有していることが挙げられる。ポ ウレタン樹脂では、ポリエステル部分が接 性および樹脂強度に寄与する。本発明のポ エステルエーテルジオール(A)では、カルボ 酸無水物(b)とアルキレンオキシド(c)とが交 に付加反応したり、アルキレンオキシド(c) ブロックで付加反応したりする。しかし、 ルキレンオキシド(c)ブロックを構成するア キレンオキシド(c)は数個程度と少なく、ま 、カルボン酸無水物(b)1モルあたりのエステ ル基は2モル存在するため、共重合鎖中のエ テル結合間の距離が安定して短く保たれ、 い接着性および樹脂強度が達成できると考 られる。
 一方、ジカルボン酸無水物(b)に変えてラク ンを用い、同様のポリエステル部分を有す ジオール化合物を合成し、該ジオール化合 によりポリウレタン樹脂を得た場合は、高 接着性が得られない。該理由としては、ラ トンとアルキレンオキシドとの共重合では ラクトン1モルあたりのエステル基は1モル か存在せず、カルボン酸無水物(b)を用いた 合に比べてエステル間距離が長くなるため 考えられる。

 また、ポリエステルエーテルポリオール(A) 、分子内にポリエーテル部分とポリエステ 部分とを同時に有しており、ポリエーテル の利点である柔軟性と、ポリエステル系の 点である接着性、樹脂強度の双方を満たす とができる点でも優れている。
 たとえポリエステルジオールとポリエーテ ジオールとを同様の割合で含有するジオー 化合物を用いても、柔軟性、接着性、およ 樹脂強度を兼ね備えたポリウレタン樹脂は るのは困難である。該理由としては以下の2 つのことが挙げられる。ポリエステルジオー ルとジイソシアネート化合物とを反応させて 得られるポリマーと、ポリエーテルジオール とジイソシアネート化合物とを反応させて得 られるポリマーとを混合しても、均一な混合 物が得られない。また、ポリエステルジオー ルとポリエーテルジオールとを予め混合し、 該混合物にジイソシアネート化合物を反応さ せても、相溶性が不充分なためにプレポリマ ーを保管した際に分離する等の問題がある。

 以下、実施例および比較例を示し、本発 を具体的に説明する。ただし、本発明は以 の記載により限定して解釈されるものでは い。また、以下の記載において「部」は「 量部」を示す。

 まず、ポリエステルエーテルジオール(A)の 造について以下に説明する。
[製造例1]
 開始剤(a)としてポリオキシプロピレンジオ ル、ジカルボン酸無水物(b)として無水フタ 酸、アルキレンオキシド(c)としてプロピレ オキシド、触媒(x)として亜鉛ヘキサシアノ バルテート-tert-ブチルアルコール錯体を用 た。
 撹拌機および窒素導入管を備えた耐圧反応 内に、水酸基価112mgKOH/gのポリオキシプロピ レンジオール2000gを投入した。ついで、無水 タル酸(PA)800g(5.4モル)を前記反応容器内に投 入して撹拌した。ついで、亜鉛ヘキサシアノ コバルテート-tert-ブチルアルコール錯体(DMC-T BA錯体)0.4gを加え、さらにプロピレンオキシ (PO)1200g(20.6モル)をゆっくり加えながら、窒 雰囲気下、130℃で7時間反応させた。その後 反応容器内圧の低下が止まった事を確認し 後、反応容器から生成物を抜き出し、ポリ キシプロピレンジオールの末端に無水フタ 酸およびプロピレンオキシドが重合したポ エステルエーテルジオール(A)(以下、ジオー ルA1とする。)を得た。ジオールA1は水酸基価: 58.3mgKOH/gであり、 1 H-NMRの測定結果から無水フタル酸およびプロ レンオキシドの共重合鎖を有することが確 された。

 また、得られたポリエステルエーテルジオ ル(A)の水酸基価換算分子量および粘度は下 の方法で算出した。
[水酸基価換算分子量]
 得られたポリエステルエーテルジオール(A) 水酸基価換算分子量はJIS K 1557に準拠した 法により測定した水酸基価を用い、下式を いて計算した値をいう。
(水酸基価換算分子量)=[56100/(水酸基価)]×2
[粘度]
 粘度の値は、JIS K 1557(1970年版)に準処する 法により、E型粘度計を用い、25℃の条件で 定して得られる値(単位:mPa・s)である。

 開始剤(a)の水酸基価、開始剤(a)、ジカルボ 酸無水物(b)およびアルキレンオキシド(c)の 用量(仕込み質量)、ジカルボン酸無水物(b) アルキレンオキシド(c)との質量比((c)/(b))、 られたジオールA1中のジカルボン酸無水物(b) の含有量、ジオールA1の水酸基価、水酸基換 分子量、共重合鎖あたりの平均分子量(M’) ガラス転移温度、酸価および粘度の各値を 1に示す。ただし、共重合鎖あたりの平均分 子量(M’)とは、次式に示すように、水酸基価 換算分子量から開始剤(a)の水酸基価換算分子 量を除き、該水酸基価換算分子量を開始剤(a) の官能基数で割った値である。
 
 〔共重合鎖あたりの平均分子量(M’)〕
     =(〔水酸基価換算分子量〕-〔開始剤(a )の水酸基価換算分子量〕)
                     /〔開始剤(a) 官能基数〕

[製造例2、3]
 開始剤(a)の水酸基価、開始剤(a)、ジカルボ 酸無水物(b)、アルキレンオキシド(c)、およ 触媒(x)の使用量を表1の通りに変更した以外 は、製造例1と同様にしてポリエステルエー ルジオール(A)を得た。得られたポリエステ エーテルジオール(A)を、それぞれジオールA2 およびジオールA3とする。
 ジオールA2およびジオールA3について得られ た各物性値等を表1に示す。

 ポリオキシプロピレンジオールにカプロラ トンおよびプロピレンオキシドをランダム 重合させて得られるポリエステルエーテル オールの製造について以下に説明する。
[製造例4]
 攪拌機および窒素導入管を備えた耐圧反応 内に、水酸基価160mgKOH/gのポリオキシプロピ レンジオール2000gを開始剤として投入した。 いで、9.0gのDMC-TBA錯体を触媒として加え、 らにプロピレンオキシド2000g(34.4モル)とε-カ プロラクトン2000g(17.5モル)との混合物4000gを っくりと加えながら、窒素雰囲気下、150℃ 7時間反応させた。反応容器内圧の低下が止 ったことを確認した後、未反応の原料を減 下で脱気回収した。しかし、ε-カプロラク ンおよびプロピレンオキシドは回収されず 原料が全て反応していることが確認できた その後、反応容器から生成物を抜き出し、 リオキシプロピレンジオールにε-カプロラ トンおよびプロピレンオキシドを共重合さ たポリエステルエーテルジオール(水酸基価 55.8mgKOH/g)を得た。得られたポリエステルエー テルジオールをジオールA’1とする。また、 1 H-NMR(核磁気共鳴スペクトル)の測定結果から ジオールA’1が、ε-カプロラクトンおよびプ ロピレンオキシドのランダム共重合鎖を有し ていることがわかった。
 ジオールA’1について得られた各物性値等 表2に示す。

 以下、製造例1~4のポリエステルエーテルジ ールおよび他のポリオール(B)を用いたイソ アネート基含有ウレタンプレポリマー(以下 、場合によりプレポリマーとする。)の製造 ついて説明する。
[製造例5]
 撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計 滴下ロートを備えた4口フラスコに、製造例 1で製造したジオールA1を100部、およびジイソ シアネート化合物(II)であるジフェニルメタ ジイソシアネート(日本ポリウレタン工業社 、製品名ミリオネートMT)を28部仕込み、80℃ まで徐々に昇温し、プレポリマー生成反応を 4時間行った。反応後、内容物の一部を取り し、イソシアネート基含有量(以下、NCO基含 量とする。)を測定した。測定したNCO基含有 量が、理論的に計算された含有量以下である ことを確認して反応を終了し、イソシアネー ト基含有ウレタンプレポリマー(プレポリマ P1)を得た。原料の仕込み量、プレポリマー NCO指数、得られたプレポリマーP1のNCO基含有 量(単位:質量%)、を表3に示す。ただし、プレ リマーのNCO指数とは、前記N II /M I の値を意味する。

[製造例6~14]
 原料として使用するジオール化合物(I)およ ジイソシアネート化合物(II)の種類および使 用量を表3の通りに変更する以外は、製造例5 同様の方法でプレポリマーを得た。NCO指数 よび得られたプレポリマーP2~P10のNCO基含有 (単位:質量%)を表3に示す。
 製造例10のプレポリマーP6は2相に分離した め、正確な粘度を測定できず、また鎖延長 (III)との反応に用いることができなかった。 また、製造例11のプレポリマーP7は粘度が高 ぎたため、鎖延長剤(III)との反応に用いるこ とができなかった。

 表3における略号は以下の意味を示す。
PPG:ポリオキシプロピレンジオール(旭硝子社 、製品名エクセノール2020)
3MPD/IP:3-メチルペンタンジオールイソフタレ ト(クラレ社製、製品名P-2030)
PBA:ポリブチレンアジペート(日本ポリウレタ 工業社製、製品名ニッポラン4009)
PBEA:ポリブチレンエチレンアジペート(日立化 成ポリマー社製、製品名TA-22-276U)
PCL:ポリカプロラクトンジオール(ダイセル工 社製、製品名プラクセル210A)

[実施例1]
 ついで、以下に示すようにプレポリマーと 延長剤(III)との反応を行った。
 80℃に温調した製造例5のプレポリマーP1(30 )と、鎖延長剤(III)である1、4-ブタンジオー (1.24部)とを秤量した。ついで、自転・公転 ミキサー(シンキー社製、製品名:あわとり錬 太郎ARE-250)を用い、プレポリマーP1と1、4-ブ ンジオールとを攪拌(3分)し、脱泡(1分)した 混合後の溶液を厚さ150μmおよび1mmの型に流 こみ、130℃、6時間加熱キュアすることによ 鎖延長反応を行い、シート状ポリウレタン 脂(ポリウレタンU1)を得た。得られたポリウ レタン樹脂のNCO指数を表4に示す。ただし、 リウレタン樹脂のNCO指数とは、前記N II /(M I +M III )の値を意味する。

[実施例2~4]
 用いたプレポリマーと鎖延長剤の種類およ 使用量を表4の通りに変更する以外は、実施 例1と同様にシート状ポリウレタン樹脂(ポリ レタンU2~U4)を得た。

[比較例1~4]
 用いたプレポリマーと鎖延長剤の種類およ 使用量を表4の通りに変更する以外は、実施 例1と同様にシート状ポリウレタン樹脂(ポリ レタンU5~U8)を得た。

 得られたシート状ポリウレタン樹脂の試験 、以下のように行った。
[機械物性]
 150μmの型で成型したシート状ポリウレタン 脂(U1~U8)について、JIS K 7311に準じ、100%モ ュラスM 100 (単位:MPa)、300%モジュラスM 300 (単位:MPa)、引張破断強度T S (単位:MPa)および伸び(単位:%)を、テンシロン( リエンテック社製、製品名:RTE-2000)を用いて 引張速度300mm/分の条件で測定した。また、1mm の型で成形したシート状ポリウレタン樹脂に ついて、JIS K 7311に準じて硬度測定した。

[流動開始温度]
 1mmの型で成型したシート状ポリウレタン樹 (U1~U8)について、高化式フローテスター(島 製作所社製、製品名:CFT-500D)を用いて流動開 温度を測定した。測定条件はダイス径1mm、 イス長10mm、荷重30kg、予熱5分、昇温開始温 80℃、昇温速度3℃/分とした。ポリウレタン 樹脂が固体からゴム状弾性域を経て流動域に 至るまでの過程を連続的に測定することによ り、ダイスから流れ始める温度を流動開始温 度とした。

[メルトフローレート(MFR)]
 1mmの型で成型したシート状ポリウレタン樹 (U1~U8)について、高化式フローテスター(島 製作所社製、製品名:CFT-500D)を用いてMFRを測 した。測定条件はダイス径1mm、ダイス長1mm 荷重30kg、予熱5分、測定温度180℃とした。

[接着性試験(せん断強度試験)]
 150μmの型で成形したシート状ポリウレタン 脂(U1~U8)を2枚の被着体の間に挟み、1kgf/cm 2 の圧力をかけながら、2.5cm×2.5cmの熱板を当て 、140~180℃で3秒または10秒間加熱した。得ら た積層体について、せん断強度(単位:kgf/cm 2 )を、テンシロン(前記と同じ)を用いて剥離速 度200mm/分の条件で測定した。被着体としては 、ポリエステルタフタを使用した。

 以上説明した各試験の結果より、実施例1~4 よび比較例1~4の評価を以下のように行った
[柔軟性]
 100%モジュラスの値が4.5MPa以下であるものを ○(良好)、4.5MPaを超えるものを×(不良)とした 。
[短時間接着性]
 短時間接着性の評価は以下の基準に基づい 行った。
◎(優秀):3秒の圧着時間で接着したものが、 着性試験で材料破壊した。
○(良好):3秒の圧着時間で接着でき、かつ10秒 の圧着時間で接着したものが接着性試験で材 料破壊した。
△(やや良好):3秒の圧着時間で接着でき、か 10秒の圧着時間で接着したものが接着性試験 で界面剥離した
×(不良):3秒の圧着時間で接着できなかった。
 機械物性、流動開始温度、MFR、および接着 試験の結果ならびに評価結果を表5に示す。 ただし、表5中の「SP」は材料破壊、無記入の ものは界面剥離もしくは凝集破壊、せん断強 度0は接着しなかったことを示す。

 開始剤(a)とジカルボン酸無水物(b)とアル レンオキシド(c)とを含むポリエステルエー ルジオール(A)を用い、プレポリマー法によ 製造した実施例1のシート状ポリウレタン樹 脂は、流動開始温度が114℃、MFRが10.2g/10分で った。また、接着性試験では、柔軟性が高 、短時間での接着性も良好であった。同様 結果は、実施例2~4でも得られた。

 一方、ポリエステルエーテルジオール(A) 用いていない比較例1~3のシート状ポリウレ ン樹脂は、溶融温度が低く、柔軟性は高い のの、短時間での接着性が低かった。同様 、比較例4のシート状ポリウレタン樹脂は、 溶融温度が低いものの、柔軟性が低く、短時 間での接着性も低かった。

 本発明の熱可塑性ポリウレタンを含む樹脂 成物およびホットメルト接着剤は、溶融温 が低く、短時間の加熱で充分な接着性が得 れ、柔軟性も高い。そのため、風合いが良 点等から衣料用等の接着剤として用いるこ ができ、また接着工程のサイクルタイムも 縮できるため非常に有用である。
 
 なお、2007年6月7日に出願された日本特許出 2007-151607号の明細書、特許請求の範囲、及 要約書の全内容をここに引用し、本発明の 細書の開示として、取り入れるものである