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Patent Searching and Data


Title:
RUBBER COMPOSITION FOR TIRE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/069367
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a rubber composition for tires containing, per 100 parts by weight of a diene rubber, 1-20 parts by weight of a non-metal fiber having an average fiber diameter of 15-100 μm and 1-30 parts by weight of a filler having two or more projections having a length that is 0.5-3.1 times the average fiber diameter of the non-metal fiber, for the purpose of improving on-ice friction performance. Also disclosed is a pneumatic tire using such a rubber composition for tires.

Inventors:
KIKUCHI NAOHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/066825
Publication Date:
June 04, 2009
Filing Date:
September 18, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO RUBBER IND (JP)
KIKUCHI NAOHIKO (JP)
International Classes:
C08L9/00; B60C1/00; B60C11/00; C08K7/00; C08K7/02; C08K7/08; C08K7/14
Foreign References:
JP2005146208A2005-06-09
JP2005272602A2005-10-06
JP2007008988A2007-01-18
JP2006016527A2006-01-19
JP2006002119A2006-01-05
JPH08217918A1996-08-27
Other References:
See also references of EP 2202269A4
Attorney, Agent or Firm:
ASAHINA, Sohta et al. (2-22 Tanimachi 2-chome,Chuo-ku, Osaka-shi, Osaka 12, JP)
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Claims:
 ジエン系ゴム100重量部に対して、平均繊維径が15~100μmである非金属繊維を1~20重量部、および、突起の長さが非金属繊維の平均繊維径の0.5~3.1倍である2個以上の突起を有するフィラーを1~30重量部含有するタイヤ用ゴム組成物。
 前記フィラーが4個の突起を有している請求の範囲第1項記載のタイヤ用ゴム組成物。
 前記フィラーが酸化亜鉛ウィスカである請求の範囲第1項または第2項記載のタイヤ用ゴム組成物。
 前記非金属繊維の平均繊維径が15~40μmである請求の範囲第1項~第3項のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
 前記非金属繊維がグラスファイバーである請求の範囲第1項~第4項のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
 請求の範囲第1項~第5項のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物からなる空気入りタイヤ。
 トレッド部から切り出したゴム片のトレッド厚さ方向の複素弾性率E1とタイヤ周方向の複素弾性率E2の比が、式:
  1.1 ≦ E1/E2
を満足する請求の範囲第6項記載の空気入りタイヤ。
Description:
タイヤ用ゴム組成物

 本発明は、タイヤ用ゴム組成物およびそ を用いた空気入りタイヤに関する。

 氷雪路面走行では、スパイクタイヤが使 されたり、タイヤにチェーンを装着するこ がなされてきたが、粉塵などの環境問題が 生するため、これにかわる氷雪路面走行用 イヤとして、スタッドレスタイヤが開発さ た。

 氷雪路面は、一般路面にくらべて著しく 擦係数が低く、滑りやすくなるので、スタ ドレスタイヤには、材料面および設計面で 工夫がなされている。たとえば、低温特性 優れたジエン系ゴムを配合したゴム組成物 開発されている。また、タイヤ表面の凹凸 態を変えて表面エッジ成分を増やしたり、 っ掻き効果のある無機フィラーを配合する( 特開平8-217918号公報参照)などして、氷雪路面 における氷への引っ掻き効果を得ることによ り、氷上摩擦性能を向上させる工夫がなされ ている。

 しかしながら、前述のようなスタッドレ タイヤでも、スパイクタイヤに比べて、依 、氷雪路面での摩擦性能は充分といえず、 らなる改善が求められている。

 本発明は、氷上摩擦性能を向上させたタ ヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入 タイヤを提供する。

 本発明は、ジエン系ゴム100重量部に対し 、平均繊維径が15~100μmである非金属繊維を1 ~20重量部、および、突起の長さが非金属繊維 の平均繊維径の0.5~3.1倍である2個以上の突起 有するフィラーを1~30重量部含有するタイヤ 用ゴム組成物に関する。

 前記フィラーの突起が4個であることが好 ましい。

 前記フィラーが酸化亜鉛ウィスカである とが好ましい。

 前記非金属繊維の平均繊維径が15~40μmで ることが好ましい。

 前記非金属繊維がグラスファイバーであ ことが好ましい。

 また、本発明は前記ゴム組成物からなる 気入りタイヤに関する。

 前記空気入りタイヤは、トレッド部から切 出したゴム片のトレッド厚さ方向の複素弾 率E1とタイヤ周方向の複素弾性率E2の比が、 式:
  1.1 ≦ E1/E2
を満たすことが好ましい。

本発明において配合する2個の突起を有 するフィラーの概略底面図である。 本発明において配合する4個の突起を有 するフィラーの概略底面図である。

 本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ジエン ゴム、非金属繊維および2個以上の突起を有 するフィラーからなる。

 通常、カレンダーロールによって押し出 れたゴム中の非金属繊維は、押し出し方向 配向するため、繊維による氷への引っ掻き 果を有効に発現させるためには、その製造 法としてシートを押し出し方向に対して垂 にカットして立てていく方法や、押し出し ッドをチューブ型にすることによって繊維 押し出し方向に対し垂直な方向に配向させ そのシートを押し出し方向に平行にカット て、それぞれ90度回転させ再び重ね合わせ ことにより、トレッドの厚み方向に配向さ るなどの特殊な手法(装置)を用いる必要があ った。しかしながら、本発明では、特定の寸 法の複数の突起を有するフィラーを、特定の 寸法の非金属繊維とともにゴムに配合するこ とで、ゴムの押し出し方向に繊維が配向する のを乱すため、タイヤの製造において特殊な 手法(装置)を用いることなしに非金属繊維に る氷への引っ掻き効果を充分に得ることが きる。

 また、2個以上の突起を有するフィラーを 配合することにより、複数の突起がアンカー 効果を示し、走行時の刺激や摩耗による脱落 を防ぎ、かつ、ゴム表面からミクロ突起を出 現させ、その撥水効果から氷雪路面とタイヤ とのあいだにできた水膜を排除させ、氷上摩 擦性能を向上させることができる。

 本発明のゴム組成物に用いられるジエン ゴムとしては、任意のジエン系ゴムが用い れ、たとえば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレ ンゴム(IR)、各種ポリブタジエンゴム(BR)、各 スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ア リロニトリル-ブタジエン共重合体ゴム(NBR) ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、 リクロロプレンゴム(CR)などのジエン系ゴム 単独で、あるいは任意の割合でブレンドし 使用することができる。なかでも、低温特 がよい、また低温特性と加工性、耐久性な のバランスが優れるという点でNRおよびBRを ゴム成分として用いることが好ましい。

 本発明のゴム組成物に用いられる非金属 維は、路面を傷つける恐れがなく、ゴムと 耗速度の差が小さく、トレッドと氷雪路面 の接地を確保するのに適している。非金属 維のなかでも、ゴムを混練りする過程で適 な長さに折れて、短くなるグラスファイバ またはカーボンファイバーが、分散および 向させやすく、複素弾性率の比が適度なゴ が得られやすいので好ましい。

 非金属繊維の平均繊維径は、15μm以上で り、好ましくは20μm以上であり、より好まし くは25μm以上であり、さらに好ましくは30μm 上である。平均繊維径が15μm未満では、繊維 断面積が小さいことにより、トレッド厚さ方 向に配向した繊維がトレッド表面に作り出す 接地圧の高い部分を、充分に作り出すことが できない。また、非金属繊維の平均繊維径は 、100μm以下であり、好ましくは50μm以下、よ 好ましくは40μm以下であり、さらに好まし は35μm以下である。非金属繊維の平均繊維径 が100μmを超えると、氷雪路面とタイヤとのあ いだにできた水膜を押しのける働きが劣るた め、粘着、凝着摩擦が充分に働かない。

 非金属繊維の平均繊維長は0.1mm以上が好 しく、0.2mm以上がより好ましく、0.4mm以上が らに好ましい。非金属繊維の平均繊維長が0 .1mm未満では、走行により繊維がトレッド面 ら脱落しやすくなり、水膜を押しのける効 が低下する傾向がある。非金属繊維の平均 維長は5mm以下が好ましく、3mm以下がより好 しく、2mm以下がさらに好ましい。非金属繊 の平均繊維長が5mmを超えると、繊維を分散 せ配向させにくくなり、ゴムの加工性が低 する傾向がある。

 非金属繊維の配合量は、ジエン系ゴム100 量部に対して、1重量部以上であり、好まし くは1.5重量部以上、より好ましくは2重量部 上である。非金属繊維の配合量が1重量部未 では、トレッド表面に接地圧を形成する繊 の量が少なくなり、水膜を除去し、氷を引 掻く効果が充分でなくなる。また、非金属 維の配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対 て、20重量部以下であり、好ましくは18重量 部以下、より好ましくは15重量部以下である 非金属繊維の配合量が、20重量部をこえる 、トレッドブロック剛性が高くなりすぎて トレッドゴム表面を氷雪路面に追随させる とができなくなり、粘着・凝着摩擦が低下 る。

 本発明のゴム組成物に用いられる2個以上 の突起を有するフィラーは、ジエン系ゴムに 配合した際、耐摩耗性、耐熱性、熱伝導性な どにおいて優れた効果を示す。

 前記フィラーは2個以上、好ましくは3個 上、より好ましくは4個の突起を有する。突 がない(球状)、あるいは突起を1個有する(線 状)フィラーでは、フィラーがアンカー効果 示すことができず、タイヤ走行などによる 激や摩耗によってフィラーが脱落する。

 2個以上の突起を有するフィラーとしては 、酸化亜鉛ウィスカや沖縄県産の星の砂など があげられる。なかでも、氷よりも硬くアス ファルトより柔らかい材料であるという理由 から、酸化亜鉛ウィスカを用いることが好ま しい。

 ここで、フィラーの突起数が2個であると は、2個の突起を有するフィラーの概略底面 である図1に示すように、隣り合う突起の開 角度θ、つまり1つの突起の先端とそのフィ ーの中心(変曲点)を結ぶ直線と隣り合う突 の先端とフィラーの中心(変曲点)を結ぶ直線 がなす角度θが、180度未満であることと定義 る。突起数が1個のフィラーは、隣り合う突 起の開き角度θが180度であり、ファイバーな の線状のフィラーがこれに該当する。2個の 突起を有するフィラーの隣り合う突起の開き 角度θは、90度以上が好ましく、100度以上が り好ましい。隣り合う突起の開き角度θが90 未満では、非金属繊維の配向を乱す効果が られにくい傾向がある。

 2個以上の突起を有するフィラーの隣り合 う突起の開き角度θは、非金属繊維の配向乱 効果が充分に得られるという点から、90度 上であることが好ましく、100度以上である とがより好ましい。また、2個以上の突起を するフィラーの隣り合う突起の開き角度θ 、180度になると突起の数が1個になるという から、180度未満であることが好ましく、非 属繊維の配向を乱すという点で130度以下が ましい。

 4個の突起を有するフィラーの概略底面図 を図2に示す。この4個の突起を有するフィラ では、隣り合う突起の開き角度θが90~130度 あることが好ましく、全ての隣合う突起の き角度θが109.5度であり、それぞれの突起が 四面体の頂点となっていることがより好ま い。4個の突起を有するフィラーにおいて、 隣り合う突起の開き角度θが90度未満の場合 は、前記フィラーの突起と突起の間に非金 繊維をからますことができず、非金属繊維 配向を乱す効果が得られにくい傾向がある

 ここで前記フィラーの隣り合う突起の開 角度θは、前記フィラーについて顕微鏡写 を撮り、観察した角度をいう。

 前記フィラーの突起の長さは、フィラー 中心(変曲点)から突起の先端までの長さで り、突起が4個であるフィラーの概略底面図 ある図2のLをいう。フィラーの突起の長さ 、2個以上の突起を有するフィラーを顕微鏡 観察し、任意のフィラー50個について測定 、突起の長さを測定したフィラー1個あたり 平均の突起の長さを突起の長さとする。

 前記フィラーの突起の長さは、7.5μm以上 好ましく、10μm以上がより好ましく、12.5μm 上がさらに好ましい。フィラーの突起の長 が7.5μm未満では、氷雪上での摩擦性能の向 がみられない傾向がある。前記フィラーの 起の長さは、300μm以下が好ましく、150μm以 がより好ましく、120μm以下がさらに好まし 。フィラーの突起の長さが300μmを超えると 耐摩耗性が著しく低下する傾向がある。

 前記フィラーの突起の長さは、非金属繊 の平均繊維径の0.5倍以上であり、好ましく 0.6倍以上である。前記フィラーの突起の長 が非金属繊維の平均繊維径の0.5倍未満の場 には、非金属繊維の配向を乱す効果が得ら にくい。また、前記フィラーの突起の長さ 、非金属繊維の平均繊維径の3.1倍以下であ 、好ましくは3.0倍以下であり、より好まし は2.5倍以下であり、さらに好ましくは2倍以 下、特に好ましくは1.5倍以下である。前記フ ィラーの突起の長さが非金属繊維の平均繊維 径の3.1倍を超えると、フィラーの突起が折れ てしまうことがある。

 本発明において、フィラーの突起の長さ 非金属繊維の平均繊維径の0.5~3.1倍であると は、フィラーの複数の突起のうち、最も短い 突起の長さが非金属繊維の平均繊維径の0.5~3. 1倍であることをいう。

 前記フィラーの配合量は、ジエン系ゴム 分100重量部に対して1重量部以上、好ましく は1.5重量部以上、より好ましくは2重量部以 である。フィラーの配合量が、1重量部未満 は、氷雪路面での氷上摩擦性能の向上がみ れにくい。また、フィラーの配合量は、ジ ン系ゴム100重量部に対して30重量部以下、 ましくは25重量部以下、より好ましくは10重 部以下である。フィラーの配合量が30重量 をこえると、耐摩耗性が低下する。

 なお、前記フィラーは、フィラーとジエ 系ゴムとの接着力を向上させるために、ポ プロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリス レン(PS)、ポリウレタン(PU)、ポリビニルアル コール(PVA)、シランカップリング剤、シリル 剤などで表面処理してもよい。

 また、本発明のタイヤ用ゴム組成物は、さ に2個以上の突起を有するフィラー以外の補 強剤を配合することができる。補強剤として は、カーボンブラックや、シリカおよび/ま は一般式(1)で表わされる無機充填剤があげ れる。
  mM・xSiOy・zH 2 O     (1)
(Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン カルシウムおよびジルコニウムからなる群 ら選ばれる金属、これら金属の酸化物およ 水酸化物およびそれらの水和物、およびこ らの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも1 種であり、m、x、yおよびzは定数)

 カーボンブラックの配合量は、ジエン系 ム100重量部に対して5重量部以上が好ましく 、10重量部以上がより好ましく、15重量部以 がさらに好ましい。カーボンブラックの配 量が5重量部未満では、充分な補強性が得ら ず耐摩耗性が劣る傾向がある。カーボンブ ックの配合量は、ジエン系ゴム100重量部に して、150重量部以下であることが好ましく 100重量部以下であることがより好ましく、7 0重量部以下であることがさらに好ましい。 ーボンブラックの配合量が150重量部をこえ と、加工性が低下し、硬度が高くなること ら氷上摩擦性能が低下する傾向がある。

 無機充填剤の配合量は、ジエン系ゴム100 量部に対して、5重量部以上が好ましく、10 量部以上がより好ましく、15重量部以上が らに好ましい。無機充填剤の配合量が5重量 未満では、充分な補強性が得られず、耐摩 性が劣る傾向がある。また、無機充填剤の 合量は、ジエン系ゴム100重量部に対して150 量部以下であることが好ましく、100重量部 下であることがより好ましく、70重量部以 がさらに好ましい。無機充填剤の配合量が15 0重量部をこえると、加工性が低下する傾向 ある。

 シリカを配合する場合、シランカップリ グ剤を併用することが好ましい。シランカ プリング剤の配合量は、シリカ100重量部に して1重量部以上であることが好ましく、2 量部以上であることがより好ましく、4重量 以上がさらに好ましい。シランカップリン 剤の配合量が1重量部未満では、未加硫ゴム 組成物の粘度が高くなる傾向がある。また、 シランカップリング剤の配合量は、シリカ100 重量部に対して20重量部以下が好ましく、15 量部以下がより好ましく、10重量部以下がさ らに好ましい。シランカップリング剤の配合 量が20重量部をこえると、配合量に対してシ ンカップリング剤を配合した効果がないう 、コストがかかる傾向がある。

 本発明のタイヤ用ゴム組成物には、前記 エン系ゴム、非金属繊維およびフィラー、 強剤(充填剤)、カップリング剤のほかに、 硫剤(架橋剤)、加硫促進剤(架橋促進剤)、各 オイル、老化防止剤、可塑剤などのタイヤ または一般のゴム組成物用に配合される各 配合剤および添加剤を配合することができ 。また、これらの配合剤、添加剤の配合量 一般的な量とすることができる。

 本発明の空気入りタイヤは、本発明のゴ 組成物を用いて通常の方法で製造される。 なわち、必要に応じて前記添加剤を配合し 本発明のゴム組成物を、未加硫の段階でタ ヤの各部材の形状にあわせて押出し加工し タイヤ成型機上にて通常の方法で成形する とにより、未加硫タイヤを形成する。この 加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧すること より空気入りタイヤを得る。空気入りタイ としては、氷雪路面における性能を特に発 することができることからスタッドレスタ ヤとすることが好ましい。

 本発明の空気入りタイヤは、氷上摩擦性 に優れるという理由から、本発明のタイヤ ゴム組成物をトレッド部に用いることが好 しい。本発明のタイヤ用ゴム組成物をトレ ドに形成する方法としては、通常のカレン ーロールによる押出し加工を用いることが きるが、特開2001-39104号公報にもあるように カレンダーロールによって繊維を分散させた ゴム組成物を圧延加工し、得られたゴムシー トを折りたたむなどの方法により、非金属繊 維をトレッド厚さ方向に配向させることが好 ましい。

 具体的には、タイヤのトレッド部から切り したゴム片のトレッド厚さ方向の複素弾性 E1とタイヤ周方向の複素弾性率E2の比が、下 記式を満足することが好ましい。
  1.1 ≦ E1/E2

 E1/E2は1.1以上であることが好ましく、1.2 上であることがより好ましい。E1/E2が1.1未満 では、接地面に対し接地圧の高い部分を充分 に形成できない。その結果、タイヤと氷雪路 面のあいだにできた水膜を除去する効果が小 さくなり、粘着・凝着摩擦、引っ掻き、掘り 起こし摩擦は改善されない。また、E1/E2は4以 下であることが好ましく、3.5以下であること がより好ましい。E1/E2が4をこえる場合には、 タイヤのトレッドブロックの剛性が高くなり すぎて、トレッドゴム表面を氷雪路面に追随 させることができなくなり、粘着・凝着摩擦 が低下する傾向がある。

 以下、実施例にもとづいて本発明を詳細 説明するが、本発明はこれらのみに制限さ るものではない。

 実験例で使用した原料を以下にまとめて示 。
天然ゴム:テックビーハング社製のRSS#3
ポリブタジエンゴム:宇部興産(株)製のUBEPOL-BR 150B
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製 のショウワブラックN220
シリカ:デグッサ社製のウルトラジルVN3
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi69(ビ ス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラス フィド)
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスオ イルPS32
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノッ クワックス
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラ ック6C(N-1,3-ジメチルブチル-N’-フェニル-p-フ ェニレンジアミン)
ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸
亜鉛華:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
酸化亜鉛ウィスカ(1):(株)アムテック製のパナ テトラ試作品(テトラポット形状酸化亜鉛、 起の数:4個、平均の突起の長さ(平均針状繊 長):30.3μm、隣り合う突起の開き角度θ:109.5度 )
酸化亜鉛ウィスカ(2):(株)アムテック製のパナ テトラWZ-0501(テトラポット形状酸化亜鉛、突 の数:4個、平均の突起の長さ(平均針状繊維 ):10.9μm、隣り合う突起の開き角度θ:109.5度)
酸化亜鉛ウィスカ(3):(株)アムテック製のパナ テトラ試作品(テトラポット形状酸化亜鉛、 起の数:4個、平均の突起の長さ(平均針状繊 長):16μm、隣り合う突起の開き角度θ:109.5度)
酸化亜鉛ウィスカ(4):(株)アムテック製のパナ テトラ試作品(テトラポット形状酸化亜鉛、 起の数:4個、平均の突起の長さ(平均針状繊 長):16.5μm、隣り合う突起の開き角度θ:109.5度 )
酸化亜鉛ウィスカ(5):(株)アムテック製のパナ テトラ試作品(テトラポット形状酸化亜鉛、 起の数:4個、平均の突起の長さ(平均針状繊 長):20μm、隣り合う突起の開き角度θ:109.5度)
酸化亜鉛ウィスカ(6):(株)アムテック製のパナ テトラ試作品(テトラポット形状酸化亜鉛、 起の数:4個、平均の突起の長さ(平均針状繊 長):33μm、隣り合う突起の開き角度θ:109.5度)
酸化亜鉛ウィスカ(7):(株)アムテック製のパナ テトラ試作品(テトラポット形状酸化亜鉛、 起の数:4個、平均の突起の長さ(平均針状繊 長):50μm、隣り合う突起の開き角度θ:109.5度)
酸化亜鉛ウィスカ(8):(株)アムテック製のパナ テトラ試作品(テトラポット形状酸化亜鉛、 起の数:4個、平均の突起の長さ(平均針状繊 長):100μm、隣り合う突起の開き角度θ:109.5度)
グラスファイバー(1):エヌエスジー・ヴェト テックス(株)製のマイクロチョップドストラ ンド(平均繊維径:33μm、カット長さ(平均繊維 ):3mm)
グラスファイバー(2):エヌエスジー・ヴェト テックス(株)製のマイクロチョップドストラ ンド(平均繊維径:11μm、カット長さ(平均繊維 ):3mm)
グラスファイバー(3):エヌエスジー・ヴェト テックス(株)製の試作品(平均繊維径:101μm、 ット長さ(平均繊維長):3mm)
グラスファイバー(4):エヌエスジー・ヴェト テックス(株)製の試作品(平均繊維径:50μm、 ット長さ(平均繊維長):3mm)
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセ ラーCZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリル ルフェンアミド)

実験例1-1~3-4
 表1に示す硫黄、加硫促進剤を除く配合成分 および表2~4に示すグラスファイバーおよび酸 化亜鉛ウィスカを、1.7リットルの密閉型バン バリーミキサーを用いて3~5分間混練りし、温 度が150℃以上に達した時点で配合ゴムを排出 し、ベース練りゴムとした。ベース練りゴム と硫黄および加硫促進剤をオープンロールで 混練りし、加硫することによってゴム組成物 を得た。

 得られたゴム組成物を、通常用いられる 法でカレンダーロールによってトレッド形 に押し出しすることにより、トレッドを形 し、195/65R15サイズのタイヤを作製した。得 れたタイヤについて、以下の試験を実施し 。

(複素弾性率)
 タイヤトレッド部から、厚さ1.0mm、幅4mm、 さ5mmの形状のゴム片を切り出し、測定サン ルとした。所定の測定条件(温度25℃、測定 波数10Hz、初期歪み10%、動歪み1%)で、(株)岩 製作所製の粘弾性スペクトロメーターを用 て、トレッド厚さ方向および周方向の複素 性率(E1およびE2)を測定した。

(氷上摩擦性能)
 実験例1~3の空気入りタイヤを、テスト車両( 国産2000ccのFR車)に装着し、氷板上で時速30km らの制動停止距離を測定し、実験例1-1の空 入りタイヤを基準として、下記式から計算 た。
  (氷上制動性能指数)=(実験例1-1の制動停止 離)
                    í(各配合の制 停止距離)×100

 指数が大きいほど、氷上制動性能は良好 ある。なお、テスト実施前にタイヤの表面 ならし走行を、おのおの100km実施した。

(耐摩耗性)
 JIS K6264-2に準拠し、(株)岩本製作所製の改 ランボーン摩耗試験機を用い、試験片の表 速度40m/分、スリップ率20%、付加力15N、打粉 落下量毎分20gの条件で、ゴムの耐摩耗性を 価した。摩耗抵抗指数を、実験例1-1の試験 の摩耗量を基準として指数で算出した。指 が大きいほど、耐摩耗性が良好である。
  (摩耗抵抗指数)=(各配合のゴムの摩耗量)
                  í(実験例1-1のゴム の摩耗量)×100

 評価結果を表2~4に示す。

 実験例1-1は、酸化亜鉛ウィスカおよびグ スファイバーを含んでいるが、2個以上の突 起を有するフィラーの突起の長さが非金属繊 維の繊維径の0.5倍未満である本発明の比較例 であり、氷上摩擦性能および耐摩耗性の評価 の基準とした空気入りタイヤである。酸化亜 鉛ウィスカおよびグラスファイバーを特定量 配合し、かつ酸化亜鉛ウィスカの突起の長さ がグラスファイバーの平均繊維径の0.5~3.1倍 ある本発明の実施例である実験例1-4~1-8の空 入りタイヤは、酸化亜鉛ウィスカおよびグ スファイバーを含まない実験例1-2およびグ スファイバーのみを含む実験例1-3の空気入 タイヤに比べて氷上摩擦性能が向上してい 。

 酸化亜鉛ウィスカの突起の長さがグラス ァイバーの平均繊維径の0.5~3.1倍であり本発 明の実施例である実験例2-2~2-6の空気入りタ ヤは、評価の基準とした実験例1-1および酸 亜鉛ウィスカの突起の長さがグラスファイ ーの平均繊維径の0.5倍未満であり、本発明 比較例である実験例2-1に比べて氷上性能が 上していた。

 酸化亜鉛ウィスカの突起の長さは、グラ ファイバーの平均繊維径の0.5~3.1倍であるが 、グラスファイバーの平均繊維径が本発明の 下限値未満であり、本発明の比較例である実 験例3-1~3-2では氷上摩擦性能は向上するが、 摩耗性が低下する。同様に、酸化亜鉛ウィ カの突起の長さは、グラスファイバーの平 繊維径の0.5~3.1倍であるが、グラスファイバ の平均繊維径が本発明の上限値を超える本 明の比較例である、実験例3-3は、耐摩耗性 維持されるが、氷上摩擦性能が低下する。

符号の説明

 1 2個以上の突起を有するフィラー
 2 突起
 θ 隣り合う突起の開き角度
 L 突起の長さ

 本発明によれば、特定の非金属繊維およ 突起の長さが非金属繊維の平均繊維径の0.5~ 3.1倍である2個以上の突起を有するフィラー 配合することにより、タイヤの製造工程に いて特殊な手法(装置)を用いることなしに、 氷雪路面での非金属繊維および2個以上の突 を有するフィラーによる引っ掻き効果が得 れる。また、氷雪路面での引っ掻き効果に えて、ゴム表面から突出したミクロ突起の 水効果により、摩擦係数を高めることがで 、氷上摩擦性能に優れたスタッドレスタイ を得ることができる。さらに、耐摩耗性能 大きく低下させることがない。