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Patent Searching and Data


Title:
RUBBER COMPOSITION FOR TRANSMISSION BELT AND TRANSMISSION BELT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/078700
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a rubber composition for a transmission belt, which can realize the manufacture of a transmission belt excellent in electroconductivity as well as in electroconductivity retaining property after running and having excellent resistance to fatigue from flexing and abrasion resistance. The rubber composition contains rubber, furnace carbon black, zinc oxide, and stearic acid. The furnace carbon black has a nitrogen adsorption specific surface area of not less than 75 m2/g and a DBP absorption of not less than 100 cm3/100g and is contained in an amount of 50 to 100 parts by mass based on 100 parts by mass of the rubber. The content of the zinc oxide is not less than 6 parts by mass based on 100 parts by mass of the rubber. The content of the stearic acid is not less than 1 part by mass based on 100 parts by mass of the rubber.

More Like This:
WO/1990/005166GELS
JPS555928FORMING MATERIAL OF EPOXY RESIN
Inventors:
MATSUDA HISASHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/074716
Publication Date:
July 03, 2008
Filing Date:
December 21, 2007
Export Citation:
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Assignee:
BANDO CHEMICAL IND (JP)
MATSUDA HISASHI (JP)
International Classes:
C08L21/00; C08K3/04; C08K3/22; C08K5/09; C08L23/04; F16G1/06; F16G5/20
Domestic Patent References:
WO2007018148A12007-02-15
Foreign References:
JP2007232205A2007-09-13
JPS5789949A1982-06-04
JPS57197155A1982-12-03
JPS5632530A1981-04-02
JP2006234089A2006-09-07
JP2006183805A2006-07-13
JP2006153059A2006-06-15
JPS60222635A1985-11-07
JPH06323368A1994-11-25
JPH1038033A1998-02-13
JPH10184812A1998-07-14
JP2006183805A2006-07-13
Other References:
See also references of EP 2105460A4
Attorney, Agent or Firm:
YASUTOMI, Yasuo et al. (5-36 Miyahara,3-chome, Yodogawa-ku,Osaka-sh, Osaka 03, JP)
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Claims:
ゴム、ファーネスカーボンブラック、酸化亜鉛、及び、ステアリン酸を含有し、
前記ファーネスカーボンブラックは、窒素吸着比表面積75m 2 /g以上、DBP吸油量100cm 3 /100g以上のもので、含有量が前記ゴム100質量部に対して50~100質量部であり、
前記酸化亜鉛の含有量は、前記ゴム100質量部に対して6質量部以上であり、
前記ステアリン酸の含有量は、前記ゴム100質量部に対して1質量部以上である
ことを特徴とする伝動ベルト用ゴム組成物。
ゴムは、エチレン-α-オレフィンエラストマーである請求項1記載の伝動ベルト用ゴム組成物。
請求項1又は2記載の伝動ベルト用ゴム組成物を用いて得られることを特徴とする伝動ベルト。
PK形で6山のVリブドベルトで測定したときの電気抵抗が1Mω以下で、
伝動ベルトを構成する加硫ゴムのカーボンブラックの含有量がJIS K6227のA法に準じた条件において25~40質量%であり、かつ、
酸化亜鉛がゴム100質量部に対して6質量部以上配合され、ステアリン酸がゴム100質量部に対して1質量部以上配合された伝動ベルト用ゴム組成物を用いて得られる
ことを特徴とする伝動ベルト。
Description:
伝動ベルト用ゴム組成物及び伝 ベルト

本発明は伝動ベルト用ゴム組成物及び伝動 ベルトに関する。

従来から、Vベルト、Vリブドベルト等の伝 ベルトが広く使用されており、このような 動ベルトは、例えば、自動車用補機を運転 る場合の補機駆動用伝動ベルト等として広 用いられている。この補機駆動用伝動ベル は、プーリ(樹脂、アルミニウム等の絶縁物 )の間で静電気が発生することにより、電子 器へ悪影響を及ぼしたり、漏電による感電 故を引き起こすおそれがある。

このため、近年、補機駆動用伝動ベルトの 電気抵抗を低下させる要求があり、具体的に は、500Vの電圧を印加して100mmの距離間で電気 抵抗を測定した時に、その値が50Mω以下であ こと等の性質を有するものを提供すること 望まれている。また、ベルトをエンジンに り付け、ある程度走行してもその電気抵抗 維持されていることも望まれている。従っ 、伝動ベルトに導電性を付与する技術が種 開発されている。

特許文献1には、繊維又は金属の補強体を 設した、ゴム又はゴムに類似のプラスチッ からなる伝動ベルトにおいて、導電性カー ンブラックを含む導電性の表面被膜を有す 伝動ベルトが開示されている。特許文献2に 、CRポリマー、ハードカーボン、電導性カ ボン、酸化亜鉛及びステアリン酸を含むゴ 組成物で形成された背面ゴム層からなる外 帆布ゴム複合体が被覆されたVリブドベルト 開示されている。特許文献3には、カーボン ファイバーが混入・混紡されている伝動ベル ト用帆布がベルト本体の表面に接着されてな る伝動ベルトが開示されている。

また、特許文献4には、長手方向に沿って 線を埋設した接着ゴムと、長手方向に沿っ リブ部を持つ圧縮ゴム層を有するとともに 背面に帆布を設けたVリブドベルトであって 背面に位置する帆布層において、ゴム中に 電性のカーボンブラック、ケッチェンブラ ク、金属粉末又は炭素繊維等の導電材料を 散させることによって導電性を付与すると もに、更に酸化亜鉛、ステアリン酸を添加 、圧縮ゴム層を電気的に絶縁性にしたVリブ ドベルトが開示されている。

更に、特許文献5には、ゴム、特定の窒素 着比表面積及びDBP吸油量を有するカーボン ラック、酸化亜鉛及びステアリン酸を含む ム組成物を用いたVリブドベルトで、耐磨耗 、耐久性、静音性を備えたものが開示され いる。

しかしながら、このような構成からなる伝 動ベルトは、新品のベルトに導電性を付与す ることができても、エンジンに取り付け、走 行させることによってベルトの導電性が失わ れてしまうといった、走行後のベルトの導電 維持特性が不充分であった。また、底ゴム層 (圧縮ゴム層)面にも導電性を付与することも められている。更にこのように、ベルト走 による電気抵抗の上昇が少なく、かつ、ベ トに必要とされる耐摩耗性等の特性を有す ためのゴム配合技術については未だ充分に 討されていないし、ファーネスカーボンブ ックの窒素吸着比表面積やDBP吸油量につい も充分に検討されていない。

特開昭60-222635号公報

特開平6-323368号公報

特開平10-38033号公報

特開平10-184812号公報

特開2006-183805号公報

本発明は、上記現状に鑑み、導電性のみな らず走行後の導電維持特性にも優れ、かつ優 れた耐屈曲疲労性及び耐摩耗性を有する伝動 ベルトを製造することができる伝動ベルト用 ゴム組成物を提供することを目的とする。

本発明は、ゴム、ファーネスカーボンブラッ ク、酸化亜鉛、及び、ステアリン酸を含有し 、上記ファーネスカーボンブラックは、窒素 吸着比表面積75m 2 /g以上、DBP吸油量100cm 3 /100g以上のもので、含有量が上記ゴム100質量 に対して50~100質量部であり、上記酸化亜鉛 含有量は、上記ゴム100質量部に対して6質量 部以上であり、上記ステアリン酸の含有量は 、上記ゴム100質量部に対して1質量部以上で ることを特徴とする伝動ベルト用ゴム組成 である。

上記ゴムは、エチレン-α-オレフィンエラス マーであることが好ましい。
本発明は、上述の伝動ベルト用ゴム組成物を 用いて得られることを特徴とする伝動ベルト でもある。

本発明はまた、PK形で6山のVリブドベルトで 定したときの電気抵抗が1Mω以下で、伝動ベ トを構成する加硫ゴムのカーボンブラック 含有量がJIS K6227のA法に準じた条件におい 25~40質量%であり、かつ、酸化亜鉛がゴム100 量部に対して6質量部以上配合され、ステア ン酸がゴム100質量部に対して1質量部以上配 合された伝動ベルト用ゴム組成物を用いて得 られることを特徴とする伝動ベルトでもある 。
以下に、本発明を詳細に説明する。

本発明の伝動ベルト用ゴム組成物は、伝動 ベルトを製造するために使用されるゴム組成 物であって、ゴム、特定の窒素吸着比表面積 及びDBP吸油量を有するファーネスカーボンブ ラック、酸化亜鉛及びステアリン酸を、特定 配合で含有するものである。このため、上記 伝動ベルト用ゴム組成物を使用することによ り、導電性のみならず、走行後の導電維持特 性にも優れ、かつ耐屈曲疲労性及び耐摩耗性 にも優れた伝動ベルトを得ることができる。

ベルトに導電性を付与する方法として、ケ ッチェンブラックに代表される導電性カーボ ンを使用することが従来より知られている。 しかし、導電性カーボンを使用するとコスト が高くなり、また加工による導電性のばらつ きが大きくなり、所望の導電性や走行後の導 電維持特性をベルトに好適に付与することが できないといった問題があった。更に、伝動 ベルトとして実用的な弾性率のゴムを設計す る場合、ケッチェンブラックは補強性が高い ため添加量が少量となり、その結果、ゴムの 体積比率が多くなり、異音が発生するという 不具合があった。

一方、導電性を付与するためにファーネス カーボンブラックを使用した場合、コストを 低減することが可能であるが、ベルト走行に よる電気抵抗の上昇を抑制すると同時に、優 れた耐屈曲疲労性及び耐摩耗性も得ることは 極めて困難であった。

本発明では、ゴムに対して、ファーネスカ ーボンブラックとして特定の窒素吸着比表面 積及びDBP吸油量を有するものを配合するとと もに、酸化亜鉛及びステアリン酸を配合し、 かつ、これらの成分を特定配合としている。 よって、このような伝動ベルト用ゴム未加硫 組成物を使用してベルトを製造した場合、伝 動ベルトに所望の導電性を付与した上で、ベ ルト走行による電気抵抗の上昇を抑えること ができる。また、導電性カーボンを使用する 場合に比べて、加工による導電性のばらつき をより少なくすることができる。更に、優れ た耐屈曲疲労性及び耐摩耗性も得ることがで きる。従って、本発明のゴム未加硫組成物を 加硫することにより、導電性、走行後の導電 維持特性、耐屈曲疲労性及び耐摩耗性のすべ ての性能に優れた伝動ベルトを得ることがで き、従来では困難であった課題を解決するこ とが可能となる。

上記ファーネスカーボンブラックは、窒素吸 着比表面積75m 2 /g以上のものである。上記窒素吸着比表面積 75m 2 /g未満であると、所望の導電性を得ようとす と多くの添加量が必要となり、その結果ゴ 硬度や弾性率が高くなりすぎて耐屈曲疲労 が悪化する。上記窒素吸着比表面積は、75~2 50m 2 /gであることが好ましく、75~150m 2 /gであることがより好ましい。

なお、上記窒素吸着比表面積(N 2 SA)は、ASTM D3037-88 “Standard Test Method for Car bon Black-SurfaceArea by Nitrogen Absorption ”MethodB によって測定される値である。

上記ファーネスカーボンブラックは、DBP吸油 量100cm 3 /100g以上のものである。100cm 3 /100g未満であると、優れた導電性、走行後の 電維持特性、耐屈曲疲労性及び耐摩耗性を する伝動ベルトを得ることができないおそ がある。上記DBP吸油量は、100~300cm 3 /100gであることが好ましく、100~190cm 3 /100gであることがより好ましい。

なお、本明細書において、DBP吸油量とは、 カーボンブラック100gあたりのDBP(フタル酸ジ チル)の吸収量であり、JIS K6217に準拠して 定されるものである。上記DBP吸油量の値は カーボンブラックの空隙率と正の相関があ 、カーボンブラックの比表面積を間接的に 量するものである。

上記ファーネスカーボンブラックは、平均 一次粒子径10~50nmであることが好ましい。上 範囲の平均一次粒子を有することにより、 発明の効果をより効果的に得ることができ 。

上記ファーネスカーボンブラックは、炭化 水素油や天然ガスの不完全燃焼により得られ るフィラーであって、上記特定の窒素吸着比 表面積及びDBP吸油量を有するものであれば、 特に限定されず、例えば、粒径に応じて、SAF 、ISAF、IISAF、HAF、FF、FEF、MAF、GPF、SRF、CF等 挙げることができる。上記ファーネスカー ンブラックのなかでも、優れた導電性、走 後の導電維持特性、耐屈曲疲労性及び耐摩 性を有する伝動ベルトが得られる点から、SA F、ISAF、HAFが好ましく、ISAFが特に好ましい。 これらは、単独で用いてもよく、2種以上を 用してもよい。

上記ファーネスカーボンブラックの市販品 としては、例えば、ダイアブラックH(商品名 HAF、三菱化学社製)、ダイアブラックI(商品 、ISAF、三菱化学社製)等を挙げることがで る。

上記ファーネスカーボンブラックは、上記 伝動ベルト用ゴム組成物において、ゴム100質 量部に対して50~100質量部含有されるものであ る。50質量部未満であると、所望の導電性及 走行後の導電維持特性を充分付与すること できない。100質量部を超えると、ベルトの 屈曲疲労性が悪化する。

上記伝動ベルト用ゴム組成物は、ゴムを含 むものである。ゴム成分に、上記ファーネス カーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン酸 を特定量配合することにより、良好な導電性 、走行後の導電維持特性、耐屈曲疲労性、耐 摩耗性を有する伝動ベルトを得ることができ る。

上記伝動ベルト用ゴム組成物に含まれるゴ ムとしては、例えば、クロロプレンゴム、天 然ゴム、ニトリルゴム、スチレン・ブタジエ ンゴム、ブタジエンゴム、エチレン-α-オレ ィンエラストマー、エチレン・プロピレン ム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、 クリルゴム、ウレタンゴム、水素添加アク ロニトリルゴム等を挙げることができる。 れらは、単独で用いてもよく、2種以上を併 してもよい。

なかでも、エチレン-α-オレフィンエラス マーが好ましい。ゴムとしてエチレン-α-オ フィンエラストマーを使用し、かつ、上記 ァーネスカーボンブラック、酸化亜鉛、ス アリン酸を特定量配合することによって、 り良好な導電性、走行後の導電維持特性、 屈曲疲労性、耐摩耗性を有する伝動ベルト 得ることができる。また、環境面からも好 しい。

上記エチレン-α-オレフィンエラストマー しては、例えば、エチレンを除くα-オレフ ンとエチレンとジエン(非共役ジエン)との共 重合体からなるゴム、エチレンを除くα-オレ フィンとエチレンとの共重合体からなるゴム 、それらの一部ハロゲン置換物、又は、これ らの2種以上の混合物が用いられる。上記エ レンを除くα-オレフィンとしては、好まし は、プロピレン、ブテン、ヘキセン及びオ テンからなる群より選択される少なくとも1 が用いられる。なかでも、エチレン-α-オレ フィンエラストマーとしては、エチレン-プ ピレン-ジエン系ゴム(以下、EPDMともいう)、 チレン-プロピレンコポリマー(EPM)、エチレ -ブテンコポリマー(EBM)、エチレン-オクテン コポリマー(EOM)、これらのハロゲン置換物(特 に、塩素置換物)、これらの2種以上の混合物 好ましく用いられる。特に、安価で汎用的 用いられている点で、EPDMを用いることがよ り好ましい。

上記エチレン-α-オレフィンエラストマー おいて、上記エチレンの含量は、上記エチ ン-α-オレフィンエラストマーを構成するエ レン、α-オレフィン及びジエンの合計量100 量%中に、50~70質量%であることが好ましい。 これにより、良好な導電性、走行後の導電維 持特性、耐屈曲疲労性、耐摩耗性を有する伝 動ベルトを得ることができる。

上記ジエン成分としては、通常、1,4-ヘキ ジエン、ジシクロペンタジエン又はエチリ ンノルボルネン等の非共役ジエンが適宜に いられる。これらは、単独で用いてもよく 2種以上を併用してもよい。

上記エチレン-α-オレフィンエラストマー 市販品としては、例えば、エスプレン301(商 名、住友化学社製)、X-3012P、3085(商品名、三 井化学社製)、EP21、EP65(商品名、JSR社製)、5754 、582F(商品名、住友化学社製)等を挙げること ができる。

上記伝動ベルト用ゴム組成物は、上記ゴム及 び特定のファーネスカーボンブラックを配合 した組成物に、更に酸化亜鉛及びステアリン 酸という特定の両成分を特定量配合したもの である。
通常、大きい値の窒素吸着比表面積やDBP吸油 量を有するファーネスカーボンブラック(75m 2 /g以上、100cm 3 /100g以上)を伝動ベルトに使用した場合、走行 時においてベルトの劣化が激しく進行してし まう。このため、このようなファーネスカー ボンブラックを使用した場合、ベルトの耐屈 曲疲労性及び耐磨耗性が低くなるとともに、 走行後において導電性が低下してしまう。

ところが、上記特定のファーネスカーボン ブラックを含むゴム組成物に対して、更に上 記特定の両成分(酸化亜鉛及びステアリン酸) 特定量配合すると、ベルトに優れた耐屈曲 労性及び耐磨耗性を付与できるとともに、 行後において導電性を維持することも可能 なる。ゴム組成物に酸化亜鉛やステアリン を配合すること自体は知られている。しか ながら、上記特定のファーネスカーボンブ ックを含むゴム組成物に、上記両成分を特 配合で配合した場合に、このような優れた 果を奏することは全く知られていない。よ て、本発明において、上述したような予想 に優れた効果が得られていることが明らか ある。

上記伝動ベルト用ゴム組成物は、上記ゴム 100質量部に対して、6質量部以上の酸化亜鉛 、1質量部以上のステアリン酸とを含有する のである。上記特定のファーネスカーボン ラック及びゴムに加え、酸化亜鉛及びステ リン酸の両成分を特定量含有することによ 、ベルト走行後でも優れた導電性を有しつ 、耐屈曲疲労性にも優れる伝動ベルトを製 することができる。

上記酸化亜鉛は、含有量が大きくなると、 混練り時の分散性が低下して所望の効果を有 する伝動ベルトを得られなくなるおそれがあ る点から、上記含有量は6~50質量部であるこ が好ましく、6~20質量部であることがより好 しい。上記ステアリン酸は、含有量が大き なると、混練り時の分散性が低下して所望 効果を有する伝動ベルトを得られなくなる それがある点から、上記含有量は1~5質量部 あることが好ましく、1~2質量部であること より好ましい。

上記伝動ベルト用ゴム組成物は、上述した成 分の他に、上記ゴム100質量部に対して、プロ セスオイルが35質量部以下の含有量で配合さ たものであることが好ましい。上記伝動ベ ト用ゴム組成物にプロセスオイルを配合す ことにより、伝動ベルトの製造の際の加工 を向上させることが可能となる。しかし、 えば、ベルトの背面ゴム層をプロセスオイ を含有するゴム組成物を用いて製造した場 、プーリとベルト背面との接触時に、ベル 背面での背面ゴム層の摩耗が生じ、平プー からの離間時におけるベルトの剥離音や平 ーリとの接触時にベルトがプーリをたたく が発生する場合がある。
本発明の伝動ベルト用ゴム組成物は、プロセ スオイルの添加量が少ない場合であっても加 工性を向上させることができ、また、上記問 題が生じることを抑制することができる。上 記配合量が35質量部を超えると、加工性が低 したり、耐粘着性、耐摩耗性が低下するお れがある。5~25質量部であることがより好ま しい。

上記プロセスオイルとしては、一般にゴム に使用されるものであれば特に限定されず、 例えば、パラフィン系、ナフテン系、芳香族 系等のプロセスオイル等を挙げることができ る。なかでも、良好な音特性、耐屈曲疲労性 、耐摩耗性を有する伝動ベルトを得ることが できる点から、パラフィン系プロセスオイル を使用することが好ましい。また、パラフィ ン系プロセスオイルは、エチレン-α-オレフ ンエラストマーとのなじみが良好である点 らも好ましい。

上記伝動ベルト用ゴム組成物は、硫黄又は有 機過酸化物によって架橋することができるも のである。
上記有機過酸化物としては特に限定されず、 例えば、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジ-t-ア ミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオ サイド、ジクミルパーオキサイド、1,4-ジ-t- ブチルパーオキシイソプロピルベンゼン、1,3 -ジ-t-ブチルパーオキシイソプロピルベンゼ 、2,2-ジ-t-ブチルパーオキシブタン、2,5-ジメ チル-2,5-ジ-(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2, 5-ジメチル-2,5-ジ-t-ブチルパーオキシ)ヘキシ -3、n-ブチル-4,4-ジ-t-ブチルバレレート、1,1- ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキサン、ジ-t- ブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘ サン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシ ロヘキシル)プロパン等のジアルキルパーオ サイド類;t-ブチルパーオキシアセテート、t -ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチル パーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシ レート、t-ブチルパーオキシネオデカノエ ト、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ-t- ブチルパーオキシフタレート、t-ブチルパー キシジラウレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(ベ ゾイルパーオキシ)へキサン、t-ブチルパー キシイソプロピルカーボネート等のパーオ シエステル類;ジシクロヘキサノンパーオキ イド等のケトンパーオキサイド類;これらの 混合物等を挙げることができる。なかでも、 半減期1分を与える温度が130~200℃の範囲にあ 有機過酸化物が好ましく、特に、ジ-t-ブチ パーオキサイド、ジ-t-アミルパーオキサイ 、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミ パーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチ パーオキシ)ヘキサンを好適に用いることが できる。これらは、単独で用いてもよく、2 以上を併用してもよい。

上記伝動ベルト用ゴム組成物において、上 記有機過酸化物の配合量は、上記ゴム100質量 部(固形分)に対して、0.001~0.1モルであること 好ましい。0.001モル未満であると、架橋が 分進行せず、機械的強度を発現しないおそ がある。0.1モルを超えると、加硫物のスコ チ安全性又は加硫物の伸びが実用的な範囲 逸脱するおそれがある。より好ましくは、0. 005~0.05モルである。

上記過酸化物架橋の場合はまた、架橋助剤 を配合してもよい。架橋助剤を配合すること によって、架橋度を上げて接着力を更に安定 させ、粘着摩耗性等の問題を防止することが できる。上記架橋助剤としては、トリアリル イソシアヌレート(TAIC)、トリアリルシアヌレ ート(TAC)、1,2ポリブタジエン、不飽和カルボ 酸の金属塩、オキシム類、グアニジン、ト メチロールプロパントリメタクリレート、 チレングリコールジメタクリレート、N,N″- m-フェニレンビスマレイミド、硫黄等通常パ オキサイド架橋に用いるものを挙げること できる。

上記硫黄加硫の場合、硫黄の添加量は、上記 ゴム100質量部に対して1~3質量部であることが 好ましい。
硫黄加硫の場合はまた、加硫促進剤を配合し てもよい。加硫促進剤を配合することによっ て、加硫度を上げて粘着摩耗等の問題を防止 することができる。上記加硫促進剤としては 、一般的に加硫促進剤として使用されるもの であればよく、例えば、N-オキシジエチレン ンゾチアゾール-2-スルフェンアミド(OBS)、 トラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テ ラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、ジメ ルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnMDC)、ジエチル チオカルバミン酸亜鉛(ZnEDC)、N-シクロヘキ ルベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド、2 -メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチ ゾリルジスルフィド等を挙げることができ 。

上記伝動ベルト用ゴム組成物は、短繊維を 含むものであってもよい。上記短繊維として は特に限定されず、例えば、ナイロン6、ナ ロン66、ポリエステル、綿、アラミド等から なる短繊維を挙げることができる。上記短繊 維を適宜選択することによって、耐摩耗性、 異音防止性、耐屈曲疲労性等の性能を向上さ せることができる。上記短繊維の長さ又は形 状等を適宜調整することにより、耐摩耗性、 異音防止性等の性能を向上させることができ るが、通常、上記短繊維の長さは、0.1~3.0mmで あることが好ましい。

上記伝動ベルト用ゴム組成物は、上述した 成分と共に、必要に応じて、シリカ等の増強 剤、炭酸カルシウム、タルク等の充填剤、可 塑剤、安定剤、加工助剤、着色剤等の通常の ゴム工業で用いられる種々の薬剤を含有する ものであってもよい。

上記伝動ベルト用ゴム組成物は、上記エチ レン-α-オレフィンエラストマー、ファーネ カーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン と、必要に応じて、上述したような成分と に、ロール、バンバリー等、通常の混合手 を用いて均一に混合することによって製造 ることができる。

本発明の伝動ベルトは、上述した伝動ベル ト用ゴム組成物を用いて得られるものである 。従って、上記伝動ベルトは、優れた導電性 、走行後の導電維持特性、耐屈曲疲労性及び 耐摩耗性を有するものであり、好適に使用す ることができる。

上記伝動ベルトとしては、ベルトを構成す る少なくとも一部のゴム要素が上述した伝動 ベルト用ゴム組成物を用いて得られるもの等 を挙げることができる。上記伝動ベルトとし て、例えば、Vリブドベルト、ダブルリブド ルト又は平ベルト等を挙げることができる

図1に、Vリブドベルトの一例を示す。図1は、 Vリブドベルトの一例の横断面図(ベルト長手 向に直角な面)を示した概略図である。
図1のVリブドベルト1は、背面ゴム層2及び底 ム層3と、上記背面ゴム層2及び底ゴム層3の に接着ゴム層4とを備えたものであり、ベル 長手方向に配設された心線5が上記接着ゴム 層4によって固定されている。更に、上記底 ム層3には、複数の断面V形溝(リブ)がベルト 手方向に連続して形成されている。多くの 合、底ゴム層3には、その耐側圧性を高める ために、ベルトの幅方向に配向して短繊維( 示せず)が分散されている。

上記Vリブドベルト1は、ベルトを構成する なくとも一部のゴム要素が上述した伝動ベ ト用ゴム組成物を用いて得られるものであ が、ここで、上記ゴム要素は、背面ゴム層2 、底ゴム層3、接着ゴム層4である。上記ゴム 素のうち、背面ゴム層2又は底ゴム層3が上 した伝動ベルト用ゴム組成物を用いて得ら るものであることが好ましく、背面ゴム層2 び底ゴム層3の両方が上述した伝動ベルト用 ゴム組成物を用いて得られるものであること がより好ましい。この場合、上記Vリブドベ ト1は、優れた導電性、走行後の導電維持特 、耐屈曲疲労性及び耐摩耗性を有するもの なる。なお、背面ゴム層2又は底ゴム層3が 述した伝動ベルト用ゴム組成物を用いて得 れるものでない場合は、そのゴム層は、例 ば、上述したゴム、必要に応じて従来公知 他の成分を含む組成物を使用することによ 得ることができる。

上記接着ゴム層4は、従来公知の組成物に り得ることができ、例えば、上述したゴム 含むゴム組成物を用いて得ることができる 上記接着ゴム層4を得るためのゴム組成物は ゴムとしてエチレン-α-オレフィンエラスト マーを使用するものであることが好ましい。 これにより、本発明の効果を得ることができ る。また、ゴム組成物は、従来公知の他の成 分を含むものであってもよい。

上記心線5としては、ポリエステル心線、ナ ロン心線、ビニロン心線、アラミド心線等 好適に用いられる。上記ポリエステル心線 してはポリエチレンテレフタレートやポリ チレンナフタレート等が、上記ナイロン心 としては6,6-ナイロン(ポリヘキサメチレンア ジパミド)、6ナイロン、4,6-ナイロンが好適に 用いられる。上記アラミド心線としてはコポ リパラフェニレン・3,4″オキシジフェニレン ・テレフタルアミドやポリパラフェニレンテ レフタルアミドやポリメタフェニレンイソフ タルアミド等が好適に用いられる。これらの 心線は、一般に、レゾルシン-ホルマリン-ラ ックス接着剤組成物(RFL接着剤)等で接着処 されて、上記接着ゴム層4内に埋設されてい 。
また、上記Vリブドベルトとしては、接着ゴ 層を有さないものであってもよい。

図2に、平ベルトの一例を示す。図2は、平ベ トの一例の横断面図(ベルト長手方向に直角 な面)を示した概略図である。
図2の平ベルト6は、背面ゴム層2及び底ゴム層 3と、上記背面ゴム層2及び底ゴム層3の間に接 着ゴム層4とを備えたものであり、ベルト長 方向に配設された心線5が上記接着ゴム層4に よって固定されている。多くの場合、底ゴム 層3には、その耐側圧性を高めるために、ベ トの幅方向に配向して短繊維(図示せず)が分 散されている。

上記平ベルト6は、ベルトを構成する少な とも一部のゴム要素が上述した伝動ベルト ゴム組成物を用いて得られるものである。 記平ベルト6における背面ゴム層2、底ゴム層 3、接着ゴム層4、心線5は、上記Vリブドベル 1と同様のものを使用することができる。ま 、背面ゴム層2、底ゴム層3が上述した伝動 ルト用ゴム組成物を用いて得られる形態が ましい点も同様であり、この場合、上記平 ルト6は、優れた導電性、走行後の導電維持 性、耐屈曲疲労性及び耐摩耗性を有するも となる。

図3に、ダブルリブドベルトの一例を示す。 3は、ダブルリブドベルトの一例の横断面図( ベルト長手方向に直角な面)を示した概略図 ある。
図3のダブルリブドベルト7は、底ゴム層3と、 上記底ゴム層3の間に接着ゴム層4とを備えた のであり、ベルト長手方向に配設された心 5が上記接着ゴム層4によって固定されてい 。更に、上記底ゴム層3には、複数の断面V形 溝(リブ)がベルト長手方向に連続して形成さ ている。多くの場合、底ゴム層3には、その 耐側圧性を高めるために、ベルトの幅方向に 配向して短繊維(図示せず)が分散されている

上記ダブルリブドベルト7は、ベルトを構 する少なくとも一部のゴム要素が上述した 動ベルト用ゴム組成物を用いて得られるも である。上記ダブルリブドベルト7における ゴム層3、接着ゴム層4、心線5は、上記Vリブ ドベルト1と同様のものを使用することがで る。また、底ゴム層3が上述した伝動ベルト ゴム組成物を用いて得られる形態が好まし 点も同様であり、この場合、上記ダブルリ ドベルト7は、優れた導電性、走行後の導電 維持特性、耐屈曲疲労性及び耐摩耗性を有す るものとなる。

上記伝動ベルトは、上記伝動ベルトを構成す る加硫ゴムが、JIS K6253に準ずるタイプAデュ メーターによる硬度が75~90のものであるこ が好ましい。上記伝動ベルトを構成する加 ゴムが上記硬度を有する場合、導電性、走 後の導電維持特性、耐屈曲疲労性及び耐摩 性のすべてにおいて優れたものとなる。上 硬度は、80~90であることがより好ましい。
上記硬度の加硫ゴム特性を有する伝動ベルト は、上述した伝動ベルト用ゴム組成物におい て、上述した成分を適当に選択して用いるこ とによって得ることができる。

本発明の伝動ベルトは、PK形で6山のVリブ ベルトで測定したときの電気抵抗が1Mω以下 、伝動ベルトを構成する加硫ゴムのカーボ ブラックの含有量がJIS K6227のA法に準じた 件において25~40質量%であり、かつ、酸化亜 がゴム100質量部に対して6質量部以上配合さ 、ステアリン酸がゴム100質量部に対して1質 量部以上配合された伝動ベルト用ゴム組成物 を用いて得られるものでもある。上記伝動ベ ルトは、導電性、走行後の導電維持特性、耐 屈曲疲労性及び耐摩耗性に優れたものである 。

上記伝動ベルトにおいて、PK形で6山のVリ ドベルトで測定したときの電気抵抗が1Mω以 であると、優れた導電性が得られる。上記 気抵抗は、後述する「ベルト走行による電 抵抗特性」に記載されている方法による測 値である。

上記伝動ベルトにおいて、使用されるカー ボンブラックとしては特に限定されないが、 なかでも、上述した特定のファーネスカーボ ンブラックが特に好ましい。この場合、上述 した効果を良好に得ることができる。

本発明の伝動ベルトにおいて、伝動ベルト を構成する加硫ゴムのカーボンブラックの含 有量が25~40質量%の範囲内であると、ベルト走 行後でも優れた導電性を有しつつ、耐屈曲疲 労性にも優れる加硫ゴムを得ることができる 。また、酸化亜鉛及びステアリン酸の両成分 を特定量使用することにより、ベルト走行後 でも優れた導電性を有しつつ、耐屈曲疲労性 にも優れる伝動ベルトを製造することができ る。

本発明の伝動ベルトにおいて、伝動ベルト を構成する加硫ゴムが、JIS K6253に準ずるタ プAデュロメーターによる硬度が75~90のもの あることが好ましい。この場合、導電性、 行後の導電維持特性、耐屈曲疲労性及び耐 耗性のすべてにおいて優れたものとなる。 記硬度は、80~90であることがより好ましい。 上記硬度を有する伝動ベルトは、上述した伝 動ベルト用ゴム組成物において、上述した成 分を適当に選択して用いることによって得る ことができる。

本発明の伝動ベルトは、従来より知られて いる通常の方法によって製造することができ る。例えば、Vリブドベルトは、以下の製造 法により製造することができる。ゴム等の 分を含む組成物を、密閉式混練機を用いて 練し、得られたゴム組成物をオープンロー にて圧延し、未加硫シートを製造する。得 れた未加硫シートを底ゴム層や背面ゴム層 用い、ポリエステル心線等の心線が埋設さ た接着ゴム層と、底ゴム層とを積層させた 、背面ゴム層を接着させることにより、Vリ ドベルトを得ることができる。

本発明の伝動ベルト用ゴム組成物は、上記 構成からなるものであるため、導電性、走行 後の導電維持特性、耐屈曲疲労性及び耐摩耗 性のすべての特性に優れた伝動ベルトを得る ことができる。すなわち、所望の導電性を付 与するとともに、ベルト走行後においても良 好な導電性を維持することができる。また、 非導電性配合に劣らない耐屈曲疲労性及び耐 磨耗性を付与することも可能となる。従って 、本発明の伝動用ゴム組成物は、Vリブドベ ト、ダブルリブドベルト、平ベルト等とし 好適に使用することができる伝動ベルトを 供することができる。また、その他の用途 ベルトで導電性が必要とされるものへの適 も期待できるものである。

以下に本発明について実施例を掲げて更に 詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例 のみに限定されるものではない。また実施例 中、「部」、「%」は特に断りのない限り「 量部」、「質量%」を意味する。

実施例1~19及び比較例1~13
伝動ベルトの底ゴム層、背面ゴム層の形成に 使用したゴム組成物の配合を表1に示した。 用した市販品については表2に示した。また 接着ゴム層の形成に使用したゴム組成物の 合を表3に示した。

使用した市販品のエチレン-α-オレフィンエ ストマーは、以下のものである。
(1)「エスプレン301」:エチレン含量63質量%、 ロピレン含量34質量%、ジシクロペンタジエ (DCPD)含量3質量%、ムーニー粘度ML 1+4 (125℃)37
(2)「ノーデル4640」:エチレン含量55質量%、プ ピレン含量40質量%、エチリデンノルボルネ (ENB)含量4.9質量%、ムーニー粘度ML 1+4 (125℃)40
(3)「EP11」:エチレン含量51質量%、プロピレン 量49質量%、ジエン含量0質量%、ムーニー粘 ML 1+4 (100℃)40
(4)「EngageENR7380」:EBM
(5)「Engage8180」:EOM
老化防止剤「ノクラック224」と「ノクラック MB」の配合比は、0.5:2.0〔phr〕
である。

(伝動ベルトの製造)
底ゴム層、背面ゴム層の形成に使用したゴム 組成物は、密閉式混練機を用いて混練し、得 られたゴム組成物をオープンロールにて圧延 し、未加硫シートとした。この未加硫シート を底ゴム層、背面ゴム層に用いた。また、接 着ゴム層の形成に使用したゴム組成物を用い て同様に未加硫シートを作成し、接着ゴム層 に用いた。ポリエステル心線が埋設された接 着ゴム層と底ゴム層を積層させた後、背面ゴ ム層を接着させてVリブドベルト(PK形で6山)を 得た。

なお、得られたVリブドベルトにおいて、V ブドベルトを構成する加硫ゴムのカーボン ラックの含有量(JIS K6227 A法に準じて測定 た値)を後述する表4に示した。

得られたVリブドベルトについて、以下に述 るベルト台上試験を行い、それぞれ、電気 抗特性、耐屈曲走行寿命、24時間ベルト走行 による摩耗量について調べた。その結果を表 4に示した。電気抵抗測定の方法については 真鍮製ベースの上に、測定面を下にしてベ トを置き、その上に1kgの重りを載せ、電気 抗計の端子を真鍮製ベースに当てて500Vの電 をかけ、電気抵抗値の測定を行った(図4に 電気抵抗測定の概略図を示した)。
使用した電気抵抗測定装置は、「3154絶縁抵 試験器」(日置電機社製)であり、試験電圧:50 0V、抵抗値読取時間:5秒後の条件にて測定し 。

(ベルト走行による電気抵抗特性)
図5に示すような9軸のレイアウトにベルトを 置し、走行前の電気抵抗と100時間走行後の 気抵抗の測定を行った。電気抵抗の測定可 範囲は0.01Mω~1000Mωまでである。

(耐屈曲走行試験)
図5に示すような9軸のレイアウトにベルトを 置し、走行開始時からVリブドベルトにクラ ックが発生するまでの時間にて評価した。表 4に示した結果は、クラック発生に至るまで 時間を、比較例1を100とした相対値を示した のである。

(耐摩耗試験)
図6に示すような2軸のレイアウトにベルト設 し、ベルト走行前と24時間走行後のベルト 量の差から重量摩耗率を評価した。表4に示 た結果は、重量摩耗率を、比較例1を100とし て指数換算することによって求めたものであ る。
また、粘着の有無についても評価した。摩耗 試験を行ったベルトにおける粘着物の発生の 有無を目視によって判定した。

比較例1及び3は、ファーネスカーボンブラ ク量が規定する範囲より少ないため、100時 走行後の電気抵抗が目標の50Mω以下ではな った。比較例2及び4は、上記カーボンブラッ ク量が規定する範囲よりも多く配合されてお り、耐屈曲走行寿命が悪かった。比較例5及 6は、初期の電気抵抗が1Mω以上であり、また 窒素吸着比表面積が規定範囲よりも小さいカ ーボンブラックを用いたため、100時間走行後 の電気抵抗が高かった。比較例7~9は、酸化亜 鉛が規定の範囲よりも少ないため、耐屈曲疲 労性が悪かった。比較例10~11は、ステアリン が規定の範囲よりも少ないため、耐屈曲疲 性が悪かった。比較例12~13は、窒素吸着比 面積及びDBP吸油量が規定範囲よりも小さい ーボンブラックを用いたため、初期の電気 抗、100時間走行後の電気抵抗が高かった。 のように比較例においては、すべての性能 優れたものは得られなかった。これらの比 例の結果に対し、実施例では、耐屈曲疲労 、耐摩耗性が比較例1とほぼ同等で、電気抵 特性が格段に良くなっていた。

図7は実施例3、7、15、比較例6、13に配合さ ているカーボンの特性である窒素吸着比表 積とDBP吸油量の関係を示したものである。 発明で規定された値を有するカーボンを用 ることで電気抵抗を満足できることがわか 。また、図8はカーボン量と100時間走行後電 気抵抗の関係を示したものである〔実施例1~3 及び比較例1~2(HAF)、実施例4~7及び比較例3~4(ISA F)、実施例14~15(SAF)、比較例5~6(FEF)、比較例12~1 3(GPF)〕。この図から明らかなように、本発明 の規定範囲外のFEF、GPFは電気抵抗が高いのが わかる。本発明の規定量よりもカーボン量が 少ないと目標の50Mωよりも電気低抗が高くな てしまい、逆に多すぎると電気抵抗は良く るが、耐屈曲寿命が悪化する。図9は酸化亜 鉛量及びステアリン酸量と耐屈曲寿命との関 係をグラフ化したものである〔実施例5、8、9 及び比較例7~9(ステアリン酸1.0質量部)、比較 10~11(ステアリン酸0.5質量部)、実施例10(ステ アリン酸1.5質量部)、実施例11(ステアリン酸2 量部)〕。ステアリン酸1質量部の場合、酸 亜鉛6質量部以上添加することで飛躍的に耐 曲寿命が良くなっているが、ステアリン酸0 .5質量部では酸化亜鉛を6質量部以上添加して も耐屈曲寿命の向上はみられない。

以上の結果から、本発明で規定の窒素吸着 量及びDBP吸油量を有するカーボンを用い、か つ、酸化亜鉛及びステアリン酸を特定量配合 したゴム組成物を用いてベルトを製造するこ とによって、ベルトの基本性能を満足させつ つ、電気抵抗として目標の50Mω以下を達成す ことができることが明らかとなった。

本発明の伝動ベルト用ゴム組成物は、Vリ ドベルト、ダブルリブドベルト、平ベルト として好適に使用することができる伝動ベ トの製造に適用することができる。また、 の他用途のベルトで導電性が必要とされる のへの適用も期待できるものである。

Vリブドベルトの横断面図(ベルト長手 向に直角な面)の一例である。 平ベルトの横断面図の一例である。 ダブルリブドベルトの横断面図の一例 ある。 電気抵抗測定の概略図である。 ベルト走行による電気抵抗特性、耐屈 走行試験に使用する走行試験装置の概略図 ある。 摩耗試験を行う装置の概略図である。 カーボンブラック特性(窒素吸着比表面 積、DBP吸油量)と100時間走行後の電気抵抗の 係を示した図である。 カーボン量と100時間走行後の電気抵抗 関係を示した図である。 酸化亜鉛量及びステアリン酸量と耐屈 寿命との関係を示した図である。

符号の説明

1、11、21、31 Vリブドベルト
2 背面ゴム層
3 底ゴム層
4 接着ゴム層
5 心線
6 平ベルト
7 ダブルリブドベルト
12 電気抵抗計
13 端子(測定部)
14 真鍮製ベース
15 重り(1kg)
22、32 駆動プーリ
23、33 従動プーリ