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Patent Searching and Data


Title:
SELECTIVELY PERMEABLE MATERIAL, METHOD FOR PRODUCING SELECTIVELY PERMEABLE MEMBRANE STRUCTURE, SELECTIVELY PERMEABLE MEMBRANE STRUCTURE, AND AIR CONDITIONING SYSTEM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/081798
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a selectively permeable material which is obtained by dispersing a solid additive into a polymer having an organosiloxane structure. When oxygen and nitrogen are caused to permeate a membrane which is made of the selectively permeable material, the relation between the permeability coefficients (cm3 •cm •sec-1 •cm-2 •cmHg-1) of oxygen and nitrogen at 23 ± 2˚C at a transmembrane pressure difference of 0.15-1.20 atm is represented by the formula (1) below. In the formula below, P(O2) represents the permeability coefficient of oxygen and P(N2) represents the permeability coefficient of nitrogen. (1)

Inventors:
ISHIDA JUNYA (JP)
IWASE KATSUNORI (JP)
YAMAMOTO AKIRA (JP)
MINEMURA MASAHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/074902
Publication Date:
July 10, 2008
Filing Date:
December 26, 2007
Export Citation:
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Assignee:
SHINETSU POLYMER CO (JP)
DENSO CORP (JP)
SHINETSU CHEMICAL CO (JP)
ISHIDA JUNYA (JP)
IWASE KATSUNORI (JP)
YAMAMOTO AKIRA (JP)
MINEMURA MASAHIKO (JP)
International Classes:
B01D71/70; B60H3/06
Foreign References:
JPH0119928B21989-04-13
JPS6349535B21988-10-05
JPH07289864A1995-11-07
JP4070048B22008-04-02
JP2004203367A2004-07-22
JP2004203367A2004-07-22
JPH08208989A1996-08-13
JP2002332305A2002-11-22
Other References:
KAGAKU DAIJITEN: "Kagaku Daijiten Henshuu linkai", vol. 3, pages: 44
See also references of EP 2098281A4
Attorney, Agent or Firm:
HASEGAWA, Yoshiki et al. (Ginza First Bldg. 10-6,Ginza 1-chome, Chuo-k, Tokyo 61, JP)
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Claims:
 オルガノシロキサン骨格を有するポリマーに固形添加剤が分散されてなる選択透過材料であって、
 前記選択透過材料から形成される膜に酸素及び窒素を透過させた場合に、23±2℃、膜間の圧力差1.05~1.20atmにおける酸素及び窒素の透過係数(cm 3 ・cm・sec -1 ・cm -2 ・cmHg -1 )の関係が下記式(1)で表される、選択透過材料。
[式中、P(O 2 )は酸素の透過係数、P(N 2 )は窒素の透過係数を示す。]
 前記固形添加剤は、フィラー及び/又は導電性ポリマーである請求項1記載の選択透過材料。
 以下の(1)~(3)のいずれかの条件を満たす請求項2記載の選択透過材料。
(1)前記フィラーが、多孔質シリカ粒子であり、前記オルガノシロキサン骨格を有するポリマー100質量部に対して前記固形添加剤の添加量が25~1560質量部である、
(2)前記フィラーが、平均粒径10~120nmの、疎水性若しくは親水性表面を有する非多孔質シリカ粒子であり、前記オルガノシロキサン骨格を有するポリマー100質量部に対して前記固形添加剤の含有量が65~3800質量部である、
(3)前記フィラーが、平均粒径10~60nmの、親水性表面を有する非多孔質酸化チタン粒子であり、前記オルガノシロキサン骨格を有するポリマー100質量部に対する前記固形添加剤の含有量が330~6400質量部である。
 前記導電性ポリマーが、ポリアニリン又は酸処理ポリアリニンである請求項2記載の選択透過材料。
 オルガノシロキサン骨格を有するポリマーにイオン性液体を添加してなる選択透過材料であって、
 前記選択透過材料から形成される膜に酸素及び窒素を透過させた場合に、23±2℃、膜間の圧力差1.05~1.20atmにおける酸素及び窒素の透過係数(cm 3 ・cm・sec -1 ・cm -2 ・cmHg -1 )の関係が下記式(1)で表される、選択透過材料。
[式中、P(O 2 )は酸素の透過係数、P(N 2 )は窒素の透過係数を示す。]
 前記選択透過材料から形成される膜に気体を透過させた場合に、前記膜を透過する気体の流れにおいてクヌーセン流(Knudsen flow)が生じる請求項1~5のいずれか一項に記載の選択透過材料。
 前記オルガノシロキサン骨格を有するポリマーが、ポリオルガノシロキシ単位及び有機単量体単位を備えるシリコーン共重合体又はポリオルガノシロキサンである請求項1~6のいずれか一項に記載の選択透過材料。
 空調対象空間への気体の供給及び/又は空調対象空間からの気体の排出が行われる膜を備える空調システムであって、
 前記膜は請求項1~7のいずれか一項記載の選択透過材料からなる膜である空調システム。
 補強用メッシュ材の開口に目留め材を充填する工程と、
 前記開口に充填された前記目留め材の体積を収縮させる工程と、
 前記目留め材で覆われていない前記補強用メッシュ材の露出部と、前記開口に充填された前記目留め材の露出部と、を覆うように、選択透過材料から選択透過膜を形成する工程と、
 前記選択透過膜を形成した後に、前記補強用メッシュ材の前記開口から前記目留め材を除去する工程と、を備える、
 前記補強用メッシュ材と前記補強用メッシュ材に積層された前記選択透過膜とを有する選択透過膜構造体の製造方法。
 補強用メッシュ材の開口に目留め材を充填する工程と、
 前記開口に充填された前記目留め材の露出部に、前記目留め材との接着性及び選択透過材料との接着性を共に有する中間層を形成する工程と、
 前記開口に充填された前記目留め材の体積を収縮させる工程と、
 前記目留め材で覆われていない前記補強用メッシュ材の露出部及び前記中間層を覆うように、前記選択透過材料から選択透過膜を形成する工程と、
 前記選択透過膜が形成された後に、前記補強用メッシュ材の前記開口から前記目留め材及び前記中間層を除去する工程と、を備える、
 前記補強用メッシュ材と前記補強用メッシュ材の上に積層された前記選択透過膜とを有する選択透過膜構造体の製造方法。
 前記開口に充填された前記目留め材の体積を収縮させる工程において、前記目留め材の体積収縮に伴い前記目留め材で被覆されていた前記補強用メッシュ材の一部を露出させることによって、前記補強用メッシュ材の前記露出部を形成することを特徴とする請求項9又は10に記載の選択透過膜構造体の製造方法。
 請求項9~11のいずれか一項に記載の選択透過膜構造体の製造方法によって得られる選択透過膜構造体であって、
 前記選択透過膜を形成するための選択透過材料が、オルガノシロキサン骨格を有するポリマーに固形添加剤が分散されてなり、
 前記選択透過材料から形成される膜に酸素及び窒素を透過させた場合に、23±2℃、膜間の圧力差1.05~1.20atmにおける酸素及び窒素の透過係数(cm 3 ・cm・sec -1 ・cm -2 ・cmHg -1 )の関係が下記式(1)で表され、
 前記補強用メッシュ材の開口径が前記選択透過膜の膜厚より大きく、
 前記補強用メッシュ材の開口率が30%以上であることを特徴とする選択透過膜構造体。
[式中、P(O 2 )は酸素の透過係数、P(N 2 )は窒素の透過係数を示す。]
 請求項9~11のいずれか一項に記載の選択透過膜構造体の製造方法によって得られる選択透過膜構造体であって、
 前記選択透過膜を形成するための選択透過材料が、オルガノシロキサン骨格を有するポリマーにイオン性液体を添加してなり、
 前記選択透過材料から形成される膜に酸素及び窒素を透過させた場合に、23±2℃、膜間の圧力差1.05~1.20atmにおける酸素及び窒素の透過係数(cm 3 ・cm・sec -1 ・cm -2 ・cmHg -1 )の関係が下記式(1)で表され、
 前記補強用メッシュ材の開口径が前記選択透過膜の膜厚より大きく、
 前記補強用メッシュ材の開口率が30%以上であることを特徴とする選択透過膜構造体。
[式中、P(O 2 )は酸素の透過係数、P(N 2 )は窒素の透過係数を示す。]
 空調対象空間への気体の供給及び/又は空調対象空間からの気体の排出が行われる選択透過膜構造体を備える空調システムであって、
 前記選択透過膜構造体は請求項12又は13に記載の選択透過膜構造体である空調システム。
Description:
選択透過材料、選択透過膜構造 の製造方法、選択透過膜構造体、及び空調 ステム

 本発明は、選択透過材料、選択透過膜構 体の製造方法、選択透過膜構造体、及び空 システムに関する。

 近年、技術の進歩に伴い、例えば自動車 の気密性を高めることが難しかった空間に いても気密性を高めることが可能となった このような気密性の高い自動車に多くの乗 が長時間の乗車をした場合には、酸素濃度 低下や二酸化炭素濃度の上昇が起こり、乗 に頭痛や不快感をもたらすおそれがあるた 、適度に車室内に外気を導入する必要があ 。

 しかしながら、都会の道路や幹線道路等 粉塵等の汚染物質により汚染されているた 、乗員の健康を考えると外気をそのまま車 に導入することは大きな問題であった。こ 問題を解決するための1つの方法としては、 大気中の汚染物質、例えば浮遊物質を除去す るためのフィルタを、外気導入のための取り 入れ口に設置する方法がある。

 このようなフィルタとしては従来、不織布 メカニカルフィルタ等が用いられていた。 た、特許文献1では、自動車全体の空調シス テムが提案されている。

特開2004-203367号公報

 しかしながら、従来の不織布やメカニカ フィルタ等のフィルタでは、大気中の浮遊 質のうち粒径が10μm以下のもの(以下「SPM」 いう。)、特に粒径が100nm以下のもの(以下「 nSPM」という。)を除去することが非常に困難 あった。また、高分子材料からなる気体選 透過膜をフィルタに適用したとしても、SPM nSPMの除去は可能であるものの、気体の透過 性が不十分であり、外気を十分に導入する目 的を達成することができないという問題があ った。

 そこで、本発明は、SPM、nSPM等の大気中の 浮遊物質を除去することが可能であり、且つ 気体の透過性が十分である膜を形成すること ができる選択透過材料、及びそれを用いる空 調システムを提供することを目的とする。

 本発明者らは、オルガノシロキサン骨格 有するポリマー(以下、場合により「シリコ ーン系ポリマー」ともいう。)と固形添加剤 からなる選択透過材料であって、選択透過 料から形成される膜に気体を透過させた場 に、膜を透過する気体の流れにおいてクヌ セン流(Knudsen flow)が支配的である選択透過 料により、上記目的を達成できることを見 した。なお、「固形添加剤」とは、常温常 で固形の添加剤をいい、可塑剤やイオン性 体等の液状物質は含まれない。また、「ク ーセン流」とは、分子の動きが問題となる どの希薄な気体の流れをいい(化学大辞典3、 化学大辞典編集委員会編、縮刷版44頁参照)、 ガスの透過速度がその分子量に依存するとい う特徴を有する。また、「クヌーセン流が支 配的である」とは、ガスの透過速度がその分 子量に依存するようになることをいう。

 すなわち、本発明は、シリコーン系ポリマ に固形添加剤が分散されてなる選択透過材 であって、選択透過材料から形成される膜 酸素及び窒素を透過させた場合に、23±2℃ 膜間の圧力差1.05~1.20atmにおける酸素及び窒 の透過係数(cm 3 ・cm・sec -1 ・cm -2 ・cmHg -1 )の関係が下記式(1)で表される、選択透過材 を提供する。
[式中、P(O 2 )は酸素の透過係数、P(N 2 )は窒素の透過係数を示す。]

 このような選択透過材料によれば、SPM、nSPM 等の大気中の浮遊物質を除去することが可能 であり、且つ気体の透過性が十分である膜を 形成することができる。なお、本明細書中に おいて、「気体の透過性が十分である」とは 、23±2℃、膜間の圧力差1.05~1.20atmにおける酸 及び窒素の透過係数が8.0×10 -8 cm 3 ・cm・sec -1 ・cm -2 ・cmHg -1 以上、好ましくは1.0×10 -7 cm 3 ・cm・sec -1 ・cm -2 ・cmHg -1 以上であることをいう。また、本明細書中に おいて、「SPM、nSPM等の大気中の浮遊物質を 去することが可能」とは、nSPMの遮断率が80wt %以上(好ましくは90wt%以上、より好ましくは99 wt%以上)であることをいう。nSPMの遮断率が80wt %以上である場合には、当然に、nSPMよりも粒 の大きいSPM等の大気中の浮遊物質も遮断す ことができる。nSPMの遮断率は、例えば実施 例に記載の方法により測定することができる 。

 上記選択透過材料から形成される膜に気 を透過させた場合に、この膜を透過する気 の流れにおいてクヌーセン流(Knudsen flow)が じる。この場合において、シリコーン系ポ マーと固形添加剤との界面、隣接する固形 加剤同士の界面、固形添加剤自身、及び前 シリコーン系ポリマー中の空泡からなる群 り選ばれる少なくとも1つに、クヌーセン流 が生じる空隙が形成されていることが好まし く、シリコーン系ポリマーと固形添加剤との 界面、及び/又は隣接する固形添加剤同士の 面にクヌーセン流が生じる空隙が形成され いることがより好ましい。

 固形添加剤は、フィラー、導電性ポリマー 又はこれらの混合物であることが好ましい フィラーは、膜における気体の透過性の更 る向上の観点から、シリカ系フィラーであ ことが好ましく、多孔質フィラーであるこ が特に好ましい。なお、固形添加剤がフィ ーである場合において、以下の(1)~(3)のいず れかの条件を満たすことが好ましい。
(1)前記フィラーが、多孔質シリカ粒子であり 、シリコーン系ポリマー100質量部に対して前 記固形添加剤の添加量が25~1560質量部である
(2)前記フィラーが、平均粒径10~120nmの、疎水 若しくは親水性表面を有する非多孔質シリ 粒子であり、シリコーン系ポリマー100質量 に対して前記固形添加剤の含有量が65~3800質 量部である、
(3)前記フィラーが、平均粒径10~60nmの、親水 表面を有する非多孔質酸化チタン粒子であ 、シリコーン系ポリマー100質量部に対する 記固形添加剤の含有量が330~6400質量部である 。

 導電性ポリマーとしては、ポリアニリン は酸処理ポリアリニンを採用することもで る。ポリアニリン又は酸処理ポリアニリン 、シリコーン系ポリマーと同様に例えばト エン等の溶媒に可溶である。このため、ポ アニリンを溶媒に溶解させることにより、 リコーン系ポリマーとの混合、分散を、容 かつ安定して行うことができる。

 本発明者らはまた、シリコーン系ポリマ とイオン性液体とからなる選択透過材料で って、選択透過材料から形成される膜に気 を透過させた場合に、膜を透過する気体の れにおいてクヌーセン流(Knudsen flow)が支配 である選択透過材料によっても、上記目的 達成できることを見出した。

 すなわち、本発明は、シリコーン系ポリマ にイオン性液体を添加してなる選択透過材 であって、選択透過材料から形成される膜 酸素及び窒素を透過させた場合に、23±2℃ 膜間の圧力差1.05~1.20atmにおける酸素及び窒 の透過係数(cm 3 ・cm・sec -1 ・cm -2 ・cmHg -1 )の関係が下記式(1)で表される、選択透過材 を提供する。
[式中、P(O 2 )は酸素の透過係数、P(N 2 )は窒素の透過係数を示す。]

 このような選択透過材料によれば、SPM、n SPM等の大気中の浮遊物質を除去することが可 能であり、且つ気体の透過性が十分である膜 を形成することができる。

 上記選択透過材料から形成される膜に気 を透過させた場合に、この膜を透過する気 の流れにおいてクヌーセン流(Knudsen flow)が じる。この場合において、シリコーン系ポ マーとイオン性液体との界面、隣接するイ ン性液体同士の界面、イオン性液体自身、 びシリコーン系ポリマー中の空泡からなる より選ばれる少なくとも1つに、クヌーセン 流が生じる空隙が形成されていることが好ま しく、シリコーン系ポリマーとイオン性液体 との界面、及び/又は隣接するイオン性液体 士の界面にクヌーセン流が生じる空隙が形 されていることがより好ましい。

 上記のような効果が奏される理由は必ず も明らかでないが、イオン性液体がシリコ ン系ポリマー中で分散状態で存在している とに起因するものと推察される。特に、本 明の選択透過材料を、固化するイオン性液 と有機溶剤を用いて製造する場合において このような分散が顕著になる。すなわち、 オン性液体が不溶な有機溶媒を、シリコー 系ポリマー用の溶媒として用いると(イオン 性液体はトルエン等の非極性有機溶媒には通 常不溶である)、イオン性液体は、そのよう 溶媒に溶けたポリマー中で懸濁状態で分散 分離する。その状態で溶媒を揮発すると、 離した状態でシリコーン系ポリマー中にイ ン性液体が固定される。その後、膜の温度 イオン性液体の融点以下にすることにより イオン性液体が固化され、シリコーン系ポ マーとイオン性液体の界面、及び/又はイオ 性液体内部に隙間を生じ、その隙間をガス 高速で流れていると考えられる。また、イ ン性液体同士が隣接する場合にはその間隙 ガスが高速で流れていると考えられ、シリ ーン系ポリマー中に空泡が存在する場合に 、その空泡中をガスが高速で流れていると えられる。

 本発明の空調システムは、空調対象空間 の気体の供給及び/又は空調対象空間からの 気体の排出が行われる膜を備え、上記膜は上 述の選択透過材料から形成される膜であるも のである。これによれば、本発明の選択透過 材料を用いていることから、SPM、nSPM等の大 中の浮遊物質の空調対象空間への流入を防 することができ、且つ空調対象空間内にSPM nSPM等の浮遊物質が存在する場合にはそれを 去することもできる。

 本発明はまた、次のような課題を解決する 段を提供する。すなわち、近年、自動車の 密性が高まっていることに伴い、上述の大 中の汚染物質、例えば浮遊物質を除去する めのフィルタや気体選択透過膜を、空調シ テムのみならず自動車全体の多種多様な箇 に装備することが求められている。フィル や気体選択透過膜を多種多様な箇所に装備 るためには、フィルタや気体選択透過膜に して、SPM、nSPMの除去機能および気体の透過 性のみならず、多種多様な用途に耐えうる機 械的強度を付与することも必要とされていた 。
 上記事情に鑑み本発明は、気体の選択透過 及びSPM、nSPMの除去機能を有し、且つ多種多 様な用途に耐えうる強度を有する選択透過膜 構造体の製造方法、選択透過膜構造体、及び 選択透過膜構造体を備える空調システムを提 供する。

 本発明の選択透過膜構造体の第1の製造方 法は、補強用メッシュ材の開口に目留め材を 充填する工程と、開口に充填された目留め材 の体積を収縮させる工程と、目留め材で覆わ れていない補強用メッシュ材の露出部と、開 口に充填された目留め材の露出部と、を覆う ように、選択透過材料から選択透過膜を形成 する工程と、選択透過膜を形成した後に、補 強用メッシュ材の開口から目留め材を除去す る工程と、を備える。なお、本発明において 、選択透過膜構造体とは、補強用メッシュ材 と、補強用メッシュ材に積層された選択透過 膜と、を有するものである。また、本発明に おいて、「補強用メッシュ材の開口」とは、 補強用メッシュ材の目に相当する。

 上記第1の製造方法においては、補強用メ ッシュ材の開口に目留め材を充填することに よって、補強用メッシュ材が目留めされ、補 強用メッシュ材に平滑な平面が形成される。 よって、補強用メッシュ材の開口に目留め材 を充填した後に選択透過材料から選択透過膜 を形成することによって、選択透過材料が補 強用メッシュ材の開口内に過度に(開口内を たす程度に)進入することを防止でき、厚さ 均一で表面が平滑な選択透過膜を形成する とができる。

 また上記第1の製造方法においては、選択 透過膜を形成した後に、補強用メッシュ材の 開口から目留め材を除去することによって、 補強用メッシュ材の開口に面する選択透過膜 における気体の透過性を確保することができ る。

 更に上記第1の製造方法においては、開口 に充填された目留め材の体積を収縮させる際 に目留め材の体積収縮率を調整できるため、 目留め材の体積収縮に伴って補強用メッシュ 材の開口内に形成される空間の容積を調整で きる。よって、目留め材の体積収縮に伴って 補強用メッシュ材の開口内に形成される空間 に導入する選択透過材料の体積も調整できる 。その結果、成膜後の選択透過膜の厚み、特 に開口に面する位置における選択透過膜の厚 みを調整することが可能となる。また、目留 め材の体積収縮によって補強用メッシュ材の 開口内に形成される空間に選択透過材料を導 入すると、成膜後の選択透過膜に補強用メッ シュ材がめり込んだ構造ができて、この構造 がアンカー効果を奏し、選択透過膜を補強用 メッシュ材に強固に密着させることができる 。

 本発明の選択透過膜構造体の第2の製造方 法は、補強用メッシュ材の開口に目留め材を 充填する工程と、開口に充填された目留め材 の露出部に、目留め材との接着性及び選択透 過材料との接着性を共に有する中間層を形成 する工程と、開口に充填された目留め材の体 積を収縮させる工程と、目留め材で覆われて いない補強用メッシュ材の露出部及び中間層 を覆うように、選択透過材料から選択透過膜 を形成する工程と、選択透過膜が形成された 後に、補強用メッシュ材の開口から目留め材 及び中間層を除去する工程と、を備える。

 上記第2の製造方法においては、上記第1 製造方法と同様の効果を奏することできる さらに、上記第2の製造方法においては、目 め材と接着し、且つ選択透過材料とも接着 を有する中間層上で選択透過材料を膜状に 形するため、厚さが均一で表面が平滑な選 透過膜を形成することが容易となる。仮に 目留め材と接着し難い選択透過材料を用い 、補強用メッシュ材の露出部と、開口に充 された目留め材の露出部と、を直接覆うよ に選択透過膜を形成した場合、目留め材と 択透過材料が接着し難く、目留め材上にお て選択透過材料を膜状に成形し難い傾向が るが、上記第2の製造方法においては、目留 め材と接着し、且つ選択透過材料とも接着性 を有する中間層上で選択透過材料を成形する ため、このような問題が発生しない。

 上記第1、2の製造方法においては、開口 充填された目留め材の体積を収縮させる工 において、目留め材の体積収縮に伴い目留 材に被覆されていた補強用メッシュ材の一 を露出させることによって、補強用メッシ 材の露出部を形成することが好ましい。

 目留め材は、それを乾燥させる処理等に って、容易に体積収縮する。よって、目留 材の体積収縮を利用すれば、補強用メッシ 材の露出部を容易に形成することができる また、目留め材の体積収縮を利用すれば、 択透過膜の形成前の段階で、補強用メッシ 材の露出部を形成するために補強用メッシ 材を被覆する目留め材の一部を除去したり 目留め材の除去により補強用メッシュ材の 面を平坦化したりする工程が不要となる。

 本発明の選択透過膜構造体は、上記第1、2 製造方法のいずれかによって得られる選択 過膜構造体であって、選択透過膜を形成す ための選択透過材料が、シリコーン系ポリ ーに固形添加剤が分散されてなり、選択透 材料から形成される膜(選択透過膜)に酸素及 び窒素を透過させた場合に、23±2℃、膜間の 力差1.05~1.20atmにおける酸素及び窒素の透過 数(cm 3 ・cm・sec -1 ・cm -2 ・cmHg -1 )の関係が下記式(1)で表され、補強用メッシ 材の開口径が選択透過膜の膜厚より大きく 補強用メッシュ材の開口率が30%以上である とを特徴とする。
[式中、P(O 2 )は酸素の透過係数、P(N 2 )は窒素の透過係数を示す。]

 なお、選択透過膜構造体における固形添 剤としては、上述のものを好適に用いるこ ができる。

 また、本発明の選択透過膜構造体は、上記 発明の選択透過膜構造体の第1、2の製造方 のいずれかによって得られる選択透過膜構 体であって、選択透過膜を形成するための 択透過材料が、シリコーン系ポリマーにイ ン性液体を添加してなり、選択透過材料か 形成される膜(選択透過膜)に酸素及び窒素を 透過させた場合に、23±2℃、膜間の圧力差1.05 ~1.20atmにおける酸素及び窒素の透過係数(cm 3 ・cm・sec -1 ・cm -2 ・cmHg -1 )の関係が下記式(1)で表され、補強用メッシ 材の開口径が前記選択透過膜の膜厚より大 く、補強用メッシュ材の開口率が30%以上で ることを特徴とする。
[式中、P(O 2 )は酸素の透過係数、P(N 2 )は窒素の透過係数を示す。]

 上記本発明の選択透過膜構造体が備える 択透過膜は、上述の選択透過材料(固形添加 剤またはイオン性液体のいずれかと、シリコ ーン系ポリマーとを含む材料)から形成され ため、膜を透過する気体の流れにおいてク ーセン流(Knudsen flow)が支配的となる。この うな選択透過膜を備える選択透過膜構造体 よれば、SPM、nSPM等の大気中の浮遊物質を除 することが可能であり、且つ気体の透過性 十分に確保することができる。

 選択透過膜における気体の透過性を向上 せるためには、選択透過膜を薄膜化する必 がある。しかし、選択透過膜を薄膜化する ど気体の透過性が向上する反面、膜強度が 下して、膜が破損し易くなる傾向がある。 こで、本発明では、選択透過膜を補強用メ シュ材に積層して選択透過膜構造体とする とによって、薄膜化された選択透過膜を補 することができる。このような選択透過膜 造体は多種多様な用途に耐えうる強度を有 ることができる。

 また、本発明では、選択透過膜の補強材 して、開口径が選択透過膜の膜厚より大き 、開口率が30%以上である補強用メッシュ材 用いることによって、選択透過膜における 体の透過性及び選択透過膜構造体全体とし の気体の透過機能を損なうことなく、選択 過膜を補強することが可能となる。このよ に、多孔質フィルムや不織布に比べて気体 透過性に優れる補強用メッシュ材を用いた 択透過膜構造体においては、多孔質フィル や不織布で選択透過膜を補強した選択透過 構造体に比べて、選択透過膜構造体全体と ての気体の透過機能を向上させることがで る。

 本発明の空調システムは、空調対象空間 の気体の供給及び/又は空調対象空間からの 気体の排出が行われる選択透過膜構造体とし て、上記本発明の選択透過膜構造体を備える ものである。これによれば、本発明の選択透 過膜構造体を用いていることから、SPM、nSPM の大気中の浮遊物質の空調対象空間への流 を防止することができ、且つ空調対象空間 にSPM、nSPM等の浮遊物質が存在する場合には れを除去することもできる。

 本発明によれば、SPM、nSPM等の大気中の浮 遊物質を除去することが可能であり、且つ気 体の透過性が十分である膜を形成可能な選択 透過材料、及びそれを用いる空調システムを 提供することができる。

 さらに、本発明によれば、気体の選択透 性及びSPM、nSPMの除去機能を有し、且つ多種 多様な用途に耐えうる強度を有する選択透過 膜構造体の製造方法、当該製造方法により得 られる選択透過膜構造体、及び当該選択透過 膜構造体を備える空調システムを提供するこ とができる。

本発明の選択透過材料から形成される を透過する気体の流れを示すイメージ図で る。 本発明の一実施形態に係る選択透過膜 造体の概略斜視図である。 本発明の一実施形態に係る選択透過膜 造体の第1の製造方法が備える工程を示す概 略図である。 本発明の一実施形態に係る選択透過膜 造体の第1の製造方法が備える工程を示す概 略図である。 本発明の一実施形態に係る選択透過膜 造体の第1の製造方法が備える工程を示す概 略図である。 本発明の一実施形態に係る選択透過膜 造体の第1の製造方法が備える工程を示す概 略図である。 本発明の一実施形態に係る選択透過膜 造体の概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る選択透過膜 造体の第2の製造方法が備える工程を示す概 略図である。 本発明の一実施形態に係る選択透過膜 造体の第2の製造方法が備える工程を示す概 略図である。 本発明の一実施形態に係る選択透過膜 構造体の第2の製造方法が備える工程を示す 略図である。 本発明の空調システムの一実施形態を 示す図である。 本発明の空調システムの一形態である 車両におけるエアコンユニット30の一部を示 模式断面図である。 選択透過膜構造体の好ましい形態を示 す斜視図である。 選択透過膜構造体の他の好ましい形態 を示す斜視図である。 本発明の選択透過材料からなる選択透 過膜を圧力調整用換気装置内に備える、本発 明の空調システムの一形態である車両を示す 概略構成図である。 本発明の選択透過材料からなる選択透 過膜を天井部分に備える、本発明の空調シス テムの一形態である車両を示す概略構成図で ある。 本発明の選択透過材料からなる選択透 過膜を天井部分に備える、本発明の空調シス テムの一形態である車両を示す概略構成図で ある。 本発明の選択透過材料からなる選択透 過膜を天井部分に備える、本発明の空調シス テムの一形態である車両を示す概略構成図で ある。 本発明の選択透過材料からなる選択透 過膜をフロントガラス部分に備える、本発明 の空調システムの一形態である車両を示す概 略構成図である。 本発明の選択透過材料からなる選択透 過膜をリアウィンドウ部分に備える、本発明 の空調システムの一形態である車両を示す概 略構成図である。 本発明の選択透過材料からなる選択透 過膜をサンルーフ部分に備える、本発明の空 調システムの一形態である車両を示す概略構 成図である。 本発明の選択透過材料からなる選択透 過膜をピラー部分に備える、本発明の空調シ ステムの一形態である車両を示す概略断面図 である。 本発明の選択透過材料からなる選択透 過膜をピラー部分に備える、本発明の空調シ ステムの一形態である車両を示す概略断面図 である。 本発明の選択透過材料からなる選択透 過膜を床部分に備える、本発明の空調システ ムの一形態である車両を示す概略断面図であ る。 (a)は、本発明の選択透過材料からなる 選択透過膜をドア部分に備える、本発明の空 調システムの一形態である車両10を示す側面 であり、(b)は、ドア140を車両10の車幅方向 切った概略断面図である。 本発明の選択透過材料からなる選択透 過膜をドア部分に備える、本発明の空調シス テムの一形態である車両を示す概略断面図で ある。 本発明の選択透過材料からなる選択透 過膜をドア部分に備える、本発明の空調シス テムの一形態である車両を示す概略断面図で ある。 本発明の選択透過材料からなる選択透 過膜をドア部分に備える、本発明の空調シス テムの一形態である車両を示す概略断面図で ある。 本発明の選択透過材料からなる選択透 過膜をドア部分に備える、本発明の空調シス テムの一形態である車両を示す概略断面図で ある。 nSPM遮蔽率の測定を行った装置の概略 である。

符号の説明

10…車両、11…車室壁、12a…前方補強材、12 b…後方補強材、13,13a,13b…選択透過膜、13c… 強材、14,36…除塵フィルタ、16…除湿材、17 脱臭材、18…酸素センサ、19…車室、20…膜 21…シリコーン、22…外壁、23…固形添加剤 24…内壁、25…空隙、26、126…外気導入口、2 7a…前部開閉扉、27b,27d…ヒンジ、27c…後部開 閉扉、27e…前部堰、27f…後部堰、28…外気排 口、29a…前部ファン、29b…後部ファン、30 エアコンユニット、32…ダンパ、32a…ヒンジ 、34…バンパ、35…エアコンユニットケース 35a…外気導入口、35b…内気導入口、35c…開 部、37…遠心式送風ファン、38…筐体、40a… 択透過膜構造体、42a,42b…支持体、50…フロ トピラー、52…センターピラー、52a,154c…外 気取入れ口、52b,128,154d…外気排出口、52c,152a 内気取入れ口、52d,152b…内気排出口、52e… 端部、52f…下端部、53…側板、54…リアピラ 、60…温度センサ、70…空洞、80…窓、90… 御部、110…圧力調整用換気装置、112…カバ 、118…送風機、120…空間、122…ボディ、126 外気導入口、127a…前部堰、127b…後部堰、130 …フロントガラス、132…多孔質ガラス、138… サンルーフ、140…ドア、150…床部、151…空間 、152…床板、154…外板、156a,156b…ファン、164 …内装材、302…補強用メッシュ材、302b…補 用メッシュ材の開口、302c…補強用メッシュ の露出部、321…シリコーン系ポリマー、323 固形添加剤、325…空隙、332…目留め材、332a …目留め材の露出部、334…中間層、400,400a,400 b…透過部材。

 以下、場合により図面を用いて本発明を 細に説明するが、本発明はこれらに限られ ものではない。

(選択透過材料)
 本発明の選択透過材料は、シリコーン系ポ マーに固形添加剤が分散されてなる選択透 材料であって、選択透過材料から形成され 膜に酸素及び窒素を透過させた場合に、23± 2℃、膜間の圧力差1.05~1.20atmにおける酸素及 窒素の透過係数(cm 3 ・cm・sec -1 ・cm -2 ・cmHg -1 )の関係が下記式(1)で表されるもの、である

[式中、P(O 2 )は酸素の透過係数、P(N 2 )は窒素の透過係数を示す。]

 また、本発明の選択透過材料は、シリコー 系ポリマーにイオン性液体を添加してなる 択透過材料であって、選択透過材料から形 される膜に酸素及び窒素を透過させた場合 、23±2℃、膜間の圧力差1.05~1.20atmにおける 素及び窒素の透過係数(cm 3 ・cm・sec -1 ・cm -2 ・cmHg -1 )の関係が上記式(1)で表されるものであって よい。

 以下、上記式(1)における酸素の透過係数を 素の透過係数で除した値(P(O 2 )/P(N 2 ):以下、「分離比α」ともいう。)が、0.94以上 1未満である場合は、選択透過材料からなる を透過する気体の流れにおいてクヌーセン が支配的であるということができる。上述 ように「クヌーセン流」は、ガスの透過速 がその分子量に依存するような流れである 、膜を透過する気体の流れが理想的なクヌ セン流である場合には、気体の透過係数Pは の分子量の平方根に逆比例する。例えば、 過するガス成分が酸素及び窒素である場合 は、それらの分離比αは、下記式(2)で表さ るように0.935となる。

[式中、P(O 2 )及びP(N 2 )はそれぞれ酸素及び窒素の透過係数を示し M(O 2 )及びM(N 2 )はそれぞれ酸素及び窒素の分子量を示す。]

 これに対して、「溶解拡散流」と呼ばれ 気体の流れがある。溶解拡散流とは、膜に する気体の溶解度と膜内での気体の拡散係 との積に依存する流れをいい、一般にクヌ セン流に比べ膜中の気体の透過速度が遅い 従来のシリコーン系ポリマーを含有する膜 おいては、膜を透過する気体の流れにおい 溶解拡散流が支配的であり、酸素及び窒素 分離比αが1以上であることが知られている

 これらのことから、本発明の選択透過材料 ら形成される膜においては、分離比α(P(O 2 )/P(N 2 ))が上記式(1)で表されるものであることによ 、膜を気体が透過する際にクヌーセン流が じ、従来のものと比較して、気体の透過性 飛躍的に向上すると考えられる。

 本発明の選択透過材料から形成される膜 より、クヌーセン流が生じる理由は必ずし 明らかでないが、本発明者らの考えを、図 を用いて以下に説明する。

 図1は、本発明の選択透過材料から形成さ れる膜20の模式断面図である。膜20は、シリ ーン系ポリマー21と固形添加剤23とから構成 れ、それらの境界には、クヌーセン流を生 る空隙25(例えば1~100nmの空隙)が存在する。 リコーン系ポリマー21と固形添加剤23との親 性が低いことに起因して空隙25が生じてい ものと考えられる。

 このような膜20において、気体は、シリコ ン系ポリマー21中を溶解拡散流により、空隙 25中をクヌーセン流により透過する。また、 形添加剤23が多孔質体等のようにそれ自身 気体を通す性質を有するものであった場合 は、気体が固形添加剤23中を透過することも 考えられる。さらに、固形添加剤23同士が隣 する場合には、その隣接する固形添加剤23 士の界面に形成された空隙を気体がクヌー ン流により透過することも考えられ、シリ ーン系ポリマー21中に空泡が存在する場合に は、その空泡中を気体がクヌーセン流により 透過することも考えられる。
 本発明の選択透過材料から形成される膜20 おいては、気体がクヌーセン流により透過 る距離が溶解拡散流により透過する距離よ も長くなるため、気体の透過性が飛躍的に 上すると推察される。また、溶解拡散流に り気体が透過する部分に関しては、SPM及びnS PMはブロックされるので、SPM、nSPM等の大気中 の浮遊物質を除去することが可能となると考 えられる。

 なお、固形添加剤23に代えてイオン性液 を用いた場合にも、同様な機構により、ク ーセン流が生じているものと考えられる。

 「シリコーン系ポリマー」としては、下記 般式(3),(4),(5)及び(6)で示されるシロキシ基( 中のRとしてはそれぞれ独立して炭素数1~30 でのアルキル基、アリール基、アラルキル 、アルケニル基、更にはハロゲン原子が置 した上述の置換基等が挙げられる。)から選 される1つ又は2つ以上で構成される、ポリ ルガノシロキサン、又は、ポリオルガノシ キシ単位とシリコーン以外の有機ポリマー の共重合体、例えば、シリコーン変性シク オレフィンポリマー、シリコーン変性プル ンポリマー(例えば、特開平8-208989号公報に 載のもの)及びシリコーン変性ポリイミドポ マー(例えば特開2002-332305号公報に記載のも )が挙げられる。
 R 3 SiO 1/2  …(3)
 R 2 SiO 2/2  …(4)
 RSiO 3/2  …(5)
 SiO 4/2   …(6)

 「固形添加剤」は、フィラー、導電性ポ マー、又はこれらの混合物であることが好 しい。「フィラー」としては、有機物フィ ー又は無機物フィラーを用いることができ 親水性表面を有する無機物フィラーが好ま い。このような無機物フィラーとしては、 えば、表面水酸基が存在するために親水性 面を有する、シリカ、ゼオライト、アルミ 、酸化チタン、酸化マグネシウム及び酸化 鉛等の酸化物からなる酸化物系フィラーが げられる。これらの中で、シリコーン系ポ マーとのぬれ性の観点から、シリカ系フィ ーが好ましい。シリカ系フィラーとしては 例えば、球状シリカ、多孔質シリカ(ゼオラ イト及びメソポーラスシリカを含む)、石英 ウダー、ガラスパウダー、ガラスビーズ、 ルク及びシリカナノチューブが挙げられる

 なお、添加されるフィラーの表面は疎水 されていないことが好ましい。必要に応じ 、カップリング剤等を用いた表面処理、又 水和処理による親水化を施したフィラーを いてもよい。

 また、気体の透過性の観点から、フィラー 多孔質フィラーであることが好ましい。多 質フィラーとしては、メソポーラスシリカ びゼオライトが好ましい。フィラーの形状 ついては、シリコーン系ポリマーとのぬれ の観点から、表面の凹凸が実用上無視でき ほど小さく、表面積が小さく、配向による 性に影響しない球状であることが好ましい
 フィラーの粒径に関しては、選択材料から 成される膜の膜厚が薄くなる観点から、1nm~ 100μmであることが好ましく、10nm~10μmである とがより好ましい。また、フィラーが疎水 若しくは親水性表面を有する非多孔質シリ 粒子である場合には、膜における気体の透 性の更なる向上の観点から、その平均粒径 10~120nmであることが好ましく、10~60nmである とがより好ましい。さらに、フィラーが親 性表面を有する非多孔質酸化チタン粒子で る場合には、膜における気体の透過性の更 る向上の観点から、その平均粒径が10~60nmで ることが好ましい。

 このようなフィラーをシリコーン系ポリ ーに添加する場合には、その添加量は、シ コーン系ポリマー100質量部に対して、25~500 量部であることが好ましく、25~300質量部で ることがより好ましい。フィラーの添加量 25質量部未満である場合には、形成される の気体透過性を向上させる効果が得られ難 なる傾向にあり、500質量部を超える場合に 、形成される膜の機械的強度が低下し、薄 化し難くなる傾向にある。

 「導電性ポリマー」としては、例えば、 リアニリン、ポリアセチレン、ポリチオフ ン及びポリピロールが挙げられ、ポリアニ ンが好ましい。ポリアニリンは、シリコー 系ポリマーに対する親和性が低く、且つ良 媒がシリコーン系ポリマーと異なる。これ より、ポリアニリンとシリコーン系ポリマ との間の空隙が大きくなり、気体の透過性 向上すると考えられる。

 導電性ポリマーは、気体の透過性の観点 ら、酸により処理した後に添加することが ましい。ポリアニリン等の導電性ポリマー 、酸と接触すると、ロイコ-エメラルディン (Leuco-Emeraldine)塩及び/又はエメラルディン(Emer aldine)塩を形成し、シリコーン系ポリマーに する親和性が著しく低下する。これにより シリコーン系ポリマーと導電性ポリマーと 間の空隙がより大きくなり、気体の透過性 向上すると考えられる。添加する酸として 、塩酸、過塩素酸、硫酸、硝酸、ビニルホ ホン酸及びアクリル酸が挙げられる。

 このように酸により導電性ポリマーを処 する場合における酸の好ましい添加量は、 リコーン系ポリマーと導電性ポリマーとの み合わせによって異なるが、導電性ポリマ 100質量部に対して、0.5~45.6質量部であるこ が好ましい。特に、シリコーン系ポリマー シリコーン変性プルランポリマーであり、 電性ポリマーがポリアニリンである場合に 、導電性ポリマー100質量部に対して0.9~1.4質 部の2規定塩酸を添加することが好ましい。 また、シリコーン系ポリマーがシリコーン変 性シクロオレフィンポリマーであり、導電性 ポリマーがポリアニリンである場合には、導 電性ポリマー100質量部に対して4.6~9.1質量部 2規定塩酸を添加することが好ましい。

 このような導電性ポリマー(導電性高分子 であるポリアニリン(アルドリッチ社製、分 量:2万)をシクロへキサノンに溶解して固形 を2wt%に調整した溶液)をシリコーン系ポリマ ーに添加する場合には、その添加量は、シリ コーン系ポリマー100質量部に対して、2.2~80.0 量部であることが好ましく、5.0~30質量部で ることがより好ましい。導電性ポリマーの 加量が2.2質量部未満である場合には、形成 れる膜の気体透過性を向上させる効果が得 れ難くなる傾向にあり、80.0質量部を超える 場合には、形成される膜の気体透過性を向上 させる効果が得られ難くなるとともに、成膜 性が低下し、形成される膜の機械的強度が低 下する傾向にある。

 「イオン性液体」とは、アニオンとカチオ とから構成され、溶媒に溶解させることな 、それ自身が加熱分解しない領域で溶解す イオン性化合物を意味する。イオン性液体 おけるカチオンとしては、例えば、イミダ リウムカチオン、ピリジニウムカチオン、4 級アンモニウムイオンが挙げられる。また、 イオン性液体におけるアニオンとしては、例 えば、Cl - 、Br - 、BF 4 - 、PF 6 - 、NO 3 - 、CF 3 SO 3 - が挙げられる。イオン性液体の具体例として は、下記式(A)で示される1-ethyl-4-methylimidazolium -nitrateや、下記式(B)で示される1-ethyl-4-methylimi dazolium-phosphateが挙げられる。本発明の選択透 過材料に添加するイオン性液体は、その融点 が20(常温)~100℃であると好ましく、40~60℃で るとより好ましい。

 選択透過材料には、必要に応じて溶剤を 加してもよい。溶剤としては、例えば、ト エン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、N -メチルピロリドン(以下、「NMP」という。)、 シクロヘキサン、シクロヘキサノンが挙げら れる。溶剤の種類は、シリコーン系ポリマー の種類に応じて選択することができ、例えば 、シリコーン変性プルランポリマーである場 合には、トルエン、メチルエチルケトン、酢 酸エチル、NMP等を用いることができる。また 、ポリアニリン等の導電性ポリマーを添加す る場合には、シリコーン系ポリマーと導電性 ポリマーとを別々の溶媒に溶解させた後に混 合することが好ましい。例えば、シリコーン 系ポリマーをトルエンに、ポリアニリンをシ クロヘキサノンにそれぞれ溶解させた後に混 合することが好ましい。

 選択透過材料は、必要に応じて混合され いてもよい。例えば、シリコーン系ポリマ がペレット状やベール状等である場合には 押出機やニーダー等を用いて他の成分と混 させてもよい。また、シリコーン系ポリマ が溶媒に溶解したものである場合には、そ 溶液に他の成分を添加し攪拌することによ 、混合させてもよい。さらに、混合した後 、溶媒を除去してもよい。

 上述の選択透過材料を用いて膜を形成さ る場合には、用いる成分に対応する成膜加 方法を利用することができる。例えば、シ コーン系ポリマーが、ペレット状等である 合には、融解押出法、カレンダー法等の加 方法により、膜を得ることができる。また シリコーン系ポリマーが溶媒に溶解したも である場合には、キャスト法、コーター法 水面展開法等の加工方法により、膜を得る とができる。

 (選択透過膜構造体)
 図2に示すように、本実施形態の選択透過膜 構造体40aは、補強用メッシュ材302と、補強用 メッシュ材302に積層された選択透過膜13aと、 を有する。選択透過膜13aを形成するための選 択透過材料としては、上述のものを用いるこ とができる。また、補強用メッシュ材302の開 口径302aは選択透過膜13aの膜厚13tより大きく 補強用メッシュ材の開口率は30%以上である

 本実施形態の選択透過膜構造体40aが備え 選択透過膜13aは、上述の選択透過材料から 成されるため、選択透過膜13aに気体を透過 せた場合に、膜を透過する気体の流れにお てクヌーセン流(Knudsen flow)が支配的となる このような選択透過膜13aを備える選択透過 構造体40aによれば、SPM等の大気中の浮遊物 を除去することが可能であり、且つ気体の 過性を十分に確保することができる。

 選択透過膜13aにおける気体の透過性を向 させるためには、選択透過膜13aを薄膜化す 必要がある。しかし、選択透過膜13aを薄膜 するほど気体の透過性が向上する反面、膜 度が低下して、膜が破損し易くなる傾向が る。そこで、本実施形態では、選択透過膜1 3aを補強用メッシュ材302に積層して選択透過 構造体40aとすることによって、薄膜化され 選択透過膜13aを補強することができる。こ ような選択透過膜構造体40aは多種多様な用 に耐えうる強度を有することができる。

 選択透過膜13aの厚み13tは、0.1~10μmである とが好ましく、1~5μmであることがより好ま い。本実施形態の選択透過材料から形成さ る選択透過膜13aでは、その膜厚に関係なく 膜を透過する気体の流れにおいてクヌーセ 流が支配的になるが、選択透過膜13aの厚み1 3tを0.1~10μmとすることにより、選択透過膜13a 気体透過性と成膜性(選択透過膜13aの成膜の 容易性)とを両立し易くなる。特に、選択透 膜13aの厚み13tを1~5μmとすることにより、選 透過膜13aの気体透過量を充分に確保するこ ができると共に、選択透過膜13aに欠点が生 難く、且つ成膜し易くなる。

 補強用メッシュ材302は、これに積層される 択透過膜13aの気体透過性を低下させない程 の気体透過性能(気体透過量)を有すること 好ましく、補強用メッシュ材302におけるO 2 又はN 2 のいずれかの気体透過量は、1.0×10 -4 cm 3 ・sec -1 ・cm -2 以上であることが好ましく、1.0×10 -2 cm 3 ・sec -1 ・cm -2 以上であることがより好ましい。このような 補強用メッシュ材302としては、表1に示すス リーンメッシュ材を用いることが好ましい なお、表1には、本発明の選択透過膜構造体4 0aが備える補強用メッシュ材302の代わりに選 透過膜13aの補強材として用いることができ 多孔質フィルム及び不織布も参考例として す。ただし、本発明においては、選択透過 13aの補強材として、多孔質フィルム及び不 布に比べて気体の透過性に優れる補強用メ シュ材302を用いる。

 <表1における気体透過量の測定条件>
温度     :23±2℃
膜の下流の圧力(全圧):約1atm
膜の上流の圧力(全圧):約1atm
膜間の圧力差(全圧) :0
膜の下流のO 2 分圧(分圧):約19%(残りはN 2 )
膜の上流のO 2 分圧(分圧):約20.9%(残りはN 2 )
膜間のO 2 圧力差(分圧) :1.9%

 本実施形態では、選択透過膜13aの補強材 して、開口径302aが選択透過膜13aの膜厚13tよ り大きく、開口率が30%以上である補強用メッ シュ材302を用いることによって、選択透過膜 13aにおける気体の透過性及び選択透過膜構造 体全体としての気体の透過機能を損なうこと なく、選択透過膜13aを補強することが可能と なる。このように、多孔質フィルムや不織布 に比べて気体の透過性に優れる補強用メッシ ュ材302を用いた選択透過膜構造体40aにおいて は、多孔質フィルムや不織布で選択透過膜13a を補強した選択透過膜構造体に比べて、選択 透過膜構造体全体としての気体の透過機能を 向上させることができる。

 (選択透過膜構造体の製造方法)
 本実施形態に係る選択透過膜構造体40aは、 実施形態の第1の製造方法又は第2の製造方 によって得られる。以下、第1及び第2の各製 造方法について説明する。

 本実施形態に係る選択透過膜構造体40aの 1の製造方法は、補強用メッシュ材302の開口 に目留め材を充填する工程と、開口に充填さ れた目留め材の体積を収縮させる工程と、目 留め材で覆われていない補強用メッシュ材302 の露出部と、開口に充填された目留め材の露 出部と、を覆うように、上記選択透過材料か ら選択透過膜13aを形成する工程と、選択透過 膜13aを形成した後に、補強用メッシュ材302の 開口から目留め材を除去する工程と、を備え る。以下、図3~7を参照しつつ、各工程につい て説明する。

 まず、図3に示すように、PETフィルム330上 に補強用メッシュ材302を設置する。次に、PET フィルム330上に設置された補強用メッシュ材 302に、目留め材332をワイヤーコーターで塗布 して、補強用メッシュ材302の開口302bに目留 材332を充填する(図4参照)。

 目留め材332としては、N,N-ジエチルアクリル アミド、(化学式:CH 2 =C-ONHC 2 H 5 C 2 H 5 、以下DEAAと記す)、ジエチレングリコールモ ビニルエーテル(化学式:CH 2 =C-(OCH 2 CH 2 ) 2 -OH、以下DEGVと記す)、ポリエチレングリコー (化学式:HO-(CH 2 -CH 2 -O) n -H(n=300)、以下PEGと記す)、N,N-ヒドロキシエチ アクリルアミド(化学式:CH 2 =C-ONHC 2 H 5 OH、以下HEAAと記す)等の少なくともいずれか 又はこれらを有機溶剤等で希釈して得られ 塗料を用いればよい。特に目留め材332とし はHEAAが好ましい。HEAAを用いることによって 、より確実に補強用メッシュ材302を目留めす ることが可能となる。目留め材332としてHEAA 用いる場合、例えば、HEAAの濃度が80wt%とな ようにHEAAをエタノールで希釈して塗料状と ればよい。HEAAを希釈するための溶剤(エタ ール)の分量を調整することで、補強用メッ ュ材302の目留め位置(開口部302bへの目留め 332の充填量)を調整することができ、結果と て、成膜する選択透過膜13aの厚みを調整す ことができる。

 次に、図5に示すように、補強用メッシュ 材302に塗布された目留め材332を熱処理するこ とにより、開口302aに充填された目留め材332 ら希釈溶剤(エタノール)を揮発させ、目留め 材332の体積を収縮させる。なお、開口302aに 填された目留め材332の体積を収縮させる工 において、目留め材332の体積収縮に伴い目 め材332に被覆されていた補強用メッシュ材30 2の一部を露出させることによって、補強用 ッシュ材302の露出部302cを形成することが好 しい。

 目留め材332は、それを乾燥させる熱処理 によって、体積収縮する。よって、目留め 332の体積収縮を利用すれば、補強用メッシ 材302の露出部302cを容易に形成することがで きる。また、目留め材332の体積収縮を利用す れば、選択透過膜13aの形成前に露出部302cを 成するために、補強用メッシュ材302を被覆 る目留め材332の一部を除去する工程が不要 なる。なお、後工程において、露出部302cと 択透過材料とを接着させることによって、 強用メッシュ材302に選択透過膜13aが固定さ る。また、補強用メッシュ材302の露出部302c を形成する方法は、目留め材332の体積収縮に 限定されない。

 目留め材332の体積を収縮させた後、図6に 示すように、補強用メッシュ材302の露出部302 cと、開口302bに充填された目留め材332の露出 332aと、を覆うように、塗料状の選択透過材 料13sをワイヤーコーター等で塗布する。次に 、熱処理によって、選択透過材料13sの溶剤成 分を除去することにより、選択透過材料13sか ら選択透過膜13aを成膜する。なお、塗料状の 選択透過材料13sは、レベリング剤を更に含有 していてもよい。塗料状の選択透過材料13sが 、レベリング剤を更に含有することにより、 選択透過材料13sと目留め材332との接着性が良 好でない場合であっても、平滑な表面を有す る選択透過膜13aを成膜することができる。

 次に、選択透過膜13aが積層された補強用 ッシュ材302から、PETフィルム330を剥離する そして、補強用メッシュ材302において選択 過膜13aが積層された面とは反対側の面の側 ら、補強用メッシュ材302の開口302bに充填さ れた目留め材332を水で洗い流して除去する。 目留め材332を除去した後、補強用メッシュ材 302及び選択透過膜13aを乾燥して水分を除去す ることによって、図7に示す選択透過膜構造 40aが得られる。

 なお、補強用メッシュ材302の開口302bに充 填された目留め材332を除去する方法は、水に よる洗浄に限定されない。例えば、目留め材 332の成分が可溶な溶剤又は薬品等によって目 留め材332を洗浄、除去しても良い。あるいは 、補強用メッシュ材302に塗布された目留め材 332のうち、除去すべき部分のみをUV(紫外線) はEB(電子線)等の照射によって除去し易い状 へ改質した後に、除去すべき部分のみを除 してもよい。

 本実施形態においては、補強用メッシュ 302の開口302bに目留め材332を充填することに よって、補強用メッシュ材302が目留めされ、 補強用メッシュ材302に略平滑な平面が形成さ れる。そして、補強用メッシュ材302の開口302 bに目留め材332を充填した後に選択透過材料13 sから選択透過膜13aを形成することによって 塗料状の選択透過材料13sが補強用メッシュ 302の開口302b内に過度に(開口302b内を満たす 度に)流れ込むことを防止でき、厚さが均一 表面が平滑な選択透過膜13aを形成すること できる。

 一般的なコーター法による基材上への積 成膜では、最適な加工条件に調整するため 溶剤等で溶液粘度を調整した成膜材料を使 していた。特に薄膜の形成では、成膜材料 溶剤量を比較的多くして、低粘度に調整し 成膜材料を使用するのが一般的であった。 かし、低粘度化した成膜材料では、その表 張力、流動性の点から、補強用メッシュ材 ように開口径が大きい基材への塗工は難し った。すなわち、塗工した成膜材料が補強 メッシュ材の開口部に流れ込んでしまうた 、補強用メッシュ材と膜との積層状態が得 れず、成膜精度(厚みの調整、厚みバラツキ )の点で、良好な膜を得ることができなかっ 。一方、本実施形態では、補強用メッシュ 302の開口302bに目留め材332を充填した後に選 透過材料13sから選択透過膜13aを形成するこ によって、塗工した選択透過材料13sが補強 メッシュ材302の開口部302bに流れ込むことを 抑制できるため、上述の一般的なコーター法 が有する問題を解決することができる。

 また本実施形態においては、選択透過膜1 3aを形成した後に、補強用メッシュ材302の開 302bから目留め材332を除去することによって 、補強用メッシュ材302の開口302bに面する選 透過膜13aにおける気体の透過性を確保する とができる。

 更に本実施形態においては、塗料状の目 め材332を希釈する溶剤量を調整することに って、開口302bに充填された目留め材332の体 積を収縮させる際に目留め材332の体積収縮率 を調整できる。したがって、目留め材332の体 積収縮に伴って補強用メッシュ材302の開口302 b内に形成される空間の容積を調整でき、こ 空間に導入される選択透過材料13sの体積も 整できる。その結果、成膜後の選択透過膜13 aの厚み、特に開口302bに面する選択透過膜13a 厚み(開口302bの内側に位置する選択透過膜13 aの厚み)を調整することが可能となる。また 目留め材332の体積収縮によって補強用メッ ュ材302の開口302b内に形成される空間に選択 透過材料13sを導入させると、成膜後の選択透 過膜13aに補強用メッシュ材302がめり込んだ構 造ができる。この構造がアンカー効果を奏し 、選択透過膜13aを補強用メッシュ材302に強固 に密着させることができる。

 次に、本実施形態に係る選択透過膜構造 40aの第2の製造方法について説明する。以下 では、上述した第1の製造方法と第2の製造方 との相違点について説明し、第1の製造方法 と第2の製造方法との共通点については説明 省略する。第1の製造法では、開口302bに充填 された目留め材332の露出部332aを直接覆うよ に選択透過膜13aを形成するのに対して、第2 製造方法では、開口302bに充填された目留め 材332の露出部332a上に中間層を形成した後で 中間層を覆うように選択透過膜13aを形成す 点において、第1の製造方法と第2の製造法と は相違する。

 すなわち、本実施形態の選択透過膜構造 40aの第2の製造方法は、補強用メッシュ材302 の開口302bに目留め材332を充填する工程と、 口302bに充填された目留め材332の露出部332aに 、目留め材332との接着性及び選択透過材料13s との接着性を共に有する中間層334を形成する 工程と、開口302bに充填された目留め材332の 積を収縮させる工程と、目留め材で覆われ いない補強用メッシュ材302の露出部302c及び 間層334を覆うように、選択透過材料13sから 択透過膜13aを形成する工程と、選択透過膜1 3aが形成された後に、補強用メッシュ材302の 口302bから目留め材332及び中間層334を除去す る工程と、を備える。以下では、図8~10を参 しつつ、本実施形態に係る第2の製造方法の 工程について説明する。

 まず、図8に示すように、PETフィルム330上 に補強用メッシュ材302を設置した後、PETフィ ルム330上に設置された補強用メッシュ材302に 、目留め材332をワイヤーコーターで塗布して 、補強用メッシュ材302の開口302bに目留め材33 2を充填する。

 次に、目留め材332が塗布された補強用メ シュ材302上に、目留め材332との接着性及び 択透過材料13sとの接着性を共に有する塗料 塗布し、この塗料から中間層334を形成する その結果、補強用メッシュ材302の開口302bに 充填された目留め材332の露出部332aが中間層33 4で被覆される。中間層334としては、目留め 332との接着性及び選択透過材料13sとの接着 を共に有する層であればよく、例えば、ポ ビニルアルコール(以下、PVAと記す)等を含む 層を中間層334とすればよい。なお、PVAは、HEA Aのような目留め材332に比べて水に溶解し難 ので、後工程において中間層334を除去し易 するために、PVAを含む中間層334は薄くする とが好ましく、その厚さは、0.01~30μm程度で ることが好ましい。

 中間層334として用いるPVAとしては、例え 、重合度が400~4000程度、ケン化度が80mol%以 であるような公知のPVAを用いることができ が、本実施形態では、水溶性が高いPVAを用 ることが好ましく、具体的には、重合度が10 0~400程度、ケン化度が0~90mol%程度であるPVAを いることが好ましい。より具体的には、重 度が200~250程度、ケン化度が約81mol%であるPVA( 日本酢ビ・ポバール社製JL-05E)、又は重合度 200~250程度、ケン化度が約88mol%であるPVA(日本 酢ビ・ポバール社製ASP05)を用いることが好ま しい。また、一般的なPVAの水酸基、酢酸基以 外の官能基を有する変性PVAを用いても良い。

 中間層34の形成後、熱処理により、開口30 2bに充填された目留め材332及び中間層334に含 れる溶媒成分を除去し、目留め材332及び中 層334の体積を収縮させ、補強用メッシュ材3 02の露出部302cを形成する(図9参照)。

 次に、補強用メッシュ材302の露出部302c及 び中間層334を覆うように、塗料状の選択透過 材料13sをワイヤーコーター等で塗布する。次 に、熱処理によって、選択透過材料13sの溶剤 成分を除去することにより、選択透過材料13s から選択透過膜13aを成膜する(図10参照)。

 選択透過膜13aの成膜後、選択透過膜13aが 層された補強用メッシュ材302から、PETフィ ム330を剥離する。そして、補強用メッシュ 302において選択透過膜13aが積層された面と 反対側の面の側から、補強用メッシュ材302 開口302bに充填された目留め材332と、その奥 の中間層334とを、水による洗浄等によって除 去する。目留め材332及び中間層334を除去した 後、補強用メッシュ材302及び選択透過膜13aを 乾燥して水分を除去することによって、図7 示す選択透過膜構造体40aが得られる。

 上記第2の製造方法においては、上記第1 製造方法と同様の効果を奏することできる さらに、上記第2の製造方法においては、目 め材332と接着し、且つ選択透過材料13sとも 着性を有する中間層334の表面で選択透過材 13sを成形するため、選択透過材料13sを膜状 成形し易く、厚さが均一で表面が平滑な選 透過膜13aを形成することが容易となる。仮 、目留め材332と接着し難い選択透過材料13s 用いて、補強用メッシュ材302の露出部302cと 、開口302bに充填された目留め材332の露出部33 2aと、を直接覆うように選択透過膜13aを形成 た場合、目留め材332と選択透過材料13sが接 し難く、目留め材332の表面において選択透 材料13sを膜状に成形し難い傾向があるが、 記第2の製造方法においては、目留め材332と 接着し、且つ選択透過材料13sとも接着性を有 する中間層334の表面で選択透過材料13sを成形 するため、このような問題が発生しない。す なわち、上記第2の製造方法においては、目 め材332と選択透過材料13sの両方と相性の良 中間層334を介することによって、目留め材33 2への選択透過材料13sのぬれ性(成膜性)を向上 させることができ、選択透過材料13sの成膜精 度を向上させることができる。なお、選択透 過膜13aの成膜後、目留め材332と中間層334とを 開口302bから除去する際に、補強用メッシュ 302をマスクとして機能させて、中間層334の ッチングを行うことにより、選択透過膜13a 補強用メッシュ材302との間に中間層334の一 を残存させてもよい。この場合、中間層334 して、接着効果を有する材料(熱等の二次的 荷で接着性を発現する材料)を用いれば、選 択透過膜13aと補強用メッシュ材302との接着( 定化)も可能となる。

(空調システム)
 本発明の空調システムは、空調対象空間へ 気体の供給及び/又は空調対象空間からの気 体の排出が行われる膜を備え、上記膜が選択 透過材料から形成される膜であるものであり 、例えば、外気導入のための取り入れ口(外 導入口)に上述の膜が設置されたものが挙げ れる。空調対象空間としては、例えば、車 (自動車)、住宅、新幹線、飛行機等の、空 内の気体と外気とを交換することが必要な 間が挙げられ、その具体例としては、図11に 示されるような車両が挙げられる。

 図11は、本発明の空調システムの一形態 ある車両を前後方向に切断した概略断面図 ある。車両10の車室19は、車室壁11と選択透 膜(透過膜)13(本発明の選択透過材料からなる )とを備え、外気導入のための取り入れ口に 置された選択透過膜13以外の部分では、実質 的に外気と遮断されている。

 車室壁11は、鉄、アルミニウム、ガラス の気体を実質的に透過させない材料により 成されている。選択透過膜13は、上述の選択 透過材料から形成される膜により構成されて おり、その厚さは、0.1~10μmであることが好ま しい。車両10における選択透過膜13の具体的 設置場所としては、例えば図12に示すエアコ ンユニット内の外気導入のための取り入れ口 が挙げられる。

 図12は、本発明の空調システムの一形態 ある車両におけるエアコンユニット30の一部 を示す模式断面図である。図12に示すように エアコンユニット30は、エアコンユニット ース35、遠心式送風ファン37及び透過部材400 備える。エアコンユニットケース35は、外 導入口35a、内気導入口35b及び開口部35cを有 る。送風ファン37は、エアコンユニットケー ス35において、内気が循環する経路上に設置 れている。透過部材400は、エアコンユニッ ケース35に、外気導入口35aを閉塞するよう 設置されている。

 このようなエアコンユニット30によれば 外気導入口35aから透過部材400を通して外気 、内気導入口35bから内気がエアコンユニッ 内に導入され、開口部35cを通して車両の車 に外気及び/又は内気が供給される。また、 気導入口35aから透過部材400を通して内気が 外へ排出される場合もある。

 エアコンユニットケース35は、ポリプロ レンのようなある程度の弾性を有し、機械 強度に優れた樹脂により形成されている。 心式送風ファン37としては、従来車両におけ る内気循環のために用いられているものを用 いることができる。透過部材400は、選択透過 膜13を有し、選択透過膜13を通して外気を取 入れることができるものであればよく、例 ば、図13及び図14に示すような支持体42a,42bに よって選択透過膜13が支持されている透過部 400a,400bや上述した製造方法により得られる 択透過膜構造体40aを用いることができる。

 図13は、透過部材400の好ましい形態を示 斜視図である。本実施形態における透過部 400aは、選択透過膜13a及び支持体42aを備える 選択透過膜13aは平面状であり、その片面に 着する平面状の支持体42aによって支持され いる。なお、支持体42aは、例えば選択透過 13aの外周部等、選択透過膜13aの一部のみに 着していてもよく、選択透過膜13aに完全に 着していてもよい。

 図14は、透過部材400の他の好ましい形態 示す斜視図である。本実施形態における透 部材400bは、選択透過膜13b及び支持体42bを備 る。選択透過膜13bは襞状であり、その片面 密着する襞状の支持体42bによって支持され いる。なお、支持体42bは、選択透過膜13bの 部のみに密着していてもよく、選択透過膜1 3bに完全に密着していてもよい。

 選択透過膜13a及び13bは、上述の選択透過 料から形成される膜により構成されており その厚さは0.1~10μmであることが好ましい。 持体42a及び42bは、気体を透過するものであ ばよく、例えば、紙状の繊維部材、並びに 径が0.1~500μmの多孔質体及びメッシュが挙げ られる。支持体の厚さは50~500μmであることが 好ましい。

 これらの透過部材400a及び400bによれば、 択透過膜13a及び13bが支持体により支持され いるため、選択透過膜13a及び13bを薄くして 過する気体量を増加させるとともに、選択 過膜構造体の強度を確保することができる さらに、透過部材400bによれば、選択透過膜1 3a及び13bの表面積が大きくなるため、気体の 過量をさらに増加させることができる。

 なお、上述の選択透過膜構造体は、例え 、後工程で除去可能なフィルム上に上述の 膜加工方法により選択透過膜を形成し、形 された選択透過膜上に支持体を転写した後 、上記フィルムを除去することにより製造 ることができる。後工程で除去可能なフィ ムとしては、水、溶剤、薬品等による洗浄 より除去されるフィルムや、UV、EB等の照射 により改質した後に除去されるフィルムが挙 げられる。また、選択透過膜上に支持体を転 写する方法としては、選択透過膜と支持体と の間に接着剤や粘着剤を介在させ接着する方 法や、加熱や溶剤による溶解等によって選択 透過膜と支持体とを接着する方法が挙げられ る。

 また、車両10における選択透過膜13は、圧 力調整用換気装置(図15)、天井(図16~18)、ガラ (図19~21)、ピラー(図22、23)、床(図24)、又は ア(図25~29)等に設置されていてもよい。また 設置される選択透過膜13は、単独で用いて よく、上述した支持体によって支持された 過部材400a,400bとして用いてもよく、上述し 製造方法により得られる選択透過膜構造体40 aとして用いてもよい。以下、これらの設置 所の詳細な例について説明する。

(圧力調整用換気装置)
 図15は、本発明の選択透過材料からなる選 透過膜を圧力調整用換気装置内に備える、 発明の空調システムの一形態である車両を す概略構成図である。

 本実施形態の圧力調整用換気装置110は、 15(a)に示すように、車両10後部のバンパ34近 の左右両側面に配置されている。そして、 両10の後方から見た車両10の後部部分の断面 図である図15(b)に示すように、圧力調整用換 装置110は、筐体38、ダンパ32、及び選択透過 膜13から構成される。

 圧力調整用換気装置110は、一部が略長方形 切り取られた車両10のボディ122部分に、ボ ィ122内部に埋め込まれるように取り付けら ている。
 つまり、圧力調整用換気装置110の筐体38が 筒状に形成され、角筒状に形成された筐体38 の車両10外側の端面にはフランジが設けられ いる。そして、そのフランジが溶接等でボ ィ122に固定されている。

 筐体38は、ボディ122に固定されている端 と反対側の端部(奥端部)の下面が車室19側に 向き斜めに曲げられている。この曲げられ いる部分をダンパ受け部38aと呼ぶ。後述す ように、ドアが閉じた状態でダンパ32の下 部が、ダンパ受け部38aに車両10外側から車室 19に向かって接触するようになっている。

 そして、ダンパ32が筐体38にヒンジ32aで取 り付けられている。具体的には、ダンパ32の 辺部分と、角筒状の筐体38の奥部の内側の 壁内側とがヒンジ32aによって結合され、ダ パ32がヒンジ32aを中心として回動可能に取り 付けられている。

 圧力調整用換気装置110においては、車両1 0のドア(図示せず)が閉ると、車室19内の圧力 上昇する。すると、その上昇した圧力によ て、ダンパ32が車室19側から車両10外側に向 って押される。すると、ダンパ32は、ヒン 32aを中心として回動し開状態、つまり、図15 (b)中のβの状態になる。

 ダンパ32が開状態になると図15(a)の矢印で 示すドア閉時の空気の流れが生じ、車室19内 空気が車室19外に逃れる。このように、ド が閉まるとダンパ32が開状態になって、車室 19内圧力の上昇を緩和する。

 一方、ドアが閉じた状態では、車室19内 圧力上昇がないので、ダンパ32には車室19側 ら圧力が加わらない。ダンパ32に車室19側か ら圧力が加わらなければ、ダンパ32は、自重 よりヒンジ32aを中心として車室19側に回動 る。ダンパ32が回動してダンパ32の下端部が ンパ受け部38aに接触すると、それ以上回動 きなくなる。したがって、ダンパ32が閉状 、つまり、図15(b)中のαの状態になって車室1 9が密閉状態になる。

 なお、車両10外側から車室19に向かってダ ンパ32に圧力が加わったときにも、ダンパ32 ヒンジ32aを中心として車室19側に回動しよう とするが、そのときもダンパ32の下端部がダ パ受け部38aに接触する。したがって、ダン 32はそれ以上回動できないので、ダンパ32は 閉状態となり、車室19が密閉状態になる。

(天井)
 図16~18は、本発明の選択透過材料からなる 択透過膜を天井部分に備える、本発明の空 システムの一形態である車両を示す概略構 図である。図16(a)に示すように本実施形態に おける車両10は、天井部分に選択透過膜13が けられている。以下、本実施形態における 井部分の具体的な形態について説明する。

[実施形態1A]
 実施形態1Aの天井部分は、図16(b)に示すよう に、車両10の天井部分に設けられた空洞70、 両10の外壁22の一部に設けられた外気導入口2 6及び外気排出口28、空洞70の一部に設けられ 選択透過膜13等からなる。

 空洞70は、車両10の天井部分の車室19内に する内壁24と車室19外に面する外壁22とで形 されている。なお、外壁22及び内壁24は、鉄 、アルミニウム、ガラス等の実質的に気体を 透過させない材質の材料によって構成されて いる。

 外気導入口26は、車両10の進行方向側から 空洞70へ外気を導入するために、空洞70を形 する外壁22に設けられた孔であり、外気排出 口28は、空洞70へ導入した外気を車両10の進行 方向反対側へ排出するために空洞70を形成す 外壁22に設けられた孔である。

 外気導入口26及び外気排出口28は、車両10 横方向を長手方向として穿たれた略四角形 の細長い孔であり、長手方向及び短手方向 長さは、車種や空洞70に導入する外気の量 よって決定される。

 選択透過膜13は、空洞70を形成する内壁24 、選択透過膜13の少なくとも一部が外気導 口26により空洞70へ導入された外気と接し、 の部分が車室19内の空気と接するように配 されている。

 具体的には、図16(b)に示すように、車両10 の内壁24の一部を略四角形状に切り取る。そ て、選択透過膜13を略四角形状に切り取っ 内壁24部分と同じ大きさの略四角平板形状に 形成し、周囲を補強材で補強する。ここで、 選択透過膜13の周囲を補強する補強材のうち 車両10の進行方向の補強材を前方補強材12a 車両10の進行方向反対側の補強材を後方補強 材12bという。

 そして、内壁24を略四角形状に切り取った 分に、補強材で周囲を補強した選択透過膜13 を取り付ける。
 なお、ここでは内壁24を略四角形状に切り ったが、特に略四角形状に切り取る必要は く、天井の形状等に合わせて他の形状、例 ば、円形や台形あるいは、複数の直線や曲 からなるより複雑な形状に切り取ってもよ 。

 次に、外気導入口26及び外気排出口28から 空洞70へ水滴が浸入しないようにした空調シ テムについて図17に基づいて説明する。図17 (a)~(c)は、空洞70へ水滴が浸入しないようにす るための構造を示す図である。

[実施形態2A]
 図17(a)は、空洞70へ水滴が浸入しないように する手段、すなわち水滴浸入防止手段として 前部開閉扉27a及び後部開閉扉27cが備えられた 形態(実施形態2A)を示す図である。前部開閉 27a及び後部開閉扉27cは、各々外壁22にヒンジ 27b,27dで取り付けられており、ヒンジ27b,27dを 心として回動することによって車両10の進 方向に沿って開閉する。

 ヒンジ27bの取り付け位置は、車両10の進 方向に沿って、外気導入口26の後方、かつ、 前方補強材12aの前方である。また、ヒンジ27d の取り付け位置は、車両10の進行方向に沿っ 外気排出口28の前方、かつ、後方補強材12b 後方である。

 前部開閉扉27a及び後部開閉扉27cは、外気 圧力によって開閉する。つまり、車両10が 行すると外気導入口26から空洞70内に外気が 入される。外気導入口26から導入された外 は前部開閉扉27aに当たる。すると、前部開 扉27aの外気導入口26側の面には外気によって 圧力が生じるので、その圧力によって前部開 閉扉27aは開く。

 逆に、車両10が停止すると、外気導入口26 から外気が導入されない。したがって、前部 開閉扉27aの外気導入口26側の面には圧力が発 しないので、前部開閉扉27aは閉じる。

 後部開閉扉27cも前部開閉扉27aと同じように 洞70へ導入される外気によって開閉する。
 前部開閉扉27aが開いたときの最大角度θは 前方補強材12aの位置によって決まる。つま 、前部開閉扉27aが最大に開いたときに前部 閉扉27aの下端部分が前方補強材12aよりも車 10の進行方向側に位置するように最大角度θ 決まるのである。

 このようにすれば、前部開閉扉27aに外気 当たって前部開閉扉27aが最大角度θまで開 た場合であっても、前部開閉扉27aに外気に まれる水滴が当たって、その水滴が図中下 に滴下しても選択透過膜13の表面に付着する ことがない。つまり、選択透過膜13の表面に 滴が付着しなくなるので、選択透過膜13の 体透過性能を保持することができる。

[実施形態3A]
 図17(b)は、水滴浸入防止手段として堰を用 た形態、すなわち、外気導入口26と前方補強 材12aとの間に前部堰27eが配置され、後方補強 材12bと外気排出口28との間に後部堰27fが配置 れた形態(実施形態3A)を示す図である。

 前部堰27eは、車両10の進行方向に前後に 置された略四角形状の細長い一対の板材か 構成されている。一対の板材は、その長手 向が車両10の車幅方向となるように取り付け られており、一対の板材のうち、外気導入口 26側に配置された板材は、車両10の外壁22に取 り付けられ、内壁24との間に隙間ができるよ に取り付けられている。また、選択透過膜1 3側に配置された板材は、車両10の内壁24に取 付けられ、外壁22との間に隙間ができるよ に取り付けられている。なお、各板材の長 方向は、水滴が選択透過膜13へ浸入させない ようにするため、車両10の車幅方向における 択透過膜13の長さよりも若干長くなってい 。

 後部堰27fは、1枚の板材から構成されてい る。板材は、外気排出口28を形成する外壁22 端部に車両10の下方、かつ、車両10の進行方 に向かって斜め前方に向かって取り付けら ている。この板材も車両10の車幅方向にお る選択透過膜13の長さ以上の長さを有してい る。

 このような前部堰27eによれば、空洞70へ 入される外気に含まれる水滴は、まず前部 27eを構成する板材のうち外気導入口26側の板 材により除去され、内壁24の外面上に滴下し 内壁24の外面上を伝わってドレイン(図示せ )から車両10の外部へ排出される。また、外 導入口26側の板材によって除去仕切れずに った水滴は、選択透過膜13側の板材で除去さ れ、内壁24の外面を伝わってドレイン(図示せ ず)から車両10の外部へ排出される。したがっ て、外気導入口26から空洞70へ水滴が浸入す ことがなくなる。

 また、後部堰27fでは、外気排出口28から 気が排出されるので、外気排出口28への外気 の流入に伴う水滴の浸入よりも車両10を形成 る外板からの雨粒等の跳ね返りを防ぐこと できればよい。したがって、上記のように 材を外気排出口28の端部に板材を取り付け ば、空洞70への水滴の浸入を防止することが できる。

 このように、外気導入口26や外気排出口28 から空洞70へ水滴が浸入することがなくなる で、空洞70に設置された選択透過膜13の表面 に水滴が付着することがない。よって、選択 透過膜13の気体透過性能を保持することがで る。

[実施形態4A]
 次に、車室19内の酸素濃度に応じて、空洞70 に外気を導入する場合(実施形態4A)について 16及び図17(c)により説明する。

 (構成)
 実施形態4Aにおける空調システムは、図16及 び図17(c)に示すように、実施形態1A~3Aに示す 調システムに、前部ファン29a、後部ファン29 b、酸素センサ18及び制御部90が加えられた構 となっている。

 前部ファン29a及び後部ファン29bは、外気 導入する旨の外気導入指令に基づき空洞70 導入する外気の量を調整可能とするための のである。

 前部ファン29aは、図17(c)に示すように、 施形態3Aの前部堰27e(図17(b)参照)と同様に、 洞70において外気導入口26と前方補強材12aと 間に配置されている。また、後部ファン29b 、図17(c)に示すように、空洞70において、外 気排出口28と後方補強材12bとの間に配置され いる。

 酸素センサ18は、車室19内の酸素濃度を検出 するためのものであり、図16に示すように、 両10のダッシュボードに埋め込まれている
 制御部90は、酸素センサ18により検出された 車室19内の酸素濃度が所定の濃度である場合 、外気を導入する旨の外気導入指令を前部 ァン29a及び後部ファン29bへ出力するもので り、CPU(Central Processing Unit),ORM(Object/Relational  Mapping).RAM(Random Access Memory),I/O(Input/Output)等( 図示せず)から構成されている。なお、制御 90は、図16に示すように、車両10のダッシュ ード内部に格納されている。

 (作動と特徴)
 以上のように構成された空調システムでは 酸素センサ18で検出された酸素濃度の情報 制御部90へ送られる。

 制御部90では、酸素センサ18から送られて きた酸素濃度の情報に基づいて、酸素濃度が 所定の値以下であるか否かが判定される。そ して、酸素濃度が所定の値以下であると判定 された場合には、前部ファン29a及び後部ファ ン29bに外気導入指令が出力され、外気が空洞 70へ導入される。逆に、制御部90において、 素濃度が所定の値を超えていると判定され 場合には、前部ファン29a及び後部ファン29b 外気導入指令が出力されない。なお、酸素 度の「所定の値」とは、車室19内の快適性を 保つために必要とされる酸素濃度を示す。

 前部ファン29a及び後部ファン29bは、制御 90からの指令を受けると作動し、単に外気 入口26が設けられているだけの場合よりも、 外気をより多く空洞70内に導入する。

 このように、実施形態4Aの空調システム よれば、車室19内の酸素濃度が所定の値以下 のときだけ空洞70へ外気が導入される。した って、炭化水素等を一定量含んだ外気が選 透過膜13に常に接することがなくなるので 炭化水素等が常に選択透過膜13に吸着あるい は吸収されることがなくなる。よって、選択 透過膜13の選択分離性能の劣化を遅く、つま 、選択透過膜13を長寿命化することができ 。

 なお、ここでは、酸素センサ18を用いる 合について説明したが、酸素センサ18に代え て二酸化炭素センサを用い、車室19内の二酸 炭素濃度が高くなったときに前部ファン29a び後部ファン29bを作動させて外気を空洞70 導入するようにしてもよい。

 また、上述の酸素センサ18や二酸化炭素 ンサの他にも、微小固体成分の濃度を検出 るセンサや微小固体成分の個数をカウント るセンサ等を用いて、それらの濃度等に応 て外気を空洞70内に導入するようにしてもよ い。

 [その他の実施形態]
 (1)上記実施形態1A~4Aでは、車両10の天井部分 の内壁24の一部を選択透過膜13で形成してい が、図18に示すように、内壁24の天井部分に を開けるようにしてもよい。

 つまり、図18(a)に示すように、内壁24の天 井部分に多数の小穴を開け、穴の空いた部分 を選択透過膜13で覆う。このとき、開けられ 多数の小穴が全て選択透過膜13で覆われる うにし、かつ、選択透過膜13の周囲を補強す るための補強材12が内壁24に密着して、外気 入口26から導入された外気が直接車室19に進 しないようにする。

 このとき図18(b)に示すように、微小固体成 に比べて比較的大きい塵等を除去するため フィルタを選択透過膜13の表面に設けるよう にしてもよい。
 さらに、上述の小穴の代りに図18(c)に示す うに、内壁24の天井部分を切り取り、その部 分をメッシュ状の材料で塞ぎ、その表面に選 択透過膜13を配置するようにしてもよい。

(ガラス)
[実施形態1B:フロントガラス]
 図19は、本発明の選択透過材料からなる選 透過膜をフロントガラス部分に備える、本 明の空調システムの一形態である車両(実施 態1B)を示す概略構成図である。図19(b)に示 ように、車両10のフロントガラスの下部に選 択透過膜13が設けられており、選択透過膜13 他に、カバー112、外気導入口126、外気排出 128、前部堰127a、後部堰127b等が設けられてい る。

 カバー112は、水滴を遮断するために、選 透過膜13の外気に接する側を覆うものであ 。カバー112は、車両10の正面から見て略長方 形となるように、また、車両10の横方向から てフロントガラス130に沿って湾曲するよう 形成されている。

 カバー112の長手方向及び短手方向の長さ 、各々後述する平板状に形成された選択透 膜13の長手方向及び短手方向の長さよりも 干長くなっており、平板状の選択透過膜13の 片面全体を覆うことができるようになってい る。

 カバー112の車両進行方向側の端部に、カ ー112で覆われた空間120(以下、単に空間120と 呼ぶ。)へ外気を導入するための外気導入口12 6が設けられており、車両進行方向反対側の 部に、空間120に導入された外気を排出する めの外気排出口128が設けられている。

 外気導入口126及び外気排出口128は、車両1 0の横方向を長手方向として穿たれた略長方 の細長い孔であり、孔の大きさ、つまり、 の長手方向及び短手方向の長さは、車種や 間120に導入する外気の量によって決定され 。

 また、外気導入口126の空間120側の近傍に 部堰127aが配置されており、フロントガラス 130と選択透過膜13の上側の境界近傍の空間120 のフロントガラス130の外部に後部堰127bが配 置されている。

 前部堰127aは、車両10の進行方向に前後に 置された略長方形の細長い板材から構成さ ている。板材は、その長手方向が車両10の 幅方向となるように取り付けられており、 択透過膜13との間に隙間ができるように取り 付けられている。なお、板材の長手方向は、 水滴が選択透過膜13へ浸入させないようにす ため、車両10の車幅方向における選択透過 13の長さよりも若干長くなっている。

 後部堰127bは、前部堰127aと同様の板材から 成されている。この板材も車両10の車幅方向 における選択透過膜13の長さ以上の長さを有 ている。
 このような前部堰127aによって、空間120へ導 入される外気に含まれる水滴は、前部堰127a より除去され、車両10のボディ外面上に滴下 し、ボディの外面上を伝わってドレイン(図 せず)から車両10の外部へ排出される。

 また、後部堰127bによって、フロントガラ ス130の外表面を伝わって空間120に浸入しよう とする水滴が遮断され、遮断された水滴は、 ドレイン(図示せず)により車両10の外部へ排 される。

 選択透過膜13は、車両10のフロントガラス 130の一部を構成するように配置されている。 具体的には、図19(b)に示すように、車両10の ロントガラス130の下部の一部を車幅方向が 手方向となるように略長方形に切り取る。 して、略長方形に切り取ったフロントガラ 130と同じ大きさの略長方形平板状に選択透 膜13を形成し、略長方形平板状に形成した選 択透過膜13をフロントガラス130が切り取られ 部分にはめ込む。

 選択透過膜13の大きさ、つまり、長手方 及び短手方向の長さは、車両10の車種や空間 120に導入する外気の量によって決定される。

[実施形態2B:リアウィンドウ]
 次に、選択透過膜13を多孔質ガラス132に装 したものでリアウィンドウ139を形成した形 (実施形態2B)について図20に基づいて説明す 。図20は、リアウィンドウ139を、選択透過膜 13が装着された多孔質ガラス132で構成したと の概略構成図である。

 本実施形態の車両空調システムは、図20(a )に示すようなリアウィンドウ139のガラス部 を、図20(b)に示すような選択透過膜13が装着 れた多孔質ガラス132で置き換えたものであ 。

 多孔質ガラス132は、その材料の全体に細孔 有しており、空気を車室19内と車室19外との 双方向へ透過させる機能を有している。
 この多孔質ガラス132の車室19側の全面に選 透過膜13が密着した状態で装着されている。 また、多孔質ガラス132に装着された選択透過 膜13の車室19側には、選択透過膜13を補強する ためにメッシュ状の材料で形成された補強材 134が装着されている。

 図20(c)に示すように、図20(b)におけるメッ シュ状の補強材134と選択透過膜13との間に防 用フィルタ136を備えるものを用いてもよい 防塵用フィルタ136を備えることにより、車 19内の埃等が直接選択透過膜13に付着するこ とを防止できる。

 また、図20(d)に示すように、図20(b)におけ るメッシュ状の補強材134を用いる代わりに、 選択透過膜13を2枚の多孔質ガラス132a,132bで挟 み込みんで、多孔質ガラス132a、選択透過膜13 及び多孔質ガラス132bがこの順番に積層され ようにしてもよい。

 [実施形態3B:サンルーフ]
 次に、選択透過膜13を多孔質ガラス132に装 したものでサンルーフ138を形成した形態(実 形態3B)について図21に基づいて説明する。 21は、サンルーフ138を、選択透過膜13を装着 た多孔質ガラス132で構成したときの概略構 図である。

 この空調システムは、図21(b)に示すよう サンルーフ138のガラス部分を、図21(a)に示す ように選択透過膜13が装着された多孔質ガラ 132で置き換えるとともに、サンルーフ138を 成する車両10の内壁24に多数の孔を設けたも のである。

 このようすると、外気はサンルーフ138を 成する多孔質ガラス132の外表面に沿って、 両進行方向側から車両進行反対側へ向かっ 流れる。このとき、選択透過膜13を介して 室19内の空気と外気との交換が行われる。

(ピラー)
 図22は、本発明の選択透過材料からなる選 透過膜をピラー部分に備える、本発明の空 システムの一形態である車両を示す概略断 図である。車両10は、図22に示すように、実 的に空気を通さないアルミやガラス等の壁 で囲まれ、外気が進入しない車両10と外気 進入することができるトランクやエンジン ーム等の車室19外の空間とからなる。

 また、車室19を構成する壁面の一部とし 、ピラー50,52,54を備えている。このピラー50, 52,54には、車室19前部のフロントガラスの両 部分に設けられたフロントピラー50、車両10 側のウィンドウの車両10の長手方向のほぼ 央部分に設けられたセンターピラー52、車室 19後部のリアウィンドウの両端部分に設けら たリアピラー54がある。

 また、車両10にはエアコン(図示せず)が備 えられている。このエアコンは、内気循環モ ードのみを備えている。

 次に、本実施形態の空調システムの構成 ついて図23を用いて説明する。図23(a)は、車 両10及び車両10に設けられた各ピラー50,52,54の 概略構成図であり、図23(b)はセンターピラー5 2の構造を模式的に示した概略構造図である

 図23(a)に示すように、車両10には、フロン トピラー50、センターピラー52、リアピラー54 が備えられている。各ピラー50,52,54は同様の 造を有するので、以下、図23(b)に示すセン ーピラー52を例に詳細を説明する。

 センターピラー52は、上端部52e及び下端 52fが楕円形状をした中空の円柱状に形成さ ている。円柱の車室19外側の側面に外気取入 れ口52a及び外気排出口52bを有し、車室19内側 側面に内気取入れ口52c及び内気排出口52dを している。

 また、外気取入れ口52aはセンターピラー5 2の下部に設けられ、外気排出口52bはセンタ ピラー52の上部に設けられている。さらに、 内気取入れ口52cはセンターピラー52の下部に けられ、内気排出口52dはセンターピラー52 上部に設けられている。

 また、センターピラー52の中空部分に、 気取入れ口52aから取り入れられ、外気排出 52bから排出される外気と、内気取入れ口52c ら取り入れられ、内気排出口52dから排出さ る内気とを隔てるように選択透過膜13が設置 されている。

 具体的には、センターピラー52の楕円形 の上下端部52e,52fの長手軸に、選択透過膜13 上下端部が各々一致するように選択透過膜13 が配置される。そして、選択透過膜13の上端 がセンターピラー52の楕円形状の上端部52e 内側に接着剤で密着して固定され、選択透 膜13の下端部がセンターピラー52の楕円形状 下端部52fの内側に接着剤で密着して固定さ る。

 また、選択透過膜13の上下端部は、セン ーピラー52の楕円断面形状を有する円柱側面 の劣弧部分内側面に円柱の中心軸方向に接着 剤で密着して固定されている。

 なお、図23(b)においては、選択透過膜13を 模式的に平板状に図示しているが、蛇腹状に 折られた形状を有していてもよい。

 また、選択透過膜13の車室19外側の表面には 温度センサ60が設けられており、センターピ ー52内部には2つのファン56a,56bが設けられて いる。
 温度センサ60は、選択透過膜13の表面温度を 計測するためのものであり、熱電対やペルチ ェ素子等、選択透過膜13の表面温度を電気信 に変換して出力するものである。

 ファン56a,56bは、外気取入れ口52aから外気 排出口52bに至る外気導入経路及び内気取入れ 口52cから内気排出口52dに至る内気循環経路に 設置されている。そして、温度センサ60で計 した選択透過膜13の表面温度が選択透過膜13 の所定の温度となった場合にファン156a,156bが 作動し、外気取入れ口52aから外気、内気取入 れ口52cから内気を取り入れて選択透過膜13を 却(空冷)する。

 以上にセンターピラー52を例として説明 たが、フロントピラー50、リアピラー54にお ても同様である。

(床)
 図24は、本発明の選択透過材料からなる選 透過膜を床部分に備える、本発明の空調シ テムの一形態である車両を示す概略断面図 ある。図24(a)は、車両10の概略縦断面図であ 、図24(b)は、床部150の拡大図である。

 車両10は、図24(a)に示すように、実質的に 空気を通さないアルミニウムやガラス等の壁 面で囲まれ、外気が進入しない車室19と外気 進入することができるトランクやエンジン ーム等の車室19外の空間とからなる。

 また、車室19の床部150は図24(b)に示すように 床板152と外板154との間に空間141が形成されて いる。
 また、車両10にはエアコン(図示せず)が備え られている。このエアコンは、内気循環モー ドのみを備えている。

 (空調システムの構造)
 次に、本実施形態の空調システムの構成に いて説明する。図24(b)は床部150の構造を模 的に示した概略構造図である。

 図24(b)に示すように、床部150は、車室19内側 に面した床板152及び車室19外側に面した外板1 54から構成されている。
 床板152と外板154との間には、床板152、外板1 54及び側板153a,153bによって空間141が形成され おり、その空間141内部に選択透過膜13が配 されている。

 床板152には、車室19内側から空間141内へ 気を取り入れるための内気取入れ口152a、及 空間141内へ取り入れた内気を車室19内側へ 出するための内気排出口152bが設けられてい 。

 内気取入れ口152aは、車両10進行方向に対 て運転席よりも前方、具体的には、運転者 足下に配置されている。また、内気排出口1 52bは、車両10進行方向に対して運転席よりも 方、具体的には後部座席の直前に設けられ いる。

 外板154には、空間141を形成する外板154に 車室19外側から空間141内へ外気を取り入れ ための外気取入れ口154c、及び空間141内へ取 入れた外気を車室19外側へ排出するための 気排出口154dが設けられている。

 外気取入れ口154cは、車両10進行方向に対 て運転席よりも前方、具体的には、運転者 足下に配置されている。また、外気排出口1 54dは、車両10進行方向に対して運転席よりも 方、具体的には後部座席の直前に設けられ いる。

 空間141内には、車室19内側と車室19外側と を隔てるように選択透過膜13が配置されてい 。具体的には、選択透過膜13は、その端辺 空間141を形成する側板153a,153bの空間141側の に接着材やシール材で密着されることによ 固定されている。

 なお、図24(b)においては、選択透過膜13を 模式的に平板状に図示しているが、蛇腹状に 折られた形状を有していてもよい。

 また、選択透過膜13の車室19外側の表面には 温度センサ60が設けられており、空間141内部 は2つのファン156a,156bが設けられている。
 温度センサ60は、選択透過膜13の表面温度を 計測するためのものであり、熱電対、白金抵 抗体、サーミスタ等、選択透過膜13の表面温 を電気信号に変換して出力するものである

 ファン156a,156bは、内気取入れ口152aから内 気排出口152bに至る内気循環経路、及び外気 入れ口154cから外気排出口154dに至る外気導入 経路に設置されている。そして、温度センサ 60で計測した選択透過膜13の表面温度が選択 過膜13の所定の温度となった場合にファン156 a,156bが作動し、外気取入れ口154cから外気、 気取入れ口152aから内気を取り入れて選択透 膜13を冷却(空冷)する。

(ドア)
[実施形態1C]
(空調システムの構成)
 図25(a)は、本発明の選択透過材料からなる 択透過膜をドア部分に備える、本発明の空 システムの一形態である車両10を示す側面図 であり、図25(b)は、ドア140を車両10の車幅方 に切った概略断面図である。

 空調システムは、図25に示すように、ドア14 0に設けられた内装材164、選択透過膜13、外気 取入れ口52a及び外気排出口52bから構成される 。また、ドア140の略中心線上には、ガラス等 で形成された窓80が取り付けられている。
 外気取入れ口52aは、車室19外側から外気を り入れるために窓80よりも車室19外側のドア1 40の上部に設けられた孔である。また、外気 出口52bは、外気取入れ口52aから取り入れた 気を車室19外側へ排出するために窓80よりも 車室19外側のドア140の下部に設けられた孔で る。

 内装材164は、車室19内側に面して装着さ 、空気を透過させる材料で形成されている 具体的には、無機化合物及び有機化合物を 孔質形状、繊維形状又は薄膜形状のうちの1 あるいはそれらを複合形状で形成したもの ある。内装材164は、その細孔を空気が透過 きるようになっていれば特に限定するもの はないが、その細孔のサイズは、好ましく 、数10ナノメートルから数100ナノメートル あると好ましい。

 また、内装材164には、図25(d)に示すよう 、内装材164内部の細孔の壁面に脱臭材17が担 持されている。

 脱臭材17は、加熱触媒による脱臭材であ 、銅、マンガン、白金、ニッケル、鉄、タ タル、アルミニウム、チタンのうちの1つ又 2つ以上を組み合わせた酸化物である。この 脱臭材17を、細孔を有する内装材164である無 化合物多孔質体に担持させてある。無機多 質体の孔径は、選択透過膜13へのガス供給 妨げにならなければ、いずれの孔径でもよ が、数10から数100マイクロメータであると好 ましい。

 選択透過膜13は、内装材164の車室19外側に 密着して配置されている。

 そして、選択透過膜13が平板状に形成さ たものが図25(c)に示すように、車室19外側か 導入される外気の流れる方向に対して平板 面が略平行になるように、換言すれば、蛇 の凸部が外気の流れと略平行になるように 腹状に折られている。

 このように、選択透過膜13を内装材164の 室19外側に密着して配置し、外気取入れ口52a 及び外気排出口52bをドア140の窓80の車室19外 に設けることにより、ドア140において、車 19内側と車室19外側とを隔て、かつ、外気取 れ口52aから取り入れた外気が選択透過膜13 車室19外側の面に当たるようになっている。

(空調システムの作動と特徴)
 以上のように構成された本実施形態の空調 ステムでは、外気取入れ口52aから取り入れ れた外気が選択透過膜13の車室19外側の面に 接触する。選択透過膜13の車室19外側の面に 触した外気は外気排出口52bから排出される

 車両10の走行中には、外気取入れ口52aか 取り入れられる外気の量が増えるので、車 10走行中には、選択透過膜13の車室19外側の に外気が当たり続ける。つまり、選択透過 13の車室19外側の面には、一定濃度の酸素、 酸化炭素及び微小固体成分を有する外気が 給され続ける。

 したがって、車両10走行中には、外気を ロワ等で車室19内側へ導入しなくても、選択 透過膜13によって車室19内側の酸素と二酸化 素の濃度を外気と同じ濃度に保つことがで る。そして、ブロワを作動させる必要がな ので、車載バッテリに対する負荷を低減す ことができる。

 また、内装材164の多孔質体の細孔に脱臭 17が担持されているので、選択透過膜13を透 過して選択透過膜13の車室19内側に至った外 に悪臭成分が含まれていても脱臭材17でその 悪臭成分が除去される、したがって、車室19 側に悪臭成分が進入することがないので、 室19内側を快適に保つことができる。

 また、選択透過膜13が蛇腹状に折られて るので、選択透過膜13の表面積が大きい。選 択透過膜13の表面積が大きければ、酸素や二 化炭素の交換量が増えるので、車室19内側 酸素や二酸化炭素の濃度に変化があっても それらの濃度を短時間で一定の値に戻すこ ができる。

[実施形態2C]
 次に、選択透過膜13に種々の機能を有する 能材等を配置したものについて、図26及び図 27に基づいて説明する。図26(a)は、車両10の側 面図であり、図26(b)は、ドア140を車両10の車 方向に切った概略断面図である。また、図27 は、ドア140を車両10の車幅方向に切った概略 面図である。

 実施形態2Cにおける空調システムでは、 26(b)に示すように、選択透過膜13の車室19外 に除塵フィルタ14を密着させて装着している 。

 除塵フィルタ14は、選択透過膜13の細孔よ りも大きな孔を持つ材料、例えば、活性炭素 繊維、不織布、樹脂繊維、帯電繊維等の膜状 の材料と繊維状、不織布状、板状、波板状あ るいは粒状の基材から構成されている。

 樹脂繊維としては、ポリプロピレン、ナ ロン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポ 塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリフッ ビニリデン、アクリル等が用いられる。そ て、それらの何れか1つ又はそのうちの2つ 上を組み合わせて編み込むように構成され 。

 また帯電繊維には、外部の電極からイオ を強制的に打ち込むエレクトロ・エレクト ット法を用いてポリプロピレン等のポリマ の繊維を帯電させたエレクトレット繊維が る。また、ポリマーとしては、ポリプロピ ンの他に、フッ素樹脂、シリコン樹脂、エ キシ樹脂、ポリオレフィン類、ポリスチレ 誘導体、ポリスチレン、ポリアミド、ポリ ニルハライド、ポリウレタン、ポリ塩化ビ ル、ポリカーボネート等を用いることがで る。

 また、帯電繊維の帯電法として、エレクト ・エレクトレット法の他に、電界下で紫外 等を照射するフォト・エレクトレット法、 分子ポリマーに応力を加えて塑性流動させ メカノ・エレクトレット法、温度を上昇さ た状態で高分子ポリマーの高電界を印加す サーモ・エレクトレット法、温度を上昇さ 磁場をかけるマグネット・エレクトレット 、γ線等の電磁波を照射するラジオ・エレ トレット法等を使用することができる。
 このように、選択透過膜13の車室19外側に除 塵フィルタ14が設けられているので、選択透 膜13の車室19外側の面に接触する外気から粉 塵が除去される。したがって、選択透過膜13 車室19外側の面に粉塵が付着することがな ので、選択透過膜13の気体の透過性能を保持 することができる。

 また、図27(a)に示すように、選択透過膜13 の車室19外側に除湿材16を密着して配置する うにしてもよい。

 除湿材16は、選択透過膜13の車室19外側に密 して配置され、選択透過膜13の車室19外側の 面に接触する外気に含まれる湿気を除去する ものである。
 具体的には、吸水性ポリマー、綿状パルプ 給水紙、シリカゲル、酸化カルシウム、酸 マグネシウム又は塩化カルシウムを多孔質 と混合させたもの、あるいは、電解質ポリ ー又は親水性ポリマーからなる吸水性ポリ ー、アクリル重合体、ビニルアルコール又 アクリル酸ポリマー等が除湿材16として用 ることができる。このような除湿材16は、選 択透過膜13の車室19外側に積層されている。

 このようにすると、選択透過膜13の車室19 外側の面に接触する外気に含まれる湿気を除 去することができるので、選択透過膜13の表 に水分が付着することがない。したがって 選択透過膜13における気体の透過性能を保 することができる。

 また、選択透過膜13を介して水分が車室19 内側に浸入することがないので、車室19の窓8 0の曇りを防止することができる。なお、「 気を除去する」とは、湿気を完全になくす いうことではなく、湿気を許容値の範囲に つために湿気を除去するという意味である

 さらに、図27(b)に示すように、選択透過 13の車室19外側に送風機118を備えるようにし もよい。

 送風機118は、選択透過膜13に対して車室19 外側に備えられ、外気取入れ口52aから取り入 れた車室19外側の外気を選択透過膜13の車室19 外側の表面に供給するためのものである。

 このようにすれば、送風機118により、車室1 9外側の外気が選択透過膜13に対して送風され る。したがって、選択透過膜13の車室19外側 面に新たな外気が当たり続けるので、選択 過膜13の車室19外側の酸素及び二酸化炭素の 度は一定になる。したがって、車室19内の 素及び二酸化炭素の濃度が変化しても短時 でも一定値に戻すことができる。
また、選択透過膜13を介して水分が車室19内 に浸入することがないので、車室19の窓80の りを防止することができる。

[実施形態3C]
 次に、上述の実施形態1C及び2Cのように選択 透過膜13を内装材164に密着させて配置する代 りに、外気取入れ口52a及び外気排出口52bを ア140の内側から覆うように配置した実施形 について図28及び図29に基づいて説明する。 図28(a)は、車両10の側面図であり、図28(b)は、 ドア140を車両10の車幅方向に切った概略断面 である。また、図29は、ドア140を車両10の車 幅方向に切った概略断面図である。

 実施形態3Cにおける空調システムでは、 28(b)に示すように、ドア140は、車室19外側に する外壁50aと車室19内側に面する内壁50bと 構成された空間151を有している。また、外 取入れ口52aは、外壁50aの下部に外気排出口52 bよりも上方に設けられている。

 また、外気排出口52bは、外壁50aの下部に けられており、選択透過膜13は、空間151に 気取入れ口52a及び外気排出口52bを覆うよう 、空間151に図中右上から左下に斜めに配置 れている。また、選択透過膜13は、その車室 内側の片面全体を補強材13cにより補強されて いる。さらに、選択透過膜13及び外壁50aに挟 れた部分には、蓄熱体15が設けられている

 補強材13cの材料としては、例えば、ポリ レフィン、ポリカーボネート、ポリエーテ サルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエ レン、フッ素樹脂(例えば、PTFE、PEFなど)、 ラス(たとえば繊維状)、セルロースなどか 選ばれる単一材料もしくは2つ以上の材料が げられる。この補強材13cは、多孔構造をと ことが好ましく、例えば、数10から数100ナ メータの径の細孔が形成されていることが ましい。

 蓄熱体15は、選択透過膜13を直接又は補強 材13cを介して間接的に加熱するものである。 また、蓄熱体15は、外部から供給される熱を え、蓄えた熱で選択透過膜13を加熱する。 体的には、ハニカム構造のセラミック、無 塩類水和物、パラフィン又はワックスなど 多孔質体に担持させた、選択透過膜13や補強 材13cよりも熱伝導性の高い材料から構成され ている。

 また、蓄熱体15は、外部から供給される として、太陽光の輻射熱を蓄えるようにな ている。つまり、選択透過膜13がドア140内部 に置かれた場合に車両10を照らす太陽光の輻 熱が蓄積されるのである。

 なお、図29(a)に示すように、選択透過膜13 の車室19外側に除湿材16を備えるようにする 、選択透過膜13の車室19外側の面に接触する 気に含まれる湿気を除去することができる で、選択透過膜13の表面に水分が付着する とがない。したがって、選択透過膜13の気体 の透過性能を保持することができる。

 また、図29(b)に示すように、補強材13cの 室19内側に送風機118を装着するようにしても よい。送風機118により車室19内側に外気を吸 込むようにすると、外気取入れ口52aから取 入れられ、選択透過膜13の車室19外側の面に 接触する外気の量が増す。

 したがって、車室19内側に取り入れられ 酸素や車室19外側に排出される二酸化炭素の 量が増えるので、車室19内側の酸素や二酸化 素の濃度が変化しても短い時間で一定値に すことができる。

 上述の空調システムを備える車両によれ 、本発明の選択透過材料からなる選択透過 を介して気体の排出及び導入が行われるの 、SPM、nSPM等の大気中の浮遊物質の車室への 流入を防止することができ、且つ車内にSPM、 nSPM等の浮遊物質が存在する場合にはそれを 去することもできる。

(合成例1A)
 攪拌子、温度計、冷却管を備えた5L三つ口 ラスコにノルボルネン‐2‐イルトリス(トリ メチルシロキシ)シラン150g(0.38mol)とトルエン3 000gを混合し40℃に昇温した。これにビス(ト シクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンル ニウム(IV)ジクロリド0.31g(0.38mmol)をトルエン 330gに溶解した溶液を添加して、40℃において 重合反応を行った。重合反応開始後、徐々に 溶液の粘度は上昇し、20分後エチルビニルエ テル1gを加えることで重合を停止した。重 溶液を大量のメタノールに注いで沈殿物を 集させ、粉砕洗浄後、濾別し、70℃で5時間 圧乾燥すると白色粉末のシリコーン変性シ ロオレフィンポリマーを得た。得られたポ マーの収量は147gであり、分子量はトルエン 溶媒とするゲル・パーミエーション・クロ トグラフィーによるポリスチレン換算値と てMn=259,000、Mw=604,000であった。なお、得ら たシリコーン変性シクロオレフィンポリマ は下記式(7)で表される構造を有する。

(合成例2A)
 Pluronic P123(BASF社製、(エチレンオキサイド) 20 (プロピレンオキサイド) 70 (エチレンオキサイド) 20 )88g、水2640g、塩酸453.5mlの混合液を室温でメ ニカルスターラーを用いて撹拌し、Pluronic P 123が溶解した後、テトラエトキシシラン(関 化学社製)187.8gを滴下して、さらに12時間撹 した。35℃に保ったオーブンで20時間加熱し さらに100℃に保ったオーブンで24時間加熱 た。生成した白色固体を水洗浄、濾取し、 空ポンプを用いて乾燥した。その後、550℃ 保った焼成炉で6時間焼成し、メソポーラス リカ(56.3g)を得た。

(実施例1A)
 シリコーン変性プルランポリマー(信越化学 工業社製、X-22-8400)をトルエンで溶解して固 分を1wt%に調整した。この溶液12gに対して、 状シリカ(信越化学工業社製、X-24-9163A、平 粒径110nm)0.196g(シリコーン変性プルランポリ ー100質量部に対して163質量部(シリコーン変 性プルランポリマーに対して50vol%))を配合し 超音波分散機を用いて混合した。この調整 た溶液をテフロン(米国デュポン社の登録商 標)製φ90mmのシャーレに入れて、減圧乾燥機 てトルエンを除去し、平均厚み25μmの膜を得 た。

(実施例2A)
 シリコーン変性プルランポリマー(信越化学 工業社製、X-22-8400)をトルエンで溶解して固 分を1wt%に調整した。この溶液12gに対して、 成例2Aで得られたメソポーラスシリカ0.098g( リコーン変性プルランポリマー100質量部に して82質量部(シリコーン変性プルランポリ ーに対して50vol%))を配合し、超音波分散機 用いて混合した。この調整した溶液をテフ ン(米国デュポン社の登録商標)製φ90mmのシャ ーレに入れて、減圧乾燥機にてトルエンを除 去し、平均厚み25μmの膜を得た。

(実施例3A)
 シリコーン変性プルランポリマー(信越化学 工業社製、X-22-8400)をトルエンで溶解して固 分を1wt%に調整した。この溶液12gに対して、 ミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学 工業社製、KBE903)にて疎水化処理した合成例2A で得られたメソポーラスシリカ0.098g(シリコ ン変性プルランポリマー100質量部に対して82 質量部(シリコーン変性プルランポリマーに して50vol%))を配合し、超音波分散機を用いて 混合した。この調整した溶液をテフロン(米 デュポン社の登録商標)製φ90mmのシャーレに れて、減圧乾燥機にてトルエンを除去し、 均厚み25μmの膜を得た。

(実施例4A)
 シリコーン変性プルランポリマー(信越化学 工業社製、X-22-8400)をトルエンで溶解して固 分を10wt%に調整した。導電性高分子であるポ リアニリン(アルドリッチ社製、エメラルデ ンベース、分子量:2万)をシクロヘキサノン 溶解して固形分を2wt%に調整した。シリコー 変性プルランポリマーの溶液0.6mlに対して ポリアニリンの溶液を0.4ml(シリコーン変性 ルランポリマー100質量部に対して13.3質量部( シリコーン変性プルランポリマーに対して40v ol%))配合し、超音波分散機を用いて混合した この混合溶液を、支持体アイソポア(日本ミ リポア社製、材質:ポリカーボネート、平均 径0.22μm)上に、水面展開法により成膜した後 、乾燥機にてトルエンとシクロヘキサノンを 除去し、平均厚み0.1μmの膜を得た。

(実施例5A)
 シリコーン変性プルランポリマー(信越化学 工業社製、X-22-8400)をトルエンで溶解して固 分を10wt%に調整した。導電性高分子であるポ リアニリン(アルドリッチ社製、エメラルデ ンベース、分子量:2万)をシクロヘキサノン 溶解して固形分を2wt%に調整した。シリコー 変性プルランポリマーの溶液0.6mlに対して ポリアニリンの溶液を0.4ml(シリコーン変性 ルランポリマー100質量部に対して13.3質量部( シリコーン変性プルランポリマーに対して40v ol%))配合した。そしてこの溶液1mLに対して1μL (シリコーン変性プルランポリマー100質量部 対して0.1質量部(シリコーン変性プルランポ マーに対して0.17vol%))の2N-HClを添加し、超音 波分散機を用いて混合した。この混合溶液を 、支持体アイソポア(日本ミリポア社製、材 :ポリカーボネート、平均孔径0.22μm)上に、 面展開法により成膜した後、乾燥機にてト エンとシクロヘキサノンを除去し、平均厚 0.1μmの膜を得た。

(実施例6A)
 合成例1Aで得られたシリコーン変性シクロ レフィンポリマーをトルエンで溶解して固 分を10wt%に調整した。導電性高分子であるポ リアニリン(アルドリッチ社製、エメラルデ ンベース、分子量:2万)をシクロヘキサノン 溶解して固形分を2wt%に調整した。シリコー 変性プルランポリマーの溶液0.6mlに対して ポリアニリンの溶液を0.4ml(シリコーン変性 クロオレフィンポリマー100質量部に対して13 .3質量部(シリコーン変性シクロオレフィンポ リマーに対して40vol%))配合し、超音波分散機 用いて混合した。この混合溶液を、支持体 イソポア(日本ミリポア社製、材質:ポリカ ボネート、平均孔径0.22μm)上に、水面展開法 により成膜した後、乾燥機にてトルエンとシ クロヘキサノンを除去し、平均厚み0.1μmの膜 を得た。

(実施例7A)
 合成例1Aで得られたシリコーン変性シクロ レフィンポリマーをトルエンで溶解して固 分を10wt%に調整した。導電性高分子であるポ リアニリン(アルドリッチ社製、エメラルデ ンベース、分子量:2万)をシクロヘキサノン 溶解して固形分を2wt%に調整した。シリコー 変性プルランポリマーの溶液0.6mlに対して ポリアニリンの溶液を0.4ml(シリコーン変性 ルランポリマー100質量部に対して13.3質量部( シリコーン変性シクロオレフィンポリマーに 対して40vol%))配合した。そしてこの溶液1mLに して5μL(シリコーン変性シクロオレフィン リマー100質量部に対して0.5質量部(シリコー 変性シクロオレフィンポリマーに対して0.83 vol%))の2N-HClを添加し、超音波分散機を用いて 混合した。この混合溶液を、支持体アイソポ ア(日本ミリポア社製、材質:ポリカーボネー 、平均孔径0.22μm)上に、水面展開法により 膜した後、乾燥機にてトルエンとシクロヘ サノンを除去し、平均厚み0.1μmの膜を得た

(比較例1A)
 シリコーン変性プルランポリマー(信越化学 工業社製、X-22-8400)をトルエンで溶解して固 分を1wt%に調整した。この溶液をテフロン(米 国デュポン社の登録商標)製φ90mmのシャーレ 入れて、減圧乾燥機にてトルエンを除去し 平均厚み15μmの膜を得た。

(比較例2A)
 合成例1Aで得られたシリコーン変性シクロ レフィンポリマーをトルエンで溶解して固 分を1wt%に調整した。この溶液をテフロン(米 国デュポン社の登録商標)製φ90mmのシャーレ 入れて、減圧乾燥機にてトルエンを除去し 平均厚み15μmの膜を得た。

[膜の評価]
(気体透過係数の評価)
 実施例1A~7A及び比較例1A,2Aで得られた膜につ いて、気体透過率測定装置(GTRテック社製、 番:GTR-20XAMDE)を用い、下記の測定条件で、酸 及び窒素についての気体透過係数を測定し 。得られた結果を表2及び表3に示す。
<測定条件>
温度     :23±2℃
膜の下流の圧力:約0.0013atm
膜の上流の圧力:1.05~1.20atm
膜間の圧力差 :1.05~1.20atm

(nSPM遮断率の評価)
 実施例4A~7A及び比較例1A,2Aで得られた膜につ いて、図30の概略図に示す装置を用い、次の( 1)~(5)のプロセスで、nSPM遮断率の測定を行っ 。得られた結果を表3に示す。
(1)ナノ粒子発生装置(Palas社製、型番:GFG-1000) より10~500nmのカーボン粒子を発生させた。
(2)膜をサンプルホルダー(膜面積:MAX16[cm 2 ])にセットし、バルブ(V1)を閉じ、B層を減圧 た(差圧1[kPa])。
(3)B層を減圧した後、バルブ(V1)を開き、B層内 が大気圧に戻る際に透過するガスに乗せてナ ノ粒子を膜に供給し、膜を透過した粒子をB にためた。
(4)B層内の粒子重量を、粒子カウンター(TSI社 、型番:SMPS-3034)で粒子重量を計測した。
(5)以下の式に基づいて遮蔽率を算出した。
nSPM遮断率[wt%]=100×{(Cin-Cout)/Cin}
(式中、「Cin」は、膜上流での粒子濃度[単位: μg/ml]を示し、「Cout」は、膜透過後の粒子濃 [単位:μg/ml]を示す。

* シリコーン系ポリマー100質量部に対する添加 量。

* シリコーン系ポリマー100質量部に対する添加 量。

(実施例8A~12A、比較例3A~8A)
 シリコーン変性プルランポリマー(信越化学 工業社製、X-22-8400)をトルエンで溶解して固 分を1wt%に調整した。この溶液12gに対して、 4に示す添加剤を所定量を配合し、超音波分 散機を用いて混合した。この調整したフィラ ー含有溶液をテフロン(米国デュポン社の登 商標)製φ90mmのシャーレに入れて、減圧乾燥 にてトルエンを除去し、平均厚み20~30μmの を得た。なお、表4中の添加剤の特性を表5に 示す。

a) 合成例2Aで得られたメソポーラスシリカにつ ては、粒径分布を示す。

 実施例8A~12A及び比較例3A~8Aで得られた膜 ついて、上述した[膜の評価]と同様の方法で 酸素及び窒素についての気体透過係数、及び nSPM遮断率を測定した。得られた結果を表6に す。

(実施例13A)
 合成例1Aで得られたシリコーン変性シクロ レフィンポリマーをトルエンで溶解して固 分を10wt%に調整した。導電性高分子であるポ リアニリン(アルドリッチ社製、分子量:2万) シクロへキサノンに溶解して固形分を2wt%に 整した。シリコーン変性シクロオレフィン リマーの溶液0.6mlに対して、ポリアニリン 溶液を0.4ml(シリコーン変性シクロオレフィ ポリマー100質量部に対して13.3質量部)配合し 、同時に、球状シリカ(商品名:NanoTek SiO 2 、シーアイ化成社製)をシリコーン変性シク オレフィンポリマー100質量部に対して50質量 部、及び塩酸をシリコーン変性シクロオレフ ィンポリマーに対して0.5質量部添加し、超音 波分散機を用いて混合した。この調整した混 合液を、支持体アイソポア(日本ミリポア社 、材質:ポリカーボネート、平均孔径1.2μm)上 に、水面展開法により成膜した後、乾燥機に てトルエンとシクロヘキサノンを除去し、平 均厚み1.0μmの膜を得た。

(実施例14A)
 合成例1Aで得られたシリコーン変性シクロ レフィンポリマーをトルエンで溶解して固 分を10wt%に調整した。導電性高分子であるポ リアニリン(アルドリッチ社製、分子量:2万) シクロへキサノンに溶解して固形分を2wt%に 整した。シリコーン変性シクロオレフィン リマーの溶液0.6mlに対して、ポリアニリン 溶液を0.4ml(シリコーン変性シクロオレフィ ポリマー100質量部に対して13.3質量部)配合し 、同時に、球状シリカ(商品名:NanoTek SiO 2 、シーアイ化成社製)をシリコーン変性シク オレフィンポリマー100質量部に対して50質量 部、及びビニルホスホン酸をシリコーン変性 シクロオレフィンポリマー100質量部に対して 1.5質量部添加し、超音波分散機を用いて混合 した。この調整したポリアニリン+シリカ含 溶液を、支持体アイソポア(日本ミリポア社 、材質:ポリカーボネート、平均孔径1.2μm) に、水面展開法により成膜した後、乾燥機 てトルエンとシクロヘキサノンを除去し、 均厚み1.0μmの膜を得た。

(実施例15A)
 合成例1Aで得られたシリコーン変性シクロ レフィンポリマーをトルエンで溶解して固 分を10wt%に調整した。導電性高分子であるポ リアニリン(アルドリッチ社製、分子量:2万) シクロへキサノンに溶解して固形分を2wt%に 整した。シリコーン変性シクロオレフィン リマーの溶液0.6mlに対して、ポリアニリン 溶液を0.4ml(シリコーン変性シクロオレフィ ポリマー100質量部に対して13.3質量部)配合し 、同時に、球状シリカ(商品名:NanoTek SiO 2 、シーアイ化成社製)をシリコーン変性シク オレフィンポリマー100質量部に対して100質 部、及び塩酸をシリコーン変性シクロオレ ィンポリマー100質量部に対して0.5質量部添 し、超音波分散機を用いて混合した。この 整したポリアニリン+シリカ含有溶液を、支 体アイソポア(日本ミリポア社製、材質:ポ カーボネート、平均孔径1.2μm)上に、水面展 法により成膜した後、乾燥機にてトルエン シクロヘキサノンを除去し、平均厚み1.0μm 膜を得た。

(実施例16A)
 合成例1Aで得られたシリコーン変性シクロ レフィンポリマーをトルエンで溶解して固 分を10wt%に調整した。導電性高分子であるポ リアニリン(アルドリッチ社製、分子量:2万) シクロへキサノンに溶解して固形分を2wt%に 整した。シリコーン変性シクロオレフィン リマーの溶液0.6mlに対して、ポリアニリン 溶液を0.4ml(シリコーン変性シクロオレフィ ポリマー100質量部に対して13.3質量部)配合し 、同時に、球状シリカ(商品名:NanoTek SiO 2 、シーアイ化成社製)をシリコーン変性シク オレフィンポリマー100質量部に対して100質 部、及びビニルホスホン酸をシリコーン変 シクロオレフィンポリマー100質量部に対し 1.5質量部添加し、超音波分散機を用いて混 した。この調整したポリアニリン+シリカ含 溶液を、支持体アイソポア(日本ミリポア社 製、材質:ポリカーボネート、平均孔径1.2μm) に、水面展開法により成膜した後、乾燥機 てトルエンとシクロヘキサノンを除去し、 均厚み1.0μmの膜を得た。

 実施例13A~16Aで得られた膜について、上述 の[膜の評価]と同様の方法で酸素及び窒素に いての気体透過係数、及びnSPM遮断率を測定 した。得られた結果を表7に示す。

* シリコーン系ポリマー100質量部に対する添加 量。

 以上の結果については、シリカ表面にお る酸への親和性が大きな影響を与えている 考えられる。今回用いたシリカは、その表 は親水性である。従って塩酸を添加したポ アニンは、シリカの表面に吸着しやすいと 定され、そのことによりシリコーン系ポリ ーとシリカとの界面の隙間が少なくなり、 果として、シリカのみを添加した膜に対し 透過性が低下したものと考えられる。特に の傾向は、添加率が低い場合に顕著に現れ (実施例13A)。添加率が高い場合は、シリカ- リカ間にも隙間が出来るため、透過性は低 することなく高透過構造が維持される。こ に対し添加する酸を非水溶性のビニルホス ン酸を用いるとポリアニリンがシリカ表面 吸着せず、シリカと共に分散するため、ガ のパスが相乗的に増加する。そのためシリ のみを添加した膜に対して透過性が向上す 。実施例16Aが実施例14Aより大きいのは、シ カ同士、あるいはポリアニリン同士が作り す新たな隙間が影響していると考えられる

(実施例17A~22A)
 シリコーン変性プルランポリマー(信越化学 工業社製、X-22-8400)をトルエンで溶解して固 分を10wt%に調整した。導電性高分子であるポ リアニリン(アルドリッチ社製、エメラルデ ンベース、分子量:2万)をシクロヘキサノン 溶解して固形分を2wt%に調整した。シリコー 変性プルランポリマーの溶液0.6mlに対して ポリアニリンの溶液を0.4ml(シリコーン変性 ルランポリマー100質量部に対して13.3質量部) 配合した。そしてこの溶液1mLに対して表8に す酸を所定量添加し、超音波分散機を用い 混合した。この混合溶液を、支持体アイソ ア(日本ミリポア社製、材質:ポリカーボネー ト、平均孔径0.22μm)上に、水面展開法により 膜した後、乾燥機にてトルエンとシクロヘ サノンを除去し、平均厚み0.1μmの膜を得た

(実施例23A~28A)
 合成例1Aで得られたシリコーン変性シクロ レフィンポリマーをトルエンで溶解して固 分を10wt%に調整した。導電性高分子であるポ リアニリン(アルドリッチ社製、エメラルデ ンベース、分子量:2万)をシクロヘキサノン 溶解して固形分を2wt%に調整した。シリコー 変性プルランポリマーの溶液0.6mlに対して ポリアニリンの溶液を0.4ml(シリコーン変性 クロオレフィンポリマー100質量部に対して13 .3質量部)配合した。そしてこの溶液1mLに対し て表8に示す酸を所定量添加し、超音波分散 を用いて混合した。この混合溶液を、支持 アイソポア(日本ミリポア社製、材質:ポリカ ーボネート、平均孔径0.22μm)上に、水面展開 により成膜した後、乾燥機にてトルエンと クロヘキサノンを除去し、平均厚み0.1μmの を得た。

 実施例17A~28Aで得られた膜について、上述 した[膜の評価]と同様の方法で酸素及び窒素 ついての気体透過係数、及びnSPM遮断率を測 定した。得られた結果を表8に示す。

* シリコーン系ポリマー100質量部に対する添加 量。

(実施例1B)
 シリコーン変性プルランポリマー(信越化学 工業社製、X-22-8400)をトルエンで溶解して固 分を10wt%に調整した。この調整液に、イオン 性液体である1-ethyl-4-methylimidazolium-nitrate(関東 化学社製、融点:38℃)をシリコーン変性プル ンポリマー100質量部に対して20質量部添加し た。この調整したイオン性液体含有溶液を、 テフロン(米国デュポン社の登録商標)製φ90mm シャーレに入れて、乾燥機にてイオン性液 の融点以上の温度(例えば60℃)でトルエンを 除去し、平均厚み15μmの膜を得た。有機溶媒 発後、イオン性液体の融点以下の温度(例え ば25℃)で静置させ、イオン性液体を固化させ た。

(実施例2B)
 シリコーン変性プルランポリマー(信越化学 工業社製、X-22-8400)をトルエンで溶解して固 分を10wt%に調整した。この調整液に、イオン 性液体である1-ethyl-4-methylimidazolium-phosphate(関 化学社製、融点:58-60℃)をシリコーン変性プ ルランポリマー100質量部に対して20質量部添 した。この調整したイオン性液体含有溶液 、テフロン(米国デュポン社の登録商標)製φ 90mmのシャーレに入れて、乾燥機にてイオン 液体の融点以上の温度(例えば70℃)でトルエ を除去し、平均厚み15μmの膜を得た。有機 媒揮発後、イオン性液体の融点以下の温度( えば25℃)で静置させ、イオン性液体を固化 せた。

(実施例3B)
 シリコーン変性シクロオレフィンポリマー( 信越化学工業社製、X-22-1960)をトルエンで溶 して固形分を10wt%に調整した。この調整液に 、イオン性液体である1-ethyl-4-methylimidazolium-ni trate(関東化学社製、融点:38℃)をシリコーン 性シクロオレフィンポリマー100質量部に対 て20質量部添加した。この調整したイオン性 液体含有溶液を、テフロン(米国デュポン社 登録商標)製φ90mmのシャーレに入れて、乾燥 にてイオン性液体の融点以上の温度(例えば 60℃)でトルエンを除去し、平均厚み15μmの膜 得た。有機溶媒揮発後、イオン性液体の融 以下の温度(例えば25℃)で静置させ、イオン 性液体を固化させた。

(実施例4B)
 シリコーン変性シクロオレフィンポリマー( 信越化学工業社製、X-22-1960)をトルエンで溶 して固形分を10wt%に調整した。この調整液に 、イオン性液体である1-ethyl-4-methylimidazolium-ph osphate(関東化学社製、融点:58-60℃)をシリコー ン変性シクロオレフィンポリマー100質量部に 対して20質量部添加した。この調整したイオ 性液体含有溶液を、テフロン(米国デュポン 社の登録商標)製φ90mmのシャーレに入れて、 燥機にてイオン性液体の融点以上の温度(例 ば70℃)でトルエンを除去し、平均厚み15μm 膜を得た。有機溶媒揮発後、イオン性液体 融点以下の温度(例えば25℃)で静置させ、イ ン性液体を固化させた。

(比較例1B)
シリコーン変性プルランポリマー(信越化学 業社製、X-22-8400)をトルエンで溶解して固形 を1wt%に調整した。この調整したシリコーン 含有溶液をテフロン(米国デュポン社の登録 標)製φ90mmのシャーレに入れて、乾燥機(例え ば60℃)にてトルエンを除去し、平均厚み15μm 膜を得た。

(比較例2B)
 シリコーン変性シクロオレフィンポリマー( 信越化学工業社製、X-22-1960)をトルエンで溶 して固形分を1wt%に調整した。この調整した リコーン含有溶液をテフロン(米国デュポン 社の登録商標)製φ90mmのシャーレに入れて、 燥機(例えば60℃)にてトルエンを除去し、平 厚み15μmの膜を得た。

 実施例1B~4B及び比較例1B,2Bで得られた膜に ついて、上述した[膜の評価]と同様の方法で 素及び窒素についての気体透過係数、及びn SPM遮断率を測定した。得られた結果を表9に す。

* シリコーン系ポリマー100質量部に対する添加 量。

 (実施例1C)
 Pluronic P123(BASF社製、(エチレンオキサイド) 20 (プロピレンオキサイド) 70 (エチレンオキサイド) 20 )88g、水2640g、塩酸453.5mlの混合液を室温でメ ニカルスターラーを用いて撹拌し、Pluronic P 123が溶解した後、テトラエトキシシラン(関 化学社製)187.8gを滴下して、さらに12時間撹 した。35℃に保ったオーブンで20時間加熱し さらに100℃に保ったオーブンで24時間加熱 た。生成した白色固体を水洗浄、濾取し、 空ポンプを用いて乾燥した。その後、550℃ 保った焼成炉で6時間焼成し、選択透過材料 添加剤であるメソポーラスシリカ(56.3g)を得 た。

 次に、シリコーン系ポリマーであるシリ ーン変性プルランポリマー(信越化学工業社 製、X-22-8400)をトルエンで溶解して、トルエ に含まれるシリコーン変性プルランポリマ (固形分)の含有率を10wt%に調整した。この溶 12gに対して、上述のメソポーラスシリカ0.09 8g(シリコーン変性プルラン樹脂固形分100質量 部に対する添加量が81.7重量部となるメソポ ラスシリカ)を配合し、超音波分散機を用い 混合し、選択透過材料を得た。

 次に、補強用メッシュ材であるPET64-HCをPE Tフィルム上に設置した後、PETフィルム上に 置されたPET64-HCに、目留め材塗料をワイヤー コーターで塗布して、PET64-HCの開口に目留め 塗料を充填し、目留めを行った。目留め材 料としては、HEAA樹脂(固形分)を50wt%の含有 で含むエタノール溶液を用いた。

 PET64-HCの開口に目留め材塗料を充填した に、PET64-HCに塗布された目留め材塗料を熱処 理し、PET64-HCの開口に充填された目留め材塗 から希釈溶剤であるエタノールを揮発させ ことにより、目留め材の体積を収縮させ、P ET64-HCの露出部を形成した。

 次に、PET64-HCの露出部と、開口に充填さ た目留め材の露出部と、を覆うように、上 の選択透過材料をワイヤーコーターで塗布 た。次に、熱処理によって、選択透過材料 溶剤成分(トルエン)を除去することにより、 選択透過材料から選択透過膜を成膜した。

 次に、選択透過膜が積層されたPET64-HCか 、PETフィルムを剥離した。そして、PET64-HCに おいて選択透過膜が積層された面とは反対側 の面の側から、PET64-HCの開口に充填された目 め材を水で洗い流して除去した。目留め材 除去した後、PET64-HC及び選択透過膜を乾燥 て水分を除去することによって、実施例1Cの 選択透過膜構造体を得た。なお、選択透過膜 構造体が備える選択透過膜の平均膜厚は3.8μm とした。

 (実施例2C~4C,7C~9C)
 補強用メッシュ材の種類、目留め材塗料が 有する樹脂の種類、目留め材塗料における 脂(固形分)の含有率(wt%)、選択透過材料が含 む添加剤の種類、シリコーン変性プルラン樹 脂固形分100質量部に対する添加剤の添加量( 量部)を表10に示すものとしたこと以外は、 施例1Cと同様の材料及び製造方法を用いて、 実施例2C~4C,7C~9Cの各選択透過膜構造体をそれ れ作成した。なお、表10に示すNanoTek SiO 2 はシーアイ化成社製の添加剤である。

 (実施例5C)
 実施例5Cでは、補強用メッシュ材の種類、 留め材塗料が含有する樹脂の種類、目留め 塗料における樹脂(固形分)の含有率(wt%)、選 透過材料が含む添加剤の種類、シリコーン 性プルラン樹脂固形分100質量部に対する添 剤の添加量(質量部)を表10に示すものとした こと以外は、実施例1Cと同様の材料を用いて 択透過膜構造体を作成した。また、実施例5 Cの選択透過膜構造体は、以下にように、実 例1Cとは異なる製造方法で作成した。

 まず、補強用メッシュ材であるPET85-HCをPE Tフィルム上に設置した後、PETフィルム上に 置されたPET85-HCに、目留め材塗料をワイヤー コーターで塗布して、PET85-HCの開口に目留め 塗料を充填した。

 次に、目留め材塗料が塗布されたPET85-HC に、目留め材との接着性及び選択透過材料 の接着性を共に有する塗料を塗布し、この 料から中間層を形成した。中間層の厚さは 約2.6μmとした。中間層を形成するための塗 としては、目留め材のHEAA及び上述の選択透 材料との接着性を共に有するPVA(品番:JL-05E 日本酢ビ・ポバール社製)の含有率が20wt%で る水溶液を用いた。

 中間層の形成後、熱処理により、PET85-HC 開口に充填された目留め材及び中間層に含 れる溶媒成分を除去し、目留め材及び中間 の体積を収縮させ、PET85-HCの露出部を形成し た。

 次に、PET85-HCの露出部及び中間層を覆う うに、上述の選択透過材料をワイヤーコー ーで塗布した。次に、熱処理によって、選 透過材料の溶剤成分を除去することにより 選択透過材料から選択透過膜を成膜した。

 選択透過膜の成膜後、選択透過膜が積層 れたPET85-HCから、PETフィルムを剥離した。 して、PET85-HCにおいて選択透過膜が積層され た面とは反対側の面の側から、PET85-HCの開口 充填された目留め材と、その奥の中間層と 、水による洗浄等によって除去した。目留 材及び中間層を除去した後、PET85-HC及び選 透過膜を乾燥して水分を除去することによ て、実施例5Cの選択透過膜構造体を得た。

 (実施例6C)
 中間層を形成するための塗料として、PVA(日 本酢ビ・ポバール社製、ASP05)の含有率が20wt% ある水溶液を用いたこと以外は、実施例5C 同様の材料及び方法を用いて、実施例6Cの選 択透過膜構造体を形成した。

 (比較例1C,2C)
 比較例1C,2Cでは、補強用メッシュ材の種類 目留め材塗料が含有する樹脂の種類、目留 材塗料における樹脂(固形分)の含有率(wt%)、 択透過材料が含む添加剤の種類、シリコー 変性プルラン樹脂固形分100質量部に対する 加剤の添加量(質量部)を表10に示すものとし た以外は実施例1Cと同様の材料を用いて選択 過膜構造体を形成した。また、比較例1C,2C は、目留め材で補強用メッシュ材を目留め ることなく、補強メッシュ材に直接選択透 材料を塗布することによって、選択透過膜 作成した。

 実施例1C~9C、および比較例1C,2Cにおいて、 補強用メッシュ材に選択透過材料を塗布し、 選択透過膜を形成した際に、選択透過膜の成 膜状態(厚さの均一性、表面の平滑性)を評価 た。

 目留め材で補強用メッシュ材を目留めし 実施例1C~9Cでは、補強用メッシュ材の開口 選択透過材料が過度に流入することがなく 厚さが均一で表面が平滑な選択透過膜を有 る選択透過膜構造体を得ることができた。 に、目留め材として、HEAA樹脂含むエタノー 溶液を用いた実施例1C~6Cでは、目留め材に る目留めが確実になされ、選択透過膜の成 状態が良好であることが確認された。

 一方、目留め材で補強用メッシュ材を目 めすることなく、補強メッシュ材に直接選 透過材料を塗布することによって選択透過 を成膜した比較例1C,2Cでは、補強用メッシ 材の開口内に選択透過材料が過度に流入し しまい、厚さが均一で表面が平滑な選択透 膜を得ることができなかった。

 (気体透過係数の評価)
 選択透過膜の膜厚を表11に示す値としたこ 以外は、実施例3Cと同様の方法で、実施例3a 選択透過膜構造体を形成した。選択透過膜 膜厚を表11に示す値としたこと以外は、実 例4Cと同様の方法で、実施例4aの選択透過膜 造体を形成した。選択透過膜の膜厚を表11 示す値としたこと以外は、実施例6Cと同様の 方法で、実施例6aの選択透過膜構造体を形成 た。選択透過膜の膜厚を表11に示す値とし こと以外は、比較例1Cと同様の方法で、比較 例1aの選択透過膜構造体を形成した。実施例3 a,4a,6a及び比較例1aで得られた膜について、上 述した[膜の評価]と同様の方法で酸素及び窒 についての気体透過係数、及びnSPM遮断率を 測定した。得られた結果を表11に示す。

 (参考例1C~3C)
 参考例1C~3Cでは、目留め材を用いず、補強 メッシュ材の種類、選択透過材料が含む添 剤の種類、及びシリコーン変性プルラン樹 固形分100質量部に対する添加剤の添加量(質 部)を表12に示すものとした以外は、実施例1 Cと同様の材料を用いて選択透過膜構造体を 成した。また、参考例1C~3Cでは、実施例1Cと 異なる以下の方法で選択透過膜構造体を作 した。まず、参考例1C~3Cでは、支持フィル である離型PETフィルム上にコーター法で水 性のPVA膜を成膜した。PVA膜の平均膜厚は、 12に示す値とした。次に、PVA膜の上に、表12 示す選択透過材料をコーター法で塗布し、 択透過膜を形成した。この選択透過膜を補 用メッシュ材(PET85-HC)に転写した後、これを 水に浸漬してPVA膜を溶解することにより、選 択透過膜構造体を形成した。

 参考例1C~3Cにおいても、選択透過膜の成 状態(厚さの均一性、表面の平滑性)を評価し た。

 参考例1C~3Cのいずれにおいても、厚さが 一で表面が平滑な選択透過膜を有する選択 過膜構造体を得ることができた。特に、離 PETフィルム上に形成された水溶性のPVA膜が いほど、完成後の選択透過膜構造体に付着 たPVA膜の残渣が少ないことが確認された。