KISHIKAWA NORIKO (JP)
SHIRAKAWA DAISUKE (JP)
KISHIKAWA NORIKO (JP)
JP2002506887A | 2002-03-05 | |||
JP2005509708A | 2005-04-14 | |||
JPH06296850A | 1994-10-25 | |||
JP2007146107A | 2007-06-14 |
下式(A)で表される化合物および該式(A)で表される化合物と部分加水分解可能な化合物(B)、または、下式(A)で表される化合物と該式(A)で表される化合物と部分加水分解可能な化合物(B)との部分加水分解縮合物、を必須成分とすることを特徴とする表面処理剤。 R F1 O(CF 2 CF 2 O) a CF 2 -(Q) b (-(CH 2 ) d -SiL p R 3-p ) c (A)。 ただし、式中の記号は以下の意味を示す。 R F1 :炭素数1~20のペルフルオロ1価飽和炭化水素基、または、炭素原子-炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された炭素数2~20のペルフルオロ1価飽和炭化水素基でありかつ-OCF 2 O-構造が存在しない基。 a:1~200の整数。 b:0または1。 Q:bが0である場合にはQは存在せず、bが1である場合にはQは2~3価の連結基。 c:Qが存在しないまたはQが2価の連結基である場合のcは1、Qが3価の連結基である場合のcは2。 d:2~6の整数。 L:加水分解性基。 R:水素原子または1価炭化水素基。 p:1~3の整数。 |
式(A)で表される化合物が、下式(a)で表される化合物である請求項1に記載の表面処理剤。 R F1 O(CF 2 CF 2 O) a CF 2 -X (a)。 ただし、式中の記号は以下の意味を示す。 R F1 およびa:前記と同じ意味を示す。 X:下式(X1)~下式(X7)から選ばれるいずれかの基(ただし、L、R、およびpは前記と同じ意味を示す。)。 -C(O)NHCH 2 CH 2 CH 2 SiL p R 3-p (X1) -CH 2 OC(O)NHCH 2 CH 2 CH 2 SiL p R 3-p (X2)、 -CH 2 OCH 2 CH 2 CH 2 SiL p R 3-p (X3)、 -CF 2 OCH 2 CH 2 CH 2 SiL p R 3-p (X4)、 -CH 2 CH 2 SiL p R 3-p (X5)、 -CH 2 CH 2 CH 2 SiL p R 3-p (X6)、 -C(O)N(CH 2 CH 2 CH 2 SiL p R 3-p ) 2 (X7)。 |
Xが、前記式(X1)~前記式(X6)から選ばれるいずれかの基である請求項2に記載の表面処理剤。 |
式(A)で表される化合物の分子量分布(Mw/Mn)が1.05~1.3である請求項1~3のいずれかに記載の表面処理剤。 |
化合物(B)が、前記式(X1)~前記式(X7)で表される基から選ばれる基を2個以上有し、該基以外の構造が、エーテル性酸素原子を含むペルフルオロ炭化水素基であり、かつ-OCF 2 O-構造が存在しない基である構造を有する化合物を必須とする請求項1~4のいずれかに記載の表面処理剤。 |
化合物(B)が、下式(B1)で表される化合物および/または下式(B2)で表される化合物を必須とする請求項1~4のいずれかに記載の表面処理剤。 X 2 -CF 2 O(CF 2 CF 2 O) u CF 2 -X 2 (B1)、 [R F3 O(CF 2 CF 2 O) v -] z Y[-O(CF 2 CF 2 O) w CF 2 -X 3 ] x (B2)。 ただし、式中の記号は以下の意味を示す。 X 2 、X 3 :それぞれ独立に、下式(X1)で表される基~下式(X7)で表される基から選ばれるいずれかの基を示す(ただし、L、R、およびpは前記と同じ意味を示す。)。 -C(O)NHCH 2 CH 2 CH 2 SiL p R 3-p (X1)、 -CH 2 OC(O)NHCH 2 CH 2 CH 2 SiL p R 3-p (X2)、 -CH 2 OCH 2 CH 2 CH 2 SiL p R 3-p (X3)、 -CF 2 OCH 2 CH 2 CH 2 SiL p R 3-p (X4)、 -CH 2 CH 2 SiL p R 3-p (X5)、 -CH 2 CH 2 CH 2 SiL p R 3-p (X6)、 -C(O)N(CH 2 CH 2 CH 2 SiL p R 3-p ) 2 (X7)。 R F3 :炭素数1~20のペルフルオロ1価飽和炭化水素基、または、炭素原子-炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された炭素数2~20のペルフルオロ1価飽和炭化水素基でありかつ-OCF 2 O-構造が存在しない基。 Yは、(x+z)価のペルフルオロ化飽和炭化水素基、または炭素原子-炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された(x+z)価のペルフルオロ化飽和炭化水素基でありかつ-OCF 2 O-構造が存在しない基。 u、v、w:それぞれ独立に、1~200の整数。 x、z:xは2以上の整数であり、zは0以上の整数であり、(x+z)は、3以上の整数であり、zが2以上である場合のR F3 O(CF 2 CF 2 O) v -で表される基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、xが2以上である場合の-O(CF 2 CF 2 O) w CF 2 -X 3 で表される基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。 |
化合物(B)が、フッ素原子を持たず、ケイ素原子に加水分解性基が2つ以上結合した構造を有する化合物を必須とする請求項1~6のいずれかに記載の表面処理剤。 |
化合物(A)の総質量に対する化合物(B)の総質量の割合が、0.1~50質量%である、請求項1~7のいずれかに記載の表面処理剤。 |
有機溶剤を含む請求項1~8のいずれかに記載の表面処理剤。 |
有機溶剤が、非フッ素系の有機溶剤からなる請求項9に記載の表面処理剤。 |
請求項1~10のいずれかに記載の表面処理剤を基材表面に塗布し乾燥させることによる表面処理された基材の製造方法。 |
下式(A)で表される化合物(ただし、化合物中に-OCF 2
O-構造は存在しない。)。 R F1 O(CF 2 CF 2 O) a CF 2 -(Q) b (-(CH 2 ) d -SiL p R 3-p ) c (A)。 ただし、式中の記号は以下の意味を示す。 R F1 :炭素数1~20のペルフルオロ1価飽和炭化水素基、または、炭素原子-炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された炭素数2~20のペルフルオロ1価飽和炭化水素基でありかつ-OCF 2 O-構造が存在しない基。 a:1~200の整数。 b:0または1。 Q:bが0である場合にはQは存在せず、bが1である場合にはQは2~3価の連結基。 c:Qが存在しないまたはQが2価の連結基である場合のcは1、Qが3価の連結基である場合のcは2。 d:2~6の整数。 L:加水分解性基。 R:水素原子または1価炭化水素基。 p:1~3の整数。 |
下式(a)で表される化合物(ただし、化合物中に-OCF 2
O-構造は存在しない)。 R F1 O(CF 2 CF 2 O) a CF 2 -X (a)。 ただし、式中の記号は以下の意味を示す。 R F1 :炭素数1~20のペルフルオロ1価飽和炭化水素基、または、炭素原子-炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された炭素数2~20のペルフルオロ1価飽和炭化水素基でありかつ-OCF 2 O-構造が存在しない基。 a:1~200の整数。 X:下式(X1)、下式(X2)、下式(X6)、および下式(X7)から選ばれるいずれかの基(ただし、Lは加水分解性基を、Rは水素原子または1価炭化水素基を、pは1~3の整数を示す。)。 -C(O)NHCH 2 CH 2 CH 2 SiL p R 3-p (X1)、 -CH 2 OC(O)NHCH 2 CH 2 CH 2 SiL p R 3-p (X2)、 -CH 2 CH 2 CH 2 SiL p R 3-p (X6)、 -C(O)N(CH 2 CH 2 CH 2 SiL p R 3-p ) 2 (X7)。 |
本発明は、表面処理剤および該表面処理 を処理した物品、および表面処理剤として 用な新規な含フッ素エーテル化合物に関す 。
含フッ素化合物は、撥水撥油膜剤等の表面
理剤として利用されている。該化合物をガ
ス等の無機基材または樹脂基材や成形品の
面に塗布して、塗膜を形成することにより
撥水撥油性等を有する物品が得られる。該
合物としては、ペルフルオロアルキル基お
びケイ素原子に加水分解性基が結合した基(
以下、加水分解性基と記す。)を有する化合
が知られている。該化合物としては、たと
ば、下記の化合物(1)が挙げられる(特許文献1
、2参照)。
CF 3
(CF 2
) 7
(CH 2
) 2
Si(NCO) 3
(1)。
化合物(1)を基材の表面に塗布した場合、加
分解性基が基材上の水酸基または水分によ
て加水分解されることによって、シラノー
基となる。
化合物(1)は、シラノール基が部分的に縮合す
ることによって、オリゴマーとなり、基材の
表面に速やかに吸着され、水素結合する。そ
の後、残りのシラノール基が、基材の表面の
水酸基と脱水縮合反応して、強固な化学結合
が形成される。
加水分解性基が基材と結合すると、ペルフ
オロアルキル基が大気側に配列するため、
合物(1)からなる塗膜は、撥水性を発揮する(
特許文献3参照)。
しかし、ペルフルオロアルキル基は、結晶
が高く、剛直であること等から、化合物(1)
らなる塗膜は、油脂汚れの除去性に劣る。
該課題を解決する化合物としては、ペルフ
オロポリエーテル基を有する化合物が知ら
ている。該化合物としては、たとえば、下
の化合物(2)が挙げられる(特許文献4参照)。
だし、sは、1以上の整数を示す。
CF 3
CF 2
CF 2
O-(CF 2
CF 2
CF 2
O) s
-CF 2
CF 2
(CH 2
) 3
Si(OCH 3
) 3
(2)。
ペルフルオロポリエーテル基は、剛直なペ
フルオロアルキル基を運動性の高い酸素原
によって分断した柔軟な構造を有している
め、化合物(2)からなる塗膜は、油脂汚れの
去性に優れ、また、撥水撥油性も有する。
しかし、化合物(2)は、下記の問題を有する
(i)化合物(2)からなる塗膜は、化合物(1)から
る塗膜に比べれば、油脂汚れの除去性に優
るものの、ペルフルオロポリエーテル基に
ける炭素原子に対する酸素原子の割合が少
い、すなわち酸素原子による分断箇所が少
いため、ペルフルオロポリエーテル基の運
性が充分とはいえず、油脂汚れの除去性は
分なレベルに達していない。
(ii)化合物(2)からなる塗膜が充分な撥水撥油
性を発揮するためには、sの数を大きくする
要がある。そのため、化合物(2)は、化合物(1
)に比べてフッ素原子の割合が大きくなり、
フッ素系溶媒に溶けにくくなり、高濃度溶
の調製が難しくなる。さらに、sの数が大き
化合物(2)は、加水分解性基の割合が小さい
め、基板の表面への密着性が低下し、化合
(2)からなる塗膜の耐摩耗性が低下する。
(iii)化合物(2)のペルフルオロポリエーテル
は、2,2,3,3-テトラフルオロオキセタンの開環
重合を経て合成される(非特許文献1のp.443-444
照)。しかし、2,2,3,3-テトラフルオロオキセ
ンの開環重合は、ルイス酸触媒の存在下、F
-
イオンで行っているため、化合物(2)の分子量
の制御が困難である。また、分子量分布が大
になる問題がある。
ペルフルオロポリエーテル基を有する化合
としては、下記化合物(3)~(5)も知られている
。
CF 3
CF 2
CF 2
O-(CF(CF 3
)CF 2
O) t
-CF(CF 3
)(CH 2
) 3
Si(OCH 3
) 3
(3)、
(CH 3
O) 3
Si(CH 2
) 3
CF 2
O-(CF 2
CF 2
O) q
-(CF 2
O) r
-CF 2
(CH 2
) 3
Si(OCH 3
) 3
(4)(ただし、q、r、tは、それぞれ独立に、1
上の整数を示す。)。
(CH 3
) 3
Si(CH 2
) 3
OCH 2
CF 2
(OCF 2
CF 2
) p
(OCF 2
) q
OCF 2
CH 2
O(CH 2
) 3
Si(OCH 3
) 3
(5)(ただし、pおよびqは22である。)。
化合物(3)は、ペルフルオロポリエーテル基
おける酸素原子の間の炭素数が2であるもの
の、側鎖に-CF 3
が存在するため、ペルフルオロポリエーテル
基の運動性が制限され、油脂汚れの除去性は
不充分である。
油脂汚れの除去性は、ペルフルオロポリエ
テル基の運動性によって発現しており、該
動性は、炭素原子-炭素原子間を分断する酸
素原子の存在によってもたらされる。化合物
(3)においては、酸素原子の近傍に-CF 3
が存在し、-CF 3
の立体障害によってペルフルオロポリエーテ
ル基の運動性が制限されている。たとえば、
側鎖に-CF 3
が存在するペルフルオロポリエーテル基を有
する化合物と、側鎖に-CF 3
が存在しないペルフルオロポリエーテル基を
有する化合物とでは、絶対粘度、粘度の温度
依存性が大きく異なる(非特許文献1のp.454-455
照)。
化合物(4)および化合物(5)は、ペルフルオロ リエーテル基における炭素原子に対する酸 原子の割合が大きく、側鎖に-CF 3 が存在せず、高分子量のペルフルオロポリエ ーテル基を工業的に容易に合成できる利点を 有するが、下記の問題を有する。
(i)ペルフルオロポリエーテル基は、テトラ
ルオロエチレンの光酸化重合によって合成
れる。該光酸化合成では、-OCF 2
O-構造の生成が不可避であり、q/rは、ほぼ1.0
ある。-OCF 2
O-構造は、酸触媒の存在下、かつ高温条件下
て極めて容易に分解が進行することが報告
れている(特許文献5、非特許文献1のp.463、46
6-468、非特許文献2、3参照)。よって、化合物(
4)および(5)からなる塗膜は、劣化耐性に劣る
(ii)両末端に加水分解性基を有すため、両末
端が基材に固定される。そのため、ペルフル
オロポリエーテル基の運動性が制限され、し
かもペルフルオロポリエーテル基が基材の表
面の近くに、かつ該表面に沿って存在してい
る。そのため、撥水撥油性、油脂汚れの除去
性が充分に発揮されない。
自動車用ガラス、ディスプレイ(液晶ディス
プレイ、CRTディスプレイ、プロジェクション
ディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELデ
スプレイ等。)等の物品は、様々な条件下で
使用される。よって、該物品の表面にペルフ
ルオロポリエーテル基を有する化合物からな
る塗膜を形成した場合には、撥水撥油性、油
脂汚れの除去性等の付与と、広い温度および
湿度範囲における長期間の該性能の持続が望
まれる。
本発明は、撥水撥油性、油脂汚れの除去 、酸触媒の存在下かつ高温条件下における 化耐性に優れた塗膜を形成できる表面処理 を提供する。また該表面処理剤から形成さ 、撥水撥油性、油脂汚れの除去性に優れ、 触媒の存在かつ高温条件においても、劣化 性に優れた塗膜を有する物品を提供する。 た本発明は表面処理剤として有用な新規な フッ素エーテル化合物を提供する。
本発明は、以下の発明に関する。
[1]下式(A)で表される化合物および該式(A)で表
される化合物と部分加水分解可能な化合物(B)
、または、下式(A)で表される化合物と該式(A)
で表される化合物と部分加水分解可能な化合
物(B)との部分加水分解縮合物、を必須成分と
することを特徴とする表面処理剤。
R F1
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
-(Q) b
(-(CH 2
) d
-SiL p
R 3-p
) c
(A)。
ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
R F1
:炭素数1~20のペルフルオロ1価飽和炭化水素基
、または、炭素原子-炭素原子間にエーテル
酸素原子が挿入された炭素数2~20のペルフル
ロ1価飽和炭化水素基でありかつ-OCF 2
O-構造が存在しない基。
a:1~200の整数。
b:0または1。
Q:bが0である場合にはQは存在せず、bが1であ
る場合にはQは2~3価の連結基。
c:Qが存在しないまたはQが2価の連結基であ
場合のcは1、Qが3価の連結基である場合のcは
2。
d:2~6の整数。
L:加水分解性基。
R:水素原子または1価炭化水素基。
p:1~3の整数。
[2]式(A)で表される化合物が、下式(a)で表さ
る化合物である[1]に記載の表面処理剤。
R F1
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
-X (a)。
ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
R F1
およびa:前記と同じ意味を示す。
X:下式(X1)~下式(X7)から選ばれるいずれかの
(ただし、L、R、およびpは前記と同じ意味を
す。)。
-C(O)NHCH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(X1)、
-CH 2
OC(O)NHCH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(X2)、
-CH 2
OCH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(X3)、
-CF 2
OCH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(X4)、
-CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(X5)、
-CH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(X6)、
-C(O)N(CH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
) 2
(X7)。
[3]Xが、前記式(X1)~前記式(X6)から選ばれるい
れかの基である[2]に記載の表面処理剤。
[4]式(A)で表される化合物の分子量分布(Mw/Mn)
1.05~1.3である[1]~[3]のいずれかに記載の表面
理剤。
[5]化合物(B)が、前記式(X1)~前記式(X7)で表され
る基から選ばれる基を2個以上有し、該基以
の構造が、エーテル性酸素原子を含むペル
ルオロ炭化水素基であり、かつ-OCF 2
O-構造が存在しない基である構造を有する化
物を必須とする[1]~[4]のいずれかに記載の表
面処理剤。
[6]化合物(B)が、下式(B1)で表される化合物お
び/または下式(B2)で表される化合物を必須と
する[1]~[4]のいずれかに記載の表面処理剤。
X 2
-CF 2
O(CF 2
CF 2
O) u
CF 2
-X 2
(B1)、
[R F3
O(CF 2
CF 2
O) v
-] z
Y[-O(CF 2
CF 2
O) w
CF 2
-X 3
] x
(B2)。
ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
X 2
、X 3
:それぞれ独立に、下式(X1)で表される基~下式
(X7)で表される基から選ばれるいずれかの基
示す(ただし、L、R、およびpは前記と同じ意
を示す。)。
-C(O)NHCH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(X1)、
-CH 2
OC(O)NHCH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(X2 )、
-CH 2
OCH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(X3)、
-CF 2
OCH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(X4)、
-CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(X5)、
-CH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(X6)、
-C(O)N(CH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
) 2
(X7)。
R F3
:炭素数1~20のペルフルオロ1価飽和炭化水素基
、または、炭素原子-炭素原子間にエーテル
酸素原子が挿入された炭素数2~20のペルフル
ロ1価飽和炭化水素基でありかつ-OCF 2
O-構造が存在しない基。
Yは、(x+z)価のペルフルオロ化飽和炭化水素
、または炭素原子-炭素原子間にエーテル性
酸素原子が挿入された(x+z)価のペルフルオロ
飽和炭化水素基でありかつ-OCF 2
O-構造が存在しない基。
u、v、w:それぞれ独立に、1~200の整数。
x、z:xは2以上の整数であり、zは0以上の整数
であり、(x+z)は、3以上の整数であり、zが2以
である場合のR F3
O(CF 2
CF 2
O) v
-で表される基は、それぞれ同一であっても
なっていてもよく、xが2以上である場合の-O(
CF 2
CF 2
O) w
CF 2
-X 3
で表される基は、それぞれ同一であっても異
なっていてもよい。
[7]化合物(B)が、フッ素原子を持たず、ケイ素
原子に加水分解性基が2つ以上結合した構造
有する化合物を必須とする[1]~[6]のいずれか
記載の表面処理剤。
[8]化合物(A)の総質量に対する化合物(B)の総質
量の割合が、0.1~50質量%である、[1]~[7]のいず
かに記載の表面処理剤。
[9]有機溶剤を含む[1]~[8]のいずれかに記載の
面処理剤。
[10]有機溶剤が、非フッ素系の有機溶剤から
る[9]に記載の表面処理剤。
[11][1]~[10]のいずれかに記載の表面処理剤を基
材表面に塗布し乾燥させることによる表面処
理された基材の製造方法。
[12]下式(A)で表される化合物(ただし、化合物
に-OCF 2
O-構造は存在しない)。
R F1
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
-(Q) b
(-(CH 2
) d
-SiL p
R 3-p
) c
(A)。
ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
R F1
:炭素数1~20のペルフルオロ1価飽和炭化水素基
、または、炭素原子-炭素原子間にエーテル
酸素原子が挿入された炭素数2~20のペルフル
ロ1価飽和炭化水素基でありかつ-OCF 2
O-構造が存在しない基。
a:1~200の整数。
b:0または1。
Q:bが0である場合にはQは存在せず、bが1であ
る場合にはQは2~3価の連結基。
c:Qが存在しないまたはQが2価の連結基であ
場合のcは1、Qが3価の連結基である場合のcは
2。
d:2~6の整数。
L:加水分解性基。
R:水素原子または1価炭化水素基。
p:1~3の整数。
[13]下式(a)で表される化合物(ただし、化合物
に-OCF 2
O-構造は存在しない)。
R F1
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
-X (a)。
ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
R F1
:炭素数1~20のペルフルオロ1価飽和炭化水素基
、または、炭素原子-炭素原子間にエーテル
酸素原子が挿入された炭素数2~20のペルフル
ロ1価飽和炭化水素基でありかつ-OCF 2
O-構造が存在しない基。
a:1~200の整数。
X:下式(X1)、下式(X2)、下式(X6)、および下式(X
7)から選ばれるいずれかの基(ただし、Lは加
分解性基を、Rは水素原子または1価炭化水素
基を、pは1~3の整数を示す。)。
-C(O)NHCH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(X1)、
-CH 2
OC(O)NHCH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(X2)、
-CH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(X6)、
-C(O)N(CH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
) 2
(X7)。
本発明の表面処理剤によれば、撥水撥油性
油脂汚れの除去性に優れ、酸触媒の存在か
高温条件下において劣化耐性に優れた塗膜
形成できる。
本発明の物品の製造方法により得られる物
は、撥水撥油性、油脂汚れの除去性、酸触
の存在かつ高温条件下における劣化耐性に
れた塗膜を有する。
本発明は該表面処理剤として有用な新規な
フッ素エーテル化合物を提供できる。
本明細書においては、式(A)で表わされる化
物を化合物(A)と記す。他の式で表される化
物も同様に記す。また、本明細書において
、式(X)で表わされる基を基(X)と記す。他の
で表される基も同様に記す。
本明細書においてペルフルオロ1価飽和炭化
水素基とは、1価飽和炭化水素基の炭素原子
結合した水素原子の全てがフッ素原子に置
した基をいう。1価飽和炭化水素基とは、炭
原子と水素原子からなる基であり、炭素原
-炭素不飽和結合を持たない基をいう。ペル
フルオロ1価飽和炭化水素基としては、直鎖
造であってもよく、分岐構造であってもよ
、環状構造であってもよく、分岐構造およ
環状構造を部分的に有する構造であっても
いが、本発明においては直鎖構造であるの
好ましい。ペルフルオロ1価飽和炭化水素基
炭素数は1~20が好ましく、1~16がより好まし
。
ペルフルオロ1価飽和炭化水素基の具体例と
しては、下記の基が挙げられ、CF 3
(CF 2
) m
-が好ましい。
CF 3
(CF 2
) m
-、
C y F
-(CF 2
) n
-、
A d F
-(CF 2
) n
-。
ただしmは、0~19の整数を示し、0~15の整数が
ましく、0~6の整数が特に好ましい。C y F
は、ペルフルオロシクロヘキシル基を示す。
A d F
は、ペルフルオロアダマンタンチル基を示す
。nは、0~15の整数を示す。
炭素原子-炭素原子間にエーテル性酸素原子
が挿入されたペルフルオロ1価飽和炭化水素
とは、前記のペルフルオロ1価飽和炭化水素
の炭素原子-炭素原子間にエーテル性酸素原
子が挿入された基をいう。エーテル性酸素原
子が挿入されたペルフルオロ1価飽和炭化水
基が-OCF 2
O-構造を有さないとは、通常の分析手法( 19
F-NMR等。)では該構造の存在が検出できない構
造であることを意味する。炭素原子-炭素原
間にエーテル性酸素原子を有する場合、挿
される酸素原子の数は、1~7が好ましく、1~4
より好ましい。酸素原子が挿入される位置
、炭素原子-炭素原子の単結合間であり、酸
原子の間に存在する炭素数は、2以上である
。
<化合物(A)>
本発明における化合物(A)は下式で表される
合物である。
R F1
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
-(Q) b
(-(CH 2
) d
-SiL p
R 3-p
) c
(A)。
aは-(CF 2
CF 2
O)-単位の数を示し、1~200の整数であり、2~100
好ましく、3~50がより好ましく、5~25がとりわ
け好ましい。
bは0または1である。
Qはbが0である場合には存在しない。つまりb
が0である場合には、CF 2
に-(CH 2
) d
-が直接結合する。bが1である場合には、Qは2
の連結基、または3価の連結基である。連結
基とは、該基を介して原子または原子団を結
びつける基である。Qは炭素原子を1以上有す
有機連結基が好ましい。
cはQが存在しないまたはQが2価の連結基であ
る場合は1であり、Qが3価の連結基である場合
は1である。cは、bが1である場合は、1または2
である。
bが0であり、cが1である化合物(A)は下記化合
物(A-1)である。bが1で、cが1であり、Qが2価の
結基である化合物(A)は下記化合物(A-2)であ
(ただし、Q 1
は2価の連結基を示す。)。bが1で、cが2であり
、Qが3価の連結基である化合物(A)は下記化合
(A-3)である(ただし、Q 2
は3価の連結基を示す。)。
R F1
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
-(CH 2
) d
-SiL p
R 3-p
(A-1)。
R F1
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
-Q 1
-(CH 2
) d
-SiL p
R 3-p
(A-2)。
R F1
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
-Q 2
(-(CH 2
) d
-SiL p
R 3-p
) 2
(A-3)。
化合物(A)におけるdは、3~6が好ましく、特に
3が好ましい。dの数が少なすぎると化合物の
解温度が低下する傾向があり、dの数が多く
なると耐候性が低下する傾向がある。
R F1
は、炭素数1~20のペルフルオロアルキル基が
ましく、炭素数1~16の基がより好ましく、炭
数1~4の基がとりわけ好ましい。さらにR F1
は直鎖の基であるのが好ましい。
R F1
としては、CF 3
(CF 2
) m
-が好ましく、CF 3
-、CF 3
CF 2
-、CF 3
(CF 2
) 2
-、またはCF 3
(CF 2
) 5
-がより好ましい。R F1
は撥水撥油性の点からは、CF 3
(CF 2
) 5
-が好ましく、該化合物の製造工程の一つで
る液相直接フッ素化における収率の点から
、CF 3
-、CF 3
CF 2
-が好ましい。
本発明の化合物(A)は、-OCF 2
O-構造が存在しない化合物であることが好ま
い。よって、R F1
が、エーテル性酸素原子を有する基である場
合には、R F1
の結合末端部分の構造が-OCF 2
-にならないように、設計するのが好ましい
Qは、2価の連結基、または3価の連結基であ
。Qは、-(CH 2
) d
-に連結する末端に、窒素原子、または、エ
テル性酸素原子を有する基が好ましい。2価
連結基であるQ 1
としては、-CONH-、-CH 2
OCONH-、-CH 2
O-、-CF 2
O-が好ましい。3価の連結基であるQ 2
は-C(O)N=(ただし、Nからのびる=は二重結合で
なく、2つの単結合であることを意味する。)
が好ましい。
Lは、加水分解性基を示す。Lは、加水分解
応により水酸基となる基である。すなわち
化合物の末端は加水分解反応によりSi-OH基(
ラノール基)となり、さらに分子間で反応し
Si-O-Si結合を形成する。
Lとしては、モノオールから水酸基の水素原
子を除いた有機基、ハロゲン原子、アシル基
、イソシアネート基、アミン化合物からアミ
ノ基の水素原子を除いた有機基等が挙げられ
る。Lとしては、工業的な製造が容易な点か
、炭素数が1~4のアルコキシ基、ハロゲン原
、またはイソシアネート基が好ましく、塗
時のアウトガスの問題および保存安定性の
から、炭素数が1~4のアルコキシ基またはイ
シアネート基がより好ましく、炭素数が1~4
アルコキシ基がさらに好ましく、長期の保
安定性が必要な場合はエトキシ基が特に好
しく、塗布時のエージング時間を短時間と
る場合はメトキシ基が特に好ましい。
Rは、水素原子または1価炭化水素基であ 。1価炭化水素基としては、アルキル基、シ ロアルキル基、アルケニル基、またはアリ ル基が挙げられ、合成の容易さの点から、 ルキル基が好ましい。
pは、1~3の整数を示す。pとしては、2また 3が好ましく、3が特に好ましい。分子中にL 複数存在することにより、化合物(A)は基材 表面と強固に結合できる。
本発明の化合物(A)は、-SiL p R 3-p (以下、加水分解性シリル基と記す。)が、R F1 O(CF 2 CF 2 O) a CF 2 -に直接結合することなく、-(CH 2 ) d -で表される基、または、-Q-(CH 2 ) d -で表される基と隔てられて連結する構造を する。該構造を有することにより化合物(A) 分解温度が高くなり耐熱性が向上する利点 ある。特に加水分解性シリル基のケイ素原 に-(CH 2 ) d -で表される2価炭化水素基が結合する構造を 須とすることにより、化合物の耐候性を向 させることができ、特にdが3~6、とりわけ3 ある場合に、耐候性が向上する利点がある
加水分解性シリル基としては、下記の基が
げられる。
-Si(OCH 3
) 3
、
-Si(OCH 2
CH 3
) 3
、
-Si(NCO) 3
、
-SiCl 3
、
-Si(NH 2
) g
Cl 3-g
。
ただし、gは、1~3の整数を示す。
化合物(A)は、1種の化合物であってもよく、 2種以上の化合物の混合物であってもよい。 混合物としては、R F1 またはaが異なる2種以上の化合物を含む混合 が挙げられる。該混合物におけるaの平均値 は、5~20が好ましい。
化合物(A)の分子量は、600~2500が好ましく、80
0~1500がより好ましい。
化合物(A)が2種以上の化合物の混合物である
場合、化合物(A)の数平均分子量は、600~2500が
ましく、800~1500がより好ましい。化合物(A)
2種以上の化合物の混合物である場合、化合
(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、1.05~1.3が好ましく
1.05~1.15がより好ましい。
化合物(A)の分子量および分子量分布が該範
にあれば、化合物(A)の粘度が低く、蒸発成
が少なく、溶媒に溶解した際の均一性に優
る。化合物(A)の数平均分子量および分子量
布は、ゲルパーミエーションクロマトグラ
ィにより測定でき、測定条件は、後述する
施例中に記載した条件とする。
本発明における化合物(A)は、-(Q) b
(-(CH 2
) d
-SiL p
R 3-p
) c
部分の構造が基(X 1
)で表される下記化合物(a)であるのが好まし
。
R F1
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
-X 1
(a)。
X 1
は、基(X1)~基(X7)から選択されるいずれかの基
を示す。
-C(O)NHCH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(X1)、
-CH 2
OC(O)NHCH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(X2)、
-CH 2
OCH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(X3)、
-CF 2
OCH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(X4)、
-CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(X5)、
-CH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(X6)、
-C(O)N(CH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
) 2
(X7)。
X 1
としては、基(X1)、基(X2)、基(X6)、または基(X7
)が好ましく、基(X1)、基(X2)、または基(X7)が
に好ましい。
X 1
が基(X1)である場合には、製造効率がよく化
物(a)の耐アルカリ性、耐酸性に優れる点で
ましい。X 1
が基(X2)である場合には、生産性に優れる点
好ましい。X 1
が基(X6)である場合には、化学的安定性に優
る点で好ましい。X 1
が基(X7)である場合には、基材への付着性に
れる点で好ましい。さらに、化合物(a)にお
る好ましい態様は、化合物(A)における態様(
だし、基(X 1
)を除く)と共通である。
化合物(a)としては、それぞれ下記化合物(A1)
~(A7)が好ましい。これらの化合物の製造方法
後述する。
R F1
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
C(O)NHCH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(A1)
R F1
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
CH 2
OC(O)NHCH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(A2)
R F1
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
CH 2
OCH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(A3)
R F1
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
CF 2
OCH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(A4)
R F1
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(A5)
R F1
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
CH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(A6)
R F1
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
C(O)N(CH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
) 2
(A7)
さらに、化合物(A1)~(A7)は、-SiL p
R 3-p
部分が-SiL 3
である化合物が好ましく、Lが炭素数1~4のア
コキシ基である化合物が特に好ましく、Lが
トキシ基またはエトキシ基である化合物が
りわけ好ましい。
化合物(a)の具体例としては、下記の化合物
および末端の-Si(OCH 3
) 3
基を-Si(OCH 2
CH 3
) 3
にした化合物が挙げられる。
CF 3
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
-C(O)NHCH 2
CH 2
CH 2
Si(OCH 3
) 3
、
CF 3
CF 2
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
-C(O)NHCH 2
CH 2
CH 2
Si(OCH 3
) 3
、
CF 3
CF 2
CF 2
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
-C(O)NHCH 2
CH 2
CH 2
Si(OCH 3
) 3
、
CF 3
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
-CH 2
OC(O)NHCH 2
CH 2
CH 2
Si(OCH 3
) 3
、
CF 3
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
-CH 2
OCH 2
CH 2
CH 2
Si(OCH 3
) 3
、
CF 3
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
-CF 2
OCH 2
CH 2
CH 2
Si(OCH 3
) 3
、
CF 3
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
-CH 2
CH 2
Si(OCH 3
) 3
、
CF 3
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
-CH 2
CH 2
CH 2
Si(OCH 3
) 3
、
CF 3
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
-C(O)N(CH 2
CH 2
CH 2
Si(CH 3
) 3
) 2
。
化合物(a)は、R F1 O(CF 2 CF 2 O) a CF 2 -に対応する炭素骨格を有するポリエチレン リコールモノアルキルエーテル等から、国 公開第02/004397号パンフレット等に記載の方 と同様の方法によって製造できる。
原料となるポリエチレングリコールは、種 の構造、分子量のものが市販されており、 価にかつ容易に入手できる。また、R F1 OHに相当する炭化水素骨格を有するアルコー にエチレンオキシドを開環重合させること よって容易に合成できる。同じ開環重合で っても、ポリエチレングリコールは、前述 化合物(2)とは異なり、分子量の制御が容易 ある。
本発明における化合物(A)は、下記製造方法 より製造できる。ただし、式中のR 1 は、R F1 と同一の基、またはR F1 のフッ素原子の一部または全部が水素原子に 置換された基を示し、アルキル基、または、 炭素原子-炭素原子間にエーテル性酸素原子 挿入されたアルキル基が好ましい。R b は、1価のペルフルオロ有機基を示し、ペル ルオロアルキル基、または、炭素原子-炭素 子間にエーテル性酸素原子が挿入されたペ フルオロアルキル基が好ましい。R c は、アルキル基を示す。他の記号の意味は、 化合物(A)における意味と同じ意味を示し、好 ましい態様も同じである。
(化合物(A1)の製造方法)
化合物(A1)は、下記工程(a)~(e)により製造で
る。
(a)工程:化合物(D1)と化合物(D2)とを反応させて
化合物(D3)を得る工程。
化合物(D1)としては、aの数が異なる2種以上
混合物が入手しやすい。化合物(D1)が混合物
の場合、(a)工程以降に得られる化合物も、-(C
H 2
CH 2
O)-単位の数が異なる2種以上の混合物となる
(b)工程:化合物(D3)をペルフルオロ化して下記 合物(D4)を得る工程。ペルフルオロ化として は、液相中にF 2 を導入して反応させる液相フッ素化等が挙げ られる。
(c)工程:化合物(D4)におけるエステル結合の 解反応を行って化合物(D5)を得る工程。
(d)工程:化合物(D5)と化合物(D6)とをエステル化
反応させて化合物(D7)を得る工程。
エステル化反応は、公知の方法(たとえば、
米国特許第3810874号明細書に記載の方法。)に
たがって実施できる。
なお、化合物(D7)は、化合物(D4)とR c
OHとをエステル交換反応させることによって
得られる。
(e)工程:化合物(D7)と化合物(D8)とを反応させ、
副生するR c
OHを系外に除去することで化合物(A1)を得る工
程。
R c
OHは、極性溶媒であるため、完全なる除去は
しい場合がある。しかし、R c
OHの少量残留は、化合物(A1)の長期保存時に、
加水分解性シリル基の縮合反応の進行を化学
平衡をずらすことができるため、化合物(A1)
安定性が向上する利点がある。
(化合物(A7)の製造方法)
化合物(A7)は、工程(e)において、化合物(D8)
下記化合物(D8-1)に変更する工程(e―1)を行う
とにより製造できる。
(e―1)工程;化合物(D7)に化合物(D8-1)とを反応
せ、副生するR c
OHを系外に除去することで化合物(A7)を得る工
程。
該工程(e―1)に用いる化合物(D8-1)は、化合物
(D8)に比して反応性が低いため、副生物を減
留去する等を行い、反応の促進を行うのが
ましい。
R F1
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
COOR C
(D7)
+HN(CH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
) 2
(D8-1)
→R F1
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
C(O)N(CH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
) 2
(A7)
(化合物(A2)の製造方法)
化合物(A2)は、前記(d)工程で得た化合物(D7)
用いて、下記工程(f)~(g)を行う方法により製
する方法(製造方法(その1))、または前記(c)
程で得た化合物(D5)を用いて、加水分解、還
して化合物(D9)を得て、つぎに(g)工程を行う
方法(製造方法(その2))により製造するのが好
しい。
(化合物(A2)の製造方法(その1))
(f)工程:化合物(D7)の還元およびエステル結合
分解反応を行って化合物(D9)を得る工程。
還元は、特開平10-72568号公報の段落[0021]等
記載の方法にしたがって実施できる。該還
は、NaBH 4
、ボラン-THF、リチウムアルミニウムヒドリ
等の還元剤を用いて実施することが好まし
、工業的には適度な反応性を有するNaBH 4
がより好ましい。
(g)工程:化合物(D9)に、触媒とともに化合物( D11)を滴下することで、短時間で化合物(A2)を る工程。該工程においては、副生物を生じ い。
(化合物(A2)の製造方法(その2))
化合物(D5)を加水分解して下記化合物(D10)を
て、ついで化合物(D10)を還元することによ
て化合物(D9)を得て、つぎに前記(g)工程を行
方法。
加水分解は、公知の方法(たとえば、米国特
許第3810874号明細書に記載の方法。)にしたが
て実施できる。還元は、特開平10-72568号公
の段落[0021]等に記載の方法にしたがって実
できる。
R F1
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
COF (D5)
→ R F1
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
COOH (D10)
→ R F1
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
CH 2
OH (D9)
→ 化合物(A2)
(化合物(A3)の製造方法)
化合物(A3)は、化合物(D9)に(h)工程を行うこ
により製造できる。
(h)工程:前記の方法で得た化合物(D9)に、触媒(
水素化ナトリウム、t-ブトキシカリウム等。)
とともに化合物(D12)を滴下することで、化合
(A3)を得る工程。
(化合物(A4)の製造方法)
化合物(A4)は化合物(D5)に(i)~(j)工程を行うこ
により製造できる。
(i)工程:前記の方法で得た化合物(D5)をKF等と
もに加熱し、アリルブロマイドと反応させ
不飽和基を有する化合物(D13)を得る工程。
(j)工程:化合物(D13)に化合物(D14)をハイドロ リレーション反応させることによって化合 (A4)を得る工程。
(化合物(A5)の製造方法)
化合物(A5)は、化合物(D5)に、(k)~(m)工程を行
ことにより製造できる。
(k)工程:前記の方法で得た化合物(D5)に、I 2
またはLiIを反応させることにより、-COFを-Iに
変換して化合物(D15)を得る工程。
(l)工程:前記の方法で得た化合物(D15)にエチ レンガスを吹き込み、加熱することで、あら かじめ調合しておいたラジカル発生剤を分解 し、系内にラジカルを生成させ、テロメリゼ ーション反応を進行させて化合物(D16)を得る 程。
(m)工程:化合物(D16)から脱HIすることで不飽 基を有する化合物(D17)を得る工程。
(n)工程:化合物(D17)に化合物(D14)をハイドロ リレーション反応させることによって化合 (A5)を得る工程。
(化合物(A6)の製造方法(その1))
(o)工程:
前記の方法で得た化合物(D15)にアリルアセ
ートを加え、加熱することで、あらかじめ
合しておいたラジカル発生剤を分解し、系
にラジカルを生成させ、テロメリゼーショ
反応を進行させて化合物(D18)を得る工程。
(p)工程:化合物(D18)から脱HIすることで不飽 基を有する化合物(D19)を得る工程。
(q)工程:化合物(D19)に化合物(D14)をハイドロ リレーション反応させることによって化合 (A6)を得る工程。
化合物(A5)および化合物(A6)の製造におい は、充分な精製を実施して、ヨウ素を含む 合物を除去することが好ましい。ヨウ素が 留する状態で化合物(A5)または化合物(A6)を電 子機器用途に用いた場合、長期の間にヨウ素 がイオンとしてマイグレーションを起こし、 金、銅配線を断線させる場合がある。
(化合物(A6)の製造方法(その2))
発熱を伴うハイドロシリレーション反応を
いることのない製造方法であり、高い収率
化合物(A6)が得られる方法としてつぎの方法
も採用できる。
化合物(D9)とCF 3
CF 2
CF 2
CF 2
SO 2
Clを反応させて化合物(D9-2)を得て、つぎにLiI
アセトンなどの極性溶媒中で反応させて化
物(D9-3)を得る。さらに、式CH 2
=CHSi(OCH 3
) 3
で表される化合物等の二重結合と加水分解性
シリル基を有する化合物を反応させて下記化
合物(D9-4)を得て、つぎに亜鉛によって脱ヨウ
素を行うことにより、下記化合物(D9-5)を得る
方法が挙げられる。該方法によれば高い収率
で目的とする化合物(D9-5)が得られる。
R F1
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
CH 2
OSO 2
CF 2
CF 2
CF 2
CF 3
(D9-2)
R F1
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
CH 2
I (D9-3)
R F1
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
CH 2
CH 2
CH(Si(OCH 3
) 3
)-I (D9-4)
R F1
O(CF 2
CF 2
O) a
CF 2
CH 2
(CH 2
CH(Si(OCH 3
) 3
)-H (D9-5)
本発明における化合物(A)は、それ自体が表
処理剤(潤滑剤、防汚剤、撥水撥油剤、指紋
除去性能付与剤、易洗浄性付与剤、離形剤、
表面改質剤等。)等として用いうる有用な化
物である。
すなわち、-(OCF 2
O)-構造を持たない化合物(A)は、酸触媒の存在
下、かつ高温条件下におかれたとしても、劣
化耐性に優れた塗膜を形成できる。また、ペ
ルフルオロポリエーテル基を有するため、撥
水撥油性に優れた塗膜を形成できる。さらに
、ペルフルオロポリエーテル基における酸素
原子の間の炭素数が2であり、かつ側鎖に-CF 3
が存在しない場合には、ペルフルオロポリエ
ーテル基の運動性が高く、油脂汚れの除去性
に優れた塗膜を形成できる。
また化合物(A)は、-(CF 2 CF 2 O)-単位の数が小であっても、撥水撥油性に優 れた塗膜を形成できる。そのため、-(CF 2 CF 2 O)-単位の数を少なくした場合には、非フッ素 系溶媒に溶けやすくなり、高濃度溶液の調製 が容易となる。さらに、基板の表面への密着 性が向上し、化合物(A)からなる塗膜の耐摩耗 性が向上する。また、-(CF 2 CF 2 O)-単位を有する化合物(A)は、従来の化合物に 比べ、製造が容易であり、かつ分子量の制御 が容易である。本発明は表面処理剤として有 用な新規な化合物(A)も提供する。
<化合物(B)>
本発明においては、化合物(A)と他の化合物(
B)とを含む組成物とし、該組成物を表面処理
等として用いる。
本発明の表面処理剤は、化合物(A)と化合物(
A)と部分加水分解可能な化合物(B)を必須成分
する。また、本発明の表面処理剤は、化合
(A)と化合物(A)と部分加水分解可能な化合物(
B)との部分加水分解縮合物を必須成分とする
化合物(B)は、化合物(A)とは異なる化合物か
なる。化合物(B)は、含フッ素化合物であっ
も、非フッ素系の化合物のいずれであって
よく、1種のみであっても2種以上であって
よい。化合物(B)を1種用いる場合には、含フ
素化合物からなるのが好ましく、2種以上用
いる場合には、含フッ素化合物を必須とする
のが好ましい。化合物(B)が、非フッ素系の化
合物である場合には、非フッ素系の加水分解
性シラン化合物、非フッ素系のポリシラザン
等が好ましく、非フッ素系の加水分解性シラ
ン化合物が特に好ましい。
化合物(B)を用いることにより、表面処理剤
ら得られる塗膜と基材との密着性を向上さ
うる。
化合物(B)は、化合物(A)と部分加水分解可能
化合物であり、加水分解性の基を有する化
物である。化合物(B)中の加水分解性の基の
は1個以上であり、2~4個が好ましい。
また加水分解性の基としては、加水分解性
リル基が好ましく、前記の式-SiL p
R 3-p
で表わされる基(ただし、式中のL、Rおよびp
、前記と同じ意味を示す)と同様の基が特に
ましい。
化合物(B)が式-SiL p
R 3-p
で表わされる基を有する化合物である場合、
該基の構造は化合物(B)とともに用いる化合物
(A)と同一であっても異なっていてもよい。化
合物(B)中の式-SiL p
R 3-p
で表わされる基は、化合物(A)とLおよびRが同
であり、かつ、pが同一または異なる基であ
るのが好ましい。
さらに、化合物(B)は、前記の式(X1)~式(X7)で
される基を有する化合物が好ましく、該基
外の構造が化合物(A)とは異なる構造である
合物であるのが好ましい。さらに化合物(B)
、前記の式(X1)~式(X7)で表される基と、化合
(A)とは異なるエーテル性酸素原子を含むペ
フルオロ化された基とからなる構造の化合
であるのが好ましい。
(含フッ素の加水分解性シラン(B))
化合物(B)としては、化学的安定性に優れる
から、フッ素原子と式-SiL p
R 3-p
で表わされる加水分解性シリル基を2つ以上
する含フッ素の加水分解性シラン化合物が
ましく、式-SiL p
R 3-p
で表わされる加水分解性シリル基を2つ以上
、-(CF 2
CF 2
O)-単位を有し、-OCF 2
O-構造を有さない含フッ素の加水分解性シラ
が特に好ましい。
含フッ素の加水分解性シラン(B)としては、
(X1)~式(X7)で表される基から選ばれる基を2個
以上有し、該基以外の構造が、エーテル性酸
素原子を含むペルフルオロ炭化水素基であり
、かつ-OCF 2
O-構造が存在しない基である構造を有する化
物であるのが好ましい。
含フッ素の加水分解性シラン(B)として好ま
い化合物は、下記化合物(B1)または下記化合
物(B2)である。
X 2
-CF 2
O(CF 2
CF 2
O) u
CF 2
-X 2
(B1)
[R F3
O(CF 2
CF 2
O) v
-] z
Y[-O(CF 2
CF 2
O) w
CF 2
-X 3
] x
(B2)
X 2 は、基(X1)~基(X7)から選択されるいずれかの基 を示す。X 2 の好ましい態様は、X 1 で説明した基と同様である。uは、-(CF 2 CF 2 O)-単位の数を示し、1~200の整数であり、2~100 好ましく、3~50がより好ましく、5~25がとりわ け好ましい。
R F3
は、炭素数1~20のペルフルオロアルキル基、
たは、炭素原子-炭素原子間にエーテル性酸
原子が挿入されたペルフルオロアルキル基(
ただし、-OCF 2
O-構造を有さない。)を示す。R F3
の好ましい態様は、R F1
で説明したものと同様である。
X 3
は、基(X1)~基(X7)から選択されるいずれかの基
を示す。X 3
の好ましい態様は、X 1
で説明したものと同様である。
u、v、wはそれぞれ独立に、-(CF 2
CF 2
O)-単位の数を示し、3~200の整数であり、3~100
整数が好ましく、3~70の整数がより好ましく
5~50の整数が特に好ましい。
(化合物(B1))
化合物(B1)としては、下記化合物(B1-1)~化合
(B1-7)が好ましい。
R 3-p
L p
SiCH 2
CH 2
CH 2
NHC(O)-CF 2
O(CF 2
CF 2
O) u
CF 2
-C(O)NHCH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(B1-1)、
R 3-p
L p
SiCH 2
CH 2
CHNHC(O)OCH 2
-CF 2
O(CF 2
CF 2
O) u
CF 2
-CH 2
OC(O)NHCH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(B1-2)、
R 3-p
L p
SiCH 2
CH 2
CH 2
OCH 2
-CF 2
O(CF 2
CF 2
O) u
CF 2
-CH 2
OCH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(B1-3)、
R 3-p
L p
SiCH 2
CH 2
CH 2
OCF 2
-CF 2
O(CF 2
CF 2
O) u
CF 2
-CF 2
OCH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(B1-4)、
R 3-p
L p
SiCH 2
CH 2
-CF 2
O(CF 2
CF 2
O) u
CF 2
-CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(B1-5)、
R 3-p
L p
SiCH 2
CH 2
CH 2
-CF 2
O(CF 2
CF 2
O) u
CF 2
-CH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
(B1-6)、
(R 3-p
L p
SiCH 2
CH 2
CH 2
) 2
NC(O)-CF 2
O(CF 2
CF 2
O) u
CF 2
-C(O)N(CH 2
CH 2
CH 2
SiL p
R 3-p
) 2
(B1-7)。
さらに、化合物(B1-1)~(B1-7)は、-SiL p
R 3-p
部分が-SiL 3
である化合物が好ましく、Lが炭素数1~4のア
コキシ基である化合物が特に好ましく、Lが
トキシ基またはエトキシ基である化合物が
りわけ好ましい。
化合物(B1)は、国際公開第2004/035656号パンフ
ット等に記載の方法にならって、下記の化
物を製造し、該化合物を中間体として、前
化合物(A)の製造方法と同様の方法によって
ることができる。
FC(O)CF 2
O(CF 2
CF 2
O) u
CF 2
COF、
CH 3
C(O)OCF 2
O(CF 2
CF 2
O) u
CF 2
COOCH 3
、
HOCH 2
CF 2
O(CF 2
CF 2
O) u
CF 2
CH 2
OH、
ICF 2
O(CF 2
CF 2
O) u
CF 2
I等。
(化合物(B2))
化合物(B2)は、Yにx個の1価の基(-O(CF 2
CF 2
O) w
CF 2
-X 3
)およびz個の1価の基(R F3
O(CF 2
CF 2
O) v
-)が結合した化合物であり、Yは(x+z)価の基で
る。(x+z)は3以上の整数であり、3~20の整数が
好ましく、3~10の整数がより好ましく、合成
容易さの点から、3または4が特に好ましい。
xは、2以上の整数であり、3~20の整数が好ま
く、3~10の整数がより好ましく、3または4が
に好ましい。
zは、0以上の整数であり、0~17の整数が好ま
く、0~7の整数がより好ましく、0(すなわち
(R F3
O(CF 2
CF 2
O) v
-)は存在しない。)または1が特に好ましい。
xが2以上である場合の基(-O(CF 2
CF 2
O) w
CF 2
-X 3
)は、それぞれ同一であっても異なっていて
よく、zが2以上である場合の基(R F3
O(CF 2
CF 2
O) v
-)は、それぞれ同一であっても異なっていて
よい。
Yは、(x+z)価のペルフルオロ化飽和炭化水素
、または、炭素原子-炭素原子間にエーテル
性酸素原子が挿入されたペルフルオロ化飽和
炭化水素基(ただし、-OCF 2
O-構造を有さない。)を示す。
Yの炭素数は、1~50が好ましく、1~20がより好
しく、3~5が特に好ましい。Yがエーテル性酸
素原子を有する場合、該エーテル性酸素原子
の数は、1以上であり、1~3が好ましい。該エ
テル性酸素原子は、炭素原子-炭素原子間に
在することから、Yの末端部分にはエーテル
性酸素原子は存在しない。また、Yのエーテ
性酸素原子は、Yの末端の炭素原子には結合
ない。
Yとしては、エーテル性酸素原子を有さない
(x+z)価のペルフルオロ化飽和炭化水素基が好
しく、3価または4価の該基が好ましい。
3価のYとしては、ペルフルオロアルカン-ト
イル基が好ましい。該基の炭素数は1~20が好
ましく、3~5が特に好ましい。4価のYとしては
ペルフルオロアルカン-テトライル基が好ま
しい。該基の炭素数は1~20が好ましく、3~5が
に好ましい。
さらに、化合物(B2)は、zが0でありYが3価の
である場合の化合物(B2-1)、zが1でありYが3価
基である場合の化合物(B2-2)、zが0でありYが4
価の基である場合の化合物(B2-3)、zが1でありY
が4価の基である場合の化合物(B2-4)が好まし
。
ただし、Y 3
はペルフルオロアルカン-トリイル基を示す
Y 4
はペルフルオロアルカン-テトライル基を示
、他の基の定義は前記と同じである。R F3
およびX 3
は、前記と同じ意味を示し、好ましい態様も
同じである。
Y 3
[-O(CF 2
CF 2
O) w
CF 2
-X 3
] 3
(B2-1)。
[R F3
O(CF 2
CF 2
O) v
-]Y 3
[-O(CF 2
CF 2
O) w
CF 2
-X 3
] 2
(B2-2)。
Y 4
[-O(CF 2
CF 2
O) w
CF 2
-X 3
] 4
(B2-3)。
[R F3
O(CF 2
CF 2
O) v
-]Y 4
[-O(CF 2
CF 2
O) w
CF 2
-X 3
] 3
(B2-4)。
Y 3 (ペルフルオロアルカン-トリイル基)としては 、下記の基が挙げられる。
Y 4 (ペルフルオロアルカン-テトライル基)として は、下記の基が挙げられる。
Yの他の例は、化合物(B2)の例中に示される
化合物(B2)の具体例としては、下記の化合物
が挙げられる。
ただし、基(G X )は、-O(CF 2 CF 2 O) w CF 2 -X 3 を意味し、基(G Z )はR F3 O(CF 2 CF 2 O) v -を意味する。kは、1~10の整数を示し、同一分 子中にkが2つ以上存在する場合は、それぞれ 一であっても異なっていてもよい。
化合物(B2)は、国際公開第2005/068534号パンフ
ット等に記載の方法にならって、下記の化
物を製造し、該化合物から、前記化合物(A)
製造方法と同様の方法によって得ることが
きる。
[R F3
O(CF 2
CF 2
O) v
-] z
Y[-O(CF 2
CF 2
O) w
CF 2
COF] x
、
[R F3
O(CF 2
CF 2
O) v
-] z
Y[-O(CF 2
CF 2
O) w
CF 2
COOCH 3
] x
、
[R F3
O(CF 2
CF 2
O) v
-] z
Y[-O(CF 2
CF 2
O) w
CF 2
CH 2
OH] x
、
[R F3
O(CF 2
CF 2
O) v
-] z
Y[-O(CF 2
CF 2
O) w
CF 2
I] x
等。
化合物(B)の割合は、化合物(A)の総質量に対
て、0.1~50質量%が好ましく、0.1~25質量%がよ
好ましい。
含フッ素の加水分解性シラン(B)は、化合物(
A)と同じ式-SiL p
R 3-p
で表わされる基を有する化合物を用いるのが
好ましい。化合物(A)が基(X1)~(X6)を有する化合
物である場合には、該基と同じ基(X1)~(X6)を有
する化合物(B)を用いるのが好ましく、同じ基
(X1)~(X6)を有する化合物(B1)または化合物(B2)を
いるのが好ましい。
(非フッ素系加水分解性シラン(B))
化合物(B)が、非フッ素系の化合物である場
には、フッ素原子を持たず、ケイ素原子に
水分解性基が2つ以上結合した構造を有する
化合物である非フッ素系加水分解性シラン(B)
が好ましい。
非フッ素系加水分解性シラン(B)は、化合物(
A)および/または化合物(B)の基材への高密着化
、化合物同士の高架橋化を促進する。本発明
の表面処理剤においては、化合物(B)として、
含フッ素の加水分解性シラン(B)と非フッ素系
加水分解性シラン(B)とを併用するのが好まし
い。
加水分解性基としては、アルコキシ基、塩
原子、イソシアネート基等が好ましく、反
制御がしやすい点から、アルコキシ基がよ
好ましい。非フッ素系加水分解性シラン(B)
の加水分解性基は、化合物(A)および含フッ
の加水分解性シラン(B)中の加水分解性基と
じ基とするのが好ましい。
非フッ素系加水分解性シラン(B)中の加水分
性基の数は、架橋反応が可能である点から
2以上であり、4以上がより好ましい。
非フッ素系加水分解性シラン(B)としては、S
iL s
R 4-s
(ただし、sは1~4の整数を示し、2~4が好ましく
4が好ましい。LおよびRは前記と同じ意味を
す)で表される化合物、または該化合物の部
分加水分解縮合物が好ましい。
非フッ素系加水分解性化合物(B)としては テトラメトキシシラン、テトラエトキシシ ン、テトライソシアネートシラン、テトラ ロロシラン、メチルシリケート、エチルシ ケート等が好ましい。
非フッ素系加水分解性シラン(B)の割合は 化合物(A)と含フッ素加水分解性シラン化合 の合計量に対し、0.1~10倍質量が好ましく、0 .1~4倍質量がより好ましく、2~4倍質量が特に ましい。該量範囲にすることにより、塗膜 高密着化、高架橋化の効果が充分に発揮さ 、かつ、塗膜の耐アルカリ性も向上する利 がある。
(部分加水分解縮合物)
本発明の表面処理剤においては、化合物(B)
、化合物(A)とは別の化合物として含まれて
てもよく、化合物(A)との部分加水分解縮合
として含まれていてもよく、両方が含まれ
いてもよく、両方が含まれているのが好ま
い。
部分加水分解縮合物は、有機溶媒中にて、
媒および水の存在下、化合物(A)または化合
(B)の加水分解性基の一部を加水分解処理す
ことにより得られる。
加水分解性シラン化合物が局所的に重合体
形成しないよう、化合物(A)と化合物(B)の加
分解性基の種類は同一にすることが好まし
。
部分加水分解共縮合物は、有機溶媒中にて
触媒および水の存在下、化合物(A)および化
物(B)、好ましくは化合物(A)、含フッ素シラ
化合物(B)、非フッ素系シラン化合物(B)を含
混合物の一部の加水分解性基を加水分解処
することにより得られる。あらかじめ組成
を加水分解処理しておくと、塗膜と基材と
結合形成反応が進行しやすくなり、長期の
久性が発現しやすくなる。
加水分解処理時に用いる触媒としては、酸
媒が好ましく、揮発性の点から、塩酸が好
しい。アルカリ触媒を用いると加水分解の
御が困難になる。また、塗膜中に残存を防
し長期の耐久性が発現させるために、揮発
の酸触媒を用いることが好ましい。
水は、加水分解性基に対し1~3倍当量添加す
ことが好ましい。1倍当量未満であると、加
水分解が充分に進行しにくい。3倍当量を超
ると、組成物と水とが相分離しやすくなる
加水分解処理の際は、有機溶媒としてアル
ール類(メタノール等。)を含ませることが好
ましい。
以上説明した本発明の表面処理剤は、化 物(A)もしくは当該化合物(A)の部分加水分解 合物、または化合物(A)を含む混合物の部分 水分解共縮合物を必須成分として含むため 撥水撥油性、油脂汚れの除去性、酸触媒の 在下かつ高温条件下における劣化耐性に優 た塗膜を形成できる。
<表面処理剤>
本発明の表面処理剤は、化合物(A)、化合物(
B)、それらの部分加水分解縮合物以外の他の
分を含んでいてもよい。他の成分としては
媒体、および添加剤が挙げられる。
(媒体)
本発明の表面処理剤は、有機溶媒を媒体と
て含むのが好ましい。有機溶媒を含む表面
理剤の形態は、溶液、懸濁液、または乳化
のいずれであってもよく、溶液であること
好ましい。
有機溶媒としては、フッ素系有機溶媒また
非フッ素系有機溶媒が挙げられる。フッ素
有機溶媒としては、ペルフルオロトリプロ
ルアミン、ペルフルオロトリブチルアミン
フロリナート(3M社製)、バートレル(デュポ
社製)、2,2,3,3-テトラフルオロプロパノール
2,2,2-トリフルオロエタノール等のフルオロ
ーボン類が好ましい。なかでも、2,2,3,3-テト
ラフルオロプロパノール、2,2,2-トリフルオロ
エタノール等のフルオロアルコール類が、後
続反応である化合物(A)等の加水分解反応を実
施する上で好ましい。
非フッ素系有機溶媒としては、炭化水素類
アルコール類、ケトン類、エーテル類、エ
テル類、塩素化炭化水素類等、化合物(A)お
び(B)を溶解する溶媒であれば使用できる。
有機溶媒としては、非フッ素系有機溶媒が
ましく、なかでも、メタノール、エタノー
等のアルコール類が、後続反応である化合
(A)等の加水分解反応を実施する上で好まし
。本発明の表面処理剤中に含ませる化合物(
A)および化合物(B)は、非フッ素系有機溶媒に
良好に溶解して、均一な組成物を形成しう
。
非フッ素系溶媒の割合は、有機溶媒の総質
に対して40質量%以上が好ましく、40~100質量%
が特に好ましい。
有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2
以上を混合した混合溶媒として用いてもよ
。混合溶媒に共沸組成が存在する場合、該
成で用いることが好ましい。
化合物(A)等の加水分解反応を実施する場合
有機溶媒に触媒と水を添加するのが好まし
。有機溶媒としては、非フッ素系溶媒が好
しく、アルコール類が特に好ましい。フッ
系溶媒を用いる場合には、フルオロカーボ
類を用いるのが好ましく、フルオロカーボ
類とアルコール類とを併用することが好ま
い。両溶媒の割合は特に規定されないが、
成分が相分離なく混合する割合に調整する
とが好ましい。
有機溶媒の量は、化合物(A)の量が組成物の
質量中に0.01~50質量%となる量が好ましく、0.
01~20質量%がより好ましい。
(添加剤)
本発明の表面処理剤は、添加剤を含んでい
もよい。
添加剤としては、表面処理剤から形成され
塗膜の耐久性、機能の持続性等を高める目
で添加されるものが好ましく、シリカゾル
超微粒子金属酸化物(酸化アルミニウム、酸
化マグネシウム、酸化ジルコニウム等。)、
種樹脂(エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル
脂、ポリウレタン樹脂等。)等が挙げられる
。塗膜形成の作業性を高める目的で添加され
る添加剤としては、界面活性剤等が挙げられ
る。界面活性剤の添加量は、組成物の総質量
に対して0.01~5質量%が好ましい。
添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種
上を組み合わせて用いてもよい。
<用途>
本発明の表面処理剤の用途としては、材表
に塗布などの方法で処理して基材表面の性
を変える表面改質剤、半導体素子用接着剤
レジスト用反射防止膜、各種材料用添加剤
が挙げられる。また本発明の表面処理剤は
そのものを表面処理剤として用いてもよく
他の表面改質剤への添加剤として用いても
い。添加剤として用いる場合の量は、化合
(A)および化合物(B)の合計量を、他の表面処
剤の全質量に対して、0.01~5質量%にするのが
好ましい。
表面改質剤としては、潤滑剤、防汚剤、撥
撥油剤、指紋除去性能付与剤、易洗浄性付
剤、離形剤、電線被覆材等の表面改質剤が
げられる。
撥水撥油剤としては、紙、布等の防水剤、
導体用保護コート剤(防湿コート剤、半田這
い上がり防止剤等。)、インクジェットプリ
タ等の印刷機器用の撥インク剤、塗料への
加剤、輸送機材用窓ガラスの撥水化剤等が
げられる。
輸送機材用窓ガラスの撥水化剤として用い
場合、撥水膜の厚さは3~100nmが好ましく、5~5
0nmがより好ましい。また、該撥水膜の表面粗
さ(Ra)は、50nm以下が好ましく、20nm以下がより
好ましい。
易洗浄性付与剤としては、ガラスパーテ ション、ショーウィンドウ、ショーケース 棚板、家具類等の易洗浄性付与剤が挙げら る。易洗浄性付与剤を塗布すると、皮脂、 性ペン、水性ペン、落書き等の汚れを落と やすく、水拭きした時に、拭き跡が残らず 空拭き不要である。
半導体素子用接着剤としては、リードオン
ップテープ用接着剤等が挙げられる。
各種材料用添加剤としては、他の剤に添加
て、該剤から形成される膜の表面に、本発
の表面処理剤の性質を付与するものである
たとえば、ペリクル用材料の添加剤、ディ
プレイ用反射防止膜用材料の添加剤等が挙
られる。ペリクル用材料に添加することに
って、ペリクルに低反射機能を付与できる
ディスプレイ用反射防止膜用材料に添加す
ことによって、該反射防止膜に指紋除去性
付与できる。
<物品>
本発明の物品は、本発明の表面処理剤を用
て形成された塗膜を基材の表面に有する物
である。
基材の材料としては、ガラス、石材、金属
樹脂等が挙げられる。
基材の具体例としては、インプリンティン
用金型、射出成型用金型、採光部材、光学
材(反射防止膜、光学フィルター、光学レン
ズ、眼鏡レンズ、ビームスプリッター、プリ
ズム、鏡等。)、太陽電池、タッチパネル、
光ドラム、定着ドラム、輸送機材用窓ガラ
、建築用窓ガラス、各種フィルム(フィルム
ンデンサ、ガラス窓用反射防止フィルム等
)、ディスプレイ(液晶ディスプレイ、CRTデ
スプレイ、プロジェクションテレビ、プラ
マディスプレイ、ELディスプレイ等。)の表
画面の表面に適用される光学機能性部材、
ィスプレイの表示画面の表面に該光学機能
部材を貼り合わせた表示装置等が挙げられ
。
表面処理剤を用いて形成した塗膜は、強固
被膜であり、基材との高い密着性を有する
また、該塗膜は、透明性に優れ、屈折率が
く、耐熱性および耐薬品性に優れる。塗膜
厚さは、0.001~50μmが好ましい。
物品の具体例としては、表面処理剤を潤滑
としてヘッドの表面に塗布することによっ
、ディスクとの摩擦が軽減された光学記録
ヘッド;表面処理剤をガラス等の表面に塗布
することによって、防汚性が付与された光学
材料;表面処理剤を表面に塗布することによ
て、防汚性が付与された輸送機材用窓ガラ
;表面処理剤を表面に塗布することによって
防汚性が付与された建築用窓ガラス等が挙
られる。
本発明の物品の製造方法は、表面処理剤を
材の表面に塗布して、塗膜を形成する方法
ある。
塗膜の形成方法としては、下記の方法(1)ま
は方法(2)が挙げられ、基材との密着性が高
、強固な塗膜を形成できる点から、方法(2)
好ましい。
方法(1):表面処理剤を基材の表面に塗布する
方法。
方法(2):表面処理剤を基材の表面に塗布した
後、基材の表面にて化学反応させる方法。
塗布方法としては、ロールコート法、キ スト法、ディップコート法、スピンコート 、スプレーコート法、フローコート法、ス ージコート法、水上キャスト法、ダイコー 法、ラングミュア-プロジェット法、真空蒸 着法等が挙げられる。均一な塗膜を形成でき る点から、スピンコート法、ディップコート 法、または真空蒸着法が好ましく、大量生産 には、スプレーコート法、フローコート法、 スキージコート法、またはダイコート法が好 ましい。スピンコート法、ディップコート法 により塗布する場合、有機溶媒を含む組成物 を用いることが好ましい。
表面処理剤が有機溶媒を含む組成物である
合、有機溶媒としては、塗布方法に適した
点を有する有機溶媒を選択することが好ま
い。
有機溶媒を含む組成物中の化合物(A)、化合
(B)、および他の成分の濃度は、塗膜の厚さ
よって調整することが好ましい。たとえば
厚さ250nmの塗膜を形成する場合の有機溶媒
含む組成物の全質量中の化合物(A)、化合物(B
)、および他の成分の量は、1.5~3.0質量%が好ま
しい。
表面処理剤の処理においては、基材の表 の前処理を行ってもよい。前処理方法とし は、フッ酸、塩酸等による酸処理;水酸化ナ トリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等に よるアルカリ処理;フッ化セリウム、酸化セ ウム等による研磨処理等が挙げられる。
方法(2)によって、無機基材(ガラス、石材 等。)または樹脂基材(ポリビニルアルコール ポリビニルブチラール、エチレン-酢酸ビニ ル共重合体等の水酸基を有する樹脂基材。) 表面に塗膜を形成する場合、表面処理剤を 材の表面に塗布した後、塗膜を、大気中、50 ~150℃で保持することが好ましい。特に、ガ ス、または水酸基を有する樹脂の場合、基 の表面の水酸基と加水分解性シリル基とが ロキサン結合を形成し、かつ加水分解性シ ル基を有する化合物(A)の間での反応、およ 該化合物(A)と他の化合物との反応も起こり るため、基材との密着性が高く、強固な塗 を形成できる。
以上説明した本発明の物品にあっては、表
処理剤を用いて基材の表面に塗膜を形成し
いるため、撥水撥油性、油脂汚れの除去性
酸触媒の存在下かつ高温条件下における劣
耐性に優れた塗膜を有する。
また、本発明の物品の製造方法にあっては
表面処理剤を基材の表面に塗布して、塗膜
形成しているため、撥水撥油性、油脂汚れ
除去性、酸触媒の存在下かつ高温条件下に
ける劣化耐性に優れた塗膜を有する物品を
造できる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明
るが、本発明は該実施例に限定されない。
(略号)
TMS:テトラメチルシラン、
R-113:CCl 2
FCClF 2
、
R-225:ジクロロペンタフルオロプロパン、
DBTDL:ジブチル錫ジラウレート、
CFE-419:CClF 2
CClFCF 2
OCF 2
CF 2
Cl、
L:リットル、
Mn:数平均分子量、
Mw:質量平均分子量、
R f
:-CF(CF 3
)OCF 2
CF(CF 3
)OCF 2
CF 2
CF 3
。
a:aを付した化合物は、a値が異なる2種以上
化合物からなる。aは1~200の整数から選ばれ
値であり、平均値は化合物のMn値になる整数
、
d1、d2、d3:d1~d3を付した化合物は、d1~d3値が
れぞれ異なる2種以上の化合物からなる。d1~d
3は、1~200の整数から選ばれる値であり、平均
値は化合物のMn値になる整数。
(Mnの測定)
Mnは、GPCによって測定した。
GPCの測定は、特開2001-208736号公報に記載の
法にしたがった。具体的には、移動相とし
、R-225(旭硝子社製、アサヒクリンAK-225SECグ
ード1)およびヘキサフルオロイソプロピルア
ルコール(HFIP)の混合溶媒(R-225/HFIP=99/1容量比)
用いた。分析カラムとして、PLgel MIXED-Eカ
ム(ポリマーラボラトリーズ社製)を2本直列
連結したものを用いた。分子量測定用標準
料として、分子量分布(Mw/Mn)が1.1未満である
分子量が2000~10000のペルフルオロポリエーテ
ル4種および分子量分布(Mw/Mn)が1.1以上である
分子量が1300のペルフルオロポリエーテル1
を用いた。検出器として、蒸発光散乱検出
を用い、移動相流速を1.0mL/分とし、カラム
度を37℃としてGPCを測定した。
(接触角)
物品の塗膜の表面に、直径約2μLの水滴また
はヘキサデカンを5滴置き、接触角を測定し
5つの値の平均値を求めた。未処理のソーダ
イムガラス板の水接触角は約30度である。
(水転落角)
物品を水平に保持し、該物品の塗膜の表面
50μLの水滴を滴下した後、物品を徐々に傾
、水滴が転落しはじめた時の物品と水平面
の角度(転落角)を測定した。転落角が小さい
ほど水滴滑落性に優れる。
(耐摩耗性)
往復式トラバース試験機(ケイエヌテー社製
)を用いて、ネル布、荷重1kg、摩耗回数3000往
の条件にて物品の塗膜の表面について磨耗
験を行った後、水接触角および水転落角を
定した。
(耐アルカリ性)
物品をpH13の水酸化ナトリウム水溶液に2時
浸漬した。物品を水洗、乾燥した後、物品
塗膜の表面の水接触角および水転落角を測
した。
(油脂汚れの除去性)
物品の塗膜の表面に、オレイン酸で人工的
油脂汚れを付着させた後、一定荷重でセル
ース製不織布(旭化成社製、ペンコットM-3)
拭き取り、油脂汚れの取れやすさを目視で
定した。判定基準は、下記の通りとした。
○:油脂汚れを完全に拭き取ることができる
。
△:油脂汚れの拭き取り跡が残る。
×:油脂汚れを拭き取ることができない。
〔例1〕
〔例1-1〕化合物(D3-1)の製造例
フラスコ内に、下記化合物(D1-1)(市販のポリ
オキシエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、aの平均値:7.3。)の25g、R-225の20g、NaFの1.2g
、およびピリジンの1.6gを入れ、内温を10℃以
下に保ちながら激しく撹拌し、窒素をバブリ
ングさせた。フラスコ内に、下記化合物(D2-1)
の46.6gを、内温を5℃以下に保ちながら3.0時間
かけて滴下した。滴下終了後、50℃にて12時
撹拌し、室温にて24時間撹拌して、粗液を回
収した。粗液を減圧濾過した後、回収液を真
空乾燥機(50℃、5.0torr。)で12時間乾燥し、粗
を得た。粗液を100mLのR-225に溶解し、1000mLの
和重曹水で3回水洗し、有機相を回収した。
有機相に硫酸マグネシウムの1.0gを加え、12時
間撹拌した後、加圧濾過して硫酸マグネシウ
ムを除去し、回収液からエバポレータにてR-2
25を留去し、室温で液体である化合物の56.1g
得た。該化合物のNMR分析の結果、下記化合
(D3-1)(aの平均値:7.3。)であることを確認した
CH 3
O[CH 2
CH 2
O] a
CH 2
CH 2
OH (D1-1)、
FC(O)-R f
(D2-1)、
CH 3
O[CH 2
CH 2
O] a
CH 2
CH 2
OC(O)-R f
(D3-1)。
化合物(D3-1)のNMRスペクトル;
1
H-NMR(300.4MHz、溶媒:CDCl 3
、基準:TMS)δ(ppm):4.2,4.35,4.4,4.75。
19
F-NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl 3
、基準:CFCl 3
)δ(ppm):-79.5,-80.0,-82.5~-85.0,-128.0~-129.2,-131.5,-144.5
。
〔例1-2〕化合物(D4-1)の製造例:
3000mLのハステロイ製オートクレーブ内に、R
-113の1560gを入れて撹拌し、25℃に保った。オ
トクレーブガス出口には、20℃に保持した
却器、NaFペレット充填層、および-20℃に保
した冷却器を直列に設置した。また、-20℃
保持した冷却器から凝集した液をオートク
ーブに戻すための液体返送ラインを設置し
。
オートクレーブ内に窒素ガスを1.0時間吹き
んだ後、窒素ガスで10%に希釈したフッ素ガ
(以下、10%フッ素ガスと記す。)を、流速24.8L
/時間で1時間吹き込んだ。つぎに、オートク
ーブ内に10%フッ素ガスを同じ流速で吹き込
ながら、化合物(D3-1)の27.5gをR-113の1350gに溶
した溶液を30時間かけて注入した。つぎに
オートクレーブ内に10%フッ素ガスを同じ流
で吹き込みながら、R-113の12mLを注入した。
の際、内温を40℃に変更した。つづけて、ベ
ンゼンを1質量%溶解したR-113溶液の6mLを注入
た。さらに、フッ素ガスを1.0時間吹き込ん
後、窒素ガスを1.0時間吹き込んだ。
反応終了後、溶媒を真空乾燥(60℃、6.0時間
)にて留去し、室温で液体の化合物の45.4gを
た。該化合物のNMR分析の結果、化合物(D3-1)
水素原子の総数の99.9%がフッ素原子に置換
れた、下記化合物(D4-1)が主たる成分である
とを確認した。
CF 3
O[CF 2
CF 2
O] a
CF 2
CF 2
OC(O)-R f
(D4-1)。
化合物(D4-1)のNMRスペクトル;
1
H-NMR(300.4MHz、溶媒:R-113、基準:TMS、内部標準:
トロベンゼン)δ(ppm):5.9~6.4。
19
F-NMR(282.7MHz、溶媒:R-113、基準:CFCl 3
、内部標準:ヘキサフルオロベンゼン)δ(ppm):12
.7,-54.9,-77.5~-80.0,-81.5,-82.2,-84.5,-87.5,-89.7,-129,-131
.5,-135.0~-139.0,-144.5。
〔例1-3〕化合物(D5-1)の製造例:
スターラーチップを投入した50mLのナスフラ
スコを充分に窒素置換した。ナスフラスコ内
に、1,1,3,4-テトラクロロヘキサフルオロブタ
の5.0g、KFの0.05g、および化合物(D4-1)の2.0gを
れて激しく撹拌し、120℃に保った。ナスフ
スコ出口には、20℃に保持した冷却器、お
びドライアイス-エタノール冷却管を直列に
置し、ナスフラスコ出口は窒素シールした
8時間後、ナスフラスコの内温を室温まで下
げ、つづいて冷却管に真空ポンプを設置して
系内を減圧に保ち、溶媒および副生物を留去
した。3時間後、室温で液体の化合物の0.86gを
得た。該化合物のNMR分析の結果、化合物(D4-1)
のエステル結合の総数の99%がフッ素原子に置
換された、下記化合物(D5-1)が主たる生成物で
あることを確認した。
CF 3
O[CF 2
CF 2
O] a
CF 2
COF (D5-1)。
化合物(D5-1)のNMRスペクトル;
1
H-NMR(300.4MHz、溶媒:R-113、基準:TMS、内部標準:
トロベンゼン)δ(ppm):5.9~6.4。
19
F-NMR(282.7MHz、溶媒:R-113、基準:CFCl 3
、内部標準:ヘキサフルオロベンゼン)δ(ppm):12
.7,-54.9,-78.1,-87.5,-89.7,-135.0~-139.0。
〔例1-4〕化合物(D7-1)の製造例(1):
化合物(D5-1)の40gが入ったナスフラスコ内に
R-113の20.0gを入れ、内温を25℃に保ちながら
しく撹拌した。ナスフラスコ内に、エタノ
ルの20.0gを、内温を25℃以上に保ちながらゆ
っくりと滴下した。
8時間後、撹拌を停止し、粗液を加圧濾過し
、KFを除去した。つづいて、回収液からエバ
レータにてR-113および過剰のエタノールを
全に除去して室温で液状の化合物の43gを得
。該化合物のNMR分析の結果、化合物(D5-1)の
フルオリドの総数がエステル化された、下
化合物(D7-1)が主たる生成物であることを確
した。
CF 3
O[CF 2
CF 2
O] a
CF 2
C(O)OCH 2
CH 3
(D7-1)。
化合物(D7-1)のNMRスペクトル;
1
H-NMR(300.4MHz、溶媒:R-113、基準:TMS、内部標準:
トロベンゼン)δ(ppm):1.27,4.27,5.9~6.4。
19
F-NMR(282.7MHz、溶媒:R-113、基準:CFCl 3
、内部標準:ヘキサフルオロベンゼン)δ(ppm):-5
4.9,-78.5,-87.5,-89.7,-135.0~-139.0。
〔例1-5〕化合物(D7-1)の製造例(2):
スターラーチップを投入した300mLのナスフ
スコを充分に窒素置換した。ナスフラスコ
に、エタノールの40g、NaFの5.6g、およびR-225(5
0g)を入れた。ナスフラスコ内に、化合物(D4-1)
の43.5gを滴下した後、室温にてバブリングを
いながら、激しく撹拌した。ナスフラスコ
口は窒素シールした。
8時間後、冷却管に真空ポンプを設置して系
内を減圧に保ち、過剰のエタノールおよび交
換によって生じるCH 3
CH 2
OC(O)-R f
を留去した。24時間後、室温で液体の化合物
26.8gを得た。該化合物のNMR分析の結果、化
物(D4-1)のエステル基の全量がエステル交換
れた、化合物(D7-1)が主たる生成物であるこ
を確認した。
化合物(D7-1)のNMRスペクトル;
1
H-NMR(300.4MHz、溶媒:R-113、基準:TMS、内部標準:
トロベンゼン)δ(ppm):1.27,4.27,5.9~6.4。
19
F-NMR(282.7MHz、溶媒:R-113、基準:CFCl 3
、内部標準:ヘキサフルオロベンゼン)δ(ppm):-5
4.9,-78.5,-87.5,-89.7,-135.0~-139.0。
〔例1-6〕化合物(D9-1)の製造例:
スターラーチップを投入した300mLのナスフ
スコを充分に窒素置換した。ナスフラスコ
に、2-プロパノールの30g、R-225の50.0g、およ
、NaBH 4
の4.1gを入れた。ナスフラスコ出口は窒素シ
ルした。化合物(D7-1)の26.2gをR-225の30gに希釈
て滴下した後、室温にて激しく撹拌した。
8時間後、冷却管に真空ポンプを設置して系
内を減圧に保ち、溶媒を留去した。24時間後
ナスフラスコ内にR-225の100gを入れ、撹拌を
いながら、0.2規定塩酸水溶液の500gを滴下し
た。滴下後、6時間撹拌を維持した。有機相
蒸留水の500gにて3回水洗し、二層分離にて有
機相を回収した。有機相に硫酸マグネシウム
の1.0gを加え、12時間撹拌した後、加圧濾過に
て硫酸マグネシウムを除去し、回収液からエ
バポレータにてR-225を留去して、室温で液体
化合物の24.8gを得た。該化合物のNMR分析の
果、化合物(D7-1)のエステル基の全量が還元
れた、下記化合物(D9-1)が主たる生成物であ
ことを確認した。
CF 3
O[CF 2
CF 2
O] a
CF 2
CH 2
OH (D9-1)。
化合物(D9-1)のNMRスペクトル;
1
H-NMR(300.4MHz、溶媒:R-113、基準:TMS、内部標準:
トロベンゼン)δ(ppm):2.6,3.92,5.9~6.4。
19
F-NMR(282.7MHz、溶媒:R-113、基準:CFCl 3
、内部標準:ヘキサフルオロベンゼン)δ(ppm):-5
4.9,-79.8,-87.5,-89.7,-135.0~-139.0。
〔例2〕化合物(A1-1)の製造例:
100mLの丸底フラスコ内に、化合物(D7-1)の33.1g
、下記化合物(D8-1)の3.7gを入れ、室温で2時間
拌した。反応終了後、未反応の化合物(D8-1)
よび副生したエタノールを減圧留去し、室
で液体の化合物の32.3gを得た。
該化合物のNMR分析の結果、化合物(D7-1)中の-
CF 2
C(O)OCH 2
CH 3
の95.0モル%が-CF 2
C(O)NHCH 2
CH 2
CH 2
Si(OCH 3
) 3
に変換され、-(OCF 2
O)-単位が存在しない化合物であることを確認
した。すなわち、下記化合物(A1-1)が主たる生
成物であった。化合物(A1-1)の分子量分布は1.1
6であった。
NH 2
CH 2
CH 2
CH 2
Si(OCH 3
) 3
(D8-1)、
CF 3
O[CF 2
CF 2
O] a
CF 2
C(O)NH(CH 2
) 3
Si(OCH 3
) 3
(A1-1)。
化合物(A1-1)のNMRスペクトル;
1
H-NMR(300.4MHz,溶媒:R-113,基準:TMS)δ(ppm):0.51,1.60,3.0
5,3.41,3.67,7.20。
19
F-NMR(282.65MHz,溶媒:R-113,基準:CFCl 3
)δ(ppm):-54.9,-78.0,-88.2,-89.7。
〔例3〕化合物(A2-1)の製造例:
250mLの丸底フラスコ内に、窒素雰囲気下で
合物(D9-1)の10gおよび触媒であるDBTDLの0.03gをC
FE-419の25.0gに溶解した溶液を入れ、内温を5℃
以下に保持した。丸底フラスコ内に、市販の
下記化合物(D11-1)の3gをCFE-419の10.0gに溶解した
溶液を1時間かけて穏やかに滴下し、約12時間
撹拌した。過剰の化合物(D11-1)およびCFE-419を
圧留去し、室温で液体の化合物の10.70gを得
。
該化合物のNMR分析の結果、化合物(D9-1)中の-
CF 2
CH 2
OHの99.1モル%が-CF 2
CH 2
OC(O)NH(CH 2
) 3
Si(OCH 3
) 3
に変換され、-(OCF 2
O)-単位が存在しない化合物であることを確認
した。すなわち、下記化合物(A2-1)が主たる生
成物であった。GPCの分析結果から、化合物(A2
-1)のMnは1110であった。
(O)C=NCH 2
CH 2
CH 2
Si(OCH 3
) 3
(D11-1)、
CF 3
O[CF 2
CF 2
O] a
CF 2
CH 2
OC(O)NH(CH 2
) 3
Si(OCH 3
) 3
(A2-1)。
化合物(A2-1)のNMRスペクトル;
1
H-NMR(300.4MHz,溶媒:R-113,基準:TMS)δ(ppm):0.85,1.82,3.2
0,3.80,4.10,5.90。
19
F-NMR(282.65MHz,溶媒:R-113,基準:CFCl 3
)δ(ppm):-54.9,-79.5,-88.2,-89.7。
〔例4〕化合物(A3-1)の製造例
250mLの丸底フラスコ内に、窒素雰囲気下で
素化ナトリウムの0.36gを入れ、ヘキサンの25m
Lで洗浄し、ヘキサンを回収した。該操作を
らに2回繰り返した後、残留するヘキサンを
圧留去した。丸底フラスコ内に、CFE-419の25.
0gを入れ、内温を5℃以下に保持した。丸底フ
ラスコ内に、化合物(D9-1)の10gをCFE-419の25.0gに
溶解した溶液を1時間かけて穏やかに滴下し
約10時間撹拌した。丸底フラスコ内に、下記
化合物(D12-1)の0.85gを滴下して室温で2時間撹
した後、72時間加熱還流した。還流終了後、
室温まで冷却し、未反応の水素化ナトリウム
および副生した塩化ナトリウムを加圧濾過し
、CFE-419および過剰の化合物(D12-1)を減圧留去
、室温で液体の化合物の10.70gを得た。
該化合物のNMR分析の結果、化合物(D9-1)中の-
CF 2
CH 2
OHの98.5モル%が-CF 2
CH 2
O(CH 2
) 3
Si(OCH 3
) 3
に変換され、-(OCF 2
O)-単位が存在しない化合物であることを確認
した。すなわち、下記化合物(A3-1)が主たる生
成物であった。GPCの分析結果から、化合物(A3
-1)のMnは1100であり分子量分布は1.15であった
CClH 2
CH 2
CH 2
Si(OCH 3
) 3
(D12-1)、
CF 3
O[CF 2
CF 2
O] a
CF 2
CH 2
O(CH 2
) 3
Si(OCH 3
) 3
(A3-1)。
化合物(A3-1)のNMRスペクトル;
1
H-NMR(300.4MHz,溶媒:R-113,基準:TMS)δ(ppm):0.76,1.79,3.3
6,3.8,5.6。
19
F-NMR(282.65MHz,溶媒:R-113,基準:CFCl 3
)δ(ppm):-54.9,-80.8,-88.2,-89.7。
〔例5〕化合物(A6-1)の製造例:
250mLの丸底フラスコ内に、窒素雰囲気下で
合物(D9-1)の50gおよびR-225の100gに溶解した溶
を入れ、内温を5℃以下に保持した。丸底フ
スコ内に、CF3CF2CF2CF2SO2Clの15gをR-225の15.0gに
解した溶液を1時間かけて穏やかに滴下し、
約12時間撹拌した。R-225を減圧留去したのち
粗生成物を二層分離、下層を回収して室温
液体の化合物(D9-2)の58gを得た。該化合物のNM
R分析の結果、化合物(D9-1)中の-CF 2
CH 2
OHの99.8モル%が-CF 2
CH2OSO 2
CF 2
CF 2
CF 2
CF 3
に変換され、-(OCF 2
O)-単位が存在しない式CF 3
O[CF 2
CF 2
O] a
CF 2
CH 2
OSO 2
(CF 2
) 3
CF 3
で表される化合物であることを確認した。
つづいて、撹拌機、滴下ロート、還流冷却 及び温度計を備えた200mL4つ口フラスコ中に( D9-2)の50gを投入し、溶媒としてアセトンの100g を投入して1時間撹拌を行った。さらに、LiI 15gを投入し、撹拌を継続しながら60℃まで昇 温して3時間保持した。反応終了後、系を冷 したのちLi塩を濾別し、2層に分離した液相 ら分液ロートを用いて下層を分取した。こ をアセトンを用いて数回洗浄したのち、0.1L R-225に溶解し、フイルターによって微細な 溶物を濾別した。得られた溶液から減圧下 発分を完全に留去することによって、室温 液体の化合物(D9-3)の43gを得た。該化合物のNM R分析の結果、化合物(D9-2)中の-CF 2 CH 2 OSO 2 CF 2 CF 2 CF 2 CF 3 の99.5モル%が-CF 2 CH 2 Iに変換され、-(OCF 2 O)-単位が存在しない式CF 3 O[CF 2 CF 2 O] a CF 2 CH 2 Iで表される化合物であることを確認した。
つづいて、撹拌機、滴下ロート、還流冷却 及び温度計を備えた200mL4つ口フラスコ中に( D9-3)の40gを投入し、溶媒としてR-225の100gを投 して1時間撹拌を行った。さらに、ジt-ブチ パーオキシド0.5gを仕込み、充分に系内を窒 素置換したのち、窒素気流下滴下ロートより ビニルトリクロロシラン25gを滴下した。滴下 終了後系内の温度を120℃に昇温させ、4時間 応させた。反応終了後減圧下揮発分を完全 留去することによって、室温で液体の化合 (D9-4)の39gを得た。該化合物のNMR分析の結果 化合物(D9-3)中の-CF 2 CH 2 Iの99.0モル%が-CF 2 CH 2 (CH 2 CH(Si(OCH 3 ) 3 )) x -Iに変換され、-(OCF 2 O)-単位が存在しない化合物であることを確認 した。
撹拌機、滴下ロート、還流冷却器及び温度
を備えた200mL4つ口フラスコ中にD9-4の35gとR-2
25の50gを仕込み、亜鉛2.5gを強撹拌分散させた
。氷水浴で系を冷却し、窒素気流下無水エタ
ノール10gを滴下した。滴下終了後氷水浴を取
り除き、加熱還流下2時間反応させた。反応
了後不溶物を濾別し、2層に分離した液相か
分液ロートを用いて下層を分取した。得ら
た溶液を無水エタノールを用いて3回洗浄し
たのち、減圧下揮発分を完全に留去すること
によって、室温で液体の化合物(D9-5)の30gを得
た。該化合物のNMR分析の結果、化合物(D9-4)中
の-CF 2
CH 2
(CH 2
CH(Si(OCH 3
) 3
)) x
-Iの99.9モル%が-CF 2
CH 2
(CH 2
CH(Si(OCH 3
) 3
)) x
-Hに変換され、-(OCF 2
O)-単位が存在しない化合物であることを確認
した。すなわち、下記化合物(A6-1)のxが1であ
化合物を含み、xの平均値が1.4である化合物
の混合物であった。GPCの分析結果から、化合
物(A6-1)のMnは1100であり、 1
H-NMR分析より、xの平均値は1.4であった。化合
物(A6-1)の分子量分布は1.09であった。
CF 3
O[CF 2
CF 2
O] a
CF 2
CH 2
(CH 2
CH(Si(OCH 3
) 2
)) x
-H (A6-1)
化合物(A6-1)のNMRスペクトル;
1
H-NMR(300.4MHz,溶媒:R-113,基準:TMS)δ(ppm):0.76,1.6~2.6,
3.8,5.1。
19
F-NMR(282.65MHz,溶媒:R-113,基準:CFCl 3
)δ(ppm):-54.9,-78.8,-88.2,-89.7。
〔例6〕化合物(A7-1)の製造例:
100mLの丸底フラスコ内に、化合物(D7-1)の50.0g
、下記化合物(D8-2)の16.2gを入れ、60℃で撹拌
た。そのまま徐々に圧力を100mmHgまで下げ、
製するエタノールを系外に除去した。反応
了後、未反応の化合物(D8-1)および副生した
タノールをヘキサン(100ml)で抽出除去し、室
温で液体の化合物の64.5gを得た。
該化合物のNMR分析の結果、化合物(D7-2)中の-
CF 2
C(O)OCH 2
CH 3
の95.0モル%が-CF 2
C(O)N((CH 2
) 3
Si(OCH 3
) 3
) 2
に変換され、-(OCF 2
O)-単位が存在しない下記化合物(A7-1)が主生成
物であった。化合物(A7-1)の分子量分布は1.21
あった。
NH((CH 2
) 3
Si(OCH 3
) 3
) 2
(D8-2)、
CF 3
O[CF 2
CF 2
O] a
CF 2
C(O)N((CH 2
) 3
Si(OCH 3
) 3
) 2
(A7-1)。
化合物(A7-1)のNMRスペクトル;
1
H-NMR(300.4MHz,溶媒:R-113,基準:TMS)δ(ppm):0.56,1.57,3.1
,3.41。
19
F-NMR(282.65MHz,溶媒:R-113,基準:CFCl 3
)δ(ppm):-54.9,-72.5,-77.7,-88.2,-89.7。
〔例7〕化合物(B)の製造例
〔例7-1〕化合物(B11-1)の製造例:
下記化合物(b-0)(市販のポリオキシエチレン
リコール、uの平均値:8.3。)を用い、国際公
第2004/035656号パンフレットの(例1)~(例4)に記
の方法と同様にして、下記化合物(b-1)(uの平
均値:8.5。)を得た。
化合物(b-1)を用い、国際公開第2004/035656号パ
ンフレットの(例5)に記載の方法と同様にして
、下記化合物(b-2)を得た。
化合物(D7-1)の代わりに、化合物(b-2)の15.5gを
用いる以外は、例2と同様にして、室温で液
の化合物の16.5gを得た。
該化合物のNMR分析の結果、化合物(b-2)中の-C
F 2
C(O)OCH 3
の98.0モル%が-CF 2
C(O)NHCH 2
CH 2
CH 2
Si(OCH 3
) 3
に変換され、-(OCF 2
O)-単位が存在しない化合物であることを確認
した。すなわち、下記化合物(B11-1)が主たる
成物であった。
HOCH 2
CH 2
O[CH 2
CH 2
O] u
CH 2
CH 2
OH (b-0)、
CH 3
OC(O)CF 2
O[CF 2
CF 2
O] u
CF 2
C(O)OCH 3
(b-1)、
HOCH 2
CF 2
O[CF 2
CF 2
O] u
CF 2
CH 2
OH (b-2)、
(CH 3
O) 3
Si(CH 2
) 3
NHC(O)CF 2
O[CF 2
CF 2
O] u
CF 2
C(O)NH(CH 2
) 3
Si(OCH 3
) 3
(B11-1)。
化合物(B11-1)のNMRスペクトル;
1
H-NMR(300.4MHz,溶媒:R-113,基準:TMS)δ(ppm):0.51,1.60,3.0
5,3.41,3.67,7.20。
19
F-NMR(282.65MHz,溶媒:R-113,基準:CFCl 3
)δ(ppm):-78.0,-88.2,-89.7。
〔例7-2〕化合物(B12-1)の製造例:
国際公開第2005/068534号パンフレットの(例11-1
)に記載の方法と同様にして、下記化合物(b3)
得て、つぎに化合物(b3)を還元して下記化合
物(b4)を得た。ただし、d1+d2+d3の平均値は、27.
0である。
化合物(D9-1)の代わりに、化合物(b4)の10gを用
いる以外は、例3と同様にして、室温で液体
化合物の10.5gを得た。
該化合物のNMR分析の結果、化合物(b4)中の-CF
2
CH 2
OHの99.1モル%が-CF 2
CH 2
OC(O)NH(CH 2
) 3
Si(OCH 3
) 3
構造に変換され、-(OCF 2
O)-単位が存在しない化合物であることを確認
した。すなわち、下記化合物(B12-1)が主たる
成物であった。GPCの分析結果から、化合物(B
12-1)のMnは3200であった。
化合物(B12-1)のNMRスペクトル;
1
H-NMR(300.4MHz,溶媒:R-113,基準:TMS)δ(ppm):0.85,1.82,3.2
0,3.80,4.10,5.90。
19
F-NMR(282.65MHz,溶媒:R-113,基準:CFCl 3
)δ(ppm):-79.5,-88.2,-89.7。
〔例8〕化合物(A1-1)と化合物(B11-1)を含む組成
1
撹拌機、温度計がセットされたガラス容器
に、メタノール(純正化学社製)の48.5g、10%硝
酸水溶液の0.37gを入れ、25℃にて10分間撹拌し
た。ガラス容器内に、化合物(A1-1)の1.35gおよ
化合物(B11-1)の0.15gをあらかじめ調合した混
物を徐々に添加した後、25℃にて1時間撹拌
て、組成物1を得た。
酸化セリウムで表面を研磨洗浄し、乾燥し
清浄なガラス基板(100mm×100mm×3.5mm)に、組成
1をスピンコートによって塗布した後、1昼
(24時間)、室温(20~25℃)、相対湿度40~60%にて保
持し、物品1を得た。物品1について、接触角
水転落角、耐摩耗性、耐アルカリ性および
脂汚れの除去性を評価した。
結果を表1に示す。物品1は優れた撥水撥油性
耐摩耗性、耐アルカリ性、油脂汚れの除去
を有していた。
〔例9〕化合物(A1-1)と化合物(B11-1)を含む組成
2の例
撹拌機、温度計がセットされたガラス容器
に、メタノール(純正化学社製)の48.5g、10%硝
酸水溶液の0.37gを入れ、25℃にて10分間撹拌し
た。ガラス容器内に、化合物(A1-1)の0.34g、化
物(B11-1)の0.04g、およびテトラメトキシシラ
の1.13gを徐々に添加した後、50℃にて3時間
拌して、組成物2を得た。
組成物1の代わりに、組成物2を用いた以 は、例8と同様にして物品2を得た。物品2に いて、接触角、水転落角、耐摩耗性、耐ア カリ性および油脂汚れの除去性を評価した 結果を表1に示す。物品2は、優れた撥水撥油 性、耐摩耗性、油脂汚れの除去性を有してい た。
〔例10〕化合物(A1-1)と化合物(B12-1)を含む組成
物3の例
化合物(B11-1)の代わりに、化合物(B12-1)の0.02g
を用いた以外は、例9と同様にして組成物3を
た。
組成物1の代わりに、組成物3を用いた以外
、例8と同様にして物品3を得た。物品3につ
て、接触角および油脂汚れの除去性を評価
た。結果を表1に示す。物品3は、優れた撥水
撥油性、油脂汚れの除去性を有していた。
〔例11(比較例)〕化合物(B12-1)からなる組成物4
の例
化合物(A1-1)と化合物(B11-1)の全量の代わりに
、化合物(B12-1)の0.16gを用いた以外は、例9と
様にして組成物4を得た。
組成物1の代わりに、組成物4を用いた以外
、例8と同様にして物品4を得た。物品4につ
て、接触角および油脂汚れの除去性を評価
た。結果を表1に示す。物品4は、撥水撥油性
に劣っていた。
〔例12(比較例)〕化合物(2)からなる組成物5の
撹拌機、温度計がセットされたガラス容器
に、R-225の19g、化合物(2)(ダイキン工業社製
オプツールDSX)の1gを入れて、25℃にて10分間
撹拌して、組成物5を得た。
組成物1の代わりに、組成物5を用いた以外
、例8と同様にして物品5を得た。物品5につ
て、接触角、水転落角、耐摩耗性、耐アル
リ性および油脂汚れの除去性を評価した。
果を表1に示す。物品5は、油脂汚れの除去性
に劣っていた。
〔例13〕化合物(A6-1)と化合物(B11-1)を含む組成
物6の例
例8と同様の方法で、化合物(A1-1)の代わりに
、化合物(A6-1)の0.4gを用いて組成物6を調製し
物品6を得た。物品6について、接触角およ
油脂汚れの除去性を評価した結果を表1に示
。物品6は、優れた撥水撥油性、油脂汚れの
除去性を有していた。
〔例14〕化合物(A7-1)と化合物(B11-1)を含む組成
物7の例
例8と同様の方法で、化合物(A1-1)の代わりに
、化合物(A7-1)の0.4gを用いた以外は、例8と同
にして組成物7を調製し、物品7を得た。物
7について、接触角および油脂汚れの除去性
評価した結果を表1に示す。物品7は、特に
れた撥水撥油性、油脂汚れの除去性を有し
いた。
〔例15〕安定性試験例
〔例15-1〕化合物(A)の安定性試験例:
前記で例2~6で得た化合物(A)について、窒素
囲気(100mL/分)下、10℃/分の割合で25℃から500
℃まで昇温して化合物(D9-1)の25mgの質量減少
示差熱天秤上で測定する方法で安定性試験
行った。その結果、質量減少はなく、ほぼ
定であった。
酸触媒であるγ-アルミナ微粉(日揮化学社製
、N-611N)の0.5gを存在させ、化合物(A)の25mgの安
定性試験を行った。結果、質量減少プロフィ
ールは酸触媒が無い場合と同様であり、優れ
た安定性を示した。
〔例15-2〕化合物(B)の安定性試験例:
前記の例7で得た化合物(B11-1)、および、化
物(B12-1)についても例15-1と同様の試験と行っ
た結果、質量減少はなく、ほぼ一定であった
。同様にγ-アルミナ微粉を存在させた安定性
試験においても、質量減少はなく、優れた安
定性を示した。
〔例15-3〕公知のペルフルオロポリエーテル
安定性試験例(参考例):
公知のペルフルオロポリエーテル(アウジモ
ント社製、フォンブリンZ DiOL4000)を用いて、
同様の方法で安定性試験を行った。結果、該
エーテルはγ-アルミナ微粉の存在下では250℃
で全量が一瞬に分解し、低分子量化合物とな
って気化した。
本発明の表面処理剤は、潤滑剤、防汚剤、
水撥油剤、指紋除去性能付与剤、易洗浄性
与剤、離形剤、表面改質剤等を付与する表
処理剤として有用である。
なお、2007年7月6日に出願された日本特許出
2007-178330号の明細書、特許請求の範囲及び
約書の全内容をここに引用し、本発明の明
書の開示として、取り入れるものである。