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Title:
SYSTEM FOR PROVIDING DAMPENING WATER BY LOWERING THE SURFACE TENSION OF WATER TO BE USED IN OFFSET PRINTING, SO-CALLED LITHOGRAPHIC PRINTING, SYSTEM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/096508
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] The first object is to lower the surface tension of used water without using IPA, H solution or any substitute chemical additive therefor and overcome the problems concerning environmental pollution by decomposing organic matters and living organisms such as microorganisms contained in the used water to thereby eliminate the need for industrial waste disposal. The second object is to provide a system for providing dampening water, which ensures the prolonged usage of the individual constituting elements in a used water circulation system and facilitates the performance of high-grade printing, by lowering the surface tension of water to be used in an offset printing, i.e., so-called lithographic printing, system. [MEANS FOR SOLVING PROBLEMS] A system for providing dampening water for water-use offset printing comprising: a channel through which water can flow; a magnetic processor by which the water passing through the above-described channel is magnetically processed; and a photocatalytic processor by which the water passing through the above-described channel is photocatalytically processed.

Inventors:
TAKEI MITSURU (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/074167
Publication Date:
August 14, 2008
Filing Date:
December 14, 2007
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON LITHOGRAPH INC (JP)
TAKEI MITSURU (JP)
International Classes:
B41N3/08; B41F7/24
Foreign References:
JP2003211624A2003-07-29
JP2005288837A2005-10-20
JP2005103784A2005-04-21
JP2002018429A2002-01-22
JP2001327961A2001-11-27
JPS63302093A1988-12-08
JP2006289616A2006-10-26
JPH03278804A1991-12-10
JPH0479637U1992-07-10
Other References:
See also references of EP 2110243A4
Attorney, Agent or Firm:
ITOH, Atsushi (1-1 Shinkawa 2-chome, Chuo-k, Tokyo 33, JP)
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Claims:
 水が通過可能な流路と、
 前記流路内を通過する水に対して磁気処理を施す磁気処理装置と、
 前記流路内を通過する水に対して光触媒処理を施す光触媒装置と、
を有する、水有り式オフセット印刷の湿し水供給用水処理システム。
 前記流路が、水有り式オフセット印刷システムの循環タンク内の水を導入可能であると共に、導入した水を再び前記循環タンク内に戻すことが可能な循環路である、請求項1記載の水処理システム。
 前記磁気処理装置が、前記光触媒装置の前後に配置されている、請求項1又は2記載の水処理システム。
 前記光触媒装置が、光触媒を含有する繊維からなる繊維成形体と、前記繊維成形体に対して光を照射するための光照射ランプとを有している、請求項1~3のいずれか一項記載の水処理システム。
 前記光触媒装置が、流路に沿って、複数の繊維成形体を相互に離隔してスタック状に配置したものである、請求項4記載の水処理システム。
 前記流路内を通過する水から気体を分離するための気水分器を更に有する、請求項1~5のいずれか一項記載の水処理システム。
 請求項1~6のいずれか一項記載の水処理システムが組み込まれた、水有り式オフセット印刷システム。
 湿し水を版面に供給するダンプニング工程と、インキ供給部からインキを呼び出し、前記版面に供給するインキング工程と、前記版面についたインキをブランケットに転移させる工程と、転移した前記インキを前記ブランケットから紙に転移させる工程とを含む、水有り式オフセット印刷による印刷方法において、
 前記湿し水として、イソプロピルアルコール及びエッチ液を含有しない、磁気処理及び光触媒処理された水を使用することを特徴とする印刷方法。
 請求項1~6のいずれか一項記載の水処理システムを用いて前記湿し水を得る工程を含む、請求項8記載の印刷方法。
 水有り式オフセット印刷により印刷された印刷物において、前記印刷物上のインキ及び紙面が、イソプロピルアルコール及びエッチ液由来成分を含有しないものであり、かつ、前記印刷物上のインキのドットゲインが2~5%であることを特徴とする印刷物。
 前記印刷物が、シアンインキ、マゼンタインキ、イエローインキ、ブラックインキの各々が形成する網点のドットゲインの相違が0~3%である、請求項10記載の印刷物。
 水有り式オフセット印刷により印刷された印刷物において、前記印刷物上のインキ及び紙面が、イソプロピルアルコール及びエッチ液由来成分を含有しないものである、請求項8又は9記載の印刷方法により得られる印刷物。
Description:
オフセット印刷いわゆる平版印 方式用使用水の表面張力を低減し、湿し水 する装置

 本発明は、オフセット印刷いわゆる平版 刷方式用使用水の表面張力を低減し、湿し とする装置に係り、ポスター、カレンダー カタログ、ちらし、雑誌、包装紙、地図、 ベル等商業印刷に適し、かつ環境汚染を最 限にする、水有り式オフセット印刷いわゆ 平版印刷方式用使用水の表面張力を低減し 湿し水とする装置に関する。

 オフセット印刷いわゆる平版印刷方式に 用される印刷版は、文字や絵柄に対応する 油性の画像部と空白部に対応する親水性の 画像部とから形成されている。親油性の画 部へ油脂性インキを付着させると共に、親 性の非画像部へ水を付着させ、インキと水 の相互反発作用を利用して紙面へ画像部の 刷がなされる。

 オフセット印刷いわゆる平版印刷方式用 用水の表面張力を低減し、湿し水とする装 は、まず水着けローラーにより刷版に水を けた後、インキ着けローラーによって版の 像部へ油脂性インキを付着させ、つぎに当 版の油脂性インキをブランケットに転移し 該ブランケットと圧胴との間へ印刷用紙を 過させることにより、印刷が行なわれる。

 印刷用紙には、白色度を高めるために炭 カルシウム等が塗工されており、水の酸性 が高くなれば、紙面の炭酸カルシウム等が に溶けこみ、また循環パイプ系、ローラー に付着したり、循環タンク内に混入して印 障害の原因ともなっている。

 オフセット印刷いわゆる平版印刷を行う めに、従来から、湿し水としての表面張力 低減するために、使用水に有機溶剤である えば、イソプロピルアルコール(以下、IPAと いう)が添加されている。また使用水にエッ 液と呼ばれる、整面・防錆・pH調整等を行う 添加剤も混入されている。

 図11は、従来のオフセット印刷いわゆる 版印刷方式における使用水循環型給水設備 概略図で、100は循環タンク、101は送水ポン 、102は印刷機、103は、戻り水を循環タンク10 0に回収する回収パイプ、104は濾過装置、105 回収パイプである。IPAとエッチ液等は、適 循環タンク100内に混入され、ミキサー106で 拌され、使用水Wは、連続的に上述した循環 路で連続的に繰り返し使用されている。

 しかしながら、上記のIPAは、消防法に規 する危険物であると共に、労働安全衛生法 有機溶剤中毒予防規則の規制対象物であり 身体に有害であるだけでなく、環境汚染の 因ともなるものである。また、エッチ液は 比較的高価なものであって、エッチ液の大 使用は、印刷コストの上昇を招くことにな 。即ち、従来の湿し水とされる使用水W(図5 参照)は、IPAやエッチ液の混入を必要とする ので印刷コストを高め、また施設外への排出 に際しては、COD、BOD等を規制数値以下に適合 させるための浄化処理、産業廃棄物処理装置 等を必要とし、そのためにランニングコスト が高騰するという問題点がある。

 上記のIPA及びエッチ液の代替添加剤とし 、エチレングリコールエーテル、プロピレ グリコールエーテルの他、水溶性高沸点溶 をエッチ液に添加した発明、例えば、特開 10-337975、特開平6-206391、特開平5-112085等が提 案、開示されている。

 上記の公開公報においては、1液で整面・防 錆・pH調整と表面張力低減機能を期待するも であるが、使用現場では、印刷機の給水装 ・水質・環境(温度、湿度)等の違いにより 面・防錆・pH調整機能と表面張力低下の要求 量は必ずしも一致しない。これを1液で管理 るために煩雑な管理基準の作成を強いられ り、また印刷トラブルの原因ともなってい 。したがって、上記のIPA及びエッチ液の代 添加剤は、実使用には不向きではないが、IP A削減の具体策とはなり得ていない。

特開平10-337975号公報

特開平6-206391号公報

特開平5-112085号公報

 本発明における第1の課題は、IPA、エッチ 液又は他の化学薬品を全く使用しないで、使 用水の表面張力を低減すると共に、使用水が 含有する有機物ならびに微生物等の生体を分 解して環境汚染問題を解決し、産廃処理を不 要とすることである。第2の課題は、使用水 環装置における各構成機材の長期使用を可 とし、高品質の印刷が容易に達成できる、 フセット印刷いわゆる平版印刷方式用使用 の表面張力を低減し、湿し水とする装置を 供することにある。

 本発明者は、上記従来技術が有する各種の 題点に鑑み、上記課題を解決するために、 年、有害物質の分解、防汚等の環境浄化技 として内外国で急成長している光触媒に着 し、さらに当印刷業界では全く想定外の分 である、磁気流体活性原理の活用に鋭意研 を重ねた結果、本発明を完成させたもので る。
 課題を解決するための手段は、本願発明の 許請求の範囲の各請求項に記載の発明であ 、その具体的な解決手段は、以下の通りで る。
******************************
 特許請求の範囲、明細書等に記載している たる用語の解釈上の疑義を解消すべく、以 のように用語の定義、用語の説明を行う。
○光触媒とは-光を吸収することにより、触 として作用する物質をいう。光触媒機能を する金属として酸化チタン(TiO 2 )、酸化亜鉛(ZnO 2 )等の各種金属酸化物があるが、現今におい 、実用化しているのは酸化チタン(TiO 2 )のみである。光触媒の機能は、酸素や水か 活性物質を生成させ、有機物(印刷インキを む)、臭気物質、細菌、ウィルス等を分解し 、無害化する。またその特徴は、半永久的に 機能することである。
○磁気流体活性原理とは-MHD発電の原理、フ ミングの法則及びローレンツ力を総称し、MH D発電の原理とは、「ファラデーの電磁誘導 法則」に基づいて、流体の持つすべてのエ ルギーを、電力に変換する発電原理をいい 電気を通す流体が、磁場を直角に横切る際 電子励起作用が起きるとしている。
○フレミングの法則とは-MHD発電の原理には 方向の法則があり、電気が流れる物質が磁 を直角に横切る際、右手の人差し指を磁界 向、親指を導線の運動方向に向けると、誘 電流はこれらに垂直に向けた中指の方向に れるとする。
○ローレンツ力とは-水の中には、帯電性物 が多数あり、例えば、カルシウム、カリウ 、マグネシウム等のイオンがその代表で、 ーレンツ力とは、電気を帯びた物質が磁界 横切る際に作用する力をいう。該ローレン 力は、運動方向に垂直に作用し、プラスと イナスの電気を帯びた物質をそれぞれ別の 道に曲げる。軌道を曲げる際に、水分子同 の結合がはずれ、集団構造が小さくなる。
○水和現象とは-紫外線により細菌細胞が分 又は中和することをいう。
○ダイマー形成とは-紫外線の照射により、DN Aの分子の複製機構が停止することをいう。
○芽胞とは-菌糸類の胞子をいう。
○湿し水供給用水処理システムとは-水有り オフセット印刷システムの湿し水供給部の 環タンクに対して外付けされるシステム、 び、水有り式オフセット印刷システムの湿 水供給部に一体的に組み込まれたシステム 意味する。
○システムとは-装置を包含する概念である
○ドッドゲインとは-刷版上の網点に対する 面上の網点の太りを意味する。
*******************************

 本発明(1)は、水が通過可能な流路(例えば、 循環パイプ系Pa)と、
 前記流路内を通過する水に対して磁気処理 施す磁気処理装置(例えば、磁気処理装置5) 、
 前記流路内を通過する水に対して光触媒処 を施す光触媒装置(例えば、光触媒装置3)と
を有する、水有り式オフセット印刷の湿し水 供給用水処理システム(例えば、湿し水供給 水処理システムS)である。

 本発明(2)は、前記流路が、水有り式オフ ット印刷システムの循環タンク(例えば、循 環タンク1)内の水を導入可能であると共に、 入した水を再び前記循環タンク内に戻すこ が可能な循環路(例えば、循環パイプ系Pa)で ある、発明(1)の水処理システムである。

 本発明(3)は、前記磁気処理装置が、前記 触媒装置の前後に配置されている、発明(1) は(2)の水処理システムである。

 本発明(4)は、前記光触媒装置が、光触媒 含有する繊維からなる繊維成形体(例えば、 光触媒不織布3d)と、前記繊維成形体に対して 光を照射するための光照射ランプ(例えば、 外線照射ランプ3b)とを有している、発明(1)~( 3)のいずれか一つの水処理システムである。

 本発明(5)は、前記光触媒装置が、流路に って、複数の繊維成形体を相互に離隔して タック状に配置したもの(例えば、光触媒装 置3)である、発明(4)の水処理システムである

 本発明(6)は、前記流路内を通過する水か 気体を分離するための気水分器(例えば、気 水分器11)を更に有する、発明(1)~(5)のいずれ 一つの水処理システムである。

 本発明(7)は、発明(1)~(6)のいずれか一つの 水処理システムが組み込まれた、水有り式オ フセット印刷システムである。

 本発明(8)は、湿し水を版面に供給するダン ニング工程と、インキ供給部からインキを び出し、前記版面に供給するインキング工 と、前記版面についたインキをブランケッ に転移させる工程と、転移した前記インキ 前記ブランケットから紙に転移させる工程 を含む、水有り式オフセット印刷による印 方法において、
 前記湿し水として、イソプロピルアルコー 及びエッチ液を含有しない、磁気処理及び 触媒処理された水を使用することを特徴と る印刷方法である。

 本発明(9)は、発明(1)~(6)のいずれか一つの 水処理システムを用いて前記湿し水を得る工 程を含む、発明(8)の印刷方法である。

 本発明(10)は、水有り式オフセット印刷に より印刷された印刷物において、前記印刷物 上のインキ及び紙面が、イソプロピルアルコ ール及びエッチ液由来成分を含有しないもの であり、かつ、前記印刷物上のインキのドッ トゲインが2~5%であることを特徴とする印刷 である。

 本発明(11)は、前記印刷物が、シアンイン キ、マゼンタインキ、イエローインキ、ブラ ックインキの各々が形成する網点のドットゲ インの相違が0~3%であることを特徴とする、 明(10)の印刷物である。

 本発明(12)は、水有り式オフセット印刷に より印刷された印刷物において、前記印刷物 上のインキ及び紙面が、イソプロピルアルコ ール及びエッチ液由来成分を含有しないもの である、発明(8)又は(9)の印刷方法により得ら れる印刷物である。

 本発明に係る、湿し水供給用水処理シス ムによれば、以下の効果を奏することがで た。本発明(1)によれば、化学薬品を使用し い湿し水とする、即ち、IPA、エッチ液又は れらの代替化学薬品添加剤を全く使用する となく、磁気処理及び光触媒処理の相乗効 により水の表面張力を顕著に低減し、オフ ット印刷に好適な湿し水に改質することが きた。また光触媒装置により、水が含有す 有機物ならびに微生物等の生体を分解する で、環境汚染問題を解決し、産廃処理への 理費用を不要とする本発明の第1課題を解決 することができた。さらに本発明を実施化す ることにより、炭酸カルシウム等による印刷 機、湿し水管理等の障害をなくし、正常に印 刷作業を継続して行うことができるので、循 環装置各構成機材の長期使用が可能となる。 また印刷インキの過剰な乳化を防止し、イン キ膜厚を薄くすることで乾燥を迅速にし、後 加工が容易となる。これにより、第2の課題 も解決することができた。また、表面張力 低減する磁気処理装置と光触媒装置とを1ユ ットとして製作し、貯水容量の大小に関係 く既設の循環タンク等に簡便に組み込むこ ができる。

 また当該湿し水供給用水処理システムで 磁気処理及び光触媒処理を行うので、該水 、表面張力が低減した状態で循環タンクに 水され、給水装置及び印刷機を経て回収さ て循環タンクに戻り、再び送水ポンプ、光 媒装置、磁気処理装置、循環タンク、給水 置、印刷機及び濾過装置を経て循環タンク 回収する循環工程が、連続的に繰り返して われる。磁気処理装置及び光触媒装置との 合せで、水の表面張力74dyne/cm(mN/m)を52-54%(35. 2-34.0dyne/cm)低減することに成功した{磁気処理 単体では約12-18%(65.2-60.7dyne/cm)}。水の表面張 低減により以下の効果も奏することができ 。即ち、(1)印刷インキが不必要に乳化しな なり、着肉性が良好になった。(2)紙面白色 が向上した。(3)インキのバランスが良くな 、三原色印刷への可能性が開けた。(4)印刷 ンキの膜厚が薄くなり、ブランケットへの 移性が向上し、印刷紙面及び印刷インキ乾 の時間が短縮された。(5)水中に薬物添加の 要がないので、ゴムローラーは化学変化が なく、長期の使用が可能となった。(6)また 版においても同様に薬物の影響がないので 耐刷力が増した。(7)水のpHが中性(pH7)前後に り、紙面の炭酸カルシウム等が溶解せず、 環タンク内又は循環パイプ等に炭酸カルシ ム等の流入がなくなり、同時に印刷ローラ や刷版への付着等炭酸カルシウム等による 刷障害が全て排除された。(8)印刷インキそ 他の薬品によって生じる水質汚濁がなくな 、COD又はBOD等排水処理に関する制限がなく った。(9)上述した消防法、労働安全衛生法 有機溶剤中毒予防規則等の制約を受けるこ がない。(10)循環パイプ等印刷機内の配管の 汚物の清浄化も行え、パイプ内のクリーニン グも不要となる。

 本発明(2)によれば、水を循環させること より、磁気処理及び光触媒処理を繰り返し うことができるので、表面張力が十分に低 した安定した性質の処理水を印刷システム 提供できるという効果を奏する。

 本発明(3)は、磁気処理装置が光触媒装置 前後に配置されている。光触媒装置の後に 置されている磁気処理装置は、前述のもの 同様の役割を果たす。一方、光触媒装置の に配置されている磁気処理装置は、光触媒 置による光触媒処理を効率的に行うために けられる。磁気処理装置による処理により 光触媒処理が効率的に行われる。また、本 明(1)又は(2)に係る発明と比較して、磁気処 装置を光触媒装置の前後に配置された湿し 供給用水処理システムは、本発明(3)によれ 、印刷精度をより向上させる効果を有する

 続いて、本発明(4)によれば、光触媒装置 に光触媒を含有する繊維からなる繊維成形 を設けることにより、通過する水と光触媒 の接触面積が大きくなるため、より効率的 光触媒処理を行うことができる。

 本発明(5)によれば、光触媒装置が、水の 路に沿って、複数の繊維成形体を相互に離 してスタック状に配置されたものであるた 、繊維形成体の各々の光触媒が照射ランプ らの光を効率的に受けて触媒機能を発揮す 結果、より効率的に光触媒処理を行うこと できる。

 本発明(6)によれば、循環経路内を通過す 水から気体を分離する気水分器を更に有す ため、水中の気泡が少なくなってより効率 に磁気処理を行うことができる。

 本発明(7)によれば、湿し水としてイソプ ピルアルコールやエッチ液等を含まない水( 例えば、水道水)を使用可能とする水有り式 フセット印刷システムを提供できるという 果を奏する。

 本発明(8)によれば、イソプロピルアルコ ル及びエッチ液を含有しない、磁気処理及 光触媒処理された水をオフセット印刷の湿 水として使用することが可能である。即ち 当該発明により、従来湿し水への添加が必 とされたイソプロピルアルコールとエッチ が添加されない水(例えば、水道水)を使用 ることが可能となる。

 本発明(9)によれば、発明(1)~(6)のいずれか 一つの湿し水供給用水処理システムを用いる ことにより、効率的かつ効果的に磁気処理及 び光触媒処理をすることができる。

 本発明(10)によれば、印刷物上のイソプロ ピルアルコール及びエッチ液由来成分を含有 しないため、有害なこれらの成分が排除され た印刷物を提供することができる。更に、当 該印刷物は、紙面上のインキのドットゲイン が2~5%であるため、印刷物の色再現性が向上 、特にシャドー部での再現性が向上する。

 本発明(11)によれば、シアンインキ、マゼ ンタインキ、イエローインキ、ブラックイン キの各々が形成する網点のドットゲインの相 違が0~3%であるため、印刷物の色再現性が更 向上する。ドットゲインは、例えば、イン が印刷物等に転移する際、インキが押しつ されて発生する。即ち、印刷物上でのイン の柔らかさとインキ膜厚が、ドットゲイン 密接に関係する。インキの柔らかさに影響 与える要因として、インキの乳化状態が挙 られる。従来のイソプロピルアルコール等 添加剤を含む湿し水と、前記各インキとの 化状態について説明すれば、インキに含ま るバインダー等の添加剤成分が異なり、当 成分とイソプロピルアルコールとの親和性 インキによって異なるため、各インキと湿 水の乳化状態が変化する。そのため、各イ キのドットゲインのバラツキが発生するこ となる。磁気処理及び光触媒処理を施すこ により得られる湿し水と、前記各インキと 親和性は、どれも同程度となる。したがっ 、乳化状態も同程度となるため、各インキ おけるドッドゲインも同程度になる。その 、前述したように印刷インキの膜厚が薄く ることもドットゲインの低減の要因と考え れる。

 本発明(12)によれば、本発明(8)又は(9)に係 る印刷方法により得られたものであり、IPAや エッチ液を添加しない水により簡便に印刷物 が得られるため、当該添加剤の管理費用等が 必要とされないので、製造コストが低減され るという効果を奏する。

 以下、図面を参照しながら、本発明の最 形態を説明する。尚、本発明の技術的範囲 本最良形態に限定されるものではない。ま 、一つの例について具体的に説明した事項 関しては、そうでないとの特記がある場合 除き、他の例にもそのまま適用されるもの 理解すべきである。

《システムの構成》
 本最良形態に係る水有り式オフセット印刷 用いる湿し水供給用水処理システムは、少 くとも、流路と、前記流路に備えられた磁 処理装置及び光触媒装置とを有する。前記 成に加えて、湿し水供給用水処理システム 、気水分器、フィルタ、流量計等を更に有 ていてもよい。また、本発明に係る湿し水 給用水処理システムは、水有り式オフセッ 印刷に用いる循環タンク内の水を取り出し 当該水を処理して、また元の循環タンク内 戻す態様であってもよいし、循環タンクか 印刷機の水つけローラへと送水する流路の に、当該システムを設ける態様であっても い。

第一の最良形態
 図1は、本最良形態に係る水有り式オフセッ ト印刷システムM1の第一の最良形態の構成を した図である。ここで、水有り式オフセッ 印刷システムM1は、湿し水供給用水処理シ テムS1と、湿し水供給装置R1と、印刷機7とか ら構成される。まず、S1から説明すると、湿 水供給用水処理システムS1は、水が通過す 循環路を構成する循環パイプ系Pa(1){Pa1(1)~Pa5( 1)}と、パイプPa1(1)を介して循環タンク1と接 しており、循環タンク1内の水を循環路に送 するための送水ポンプ2(1)と、パイプPa2(1)を 介して当該送水ポンプ2(1)と接続しており、 該循環路内を通過する水に対して光触媒処 を施す光触媒装置3(1)と、パイプPa3(1)を介し 当該光触媒装置3(1)と接続しており、循環路 を流れる水の流量を計測するための流量計4(1 )と、パイプPa4(1)を介して当該流量計4(1)と接 しており更にPa5(1)を介して循環タンク1と接 続されている、当該循環路内を通過する水に 対して磁気処理を施す磁気処理装置5(1)と、 該磁気処理装置5(1)と循環タンク1を接続する パイプPa5(1)とを有する。尚、流量計4(1)は、 環タンク1の貯水容量、送水ポンプ2(1)の処理 能力等を考慮して設置しない場合もある。続 いて、本最良形態に係る湿し水供給用水処理 システムS1が使用時に接続された、湿し水供 装置R1について説明すると、湿し水供給装 R1は、印刷機7と循環路を構成する循環パイ 系Pb{Pb1~Pb4}と、水を貯水する循環タンク1と Pb1を介して循環タンク1と接続しており、当 循環タンク1から印刷機7へとPb2を介して送 する送水ポンプ6と、パイプPb3を介して印刷 7と接続している一方Pb4を介して循環タンク 1とも接続している濾過装置8とを有する。尚 磁気処理装置5(1)は、磁気活水の効果がより 顕著に現れるようにするため、湿し水供給用 水処理システムS1の最も下流に配設すること 好ましい。また、磁気処理・光触媒処理さ た水がただちに湿し水として利用されるよ 、循環パイプPa5(1)の出口を、循環タンク1(1) と送水パイプPb1(1)が接続した出口1a付近に配 することが好ましい。更に、磁気処理装置5 (1)の水流路を垂直(水平面・地平面に対して 角の方向)に配設することにより、当該湿し 供給用水処理システムS1は、より効果的に 気処理をすることができる。

第二の最良形態
 図2は、本最良形態に係る湿し水供給用水処 理システムS2の第二の最良形態の構成を示し 図である。第二の最良形態に係るシステムS 2は、第一の最良形態と基本構成は同様であ が、送水ポンプ2(2)と光触媒装置3(2)との間に 、更にフィルタ9(2)と第二磁気処理装置10(2)と を有し、更に光触媒装置3(2)と第一磁気処理 置5(2)の間に気水分器11(2)を有している。気 分器11(2)の構造の詳細は後述する。尚、第一 磁気処理装置5(2)と第二磁気処理装置10(2)は、 同様の構成であってもよいし、異なる構成と してもよい。

第三の最良形態
 図3は、本最良形態に係る水有り式オフセッ ト印刷システムM3の第三の最良形態の構成を した図である。前述した第一及び第二の最 形態に係る湿し水供給用水処理システムは 循環タンク1から水を送り、所定の処理を行 った後、もとの循環タンク1に処理水を戻す 作を繰り返す、外付けタイプのシステムで った。これに対し、第三の最良形態に係る し水供給用水処理システムS3は、循環タンク から印刷機へと水を送る途中の段階で、光触 媒処理及び磁気活性処理を行う、オフセット 印刷システムとの一体型の湿し水供給用水処 理システムである。

 そこで、図3を参照しながら本最良形態を 詳述すると、当該水有り式オフセット印刷シ ステムM3は、循環タンク1(3)と印刷機7との間 設置された湿し水供給用水処理システムS3が 組み込まれた湿し水供給装置R3と、印刷機7と から構成される。湿し水供給用水処理システ ムS3は、流路を構成するパイプ系Pa(3){Pa1(3)~Pa6 (3)}と、パイプPb1(3)を介して循環タンク1(3)と 続している送水ポンプ2(3)と、パイプPa1(3)を 介して当該送水ポンプと接続しているフィル タ9(3)と、Pa2(3)を介して当該フィルタ9(3)と接 しており、当該フィルタ9(3)により濾過され た水に対して磁気処理を行う第二磁気処理装 置10(3)と、パイプPa3(3)を介して当該装置10(3) 接続しており、当該循環路内を通過する水 対して光触媒処理を施す光触媒装置3(3)と、 イプPa4(3)を介して当該光触媒装置3(3)と接続 しており、循環路を流れる水の流量を計測す るための流量計4(3)と、パイプPa5(3)を介して 該流量計と接続しており、液体中に溶解し いる気体を取り除くための気水分器11(3)と、 パイプPa6(3)を介して当該気水分器と接続して おり、当該循環路内を通過する水に対して磁 気処理を施す第一磁気処理装置5(3)とから構 される。また、流量計4(3)は、循環タンク1(3) の貯水容量、送水ポンプ2(3)の処理能力等を 慮して設置しない場合もある。湿し水供給 置R3は、パイプ系Pb(3){Pb1(3)~Pb4(3)}と、循環タ ク1(3)と、パイプPb1(3)を介して当該循環タン クと接続している一方Pb2(3)を介して印刷機7 接続している湿し水供給用水処理システムS3 と、パイプPb3(3)を介して印刷機7と接続して り、パイプPb4(3)を介して前記循環タンク1(3) 接続している濾過装置8(3)とを有する。

《光触媒装置の構成》
 光触媒装置3に用いられる光触媒としては、 公知の光触媒が使用可能であり、特に限定さ れないが、例えば、酸化チタン(TiO 2 )、酸化亜鉛(ZnO 2 )等の各種金属酸化物が挙げられる。光触媒 造体としては、光触媒が担持されたシリカ 繊維、網状体や、光触媒が練り込まれた繊 、その他構造体等が挙げられる。好適な光 媒構造体は、前記繊維の織布又は不織布と った繊維成形体(例えば繊維フィルタ)である 。これらの中でも、光触媒が表面に担持又は 塗布された光触媒構造体では、磁気処理され た水を使用するために光触媒の剥離が多くな るので、光触媒が練り込まれた繊維又はその 不織布が特に好適であり、TiO 2 やその共融点化合物やある特定元素により置 換型の固溶体を形成したもの等の光触媒機能 を有する成分を含む、シリカ基複合酸化物繊 維(例えば、特開2002-371436)又はその不織布が に好適である。当該繊維成形体を用いると 光触媒と水との接触効率が高まるので、よ 効率的に光触媒処理を行うことができ、更 、装置等の表面に塗布するものよりも水流 よる剥離が少ないため、触媒の耐久性が向 する。

 光触媒装置3は、公知の水処理用光触媒装 置を用いることができ、特に限定されないが 、例えば、前述の繊維成形体(例えば繊維フ ルタ)から円錐状の成形物を作り、処理流体 流れに沿ってある間隔をあけて反応容器内 多段(スタック状)に配置することが好適で る。更に、多段に配置された前記複数の円 状の成形物の中央を開口し、水の流れ方向 沿って紫外線ランプをこれら開口部に配置 ることが好適である。以下、当該装置の具 例を詳述する。

 図4は、光触媒装置3の一つの実施態様であ 光触媒装置31(1)の概略図である。光触媒装置 31(1)は、図4(a)に示す縦断面図のように、ステ ンレス製筒状ケース31a(1)内の軸線中央には紫 外線照射ランプ31b(1)が装着され、該紫外線照 射ランプ31b(1)の外周面には石英管31c(1)が垂設 されている。筒状ケース31a(1)の内周壁から石 英管31c(1)の外周壁には上向き漏斗状に複数の 光触媒繊維不織布31d(1)が階段状に取り付けら れている。光触媒繊維不織布31d(1)には酸化チ タン(TiO 2 )が含浸され、通水可能とされている。31e(1) 、送水ポンプ2からの水を受容する入水口で 31f(1)は、流量計4に送水する送出口である。

 図4(b)は、光触媒装置31(1)の全体の概念図 ある。紫外線照射ランプ31b(1)及び石英管31c( 1)を中心として、中空円錐台状に成形された 触媒繊維不織布31d(1)が、スタック状に取り けられている。光触媒繊維不織布31d(1)と筒 ケース31a(1)及び石英管31c(1)との密着性を高 て当該間に隙間をなくすために、光触媒繊 不織布31d(1)の外周縁及び開口縁にパッキン3 1g(1)を設けることが好適である。これにより 処理水が当該成形物の繊維の隙間を効率的 通過することが可能となる。

 図5は、光触媒装置3の他の実施態様であ 光触媒装置31(2)の縦断面図を示し、石英管か らなる筒状ケース31a(2)の外周面には複数本の 紫外線照射ランプ31b(2)が垂設されている。該 筒状ケース31a(2)の左右内周壁から軸線中心線 上に向けて約30度の上向き角度で、複数枚の 触媒繊維不織布31d(2)が階段状にかつ交互に るように配設されている。31e(2)は、送水ポ プ2からの水を受容する入水口で、31f(2)は、 流量計4に送水する送水口である。なお、図 していないが紫外線照射ランプ31b(2)の外側 面には、紫外線用保護筒状ケースが装着さ ている。

《磁気処理装置の構成》
 本最良形態に係る磁気処理装置5には、水の 流れる方向に直交するように磁力線を印加す るように異磁極又は同磁極の永久磁石が対向 するように配設されていることが好適である 。磁気処理装置は、磁力が水に印加可能であ る限り特に限定されないが、例えば、異磁極 又は同磁極に対向させた磁石を水の流路方向 に複数対配列した形態が好ましい。配列する 磁石は、特に限定されないが、例えば、厚み 方向、径方向、内外二極に着磁したリング型 磁石や、厚み方向、長軸方向、片面多極、両 面多極に着磁した立方体、直方体等の角型磁 石や、径方向、厚み方向に着磁したセグメン ト型磁石が挙げられる。

 本最良形態に係る磁気処理装置の中心磁 密度は、500~2000ガウスが好適である。但し 磁気処理装置内の中心磁束密度は流路方向 対して均一でなくともよく、また、流路方 の少なくとも一部が前記範囲であればよい

 尚、磁気処理装置に、更に遠赤外線を放射 る物質が設けられていてもよい。磁気処理 おいて、磁気に加え遠赤外線を照射するこ により相乗効果が得られることが知られて る。遠赤外線を放射吸収する物質としては 例えば、アルミナ、カルシウム、ジルコニ 等を焼結したセラミックスが挙げられる。 該セラミックスの具体例としては、SiO 2 =70~80%、Al 2 O 3 =10~20%、Fe 2 O 3 =3~9%、ZrO 2 =0~5%以下の組成を有する焼結体が挙げられる

 図6(a)は、磁気処理装置5の1例である磁気 理装置51(1)の概略構造の断面図を示し、51a(1 )及び51b(1)は、フェライト系の永久磁石で、 6(b)の同A-A線断面図に示すように、円筒状パ プを形成し、51a(1)及び51b(1)が、異磁極であ ば破線で示すように、円筒状パイプ内を流 る水(実線矢印)に直交するように磁力線が 加され、水の表面張力が低減され、印刷機7 好適な湿し水MWとなって循環タンク1内に送 される。また図示しないが、例えば、第一 最良形態に係る装置の循環パイプPb3(1)の外 面に異磁極の永久磁石を装着して、循環パ プPb3(1)内を流通する水に直交するように磁 線を印加して、該水の表面張力を低減する ともできる。

 図7(a)は、磁気処理装置5における他の例 ある磁気処理装置51(2)の概略構造の一部切欠 概略断面図を示し、51c(2)及び51d(2)は、フェラ イト系の永久磁石で、図7(b)の同B-B線断面図 示すように、略円筒状パイプを形成してい が、51c(2)及び51d(2)は、同磁極であるために 撥し平行破線で示すように、円筒状パイプ を流れる水(実線矢印)に直交するように磁力 線が印加され、水の表面張力が低減され、印 刷機7に好適な湿し水MWとなって循環タンク1 に送水される。なお、51f(2)は保護ケースで る。

 図8(a)は、上記の磁気処理装置5の別の最 形態である磁気処理装置51(3)の概略構造図で ある。磁気処理装置51(3)は、厚さ方向に着磁 たリング型磁石51a~f(3)と、当該リング型磁 の中空部を貫く方向に形成されている流路51 g(3)を有する。リング型磁石51a~f(3)は、隣り合 う磁石が同極で反発しあうように流路51g(3)の 方向に沿って配置されている。

 図8(b)は、磁気処理装置5の別の例である 気処理装置51(4)を示す概略構造図である。磁 気処理装置51(4)は、長軸方向に着磁した角型 石51a~f(4)と、当該磁石に対向する位置に設 られている角型磁石51a’~f’(4)と、当該角型 磁石51a~f(4)と角型磁石51a’~f’(4)に挟まれる 置に形成されている流路51g(4)を有する。角 磁石51a~f(4)及びa’~f’(4)は、隣り合う磁石が 同極で反発しあうように流路51g(4)の方向に沿 って配置されている。尚、角型磁石51a~f(4)と5 1a’~f’(4)は、流路を挟んで同極でそれぞれ 向している。尚、本例では角型を例示した 、セグメント型であってもよい。

《その他任意の装置》
気水分器
 図9は、気水分器11の概念図である。本最良 態に係る気水分器11は、筐体11aと、筐体11a 両端に設けられた入水口11b及び送出口11cと 当該入水口11bと送出口11cの間に流路を妨げ ように、且つ、流路を塞ぐことのないよう 、筐体11a内部の底面に構築された壁状体11d 、当該壁状体11dよりも送出口11c側の天井面 設けられた気泡分離部11eと、これに接続さ た排気口11fとを有している。

 気水分器11内では、入水口11bから導入さ た水MWは、壁状体11dによりその流路を妨げら れ、流れ方向を上向きへと変化させる。流れ の方向が上向きに変化した水MWは、構造体の 井面とぶつかり、更に、流れ方向を送出口1 1c方向へと変化させる。当該流れの変化によ 、水中に溶解していた気体は、気泡Bとなっ て、気水分器11の上方へと移動した後、気泡 離部11eを経て排気口11fから排出される。当 気水分器を磁気処理装置5の手前(好ましく 直前)に設けることにより、磁気処理をより 果的に行うことができ、印刷精度が向上す 。

フィルタ
 フィルタ9は、水MWに含まれる、紙粉、粉塵 パウダー等の比較的サイズの大きな不純物 取り除く機能を有する限り特に限定されな 。当該フィルタを設置すると大きな不純物 除去できるため、より効率的に光触媒処理 行うことができる。

 つぎに、第一の最良形態を例にとり、本発 の水有り式オフセット印刷の湿し水供給用 処理装置の作動態様について説明する。容 30L~500Lの循環タンク1内に供給された水(例え ば、水道水)は、10~15℃の恒温に保たれている ことが好適であり、8~12℃の恒温に保たれて ることがより好適である。そして、当該水 、送水ポンプ2(1)により、循環タンク1から下 流へと送水される。ここで、送水流量は、10~ 50L/minが好適であり、20~40L/minがより好適であ 、27~35L/minが更に好適である。当該範囲の送 水流量とすると、磁気処理及び光触媒処理が 効果的に行われるため、印刷精度が向上する 。そして、送水された水は、循環タンク1の 流に配された光触媒装置3(1)内に進入する。 該進入した水は、光触媒装置3(1)内の光触媒 繊維不織布31dを通水しながら、紫外線照射ラ ンプ31bから照射される200~290nmの短波長紫外線 を浴びる。尚、当該処理により、水中の有機 物及び雑菌類は、二酸化炭素(CO 2 )と水(H 2 O)に分解されて無害化する。更に、紫外線照 ランプで照射される紫外線を、前述の短波 紫外線の範囲とすると、当該短波長紫外線 、細菌細胞中のDNA(デオキシリボ核酸)の光 収スペクトルである260nm波長近傍の吸収帯に 近似するので、細菌細胞中のDNAに作用し、水 和現象、ダイマー形成、分解等の光化学反応 により、芽胞を含む細菌、カビ類を死減させ るので、印刷機械が長期間停止しても、循環 タンク内等に藻やカビ等の発生を防止できる 。

 図4に示す、光触媒装置3(1)を出た水は、 環パイプ系Pa(1)で流量計4(1)を経て磁気処理 置5(1)に送水される。当該水は、図6、図7及 図8に示すように、磁気処理装置5(1)内を通水 しながら永久磁石からの磁力線を印加され、 表面張力が低減されて下流の循環タンク1内 送水される。図1に示す1aは、循環タンク1の 水口で、図示するように、磁気処理装置5(1) の循環パイプPa5(1)の先端部が出水口1a近傍に 設され、表面張力が低減された湿し水MWの 質が迅速に均質化するように設定されてい 。

 循環タンク1内の湿し水MWは、送水ポンプ6 により送水パイプPb2を経て印刷機7により所 の印刷が行われた後、回収パイプPb3により 集され、濾過装置8により濾過された後、戻 水となって回収パイプPb4により循環タンク1 に環流される。

 循環タンク1に環流された湿し水MWは、循 パイプ系Pa(1)を介して、再び送水ポンプ2(1) 光触媒装置3(1)、流量計4(1)、磁気処理装置5( 1)、循環タンク1に送水され、送水ポンプ6か 送水パイプPb1、印刷機7による印刷、回収パ プPb3による回収、濾過装置8による濾過を経 て、回収パイプPb4から循環タンク1に環流さ る循環工程が、印刷機7が作動している間、 続的に繰り返し行われる。尚、印刷機7で湿 し水が使用されるため、減った分の水を補充 する必要がある。

 第二、第三の最良形態に係る本発明の水 り式オフセット印刷用の湿し水供給用水処 システムの作動態様については、基本的に 一の最良形態と同様の動作態様である。

《印刷物》
 本最良形態に係る湿し水供給用水処理シス ムで光触媒処理及び磁気処理した水を湿し として用いた場合、IPAやエッチ液を加えず 、通常の水道水のみで水有り式オフセット 刷を行うことができる。そのため当該シス ムを用いた印刷物にも特徴が現れる。
 例えば、IPAやエッチ液等の化学薬品を添加 ないため、これらの残留量はゼロとなる。 の他、エッチ液を加えないため、印刷用紙 表面にコーティングされた炭酸カルシウム ほとんど溶解しないので、印刷物表面の紙 白色度が向上する、印刷物表面の光沢度が 加する等の特徴を有する。具体的には、後 する実施例の条件で実施した際、印刷物表 の光沢度は、IPA及びエッチ液を添加した場 には59程度であるのに対して、本発明に係 水処理システムを用いた場合には64程度であ る。尚、測定には堀場製作所製IG-310を用いる 。更には、IPAを添加しないため、湿し水とイ ンキの過乳化が起こりにくく、ドットゲイン (網点の太り)が少なくなる。ドットゲインは 2~5%が好適である。尚、ドットゲインは、下 記の式から計算され、測定にはテシコン社製 スペクトロプレートを用いる。
[ドットゲイン]=[印刷物上の網点のパーセン ]-[刷版上の網点のパーセント]

実施例1
 図2に示す湿し水供給用水処理システムS2を いて水処理を実施し、水の表面張力を測定 た。更に、図2に示す水有り式オフセット印 刷システムM2を用いて実際に印刷を行い、当 印刷物の印刷適性評価を実施した。尚、使 した循環タンク1は貯水量300Lであり、当該 ンク内に水道水を240L給水し、イソプロピル ルコール、エッチ液又はそれらの代替物を く投入しないで、湿し水供給用水処理シス ムを稼動して10分間のウオーミングアップ 行った後に実施した。以下に実験条件(印刷 件を含む)を示す。

 実機印刷条件 :印刷機-オフセット印刷機(( )小森コーポレーション社製)
        :印刷速度-8000rpm
        :印刷インキ-油性インキ(大日本 ンキ化学工業(株)社製フュー
         ジョンG)
        :水一水道水(水温11℃)
        :用紙-コート紙(93.5Kg、菊全判)
        :テスト時間-3H
        :着色数等-4色刷
        :環境条件-温度25℃、湿度50~60%
        :磁気処理装置-ニールセン テク カル トレーディング社製アクア
         コレクトAC-20(商標)
        :光触媒装置-宇部興産製UPM-25440-80 P
        :送水流量-32L/min

 その結果、印刷適性評価は、従来の印刷適 評価を上回った。評価結果を表1に示した。 また、水処理システムを用いずにイソプロピ ルアルコール及びエッチ液を添加した場合の 印刷評価結果を併せて記載した。

実施例2
 循環タンク1内の水の量が60Lであること以外 は実施例1の条件と同条件で、図2に示す湿し 供給用水処理システムS2を用いて3時間水処 を実施して、処理した水の表面張力を測定 た。本発明に係るシステムを作動させると 循環タンク1内の水の静的表面張力は、低減 した。処理してから5日間後、処理した水の 面張力の測定を行った。尚、表面張力は、 レート法(ISO304)にて測定した。測定条件を以 下に示す。
 測定条件 :測定装置-協和界面化学製CBVP-A3
      :測定方法-プレート法
      :測定範囲-0~100.0mN/m
      :測定精度-±0.2mN/m
      :測定読取-0.1mN/m
      :手動キャリブレーション
      :測定温度-24.0±0.5℃
      :湿度-30%
(恒温恒湿室内で測定)

 表面張力測定の結果、表面張力は34.0~35.2m N/mであった。詳細な結果を表2及び図10に示し た。

図1は、本発明に係る、水有り式オフセ ット印刷いわゆる平版印刷方式用使用水の表 面張力を低減し、湿し水とする装置における 第一の最良形態を示す概略図である。 図2は、本発明に係る、オフセット印刷 いわゆる平版印刷方式用使用水の表面張力を 低減し、湿し水とする装置における第二の最 良形態を示す概略図である。 図3は、本発明に係る、水有り式オフセ ット印刷いわゆる平版印刷方式用使用水の表 面張力を低減し、湿し水とする装置における 第三の最良形態を示す概略図である。 図4(a)は、光触媒装置の縦断面図である 。図4(b)は、光触媒装置の概念図である。 図5は、光触媒装置の他の実施態様を示 す縦断面図である。 図6(a)は、磁気処理装置の1例を示す概 断面図である。図6(b)は、同A-A線断面図であ 。 図7(a)は、磁気処理装置の他の例を示す 概略一部切欠概略断面図である。図7(b)は、 B-B線断面図である。 図8は、磁気処理装置の他の例を示す概 略構造図である。 図9は、気水分器の概念図である。 図10は、表面張力測定結果を示した図 ある。 図11は、従来の水有り式オフセット印 いわゆる平版印刷方式における使用水循環 給水設備の概略図である。

符号の説明

S 水有り式オフセット印刷いわゆる平版印刷 方式用使用水の表面張力を低減し、湿し水と する装置
MW 湿し水(水)
1 循環タンク
2 送水ポンプ
3 光触媒装置
3a、31a 筒状ケース
3b、31b 紫外線照射ランプ
3c 石英管
3d、31d 光触媒繊維不織布
4 流量計
5 磁気処理装置
5a、5b 永久磁石
5c、5d 永久磁石
6 送水ポンプ
7 印刷機
8 濾過装置
Pa パイプ系
Pb パイプ系