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Title:
TUNNEL MAGNETORESISTIVE THIN FILM AND MAGNETIC MULTILAYER FILM FORMATION APPARATUS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/155995
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a tunnel magnetoresistive thin film which can simultaneously realize a high MR ratio and low magnetostriction. The tunnel magnetoresistive thin film comprises a magnetization fixed layer, a tunnel barrier layer, and a magnetization free layer. The tunnel barrier layer is a magnesium oxide film comprising magnesium oxide crystal grains having (001) orientation. The magnetization free layer has a laminated structure comprising a first magnetization free layer formed of an alloy having (001) orientation having a body centered cubic structure containing a Co atom, an Fe atom, and a B atom or a body centered cubic structure containing a Co atom, an Ni atom, an Fe atom, and a B atom, and a second magnetization free layer formed of an alloy having a face centered cubic structure containing an Fe atom and an Ni atom.

Inventors:
TSUNEKAWA KOJI (JP)
NAGAMINE YOSHINORI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/060418
Publication Date:
December 24, 2008
Filing Date:
June 06, 2008
Export Citation:
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Assignee:
CANON ANELVA CORP (JP)
TSUNEKAWA KOJI (JP)
NAGAMINE YOSHINORI (JP)
International Classes:
H01L43/08; G01R33/09; G11B5/39; H01F10/16; H01F10/32; H01L21/8246; H01L27/105; H01L43/10
Foreign References:
JP2007059879A2007-03-08
JP2007095750A2007-04-12
Attorney, Agent or Firm:
WATANABE, Keisuke et al. (Mitsui Sumitomo Ginko Okachimachi Bld.11-4, Taito 4-chom, Taito-ku Tokyo 16, JP)
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Claims:
 磁化固定層、トンネルバリア層、磁化自由層を有するトンネル磁気抵抗薄膜であって、
 前記トンネルバリア層は、(001)配向した酸化マグネシウム結晶粒を有する酸化マグネシウム膜であり、
 前記磁化自由層は、Co原子、Fe原子及びB原子を含有した体心立方構造或いはCo原子、Ni原子、Fe原子及びB原子を含有した体心立方構造の(001)配向した合金からなる第一磁化自由層と、Fe原子及びNi原子を含有した面心立方構造の合金からなる第二磁化自由層との積層構造であることを特徴とするトンネル磁気抵抗薄膜。
 前記第一磁化自由層は、(Co 100-x-y Ni x Fe y ) 100-z B z (x、y、zはatomic%)で示される組成がx+y<100、0≦x≦30、10≦y<100、0<z≦6である請求項1に記載のトンネル磁気抵抗薄膜。
 前記磁化固定層の保磁力H cp と、前記磁化自由層の保磁力H cf とは、H cp >H cf の関係を満たす請求項1に記載のトンネル磁気抵抗薄膜。
 さらに、前記磁化固定層に隣接して反強磁性層を有し、該磁化固定層の磁化は、該反強磁性層との交換結合によって一軸方向に固定され、且つ磁化固定層と反強磁性層の間の交換結合磁界H ex と、磁化自由層の保磁力H cf とは、H ex <H cf の関係を満たしている請求項1に記載のトンネル磁気抵抗薄膜。
 前記磁化固定層は、第一磁化固定層及び第二磁化固定層を有し、さらに、該第一磁化固定層と第二磁化固定層との間に交換結合用非磁性層を有し、該磁化固定層の磁化は、反強磁性層との交換結合によって一軸方向に固定され、該第一磁化固定層と第二磁化固定層とは、反強磁性結合している積層フェリ固定層であり、第一磁化固定層と第二磁化固定層の間の反強磁性結合磁界H ex * と磁化自由層の保磁力H cf とが、H ex * >H cf の関係を満たしている請求項1に記載のトンネル磁気抵抗薄膜。
 磁化自由層、トンネルバリア層及び磁化固定層を有するトンネル磁気抵抗薄膜であって、
前記トンネルバリア層は、(001)配向した酸化マグネシウム結晶粒を有する酸化マグネシウム膜であり、
 前記磁化自由層は、体心立方構造を有し、(001)配向し、Co原子、Fe原子及びB原子を含有した合金層或いはCo原子、Ni原子、Fe原子及びB原子を含有した合金層からなることを特徴とするトンネル磁気抵抗薄膜。
 前記磁化自由層は、(Co 100-x-y Ni x Fe y ) 100-z B z (x、y、zはatomic%)で示される組成がx+y<100、0≦x≦30、10≦y<100、0<z≦6である請求項6に記載のトンネル磁気抵抗薄膜。
 磁化固定層、トンネルバリア層、磁化自由層がこの順に積層された積層体を有するトンネル磁気抵抗薄膜であって、
 前記トンネルバリア層は、(001)配向した酸化マグネシウム結晶粒を有する酸化マグネシウム膜であり、
 前記磁化自由層は、Co原子、Fe原子及びB原子を含有した体心立方構造或いはCo原子、Ni原子、Fe原子及びB原子を含有した体心立方構造の(001)配向した合金からなる第一磁化自由層と、Fe原子及びNi原子を含有した面心立方構造の合金からなる第二磁化自由層との積層構造であることを特徴とするトンネル磁気抵抗薄膜。
 基板搬送装置を備えた搬送チャンバ、
 前記搬送チャンバとゲートバルブを介して接続配置し、酸化マグネシウムターゲットを用いたスパッタリング法により、(001)配向した酸化マグネシウム結晶粒を有する酸化マグネシウム層を成膜するように為した第1成膜チャンバ、
 前記搬送チャンバとゲートバルブを介して接続配置し、Co原子、Fe原子及びB原子を含有した磁性体ターゲット或いはCo原子、Ni原子、Fe原子及びB原子を含有した磁性体ターゲットを用いたスパッタリング法により、Co原子、Fe原子及びB原子を含有した合金或いはCo原子、Ni原子、Fe原子及びB原子を含有した合金であって、体心立方構造の(001)配向した結晶性第一磁化自由層を成膜し、Fe原子及びNi原子を含有した磁性体ターゲットを用いたスパッタリング法により、Fe原子及びNi原子を含有した合金であって面心立方構造のFeNi合金からなる第二磁化自由層を成膜するように為した第2成膜チャンバ、
 並びに、
 基板の上に、前記酸化マグネシウム層に隣接して前記第一磁化自由層を積層し、該第一磁化自由層に隣接して前記第二磁化自由層を積層するように為した真空搬送機構、
を有することを特徴とする磁性多層膜作製装置。
 基板搬送装置を備えた搬送チャンバ、
 前記搬送チャンバとゲートバルブを介して接続配置し、酸化マグネシウムターゲットを用いたスパッタリング法により、(001)配向した酸化マグネシウム結晶粒を有する酸化マグネシウム層を成膜するように為した第1成膜チャンバ、
 前記搬送チャンバとゲートバルブを介して接続配置し、Co原子、Ni原子、Fe原子及びB原子のうち少なくとも2種成分を含有した第一磁性体ターゲット、及び前記4種成分のうちの該第一磁性体ターゲットで用いていない成分を少なくとも含有する第二磁性体ターゲットを用いた2元同時スパッタリング法により、Co原子、Fe原子及びB原子を含有した合金或いはCo原子、Ni原子、Fe原子及びB原子を含有した合金であって、体心立方構造の(001)配向した結晶性第一磁化自由層を成膜し、Fe原子及びNi原子を含有した磁性体ターゲットを用いたスパッタリング法により、Fe原子及びNi原子を含有した合金であって面心立方構造のFeNi合金からなる第二磁化自由層を成膜するように為した第2成膜チャンバ、
 並びに、
 基板の上に、前記酸化マグネシウム層に隣接して前記第一磁化自由層を積層し、該第一磁化自由層に隣接して前記第二磁化自由層を積層するように為した真空搬送機構、
を有することを特徴とする磁性多層膜作製装置。
 基板搬送装置を備えた搬送チャンバ、
 前記搬送チャンバとゲートバルブを介して接続配置し、マグネシウムターゲットを用いたスパッタリング法により、金属のマグネシウム層を成膜するように為した第1成膜チャンバ、
 前記搬送チャンバとゲートバルブを介して接続配置し、前記マグネシウム層を(001)配向した酸化マグネシウム結晶粒を有する酸化マグネシウム層に為す酸化処理チャンバ、
 前記搬送チャンバとゲートバルブを介して接続配置し、Co原子、Ni原子、Fe原子及びB原子のうち少なくとも2種成分を含有した第一磁性体ターゲット、及び前記4種成分のうちの該第一磁性体ターゲットで用いていない成分を少なくとも含有する第二磁性体ターゲットを用いた2元同時スパッタリング法により、Co原子、Fe原子及びB原子を含有した合金或いはCo原子、Ni原子、Fe原子及びB原子を含有した合金であって、体心立方構造の(001)配向した結晶性第一磁化自由層を成膜し、Fe原子及びNi原子を含有した磁性体ターゲットを用いたスパッタリング法により、Fe原子及びNi原子を含有した合金であって面心立方構造のFeNi合金からなる第二磁化自由層を成膜するように為した第2成膜チャンバ、
 並びに、
 基板の上に、前記酸化マグネシウム層に隣接して前記第一磁化自由層を積層し、該第一磁化自由層に隣接して前記第二磁化自由層を積層するように為した真空搬送機構、
を有することを特徴とする磁性多層膜作製装置。
 基板搬送装置を備えた搬送チャンバ、
 前記搬送チャンバとゲートバルブを介して接続配置し、マグネシウムターゲットを用いたスパッタリング法により、金属のマグネシウム層を成膜するように為した第1成膜チャンバ、
前記搬送チャンバとゲートバルブを介して接続配置し、前記マグネシウム層を(001)配向した酸化マグネシウム結晶粒を有する酸化マグネシウム層に為す酸化処理チャンバ、
 前記搬送チャンバとゲートバルブを介して接続配置し、Co原子、Fe原子及びB原子を含有した磁性体ターゲット或いはCo原子、Ni原子、Fe原子及びB原子を含有した磁性体ターゲットを用いたスパッタリング法により、Co原子、Fe原子及びB原子を含有した合金或いはCo原子、Ni原子、Fe原子及びB原子を含有した合金であって、体心立方構造の(001)配向した結晶性第一磁化自由層を成膜し、Fe原子及びNi原子を含有した磁性体ターゲットを用いたスパッタリング法により、Fe原子及びNi原子を含有した合金であって面心立方構造のFeNi合金からなる第二磁化自由層を成膜するように為した第2成膜チャンバ、
 並びに、
 基板の上に、前記酸化マグネシウム層に隣接して前記第一磁化自由層を積層し、該第一磁化自由層に隣接して前記第二磁化自由層を積層するように為した真空搬送機構、
を有することを特徴とする磁性多層膜作製装置。
Description:
トンネル磁気抵抗薄膜及び磁性 層膜作製装置

 本発明は、磁気ディスク駆動装置の磁気 生ヘッド、磁気ランダムアクセスメモリの 憶素子及び磁気センサーに用いられるトン ル磁気抵抗薄膜及び磁性多層膜作製装置に する。

 アモルファスCoFeBを強磁性電極としNaCl構 のMgOをトンネルバリア層としたトンネル磁 抵抗薄膜は室温で200%以上の巨大なMR比(磁気 抵抗変化率)を示す。そのため、磁気ディス 駆動装置の磁気再生ヘッドや磁気ランダム クセスメモリ(MRAM)の記憶素子、磁気センサ への応用が期待されている。従来のアモル ァスCoFeBを強磁性電極としMgOをトンネルバリ ア層としたトンネル磁気抵抗薄膜は、磁化自 由層が正の大きな磁歪を持ったCoFeB単層であ たため、デバイス動作をさせた際にノイズ 原因となっていた。

 ところで、巨大磁気抵抗効果を利用した 世代の磁気抵抗薄膜では、高いMR比を得る めに第一磁化自由層としてCoFe合金を用いて る。しかしながら、それもまた正の磁歪が きいため第二磁化自由層として負の磁歪を ったNiFeを積層し、磁化自由層全体として磁 歪を実用可能なレベルまで小さくしていた。

 同様の効果を期待して、従来のアモルフ スCoFeBを強磁性電極としMgOをトンネルバリ 層としたトンネル磁気抵抗薄膜におけるCoFeB 磁化自由層の上にNiFeを積層するとMR比が極端 に低下するという問題があった。その原因と しては後工程の高温アニール処理においてア モルファスのCoFeBが結晶化する際、NiFe層側か ら結晶化することが考えられる。

 このような問題を解決するために、例え 、特許文献1には、CoFeB磁化自由層にNiを添 して単層状態のまま磁歪を下げるという技 が開示されている。また特許文献2には、第 磁化自由層と第二磁化自由層の間に非磁性 拡散防止層を挿入した構成が開示されてい 。

特開2007-95750号公報

特開2006-319259号公報

 本発明の課題は、高いMR比と低い磁歪を ね備えたトンネル磁気抵抗薄膜及び磁性多 膜作製装置を提供することにある。

 本発明の第1のトンネル磁気抵抗薄膜は、
 磁化固定層、トンネルバリア層、磁化自由 を有するトンネル磁気抵抗薄膜であって、
 前記トンネルバリア層は、(001)配向した酸 マグネシウム結晶粒を有する酸化マグネシ ム膜であり、
 前記磁化自由層は、Co原子、Fe原子及びB原 を含有した体心立方構造或いはCo原子、Ni原 、Fe原子及びB原子を含有した体心立方構造 (001)配向した合金からなる第一磁化自由層 、Fe原子及びNi原子を含有した面心立方構造 合金からなる第二磁化自由層との積層構造 あることを特徴とする。

 本発明の好ましい態様において、前記第一 化自由層は、(Co 100-x-y Ni x Fe y ) 100-z B z (x、y、zはatomic%)で示される組成がx+y<100、0 x≦30、10≦y<100、0<z≦6である。

 本発明の好ましい態様において、前記磁化 定層の保磁力H cp と、前記磁化自由層の保磁力H cf とは、H cp >H cf の関係を満たしている。

 本発明の好ましい態様において、さらに、 記磁化固定層に隣接して反強磁性層を有し 該磁化固定層の磁化は、該反強磁性層との 換結合によって一軸方向に固定され、且つ 化固定層と反強磁性層の間の交換結合磁界H ex と、磁化自由層の保磁力H cf とは、H ex <H cf の関係を満たしている。

 本発明の好ましい態様において、前記磁化 定層は、第一磁化固定層及び第二磁化固定 を有し、さらに、該第一磁化固定層と第二 化固定層との間に交換結合用非磁性層を有 、該磁化固定層の磁化は、反強磁性層との 換結合によって一軸方向に固定され、該第 磁化固定層と第二磁化固定層とは、反強磁 結合している積層フェリ固定層であり、第 磁化固定層と第二磁化固定層の間の反強磁 結合磁界H ex * と磁化自由層の保磁力H cf とが、H ex * >H cf の関係を満たしている。

 本発明の第2のトンネル磁気抵抗薄膜は、
 磁化自由層、トンネルバリア層及び磁化固 層を有するトンネル磁気抵抗薄膜であって
 前記トンネルバリア層は、(001)配向した酸 マグネシウム結晶粒を有する酸化マグネシ ム膜であり、
 前記磁化自由層は、体心立方構造を有し、( 001)配向し、Co原子、Fe原子及びB原子を含有し た合金層或いはCo原子、Ni原子、Fe原子及びB 子を含有した合金層からなることを特徴と る。

 本発明の好ましい態様において、前記磁化 由層は、(Co 100-x-y Ni x Fe y ) 100-z B z (x、y、zはatomic%)で示される組成がx+y<100、0 x≦30、10≦y<100、0<z≦6である。

 本発明の第3のトンネル磁気抵抗薄膜は、
 磁化固定層、トンネルバリア層、磁化自由 がこの順に積層された積層体を有するトン ル磁気抵抗薄膜であって、
 前記トンネルバリア層は、(001)配向した酸 マグネシウム結晶粒を有する酸化マグネシ ム膜であり、
 前記磁化自由層は、Co原子、Fe原子及びB原 を含有した体心立方構造或いはCo原子、Ni原 、Fe原子及びB原子を含有した体心立方構造 (001)配向した合金からなる第一磁化自由層 、Fe原子及びNi原子を含有した面心立方構造 合金からなる第二磁化自由層との積層構造 あることを特徴とする。

 本発明の第1の磁性多層膜作製装置は、
 基板搬送装置を備えた搬送チャンバ、
 前記搬送チャンバとゲートバルブを介して 続配置し、酸化マグネシウムターゲットを いたスパッタリング法により、(001)配向し 酸化マグネシウム結晶粒を有する酸化マグ シウム層を成膜するように為した第1成膜チ ンバ、
 前記搬送チャンバとゲートバルブを介して 続配置し、Co原子、Fe原子及びB原子を含有 た磁性体ターゲット或いはCo原子、Ni原子、F e原子及びB原子を含有した磁性体ターゲット 用いたスパッタリング法により、Co原子、Fe 原子及びB原子を含有した合金或いはCo原子、 Ni原子、Fe原子及びB原子を含有した合金であ て、体心立方構造の(001)配向した結晶性第 磁化自由層を成膜し、Fe原子及びNi原子を含 した磁性体ターゲットを用いたスパッタリ グ法により、Fe原子及びNi原子を含有した合 金であって面心立方構造のFeNi合金からなる 二磁化自由層を成膜するように為した第2成 チャンバ、
 並びに、
 基板の上に、前記酸化マグネシウム層に隣 して前記第一磁化自由層を積層し、該第一 化自由層に隣接して前記第二磁化自由層を 層するように為した真空搬送機構、
を有することを特徴とする。

 本発明の第2の磁性多層膜作製装置は、
 基板搬送装置を備えた搬送チャンバ、
 前記搬送チャンバとゲートバルブを介して 続配置し、酸化マグネシウムターゲットを いたスパッタリング法により、(001)配向し 酸化マグネシウム結晶粒を有する酸化マグ シウム層を成膜するように為した第1成膜チ ンバ、
 前記搬送チャンバとゲートバルブを介して 続配置し、Co原子、Ni原子、Fe原子及びB原子 のうち少なくとも2種成分を含有した第一磁 体ターゲット、及び前記4種成分のうちの該 一磁性体ターゲットで用いていない成分を なくとも含有する第二磁性体ターゲットを いた2元同時スパッタリング法により、Co原 、Fe原子及びB原子を含有した合金或いはCo 子、Ni原子、Fe原子及びB原子を含有した合金 であって、体心立方構造の(001)配向した結晶 第一磁化自由層を成膜し、Fe原子及びNi原子 を含有した磁性体ターゲットを用いたスパッ タリング法により、Fe原子及びNi原子を含有 た合金であって面心立方構造のFeNi合金から る第二磁化自由層を成膜するように為した 2成膜チャンバ、
 並びに、
 基板の上に、前記酸化マグネシウム層に隣 して前記第一磁化自由層を積層し、該第一 化自由層に隣接して前記第二磁化自由層を 層するように為した真空搬送機構、
を有することを特徴とする。

 本発明の第3の磁性多層膜作製装置は、
 基板搬送装置を備えた搬送チャンバ、
 前記搬送チャンバとゲートバルブを介して 続配置し、マグネシウムターゲットを用い スパッタリング法により、金属のマグネシ ム層を成膜するように為した第1成膜チャン バ、
 前記搬送チャンバとゲートバルブを介して 続配置し、前記マグネシウム層を(001)配向 た酸化マグネシウム結晶粒を有する酸化マ ネシウム層に為す酸化処理チャンバ、
 前記搬送チャンバとゲートバルブを介して 続配置し、Co原子、Ni原子、Fe原子及びB原子 のうち少なくとも2種成分を含有した第一磁 体ターゲット、及び前記4種成分のうちの該 一磁性体ターゲットで用いていない成分を なくとも含有する第二磁性体ターゲットを いた2元同時スパッタリング法により、Co原 、Fe原子及びB原子を含有した合金或いはCo 子、Ni原子、Fe原子及びB原子を含有した合金 であって、体心立方構造の(001)配向した結晶 第一磁化自由層を成膜し、Fe原子及びNi原子 を含有した磁性体ターゲットを用いたスパッ タリング法により、Fe原子及びNi原子を含有 た合金であって面心立方構造のFeNi合金から る第二磁化自由層を成膜するように為した 2成膜チャンバ、
 並びに、
 基板の上に、前記酸化マグネシウム層に隣 して前記第一磁化自由層を積層し、該第一 化自由層に隣接して前記第二磁化自由層を 層するように為した真空搬送機構、
を有することを特徴とする。

 本発明の第4の磁性多層膜作製装置は、
 基板搬送装置を備えた搬送チャンバ、
 前記搬送チャンバとゲートバルブを介して 続配置し、マグネシウムターゲットを用い スパッタリング法により、金属のマグネシ ム層を成膜するように為した第1成膜チャン バ、
前記搬送チャンバとゲートバルブを介して接 続配置し、前記マグネシウム層を(001)配向し 酸化マグネシウム結晶粒を有する酸化マグ シウム層に為す酸化処理チャンバ、
 前記搬送チャンバとゲートバルブを介して 続配置し、Co原子、Fe原子及びB原子を含有 た磁性体ターゲット或いはCo原子、Ni原子、F e原子及びB原子を含有した磁性体ターゲット 用いたスパッタリング法により、Co原子、Fe 原子及びB原子を含有した合金或いはCo原子、 Ni原子、Fe原子及びB原子を含有した合金であ て、体心立方構造の(001)配向した結晶性第 磁化自由層を成膜し、Fe原子及びNi原子を含 した磁性体ターゲットを用いたスパッタリ グ法により、Fe原子及びNi原子を含有した合 金であって面心立方構造のFeNi合金からなる 二磁化自由層を成膜するように為した第2成 チャンバ、
 並びに、
 基板の上に、前記酸化マグネシウム層に隣 して前記第一磁化自由層を積層し、該第一 化自由層に隣接して前記第二磁化自由層を 層するように為した真空搬送機構、
を有することを特徴とする。

 本発明において、「結晶配向」の定義と て、本願明細書に記載する「体心立方構造 及び「面心立方構造」では、下記の6つの結 晶面は等価である。

 本願明細書の中では、膜面に垂直方向を 晶軸のc軸と定義し、上記の6つの結晶面配 を全て(001)配向と表現する。

 また、MgOトンネルバリア層が(001)配向し いることの証明として、CuKα線を用いたX線 折(θ-2θ法)において、2θ=43°付近のみに(200) 折ピークが現れれば(001)配向であることが間 接的にわかる。また、より直接的な確認方法 としては、透過型電子顕微鏡により断面像を 観察し、その格子間隔から(001)配向を確認す ことができる。その時、MgO層に電子線を照 し、その回折パターンを解析することによ て、より明確に(001)配向を確認することが きる。

 同様に、「体心立方構造」の第一磁化自 層の(001)配向もCuKα線を用いたX線回折によ て間接的に知ることができ、(001)配向の場合 は2θ=65.5°付近のみに回折ピークが現れる。

 第二磁化自由層がNiとFeを主とした「面心 立方構造」である場合は、CuKα線を用いたX線 回折によって間接的に知ることができ、2θ=44 .5°、51.9°、76.5°、93.1°付近に回折ピークが れる。結晶の配向性によって、上記の全て ピークが同時に現れる場合もあれば、ある つのピークしか現れない場合もある。面心 方構造であることをより明確に知るために 例えば透過型電子顕微鏡により試料断面に 子線を照射し、その回折パターンを解析す ことによって、面心立方構造を確認するこ ができる。

 本発明のトンネル磁気抵抗薄膜において 、高いMR比を得るために正の磁歪を持ったCo NiFeB磁化自由層を用いたにもかかわらず、磁 を下げるために負の磁歪を持ったNiFe合金を 積層してもMR比が低下しない。よって、高いM R比と低い磁歪を兼ね備えたトンネル磁気抵 薄膜が提供され、磁気ディスク駆動装置の 気再生ヘッドやMRAMの記憶素子、磁気センサ へ適用して良好な特性を得ることができる

 また、本発明のトンネル磁気抵抗薄膜は MR比の熱に対する安定性を大幅に改善する とができる。

 本発明の装置は、高い生産性を持って、 MR比の熱に対する安定性の優れたトンネル 気抵抗薄膜を生産することができる。

本発明のトンネル磁気抵抗薄膜の実施 態の断面模式図である。 本発明のトンネル磁気抵抗薄膜を製造 るためのスパッタリング装置の構成を模式 に示す平面図である。 MRAMの構成を示す図である。 図3のMRAMの1メモリセルの断面模式図で る。 図3のMRAMの1メモリセルの等価回路図で る。 本発明の実施例1と比較例のトンネル磁 気抵抗薄膜のMR比のアニール温度依存性を示 図である。

符号の説明

 1 基板
 2 緩衝層
 3 反強磁性層
 4 磁化固定層
 4a 第一磁化固定層
 4b 第二磁化固定層
 5 交換結合用非磁性層
 6 トンネルバリア層
 7 磁化自由層
 7a 第一磁化自由層
 7b 第二磁化自由層
 7c 第三磁化自由層
 8 保護層
 9 交換結合用非磁性層
 20 真空搬送室
 21,22,23 スパッタリング室
 21a Taターゲット
 21b PtMnターゲット
 21c Co 70 Fe 30 ターゲット
 21d Ruターゲット
 21e Co 60 Fe 20 B 20 ターゲット
 22a MgOターゲット
 22b Mgターゲット
 22c 未装着ターゲット
 22d 未装着ターゲット
 22e 未装着ターゲット
 23a Taターゲット
 23b Co 70 Fe 30 ターゲット
 23c Ruターゲット
 23d Co 56 Fe 24 B 20 ターゲット
 23e Ni 83 Fe 17 ターゲット
 25 基板前処理室
 26 酸化処理室
 27 ロードロック室
 28 搬送ロボット
 42 書き換え用ワード線
 43 ビット線
 44 読み出し用ワード線
 45 TMR素子
 46 トランジスタ

 本発明の実施の形態について図面を用い 説明する。

 図1(a)は本発明のトンネル磁気抵抗薄膜の 好ましい実施形態の断面模式図である。

 本発明のトンネル磁気抵抗薄膜は、トン ルバリア層を磁化固定層と磁化自由層とで 持してなる積層体を有する。本発明におい 好ましくは、上記積層体において磁化固定 に隣接して反強磁性層を配置し、磁化固定 の磁化が該反強磁性層との交換結合によっ 一軸方向に固定されているスピンバルブ型 ンネル磁気抵抗薄膜とすることが好ましい 図1(a)はこの反強磁性層を備え、該反強磁性 層を緩衝層を基板側に配置して積層したボト ム型のスピンバルブ型トンネル磁気抵抗薄膜 の構成例である。

 図中、1は基板、2は緩衝層、3は反強磁性 、4は磁化固定層、5は交換結合用非磁性層 6はトンネルバリア層、7は磁化自由層、8は 護層である。

 本発明の構成上の特徴は、トンネルバリア 6に接する第一磁化自由層7aが、CoNiFeB合金か らなり、その組成が好ましくは特定の範囲内 にある。即ち、(Co 100-x-y Ni x Fe y ) 100-z B z (x、y、zはatomic%)で示される組成が、x+y<100 0≦x≦30、10≦y<100、0<z≦6である。尚、 発明に係るトンネルバリア層6に接する第一 化自由層7aにおいては、x=0、即ちNiが含まれ ないCoFeBも含まれるが、便宜上、トンネルバ ア層6に隣接する磁化自由層7aの場合に限り x=0の場合も含めてCoNiFeBと記す。

 本発明は、CoNiFeB合金中に、さらに、微量 (1atomic%以下、好ましくは0.05atomic%以下)の添加 成分として、他の金属、例えば、Al、Zr、Ti、 HfやP等の他、CやSiなどを含有させることがで きる。

 本発明の酸化マグネシウム層は、微量(1at omic%以下、好ましくは0.05atomic%以下)の添加成 、例えば、Ti、Al、Zr、Ru、Ta、Pなどの金属 N、Cl、Ar、Si、Cなどを含有することができる 。

 また、(001)配向したMgO結晶粒を含んだMgO 上にCoNiFeB膜を積層すると、該CoNiFeB膜は(001) 向した体心立方構造を有し、係る構成を有 る磁気抵抗薄膜は本発明の効果が高い。よ て、下記に示すように、トンネルバリア層6 として、(001)配向したMgO結晶粒を含んだMgO膜 用い、その上に第一磁化自由層7aとしてCoNiF eB膜を積層した構成が本発明には用いられる

 本発明において、磁化自由層7は、図1に すように、互いに磁性材料の異なる2層以上 積層膜からなる構成が好ましく適用される 図1(a)は磁化自由層7を7a、7bの2層構成とした 例であり、図1(b)は7a、7b、7cの3層構成とした である。尚、図1(b)の9は交換結合用非磁性 である。このように、磁化自由層7を複数層 成とした場合、トンネルバリア層6に接する 第一磁化自由層7aは上記したように、特定の 成のCoNiFeBからなる。また、第一磁化自由層 7a以外の磁化自由層7b、7cの少なくとも1層は Niを50atomic%以上含む面心立方構造のNiFe合金(N iFe)からなることが好ましい。該NiFeは、好ま くは磁歪が負となるようにNi含有量を82atomic %以上に設定する。図1(b)の構成においては、 二磁化自由層7bをNiを50atomic%以上含む面心立 方構造のNiFeで構成し、第三磁化自由層7cとし てはCoFe合金(CoFe)やCoNiFe合金(CoNiFe)でも良い。 交換結合用非磁性層9としては、Ruが好ましく 用いられる。

 図1(a)における第一磁化自由層7aと第二磁 自由層7bの膜厚は、より高いMR比が得られ、 磁歪が0に近づくようにそれぞれ設定する。 一磁化自由層7aは1乃至3nm、第二磁化自由層7b は1乃至5nmが好ましい。

 本発明において、互いに異なる磁性材料 らなることは、磁性材料の構成元素が異な 、構成元素の組み合わせが異なる、構成元 の組み合わせが同じで組成比が異なる場合 いずれもが含まれる。

 また、本発明において、上記したCoNiFe、N iFe、CoFe等の合金は、それぞれに挙げた元素 みで100atomic%となる場合はもちろん、本発明 効果に影響を与えない範囲で微量の他元素 含む場合も含むものとする。例えば、NiとFe 以外に微量の他元素を含む場合でも、NiとFe みで100atomic%となる場合と本発明の効果にお て同じレベルである場合には、NiFeに含まれ るものとする。

 本発明において、トンネルバリア層6とし ては、(001)配向したMgO結晶粒を含んだMgO膜が いられる。係るMgO膜の配向性は、X線回折に より確認することができる。即ち、X線回折( -2θ法)において、2θ=43°付近に(200)回折ピー が現れれば(001)配向であることが間接的にわ かる。また、より直接的な確認方法としては 、透過型電子顕微鏡により断面像を観察し、 その格子間隔から(001)配向を確認することが きる。その時、MgO層に電子線を照射し、そ 回折パターンを解析することによって、よ 明確に(001)配向を確認することができる。

 トンネルバリア層6としては、Mg/MgOの2層膜 用いることができる。係るMg/MgO膜はツネカ らがアプライド・フィジックス・レターズ(A ppl.Phys.Lett.),87,072503(2005)に報告している。MgO 及びMg/MgOの2層膜の膜厚はトンネル磁気抵抗 膜のトンネル接合抵抗値(RA)に応じて変わる が、磁気ヘッドや磁気ランダムアクセスメモ リに必要とされるRA値は1乃至10000ωμm 2 であるため、典型的には1乃至2nmの間である

 本発明で用いるMgOは、1:1の化学論量比で っても良く、非化学論量比であっても良い

 本発明に係る磁化固定層4は、図1に示す うに、第一磁化固定層4aと第二磁化固定層4b で交換結合用非磁性層5を挟持し、第一磁化 固定層4aと第二磁化固定層4bとが反強磁性結 している積層フェリ固定層であることが好 しい。第一磁化固定層4aにはCoFeが、第二磁 固定層4bにはCoFeBが好ましく用いられ、これ 磁化固定層4a,4b間に挟持される交換結合用 磁性層5としてはRuが好ましく用いられる。 るRu層の膜厚はRKKY(Ruderman Kittel Kasuya Yosida) 互作用によってCoFe層とCoFeB層の間に反強磁 結合が現れる膜厚にする必要がある。実用 には2ndピークと呼ばれる、0.7乃至0.9nmが好 しい。

 尚、磁化固定層4が積層フェリ固定層では ないスピンバルブ型トンネル磁気抵抗薄膜の 場合には、磁化固定層4にはアモルファスのCo FeBを使うことによって同等の効果が得られる 。その膜厚は1乃至5nmが好ましい。

 また、本発明においては、反強磁性層3が無 い場合は磁化固定層4の保磁力H cp と、磁化自由層7の保磁力H cf とが、H cp >H cf の関係を満たすことが好ましい。反強磁性層 3がありかつ磁化固定層4が積層フェリ固定層 はない場合は磁化固定層4と反強磁性層3の の交換結合磁界H ex はH ex >H cf の関係を満たすことが好ましい。反強磁性層 3がありかつ磁化固定層4が積層フェリ固定層 ある場合は第一磁化固定層4aと第二磁化固 層4bの間の反強磁性結合磁界H ex * がH ex * >H cf の関係を満たすことが好ましい。

 その理由はトンネル磁気抵抗効果を発現す ために外部磁界Hを印加することによって磁 化自由層の磁化のみを反転させ、磁化固定層 と磁化自由層の磁化が互いに平行または反平 行となる状態を実現する必要があるからであ る。そのような状態を実現する外部磁界Hの きさはH cp >H>H cf またはH ex >H>H cf またはH ex * >H>H cf を満たさねばならない。そのため、H cp またはH ex またはH ex * はH cf よりも大きければ、大きいほど良い。

 本発明に係る反強磁性層3としては、PtMn 好ましく用いられ、強い反強磁性結合が現 る膜厚が必要とされるため10乃至30nmが好ま い。PtMnの他、IrMnやIrMnCr、NiMn、PdPtMn、RuRhMn OsMn等も好ましく用いられる。

 本発明において好ましくは、前記磁化自 層が互いに磁性材料が異なる2層以上の積層 膜からなり、トンネルバリア層に隣接する第 一磁化自由層が前記CoNiFeB合金からなり、該 一磁化自由層以外の磁化自由層の少なくと 1層がNiを50atomic%以上含む面心立方構造のNiFe 金からなる。

 次に、本発明のトンネル磁気抵抗薄膜の 造方法について説明する。本発明のトンネ 磁気抵抗薄膜は、基板1側から順に所望の膜 を積層すればよい。

 図2は、本発明のトンネル磁気抵抗薄膜の製 造に使用しうるスパッタリング装置の構成を 模式的に示す平面図である。係る装置におい ては、基板搬送用のロボット(基板搬送装置)2 8が2機搭載された真空搬送室(搬送チャンバ)20 と、真空搬送室20に接続されたスパッタリン 室(成膜チャンバ)21乃至23と、基板前処理室2 5と酸化処理室(酸化処理チャンバ)26とロード ック室27から構成される。ロードロック室27 を除く全ての部屋は2×10 -6 Pa以下の真空室であり、各真空室間の基板の 動は真空搬送ロボット28によって真空中に 行われる。21a~21e、22a~22e及び23a~23eは、ター ットである。

 スピンバルブ型トンネル磁気抵抗薄膜を 成するための基板は、初め大気圧にされた ードロック室27に配置され、ロードロック 27を真空排気した後、真空搬送ロボット28に って所望の真空室に搬送される。

 一例として、後述する実施例で作製した 磁化固定層として積層フェリ固定層を有す ボトム型のスピンバルブ型トンネル磁気抵 薄膜を製造する場合を例に挙げて説明する

 各層の構成は、Taターゲット21aを用いたス ッタリング室21でのスパッタリング成膜によ ってTa(10nm)緩衝層2が成膜され、PtMnターゲッ 21bを用いたスパッタリング室21でのスパッタ リング成膜によってPtMn(15nm)反強磁性層3が積 され、Co 70 Fe 30 ターゲット21cを用いたスパッタリング室21で スパッタリング成膜によって磁化固定層4の CoFe層4aが積層され、Ruターゲット21dを用いた パッタリング室21でのスパッタリング成膜 よって磁化固定層4のRu層5が積層され、Co 60 Fe 20 B 20 ターゲット21eを用いたスパッタリング室21で スパッタリング成膜によって磁化固定層4の CoFe層4bが積層され、CoFe(2.5nm)/Ru(0.85nm)/CoFeB(3nm) からなる積層フェリ固定層である磁化固定層 4が積層される。

 スパッタリング室22は、MgOターゲット22a びMgターゲット22bを用いたスパッタリング室 である。ターゲット22c~22eは、ターゲットを 装着にしている。スパッタリング室22による 成膜によって(001)配向の結晶性MgO(1.5nm)トンネ ルバリア層6が積層される。本実施例では、Mg 層とMgO層の積層構造のトンネルバリア層6を いた。結晶性MgOは、膜厚方向において全膜 に渡り単結晶構造であって、面方向におい 単結晶構造(デバイス面積にわたり一様に単 晶)であってもよく、また、多結晶構造(デ イス面積内で多数の結晶粒で構成された結 状態)であっても良い。また、MgO層の単層ト ネルバリア層6を用いることも可能である。

 また、本発明の好ましい態様においては 金属Mg層を積層した後、このMg層まで積層し た中間性媒体を酸化処理室26に搬送し、この 化処理室26で金属Mg層を酸化することにより (001)配向した結晶性MgOトンネルバリア層6を形 成することができる。

 スパッタリング室23は、Taターゲット23a、Co 70 Fe 30 ターゲット23b、Ruターゲット23c、Co 56 Fe 24 B 20 ターゲット23d及びNi 83 Fe 17 ターゲット23eが用いられている。

 Taターゲット23aは、保護層8の成膜に用いら る。Co 56 Fe 24 B 20 ターゲット23d及びNi 83 Fe 17 ターゲット23eを用いた2元同時スパッタリン により、体心立方構造で、(001)配向のCoFeNiB 金からなる磁化自由層7aを積層し、さらに、 Ni 83 Fe 17 ターゲット23eを用いたスパッタリングにより 面心立方構造のNiFe合金よりなる磁化自由層7b を積層し、続いて、Ruターゲット23cを用いた パッタリングによりRuよりなる交換結合用 磁性層9を積層し、続いて、Co 70 Fe 30 ターゲット23bを用いたスパッタリングにより CoFe合金よりなる磁化自由層7cを積層する。

 次いで、Taターゲット23a及びRuターゲット 23cを用いたスパッタリングにより、磁化自由 層7側のTa層(10nm)とRu層(7nm)との積層構造の保 層8が前記磁化自由層7の上に積層される。

 尚、( )内は膜厚を示す。

 PtMn層はアニールによって規則化し反強磁 性が発現するように、Pt含有量が47乃至51(atomi c%)となるようにスパッタリングターゲットの 組成と成膜条件(ガス種、ガス圧、投入電力) 調整する。

 上記のような膜構成を効率的に成膜するた に、次のようにスパッタリングターゲット 各スパッタリング室に配置する。スパッタ ング室21にはTa、PtMn、Co 70 Fe 30 、Ru、Co 60 Fe 20 B 20 を、スパッタリング室22にはMgOとMgをスパッ リングターゲット21a乃至21e、22a乃至22bとし 配置する。また、スパッタリング室23にはTa Co 70 Fe 30 、Ru、Co 56 Fe 24 B 20 、Ni 83 Fe 17 をスパッタリングターゲット23a乃至23eとして 配置する。

 本発明において最も複雑な膜構成である 層フェリ構造を持ったスピンバルブ型トン ル磁気抵抗薄膜は、次のようにして形成さ る。

 初めに、基板1を基板前処理室25に搬送し 逆スパッタエッチングにより、大気中で汚 された表面層の約2nmを物理的に除去する。 の後、スパッタリング室21に搬送して、Ta/Pt Mn/CoFe/Ru/CoFeBまで成膜する。その後、スパッ リング室22に移動してトンネルバリア層6と てMgO膜、またはMg/MgOの2層膜を成膜する。

 また、MgOトンネルバリア層の形成方法と て、スパッタリング室22で金属Mg膜を成膜し 、その後酸化処理室26に基板を搬送してラジ ル酸化法や自然酸化法などによってMg層を 化処理してNaCl構造のMgO膜を形成してもよい トンネルバリア層6形成後、スパッタリング 室23に搬送して、CoFeB/NiFe/Ta/Ruを成膜して、ロ ードロック室27に帰す。この時、B濃度の異な るCoFeB層を作製するために、CoFeBとCoFeのター ットを同時に放電する2元同時スパッタリン グ法を用いる。

 この後、作製したトンネル磁気抵抗薄膜 、磁場中アニール炉に入れ、強さ8kOe以上の 一方向に平行な磁場を印加しながら、真空中 にて所望の温度と時間でアニール処理を行う 。経験的には250℃以上360℃以下であり、低温 の場合には5時間以上の長時間を、高温の場 には2時間以下の短時間が好ましい。

 本発明のトンネル磁気抵抗薄膜は、磁気 ィスク駆動装置の磁気再生ヘッド、磁気ラ ダムアクセスメモリ(MRAM)の記憶素子及び磁 センサーに好ましく用いられる。以下に本 明のトンネル磁気抵抗薄膜を用いたMRAMを例 に挙げて説明する。

 図3はMRAMの構造を模式的に示す図であり 図4はその1メモリセルの断面模式図、図5は1 モリセルの等価回路図である。MRAMにおいて 、42は書き換え用ワード線、43はビット線、44 は読み出し用ワード線、45は磁気抵抗素子で る。多数のメモリセルのそれぞれは、複数 ビット43と読み出し用ワード線44の各交点位 置に配置され、格子状の位置関係に配置され 、それぞれが1ビットの情報を記憶する。

 MRAMのメモリセルは、図4、図5に示す如く ビット線43と読み出し用ワード線44の交点位 置において、1ビットの情報を記憶する磁気 抗(TMR)素子45と、スイッチ機能を有するトラ ジスタ46とから構成される。本発明のトン ル磁気抵抗薄膜は上記TMR素子45として用いら れる。

 TMR素子45は、図1(a)に示すトンネルバリア 6の両側の強磁性層(第二磁化固定層4b及び磁 化自由層7)との間に所要電圧を印加して一定 流を流した状態において、外部磁場をかけ 。第二磁化固定層4bと磁化自由層7の磁化の きが平行で同じである時(平行状態)、TMR素 45の電気抵抗は最小になり、第二磁化固定層 4bと磁化自由層7の磁化の向きが平行で反対で ある時(反平行状態)、TMR素子45の電気抵抗は 大になる。このように、外部磁場によってTM R素子45に平行状態と反平行状態を作り出すこ とにより、抵抗値変化として「1」もしくは 0」の情報の記憶を行うことができる。

 図3のMRAMにおいては、図4に示すように、 み出し用ワード線44と平行に、即ちビット 43と交差して書き換え用ワード線42がTMR素子4 5の下方に配置されている。よって、ビット 43と書き換え用ワード線42とに電流を流すこ によって磁界が誘起され、ビット線43と書 換え用ワード線42との交点にあたるメモリセ ルのTMR素子45の磁化自由層のみが両者からの 界の影響を受けて磁化反転する。他のメモ セルのTMR素子45は両者の磁界の影響を全く けないか、もしくはビット線43及び書き換え 用ワード線42のいずれか一方の磁界の影響し 受けないため、磁化自由層が磁化反転しな 。このようにして、所望のメモリセルのTMR 子45の磁化自由層のみ磁化反転させて書き みを行う。読み出しの際には、TMR素子45の下 方に位置するトランジスタ46のゲートが読み し用ワード線44の役割を担う。ビット線43と 読み出し用ワード線44の交点に位置するメモ セルのTMR素子45のみに電流が流れるため、 の時の電圧を検出することによって、係るTM R素子45の抵抗値を測定し、「1」もしくは「0 の情報を得ることができる。

 (実施例1)
 図2に示した装置を用いて、図1(a)に示した 構成のボトム型のスピンバルブ型トンネル 気抵抗薄膜を作製した。本例では、緩衝層2 Ta(10nm)、反強磁性層3がPtMn(15nm)、磁化固定層 4がCoFe(2.5nm)/Ru(0.85nm)/CoFeB(3nm)からなる積層フ リ固定層、トンネルバリア層6がMgO(15nm)であ 。また、磁化自由層7としては、成膜された ままの状態で体心立方構造となるCoNiFeBを初 に成膜し、次に面心立方構造のNiFeを成膜し 。保護層8としては、Ta(10nm)/Ru(7nm)の積層構 を使用した。

 さらに、第一磁化自由層7aには(Co 70 Fe 30 ) 96 B 4 を用い、第二磁化自由層7bには、Niを83atomic% んだ面心立方構造のNi 83 Fe 17 を用いた。また、第一磁化自由層7aとして、( Co 70 Fe 30 ) 80 B 20 、Co 70 Fe 30 をそれぞれ用いた磁気抵抗薄膜を作製した。

 図6は本例で作製した磁気抵抗薄膜のMR比の ニール温度依存性を示す図である。第二磁 自由層7bはいずれの場合も負の磁歪を持っ Ni 83 Fe 17 を用いており、磁化自由層7全体の磁歪を下 るように工夫している。

 図6は、本例について、各テスト試料をアニ ールした時のMR比を測定し、これによって、 試料毎のMR比に関するアニール依存性を示 たものである。
 「▽」は、第一磁化自由層としてCoFeB合金 用い、第二磁化自由層をブランクとした比 試料である。
 「◇」は、第一磁化自由層としてCoFeNiB合金 を用い、第二磁化自由層をブランクとした比 較試料である。
 「□」は、第一磁化自由層としてCo 70 Fe 30 を用い、第二磁化自由層としてNi 83 Fe 17 を用いた比較試料である。
 「△」は、第一磁化自由層として(Co 70 Fe 30 ) 80 B 20 用い、第二磁化自由層としてNi 83 Fe 17 を用いた本発明試料である。
 「○」は、第一磁化自由層として(Co 70 Fe 30 ) 96 B 4 を用い、第二磁化自由層としてNi 83 Fe 17 を用いた本発明試料である。

 図6から明らかなように、本発明例は、比 較例と比較して、高いMR比を示していると共 、MR比が温度に依存しない熱安定性に顕著 効果を示していることがわかる。

 また、本例におけるH ex * は1000Oe、H cf は5Oeであり、H ex * >H cf の関係を満たしていた。

 尚、本例において、MR比、H ex * 、H cf の測定方法は以下の通りである。

 MR比:12端子プローブのCurrent-In-Plane Tunnelin g(CIPT)法を用いた。CIPT法の測定原理はD.C.Worled ge,P.L.Trouilloud,「アプライド・フィジックス・ レターズ(Applied Physics Letters)」,83(2003),84-86に 記載されている。

 H ex * 、Hcf:振動試料型磁力計(VSM)を用い、得られた 磁化曲線から求めた。VSMの測定原理は例えば 、「実験物理学講座6 磁気測定I」、近桂一 、安岡弘志編、丸善東京、2000年2月15日発行 示されている。

 (実施例2)
 図1(b)に示した膜構成のボトム型のスピンバ ルブ型トンネル磁気抵抗薄膜を作製した。本 例では、磁化自由層7として、実施例1の本発 試料と同様のCoNiFeB/NiFe膜の磁化自由層の上 交換結合用非磁性層9としてRu膜(2nm)を、次 で磁化自由層7cとしてNiFe膜(3nm)を積層した以 外は実施例1と同様とした。

 得られた磁気抵抗薄膜は、実施例1と同様 に高いMR比と低い磁歪に加えて耐熱性も向上 ていた。

 (実施例3)
 磁化固定層4をアモルファスCoFeB(3nm)とした 外は実施例1と同様にして本発明試料を用い ボトム型のスピンバルブ型トンネル磁気抵 薄膜を作製した。

 得られた磁気抵抗薄膜は、実施例1と同様 に高いMR比と低い磁歪に加えて耐熱性も向上 ていた。