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Title:
VAPORIZATION FILTER FOR HUMIDIFICATION, VAPORIZATION FILTER LAMINATE FOR HUMIDIFICATION, AND HUMIDIFYING METHOD USING THEM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/063884
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a vaporization filter for humidification, characterized by comprising a filter base material, and an anchor layer containing a polymer having a film forming property and a hydrophilic layer provided in that order on the base material, and a vaporization filter laminate for humidification comprising vaporization filters for humidification stacked on top of each other while providing a space therebetween, and a humidifying method using them.

Inventors:
NAKAMURA TAKAYUKI
HARIGUCHI HIDEKI
Application Number:
PCT/JP2008/070547
Publication Date:
May 22, 2009
Filing Date:
November 12, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBISHI PAPER MILLS LTD (JP)
NAKAMURA TAKAYUKI
HARIGUCHI HIDEKI
International Classes:
F24F6/00; B32B5/30; F24F6/06; F24F8/125
Foreign References:
JPH08318587A1996-12-03
JPH1016104A1998-01-20
JPH0674500A1994-03-15
JP2002106898A2002-04-10
JP2007139251A2007-06-07
JP2514145B21996-07-10
JP2005315554A2005-11-10
JP2007198685A2007-08-09
Other References:
See also references of EP 2233848A4
Attorney, Agent or Firm:
TSUKUNI, Hajime (22-12 Toranomon 1-chom, Minato-ku Tokyo 01, JP)
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Claims:
 フィルター基材、並びに造膜性高分子を含有するアンカー層及び親水層をこの順で基材上に有することを特徴とする加湿用気化フィルター。
 該親水層が微粒子を含有してなる請求項1記載の加湿用気化フィルター。
 該親水層において、微粒子含有比率が30質量%以上90質量%以下である請求項2記載の加湿用気化フィルター。
 該親水層が架橋されてなる請求項1記載の加湿用気化フィルター。
 該親水層の厚みが0.5μm以上8.0μm以下である請求項1記載の加湿用気化フィルター。
 請求項1~5のいずれかに記載の加湿用気化フィルターを間隔を空けて積層してなる加湿用気化フィルター積層体。
 請求項1~5のいずれかに記載の加湿用気化フィルターまたは請求項6記載の加湿用気化フィルター積層体を用いた加湿方法において、該親水層表面に形成された水膜の水分を気化させることによって加湿を行うことを特徴とする加湿方法。
 請求項1~5のいずれかに記載の加湿用気化フィルターまたは請求項6記載の加湿用気化フィルター積層体を用いた加湿方法において、連続的に、該親水層表面に形成された水膜の水分を気化させることによって加湿を行うことを特徴とする加湿方法。
Description:
加湿用気化フィルター、加湿用 化フィルター積層体及びそれらを用いた加 方法

 本発明は、加湿用気化フィルター、加湿 気化フィルター積層体及びそれらを用いた 湿方法に関するものである。

 加湿装置に用いる気化フィルターとして 吸水性を有するシート状の気化フィルター 一部を水槽に浸漬し毛細管現象で水を吸上 、乾燥空気を通風させることにより、加湿 気を得るものがある(例えば特許文献1参照) しかしながら、毛細管現象で水を吸い上げ 方式の気化フィルターでは、供給された水 含まれている珪素やカルシウム、マグネシ ムなどの元素を含む微量の化合物がスケー となって気化フィルターに付着すると、水 吸い上げる効果が低下して加湿性能が低下 る課題があった。

 係る課題を解決するために、吸水性の低 発泡形状の基材に親水性の無機化合物を担 してなり、スケールが付着しても加湿性能 低下しにくいとされる気化フィルターが開 されている(例えば、特許文献2参照)。しか ながら、特許文献2の気化フィルターについ ても、長期にわたって使用した場合には、発 泡形状の基材内部や表層空隙にスケールが付 着することによる加湿性能の低下は避けられ ず、加湿性能面から見た長期耐久性について は何ら考慮がされていない。

 また、同じく吸水性の低いフィルター基材 表層部に、粒子によって10~25%の空隙を設け 、該空隙に水を保持させることによって加 性能を改良した気化フィルターも提案され いる(例えば、特許文献3参照)。特許文献3の 気化フィルターでは、フィルター基材として 特許文献2と同様に発泡形状(三次元網状構造) の基材が用いられており、また、空隙を有す る表層部が10μm以上の厚さを有し、空隙が1~3 m 2 と大きいものである。このため、特許文献3 気化フィルターについても、長期にわたっ 使用した場合には、表層部の空隙にスケー が付着することによる加湿性能の低下は避 られず、加湿性能面から見た長期耐久性に いては、何ら考慮がされていなかった。

特許第2514145号公報

特開2005-315554号公報

特開2007-198685号公報

 本発明が解決しようとする課題は、加湿 置を長期間運転した際にも加湿性能を維持 きる長期耐久性の加湿用気化フィルター、 湿用気化フィルター積層体及びそれらを用 た加湿方法を提供することである。

 上記課題を解決するために鋭意検討した結 、下記加湿用気化フィルター、加湿用気化 ィルター積層体及びそれらを用いた加湿方 を発明した。
(1)フィルター基材、並びに造膜性高分子を含 有するアンカー層及び親水層をこの順で基材 上に有することを特徴とする加湿用気化フィ ルター、
(2)該親水層が微粒子を含有してなる上記(1)記 載の加湿用気化フィルター、
(3)該親水層において、微粒子含有比率が30質 %以上90質量%である上記(2)記載の加湿用気化 フィルター、
(4)該親水層が架橋されてなる上記(1)記載の加 湿用気化フィルター、
(5)該親水層の厚みが0.5μm以上8.0μm以下である 上記(1)記載の加湿用気化フィルター、
(6)上記(1)~(5)のいずれかに記載の加湿用気化 ィルターを間隔を空けて積層してなる加湿 気化フィルター積層体、
(7)上記(1)~(5)のいずれかに記載の加湿用気化 ィルターまたは上記(6)記載の加湿用気化フ ルター積層体を用いた加湿方法において、 親水層表面に形成された水膜の水分を気化 せることによって加湿を行うことを特徴と る加湿方法、
(8)上記(1)~(5)のいずれかに記載の加湿用気化 ィルターまたは上記(6)記載の加湿用気化フ ルター積層体を用いた加湿方法において、 続的に、該親水層表面に形成された水膜の 分を気化させることによって加湿を行うこ を特徴とする加湿方法。

 本発明の加湿用気化フィルターは、フィ ター基材の上に造膜性高分子を含有するア カー層を有し、かつ、アンカー層の上に親 層を有することを特徴としている。本発明 加湿用気化フィルターに供給された水は、 湿用気化フィルターの親水層表面で水膜を やかに形成する。本発明の加湿方法では、 の水膜を気化させて加湿させることによっ 、長期間にわたって安定して加湿性能を維 できる。また、本発明の加湿用気化フィル ーでは、フィルター表面にスケールが付着 た際に水洗して繰り返し使用が可能という れた効果も達成した。

本発明の加湿用気化フィルターにおけ 断面の一例を示した電子顕微鏡写真 本発明の加湿用気化フィルターにおけ 親水層表面の一例を示した電子顕微鏡写真 本発明の加湿用フィルター積層体の一 を示す概略図 フィルター基材の一例を示す上方概略 図4の線Aにおける断面概略図 フィルター積層体を水槽に漬け回転さ ている一例を示す概略図

符号の説明

 31 加湿用気化フィルター積層体
 32 開口部
 33 加湿用気化フィルター(フィルター単板)
 41 段差
 42 開口部
 43 フィルター基材
 51 水槽
 52 水面
 53 加湿用気化フィルター積層体の回転方向 を示す矢印

 以下、本発明の加湿用気化フィルターを 体的に説明する。なお、以下、「加湿用気 フィルター」を略して単に「気化フィルタ 」または「フィルター」とも呼ぶ。

 図1は、本発明の気化フィルターにおける 断面の一例を示す電子顕微鏡写真である。本 発明の気化フィルターは、フィルター基材の 上にアンカー層を有し、さらに、アンカー層 の上に親水層を有する。フィルター基材とし ては、樹脂製の板、ステンレスやアルミニウ ムなどの金属製の板を使用することができる 。アンカー層及び親水層を設けた後に水膜が 形成でき、さらに、スケールの付着も抑制で きるように、非発泡形状の樹脂製の板が好ま しく用いられる。

 フィルター基材に用いる樹脂に特に限定 無く、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエ レンテレフタレート樹脂などの芳香族系樹 、アクリロニトリル・スチレン樹脂(AS樹脂) 、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン 樹脂(ABS樹脂)などのスチレン系樹脂、アクリ ニトリル・ブタジエン樹脂(AB樹脂)などのブ タジエン系樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレ ト樹脂(PM(M)A樹脂)などの(メタ)アクリル系樹 脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂 などのポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネ ート系樹脂などを挙げることができる。

 なお、フィルター基材の厚みは0.5mm以上10 mm以下が好ましく、より好ましくは1mm以上3mm 下である。フィルター基材の厚みが好まし 範囲を下回ると、フィルター基材の変形や 損が起きる恐れがある。一方、フィルター 材の厚みが好ましい範囲を超えると、加湿 置内において単位容積に収容できるフィル ー枚数が減少するため、十分な加湿性能を られない恐れがある。

 アンカー層は、フィルター基材と親水層 間に介在し、フィルター基材と親水層の接 性を高めるものである。さらに、アンカー を有することによって、親水層自体の強度 向上するため、長期間にわたり高い加湿性 を維持することができる。また、フィルタ 表面にスケールが付着した場合に、水洗等 よってスケールを取り除いても加湿性能が とんど変わらず、その後再利用することが きる。

 アンカー層には造膜性高分子を含有させ 。造膜性高分子のアンカー層における含有 率は、アンカー層の総固形分質量に対し、8 5質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好 しい。好ましい含有比率の上限は特に無く 100質量%、すなわち、アンカー層が造膜性高 分子のみからなっていてもよい。好ましい含 有比率に満たない場合、アンカー層とフィル ター基材との接着性が劣る恐れがある。

 造膜性高分子の具体例としては、例えば ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン 脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂 ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビ ル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸樹脂、(メタ) アクリル酸エステル樹脂、(メタ)アクリル酸 スチレン共重合体樹脂、エチレン・酢酸ビ ル共重合体樹脂、酢酸ビニル・(メタ)アク ル共重合体樹脂、エチレン・酢酸ビニル・( タ)アクリル3元共重合体樹脂などが挙げら る。本発明の気化フィルターが長時間水に 漬されて使用されることから、加水分解ま は膨潤しにくいアクリロニトリル・ブタジ ン樹脂(AB樹脂)、スチレン・ブタジエン樹脂( SB樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・ス チレン樹脂(ABS樹脂)、アクリル酸エステル・ チレン共重合体樹脂、メタクリル酸エステ ・スチレン共重合体樹脂などのブタジエン 樹脂、スチレン系樹脂がより好ましい。こ らの造膜性高分子は、各々単独で、または 複数混合して使用することができる。

 また、アンカー層には、その効果を阻害 ない範囲で、抗菌剤、防黴剤、脱臭剤、触 、着色剤などの機能剤を含有させてもよい

 アンカー層の厚みは0.01μm以上20μm以下が ましい。0.01μmに満たない場合には、アンカ ー層と親水層との接着性が得られない恐れが ある。一方、20μmを超える場合には、平坦な 面のアンカー層を得るのが困難になり、そ 結果、アンカー層の上に設ける親水層も平 な表面が得られなくなることにより、水膜 形成できにくくなって加湿性能が低下する れがある。

 アンカー層を製造するためには、まず、 膜性高分子を含有するアンカー層用塗装液 作製するとよい。造膜性高分子は、多くの 合、水を媒体とするエマルジョンまたは分 液として、アンカー層用塗装液に用いられ 。また、アンカー層に必要に応じて機能剤 含有させる場合には、アンカー層用塗装液 に該機能剤を溶液又は分散液として含有さ てもよい。アンカー層は、例えば、フィル ー基材を、アンカー層用塗装液に浸漬し、 り出し乾燥して得る方法で製造される。こ 方法によればフィルター基材の両面に同時 アンカー層を設けることもできる。浸漬、 り出し、乾燥の一連の工程を複数回繰り返 てもよく、繰り返す場合は塗装液の組成が なってもよい。また、浸漬法以外に、ロー ーコート法、刷毛塗り法、スプレーコート 等によって、アンカー層を設けることもで る。

 アンカー層のフィルター基材への塗装適 を向上させるために、界面活性剤を併用し もよい。界面活性剤としては、例えば、カ ボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系 高級アルコール系、グリセリン脂肪酸エス ル系、ポリオキシエチレンアルキルエーテ 系、脂肪酸ポリエチレングリコール系、ア チレンジオール系などの界面活性剤を使用 ることができる。界面活性剤の種類は適宜 択することができ、造膜性高分子の組成な を考慮し、各々単独または複数組み合わせ 使用することができる。

 親水層は、親水性に優れ、加湿装置運転 、気化フィルターの表層に水膜を形成させ 目的で設けられるものである。親水層は、 えば、界面活性剤処理、放電処理、グラフ 処理等で、アンカー層の表面を親水化させ 方法で設けることもできるが、親水性材料 含有してなる親水層を設ける方法によれば 長期耐久性を有する親水層を設けることが きる。親水性材料としては、親水性微粒子 親水性造膜性高分子などを挙げることがで る。これら親水性材料が、水酸基、カルボ シル基、スルホン酸基、アミノ基、アミド 、カルボニル基、エステル結合等の極性を する官能基を有している場合には、これら 能基に化学的に引き寄せられた水を親水層 面で保持することが可能になる。

 親水層は、微粒子を含有することが好ま い。微粒子は、有機微粒子でも無機微粒子 も良い。微粒子内部の空孔については、内 に空孔を持たない微粒子、中空微粒子、開 を持つ中空微粒子、多孔質微粒子などいず のタイプでもよい。微粒子が空孔を有する 合、その孔内に効果的に水を保持すること 可能になり、加湿性能を向上させることが きる。また、微粒子が空孔を持たない場合 も、微粒子同士の凝集によって、後述の極 小の孔が形成されやすくなり、効果的に水 保持することが可能になり、加湿性能を向 させることができる。

 有機微粒子の具体例としては、ポリスチ ン系微粒子、スチレン・アクリル系微粒子 スチレン・ブタジエン系微粒子、アクリル エステル系微粒子、ナイロン系微粒子など 挙げられる。微粒子の表面部分と芯とで組 が異なる、いわゆるコアシェル型微粒子で よい。無機微粒子の具体例としては、カオ ン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウ 、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭 亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム ケイソウ土、焼成ケイソウ土、珪酸カルシ ム、珪酸マグネシウム、リトポン、ゼオラ ト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム 水酸化マグネシウム、シリカゲル、コロイ ルシリカ、気相法シリカ、湿式シリカ、ア ミナ、コロイダルアルミナ、水酸化アルミ ウムなどが挙げられる。2種以上の微粒子を 併用してもよい。親水性を向上させるために は親水性微粒子を好ましく用いることができ 、その具体例としては、シリカゲル、コロイ ダルシリカ、気相法シリカ、湿式シリカ、ア ルミナ、コロイダルアルミナ、水酸化アルミ ニウムを用いることが好ましい。

 微粒子の体積平均粒径(一次粒子径)は、4n m以上500nm以下が好ましく、4nm以上100nm以下が り好ましい。体積平均粒径が4nmに満たない 粒子は製造困難である。体積平均粒径が500n mを超えると、微粒子同士の結合力が低下し 耐水耐擦性が低下して、フィルター基材を 洗した場合やフィルター基材を長期間使用 た場合に、微粒子が剥落する恐れがある。

 親水層には、微粒子とともにバインダー 含有させることが好ましく、微粒子の剥落 止やアンカー層との接着性向上が可能とな 。バインダーとしては、シリカゾル、アル ナゾル、チタニアゾル、ケイ酸ナトリウム シリケート化合物の加水分解物の無機バイ ダー、造膜性高分子等を挙げることができ 。このうち、造膜性高分子を用いると、微 子の剥落防止や接着性向上のさらなる効果 得られるため、好ましい。

 親水層のバインダーとして用いることが きる造膜性高分子としては、ポリビニルア コール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチ ン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン 脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリ( メタ)アクリル酸樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸 エステル樹脂、(メタ)アクリル酸・スチレン 重合体樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合 樹脂、酢酸ビニル・(メタ)アクリル共重合 樹脂、エチレン・酢酸ビニル・(メタ)アクリ ル3元共重合体樹脂などを用いることができ 。このうち、親水性で、加水分解あるいは 潤しにくいアクリロニトリル・ブタジエン 脂(AB樹脂)、スチレン・ブタジエン樹脂(SB樹 )、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレ ン樹脂(ABS樹脂)、アクリル酸エステル・スチ ン共重合体樹脂、メタクリル酸エステル・ チレン共重合体樹脂などのブタジエン系樹 、スチレン系樹脂がより好ましい。また、2 種以上のバインダーを併用してもよい。

 親水層において、微粒子の含有比率は、 水層の総固形分質量に対し、20質量%以上95 量%以下が好ましく、30質量%以上90質量%以下 より好ましく、35質量%以上85質量%以下にす のがさらに好ましい。また、親水層におい 、バインダーの含有比率は、5質量%以上80質 量%以下が好ましく、10質量%以上70質量%以下 好ましく、15質量%以上65質量%以下が好まし 。フィルターの加湿性能が低下する現象が 粒子の含有比率が30質量%未満になると確認 れることがあり、20質量%を下回るとより顕 に確認されることがある。また、親水層と ンカー層との接着性が低下したり、親水層 の微粒子が剥落したりする現象が、微粒子 含有比率が90質量%を上回ると確認されるこ があり、95質量%を超えるとより顕著に確認 れることがある。

 また、親水層の効果を阻害しない範囲で 抗菌剤、防黴剤、脱臭剤、触媒、着色剤の うな機能剤を含有させてもよい。

 また、親水層の強度を向上させる目的で 親水層は架橋されていることが好ましく、 水層に架橋剤を含有させることが好ましい 親水層に含まれる微粒子及び/またはバイン ダーと架橋剤とによって、架橋構造が形成さ れる。架橋剤としては、ホウ酸、アルデヒド 系化合物、ケトン系化合物、トリアジン系化 合物、カルボジイミド系化合物、エポキシ系 化合物、イソシアネート系化合物、メラミン 系化合物等を使用できる。特に、親水層に無 機微粒子を用いた場合には、シランカップリ ング剤等の有機珪素化合物を好ましく用いる ことができる。

 シランカップリング剤の具体例としては 例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニ トリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロ ヘキシル)エチルトリメトキシシラン、アリ トリメトキシシラン、アリルトリエトキシ ラン、ジエトキシメチルビニルシラン、3-グ リシドキシプロピルトリエトキシシラン、3- リシドキシプロピルメチルジエトキシシラ 、3-グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ) メチルシラン、ジエトキシ(3-グリシジルオキ シプロピル)メチルシラン、3-グリシドキシプ ロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリ トキシシラン、3-メタクリロキシプロピル チルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプ ロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキ プロピルメチルジエトキシシラン、3-メタ リロキシプロピルトリエトキシシラン、3-ア クリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2 -(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメ トキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプ ロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチ )-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3- ミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミ プロピルジメトキシメチルシラン、3-アミノ プロピルジエトキシメチルシラン、3-トリエ キシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロ ピルアミン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピ ルトリエトキシシラン、3-ウレイドプロピル リエトキシシラン、3-クロロプロピルトリ トキシシラン、3-メルカプトプロピルメチル ジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルト メトキシシラン、ビス(トリエトキシシリル プロピル)テトラスルフィド、3-イソシアネー トプロピルトリエトキシシランなどが挙げら れる。

 該架橋剤の含有量は、親水層の総固形分質 に対し、0.05質量%以上5.0質量%以下が好まし 、0.1質量%以上3.0質量%以下がより好ましい 架橋剤の含有量が0.05質量%を下回ると、架橋 剤を添加しない親水層と強度が変わらない場 合がある。
架橋剤の含有量が5.0質量%を上回ると、後述 る親水層用塗装液が凝固しやすくなり、親 層の製造が難しくなる恐れがある。

 親水層の厚みは0.3μm以上9.0μm以下が好ま く、0.5μm以上8.0μm以下がより好ましく、1.0 m以上7.5μm以下がさらに好ましい。親水層の みが0.3μmを下回ると、親水層表面の親水性 低下して、加湿性能が低下する恐れがある 一方、9.0μmを超える親水層を設けても、さ なる加湿性能向上が期待できないばかりで く、親水層に経時で付着するスケールが多 なり、親水性が阻害される恐れがある。

 本発明では、親水層表面に水膜が形成され ことによって、効率的に加湿することがで るものである。水膜は、親水層表面の水が 給された部分に形成される。親水層表面に 体的に連続した水膜が形成されることが好 しいが、加湿性能を阻害しない範囲で、親 性表面に部分的に水膜が形成されていない 所が存在しても良い。親水層表面に水膜を 成するためには、親水層表面に全く孔がな 状態であるか、孔が存在した場合には、極 小の孔であることが重要である。図2は、親 水層表面に極微小の孔を有する本発明の気化 フィルターの電子顕微鏡写真である。極微小 の孔は、効果的に水を保持し、より加湿性能 を向上させることができる。極微小の孔の平 均面積は、0.1μm 2 以下であることが好ましく、0.01μm 2 以下であることがより好ましい。該孔の面積 が0.1μm 2 を超えると、水が孔の中に入り込み、乾燥空 気が通過する時に水膜から水が蒸発、乾燥し ていく効率が低下し、加湿性能が低下する恐 れがある。また、孔内にスケールがたまりや すくなったり、孔の縁から親水層が劣化しや すくなったりして、加湿性能面から見た長期 耐久性に問題が生じる恐れがある。上述した ように、本発明では、親水層表面に全く孔の ない状態であっても良いので、極微小の孔の 平均面積の下限は特に無い。尚、特開2007-1986 85号公報に記載されている粒子によって気化 ィルターの表面に形成された1~3μm 2 と大きい孔の中に保持された水や、特開2007-1 98685号公報、特開2005-315554号公報に記載され いる発泡形状の基材を用いた場合において その空隙内に保持された水は、親水層表面 はなく、親水層の内部に保持された水であ 、本発明の「水膜」には該当しない。

 親水性材料を含有してなる親水層を製造 るためには、各種親水性材料、架橋剤を含 してなる親水層用塗装液を作製するとよい 必要に応じて親水層に含有させる機能剤を 親水層用塗装液中に溶液又は分散液として 有させてもよい。親水層は、例えば、アン ー層を設けたフィルター基材を、親水層用 装液に浸漬し、取り出し乾燥して得る方法 製造される。この方法によれば両面にアン ー層を設けたフィルター基材の両面に同時 親水層を得ることもできる。浸漬、取り出 、乾燥の一連の工程を複数回繰り返しても く、繰り返す場合に塗装液の組成が異なっ もよい。また、浸漬法以外に、ローラーコ ト法、刷毛塗り法、スプレーコート法等に って、親水層を設けることもできる。

 親水層用塗装液には、アンカー層への塗 適性を向上させるために、界面活性剤を用 ても良い。界面活性剤としては、例えば、 ルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル 、高級アルコール系、グリセリン脂肪酸エ テル系、ポリオキシエチレンアルキルエー ル系、脂肪酸ポリエチレングリコール系、 セチレンジオール系の界面活性剤を含有で る。界面活性剤の種類は、親水性材料の種 やイオン性などを考慮しながら適宜選択す ことができる。

 次に、本発明の加湿用気化フィルターに る加湿方法を説明する。気化フィルター(以 下、気化フィルターが1枚の場合、「フィル ー単板」とも呼ぶ)に水が供給されると、フ ルター単板の表層に水膜が形成され、その が気化して乾燥空気が加湿される。加湿性 を上げるためには、単位容積当たりに多く フィルター単板を充填するのが好ましい。 ィルター単板を、間隔を開けて複数枚積層 て本発明の加湿用フィルター積層体を構成 、フィルター単板同士の隙間に乾燥空気を 過させ加湿させる方法が好ましく用いられ 。例えば、図3に示したように、円形のフィ ルター単板33を一定の間隔で多数積層し、円 形のフィルター積層体31を構成する方法が る。図3において、フィルター単板33は中心 に開口部32を有していて、この開口部32に芯 を差し込み、フィルター積層体31を回転さ ることができる。フィルター単板の積層枚 は、目標とする加湿性能に合わせて適宜決 することができる。また、フィルター単板 積層する間隔について特に制限はなく、当 間隔はすべて一定であっても良いし、異な ていても良い。

 フィルター積層体において隣接するフィ ター単板に間隔を設ける手段としては、1枚 のフィルター基材の片側又は両側にある高さ を有する段差を設ける方法が挙げられる。図 4及び図5は、中心部に開口部42を有し、その 囲に段差41を設けたフィルター基材43の概略 である。この段差41の高さが、フィルター 層体におけるフィルター単板間の間隔とな 。この高さを一定にすれば、フィルター単 の積層間隔は一定となる。

 図6は、フィルター積層体31へ水を供給す 方法の一例である。フィルター積層体31の 部が水面52下に沈むように、フィルター積層 体31を水槽51に浸漬する。図6では、横倒しに た円筒形のフィルター積層体31の底部が水 52下に沈んでいる。加湿装置運転時にフィル ター積層体31の中心を回転軸として回転させ ことで、フィルター積層体31表面全体に水 連続的に供給され、親水層の表面に水膜が 成される。回転軸は通常、フィルターの最 広い面に対して垂直である。水面52上のフィ ルター積層体31に乾燥空気が接触することで 乾燥空気は加湿される。

 以下、実施例によって本発明を更に詳し 説明するが、本発明はこの実施例に限定さ るものではない。なお、以下、部ないし%は 質量基準である。また、水溶液やエマルジョ ン、分散液等の部数は固形分質量に換算した 数値を記載する。実施例で使用した微粒子の 一次粒子径は、カタログ記載値である。

実施例1
<フィルター基材の作製>
 図4及び図5に記載した形状を有するアクリ ニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂の円 樹脂板43を射出成型にて作製した。円形樹脂 板は、厚さ1.7mm、直径90mmで、中心部に直径14m mの開口部42を有している。そして、円形樹脂 板の片面において、開口部42の周囲に高さ1.8m mの段差41を設けた。この円形樹脂板43をフィ ター基材1とした。

<アンカー層用塗装液作製>
 アクリロニトリル・ブタジエン樹脂(日本ゼ オン社製、商品名:Nippol 1561、40.5%液)を攪拌 つつ、塗装液固形分濃度が12.5%になるように 水を追加して、アンカー層用塗層液1を作製 た。

<親水層用塗装液作製>
 表1の材料を攪拌機で混合し、親水層用塗装 液1を作製した。

<フィルター単板作製>
 フィルター基材1を、アンカー層用塗装液1 浸漬して取り出した後、乾燥してアンカー 塗装品を作製した。該アンカー層塗装品を 親水層用塗装液1に浸漬して取り出した後、 燥してフィルター単板1を作製した。

<フィルター積層体作製>
 フィルター単板1を51枚積層してフィルター 層体1を作製した。フィルター単板に設けら れた1.8mm高さの段差11がスペーサーの役割を たすため、フィルター単板1を積層すると、 ィルター単板同士に1.8mmの隙間ができる。 して、この隙間に空気が通過するようにな た。また、フィルター単板1の中央部に配置 れる開口部に芯棒を通すことによって、フ ルター積層体1がずれることなく固定できた 。

実施例2
 表2の材料を攪拌機で混合し、親水層用塗装 液2を作製した。親水層用塗装液1を親水層用 装液2に変更した以外、実施例1と同様の方 でフィルター積層体2を作製した。

実施例3
 親水層用塗装液1に水を加えて2倍希釈し、 水層用塗装液3を作製した。親水層用塗装液1 を親水層用塗装液3に変更した以外、実施例1 同様の方法でフィルター積層体3を作製した 。

実施例4
 表3の材料を攪拌機で混合し、親水層用塗装 液4を作製した。親水層用塗装液1を親水層用 装液4に変更した以外、実施例1と同様の方 でフィルター積層体4を作製した。

実施例5
 表4の材料を攪拌機で混合し、親水層用塗装 液5を作製した。親水層用塗装液1を親水層用 装液5に変更した以外、実施例1と同様の方 でフィルター積層体5を作製した。

実施例6
 表5の材料を攪拌機で混合し、親水層用塗装 液6を作製した。親水層用塗装液1を親水層用 装液6に変更した以外、実施例1と同様の方 でフィルター積層体6を作製した。

実施例7
 表6の材料を攪拌機で混合し、親水層用塗装 液7を作製した。親水層用塗装液1を親水層用 装液7に変更した以外、実施例1と同様の方 でフィルター積層体7を作製した。

実施例8
 表7の材料を攪拌機で混合し、親水層用塗装 液8を作製した。親水層用塗装液1を親水層用 装液8に変更した以外、実施例1と同様の方 でフィルター積層体8を作製した。

実施例9
<アンカー層用塗装液作製>
 スチレン・メタクリル酸エステル共重合体 脂(昭和高分子社製、商品名:AP-4750N、47%液) 攪拌しつつ、塗装液固形分濃度が12.5%になる ように水を追加して、アンカー層用塗層液2 作製した。

<親水層用塗装液作製>
 表8の材料を攪拌機で混合し、親水層用塗装 液9を作製した。

<フィルター積層体作製>
 アンカー層用塗層液1をアンカー層用塗層液 2に変更し、親水層用塗装液1を親水層用塗装 9に変更した以外、実施例1と同様の方法で ィルター積層体9を作製した。

実施例10
 表9の材料を攪拌機で混合し、親水層用塗装 液10を作製した。親水層用塗装液1を親水層用 塗装液10に変更した以外、実施例1と同様の方 法でフィルター積層体10を作製した。

実施例11
 表10の材料を攪拌機で混合し、親水層用塗 液11を作製した。親水層用塗装液1を親水層 塗装液11に変更した以外、実施例1と同様の 法でフィルター積層体11を作製した。

実施例12
 表11の材料を攪拌機で混合し、親水層用塗 液12を作製した。親水層用塗装液1を親水層 塗装液12に変更した以外、実施例1と同様の 法でフィルター積層体12を作製した。

実施例13
 表12の材料を攪拌機で混合し、親水層用塗 液13を作製した。親水層用塗装液1を親水層 塗装液13に変更した以外、実施例1と同様の 法でフィルター積層体13を作製した。

実施例14
 表13の材料を攪拌機で混合し、親水層用塗 液14を作製した。親水層用塗装液1を親水層 塗装液14に変更した以外、実施例1と同様の 法でフィルター積層体14を作製した。

実施例15
 表14の材料を攪拌機で混合し、親水層用塗 液15を作製した。親水層用塗装液1を親水層 塗装液15に変更した以外、実施例1と同様の 法でフィルター積層体15を作製した。

実施例16
 <アンカー層用塗装液作製>
 アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン 脂(日本エイアンドエル社製、商品名:SR-142 48.0%液)を攪拌しつつ、塗装液固形分濃度が12 .5%になるように水を追加して、アンカー層用 塗層液3を作製した。

<親水層用塗装液作製>
 表15の材料を攪拌機で混合し、親水層用塗 液16を作製した。

<フィルター積層体作製>
 アンカー層用塗層液1をアンカー層用塗層液 3に変更し、親水層用塗装液1を親水層用塗装 16に変更した以外、実施例1と同様の方法で ィルター積層体16を作製した。

実施例17
 <アンカー層用塗装液作製>
 スチレン・ブタジエン樹脂(日本エイアンド エル社製、商品名:SR-101、52.0%液)を攪拌しつ 、塗装液固形分濃度が12.5%になるように水を 追加して、アンカー層用塗層液4を作製した

<親水層用塗装液作製>
 表16の材料を攪拌機で混合し、親水層用塗 液17を作製した。

<フィルター積層体作製>
 アンカー層用塗層液1をアンカー層用塗層液 4に変更し、親水層用塗装液1を親水層用塗装 17に変更した以外、実施例1と同様の方法で ィルター積層体17を作製した。

実施例18
 表17の材料を攪拌機で混合し、親水層用塗 液18を作製した。親水層用塗装液1を親水層 塗装液18に変更した以外、実施例1と同様の 法でフィルター積層体18を作製した。

実施例19
 表18の材料を攪拌機で混合し、親水層用塗 液19を作製した。親水層用塗装液1を親水層 塗装液19に変更した以外、実施例1と同様の 法でフィルター積層体19を作製した。

実施例20
 表19の材料を攪拌機で混合し、親水層用塗 液20を作製した。親水層用塗装液1を親水層 塗装液20に変更した以外、実施例1と同様の 法でフィルター積層体20を作製した。

実施例21
 <フィルター単板作製>
 アンカー層塗装品1を、親水層用塗装液1に 漬して取り出し、乾燥した後、再び親水層 塗装液1に浸漬して取り出し、乾燥した以外 実施例1と同様の方法でフィルター積層体21 作製した。

実施例22
 親水層用塗装液1に水を加えて3倍希釈し、 水層用塗装液21を作製した。親水層用塗装液 1を親水用塗装液21に変更した以外、実施例1 同様の方法でフィルター積層体22を作製した 。

実施例23
 親水層用塗装液1に水を加えて3.5倍希釈し、 親水層用塗装液22を作製した。親水層用塗装 1を親水用塗装液22に変更した以外、実施例1 と同様の方法でフィルター積層体23を作製し 。

実施例24
 <フィルター単板作製>
 フィルター基材1を、アンカー層用塗装液1 浸漬して取り出した後、乾燥してアンカー 塗装品を作製した。該アンカー層塗装品を 親水層用塗装液2に浸漬して取り出し、乾燥 て作製した親水層塗層品2を、さらに親水層 用塗装液3に浸漬して取り出し、乾燥した以 、実施例1と同様の方法でフィルター積層体2 4を作製した。

比較例1
 アンカー層塗装を行わずに、親水層をフィ ター基材1上に直接設ける点以外、実施例1 同様の方法でフィルター積層体Iを作製した

比較例2
 フィルター基材1をそのまま使用した以外、 実施例1と同様の方法でフィルター積層体IIを 作製した。

比較例3
 厚さ1.7mmの三次元網目構造を有するポリウ タンフォームを、直径90mmの円形で、中心部 直径14mmの開口部を有する抜き型で打ち抜き 、ポリウレタンフォーム板1を作製した。厚 1.8mmのアルミ板を、実施例1で使用したフィ ター基材1の段差と同じ形状に型抜きし、ポ ウレタンフォーム板の開口部に合わせて重 て、フィルター基材同士に間隔を設ける手 とし、フィルター基材2を作製した。アンカ ー層塗装を行わずに、親水層用塗装液1を使 して、親水層をフィルター基材2上に直接設 、フィルター積層体IIIを作製した。

比較例4
 厚さ1.7mmのアルミ板を、直径90mmの円形で、 心部に直径14mmの開口部を有する抜き型で打 ち抜きアルミ円板1を作製した。厚さ1.8mmのア ルミ板を実施例1で使用したフィルター基材1 段差と同じ形状に型抜きし、アルミ円板1の 開口部に合わせて重ねフィルター基材同士に 間隔を設ける手段とし、フィルター基材3を 製した。アンカー層塗装を行わずに、親水 用塗装液1を使用して、親水層をフィルター 材3上に直接設け、フィルター積層体IVを作 した。

評価;実施例及び比較例で作製したフィル ーの評価方法を述べる。なお、比較例2のフ ルターは親水層が存在しないため、耐水耐 性の評価は省略した。

<厚み>
 フィルター単板の断面電子顕微鏡写真から アンカー層の厚みと親水層の厚みを測定し 。

<孔平均面積測定>
 フィルター単板の表面電子顕微鏡写真から 黒く写っている孔の径を定規で測定し、孔1 個の面積を計算する。1μm 2 四方の正方形内に存在する孔の面積を算出し 、その平均値を孔平均面積とした。

<初期加湿性能>
 加湿装置(タイガー魔法瓶社製、ハイブリッ ド式マイコン加湿器、品番:ASQ-A500)のフィル ー部分を実施例又は比較例で作製したフィ ター積層体に入れ替えた。20℃、30%RHに調湿 た部屋で、運転モード「省エネ」(風量「強 」、ヒーター「切」)で運転を行った。運転 始1時間後に水槽内の水の減少量を測定し、 減少量を初期加湿性能(cm 3 /hr)とした。

<耐久加湿性能>
 加湿装置(タイガー魔法瓶社製、ハイブリッ ド式マイコン加湿器、品番:ASQ-A500)のフィル ー部分を実施例又は比較例で作製したフィ ター積層体に入れ替えた。20℃、30%RHに調湿 た部屋で、運転モード「省エネ」(風量「強 」、ヒーター「切」)で2週間連続運転を行っ 。運転開始からちょうど2週間の時刻を基準 時刻とし、基準時刻から1時間後に水槽内の の減少量を測定し、該減少量を耐久加湿性 (cm 3 /hr)とした。

<耐水耐擦性>
 フィルター単板表面を水で濡らし、質量2kg 分銅に相当する荷重をかけた底面積50cm 2 のスポンジ(住友スリーエム社製、商品名:ス ッチ・ブライト、カタログNo.S-21K)のウレタ 面で、フィルター単板両面をそれぞれ100往 擦った後、塗層の剥離具合を目視で観察し 。評価基準における面積比率の分母は、フ ルター単板両面の面積の合計とした。
 ◎ :塗層の剥離が認められなかった。
 ○ :スポンジで擦った部分の1/4未満(面積比 率)の塗層が剥離。
 △ :スポンジで擦った部分の1/3~1/4(面積比 )の塗層が剥離。
 × :スポンジで擦った部分の1/3を超える部 (面積比率)の塗層が剥離。

 評価結果を表20に示す。実施例の気化フ ルターは、高い耐久加湿性能と耐水耐擦性 有している。比較例1及び比較例4においては 、耐久加湿性能試験後、水槽中に剥落した親 水層の破片と思われる浮遊物が観察された。 比較例2においては、親水層が存在しないた 、フィルター単板表面に水膜を形成するこ ができず、十分な加湿性能を得ることがで なかった。比較例3においては、基材が発泡 状であることにより、供給された水が基材 に埋没されて保持され、表面に水膜が形成 れないため、保持された水の乾燥効率が低 し、十分な初期加湿性能が得られなかった また、耐久加湿性能も低下し、評価後の発 形状基材の内部を観察したところ、実施例 気化フィルターでは見られなかったスケー の析出が見られた。

 実施例10と実施例1~9及び11~21との比較から 、親水層が微粒子を含有すると、微小な面積 の孔を親水層表面に有するため、表面に形成 される水膜保持量が増加し、初期加湿性能が 向上した。

 実施例1~9、11~17の比較から、微粒子の含 比率が30質量%以上90質量%以下である実施例1~ 9、11~14、16~17の気化フィルターは、高い初期 湿性能と耐水耐擦性を有していた。微粒子 含有比率が90質量%を上回った実施例12では 耐水耐擦性が低下する傾向が見られた。微 子の含有比率が30質量%を下回った実施例15で は、初期加湿性能が低下する傾向が見られた 。

 実施例21と実施例24との比較から、親水層 の厚みが8.0mmを超えると、耐久加湿性能が低 する傾向が見られた。実施例22と実施例23と の比較から、親水層の厚みが0.5mmを下回ると 初期加湿性能と耐久加湿性能が低下する傾 が見られた。

 実施例1~3と実施例6~8との比較から、親水 が架橋剤(シランカップリング剤)で架橋さ てなることで、耐水耐擦性が向上した。な 、架橋剤を含有させた実施例1~5及び実施例9 ついて、耐久加湿性能試験と耐水耐擦性試 を5回繰り返したが、耐久加湿性能は低下せ ず、繰り返し再使用が可能という顕著な効果 を確認した。一方、架橋剤を使用しなかった 実施例6~8の気化フィルターにおいては、耐水 耐擦性評価で親水層の剥離が認められた。評 価は「○」であるが、その剥離程度はきわめ て軽微であり、アンカー層に達する剥離は認 められず、実用上十分な強度を有していた。

 本発明の加湿用気化フィルターは、加湿装 のみならず、空気清浄機などに加湿機能を たせる場合にも好ましく用いることが可能 ある。