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Patent Searching and Data


Title:
VEHICLE CONTROL SYSTEM AND METHOD FOR JUDGING ABNORMALITY IN VEHICLE CONTROL SYSTEM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/146850
Kind Code:
A1
Abstract:
The main operating section (37a) in a toe angle alteration control ECU (37) of a vehicle control system receives target toe angles αTL and αTR from a steering control ECU (130) and controls a motor (31L) for altering the toe angle of a rear left wheel and a motor (31R) for altering the toe angle of a rear right wheel independently. Stroke sensors (38L, 38R) detect actual toe angles αL and αR and inputs them to the operational state judging section (85) in a sub-operating section (37c). Based on a prestored judgment table (85a), the operational state judging section (85) calculates an allowable operation range which is a combination of the toe angles αL and αR of the rear left and right wheels depending on the vehicle speed VS, and judges whether the operational state of the motors (31L, 31R) is suitable for the turning state of the vehicle or not based on the fact whether the actual toe angles αL and αR fall within the allowable operation range or not.

Inventors:
SUGITANI NOBUO (JP)
HORIUCHI YUTAKA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/059824
Publication Date:
December 04, 2008
Filing Date:
May 28, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HONDA MOTOR CO LTD (JP)
SUGITANI NOBUO (JP)
HORIUCHI YUTAKA (JP)
International Classes:
B60G17/0185; B60G17/015; B60G17/016; B60G17/019; B62D5/04; B62D7/08; B60G3/04
Foreign References:
JP2001322557A2001-11-20
JPH0243674B21990-10-01
JP3901190B22007-04-04
JP2006182239A2006-07-13
JP2006290302A2006-10-26
JPH06263048A1994-09-20
JP2002002893A2002-01-09
JP2002059855A2002-02-26
Other References:
See also references of EP 2163412A4
Attorney, Agent or Firm:
ISONO, Michizo (Office Sabo Kaikan,Annex, 7-4, Hirakawa-cho,2-chome, Chiyoda-ku, Tokyo 93, JP)
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Claims:
 車両の旋回状態を制御する第1のアクチュエータと第2のアクチュエータとを含む車両制御システムにおいて、
 前記第1及び第2のアクチュエータを制御する制御手段と、
 前記第1及び第2のアクチュエータの作動状態情報を検知する作動状態検知手段と、
 該作動状態検知手段により取得された前記作動状態情報により前記第1及び第2のアクチュエータの作動状態を判定する判定手段と、
 を備え、
 前記判定手段は、所定の車両挙動に対する前記第1及び第2のアクチュエータの作動範囲を定めた基準値を持ち、該基準値に基づき前記第1及び第2のアクチュエータの作動状態の異常判定を行なうことを特徴とする車両制御システム。
 前記第1及び第2のアクチュエータは車両に備わる左右の後輪のトー角をそれぞれ独立に変更するアクチュエータであり、
 前記作動状態情報は左右の後輪の実トー角であり、
 前記基準値は、車両の車速に応じて設定される前記左右の後輪のトー角の作動範囲であることを特徴とする請求項1に記載の車両制御システム。
 前記判定手段は、車両の車速と前輪転舵角に基づいて、前記基準値を参照して、前記第1及び第2のアクチュエータの作動状態の異常判定を行なうことを特徴とする請求項2に記載の車両制御システム。
 車両の旋回状態を制御する第1のアクチュエータと第2のアクチュエータとを含む車両制御システムにおいて、
 前記第1及び第2のアクチュエータを制御する制御装置と、
 前記第1及び第2のアクチュエータの作動状態情報を検知する作動状態検知センサと、
 を備え、
 前記制御装置は、前記作動状態検知センサにより取得された前記作動状態情報により前記第1及び第2のアクチュエータの作動状態を判定する判定部を有し、
 前記判定部は、所定の車両挙動に対する前記第1及び第2のアクチュエータの作動範囲を定めた基準値を持ち、該基準値に基づき前記第1及び第2のアクチュエータの作動状態の異常判定を行なうことを特徴とする車両制御システム。
 前記第1及び第2のアクチュエータは車両に備わる左右の後輪のトー角をそれぞれ独立に変更するアクチュエータであり、
 前記作動状態情報は左右の後輪の実トー角であり、
 前記基準値は、車両の車速に応じて設定される前記左右の後輪のトー角の作動範囲であることを特徴とする請求項4に記載の車両制御システム。
 前記判定部は、車両の車速と前輪転舵角に基づいて、前記基準値を参照して、前記第1及び第2のアクチュエータの作動状態の異常判定を行なうことを特徴とする請求項5に記載の車両制御システム。
 車両に備わる左右の後輪のトー角をそれぞれ独立に変更し、車両の旋回状態を制御する第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータと、前記第1及び第2のアクチュエータを制御する制御装置と、前記第1及び第2のアクチュエータの作動状態情報を検知する作動状態検知センサと、を備える車両制御システムにおける異常判定方法であって、
 前記制御装置が、
 所定の車両挙動に対する前記第1及び第2のアクチュエータの作動範囲を定めた基準値を有し、
 前記作動状態検知センサにより取得された前記作動状態情報と前記基準値に基づき、前記第1及び第2のアクチュエータの作動状態の異常判定を行なうことを特徴とする車両制御システムにおける異常判定方法。
 前記作動状態情報は左右の後輪の実トー角であり、
 前記基準値は、車両の車速に応じて設定される前記左右の後輪のトー角の作動範囲であることを特徴とする請求項7に記載の車両制御システムにおける異常判定方法。
 車両の車速と前輪転舵角に基づいて、前記基準値を参照して、前記第1及び第2のアクチュエータの作動状態の異常判定を行なうことを特徴とする請求項8に記載の車両制御システムにおける異常判定方法。
Description:
車両制御システム及び車両制御 ステムにおける異常判定方法

 本発明は、車両の旋回状態を制御する車 制御システムに関するものであり、特に、 数のアクチュエータを協調動作させ、車両 旋回状態を制御する形式の車両制御システ 及び車両制御システムにおける異常判定方 に関する。

 車両の旋回状態を制御する車両制御シス ムとして既に、後輪トー角変更制御装置、 動力配分制御装置、駆動力配分制御装置等 知られている。そして、この種の車両制御 ステムは一般に、その協調動作させる複数 アクチュエータ、例えば、後輪トー角変更 の各電動機、又は各車輪ブレーキの作動状 を検出するセンサ、例えば、後輪トー角セ サ、又は車輪速センサを設け、電動機又は 輪ブレーキの作動状態を監視している。

 又、車両の旋回状態を制御する車両制御シ テムとして複数の制御装置を含む場合、一 の制御装置の異常に基づいて他方の制御装 の制御を変更して、異常な制御装置の制御 補償する技術が知られている(特許文献1)。

特開平8-142893号公報

 しかしながら、前記従来の車両制御シス ムでは、制御対象のそれぞれのアクチュエ タを監視するのみであり、例えば、後輪実 ー角が目標トー角に追随しているか、固着 態であるかを監視するのみであり、左右の 輪実トー角が車両の走行状態に応じて協調 作すべき適切な範囲で作動しているかどう の判定を行なっていない。このため、左右 内の一方の後輪実トー角に対して他方の後 実トー角が取るべき値を考慮して異常か否 の判定を行っていないため、車両全体とし 適正な範囲を外れて後輪トー角の制御をし いたとしても異常と判断することができな った。

 同様に制動力配分制御装置において、車 速の異常を検知してアンチロック制御や制 力配分制御の中止はしても、旋回状態にお る左右の車輪速が車輪ブレーキの協調動作 適切な範囲内にあるか否かによる車輪ブレ キの異常や、車輪ブレーキへの油圧を供給 制御する油圧装置の異常の判定を行ってい い。

 そこで、本発明は、前記問題を解決する 両制御システム及び車両制御システムにお る異常判定方法を提供することを目的とす 。

 前記課題を解決するため請求項1の発明は 、車両の旋回状態を制御する第1のアクチュ ータと第2のアクチュエータとを含む車両制 システムにおいて、第1及び第2のアクチュ ータを制御する制御手段と、第1及び第2のア クチュエータの作動状態情報を検知する作動 状態検知手段と、作動状態検知手段により取 得された作動状態情報により第1及び第2のア チュエータの作動状態を判定する判定手段 、を備え、判定手段は、所定の車両挙動に する第1及び第2のアクチュエータの作動範 を定めた基準値を持ち、その基準値に基づ 第1及び第2のアクチュエータの作動状態の異 常判定を行なうことを特徴とする。

 請求項1に係る発明によれば、判定手段は 、所定の車両挙動に対する第1及び第2のアク ュエータの作動範囲を定めた基準値を持ち その基準値に基づき第1及び第2のアクチュ ータの作動状態の異常判定を行なうことこ ができる。

 請求項2に係る発明は、請求項1に記載の 両制御システムにおいて、第1及び第2のアク チュエータは車両に備わる左右の後輪のトー 角をそれぞれ独立に変更するアクチュエータ であり、作動状態情報は左右の後輪の実トー 角であり、基準値は、車両の車速に応じて設 定される左右の後輪のトー角の作動範囲であ ることを特徴とする。

 請求項2に係る発明によれば、異常判定の基 準値である左右の後輪のトー角の作動範囲が 車両の車速に応じて設定され、その基準値に 基づいて第1及び第2のアクチュエータの作動 態の異常判定を行なうことができる。

 請求項3に係る発明は、請求項2に記載の 両制御システムにおいて、判定手段は、車 の車速と前輪転舵角に基づいて、基準値を 照して、第1及び第2のアクチュエータの作動 状態の異常判定を行なうことを特徴とする。

 請求項3に係る発明によれば、判定手段は 、車両の車速と前輪転舵角に基づいて、基準 値を参照して、第1及び第2のアクチュエータ 作動状態の異常判定を行なうことができる

 請求項4に係る発明は、車両の旋回状態を 制御する第1のアクチュエータと第2のアクチ エータとを含む車両制御システムにおいて 第1及び第2のアクチュエータを制御する制 装置と、第1及び第2のアクチュエータの作動 状態情報を検知する作動状態検知センサと、 を備え、制御装置は、作動状態検知センサに より取得された作動状態情報により第1及び 2のアクチュエータの作動状態を判定する判 部を有し、判定部は、所定の車両挙動に対 る第1及び第2のアクチュエータの作動範囲 定めた基準値を持ち、この基準値に基づき 1及び第2のアクチュエータの作動状態の異常 判定を行なうことを特徴とする。

 請求項4に係る発明によれば、判定部は、 所定の車両挙動に対する第1及び第2のアクチ エータの作動範囲を定めた基準値を持ち、 の基準値に基づき第1及び第2のアクチュエ タの作動状態の異常判定を行なうことこと できる。

 請求項5に係る発明は、請求項4に記載の 両制御システムにおいて、第1及び第2のアク チュエータは車両に備わる左右の後輪のトー 角をそれぞれ独立に変更するアクチュエータ であり、作動状態情報は左右の後輪の実トー 角であり、基準値は、車両の車速に応じて設 定される左右の後輪のトー角の作動範囲であ ることを特徴とする。

 請求項5に係る発明によれば、異常判定の 基準値である左右の後輪のトー角の作動範囲 が車両の車速に応じて設定され、その基準値 に基づいて第1及び第2のアクチュエータの作 状態の異常判定を行なうことができる。

 請求項6に係る発明は、請求項5に記載の 両制御システムにおいて、判定部は、車両 車速と前輪転舵角に基づいて、基準値を参 して、第1及び第2のアクチュエータの作動状 態の異常判定を行なうことを特徴とする。

 請求項6に係る発明によれば、判定部は、 車両の車速と前輪転舵角に基づいて、基準値 を参照して、第1及び第2のアクチュエータの 動状態の異常判定を行なうことができる。

 請求項7に係る発明は、車両に備わる左右 の後輪のトー角をそれぞれ独立に変更し、車 両の旋回状態を制御する第1のアクチュエー 及び第2のアクチュエータと、第1及び第2の クチュエータを制御する制御装置と、第1及 第2のアクチュエータの作動状態情報を検知 する作動状態検知センサと、を備える車両制 御システムにおける異常判定方法であって、 制御装置が、所定の車両挙動に対する第1及 第2のアクチュエータの作動範囲を定めた基 値を有し、作動状態検知センサにより取得 れた作動状態情報と基準値に基づき、第1及 び第2のアクチュエータの作動状態の異常判 を行なうことを特徴とする。

 請求項7に係る発明によれば、制御装置が 、所定の車両挙動に対する第1及び第2のアク ュエータの作動範囲を定めた基準値を有し その基準値に基づき第1及び第2のアクチュ ータの作動状態の異常判定を行なうことこ ができる。

 請求項8に係る発明は、請求項7に記載の 常判定方法において、作動状態情報は左右 後輪の実トー角であり、基準値は、車両の 速に応じて設定される左右の後輪のトー角 作動範囲であることを特徴とする。

 請求項8に係る発明によれば、制御装置に おいて、異常判定の基準値である左右の後輪 のトー角の作動範囲が車両の車速に応じて設 定され、その基準値に基づいて第1及び第2の クチュエータの作動状態の異常判定を行な ことができる。

 請求項9に係る発明は、請求項8に記載の 常判定方法において、車両の車速と前輪転 角に基づいて、基準値を参照して、第1及び 2のアクチュエータの作動状態の異常判定を 行なうことを特徴とする。

 請求項9に係る発明によれば、制御装置に おいて、車両の車速と前輪転舵角に基づいて 、基準値を参照して、第1及び第2のアクチュ ータの作動状態の異常判定を行なうことが きる。

 請求項1,4に記載の発明によれば、車両の 回状態を制御する第1及び第2のアクチュエ タの両方の作動範囲に基づいて第1及び第2の アクチュエータの作動状態の異常判定を行う ので、車両全体として適正な協調動作の作動 状態にあるか否かが判定できる。

 特に、請求項2,5に記載の発明によれば、 右の後輪の実トー角が車両の車速に応じて 定される左右の後輪のトー角の作動範囲内 あるかに否かによって、左右の後輪トー角 変更制御する第1及び第2のアクチュエータ 異常の有無が判定できるので、旋回状態を 御する車両制御システムとして適切な旋回 御性の維持ができているか否か判定できる

 更に、請求項3,6に記載の発明によれば、 両の車速と前輪転舵角に基づいて後輪トー を設定する車両制御システムにおいて、後 トー角による車両の車速と前輪転舵角に基 いた適切な旋回制御性の維持ができている 否か判定できる。

 請求項7に記載の発明によれば、車両に備 わる左右の後輪のトー角をそれぞれ独立に変 更し、車両の旋回状態を制御する第1及び第2 アクチュエータの両方の作動範囲に基づい 第1及び第2のアクチュエータの作動状態の 常判定を行うので、車両全体として適正な 調動作の作動状態にあるか否かが判定でき 。

 特に、請求項8に記載の発明によれば、左 右の後輪の実トー角が車両の車速に応じて設 定される左右の後輪のトー角の作動範囲内で あるかに否かによって、左右の後輪トー角を 変更制御する第1及び第2のアクチュエータの 常の有無が判定できるので、旋回状態を制 する車両制御システムとして適切な旋回制 性の維持ができているか否か判定できる。

 更に、請求項9に記載の発明によれば、車 両の車速と前輪転舵角に基づいて後輪トー角 を設定する車両制御システムにおいて、後輪 トー角による車両の車速と前輪転舵角に基づ いた適切な旋回制御性の維持ができているか 否か判定できる。

本発明の実施形態に係るトー角変更装 を含む操舵システムを備えた四輪自動車の 体概念図である。 操舵システムの電動パワーステアリン 装置の構成図である。 操舵システムの左後輪側のトー角変更 置の構成図である。 トー角変更装置のアクチュエータの構 を示す概略断面図である。 操舵システムの操舵制御ECUとトー角変 制御ECUの概略制御機能構成図である。 トー角変更制御ECUの制御機能のブロッ 構成図である。 作動状態判定部における異常判定及び 舵制御ECUにおける異常判定を受けた後の制 の流れを示すフローチャートである。 (a)は左右の後輪のトー角α L 、α R の正、負方向の定義を説明する図であり、(b) は後輪のトー角α L 、α R の動作許可範囲Rpを説明する図であり、(c)は 動作許可範囲Rpの(b)と異なる設定方法の説 図である。

符号の説明

 1L、1R 前輪
 2L、2R 後輪
 3  操向ハンドル
 30 R 、30 L  アクチュエータ(第1及び第2のアクチュエー )
 31 L 、31 R  電動機
 33 減速機構
 35 送りねじ部
 37 トー角変更制御ECU(制御手段、又は制御 置)
 37a 主演算部
 37b L 、37b R  電動機駆動回路
 37c 副演算部
 38 L 、38 R   ストロークセンサ(作動状態検知手段、又 作動状態検知センサ)
 71 目標トー角演算部
 73 異常時目標トー角設定部
 81 L 、81 R  減算器
 82 L 、82 R  F/B制御部
 83 L 、83 R  電動機制御信号生成部
 85  作動状態判定部(判定手段、又は判定部 )
 85a 判定テーブル
 100 操舵システム(車両制御システム)
 120L、120R トー角変更装置
 130 操舵制御ECU(制御手段、又は制御装置)
 130a 電動パワステアリング制御部
 S FS  前輪転舵角センサ
 S H  操作角センサ
 S V  車速センサ

《実施形態》
 本発明の実施形態を図1から図6を参照しな ら説明する。
 図1は本発明の実施形態に係る車両制御シス テムの1例である操舵システムを備えた四輪 動車の全体概念図であり、図2は電動パワー テアリング装置の構成図である。

 図1に示すように、操舵システム(車両制御 ステム)100は、前輪1L、1Rを転舵させる操向ハ ンドル3による操舵を電動機4で補助する電動 ワーステアリング装置110、後輪2L、2Rのトー 角を変更させるアクチュエータ(第1及び第2の アクチュエータ)30 L 、30 R を含むトー角変更装置120L、120R、そのトー角 更装置120L、120Rを制御して前輪転舵角と車 とに応じてそれぞれ独立に後輪トー角を制 するトー角変更制御装置(以下、トー角変更 御ECUと称する)37及びトー角変更制御ECU37と 動パワーステアリング装置110を制御する操 制御装置130(以下、操舵制御ECUと称する)、操 作角センサS H 、車速センサS V 等を含んで構成されている。
 ここでトー角変更制御ECU37と操舵制御ECU130 は本発明の制御手段、又は制御装置に対応 る。

(電動パワーステアリング装置)
 電動パワーステアリング装置110は、図2に示 すように操向ハンドル3が設けられたメイン テアリングシャフト3aと、シャフト3cと、ピ オン軸7とが、2つのユニバーサルジョイン (自在継手)3bによって連結され、又、ピニオ 軸7の下端部に設けられたピニオンギア7aは 車幅方向に往復運動可能なラック軸8のラッ ク歯8aに噛合し、ラック軸8の両端には、タイ ロッド9、9を介して左右の前輪1L、1Rが連結さ れている。この構成により、電動パワーステ アリング装置110は、操向ハンドル3の操作時 車両の進行方向を変えることができる。こ で、ラック軸8、ラック歯8a、タイロッド9、9 は転舵機構を構成する。
 なお、ピニオン軸7はその上部、中間部、下 部を軸受3d、3e、3fを介してステアリングギア ボックス6に支持されている。

 又、電動パワーステアリング装置110は、操 ハンドル3による操舵力を軽減するための補 助操舵力を供給する電動機4を備えており、 の電動機4の出力軸に設けられたウォームギ 5aが、ピニオン軸7に設けられたウォームホ ールギア5bに噛合している。
 すなわち、ウォームギア5aとウォームホイ ルギア5bとで減速機構が構成されている。又 、電動機4の回転子と電動機4に連結されてて るウォームギア5aとウォームホイールギア5b とピニオン軸7とラック軸8とラック歯8aとタ ロッド9、9等により、ステアリング系が構成 されている。

 電動機4は、複数の界磁コイルを備えた固 定子(図示せず)とこの固定子の内部で回動す 回転子(図示せず)からなる3相ブラシレスモ タであり、電気エネルギーを機械的エネル ーに変換するものである。

 又、電動パワーステアリング装置110は、電 機4を駆動する電動機駆動回路23と、電動機4 の回転角を検出するレゾルバ25と、ピニオン 7に加えられるピニオントルクを検出するト ルクセンサS T と、ピニオン軸7の回転角を検出する操作角 ンサS H と、トルクセンサS T の出力を増幅する差動増幅回路21と、車両の 度(車速)を検出する車速センサS V とを備えている。
 そして、操舵システム100の操舵制御ECU130は 後記する電動パワーステアリング制御部130a (図5参照)を有しており、この電動パワーステ アリング制御部130aは、電動パワーステアリ グ装置110の機能部である電動機4を駆動制御 る。

 電動機駆動回路23は、例えば、3相のFETブリ ジ回路のような複数のスイッチング素子を え、電動パワーステアリング制御部130aから のDUTY(DU、DV、DW)信号を用いて、矩形波電圧を 生成し、電動機4を駆動するものである。
 又、電動機駆動回路23は図示しないホール 子を用いて3相の電動機電流を検出する機能 備えている。

 車速センサS V は、車両の車速を単位時間あたりのパルス数 として検出するものであり、車速信号VSを出 する。
 なお、以下では、車速信号VSを単に車速VSと 称する。
 操舵制御ECU130の機能構成については、電動 ワーステアリング装置110の制御とトー角変 装置120L、120Rの制御とをまとめて後記する

(トー角変更装置)
 次に、図3、図4を参照しながらトー角変更 置の構成を説明する。
 図3は左後輪側のトー角変更装置の平面図で あり、図4はトー角変更装置のアクチュエー の構造を示す概略断面図である。
 トー角変更装置120L、120Rは、車両の左右の 輪2L、2Rにそれぞれ取り付けられるものであ 、図3では、左後輪2Lを例にとりトー角変更 置120Lを示している。トー角変更装置120Lは アクチュエータ30 L 、ストロークセンサ38 L を備えている。
 なお、図3は、左側の後輪2Lのみを示してい が、右側の後輪2Rについても同様(対称)にし て取り付けられている。右側の後輪2Rに対し は、トー角変更装置120R、アクチュエータ30 R 、ストロークセンサ38 R と読み替える。ここでストロークセンサ38 L 、38 R が本発明の作動状態検知手段、又は作動状態 検知センサに対応する。

 車体のリアサイドフレーム11にほぼ車幅方 に延びるクロスメンバ12の車幅方向端部が弾 性支持されている。そして、ほぼ車体前後方 向に延びるトレーリングアーム13の前端がク スメンバ12の車幅方向端部近くで支持され いる。トレーリングアーム13の後端に後輪2L 固定されている。
 トレーリングアーム13は、クロスメンバ12に 装着される車体側アーム13aと、後輪2Lに固定 れる車輪側アーム13bとが、ほぼ鉛直方向の 動軸13cを介して連結されて構成されている これにより、トレーリングアーム13が車幅 向へ変位することが可能となっている。

 アクチュエータ30 L は、その一端が車輪側アーム13bの回動軸13cよ り前方側の前端部にボールジョイント16を介 て取り付けられ、他端がクロスメンバ12に ールジョイント17を介して取り付けられてい る。

 図4に示すように、アクチュエータ30 L は、電動機31 L 、減速機構33、送りねじ部35等を備えて構成 れている。
 電動機31 L は、正逆両方向に回転可能なブラシモータや ブラシレスモータ等で構成されている。
 減速機構33は、例えば、2段のプラネタリギ (図示せず)等が組み合わされて構成されて る。

 送りねじ部35は、円筒形状に形成されたロ ド35aと、このロッド35aの内部に挿入されて 筒形状をし、内周側にスクリュー溝35bが形 されたナット35cと、スクリュー溝35bと噛合 てロッド35aを軸方向に移動可能に支持する クリュー軸35dとを備えて構成されている。
 送りねじ部35は、減速機構33及び電動機31 L とともに細長形状のほぼ円筒形状のケース本 体34内に収容されている。又、ケース本体34 送りねじ部35側にはブーツ36がケース本体34 端部とロッド35aの端部との間を蓋うように り付けられており、ケース本体34の端部から 露出したロッド35aの外周面に埃や異物が付着 したり、ケース本体34の内部に外部から埃や 物や水が侵入しないようなっている。

 減速機構33の一端が電動機31 L の出力軸と連結され、他端がスクリュー軸35d と連結されている。電動機31 L からの動力が、減速機構33を介してスクリュ 軸35dに伝達されてスクリュー軸35dが回転す ことで、ロッド35aがケース本体34に対して 示左右方向(軸方向)に伸縮自在に動作するよ うになっている。スクリュー軸35dとナット35c のスクリュー溝35bとの噛合の摩擦力により、 電動機31 L が通電されて駆動されていない状態において も、後輪のトー角が一定に保持される。

 又、アクチュエータ30 L には、ロッド35aの位置(伸縮量)を検出するス ロークセンサ38 L が設けられている。このストロークセンサ38 L は、例えば、マグネットが内蔵され、磁気を 利用して位置を検出できるようになっている 。このように、ストロークセンサ38 L を用いて位置を検出することにより、後輪2L 2Rの実トー角(作動状態情報)を個別に高精度 に検出できるようになっている。

 このように構成されたアクチュエータ30 L は、ロッド35aの先端に設けられたボールジョ イント16がトレーリングアーム13の車輪側ア ム13b(図3参照)に回動自在に連結され、ケー 本体34の基端(図4において右側の端)に設けら れたボールジョイント17がクロスメンバ12(図3 参照)に回動自在に連結されている。電動機31 L の動力によってスクリュー軸35dが回転してロ ッド35aが伸びる(図4の左方向)と、車輪側アー ム13bが車幅方向外側(図3の左方向)に押圧され て、後輪2Lが左方向に旋回し、又ロッド35aが む(図4の右方向)と、車輪側アーム13bが車幅 向内側(図3の右方向)に引かれて、後輪2Lが 方向に旋回する。

 なお、アクチュエータ30 L のボールジョイント16が取り付けられる場所 、ナックル等後輪2Lのトー角を変更できる 置であれば、車輪側アーム13bに限定される のではない。又、本実施形態においてトー 変更装置120L、120Rはセミトレーリングアーム 型独立懸架方式のサスペンションに対して適 用した場合の例で示したがそれに限定される ものではなく、他の懸架方式のサスペンショ ンにも適用できる。
 例えば、ダブルウイッシュボーン式サスペ ションのサイドロッドや、ストラット式サ ペンションのサイドロッドに前記アクチュ ータ30 L を組み込むことによっても実現できる。右側 の後輪2Rに対しては、図4において、アクチュ エータ30 L 、電動機31 L 、ストロークセンサ38 L をアクチュエータ30 R 、電動機31 R 、ストロークセンサ38 R と読み替える。

 又、アクチュエータ30 L 、30 R を制御するトー角変更制御ECU37が車体側に取 付けられている。トー角変更制御ECU37は、 動機31 L 、31 R と三相動力線で接続され、ストロークセンサ 38 L 、38 R とコネクタ等を介して信号線で接続されてい る。又、トー角変更制御ECU37と操舵制御ECU130 の間とは通信回線で接続されている。
 トー角変更制御ECU37には、車両に搭載され 図示しないバッテリ等の電源から電力が供 される。又、操舵制御ECU130、電動機駆動回 23にも前記とは別系統でバッテリ等の電源か ら電力が供給される(図示せず)。

(操舵制御ECU)
 次に、図5を参照しながら操舵制御ECUの機能 を説明する。
 図5は操舵システムの操舵制御ECUとトー角変 更制御ECUの概略制御機能構成図である。
 操舵制御ECU130は、図示しないCPU、ROM、RAM等 備えるマイクロコンピュータ及び周辺回路 から構成されている。
 図5に示すように操舵制御ECU130は、電動パワ ーステアリング装置110を制御する電動パワー ステアリング制御部130aと、後輪2L、2Rのトー の目標値を演算する目標トー角演算部71と 異常時目標トー角設定部73を備えている。

(電動パワーステアリング制御部)
 電動パワーステアリング制御部130aは、詳細 な説明を省略するが、特開2002-59855号公報の 2に記載されているような電動機4を駆動制御 するための目標電流信号を設定し、その信号 をイナーシャ補正し、更にダンピング補正し 、補正された目標電流を、電動機駆動回路の 出力電流をフィードバック制御して、電動機 駆動回路23にDUTY(DU、DV、DW)信号を出力する。

(目標トー角演算部)
 次に、図5を参照しながら目標トー角演算部 について説明する。
 目標トー角演算部71は、車速VSと、操向ハン ドル3の操作角θ H とから左右の後輪2L、2Rのそれぞれの目標ト 角α TL 、α TR を生成し、左右の後輪2L、2Rのそれぞれのト 角変更を制御するトー角変更制御ECU37に目標 トー角α TL 、α TR を入力する。この目標トー角α TL 、α TR の生成は、予め左右の後輪2L、2Rごとに設定 れたトー角テーブル71aを操作角θ H 、操作角θ H の角速度ω H 、車速VSとに基づいて参照することによって なわれる。
 なお、角速度ω H は目標トー角演算部71内で操作角θ H を微分して求める。
 例えば、次式(1)、(2)のように設定される。
 α TL =K L (VS,ω H H )・θ H       ・・・・(1)
 α TR =K R (VS,ω H H )・θ H       ・・・・(2)
 ここで、K L (VS,ω H H )、K R (VS,ω H H )は車速VS、操作角θ H 及び角速度ω H に依存する前後輪操舵比であり、後輪の目標 トー角α TL 、α TR が、車速が所定の低速の範囲では、操向ハン ドル3の操作角θ H に応じて後輪2L、2Rが逆相に、小回りがしや いように各後輪の目標トー角α TL 、α TR が生成される。

 前記所定の低速の範囲を超える高速の範囲 は、角速度ω H の絶対値が所定の値以下で、かつ、操作角θ H が左右の所定の範囲以内の場合は、操作角θ H に応じて同相に各後輪の目標トー角α TL 、α TR が設定される。つまり、レーンチェンジにお ける横すべり角βを小さくするように各後輪 目標トー角α TL 、α TR が設定される。
 しかし、前記所定の低速の範囲を超える高 の範囲で、角速度ω H の絶対値が所定の値を超えるか、又は、操作 角θ H が左右の所定の範囲を超える大きな操作角θ H の場合は、操作角θ H に応じた逆相に各後輪の目標トー角α TL 、α TR が設定される。
 なお、目標トー角演算部71で生成される目 トー角α TL 、α TR は、旋回安定性の観点から必ずしもアッカー マン・ジャントのジオメトリに従う必要はな い。又、操作角θ H が0°のとき目標トー角α TL 、α TR が、それぞれ、例えば、2°のトーインの設定 になっていても良い。

(異常時目標トー角設定部)
 次に、図5を参照しながら異常時目標トー角 設定部について説明する。
 異常時目標トー角設定部73は、目標トー角 算部71から目標トー角α TL 、α TR の信号を入力され、トー角変更制御ECU37の後 する作動状態判定部(判定手段、又は判定部 )85から異常状態検知信号を入力される。異常 時目標トー角設定部73は、異常状態検知信号 入力されたとき、あらかじめ設定された異 時の目標トー角α SL 、α SR を目標トー角演算部71に入力して、トー角変 制御ECU37にその異常時の目標トー角α SL 、α SR を目標トー角として出力させると共に、車速 VSと操作角θ H に応じた後輪トー角制御を中止させる。

(トー角変更制御ECU)
 次に、図6を参照しながらトー角変更制御ECU の詳細な構成を説明する。図6はトー角変更 置のトー角変更制御ECUの制御機能のブロッ 構成図である。
 トー角変更制御ECU37は、電子装置的な構成 しては、2つのCPU、RAM、ROM等を備えるマイク コンピュータ及び周辺回路等と、電動機駆 回路37b L 、37b R を含んでいる。そして、前記2つのCPUは機能 ロック的には図6に示す主演算部37aと副演算 37cに対応し、それぞれはあらかじめ前記ROM 記憶されたプログラムを実行する。
 主演算部37aはアクチュエータ30 L 、30 R 、つまり電動機31 L 、31 R を個別に駆動制御する機能を有している。そ のために主演算部37aは、電動機31 L を制御するため減算器81 L と、フィードバック制御部(以下、F/B制御部)8 2 L と、電動機制御信号生成部83 L とを含み、電動機31 R を制御するため減算器81 R と、F/B制御部82 R と、電動機制御信号生成部83 R とを含んでいる。
 副演算部37cは作動状態判定部85を含んでい 。

 以下に、各機能ブロックについて詳細に説 する。
 ストロークセンサ38 L からの実トー角α L と、操舵制御ECU130の目標トー角演算部71から 目標トー角α TL とが減算器81 L に入力される。減算器81 L は偏差信号を算出して、それをF/B制御部82 L に入力する。F/B制御部82 L は、偏差信号に所定のゲイン定数を乗じて目 標電流信号を生成して、電動機制御信号生成 部83 L に出力する。ここで、目標電流信号とは、ア クチュエータ30 L を作動量(後輪2Lを所望のトー角α TL にする伸縮量)に設定するのに必要な電動機31 L への電力を供給するための電流信号である。
 電動機制御信号生成部83 L は、F/B制御部82 L から目標電流信号を受けて電動機駆動回路37b L に電動機制御信号を出力する。この電動機制 御信号は、電動機31 L に供給する電流値と電流を流す方向を含む信 号である。電動機駆動回路37b L は、FET(FieldEffect Transistor)のブリッジ回路等 構成され、電動機制御信号に基づいて電動 31 L に電動機電流を供給する。

 他方の電動機31 R に対しても、ストロークセンサ38 R からの実トー角α R と、操舵制御ECU130の目標トー角演算部71から 目標トー角α TR に応じて、減算器81 R 、F/B制御部82 R 、電動機制御信号生成部83 R 、電動機駆動回路37b R が同様に機能する。

 このようにF/B制御部82 L 、82 R において目標トー角α TL 、α TR に対して実トー角α L 、α R をフィードバックして、目標電流信号を生成 することにより、後輪2L(又は2R)のトー角変更 に要する電流値が車速VS、路面環境、車両の 動状態、タイヤの磨耗状態等によって変化 るのをフィードバックして、目標のトー角 TL 、α TR に所望のトー角の変化速度で設定制御するこ とができる。

 更に、副演算部37cの作動状態判定部85は、 演算部37aにおける演算制御と並行して、車 VSと操作角θ H とに基づいて、判定テーブル85aを参照して基 準値を算出し、算出された基準値とストロー クセンサ38 L 、38 R からの実トー角α L 、α R と照らし合わせて、アクチュエータ30L、30Rの 作動状態が異常であるか通常状態であるかを 判定する。判定した結果異常状態の場合は、 作動状態判定部85は操舵制御ECU130の異常時目 トー角設定部73に異常状態検知信号を出力 る。
 この判定方法については後記する。

 次に、図7を参照しながら、作動状態判定部 における異常判定の制御の流れを説明する。 図7は作動状態判定部における異常判定及び 舵制御ECUにおける異常判定を受けた後の制 の流れを示すフローチャートである。以下 制御の流れは所定の周期、例えば、10msecの 期で繰り返し行なわれる。
 ステップS11では、作動状態判定部85は、初 設定としてIFLAG=0、カウンタn=0、タイマt=0の セットを行なう。ここで、IFLAGは後輪トー α TL 、α TR の組み合わせが後記する動作許可範囲の中に 含まれていないと一度判定されて所定の経過 時間T 0 以内の状態か否かを判別するフラグであり、 カウンタnは、その状態で後輪トー角α TL 、α TR の組み合わせが動作許可範囲の中に含まれて いないとの繰り返し判定が何回あったかを示 すカウンタであり、タイマtは後輪トー角α TL 、α TR が動作許可範囲の中に含まれていないと一度 判定されてからの経過時間を計時するタイマ である。

 ステップS12では、作動状態判定部85は、車 VS、後輪トー角(実トー角)α L 、α R を読み込む。ステップS13では、作動状態判定 部85は、車速VSに基づいて動作許可範囲を計 する。
 この動作許可範囲は、ROMにあらかじめ記憶 れた判定テーブル85aのデータに基づき、車 VSに応じて図8の(b)に示す動作許可範囲Rpを のように計算する。まず、図8の(a)に示すよ に左右の後輪のトー角α L 、α R を左方向を正、右方向を負と定め、図8の(b) 示すように左後輪トー角(実トー角)α L を縦軸に、右後輪トー角(実トー角)α R を横軸に取る。そして、原点Oを通り第1象限 第2象限において右斜め上方から左斜め下方 に延びる、右後輪トー角α R (+)軸に対して45°をなす一点鎖線で示す直線A 中心にして、所定の距離L A だけ等しく両側に取ったバンドW A を設定する。更に、原点Oを通り第3象限と第4 象限において左斜め上方から右斜め下方に延 びる、右後輪トー角α R (+)軸に対して135°をなす一点鎖線で示す直線B を中心にして、所定の距離L B だけ等しく両側に取ったバンドW B を設定する。この、所定の距離L A は車速VSが大きくなるに従い矢印Xに示すよう に小さくすると共に、所定の距離L B も車速VSが大きくなるに従い矢印Yに示すよう に小さくする。そして、バンドW A とバンドW B の重なる領域が車速VS(所定の車両挙動)によ 決まる動作許可範囲Rpである。
 なお、動作許可範囲Rpは、請求項に記載の 明の基準値に対応する。

 又、所定の距離L A 、L B は、左右の後輪トー角α L 、α R それぞれが-α 0 ~+α 0 の範囲で物理的に変化可能であることを考慮 してその範囲内で、車両の旋回運動性、旋回 運動時の安定性を考慮して設定される。
 ここで、バンドW A の直線Aから一定の距離L A 離れた両側の直線の内、左斜め上方の平行直 線A 1 はα L R 0 に対応し、右斜め下方の平行直線A 2 はα L R =-β 0 に対応する。バンドW B の直線Bから一定の距離L B 離れた両側の直線の内、右斜め上方の平行直 線B 1 はα L R 0 に対応し、左斜め下方の平行直線B 2 はα L R =-α 0 に対応する。β 0 はα 0 以下の正の数値である。
 図8の(c)については、動作許可範囲Rpの別の 定方法の説明図であり、その説明は後記す 。

 ステップS14では、作動状態判定部85は、後 トー角α L 、α R の組み合わせが動作許可範囲Rpの中に含まれ いるか否かをチェックする。動作許可範囲R pの中に含まれている場合(Yes)は、ステップS19 へ進み、含まれていない場合(No)はステップS1 5へ進む。
 ここでは、動作許可範囲Rpの中に含まれて るとしてステップS19に進むこととする。
 ステップS19では、作動状態判定部85はタイ tが所定の経過時間T 0 以上か否かをチェックする。タイマtが所定 経過時間T 0 以上の場合(Yes)はステップS20へ進み、そうで い場合(No)はステップS12へ戻り、処理を繰り 返す。ここでは、タイマtはステップS11で初 条件としてリセットされたまま(タイマt=0)な ので、ステップS12へ戻る。

 ステップS14において動作許可範囲Rpの中に まれていない(No)としてステップS15へ進んだ 合は、IFLAG=1か否かをチェックする(ステッ S15)。IFLAG=1の場合(Yes)はステップS18へ進み、 うでない場合はステップS16へ進む。この場 は、ステップS11において初期条件としてIFLA G=0のままなのでステップS16へ進む。
 ステップS16では、作動状態判定部85はIFLAG=1 し、更にステップS17へ進み、タイマtをスタ ートし、ステップS18へ進む。ステップS18では 、作動状態判定部85はカウンタnを1つ増加さ 、ステップS19へ進む。

 ここでは、タイマtがステップS18にてスター トしたばかりなので、タイマtは所定の経過 間T 0 未満(No)としてステップS12に戻り処理を繰り す。ステップS12、S13と進み、ステップS14に いて再び後輪トー角α L 、α R の組み合わせが動作許可範囲Rpの中に含まれ いない場合(No)はステップS15、S18へと進み、 カウンタnが1増加する。このようにステップS 14における判定がIFLAG=1となってからのタイマ tの計時時間が所定の経過時間T 0 以上になるまでの間のステップS12からステッ プS19までの繰り返し処理の中で、ステップS14 において動作許可範囲Rpの中に含まれていな と判定された回数がカウンタnで数えられる 。

 ステップS19においてタイマtが所定の経過時 間T 0 以上の場合、ステップS20へ進み、カウンタn 閾値N 0 以上か否かをチェックする。カウンタnが閾 N 0 以上の場合(Yes)はステップS22へ進み、閾値N 0 未満の場合(No)はステップS21へ進む。
 ステップS21では、作動状態判定部85はIFLAG=0 カウンタn=0とし、タイマt=0とリセットして テップS12へ戻り処理を繰り返す。
 これは、アクチュエータ30 L 、30 R の目標トー角α TL 、α TR に対する動作追随速度特性から一時的に後輪 トー角α L 、α R の組み合わせが動作許可範囲Rpの中に含まれ いない場合がありうるので、最初に後輪ト 角α L 、α R の組み合わせが動作許可範囲Rpの中に含まれ いないと判定されてから所定の経過時間T 0 中の繰り返し処理による後輪トー角α L 、α R の組み合わせが動作許可範囲Rpの中に含まれ いないと判定された回数をカウンタnによっ て数え、カウンタnの値が閾値N 0 未満の場合は、異常状態ではないとしてステ ップS21でリセットして、ステップS12へ戻り、 繰り返し処理を続けるものである。

 ステップS22では、作動状態判定部85は異常 目標トー角設定部73に異常検出信号を出力す る。このとき、作動状態判定部85は異常時目 トー角設定部73に異常状態と判定したとき 実トー角α L 、α R も入力しても良い。ステップS23では、異常時 目標トー角設定部73は目標トー角演算部71に 標トー角の演算中止指令と、異常時の目標 ー角α SL 、α SR を入力する。このとき、異常時目標トー角設 定部73は、目標トー角演算部71が出力してい 最寄の目標トー角α TL 、α TR 、作動状態判定部85から転送された実トー角 L 、α R を参照して、例えば、安定性が増すように、 α SL =-0.5°、α SR =+0.5°のように、わずかにトーインとなるよ に設定して目標トー角演算部71に入力する。
 それを受けて、ステップS24では、目標トー 演算部71は、入力されたトー角α SL =-0.5°、α SR =+0.5°(所定の異常時の目標トー角)を主演算部 37aに出力し、後輪トー角制御を中止する。こ のとき、運転者に後輪トー角制御故障の表示 をして知らせても良い。
 こうして、一連の処理が終了する。

 以上、本実施形態によれば、作動状態判定 85において、繰り返し処理の中で車速VSに基 づいて動作許可範囲Rpを計算し、読み込んだ 輪トー角α L 、α R の組み合わせが動作許可範囲Rpの中に含まれ いるか否かをチェックし、動作許可範囲Rp 中に含まれていない場合は所定の経過時間T 0 内に閾値N 0 以上のカウンタnの計数がなされたとき、ア チュエータ30 L 、30 R が異常であると判定して、トー角制御を中止 させる。
 動作許可範囲Rpの中に含まれていない場合 も、所定の経過時間T 0 内に閾値N 0 未満のカウンタnの計数のときは、アクチュ ータ30 L 、30 R の追随速度特性の問題として、アクチュエー タ30 L 、30 R が異常とは判定しない。

 なお、読み込んだ後輪トー角α L 、α R の組み合わせが一時的に動作許可範囲Rpの中 含まれないときに、異常判定の誤判定をす のを避ける方法は、前記したフローチャー に示した方法に限定されるものではない。( 1)一定の時間幅毎(所定の繰り返し数の間)、 み込んだ後輪トー角α L 、α R の組み合わせが動作許可範囲Rpの中に含まれ い場合の数をカウンタnで計数して、カウン タnが閾値N 0 以上のときに、アクチュエータ30 L 、30 R が異常と判定しても良いし、(2)初めて読み込 んだ後輪トー角α L 、α R の組み合わせが動作許可範囲Rpの中に含まれ いときに、タイマtをスタートさせ、その後 読み込んだ後輪トー角α L 、α R の組み合わせが動作許可範囲Rpの中に含まれ までの経過時間をタイマtで計時し、所定の 経過時間T 0 を経過しても動作許可範囲Rpの中に含まれる とがない場合に、アクチュエータ30 L 、30 R が異常と判定しても良い。

 このように左右の後輪のトー角α L 、α R の組合せが、車両走行状態に適切な範囲、動 作許可範囲Rp内にあるか否かをチェックする で、左右の後輪のトー角α L 、α R をそれぞれ単独で監視して異常判定をする方 法では、故障した状態における左右の後輪の トー角α L 、α R の組合せが現在の走行状態に対して適したも のなのか否かの判断が適切にできなかったも のが適切に行なえるようになる。又、その結 果から異常状態か否かを判定する。
 ちなみに、動作許可範囲Rpを設定する幅が 速VSが大きくなるに従い狭くなるようにした ので、高速走行においてアクチュエータ30 L 、30 R が故障して異常になれば、低速の場合より早 い段階で異常であると作動状態判定部85にお て判定でき、高速状態でアクチュエータ30 L 、30 R の故障を運転者が知らないで運転を継続する 時間を短くできる。

 このように、左右の後輪のトー角α L 、α R をそれぞれ単独で監視して異常判定をしない ので、アクチュエータ30 L 、30 R の一方が固着または目標トー角に対して追随 速度特性が低下していて、他方が目標トー角 制御に正常に追従している場合において、固 着や追随速度特性の低下が生じていてもすぐ に異常と判定されず、左右の後輪トー角α L 、α R の組合せが車速VSに応じて変化する動作許可 囲Rp内に含まれない場合に初めて異常と判 される。

(変形例)
 本発明は前記実施形態に限定されるもので なく、例えば、以下のような種々の変形が 能である。
 (1)作動状態判定部85における動作許可範囲Rp 内に含まれるか否かの判定において、図8の(c )に示すように、読み込んだ実トー角α L 、α R をそのまま使わず、α L R とα L R を演算して、その値が動作許可範囲Rp内に含 れるか否かを判定しても良い。この場合も 8の(c)における動作許可範囲Rpの左右の境界 、最小値-α 0 以上、最大値+α 0 以下の範囲で車速VSが大きくなるに従い矢印X に示すように狭くなる。同様に、上下の境界 は、最小値-β 0 以上、最大値+β 0 以下の範囲で車速VSが大きくなるに従い矢印Y に示すように狭くなる。

 (2)作動状態判定部85における左右の後輪の ー角α L 、α R の組合せが、車両走行状態に適切な範囲であ るか否かの判定を、動作許可範囲Rpでなく、 速VSと操作角θ H とに基づいて動作許可範囲Rpの第1象限~第4象 のいずれに入っているか否かで判定しても い。
 このようにすることにより、目標トー角演 部71において、車速VSと操作角θ H とに応じて各トー角を独立で制御して、前輪 と同相、前輪と逆相、トーイン状態、トーア ウト状態の制御をしている場合の、それぞれ に対して動作許可範囲Rpに入っているか否か チェックして異常判定ができる。

 (3)前記実施形態における目標トー角演算部7 1において用いる操向角θ H の代わりに、図1に破線枠で示すように前輪 舵角検出センサS FS を設けて、前輪転舵角δを検出して用いるよ にし、目標トー角演算部71、作動状態判定 85においても前輪転舵角δを用いて演算や判 をするようにしても良い。

 (4)また、トー角変更制御ECU37は、2つのCPU、R OM、RAM、及び周辺回路を含むマイクロコンピ ータと、電動機駆動回路37b L 、37b R から構成されているとしたが、それに限定さ れない。2つのCPUの代わりに1つのCPUが複数の アを有し、個々のコアが前記主演算部37aと 演算部37bを構成しても良い。

 (5)本発明の電動パワーステアリング装置110 は、操向ハンドル3と前輪1L、1Rとが機械的 切り離されたステアバイワイヤ(Steer By Wire) が含まれる。
 (6)本発明の車両制御システムは本実施例の 舵システム100に限定されない。操作角θ H 、車速VS、車両のヨーレートを検出して、操 角θ H と車速VSに応じてヨーモーメントを制御する 動力配分制御装置に対しても適用できる。 の場合、各車輪に車輪速を検出する車輪速 ンサを設けて、各車輪の車輪速の値の組み わせを、車速VSと操作角θ H とに基づいて決まる基準値(動作許可範囲)と 較して判定し、旋回状態における左右の車 速の値の組み合わせが車輪ブレーキの協調 作が適切に行なわれている範囲(動作許可範 囲)内にあるか否かから、車輪ブレーキの異 や、車輪ブレーキへの油圧を供給、制御す 油圧装置の異常の判定を行なうことができ 。