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Title:
METHOD OF PRODUCING FERMENTED DRINK USING MULTIPLE SPECIES OF YEASTS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/084618
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are a method of producing a fermented drink which sustains the flavor of fermented drinks such as beer or low-malt beer, has a flavor imparted thereto that originates in a brewing yeast other than beer yeasts, and contains an antioxidant SO2 at a concentration sufficient to exert the antioxidant effect thereof; and the fermented drink as described above. To achieve these objects, fermentation is carried out by using a bottom beer yeast and a brewing yeast other than bottom beer yeasts.

Inventors:
ODA SHINPEI (JP)
YOMO HIDEKO (JP)
IZUMI TAKAAKI (JP)
FUJITA HIROKI (JP)
ARITA TETSUYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/073693
Publication Date:
July 09, 2009
Filing Date:
December 26, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUNTORY HOLDINGS LTD (JP)
ODA SHINPEI (JP)
YOMO HIDEKO (JP)
IZUMI TAKAAKI (JP)
FUJITA HIROKI (JP)
ARITA TETSUYA (JP)
International Classes:
C12G3/02; C12C11/02
Domestic Patent References:
WO2005061690A12005-07-07
Other References:
PATIL, S.G ET AL.: "TOP AND BOTTOM YEASTS TOGETHER ACCELERATE ETHANOL PRODUCTION IN MOLASSES FERMENTATION", BIOTECHNOLOGY LETTERS, vol. 11, no. 5, 1999, pages 359 - 364
ALEXANDER, D. B. ET AL.: "Growth Kinetics of Top and Bottom Cultures of Saccharomyces spp. in a Chemostat Using Sugarbeet Molasses", ACTA BIOTECHNOLOGICA, vol. 8, no. 2, 1988, pages 115 - 123
HIDEKO YOMO: "Kobo Tokusei ga Whiskey Genshu Tokusei ni Oyobosu Eikyo", JOURNAL OF THE BREWING SOCIETY OF JAPAN, vol. 101, no. 5, 2006, pages 315 - 323
NOBUHIKO MUKAI: "Kakushu Jozoyo Kobo ni yoru Beer Jozo no Kanosei", JOURNAL OF THE BREWING SOCIETY OF JAPAN, vol. 97, no. 2, 2002, pages 99 - 105
Attorney, Agent or Firm:
ONO, Shinjiro et al. (Section 206 New Ohtemachi Bldg., 2-1, Ohtemachi 2-chome, Chiyoda-k, Tokyo 04, JP)
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Claims:
i)下面ビール酵母、およびii)下面ビール酵母以外の醸造用酵母による複数種の酵母によってアルコール発酵させる工程を含む、発酵飲料の製造方法。
下面ビール酵母以外の醸造用酵母が、上面ビール酵母、清酒酵母、焼酎酵母、およびワイン酵母からなる群から選択される一種またはそれ以上である、請求項1に記載の製造方法。
下面ビール酵母以外の醸造用酵母が、マルトースの発酵能の低い酵母である、請求項1または2に記載の製造方法。 
発酵工程において、下面ビール酵母を発酵開始時または発酵途中に、総発酵液量基準として1×10 6 ~50×10 6 個/mlとなるように添加する、請求項1~3のいずれか一項記載の製造方法。 
発酵工程において、下面ビール酵母以外の醸造用酵母を発酵開始時または発酵途中に、総発酵液量基準として10 4 ~10 8 個/mlとなるように添加する、請求項1~4のいずれか一項記載の製造方法。 
発酵飲料中のSO 2 の濃度が10ppm以上である、請求項1~5に記載の発酵飲料の製造方法。
発酵工程に用いる発酵原液がマルトースを成分として含むものである、請求項1~6に記載の製造方法。
発酵原液が麦を原料として調製される、請求項7に記載の製造方法。 
麦が麦芽である、請求項8に記載の製造方法。 
発酵飲料がビールテイスト飲料である、請求項1~9に記載の製造方法。 
請求項1~9のいずれかに記載の飲料の製造方法により得られる発酵飲料。
 
Description:
複数種の酵母を利用した発酵飲 の製造方法

 本発明は、複数種の酵母を利用すること よる、香味が付与され、かつ抗酸化能を十 に有した発酵飲料の製造方法、及びその方 により得られる発酵飲料に関する。

 清酒酵母は、ビール酵母に比べてカプロ 酸エチルなどのような香気成分の産生能が い。発酵飲料の製造において、清酒酵母を 用すれば、発酵飲料中のカプロン酸エチル どのような香気成分の含有量を増やすこと でき、香味豊かな発酵飲料が得られる。従 て、清酒酵母等の香気成分の産生能の高い 母をビール醸造に使用できれば、香味豊か ビールが得られる。しかし、清酒酵母はマ トースの発酵能が低く、マルトースを主成 とする麦汁等を用いた発酵飲料の製造には さない。このマルトースの発酵能がビール 母に比較して著しく低いという問題は他の 造用酵母に関しても同様であり、この問題 ためにビール酵母以外の醸造用酵母を用い 麦芽発泡酒の製造を実現している例は少な 。例を挙げれば、特許第2919341号には、ビー ル醸造に使用し得るビール酵母以外のマルト ース発酵能の高い醸造用酵母、その取得方法 、およびその方法によって得られる麦芽発酵 飲料が開示されている。 

 一方、多くの食品では、酸化を受けると りや味が悪くなり、商品価値が低下すると う問題がある。そのため、食品の酸化を防 するために、脱酸素処理及び抗酸化処理は 品製造に欠かせないものとなっている。ビ ル又は発泡酒においても酸化による品質低 は重要な問題であり、酸化を防止するため 様々な方法が提案されている。代表的なも として、製造工程において徹底的に酸素と 接触を断つ、抗酸化製造システムが挙げら る(特開2000-4866号公報)。

 また、酸化に対する他の安定化方法として 例えば重亜硫酸ナトリウム又は重亜硫酸カ ウム等の重亜硫酸塩、又はピロ亜硫酸塩を ールに添加する方法がある。ビール又は発 酒において、劣化臭である酸化したモルト 風味は、一般に不飽和アルデヒド、特にト ンス-2-ノネナール(trans-2-nonenal)とその関連 合物が原因であると言われている。これら 化合物は不飽和脂肪酸から発生すると考え れており、水素原子2つを失い(酸化)アルデ ドとなる。このアルデヒドによる酸化に対 る安定化方法としては、重亜硫酸ナトリウ 又は重亜硫酸カリウム等の重亜硫酸塩、又 ピロ亜硫酸塩から遊離するSO 2 を上記のアルデヒドに結合・作用させる方法 が知られている。しかしながら、ビールへの 重亜硫酸塩の添加が多くの国で禁止されてお り、また許可されている場合でも適切なラベ ルを貼ることが要求され、添加量も制限され ている(例えば、濃度10ppmまで)。一方、ビー 酵母自体がSO 2 生成能を有し、飲料の酸化を防止する効果が あることが知られているが、下面ビール酵母 以外の酵母は発酵中に抗酸化物質であるSO 2 を生成できない、もしくは、生成したとして もごく微量である。

 他方、複数種の酵母を利用することによる 酵飲料の製造を試みた例は極めて少ない。 としては、特表2007-514428号が挙げられるが パラチノースを含有した麦汁を用いた発酵 料の製造において、サッカロミッセスセレ シエ等に加えて、アルコールの生成を抑制 る目的で他の酵母が添加されている例であ 。

特許第2919341号

特開2000-4866号公報

特表2007-514428号

 本発明は、以上の背景から、下面ビール酵 以外の酵母由来の香味を付与し、かつ醸造 程にて抗酸化能を有するのに十分な濃度のS O 2 を含む発酵飲料の製造方法、及びその方法に より得られる発酵飲料を提供することを目的 とする。 

 本発明者は、上記目的を達成すべく、鋭意 討を重ねた結果、発酵飲料の製造方法にお て、下面ビール酵母と下面ビール酵母以外 酵母を使用して発酵を行うことにより、下 ビール酵母以外の酵母由来の種々の香味を 与し、さらに抗酸化物質であるSO 2 を所定量以上含むことで優れた劣化耐性を有 する発酵飲料を製造できることを見出した。 即ち、複数種の酵母を用いることにより、両 者由来の有益な特徴を併せ持った発酵飲料を 製造できることを見出し、本発明を完成する に至った。

 すなわち、本発明は、下面ビール酵母、 よび下面ビール酵母以外の醸造用酵母によ てアルコール発酵させる工程を含む発酵飲 の製造方法である。

 本発明の一態様では、下面ビール酵母以 の醸造用酵母は、上面ビール酵母、清酒酵 、焼酎酵母、およびワイン酵母からなる群 ら選択される一種またはそれ以上である。

 本発明の他の態様では、下面ビール酵母 外の醸造用酵母はマルトースの発酵の低い 母である。 

 また、本発明は、下面ビール酵母、および 面ビール酵母以外の醸造用酵母によってア コール発酵させる工程を含む発酵飲料の製 方法において、発酵工程にて下面ビール酵 を、発酵開始時または発酵途中に総発酵液 基準として1×10 6 ~50×10 6 個/mlとなるように添加する、上記発酵飲料の 製造方法である。

 また、本発明は、下面ビール酵母、および 面ビール酵母以外の醸造用酵母によってア コール発酵させる工程を含む発酵飲料の製 方法において、発酵工程にて下面ビール酵 以外の醸造用酵母を、発酵開始時または発 途中に総発酵液量基準として10 4 ~10 8 個/mlとなるように添加する、上記発酵飲料の 製造方法である。

 さらに本発明は、上記記載の方法により 造される発酵飲料である。

 本発明は、発酵飲料の製造工程中の発酵工 において、下面ビール酵母と下面ビール酵 以外の醸造用酵母を発酵原液に添加して発 させることによって、発酵飲料に対して下 ビール酵母以外の酵母由来の香味を付与す ことと抗酸化物質であるSO 2 を所定量以上含むことで優れた劣化耐性を付 与することを狙ったものである。
発酵原液
 本発明において、発酵原液とは発酵工程に る前の原料液のことをいい、これは酵母が 化するための単糖類、2糖類及び3糖類を含 ものである。単糖類としては、グルコース フラクトースなどが挙げられ、2糖類として 、マルトース、スクロースなどが挙げられ 。3糖類としてはマルトトリオース、イソマ ルトトリオースなどが挙げられる。
発酵原液製造のための原料
 本発明において、発酵原液製造のための原 は、発酵飲料の製造に使用することができ 原料であれば、何ら制限されるものではな 。すなわち、(1)麦芽および分画麦芽、ある はコーン・米などの副原料、およびホップ 利用したビールのための麦汁や、(2)水を除 原料に麦、糖化スターチなどの糖類、ホッ などを用いた発泡酒用麦汁、(3)非麦芽原料 ある麦以外の各種穀物、例えば、コーン、 、そば、ソルガム、粟、ひえ、および大豆 エンドウといった豆類や、それらをさらに 素処理・脱臭処理・分画などして得られた 白質または蛋白分解物等と、糖化スターチ 、ホップとをベースにして製造された非麦 発酵原液など、発酵原液が2糖類及び3糖類 含むのであればよい。中でも、麦芽などの を用いるのが好ましい。
糖類
 本発明において、糖類とは発酵飲料の製造 程において糖化工程を経ることなく酵母が 素源として資化できる糖を含有する原料の とをいう。例えば、それはデンプンなどの に穀物原料を酵素で、又は酸やアルカリで 水分解して得られるものである。あるいは それは、水飴あるいは市販されているもし は合成などにより得られる液糖のことをい 。
ホップ
 ホップは、発酵飲料がビールテイスト飲料 場合の製造に使用される。ホップはビール の製造に使用する通常のペレットホップ、 末ホップ、ホップエキスを香味に応じて適 選択して使用することができる。さらに、 ソ化ホップ、ヘキサホップ、テトラホップ どのホップ加工品を用いることもできる。
発酵原液の製造方法
 本発明において、発酵原液製造方法は、通 発酵原液の製造に使用することができる方 であれば、何ら制限はない。例えば、公知 麦汁製造工程によって製造されたビール麦 または発泡酒麦汁において、実施可能であ 。また、上記に示したような原料を使用し 非麦芽原料を用い、煮沸・静置などして、 造した発酵原液でもよい。
酵母
i)下面ビール酵母 
 下面ビール酵母は、サッカロミセス・セレ シアエ(Saccharomyces cerevisiae)とサッカロミセ ・バヤナス(S. bayanus)との交雑体であってサ ッカロミセス・パストリアヌス(S.  pastorianus )に分類されるという見解が一般的となって る。従って、サッカロミセス・パストリア ス(S. pastorianus)に分類されるビール醸造に用 いられる酵母を用いることができる。ただし 、アルコール発酵能を消失した菌株やSO 2 生成能を消失した菌株については本発明での 使用には適さない。例えば、Weihenstephan-34株 用いることができる。
ii)下面ビール酵母以外の酵母
 本発明で用いる下面ビール酵母以外の酵母 ついては、香り豊かな香味を付与できる酵 、例えば、上面ビール酵母、清酒酵母、焼 酵母、ワイン酵母などを好適に用いること できる。これらの上面ビール酵母、清酒酵 、焼酎酵母、またはワイン酵母については マルトース資化能の低い酵母であっても良 。

 マルトースの資化能の低い酵母とは、マ トースを全く資化しないか、もしくはマル ースを資化できる程度が下面ビール酵母と 較して低いものをいう。

 上面ビール酵母とは、エールタイプのビ ル醸造に用いられる酵母である。ビール醸 に用いられる上面ビール酵母は、主として ッカロミセス・セレビシアエ(S. cerevisiae)に 分類される。例えば、Weihenstephan-165株、Weihens tephan-184株、Weihenstephan-197株などが挙げられる 。好ましくは、Weihenstephan-197株を用いること できる。

 清酒酵母とは、清酒醸造に用いられる酵 である。清酒醸造に用いられる酵母は、主 してサッカロミセス・セレビシアエ(S. cerev isiae)に分類される。例えば、協会6号(財団法  日本醸造協会頒布)、協会601号(財団法人  本醸造協会頒布)、協会1501号(財団法人 日 醸造協会頒布)などが挙げられる。好ましく 、協会1501号を用いることができる。

 焼酎酵母とは、焼酎醸造に用いられる酵 である。焼酎醸造に用いられる酵母は、主 してサッカロミセス・セレビシアエ(S. cerev isiae)に分類される。例えば、焼酎用協会2号( 団法人 日本醸造協会頒布)、焼酎用協会3号 (財団法人 日本醸造協会頒布)などである。 ましくは、焼酎用協会2号を用いることがで る。

 ワイン酵母とは、ワイン醸造に用いられる 母である。ワイン醸造に用いられる酵母で れば特に限定されないが、例えば、サッカ ミセス・セレビシアエ(S. cerevisiae)や サッ ロミセス・バヤナス(S. bayanus)に分類される ワイン酵母を好適に用いることができる。好 ましくは、LalvinEC-1118株を用いることができ 。
発酵工程
 本発明の発酵工程について詳しく説明する 上記に示す通りに得られた発酵原液を発酵 に入れ、適切な量の空気、好ましくは、溶 酸素が飽和になるまで、さらに好ましくは1 0 6 個/mlの酵母当たりの溶存酸素濃度を1ppmにな まで発酵原液に吹き込んだ後、アルコール 酵酵母をそれぞれ添加して発酵を行う。 

 発酵温度は約5~25℃、好ましくは10℃~20℃ ある。発酵時間は、約4~20日程度、好ましく は約5~10日程度である。発酵時間や発酵温度 いった発酵条件、ろ過、殺菌または充填な の製造条件は、製造する発酵飲料に持たせ 特徴を適宜考慮して設定すればよい。

 下面ビール酵母は、発酵工程にて、発酵開 時または発酵途中に総発酵液量基準として 1×10 6 ~50×10 6 個/ml、より好ましくは約5×10 6 ~20×10 6 個/ml、最も好ましくは10×10 6 ~14×10 6 個/mlとなるように添加する。

 下面ビール酵母以外のもう1種類の酵母の添 加濃度は、酵母由来の香味を付与することが できれば特に制限されない。香味の設計方針 や酵母の香味付与能力を考慮して、適宜設定 すればよい。例えば、発酵工程にて、発酵開 始時または発酵途中に総発酵液量基準として 約10 4 ~10 8 個/ml、より好ましくは約1×10 5 ~50×10 6 個/ml、最も好ましくは1.5×10 6 ~5×10 6 個/mlとなるように添加する。これらの範囲と することで、もう1種類の酵母由来の香味を 与することができる。また、通常のビール イスト飲料としての香味を得るためには下 ビール酵母以外の酵母の濃度をある範囲に 定する必要がある。それにより、通常のビ ルテイスト飲料としての香味を得ることが きる。

 また、下面ビール酵母と下面ビール酵母 外の酵母の各々の添加タイミングは、特に 定されない。例えば、下記1)~3)のいずれで 良い。1)発酵開始時に、複数種の酵母を同時 に添加する。2)発酵開始時に下面ビール酵母 、発酵途中に下面ビール酵母以外の酵母を 加する。3)発酵開始時に下面ビール酵母以 の酵母を、発酵途中に下面ビール酵母を添 する。ただし、グルコースの資化速度を考 すると、下面ビール酵母と下面ビール酵母 外の酵母の比較においてグルコースの資化 度が遅い酵母を発酵開始時に先に添加する が好ましい。

 上述2)や3)において、発酵途中に別の酵母 を添加するタイミングは任意に設定でき、発 酵開始後30分~2日間で設定できる。好ましく 、発酵開始後1時間~24時間が望ましい。

 また、発酵原液の供給方法については、 量を発酵開始時から用いてもよいし、発酵 始時には発酵原液の一部を用い、発酵途中 残りの発酵原液を添加する方法を用いても い。後者の場合には、発酵原液を添加する イミングは適宜設定することができる。ま 、後者の場合、発酵途中に添加する別の酵 を、残りの発酵原液に懸濁させて添加する とができる。

 上記の発酵条件で下面ビール酵母を使用す ことにより、発酵飲料中の抗酸化能を向上 せることができる。したがって、長期間保 した場合であっても発酵飲料の香味は劣化 少ない。得られる発酵飲料中のSO 2 濃度は特に限定されないが、好ましくは10ppm 上であり、さらに好ましくは12ppm以上であ 。下面ビール酵母を使用することにより、 亜硫酸塩等の化合物の添加や設備装置の改 を必要とすることなく、発酵飲料の抗酸化 を向上させることができる。また、下面ビ ル酵母を使用することにより、発酵液中の キス分は通常の発酵飲料の製造の場合と同 度まで消費することができる。
発酵飲料
 本発明における発酵飲料としては、その原 や製法によって、穀物醸造酒及び果実醸造 等が挙げられるが、発酵飲料であればどの うな酒類でもよく、特に限定されるもので ない。つまり、本発明の発酵飲料は、酵母 よる発酵工程を経て製造される飲料を全て 含する。例えば、発泡酒、ビール、低アル ール発酵飲料(例えばアルコール分1%未満の 酵飲料)、雑酒、リキュール類、スピリッツ 類などが挙げられる。本発明はビールテイス ト飲料の製法に適している。ビールテイスト 飲料とは、炭素源、窒素源、ホップ類などを 原料とし、酵母で発酵させた飲料であって、 ビールのような風味を有するものをいい、例 えば、発泡酒、ビール、雑酒、リキュール類 、スピリッツ類、低アルコール発酵飲料(例 ばアルコール分1%未満の麦芽発酵飲料)など 挙げられる。日本酒税法上のビール、発泡 、その他醸造酒(発泡性)(1)、リキュール(発 性)(1)、あるいは過去の日本酒税法上の分類 言えば、リキュール類、その他雑酒などに いることができる。

 本発明の発酵飲料のアルコール分は特に限 されないが、1~15%(v/v)が望ましい。特にビー ルや発泡酒といったビールテイスト飲料とし て消費者に好んで飲用されるアルコールと同 程度の濃度、すなわち1~6%(v/v)の範囲が望まし いが特に限定されるものではない。
容器
 得られた発酵飲料については、通常の発酵 料と同様、ビン、缶、樽、またはペットボ ル等の密封容器に充填して、容器入り飲料 することができる。

 本発明の発酵飲料の製造方法では、下面 ール酵母と下面ビール酵母以外の酵母を利 して発酵を行う。下面ビール酵母が効果的 働いて発酵飲料中の抗酸化物質を抗酸化能 発揮されるのに十分な濃度にすることがで 、長期間保存した場合も香味劣化が少ない

 本発明を実施例によってさらに詳しく説 するが、本発明はこれらによって制限され ものではない。

 以下の各実施例は、2Lスケールの醸造設備 おいて試験的に実施したものである。
〔実施例1〕
 実施例1は、発泡酒製造の発酵工程において 、下面ビール酵母および香味の付加を目指し て下面ビール酵母以外の酵母を併せて用い、 特に下面ビール酵母以外の酵母として清酒酵 母を使用した例である。

 以下の原料を使用して発酵用麦汁を調製 た。

 麦芽使用比率24%、大麦使用比率16%、糖液 用比率60%にて原料を用いて、常法により通 の糖化工程を経て発酵用麦汁を得た。

 上記で得られた発酵用麦汁の溶存酸素濃度 10ppmに調整した後、下面ビール酵母(Weihenstep han-34株)を10×10 6 個/mlで、清酒酵母(協会1501号)をそれぞれ以下 の濃度になるように添加して、17℃で7日間発 酵させた。その後、-1℃で貯酒を行った。発 液はろ過により酵母を取り除き、最終的な 泡酒を得た。

 上述したように本実施例では、下面ビール 母以外の酵母を清酒酵母として発泡酒を製 し、それぞれ清酒酵母の添加濃度を0、2.5、 5、10×10 6 個/mlとして試験を実施した。この製造方法に よって製造した発泡酒について官能検査、あ るいはSO 2 濃度、マルトース濃度を定量した。SO 2 濃度は、衛生試験法亜硫酸測定法に基づいて 測定した。マルトース濃度(重量/容量%)は、 知の液体クロマトグラフィー法にて測定し (Analytica-EBC 1998.8.7)。

 清酒酵母無添加をコントロールとした。 酒酵母の寄与による特徴香付加の判断は官 試験によって行った。官能での判断として 清酒酵母特有のフルーティ香に着目し、そ 尺度をフルーティ香付加度とした。

 フルーティ香付加度の評価は、フルーテ 香を感知したときの強度を1、2、3、4の4段 評価することによって行い、パネラー全員 評価結果を集計し、その平均値が1~2未満の 合を×、2以上~3未満の場合を△、3以上~4の場 合を○と表現し3段階評価にて最終評価とし 。

 また、ビールらしさは、ビールテイスト 料としてのバランスの良さを、1、2、3、4の 4段階評価することによって行い、パネラー 員の評価結果を集計し、その平均値が1~2未 の場合を×、2以上~3未満の場合を△、3以上~4 の場合を○と表現し3段階評価にて最終評価 した。

 下面ビール酵母と下面ビール酵母以外の 母(清酒酵母)を用いた場合のみ、マルトー は完全に資化されていた。

 SO 2 による劣化耐性を維持してかつ特徴香味を付 加することのできる清酒酵母の濃度は2.5~5×10 6 個/mlが望ましい。
〔実施例2〕
 本実施例は、60Lスケールの醸造設備におい 試験的に実施したものである。実施例2は、 発泡酒の製造工程のうち発酵工程において、 下面ビール酵母と香味の付加を目指して下面 ビール酵母以外の酵母を用い、特に下面ビー ル酵母以外の酵母として清酒酵母を使用する ことにより本発明を適用した例で以下の手順 で実施した。

 以下の原料を使用して発酵用麦汁を調製 た。

 麦芽使用比率24%、大麦使用比率16%、糖液 用比率60%の原料を用いて、常法により通常 糖化工程を経て発酵用麦汁を得た。

 上記で得られた発酵用麦汁の溶存酸素濃度 10ppmに調整した後、30Lの麦汁に清酒酵母(協 1501号)を10×10 6 個/ml(総発酵液量基準としては5×10 6 個/ml)の濃度になるように添加し、発酵を開 した。発酵10時間後に、30Lの麦汁とともに、 下面ビール酵母(Weihenstephan-34株)を、60L液中の 下面ビール酵母の濃度が10×10 6 個/mlがなるように添加し、17℃で7日間発酵さ せた。その後、-1℃で貯酒を行った。発酵液 ろ過により酵母を取り除き、最終的な発泡 を得た。この製造方法によって製造した発 酒について、官能検査およびSO 2 濃度、マルトース濃度を定量した。官能検査 方法とSO 2 濃度、マルトース濃度の測定方法は実施例1 準じた。

 以上のように、SO 2 を所定量以上産生しつつ、かつ特徴香味が付 加された発泡酒を60Lのスケールにおいても製 造できることが確認された。

 この水準において、マルトースは完全に資 されていた。
〔実施例3〕
 本実施例は、2Lスケールの醸造設備におい 実施したものである。麦芽発酵飲料(ビール) の製造工程中の発酵工程において、下面ビー ル酵母と香味の付加を目指して下面ビール酵 母以外の酵母を用い、下面ビール酵母以外の 酵母として清酒酵母、ワイン酵母、上面ビー ル酵母のいずれかを使用した。

 以下の原料を使用して発酵用麦汁を調製 た。

 麦芽使用比率100%の原料を用いて、常法に より通常の糖化工程を経て発酵用麦汁を得た 。

 上記で得られた発酵用麦汁の溶存酸素濃度 10ppmに調整した後、下面ビール酵母(Weihenstep han-34株)を13.5×10 6 個/mlで、下面ビール酵母以外の酵母として清 酒酵母(協会1501号)、ワイン酵母(LalvinEC-1118)、 上面ビール酵母(Weihenstephan-197株)のいずれか それぞれ1.5×10 6 個/mlの濃度になるように添加して、18℃で7日 間発酵させた。その後、-1℃で貯酒を行った 発酵液はろ過により酵母を取り除き、最終 な麦芽発酵飲料(ビール)を得た。

 この製造方法によって製造した麦芽発酵飲 (ビール)について官能検査を実施したとこ 、フルーティ香及びビールらしさが感じら 、清酒酵母、ワイン酵母、上面ビール酵母 いずれの酵母の場合も複数種酵母による香 の特徴の付加が確認された。
〔実施例4〕
 本実施例は、2Lスケールの醸造設備におい 実施したものである。非麦芽発酵飲料の製 工程中の発酵工程において、下面ビール酵 と香味の付加を目指して下面ビール酵母以 の酵母を用い、特に下面ビール酵母以外の 母として清酒酵母を使用した。

 以下の原料を使用して非麦芽発酵原液を 製した。

 仕込水85kgに対し、糖シロップを15kg、と もろこしタンパク分解物300g(0.3重量%)、酵母 キス200g(0.2重量%)、カラメル色素30g、ペレッ トホップ30gを加えた。これらを60分間煮沸し 後、静置してホップ粕を除き、非麦芽発酵 液を得た。

 上記で得られた非麦芽発酵原液の溶存酸素 度を10ppmに調整した後、下面ビール酵母(Weih enstephan-34株)を10×10 6 個/mlで、清酒酵母(協会1501号)をそれぞれ以下 の濃度になるように添加して、20℃で7日間発 酵させた。その後、-1℃で貯酒を行った。発 液はろ過により酵母を取り除き、最終的な 麦芽発酵飲料を得た。

 上述したように本実施例では、下面ビール 母以外の酵母として清酒酵母を用いて非麦 発酵飲料を製造し、それぞれ清酒酵母の添 濃度を0、2.5、5×10 6 個/mlとして試験を実施した。この製造方法に よって製造した非麦芽発酵飲料について官能 検査、およびSO 2 濃度、マルトース濃度を定量した。官能検査 方法とSO 2 濃度、マルトース濃度の測定方法は実施例1 準じた。

 どの水準においてもマルトースは完全に資 されていた。SO 2 による劣化耐性を維持してかつ特徴香味を付 加することのできる清酒酵母の濃度は2.5~5×10 6 個/mlが望ましい。
〔実施例5〕
 本実施例は、2Lスケールの醸造設備におい 実施したものである。実施例5は、非麦芽発 飲料の製造工程中の発酵工程において、下 ビール酵母と香味の付加を目指して下面ビ ル酵母以外の酵母を用い、特に下面ビール 母以外の酵母としてワイン酵母を使用した である。

 以下の原料を使用して非麦芽発酵原液を 製した。

 仕込水85kgに対し、糖シロップを15kg、と もろこしタンパク分解物300g(0.3重量%)、酵母 キス200g(0.2重量%)、カラメル色素30g、ペレッ トホップ30gを加えた。これらを60分間煮沸し 後、静置してホップ粕を除き、非麦芽発酵 液を得た。

 上記で得られた非麦芽発酵原液の溶存酸素 度を10ppmに調整した後、下面ビール酵母(Weih enstephan-34株)を10×10 6 個/mlの濃度で、ワイン酵母(LalvinEC-1118)を5×10 6 個/mlの濃度になるように添加して、20℃で7日 間発酵させた。その後、-1℃で貯酒を行った 発酵液はろ過により酵母を取り除き、最終 な非麦芽発酵飲料を得た。この製造方法に って製造した非麦芽発酵飲料について、官 検査およびSO 2 濃度、マルトース濃度を定量した。官能検査 方法とSO 2 濃度、マルトース濃度の測定方法は実施例1 準じた。

 ワイン酵母無添加をコントロールとした ワイン酵母の寄与による特徴香付加の判断 官能によって行った。官能での判断として ワイン酵母特有のフルーティ香に着目し、 の尺度をフルーティ香付加度とした。

 フルーティ香付加度の評価は、フルーテ 香を感知したときの強度を1、2、3、4の4段 評価することによって行い、パネラー全員 評価結果を集計し、その平均値が1~2未満の 合を×、2以上~3未満の場合を△、3以上~4の場 合を○と表現し3段階評価にて最終評価とし 。

 また、ビールらしさは、ビールテイスト 料としてのバランスの良さを、1、2、3、4の 4段階評価することによって行い、パネラー 員の評価結果を集計し、その平均値が1~2未 の場合を×、2以上~3未満の場合を△、3以上~4 の場合を○と表現し3段階評価にて最終評価 した。

 どの水準においてもマルトースは完全に資 されていた。上記製造例において、SO 2 による劣化耐性を維持しつつ、かつワイン酵 母の特徴香味が付加された非麦芽発酵飲料を 製造することができた。

 以上説明したように、上記の結果から本発 の麦芽発酵飲料の製造において、下面ビー 酵母以外の醸造用酵母として、清酒酵母、 面ビール酵母、焼酎酵母、またはワイン酵 を用いることにより所望の効果が得られる とが確認できた。よって、本発明によると ビール又は発泡酒の発酵飲料の製造工程中 発酵工程において、下面ビール酵母と下面 ール酵母以外の醸造用酵母を利用すること よって、下面ビール酵母以外の酵母由来の 味を付与することができ、かつ重亜硫酸塩 の化合物を添加や設備装置の改修を必要と ることなく、醸造工程にて抗酸化物質であ SO 2 を10ppm以上含むことで優れた劣化耐性を有す 発酵飲料を提供することができる。
〔実施例6〕  
 本実施例は、2Lスケールの醸造設備におい 試験的に実施したものである。実施例6は、 泡酒の製造工程のうち発酵工程において、 面ビール酵母と香味の付加を目指して下面 ール酵母以外の酵母を用い、特に下面ビー 酵母以外の酵母として清酒酵母を使用する とにより本発明を適用した例で以下の手順 実施した。 

 以下の原料を使用して発酵用麦汁を調製 た。 

 麦芽使用比率24%、大麦使用比率16%、糖液 用比率60%の原料を用いて、常法により通常 糖化工程を経て発酵用麦汁を得た。 

 上記で得られた発酵用麦汁の溶存酸素濃度 10ppmに調整した後、2Lの麦汁に下面ビール酵 母(Weihenstephan-34株)を5×10 6 個/mlの濃度で、清酒酵母(協会1501号)を0.1×10 6 個/mlの濃度になるように添加して、17℃で7日 間発酵させた。その後、-1℃で貯酒を行った 発酵液はろ過により酵母を取り除き、最終 な発泡酒を得た。この製造方法によって製 した発泡酒について官能検査を実施したと ろ、フルーティ香及びビールらしさが感じ れ、複数種酵母による香味の特徴の付加が 認された。
〔実施例7〕 
 本実施例は、2Lスケールの醸造設備におい 試験的に実施したものである。実施例7は、 泡酒の製造工程のうち発酵工程において、 面ビール酵母と香味の付加を目指して下面 ール酵母以外の酵母を用い、特に下面ビー 酵母以外の酵母として清酒酵母を使用する とにより本発明を適用した例で以下の手順 実施した。 

 以下の原料を使用して発酵用麦汁を調製 た。  

 麦芽使用比率24%、大麦使用比率16%、糖液 用比率60%の原料を用いて、常法により通常 糖化工程を経て発酵用麦汁を得た。  

 上記で得られた発酵用麦汁の溶存酸素濃度 10ppmに調整した後、1Lの麦汁に下面ビール酵 母(Weihenstephan-34株)を40×10 6 個/ml(総発酵液量基準としては20×10 6 個/ml)の濃度になるように添加し、発酵を開 した。発酵10時間後に、1Lの麦汁とともに、 酒酵母(協会1501号)を、2L液中の清酒酵母の 度が50×10 6 個/mlがなるように添加し、17℃で7日間発酵さ せた。その後、-1℃で貯酒を行った。発酵液 ろ過により酵母を取り除き、最終的な発泡 を得た。この製造方法によって製造した発 酒について官能検査を実施したところ、フ ーティ香及びビールらしさが感じられ、複 種酵母による香味の特徴の付加が確認され 。

産業上の利用の可能性

 本発明の発酵飲料の製造方法によれば、ビ ル又は発泡酒の発酵飲料の製造工程中の発 工程において、複数種の酵母を利用するこ によって、基本的にビール又は発泡酒のよ な発酵飲料の香味を保持した上で、下面ビ ル酵母以外の酵母由来の香味を付与するこ ができ、かつ重亜硫酸塩等の化合物を添加 設備装置の改修を必要とすることなく醸造 程にて抗酸化物質であるSO 2 を10ppm以上含むことで優れた劣化耐性を有す 発酵飲料が製造できる。