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Title:
SEMICONDUCTOR-COATED POSITIVE ELECTRODE ACTIVE MATERIAL AND LITHIUM SECONDARY BATTERY USING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/088009
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a positive electrode active material which is used for forming a lithium secondary battery wherein cycle characteristics and output power are improved. Specifically disclosed is a semiconductor-coated positive electrode active material which is characterized by comprising a positive electrode active material and a pn junction semiconductor coating layer which is composed of an n-type semiconductor coating layer coated on the surface of the positive electrode active material, and a p-type semiconductor coating layer coated on the surface of the n-type semiconductor coating layer.

Inventors:
KOGA HIDEYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/050068
Publication Date:
July 16, 2009
Filing Date:
January 07, 2009
Export Citation:
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Assignee:
TOYOTA MOTOR CO LTD (JP)
KOGA HIDEYUKI (JP)
International Classes:
H01M4/36; H01M4/505; H01M4/525
Foreign References:
JPH06168739A1994-06-14
JP2003017053A2003-01-17
JP2000100433A2000-04-07
JP2007005267A2007-01-11
JP2005078800A2005-03-24
JP2004311429A2004-11-04
Attorney, Agent or Firm:
YAMASHITA, Akihiko et al. (3rd Floor Oak Building Kyobashi,16-10, Kyobashi 1-chom, Chuou-ku Tokyo, JP)
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Claims:
 正極活物質と、前記正極活物質表面に被覆されたn型半導体被覆層、および前記n型半導体被覆層表面に被覆されたp型半導体被覆層からなるpn接合半導体被覆層とを有することを特徴とする半導体被覆正極活物質。
 前記pn接合半導体被覆層が前記正極活物質表面に部分的に被覆されていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の半導体被覆正極活物質。
 請求の範囲第1項または第2項に記載の半導体被覆正極活物質を用いたことを特徴とするリチウム二次電池。
 正極活物質表面をn型半導体材料により被覆してn型半導体被覆層を得るn型半導体被覆層形成工程と、前記n型半導体被覆層表面をp型半導体材料により被覆してp型半導体被覆層を形成し、pn接合半導体被覆層前駆体を得るpn接合半導体被覆層前駆体形成工程と、前記pn接合半導体被覆層前駆体を熱処理することによりpn接合半導体被覆層を形成し、半導体被覆正極活物質を得る半導体被覆正極活物質形成工程と、を有することを特徴とする半導体被覆正極活物質の製造方法。
Description:
半導体被覆正極活物質およびそ を用いたリチウム二次電池

 本発明は、リチウム二次電池、特にサイ ル特性を向上させ、かつ出力を向上させた チウム二次電池を形成するために用いられ 正極活物質に関する。

 パソコン、ビデオカメラ、携帯電話等の 型化に伴い、情報関連機器、通信機器の分 では、これらの機器に用いる電源として、 エネルギー密度であるという理由から、リ ウム二次電池が実用化され広く普及するに たっている。また一方、自動車の分野にお ても、環境問題、資源問題から電気自動車 開発が急がれており、この電気自動車用の 源としても、リチウム二次電池が検討され いる。

 しかしながら、例えば、金属リチウムを 極等に用いる高容量のリチウム二次電池が エネルギー密度を示す二次電池として注目 れているが、実用化に至っていない。すな ち、金属リチウム箔表面が平坦でなく電界 集中する箇所があり、これが原因で充放電 繰り返しによってリチウム金属がデンドラ ト状に成長し、負極と正極間の内部短絡を き起こし、サイクル特性が低下するという 題があった。

 また、現在市販されているリチウム二次 池においては、有機溶剤を溶媒とする有機 解液が使用されている。このようなリチウ 二次電池においては、正極活物質と電解質 とが接触して反応するため、充放電を繰り すと、正極活物質、電解質液が劣化してい 、充電、放電する電気量が減少し、サイク 特性が低下してしまうという問題があった

 このようなリチウム二次電池の耐久性、 イクル特性を向上させるために、例えば、 許文献1においては、少なくとも負極に対向 する面の正極表面が電池反応に関与するイオ ンを透過できる絶縁体、半導体、絶縁体と半 導体、から選択される薄膜で一層または二層 以上被覆されていることを特徴とする二次電 池が開示されている。これは、正極表面を電 子伝導のない電池反応に関与するイオンを透 過できる絶縁体あるいは半導体の薄膜で被覆 することによって、負極にデンドライトの発 生が起こった場合に電池内部の負極と正極と の短絡を防止して、サイクル特性を向上させ るものである。しかしながら、特許文献1は 電子伝導のない薄膜で被覆しているため、 子の移動が困難となる等して、リチウム二 電池の出力特性が低下するという問題があ た。

特開平6-168739号公報

特開2006-216277号公報

特開平10-321216号公報

 本発明は、上記問題点に鑑みてなされた のであり、サイクル特性を向上させ、かつ 力を向上させたリチウム二次電池を形成す ために用いられる正極活物質を提供するこ を主目的とするものである。

 上記目的を達成するために、本発明にお ては、正極活物質と、上記正極活物質表面 被覆されたn型半導体被覆層、および上記n 半導体被覆層表面に被覆されたp型半導体被 層からなるpn接合半導体被覆層とを有する とを特徴とする半導体被覆正極活物質を提 する。

 本発明によれば、上記pn接合半導体被覆 を有することにより、正極活物質と電解質 とが接触して反応することによる劣化を抑 して、サイクル特性を向上させることがで る。さらに、上記pn接合半導体被覆層中を電 子が正極活物質側から電解液側へ移動するこ とが可能となり、出力特性を向上することが できる。

 上記発明においては、上記pn接合半導体 覆層が上記正極活物質表面に部分的に被覆 れていることが好ましい。上記正極活物質 面に、上記pn接合半導体被覆層が被覆されて いない部分を有することにより、被覆されて いない部分でのリチウムイオンの移動、およ び電子の移動が可能となり、出力特性をより 向上させることができる。すなわち、サイク ル特性と、出力特性とのバランスに優れた半 導体被覆正極活物質とすることができるから である。

 また、本発明においては、上記半導体被 正極活物質を用いたことを特徴とするリチ ム二次電池を提供する。

 本発明によれば、上述したようなサイク 特性を向上させ、かつ出力特性を向上させ ことができる半導体被覆正極活物質を用い ことにより、サイクル特性を向上させ、か 出力特性を向上させたリチウム二次電池を ることができる。

 また、本発明においては、正極活物質表 をn型半導体材料により被覆してn型半導体 覆層を得るn型半導体被覆層形成工程と、上 n型半導体被覆層表面をp型半導体材料によ 被覆してp型半導体被覆層を形成し、pn接合 導体被覆層前駆体を得るpn接合半導体被覆層 前駆体形成工程と、上記pn接合半導体被覆層 駆体を熱処理することによりpn接合半導体 覆層を形成し、半導体被覆正極活物質を得 半導体被覆正極活物質形成工程と、を有す ことを特徴とする半導体被覆正極活物質の 造方法を提供する。

 本発明によれば、上記半導体被覆正極活物 形成工程を行うことにより、n型半導体被覆 層とp型半導体被覆層との間にpn接合を形成す ることができる。これにより、上述したよう に電位が非常に高い充電反応時には、上記pn 合半導体被覆層中を通過する電解液から正 活物質への電子の移動を困難にして、充電 応時の電解液等の劣化を抑制することがで る。
 一方、上述したように電位が低い放電反応 には、放電反応時の上記劣化は抑制され、 つ上記pn接合半導体被覆層中を通過する正 活物質から電解液への電子の移動を容易に て、正極活物質表面が被覆された部分にお ても放電反応時の電子伝導性が向上して出 を向上させることができるのである。
 従って、サイクル特性を向上させ、かつ出 を向上させた半導体被覆正極活物質を得る とができる。

 本発明においては、サイクル特性を向上 せ、かつ出力を向上させた半導体被覆正極 物質を得ることができるという効果を奏す 。

本発明の半導体被覆正極活物質の構成 一例を示す概略断面図である。 本発明におけるpn接合半導体被覆層中 電子の移動について説明する説明図である 本発明のリチウム二次電池の一例を模 的に示す概略断面図である。

符号の説明

 1 … 半導体被覆正極活物質
 2 … 正極活物質
 3 … n型半導体被覆層
 4 … p型半導体被覆層
 5 … pn接合半導体被覆層
 6 … 正極集電体
 7 … 正極層
 8 … 正極電極体
 9 … 負極集電体
 10 … 負極層
 11 … 負極電極体
 12 … セパレータ

 本発明の半導体被覆正極活物質、リチウ 二次電池および半導体被覆正極活物質の製 方法について、以下詳細に説明する。

A.半導体被覆正極活物質
 まず、本発明の半導体被覆正極活物質につ て説明する。本発明の半導体被覆正極活物 は、正極活物質と、上記正極活物質表面に 覆されたn型半導体被覆層、および上記n型 導体被覆層表面に被覆されたp型半導体被覆 からなるpn接合半導体被覆層とを有するこ を特徴とするものである。

 本発明によれば、上記pn接合半導体被覆層 有することにより、正極活物質と電解質液 が接触して反応することによる劣化を抑制 ることができる。すなわち、リチウムを有 る正極活物質においては、充電反応時には 通常、正極活物質から電解液へリチウムイ ンが脱離して、電解液から正極活物質へ電 の移動が起こる。上記充電反応時の電位は 常に高いために、電解液が分解する等の劣 が起こってしまう。本発明においては、上 pn接合半導体被覆層を有しており、上記pn接 半導体被覆層中においては、電子はp型半導 体被覆層からn型半導体被覆層へは移動する とができない。このため、充電反応時の上 pn接合半導体被覆層中を通過する電解液から 正極活物質への電子の移動を困難にして、充 電反応時の電解液等の劣化を抑制することが できるのである。
 また、上記pn接合半導体被覆層を有するこ により、上記pn接合半導体被覆層中を電子が 正極活物質側から電解液側へ移動することが 可能となり、出力特性を向上することができ る。すなわち、リチウムを有する正極活物質 においては、放電反応時には、通常、正極活 物質から電解質液へ電子が移動し、電解質液 から正極活物質へリチウムイオンの挿入が起 こる。本発明においては、上記pn接合半導体 覆層を有しており、上記pn接合半導体被覆 中においては、電子はn型半導体被覆層からp 型半導体被覆層へ移動することが可能となる 。このため、放電反応時の上記pn接合半導体 覆層中を通過する正極活物質から電解液へ 電子の移動を容易にして、正極活物質表面 被覆された部分においても放電反応時の電 伝導性を向上して出力を向上させることが きるのである。
 なお、上記放電反応時の電位は低いために 電解液の分解等の劣化は起こりにくい。

 以下、本発明の半導体被覆正極活物質につ て、図を用いて説明する。
 図1は、本発明の半導体被覆正極活物質の一 例を模式的に示す概略断面図である。図1に される半導体被覆正極活物質1は、正極活物 2と、上記正極活物質2表面に被覆されたn型 導体被覆層3、および上記n型半導体被覆層3 面に被覆されたp型半導体被覆層4からなるpn 接合半導体被覆層5とを有するものである。
 なお、上記半導体被覆正極活物質において 、上記正極活物質表面に上記n型半導体被覆 層が被覆されていない部分があって、このよ うな部分において正極活物質表面にp型半導 被覆層が形成されていても良い。
 以下、本発明の半導体被覆正極活物質につ て、構成ごとに説明する。

1.pn接合半導体被覆層
 まず、本発明に用いられるpn接合半導体被 層について説明する。本発明に用いられるpn 接合半導体被覆層は、上述した図1で例示し ように、正極活物質2表面に被覆されている とを特徴とするものである。
 本発明においては、図2(a)で模式的に例示す るように、正極活物質2表面に被覆されたn型 導体被覆層3、および上記n型半導体被覆層3 面に被覆されたp型半導体被覆層4からなる 記pn接合半導体被覆層5中において、電子(e - )は、通常p型半導体被覆層4からn型半導体被 層3へは移動(図2(a)中の矢印方向への移動)す ことができない。このため、上述したよう 、充電反応時の上記pn接合半導体被覆層5中 通過する電解液(図示せず)から正極活物質2 の電子(e - )の移動を困難にして、充電反応時の電解液 の劣化を抑制することができる。
 さらに、図2(b)で模式的に例示するように、 正極活物質2表面に被覆されたn型半導体被覆 3、および上記n型半導体被覆層3表面に被覆 れたp型半導体被覆層4からなる上記pn接合半 導体被覆層5中において、電子(e - )は、n型半導体被覆層3からp型半導体被覆層4 移動(図2(b)中の矢印方向への移動)すること 可能となる。このため、上述したように放 反応時の上記pn接合半導体被覆層5中を通過 る正極活物質2から電解液(図示せず)への電 (e - )の移動を容易にして、正極活物質2表面が被 された部分においても放電反応時の電子伝 性が向上して出力を向上させることができ 。

 上記n型半導体被覆層に用いられるn型半導 材料としては、n型半導体としての特性を有 、上述したようなpn接合半導体被覆層を形 して、充電反応時の電解液等の劣化を抑制 ることができ、さらに、放電反応時の電子 導性を向上させて出力を向上させることが きるものであれば、特に限定されるもので ない。
 上記n型半導体材料としては、例えば、P(リ )をドープしたSi(シリコン)、As(ヒ素)をドー したSi(シリコン)、Sb(アンチモン)をドープ たSi(シリコン)等を挙げることができ、中で 、P(リン)をドープしたSi(シリコン)が好まし い。環境への負荷が低いからである。

 上記p型半導体被覆層に用いられるp型半導 材料としては、p型半導体としての特性を有 、上述したようなpn接合半導体被覆層を形 して、充電反応時の電解液等の劣化を抑制 ることができ、さらに、放電反応時の電子 導性を向上させて出力を向上させることが きるものであれば、特に限定されるもので ない。
 上記p型半導体材料としては、例えば、B(ホ 素)をドープしたSi(シリコン)、Al(アルミニ ム)をドープしたSi(シリコン)、Ga(ガリウム) ドープしたSi(シリコン)等を挙げることがで 、中でも、B(ホウ素)をドープしたSi(シリコ )が好ましい。

 上記正極活物質表面に被覆されるpn接合 導体被覆層の被覆量としては、上述したよ にサイクル特性を向上させ、かつ出力特性 向上させた半導体被覆正極活物質を得るこ ができる程度であれば特に限定されるもの はないが、上記正極活物質表面に部分的に 覆されていることが好ましい。上記正極活 質表面に、上記pn接合半導体被覆層が被覆さ れていない部分を有することにより、被覆さ れていない部分でのリチウムイオンの移動、 および電子の移動が可能となり、出力特性を より向上させることができる。すなわち、サ イクル特性と、出力特性とのバランスに優れ た半導体被覆正極活物質とすることができる からである。

 このようなサイクル特性と、出力特性との ランスに優れた半導体被覆正極活物質を得 ことができるn型半導体材料の被覆量として は、正極活物質の平均粒径、n型半導体材料 添加量等によって変化するものであり、上 正極活物質表面に部分的に被覆することが きる量であれば、特に限定されるものでは い。
 例えば、n型半導体材料の添加量の正極活物 質の添加量に対する質量百分率が、具体的に は20mass%以下、中でも0.1~10mass%の範囲内、特に 1~6mass%の範囲内であることが好ましい。

 本発明において、上記n型半導体被覆層が 上記正極活物質上に被覆されているか否かに ついては、電子顕微鏡により確認することが できる。

 また、このようなサイクル特性と、出力特 とのバランスに優れた半導体被覆正極活物 を得ることができるp型半導体材料の被覆量 としては、正極活物質の平均粒径、n型半導 材料の添加量等によって変化するものであ 、上記n型半導体被覆層表面に被覆され、サ クル特性と、出力特性とのバランスに優れ 上記半導体被覆正極活物質を得ることがで る量であれば、特に限定されるものではな 。
 例えば、p型半導体材料添加量のn型半導体 料の添加量に対する質量百分率としては、 えば100mass%以下、中でも10~80mass%の範囲内、 に20~70mass%の範囲内であることが好ましい。 記範囲内であれば、少なくとも上記n型半導 体被覆層表面上にp型半導体被覆層が被覆さ た、図1に例示されるような所望のpn接合半 体被覆層形状を効果的に得ることができる らである。

 本発明において、上記pn接合半導体被覆 が上記正極活物質上に被覆されているか否 については、電子顕微鏡により確認するこ ができる。

2.正極活物質
 次に、本発明に用いられる正極活物質につ て説明する。図1に例示するように、本発明 に用いられる正極活物質2は、上記正極活物 2表面が、上記pn接合半導体被覆層5により被 されていることを特徴とするものである。

 上記正極活物質としては、リチウムイオン 吸蔵放出することができる正極活物質であ ば特に限定されるものではない。例えば、L iを含有する金属酸化物、Liおよび酸素を含有 する金属リン化物、Liおよび酸素を含有する 属ホウ化物等を挙げることができる。中で 、Liを含有する金属酸化物が好ましい。特 、一般式Li x MO y (式中のMは、主として遷移金属からなり、Co Mn、Ni、V、Feの少なくとも一種を含む。また 式中のx、yの値の範囲はx=0.02~2.2、y=1.4~3であ る。)で表される正極活物質であることが好 しい。一般的で、汎用性に優れており、サ クル特性を向上させ、かつ出力特性を向上 せた所望の上記半導体被覆正極活物質をよ 確実に得ることができるからである。

 上記正極活物質の形状としては、上記pn 合半導体被覆層を被覆することができる形 であれば、特に限定されるものではないが 通常、微粒子状である。上記微粒子の形状 しては、例えば球状、楕円球状等であるこ が好ましい。上記正極活物質が微粒子であ 場合の平均粒径としては、例えば10nm~10μmの 囲内であることが好ましい。

 本発明において、上記正極活物質の形状 平均粒径は電子顕微鏡を用いた画像解析に づいて測定された値を用いることができる

3.その他
(製造方法)
 本発明の半導体被覆正極活物質の製造方法 しては、サイクル特性を向上させ、かつ出 特性を向上させた、所望の上記半導体被覆 極活物質を得ることができる方法であれば 特に限定されるものではない。例えば、後 する「C.半導体被覆正極活物質の製造方法 に記載される方法等を挙げることができる

(用途)
 本発明の半導体被覆正極活物質の用途とし は、特に限定されるものではないが、例え 、リチウム二次電池に用いられる正極活物 等として用いることができる。中でも自動 用のリチウム二次電池に用いられる正極活 質として用いることが好ましい。

B.リチウム二次電池
 次に、本発明のリチウム二次電池について 明する。本発明のリチウム二次電池は、上 の「A.半導体被覆正極活物質」に記載した 導体被覆正極活物質を有することを特徴と るものである。

 本発明によれば、上述したようなサイク 特性を向上させ、かつ出力特性を向上させ ことができる半導体被覆正極活物質を用い ことにより、サイクル特性を向上させ、か 出力特性の低下を抑制できるリチウム二次 池を得ることができる。

 次に、本発明のリチウム二次電池について 図面を用いて説明する。図3は、本発明に用 いられるリチウム二次電池用発電素子の一例 を模式的に示す概略断面図である。図3に示 れるリチウム二次電池用発電素子は、正極 電体6、および上記半導体被覆正極活物質(図 示せず)を含有する正極層7、からなる正極電 体8と、負極集電体9、および負極活物質(図 せず)を含有する負極層10、からなる負極電 体11と、正極電極体8および負極電極体11の に配置されたセパレータ12と、正極層7、負 層10、セパレータ12に充填されたリチウム塩 含有する電解質(図示せず)とを有するもの ある。通常、上記リチウム二次電池用発電 子を電池ケース等に挿入し、その周囲を封 してリチウム二次電池を得ることができる
 以下、このような本発明のリチウム二次電 について、構成ごとに説明する。

1.正極電極体
 本発明に用いられる正極電極体について説 する。本発明に用いられる正極電極体は、 なくとも正極集電体と、上記半導体被覆正 活物質を含有する正極層と電解質とからな ものである。

 上記半導体被覆正極活物質については、 記「A.半導体被覆正極活物質」に記載され ものと同様のものであるので、ここでの記 は省略する。

 上記正極層は、通常、導電化材および結 材を含有する。上記導電化材としては、例 ば、カーボンブラック、アセチレンブラッ 等を挙げることができる。上記結着材とし は、一般的なリチウム二次電池に用いられ ものであれば特に限定されるものではない 、具体的には、ポリビニリデンフロライド( PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エ レンテトラフルオロエチレン(ETFE)等のフッ 系樹脂等を挙げることができる。

 上記正極集電体とは、上記正極層の集電 行うものである。上記正極集電体の材料と ては、導電性を有するものであれば特に限 されるものではないが、例えばアルミニウ 、SUS、ニッケル、鉄およびチタン等を挙げ ことができ、中でもアルミニウムおよびSUS 好ましい。さらに、上記正極集電体は、緻 金属集電体であっても良く、多孔質金属集 体であっても良い。

2.負極電極体
 次に、本発明に用いられる負極電極体につ て説明する。本発明に用いられる負極電極 は、少なくとも負極集電体と、負極活物質 含有する負極層と電解質とからなるもので る。

 上記負極活物質としては、リチウムイオ を吸蔵放出することができるものであれば に限定されるものではないが、例えば金属 チウム、リチウム合金、金属酸化物、金属 化物、金属窒化物、およびグラファイト等 炭素系材料を挙げることができる。中でも ラファイトが好ましい。

 上記負極層は、必要に応じて、導電化材 よび結着材を含有していても良い。導電化 および結着材については、上記正極層と同 のものを用いることができる。

 また、上記負極集電体とは、上記負極層 集電を行うものである。上記負極集電体の 料としては、導電性を有するものであれば に限定されるものではないが、例えば銅、 テンレス、ニッケル等を挙げることができ 中でも銅が好ましい。さらに、上記負極集 体は、緻密金属集電体であっても良く、多 質金属集電体であっても良い。

3.セパレータ
 次に、本発明に用いられるセパレータにつ て説明する。本発明に用いられるセパレー は、正極層および負極層の間に配置され、 述する電解質を保持する機能を有するもの ある。
 上記セパレータの材料としては、特に限定 れるものではないが、例えばポリエチレン( PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セ ロースおよびポリアミド等の樹脂を挙げる とができ、中でもポリプロピレンが好まし 。また、上記セパレータは、単層構造であ ても良く、複層構造であってもよい。複層 造のセパレータとしては、例えばPE/PPの2層 造のセパレータ、PP/PE/PPの3層構造のセパレ タ等を挙げることができる。さらに、本発 においては、上記セパレータが、多孔膜、 脂不織布、ガラス繊維不織布等の不織布等 あっても良い。

4.電解質
 本発明においては、上述した正極層、負極 、およびセパレータ内に、通常、リチウム を含有する電解質を有する。
 上記電解質は、具体的には、液状であって 良く、ゲル状であっても良く、所望の電池 種類に応じて適宜選択することができるが 中でも液状が好ましい。リチウムイオン伝 性が、より良好となるからである。
 上記電解質が液状の場合は、非水電解液が ましい。リチウムイオン伝導性が、より良 となるからである。上記非水電解液は、通 、リチウム塩および非水溶媒を有する。上 リチウム塩としては、一般的なリチウム二 電池に用いられるリチウム塩であれば特に 定されるものではないが、例えばLiPF 6 、LiBF 4 、LiN(CF 3 SO 2 ) 2 、LiCF 3 SO 3 、LiC 4 F 9 SO 3 、LiC(CF 3 SO 2 ) 3 およびLiClO 4 等を挙げることができる。一方、上記非水溶 媒としては、上記リチウム塩を溶解できるも のであれば特に限定されるものではないが、 例えばプロピレンカーボネート、エチレンカ ーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチ ルカーボネート、エチルメチルカーボネート 、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタ 、アセトニトリル、プロピオニトリル、テ ラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフ ン、ジオキサン、1,3-ジオキソラン、ニトロ タン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチル スルホキシド、スルホラン、γ-ブチロラクト ン等が挙げられる。本発明においては、これ らの非水溶媒を一種のみ用いても良く、二種 以上を混合して用いても良い。また、上記非 水電解液として、常温溶融塩を用いることも できる。

5.その他
 また、本発明のリチウム二次電池は、通常 図3で例示されるようなリチウム二次電池用 発電素子を電池ケースに挿入し、その周囲を 封口して作製される。上記電池ケースとして は、一般的には、金属製のものが用いられ、 例えばステンレス製のもの等が挙げられる。 また、本発明に用いられる電池ケースの形状 としては、上述したセパレータ、正極層、負 極層等を収納できるものであれば特に限定さ れるものではないが、具体的には、円筒型、 角型、コイン型、ラミネート型等を挙げるこ とができる。

 本発明のリチウム二次電池の製造方法とし は、所望のサイクル特性を向上させ、かつ 力特性を向上させた上記リチウム二次電池 得ることができるものであれば、特に限定 れるものではなく、通常用いられている方 と同様の方法を用いることができる。例え 、金属箔上に上記半導体被覆正極活物質を するスラリーを塗布して正極層を形成して 極電極体を得る。次に、別の金属箔上に負 活物質を有するスラリーを塗布して負極層 形成して負極電極体を得る。
 その後、所定のセパレータを上記正極層と 記負極層とにより挟持するように上記正極 極体と上記負極電極体とを上記セパレータ に設置する。さらに、上記正極層、上記負 層、および上記セパレータに所定の電解質 充填した後、上記セパレータが上記正極電 体と上記負極電極体とにより挟持させたも を電池ケース等に挿入して電池とすること より、上述した所望のリチウム二次電池を る方法等を挙げることができる。

 本発明のリチウム二次電池の用途として 、特に限定されるものではないが、例えば 自動車用のリチウム二次電池等として用い ことができる。

C.半導体被覆正極活物質の製造方法
 次に、本発明の半導体被覆正極活物質の製 方法について、以下詳細に説明する。
 本発明の半導体被覆正極活物質の製造方法 、正極活物質表面をn型半導体材料により被 覆してn型半導体被覆層を得るn型半導体被覆 形成工程と、上記n型半導体被覆層表面をp 半導体材料により被覆してp型半導体被覆層 形成し、pn接合半導体被覆層前駆体を得るpn 接合半導体被覆層前駆体形成工程と、上記pn 合半導体被覆層前駆体を熱処理することに りpn接合半導体被覆層を形成し、半導体被 正極活物質を得る半導体被覆正極活物質形 工程と、を有することを特徴とするもので る。

 本発明によれば、上記正極活物質表面にn型 半導体被覆層を形成し、さらにn型半導体被 層表面にp型半導体被覆層を形成した後、n型 半導体被覆層とp型半導体被覆層との間にpn接 合を形成することができる。リチウムを有す る正極活物質においては、充電反応時には、 通常、正極活物質から電解液へリチウムイオ ンが脱離して、電解液から正極活物質へ電子 の移動が起こる。上記充電反応時の電位は、 非常に高いために、電解液が分解する等の劣 化が起こってしまうが、本発明により得られ る上記pn接合を有するpn接合半導体被覆層に いては、電子はp型半導体被覆層からn型半導 体被覆層へは移動することができない。この ため、充電反応時の上記pn接合半導体被覆層 を通過する電解液から正極活物質への電子 移動を困難にして、充電反応時の電解液等 劣化を抑制することができる。
 一方、本発明により得られる上記pn接合を するpn接合半導体被覆層においては、電子は n型半導体被覆層からp型半導体被覆層へ移動 ることが可能となる。リチウムを有する正 活物質においては、放電反応時には、通常 正極活物質から電解質液へ電子が移動し、 解質液から正極活物質へリチウムイオンの 入が起こるが、上記放電反応時の電位は低 ために、電解液の分解等の劣化は起こりに い。このため、放電反応時の上記劣化は抑 され、かつ上記pn接合半導体被覆層中を通 する正極活物質から電解液への電子の移動 容易にして、正極活物質表面が被覆された 分においても放電反応時の電子伝導性が向 して出力を向上させることができるのであ 。
 従って、サイクル特性を向上させ、かつ出 を向上させた半導体被覆正極活物質を得る とができる。

 このような本発明の半導体被覆正極活物質 製造方法においては、具体的には次のよう 工程を経ることにより、半導体被覆正極活 質を得ることができる。
 例えば、まず、n型半導体被覆層形成工程に よって、正極活物質とn型半導体材料とを、 ールミル等を用いて機械的に物理力をかけ がら混合するなどして、正極活物質表面にn 半導体材料を付着させてn型半導体被覆層を 形成する。

 上記n型半導体被覆層形成工程の後、pn接 半導体被覆層前駆体形成工程が行われる。 記pn接合半導体被覆層前駆体形成工程にお ては、例えば、上記n型半導体被覆層形成工 で得られたn型半導体被覆層が表面に形成さ れた正極活物質(以下、単にn型半導体被覆正 活物質と称する場合がある。)とp型半導体 料とを、ボールミル等を用いて機械的に物 力をかけながら混合するなどして、上記n型 導体被覆正極活物質表面にp型半導体材料を 付着させてn型半導体被覆層上にp型半導体被 層を形成させた、pn接合半導体被覆層前駆 を得る。

 次に、半導体被覆正極活物質形成工程が われる。上記半導体被覆正極活物質形成工 においては、例えば、上記pn接合半導体被 層前駆体形成工程で得られた上記pn型半導体 被覆層前駆体が表面に形成された正極活物質 (以下、単に前駆体被覆正極活物質と称する 合がある。)を、焼成炉中に設置して不活性 囲気中で熱処理することによりn型半導体被 覆層とp型半導体被覆層との間にpn接合を形成 して、半導体被覆正極活物質を得ることがで きる。

 このような半導体被覆正極活物質の製造方 においては、少なくとも、正極活物質表面 n型半導体材料により被覆してn型半導体被 層を得るn型半導体被覆層形成工程と、上記n 型半導体被覆層表面をp型半導体材料により 覆してp型半導体被覆層を形成し、pn接合半 体被覆層前駆体を得るpn接合半導体被覆層前 駆体形成工程と、上記pn接合半導体被覆層前 体を熱処理することによりpn接合半導体被 層を形成し、半導体被覆正極活物質を得る 導体被覆正極活物質形成工程と、を有する 造方法であれば、特に限定されるものでは く、他の工程を有していても良い。
 以下、本発明の半導体被覆正極活物質の製 方法における各工程について詳細に説明す 。

1.n型半導体被覆層形成工程
 まず、本発明におけるn型半導体被覆層形成 工程について説明する。本発明におけるn型 導体被覆層形成工程とは、正極活物質表面 n型半導体材料により被覆してn型半導体被覆 層を得る工程である。

 本工程を経ることにより、正極活物質表 にn型半導体被覆層を形成することができる 。

 上記n型半導体被覆層に用いられるn型半 体材料の種類について、n型半導体材料の被 量について、上記正極活物質等については 上述した「A.半導体被覆正極活物質」に記 したものと同様のものであるので、ここで 説明は省略する。

 本工程に用いられる上記正極活物質表面 被覆され、n型半導体被覆層となるn型半導 材料の形状としては、上記正極活物質表面 付着してn型半導体被覆層を形成することが きる形状であれば、特に限定されるもので ないが、例えば球状、楕円球状等を挙げる とができる。このようなn型半導体材料の平 均粒径としては、n型半導体被覆層を形成し 際に、サイクル特性を向上させ、かつ出力 向上させることができるものであれば特に 定されるものではない。例えば1nm~10μmの範 内、中でも1nm~1μmの範囲内、特に10nm~1μmの範 囲内であることが好ましい。上記範囲より小 さいと、n型半導体被覆層を形成することが 難となるおそれがある。また、上記範囲よ 大きいと、n型半導体被覆層が過剰に形成さ る等して、充分な電子伝導性が得られず、 力を向上させることができないおそれがあ からである。

 本工程において、上記n型半導体材料の平 均粒径は、電子顕微鏡を用いた画像解析に基 づいて測定された値を用いることができる。

 本工程において、正極活物質表面にn型半 導体材料を被覆して、n型半導体被覆層を形 する方法としては、上記正極活物質表面にn 半導体被覆層を形成することができる方法 あれば特に限定されるものではない。例え 、ボールミル、乳鉢等を用いた機械的な物 力により付着させる方法等を挙げることが きる。

 上記ボールミルを用いる場合は、例えば 所定のポット中に、所定のボール、上記正 活物質、および上記n型半導体材料を添加し て、所定の回転数、および所定の時間でボー ルミルを行う。このようなボールミル条件と しては、正極活物質表面に、上述したような 所望の量のn型半導体材料を被覆することが きる条件であれば特に限定されるものでは い。

 具体的には、上記ポットに用いられる材料 しては、例えば、窒化ケイ素、ジルコニア アルミナ、ステンレス等を挙げることがで 、中でも、窒化ケイ素が好ましい。削れに く、削れることによる不純物混入が抑制さ るためである。
 また、上記ボールに用いられる材料として 、例えば、窒化ケイ素、ジルコニア、アル ナ、ステンレス等を挙げることができ、中 も、窒化ケイ素が好ましい。削れにくく、 れることによる不純物混入が抑制されるた である。

 また、上記回転数としては、例えば、50~500r pmの範囲内、中でも、100~300rpmの範囲内である ことが好ましい。
 上記ボールミルする時間としては、例えば 1~50時間の範囲内、中でも、1~20時間の範囲 であることが好ましい。ボールミルする時 が短すぎると、n型半導体材料の被覆量が不 分なものとなるおそれがある。一方、ボー ミルする時間が長すぎると活物質が割れる どして劣化するおそれがあるからである。

2.pn接合半導体被覆層前駆体形成工程
 次に、本発明におけるpn接合半導体被覆層 駆体形成工程について説明する。本発明に けるpn接合半導体被覆層前駆体形成工程とは 、上記n型半導体被覆層表面をp型半導体材料 より被覆してp型半導体被覆層を形成し、pn 合半導体被覆層前駆体を得る工程である。

 本工程を経ることにより、上記n型半導体被 覆層表面にp型半導体材料を付着させてn型半 体被覆層上にp型半導体被覆層を形成させた 、pn接合半導体被覆層前駆体を得ることがで る。
 なお、上記pn接合半導体被覆層前駆体にお ては、上記n型半導体被覆正極活物質表面に n型半導体被覆層が被覆されていない部分が あって、このような部分において正極活物質 表面にp型半導体被覆層が形成されていても い。

 本工程における、上記n型半導体被覆層に ついて、および上記正極活物質等については 、上述した「C.半導体被覆正極活物質の製造 法 1.n型半導体被覆層形成工程」に記載し ものと同様のものであるので、ここでの説 は省略する。また、上記p型半導体被覆層に いられるp型半導体材料の種類について、p 半導体材料の被覆量等については、上述し 「A.半導体被覆正極活物質 1.pn接合半導体被 覆層」に記載したものと同様のものであるの で、ここでの説明は省略する。

 本工程に用いられる、上記n型半導体被覆 層表面に被覆され、p型半導体被覆層となるp 半導体材料の形状としては、上記n型半導体 被覆層表面にp型半導体被覆層を形成するこ ができる形状であれば、特に限定されるも ではないが、例えば球状、楕円球状等を挙 ることができる。このようなp型半導体材料 平均粒径としては、所望の上記p型半導体被 覆層が得ることができるものであれば特に限 定されるものではない。例えば1nm~10μmの範囲 内、中でも1nm~1μmの範囲内、特に10nm~1μmの範 内であることが好ましい。上記範囲より小 いと、上記p型半導体被覆層を形成すること が困難となり、後述する所望のpn接合半導体 覆層を得ることが困難になるおそれがある 一方、上記範囲より大きいと、p型半導体被 覆層が過剰に形成される等して、充分な電子 伝導性が得られず、出力を向上させることが できないおそれがあるからである。

 上記p型半導体材料の平均粒径は、電子顕 微鏡を用いた画像解析に基づいて測定された 値を用いることができる。

 本工程において、上記n型半導体被覆層表 面をp型半導体材料により被覆してp型半導体 覆層を形成し、pn接合半導体被覆層前駆体 得る方法としては、上記n型半導体被覆層表 にp型半導体被覆層を形成することができる 方法であれば特に限定されるものではない。 具体的な方法については、上述した「C.半導 被覆正極活物質の製造方法 1.n型半導体被 層形成工程」に記載したものと同様のもの あるので、ここでの説明は省略する。

 pn接合半導体被覆層前駆体を得る方法と て、例えばボールミルを用いる場合は、具 的には、所定のポット中に、所定のボール 上記n型半導体被覆正極活物質、および上記p 型半導体材料を添加して、所定の回転数、お よび所定の時間でボールミルを行う。このよ うなボールミル条件としては、上記n型半導 被覆層表面に、上述したような所望の量のp 半導体材料を被覆することができる条件で れば特に限定されるものではない。

 具体的には、上記ポットに用いられる材 、および上記ボールに用いられる材料につ ては、上述した「C.半導体被覆正極活物質 製造方法 1.n型半導体被覆層形成工程」に記 載したものと同様のものであるので、ここで の説明は省略する。

 また、上記回転数としては、例えば、50~500r pmの範囲内、中でも、100~300rpmの範囲内である ことが好ましい。
 上記ボールミルする時間としては、例えば 1~50時間の範囲内、中でも、1~20時間の範囲 であることが好ましい。ボールミルする時 が短すぎると、p型半導体材料の被覆量が不 分なものとなるおそれがある。一方、ボー ミルする時間が長すぎると活物質が割れる どして劣化するおそれがあるからである。

3.半導体被覆正極活物質形成工程
 次に、本発明における半導体被覆正極活物 形成工程について説明する。本発明におけ 半導体被覆正極活物質形成工程とは、上記p n接合半導体被覆層前駆体を熱処理すること よりpn接合半導体被覆層を形成し、半導体被 覆正極活物質を得る工程である。

 本工程を経ることにより、n型半導体被覆 層とp型半導体被覆層との間にpn接合を形成し て、所望のサイクル特性を向上させ、かつ出 力を向上させた上記半導体被覆正極活物質を 得ることができる。

 本工程におけるpn接合半導体被覆層前駆 については、上述した「C.半導体被覆正極活 物質の製造方法 2.pn接合半導体被覆層前駆体 形成工程」に記載したものと同様のものであ るので、ここでの説明は省略する。

 本工程において、上記pn接合半導体被覆 前駆体を熱処理することによりpn接合半導体 被覆層を形成し、半導体被覆正極活物質を得 る方法としては、上記pn接合半導体被覆層を 成することができる方法であれば特に限定 れるものではない。具体的な方法としては 例えば、上記pn接合半導体被覆層前駆体を する正極活物質(以下、単に前駆体正極活物 と称する場合がある。)を所定の温度、時間 、雰囲気下で焼成する方法等が挙げられる。

 本工程において、熱処理する際の上記所定 温度としては、上記正極活物質の種類、上 pn接合半導体被覆層中のn型半導体材料の種 、上記pn接合半導体被覆層中のp型半導体材 の種類等により変化するものであり、上記 極活物質を劣化させず、かつ、pn接合の形 を可能として上記pn接合半導体被覆層を形成 することができる温度であれば特に限定され るものではない。例えば、200~1500℃の範囲内 中でも、400~1000℃の範囲内、特に、600~900℃ 範囲内であることが好ましい。
 上記正極活物質がLiCoO 2 であり、上記pn接合半導体被覆層中のn型半導 体材料としてP(リン)をドープしたSi(シリコン )粉末、p型半導体材料としてB(ホウ素)をドー したSi(シリコン)粉末を用いた場合には、通 常200~800℃の範囲内である。

 また、本工程においては、熱処理する際の 囲気としては、n型半導体被覆層とp型半導 被覆層との間にpn接合を形成して、所望のサ イクル特性を向上させ、かつ出力を向上させ た上記半導体被覆正極活物質を得ることがで きる雰囲気であれば特に限定されるものでは ない。通常、不活性雰囲気中で行うことが好 ましい。上記不活性雰囲気としては、例えば 、N 2 ガス、Arガス等を挙げることができる。

 本工程より得られる半導体被覆正極活物 については、上述した「A.半導体被覆正極 物質」に記載したものと同様のものである で、ここでの説明は省略する。

 なお、本発明は、上記実施形態に限定さ るものではない。上記実施形態は、例示で り、本発明の特許請求の範囲に記載された 術的思想と実質的に同一な構成を有し、同 な作用効果を奏するものは、いかなるもの あっても本発明の技術的範囲に包含される

 以下に実施例を示して本発明をさらに具 的に説明する。

 [実施例]
(半導体被覆正極活物質作製)
 正極活物質コバルト酸リチウム(LiCoO 2 )9.5gに、Pをドープしたn型-Si粉末0.3gを添加し ボールミル混合して、n型-Si半導体被覆コバ ルト酸リチウムを得た。ボールミル条件とし ては、ポット材料として窒化ケイ素、および ボール材料として窒化ケイ素を用い、回転数 300r.p.mで3時間行った。
 次に、n型-Si半導体被覆コバルト酸リチウム 9.8gに、Bをドープしたp型-Si粉末0.2gを添加し ボールミル混合して、n型-Si半導体被覆層上 p型-Si半導体被覆層を形成した前駆体正極活 物質を得た。ボールミル条件としては、ポッ ト材料として窒化ケイ素、およびボール材料 として窒化ケイ素を用い、回転数300r.p.mで3時 間行った。
 その後、前駆体正極活物質を不活性雰囲気( アルゴン)中で800℃の熱処理を行い、pn接合を 形成させた半導体被覆コバルト酸リチウムを 得た。

(正極電極体作製)
 結着材であるポリビニリデンフロライド(PVD F)を溶解させた溶剤n-メチルピロリドン溶液 に、(半導体被覆正極活物質作製)で得られた pn接合を形成させた半導体被覆コバルト酸リ ウム粉末9.0gと導電化材であるカーボンブラ ック1.0gを添加し、均一に混合するまで混錬 正極層用スラリーを作製した。
 正極層用スラリーをAl集電体上に片面塗布 、その後乾燥することで正極電極体を作製 た。

(負極電極体作製)
 結着材であるポリビニリデンフロライド(PVD F)を分散させた水中に、負極活物質であるグ ファイト粉末を添加し、均一に混合するま 混錬し負極層用スラリーを作製した。
 負極層用スラリーをCu集電体上に片面塗布 、その後乾燥することで負極電極体を作製 た。

(電池作製)
 上記正極電極体、上記負極電極体、および パレータとしてPP製多孔質セパレータを用 て、コインタイプの電池を作製した。電解 は、EC(エチレンカーボネート)、DMC(ジメチル カーボネート)を体積比率で3:7で混合したも に、支持塩として六フッ化リン酸リチウム(L iPF 6 )を濃度1mol/L溶解させたものを用いた。

 [比較例1]
(半導体被覆正極活物質作製)
 正極活物質LiCoO 2 9.5gに、Pをドープしたn型-Si粉末0.5gを添加し ボールミル混合して、n型-Si半導体被覆コバ ト酸リチウムを得た。ボールミル条件とし は、ポット材料として窒化ケイ素、および ール材料として窒化ケイ素を用い、回転数3 00r.p.mで6時間行った。

 正極活物質として、pn接合を形成させた 導体被覆コバルト酸リチウムの代わりに、n -Si半導体被覆コバルト酸リチウムを用いた と以外は、実施例と、同様にして、コイン イプの電池を得た。

 [比較例2]
 半導体被覆正極活物質作製時に、Pをドープ したn型-Si粉末0.5gを添加する代わりに、Bをド ープしたp型-Si粉末0.5gを添加した以外は、比 例1と同様にして、コインタイプの電池を作 製した。
 [比較例3]
 半導体被覆正極活物質作製時に、Pをドープ したn型-Si粉末を添加する代わりに、Si粉末を 添加した以外は、比較例1と同様にして、コ ンタイプの電池を作製した。

 [評価]
(容量維持率測定および放電容量測定)
 実施例、比較例1、比較例2および比較例3で られたコインタイプの電池を用いて、容量 持率および放電容量について試験を行った 容量維持率は、4.2Vまで充電、2.9Vまで放電 もに1Cで100サイクル繰り返し、容量維持率を 測定した。また、放電容量は、4.2Vまで充電 1Cで行った後、2.9Vまで10Cで放電を行い、放 容量を測定した。得られた結果を表1に示す

 表1に示すように、容量維持率は比較例1で 76%、比較例2では78%、比較例3では80%、実施例 では82%となり、比較例1、および比較例2は、 較例3より若干容量維持率が低下した。また 、実施例は、比較例1、比較例2、および比較 3よりも優れた値を示し、最も良好な容量維 持率を示した。
 また、放電容量は比較例1では45mAh/g、比較 2では42mAh/g、比較例3では31mAh/g、実施例では4 6mAh/gとなり、比較例1、比較例2、および実施 は比較例3に比べて良好な放電容量を示した 。また、実施例が最も放電容量に優れたもの であった。

 以上の結果から、比較例1および比較例2に いては、正極活物質表面がn型半導体被覆層 たはp型半導体被覆層に被覆されることによ り、正極活物質と電解質液とが接触して反応 することによる劣化を抑制することを可能と して、良好な容量維持率を示した。さらに、 n型半導体被覆層中またはp型半導体被覆層中 電子が移動することが可能となり、出力特 を向上することを可能として、良好な放電 量を示した。
 また、実施例においては、pn接合半導体被 層を有することにより、pn接合半導体被覆層 中においては、電子はp型半導体被覆層からn 半導体被覆層へは移動することができない このため、充電反応時のpn接合半導体被覆 中を通過する電解液から正極活物質への電 の移動を困難にして、充電反応時の電解液 の劣化を抑制することを可能とし、最も良 な容量維持率を示した。さらに、実施例に いては、pn接合半導体被覆層を有することに より、pn接合半導体被覆層中においては、電 はn型半導体被覆層からp型半導体被覆層へ 動することが可能となる。このため、放電 応時のpn接合半導体被覆層中を通過する正極 活物質から電解液への電子の移動を容易にし て、正極活物質表面が被覆された部分におい ても放電反応時の電子伝導性が向上して出力 を向上させることを可能とし、最も良好な放 電容量を示した。