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Title:
AGENT FOR PREVENTING BLEEDING FROM CEREBRAL CORTICAL VEIN
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/096722
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an agent for preventing the bleeding from a cerebral cortical vein, which comprises an aqueous solution containing 120 to 160 mEq/L of a sodium ion, 1 to 5 mEq/L of a calcium ion and 75 to 165 mEq/L of a chlorine ion. The agent may further contain 1 to 5 mEq/L of a potassium ion. Also disclosed is a packaged product of a container accommodating the agent therein. The agent can prevent or reduce the bleeding from a cerebral cortical vein effectively in the field of neurosurgery including intracranial surgery, thereby providing a sufficiently spacious operation field during a surgery or preventing the occurrence of any disorder after a surgery.

Inventors:
FUJITA YASUTAKA (JP)
DOI KAZUHISA (JP)
KAMIKAWA SHUJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/051804
Publication Date:
August 14, 2008
Filing Date:
February 05, 2008
Export Citation:
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Assignee:
OTSUKA PHARMA CO LTD (JP)
FUJITA YASUTAKA (JP)
DOI KAZUHISA (JP)
KAMIKAWA SHUJI (JP)
International Classes:
A61K33/14; A61J1/05; A61K31/19; A61K31/7004; A61K33/10; A61P7/04; A61P41/00; A61P43/00
Domestic Patent References:
WO2006115057A12006-11-02
WO2006115057A12006-11-02
WO1997048365A11997-12-24
WO2001044385A12001-06-21
Foreign References:
US20060057065A12006-03-16
JP2002173422A2002-06-21
JP2002173422A2002-06-21
JPS6320550B21988-04-28
JPS6317474A1988-01-25
JPS63309263A1988-12-16
JPH024671A1990-01-09
JP2002234102A2002-08-20
JPH058318A1993-01-19
JPH11276547A1999-10-12
JP2003267451A2003-09-25
JPH03112358A1991-05-13
JP2005349182A2005-12-22
JPH11197215A1999-07-27
Other References:
KOMACHI H.: "Ishiki Shogai Oyobi Nokekkan Shogai no Yueki Ryoho", IGAKU NO AYUMI, vol. 168, no. 5, 29 January 1994 (1994-01-29), pages 397 - 400, XP008112375
YANAGIHASHI Y. ET AL.: "Kogashima-Ken ni Okeru In'yosui no Seibun to Junkankei Shikkan Shibo tono Kankei", MINZOKU EISEI, vol. 55, no. 5, 1989, pages 244 - 252, XP003021978
See also references of EP 2123287A4
Attorney, Agent or Firm:
SAEGUSA, Eiji et al. (1-7-1 Doshomachi,Chuo-ku, Osaka-shi, Osaka 45, JP)
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Claims:
下記範囲の各電解質イオンを含有する水溶液からなる脳表血管出血抑制剤:
ナトリウムイオン 120~160 mEq/L
カルシウムイオン  1~5 mEq/L
塩素イオン        75~165mEq/L。
更に、カリウムイオンを1~5 mEq/L含有する請求項1に記載の脳表血管出血抑制剤。
カリウムイオン濃度及びカルシウムイオン濃度が下記範囲である請求項2に記載の脳表血管出血抑制剤:
カリウムイオン  2.5~4.5 mEq/L
カルシウムイオン  2.0~3.5 mEq/L。
更に、乳酸イオン、酢酸イオン及び重炭酸イオンからなる群から選ばれた少なくとも一種のイオンを5~45 mEq/Lの範囲で含有する請求項1に記載の脳表血管出血抑制剤。
更に、乳酸イオン、酢酸イオン及び重炭酸イオンからなる群から選ばれた少なくとも一種のイオンを5~45 mEq/Lの範囲で含有する請求項2に記載の脳表血管出血抑制剤。
重炭酸イオンを含有する請求項4に記載の脳表血管出血抑制剤を収容した容器の包装体であって、該容器は連通可能な少なくとも2室を有する通気性プラスチック容器であり、重炭酸イオンとカルシウムイオンとは該容器の異なる室にそれぞれ収容され、上記容器はガスバリア性を有する包装材で包装され、上記容器と包装材との空間部は炭酸ガス雰囲気となっている容器包装体。
重炭酸イオンを含有する請求項5に記載の脳表血管出血抑制剤を収容した容器の包装体であって、該容器は連通可能な少なくとも2室を有する通気性プラスチック容器であり、重炭酸イオンとカルシウムイオンとは該容器の異なる室にそれぞれ収容され、上記容器はガスバリア性を有する包装材で包装され、上記容器と包装材との空間部は炭酸ガス雰囲気となっている容器包装体。
更に還元糖が、重炭酸イオンを収容した室とは異なる室に収容される請求項6に記載の容器包装体。
更に還元糖が、重炭酸イオンを収容した室とは異なる室に収容される請求項7に記載の容器包装体。
更に容器と包装材との空間部に、該空間部の炭酸ガス濃度を検知してその変化に応じて色調が変化するpHインジケータを配置した請求項6に記載の容器包装体。
更に容器と包装材との空間部に、該空間部の炭酸ガス濃度を検知してその変化に応じて色調が変化するpHインジケータを配置した請求項7に記載の容器包装体。
Description:
脳表血管出血抑制剤

 本発明は、脳神経外科の分野において行 れる頭蓋内手術時等において脳表血管から 出血を抑制する作用を有する脳表血管出血 制剤、及び該脳表血管出血抑制剤を収容し 容器包装体に関する。

 脳腫瘍摘出手術などにおいて組織を摘出 る際には、通常、出血が伴われる。このよ な術部の出血は、生理的には血液凝固や血 収縮により停止する。一方、持続する出血 対しては、電気焼灼や、酸化セルロース、 ラチンスポンジ、フィブリン糊等による止 処理が行われる。

 術中の出血が持続すると、術視野を遮り さらには脳細胞に炎症性の障害をもたらす 能性がある。したがって、より早期により くの出血箇所が生理的に止血されれば、臨 的な意義は大きいと考えられる。

 脳神経外科領域の手術においては、脳細 の乾燥を防ぐこと、或いは、出血を洗い流 こと等を目的として、生理食塩液、乳酸リ ゲル液等が洗浄液として用いられている。 た、生理食塩水を洗浄乃至灌流液として用 る場合の問題点である、けいれん、頭痛、 熱等の副作用を軽減することを目的として 各種の人工髄液が提案されており、手術中 脳組織を保護できる脳室洗浄剤も報告され いる(下記特許文献1等参照)。更に、脳外科 術領域において、人工髄液を洗浄液又は灌 液として用いる場合に生じることのある脳 腫の発生を低減乃至防止可能な人工髄液も 告されている(下記特許文献2参照)。

 しかしながら、洗浄液が止血過程に及ぼ 影響についてはこれまで知られておらず、 蓋内手術時に使用して、脳表血管からの出 を効果的に防止乃至抑制し得る脳表血管出 抑制剤についての報告はなされていない。

 以上の様な現状より、脳表血管からの出血 効果的に防止乃至抑制して、手術部位の鮮 な視野を確保することは、脳神経外科分野 おいて非常に重要な課題となっている。

特開2002-173422号公報

国際公開WO2006/115057号

 本発明は、上記した従来技術の現状に鑑 てなされたものであり、その主な目的は、 蓋内手術などの脳神経外科領域において、 表血管からの出血を効果的に防止乃至抑制 て、手術時の視野の確保や術後の障害の発 を抑制できる、脳表血管出血抑制剤を提供 ることである。

 本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭 研究を重ねてきた。その結果、下記に示す 定の電解質イオンの所定量を含有し、更に 要に応じて、乳酸イオン、酢酸イオン及び 炭酸イオンからなる群から選ばれた少なく も一種のイオンを含有する水溶液を、頭蓋 手術時に、手術部位の洗浄または灌流に使 する場合には、従来全く知られていない、 表血管からの出血を防止乃至抑制する効果 発揮されることを見出し、ここに本発明を 成するに至った。

 即ち、本発明は、下記の脳表血管出血抑制 、及び該出血抑制剤を収容した容器包装体 提供するものである。
1. 下記範囲の各電解質イオンを含有する水 液からなる脳表血管出血抑制剤:
ナトリウムイオン 120~160 mEq/L
カルシウムイオン  1~5 mEq/L
塩素イオン        75~165mEq/L。
2. 更に、カリウムイオンを1~5 mEq/L含有する 記項1に記載の脳表血管出血抑制剤。
3. カリウムイオン濃度及びカルシウムイオ 濃度が下記範囲である上記項2に記載の脳表 管出血抑制剤:
カリウムイオン  2.5~4.5 mEq/L
カルシウムイオン  2.0~3.5 mEq/L。
4. 更に、乳酸イオン、酢酸イオン及び重炭 イオンからなる群から選ばれた少なくとも 種のイオンを5~45 mEq/Lの範囲で含有する上記 項1に記載の脳表血管出血抑制剤。
5. 更に、乳酸イオン、酢酸イオン及び重炭 イオンからなる群から選ばれた少なくとも 種のイオンを5~45 mEq/Lの範囲で含有する上記 項2に記載の脳表血管出血抑制剤。
6. 重炭酸イオンを含有する上記項4に記載の 表血管出血抑制剤を収容した容器の包装体 あって、該容器は連通可能な少なくとも2室 を有する通気性プラスチック容器であり、重 炭酸イオンとカルシウムイオンとは該容器の 異なる室にそれぞれ収容され、上記容器はガ スバリア性を有する包装材で包装され、上記 容器と包装材との空間部は炭酸ガス雰囲気と なっている容器包装体。
7. 重炭酸イオンを含有する上記項5に記載の 表血管出血抑制剤を収容した容器の包装体 あって、該容器は連通可能な少なくとも2室 を有する通気性プラスチック容器であり、重 炭酸イオンとカルシウムイオンとは該容器の 異なる室にそれぞれ収容され、上記容器はガ スバリア性を有する包装材で包装され、上記 容器と包装材との空間部は炭酸ガス雰囲気と なっている容器包装体。
8. 更に還元糖が、重炭酸イオンを収容した とは異なる室に収容される上記項6に記載の 器包装体。
9. 更に還元糖が、重炭酸イオンを収容した とは異なる室に収容される上記項7に記載の 器包装体。
10.更に容器と包装材との空間部に、該空間部 の炭酸ガス濃度を検知してその変化に応じて 色調が変化するpHインジケータを配置した上 項6に記載の容器包装体。
11.更に容器と包装材との空間部に、該空間部 の炭酸ガス濃度を検知してその変化に応じて 色調が変化するpHインジケータを配置した上 項7に記載の容器包装体。

 以下、本発明の脳表血管出血抑制剤およ これを収容した容器包装体につき詳述する

  (1) 脳表血管出血抑制剤
 本発明の脳表血管出血抑制剤は、下記範囲 各電解質イオンを含有する水溶液からなる のである:
ナトリウムイオン 120~160 mEq/L
カルシウムイオン  1~5 mEq/L
塩素イオン        75~165mEq/L。

 上記した特定組成を有する水溶液を用い 、頭蓋内手術時に頭蓋内の洗浄又は灌流を なうことによって、手術時の脳表血管から 出血を効果的に防止乃至抑制できる。その 果、頭蓋内手術時に鮮明な視野を確保する とが可能となり、術後の障害の発生も抑制 きる。上記した特定組成の水溶液の使用に って、斯かる効果が奏されることは従来全 知られていない新規な発見事項である。

 本発明の脳表血管出血抑制剤は、更に、 リウムイオンを1~5 mEq/L含有することが好ま しい。

 特に、本発明の脳表血管出血抑制剤では カリウムイオン濃度が2.5~4.5 mEq/Lであって カルシウムイオン濃度が2.0~3.5 mEq/Lであるこ とが好ましい。カリウムイオン濃度及びカル シウムイオン濃度が上記範囲にある場合には 、特に、優れた出血抑制効果が発揮される。

 本発明の脳表血管出血抑制剤には、更に 必要に応じて、乳酸イオン、酢酸イオン及 重炭酸イオンからなる群から選ばれた少な とも一種のイオンが含まれても良い。これ のイオンが含まれることによって、より一 優れた出血抑制効果が発揮される。上記イ ンは、一種のみが含まれてもよく、二種以 が同時に含まれても良い。乳酸イオン、酢 イオン及び重炭酸イオンからなる群から選 れた少なくとも一種のイオンの濃度は、5~45  mEq/L程度であることが好ましい。

 本発明の脳表血管出血抑制剤には、更に 還元糖、リン酸、マグネシウムイオン等が まれても良い。これらの成分の内で、還元 、リン酸、マグネシウムイオン等は、脳神 細胞の電気的活動を維持乃至調節するため 有効であり、還元糖については、細胞のエ ルギー源としても有効であり、リン酸、カ シウムイオン及びマグネシウムイオンにつ ては、細胞のエネルギー代謝に有効である 考えられる。更に、マグネシウムイオンは 胞内の多種の酵素の活性化に有効なイオン 考えられる。頭蓋内手術時に本発明の脳表 管出血抑制剤を洗浄又は灌流の方法によっ 使用する場合には、出血抑制効果に加えて 上記効果も同時に奏されると考えられる。

 斯かる効果を発揮するためには、還元糖 含有量は0.1~10g/L程度とすることが好ましく リン酸の含有量は、0.1~5mmol/L程度の含有量 することが好ましく、マグネシウムイオン 含有量は0.5~5mEq/L程度とすることが好ましい

 本発明の脳表血管出血抑制剤における各成 の好ましい含有量の一例を挙げると下記の りである。
ナトリウムイオン    120~160mEq/L
カリウムイオン     1~5mEq/L
カルシウムイオン    1~5mEq/L
マグネシウムイオン  1~5mEq/L
塩素イオン        75~155mEq/L
乳酸イオン、酢酸イオン及び重炭酸イオンか らなる群から選ばれた少なくとも一種のイオ ン            5~45mEq/L
リン酸        0~5mmol/L
還元糖        0~10g/L。

 更に、本発明出血抑制剤における各成分の り好ましい含有量の一例を挙げると下記の りである。
ナトリウムイオン    130~160mEq/L
カリウムイオン     2.5~4.5mEq/L
カルシウムイオン    2.0~3.5mEq/L
マグネシウムイオン  1~4mEq/L
塩素イオン        100~150mEq/L
乳酸イオン、酢酸イオン及び重炭酸イオンか らなる群から選ばれた少なくとも一種のイオ ン            10~40mEq/L
リン酸        0~3mmol/L
還元糖        0~5g/L。

 これらの各電解質イオン源(電解質イオンを 与える化合物)としては、次のものを例示す ことができる。即ち、ナトリウムイオンの 給源としては、例えば塩化ナトリウム、酢 ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸 水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム 硫酸ナトリウム、乳酸ナトリウムなどを例 できる。カリウムイオンの供給源としては 塩化カリウム、酢酸カリウム、クエン酸カ ウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素 カリウム、グリセロリン酸カリウム、硫酸 リウム、乳酸カリウムなどを例示できる。 ルシウムイオンの供給源としては、塩化カ シウム、グルコン酸カルシウム、パントテ 酸カルシウム、乳酸カルシウム、酢酸カル ウムなどを例示できる。マグネシウムイオ の供給源としては、硫酸マグネシウム、塩 マグネシウム、酢酸マグネシウムなどを例 できる。塩素イオンの供給源としては、塩 ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウ 、塩化マグネシウムなどを例示できる。重 酸イオンの供給源としては、重炭酸ナトリ ム(炭酸水素ナトリウム)が普通に利用できる が、炭酸ナトリウムも該供給源として利用す ることができる。また、リン酸としては、リ ン酸(H 3 PO 4 )自体のみならず、その塩、例えば、リン酸 カリウム、リン酸二カリウム、リン酸一ナ リウム、リン酸二ナトリウム等を利用する とができる。還元糖としては、ブドウ糖、 ルトースなどが用いられる。これらの各電 質イオンを与える化合物、リン酸および還 糖は、いずれも入手容易な市販品、好まし は日局方品を利用することができる。

 上記電解質イオン源とする各化合物は、通 無水物形態(NaCl、KCl、NaHCO 3 、CaCl 2 、MgCl 2 など)で用いられるが、特にこの無水物形態 限定されるものではなく、結晶水を有する 態、即ち水和物の形態、例えばCaCl 2 ・2H 2 O、MgCl 2 ・6H 2 O、MgSO 4 ・7H 2 Oなどの形態で利用することもできる。これ の各水和物の本発明出血抑制剤中への配合 量は、無水物のそれらの場合とは異なるが いずれの場合もこれらを配合して得られる 血抑制剤中の電解質イオン濃度が、前記範 内になるように適宜決定すればよい。

 本発明出血抑制剤は、上記各成分を水に 解させたものである。この出血抑制剤の調 に用いられる水は、例えば精製水(イオン交 換水、逆浸透水など)、蒸留水などでよい。 れらは殺菌乃至滅菌されているのが好まし 。

 本発明出血抑制剤は、上記組成とするこ によって通常約6.8~8.2、より好ましくは約7~7 .5のpHを有し、そのままで出血抑制剤として 用することができる。更に必要なら、適当 pH調整剤、例えば塩酸などの酸および水酸化 ナトリウムなどのアルカリを用いてそのpHを 整することも可能である。

 本発明出血抑制剤には、更に必要に応じ 他の電解質成分、例えば酢酸カリウム、グ コン酸カルシウムなど;他の糖質、例えばマ ルトース、キシリトール、トレハロースなど ;その他例えば銅、亜鉛などの微量金属;カル チンなどの医薬品成分などを適宜配合する ともできる。更に、本発明出血抑制剤には グルタチオン、ケトン体、ウロキナーゼな の血栓溶解剤;硫酸ゲンタマイシン、硫酸ア ミカシンなどの抗生剤;メトトレキサート(MTX) などの抗がん剤;アスコルビン酸等の医薬品 分を含ませることも可能である。

  (2) 本発明脳表血管出血抑制剤収 容器包装体
 前記組成の本発明の脳表血管出血抑制剤は 全成分を同時に含む1剤の水溶液として用い ても良く、或いは、2剤以上に分割して別々 容器に収容し、使用時に各容器内液を混合 て用いても良い。

 特に、本発明の出血抑制剤が、重炭酸イ ンを含む場合には、この重炭酸イオンが、 の滅菌時や保存中に一部分解して炭酸ガス 発生させ、その分解損失を来すと共に液のp Hを上昇させる不利がある。従って、本発明 血抑制剤を収容する製品形態は、このよう 炭酸ガスの発生をできるだけ回避して、液pH の上昇を防止できるものであるのが好ましい 。

 このような本発明出血抑制剤の好ましい 品形態(容器収容形態)としては、例えば連 可能な少なくとも2室を有する通気性プラス ック容器を、ガスバリア性を有する包装材 包装し、上記容器と包装材との空間部を炭 ガス雰囲気とした容器包装体形態を挙げる とかできる。

 このような少なくとも2室を有する複室容 器包装体の形態においては、例えば、上記容 器の一室(A室)に重炭酸イオンを含む液(A液)を 収容し、他室(B室)に、カルシウムイオンと必 要に応じて配合されるマグネシウムイオンを 含む電解質液(B液)を収容し、更に必要に応じ て添加配合される還元糖を、上記電解質液(B )を収容した室に収容するかまたは上記2室 は別個の第三室(C室)に収容することができ 。これらの各室内液は、使用時にそれらを 合することによって本発明出血抑制剤の組 とすることができる。また、必要に応じて 合されるリン酸は、例えば好ましくは重炭 イオンを収容した室に同時に収容すること できる。

 各室内液の各成分濃度および容積比は、 に限定されるものではなく、両者を混合し 調製される液が、前記組成となるものとす ばよい。上記形態に調製する代表的方法と ては、次の方法を挙げることができる。即 、注射用水に炭酸水素ナトリウムを溶解さ てA液とする。該A液には塩化ナトリウムお び/または塩化カリウムを更に溶解させるこ ができる。一方、注射用水に塩化カルシウ 、塩化マグネシウムおよび必要ならば還元 を溶解させてB液とする。このB液には更に 化ナトリウムおよび/または塩化カリウムを 解させることもできる。かくして得られる 室内液を、次いで例えば0.45μmメンブランフ ィルターで濾過した後、前記通気性プラスチ ック容器の各室に収容する。塩素イオンはA およびB液のいずれに含有させてもよく、両 に含有させてもよい。

 上記した少なくとも2室を有する複室容器 包装体を用いる場合には、重炭酸イオンを含 む溶液と、カルシウムイオン及び/又はマグ シウムイオンを含む溶液とを異なる室に収 することによって、カルシウムイオン及び/ はマグネシウムイオンと重炭酸イオンから る難溶性重炭酸塩の生成による沈殿発生を 止できる。

 尚、上記少なくとも2室を有する通気性プ ラスチック容器としては、既に知られている 各種のもののいずれでもよい。その具体例と しては、例えば2室の連通部を閉鎖する手段 設けられたもの(特公昭63-20550号公報、実公 63-17474号公報)や2室を区画するシール部が押 により連通しやすいもの(特開昭63-309263号公 報、特開平2-4671号公報)などを例示できる。 た上記容器の材質としては、医療用容器な に普通に用いられる各種のもの、例えばポ エチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニ 、架橋された酢酸ビニルアルコールなどを 示できる。容器はこれら各材質の樹脂のブ ンドからなっていてもよく、また各樹脂製 ィルムなどの積層体からなっていてもよい かくして得られる容器は、特に高圧蒸気滅 または熱水滅菌に耐えられるものであるの 望ましい。

 本発明の脳表血管出血抑制剤を収容する 器の包装体は、上記通気性プラスチック容 を、ガスバリア性を有する包装材で包装し つ上記容器と包装材との空間部を炭酸ガス 含むガス雰囲気とすることにより得られる

 ここでガスバリア性を有する包装材とし は、通常のものでよく、その具体例として 例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、 チレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポ 塩化ビニリデン(PVDC)や,それらの材質に酸化 イ素や酸化アルミニウムを蒸着させたもの 、これら材質の組合せからなる多層フィル からなるものなどを例示できる。これら包 材の形状、大きさなどは上記プラスチック 器を収容でき、その収容後に容器との間に 酸ガス含有ガスを封入できる充分な空間部 有することを前提として特に制限されるも ではない。通常上記空間部は、上記容器内 液量の約0.1~0.8倍容積程度の大きさであるの が適当である。

 上記容器と包装材との空間部を炭酸ガス 有ガス雰囲気とするためには、例えば炭酸 スと空気との混合ガスや炭酸ガスと窒素ガ との混合ガスなどの炭酸ガス含有ガスを上 空間部に封入する方法を採用することがで る。また、上記空間部に存在する酸素ガス 吸収してこれと等容積の炭酸ガスを放出す 、炭酸ガス発生型脱酸素剤を、上記空間部 封入する方法も同様に採用することができ 。この炭酸ガス発生型脱酸素剤としては、 えば三菱瓦斯科学株式会社製「エージレスG 」や、凸版印刷株式会社製の鮮度保持剤Cタ プなどを有利に利用することができる。

 上記構成の採用によれば、容器と包装材 の空間部に存在する炭酸ガスは、通気性プ スチック容器の器壁を通過してA液に吸収さ れ、A液中の炭酸ガス分圧は該空間部の炭酸 ス分圧と平衡に達し、該炭酸ガスがA液のpH 整剤として作用する。

 本発明脳表血管出血抑制剤収容容器包装 は、好ましくは、更に容器と包装材との空 部に、該空間部の炭酸ガス濃度を検知して の変化に応じて色調が変化するpHインジケ タ(ピンホール検知剤と呼ばれるものをも含 )を配置することができる。

 ここで、pHインジケータとは、上記空間 の炭酸ガス濃度の変化に応じて色調を変化 せるものであればよい。これは、例えば炭 塩含有液とpH指示薬とを小容器に収容したも のなどを挙げることができる。それらの具体 例は、例えばWO97/48365号パンフレットなどに 述されているとおりである。

 上記pHインジケータ内液に添加配合され pH指示薬は、インジケータ内液のpH変化を色 変化により指示できる各種の酸塩基指示薬 ら選択することができる。特に、該pH指示 は、例えば包装体にピンホールが発生する どの不測の事故によって薬液から炭酸ガス 発生して該薬液の有効性が損なわれるpH(製 の日局規格上限値)に相当する空間部の平衡 酸ガス率における上記pHインジケータ内液 pH域付近で、鋭敏に色調変化(変色)するもの あるのが好ましい。一般に、薬液の有効性 損なわれるpHは、アルカリ域にあり(例えば7 %炭酸水素ナトリウム水溶液の規格上限値は 日局XIIIではpH8.6であり、その炭酸ガス率は 19%である)、これに比例するインジケータ内 のpHもアルカリ域(例えば0.28%炭酸水素ナト ウム水溶液のそれは7.0である)にあるため、 記pH指示薬は、かかる弱アルカリ域で色調 化するものであるのが好ましい。

 更に好ましいpH指示薬の特性は、(1)変色 が狭いこと、(2)発色強度が大きいこと、(3) 色の方向が適切であること(目立たない色か 目立つ色へ)、(4)衛生性に優れること(物質 体の安全性が高く、移行性がないこと)、(5) 定性がよく、長期に亘って初期の変色能を 持することなどである。本発明ではこれら 性質を具備するpH指示薬の利用が望ましい 好ましいpH指示薬の具体例としては、例えば ニュートラルレッド、アウリン、フェノール レッド、o-クレゾールレッド、α-ナフトール タレイン、m-クレゾールパープル、オレン I、フェノールフタレインなどを例示できる これらの内でも、フェノールレッド(pH6.8~8.4 以上で黄色から赤色に変色)、o-クレゾールレ ッド(pH7.2~8.8以上で黄色から赤色に変色)、m- レゾールパープル(pH7.6~9.2以上で黄色から紫 に変色)などは好適である。

 上記pH指示薬の濃度は、色調変化が目視 察しやすいものであればよく、例えばこれ 上記インジケータ内液と共に封入される小 器の大きさ(液体層の厚み)などに応じて、約 10~2000ppmの範囲から選択されるのが好ましい

 上記内液とpH指示薬とを封入した小容器 、常法に従って製造することができ、その 用いられる通気性プラスチック容器の材質 、前述した脳内血管出血抑制剤を収容する 器のそれと同等か、それ以上のガス透過性( 気性)を有するものであればよい。例えば上 記小容器は、縦型3方シール機、縦型ピロー 装機、ロータリーパッカーなどを用いて、 袋、充填、シールを連続して行う方法によ 製造することができる。

 上記方法の利用の場合、特に小容器材質 、機械適性の点からラミネートフィルムで るのが好ましく、特に出血抑制剤収容容器 してポリエチレン製のものが用いられる場 は、ポリプロピレン(外側)とポリエチレン( 側)とのラミネートフィルムやポリ-4-メチル -1-ペンテン(外側)とポリエチレン(内側)との ミネートフィルムであるのが好ましい。

 上記小容器の大きさと内液の容積につい は、小容器に内液を封入した際に、内液の が少ないとインジケータの液体層の厚みが くなりすぎて、色調変化を目視判別し難く る傾向があるので、この色調変化を容易に 視判別できるという特徴および出血抑制剤 容容器と包装材との大きさを勘案して、適 決定することができる。

 作成されるpHインジケータは、その長期 存時に内液内で細菌が増殖して濁りが発生 る場合がある。その防止乃至抑制のために 高圧蒸気滅菌を行うこともできる。またこ に代えて、塩化ベンザルコニウム、グルコ 酸クロルヘキシジンなどの殺菌剤、ナリジ ス酸、ノルフロキサシンなどの抗菌剤、パ オキシ安息香酸エステル、ベンジルアルコ ルなどの保存剤などを適宜添加配合するこ もできる。

 該小容器の空間部への配置は、単に出血 制剤収容容器と該小容器とを一緒に包装材 て包装することにより行うことができる。 の配置位置は、該小容器が包装材による包 後にも外部から目視できる限り特に限定は い。かくして、脳表血管出血抑制剤のpH変 を目視判別できる改良された包装体を得る とができる。

 また、上記構成の出血抑制剤収容容器包 体において、pHインジケータとして、pH指示 薬、結合剤(増粘剤)及び溶媒を含む炭酸ガス 知用インキ組成物を用いてもよい。斯かる ンキ組成物を用いて脳表血管出血抑制剤収 容器と包装材との空間部に炭酸ガス濃度検 のための指示部を設けることにより、炭酸 含有液とpH指示薬とを小容器に収容したpHイ ンジケータを用いる場合と同様に、出血抑制 剤のpH変化を目視判別することが可能となる 該インキ組成物は、例えば、該インキ組成 を塗布したプラスチックフィルムを空間部 配置する方法、包装材の内面に該インキ組 物を塗布する方法、脳表血管出血抑制剤収 容器の外面に該インキ組成物を塗布する方 などの各種の方法によって、炭酸ガス検知 ための指示部として利用できる。この様な 酸ガス検知用インキ組成物及び該組成物の 用方法の具体例は、WO01/44385号パンフレット などに詳述されている通りである。

 本発明において、脳表血管出血抑制剤の 器(容器各室)への充填、滅菌、包装材によ 包装、空間部を炭酸ガス雰囲気とする手段 どは、通常の注射液の製造方法において採 されるそれらと同様であり、同様にして容 に実施することができる。

 本発明の脳表血管出血抑制剤収容容器包 体の好ましい一実施態様は、添付図面(図1) 示す通りである。これは連通可能なシール 6で区画された二室を有する通気性プラスチ ック容器2と、該容器を包装したガスバリア 包装材3とからなり、該容器と包装材との空 部4は炭酸ガスを含む雰囲気とされ、pHイン ケータ5が配置されている。上記容器2の各 には、混合後に本発明の脳表血管出血抑制 の組成となる液剤1が封入されている。

 本発明包装体製品は、上記構成を採用す ことによって、プラスチック製容器の利用 基づく破損しにくく大容量化が容易で、軽 化を図り得る利点;2室を有する容器とした とに基づく沈殿発生、着色などの問題を確 に回避できる利点;およびガスバリア性包装 の利用と空間部を炭酸ガス雰囲気としたこ に基づく、脳表血管出血抑制剤(重炭酸イオ ンを含む液)から発生する炭酸ガスの大気中 の揮散防止や、これによって液pH値を一定値 に保持できる利点などが保証される。また、 前記したようなpHインジケータを配置した本 明の脳表血管出血抑制剤収容容器包装体で 、更に、長期保存時や包装材におけるピン ール発生などのトラブルによる液pH変化お びこれに伴われる劣化を、容易に目視確認 きる利点がある。更に、本発明包装体製品 、上記いずれの場合も通常の操作で容易に 造できる利点もある。

 また、本発明の脳表血管出血抑制剤は、 スバリア性が付与された素材からなる薬液 器に収納して用いてもよい。この様なガス リア性が付与された素材からなる薬液容器 しては、ガスバリア性フィルムを含む多層 造のプラスチックフィルによって形成され 容器を挙げることができる。斯かる構造の 液容器としては、特開2002-234102号公報、特 平5-8318号公報等に記載されているものを挙 ることができる。例えば、内層と外層をそ ぞれガス透過性フィルムであるポリエチレ フィルムとポリプロピレンフィルムで構成 、その層間にガスバリア性フィルムである チレンビニルアルコール共重合体(EVOH)を挟 込んだ構造の多層フィルムからなる容器を いることができる。バリア性フィルムとし は、薬液を視認可能とするために透明フィ ムを用いることが好ましい。尚、ガスバリ 性が付与された薬液収容容器は、連通可能 少なくとも2室を有する容器であってもよい

 また、ガスバリア性が付与された薬液収 容器のその他の例として、薬液容器を構成 るガス透過性プラスチックフィルムの両面 バリア性フィルムで被覆した構造の容器を げることができる。この場合、ガス透過性 ラスチックフィルムからなる薬液容器が2室 からなる場合には、例えば、重炭酸イオンを 含む液(A液)を収容する室のみをガスバリア性 フィルムで被覆しても良い。バリア性フィル ムは、薬液を視認できるように透明フィルム であることが好ましい。この様な薬液容器は 、例えば、特開平11-276547号公報、特開2003-2674 51号公報、登録実用新案第3112358号公報等に記 載されている。

 また、本発明の脳表血管出血抑制剤をガ バリア性が付与された薬液容器に収納する 合には、前述したpH指示薬、結合剤(増粘剤) 及び溶媒を含む炭酸ガス検知用インキ組成物 を用いて、該容器本体の口部に炭酸ガス濃度 検知のための指示部を設けてもよい。例えば 、ガスを透過する封止体によって該容器本体 の口部を封止すると共に、該封止体の外側を ガスバリア性の被覆体によって剥離可能に密 封し、該ガス透過性封止体と被覆体との間に ガス検知体を配設した構造とすることができ る。この様な構造とすることによって、該薬 液容器の密封性が損なわれたときに、これを 外部から容易に検知することができる。ガス 検知体の具体的な配設方法としては、例えば 、該ガス透過性封止体の外側に形成したガス バリア性被覆体の内面に上記インキ組成物を 塗布する方法、この方法でインキ組成物を塗 布した後、塗布面上に保護フィルムを貼る方 法等の方法を挙げることができる。この様な 口部に炭酸ガス検知のための指示部を設けた 薬液容器は、例えば、特開2005-349182号公報に 載されている通りである。

  (3) 本発明脳表血管出血抑制剤の 用
 本発明の脳表血管出血抑制剤は、頭蓋内手 時に、頭蓋内又は脳脊髄腔内を洗浄又は灌 する方法によって使用できる。例えば、前 した連通可能な少なくとも2室を有する通気 性プラスチック容器に収容された形態の本発 明出血抑制剤を用いる場合には、用時に、上 記2室を連通させて、両室内液を混合(または 釈)した後、実用に供することができる。

 具体的な使用態様の例としては、脳神経 科手術(穿頭・開頭手術)時に術野を洗浄す 方法、神経内視鏡手術において灌流液とし 使用する方法等によって、本発明の脳表血 出血抑制剤を使用できる。この様な使用方 によれば、本発明の出血抑制剤以外の薬液 例えば、生理食塩水等を用いて洗浄乃至灌 を行う場合と比較して、脳表血管からの出 を顕著に抑制又は防止することができる。

 本発明の脳表血管出血抑制剤の使用量は 上記各手術における使用目的などに応じて 宜決定され、特に限定されるものではない 、通常、最大約4000mLを目安とされ、実際の 術時における医師の判断などにより増量さ 得る。その使用方法は、適用される手術の 式などにより適宜変更できる。例えば、ス イトやシリンジなどを用いて術野などに直 滴下する方法;術野などの必要な箇所にスプ レーする(吹き付ける)方法;適当なチューブな どを利用して術野などの必要な箇所に一定の 速度で流す(灌流する)方法;ガーゼ等に浸して 、これを脳表などに載置して、その乾燥を防 止する方法;凝固装置やドリル使用時にこれ の器具から滴下する方法;などを適宜採用で る。

 本発明の脳表血管出血抑制剤によれば、 蓋内手術などの脳神経外科領域において、 表血管からの出血を効果的に防止乃至抑制 ることができる。その結果、頭蓋内手術時 、術野の鮮明な視野の確保や術後の障害の 生を抑制することが可能となる。

本発明脳表血管出血抑制剤収容容器包 体の好ましい一実施態様を示す概略図であ 。

符号の説明

 1 本発明脳表血管出血抑制剤
 2 通気性プラスチック製複室容器
 3 ガスバリア性包装材
 4 通気性プラスチック製複室容器2とガスバ リア性包装材3との空間部
 5 pHインジケータ
 6 連通可能なシール部

 以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細 説明する。

  実施例1
 下記表1~6に記載の各成分を注射用蒸留水に 解して、本発明出血抑制剤1~6を調製した。

 尚、本発明出血抑制剤1~4及び6については 、各表に記載した全成分を注射用蒸留水に溶 解して一液性の出血抑制剤として調製した。

 本発明出血抑制剤5については、上記表5 上室液及び下室液として示される成分をそ ぞれ秤量し、これらをそれぞれ注射用蒸留 に混合溶解して、上室液150mLおよび下室液350 mLを調製した。得られた下室液を図1に示すよ うな脳表血管出血抑制剤収容容器包装体の容 器2(ポリエチレン製)の下室(ポート部につな る液取り出し口を有する室、図1では上部に かれている)に、その液取り出し口より充填 し、口部を密閉した。また、得られた上室液 を密閉前の上室(上記下室と隔壁によって区 された室、吊り具部に隣接する室、図では 部に描かれている)に充填し、閉塞した。次 で、得られた容器を、高圧蒸気滅菌し、除 した後,pHインジケーター(特開平11-197215号公 報の製造例5に記載のもの)と共に、ガスバリ 性フィルム(商品名「ボブロンフィルム」、 日本合成化学工業株式会社製、二軸延伸ポリ ビニルアルコールフィルム、厚み:14μm)によ 包装した。なお、包装は、18%炭酸-空気混合 ス約400mLを容器と包装材との空間部に400mL封 入して行った。かくして、本発明出血抑制剤 5を収容した脳表血管出血抑制剤収容容器包 体を得た。

 下記表7~12に、本発明出血抑制剤1~6におけ る電解質イオン濃度及びその他の成分の濃度 を示す。本発明出血抑制剤5については、上 液と下室液とを混合して得られた混合液の 度を示す。 

  試験例1
 下記の方法でマウス脳表洗浄モデルにおけ 出血抑制効果を検討した。

 まず、マウスをウレタンで麻酔し、脳定 固定装置に固定した。フィードバック式の 温維持装置により体温を37℃に維持した。 リルを用いて左頭頂骨に骨窓を作製した後 硬膜及びクモ膜を剥離した。この操作によ て脳表の血管が切断され、脳表に多数の切 面が生じた。

 この脳表を生理食塩水(株式会社大塚製薬工 場社製「大塚生食注」(Na + 154mEq/LおよびCl - 154mEq/L))により10分間灌流(排出速度100mL/hr)を い、視野当たりの出血箇所数を実体顕微鏡 で計数した。

 続いて、灌流液を本発明出血抑制剤1~3又 5に切り替えて、同様に2回目の灌流を10分間 行い、視野当たりの出血箇所数を計数した。 尚、比較として、塩化カリウムを500 mL当た 0.104g(混合後の濃度2.8 mEq/L)添加した生理食 水(K添加生理食塩水)を用いて同様にして2回 の灌流を行い、視野当たりの出血箇所数を 数した。

 以上の方法で求めた出血箇所数の計測結 を下記表13に示す。

 以上の結果から明らかなように、生理食 水による灌流では多数認められた脳表から 出血について、本発明出血抑制剤1を用いて 灌流を行った場合には、出血箇所数は約半数 となり、本発明出血抑制剤2、3及び5を用いて 灌流を行った場合には、出血が認められなか った。尚、K添加生理食塩水を用いて2回目の 流を行った場合には、出血抑制効果は認め れなかった。

  試験例2
 下記表12に示す出血抑制剤を用いて1回目の 流及び2回目の灌流を行うこと以外は、試験 例1と同様にして、マウス脳表洗浄モデルに ける出血抑制効果を検討した。

 以上の方法で求めた出血箇所数の計測結 を下記表14に示す。

 以上の結果から明らかなように、乳酸イ ンを含有する本発明出血抑制剤3、酢酸イオ ンを含有する本発明出血抑制剤4、及び炭酸 オンを含有する本発明出血抑制剤5は、いず も、優れた出血抑制効果を有するものであ た。

  試験例3
 試験例1と同様の方法で、各試験群について 6匹ずつのマウスを用いてマウス脳表洗浄モ ルにおける出血抑制効果を検討した。

 試験物質としては、本発明止血抑制剤3、本 発明止血抑制剤5、及び生理食塩水(株式会社 塚製薬工場社製「大塚生食注」(Na + 154mEq/LおよびCl -  154mEq/L))を用いた。

 以上の方法で求めた出血箇所数の計測結 を下記表15に示す。結果は、平均値及び標 偏差で表す。

 以上の結果から、明らかなように、本発 出血抑制剤3及び5は、いずれも優れた止血 制効果を有するものであった。

  試験例4
 下記の方法でマウス脳表洗浄モデルにおけ 出血抑制効果を検討した。

 試験物質としては、本発明止血抑制剤1、本 発明止血抑制剤6、生理食塩水(株式会社大塚 薬工場社製「大塚生食注」(Na + 154mEq/LおよびCl -  154mEq/L))、及び塩化カリウムを500 mL当たり0. 104g(混合後の濃度2.8 mEq/L)添加した生理食塩 (K添加生理食塩水)を用いた。

 まず、マウスをウレタンで麻酔し、脳定 固定装置に固定した。フィードバック式の 温維持装置により体温を37℃に維持した。 、各試験群について、6匹ずつのマウスを用 た。

 次いで、ドリルを用いてマウスの左頭頂 に骨窓を作製し、試験物質による150mL/Hrの 浄速度での洗浄下で、硬膜及びクモ膜を剥 した。この操作によって脳表の血管が切断 れ、脳表に多数の切断面が生じた。

 骨窓作製終了後に、洗浄速度を100mL/hrに り替えて、10分間灌流を行い、視野当たりの 出血箇所数を実体顕微鏡下で計数した。

 以上の方法で求めた出血箇所数の計測結 を下記表16に示す。結果は、平均値及び標 偏差で表す。

 以上の結果から、本発明止血抑制剤1及び 6は、いずれもK含有整理食塩水及び生理食塩 と比較して優れた止血抑制効果を有するも であり、特に、カリウムイオンとカルシウ イオンの両方を含む本発明出血抑制剤1は、 良好な出血抑制効果を有することが認められ た。