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Patent Searching and Data


Title:
AIR CELL SYSTEM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/136296
Kind Code:
A1
Abstract:
It is possible to provide an air cell system which can suppress increase of internal resistance attributed to insufficient electrolyte and can effectively perform discharge. The air cell system includes: an air cell having an air electrode having an air electrode layer containing a conductive material and an air electrode collector which collects electricity from the air electrode layer, a negative electrode having a negative electrode layer containing a negative electrode active material which occludes and discharges metal ions and a negative electrode collector which collects electricity from the negative electrode layer, and a separator arranged between the air electrode layer and the negative electrode layer; and oxygen gas supply means which supplies oxygen gas to the electrolyte by bubbling. When an electrode volume is changed by discharge or discharge/charge, the air electrode layer and the negative electrode layer are always filled with the electrolyte.

Inventors:
NAKANISHI SHINJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/057690
Publication Date:
November 13, 2008
Filing Date:
April 21, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOYOTA MOTOR CO LTD (JP)
NAKANISHI SHINJI (JP)
International Classes:
H01M12/08
Foreign References:
JPH04154055A1992-05-27
JPH04154054A1992-05-27
JPH01159973A1989-06-22
US5185218A1993-02-09
JP2004119278A2004-04-15
JP3515492B22004-04-05
JP3764623B22006-04-12
JP2002516474A2002-06-04
JP2003007357A2003-01-10
Other References:
See also references of EP 2144325A4
Attorney, Agent or Firm:
YAMASHITA, Akihiko et al. (3rd Floor Oak Building Kyobashi, 16-10, Kyobashi 1-chome, Chuou-k, Tokyo 31, JP)
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Claims:
 導電性材料を含有する空気極層および前記空気極層の集電を行う空気極集電体を有する空気極と、金属イオンを吸蔵・放出する負極活物質を含有する負極層および前記負極層の集電を行う負極集電体を有する負極と、前記空気極層および前記負極層の間に設置されたセパレータと、を有し、放電または充放電に伴う電極の体積変化が生じた際に、前記空気極層および前記負極層が常に電解液で満たされている空気電池セルと、
 前記電解液に、酸素ガスをバブリングにより供給する酸素ガス供給手段と、
を有することを特徴とする空気電池システム。
 前記空気電池セルが、前記電解液を循環させることにより、前記空気極層および前記負極層を常に前記電解液で満たす空気電池セルであることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の空気電池システム。
 前記酸素ガス供給手段が、前記電解液を循環させる循環領域に配置されていることを特徴とする請求の範囲第2項に記載の空気電池システム。
 放電または充放電に伴う電極の体積変化により前記電解液の液面の高さが変化する場合に、前記電解液の液面の最も下がった位置が、前記空気極層および前記負極層の最上面の位置よりも高いことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の空気電池システム。
 前記電解液に、不活性ガスをバブリングにより供給する不活性ガス供給手段をさらに有することを特徴とする請求の範囲第1項から第4項までのいずれかに記載の空気電池システム。
 導電性材料を含有する空気極層および前記空気極層の集電を行う空気極集電体を有する空気極と、金属イオンを吸蔵・放出する負極活物質を含有する負極層および前記負極層の集電を行う負極集電体を有する負極と、前記空気極層および前記負極層の間に設置されたセパレータと、を有し、放電または充放電に伴う電極の体積変化が生じた際に、前記空気極層および前記負極層が常に電解液で満たされている空気電池セルを用い、
 放電の際に、前記電解液に酸素ガスをバブリングにより供給することを特徴とする空気電池セルの制御方法。
 充電の際に、前記電解液に不活性ガスをバブリングにより供給することを特徴とする請求の範囲第6項に記載の空気電池セルの制御方法。
Description:
空気電池システム

 本発明は、電解液不足に起因する内部抵 の増加を抑制することができ、かつ、高率 電可能な空気電池システムに関する。

 空気電池は、空気(酸素)を正極活物質と て用いた非水電池であり、エネルギー密度 高い、小型化、軽量化が容易である等の利 を有する。このような空気電池において、 えば負極活物質として金属Liを用いた場合に は、主に下記の反応(1)~(4)が生じる。

 従来より、空気電池の利点を最大限に活 すために、様々な研究が行われている。例 ば特許文献1においては、非水電解質として 特定の常温溶融塩を用いた非水電解質空気電 池が開示されている。これは、特定の常温溶 融塩を用いることにより、溶媒が揮発するこ とを防止し、高温での放電容量および高湿保 管後の放電容量を向上させるものであった。 特許文献2においては、特定の細孔容量を有 る炭素質物を用いた正極を備えた非水電解 電池が開示されている。これは、炭素質物 細孔容量等に着目して、電池の高容量化を るものであった。このように、従来の研究 おいては、構成部材の機能性を向上させる みが主流であった。

 しかしながら、空気電池には、放電または 放電に伴い電極(空気極および負極)の体積 大きく変化し、電解液が不足する状況が生 るという問題がある。上記の反応を用いて 体的に説明すると、放電時に、負極では、Li がLiイオンとして溶出し(反応(1))、空気極で 、リチウム酸化物が析出する(反応(2))。この 際、リチウム酸化物(Li 2 O 2 )の密度が、Liの密度よりも大きいことから、 電極全体として体積比35%もの収縮が起こる。 その結果、放電末期に電解液量が不足し、空 気極等の一部が電解液に浸されない状態とな り、内部抵抗が増えるという問題があった。 また、金属Li以外の材料として、グラファイ 等の炭素材料を負極活物質に用いた場合は 負極での体積変化が少ないが、空気極でLi 2 O 2 が生成し、空気極中の電解液が外に押し出さ れると、電池内の空隙等に電解液が移動して しまい、充電時Li 2 O 2 が溶解した後に、電解液が空気極に戻り難く なり、結果として電解液量が不足して、やは り内部抵抗の増加につながるという問題があ った。そのため、電解液不足に起因する内部 抵抗の増加を抑制することができる空気電池 が求められていた。

 一方、電池ケースの内部に、酸素等の気 を封入した密閉型の空気電池等が知られて る。例えば特許文献3においては、空気電池 の外装体の内部に、加圧された酸素を含む気 体が封入された密閉系の酸素リチウム二次電 池が開示されている。これは、酸素リチウム 二次電池を密閉型とすることで、空気中の水 分が電池内部に進入することを抑制し、電池  

の貯蔵特性や充放電のサイクル寿命を向上 させたものであった。しかしながら、このよ うな酸素リチウム二次電池には以下のような 問題があった。

 すなわち、上記の反応(2)に示すように、 電時に空気極は酸素を必要とし、電解液に 存する酸素の濃度は反応により減少するが 上記のような酸素リチウム二次電池におい は、溶存酸素の濃度を高く保つことが困難 あるという問題があり、高率放電を行うこ が難しかった。上記のような酸素リチウム 次電池においては、加圧された酸素が封入 れているため、圧力を一切加えていない場 と比較すれば、確かに酸素は電解液に溶解 易くなっているものの、このような圧力を いた方法では、短時間で充分な量の酸素を 存させることが困難な場合があった。

 さらに別の問題点として、上記の反応(4) ように、充電時に空気極は酸素を生成する 、電池ケースの内部に加圧された酸素が封 されていると、電池ケースの内部の酸素の 圧が高いままなので、上記の反応(4)が生じ くなり、高率充電を行うことが困難である いう問題があった。

 なお、特許文献4においては、酸素濃縮器に て酸素を濃縮し、陰極へ高純度の酸素を供給 する手段を備えた金属/酸素電池が開示され いる。これは、出力電流に応じて濃縮酸素 供給することで、高出力化を図ったもので った。また、特許文献5においては、二酸化 素を溶解した非水電解液を含有する非水電 質空気電池が開示されている(請求項3)。こ は、非水電解液に二酸化炭素を溶解させる とで、負極の直接酸化を抑制し、サイクル の向上を図ったものであった。

特開2004―119278号公報

特許第3515492号

特許第3764623号

特表2002-516474号公報

特開2003-7357号公報

 本発明は、上記実情に鑑みてなされたも であり、電解液不足に起因する内部抵抗の 加を抑制することができ、かつ、高率放電 能な空気電池システムを提供することを主 的とする。

 上記課題を解決するために、本発明にお ては、導電性材料を含有する空気極層およ 上記空気極層の集電を行う空気極集電体を する空気極と、金属イオンを吸蔵・放出す 負極活物質を含有する負極層および上記負 層の集電を行う負極集電体を有する負極と 上記空気極層および上記負極層の間に設置 れたセパレータと、を有し、放電または充 電に伴う電極の体積変化が生じた際に、上 空気極層および上記負極層が常に電解液で たされている空気電池セルと、上記電解液 、酸素ガスをバブリングにより供給する酸 ガス供給手段と、を有することを特徴とす 空気電池システムを提供する。

 本発明によれば、電解液に酸素ガスをバ リングにより直接供給することから、放電 応に伴い電解液中の溶存酸素の濃度が減少 る場合であっても、電解液中の溶存酸素の 度を急速に増加させることができ、高率放 を行うことができる。また、空気極層およ 負極層が常に電解液で満たされていること ら、電解液不足に起因する内部抵抗の増加 抑制することができる。

 上記発明においては、上記空気電池セル 、上記電解液を循環させることにより、上 空気極層および上記負極層を常に上記電解 で満たす空気電池セルであることが好まし 。電解液を循環させることにより、従来の 気電池セルを使用する場合に存在した、電 液と大気との気液界面を生じさせないで充 電を行うことができ、放電または充放電に う電極の体積変化が生じた場合であっても 空気極層および負極層を常に電解液で満た ことができるからである。

 上記発明においては、上記酸素ガス供給 段が、上記電解液を循環させる循環領域に 置されていることが好ましい。酸素ガス供 手段を空気電池セルの外に配置することに り、空気電池セルの小型化を図ることがで るからである。

 上記発明においては、放電または充放電 伴う電極の体積変化により上記電解液の液 の高さが変化する場合に、上記電解液の液 の最も下がった位置が、上記空気極層およ 上記負極層の最上面の位置よりも高いこと 好ましい。電解液の量を、上記の位置とな ように設定することで、電解液が不足する とを防止できるからである。

 上記発明においては、上記空気電池セル の電解液に、不活性ガスをバブリングによ 供給する不活性ガス供給手段をさらに有す ことが好ましい。充電反応に伴い電解液中 溶存酸素の濃度が増加する場合であっても 電解液中の溶存酸素の濃度を低下させるこ ができ、高率充電を行うことができるから ある。

 また、本発明においては、導電性材料を 有する空気極層および上記空気極層の集電 行う空気極集電体を有する空気極と、金属 オンを吸蔵・放出する負極活物質を含有す 負極層および上記負極層の集電を行う負極 電体を有する負極と、上記空気極層および 記負極層の間に設置されたセパレータと、 有し、放電または充放電に伴う電極の体積 化が生じた際に、上記空気極層および上記 極層が常に電解液で満たされている空気電 セルを用い、放電の際に、上記電解液に酸 ガスをバブリングにより供給することを特 とする空気電池セルの制御方法を提供する

 本発明によれば、電解液に酸素ガスをバ リングにより直接供給することから、電解 中の溶存酸素の濃度を急速に増加させるこ ができ、高率放電を行うことができる。

 上記発明においては、充電の際に、上記 解液に不活性ガスをバブリングにより供給 ることが好ましい。充電反応に伴い電解液 の溶存酸素の濃度が増加する場合であって 、電解液中の溶存酸素の濃度を低下させる とができ、高率充電を行うことができるか である。

 本発明においては、電解液不足に起因す 内部抵抗の増加を抑制することができ、か 、高率放電可能な空気電池システムを提供 ることができるという効果を奏する。

本発明の空気電池システムを説明する 明図である。 本発明の空気電池システムを説明する 明図である。 本発明の空気電池システムを説明する 明図である。 電解液を循環させる方法を説明する説 図である。 電解液の液面と、空気極層等の最上面 の位置関係を説明する説明図である。 本発明の空気電池システムを説明する 明図である。 本発明の空気電池システムを説明する 明図である。

符号の説明

 1 … 電池ケース
 1a … 下部絶縁ケース
 1b … 上部絶縁ケース
 2 … 負極集電体
 2´ … 負極リード
 3 … 負極層
 4 … 空気極層
 5 … 空気極メッシュ
 6 … 空気極集電体
 6´ … 空気極リード
 7 … セパレータ
 8 … 微多孔膜
 9 … 電解液

 以下、本発明の空気電池システム、およ 空気電池セルの制御方法について詳細に説 する。

A.空気電池システム
 まず、本発明の空気電池システムについて 明する。本発明の空気電池システムは、導 性材料を含有する空気極層および上記空気 層の集電を行う空気極集電体を有する空気 と、金属イオンを吸蔵・放出する負極活物 を含有する負極層および上記負極層の集電 行う負極集電体を有する負極と、上記空気 層および上記負極層の間に設置されたセパ ータと、を有し、放電または充放電に伴う 極の体積変化が生じた際に、上記空気極層 よび上記負極層が常に電解液で満たされて る空気電池セルと、上記電解液に、酸素ガ をバブリングにより供給する酸素ガス供給 段と、を有することを特徴とするものであ 。

 本発明によれば、電解液に酸素ガスをバ リングにより直接供給することから、放電 応に伴い電解液中の溶存酸素の濃度が減少 る場合であっても、電解液中の溶存酸素の 度を急速に増加させることができ、高率放 を行うことができる。上述したように、電 ケース内に加圧された酸素を封入すること 知られていたが、このような圧力を用いた 法では、短時間で充分な量の酸素を溶存さ ることが困難な場合があった。これに対し 、本発明においては、バブリングにより積 的に酸素を溶存させることができ、高率放 が可能となるのである。

 さらに、本発明によれば、空気極層およ 負極層が常に電解液で満たされていること ら、電解液不足に起因する内部抵抗の増加 抑制することができる。また従来、空気極 および負極層が一時的に電解液で満たされ ことがあることは知れているものの(例えば 特許文献1の明細書第70段落)、空気極層およ 負極層を常に電解液で満たすことについて 全く知られていない。本発明においては、 気極層および負極層を常に電解液で満たす とにより、電解液不足に起因する内部抵抗 増加を抑制し、より高性能な空気電池シス ムを得ることができるのである。

 また、上述したように、本発明において 、空気極層および負極層が常に電解液で満 されている。そのため、放電反応に用いら る酸素は、実質的に全て、電解液に溶存し 溶存酸素であるといえる。従って、このよ な空気電池セルを用いた空気電池システム おいては、溶存酸素の濃度の低下が、放電 率の低下を引き起こす大きな要因となると えられる。本発明においては、このような 存酸素の濃度の低下を、酸素を直接バブリ グするという手段により防止し、高率放電 能な空気電池システムとすることができる である。

 例えば、本発明の空気電池システムが二 電池システムである場合は、通常、放電時 は酸素ガスを供給し、充電時には酸素ガス 供給しないか、または後述する不活性ガス 供給する。このように酸素ガス等の供給を ントロールすることにより、最適な放電/充 電を行うことができる。

 次に、本発明の空気電池システムについ 図面を用いて説明する。図1(a)は、本発明の 空気電池システムの一例を示す概略断面図で ある。図1(b)は、図1(a)で示される空気電池セ の外観を示す斜視図である。図1(a)に示され る空気電池システムは、空気電池セル10と、 素ガス供給手段20とを有するものである。 気電池セル10は、下部絶縁ケース1aの内底面 形成された負極集電体2と、負極集電体2に 続された負極リード2´と、負極集電体2上に 成され金属Liからなる負極層3と、カーボン 含有する空気極層4と、空気極層4の集電を う空気極メッシュ5および空気極集電体6と、 空気集電体6に接続された空気極リード6´と 負極層3および空気極層4の間に設置されたセ パレータ7と、微多孔膜8を有する上部絶縁ケ ス1bと、負極層3および空気極層4を浸す電解 液9と、を有する。また、酸素ガス供給手段20 は、酸素ガス貯蔵部11、電磁弁12a、加圧ポン 13、電磁弁12b、および固定用ネジ14を有し、 空気電池セル10内部の電解液を酸素ガス15で ブリングするものである。

 また、本発明の空気電池システムは、図1 (c)に示すように、酸素ガス供給手段20が負極 3側からバブリングを行うものであっても良 い。なお、図1に示された空気電池セル10は開 放型であるが、後述するように、本発明に用 いられる空気電池セルは、開放型であっても 良く、密閉型であっても良い。また、本発明 の空気電池は、図2に示すように、上部絶縁 ース1bの先端に、空気極集電体6が取り付け れていても良い。

 図3は、図1(a)に示された空気電池セルを 略化した概略断面図である。なお、便宜上 空気極集電体および負極集電体等は省略し ある。図3において、空気電池セルは、充分 多くの電解液9を有することから(図3(a))、例 えば放電時に、負極層3の金属Liが溶出し、電 極の体積が減少し、その結果、電解液9の液 が下降したとしても、その最も下がった位 を、空気極層4の最上面の位置よりも高く保 ことができる(図3(b))。これにより、空気極 4を常に電解液9で満たすことができ、電解 不足に起因する内部抵抗の増加を抑制する とができる。また、放電時は電解液中に溶 した酸素が反応に使用されるが、本発明に いては、酸素ガス供給手段20により、酸素ガ ス15を充分に供給することができるため、高 放電を図ることができる。

 本発明において、「放電または充放電に伴 電極の体積変化」とは、放電または充放電 伴い金属イオンが空気極層と負極層との間 移動する際に、その生成物の密度等の違い より生じる電極(空気極および負極)の体積 化を意味する。なお、本発明に用いられる 気電池セルが一次電池である場合は、「放 」に伴う電極の体積変化を考慮し、二次電 である場合は、「充放電」に伴う電極体積 化を考慮する。例えば負極活物質として金 Liを用いた場合は、放電時に、負極層におい ては金属Liが溶出する反応が生じ(上記反応(1) )、空気極層においてはリチウム酸化物(Li 2 O 2 )が生成する反応が生じる(上記反応(2))。この 際、リチウム酸化物(Li 2 O 2 )の密度が、金属Liの密度よりも大きいことか ら、電極(空気極層および負極層)の体積は減 する。このような電極の体積変化が生じた に、本発明に用いられる空気電池セルにお ては、空気極層および負極層が常に電解液 満たされている。
 以下、本発明の空気電池システムについて 空気電池システムの材料と、空気電池シス ムの構成とに分けて説明する。

1.空気電池システムの材料
 まず、本発明の空気電池システムの材料に いて説明する。本発明の空気電池システム 、少なくとも空気電池セルおよび酸素ガス 給手段を有する。さらに、必要に応じて、 活性ガス供給手段を有していても良い。以 、本発明の空気電池システムの材料につい 、(1)空気電池セル、(2)酸素ガス供給手段、 よび(3)不活性ガス供給手段に分けて説明す 。

(1)空気電池セル
 まず、本発明に用いられる空気電池セルに いて説明する。本発明に用いられる空気電 セルは、通常、空気極、負極、セパレータ 電解液および電池ケースを有するものであ 。

(i)空気極
 本発明に用いられる空気極は、導電性材料 含有する空気極層および上記空気極層の集 を行う空気極集電体を有する。本発明にお ては、電解液に溶存した酸素が、空気極内 金属イオンと反応し、導電性材料の表面に 属酸化物が生成する。そのため、上記空気 層は、酸素および金属イオンのキャリアで る電解液が充分に移動できる程度の空隙を している。

 上記導電性材料としては、導電性を有す ものであれば特に限定されるものではない 、例えば炭素材料等を挙げることができる さらに、上記炭素材料は、多孔質構造を有 るものであっても良く、多孔質構造を有し いものであっても良いが、本発明において 、多孔質構造を有するものであることが好 しい。被表面積が大きく、多くの反応場を 供することができるからである。上記多孔 構造を有する炭素材料としては、具体的に メソポーラスカーボン等を挙げることがで る。一方、多孔質構造を有しない炭素材料 しては、具体的にはグラファイト、アセチ ンブラック、カーボンナノチューブおよび ーボンファイバー等を挙げることができる また、上記導電性材料は、触媒を担持した のであっても良い。上記触媒としては、例 ば、コバルトフタロシアニンおよび二酸化 ンガン等を挙げることができる。

 本発明において、上記空気極層は、少な とも導電性材料を含有してれば良いが、さ に、導電性材料を固定化する結着剤を含有 ることが好ましい。上記結着剤としては、 えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテ ラフルオロエチレン(PTFE)等を挙げることが きる。上記空気極層に含まれる結着剤の含 量としては、特に限定されるものではない 、例えば30重量%以下、中でも1重量%~10重量% 範囲内であることが好ましい。

 上記空気極集電体の材料としては、導電 を有するものであれば特に限定されるもの はないが、例えば、ステンレス、ニッケル アルミニウム、鉄、チタン等を挙げること できる。上記空気極集電体の形状としては 例えば箔状、板状およびメッシュ(グリッド )状等を挙げることができる。中でも、本発 においては、上記空気極集電体の形状がメ シュ状であることが好ましい。集電効率に れているからである。この場合、通常、空 極層の内部にメッシュ状の空気極集電体が 置される。さらに、上記空気電池セルは、 ッシュ状の空気極集電体により集電された 荷を集電する別の空気極集電体(例えば箔状 集電体)を有していても良い。また、本発明 においては、後述する電池ケースが空気極集 電体の機能を兼ね備えていても良い。

(ii)負極
 本発明に用いられる負極は、金属イオンを 蔵・放出する負極活物質を含有する負極層 よび前記負極層の集電を行う負極集電体を する。

 上記負極活物質としては、金属イオンを 蔵・放出することができるものであれば特 限定されるものではない。上記金属イオン しては、空気極と負極とを移動し、起電力 生じさせるものであれば特に限定されるも ではないが、具体的にはリチウムイオン、 トリウムイオン、アルミニウムイオン、マ ネシウムイオン、セシウムイオン等を挙げ ことができ、中でもリチウムイオンが好ま い。

 リチウムイオンを吸蔵・放出することが きる負極活物質としては、一般的なリチウ イオン電池に用いられる負極活物質と同様 ものを用いることができる。具体的には、 属リチウム、リチウム合金、金属酸化物、 属硫化物、金属窒化物、およびグラファイ 等の炭素材料等を挙げることができ、中で 金属リチウムおよび炭素材料、特に金属リ ウムが好ましい。金属リチウムは、上記反 (1)で説明したように、放電時にリチウムイ ンとして溶出し、体積変化が大きいからで る。

 本発明において、上記負極層は、少なく も負極活物質を含有してれば良いが、必要 応じて、負極活物質を固定化する結着剤を 有していても良い。結着剤の種類、使用量 については、上述した「(i)空気極」に記載 た内容と同様であるので、ここでの説明は 略する。

 上記負極集電体としては、導電性を有す ものであれば特に限定されるものではない 、例えば、銅、ステンレス、ニッケル等を げることができる。上記負極集電体の形状 しては、例えば箔状、板状およびメッシュ( グリッド)状等を挙げることができる。本発 においては、後述する電池ケースが負極集 体の機能を兼ね備えていても良い。

(iii)セパレータ
 本発明に用いられるセパレータは、上記空 極層および上記負極層の間に設置されるも である。上記セパレータとしては、空気極 と負極層とを分離し、電解液を保持する機 を有するものであれば特に限定されるもの はないが、例えばポリエチレン、ポリプロ レン等の多孔膜;樹脂不織布、ガラス繊維不 織布等の不織布;およびリチウムポリマー電 に使用されているポリマー材料等を挙げる とができる。

(iv)電解液
 本発明に用いられる電解液は、通常、電解 を有機溶媒に溶解してなるものである。上 電解質としては、例えば、LiPF 6 、LiBF 4 、LiClO 4 およびLiAsF 6 等の無機リチウム塩;およびLiCF 3 SO 3 、LiN(CF 3 SO 2 ) 2 、LiC(CF 3 SO 2 ) 3 等の有機リチウム塩等を挙げることができる 。

 上記有機溶媒としては、上記電解質を溶 することができるものであれば特に限定さ るものではないが、酸素溶解性が高い溶媒 あることが好ましい。空気極層は常に電解 で満たされており、溶媒に溶存した酸素が 応に用いられるからである。上記有機溶媒 しては、具体的には、エチレンカーボネー (EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチ カーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DE C)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ブチレ カーボネート、γ-ブチロラクトン、スルホ ン、アセトニトリル、1,2-ジメトキシメタン 1,3-ジメトキシプロパン、ジエチルエーテル 、テトラヒドロフランおよび2-メチルテトラ ドロフラン等を挙げることができる。中で 本発明においては、ECまたはPCと、DECまたは EMCとを組合せた混合溶媒が好ましい。また、 本発明においては、上記電解液として、例え ばイオン性液体等の低揮発性液体を用いるこ ともできる。低揮発性液体を用いることで、 揮発による電解液減少を抑制することができ 、より長期間使用することができるからであ る。

(v)電池ケース
 本発明に用いられる電池ケースの形状とし は、上述した空気極、負極、セパレータ、 解液を収納することができれば特に限定さ るものではないが、具体的にはコイン型、 板型、円筒型等を挙げることができる。

(2)酸素ガス供給手段
 次に、本発明に用いられる酸素ガス供給手 について説明する。本発明に用いられる酸 ガス供給手段は、電解液に酸素ガスをバブ ングにより供給する手段である。上記酸素 ス供給手段は、通常、酸素ガスを貯蔵する ス貯蔵部と、電解液中で酸素ガスを放出す ガス放出部とを有する。さらに、必要に応 て、加圧ポンプ、電磁弁およびボール弁等 有していても良い。

 電解液中で酸素ガスを放出するガス放出 は、通常チューブ状の形状を有する。チュ ブ状のガス放出部の内径としては、用いら る空気電池セルの大きさ等により異なるも であるが、例えば1mm~13mmの範囲内、中でも1m m~7mmの範囲内であることが好ましい。また、 記ガス放出部の材料としては、電解液に対 る耐性等を有するものであれば特に限定さ るものではなく、樹脂、ゴムおよび金属等 一般的な材料を用いることができる。

 このように、ガス放出部がチューブ状の 状を有していれば、その先端から酸素ガス 放出され、容易にバブリングを行うことが きる。中でも本発明においては、放出され 酸素ガスの泡は細かいことが好ましい。電 液との接触面積が増加し、溶存酸素の濃度 効率良く増加させることができるからであ 。このような観点から、本発明においては 酸素ガスが放出されるガス放出部が、泡微 化手段を有していることが好ましい。

 上記泡微細化手段としては、所望の大き の酸素ガスの泡を得ることができれば特に 定されるものではないが、例えば、連結孔 有する多孔質材料、およびスリット状の開 部を有する部材等を挙げることができる。 結孔を有する多孔質材料としては、いわゆ バブラー等が該当し、気体が多孔質部位を 過することにより、細かい泡が得られる。 様に、スリット状の開口部を有する部材を いた場合においても、気体がスリットを通 することにより、細かい泡が得られる。

 また、上述したように、生成される酸素 スの泡は細かいことが好ましい。酸素ガス 泡の直径としては、特に限定されるもので ないが、例えば8mm以下、中でも1mm以下であ ことが好ましい。

 本発明において、酸素ガス供給手段によ 供給されるガスは、少なくとも酸素ガスを 有するものであれば特に限定されるもので なく、酸素ガスのみであっても良く、酸素 スとその他のガスとの混合ガスであっても い。放電反応を促進するという観点からは 酸素ガスのみを用いることが好ましく、放 反応の反応性を制御するという観点または 素濃度が高くなり過ぎることを防止すると う観点からは、混合ガスを用いることが好 しい。

 酸素ガスと共に用いるその他のガスとし は、例えば窒素ガス、アルゴンガス、ヘリ ムガス等を挙げることができる。金属リチ ムとの反応性という観点からは、アルゴン スおよびヘリウムガスが好ましく、アルゴ ガスがより好ましい。一方、コスト低減と う観点からは、窒素ガスが好ましい。また 混合ガスにおける酸素の割合としては、特 限定されるものではないが、例えば50体積% 上、中でも80体積%以上であることが好まし 。なお、酸素ガス供給手段により供給され ガスは、大気であっても良い。この場合、 分の吸収を防ぐために脱水剤を用いたり、 酸化炭素等を浸透させない酸素富化膜等を いたりすることが好ましい。

(3)不活性ガス供給手段
 次に、本発明に用いられる不活性ガス供給 段について説明する。本発明の空気電池シ テムは、電解液に不活性ガスをバブリング より供給する不活性ガス供給手段を有して ることが好ましい。上記の反応(4)のように 充電時に空気極は酸素を生成するが、溶存 素の濃度を低下させることにより、反応(4) スムーズに進行するからである。その結果 高率充電を行うことができる。

 上記不活性ガス供給手段は、通常、不活 ガスを貯蔵するガス貯蔵部と、電解液中で 活性ガスを放出するガス放出部とを有する さらに、必要に応じて、加圧ポンプ、電磁 およびボール弁等を有していても良い。ま 、不活性ガスが放出されるガス放出部は、 微細化手段を有していることが好ましい。 れらの内容等については、上記「(2)酸素ガ 供給手段」に記載した内容と同様であるの 、ここでの説明は省略する。

 本発明に用いられる不活性ガスとしては 空気極、負極および電解液等に対して実質 に悪影響を与えないものであれば特に限定 れるものではないが、例えば窒素ガス、ア ゴンガス、ヘリウムガス等を挙げることが きる。金属リチウムとの反応性という観点 らは、アルゴンガスおよびヘリウムガスが ましく、アルゴンガスがより好ましい。一 、コスト低減という観点からは、窒素ガス 好ましい。また、本発明においては、上記 活性ガスを1種類のみ用いても良く、2種類 上を組合せて用いても良い。

2.空気電池システムの構成
 次に、本発明の空気電池システムの構成に いて説明する。本発明の空気電池システム 、少なくとも空気電池セルおよび酸素ガス 給手段を有するものである。ここで、本発 の空気電池システムの構成要素の一つであ 空気電池セルは、放電または充放電に伴う 極の体積変化が生じた際に、空気極層およ 負極層が常に電解液で満たされているもの あり、後述する種々の構成態様が存在する そこで、この空気電池セルの構成態様に沿 て、本発明の空気電池システムの構成を説 する。

(1)電解液を循環させる構成
 本発明に用いられる空気電池セルの構成と て、電解液を循環させる構成を挙げること できる。すなわち、本発明の用いられる空 電池セルは、電解液を循環させることによ 、空気極層および負極層を常に電解液で満 す空気電池セルであることが好ましい。電 液を循環させることにより、従来の空気電 セルを使用する場合に存在した、電解液と 気との気液界面を生じさせないで充放電を うことができ、放電または充放電に伴う電 の体積変化が生じた場合であっても、空気 層および負極層を常に電解液で満たすこと できる。また、揮発による電解液の減少を 止することができるという利点も有する。 た充電時に、酸素ガスを供給せずに電解液 循環させることにより、充電反応により生 る酸素を、空気極層から効率良く除去する とも可能である。

 電解液を循環させる構成としては、具体 には、図4に示すように、モーター等の電解 液移動手段21を用いて、電解液9を、負極層3 セパレータ7および空気極層4の順に循環させ る構成を挙げることができる。放電時には、 酸素ガス供給手段20を用いて酸素ガス22を空 極層4に供給し、過剰の酸素は、排気手段23 より除去する。酸素ガス供給手段20が、電解 液9に溶存する酸素濃度を適度に上昇させる とができるものであれば、排気手段23は特に 必要ない。また、充電時には、図4に示した 解液の流れと反対の方向に電解液を循環さ ても良い。なお、図4においては、便宜上、 気極集電体および負極集電体は省略してあ が、適切な方法で集電を行えば良い。

 すなわち、本発明においては、上記空気 池セルが、上記電解液を循環させる電解液 動手段をさらに有していることが好ましい また、上記空気電池セルは、過剰の空気を 去する排気手段を有していることが好まし 。

(2)電解液を多く用いる構成
 本発明に用いられる空気電池セルの構成と て、電解液を多く用いる構成を挙げること できる。上記図3で説明したように、充分に 多くの電解液9を用いることで、空気極層4が 解液不足になることを防止することができ 放電または充放電に伴う体積変化が生じた に、空気極層および負極層が常に電解液で たすことができる。

 すなわち、本発明においては、放電また 充放電に伴う電極の体積変化により上記電 液の液面の高さが変化する場合に、上記電 液の液面の最も下がった位置が、上記空気 層および上記負極層の最上面の位置よりも いことが好ましい。電解液の量を、上記の 置となるように設定することで、電解液が 足することを防止できるからである。なお 例えば負極層に金属Liを用いた場合は、放 によりリチウムが溶出する反応が起き、電 全体の体積が減少する。従って、通常は、 電終了時の電解液の液面が、最も下がった 置に相当する。

 「空気極層および負極層の最上面」は、 気電池セルの構成によって、空気極層の最 面を意味する場合と、負極層の最上面を意 する場合と、空気極層および負極層の最上 を意味する場合とがある。それぞれの場合 ついて図5を用いて説明する。なお、便宜上 、空気極集電体および負極集電体は省略して ある。

 図5(a)は、電解液の液面の最も下がった位 置が、空気極層の最上面よりも高い態様を示 す概略断面図である。図5(a)においては、電 ケース1の内底面から、負極層3、セパレータ 7および空気極層4が順に形成され、電解液9の 最も下がった位置が、空気極層4の最上面よ も高い位置になっている。また、図5(a)にお て、酸素ガス供給手段20は、酸素ガスが空 極層4の表面を水平移動するように配置され いる。

 図5(b)は、電解液の液面の最も下がった位 置が、負極層の最上面よりも高い態様を示す 概略断面図である。図5(b)においては、電池 ース1の内底面から、空気極層4、セパレータ 7および負極層3が順に形成され、電解液9の最 も下がった位置が、負極層3の最上面よりも い位置になっている。また、図5(b)において 酸素ガス供給手段20は、酸素ガスが空気極 4の表面に放出されるように、鉛直上向きに 置されている。さらに、この空気電池セル 、空気極層が負極層よりも下となる構造を するため、必要に応じて、排気手段23を設 ても良い。

 図5(c)は、電解液の液面が最も下がった位 置が、空気極層および負極層の最上面よりも 高い態様を示す概略断面図である。図5(c)に いては、セパレータ7と、セパレータ7の一方 の表面に配置された負極層3と、セパレータ7 他方の表面に配置された空気極層4とが配置 され、電解液9の最も下がった位置が、負極 3および空気極層4の最上面よりも高い位置に なっている。また、図5(c)において、酸素ガ 供給手段20は、酸素ガスが空気極層4の表面 放出されるように、鉛直上向きに配置され いる。

 なお、図5に示された空気電池システムに おいて、空気電池セルはいずれも開放型であ るが、本発明の空気電池システムは、酸素ガ ス供給手段を有するため、空気電池セルは密 閉型であっても良い。水分の浸入を防止でき るという観点からは、本発明に用いられる空 気電池セルは、密閉型の空気電池セルである ことが好ましい。なお、密閉型の空気電池セ ルを用いる場合は、気密設計を適切に行うか 、電池ケース内の圧力を下げる排気手段を空 気電池セルに設けることが好ましい。

 本発明においては、上記電解液の最も下 った位置が、上記空気極層および上記負極 の最上面の位置よりも高いことが好ましい 上記電解液の最も下がった位置と、上記空 極層および上記負極層の最上面の位置との さの差としては、用いられる電池ケースの 積等により異なるものであるが、例えば1mm~ 30mmの範囲内、中でも3mm~10mmの範囲内であるこ とが好ましい。上記高さの差が小さすぎると 、溶媒等の揮発により電解液不足が生じ易く なり、上記高さの差が大きすぎると、酸素の 供給が遅くなってしまい、高率放電特性が悪 くなる恐れがあるからである。また、電解液 の初期投入量は、放電または充放電に伴う電 極の体積変化を予め測定または計算しておき 、最適な投入量を決定することが好ましい。

 また、本発明に用いられる電極体(空気極 、負極およびセパレータ)の形状としては、 に限定されるものではないが、具体的には 平板型、円筒型、捲回型等を挙げることが きる。

(3)酸素ガス供給手段の配置
 次に、本発明における酸素ガス供給手段の 置について説明する。本発明においては、 解液に酸素ガスをバブリングにより供給す 。これにより、放電反応に伴い電解液中の 存酸素の濃度が減少する場合であっても、 解液中の溶存酸素の濃度を急速に増加させ ことができ、高率放電を行うことができる

 酸素ガス供給手段のガス放出部が配置さ る位置としては、電解液の溶存酸素濃度を 加させることができる位置であれば特に限 されるものではなく、任意の場所を選択す ことができる。中でも、本発明においては 上記ガス放出部が、空気極層近傍に配置さ ることが好ましい。放電反応により、空気 層で多くの酸素が消費されるからである。 発明において、酸素ガス供給手段のガス放 部と空気極層との距離としては、酸素ガス 流量等により異なるものであるが、例えば1 mm~10mmの範囲内、中でも2mm~5mmの範囲内である とが好ましい。

 なお、上記「(2)電解液を多く用いる構成 で説明したように、本発明に用いられる空 電池セルは、放電または充放電に伴う電極 体積変化により電解液の液面の高さが変化 る場合がある。このような場合においては 液面が最も低下した位置においても適切に ブリングが行えるように、ガス放出部を配 することが好ましい。

 また、酸素ガス供給手段のガス放出部の 向としては、電解液の溶存酸素濃度を増加 せることができる方向であれば特に限定さ るものではなく、任意の方向を選択するこ ができる。中でも、本発明においては、酸 ガスの泡が長時間電解液に留まるように、 ス放出部の方向を選択することが好ましい ガス放出部の方向の具体例としては、図3(a) に示すように、酸素ガスが鉛直下向き方向に 放出されるようにガス放出部が配置される場 合、図5(a)に示すように、酸素ガスが水平方 に放出されるようにガス放出部が配置され 場合、並びに、図5(b)および図5(c)に示すよう に、酸素ガスが鉛直上向き方向に放出される ようにガス放出部が配置される場合等を挙げ ることができる。

 本発明においては、空気電池セルの中で 解液に酸素ガスを供給しても良く、空気電 セルの外で電解液に酸素ガスを供給しても い。上述したように、空気電池セルが、電 液を循環させることにより、空気極層およ 負極層を常に前記電解液で満たす空気電池 ルである場合は、酸素ガス供給手段が、電 液を循環させる循環領域に配置されていて 良い。酸素ガス供給手段を空気電池セルの に配置することにより、空気電池セルの小 化を図ることができる。「循環領域」とは 空気電池セルの外の領域であり、かつ、電 液を循環させるために用いられる領域をい 。

 このような循環領域で酸素を供給する空 電池システムとしては、具体的には、図6に 示すように、モーター等の電解液移動手段21 用いて、電解液9を、負極層3、セパレータ7 よび空気極層4の順に循環させる空気電池シ ステムであって、電解液移動手段21の下流側 、バブル発生装置17、電磁弁12および酸素ガ ス貯蔵部11を有する酸素ガス供給手段20を備 た空気電池システム等を挙げることができ 。なお、図6に示す空気電池システムは、空 電池セルの外で電解液に酸素ガスを供給す ものであるが、上述した図4に示すように、 空気電池セルの中で電解液に酸素ガスを供給 しても良い。

 また、本発明に用いられる酸素ガス供給手 は、上述した不活性ガス供給手段の機能を ね備えたものであっても良い。具体的には 図7に示すように、酸素ガス供給手段20が、 素ガス貯蔵部11および不活性ガス貯蔵部16を 有し、電磁弁12の切り替えにより、酸素ガス たは不活性ガスを用いることが可能な空気 池システム等を挙げることができる。なお 図7に示される空気電池システムは、密閉型 の空気電池セル10を用いたものであり、電池 ース1内の圧力を下げる排気手段23を有して る。
 なお、本発明に用いられる酸素ガス供給手 は、ガス放出部を一つ有するものであって 良く、二つ以上有するものであっても良い また、本発明においては、酸素ガス供給手 および不活性ガス供給手段が、別個に設け れていても良い。

(4)不活性ガス供給手段の配置
 次に、本発明における不活性ガス供給手段 配置について説明する。本発明においては 電解液に不活性ガスをバブリングにより供 することにより、充電反応に伴い電解液中 溶存酸素の濃度が増加する場合であっても 電解液中の溶存酸素の濃度を低下させるこ ができ、高率充電を行うことができる。

 不活性ガス供給手段のガス放出部が配置 れる位置としては、電解液の溶存酸素濃度 低下させることができる位置であれば特に 定されるものではなく、任意の場所を選択 ることができる。中でも、本発明において 、上記ガス放出部が、空気極層近傍に配置 れることが好ましい。充電反応により、空 極層で多くの酸素が生成するからである。 お、不活性ガス供給手段のガス放出部と空 極層との距離、不活性ガス供給手段のガス 出部の方向、および循環領域等については 上記「(3)酸素ガス供給手段の配置」に記載 た内容と同様であるのでここでの説明は省 する。

B.空気電池セルの制御方法
 まず、本発明の空気電池セルの制御方法に いて説明する。本発明の空気電池セルの制 方法は、導電性材料を含有する空気極層お び上記空気極層の集電を行う空気極集電体 有する空気極と、金属イオンを吸蔵・放出 る負極活物質を含有する負極層および上記 極層の集電を行う負極集電体を有する負極 、上記空気極層および上記負極層の間に設 されたセパレータと、を有し、放電または 放電に伴う電極の体積変化が生じた際に、 記空気極層および上記負極層が常に電解液 満たされている空気電池セルを用い、放電 際に、上記電解液に酸素ガスをバブリング より供給することを特徴とするものである

 本発明によれば、電解液に酸素ガスをバ リングにより直接供給することから、電解 中の溶存酸素の濃度を急速に増加させるこ ができ、高率放電を行うことができる。

 本発明に用いられる空気電池セルが二次 池である場合は、充電の際に、酸素ガスの 給を停止することが好ましい。電解液中の 存酸素の濃度が上昇することを防止でき、 電反応がスムーズに進行するからである。 た、空気電池セルが、電解液を循環させる とにより、空気極層および負極層を常に前 電解液で満たす空気電池セルである場合は 酸素ガスを供給せずに電解液を循環させる とにより、充電反応により生じる酸素を、 気極層から効率良く除去することができる

 また、本発明においては、充電の際に、上 電解液に不活性ガスをバブリングにより供 することが好ましい。充電反応に伴い電解 中の溶存酸素の濃度が増加する場合であっ も、電解液中の溶存酸素の濃度を低下させ ことができ、高率充電を行うことができる らである。
 本発明に用いられる空気電池セル、並びに 酸素ガスおよび不活性ガスを電解液に供給 る方法等については、上記「A.空気電池シ テム」に記載した内容と同様であるので、 こでの説明は省略する。

 なお、本発明は、上記実施形態に限定さ るものではない。上記実施形態は、例示で り、本発明の特許請求の範囲に記載された 術的思想と実質的に同一な構成を有し、同 な作用効果を奏するものは、いかなるもの あっても本発明の技術的範囲に包含される

 以下に実施例を示して本発明をさらに具体 に説明する。
[実施例1]
 本実施例について、図1(a)を参考にして説明 する。なお、以下のセルの組立はアルゴンボ ックス内で行った。まず、下部絶縁ケース1a 内側に負極集電体2を配置し、負極集電体2 負極リード2´と接合した。負極リード2´は 部絶縁ケース1a内を貫通し外部に出ている。 次に、負極集電体2上に負極層3を配置し、そ 後、下部絶縁ケース1aの中段に空気極集電 6を配置し、この空気極集電体6を空気極リー ド6´と接合した。空気極リード6´は下部絶縁 ケース1a内を貫通し外部に出ている。次に、 部絶縁ケース1aの中段上にセパレータ7を配 し、その上に空気極メッシュ5および空気極 層4を配置した。

 下部絶縁ケース1aの内側はネジが切って り、上部絶縁ケース1bの外側のネジ切りとあ わせて接続することができる。上部絶縁ケー ス1bはガスケットを介して、セパレータ7およ び空気極メッシュ5を下部絶縁ケース1aとの間 で挟むことで固定できる。このとき、セパレ ータ7よりも空気極メッシュ5は径が大きいた 、セパレータ7の外側で空気極メッシュ5と 気極集電体6が接触するようになっている。 に、下部絶縁ケース1aと上部絶縁ケース1bと の間に電解液9を注入した。電解液9は、セル 水平に配置した場合に空気極層4が完全に浸 漬するまで注入した。次に、負極リード2´は マイナス端子へ、空気極リード6´はプラス端 子へ接続した。

 次に、気体注入用ホース(酸素ガス供給手 段20)は上部絶縁ケース1bを貫通するように配 し、固定用ネジ14で固定した。なお、酸素 ス供給手段20は、酸素ガス貯蔵部11、電磁弁1 2a、加圧ポンプ13、電磁弁12bを有するもので った。また、この空気電池システムは、放 開始時に電磁弁12a、12bが開き、加圧ポンプ13 が作動し、酸素ガス貯蔵タンク11からガスが られる。放電が終了すると、電磁弁12a、12b 閉じ、加圧ポンプ13の作動もとまるように 定されたものであった。

[実施例2]
 本実施例について、図2を参考にして説明す る。なお、以下のセルの組立はアルゴンボッ クス内で行った。まず、直径80mmでテフロン( 録商標)製の下部絶縁ケース1aの内側にニッ ルメッシュ(厚み150μm、直径40mm)を負極集電 2として配置し、負極集電体2を負極リード2 (ニッケル製)と接合した。負極リード2´は下 部絶縁ケース1a内を貫通し外部に出ている。 に、負極集電体2上に負極層3を配置した。 極層3は金属リチウム箔であり、厚み250μmの ートを打ち抜いて直径20mmに加工したものを 使用した。この負極層3は負極集電体2のメッ ュに圧着させた。その後、下部絶縁ケース1 aの中段上にセパレータ7(ポリエチレン製、厚 み25μm、直径60mm)を配置し、その上に空気極 ッシュ5(ニッケル製、厚み150μm、直径60mm)お び空気極層4を配置した。空気極層4は、ケ チェンブラック80重量部と二酸化マンガン10 量部とをめのう乳鉢にて混練した後に、ポ テトラフルオロエタン(PTFE)を10重量部添加 、さらに混練したものを使用した。空気極 4は直径16mmに加工した後、空気極メッシュ5 中央部に押さえつけて圧着した。

 下部絶縁ケース1aの内側はネジが切ってあ 、上部絶縁ケース1b(テフロン(登録商標)製、 外径60mm)の外側のネジ切りとあわせて接続す ことができる。上部絶縁ケース1bの先端に 、空気極集電体6としてニッケル製の集電体( 厚み2mm)が取り付けられており、さらに空気 リード6´に接続している。上部絶縁ケース1b はセパレータ7および空気極メッシュ5を下部 縁ケース1aとの間で挟むことで固定できる そのとき、空気極集電体6と空気極メッシュ5 とが接触するようになっている。次に、下部 絶縁ケース1aと上部絶縁ケース1bとの間に電 液9(溶媒としてエチレンカーボネート30体積 とエチルメチルカーボネート70体積部との 合溶媒を用い、電解質塩としてLiPF 6 を1モル体積で溶媒に混合したもの)を注入し 。電解液9は、セルを水平に配置した場合に 空気極層4の上5mmの高さまで注入し、完全に 漬させた。次に、負極リード2´はマイナス 子へ、空気極リード6´はプラス端子へ接続 た。

 次に、気体注入用ホース(酸素ガス供給手 段20、外径6.4mmのテフロン(登録商標)製チュー ブ)は上部絶縁ケース1bを貫通するように配置 し、固定用ネジ14で固定した。なお、酸素ガ 供給手段20は、酸素ガス貯蔵部11、電磁弁12a 、加圧ポンプ13、電磁弁12bを有するものであ た。また、この空気電池システムは、放電 始時に電磁弁12a、12bが開き、加圧ポンプ13 作動し、酸素ガス貯蔵タンク11からガスが送 られる。放電が終了すると、電磁弁12a、12bは 閉じ、加圧ポンプ13の作動もとまるように設 されたものであった。