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Title:
AMORPHOUS SOFT MAGNETIC ALLOY, AMORPHOUS SOFT MAGNETIC ALLOY RIBBON, AMORPHOUS SOFT MAGNETIC ALLOY POWDER, AND MAGNETIC CORE AND MAGNETIC COMPONENT USING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/096382
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an amorphous soft magnetic alloy containing Fe100-x-y-zSixByPz as a main component, where x, y, and z are atomic percentages satisfying inequalities of 0.5≤x≤15, 5≤y≤25, z≤15, and 18≤x+y+z≤30, respectively. The alloy further contains, with respect to the main component, 0.01-0.3 mass % Mn, 0.0001-0.01 mass % Al, 0.001-0.03 mass% Ti, 0.005-0.2 mass % Cu, and 0.001-0.05 mass % S.

Inventors:
YOSHIZAWA YOSHIHITO (JP)
TAKAHASHI KENGO (JP)
OHTA MOTOKI (JP)
MIYAMOTO TAKU (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/051254
Publication Date:
August 06, 2009
Filing Date:
January 27, 2009
Export Citation:
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Assignee:
HITACHI METALS LTD (JP)
YOSHIZAWA YOSHIHITO (JP)
TAKAHASHI KENGO (JP)
OHTA MOTOKI (JP)
MIYAMOTO TAKU (JP)
International Classes:
C22C45/02; B22F1/00; B22F3/00; H01F1/153; H01F1/20; C21D6/00
Foreign References:
JPH09263914A1997-10-07
JPH08193252A1996-07-30
JP2005307291A2005-11-04
JP2007231415A2007-09-13
JPH05291019A1993-11-05
JPH06287721A1994-10-11
JPH06220592A1994-08-09
Attorney, Agent or Firm:
ASAMURA, Kiyoshi et al. (New Ohtemachi Bldg.2-1, Ohtemachi 2-chom, Chiyoda-ku Tokyo 04, JP)
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Claims:
 Fe 100-x-y-z Si x B y P z を主成分とし、x、yおよびzは、原子%で、それぞれ0.5≦x≦15、5≦y≦25、z≦15、18≦x+y+z≦30を満足し、該主成分に対しMnを0.01質量%以上0.3質量%以下、Alを0.0001質量%以上0.01質量%以下、Tiを0.001質量%以上0.03質量%以下、Cuを0.005質量%以上0.2質量%以下およびSを0.001質量%以上0.05質量%以下含有している、アモルファス軟磁性合金。
 Feの一部をCo、およびNiから選ばれた少なくとも1種の元素で置換した、請求項1に記載のアモルファス軟磁性合金。
 Feの5原子%以下をCで置換した、請求項1又は請求項2に記載のアモルファス軟磁性合金。
 Feの3原子%以下をCr、V、Nb、Mo、Ta、W、Zr、Hfから選ばれた少なくとも1種の元素で置換した、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のアモルファス軟磁性合金。
 Bの1原子%以下をGe、Ga、Snから選ばれた少なくとも1種の元素で置換した、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のアモルファス軟磁性合金。
 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のアモルファス軟磁性合金からなり、板厚が3μmから350μmの範囲にある、アモルファス軟磁性合金薄帯。
 板厚が40μmから350μmの範囲にある、請求項6に記載のアモルファス軟磁性合金薄帯。
 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のアモルファス軟磁性合金からなり、粒径が350μm以下である、アモルファス軟磁性合金粉末。
 50%以上の粒子数の粉末が粒径30μm以上である、請求項8に記載のアモルファス軟磁性合金粉末。
 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のアモルファス軟磁性合金を用いた、磁心。
 請求項6又は請求項7に記載のアモルファス軟磁性合金薄帯を用いた、磁心。
 請求項8又は請求項9に記載のアモルファス軟磁性合金粉末を用いた、磁心。
 請求項10乃至請求項12に記載の磁心を用いた、磁性部品。
Description:
アモルファス軟磁性合金、アモ ファス軟磁性合金薄帯、アモルファス軟磁 合金粉末およびそれを用いた磁心並びに磁 部品

 本発明は、各種リアクトル、各種チョー コイル、各種トランス、モーター用鉄心、 気シールド、磁気センサー、電流センサー の磁性部品に用いられ、特にリアクトル、 ョークコイルやトランスの磁心に好適な特 を有するアモルファス軟磁性合金、アモル ァス軟磁性合金薄帯、アモルファス軟磁性 金粉末およびそれを用いた低損失の磁心並 にこれを用いた高性能な磁性部品に関する

 各種リアクトル、各種チョークコイル・ ンダクタ、各種トランス、モーター用鉄心 磁気シールド、磁気センサー、電流センサ 等の磁性部品に用いられる磁性材料として 、珪素鋼、フェライト、アモルファス合金 ナノ結晶合金材料等が知られている。フェ イトは高周波特性に優れるが飽和磁束密度 低く、温度特性が劣り磁気的に飽和しやす 問題があり直流重畳特性に劣るため特にリ クトルなどに用いた場合小型化や大電流回 対応に課題がある。珪素鋼は、磁束密度が い特長を有するが、高周波の用途に対して 磁心損失が大きいという問題があり、特に1 0kHzを超えるような周波数で使用する場合発 が大きい問題がある。

 Fe基ナノ結晶合金は優れた軟磁気特性を すため、コモンモードチョークコイル、高 波トランス、パルストランス等の磁心に使 されている。これらのFe基ナノ結晶合金は、 通常液相や気相から急冷しアモルファス合金 とした後、これを熱処理により微結晶化する ことにより作製されている。Fe基ナノ結晶合 はアモルファス合金を微結晶化したもので Fe系アモルファス合金と同程度の高い飽和 束密度と低磁歪で優れた軟磁気特性を示す とが知られている。しかし、ナノ結晶合金 NbやZrなどの高価な元素を多量に含み、アモ ファス合金を製造する際、アモルファス軟 性材料として使用されるアモルファス合金 りも製造が難しく、量産性は通常のアモル ァス合金に劣っている。アモルファス合金 製造する方法としては、液相から急冷する 法としては単ロール法、双ロール法、遠心 冷法、回転液中紡糸法、アトマイズ法やキ ビテーション法等が知られている。また、 相から急冷する方法としては、スパッタ法 蒸着法、イオンプレーティング法等が知ら ている。

 一方、現在実用化されているFe-Si-B系やCo- Fe-Si-B系などのアモルファス合金は、従来の 晶質軟磁性合金材料よりも軟磁気特性に優 るが、上述の単ロール法やアトマイズ法な の超急冷技術を用いて製造しなければなら 、寸法の大きいものは完全なアモルファス 金製造が困難であり形状的な制約がある。 在生産されているアモルファス軟磁性合金 通常25μm程度の板厚の薄帯や、150μm程度の直 径のワイヤーである。たとえば電力用のアモ ルファス合金薄帯は、商用の周波数すなわち 50Hzや60Hzなど比較的低い周波数で使用される これらの用途に使用する場合は、低鉄損で ることとともに小型化の観点から飽和磁束 度(Bs)が高いことや占積率が高いことが要求 される。アモルファス合金は前述のように25 m程度の板厚の材料が量産されているが、占 率を向上する観点からは、板厚を更に厚く ることが好ましいが、結晶化による磁気特 劣化などの問題がある。また、チョークコ ルなどに用いられる圧粉磁心などに使用す ことを目的にアモルファス合金粉末の製造 行われているが、水アトマイズ法やガスア マイズ法で製造した場合、大きな粒径の粉 は完全なアモルファスにはなりにくい。特 冷却速度の劣るガスアトマイズなどにより 末を製造する場合は、粒径が大きい粉末は 全なアモルファス状態を実現することは困 であるため、特性の悪い粉末が混在しやす なる。

 このような課題に対して、特許文献1(特 第3929327号)、特許文献2(特開2007-92096号)や特 文献3(特開2007-231415号)に記載されているよう なアモルファス形成能の高いFe基のアモルフ ス合金(金属ガラス)が報告されており、比 的大きな寸法のアモルファス合金や粉末が 造できることが報告されている。

特許第3929327号公報

特開2007-92096号公報

特開2007-231415号公報

 しかしながら、これらの形成能が高いと報 されている組成の合金において、アモルフ ス合金を製造する際、純原料に変えてフェ アロイなどの工業原料を使用し検討を行っ ところ、微量に含まれる元素量を調整せず 造すると、鋳造時の合金サイズが大きい場 、板厚が厚い場合や粒径が大きい場合に、 金を完全なアモルファス状態にすることが 難で、結晶相が形成し合金の軟磁気特性が 化することが明らかとなった。これは、微 に含まれる元素が、結晶化を助長するため あると考えられる。したがって、微量の合 元素を調整することにより結晶相形成を抑 し軟磁気特性の劣化を抑える必要がある。
 以上のように、工業レベルでも、結晶相が 成しにくく、合金サイズを大きくでき形状 な制約が小さく、軟磁気特性が劣化しにく 、優れた磁気特性を示すアモルファス軟磁 合金の実現が強く望まれている。

 そこで、本発明は各種リアクトル、各種 ョークコイル・インダクタ、各種トランス モーター用鉄心、磁気シールド、磁気セン ー、電流センサー等の磁性部品に用いられ 特にリアクトル、チョークコイルやトラン の磁心に好適な特性を有する量産に適し、 モルファス形成能が良好で優れた磁気特性 示すアモルファス軟磁性合金、アモルファ 軟磁性合金薄帯、アモルファス軟磁性合金 末およびそれを用いた低損失の磁心並びに れを用いた高性能な磁性部品を提供するこ を目的とする。

 上記問題点を解決するために鋭意検討の結 、本発明者らは、Fe 100-x-y-z Si x B y P z (原子%)を主成分とし、x、yおよびzはそれぞれ 0.5≦x≦15、5≦y≦25、z≦15、18≦x+y+z≦30を満 し、該主成分に対しMnを0.01質量%以上0.3質量% 以下、Alを0.0001質量%以上0.01質量%以下、Tiを0. 001質量%以上0.03質量%以下、Cuを0.005質量%以上0 .2質量%以下およびSを0.001質量%以上0.05質量%以 下含有しているアモルファス軟磁性合金が、 結晶相を形成しにくく優れた軟磁気特性を示 すことを見出し本発明に想到した。

 本発明において、Siはアモルファス相形 を助ける効果があり、Si量xが0.5原子%未満で 熱的安定性を著しく劣化し好ましくなく、S i量xが15原子%を超えると飽和磁束密度の著し 低下を招き好ましくない。このためSi量xは0 .5≦x≦15(原子%)である必要がある。より望ま いSi量xの範囲は1≦x≦13(原子%)である。この 範囲でよりアモルファスリボン作製が容易で ある。Bはアモルファス化に効果がある元素 あり、B量yが5原子%未満ではアモルファス化 困難であり好ましくなく、B量yが25原子%を えると飽和磁束密度の著しい低下を招き好 しくない。Pはアモルファス化に効果がある 素でありP量zは15原子%以下である必要があ 。Pを含むことによりアモルファス形成能が 上するが、P量zが15原子%を超えると飽和磁 密度の著しい減少を招き好ましくない。Si量 x、B量y、P量zの総和x+y+zは、18原子%以上30原子 %以下である必要がある。これは、Si量x、B量y 、P量zの総和x+y+zが、18原子%未満ではアモル ァス形成能が劣り好ましくなく、30原子%を えると飽和磁束密度の著しい低下を招き好 しくないためである。

 MnはSとの共存することによりアモルファ の結晶化を抑制する元素であり、前記主成 に対しMn量が0.01重量未満では結晶化抑制効 がほとんどなく、0.3質量%を超えると脆化や 溶解時の耐火物との反応が大きくなり、好ま しくない。このためMn量は前記主成分に対し 0.01質量%以上0.3質量%以下である必要がある AlとTiであるが、完全に除去するのは困難な 元素であり、アモルファス表面の結晶化を促 進しアモルファス形成に害がある元素である 。Al量を0.0001質量%未満にすることは難しく、 Al量が0.01質量%を超えると結晶化しやすくな 好ましくない。このためAl量は0.001質量%以上 0.01質量%以下である必要がある。Ti量を0.001質 量%未満にすることは難しく、Ti量が0.03質量% 超えるとアモルファス合金表面が結晶化し すくなり好ましくない。このためTi量は0.001 質量%以上0.03質量%以下とする必要がある。Cu よびSはAlとTiを微量含む場合にある含有量 範囲で結晶化を抑制する元素であり、とも ある範囲で含有することが望ましい。Cu量が 0.005質量%未満では結晶化を抑制する効果がな く、Cu量が0.2質量%を超えるとアモルファス形 成能が低下し、肉厚形状や粒径の大きい形状 ではアモルファス化が困難となる。このため Cu量は0.005質量%以上0.2質量%以下である必要が ある。S量が0.001質量%未満では結晶化を抑制 る効果がなく、S量が0.05質量%を超えると著 い脆化を招き好ましくない。このためS量は0 .001質量%以上0.05質量%以下である必要がある

 本発明において、Feの一部をCo、およびNiか 選ばれた少なくとも1種の元素で置換するこ とができる。CoやNiを置換することにより飽 磁束密度を変化させたり、磁歪を変化させ ことができる。また、磁界中熱処理を行な 場合には誘導磁気異方性を変化させること できる。
 また、本発明において、Feの5原子%以下をC 置換することができる。Cで置換することに りアモルファス合金を製造する際の溶湯の 性が下がり製造が容易となる。しかし、C量 が5原子%を超えると、著しく経時変化が大き なり好ましくない。より好ましいCの置換量 は2原子%以下である。特に好ましいC量は1原 %以下である。
 また、本発明において、Feの3原子%以下をCr V、Nb、Mo、Ta、W、Zr、Hfから選ばれた少なく も1種の元素で置換することができる。これ らの元素を置換することにより、耐蝕性の改 善、熱的安定性の向上や、軟磁気特性を向上 することができる。
 また、本発明において、Bの1原子%以下をGe Ga、Snから選ばれた少なくとも1種の元素で置 換することができる。これらの元素を置換す ることにより、磁気特性を調整することがで きるが、置換量が1原子%を超えると脆化しや くなり好ましくない。
 また、本発明合金は、酸素や窒素などの不 物を含むことができるが、多量に含むこと 好ましくない。

 本発明アモルファス軟磁性合金は、工業原 を使用して単ロール法や双ロール法などの 体急冷法により板厚が3μmから350μmの範囲に あるアモルファス軟磁性合金薄帯を得ること ができ、幅が15mm以上の広幅合金薄帯を製造 能である。特に本発明アモルファス合金は 板厚が40μmから350μmの範囲にある板厚が厚い 広幅のアモルファス軟磁性合金薄帯を得るこ とも可能である。
 本発明の合金薄帯やワイヤーを製造する方 としては、単ロール法、双ロール法、回転 中防止法、溶融ガラス紡糸法などがある。 た、溶湯急冷時の溶湯温度は、合金の融点 りも50℃~300℃程度高い温度とするのが望ま い。

 単ロール法などの超急冷法で薄帯を製造す 場合、本発明合金薄帯は大気中あるいは局 Arあるいは窒素ガスなどの雰囲気中、ある はAr、Heなどの不活性ガス中、窒素ガス中あ いは減圧中、あるいはノズル先端部のロー 表面付近のガス雰囲気を制御しながら製造 る。また、CO 2 ガスをロールに吹き付ける方法や、COガスを ズル近傍のロール表面付近で燃焼させなが 合金薄帯製造を行う場合もある。

 単ロール法の場合の冷却ロール周速は、2 m/sから80m/s程度の範囲が望ましく、冷却ロー 材質は、熱伝導が良好な純銅やCu-Be、Cu-Cr、 Cu-Zr、Cu-Zr-Cr、Cu-Zr-Si、Cu-Ni-Siなどの銅合金が している。大量に薄帯を製造する場合、板 が厚い薄帯や広幅薄帯を製造する場合は、 却ロールは水冷構造とした方が好ましい。 帯は熱処理後機械的に粉砕し粉末やフレー 状にして使用することもできる。

 本発明アモルファス軟磁性合金は粉末を 造することが可能であり、工業原料を用い 粒径が350μm以下であるアモルファス軟磁性 金粉末を得ることができる。また、50%以上 粒子数の粉末が粒径30μm以上である粒径の きいアモルファス軟磁性合金粉末を得るこ ができる。本発明アモルファス軟磁性合金 末は、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法 油アトマイズ法、ガスバブリング噴霧法、 霧ロール・スプラット法、ロール噴霧法、 心噴霧法、回転液体噴霧法、ガス急冷遠心 霧法、噴霧ディスク・スプラット法などい いろな方法で製造することができる。更に 発明アモルファス軟磁性合金粉末は、アト イタやビーズミルなどにより扁平化するこ もできる。

 また、本発明アモルファス合金は金型鋳 法、アーク溶解鋳造法、アーク溶解傾角鋳 方、高圧射出成形法、遠心鋳造法、ストリ プキャスティングなどにより直径が200μmを えるような棒状、板厚が200μmを超えるよう 板状のバルク形状のアモルファス軟磁性合 を製造することができる。

 熱処理は通常アルゴンガス、窒素ガス、ヘ ウム等の不活性ガス中で行うが大気中熱処 や真空中熱処理も可能である。本発明の軟 性合金は、熱処理工程の少なくとも一部の 間に合金に磁界や応力を印加することがで る。磁界中熱処理や応力下熱処理を行うこ により、誘導磁気異方性を付与することが きる。磁界中熱処理は、熱処理期間の少な とも一部の期間十分な強さの磁界を印加し 行う。印加する磁界の強さは、合金の形状 も依存し、合金が磁気的に飽和する十分な 界を印加することが好ましい。薄帯の状態 場合、一般には薄帯の幅方向に印加する場 は1kAm -1 以上の磁界を、長手方向に印加する場合は80A m -1 以上の磁界を印加する。印加する磁界は、直 流、交流、繰り返しのパルス磁界のいずれを 用いても良い。熱処理は、通常露点が-30℃以 下の不活性ガス雰囲気中で行うことが望まし く、露点が-60℃以下の不活性ガス雰囲気中で 熱処理を行うと、ばらつきが更に小さくより 好ましい結果が得られる。熱処理の際の最高 到達温度は、通常200℃から500℃の範囲である 。一定温度に保持する熱処理パターンの場合 は、一定温度での保持時間は通常は量産性の 観点から100時間以下であり、好ましくは4時 以下である。熱処理の際の平均昇温速度は ましくは0.1℃/minから10000℃/min、より好まし は1℃/minから10000℃/min、特に好ましくは3000 /minから10000℃/min、平均冷却速度は好ましく は0.1℃/minから10000℃/min、より好ましくは1℃/ minから5000℃/minであり、この範囲で特に低磁 損失の合金が得られる。熱処理は1段ではな く多段の熱処理や複数回の熱処理を行うこと もできる。更に、合金に直流、交流あるいは パルス電流を流して合金を発熱させ熱処理す ることもできる。また、熱処理の際に、張力 や圧縮力をかけながら熱処理し、磁気特性を 改良することができる。

 本発明の他の観点によれば、前記アモルフ ス軟磁性合金を用いた磁心が提供される。 心は、バルク状のものだけでなくアモルフ ス軟磁性合金薄帯やアモルファス軟磁性合 粉末を用いて製造することができる。本発 アモルファス軟磁性合金は必要に応じてSiO 2 、MgO、Al 2 O 3 等の粉末あるいは膜で合金薄帯表面、合金フ レーク表面あるいは合金粉末表面を被覆する 、化成処理により表面処理し表面に絶縁層を 形成する、アノード酸化処理により表面に酸 化物絶縁層を形成する、あるいは有機樹脂層 を形成し層間絶縁を行う等の処理を行うこと ができ、このような処理を適用することによ り、磁心の高周波特性が更に改善され、より 好ましい結果が得られる。これは特に磁心や シートなどの部品を作製した際に、合金薄帯 や合金フレークの層間あるいは合金粒子間を 渡る高周波における渦電流の影響を低減し、 高周波における損失を改善する効果があるた めである。

 本発明アモルファス軟磁性合金粉末を用 た本発明アモルファス軟磁性合金圧粉磁心 、工業原料を用いて製造した場合も磁心損 が小さく、特性ばらつきの小さいものが実 できる。本発明圧粉磁心は、本発明アモル ァス軟磁性合金粉末に、エポキシ系樹脂、 ェノール系樹脂やシリコーン系樹脂からな 絶縁性結着剤を添加し、更にステアリン酸 鉛やステアリンサンAlなどの潤滑剤を混合 プレス機にて加圧成形し作製する。更に熱 理し磁気特性を改善することもできる。加 成形は常温で行なう以外に、加熱し温間プ スやホットプレスあるいはプラズマ放電焼 などで行なうことができる。一軸の加圧力 400MPa以上2500MPa以下が望ましい。また、低融 ガラスなどを用いて加圧成形後、加熱によ 各粉末を結合させ圧粉磁心を製造すること できる。

 また、本発明アモルファス軟磁性合金粉末 面にあらかじめSiO 2 、Al 2 O 3 やMgOなどの無機系絶縁皮膜を形成したり、SiO 2 、Al 2 O 3 、MgOなどの絶縁性微粒子で覆うなどの処理を 行うことにより、アモルファス合金粉末間の 絶縁性が向上し、渦電流損失の低減により高 周波特性が改善され好ましい結果が得られる 。また、異なる範囲の粒径の粉末を分級しブ レンドすることにより、圧粉磁心中のアモル ファス合金粉末の充填率を向上することもで きる。また、Fe系、Fe-Si系、Fe-Ni系、Fe-Cr系な の結晶質金属粉末と本発明アモルファス合 粉末を混合し圧粉磁心を製造することがで る。この場合、結晶質金属粉末が変形しや く、磁性粒子の充填率が向上し好ましいが 低損失の特徴を維持するためには、アモル ァス合金粉末の体積分率は結晶質金属粉末 りも多い方が好ましい。

 本発明のもう一つの観点によれば、前記 心を用いた磁性部品が提供される。本発明 心は低損失であるために、トランス、チョ クコイル、モータなどに使用した場合、温 上昇が小さく低損失な磁性部品を実現でき 装置の効率向上に寄与する。また、比較的 い周波数で使用する場合、小型化にも寄与 るため好ましい。

 本発明によれば、各種リアクトル、各種 ョークコイル・インダクタ、各種トランス モーター用鉄心、磁気シールド、磁気セン ー、電流センサー等の磁性部品に用いられ 特にリアクトル、チョークコイルやトラン の磁心に好適な特性を有する量産に適し、 モルファス形成能が良好で優れた磁気特性 示すアモルファス軟磁性合金、アモルファ 軟磁性合金薄帯、アモルファス軟磁性合金 末およびそれを用いた低損失の磁心並びに れを用いた高性能な磁性部品を提供するこ ができる。

 以下、本発明を実施例にしたがって説明す が、本発明はこれらに限定されるものでは い。
(実施例1)
 表1に示す組成の板厚43μm、幅50mmの合金薄帯 を水冷したCu-Cr合金製のロールを用い単ロー 法により作製した。作製した軟磁性合金薄 についてロール面側のX線回折および熱処理 を行い磁気測定を行った。表1に結果を示す 本発明合金は結晶ピークは認められずX線回 の結果からはアモルファス単相であり、低 保磁力Hcを示した。これに対して本発明の 金組成から外れた軟磁性合金薄帯は、結晶 ークが認められ結晶相が形成した。また本 明の合金組成から外れた軟磁性合金薄帯は Hcが大きく軟磁気特性に劣ることが確認され た。

(実施例2)
 表2に示す組成の合金粉末をガスアトマイズ 法により作製した。作製した合金粉末につい てX線回折を行った。次にこの粉末を分球し 30μm~60μmの粒径の粉末を得た。この合金粉末 のX線回折を行った。本発明合金粉末は、ア ルファス合金に特有のハローパターンを示 た。一方、本発明外の合金粉末は結晶ピー が認められアモルファス相以外に結晶相が 成していることが確認された。次に、この 金粉末を熱処理した。X線回折の結果アモル ァス特有のハローパターンが確認された。 の合金粉末の保磁力Hcを軟磁性材料用の振 型磁力計(VSM)により測定した。得られた結果 を表2に示す。本発明合金粉末は結晶ピーク 認められず、X線回折の結果からはアモルフ ス単相と考えられ、また、低いHcを示した これに対して本発明の合金組成から外れた 磁性合金粉末は、結晶ピークが認められ結 相が形成した。また本発明の合金組成から れた軟磁性合金粉末は、Hcが大きく軟磁気特 性に劣ることが確認された。

(実施例3)
 金型鋳造法によりFe bal. Si 9 B 12 P 5 (原子%)を主成分とし、Mn0.12質量%、Al0.0009質量 %、Tiを0.003質量%、Cuを0.15%、Sを0.005質量%含む さ150μmのリング形状のバルク状合金を作製 た。X線回折の結果アモルファス合金特有の ハローパターンを示した。次にこの合金に熱 処理を行い磁気特性評価およびX線回折を行 た。X線回折の結果アモルファス合金特有の ローパターンを示した。Hcは2.9A/mであり、 い値を示した。比較のために、主成分が同 でMn0.16質量%、Al0.12質量%、Tiを0.15質量%、Cuを 0.02%、Sを0.002質量%含む、厚さ150μmのリング形 状の本発明外の組成の試料を作製した。この 本発明の合金組成から外れる軟磁性合金の試 料は、Hcが19.4A/mと大きく、X線回折の結果結 ピークが確認された。

(実施例4)
 Fe bal. Si 10 B 12 P 4 C 0.5 (原子%)を主成分とし、Mn0.11質量%、Al0.0010質量 %、Tiを0.008質量%、Cuを0.14%、Sを0.006質量%含む 150mm厚さ50μmの本発明アモルファス合金薄帯 を水冷したCu-Cr-Zr合金製ロールを用いた単ロ ル法により作製した。X線回折の結果アモル ファス特有のハローパターンが確認された。 次にこの合金薄帯表面にポリイミド樹脂を塗 布し2枚重ねした後に加熱圧着して積層帯を 製した。ポリイミド樹脂接着層の厚さは約1 mであった。このアモルファス積層帯を外径2 5mm内径20mmのリング状に加工し、80枚積層して 積層コアを作製した。積層コアを450℃で1時 熱処理を行った。更に積層コアに巻線をほ こし20kHz、0.2Tにおける磁心損失を測定した 磁心損失は28W/kgであった。比較のためにFe bal. Si 10 B 12 P 4 C 0.5 (原子%)を主成分とし、Mn0.11質量%、Al0.154質量% 、Tiを0.15質量%、Cuを0.02%、Sを0.002質量%含む本 発明外のアモルファス合金薄帯を作製した。 同様のプロセスで積層コアを作製し20kHz、0.2T における磁心損失を測定した結果、磁心損失 は112W/kgであり本発明の積層コアよりも鉄損 大きく劣っていた。また、実施例4の磁心の 路の一部を切断してギャップを形成し、巻 を行いチョークコイルを作製した。直流重 特性を測定した結果、フェライトのチョー コイルと比べて直流重畳特性が優れている とが確認された。

(実施例5)
 Fe bal. Si 10 B 11 P 5 Cr 0.5 (原子%)を主成分とし、Mn0.16質量%、Al0.0006質量 %、Tiを0.005質量%、Cuを0.09%、Sを0.004質量%含む 成の軟磁性合金粉末を水アトマイズ法によ 作製した。次にこの粉末を分球して30μm~60μ mの粒径の粉末を得た。この合金粉末のX線回 を行った。本発明合金は、アモルファス合 に特有のハローパターンを示した。次に、 の粉末にシリコーン系樹脂からなる絶縁性 着剤を添加し、更に潤滑剤としてステアリ 酸亜鉛を混合しプレス機にて加圧成形し圧 磁心を作製した。この圧粉磁心を450℃で1時 間熱処理した。熱処理後の圧粉磁心の100kHz,0. 1Tにおける磁心損失を測定した。磁心損失は2 20kW/m 3 で低い値を示した。比較のため、Fe bal. Si 10 B 11 P 5 Cr 0.5 (原子%)を主成分とし、Mn0.18質量%、Al0.19質量% Tiを0.15質量%、Cuを0.02%、Sを0.002質量%含む組 の本発明の合金組成から外れる軟磁性合金 末を同様のプロセスで作製し、更にこの軟 性合金粉末を用い同様なプロセスにより圧 磁心を作製した。熱処理後の圧粉磁心の100k Hz,0.1Tにおける磁心損失を測定した結果、磁 損失は1500kW/m 3 であり著しく高い値を示した。

 各種リアクトル、各種チョークコイル・ ンダクタ、各種トランス、モーター用鉄心 磁気シールド、磁気センサー、電流センサ 等の磁性部品に用いられ、特にリアクトル チョークコイルやトランスの磁心に好適な 性を有する量産に適し、アモルファス形成 が良好で優れた磁気特性を示すアモルファ 軟磁性合金、アモルファス軟磁性合金薄帯 アモルファス軟磁性合金粉末およびそれを いた低損失の磁心並びにこれを用いた高性 な磁性部品を提供できる。