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Patent Searching and Data


Title:
APPARATUS FOR REFOLDING PROTEIN
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/126401
Kind Code:
A1
Abstract:
It is intended to provide an apparatus for refolding a protein effective in refolding (i.e., functionally potentiating) a protein produced by Escherichia coli, etc. which is inactive because of the lack of high-order structure or an inactivated protein the steric structure of which has been changed for some reason.Namely, an apparatus for refolding protein which is provided at least with a column for refolding a protein packed with a column packing for refolding a protein containing granulated zeolite having the BEA structure (zeolite beta) is provided.

Inventors:
KAWAKAMI MASAYUKI (JP)
TSUNODA TATSUO (JP)
TOGASHI HIDEAKI (JP)
NARA TAKAYUKI (JP)
MATSUURA SHUN-ICHI (JP)
SEKIKAWA CHISATO (JP)
KAWAI AKIKO (JP)
KAWATA AKIYOSHI (JP)
MIZUKAMI FUJIO (JP)
SAKAGUCHI KENGO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/000878
Publication Date:
October 23, 2008
Filing Date:
April 04, 2008
Export Citation:
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Assignee:
FUJIFILM CORP (JP)
NAT INST OF ADVANCED IND SCIEN (JP)
KAWAKAMI MASAYUKI (JP)
TSUNODA TATSUO (JP)
TOGASHI HIDEAKI (JP)
NARA TAKAYUKI (JP)
MATSUURA SHUN-ICHI (JP)
SEKIKAWA CHISATO (JP)
KAWAI AKIKO (JP)
KAWATA AKIYOSHI (JP)
MIZUKAMI FUJIO (JP)
SAKAGUCHI KENGO (JP)
International Classes:
C07K1/113; C12N9/00; C12P21/02; G01N30/00
Domestic Patent References:
WO2005005459A12005-01-20
Foreign References:
JP2004330113A2004-11-25
Other References:
CHIKU H. ETA L.: "A novel protein refolding method using a zeolite", ANAL. BIOCHEM., vol. 348, no. 2, 2006, pages 307 - 314, XP005217382
"Amersham Pharmacia Biotech", LIFE SCIENCE NEWS (JAPAN ED.), vol. 2, 2001, pages 13 - 14
Attorney, Agent or Firm:
SIKs & Co. (Kyobashi-Nisshoku Bldg.8-7, Kyobashi 1-chom, Chuo-ku Tokyo 31, JP)
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Claims:
粒子状に造粒されているBEA構造のゼオライト(ゼオライトベータ)を含むタンパク質リフォールディング用カラム充填剤を充填したリフォールディング用カラムを少なくとも備えている、タンパク質リフォールディング装置。
ゼオライトベータが、粒子径20μmから1000μmの範囲に造粒されていることを特徴とする、請求項1に記載のタンパク質リフォールディング装置。
リフォールディング用カラム充填剤が、ゼオライトベータ、およびゼオライトベータを造粒化するための糊料からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載のタンパク質リフォールディング装置。
タンパク質変性剤、pH調整剤、タンパク質S-S架橋形成防止剤、凝集・沈澱防止剤、界面活性剤およびリフォールディング因子から選択される少なくとも1種以上をリフォールディング用カラムに添加するための手段をさらに備えていることを特徴とする、請求項1から3の何れかに記載のタンパク質リフォールディング装置。
タンパク質溶液、並びにタンパク質変性剤、pH調整剤、タンパク質S-S架橋形成防止剤、凝集・沈澱防止剤、界面活性剤およびリフォールディング因子から選択される少なくとも1種以上をポンプまたは自然重力下でリフォールディング用カラムに送液するための手段を備えている、請求項1から4の何れかに記載のタンパク質リフォールディング装置。
タンパク質溶液、並びにタンパク質変性剤、pH調整剤、タンパク質S-S架橋形成防止剤、凝集・沈澱防止剤、界面活性剤およびリフォールディング因子から選択される少なくとも1種以上をポンプまたは自然重力下でリフォールディング用カラムに送液する際に、バルブの操作により送液の順番を制御するための手段を備えている、請求項1から5の何れかに記載のタンパク質リフォールディング装置。
タンパク質溶液、並びにタンパク質変性剤、pH調整剤、タンパク質S-S架橋形成防止剤、凝集・沈澱防止剤、界面活性剤およびリフォールディング因子から選択される少なくとも1種以上をポンプまたは自然重力下でリフォールディング用カラムに送液する際に、流量を連続的に可変できるポンプ又はバルブにより、溶液の混合比を連続的に変化するための手段を備えている、請求項1から6の何れかに記載のタンパク質リフォールディング装置。
タンパク質溶液、並びにタンパク質変性剤、pH調整剤、タンパク質S-S架橋形成防止剤、凝集・沈澱防止剤、界面活性剤およびリフォールディング因子から選択される少なくとも1種以上をポンプまたは自然重力下でリフォールディング用カラムに送液する際に、カラムの入口出口に設置されたバルブにより、送液を止めて平衡化の処理を制御するための手段を備えている、請求項1から7の何れかに記載のタンパク質リフォールディング装置。
タンパク質溶液、並びにタンパク質変性剤、pH調整剤、タンパク質S-S架橋形成防止剤、凝集・沈澱防止剤、界面活性剤およびリフォールディング因子から選択される少なくとも1種以上をポンプまたは自然重力下でリフォールディング用カラムに送液する際に、バルブの操作による流路変更、又はポンプにより繰り返しリフォールディング用カラムを通すための手段を備えている、請求項1から8の何れかに記載のタンパク質リフォールディング装置。
タンパク質溶液、並びにタンパク質変性剤、pH調整剤、タンパク質S-S架橋形成防止剤、凝集・沈澱防止剤、界面活性剤およびリフォールディング因子から選択される少なくとも1種以上をポンプによる加圧状態または重力による常圧状態で、リフォールディング用カラムを通すための手段、並びにタンパク質のリフォールディングを行った後に巻き戻されたタンパク質溶液を分割して捕集するための手段を備えている、請求項1から9の何れかに記載のタンパク質リフォールディング装置。
タンパク質溶液、並びにタンパク質変性剤、pH調整剤、タンパク質S-S架橋形成防止剤、凝集・沈澱防止剤、界面活性剤およびリフォールディング因子から選択される少なくとも1種以上をポンプによる加圧状態または重力による常圧状態で、リフォールディング用カラムを通すことによりタンパク質のリフォールディングを行うための手段、並びにカラムの前後を通る溶液のタンパク質濃度を検出するための手段を備えている、請求項1から10の何れかに記載のタンパク質リフォールディング装置。
(1)リフォールディング用カラムに通される各種溶液の送液順序を任意に設定するための手段、(2)カラムの前後を通る溶液のタンパク質濃度を検出するための手段、並びに(3)上記各種溶液の送液速度、送液圧力、滞留時間、混合比、並びにそれらの数値の連続的および/または段階的な変化を行うための手段を備えている、請求項1から11の何れかに記載のタンパク質リフォールディング装置。
請求項1から12の何れかに記載のタンパク質リフォールディング装置中のリフォールディング用カラムに不活性タンパク質を投入してタンパク質リフォールディング用カラム充填剤に該不活性タンパク質を接触させることを含む、不活性タンパク質の機能賦活方法。
Description:
タンパク質リフォールディング 置

 本発明は、不活性タンパク質の機能賦活 作・工程に使用されるタンパク質リフォー ディング装置に関するものであり、更に詳 くは、高次構造が未形成なために不活性な ンパク質、あるいはある種の原因で立体構 が変化し失活したタンパク質をリフォール ィングさせ、該タンパク質固有の本来機能 賦活・再生させる操作・工程を行う装置、 び該装置を利用した不活性タンパク質の活 化すなわち活性タンパク質の製造・生産に するものである。本発明は、例えば、生化 品、医薬品製造の技術分野において、大腸 等の遺伝子発現系を利用して生産した高次 造未形成タンパク質を、リフォールディン させ、該タンパク質の本来の機能・活性を 活させることが可能な新しい装置、並びに れを用いる新しい機能賦活方法を提供する のとして有用である。従来、大腸菌等の発 系で得られるタンパク質は、一般には、立 構造が無秩序であり、該タンパク質の持つ 来の機能・物性を持たず、活性を示さない いう問題があったが、本発明の装置は上記 ンパク質に代表される不活性タンパク質の 能・活性を賦活させ、所定の機能・活性を するタンパク質へと再生させる革新的タン ク質製造・生産技術を提供するばかりか、 の工程を従来技術に比べ大幅に簡略化する のである。

 生体内で実際的に作用し、働くのは遺伝 ではなく、それらから作られるタンパク質 ある。したがって、タンパク質の機能・構 の解明・解析は、例えば、病気の治療や創 に直結し、極めて重要である。このため、 々のタンパク質を様々な方法で合成・生産 、それらの構造を調べ、生体内における作 機構と役割を解明することが活発に行われ いる。そして、今や、タンパク質の機能は それらを構成するアミノ酸の配列・鎖長の ならず、それらの取る秩序だった立体構造( 高次構造)によって決まることは周知のこと なっている。

 タンパク質の合成は、一般には、大腸菌 昆虫細胞、哺乳動物細胞等の発現系を用い 行われる。昆虫細胞や哺乳動物細胞による 成では、得られるタンパク質は、高次構造 制御され、秩序だった立体構造を取り、可 性である場合が多い。しかし、これらの方 は、分離精製の操作が非常に煩雑であり、 的のタンパク質を得るまでに時間がかかり コスト高となるばかりか、得られるタンパ 質の量も極めて少ないという欠点がある。 れに対して、大腸菌によるタンパク質合成 、操作が簡単で、目的タンパク質を得るの さして時間を要せず、コストもさほどかか ない。このため、現在は、目的タンパク質 合成を担う遺伝子コードを組み込ませた大 菌を用いる方法が、タンパク質合成の主流 なっており、生産プロセスも確立されつつ る。

 ところが、ヒトなど高等生物のタンパク を大腸菌発現系で合成した場合、アミノ酸 結合順序や数、すなわちアミノ酸鎖長に関 ては設計どおりのタンパク質が得られるも の、その立体構造には秩序が無く、高次構 が制御されていないタンパク質、すなわち ミノ酸鎖が縺れ絡まった、いわゆるインク ージョンボディと呼ばれる不溶性タンパク が得られる。当然のことながら、この不溶 タンパク質のインクルージョンボディは、 する機能・性能を持たず、活性を示さない このため、大腸菌による生産プロセスでは インクルージョンボディを解きほぐし、高 構造を整え、秩序だった立体構造を持つ可 性タンパク質に変換する操作、すなわちイ クルージョンボディのリフォールディング( 巻き戻し)が必要である。

 この種のリフォールディングは、大腸菌 よる生産タンパク質のみならず、熱履歴等 る種の原因で失活したタンパク質の再生に 応用でき、極めて重要な技術である。した って、従来から、このリフォールディング 盛んに研究され、種々の方法が提案されて るが、それらのほとんどはリフォールディ グ率が低いうえに、ある限定されたタンパ 質(とくに分子量の低い特定タンパク質)に して偶発的に好ましい結果が得られたに過 ないことが多く、現在、このリフォールデ ングは、種々のタンパク質に適用可能な一 性、普遍性のある、しかもリフォールディ グ率の高い効率的で経済的な方法とはなっ いない。また、それらの方法はバッチ式に るもので、一連のリフォールディング操作 多くの人手を要する。

 かかる状況下で、本発明者らは、ゼオラ ト等無機酸化物によるバイオポリマーの選 吸着現象を研究し(非特許文献1参照)、この 程で、ゼオライトベータへの吸脱着で不活 タンパク質が活性化することを見出し、ゼ ライトベータを用いた不活性タンパク質の 能賦活方法(特許文献1,2,3,4、及び非特許文 2参照)を発明するに至った。しかしながら、 特許文献1,2,3,4、及び非特許文献2に記載の方 は、バッチ方式であるうえ、ゼオライトベ タは一般にはサブミクロン以下の極めて細 い粉体粒子でしか得られないので、タンパ 質のゼオライトベータへの吸脱着過程にお る分離工程では濾過が容易ではなく、遠心 離機を幾度となく使わなければならず、該 明のタンパク質の活性化工程は、ゼオライ ベータの吸脱着のみを使うと言う極めてシ プルなものであるが、工程は複雑かつ煩雑 手間がかかるという欠点を有していた。

 また、従来のリフォールディングの操作 工程においては、遠心分離器の他、クロマ グラフィーを用いることが必須であり、こ にも極めて手間や時間がかかり、その結果 コスト高となるという大きな問題もあった

特開2005-29531

特開2005-192452

特開2005-220121

特開2005-281267 Chem. Eur. J., Vol. 7(2001) 1555-1560 Anal. Biochem., Vol. 348(2006) 307-314

 本発明は、大腸菌等で生産した高次構造 形成による不活性タンパク質、あるいはあ 種の原因で立体構造が変化し失活したタン ク質のリフォールディングすなわち機能賦 に対して効果的であるタンパク質リフォー ディング装置を提供することを解決すべき 題とした。

 本発明者らは、上記課題を解決するため 鋭意研究を行い、高次構造が無秩序なため 活性であるタンパク質の高次構造を整えて 性なタンパク質とする巻き戻し機能を有す BEA構造のゼオライト(ゼオライトベータ)で って、粒子状に造粒されているゼオライト ータをタンパク質リフォールディング用カ ム充填剤として使用できることを見出し、 れにより連続的な処理が可能なリフォール ィング装置を開発し、本発明を完成するに った。本発明で用いるリフォールディング カラム充填剤は、大腸菌等の発現系で生産 た高次構造未形成タンパク質あるいは熱履 等ある種の原因で失活したタンパク質等、 子量10万を越える大型のタンパク質を含む種 々の立体構造無秩序タンパク質等の巻き戻し にも、簡単な操作で、適用できる。従って、 本発明によれば、一般性及び普遍性が高く、 かつ簡単・簡略な操作によるタンパク質のリ フォールディング装置が提供される。図1に の構成の一例を示す。

 即ち、本発明によれば、以下の発明が提供 れる。
(1) 粒子状に造粒されているBEA構造のゼオラ ト(ゼオライトベータ)を含むタンパク質リ ォールディング用カラム充填剤を充填した フォールディング用カラムを少なくとも備 ている、タンパク質リフォールディング装 。

(2) ゼオライトベータが、粒子径20μmから1000 mの範囲に造粒されていることを特徴とする (1)に記載のタンパク質リフォールディング 置。
(3) リフォールディング用カラム充填剤が、 オライトベータ、およびゼオライトベータ 造粒化するための糊料からなることを特徴 する、(1)又は(2)に記載のタンパク質リフォ ルディング装置。

(4) タンパク質変性剤、pH調整剤、タンパク S-S架橋形成防止剤、凝集・沈澱防止剤、界 活性剤およびリフォールディング因子から 択される少なくとも1種以上をリフォールデ ング用カラムに添加するための手段をさら 備えていることを特徴とする、(1)から(3)の れかに記載のタンパク質リフォールディン 装置。
(5) タンパク質溶液、並びにタンパク質変性 、pH調整剤、タンパク質S-S架橋形成防止剤 凝集・沈澱防止剤、界面活性剤およびリフ ールディング因子から選択される少なくと 1種以上をポンプまたは自然重力下でリフォ ルディング用カラムに送液するための手段 備えている、(1)から(4)の何れかに記載のタ パク質リフォールディング装置。

(6) タンパク質溶液、並びにタンパク質変性 、pH調整剤、タンパク質S-S架橋形成防止剤 凝集・沈澱防止剤、界面活性剤およびリフ ールディング因子から選択される少なくと 1種以上をポンプまたは自然重力下でリフォ ルディング用カラムに送液する際に、バル の操作により送液の順番を制御するための 段を備えている、(1)から(5)の何れかに記載 タンパク質リフォールディング装置。
(7) タンパク質溶液、並びにタンパク質変性 、pH調整剤、タンパク質S-S架橋形成防止剤 凝集・沈澱防止剤、界面活性剤およびリフ ールディング因子から選択される少なくと 1種以上をポンプまたは自然重力下でリフォ ルディング用カラムに送液する際に、流量 連続的に可変できるポンプ又はバルブによ 、溶液の混合比を連続的に変化するための 段を備えている、(1)から(6)の何れかに記載 タンパク質リフォールディング装置。

(8) タンパク質溶液、並びにタンパク質変性 、pH調整剤、タンパク質S-S架橋形成防止剤 凝集・沈澱防止剤、界面活性剤およびリフ ールディング因子から選択される少なくと 1種以上をポンプまたは自然重力下でリフォ ルディング用カラムに送液する際に、カラ の入口出口に設置されたバルブにより、送 を止めて平衡化の処理を制御するための手 を備えている、(1)から(7)の何れかに記載の ンパク質リフォールディング装置。
(9) タンパク質溶液、並びにタンパク質変性 、pH調整剤、タンパク質S-S架橋形成防止剤 凝集・沈澱防止剤、界面活性剤およびリフ ールディング因子から選択される少なくと 1種以上をポンプまたは自然重力下でリフォ ルディング用カラムに送液する際に、バル の操作による流路変更、又はポンプにより り返しリフォールディング用カラムを通す めの手段を備えている、(1)から(8)の何れか 記載のタンパク質リフォールディング装置

(10) タンパク質溶液、並びにタンパク質変 性剤、pH調整剤、タンパク質S-S架橋形成防止 、凝集・沈澱防止剤、界面活性剤およびリ ォールディング因子から選択される少なく も1種以上をポンプによる加圧状態または重 力による常圧状態で、リフォールディング用 カラムを通すための手段、並びにタンパク質 のリフォールディングを行った後に巻き戻さ れたタンパク質溶液を分割して捕集するため の手段を備えている、(1)から(9)の何れかに記 載のタンパク質リフォールディング装置。

(11) タンパク質溶液、並びにタンパク質変 性剤、pH調整剤、タンパク質S-S架橋形成防止 、凝集・沈澱防止剤、界面活性剤およびリ ォールディング因子から選択される少なく も1種以上をポンプによる加圧状態または重 力による常圧状態で、リフォールディング用 カラムを通すことによりタンパク質のリフォ ールディングを行うための手段、並びにカラ ムの前後を通る溶液のタンパク質濃度を検出 するための手段を備えている、(1)から(10)の れかに記載のタンパク質リフォールディン 装置。

(12) (1)リフォールディング用カラムに通さ れる各種溶液の送液順序を任意に設定するた めの手段、(2)カラムの前後を通る溶液のタン パク質濃度を検出するための手段、並びに(3) 上記各種溶液の送液速度、送液圧力、滞留時 間、混合比、並びにそれらの数値の連続的お よび/または段階的な変化を行うための手段 備えている、(1)から(11)の何れかに記載のタ パク質リフォールディング装置。

(13) (1)から(12)の何れかに記載のタンパク リフォールディング装置中のリフォールデ ング用カラムに不活性タンパク質を投入し タンパク質リフォールディング用カラム充 剤に該不活性タンパク質を接触させること 含む、不活性タンパク質の機能賦活方法。

 本発明は、不活性タンパク質の機能を賦活 るためのタンパク質リフォールディング装 に関するものである。本発明によれば、以 の効果が達成される。
(1)タンパク質の種類を問わず広範な不活性タ ンパク質に対して、それら本来の機能を賦活 させる万能的リフォールディング条件を選定 できる。
(2)本発明の装置を用いて前記タンパク質、例 えば大腸菌等の発現系で産生された高次構造 が未形成なために不活性なタンパク質、ある いはある種の原因で立体構造が変化して失活 したタンパク質を処理することにより、それ らタンパク質の本来の機能・活性をリフォー ルディングにより賦活させることができる。
(3)本発明の装置はインクルージョンボディの タンパク質にも効力を有し、これを用いるイ ンクルージョンボディの効率的なリフォール ディング方法として有用である。
(4)本発明の装置を用いることによる不活性タ ンパク質の機能賦活方法は、タンパク質を構 成するアミノ酸の鎖長・配列を問わず種々の 変性タンパク質に適用可能な、一般性、普遍 性のある、しかもリフォールディング率の高 い効率的方法として提供される。
(5)本発明の装置で用いるリフォールディング 用カラム充填剤を構成するBEA構造のゼオライ トすなわちゼオライトベータは、低コストで ある。
(6)本発明の装置を用いる不活性タンパク質の 機能賦活方法は、分子量10万を越える大型の ンパク質を含む種々の立体構造無秩序タン ク質のリフォールディングに適用できる。
(7)例えば、大腸菌の発現系によるタンパク質 合成プロセスと本発明の装置による不活性タ ンパク質の機能賦活とを組み合わせることに より、高次構造が制御されて該タンパク質固 有の本来機能が備わったタンパク質を生産す る新規の活性タンパク質製造プロセスを提案 ・確立することができる。

 次に、本発明について更に詳細に説明する
 本発明のリフォールディング装置は、BEA構 のゼオライトをカラム充填剤として用いた ラムを必須構成要素としている。BEA構造の オライト(通称ゼオライトベータ、Zeolite Bet a)は、ベータゼオライトとも呼ばれ、典型例 して、例えば、通常の市販ゼオライトベー 、文献(Zeolites, Vol. 11 (1991) 202を参照)に従 い自前で合成・調製したゼオライトベータ、 それらを焼成して得られるゼオライトベータ 、該ゼオライトの有する空間中にアンモニウ ムや種々の脂肪族及び/又は芳香族アンモニ ムがあるゼオライトベータ、該ゼオライト 形成する骨格ケイ素の一部が他の金属に変 った骨格置換ゼオライトベータ、前記アン ニウム含有骨格置換ゼオライトベータなど 挙げられるが、ゼオライトベータの骨格構 を持つものであれば、基本的には全て該機 ・能力を有しており全て使用可能であって 該リフォールディング用カラム充填剤およ カラムを構成するゼオライトベータとして その製造方法や性状が特段に限定されるも ではない。

 しかしながら、本発明のリフォールディ グ装置が用いるリフォールディング用カラ を構成するゼオライトベータの該機能・能 は、不活性並びに変性タンパク質の該ゼオ イトへの接触すなわち吸着・脱離で発揮さ 、この際にはゼオライトベータ表面と対象 ンパク質との間の親和性が重要となる上に また、該タンパク質の吸着・脱離はその分 溶媒、分散溶媒中の変性剤や界面活性剤並 にリフォールディング因子、更には分散溶 のpHなどで影響される場合も多いので、対 とするタンパク質及びそれを含む溶液の成 状況等に応じて、本発明のリフォールディ グ装置はリフォールディング用カラムを適 選択して用いるものである。リフォールデ ング用カラムのリフォールディング能は、 れを構成する前述の種々のゼオライトベー によって、多少変わることも多い。総じて えば、アンモニウム類を含むゼオライトベ タより構成されるリフォールディング用カ ム充填剤はそれを含まないものより高いリ ォールディング能を示すので、該リフォー ディング用カラム充填剤およびカラムとし は、アンモニウム類を含むゼオライトベー およびアンモニウム類を含む骨格置換ゼオ イトベータで構成されるものが好ましいこ が、しばしばである。

 該リフォールディング用カラムの、ゼオ イトベータに含有されるべきアンモニウム としては、該ゼオライトの有する空間中に まり易いアンモニウム類、例えばアンモニ ムイオン、アルキル基がメチル、エチル、 ロピル及びブチルなどのモノ、ジ、トリ及 テトラアルキルアンモニウムイオン、更に 5員環、6員環及7員環の脂肪族アミン及び芳 族アミンのアンモニウムイオン、より詳し は、ピペリジュムイオン、アルキルピペリ ュムイオン、ピリジニウムイオン、アルキ ピリジウムイオン、アニリンイオン、N-ア キルアニリンイオンなどを挙げることがで 、基本的には、ゼオライトベータの有する 孔中に入ることが可能なアンモニウム類で れば、いずれでもよく、ここに例示したア モニウム類に限定されるものではない。

 該リフォールディング用カラムのゼオラ トベータの骨格を形成する元素は、一般に ケイ素と酸素、あるいはケイ素と酸素とア ミニウムであるが、ケイ素やアルミニウム 一部が他の元素に置換したゼオライトベー 及びその細孔中に前記アンモニウム類を含 置換ゼオライトベータも、不活性タンパク の活性賦活機能を有する。ゼオライトベー の骨格ケイ素あるいはアルミニウムと置換 能なものの典型としては、例えば、ホウ素 燐、ガリウム、錫、チタン、鉄、コバルト 銅、ニッケル、亜鉛、クロム、バナジウム どを挙げることができるが、これらに留ま ものではなく、基本的にゼオライトベータ 構造を破壊しないものであればいずれでも い。また、その置換量に関しても、ゼオラ トベータの構造を破壊しない量であれば、 換量はいかなる量でもかまわず、該置換ゼ ライトベータは不活性、あるいは変性タン ク質のリフォールディング機能を発揮する フォールディング用カラム充填剤となり得 。

 本発明で用いるゼオライトベータは、い れも熱安定性、化学安定性に優れており、 かも安価であるうえ環境に対する負荷が低 物質なので、本発明のリフォールディング 置は、例えば、生化学品製造、医薬品製造 とって極めて有用であり、その経済効果は り知れないものがある。

 ゼオライトベータは一般にはサブミクロ 以下の極めて細かい粉体粒子でしか得られ いので、ゼオライトベータそのものをリフ ールディング用カラム充填剤として用いる とは問題が多い。たとえば、造粒を行わな ゼオライトベータをカラムに充填した場合 その粒子径から、カラムの排出口側につい いるフィルターを通過して装置のポンプ部 に悪影響を及ぼしたり、フィルターを容易 目詰まりさせ、カラムとしての用途をなさ いことが十分予想される。また、造粒を行 ないゼオライトベータをカラムに充填し、 のカラムに溶液を通過させるのには大きな 力を必要とし、このことは送液ポンプ等に 無用な負荷をかけることになることも予想 れる。かかる状況を踏まえ、カラム充填剤 して利用するには、ゼオライトベータの造 化が不可欠である。本発明のリフォールデ ング装置においては、造粒化されたゼオラ トベータを用いたリフォールディング用カ ムを用いることとなる。このカラムは図1中 、7に示される。

 ゼオライトベータをカラム充填剤として いる際の粒径は、カラムとして機能するよ 溶液が適度な圧力で透過できれば良いため 溶液の粘度や濃度、ポンプの性能等により まるものであり、その利用方法や使用形態 よって変わるもので、適宜選定されるもの あるが、実在するカラムの耐圧性やポンプ 性能を考慮すると、好ましくは20~1000μmの範 囲にあることが望ましい。

 本発明で用いるリフォールディング用カ ム充填剤は、BEA構造のゼオライトいわゆる オライトベータ、及びそれを粒状化する糊 (造粒剤)とから構成されることが好ましい 一般的に言って、ゼオライトという物質は 己焼結性が乏しいため、単味単独では成形 にくいことが多いので、粒状体の作製すな ち形態・形状の設計・制御に関しては、糊 材料を用いて造粒化することが可能なため 一般に、自由度が高く、有利であることが い。

 しかしながら、造粒された粒状化ゼオラ トベータの形態・形状の設計・制御法すな ち作製方法は、該造粒体の利用方法や使用 態によって変わるものであり、適宜選定さ るものである。したがって、該造粒体の作 には、公知の方法が全て利用可能であり、 宜選定され、あるいは組み合わされて使用 れることになるので、特に限定されるもの も無く、また、特に詳しい説明や言及を必 とするものではないが、該造粒体の作製法 すなわち形態・形状の設計・制御法として 強いて二、三例を挙げれば、次のようなも がある。造粒体の作製では、水に不溶の接 剤によるゼオライトベータの粒状化、ドラ ゲルコンバージョン方や固相変換法(Stud. Su rf. Sci. Catal. Vol. 125 (1999) 1-12、及び表面、 Vol. 37 (1999) 537-557を参照)による凝集状態の オライトベータ作製、アルミナ等無機粉体 よるゼオライトベータの接着・成形、核と る物質への付着によるゼオライトベータの 状化などが利用可能であるが、これらに限 れるものではない。

 一方、ゼオライトは自己焼結性が極めて しい物質であるため、焼結による造粒は極 て困難である。焼結を試みる場合、焼結助 としてアルミナを用いることが多い。しか ながら、アルミナを焼結助剤として用いた 合、ゼオライトとアルミナの間で熱による 応が進行し、新しい相が形成されてしまう この新たな相はゼオライトとは本質的に異 る物質であることが多く、リフォールディ グ用カラム充填剤としては適さない、ある は該機能を有しない可能性が高い。したが て、この種の焼結によるゼオライトベータ 造粒は、大いに推奨されるものではないが 排除されるものでもない。

 糊料材料を用いた造粒法において好まし 一例を挙げると、一般的な造粒法である、 ン型造粒機を用いた方法がよく知られてい 。回転軸に傾斜角が付けられたパン状の容 に原料粉末を装填し、回転攪拌する。その 料粉末に糊料材料を噴霧または滴下するこ により、原料粒子の凝集・接着を促進し、 粒を行う。パンの大きさ・寸法、回転速度 傾斜角、糊料材料の添加方法・添加速度な は、該造粒体の利用方法や使用形態、作製 によって変わるものであり、適宜選定され ものである。

 該造粒体の形態・形状については、球状 塊状、鱗片状、多孔質状など、該造粒体の 用方法・使用形態に応じて、適宜選定され 。特に、糊料材料については、基本的には に不溶であり、タンパク質に悪影響を及ぼ ないものであればいずれも良く、好ましい のの一例を挙げれば、アセチルセルロース どが有望であり、そのアセチルセルロース アセトン溶液を用いることが有望である。 トロセルロースやポリスチレン樹脂なども 様に有望である。ニトロセルロースはアセ ンもしくはアセトンを主成分とする溶剤に 解した状態で、またポリスチレン樹脂は酢 エチルを主成分とした溶剤で溶解した状態 用いることが有望である。

 該造粒法によりゼオライトベータを造粒 た場合、アセチルセルロースの添加量にし がって造粒が進行し、より大きな粒子径を ることが可能であり、特にその糊料材料の 加量には制限がないが、あまりに多量の糊 材料を添加するとゼオライトベータの表面 糊料材料により覆われ、タンパク質のリフ ールディング機能が失われる可能性がある 作製時の条件にも依存するものであるが、 ましくは糊料材料が乾燥した状態での重量 、0.2~50重量%の範囲でリフォールディング用 カラム充填剤として良好な粒子を得ることが できる。

 該リフォールディング用カラムに、ロッ 間の性能の差が存在することは実使用上極 て不都合である。該リフォールディング用 ラムのロット間の性能の差は、充填されて る充填剤の量や充填の状態、そしてその状 に大きな影響を及ぼすのは、充填剤の粒度 布や粒子形態などになる。この不都合を解 するためには、該造粒体の粒度分布や粒子 態を制御する必要があるが、その方法は該 粒体の利用方法や使用形態によって変わる のであり、適宜選定されるものである。し がって、該造粒体の粒度分布や粒子形態の 御には、公知の方法が全て利用可能であり 適宜選定され、あるいは組み合わされて使 されることになるので、特に限定されるも でも無く、また、特に詳しい説明や言及を 要とするものではないが、該造粒体の粒子 態の制御法としては、造粒時の条件を制御 ることにより可能となる。また、該造粒体 粒度分布の制御法として、一般的なものを げれば、篩による分級や流体を用いた分級 ある。篩による方法によれば、準備できた の規格により粒径分布を制御できる。

 本発明の装置が用いる不活性タンパク質 機能賦活を行う試剤群、すなわちリフォー ディング装置の対象となるタンパク質は高 構造が整っていない不活性なタンパク質全 であるが、一般には、大腸菌等の発現系で られる立体構造が無秩序なタンパク質、い ゆるインクルージョンボディ、あるいは熱 歴等のある種の原因で失活したタンパク質 ある。本発明の装置は、該タンパク質の該 置中のゼオライトベータからなるリフォー ディング用カラムへの吸着・脱離過程で、 タンパク質の立体構造をリフォールディン し、該タンパク質本来機能の賦活・付与を うが、該リフォールディング用カラムの本 力は、必ずしもそれに限定されるものでは いが、通常、次のような操作で発揮される 換言すれば、次のような操作で不活性タン ク質の機能賦活が行われる。まず、該タン ク質を変性剤や界面活性剤などを含む溶液 分散溶解し、この後、該リフォールディン 用カラムへの注入により、該タンパク質を リフォールディング用カラムに吸着させ、 いで該リフォールディング用カラムから該 ンパク質を脱着させる手順で行われる。

 該リフォールディング用カラムに吸着前 タンパク質の分散溶媒としては、一般には それが大腸菌等の発現系で生産されること 、タンパク質は、通常、水溶液中で使われ ことが多く、失活した場合でも水溶液中に ることが多いことから、好ましくは、水が いられる。しかし、必ずしもこれに限定さ るものではなく、該タンパク質と反応を起 さないもの、及び該タンパク質の立体構造 不本意な形に変えるものでなければ、基本 には問題はなく、このような場合は、それ 溶媒単独あるいは水と混合して用いること 可能である。この種の溶媒の典型例として 一価および多価のアルコールやポリエーテ 類をあげることができるが、これらに限定 れるものではない。

 該タンパク質の吸脱着は、一般には、イ クルージョンボディなど縺れ絡んだタンパ 質鎖長を解きほぐし易くし、また巻き戻り くするために変性剤や界面活性剤、pH調整 、リフォールディング因子等の存在下、及 /又は、タンパク質鎖長中に不本意に生成し S-S結合(架橋)を切断するために、ある種の 元剤やレドックス試薬の存在下で行われる したがって、本発明の装置は、ゼオライト ータからなるリフォールディング用カラム 他、変性剤やpH調整剤を必要に応じて構成要 素として用い、更にはこれらの他、該リフォ ールディング用カラムからのタンパク質の脱 着促進とリフォールディング後の再インクル ージョンボディ化を防ぐためのリフォールデ ィング因子及び/又は界面活性剤、S-S架橋形 防止(阻害)剤を必要に応じて含む溶液を用い る。

 本発明の装置が用いるこの種の変性剤やpH 整剤の典型例としては、例えば、前者につ ては塩酸グアニジンや尿素、後者について トリスアミノメタン塩酸塩(TrisHCl)および4-(2- ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスル ォン酸(4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic
acid :HEPES)、2-モノホリノエタンスルホン酸(2- morpholonoethanesulfonic acid: MES)、3-モノホリノプ ロパンスルホン酸(3-pholinopropanesulfonic acid :  MOPS)などを挙げることができるが、これらに どまるものではなく、同様な作用を持つも はいずれも使用可能である。

 また、本発明の装置が用いるリフォール ィング因子や界面活性剤の典型例としては ポリエチレングリコール(PEG20000、PEG800、 PE G200、PEG3350など)、Ficol170、Ficol1400、ポリ燐酸 ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、スクロース グルコース、グリセロール、イノシトール シクロデキストリン、アミロース、Dextran T- 500、Tween20、Tween40、Tween60、NP-40、SB3-14、SB12、 CTABおよびTritonX-100などを挙げることができる が、これらに限定されるものではなく、同様 な作用を持つものはいずれも使用可能である 。

 不本意に生成したS-S架橋を切断し、本来 構造に戻す還元剤としては、安価で入手し いことから、通常は2-メルカプトエタノー 、ジチオスレイトール、シスチン、グルタ オンあるいはチオフェノールが用いられる 、これに限定されるものではなく、同様な 用を行うものは全て使用可能である。

 当然のことながら、タンパク質鎖長が解 ほぐれやすい場合や、不本意にS-S架橋が生 しない場合は、変性剤や界面活性剤、およ /または還元剤を必ずしも使う必要がないの で、これらの存在は常に必須とは限らず、状 況に応じ適宜選択して用いられる。また、装 置に用いる溶液成分の量は、それを用いると きの状況に応じ適宜決められることになるが 、本発明の装置は通常はゼオライトベータか らなるリフォールディング用カラム、塩酸グ アニジン(変性剤)およびTrisHClとHEPES(pH調整剤) を溶液成分として、更に2-メルカプトエタノ ルと前記リフォールディング因子や界面活 剤の1種あるいは2種を用いることになる。

 一般に、本装置を用いてのリフォールデ ング操作・工程中のタンパク質の脱着過程 は、通常、該装置が用いる試剤(フォールデ ィング因子や界面活性剤)による置換吸着が いられるが、基本的には該タンパク質の脱 後の機能賦活を阻まない操作であれば、い なる操作も適用可能で、とくに限定される のではない。したがって、pH変化、温度変化 なども用いることができる上に、これらと置 換吸着を併用することもできる。

 ところで、置換吸着の際、該タンパク質 脱着を促す物質として、従来からカラムク マトグラフィーの溶離では、ハロゲン化ア カリなどの塩が頻繁に用いられており、こ らの併用で顕著な効果が得られる場合も多 。また、本発明の装置を用いる時に、試剤 の反応など特に問題や支障が起きない場合 、構成試剤の幾つかをあらかじめ合わせて き一つの試剤としておくこともできる。例 挙げれば、HEPES、ハロゲン化アルカリ(例え 塩化ナトリウム)、2-メルカプトエタノール リフォールディング因子(例えばポリエチレ ングリコールのPEG20000、PEG800、 PEG200、PEG3350 うちの1種や、Ficol170あるいはβ-シクロデキ トリン)および界面活性剤(例えばTween20、 Tw een40、Tween60、NP-40あるいはTritonX-100)からなる 液をリフォールディングバッファーとして 纏めにし、本発明の装置が用いる構成試剤 一つにすることも可能である。これはリフ ールディング操作・工程でしばしば大きな 便となる。

 該タンパク質が巻き戻された状態で該リ ォールディング用カラムから脱着した場合 その濃度や溶液の組成・状態により、該タ パク質が凝集を起こし沈澱してしまうこと ある。そのような不本意に生成する凝集・ 澱を避けるため、その効果がよく知られた ルギニンが用いられるが、これに限定され ものではなく、同様な作用を行うものは全 使用可能である。当然のことながら、該タ パク質が巻き戻された状態で凝集を起こし くい場合や、不本意に凝集・沈澱が生成し い場合は、凝集防止剤を必ずしも使う必要 ないので、これらの存在は常に必須とは限 ず、状況に応じ適宜選択して用いられる。 た、それらを用いる場合も、それらの量は 況に応じ適宜決められることになる。

 これらの溶液群は、図1中、4,9,10に示され る。タンパク質変性剤、pH調整剤、更にタン ク質S-S架橋形成防止剤、凝集・沈澱防止剤 界面活性剤およびリフォールディング因子 含む溶液群は図1中、4に対応する。pH調整剤 を含む溶液は、図1中、9に対応する。タンパ 質溶液(変性剤や界面活性剤を含む場合があ る)は、図1中、10に対応する。

 更に言えば、該タンパク質の該装置中の リフォールディング用カラムへの吸着ある はそれからの脱着を促すために、上記操作 併用して種々の付加的操作を行うこともで る。このような操作の典型例には、例えば 超音波やマイクロ波の照射や、磁場や電場 印加がある。これらの操作は、図1中、8に される部位により行われる。以上述べてき 本発明の装置を用いての手順・操作により 該リフォールディング用カラムの持つタン ク質巻き戻し能が高度に発揮されることに り、大腸菌等の発現系を用い生産した高次 造未形成タンパク質並びにある種の原因で 活したタンパク質にリフォールディングが き、それらタンパク質が本来持つはずの機 が速やかに賦活される。

 該装置では、該タンパク質を変性剤や界 活性剤などを含む溶液に分散溶解し、この 、該リフォールディング用カラムへの注入 より、該タンパク質を該リフォールディン 用カラムに吸着させ、ついで該リフォール ィング用カラムから該タンパク質を脱着さ る手順で行われ、不活性タンパク質の機能 活が行われる。この操作を連続的に行うた 、該装置は、溶液を吸引・送液するための ンプ、溶液の種類や流れを切り替えるバル を必須構成要素として用いる。これらの機 を有する部位は、図1中、1にて示される。 般的にこのような操作を行える装置として 体クロマトグラフィーの装置がある。該装 は、リフォールディング用カラムを必須構 要素として装備しており、そのリフォール ィング用カラムを最適な条件で作動させる とを目的とした装置である。

 ポンプとしては、リフォールディング用 ラムの利用方法や使用形態によって変わる のであり、適宜選定されるものである。し がって、ポンプの種類・形式としては、公 の方法が全て利用可能であり、適宜選定さ 、あるいは組み合わされて使用されること なるので、特に限定されるものでも無く、 た、特に詳しい説明や言及を必要とするも ではないが、その適用が好ましいものを、 いて二、三例を挙げれば、オープンカラム 式のリフォールディング用カラムを用いる 合には、ペリスタポンプのような単純な構 のものでも適用可能であり、インライン用 ラム形式のリフォールディング用カラムの 合には、脈流が生じにくい点で、制御機構 装置された2連プランジャ往復方式のポンプ などがある。これらは、図1中、2に示される

 切り替えバルブについても、その仕様は フォールディング用カラムの利用方法や使 形態によって変わるものであり、適宜選定 れるものである。したがって、切り替えバ ブの種類・形式としては、公知の方法が全 利用可能であり、適宜選定され、あるいは み合わされて使用されることになるので、 に限定されるものでも無く、また、特に詳 い説明や言及を必要とするものではないが その適用が好ましいものを、強いて挙げれ 、デッドボリュームが少なく、迅速に流路 変更することが容易である、三方弁や六方 などの多方弁形式のバルブなどがある。い までもなく、電力により駆動し、バルブ位 を電気的信号等で検知できる形式が好まし 。これらの機能を有する部位は、図1中、3 て示される。

 該リフォールディング装置によりリフォ ルドされたタンパク質を含む溶液は、適宜 取されることで、好ましいことがしばしば ある。タンパク質リフォールディング用カ ムからリフォールドされて出てくるタンパ 質溶液の濃度は、リフォールディング用カ ムを流れる溶液組成の連続的または非連続 な変化に対応して変化することが容易に予 される。従って、一定容量ずつ別々の容器 注入されることが望ましい。溶液の分取装 もしくは分取機構は、タンパク質の種類や リフォールディング装置の利用方法や使用 態によって変わるものであり、適宜選定さ るものである。したがって、分取装置もし は分取機構の種類・形式としては、公知の 法が全て利用可能であり、適宜選定され、 るいは組み合わされて使用されることにな ので、特に限定されるものでも無く、また 特に詳しい説明や言及を必要とするもので ないが、その適用が好ましいものを、強い 挙げれば、多数のチューブがセットされた ーブルを自動的に駆動させ、その個々のチ ーブの上部から一定量の溶液を滴下するこ で、一定容量ずつの分取を行う装置がある これらの機能を有する部位は、図1中の11,12 相当する。

 該リフォールディング装置によりリフォ ルドされたタンパク質を含む溶液のタンパ 質濃度が、実時間で計測されていることが ましいことがしばしばである。タンパク質 フォールディング用カラムからリフォール されて出てくるタンパク質溶液の濃度は、 フォールディング用カラムを流れる溶液組 の連続的または非連続的な変化に対応して 化することが容易に予想される。従って、 ルブの操作や溶液の分取の時期を適切に行 ために、実時間で溶液中のタンパク質濃度 計測されている機構が、該リフォールディ グ装置に装備されていることが望ましい。 の検出系としては、該リフォールディング 置の利用方法や使用形態によって変わるも であり、適宜選定されるものである。した って、検出器の種類・形式としては、公知 方法が全て利用可能であり、適宜選定され あるいは組み合わされて使用されることに るので、特に限定されるものでも無く、ま 、特に詳しい説明や言及を必要とするもの はないが、その適用が好ましいものを、強 て挙げれば、280nmの紫外光の吸収を計測す 方式のものをあげることができる。これら 機能を有する部位は、図1中、5にて示される 。

 該リフォールディング装置は、用いる各 溶液の送液順序を任意に設定できるととも 、各種溶液の送液速度、送液圧力、滞留時 、混合比、さらにはそれらの数値の連続的 よび/または段階的な変化を行うことで、タ ンパク質を効率よくリフォールディングさせ 回収することができる特徴を有している。こ の特徴をより効率的に発揮するため、上述の 各種条件を設定することができる機能を有し ていることが好ましい。その方式や機構は該 リフォールディング装置の利用方法や使用形 態によって変わるものであり、適宜選定され るものである。したがって、制御の方式や機 構としては、公知の方法が全て利用可能であ り、適宜選定され、あるいは組み合わされて 使用されることになるので、特に限定される ものでも無く、また、特に詳しい説明や言及 を必要とするものではないが、その適用が好 ましいものを、強いて挙げれば、コンピュー ターによるポンプ、バルブ、タンパク質濃度 検出、分取装置の自動制御などがあげられる 。これらの機能を有する部位は、図1中、13に て示される。

 以下の実施例に基づいて本発明を具体的 説明するが、本発明は、以下の実施例等に って何ら制約を受けるものではない。

 以下の実施例では、大腸菌発現系生産タ パク質及び変性タンパク質の機能賦活を説 するが、本発明は実施例によって限定・制 されるものではない。

(1)カラム充填剤およびカラムの調製
(a)リフォールディング用カラム充填剤の作製 (造粒)
 ゼオライトベータ粉末をパン型造粒機もし はパン型部分を円筒状に交換した造粒機に 入し、1~2重量%アセチルセルロースのアセト ン溶液を噴霧器もしくはエアブラシ等を用い て噴霧し、造粒化を行った。造粒機の回転速 度は60回転/分、パンおよび円筒容器の傾斜角 は45℃、但しこれらの条件は装填する原料粉 の量などにより適宜調節する。アセチルセ ロースの濃度は、1~2重量%が適切であり、こ れ以上の濃度になると溶液の粘度が高くなり 、噴霧が困難になる。原料粉末重量に対して 、最終的なアセチルセルロースが3~20%の範囲 、好ましい顆粒状の粉体が得られる。当然 ことながらアセチルセルロース含有量が増 ることにより、粒子径は増大する傾向があ 。

(b)リフォールディング用カラム充填剤の分級
 造粒されたゼオライトベータは粒度分布を するため、分級する。ふるいを用いたりす 一般的な方法が適用可能である。しかしな ら、ゼオライトベータはその一次粒子径が さいことや空気中の水分等を吸収しやすい め、凝集を起こしやすい。通常のふるいに る分級では困難な場合が多く、造粒物を超 水で懸濁させ、スラリー状態でふるいにか ることにより分級が容易になることが多い この方法では50μm以上の粒径であれば、容 に分級が可能であり、準備できた篩の規格 より粒径分布を制御できる。たとえば100μm 篩を通過し、75μmの篩は通過しない粉体を集 めれば、その粒径分布は75~100μmの範囲に入る ことになる。同様な方法で、粒径分布を制御 できる。

(c)リフォールディング用カラム充填剤のカラ ムへの充填
 作製された顆粒状のゼオライトベータを超 水で懸濁させ、重力による自然沈降を用い カラムに充填する。さらに真空デシケータ などに入れ減圧処理を施すことにより脱気 行い、空隙の存在しない充填状態を確保す 。乾燥状態での充填も可能であるが、その の利用の利便性を考慮すると超純水と共存 態であることの方が有利である。オープン ラムおよびインライン用のカラム、双方共 同様な方法により充填する。重力による自 沈降を用いることにより、粒度分布が揃っ いれば同様な充填状態を実現し、カラムと てのロット間の特性差を揃えることができ 。

 オープンカラムへの充填は、代表的なカ ムとしてBio-Rad Laboratories製ポリプレップ  ロマトグラフィカラムを用いて、超純水と 混合状態でスラリー状になっている充填剤 1~2g(1~2ml)程度注入する。重力による自然沈降 を待ち、充填剤を安定させる。その後、カラ ム下部の排出口を開け、余分な超純水を廃棄 する。超純水による湿潤状態のままカラムを 保存、もしくは利用する。

 インラインカラムへの充填は、代表的な ラムとしてGEヘルスケア社製のTriconカラム ットを用いる。アダプターを介して同じ径 ガラスチューブを接続し、超純水との懸濁 態でスラリー状になっている充填剤を注入 る。重力による自然沈降を待ち、充填剤を 定させる。アダプターを取り除いた後、超 水を満たした状態で減圧処理を施すことに り脱気を行う。超純水による湿潤状態のま カラムを保存、もしくは利用する。

 比較のため、造粒を行わないゼオライト ータをカラムに充填してみた。結果、カラ の排出口側についているフィルターが容易 目詰まりを起こし、カラムとしての用途を さないことが明らかとなった。また、造粒 行わないゼオライトベータをカラムに充填 、そのカラムに溶液を通過させるのに大き 圧力を必要とし、このことは送液ポンプ等 も無用な負荷をかけるとことになり、カラ 充填剤として利用するには、ゼオライトベ タの造粒化が不可欠であることが示された

(2)試料等の調整
(a)変性タンパク質溶液
 活性賦活対象タンパク質として、試薬とし 入手可能なRNaseA、リゾチームを使用した。 た、大腸菌から発現させたインクルージョ ボディとしては、GFP(緑色蛍光タンパク質) LDH(乳酸脱水素酵素)を用いた。これらのタン パク質は試薬およびインクルージョンボディ 共に6M塩酸グアニジン溶液に溶解し、濃度を 定しつつ1mg/mlの溶液を作成する。

(b)リフォールディングバッファー
 一例として一般には、リフォールディング ッファーとして、50mM HEPES pH7.5 / 0.5M NaCl / 20mM 2-メルカプトエタノール / 0.5(w/v)%  リエチレングリコール 20000(リフォールディ ング因子) / 1(v/v)% Tween20(界面活性剤)の組成 の液を用いた。

(3)タンパク質の濃度測定法
 タンパク質の濃度測定は、ブラッドフォー 法およびBCA法を適宜用いた。1.5mlチューブ マイクロプレートを用いて、所定の操作の 、検量線を用いた比色分析により濃度を決 した。

(4)タンパク質の活性測定法
(a)リゾチームの活性評価
 リゾチームの活性は、Micrococcus lysodeikticus  の溶菌活性を指標にして評価した。Micrococcus lysodeikticusの凍結乾燥菌体を、0.1Mリン酸緩衝 液(pH7.0)に懸濁し、波長450nmにおける吸光度が 1.0となるように調整したものを反応溶液とし た。反応溶液を25℃でプレインキュベーショ した後、リゾチームを含むサンプルを反応 液に添加し、波長450nmにおける吸光度の減 を測定した。活性値は、波長450nmにおける吸 光度を、1分間に 0.001減少させる活性を1unit して算出した。

(b)RNaseAの活性評価
 RNaseAの活性は以下のようにして評価した。C ytidine 2’,3’-cyclic monophosphateを、その濃度 0.5mg/mlとなるように20mMのリン酸緩衝液(pH7.5) 溶解したものを反応溶液とした。反応溶液 25℃でプレインキュベーションした後、RNase Aを含むサンプルを反応溶液に添加し、波長28 6nmにおける吸光度の増加を測定した。活性値 は、波長280nmにおける吸光度を、1秒間に0.001 加させる活性を1unitとして算出した。

(c)GFPの活性評価
 GFP(緑色蛍光タンパク質)の活性は、GFPが発 る蛍光強度に基づき評価した。50mM Tris-HCl緩 衝液(pH7.5)中のGFPを、波長490nmで励起し、波長 510nmに観察される蛍光の強度を蛍光分光光度 により測定した。リフォールドしたGFPが発 る蛍光の強度を、同じ濃度の変性していな GFPを対照とした相対値として算出し、その 性を評価した。

(d)LDHの活性評価
 LDH(乳酸脱水素酵素)の活性は、LDHが触媒す 反応(ピルビン酸+NADH→乳酸+NAD)におけるNADH 減少によって評価した。NADHは波長 340nmに吸 収をもつため、吸光度の減少を測定すること で、酵素活性を測定することができる。0.1mM NADHと、100mM ピルビン酸を含む100mM MES緩衝 を反応溶液とし、30℃で10分間プレインキュ ーションした。その後、LDHを含むサンプル 反応溶液と混合し、波長340nmにおける吸光 の減少を測定した。活性値は、波長340nmにお ける吸光度を、1秒間に0.001減少させる活性を 1unitとして算出した。

(5)オープンカラムによるリフォールディング
(a)GFPのリフォールディング例
 カラム有効部0.8×4cmのオープンカラムに充 剤20mgを充填する。この場合、75~150μmの粒度 布を有する充填剤を用いた。各溶液の注入 たは滴下には、流量および流速を制御でき ペリスタポンプを用いて加えた。まず、カ ム下部の排出口を開けた後、1mの6M塩酸グア ニジン溶液でこのオープンカラムを洗浄する 。その後、GFP3mgを溶解させた6M塩酸グアニジ 溶液1mlを加え、溶液を滴下する。本操作に り、変性状態のGFPが充填剤に吸着される。1 0mlの1mM Tris-HCl pH7.5を加え、カラムを通して 填剤を洗浄する。これらの操作は、コンピ ータによるポンプおよびバルブの操作によ 行うことで、自動化が可能である。リフォ ルディングバッファーは全量で2ml加えるが カラムを通ってきた溶液を、同じく自動的 チューブを変更させることにより、0.2mlず 分取する。回収した溶液を一晩放置した後 蛋白質濃度、および活性を評価した。

 図2に分取したタンパク質溶液の活性と濃 度の測定結果を示した。2mlのリフォールディ ングバッファーをカラムに通すことにより、 図中フラクションNo.1~10がそれぞれ分取され 0.2ml毎のオープンカラムを通ってきたリフォ ールディングバッファーに相当する。各フラ クションのタンパク質の活性と3番目から6番 までの分取したタンパク質溶液の濃度を示 た。分取された各溶液のGFP濃度から、3~6番 に分取された溶液のみでも20%程度のGFPが充 剤から回収されていることがわかる。この 分にてリフォールド後回収されたGFPはタン ク質濃度が比較的高く、評価の精度を確保 ることが出来るため、蛍光発光の強度によ 活性を評価した。リフォールドしたGFPが発 る蛍光の強度は600~1100LU(LU:蛍光の相対強度 示す単位)程度の数値を示しており、同じ濃 の変性していないGFPの数値、およそ5000LUに して、20%前後の活性の回復を示しているこ がわかる。当該カラム充填剤によりリフォ ルディング操作を施されたGFPが良好な活性 回復をしていることがわかる。

(b)リゾチームのリフォールディング例
 カラム有効部0.8×4cmのオープンカラムに超 水にてスラリー状となった充填剤500mgを充填 する。この場合300~500μmの粒度分布を有する 填剤を用いた。各溶液の注入または滴下に 、流量および流速を制御できるペリスタポ プを用いて加えることが可能である。まず カラム下部の排出口を開けた後、超純水を 入しこのオープンカラムを洗浄する。その 、リゾチーム5mgを溶解させた6M塩酸グアニジ ン溶液5mlを加え、溶液を滴下する。超純水が リゾチーム溶液と置換することになり、変性 状態のリゾチームが充填剤に吸着される。6M 酸グアニジン溶液1mlを加え、カラムを通し 充填剤を洗浄する。さらに超純水2mlをカラ に通して充填剤を洗浄する。その後、リフ ールディングバッファーをカラムに加える これらの操作は、コンピュータによるポン およびバルブの操作により行うことで、自 化が可能である。リフォールディングバッ ァーは全量で5mlを加えるが、カラムを通っ きた溶液を、同じく自動的にチューブを変 させることにより、1mlずつ分取する。回収 た溶液の蛋白質濃度、および活性を評価し 。

 分取したタンパク質溶液の濃度を測定し 。溶液のカラムを通す速度にも依存するが 1mlの滴下に15分程度をかけた場合、70%以上 リゾチームが充填剤に吸着保持された。滴 の速度を早めると、未吸着量が増加する傾 があった。リフォールディングバッファー カラムに通すことにより、吸着タンパク質 ほとんどが回収された。このリフォールド れたリゾチームの活性を溶菌特性から評価 た。結果、リゾチームの溶菌活性を確認し 。

 図3に回収された液中のリゾチームの比活 性測定結果と濃度を示す。図中F1~F5がリフォ ルディングされ回収されたリゾチームの数 になる。60~100unit/mgの比活性を示しているこ とがわかる。リフォールディング操作により 活性が回復していることが認められる。リゾ チーム5mgを溶解させた6M塩酸グアニジン溶液5 mlの内、一部のリゾチームはそのままオープ カラムを通り抜けてきているが(図中FTに相 )、これらは量の割に活性の回復が悪く、当 該カラム充填剤によりリフォールディング操 作を施されたリゾチームの方が活性の回復が 良好であることがわかる。

(6)インラインカラムによるリフォールディン グ
(a)標準的操作法
 両端をシールにより密閉され、なおかつチ ーブへの接続機能を有したガラス製カラム を用いる。代表的なものとしてGEヘルスケ 社製のTriconカラムセット、Tricon5/20カラムを いた。造粒により75~100μmの範囲に分級され 充填剤150mgが、超純水によりスラリー状に て充填されている。このカラムをFPLC、たと ばGEヘルスケア社製のAKTA10Sに装着する。FPLC 装置のポンプによりタンパク質溶液を所定の 流速でカラムに通す。タンパク質を吸着させ た後、超純水等でカラムを洗浄する。さらに リフォールディングバッファーを通すことに より、タンパク質を回収する。カラムを通っ てきた溶液は、フラクションコレクターで分 画して回収するのが一般的である。回収され た溶液のタンパク質濃度および活性の評価を 行う。

(b)LDHのリフォールディング例
 大腸菌により発現させたインクルージョン ディのLDHを変性バッファーであるところの 当な緩衝剤を含んだ6M塩酸グアニジン溶液 溶解し、1mg/mlのタンパク質溶液とする。カ ムにまず、タンパク質を含まない変性バッ ァーを通し、平衡化を行う。次に当該タン ク質溶液10mlを流速0.3ml/min.でカラムに通し、 タンパク質を吸着させる。その後、変性バッ ファーでカラムを洗浄し、さらに、塩酸グア ニジンを含まない洗浄バッファーにて、カラ ムを洗浄し、変性バッファーを洗い流すと共 に、未吸着のタンパク質などの不純な成分を 洗い流す。次にリフォールディングバッファ ーをカラムに通し、タンパク質を回収する。

 図4に一連の操作に対応したグラフを示す 。実線はカラムから出てくる溶液について、 波長280nmの紫外光の吸収からタンパク質濃度 計測したものになる。破線は回収されたタ パク質溶液を分取したものの活性測定結果 ある。はじめにタンパク質溶液をカラムに すことにより、吸着の飽和が起こり、徐々 タンパク質が通り抜けてきていることが分 る。次に洗浄の過程になると、未吸着や不 な物質の溶出が確認されるが、これらは活 を示さないことが分かる。リフォールディ グバッファーを流すことにより、タンパク が回収されており、さらにそのタンパク質 活性を回復していることも確認できる。す わち、変性バッファーにより溶解している ンパク質はカラム充填剤に吸着し、洗浄の 、置換して流されるリフォールディングバ ファーにより、リフォールドされた活性タ パク質が回収されることが確認された。RNas eAやGFPについても、同様な操作により、タン ク質の回収が可能である。条件の設定や扱 総量にもよるが、これらの操作は数十分か 数時間で完了する。

 上記実施例に示されるように、タンパク リフォールディング用を用いた本発明のタ パク質リフォールディング装置の使用によ 、複数のタンパク質本来の活性が、極めて 単な操作で迅速に得られることが分かった 本発明のタンパク質リフォールディング装 は、種々の高次構造未形成並びに変性・失 タンパク質に適用できる、一般性、普遍性 高いタンパク質リフォールディング装置と て有用であり、その適用は、実施例に示さ たタンパク質に限定されるものではなく、 意のタンパク質に適用し得るものである。

 本発明は、不活性タンパク質の機能賦活 有用なタンパク質リフォールディング装置 関するものである。本発明によれば、大腸 等の発現系で産生された高次構造が未形成 ために不活性なタンパク質、あるいはある の原因で立体構造が変化して失活したタン ク質の本来の機能・活性をリフォールディ グにより賦活させることができる。この方 は、インクルージョンボディを効率よく、 軽にリフォールディングする方法として有 である。また、本発明によれば、種々のタ パク質に適用可能な、一般性、普遍性のあ 、しかもリフォールディング率の高い効率 なリフォールディング装置を提供できる。 発明で用いるタンパク質リフォールディン 用カラム充填剤を構成するゼオライトベー は、低コストであり、しかも、環境に対す 負荷が低い物質である。本発明で用いるタ パク質リフォールディング用カラム充填剤 、分子量10万を越える大型のタンパク質を む種々の立体構造無秩序タンパク質のリフ ールディングに効力を有する。したがって 更なる展開、例えば、大腸菌の発現系によ タンパク質合成プロセスと、本発明のタン ク質リフォールディング装置とを組み合わ ることにより、高次構造の制御された該タ パク質固有の本来機能が備わったタンパク を生産する新規の活性タンパク質製造プロ ス・システムを構築することができる。

図1は、本発明に係るタンパク質リフォ ールディング装置の機構を示す構成図である 。 図2は、オープンカラムでのGFPのリフォ ールディングを示す。 図3は、オープンカラムでのリゾチーム のリフォールディングを示す。 図4は、フロー系でのリフォールディン グを示す。

符号の説明

1    流量可変可能な切り替えバルブ
2  流量可変可能な送液ポンプ
3    切り替えバルブ
4    タンパク質変性剤、pH調整剤、タンパ 質S-S架橋形成防止剤、凝集・沈澱防止剤、 面活性剤およびリフォールディング因子を む溶液群
5    タンパク質濃度検出器
6    ストップバルブ
7    タンパク質リフォールディング用カラ ム
8    超音波、マイクロ波、磁場、電場の印 加装置
9    pH調整剤等洗浄液
10 タンパク質溶液
11 分注装置
12 分注された溶液の捕集容器群
13  制御用コンピュータ