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Patent Searching and Data


Title:
C70-CONTAINING LIPOSOME, METHOD FOR PRODUCING THE SAME, AND USE OF THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/096779
Kind Code:
A1
Abstract:
A solution containing a cyclodextrin-C70 complex is mixed with a solution containing a liposome-forming lipid at 10-45˚C, thereby producing a C70-containing liposome having the intrinsic physical properties of C70 fullerene, which liposome is stably soluble in a polar solvent. Specifically disclosed are a C70-containing liposome which has the intrinsic physical properties of C70 fullerene and is stably soluble in a polar solvent, a method for producing such a C70-containing liposome, and a use of such a C70-containing liposome.

Inventors:
IKEDA ATSUSHI
KIKUCHI JUN-ICHI
Application Number:
PCT/JP2008/051928
Publication Date:
August 14, 2008
Filing Date:
February 06, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NAT UNIV CORP NARA INST (JP)
IKEDA ATSUSHI
KIKUCHI JUN-ICHI
International Classes:
A61K33/44; A61K9/127; A61K47/24; A61K47/40; A61P35/00
Foreign References:
JP2006069812A2006-03-16
JPH0748302A1995-02-21
JPH08143478A1996-06-04
JP2005225772A2005-08-25
JP2006069812A2006-03-16
JPH09235235A1997-09-09
JP2005534718A2005-11-17
JP2004250690A2004-09-09
JP2004022424A2004-01-22
JP2006124378A2006-05-18
Other References:
IKEDA A. ET AL.: "An extremely effective DNA photocleavage utilizing functionalized liposomes with a fullerene-enriched lipid bilayer", J. AM. CHEM. SOC., vol. 129, no. 14, 20 March 2007 (2007-03-20), pages 4140 - 4141, XP008112463
IKEDA A. ET AL.: "Efficient photocleavage of DNA utilising water-soluble lipid membrane-incorporated [60]fullerenes prepared using a [60]fullerene exchange method", ORG. BIOMOL. CHEM., vol. 3, no. 16, 2005, pages 2907 - 2909, XP008112524
IKEDA A. ET AL.: "Konodo C60 Naiho Liposome no Shinchoseiho to Sono DNA Hikari Setsudanno no Hyoka", KOBUNSHI KAKO, vol. 55, no. 4, 2006, pages 180 - 184, XP003021973
MIYATA N. ET AL.: "Fullerene no Hikari Zokan Seibutsu Sayo ni Kan'yo suru Hanno Kasseishu no Kaiseki", JOURNAL OF THE PHARMACEUTICAL SOCIETY OF JAPAN, vol. 120, no. 10, 2000, pages 1007 - 1016, XP008112527
WEI X. ET AL.: "New chemical method for selective generation of C70 'n-' (n=1,2,3) anions and formation and properties of an aqueous colloidal solution of C70", J. CHEM. SOC. PERKIN TRANS 2, no. 1, 1999, pages 121 - 126, XP008112479
K. KOMATSU ET AL., J. CHEM. SOC., 1999
IKEDA, T. ET AL., ORG. BIOMOL. CHEM., vol. 3, 2005, pages 2907 - 2909
See also references of EP 2123288A4
Attorney, Agent or Firm:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK (2-6 Tenjinbashi 2-chome Kita,Kita-ku, Osaka-shi, Osaka 41, JP)
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Claims:
 C 70 フラーレンを含有するリポソームの製造方法であって、
 シクロデキストリンC 70 錯体を含有する第1溶液と、リポソームを形成可能な脂質を含有する第2溶液とを10~45℃で混合することを特徴とするC 70 含有リポソームの製造方法。
 上記シクロデキストリンC 70 錯体は、β-シクロデキストリンC 70 錯体、γ-シクロデキストリンC 70 錯体、δ-シクロデキストリンC 70 錯体、およびε-シクロデキストリンC 70 錯体、並びに、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、δ-シクロデキストリン、もしくはε-シクロデキストリンのモノ、ジ、またはトリメチル化体とC 70 フラーレンとの錯体からなる群より選択される少なくとも1つのシクロデキストリンC 70 錯体であることを特徴とする請求の範囲1に記載のC 70 含有リポソームの製造方法。
 上記第2溶液は、下記式(1)~(3)
で表される脂質からなる群より選択される少なくとも1つの脂質を含有することを特徴とする請求の範囲1に記載のC 70 含有リポソームの製造方法。
 C 70 フラーレンを含有するリポソームであることを特徴とするC 70 含有リポソーム。
 上記リポソームは、下記式(1)~(3)
で表される脂質からなる群より選択される少なくとも1つの脂質を含有することを特徴とする請求の範囲4に記載のC 70 含有リポソーム。
 波長が350~800nmの光の照射により、活性酸素を発生することを特徴とする請求の範囲4に記載のC 70 フラーレン含有リポソーム。
 上記リポソームを構成する全脂質に対して、0.1~20モル%のC 70 を含有することを特徴とする請求の範囲4に記載のC 70 含有リポソーム。
 請求の範囲4~7のいずれか1に記載のC 70 含有リポソームを含有することを特徴とする組成物。
 光線力学的治療に用いられることを特徴とする請求の範囲8に記載の組成物。
 上記光線力学的治療の治療対象が、癌細胞、加齢黄斑変性症、粥状動脈硬化病変、関節リウマチ病変、難治性疣贅、尋常性座瘡、およびパピロマーウイルスからなる群より選択されることを特徴とする請求の範囲9に記載の組成物。
 上記加齢黄斑変性症が滲出型であることを特徴とする請求の範囲10に記載の組成物。
 C 70 含有リポソームの含有量が2~20モル%であることを特徴とする請求の範囲8に記載の組成物。
 請求の範囲4~7のいずれか1に記載のC 70 含有リポソームを患部に投与する工程、および該患部に光照射する工程を包含することを特徴とする光線力学的治療法。
Description:
C 70 含有リポソームおよびその製造方法、並びに その利用

 本発明は、フラーレン類を含有するリポソ ムおよびその製造方法、並びにその利用に するものであって、特に、C 70 を含有するリポソームおよびその製造方法、 並びにその利用に関するものである。

 フラーレン類は、炭素原子のみからなる 殻構造を有する。そのため、フラーレン類 、特徴的な性質を有する。具体的には、(1) 異的にπ電子雲が非局在化している、(2)電 親和力が大きい、(3)イオン化エネルギーが 較的小さい、(4)電子受容能が高い、(5)可視 で光励起されるといった性質を挙げること できる。フラーレン類は、このような性質 有するため、半導体材料、超伝導材料、光 材料、医療材料、および化粧品材料等、多 の産業分野への応用が期待されている。

 例えば、医療分野では、光線力学的治療( photodynamic therapy、以下「PDT」ともいう)用途 の利用が検討されている。PDTとは、癌等の 療に用いられる治療法であり、光感受性の 質に光を照射することにより、発生する活 酸素を用いて、癌細胞等を殺傷する治療法 ある。より具体的には、PDTでは、上記光感 性の物質を、患部に投与し、該患部に光を 射することによって、水や酸素の光化学反 により生成する一重項酸素やヒドロキシラ カル等の活性酸素を、該患部において発生 せる。該活性酸素、またはそれから発生す ラジカル種によって、上記患部の癌細胞の 動や増殖を阻害し、癌細胞を破壊させる。 して、最終的に、該癌細胞等の細胞を死滅 せる。フラーレン類は、上述した特徴的な 質を有するゆえ、光の照射により一重項酸 等の活性酸素を効率よく発生する。そのた 、PDTへの応用が期待されている。

 このように、フラーレン類は、PDT等の医 材料を含め、多岐にわたる産業分野への応 が期待されている。フラーレン類を様々な 途で用いる場合、該フラーレン類を所望の 媒に溶解させることが必要となることがし しばある。例えば、PDTにおいてフラーレン を用いる場合、該フラーレン類を水性溶媒 溶解させる必要がある。しかしながら、フ ーレン類は、水を含む極性溶媒に対して不 である。非特許文献1には、フラーレンをシ クロデキストリン錯体とすることによって、 水溶化できることが開示されているが、フラ ーレンのシクロデキストリン錯体は、非常に 熱的に不安定で実用的ではない。そのため、 フラーレン類は、上述したような様々な用途 の可能性が期待されているものの、実際には 、一定の制限下でしか使用できないという問 題を抱えている。このような問題を解決すべ く、フラーレン類を水性溶媒に溶解させるた めの技術開発が行われている。

 そのような技術として、例えば、特許文献1 ~特許文献4、および非特許文献2に開示される 技術を挙げることができる。特許文献1には フラーレンを可溶化するためにフラーレン 炭素原子にヒドロキシル基を導入した各種 ラロールが開示されている。特許文献2には 金属内包フラーレンまたはその塩の表面を ルホン基、ケトン基、アミノ基およびアル ル基からなる群より選ばれる官能基を有す 多糖類で被覆することにより、フラーレン を可溶化できることが開示されている。ま 、特許文献3には、フラーレンを、ポリマー 鎖により被覆することにより該フラーレンを 可溶化する方法が開示されている。より具体 的には、第三級アミノ基および/または第二 アミノ基を側鎖に担持した反復単位を含有 るポリマー鎖セグメントをコアとし、ポリ( チレングリコール)鎖セグメントを構造物内 に、フラーレンを封入することにより、該フ ラーレンを可溶化する方法が開示されている 。さらに、特許文献4および非特許文献2には C 60 ・シクロデキストリン錯体から、リポソーム 内にC 60 を移動(交換反応)させることにより、C 60 含有リポソームが得られることが開示されて いる。より具体的には、C 60 ・シクロデキストリン錯体と、リポソーム溶 液とを混合し、1~7時間加熱撹拌することによ りC 60 をリポソーム内に移動させることができるこ とが記載されている。また、特許文献4には フラーレンと分散安定化剤を用いて、フラ レンの分散水性溶液を調製し、得られたフ ーレンの分散水性溶液とカリックスアレー とを混合処理し、カリックスアレーンとフ ーレンとの錯体を調製することにより、フ ーレンを可溶化できることが記載されてい 。

 ところで、PDTによる治療対象である癌組 には、正常組織に比べてより多くの水溶性 分子が集積される。また、一度癌組織に集 した水溶性高分子は、他の組織に集積した 合と比較して滞留時間が長い。したがって PDTによる癌治療にフラーレンを用いる場合 該フラーレンを水性溶媒に溶解させること 加えて、高分子化することが必要となる。 こで、フラーレンを、PDTに用いるために、 溶化に加えて、高分子化させる技術も開発 れている。例えば、特許文献5には、フラー レンを水溶性高分子によって化学修飾するこ とにより、フラーレンを水性溶媒に可溶化で きると共に、該可溶化したフラーレンを癌組 織へ移行しやすくすることができることが開 示されている。

 上述した技術以外にも、フラーレンを利用 るための様々な技術がこれまでに開示され いる(例えば、特許文献6~9参照)。特許文献6 は、カチオンキャリヤー系において診断化 物および治療化合物を安定化させる新規方 が開示されている。具体的には、特許文献6 に記載の技術では、負の実効電荷を有するか 、任意に変性されて負の実効電荷を有する、 低分子量化合物をカチオンリポソーム内で安 定化する。また、特許文献7には、抗酸化組 物および外用組成物が開示されており、具 的には、有機化合物により包接されたフラ レンを有効成分とする抗酸化組成物が開示 れている。さらに、特許文献8には、フラー ンを可溶化する技術、すなわちフラーレン より高い水溶性を付与する技術が開示され いる。具体的には、特許文献8には、フラー レンが所定のブロックコポリマーよりなるポ リマー鎖により被覆された微小粒子の複合体 が開示されている。特許文献9には、電子受 性化合物と電子供与性化合物のそれぞれが ストゲスト錯体を形成している光電変換素 材料が開示されており、このような錯体と て、具体的には、電子受容性化合物がフラ レンであり、カリックスアレーンをホスト する錯体が示されている。

日本国公開特許公報「特開平7-048302号公 (公開日:平成7(1995)年2月21日)」

日本国公開特許公報「特開平8-143478号公 (公開日:平成8(1996)年6月4日)」

日本国公開特許公報「特開2005-225772号公 (公開日:平成17(2005)年8月25日)」

日本国公開特許公報「特開2006-69812号公 (公開日:平成18(2006)年3月16日)」

日本国公開特許公報「特開平9-235235号公 (公開日:平成9(1997)年9月9日)」

日本国公開特許公報「特開2005-534718号公 (公開日:平成17(2005)年11月17日)」

日本国公開特許公報「特開2004-250690号公 (公開日:平成16(2004)年9月9日)」

日本国公開特許公報「特開2005-225772号公 (公開日:平成17(2005)年8月25日)」

日本国公開特許公報「特開2004-022424号公 (公開日:平成16(2004)年1月22日)」 K. Komatsu, K. Fujiwara, Y. Murata and T. Brau n, J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1, 2963 (1999) A. Ikeda, T. Sato, K. Kitamura, K. Nishiguchi, Y. Sasaki, J. Kikuchi, T. Ogawa, K. Yogo, T. Takey a, Org. Biomol. Chem., 3, 2907-2909 (2005)

 このように、フラーレンの可溶化技術や PDT等の特定の用途に好適に利用できるよう フラーレンを修飾する技術の開発が進めら ている。しかしながら、特許文献1~3に開示 れるような方法では、フラーレンの表面が 飾されるため、フラーレンが本来有する特 が損なわれるという問題がある。

 さらに、上述した技術では、多くの場合、 ラーレン類として、最も安価に製造でき、 定性に優れるC 60 フラーレンが用いられている。しかしながら 、フラーレン類は、その炭素原子数によって 、その物性が異なる。そのため、全てのフラ ーレンを同一の方法で可溶化できるわけでは ない。また、フラーレンの物性の相違に伴い 、用途によって用いられるフラーレンが異な る。例えば、70個の炭素原子からなるC 70 フラーレンは、60個の炭素原子からなるC 60 フラーレンよりも、人体に害を及ぼしにくい 可視光領域において光吸収率が高いため、高 い光吸収率が求められる用途ではC 70 を選択することが考えられる。

 したがって、用途に応じて好適な物性を するフラーレンを所望に選択して利用でき よう、各フラーレンについて、可溶化する 術を確立する必要がある。

 本発明は、上記問題点に鑑みなされたもの あって、その目的は、C 70 フラーレンが本来有する物性を有し、安定に 極性溶媒に溶解可能なC 70 含有リポソームおよびその製造方法、並びに その利用を提供することにある。

 本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討し 結果、シクロデキストリンC 70 錯体を含有する溶液と、リポソームを形成可 能な脂質を含有する溶液とを10~45℃で混合す という単純な構成で、C 70 含有リポソームを製造できることを独自に見 出し、本発明を完成させるに至った。なお、 フラーレンの水性化法を開示する特許文献4 は、C 60 フラーレンおよび分散安定化剤の分散水性溶 液と、カリックスアレーンとを混合処理し、 カリックスアレーンとC 60 との錯体を調製することにより、C 60 を水性化している。文献中には分散安定化剤 として、シクロデキストリンおよびリポソー ムが例示されている。しかし、特許文献4に 載の技術において用いられているリポソー はあくまでも分散剤であり、特許文献4には C 70 フラーレンをリポソーム中に含有させること が、記載も示唆もされていない。また、特許 文献6に記載の技術は、化合物を負の実効帯 を有する部分(負に帯電した部分)で変性する ことを特徴としており、ここで、「変性」は 、「化合物をフラーレンなどのような負に帯 電した部分内に取り込む」ことを含んでいる 。このような技術は、フラーレンをリポソー ム内に含有する本発明と大きく異なっている 。有機化合物として特許文献7に例示されて るものは、有機オリゴマー、有機ポリマー シクロデキストリン、クラウンエーテルな に過ぎない。また、特許文献7には、包接方 について具体的な開示がなされていない。 た、特許文献7~9には、リポソームを用いる ともC 70 フラーレンをリポソーム中に含有することも 、記載も示唆もされていない。このように、 本発明者らの創意工夫および試行錯誤の結果 として完成された本発明が、従来技術から容 易に導き得るものではなく、従来予測し得る ものではないことを、本明細書を読んだ当業 者は容易に理解する。

 すなわち、本発明は、以下の発明を包含 る。

 〔1〕C 70 フラーレンを含有するリポソームの製造方法 であって、シクロデキストリンC 70 錯体を含有する第1溶液と、リポソームを形 可能な脂質を含有する第2溶液とを10~45℃で 合することを特徴とする製造方法。

 〔2〕上記シクロデキストリンC 70 錯体は、上記シクロデキストリンC 70 錯体は、β-シクロデキストリンC 70 錯体、γ-シクロデキストリンC 70 錯体、δ-シクロデキストリンC 70 錯体、およびε-シクロデキストリンC 70 錯体、並びに、β-シクロデキストリン、γ-シ クロデキストリン、δ-シクロデキストリン、 もしくはε-シクロデキストリンのモノ、ジ、 またはトリメチル化体とC 70 フラーレンとの錯体からなる群より選択され る少なくとも1つのシクロデキストリンC 70 錯体であることを特徴とする〔1〕に記載の 造方法。

 〔3〕上記第2溶液は、下記式(1)~(3)

で表される脂質からなる群より選択される 少なくとも1つの脂質を含有することを特徴 する〔1〕に記載の製造方法。

 〔4〕C 70 フラーレンを含有するリポソームであること を特徴とするC 70 含有リポソーム。

 〔5〕上記リポソームは、下記式(1)~(3)

で表される脂質からなる群より選択される少 なくとも1つの脂質を含有することを特徴と る〔4〕に記載のC 70 含有リポソーム。

 〔6〕波長が350~800nmの光の照射により、活性 酸素を発生することを特徴とする〔4〕に記 のC 70 含有リポソーム。

 〔7〕上記リポソームを構成する全脂質に対 して、0.1~20モル%のC 70 フラーレンを含有することを特徴とする〔4 に記載のC 70 含有リポソーム。

 〔8〕〔4〕~〔7〕のいずれかに記載のC 70 含有リポソームを含有することを特徴とする 組成物。

 〔9〕光線力学的治療に用いられることを 特徴とする〔5〕に記載の組成物。

 〔10〕
 上記光線力学的治療の治療対象が、癌細胞 加齢黄斑変性症、粥状動脈硬化病変、関節 ウマチ病変、難治性疣贅、尋常性座瘡、お びパピロマーウイルスからなる群より選択 れることを特徴とする〔9〕に記載の組成物 。

 〔11〕
 上記加齢黄斑変性症が滲出型であることを 徴とする〔10〕に記載の組成物。

 〔12〕
 C 70 含有リポソームの含有量が2~20モル%であるこ を特徴とする〔8〕に記載の組成物。

 〔13〕
 請求の範囲4~7のいずれか1に記載のC 70 含有リポソームを患部に投与する工程、およ び該患部に光照射する工程を包含することを 特徴とする光線力学的治療法。

 本発明の他の目的、特徴、および優れた は、以下に示す記載によって十分分かるで ろう。また、本発明の利点は、添付図面を 照した次の説明によって明白になるであろ 。

本発明の一実施形態にかかるC 70 含有リポソームの構造を模式的に示す図であ る。 本発明の実施例にかかるC 70 含有リポソームおよび従来技術のC 60 含有リポソームのUV-vis吸収スペクトルを示す 図である。 (a)は一般的なプラスミドの構造を示す図であ り、(b)~(d)は本発明の実施例にかかるC 70 含有リポソームのDNA切断能力を調べた結果を 示す図である。 本発明の実施例にかかるC 70 含有リポソームおよび従来技術のC 60 含有リポソームによる細胞殺傷能力を調べた 結果を示す図である。 (a)は、本発明の実施例にかかるC 70 含有リポソームの製造方法により製造された C 70 含有リポソーム水溶液を示す図であり、(b)は 、参考例にかかるC 70 含有リポソームの製造方法により製造された C 70 含有リポソーム水溶液を示す図である。 図5の(a)および(b)に示されたC 70 含有リポソーム水溶液のUV-vis吸収スペクトル を示す図である。

 本発明の一実施形態について、以下説明 るが、本発明はこれに限定されるものでは い。

 <I.C 70 含有リポソーム>
 本発明にかかるC 70 含有リポソームは、図1に示すようにC 70 フラーレン(以下、単に「C 70 」ともいう)を含有するリポソームである。 発明にかかるC 70 含有リポソームでは、C 70 は表面が修飾されることなく、リポソーム内 に存在する。それゆえ、本発明によれば、C 70 が本来有する物性を有した状態で、C 70 を水性溶媒に可溶化させることができる。し たがって、本発明にかかるC 70 含有リポソームは、水溶性のC 70 を用いることが望まれる技術分野に広く用い ることができる。なお、図1では、本発明に かるC 70 含有リポソームの一実施形態として、C 70 がリポソーム膜中に埋め込まれているリポソ ームが記載されているが、本発明はこれに限 定されない。すなわち、本明細書において、 「C 70 を含有するリポソーム」とは、C 70 がリポソーム膜内部に閉じ込められている水 相(内部水相)中に存在しているリポソーム、C 70 がリポソーム膜中に埋め込まれているリポソ ーム、および一部のC 70 が内部水相に存在し、残りのC 70 がリポソーム膜中に埋め込まれているリポソ ームが意図される。また、本発明にかかるC 70 含有リポソームにおいて、C 70 は互いに相互作用することなく単独分子で存 在してもいてもよいし、複数の分子が会合し た状態で存在してもいてもよい。さらには、 C 70 の一部の分子のみが会合した状態で存在して いてもよい。

 本明細書において、「水性溶媒」とは、 をベースとする溶媒が意図される。また、 リポソーム」とは、脂質二重膜からなるリ ソーム膜により形成される構造物が意図さ る。上記脂質二重膜は、脂質分子からなる2 分子膜であり、細胞膜と同じ構造を有する。 上記脂質分子は、水を含む極性溶媒になじみ やすい部分(親水部)と、油を含む非極性溶媒 なじみやすい部分(疎水部)とを有する。上 脂質二重膜では、2分子の脂質分子が、疎水 が対向し、親水部が外側を向くように配置 れている。

 本発明にかかるC 70 含有リポソームにおけるリポソームの具体的 な組成は、特に限定されるものではない。カ チオン性脂質、アニオン性脂質、および中性 脂質をどのように組み合わせたリポソームで あってもよい。つまり、カチオン性脂質、ア ニオン性脂質、および中性脂質を全て含む必 要はなく、特定の1種もしくは2種の脂質を含 ものであってもよい。本発明では、上記リ ソームの組成を変更することにより、C 70 が有する性質を所望に利用可能なC 70 含有リポソームとすることができる。

 例えば、C 70 は、光の照射により活性酸素を発生する性質 を有することが知られている。このC 70 の性質が付与されたC 70 含有リポソームとする場合、上記リポソーム はカチオン性脂質を含有することが好ましく 、カチオン性コレステロールを含有すること がさらに好ましい。上記構成によれば、光照 射により活性酸素を発生するとともに、該活 性酸素によりリポソームが分解されることの ない安定したC 70 含有リポソームとすることができる。

 また、カチオン性脂質を含有させることに り、細胞透過性に優れるC 70 含有リポソームとすることができる。このよ うな活性酸素を発生し、細胞透過性に優れる C 70 含有リポソームは、光線力学的治療(以下、 PDT」ともいう)の用途に好適に用いることが きる。なお、本明細書において、「活性酸 」とは、特に限定されないが、例えば、一 項酸素およびヒドロキシラジカルが意図さ る。

 また、C 70 は活性酸素を消去する活性を有する。このC 70 の性質が付与されたC 70 含有リポソームとする場合、例えば、特開200 6-124378号公報等に記載されたリポソームを用 ることが好ましい。上記構成によれば、水 溶媒中で、活性酸素を効率よく消去するこ が可能なC 70 含有リポソームとすることができる。このよ うなC 70 含有リポソームは、食品、医薬および化粧品 等の分野に好適に用いることができる。

 以下、上記リポソームを構成する脂質に いてより具体的に説明する。

 上記リポソームを構成する中性脂質とし は、例えば、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3 -ホスホエタノールアミン(DOPE)、ホスファチ ルコリン、ホスファチジルセリン、ホスフ チジルグリセロール、ホスファチジルイノ トール、ホスファチジルエタノールアミン ホスファチジン酸、ジパルミトイルホスフ チジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスフ チジルコリン(DSPC)、ジミリストリルホスフ チジルコリン(DMPC)、ジオレイルホスファチ ルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチ ルグリセロール(DPPG)、ジステアロイルホス ァチジルセリン(DSPS)、ジステアロイルホス ァチジルグリセロール(DSPG)、ジパルミトイ ホスファチジルイノシトール(DPPI)、ジステ ロイルホスファチジルイノシトール(DSPI)、 パルミトイルホスファチジン酸(DPPA)、ジス アロイルホスファチジン酸(DSPA)、カルジオ ピン、スフィンゴミエリン、卵黄レシチン 大豆レシチン、リゾレシチン、並びにこれ を定法により水素添加したもの(例えば水素 加大豆レシチン等)および水酸化物等のリン 脂質を挙げることができる。また、本発明に は、下記式(1)

で表される脂質を中性脂質として好適に用 いることができる。

 上記リポソームを構成するアニオン性脂 として、例えば、ジミリストイルフォスフ チジルグリセロール、ジパルミトイルホス ァチジルグリセロール、卵黄、または大豆 ような天然物質由来のホスファチジルグリ ロール、完全水素添加ホスファチジルグリ ロール、ジステアロイルホスファジルグリ ロール等の炭素数10~30程度の飽和又は不飽 の直鎖状又は分枝状の脂肪酸残基を有する ニオン性リン脂質を挙げることができる。 た、本発明には、下記式(3)

で表される脂質をアニオン性脂質として好 適に用いることができる。

 上記リポソームを構成するカチオン性脂 として、例えば、1、2-ジオレオイルオキシ- 3-(トリメチルアンモニウム)プロパン(DOTAP)、N 、N-ジオクタデシルアミドグリシルスペルミ (DOGS)、ジメチルジオクタデシルアンモニウ ブロミド(DDAB)、3β[N-(N7,N’-ジメチルアミノ- エタン)-カルバモイル]コレステロール、ステ アリルアミン、N-(α-トリメチルアンモニオア セチル)ドデシル-D-グルタメートクロリド、N- [1-(2,3-オレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリ チルアンモニウムクロリド(DOTMA)、2,3-ジオ オイルオキシ-N-[2-(スペルミンカルボキシア ド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアンモニ ウムトリフルオロアセテート(DOSPA)、N-[1-(2、3 -ジミリスチルオキシ)プロピル]-N、N-ジメチ -N-(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムブロミ (DMRIE)、1,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモ ウムプロパンジオール(DODAP)等のカチオン性 質を挙げることができる。さらに、ホスフ チジン酸とアミノアルコールとのエステル 例えばジパルミトイルホスファチジン酸(DPP A)もしくはジステアロイルホスファチジン酸( DSPA)とヒドロキシエチレンジアミンとのエス ル等のカチオン性リン脂質を用いることも きる。また、本発明には、下記式(2)

で表される脂質をカチオン性脂質として好適 に用いることができる。上記カチオン性脂質 によれば、50nm~200nmの平均粒径をもつC 70 含有リポソームとすることができる。このよ うな平均粒径をもつC 70 含有リポソームは、EPR(Enhanced permeability and  retention)効果により癌細胞に選択的にターゲ ィングさせることができる。

 本発明にかかるC 70 含有リポソームにおいて、カチオン性脂質を 含有させる場合、その含有量は、全脂質量に 対し90モル%以下であることが好ましく、50モ %以下であることがより好ましく、20モル%以 下であることがさらに好ましい。

 本発明において、上記リポソームは、上記 示したような脂質のうち、単一の脂質を含 ものであってもよいし、複数の脂質を組み わせて含むものであってもよい。また、複 の荷電脂質(アニオン性脂質またはカチオン 性脂質)を組み合わせて含有する場合、負電 の脂質同士または正電荷の脂質同士を組み わせて含有することが好ましい。これによ 、C 70 含有リポソーム同士が結合し、凝集するのを 低減することができる。また、中性脂質と荷 電脂質とを組み合わせて含有する場合、中性 脂質:荷電脂質(モル比)は、200:1~1:9であること が好ましく、100:1~1:1であることがより好まし く、40:1~5:1であることがさらに好ましい。

 複数の脂質を組み合わせて用いる実施形態 ついて、より具体例を挙げて説明する。カ オン性脂質は、細胞透過性を有することが られている。そのため、本発明にかかるC 70 含有リポソームをPDT等の治療用途に用いる場 合、カチオン性脂質を含有させることが好ま しい。その一方で、カチオン性脂質は、一般 的に毒性を有することが知られている。した がって、カチオン性脂質の含有量は、細胞透 過性と毒性による副作用とを考慮して決定さ れるものである。このとき、カチオン性脂質 の含有量は、中性脂質とカチオン性脂質とを 組み合わせて用いることによって、調整する ことが好ましい。このように、中性脂質とカ チオン性脂質とを組み合わせて用い、カチオ ン性脂質の含有量を上述した範囲内で適宜変 更することにより、良好な細胞透過性を有し 、かつ毒性による副作用が低減されたC 70 含有リポソームを製造することができる。

 また、本発明にかかるC 70 含有リポソームは、糖脂質を含有していても よい。上記糖脂質としては、例えば、ジガラ クトシルジグリセリド、ガラクトシルジグリ セリド硫酸エステル等のグリセロ脂質、ガラ クトシルセラミド、ガラクトシルセラミド硫 酸エステル、ラクトシルセラミド、ガングリ オシドG7、ガングリオシドG6、ガングリオシ G4等のスフィンゴ糖脂質等を挙げることがで きる。

 本発明にかかるC 70 含有リポソームは、C 70 と脂質以外の成分を含有していてもよい。具 体的には、例えば、膜安定化剤として作用す るステロール類を含有していてもよい。上記 ステロール類としては、例えば、コレステロ ール、ジヒドロコレステロール、コレステロ ールエステル、フィトステロール、シトステ ロール、スチグマステロール、カンペステロ ール、コレスタノール、またはラノステロー ル等が挙げられる。また、安定剤として、1-O -ステロールグルコシド,1-O-ステロールマルト シドまたは1-O-ステロールガラクトシドとい たステロール誘導体を含有していてもよい 本発明にかかるC 70 含有リポソームがステロール類を含有する場 合、その含有量は、脂質全分子に対して0.05~7 0モル%であることが好ましく、0.1~60モル%であ ることがより好ましく、0.5~40モル%であるこ がさらに好ましい。上記範囲内であれば、C 70 含有リポソームの形成を阻害することなく、 C 70 含有リポソームを安定化させることができる 。また、C 70 含有リポソームがコレステロールを含有する 場合、該コレステロールは、ポリアルキレン オキシド導入用のアンカーにもなり得る。ポ リオキシアルキレン鎖の先端には、種々の機 能性物質を共有結合により固定化することが できる。

 また、本発明にかかるC 70 含有リポソームは、グリコール類を含有して いてもよい。上記グリコール類としては、例 えば、エチレングリコール、ジエチレングリ コール、トリエチレングリコール、プロピレ ングリコール、ジプロピレングリコール、ト リメチレングリコール、1,4-ブタンジオール を挙げることができる。また、その含有量 、C 70 含有リポソームの全脂質に対して0.01~20モル% あることが好ましく、0.5~10モル%であること がより好ましい。上記構成によれば、C 70 含有リポソーム内に、水溶性の物質を効率よ く保持させることができる。また、本発明に かかるC 70 含有リポソームは、負荷電物質であるジセチ ルホスフェートといったリン酸ジアルキルエ ステルや、正電荷を与える化合物としてステ アリルアミン等の脂肪族アミン等を含有して いてもよい。

 さらに、本発明にかかるC 70 含有リポソームは、その粒子表面に、特定の 機能を付与するための置換基を有していたり 、特定の機能を付与するための分子が付加も しくは挿入されたりしていてもよい。上記置 換基および分子としては、例えば、C 70 含有リポソームを生体に投与した場合に、特 定の臓器や組織にターゲティングさせるため の置換基および分子、並びにC 70 含有リポソームの安定性を向上させるための 置換基および分子等を挙げることができる。 より具体的には、C 70 含有リポソームの安定性を向上させるための 分子として、例えば、高分子鎖であるポリア ルキレンオキシド(PAO)基(ポリオキシアルキレ ン鎖)または類似の基を有するリン脂質また 化合物を挙げることができる。PAO基または リエチレングリコール(PEG)鎖をC 70 含有リポソーム表面に付けることにより、C 70 含有リポソームの安定性を向上させることが できる。また、-(CH 2 CH 2 O) n -HであらわされるPEG基のオキシエチレン単位 長さと導入する割合を適宜変えることによ 、その機能を調節することができる。PEG基 しては、オキシエチレン単位が10~3500のPEG基 であることが好ましく、オキシエチレン単位 が100~2000のPEGであることがより好ましい。本 明にかかるC 70 含有リポソームがPEGを含有する場合、その含 有量は、C 70 含有リポソームの全脂質に対して0.1~30モル% あることが好ましく、1~15モル%であることが より好ましい。なお、C 70 含有リポソームのPEG化には、従来公知のリポ ソームのPEG化技術を用いることができる。

 また、本発明にかかるC 70 含有リポソームが-(AO) n -Y(式中、AOは炭素数2~4のオキシアルキレン基 表し、nはオキシアルキレン基の平均付加モ ル数を表し、Yは、水素原子、アルキル基ま は機能性官能基を表す。)で表されるPAO基を する場合、上記式中、nは、1~2000であること が好ましく、10~500であることがより好ましく 、20~200であることがさらに好ましい。上記炭 素数2~4のオキシアルキレン基としては、例え ばオキシエチレン基、オキシプロピレン基、 オキシトリメチレン基、オキシ-1-エチルエチ レン基、オキシ-1,2-ジメチルエチレン基等を げることができる。

 また、上記式のnが2以上の場合、オキシ ルキレン基は、同一のものであってもよい 、異なるものであってもよい。異なるもの ある場合、ランダム状に付加されても、ブ ック状に付加されてもよい。また、PAO基に 水性が付与される場合、オキシアルキレン としてはエチレンオキシドが単独で付加さ ていることが好ましく、さらに、上記式のn 10以上であることがより好ましい。また種 の異なるアルキレンオキシドが付加される 合、エチレンオキシドが20モル%以上付加さ ることが好ましく、50モル%以上付加される とがより好ましい。PAO基に親油性が付与さ る場合、エチレンオキシド以外のオキシア キレン基の付加モル数が多いことが好まし 。例えば、ポリエチレンオキシドとポリプ ピレンオキシドとのブロック共重合物であ ことが好ましい。

 また、上記式のYのアルキル基としては、炭 素数1~5の脂肪族炭化水素基(分岐していても い)を挙げることができる。上記「機能性官 基」とは、PAO基の先端に糖、糖タンパク質 抗体、レクチン、細胞接着因子といった「 能性物質」を付加するための置換基が意図 れる。具体的には、例えば、アミノ基、オ シカルボニルイミダゾール基、N-ヒドロキ コハク酸イミド基といった反応性に富む置 基が挙げられる。先端に上記機能性物質が 合したPAO基が固定化されたC 70 含有リポソームは、PAO基の効果に加えて、上 記機能性物質の機能、例えばがん組織指向性 またはがん細胞認識性といった「認識素子」 としての効果を有する。また、本発明にかか るC 70 含有リポソームがPAO基を有するリン脂質また は化合物を含有する場合、該リン脂質または 化合物は、単一種であってもよいし、複数種 の組み合わせであってもよい。また、その含 有量は、C 70 含有リポソームの全構成成分の0.001~50モル%で あることが好ましく、0.01~25モル%であること より好ましく、0.1~10モル%であることがさら に好ましい。また、C 70 含有リポソームへのPAO基の導入は、従来公知 の技術を用いて行うことができる。

 本発明にかかるC 70 含有リポソームの大きさは、特に限定される ものではない。具体的には、C 70 含有リポソームの用途に応じて、適した大き さに設計されうるものである。例えば、C 70 含有リポソームを向腫瘍性治療薬として用い 、EPR効果により、がん組織へ選択的にC 70 含有リポソームをターゲティングさせる場合 、該C 70 含有リポソームの平均粒径は、50nm~200nmであ ことが好ましく、60nm~200nmであることがより ましく、特に70nm~150nmであることがさらに好 ましい。また、局所化学療法である動注化学 療法に基づき、C 70 含有リポソームを、がん病巣近傍の血管まで カテーテルを通して直接適用する場合、C 70 含有リポソームの平均粒径は、500nm~1.0μmであ ることが好ましく、700nm~900nmであることがよ 好ましく、750nm~850nmであることがさらに好 しく、800nm前後とすることが特に好ましい。 上記平均粒径であれば、カテーテルから透過 性が増した栄養動脈中に放出されても、がん 組織に通じるその血管の壁孔から漏れずに、 直接、標的のがん組織に、C 70 含有リポソームを到達させることができる。

 本発明において、C 70 含有リポソームに含有されるC 70 の含有量は、特に限定されるものではない。 C 70 含有リポソームにおけるC 70 の含有量は、後述のC 70 含有リポソームの製造方法に記載するように 、所望に変化させることができる。C 70 の含有量を変更することで、C 70 含有リポソームの性質を変化させることがで きる。より具体的に説明すると、C 70 含有リポソーム中でC 70 が会合している場合、C 70 の含有量を変更することにより、C 70 含有リポソーム中でのC 70 の会合状態が変化する。そのため、単にC 70 の含有量が変化したことによる性質の変化に 加えて、会合状態の変化による性質の変化が 期待される。したがって、C 70 含有リポソームにおけるC 70 の含有量は、該C 70 含有リポソームの用途によって、適宜変更す ることが好ましい。例えば、C 70 含有リポソームをPDT用途に用いる場合、該C 70 含有リポソームは、全脂質に対して、0.1~20モ ル%のC 70 を含有することが好ましく、0.5~15モル%のC 70 を含有することがより好ましい。このような 構成とすれば、C 70 含有リポソーム1分子当たりの光照射による 性酸素発生量を増加させることができる。 れゆえ、少量のC 70 含有リポソームで、PDTの効果を得ることがで きる。

 本発明にかかるC 70 含有リポソームは、以上のような構成を備え ているため、水性溶媒に対して可溶である。 また、平均粒径、C 70 の含有量、リポソームの組成、およびその他 の成分の添加により、C 70 含有リポソームの物性を所望に制御すること ができる。それゆえ、本発明にかかるC 70 含有リポソームは、その物性に応じて、様々 な用途に用いることができる。具体的には、 本発明にかかるC 70 含有リポソームは、一実施形態において、光 照射により活性酸素を発生する性質を有する 。このようなC 70 含有リポソームは、光活性が高く、後述の実 施例に示すように、波長が350~700nmの光による 励起によっても、多くの活性酸素を発生する ことができる。それゆえ、このようなC 70 含有リポソームは、PDT、殺菌、滅菌等の用途 に好適に用いることができる。また、DNAを切 断するための用途、例えば、研究用試薬とし ても用いることができる。なお、本明細書で いう「光活性」とは、光の照射により励起さ れる活性が意図され、好ましくは、光の照射 により活性酸素を生成する活性が意図される 。また、本発明にかかるC 70 含有リポソームは、一実施形態として、活性 酸素を消去する性質を有する。このようなC 70 含有リポソームは、活性酸素の消去が必要と される用途に幅広く用いることができる。

 <II.C 70 含有リポソームを含有する組成物>
 また、本発明は、一実施形態として、上述 た本発明にかかるC 70 含有リポソームを含有する組成物を提供する 。本発明にかかる組成物は、上述したC 70 含有リポソームを含んでいればよく、その他 の具体的な構成は特に限定されるものではな い。例えば、C 70 含有リポソームが水性溶媒に溶解した溶液は 、本発明にかかる組成物に含まれる。また、 本発明にかかる溶液の用途も、特に限定され るものではない。以下、本発明にかかる組成 物の一実施形態として、薬学的組成物、殺菌 用組成物および化粧品用組成物について説明 するが、本発明はこれらに限定されるもので はない。

 (A)薬学的組成物
 本実施形態にかかる組成物は、光照射、好 しくは、波長が350~800nmの光照射、より好ま くは、波長が350~700nmの光照射により、活性 素を発生するC 70 含有リポソームを含有する。具体的には、C 70 がカチオン性脂質を含有するリポソームによ って包含されたC 70 含有リポソームであることが好ましい。上記 カチオン性脂質としては、例えば、上記例示 したカチオン性脂質を含有させることができ るが、中でも、上記式(2)で表される脂質を含 有させることが好ましい。また、その含有量 は、全脂質量の1~50モル%であることが好まし 、10モル%であることがより好ましい。

 さらに、本実施形態では、上記リポソーム 、カチオン性脂質に加えて、中性脂質を含 することが好ましい。該中性脂質について 、例えば、上記例示した中性脂質を含有さ ることができるが、中でも、上記式(1)で表 れる脂質を含有させることが好ましい。そ 含有量は、全脂質量の50~99モル%であること 好ましく、90モル%であることがより好まし 。つまり、本実施形態にかかる組成物に含 されるC 70 含有リポソームの好ましい一実施形態として 、全脂質量に対して、上記式(2)で表される脂 質を10モル%、上記式(1)で表される脂質を90モ %含有するC 70 含有リポソームを挙げることができる。

 本実施形態にかかる組成物において、上記C 70 含有リポソームの含有量は、特に限定される ものではないが、2~20モル%であることが好ま く、5~15モル%であることがより好ましい。 た、本実施形態にかかる組成物では、上記C 70 含有リポソーム以外に、薬学的に許容される 成分を含有していてもよい。そのような成分 としては、例えば、生理学的に許容される各 種の緩衝剤、EDTA Na 2 -Ca、EDTA Na 2 等といったエデト酸系のキレート化剤、薬理 的活性物質(例えば血管拡張剤、凝固抑制剤 )、さらには浸透圧調節剤、安定化剤、抗酸 剤(例えばα‐トコフェロール、アスコルビ 酸)、粘度調節剤、保存剤等を挙げることが できる。上記浸透圧調節剤としては、例えば 、生理食塩水(0.9%食塩水)を挙げることができ る。また、pH緩衝剤としては、アミン系緩衝 および炭酸塩系緩衝剤が挙げられる。

 本実施形態にかかる組成物は、PDT用とし 用いることができる。その場合、本実施形 にかかる組成物を投与する方法は特に限定 れるものではなく、例えば、治療すべき患 に対して皮下注射、静脈注射、外科的手段 によって投与することができる。また、本 施形態にかかる組成物をPDTに用いる場合、 組成部を投与後、患部を一定時間、光に曝 しない環境に置いたのちに、該患部に対し 一定時間の光を照射する。この際、光の波 は特に限定されるものではないが、350~800nm あることが好ましく、350~700nmであることが り好ましい。このような波長の光によれば 患部に効率よく光を照射することができる また、光を照射する方法は特に限定される のではなく、例えば、人工拡散光源、レー ー等各種の光源を用いて光を照射すること できる。好ましい光源としては、より具体 には、ハロゲン灯、キセノン灯、メタルハ イド灯等を挙げることができる。中でも、 視光に強い放射強度スペクトルを持つ光源 してメタルハライド灯を用いることが好ま い。また、光源としてLEDや有機EL素子等の 光素子を用いることもできる。

 また、本実施形態にかかる組成物をPDTに いる場合、その治療対象は特に限定される のではない。例えば、癌細胞、加齢黄斑変 症、粥状動脈硬化病変、関節リウマチ病変 難治性疣贅、尋常性座瘡、およびパピロマ ウイルスに対する治療に用いることができ 。中でも、癌細胞、および加齢黄斑変性症 治療に好適に用いることができる。上記癌 胞の種類は特に限定されず、各種の癌細胞 対して用いることができる。また、加齢黄 変性症は、色を識別する細胞を持つ網膜の 斑と呼ばれる部分が加齢に伴い変化する疾 であるが、本実施形態にかかる組成物は、 齢黄斑変性症の中でも、脈絡新生血管を伴 「滲出型」の加齢黄斑変性症の治療に好適 用いることができる。

 (B)殺菌用組成物
 本実施形態にかかる組成物は、光照射、好 しくは、波長350~800nmの光照射、より好まし は波長350~700nmの光照射により、活性酸素を 生するC 70 含有リポソームを含有する。その含有量は、 特に限定されず、光照射によりC 70 含有リポソームが発生する活性酸素により微 生物等を死滅させることができる程度の量で あればよい。また、本実施形態にかかる組成 物の具体的な使用方法は、特に限定されるも のではないが、例えば、本実施形態にかかる 組成物を微生物が存在する部分に散布し、散 布した領域を自然太陽光に曝すか、もしくは 人工光源によって一定時間光照射する。人工 光源によって照射する場合は、紫外光をフィ ルター等でカットした光を照射することが好 ましい。

 また、本実施形態にかかる組成物を用い 殺菌を行う場合、殺菌対象となる微生物は に限定されない。例えば、大腸菌、緑膿菌 サルモネラ菌等の細菌に対する殺菌あるい 抗菌に用いることができる。また、クラド ポリウム(クロカビ)、アルペルギウス等の ビの除去あるいは発生防止に用いることも 能である。

 (C)化粧品用組成物
 本実施形態にかかる組成物は、活性酸素を 去することが可能なC 70 含有リポソームを含有する。本実施形態にか かる組成物は、該C 70 含有リポソームに共に、他の化粧品の配合成 分を含有することが好ましい。上記他の化粧 品の配合成分としては、例えば、ゲル化剤、 紫外線吸収剤、抗菌剤、pH調整剤、動植物由 及び微生物由来の抽出物、ビタミン類、ア ノ酸類、核酸関連物質、ホルモン、酵素、 行促進剤、皮膚収斂剤、および抗脂漏剤等 挙げることができる。

 上記ゲル化剤としては、例えば、N-ラウ イル-L-グルタミン酸、α,γ-ジ-n-ブチルアミ 等のアミノ酸誘導体、デキストリンパルミ ン酸エステル、デキストリンステアリン酸 ステル、デキストリン2-エチルヘキ酸パルミ チン酸エステル等のデキストリン脂肪酸エス テル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖 ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エス テル、モノベンジリデンソルビトール、ジベ ンジリデンソルビトール等のソルビトールの ベンジリデン誘導体、ジメチルベンジルドデ シルアンモニウムモンモリロナイトクレー、 ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモ リロナイトクレー等の有機変性粘土鉱物等を 挙げることができる。

 上記紫外線吸収剤としては、たとえb、パ ラメトキシケイ皮酸-2-エチルヘキシル、パラ メトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキ シハイドロ皮酸ジエタノールアミン塩、ジパ ラメトキシケイ皮酸-モノ-2-エチルヘキサン グリセリル、メトキシケイ皮酸オクチル、 イソプロピルケイ皮酸メチル等のケイ皮酸 紫外線吸収剤;2-ヒドロキシ-4-メトキシベン フェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフ ェノン-5-硫酸、2-ヒドロキシ-4-メトキシベン フェノン-5-硫酸ナトリウム、2,4-ジヒドロキ シベンゾフェノン、2,2″-ジヒドロキシベン フェノン、2,2″、4,4″-テトラヒドロキシベ ゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベ ンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸 収剤;パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息 酸エチル、パラアミノ安息香酸ブチル、パ ジメチルアミノ安息香酸-2-エチルヘキシル パラアミノ安息香酸グリセリル、パラアミ 安息香酸アミル等の安息香酸系紫外線吸収 ;サリチル酸-2-エチルヘキシル、サリチル酸 リエタノールアミン、サリチル酸ホモメン ル、サリチル酸ジプロピレングリコール、 リチル酸メチル、サリチル酸エチレングリ ール、サリチル酸フェニル、サリチル酸ア ル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸イソ ロピルベンジル、サリチル酸カリウム等の リチル酸系紫外線吸収剤;4-t-ブチル-4″-メ キシジベンゾイルメタン、4-イソプロピルジ ベンゾイルメタン、4-メトキシベンゾイルメ ン、4-t-butiru-4″-ヒドロキシジベンゾイルメ タン等のジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤 ;メチル-O-アミノベンゾエート、2-フェニル- ンズイミダゾール-5-硫酸、2-フェニル-5-メチ ルベンゾキサゾール、3-(4-メチルベンジリデ )カンフル、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3- フェニルアクリレート、2-エチル-2-シアノ-3, 3″-ジフェニルアクリレート、2-(2″ヒドロキ シ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、 ントラニル酸メンチル等のアントラニル酸 紫外線吸収剤;ウロカニン酸エチル等のウロ ニン酸紫外線吸収剤;酸化チタン、酸化ジル コニウム、酸化セリウム等を挙げることがで きる。

 上記抗菌剤としては、例えば、安息香酸 安息香酸ナトリウム、サリチル酸、石炭酸 ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、パラオ シ安息香酸エステル、パラクロルメタクレ ール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザル ニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロ カルバニリド、感光素、ビス(2-ピリジルチ -1-オキシド)亜鉛、ペンタジオール、アイチ ュリン、サーファクチン、ポリグリシン、エ タノール、フェのキシエタノール、イソプロ ピルフェノール等を挙げることができる。

 上記pH調整剤としては、例えば、乳酸、 エン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸 リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリ ム、炭酸水素アンモニウム等、清涼剤とし は、L-メントール、カンフル等を挙げること ができる。

 上記動植物由来及び微生物由来の抽出物 しては、例えば、ブタ、ウシ等の血液抽出 、血清除蛋白抽出物、脾臓抽出物、トリの 成分、鶏冠抽出物、魚肉抽出部、イカスミ キチン、キトサン、貝殻抽出物、貝肉抽出 、ローヤルゼリー、シルクプロテイン及び の分解物又はそれらの誘導体、ヘモグロビ 又はその分解物、牛乳、カゼイン及びその 導体又はそれらの分解物、ラクトフェリン はその分解物、コラーゲン及びその誘導体 はそれらの加水分解物、エラスチン及びそ 誘導体又はそれらの加水分解物、ケラチン びその誘導体又はそれらの分解物等、哺乳 、鳥類、魚類、軟体動物類、甲殻類、貝類 昆虫類等の動物由来抽出物;酵母代謝物、醗 酵代謝産物、酵母抽出物、乳酸菌抽出物、ビ フィズス菌抽出物等の微生物由来の抽出物、 グラブリジン、グラブレン、リクイリチン、 イソリクイリチン及びこれらを含有するカン ゾウ抽出物、胎盤抽出物、カロチノイド類及 びこれらを含有する動植物抽出物、ネオアガ ロビオース、アガロースオリゴサッカライド 、アスパラガス抽出物、イブキトラノオ抽出 物、エンドウ豆抽出物、エイジツ抽出物、オ ウゴン抽出物、オノニス抽出物、海藻抽出物 、キイチゴ抽出物、クジン抽出物、ケイケッ トウ抽出物、ゴカヒ抽出物、リノール酸を含 有する植物油、サイシン抽出物、サンザシ抽 出物、サンペンズ抽出物、シラユリ抽出物、 シャクヤク抽出物、センプクカ抽出物、ソウ ハクヒ抽出物、大豆抽出物、茶抽出物、トウ キ抽出物、糖蜜抽出物、ビャクレン抽出物、 ブナノキ抽出物、ブドウ種子抽出物、フロー デマニータ抽出物、ホップ抽出物、マイカイ カ抽出物、モッカ抽出物、ユキノシタ抽出物 、ヨクイニン抽出物及び羅漢果抽出物、アス パラガス、アカネ、アカブドウ、アカメガシ ワ、アケビ、アサ、アサガオ、アズキ、アセ ンヤク、アマチャ、アマチャヅル、イタドリ 、イチジク、イチョウ、イランイラン、ウツ ボグサ、ウメ、ウワウルシ、ウンシュウミカ ン、エゾウコギ、エビスグサ、エンジュ、エ ンドウ、オオバコ、オクラ、オグルマ、オニ グルミ、オミナエシ、オランダイチゴ、カキ 、カキドウシ、カシュウ、カシュー、カノコ ソウ、カラスウリ、カリン、ガラナ、キキョ ウ、キク、キササゲ、ギシギシ、ギムネマ・ シルベスタ、キンミズヒキ、グアバ、クコ、 クズ、クスノキ、クリ、ケイケットウ、ゲッ ケイジュ、ケイヒ、ゴショイチゴ、コショウ 、コーヒー、ゴマノハグサ、コロンボ、サザ ンカ、サンショウ、サフラン、サクラ、ザク ロ、サンズコン、サンペンズ、シオン、ショ ウブ、スイカ、ステビア、スモモ、セイヨウ キズタ、セイヨウナシ、セイヨウノコギリソ ウ、セイヨウネズ、セイヨウワサビ、セキシ ョウ、セリ、セネガ、センナ、ダイオウ、ダ イダイ、タマリンド、タラノキ、タンポポ、 チコリ、チョウジ、チョウセンゴミシ、チョ レイ、ツキミソウ、ツボクサ、ツユクサ、ツ ルナ、テウチグルミ、トウガン、トチュウ、 トロロアオイ、ナズナ、ナツミカン、ナンテ ン、ニガキ、ノゴギリソウ、パイナップル、 ハイビスカス、パパイヤ、バジル、ハス、ハ ダカムギ、ヒオウギ、ピーナツ、ヒキオコシ 、ヒシ、ピスタチオ、ヒバ、ヒメマツタケ、 ビャクシ、ビワ、フキタンポポ、フシノキ、 フジバカマ、ブルーベリー、ボウフウ、ホオ ズキ、ホオノキ、ボケ、マイカイ、マオウ、 マンゴー、マンネンタケ、ミシマサイコ、ミ ソハギ、ミツバ、ミモザ、メリロート、メロ ン、モクレン、モモルディカ・グロスベノリ ィ、モロヘイヤ、モヤシ、ヤクチ、ヤクモソ ウ、ガグルマソウ、ヤシ、ヤシャジツ、ヤド リギ、ヤナギタデ、ヤマゴボウ、ヤマモモ、 ユズリハ、ヨモギ、ライムギ、ラン、リュウ ガン、リンゴ、レイシ、レンギョウ等を挙げ ることができる。

 上記ビタミン類としては、例えば、リノ ン酸及びその誘導体等のビタミンF類;フィ ナジオン、メナキノン、メナジオン、メナ オール等のビタミンK類;エリオシトリン、ヘ スペリジン等のビタミンP類;その他、ビオチ 、カルチニン、フェルラ酸等を挙げること できる。

 上記アミノ酸類としては、例えば、グリ ン、アラニン、バリン、イソロイシン、セ ン、スレオニン、アスパラギン酸、グルタ ン酸、アスパラギン、グルタミン、リジン ヒドロキシリジン、アルギニン、シスチン メチオニン、フェニルアラニン、チロシン プロリン、ヒドロキシプロリン、オルチニ 、シトルリン、テアニン等のアミノ酸及び れらの誘導体並びにそれらの塩、あるいは ロリドンカルボン酸等のアミノ酸誘導体ま はその誘導体等が挙げられる。

 上記核酸関連物質としては、例えば、デ キシリボ核酸及びその塩、アデノシン三リ 酸、アデノシン二リン酸、アデノシン一リ 酸から選ばれるアデニル酸誘導体及びそれ の塩、リボ核酸及びその塩、サイクリックA MP、サイクリックGMP、フラビンアデニンヌク オチド、グアニン、アデニン、シトシン、 ミン、キサンチン及びそれらの誘導体であ カフェイン、デオフィリン並びにそれらの 等が挙げられる。

 上記ホルモンとしては、例えば、エスト ジオール、エテニルエストラジオール等が げられる。さらに、上記酵素としては、例 ば、リパーゼ、パパイン等が挙げられる。

 上記血行促進剤としては、例えば、ノニ 酸ワレニルアミド、カプサイシン、ジンゲ ン、カンタリスチンキ、イクタモール、α- ルネオール、イノシトールヘキサニコチネ ト、シクランデレート、シンナリジン、ト ゾリン、アセチルコリン、バラパミル、セ ァランチン、γ-オリザノール等が挙げられ 。また、上記皮膚収斂剤としては、例えば タンニン酸等が挙げられ、上記抗脂漏剤と ては、例えば、イオウ、チアントロール等 挙げられる。

 また、本実施形態にかかる組成物の形状 特に限定されるものではなく、粉末状、バ ク状、ペースト状、溶液状、分散液状、膜 、あるいはゲル状等でありうる。

 <III.C 70 含有リポソームの製造方法>
 本発明にかかるC 70 含有リポソームの製造方法は、上述した本発 明にかかるC 70 含有リポソームを製造するために、好適に用 いることができるものである。以下、本発明 にかかるC 70 含有リポソームの製造方法の一実施形態につ いて説明するが、それに先立ち、本発明にか かるC 70 含有リポソームの製造方法を発明するに至っ た経緯について説明する。

 特許文献4および非特許文献2には、C 60 フラーレン(以下、単に「C 60 」ともいう)のシクロデキストリン錯体を含 する溶液と、リポソームを形成可能な脂質 含有する溶液とを、70~80℃程度で、数時間加 熱撹拌してC 60 含有リポソームを製造する方法が開示されて いる。C 60 は、C 70 よりも自己会合しにくいという性質を有する 。逆に言えば、C 70 は、C 60 よりも自己会合しやすい。フラーレンは、自 己会合するとリポソームに取り込まれにくく なると考えられる。したがって、特許文献4 よび非特許文献2に開示されるような方法で 、C 70 をリポソームに取り込ませることは困難であ ることが予想される。また、従来、C 70 含有リポソームが製造された例はなかった。 このような状況下で、本発明者らは、後述の 参考例に示すように、特許文献4および非特 文献2に順ずる方法でC 70 含有リポソームの製造を試みた。その結果、 C 70 含有リポソームは製造できたが、リポソーム へのC 70 の取り込み効率が悪い、粒子径が大きくなる といった問題があることが明らかとなった。 そこで、本発明者らは、鋭意検討し、C 70 のシクロデキストリン錯体を含有する第1溶 と、リポソームを形成可能な脂質を含有す 第2溶液とを10~45℃で混合することにより、 記問題点が解消されたC 70 含有リポソームを、1分以内という実に短時 で製造できることを独自に見出し、本発明 完成させたのである。

 すなわち、本発明にかかるC 70 含有リポソームの製造方法は、シクロデキス トリンC 70 錯体を含有する第1溶液と、リポソームを形 可能な脂質を含有する第2溶液とを10~45℃で 合する工程(以下、「混合工程」ともいう)を 含んでいればよく、その他の構成、使用器具 、使用装置等は特に限定されるものではない 。例えば、本発明にかかるC 70 含有リポソームの製造方法は、一実施形態と して、上記混合工程の後、C 70 含有リポソームの表面に、特定の機能を付与 するための置換基を導入したり、特定の機能 を付与するための脂質を挿入したりするとい ったC 70 含有リポソームを修飾する工程(以下、「修 工程」ともいう)を含んでいてもよい。より 体的には、上記修飾工程は、上述の<I.C 70 含有リポソーム>で説明した構造を有するC 70 含有リポソームを製造するために必要となる 操作工程を包含するものである。本明細書に おいて、「C 70 含有リポソームの修飾」とは、C 70 含有リポソームを化学的または物理的に改変 することが意図される。また、上記修飾工程 は、上記混合工程の後に行うことに限定され るものではなく、上記混合工程の前に行って もよいし、上記混合工程と同時に行ってもよ い。

 また、本発明にかかるC 70 含有リポソームの製造方法は、一実施形態と して、C 70 含有リポソームを精製する工程(以下、「精 工程」ともいう)を含んでいてもよい。上記 合工程では、C 70 含有リポソームを含む水溶液が製造される。 上記精製工程では、上記水溶液からC 70 含有リポソームのみを単離したり、その単離 したC 70 含有リポソームを他の溶媒に溶解したり、上 記水溶液中の不純物(析出物や沈殿物)を除去 たりすることができる。

 以下、上記混合工程について、より詳細 説明する。

 上記混合工程では、上記第1溶液と第2溶 とを10~45℃で混合する。混合方法は、特に限 定されるものではなく、上記第1溶液と第2溶 とは混ざり合って、均一な溶液となればよ 。

 上記第1溶液は、少なくともシクロデキスト リンC 70 錯体を含有する水溶液であればよく、その他 の成分が含有されていてもよい。上記シクロ デキストリンC 70 錯体は、水性溶媒に可溶であるが、熱的に安 定性に乏しいという欠点があり、産業上の利 用性が少ないとされる。本発明者らは、シク ロデキストリンC 70 錯体のこの不安定性を逆に利用して、安定性 に優れ、実用的なC 70 含有リポソームを製造することに成功したの である。上記シクロデキストリンC 70 錯体の製造方法は、特に限定されるものでは ないが、例えば、非特許文献1に開示される 法に製造することができる。また、シクロ キストリンC 70 錯体を構成するシクロデキストリンは、特に 限定されるものではない。例えば、β-シクロ デキストリン、γ-シクロデキストリン、δ-シ クロデキストリン、ε-シクロデキストリン、 およびそれらのメチル化されたシクロデキス トリンを挙げることができる。すなわち、本 発明におけるシクロデキストリンC 70 錯体は、β-シクロデキストリンC 70 錯体、γ-シクロデキストリンC 70 錯体、δ-シクロデキストリンC 70 錯体、およびε-シクロデキストリンC 70 錯体、並びに、β-シクロデキストリン、γ-シ クロデキストリン、δ-シクロデキストリン、 もしくはε-シクロデキストリンのモノ、ジ、 またはトリメチル化体とC 70 フラーレンとの錯体からなる群より選択され るシクロデキストリンC 70 錯体である。中でも、γ-シクロデキストリン C 70 錯体を用いることが好ましい。また、上記例 示したシクロデキストリンC 70 錯体は、単独で用いてもよいし、複数を組み 合わせて用いてもよい。選択するシクロデキ ストリンC 70 錯体の種類および/または組み合わせを変更 ることにより、物性の異なるC 70 含有リポソームを製造することができる。

 上記第2溶液は、リポソームを形成可能な脂 質を含有する水溶液であればよく、その他の 構成は特に限定されない。すなわち、リポソ ームを形成可能な脂質以外の成分が含まれて いてもよい。このような成分としては、例え ば、得られるC 70 含有リポソームを修飾するための成分を挙げ ることができる。具体的には、例えば、上述 の<I.C 70 含有リポソーム>に例示した成分を含有さ ることができる。このような成分を含有さ ることにより、得られるC 70 含有リポソームに特定の機能を付与すること ができる。

 上記脂質は、カチオン性脂質、アニオン性 質、および中性脂質のいずれであってもよ 、これらを組み合わせて用いてもよい。つ り、上記<I.C 70 含有リポソーム>で例示したような脂質を 宜組み合わせて用いることができる。上記 2溶液の脂質の組成を変更することにより、 られるC 70 含有リポソームの物性を所望に制御すること ができる。例えば、上記第2溶液にカチオン 脂質を含有させることにより、C 70 含有リポソームの細胞への取り込み効率(細 透過性)を向上させることができる。さらに C 70 含有リポソームに光を照射したときに、リポ ソームを損傷することなく、C 70 から発生する活性酸素をC 70 含有リポソーム外へ放出することができる。 また、上述の式(1)および(2)で表される脂質を 含むリポソームを用いれば、平均粒径がEPR効 果により癌細胞に効率よくターゲティング可 能なC 70 含有リポソームを製造することができる。

 上記第2溶液中において、上記脂質は、リ ポソームを形成していてもよいし、上記混合 工程において、リポソームが形成されてもよ い。

 また、上記第1溶液中のシクロデキストリン C 70 錯体濃度および第2溶液中のリポソーム濃度 、特に限定されるものではなく、それぞれ 調製が可能な濃度範囲であればよい。また 上記第1溶液と第2溶液とを混合する比率も特 に限定されるものではなく、製造するC 70 含有リポソームにおけるC 70 の含有量が所望のものとなるように、適宜設 定すればよい。つまり、本発明にかかるC 70 含有リポソームの製造方法では、混合するシ クロデキストリンC 70 錯体と脂質とのモル比を調整することにより 、C 70 含有リポソームにおけるC 70 の含有量を所望に制御することができる。本 発明にかかるC 70 含有リポソームの製造方法では、交換反応は ほぼ完全に起こる。そのため、例えば、シク ロデキストリンC 70 錯体1モルに対して、脂質が10モルとなるよう に、上記第1溶液と第2溶液とを混合すると、 質の10モル%のC 70 を含有するC 70 含有リポソームを製造することができる。C 70 含有リポソームに含有されるC 70 の含有量が変化すると、該C 70 含有リポソーム中におけるC 70 の会合状態が変化する。それゆえ、本発明に かかるC 70 含有リポソームによれば、物性、例えば光特 性が所望に制御されたC 70 含有リポソームを製造することができる。

 以上のように、本発明にかかるC 70 含有リポソームの製造方法は上述の構成を備 えているため、上記第1溶液と第2溶液とを混 して直ちに(具体的には1分以内に)、C 70 含有リポソームが形成される。それゆえ、生 産効率よく、C 70 含有リポソームを製造することができる。ま た、上記構成によれば、加熱等の処理が不要 であるため、設備の制限を受けることなく、 低コストにC 70 含有リポソームを製造することができる。さ らに、上記構成によれば、リポソームの組成 やC 70 の含有量を所望に変更することが可能である ため、活性酸素に対して安定性に優れるC 70 含有リポソームや、活性酸素を効率よく消去 するC 70 含有リポソームや、EPR効果により癌細胞への ターゲティングが可能なC 70 含有リポソーム等、所望の物性をもつC 70 含有リポソームを製造することができる。

 なお本発明は、以上説示した各構成に限 されるものではなく、特許請求の範囲に示 た範囲で種々の変更が可能であり、異なる 施形態にそれぞれ開示された技術的手段を 宜組み合わせて得られる実施形態について 本発明の技術的範囲に含まれる。

 本発明について、実施例、および図2~図6 基づいて、より具体的に説明するが、本発 はこれに限定されるものではない。当業者 、本発明の範囲を逸脱することなく、種々 変更、修正および改変を行うことができる

 〔製造例1:γ-シクロデキストリンC 70 錯体の製造〕
 5.0mgのC 70 を、8倍モル等量のγ-シクロデキストリン(61mg )と共に、高速振動条件で20分間処理した。こ れにより得られた混合物を、1.5mlの水で処理 、赤褐色の水溶液を得た。該赤褐色の水溶 を5倍希釈して、UV-vis吸収スペクトルを測定 した。その吸収スペクトルは、シクロヘキサ ンに溶解したC 70 とほぼ同じであった。上記水溶液の原液を、 2×10 4 Mとなるように希釈した。なお、濃度計算で 、上記水溶液の381nmにおける分子吸光係数ε 381 =3.80×10 4 cm 2 g- 1 を用いた。

 〔実施例1:C 70 含有リポソームの製造〕
 製造例1で製造したγ-シクロデキストリンC 70 錯体を用いて、C 70 含有リポソームを製造した。具体的には、ま ず、製造例1で製造した、0.20mM γ-シクロデキ ストリンC 70 錯体溶液(1ml)に、2.0mM脂質溶液(上記式(1)で表 れる脂質:90モル%、上記式(2)で表される脂質 :10モル%)を、室温(25℃)で加え、混合し、C 70 含有リポソーム水溶液を得た。

 なお、γ-シクロデキストリンC 70 錯体溶液中のγ-シクロデキストリン濃度およ びC 70 濃度、並びに脂質濃度は、それぞれ、NMRスペ クトルの積算強度を用いて評価した。その結 果、γ-シクロデキストリン濃度は1.9mM、C 70 濃度は0.1mM、脂質濃度は1.0mMであった。つま 、γ-シクロデキストリン:C 70 :脂質(モル比)は、1.9:0.1:1.0であった。

 γ-シクロデキストリンC 70 錯体が、C 70 含有リポソームに変化したことは、US-vis吸収 スペクトルの変化により確認した。また、得 られたC 70 含有リポソームにおけるC 70 濃度は、γ-シクロデキストリンC 70 錯体溶液の初期濃度と同じであった。つまり 、γ-シクロデキストリンC 70 錯体中のC 70 は、全てリポソーム中に移動することが分か った。したがって、本実施例で製造されたC 70 含有リポソームは、脂質の10モル%のC 70 を含有していた。

 こうして得られたC 70 含有リポソーム水溶液を用いて、C 70 含有リポソームのUV-vis吸収スペクトルを測定 し、C 60 含有リポソームのUV-vis吸収スペクトルと比較 した。なお、C 60 含有リポソームは、非特許文献2に記載され 方法で製造した。

 その結果、図2に示すように、C 70 含有リポソームは、C 60 含有リポソームよりも全ての波長領域で高い 吸光度を示した。特に、波長350nm~700nmの領域 おいて、高い吸光度を示した。

 〔実施例2:C 70 含有リポソームのDNA切断効果〕
 実施例1で製造したC 70 含有リポソームによるDNA切断効果を、DNAとし て、ColE1スーパーコイルプラスミドを用いて べた。プラスミドは、図3の(a)に示すように 、全く切断されていないスーパーコイルを形 成した状態(図3の(a)中のFormI)、切断によりス パーコイル構造が解けた環状の状態(図3の(a )中のFormII)、および、さらに切断され、直鎖 となった状態(図3の(a)中のFormIII)をとる。本 実施例では、C 70 含有リポソームにより、FormIのColE1プラスミ が切断され、FormIIまたはFormIIIとなる割合を べた。

 実験では、ColE1スーパーコイルプラスミド(F ormI、反応液中の濃度1.3mg/l)に、(1)何も添加し ない、(2)光のみを照射する、(3)C 60 含有リポソーム(反応液中の濃度30μM)のみを 加する、(4)C 60 含有リポソーム(反応液中の濃度30μM)を添加 て光を照射する、(5)C 70 含有リポソーム(反応液中の濃度30μM)のみを 加する、または(6)C 70 含有リポソーム(反応液中の濃度30μM)を添加 て光を照射することによって、FormIIまたはFo rmIIIに切断された割合(切断率)を評価した。 照射は、500Wキセノンランプ(UI-502Q;Ushio, Inc) 用いて、10cmの距離から、好気条件、25℃で 3時間行った。また、上記切断率の評価は、 次の方法で行った。上記の処理後の試料に10%  SDSおよびサンプルバッファー(和光純薬)を に加え、0.9アガロースゲルを用いて電気泳 を行った。電気泳動後のゲルをSYBR Gold(10000 希釈;Molecular Probes Inc.)で染色し、UVトラン イルミネーターで観察した画像の画像解析 より上記切断率を算出した。

 その結果、図3の(b)に示すように、(1)何も添 加しなった場合、ColE1スーパーコイルプラス ドは全く切断されなかった。また、(2)光の を照射した場合、(3)C 60 含有リポソームのみを添加した場合、(5)C 70 含有リポソームのみを添加した場合にも、Col E1スーパーコイルプラスミドはほとんど切断 れなかった。一方、(4)C 60 含有リポソームを添加して光を照射した場合 、および(6)C 70 含有リポソームを添加して光を照射した場合 には、ColE1スーパーコイルプラスミドは切断 れた。その程度は、(6)C 70 含有リポソームを添加して光を照射した場合 のほうがはるかに高く、(6)C 70 含有リポソームを添加して光を照射した場合 には90%以上が切断されたのに対して、(4)C 60 含有リポソームを添加して光を照射した場合 には、26%と、約1/4程度のDNAしか切断されなか った。

 また、C 70 含有リポソームによるDNAの光切断と、C 60 含有リポソームによるDNAの光切断とを、光照 射開始後、経時的に比較した。その結果、図 3の(c)に示すように、C 70 含有リポソームでは、約2時間で90%以上のDNA 切断されるのに対して、C 60 含有リポソームでは、3時間経過しても、約30 %のDNAしか切断されなかった。さらに、C 70 含有リポソームによるDNAの光切断の切断レベ ルを調べた。その結果、図3の(d)に示すよう 、光照射時間が長くなるにつれて、FormIIIま 切断されるDNAの割合が増加した。

 以上の結果、C 70 含有リポソームは、C 60 含有リポソームよりも、DNAの光切断能力が遥 かに高いことが分かった。

 〔実施例3:C 70 含有リポソームのHeLa細胞への光線力学活性
 実施例1で製造したC 70 含有リポソームのHeLa細胞に対する光線力学 性を評価した。また、実験では、C 60 含有リポソームについても同様の評価を行い 、両者の比較も併せて行った。

 実験は、以下の方法により行った。まず、 養したHeLa細胞を35mmディッシュに撒き、37℃ -5% CO 2 条件下で、80%コンフルエントに達するまでイ ンキュベートした。そこに、(1)C 70 含有リポソーム溶液、(2)C 60 含有リポソーム、または(3)リポソーム溶液を 、脂質濃度50μMとなるように添加し、24時間 ンキュベートした。その後、取り込まれて ないリポソームを取り除くため、培地を吸 除去し、37℃に温めておいたPhosphate Buffer Sa line (PBS) 1mlで洗浄を3回行った。さらに、37 に温めておいた培地2mlを添加し、光照射サ プルとした。その後、35℃のインキュベータ ーに移し、400~800nmの波長領域で30分間光照射 た。光照射後のディッシュの培地を除き、A nnexin V-Propidium Iodide溶液 100μlをカバーグラ 上に添加した。暗所で15分間静置後、1×PBS 洗浄(500μl×1回)した。さらに、蛍光剤溶液 1 00μlをカバーグラス上に添加し、暗所で15分 静置後、1×PBSで洗浄(500μl×1回)した。染色し た細胞面を挟むようにカバーグラスをスライ ドグラスに被せたものを観察サンプルとし、 顕微鏡下で観察した。その結果を図4に示す 図4の上段のパネルは位相差像を示すもので る。該位相差像では、全細胞を観察するこ ができる。一方、図4の下段のパネルは、ヨ ウ化プロピジウムで染色した細胞を蛍光顕微 鏡下で観察した像を示す図である。該像では 、死細胞を観察することができる。つまり、 図4の上段のパネルの像と下段のパネルの像 を比較することにより、全細胞のうち、ど 程度の細胞が死細胞であるかを評価するこ ができる。

 図4に示すように、(3)リポソーム溶液で処理 した場合(図4中、コントロールと記載)、ほと んど死細胞は観察されなかった。また、(2)C 60 含有リポソームで処理した場合、死細胞は観 察されたが、全細胞に占める死細胞の割合は 、5%と非常に低かった。一方、(1)C 70 含有リポソーム溶液で処理した場合、多くの 死細胞が観察され、全細胞に占める死細胞の 割合は、ほぼ100%であり、(2)C 60 含有リポソームで処理した場合よりも遥かに 高かった。

 以上の結果、C 70 含有リポソームは、C 60 含有リポソームよりも、細胞を死滅させる能 力(細胞殺傷能力)が遥かに高いことが分かっ 。

 〔参考例1〕
 γ-シクロデキストリンC 70 錯体溶液に脂質溶液を加えた後、80℃で2時間 、加熱撹拌したことを除いて、実施例1と同 の方法で、C 70 含有リポソーム水溶液を製造した。

 その結果、図5の(a)に示すように、実施例1 C 70 含有リポソーム水溶液では沈殿物(析出物)が られなかったのに対して、図5の(b)に示すよ うに、本参考例のC 70 含有リポソーム水溶液では、沈殿物(析出物) サンプル瓶の壁面に付着していた。

 さらに、実施例1のC 70 含有リポソーム水溶液および本参考例のC 70 含有リポソーム水溶液を用いて、UV-vis吸光ス ペクトルを測定した。その結果を図6に示す 図6中、実線は室温で調製されたC 70 含有リポソーム水溶液(実施例1のC 70 含有リポソーム水溶液)の吸収スペクトルを 破線は80℃で2時間、加熱撹拌して調製され C 70 含有リポソーム水溶液(本参考例のC 70 含有リポソーム水溶液)の吸収スペクトルで る。

 図6に示すように、本参考例のC 70 含有リポソーム水溶液では、800nmに0.010の散 による吸光度の上昇が見られた。これは、C 70 含有リポソーム同士が融合し、大きなC 70 含有リポソームに成長していることを示して いる。つまり、本参考例の方法で製造された C 70 含有リポソームは、実施例1の方法で製造さ たC 70 含有リポソームと比較して、平均粒子径が大 きいことが分かった。また、本参考例のC 70 含有リポソーム水溶液では、C 70 由来の吸収ピークがブロードニングしていた 。これは、C 70 同士の会合が進んでいることを示している。 つまり、本参考例の方法では、C 70 が沈殿しやすい状態にあることが分かった。 さらに、本参考例のC 70 含有リポソーム水溶液では、220nmおよび245nm ピークの吸光度が減少していた。これは、C 70 の沈殿(析出)によって、系内のC 70 濃度、換言すれば、C 70 含有リポソームに取り込まれたC 70 量が低下していることを示している。つまり 、本参考例の方法で製造されたC 70 含有リポソームは、光活性が低いことが分か った。

 なお本発明は、以上説示した各構成に限 されるものではなく、特許請求の範囲に示 た範囲で種々の変更が可能であり、異なる 施形態や実施例にそれぞれ開示された技術 手段を適宜組み合わせて得られる実施形態 実施例についても本発明の技術的範囲に含 れる。また、本明細書中に記載された学術 献および特許文献の全てが、本明細書中に いて参考として援用される。

 以上のように、本発明にかかるC 70 含有リポソームは、C 70 フラーレンがリポソームに包含された状態に ある。それゆえ、C 70 フラーレンが本来有する物性を有する状態で 、安定に極性溶媒に対してC 70 フラーレンを可溶化することができるという 効果を奏する。また、本発明にかかるC 70 含有リポソームの製造方法によれば、シクロ デキストリンC 70 錯体を含有する第1溶液と、リポソームを形 可能な脂質を含有する第2溶液とを10~45℃で 合するという単純な工程でC 70 含有リポソームを製造できる。それゆえ、特 別な設備を必要とすることなく、短時間で極 性溶媒に対して可溶なC 70 含有リポソームを製造できるという効果を奏 する。

 発明の詳細な説明の項においてなされた 体的な実施形態または実施例は、あくまで 、本発明の技術内容を明らかにするもので って、そのような具体例にのみ限定して狭 に解釈されるべきものではなく、本発明の 神と次に記載する請求の範囲内において、 ろいろと変更して実施することができるも である。

 本発明は、C 70 をリポソームに包含させるため、機能を損な うことなく、C 70 を水性溶媒に対して可溶化することができる 。それゆえ、PDT薬、殺菌剤、化粧品等の用途 に用いることができるだけではなく、水溶性 のC 70 を用いる医薬化学分野、材料化学分野、電気 化学分野等に幅広く利用することができる。




 
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