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Patent Searching and Data


Title:
ZNO THIN FILM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/096778
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a ZnO thin film for growing a flat film in the case of forming a ZnO thin film on a substrate. In Fig. 1(a), a ZnO thin film (2) is formed on a ZnO substrate (1). In Fig. 1(b), a ZnO laminated body (10), i.e., a laminated body of ZnO thin films, is formed on the ZnO substrate (1). The ZnO laminated body (10) is a laminated body wherein a plurality of ZnO semiconductor layers of a ZnO semiconductor layer (3), a ZnO semiconductor layer (4) and the like are laminated. In the case of forming the ZnO thin film (2) and the ZnO laminated body (10), the film and body are formed at a growing temperature of 750°C or higher or a step structure is formed as a prescribed structure on the film surface so that the roughness of the film surface is within a prescribed range.

Inventors:
NAKAHARA KEN (JP)
YUJI HIROYUKI (JP)
TAMURA KENTARO (JP)
AKASAKA SHUNSUKE (JP)
KAWASAKI MASASHI (JP)
OHTOMO AKIRA (JP)
TSUKAZAKI ATSUSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/051927
Publication Date:
August 14, 2008
Filing Date:
February 06, 2008
Export Citation:
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Assignee:
ROHM CO LTD (JP)
NAKAHARA KEN (JP)
YUJI HIROYUKI (JP)
TAMURA KENTARO (JP)
AKASAKA SHUNSUKE (JP)
KAWASAKI MASASHI (JP)
OHTOMO AKIRA (JP)
TSUKAZAKI ATSUSHI (JP)
International Classes:
C30B29/16; C23C14/08; H01L21/363; H01L33/00
Foreign References:
JP2004022625A2004-01-22
JP2006073579A2006-03-16
JP2004284831A2004-10-14
JP2007055850A2007-03-08
Other References:
KATO H. ET AL.: "Homoepitaxial Growth of High-Quality Zn-Polar ZnO Films by Plasma-Assisted Molecular Beam Epitaxy", JPN. J. APPL. PHYS., vol. 42, no. 8B, PART 2, 15 August 2003 (2003-08-15), pages L1002 - L1005, XP001191889
WANG X. ET AL.: "Effect of Low Temperature Thin GaN Layer on ZnO Film Grown on Nitridated c-Sapphire by Molecular Beam Epitaxy", JPN. J. APPL. PHYS., vol. 43, no. 6A, PART 2, 1 June 2004 (2004-06-01), pages L719 - L721
Attorney, Agent or Firm:
MIYOSHI, Hidekazu et al. (2-8 Toranomon 1-chome, Minato-ku Tokyo 01, JP)
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Claims:
 基板上に結晶成長されるZnO系薄膜であって、
 前記ZnO系薄膜の結晶成長方向の主面が、算術平均粗さ1.5nm以下で、かつ二乗平均粗さ2nm以下になるように形成されていることを特徴とするZnO系薄膜。
 基板上に結晶成長されるZnO系薄膜であって、
 前記ZnO系薄膜の結晶成長方向の主面が、算術平均粗さ1nm以下で、かつ二乗平均粗さ1.5nm以下になるように形成されていることを特徴とするZnO系薄膜。
 基板上に結晶成長されるZnO系薄膜であって、
 前記ZnO系薄膜の結晶成長方向の主面が有するステップ構造のステップ高さがZnO系結晶の1分子の厚さに形成されていることを特徴とするZnO系薄膜。
 基板上に結晶成長されるZnO系薄膜であって、
 前記ZnO系薄膜の結晶成長方向の主面が有するステップ構造のステップラインがm軸に対して略垂直に形成されていることを特徴とするZnO系薄膜。
 前記結晶成長方向の主面はステップ構造を有しており、前記ステップ構造のステップ高さがZnO系結晶の1分子の厚さに形成されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載のZnO系薄膜。
 前記結晶成長方向の主面はステップ構造を有しており、前記ステップ構造のステップラインがm軸に対して略垂直に形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のZnO系薄膜。
 前記ステップラインが有する凹凸の変動幅は、略全てのステップラインに対して前記ステップ構造が有するテラス面の理想的な幅以下に形成されていることを特徴とする請求項4、6のいずれか1項に記載のZnO系薄膜。
 基板上に、成長温度750℃以上で結晶成長させることを特徴とするZnO系薄膜。
Description:
ZnO系薄膜

 本発明は、基板上にエピタキシャル成長 行うZnO系薄膜に関する。

 ZnO系半導体は、照明やバックライト等用 光源として使用される紫外LED、高速電子デ イス、表面弾性波デバイス等への応用が期 されている。ZnO系半導体はその多機能性、 光ポテンシャルの大きさなどが注目されて ながら、なかなか半導体デバイス材料とし 成長しなかった。その最大の難点は、アク プタードーピングが困難で、p型ZnOを得るこ とができなかったことにある。

 しかし、近年、非特許文献1や非特許文献 2に見られるように、技術の進歩により、p型Z nOを得ることができるようになり、発光も確 されるようになってきた。半導体デバイス は、ドーピングが異なる薄膜や組成の異な 薄膜などを堆積することによって特有の機 を持たせることが多い。その際、その薄膜 平坦性が問題になる。

 薄膜の平坦性が良くないとキャリアが薄 中を移動するときの抵抗になったり、積層 造の上層になるほど、表面荒れが大きくな 、その表面荒れのためにエッチング深さの 一性が取れなかったり、表面荒れによる異 的な結晶面の成長が起こったり、といった 題が発生しやすく、半導体デバイスとして 所望の機能を発揮させるのが困難になりや い。そのため、通常は薄膜表面はできるだ 平坦なことが望まれる。

 一方、GaN系半導体素子の製造方法のように ZnOがサファイア基板上に成長されることが かったが、ZnO結晶基板が市販されるように り、ZnO系基板上のZnO系薄膜の成長という方 が試みられている。
A.Tsukazaki et al.,JJAP44(2005)L643 A.Tsukazaki et al NtureMaterial4(2005)42

 ところが、ZnO系基板等の成長用基板上にZ nO系薄膜を成長させることは、非常に簡単な うに思えるが、実は広い範囲での表面平坦 得ることは難しく、どのようなZnO系薄膜を いれば良いか等、その表面平坦性を得るた の条件等は、従来明確にわかっていなかっ 。

 本発明は、上述した課題を解決するため 創案されたものであり、基板上にZnO系薄膜 形成する場合に、平坦な膜を成長させるた のZnO系薄膜を提供することを目的としてい 。

 上記目的を達成するために、請求項1記載 の発明は、基板上に結晶成長されるZnO系薄膜 であって、前記ZnO系薄膜の結晶成長方向の主 面が、算術平均粗さ1.5nm以下で、かつ二乗平 粗さ2nm以下になるように形成されているこ を特徴とするZnO系薄膜である。

 また、請求項2記載の発明は、基板上に結 晶成長されるZnO系薄膜であって、前記ZnO系薄 膜の結晶成長方向の主面が、算術平均粗さ1nm 以下で、かつ二乗平均粗さ1.5nm以下になるよ に形成されていることを特徴とするZnO系薄 である。

 また、請求項3記載の発明は、基板上に結 晶成長されるZnO系薄膜であって、前記ZnO系薄 膜の結晶成長方向の主面が有するステップ構 造のステップ高さがZnO系結晶の1分子の厚さ 形成されていることを特徴とするZnO系薄膜 ある。

 また、請求項4記載の発明は、基板上に結 晶成長されるZnO系薄膜であって、前記ZnO系薄 膜の結晶成長方向の主面が有するステップ構 造のステップラインがm軸に対して略垂直に 成されていることを特徴とするZnO系薄膜で る。

 また、請求項5記載の発明は、前記結晶成 長方向の主面はステップ構造を有しており、 前記ステップ構造のステップ高さがZnO系結晶 の1分子の厚さに形成されていることを特徴 する請求項1又は2のいずれか1項に記載のZnO 薄膜である。

 また、請求項6記載の発明は、前記結晶成 長方向の主面はステップ構造を有しており、 前記ステップ構造のステップラインがm軸に して略垂直に形成されていることを特徴と る請求項1~3のいずれか1項に記載のZnO系薄膜 ある。

 また、請求項7記載の発明は、前記ステッ プラインが有する凹凸の変動幅は、略全ての ステップラインに対して前記ステップ構造が 有するテラス面の理想的な幅以下に形成され ていることを特徴とする請求項4、6のいずれ 1項に記載のZnO系薄膜である。

 また、請求項8記載の発明は、基板上に、 成長温度750℃以上で結晶成長させることを特 徴とするZnO系薄膜である。

  本発明によれば、基板上にZnO系薄膜を 晶成長させる場合、成長温度(基板温度)を750 ℃以上にしているので平坦な膜が得られる。 また、成長温度750℃以上にする場合と等価な 条件、すなわち結晶成長表面の粗さや結晶成 長表面のステップ構造の条件を規定しており 、平坦なZnO系薄膜が得られるだけでなく、こ れらの諸条件を維持しながら、ZnO系薄膜の上 にさらにZnO系薄膜を繰り返して積層したとし ても、積層された上層のZnO系薄膜の膜の平坦 性を維持することができる。また、ステップ フロー成長において、ステップが安定しやす くなり、平坦面が得られやすくなる。

図1は、本発明のZnO系薄膜の積層構造を 示す図である。 図2は、本発明のZnO系薄膜の成長温度毎 の表面状態を示す図である。 図3は、本発明のZnO系薄膜を多層積層し た場合の表面状態を示す図である。 図4は、ZnO系薄膜表面の算術平均粗さと 基板温度との関係を示す図である。 図5は、ZnO系薄膜表面の二乗平均粗さと 基板温度との関係を示す図である。 図6は、算術平均粗さ及び二乗平均粗さ を説明する図である。 図7は、基板主面法線と基板結晶軸であ るc軸、m軸、a軸との関係を示す図である。 図8は、基板主面法線がm軸方向にのみ フ角を有する場合の基板表面を示す図であ 。 図9は、m軸方向に少し凹凸のあるステ プラインが並んだ状態を示す図である。 図10は、ZnO系薄膜を成長させる場合の 板温度を計測する構成を示す図である。 図11は、ZnO系薄膜を成長させる場合の 板温度を計測する他の構成を示す図である

符号の説明

1  ZnO系基板
2  ZnO系薄膜
3  ZnO系半導体層
4  ZnO系半導体層
10 ZnO系積層体
12 ZnO系基板
13 多層膜
14 基板ホルダー
15 熱源
16 赤外線温度計

 以下、図面を参照して本発明の一実施形 を説明する。図1は本発明のZnO系薄膜の構造 を示す。

 ここで、ZnO系薄膜におけるZnO系とは、ZnO ベースとした混晶材料であり、Znの一部をII A族もしくはIIB族で置き換えたもの、Oの一部 VIB族で置き換えたもの、またはその両方の み合わせを含むものである。

 図1(a)では、ZnO系材料層であるZnO系基板1 にZnO系材料層であるZnO系薄膜2が形成されて る。また、図1(b)では、ZnO系材料層であるZnO 系基板1上に、ZnO系材料層であるZnO系薄膜の 層体であるZnO系積層体10が形成されている。 ZnO系積層体10は、ZnO系半導体層3やZnO系半導体 層4等の複数のZnO系半導体層が積層された積 体である。

 このように、ZnO系薄膜をZnO系材料層上に ピタキシャル成長させる場合には、エピタ シャル成長したZnO系薄膜が基板となってさ にその上にZnO系薄膜が繰り返して積層させ 場合の積層された上層の膜の平坦性が得ら るかも重要な点となる。以下に図1(a)、(b)の いずれにおいても平坦なZnO系薄膜が得られる 条件について説明する。

 図2は、図1(a)のように、ZnO系基板1上にZnO 薄膜2をMBE(Molecular Beam Epitaxy)法によってエ タキシャル成長させた場合の表面像を表す 具体的には、ZnO系基板1にMgZnOを用い、ZnO系 膜2はZnOとした。また、図2の下段が成長さ たZnOの表面像を表しており、原子間力顕微 (AFM)を用い、20μmの分解能でスキャンした。

 ZnOを結晶成長させる場合の基板温度は変 させて測定しており、図2に示すように、図 2(a)が810℃、(b)が760℃、(c)が735℃、(d)が720℃ (e)が685℃である。図2(c)(d)(e)の場合は、図の 面像からわかるように表面の凹凸の散在が 立っている。一方、図2(a)(b)の場合は表面は 綺麗な状態になっており、膜の平坦性が良い 状態であることがわかる。

 次に、基板温度を図2に示された温度だけ でなく、もう少し細かく基板温度を変化させ てそのときのZnOの表面の平坦性を数値として 表し、それらをグラフにしたものが図4であ 。図4の縦軸Ra(単位はnm)は、膜表面の算術平 粗さを表す。算術平均粗さRaとは、図6に示 ような測定された粗さ曲線から求められる

 粗さ曲線は、例えば、図2で観察された膜 表面の凹凸を、所定のサンプリングポイント で測定し、凹凸の大きさをこれらの凹凸の平 均値とともに示したものである。そして、粗 さ曲線から、その平均線の方向に基準長さl け抜き取り、この抜き取り部分の平均線か 測定曲線までの偏差の絶対値を合計して、 均した値のことである。算術平均粗さRa=(1/l) ×∫|f(x)|dx(積分区間は0~lまで)と表される。こ のようにすることで、1つの傷が測定値に及 す影響が非常に小さくなり、安定した結果 得られる。なお、算術平均粗さRa等の表面粗 さのパラメータは、JIS規格で規定されている ものであり、これらを用いている。

 以上のように算出された算術平均粗さRa 縦軸にし、基板温度を横軸にして表示した が図4である。図4の黒三角(▲)は、基板温度 750℃未満のデータを示し、黒丸(●)は基板 度が750℃以上のデータを示す。図4からもわ るように、基板温度が750℃を境にして基板 度が高くなれば、急激に表面の平坦性が向 していることがわかる。またこのときの算 平均粗さRaの境界値は、Raを緩めに取ると1.5 nm、厳しく取ると1.0nm程度になることがわか 。

 図5は、図4と同じ測定データから、膜表面 二乗平均粗さRMSを求めたものである。二乗 均粗さRMSは、図6のような測定された粗さ曲 の平均線から測定曲線までの偏差の二乗を 計し、平均した値の平方根を表す。算術平 粗さRaを算出する際の基準長さlを用いて、
 RMS={(1/l)×∫(f(x)) 2 dx} 1/2 (積分区間は0~lまで)となる。

 図5は縦軸に二乗平均粗さRMSを、横軸に基 板温度を示したものである。ここで、黒三角 (▲)は、基板温度が750℃未満のデータを示し 黒丸(●)は基板温度が750℃以上のデータを す。基板温度については、図4と同様、750℃ 境にして基板温度が高くなれば、急激に表 の平坦性が向上していることがわかる。一 、二乗平均粗さRMSについては、境界値を緩 取ると2.0nm、厳しく取ると1.5nm程度となって いることがわかる。

 したがって、ZnO系材料層上にZnO系薄膜を 長させる場合は、基板温度を750℃以上にし エピタキシャル成長させれば、平坦性の良 膜が得られる。一方、表面粗さの観点から えば、膜表面の算術平均粗さRaが1.5nm以下、 かつ二乗平均粗さRMSが2nm以下となるように成 長表面(主面)を結晶成長させれば、その後の 層されるZnO系薄膜も平坦性が維持できるこ なる。より望ましいのは、Raが1nm以下、か RMSが1.5nm以下となるように結晶成長させるこ とである。

 例えば、以上の条件で、ZnO系薄膜を図1(b)の ように積層した場合の表面像を図3に示す。 れは、図2と同様、原子間力顕微鏡(AFM)を用 、20μmの分解能でスキャンした像である。具 体的には、ZnO系基板1にMg 0.2 ZnOを用い、その上にZnO系積層体10としてMg 0.1 ZnOとZnOを交互に10周期積層させたものを形成 た。基板温度は770℃とした。ZnO薄膜上のZnO 膜だけではなく、図3のように混晶組成薄膜 を積層させた場合でも、正しい基板温度設定 又は膜の表面粗さを一定に保つことで、積層 構造の最上層において平坦膜が得られること がわかる。

 次に、ZnO系化合物の結晶構造から膜の平 性を形成するための条件を考える。ZnO系化 物はGaNと同様、ウルツァイトと呼ばれる六 晶構造を有する。C面やa軸という表現は、 わゆるミラー指数により表すことができ、 えば、C面は(0001)面と表される。ZnO系材料層 にZnO系薄膜を成長させる場合には、通常C面 (0001)面が行われるが、C面ジャスト基板を用 た場合、図8(a)のようにウエハ主面の法線方 がc軸方向と一致する。しかし、C面ジャス ZnO系基板上にZnO系薄膜を成長させても膜の 坦性が良くならないことが知られている。

 そこで、ZnO系基板1は、図7に示されるよう 、+C面を有する基板主面の法線がc軸から傾 しており、少なくともc軸からm軸方向に傾斜 させた法線を持つ基板主面となるように研磨 されている。図7は、基板主面の法線Zが、基 結晶軸のc軸から角度φ傾斜し、かつ法線Zを 基板結晶軸のc軸m軸a軸の直交座標系における c軸m軸平面に射影(投影)した射影(投影)軸がm の方へ角度φ m 、c軸a軸平面に射影した射影軸がa軸の方へ角 度φ a 傾斜している場合を示す。

 すなわち、ZnO系基板1(ウエハ)の主面の法 方向をc軸方向と一致させずに、基板主面の 法線Zが、基板結晶軸のc軸から傾き、オフ角 有するようにする。例えば、図8(b)に示され るように、主面の法線Zがc軸m軸平面内に存在 し、かつ法線Zがc軸からm軸方向にのみθ度傾 しているとすると、基板1の表面部分(例え T1領域)の拡大図である図8(c)に表されるよう 、平坦な面であるテラス面1aと、法線Zが傾 したことにより生じる段差部分に等間隔で 則性のあるステップ面1bとが生じる。

 ここで、テラス面1aがC面(0001)となり、ス ップ面1bはM面(10-10)に相当する。図のように 、形成された各ステップ面1bは、m軸方向にテ ラス面1aの幅を保ちながら、規則的に並ぶこ になる。すなわち、テラス面1aと垂直なc軸 基板主面の法線Zとはθ度のオフ角を形成す 。また、ステップ面1bのステップエッジと るステップライン1eは、m軸方向と垂直の関 を保ちながら、テラス面1aの幅を取りながら 並行に並ぶようになる。

 このように、ステップ面をM面相当面とな るようにすれば、主面上に結晶成長させたZnO 系半導体層においては平坦な膜とすることが できる。主面上にはステップ面1bによって段 部分が発生するが、この段差部分に飛来し 原子は、テラス面1aとステップ面1bの2面と 結合になるので、テラス面1aに飛来した場合 よりも原子は強く結合ができ、飛来原子を安 定的にトラップすることができる。

 表面拡散過程で飛来原子がテラス内を拡 するが、結合力の強い段差部分や、この段 部分で形成されるキンク位置にトラップさ て結晶に組み込まれることによって結晶成 が進む沿面成長により安定的な成長が行わ る。このように、基板主面法線が少なくと m軸方向に傾斜した基板上に、ZnO系半導体層 を積層させると、ZnO系半導体層はこのステッ プ面1bを中心に結晶成長が起こり、平坦な膜 形成することができる。

 ところで、図8(b)で傾斜角度(オフ角)θを きくしすぎると、ステップ面1bのステップ高 さtが大きくなりすぎて、平坦に結晶成長し くなるので、下記の製造例では、m軸方向の フ角θを0.5度とした。また、この傾斜角度 、望ましいステップ高さtの大きさに言い換 ると、ZnO系結晶の1分子の厚さに相当する。

 上述したように、m軸方向にステップライ ン1eが規則的に並んでおり、m軸方向とステッ プライン1eが垂直の関係になっていることが 平坦な膜を作製する上で必要なことであり ステップライン1eの間隔やラインが乱れる 、前述した沿面成長が行われなくなるので 平坦な膜が作製できなくなる。

 m軸に対してステップライン1eが垂直にな ているとは、例えば図9に示すように、ステ ップ面1dが平坦ではなく、やや凹凸(うねり) ある場合も含むことを意味する。ステップ イン1fに存在する凹凸(うねり)のピークから ークまでの変動幅は、図のようにL1、L2等、 複数の異なる変動幅が発生する場合があるが 、これらの変動幅を含めてLと表し、テラス 1cの理想的な幅をWとすると、略全てのステ プでL≦Wとなることが平坦な膜を作製するた めには必要となる。ここで、テラス面1cの理 的な幅Wは、上記オフ角θ(ラジアン)とステ プ高さtを用いて、W=t/tanθで表される。

 変動幅Lは、上述したようにL1、L2等の複 の変動幅を含むものであるが、前記の不等 は、複数の変動幅が略全てL≦Wとなるステッ プ構造であることが望ましい。変動幅LがL≦W を満足していない場合は、図9のAの部分のよ に、ステップラインが束ねられステップの 差が大きくなるので、沿面成長速度のバラ キを発生させ、表面荒れを生る要因となる 例えば、ステップ高さtをZnO系結晶の1分子 分に相当する0.26nmとし、オフ角θを0.5度とす ると、W=t/tanθは、約30nmとなる。なお、凹凸 有するステップライン1fがm軸と垂直になっ いるかどうかについては、凹凸の中心線を テップラインとして判断すれば良い。

 以上のように、ZnO系結晶成長表面のステ プ構造が維持できるように形成することで 平坦な表面のZnO系薄膜が形成できるととも 、この平坦な膜の上に積層されるZnO系薄膜 ついても、平坦な膜を形成することができ 。例えば、図3の表面画像に示されるように 、混晶組成薄膜を積層させた場合でも、膜の 表面のステップ構造を上記条件を保ちながら 成長させることで、積層構造の最上層におい て平坦膜が得られる。

 また、ZnO系薄膜を成長させるための成長 基板として、実施例ではZnO系基板を用いて るが、ZnO系基板の代わりに六方晶構造を有 るGaN基板やサファイア基板を用いても良く この場合でも、上記同様、平坦なZnO系薄膜 形成することができる。

 以下に、図1に示すようなZnO系薄膜の製造方 法を説明する。ZnO系基板1として基板主面法 がm軸方向に0.5度OFFしているZnO基板を使用す 。このZnO基板をロードロック室に入れ、水 除去のために1×10 -5 ~1×10 -6 Torr程度の真空環境で200℃、30分程度加熱する 。1×10 -9 Torr程度の真空を持つ搬送チャンバーを経由 て、液体窒素で冷やされた壁面を持つ成長 に基板を導入し、MBE法を用いてZnO系薄膜2を 長させる。

 Znは7Nの高純度ZnをpBN製の坩堝に入れたクヌ センセルを用い、260~280℃程度に加熱して昇 華させることにより、Zn分子線として供給す 。IIA族元素の一例としてMgがあるが、Mgも6N 高純度Mgを用い、同様の構造のセルから300 ~400℃に加熱して昇華させ、Mg分子線として 給する。酸素は6NのO 2 ガスを用い、電解研磨内面を持つSUS管を通じ て円筒の一部に小さいオリフィスを開けた放 電管を備えたRFラジカルセルに0.1sccm~5sccm程度 で供給、100~300W程度のRF高周波を印加してプ ズマを発生させ、反応活性を上げたOラジカ の状態にして酸素源として供給する。プラ マは重要で、O 2 生ガスを入れてもZnO系薄膜は形成されない。

 基板は一般的な抵抗加熱であればSiCコー したカーボンヒータを使う。Wなどでできた 金属系のヒータは酸化してしまい使えない。 他にもランプ加熱、レーザー加熱などで温め る方法もあるが、酸化に強ければどの方法で もかまわない。

 750℃以上に加熱し、約30分、1×10 -9 Torr程度の真空中で加熱した後、ラジカルセ とZnセルのシャッターを開けてZnO薄膜成長を 開始する。この時、どういった種類の膜を形 成するかに関わらず、上述したように平坦膜 を得るためには、基板温度の観点からは750℃ 以上が必要である。

 ところで、ZnO系材料層上に、平坦なZnO系薄 を結晶成長させるためには、基板温度(成長 温度)750℃以上が必要であるが、この基板温 を正確に検出しなければばらない。基板温 の測定は、図10又は図11のような構成で行わ る。12はZnO系基板であり、ZnO系基板12の結晶 成長表面側とは反対側に多層膜13が形成され いる。多層膜13は、ZnO系基板12側から誘電体 膜/Au(金)膜の順に積層された積層体を含むも である。誘電体膜にはNiO、SiO 2 等が用いられる。なお、多層膜13は、上記Au の代わりにPt(白金)膜を用いて、ZnO系基板12 から誘電体膜/Pt(白金)膜の順に積層された積 層体を含むようにしても良い。前記誘電体膜 は、Au又はPtの拡散を防止する役割を果たし いる。

 そして、図10の構成では、多層膜13が形成 されたZnO系基板12を基板ホルダー14に取り付 、ヒータ等の熱源15により熱を加えて所定の 成長温度にし、このときの基板温度を赤外線 温度計(パイロメーター)16により測定する。

 仮に多層膜13がないZnO系基板12のみを基板 ホルダー14に取り付けて、基板温度を計測し 場合には、以下のような問題が発生する。Z nO系材料は、可視光領域から波長8μm程度にわ たってほぼ透明であるので、結晶成長させる 際に用いられる基板ホルダー14からの赤外線 ZnO系基板12又はZnO系基板12上に既に積層され たZnO系薄膜を透過してしまうので、これら余 計な赤外線が赤外線温度計16に入射するため ZnO系基板の正確な基板温度を計測すること できない。

 一方、図11の構成で、仮に多層膜13がない ZnO系基板12のみを基板ホルダー17に取り付け 、基板温度を計測した場合には、ZnO系基板12 の背面に基板ホルダーが存在しないので、赤 外線温度計16は図10のように基板ホルダー14か らの赤外線を受光することはないものの、今 度は熱源15からの赤外線がZnO系基板12又はZnO 基板12上に既に積層されたZnO系薄膜を透過し 、赤外線温度計16に入射するので、やはり正 な基板温度測定ができない。

 また、デバイスを作製する際に行われる 極の形成後に行う熱処理(アニール処理)や ーピングされた不純物を活性化するための ニール処理を行うことがあるが、このよう 場合でも上記と同様の理由で正確な温度を 定することができない。

 しかしながら、ZnO系基板12には、多層膜13 がZnO系薄膜積層方向とは反対の方向に設けら れているので、図10では多層膜13が基板ホル ー14と、図11では多層膜13が熱源15と相対する 構成となり、多層膜13中のAu膜又はPt膜が熱源 15や基板ホルダー14から放射される赤外線を 射して、ZnO系基板12やその上に積層されたZnO 系薄膜への透過を阻止するので、赤外線温度 計16には基板自身の温度を示すAu膜又はPt膜と いうバックメタルからの赤外放射しか入射せ ず、正確な温度測定を行うことができる。こ のようにして、赤外線温度計16によって基板 度を計測して、基板温度が750℃以上になる うに制御する。

 ところで、赤外線を反射するバックメタ としては、ZnO系薄膜を形成する場合、酸化 囲気で製膜されるため、酸化されやすい材 は使えず、酸素に強く、750℃を超える温度 耐えられる金属となると上記のようにPtやAu が適切である。なお、多層膜13にAu膜を用い 場合、Au膜の赤外線放射率を0.5とするのが望 ましい。また、多層膜13にPt膜を用いた場合 Pt膜の赤外線放射率を0.3~0.15とするのが望ま い。

 他方、図10、11の基板温度測定の構成で、 パイロメーター16に替えてサーモグラフィを 用しても良い。InGaAsを検出器に使う上記パ ロメーター16では数μm程度を検出波長に使 ので、前述したように、ZnO系基板やZnO系薄 のように赤外領域で透明性が高いと基板温 が正確に測定できない。そのために、上記 ように、多層膜13を設けている。

 ところが、サーモグラフィは、約8μm~14μm 程度の範囲を波長感度に持つため、室温から の測定が可能であり、ZnO系基板やZnO系薄膜等 の温度測定に適している。サーモグラフィは 、周知のように物体から放射される赤外線を 分析し、熱分布を図として表した可視化が可 能な装置である。サーモグラフィを採用した 場合、ZnO系基板12から放射される赤外線を分 して、熱源15により加熱されたZnO系基板12の 熱分布を計測する。

 例えば、波長が8μmの赤外線がZnO系基板12 透過する透過率は数%であるが、多層膜13を 成せず、ZnO系基板12単体とし、この基板を ーモグラフィによって観測すると、黒くみ る。つまり、サーモグラフィからみてZnO系 板12の背後にある物体から放射される赤外線 はZnO系基板12によりカットされ、ZnO系基板12 ら放射される赤外線に基づき、基板温度を 精度にサーモグラフィにより計測できる。

 なお、サーモグラフィを採用する場合は ボロメータ型の赤外線検出器を備えるサー グラフィであることが好ましい。冷却が必 な量子型の赤外線検出器を使用した赤外線 レイセンサを備える場合に比べて、ボロメ タ型若しくは焦電型などの熱型の赤外線検 器を使用した非冷却型赤外線サーモグラフ は、小型・軽量化および低価格化が可能な めである。