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Title:
CARRIER FILM FOR USE IN FUEL CELL PRODUCTION PROCESS, AND METHOD FOR PRODUCTION THEREOF
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/102768
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed s a carrier film for use in a fuel cell production process, which has an excellent recycling property and such a level of handing property that is required for the fuel cell production process. Specifically disclosed is a carrier film for use in a fuel cell production process, which comprises a fluorine resin, has an elastic modulus in tension in the vertical direction of 1500 MPa or more as measured in accordance with ASTM D882, and has an elastic modulus in tensile in the vertical direction of 100 MPa or more at 150˚C. The carrier film preferably has a thickness of 10 to 300 μm.

Inventors:
YUKAWA YASUMASA (JP)
OKUYA TAMAO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/052751
Publication Date:
August 28, 2008
Filing Date:
February 19, 2008
Export Citation:
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Assignee:
ASAHI GLASS CO LTD (JP)
YUKAWA YASUMASA (JP)
OKUYA TAMAO (JP)
International Classes:
C08J5/18; H01M8/04
Foreign References:
JP2003285396A2003-10-07
JP2002219750A2002-08-06
JPH0292518A1990-04-03
JPS6056532A1985-04-02
JP2004230673A2004-08-19
JP2003285396A2003-10-07
JP2007038339A2007-02-15
Other References:
See also references of EP 2128190A4
Attorney, Agent or Firm:
SENMYO, Kenji et al. (SIA Kanda Square 17, Kanda-konyacho, Chiyoda-k, Tokyo 35, JP)
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Claims:
 フッ素樹脂からなり、ASTM D882に準拠する縦方向の引張り弾性率が1500MPa以上であり、且つ150℃における縦方向の引張り弾性率が100MPa以上であることを特徴とする燃料電池製造プロセス用キャリアフィルム。
 フッ素樹脂フィルムを、縦方向に一軸延伸、または縦方向および横方向に二軸延伸してなる請求項1に記載の燃料電池製造プロセス用キャリアフィルム。
 フッ素樹脂フィルムを、前記一軸延伸または前記二軸延伸後、さらに熱固定処理を施してなる、請求項2に記載の燃料電池製造プロセス用キャリアフィルム。
 延伸温度が前記フッ素樹脂フィルムを構成するフッ素樹脂のガラス転移点以上融点未満である、請求項2または3に記載の燃料電池製造プロセス用キャリアフィルム。
 縦方向の延伸倍率が2~8倍である、請求項2~4のいずれかに記載の燃料電池製造プロセス用キャリアフィルム。
 厚さが10~300μmである、請求項1~5のいずれかに記載の燃料電池製造プロセス用キャリアフィルム。
 フッ素樹脂が、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体である、請求項1~6のいずれかに記載の燃料電池製造プロセス用キャリアフィルム。
 フッ素樹脂フィルムを、縦方向に一軸延伸、または縦方向および横方向に二軸延伸して、ASTM D882に準拠する縦方向の引張り弾性率が1500MPa以上であり、且つ150℃における縦方向の引張り弾性率が100MPa以上であるキャリアフィルムを製造することを特徴とする燃料電池製造プロセス用キャリアフィルムの製造方法。
 フッ素樹脂フィルムを、前記一軸延伸または前記二軸延伸後、さらに熱固定処理を施す、請求項8に記載の燃料電池製造プロセス用キャリアフィルムの製造方法。
 延伸温度が前記フッ素樹脂フィルムを構成するフッ素樹脂のガラス転移点以上融点未満である、請求項8または9に記載の燃料電池製造プロセス用キャリアフィルムの製造方法。
 縦方向の延伸倍率が2~8倍である、請求項8~10のいずれかに記載の燃料電池製造プロセス用キャリアフィルムの製造方法。
Description:
燃料電池製造プロセス用キャリ フィルム及びその製造方法

 本発明は、燃料電池製造プロセス用キャ アフィルム及びその製造方法に関する。

 燃料電池は発電効率が高く、環境への負 も小さい。特に固体高分子形燃料電池は、 力密度が高く、作動温度が低いため、小型 や低コスト化が他の燃料電池より容易であ 。よって、自動車などの移動体や、分散発 システム、家庭用コジェネレーションシス ムとして広く普及することが期待されてい 。

 一般に、固体高分子形燃料電池は、固体 分子電解質膜の両面に、それぞれ、金属触 と固体高分子電解質樹脂(イオン交換樹脂) を含む触媒層が設けられ、その外側にカー ンペーパーやカーボンクロスを用いて形成 れたガス拡散層が設けられた膜・電極接合 を備える。また、ガス拡散層の外側には、 面にガス流路が形成された導電性のセパレ ターが設けられる。セパレーターは、燃料 スや酸化剤ガスを通過させる機能と集電体 機能とを有するガス拡散層から、固体高分 形燃料電池の外部に電流を伝え、電気エネ ギーを取り出す役割を担う。

 前記燃料電池の製造プロセスにおいては、 媒層、固体高分子電解質膜等の、層状また 膜状の燃料電池用部材の形成、搬送等のた に、キャリアフィルムが用いられている。 とえば、金属触媒を担持したカーボンとイ ン交換樹脂とを主要固形成分とした溶液を ャリアフィルム上に塗工し、乾燥すること よって触媒層を形成したり、イオン交換樹 を主要固形成分とした溶液をキャリアフィ ム上に塗工し、乾燥することによって固体 分子電解質膜が形成されている。
 この用途に用いられるキャリアフィルムと ては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フ ルム、離型剤コートPETフィルム、フッ素樹 フィルムが一般的である。
 しかし、これらのフィルムのうち、PETフィ ムは離型性が悪い。また、離型剤コートPET ィルムは、燃料電池用部材を形成する際に 型剤が移行し、燃料電池用部材の性能低下 引き起こす。また、フッ素樹脂フィルムは 離型性は良いが、その反面、フィルムがや らかく、取り扱い性が悪い。
 このような問題に対し、フッ素樹脂フィル と、剛性のより高いフィルムとを積層した 層フィルムをキャリアフィルムとして用い ことが提案されている(特許文献1参照。
)。

特開2003-285396号公報

 しかし、前記積層フィルムは、フッ素樹脂 リサイクルが困難であるという問題がある 近年、環境負荷低減への対応が求められる か、リサイクル性に優れた、フッ素樹脂の からなるキャリアフィルムが求められると ろ、従来のフッ素樹脂フィルムは、上述し ように、燃料電池製造プロセス上の取り扱 性が充分ではなく、たとえば燃料電池用部 の形成時に、乾燥等のために熱処理を行っ 際に歪やシワが発生する等の問題がある。 のような問題は、特にロールツーロールで 料電池用部材を形成する場合に生じやすい
 本発明は、リサイクル性に優れ、且つ燃料 池の製造プロセス上、充分な取り扱い性を する燃料電池製造プロセス用キャリアフィ ム及びその製造方法を提供することを目的 する。

 前記の課題を解決するために、本発明は以 を要旨とするものである。
[1]フッ素樹脂からなり、ASTM D882に準拠する 方向の引張り弾性率が1500MPa以上であり、且 150℃における縦方向の引張り弾性率が100MPa 上であることを特徴とする燃料電池製造プ セス用キャリアフィルム。
[2]フッ素樹脂フィルムを、縦方向に一軸延伸 、または縦方向および横方向に二軸延伸して なる前記[1]に記載の燃料電池製造プロセス用 キャリアフィルム。
[3]フッ素樹脂フィルムを、前記一軸延伸また は前記二軸延伸後、さらに熱固定処理を施し てなる、前記[2]に記載の燃料電池製造プロセ ス用キャリアフィルム。
[4]延伸温度が前記フッ素樹脂フィルムを構成 するフッ素樹脂のガラス転移点以上融点未満 である、前記[2]または[3]に記載の燃料電池製 造プロセス用キャリアフィルム。
[5]縦方向の延伸倍率が2~8倍である、前記[2]~[4 ]のいずれかに記載の燃料電池製造プロセス キャリアフィルム。
[6]厚さが10~300μmである、前記[1]~[5]のいずれ に記載の燃料電池製造プロセス用キャリア ィルム。
[7]フッ素樹脂が、エチレン-テトラフルオロ チレン系共重合体である、前記[1]~[6]のいず かに記載の燃料電池製造プロセス用キャリ フィルム。
[8]フッ素樹脂フィルムを、縦方向に一軸延伸 、または縦方向および横方向に二軸延伸して 、ASTM D882に準拠する縦方向の引張り弾性率 1500MPa以上であり、且つ150℃における縦方向 引張り弾性率が100MPa以上であるキャリアフ ルムを製造することを特徴とする燃料電池 造プロセス用キャリアフィルムの製造方法
〔9〕フッ素樹脂フィルムを、前記一軸延伸 たは前記二軸延伸後、さらに熱固定処理を す、前記[8]に記載の燃料電池製造プロセス キャリアフィルムの製造方法。
[10]延伸温度が前記フッ素樹脂フィルムを構 するフッ素樹脂のガラス転移点以上融点未 である、前記[8]または[9]に記載の燃料電池 造プロセス用キャリアフィルムの製造方法
[11]縦方向の延伸倍率が2~8倍である、前記[8]~ 記[10]のいずれかに記載の燃料電池製造プロ セス用キャリアフィルムの製造方法。

 本発明の燃料電池製造プロセス用キャリ フィルムは、フッ素樹脂フィルムから実質 なるものであり、リサイクル性に優れる。 た、シワが発生しにくいなど、燃料電池の 造プロセス上の取り扱い性もよい。そのた 、燃料電池の製造プロセスにおける量産性 向上しうる。

 以下に、本発明の詳細を説明する。
 本発明の燃料電池製造プロセス用キャリア ィルム(以下、本発明のキャリアフィルムと いうことがある。)を構成するフッ素樹脂と ては、特に限定するものではないが、例え 、単量体成分としてテトラフルオロエチレ を有するテトラフルオロエチレン系重合体; 量体成分としてクロロトリフルオロエチレ を有するクロロトリフルオロエチレン系重 体;単量体成分としてフッ化ビニリデンを有 するフッ化ビニリデン系重合体等が挙げられ る。
 テトラフルオロエチレン系重合体としては 例えば、エチレン-テトラフルオロエチレン 共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン-パ フルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体 (PFA)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオ ロプロピレン共重合体(FEP)、これらの重合体 さらに別の単量体成分が共重合した共重合 等が挙げられる。PFAにおけるパーフルオロ ルキル基の炭素数は1~18程度が好ましい。
 クロロトリフルオロエチレン系重合体とし は、例えば、ポリクロロトリフルオロエチ ン(PCTFE)、エチレン-クロロトリフルオロエ レン共重合体(ECTFE)、これらの重合体にさら 別の単量体成分が共重合した共重合体等が げられる。
 これらのフッ素樹脂はいずれか1種を単独で 用いてもよく、2種以上をブレンドして用い もよい。
 本発明のキャリアフィルムを構成するフッ 樹脂としては、エチレン-テトラフルオロエ チレン共重合体(ETFE)が好ましい。このエチレ ン-テトラフルオロエチレン共重合体におけ 、共重合モル比(エチレン:テトラフルオロエ チレン)は、49:51から45:55が好ましい。
 フッ化ビニリデン単量体の重合体であるポ フッ化ビニリデン(PVDF)やフッ化ビニル単量 の重合体であるポリフッ化ビニル(PVF)は、 熱性が低い(高温下における強度が低い)傾向 にある。

 本発明のキャリアフィルムは、ASTM D882に準 拠する縦方向(以下、MDという。)の引張り弾 率(23℃50%RHの環境下で測定。以下、MD引張り 性率[ASTM D882]という。)が1500MPa以上であり 1600MPa以上が好ましく、2000MPa以上がより好ま しい。1500MPaに満たない場合は、取り扱い性 よくない。たとえば当該キャリアフィルム に燃料電池用部材を形成した後、ロール状 巻き取る際に、張力を上げられないために 好な巻き姿に仕上げることが困難である。 なわち、実際の巻取りにおいては、巻取り 力を、巻取りの内側から外側に従い弱める とで、巻締りや巻取りズレの発生がない良 な巻姿の巻取りロールを得る。そのため、 取り張力を上げられないと、長尺巻取りで 径が大きくなる場合、外側で巻取るに十分 張力を与えられなくなるため、巻長が制約 れてしまう。
 MD引張り弾性率[ASTM D882]が高いほど、燃料 池用部材の形成時において、高い温度条件 耐えうることから好ましい。そのため、MD引 張り弾性率[ASTM D882]の上限は、特に限定され ず、延伸されるフッ素樹脂フィルムの特性、 該フッ素樹脂フィルムの延伸可能な範囲等に よって適宜決定すればよい。MD引張り弾性率[ ASTM D882]は、製造しやすさを考慮すると、8000 MPa以下が好ましく、6000MPa以下がより好まし 。

 また、本発明のキャリアフィルムは、150℃ おけるMDの引張り弾性率(以下、MD引張り弾 率[150℃]という。)が100MPa以上であり、120MPa 上が好ましく、150MPa以上がより好ましい。10 0MPaに満たない場合、燃料電池用部材の形成 に加わる熱や、キャリアフィルムの巻き取 時、キャリアフィルム搬送時等の張力に対 る耐性が充分でないため、フッ素樹脂フィ ムの変形(MDの引張りシワや伸び変形など)が じてしまう。
 MD引張り弾性率[150℃]が高いほど、燃料電池 用部材の形成時において、高い温度条件に耐 えうることから好ましい。そのため、MD引張 弾性率[150℃]の上限は、特に限定されず、 伸されるフッ素樹脂フィルムの特性、該フ 素樹脂フィルムの延伸可能な範囲等によっ 適宜決定すればよい。MD引張り弾性率[150℃] 、製造しやすさを考慮すると、1000MPa以下が 好ましく、700MPa以下がより好ましい。
 なお、150℃におけるMDの引張り弾性率は、 記ASTM D882に規定される測定温度(23℃)を150℃ に変更する以外は、前記ASTM D882に準拠するMD の引張り弾性率と同じ方法にて測定される。
 本発明のキャリアフイルムは、MD引張り弾 率[ASTM D882]が1500MPa以上で、かつMD引張り弾 率[150℃]が100MPa以上有するが、なかでも、前 者は、好ましくは1600MPa以上、特に好ましく 2000MPa以上で、かつ後者は好ましくは120MPa以 、特に好ましくは150MPa以上を有する。

 本発明のキャリアフィルムは、たとえば、 ッ素樹脂フィルムを、MDに一軸延伸、また MDおよび横方向(以下、TDという。)に二軸延 することにより製造できる。
 従来市販されているフッ素樹脂フィルムは MD引張り弾性率[ASTM D882]が1500MPaに満たず、 た、MD引張り弾性率[150℃]も100MPaに満たない が、MDのみ、またはMD及びTDに延伸することに より、MD引張り弾性率[ASTM D882]が1500MPa以上で あり、且つMD引張り弾性率[150℃]が100MPa以上 あるフッ素樹脂フィルムが得られる。
 フッ素樹脂フィルムの延伸は、MDのみの一 延伸、もしくはMDおよびTDの二軸延伸のどち でも目的を達成できる。
 延伸の方法としては、公知の手法を用いる とが出来る。MDのみの一軸延伸の場合、ロ ル延伸などが挙げられる。二軸延伸の場合 テンター法の同時二軸延伸や逐次二軸延伸 チューブ法などが挙げられる。

 延伸温度は、おおむね、当該フッ素樹脂フ ルムを構成するフッ素樹脂のガラス転移点 上融点未満であることが、延伸による変形 防止でき、好ましい。延伸温度がガラス転 点より低いと、延伸による変形に対する抵 が大きく、均一な延伸が難しく、延伸時に ィルムの破断やサケを発生するおそれがあ 。延伸温度が融点以上であると、フッ素樹 フィルムがフィルムの状態を保てないため 伸できない。また、延伸温度が融点以上で ると、溶融状態であるために分子が配向せ 、充分な弾性率が得られない。
 例えば、フッ素樹脂フィルムがエチレン-テ トラフルオロエチレン系共重合体(ETFE)フィル ムである場合は、延伸温度は、90~200℃が好ま しく、100~160℃がより好ましい。

 MDの延伸倍率は、おおむね2倍~8倍が好まし 、2倍~6倍がより好ましい。延伸倍率が2倍未 であると、目的の引張り弾性率のフッ素樹 フィルムを得ることが難しく、燃料電池用 材の形成時に必要な強度が充分に得られな 。フッ素樹脂の種類や延伸後のフィルム厚 などの条件によっては延伸倍率8倍以上も可 能であり、延伸倍率が高いほど、機械的強度 が増し、引張り弾性率も高くなり好ましいが 、8倍を超えると、フィルムのサケやフィル の破断など発生による延伸倍率上限に近づ 、延伸温度や延伸速度などの条件範囲が狭 なり、安定して延伸を行うことが困難とな 。
 二軸延伸におけるTDの延伸倍率は、1~8倍が ましく、1~6倍がより好ましい。

 本発明においては、上記のように延伸され フッ素樹脂フィルム(以下、延伸フッ素樹脂 フィルムということがある。)に対し、さら 熱固定処理を施すことが好ましい。熱固定 理が施された延伸フッ素樹脂フィルムは、 収縮が小さく、燃料電池製造プロセス用と て好適である。キャリアフィルムの熱収縮 大きいと、燃料電池用部材の形成時に加熱 燥を行った際に、キャリアフィルムに歪が じ、該キャリアフィルム上に形成される燃 電池用部材にシワやクラック(ひび割れ)が発 生するおそれがある。
 熱固定処理は、通常、当該延伸フッ素樹脂 ィルムの延伸状態を維持したまま、所定の 固定温度とし、その温度を所定の熱固定時 維持した後、室温程度に冷却することによ 行われる。
 熱固定温度は、おおむね、延伸温度以上、 ッ素樹脂フィルムを構成するフッ素樹脂の 点以下である。但し、当該融点と延伸温度 の差が小さい場合は、延伸温度より低い温 で熱固定処理を行ってもよい。
 本発明においては、特に、熱固定温度が、 用温度以上、前記融点未満の温度であるこ が好ましい。これにより、燃料電池用部材 成時の熱収縮を抑制できる。
 ここで、「使用温度」とは、燃料電池用部 の形成時に、当該キャリアフィルム上に塗 された液を乾燥する際に用いられる加熱温 である。該使用温度は、一般的にはおおむ 150℃~200℃の範囲内である。
 例えば、フッ素樹脂フィルムがエチレン-テ トラフルオロエチレン系共重合体(ETFE)フィル ムである場合は、熱固定温度は、180~250℃が ましく、200~230℃がより好ましい。
 熱固定時間は、5~600秒が好ましく、10~300秒 より好ましい。

 本発明のキャリアフィルムは、厚さが10~3 00μmであることが好ましく、20~200μmであるこ がより好ましい。10μm以上であると、キャ アフィルム生産性が高く、また、燃料電池 部材の形成時に装置の搬送性が向上する等 取り扱い性がさらに向上する。300μm以下で ると、コストが抑制され、さらに、巻取り ールとした際の大きさ、重量等が取り扱い すい範囲内となる。

 本発明のキャリアフィルムは、燃料電池 造プロセスにおいて、触媒層、固体高分子 解質膜等の、層状または膜状の燃料電池用 材の形成、該燃料電池用部材の搬送等に利 できる。

 以下、本発明を具体的に実施例に基づき説 するが、本発明は実施例に制約されるもの はない。
[実施例1]
 厚さ150μm、幅600mmのETFEフィルム(旭硝子社商 品名:アフレックス 150N600NT)を、ロール式の 軸延伸機にて、縦方向に、延伸温度140℃、 伸倍率3倍にて延伸を行った後、熱固定処理( 延伸状態を維持したまま200℃に加熱し、その 状態を30秒間保持した後、室温(30℃以下)に冷 却。)を行った。得られたフィルムを巻取る に両端を切落とし、幅500mmのキャリアフィル ムを得た。該キャリアフィルムの厚さは56μm あった。
 得られたキャリアフィルムについて、ASTM D 882に準じ、23℃、50%RHの環境下で、MD引張り弾 性率[ASTM D882]を測定した。
 また、温度を150℃に変更した以外は上記と 様にして、MD引張り弾性率[150℃]を測定した 。その結果を表1に示す。

[実施例2]
 厚さ200μm、幅600mmのETFEフィルム(旭硝子社商 品名:アフレックス 200N600NT)を用い、延伸倍 を5倍にした以外は実施例1と同様にしてキャ リアフィルムを得た。該キャリアフィルムの 厚さは55μmであった。
 得られたキャリアフィルムについて、実施 1と同様にしてMD引張り弾性率[ASTM D882]およ MD引張り弾性率[150℃]を測定した。その結果 を表1に示す。

[実施例3]
 厚さ100μm、幅600mmのETFEフィルム(旭硝子社商 品名:アフレックス 100N600NT)を用い、延伸倍 を2倍にした以外は実施例1と同様にしてキャ リアフィルムを得た。このキャリアフィルム の厚さは53μmであった。
 得られたキャリアフィルムについて、実施 1と同様にしてMD引張り弾性率[ASTM D882]およ MD引張り弾性率[150℃]を測定した。その結果 を表1に示す。

[比較例1]
 厚さ50μm、幅500mmのETFEフィルム(旭硝子社商 名:アフレックス 50N500NT、)を用意し、これ キャリアフィルムとした。
 該キャリアフィルムについて、実施例1と同 様にしてMD引張り弾性率[ASTM D882]およびMD引 り弾性率[150℃]を測定した。その結果を表1 示す。

[比較例2]
 厚さ50μm、幅500mmのポリフッ化ビニルフィル ム(デュポン社商品名:テドラータイプ2)を用 し、これをキャリアフィルムとした。
 該キャリアフィルムについて、実施例1と同 様にしてMD引張り弾性率[ASTM D882]およびMD引 り弾性率[150℃]を測定した。その結果を表1 示す。

 実施例1~3および比較例1~2で得られたキャリ フィルムについて、以下の評価1を行った。
[評価1]
<触媒層形成用塗工液の作製>
 CF 2 =CF 2 とCF 2 =CF-OCF 2 CF(CF 3 )-OCF 2 CF 2 SO 2 Fとを共重合させ、加水分解により-SO 2 Fを-SO 3 Hに変換した共重合体(イオン交換容量:1.1ミリ 当量/グラム乾燥樹脂)と、白金をカーボン上 50質量%担持させた担持触媒とを、質量比2:5 割合で、エタノールと水との混合分散媒(質 量比で1:1)に分散させ、固形分濃度8質量%の触 媒層形成用塗工液を得た。

<塗工乾燥による触媒層の形成>
 連続塗工乾燥装置を用い、500mm幅のキャリ フィルム上に、触媒層形成用塗工液を、480mm の塗工幅にダイコート法にて乾燥後の膜厚が 10μmになるように塗工し、150℃の熱風乾燥炉 滞留時間1分にて乾燥を行い、触媒層を形成 した。該触媒層がその表面に形成されたキャ リアフィルムを、外径76mmの紙管に長さ50m巻 取った。

<評価項目>
 1)乾燥時のシワ発生状態:乾燥後、巻き取る の、触媒層がその表面に形成された上記キ リアフィルムを目視により観察し、シワが くないものを◎(優)、シワがほとんどない のを○(良)、シワが若干目立つ(許容レベル) のを△(可)、シワが許容できないレベルで るものを×(不良)とした。
 2)巻取りロールの状態:巻き取ったキャリア ィルムの巻取りロール姿を目視により観察 、シワおよび凹凸がほぼないものを○(良) シワおよび凹凸が若干あるが許容レベルで るものを△(可)、シワおよび凹凸が許容でき ないレベルであるものを×(不良)とした。
 3)切り出し時の状態:巻取りロールから長さ1 mに切り出し、平坦な台に広げたキャリアフ ルムを目視により観察し、シワおよび歪(波 ち)状態がほとんどないものを○(良)、シワ よび歪が若干あるが許容レベルであるもの △(可)、シワおよび歪が許容できないレベ であるものを×(不良)とした。
 これらの結果を、表1に示す。

 表1の結果に示すように、MD引張り弾性率[AST M D882]が1500MPa以上であり且つMD引張り弾性率[ 150℃]が100MPa以上である実施例1~3のキャリア ィルムは、乾燥時の熱によるシワや波うち 発生がほとんどなく、触媒層形成後も平坦 状態であった。
 一方、MD引張り弾性率[ASTM D882]およびMD引張 り弾性率[150℃]がともに低い比較例1のキャリ アフィルム、およびMD引張り弾性率[ASTM D882] 1500MPa以上であるものの、MD引張り弾性率[150 ℃]が100MPa未満である比較例2のキャリアフィ ムは、乾燥時の熱による歪の影響でシワや うちが発生しており、良好な触媒層が形成 きなかった。

 本発明の燃料電池製造プロセス用キャリア ィルムは、フッ素樹脂フィルムから実質上 るものであり、リサイクル性に優れる。ま 、シワが発生しにくいなど、燃料電池の製 プロセス上の取り扱い性もよい。そのため 燃料電池の製造プロセスにおける量産性を 上しうる。
 
 なお、2007年2月19日に出願された日本特許出 願2007-038339号の明細書、特許請求の範囲及び 約書の全内容をここに引用し、本発明の明 書の開示として、取り入れるものである。