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Patent Searching and Data


Title:
CONDUCTIVE AGENT FOR BATTERY ELECTRODE, ELECTRODE CONTAINING THE SAME, AND BATTERY
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/142203
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a highly reliable battery having a long cycle life, which is at low risk of breakage or bursting even when the battery temperature becomes extremely high.  An electrode and a conductive agent used in the battery are also disclosed.  The conductive agent for battery electrodes contains, as a main component, a reaction product between a π-conjugated carbon material and a soluble polyimide, preferably a soluble block copolymerized polyimide.  The battery electrode is formed by applying a composition containing the conductive agent and an electrode active material onto a collector.  The battery comprises this electrode.

Inventors:
MORI TAKAKI (JP)
GOSHIMA TOSHIYUKI (JP)
WIN MAW SOE (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/059190
Publication Date:
November 26, 2009
Filing Date:
May 19, 2009
Export Citation:
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Assignee:
PI R & D CO LTD (JP)
MORI POLYMER CO INC (JP)
MORI TAKAKI (JP)
GOSHIMA TOSHIYUKI (JP)
WIN MAW SOE (JP)
International Classes:
H01M4/62; H01M4/13; H01M4/96
Foreign References:
JPS58147965A1983-09-02
JPH10312791A1998-11-24
JP2005231934A2005-09-02
JP2002289196A2002-10-04
JP2006100222A2006-04-13
JP2008016446A2008-01-24
JP2005197096A2005-07-21
JP2000067645A2000-03-03
JP2003246927A2003-09-05
JP2002088242A2002-03-27
JPH09265990A1997-10-07
JP3561701B22004-09-02
Other References:
See also references of EP 2333880A4
Attorney, Agent or Firm:
TANIGAWA, Hidejiro (JP)
Mountain stream Eijiro (JP)
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Claims:
 π共役炭素材料と、可溶性ポリイミドとの反応生成物を主成分として含有する、電池の電極の導電剤。
 前記電極が、二次電池である請求項1記載の導電剤。
 前記電極が、リチウム電池の正極又は負極である請求項2記載の導電剤。
 前記ポリイミドのガラス転移温度が270℃以下であり、分子骨格中に芳香族環連結基としてカルボニル基及び/又はエーテル基を有する単位を少なくとも1成分含む請求項1ないし3のいずれか1項に記載の導電剤。
 前記反応が、前記π共役炭素材料と、前記可溶性ポリイミドの溶液との混合物を加熱することにより行なわれる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の導電剤。
 前記加熱が、80℃以上、180℃以下の温度下で2時間以上行なわれる請求項4記載の導電剤。
 前記π共役炭素材料が、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ及び一次粒径が10ナノメートル以下の他のカーボン材料から成る群より選ばれる少なくとも1種である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の導電剤。
 前記π共役炭素材料が、ケッチェンブラック、アセチレンブラック及びカーボンナノチューブから成る群より選ばれる少なくとも1種である請求項7記載の導電剤。
 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の導電剤と、電極活物質とを含む組成物が集電体上に被着されて成る、電池の電極。
 前記組成物がバインダーをさらに含む請求項9記載の電極。
 前記電池が二次電池である請求項9又は10記載の電極。
 前記二次電池がリチウム電池である請求項11記載の電極。
 請求項9ないし12のいずれか1項に記載の電極を含む電池。
 二次電池である請求項13記載の電池。
 リチウム電池である請求項14記載の二次電池。
Description:
電池の電極の導電剤、それを含 電極及び電池

 本発明は、リチウム電池等の電池の電極 導電剤、それを含む電極及び電池に関する

 近年、リチウム二次電池の負極材料とし 、可撓性に優れること、モッシー状のリチ ムが電析するおそれがないことなどの理由 ら、コークス、黒鉛等の炭素材料が、従前 リチウム金属に代わる負極材料として提案 れている。

 上記炭素材料を使用した負極は、通常、 素粉末(黒鉛、コークス粉末など)及び必要 応じて導電剤粉末(アセチレンブラック、カ ボンブラックなど)を、結着剤溶液に分散さ せてスラリーとし、このスラリーをドクター ブレード法にて集電体金属上に塗布した後、 乾燥する方法などにより作製されている。

 而して、従来は、結着剤溶液として、主 PVDF(ポリフッ化ビニリデン)をNMP(N-メチル-2- ロリドン)に溶かした溶液が使用されてきた 。

 しかしながら、PVDFは、炭素粉末同士を一 体化する結着剤としては優れているものの、 集電体金属との接着性(密着性)が良くないの 、充放電を繰り返し行うと、炭素粉末が集 体金属(銅板、銅箔など)から剥離して電池 量が次第に低下する。すなわち、PVDFを使用 た電池には、サイクル寿命が総じて短いと う問題があった。同様の傾向が、正極活物 と結着剤との関係においても観察される。

 さらに、PVDFは、負極活物質としての炭素 粉末や正極活物質同士ばかりではなく、正負 極に配合される導電剤同士および、導電剤と 活物質を安定に接着させ、電池内での電子と イオンの収支バランスを取るにあたり、接着 性(密着性)や分散性が良くないので、充放電 円滑に行うために容量を犠牲にして導電剤 大量に配合する必要が生じていた。また、 電剤自身が、活物質からみれば異物に当た ため、活物質と導電剤の機械的な接合や大 配合は、腐食やサイクル劣化等の障害を招 ていた。

特開平9-265990号公報

特許第3561701掲載公報

 本発明は、以上の事情に鑑みなされたも であって、その目的とするところは、サイ ル寿命が長く、しかも電池温度が異常に高 なった場合でも破損、破裂する危険性が少 い信頼性の高い電池並びにそれに用いられ 電極及び導電剤を提供することにある。

 本願発明者らは、鋭意研究の結果、電極 構成する導電剤を、π共役炭素材料と、可 性ポリイミドとの反応生成物を主成分とし 含有する組成物から構成することにより、 記本発明の目的を達成することができるこ を見出し、本発明を完成した。

 すなわち、本発明は、π共役炭素材料と 可溶性ポリイミドとの反応生成物を主成分 して含有する、電池の電極の導電剤を提供 る。また、本発明は、上記本発明の導電剤 、電極活物質とを含む組成物が集電体上に 着されて成る、電池の電極を提供する。さ に本発明は、上記本発明の電極を含む電池 提供する。

 本発明によれば、サイクル寿命が長く、 かも電池温度が異常に高くなった場合でも 損、破裂する危険性が少ない信頼性の高い 次電池並びにそれに用いられる電極及び導 剤が初めて提供された。本発明の導電剤で 、分離や剥離現象を起こしやすい炭素材料 、可溶性ポリイミドを反応させた物質を主 分とすることを特徴とする。このため、導 剤とバインダー、活物質等がエネルギー障 なく分散し、電極の固有抵抗、界面抵抗の 少が見られる。また、充放電効率が高く、 イクルを繰り返し行っても、電池容量が低 しにくいためサイクル寿命も長い。さらに 本発明で用いる可溶性ポリイミドは、酸素 元型の酸化反応やラジカル連鎖反応等を抑 すると考えられることから、電池の熱暴走 、発煙・発火・爆発などの不都合を回避す ことが可能となる。

本発明の実施例で作製したリチウム二 電池の模式断面図である。 本発明の実施例及び比較例でそれぞれ 製した電池の各正極の乾燥状態での面方向 インピーダンスの測定結果を示す図である

 上記の通り、本発明の導電剤は、π共役 素材料と、可溶性ポリイミドとの反応生成 を主成分として含有する。

 π共役炭素材料は、π結合を含む、一般的 にC6化合物とも呼ばれ、炭素原子の六員環が 合して、正六角形を敷き詰めた構造であっ (少数の5員環や7員環が混じっている場合も る)、炭素のπ電子が共役することによって 子伝導性の軌道バンドを形成している構造 含む、炭素から成る材料である。本発明で いるπ共役炭素材料の好ましいものとして ケッチェンブラック、アセチレンブラック カーボンナノチューブ及び一次粒径が10ナノ メートル以下の他のカーボン材料を挙げるこ とができ、特にケッチェンブラック、アセチ レンブラック及びカーボンナノチューブが好 ましい。なお、上記「一次粒径が10ナノメー ル以下の他のカーボン材料」としては、具 的には、例えば、フラーレンやカーボンナ ホーン等を挙げることができる。上記した 共役炭素材料は、いずれも市販されている で、市販品を用いることができる。また、π 共役炭素材料は、1種類のものを用いること できるし、2種類以上を組み合わせて用いる ともできる。

 上記の通り、π共役炭素材料では、炭素 π電子が共役することによって電子伝導性の 軌道バンドを形成している。そのため、物質 としての表面エネルギーが非常に高くなるた め、導電剤同士が凝集しやすく、また、活物 質や集電体との接着性が低くなることや、電 極に塗布するにあたり作製するスラリーの粘 度が、極端に上昇する、等の問題が生じると 共に、目的の導電性を得るために、大量の導 電剤を配合する必要があった。そこで、上記 π共役炭素材料の表面エネルギーの高さを緩 するために、π共役炭素材料の表面と、最 でも錯体を形成できる程度の反応ができる 質を探索したところ、可溶性ポリイミドが つかった。従って、本発明の導電剤は、可 性ポリイミドを必須の構成成分として含有 る。

 本発明で用いられる可溶性ポリイミドは N-メチル-2-ピロリドン(NMP)のような含窒素極 性溶媒に可溶性のポリイミドである。なお、 ここで、可溶性は、100gの溶媒中に5g以上溶解 することを意味する。本発明に使用されるポ リイミドとしては、ガラス転移温度が270℃以 下、より好ましくは250℃以下であり、また、 好ましくは、分子骨格中に芳香族環連結基と してカルボニル基及び/或いはエーテル基を なくとも1成分含む可溶性ポリイミドが挙げ れる。なお、ガラス転移温度の下限は特に 定されないが、可溶性ポリイミドのガラス 移温度は、通常、120℃以上である。これ以 になると熱暴走等の高温時になったときに 化が起こり、安全性の面での懸念が生じる

 ポリイミドはテトラカルボン酸二無水物 ジアミンを脱水縮合反応させることにより られるが、芳香族環連結基としてカルボニ 基を有する原料の例としては、3,3’,4,4’- ンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3, 3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノ ベンゾフェノン、4,4’-ビス(4-アミノフェノ シ)ベンゾフェノン等が挙げられる。また、 ーテル基を含有する原料の例としては、ビ (3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水 、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’ -ジアミノジフェニルエーテル、1,3-ビス(3-ア ノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノ ェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノ キシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキ )ビフェニル、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキ )フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフ ノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、 ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホ 、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ス ホン等が挙げられる。また、カルボニル基 びエーテル基を含まない原料である、ピロ リット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテ トラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホ ン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、2,2 -ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフル ロプロパン二無水物、2,4-ジアミノトルエン 4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチル-1,1’-ビフェ ル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシ-1,1’- ビフェニル、3,3’-ジアミノジフェニルスル ン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,5- ジアミノ安息香酸、2,6-ジアミノピリジン、2, 6-ジアミノ-4-メチルピリジン、3,3’-ジアミノ ジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニ メタン、3,3’-ジカルボキシ-4,4’-ジアミノ フェニルメタン、4,4’-ベンズアニリド、4,4 -(1,3-フェニレンジイソプロピリデン)ビスア ニリン、4,4’-(1,4-フェニレンジイソプロピリ デン)ビスアニリン、4,4’-(9-フルオレニリデ )ジアニリン、5(6)-アミノ-1-(4-アミノフェニ )-1,3,3-トリメチルインダン等を共重合組成 1成分として使用することができる。また、 クロヘキサン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無 物、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テト ラカルボン酸二無水物等の脂肪族化合物やビ ス(γ-アミノプロピル)ポリジメチルシロキサ 等のジアミノシロキサン化合物を併用する とが可能であるが、割合を多くすると耐熱 、耐性が減少する傾向が見られる。なお、 発明で用いられる可溶性ポリイミドは、上 した各種酸成分及び各種アミン成分の少な ともいずれかを、それぞれ2種類以上含む共 重合体、又は酸成分とアミン成分のいずれか 一方を1種類、他方を2種類以上含む共重合体 あってもよく、好ましくはブロック共重合 である。

 ポリイミドの合成方法に関しては公知の 法を用いればよく、特に制限されない。前 のジアミン化合物の代わりにそれぞれ対応 たジイソシアネート化合物を用いるジイソ アネート法を用いても良いが、好ましくは 水酢酸/トリエチルアミン、γ-バレロラクト ン/ピリジンのような触媒を用いた化学的イ ド化方法を用いる。前記例示したテトラカ ボン酸二無水物、ジアミン化合物、溶媒で るN-メチル-2-ピロリドン(NMP)、イミド化触媒 脱水剤を反応容器に投入し、攪拌しながら 素雰囲気下、160-200℃で数時間反応させるこ とにより可溶性ポリイミドワニスが得られる 。テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの 混合比は、酸二無水物の合計量1モル%に対し 、ジアミンの合計量0.95~1.05モル%とするのが 好ましい。溶媒は、前記導電剤の分散性がよ く、ポリイミドに対しても溶解性の高いN,N- メチルアセトアミドやNMP等のような含窒素 溶媒が好ましく、NMPがより好ましい。また 脱水剤は反応中に生成する水を系外に取り くために使用され、水と共沸する溶媒を使 することができる。好ましくは、トルエン び/又はキシレン及び/又はエチルシクロヘキ サンである。この脱水剤は、反応中は加熱還 流させながら水を除去し、次いで反応終了時 にはワニス中に残存しないように取り除いて いく。このように作製された可溶性ポリイミ ドの重要平均分子量は30000-200000が好ましく、 より好ましくは40000-150000である。重量平均分 子量が30000以下の場合は、可とう性、機械的 度が悪くなる傾向があり、200000以上になる ワニス粘度が高くなり、導電剤の分散工程 問題が生じる傾向がある。なお、本件で使 している溶媒可溶性という言葉は、導電剤 分散が容易なNMPのような含窒素系に対する 葉であり、電池化したときの安全性を考慮 るとその他の溶媒には不溶性であることが に好ましい。

 上記の通り、本発明で使用されるポリイ ドは、好ましくはガラス転移温度が270℃以 、より好ましくは250℃以下であり、また、 ましくは、分子骨格中に芳香族環連結基と てカルボニル基及び/又はエーテル基を少な くとも1成分含むものである。可溶性ポリイ ドである。ガラス転移温度が270℃以上にな と、ポリイミドが樹脂として硬く脆くなる 向がある。なお、可溶性ポリイミドのガラ 転移温度が270℃以下、好ましくは250℃以下 するためには、エーテル基を導入する、メ 異性体等の屈曲構造を有する原料を使用す 、などの方法が一般的であり、優れている これは、可溶性ポリイミド組成の傾向とも 致しており、可溶性ポリイミドが本件にお て有利になる一因となっている。もっとも ガラス転移温度は、ポリイミドを構成する 分の組合せにより異なるので、好ましくは 分子骨格中に芳香族環連結基としてカルボ ル基及び/又はエーテル基を少なくとも1成分 含むポリイミドの中から上記した好ましいガ ラス転移温度を有するものを選択して用いる ことが好ましい。ポリイミド主鎖中にカルボ ニル基を有する場合は、そのカルボニル基と 芳香族環の平面性が優れており、π共役炭素 らなる物質との相互作用が起こりやすくな 。また、エーテル基を有する場合は、その ーンペアが相互作用の安定化に寄与すると にポリイミド構造の柔軟性を増加させるた に好ましい。また、スルホン酸基やカルボ シル基を有する原料も適宜使用することが きる。このような極性基は、電極活物質を 定化させると共に集電体金属との接着性(密 着性)を向上させることができる利点がある このようなポリイミドは市販されており、 に好適な溶媒可溶性ポリイミドの市販品と ては、株式会社ピーアイ技術研究所のQ-VR-075 6(カルボニル基及びエーテル基を有する原料 ら成るブロック共重合ポリイミド)、Q-VR-0757 (カルボニル基及びエーテル基を有する原料 びカルボキシル基を有する原料から成るブ ック共重合ポリイミド)等が挙げられる。

 なお、ポリイミドをリチウム電池の、特 負極の結着剤(バインダー)として使用する とは、特許文献1及び特許文献2等に記載され ているが、結着剤として提案されている従来 型のポリイミドでは、ガラス転移温度(Tg)が 常に高くて硬いため電極の柔軟性が低く、 剥離接着性などに不安があり、実際的に信 性を保持する電池は作製不可能である。ま 、従来型ポリイミドでは、残存するアミッ 酸を縮合硬化させる必要があるため、少な とも350℃程度の高温で2時間以上という、過 な条件で電極を乾燥させる必要があるため 集電体の酸化劣化の問題等が発生し、一般 池においてもバインダーとして使用するこ は難しいが、本発明で用いられる可溶性ポ イミドでは、上記の問題が発生しない。さ に、特許文献1及び2に見られる実施例では 一般的なリチウム電池に使用される活物質 の汎用材料を使用せず、特に正極に使用さ る導電材等も、ポリイミドとの処理なしに 用していることからも、一般的なリチウム 池で使用することは難しいと判断される。

 本発明の導電剤は、上記したπ共役炭素 料と、可溶性ポリイミドとの反応生成物を 成分として含有する。反応は、π共役炭素材 料と、ポリイミド溶液を、80℃以上、好まし は100℃以上で、180℃以下、好ましくは150℃ 下の温度下で、好ましくは2時間以上、さら に好ましくは3時間以上加熱することにより なうことができる。なお、反応時間の上限 特にないが、あまりに長く加熱しても意味 なく、コストが高くなるだけであるので、 常、反応時間は8時間以下である。反応時の 共役炭素材料と、可溶性ポリイミドの混合 率は、特に限定されないが、π共役炭素材料 100重量部当たり、可溶性ポリイミド(溶媒を まない)が好ましくは、10~200重量部程度、さ に好ましくは50~150重量部程度である。また 反応に用いられる溶媒としては、ポリイミ を製造する際の重縮合に用いられる溶媒を のまま利用することができる。すなわち、 溶性ポリイミドは、溶媒中での重縮合によ 製造され、溶液の形態で得られるが、これ そのまま用いることができる。可溶性ポリ ミドの上記した市販品も溶液の形態で市販 れており、これをそのまま反応に供するこ ができる。反応に供する可溶性ポリイミド 液中のポリイミドの濃度は、特に限定され いが、通常、10重量%~30重量%程度である。反 応は、撹拌下に行なうことが好ましく、これ により、粒子状の反応生成物が得られる(粒 状の反応生成物を、本明細書において、「 電剤トナー」と呼ぶことがある)。なお、理 に拘束されるものではないが、上記反応に り、π共役炭素の表面とポリイミド分子が 軌道を形成すると考えられる。

 本発明の導電剤は、上記したπ共役炭素 料と可溶性ポリイミドとの反応生成物を主 分として含有する。「主成分」は、該反応 成物の含量が50重量%を超えることを意味し 好ましくは、該含量は90重量%以上であり、 らに好ましくは、99重量%以上、最も好まし は100重量%(導電剤が反応生成物のみから成る )である。50重量%未満、好ましくは10重量%以 の範囲内であれば、導電剤は、本発明の効 を阻害せず、電極性能に悪影響を与えない の物質を含んでいてもよい。

 本発明の導電剤は、リチウム電池等の二 電池や燃料電池等の電池の電極の作製時に いられるものであり、電池としては二次電 が好ましく、特に、リチウム電池が好まし 。電極は、正極であっても負極であっても い。

 本発明の電極は、上記した本発明の導電 が導電剤として用いられることを除き、従 の電極と同様に作製することができる。す わち、導電剤と、電極活物質とを含む組成 が集電体上に被着されて成るものである。 電体としては、従来と同様、金属が好まし 用いられる。好ましくは、集電体上に、本 明の導電剤と、電極活物質とを含むスラリ を塗布し、乾燥することにより電極を作製 ることができる。なお、ポリイミドが結着 としても機能するので、結着剤を別途用い 必要はないが、用いてもよく、用いる方が 電体上への均一な塗布が容易になるので好 しい。結着剤としては、PVDF等、従来から電 極作製に用いられている結着剤を用いること ができる。なお、PVDF等の従来から用いられ いる結着剤は、上記したような、集電体金 との接着性の問題があるが、本発明の導電 と共に用いる場合には、可溶性ポリイミド 作用により上記した従来技術における問題 生じない。

 集電体上に塗布するスラリーの組成とし は、特に限定されないが、好ましくは、電 活物質100重量部当たり、導電剤が0.2~20重量 、さらに好ましくは1~5重量部、結着剤が0~20 重量部、さらに好ましくは、1~5重量部である 。また、スラリー中の導電剤の濃度は、特に 限定されないが、通常、0.1重量%~10重量%、好 しくは、0.5重量%~3重量%程度である。

 本発明を、たとえばリチウム二次電池に適 する場合の正極材料(活物質)としては、組 式Lix MO 2 又はLiy M 2 O 4 (Mは遷移元素;0<x≦1、0<y≦2)で表されるLi 有複合酸化物などが例示される。Li含有複 酸化物の具体例としては、LiCoO 2  、LiMnO 2  、LiNiO 2 、LiCrO 2 、LiMn 2 O 4 が挙げられる。

 本発明をたとえばリチウム二次電池に適 する場合の負極材料(活物質)としては、グ ファイト、ハードカーボン、コークス等の 素化合物が挙げられるが、本発明の導電剤 ナーがリチウムのインターカレーション反 を起こし、電池容量を持つ場合は、総容量 加算して電池設計をしてもよい。

 本発明電池の正極は、たとえばPVDFをNMP等 の有機溶剤に溶かした溶液に、正極活物質及 び必要に応じて導電剤トナーを混合してスラ リーとした後、ドクターブレード法にて集電 体金属上に塗布し、有機溶剤を蒸散して乾燥 させることにより作製される。

 本発明電池の負極は、たとえばPVDFをNMP等 の有機溶剤に溶かした溶液に、負極活物質及 び必要に応じて導電剤トナーを混合してスラ リーとした後、ドクターブレード法にて集電 体金属上に塗布し、有機溶剤を蒸散して乾燥 させることにより作製される。

 本発明は、上記した本発明の電極を含む 池、好ましくは二次電池、特に好ましくは チウム電池をも提供する。上記した電極を いること以外は、周知の電池の構造を採用 ることができる。

 本発明電池においては、導電剤として従 のπ共役炭素材料を、そのまま用いること 代えて、導電剤トナーを用いることにより π共役炭素材料同士の結着性がよく、またπ 役炭素材料と正極活物質粉末との密着性も い。このため、充放電サイクルを繰り返し っても、導電剤が正極活物質から剥離しに いので、電池容量が低下しにくい。また、 電剤同士のネットワークが安定に存在する め、電極部における電気抵抗も安定化でき ため、電池としての信頼性や安全性も確保 ることができる。

 以下、本発明を実施例に基づいてさらに 細に説明するが、本発明は下記実施例によ 何ら限定されるものではなく、その要旨を 更しない範囲において適宜変更して実施す ことが可能なものである。

実施例1
1.導電剤トナーの作製
(1) 導電剤トナー1の作製
 市販の分散・混練装置(T.K.ハイビスディス ーミックス3D-5型(プライミクス株式会社製)) 、ケッチェンブラックEC600JD(ライオン社製) 1000g、可溶性ポリイミドを含むポリイミド ニスとして、Q-VR-0756(株式会社ピーアイ技術 究所製、20%N-メチル-2-ピロリドン(以下NMP)溶 液)を1500g、さらに、希釈溶剤として、NMPを300 g投入し、手混ぜにて予備混練した後、毎分10 0回転で2時間混練してスラリーとした。さら 、希釈溶剤として、NMPを500g投入した後、100 ℃まで加温し、5時間攪拌して導電剤トナー1 した。

(2) 導電剤トナー2の作製
 導電剤トナー1の作製において、ケッチェン ブラックEC600JDの代わりに、アセチレンブラ クとしてデンカブラック(電気化学工業株式 社製)を使用した他は、導電剤トナー1と同 の条件にて、導電剤トナー2を作製した。

2. リチウム電池の作製
(1) 正極の作製
 正極活物質としてのリチウムコバルト複合 化物(LiCoO 2  )と、導電剤として導電剤トナー1、PVDF#1300( 式会社クレハ製)をNMP溶液に、活物質と導電 剤とバインダーの固形分重量比率が、94:1:5と なるように分散させてスラリー(固形分濃度45 重量%)とした後、正極集電体としてのアルミ ウム箔の片面にドクターブレード法により 布し、オーブン内において120℃でNMPを乾燥 せて正極とした。

(2) 負極の作製
 負極活物質としてのハードカーボンとして カーボトロンP(株式会社クレハ製)と、導電 として導電剤トナー実施例1で作製した導電 剤トナー1、PVDF#1100(株式会社クレハ製)をNMP溶 液に、活物質と導電剤とバインダーの固形分 重量比率が、91:1:8となるように分散させてス ラリー(固形分濃度50重量%)とした後、負極集 体としての銅箔の片面にドクターブレード により塗布し、オーブン内において120℃でN MPを乾燥させて負極とした。

(3) 電解液の調製
 エチレンカーボネートとジメチルカーボネ トとの等体積混合溶媒に、LiPF 6 を1モル/リットルの割合で溶かして電解液を 製した。

(4) 電池の作製
 以上の正負両極及び電解液を用いて円筒型 第1電池MP1を作製した(電池寸法:直径14.2mm;長 さ50.0mm)。なお、セパレータとしてイオン透 性を有するポリプロピレン製の微孔性薄膜( リプラスチックス社製、商品名「セルガー 3401」)を用いた。

 図1は作製した第1電池MP1の断面図であり 図示の第1電池BA1は、正極1及び負極2、これ 両電極を離隔するセパレータ3、正極リード4 、負極リード5、正極外部端子6、負極缶7、な どからなる。正極1及び負極2は電解液が注入 れたセパレータ3を介して渦巻き状に巻き取 られた状態で負極缶7内に収容されており、 極1は正極リード4を介して正極外部端子6に また負極2は負極リード5を介して負極缶7に 続され、第1電池BA1内部で生じた化学エネル ーを電気エネルギーとして外部へ取り出し るようになっている。

実施例2
 正極及び負極を作製する際の導電剤として 導電剤トナー2を使用したこと以外は実施例 1と同様にして第2電池MP2を作製した。

比較例1
 正極及び負極を作製する際の導電剤として ケッチェンブラックEC600JDを、そのまま使用 したこと以外は実施例1と同様にして第3電池C P1を作製した。

試験例
1.正極表面のインピーダンス
 実施例1及び比較例1でそれぞれ作製した電 の各正極の乾燥状態での面方向のインピー ンス(1cm 2 あたり、Cole-Coleプロット)を測定した。結果 図2及に示した。

 導電剤トナーを使用して作成した正極(MP1 )では抵抗成分が、最大でも2.6kωであるのに して、比較例(CP1)では全域で3kω以上の抵抗 分が存在した。また、面方向の抵抗成分が さい、本発明の電極では、充放電時に電圧 電力の損失が少なく、電池として問題なく 能するのに対して、比較例1では大きな抵抗 ため、電力ロスや副反応等の問題が発生す と考えられる。

2.各電池のサイクル特性
 実施例1、2及び比較例1で作製した各電池に いて、充電電流60mAで充電終止電圧4.2Vまで 電した後、放電電流200mAで放電終止電圧2.5V で放電する工程を1サイクルとするサイクル 験を行い、各電池のサイクル特性を調べた 導電剤としてポリイミドとナノカーボン(ケ ッチェンブラック又はアセチレンブラック) 反応させたものを使用した本発明電池MP1、MP 2では、ナノカーボン同士の結着性及びナノ ーボンと集電体金属との接着性が良いため 充放電サイクルを繰り返し行っても電極材 が電極から剥離しにくく、試験を終了した10 00サイクル目においても容量低下が、それぞ 初期容量の8%と10%であったのに対して、比 電池CP1では、活物質等の電極からの脱落量 サイクルを重ねる毎に多くなり、1000サイク 目においては、容量低下が、初期容量の26% 大きなものとなった。

3.安全性の試験
 MP1、MP2、CP1のそれぞれの電池をオーブンに 室温から200℃まで昇温する簡易試験法によ 、各電池の安全性を調べた。本発明電池MP1 MP2の電池缶は、200℃に加熱しても何ら変化 認められなかったのに対して、比較電池CP1 電池缶は、150℃に加熱した時点で内圧上昇 より蓋が飛んだ。このことから、本発明電 MP1、MP2は安全性が高いのに対して、比較電 CP1は、電池温度が異常上昇した場合、電池 破損、破裂する危険性があり、安全性の点 問題があることが分かる。

 なお、上記実施例では、円筒型の電池を に挙げて説明したが、本発明は、電池の形 に制限はなく、円筒型以外にも、扁平型、 型など、種々の形状のリチウム二次電池に 用し得るものである。

 本発明によれば、サイクル寿命が長く、 かも電池温度が異常に高くなった場合でも 損、破裂する危険性が少ない信頼性の高い 次電池並びにそれに用いられる電極及び導 剤が提供される。

 1 正極
 2 負極
 3 セパレータ
 4 正極リード
 5 負極リード
 6 キャップ
 7 ステンレス容器