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Patent Searching and Data


Title:
COPPER CONDUCTOR FILM AND MANUFACTURING METHOD THEREOF, CONDUCTIVE SUBSTRATE AND MANUFACTURING METHOD THEREOF, COPPER CONDUCTOR WIRING AND MANUFACTURING METHOD THEREOF, AND TREATMENT SOLUTION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/078448
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided are a copper conductor film and manufacturing method thereof, and patterned copper conductor wiring, which have superior conductivity and wiring pattern formation, and with which there is no decrease in insulation between circuits, even at narrow wiring widths and narrow inter-wiring spacing. Disclosed are a copper conductor film and manufacturing method thereof in which a copper-based particle-containing layer, which contains both a metal having catalytic activity toward a reducing agent and copper oxide, is treated using a treatment solution that contains a reagent that ionizes or complexes copper oxide and a reducing agent that reduces copper ions or copper complexex to form metallic copper in a single solution, and patterned copper conductor wiring that is obtained by patterning a copper-based particle-containing layer using printing and by said patterned particle-containing layer being treated by a treatment method using a solution that contains both a reagent that ionizes or complexes copper oxide and a reducing agent that reduces copper ions or copper complexes to form metallic copper in a single solution.

Inventors:
NAKAKO HIDEO
YAMAMOTO KAZUNORI
KUMASHIRO YASUSHI
MACHII YOUICHI
YOKOZAWA SHUNYA
EJIRI YOSHINORI
MASUDA KATSUYUKI
Application Number:
PCT/JP2008/073006
Publication Date:
June 25, 2009
Filing Date:
December 17, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HITACHI CHEMICAL CO LTD (JP)
NAKAKO HIDEO
YAMAMOTO KAZUNORI
KUMASHIRO YASUSHI
MACHII YOUICHI
YOKOZAWA SHUNYA
EJIRI YOSHINORI
MASUDA KATSUYUKI
International Classes:
H01B5/14; C23C18/40; H01B13/00; H01L21/60; H05K3/10; H05K3/12; H05K3/18
Foreign References:
JPS61279531A1986-12-10
JP2004225159A2004-08-12
JPH07197266A1995-08-01
JP2005272961A2005-10-06
JP2006124814A2006-05-18
JP2004273205A2004-09-30
JP2003203522A2003-07-18
JP3599950B22004-12-08
JP2005081501A2005-03-31
Other References:
See also references of EP 2234119A4
Attorney, Agent or Firm:
MIYOSHI, Hidekazu et al. (2-8Toranomon 1-chome, Minato-ku, Tokyo 01, JP)
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Claims:
 還元剤に対して触媒活性を有する金属と、銅酸化物とを共に含有してなる銅系粒子含有層を、一つの溶液中に銅酸化物をイオン化又は錯体化する薬剤と、銅イオン又は銅錯体を還元して金属銅とする還元剤とを含む処理液を用いて処理してなることを特徴とする銅導体膜。
 前記銅酸化物をイオン化又は錯体化する薬剤が、塩基性含窒素化合物、塩基性含窒素化合物の塩、無機酸、無機酸塩、有機酸、有機酸塩、ルイス酸、ジオキシム、ジチゾン、ヒドロキシキノリン、EDTA、及びβ-ジケトンからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の銅導体膜。
 前記銅イオン又は銅錯体を還元する還元剤が、水素化ホウ素化合物、水素化アルミニウム化合物、アルキルアミンボラン、ヒドラジン化合物、アルデヒド化合物、亜リン酸化合物、次亜リン酸化合物、アスコルビン酸、アジピン酸、蟻酸、アルコール、スズ(II)化合物、金属スズ、及びヒドロキシアミン類からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の銅導体膜。
 前記銅系粒子含有層に含まれる銅酸化物が、酸化第一銅及び/又は酸化第二銅であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の銅導体膜。
 還元剤に対して触媒活性を有する金属が、金属状の遷移金属又は合金であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の銅導体膜。
 前記遷移金属又は合金が、Cu、Pd、Ag、Ru、Rh、Ni、Pt、及びAuからなる群より選択される金属又は該金属を含む合金であることを特徴とする請求項5に記載の銅導体膜。
 前記銅系粒子含有層において、還元剤に対して触媒活性を有する金属及び銅酸化物として、コア部が該金属であり、シェル部が該銅酸化物であるコア/シェル構造を有する粒子を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の銅導体膜。
 前記銅系粒子含有層が、還元剤に対して触媒活性を有する金属を成分とする粒子と、銅酸化物を成分とする粒子とを任意の比率で混合した混合粒子を堆積した層であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の銅導体膜。
 前記銅系粒子含有層が、還元剤に対して触媒活性を有する金属を成分とする粒子、銅酸化物を成分とする粒子、及びコア部が還元剤に対して触媒活性を有する金属であり、シェル部が銅酸化物であるコア/シェル構造を有する粒子を任意の比率で混合した混合粒子を堆積した層であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の銅導体膜。
 前記銅系粒子含有層が、還元剤に対して触媒活性を有する金属を成分とする粒子が堆積してなる層上に、該層に接して銅酸化物からなる粒子を含む層を1層以上堆積してなる層であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の銅導体膜。
 前記銅系粒子含有層が、還元剤に対して触媒活性を有する金属を含む層上に銅酸化物からなる粒子を含む層を1層以上積層してなる層であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の銅導体膜。
 一つの溶液中に銅酸化物をイオン化又は錯体化する薬剤と、銅イオン又は銅錯体を還元して金属銅とする還元剤を含む処理液を用いて、還元剤に対して触媒活性を有する金属と、銅酸化物とを共に含有してなる銅系粒子含有層を処理することを特徴とする銅導体膜の製造方法。
 還元剤に対して触媒活性を有する金属と、銅酸化物とを共に含有してなる銅系粒子含有層が印刷によりパターニングされており、該パターニングされた銅系粒子含有層を一つの溶液中に銅酸化物をイオン化又は錯体化する薬剤と、銅イオン又は銅錯体を還元して金属銅とする還元剤を含む処理液を用いた処理方法により処理して得られることを特徴とするパターニングされた銅導体配線。
 銅系粒子含有層のパターニングに用いる印刷法が、インクジェット、スクリーン印刷、転写印刷、オフセット印刷、ジェットプリンティング法、ディスペンサ、カンマコータ、スリットコータ、ダイコータ、及びグラビアコータからなる群より選択されるいずれか1種であることを特徴とする請求項13に記載のパターニングされた銅導体配線。
 基板上に、還元剤に対して触媒活性を有する金属を含む層を形成する工程と、
 該層上に、コア部が銅であり、シェル部が銅酸化物であるコア/シェル構造を有する粒子と、銅酸化物からなる粒子とを含有する銅粒子層を形成する工程と、
 前記銅粒子層に対し、銅酸化物をイオン化又は錯体化する薬剤と、銅イオン又は銅錯体を還元して金属銅とする還元剤とを含む処理液を用いて処理する工程と、
を含むことを特徴とする導電性基板の製造方法。
 前記コア/シェル構造を有する粒子(x)と、前記銅酸化物からなる粒子(y)との重量比率(x/y)が、1/1~1/19であることを特徴とする請求項15に記載の導電性基板の製造方法。
 前記処理液中における薬剤(a)及び還元剤(b)のモル比(a/b)が5000未満であることを特徴とする請求項15または16に記載の導電性基板の製造方法。
 前記銅酸化物をイオン化又は錯体化する薬剤が、塩基性含窒素化合物、塩基性含窒素化合物の塩、無機酸、無機酸塩、有機酸、有機酸塩、ルイス酸、ジオキシム、ジチゾン、ヒドロキシキノリン、EDTA、及びβ-ジケトンからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項15から17のいずれか1項に記載の導電性基板の製造方法。
 前記銅イオン又は銅錯体を還元する還元剤が、水素化ホウ素化合物、水素化アルミニウム化合物、アルキルアミンボラン、ヒドラジン化合物、アルデヒド化合物、亜リン酸化合物、次亜リン酸化合物、アスコルビン酸、アジピン酸、蟻酸、アルコール、スズ(II)化合物、金属スズ、及びヒドロキシアミン類からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項15から18のいずれか1項に記載の導電性基板の製造方法。
 前記還元剤に対して触媒活性を有する金属が、金属状の遷移金属又は合金であることを特徴とする請求項15から19のいずれか1項に記載の導電性基板の製造方法。
 前記遷移金属、又は前記合金の少なくとも1成分が、Cu、Pd、Ag、Ru、Rh、Ni、Pt、及びAuからなる群より選択される金属であることを特徴とする請求項20に記載の導電性基板の製造方法。
 請求項15から21のいずれか1項に記載の導電性基板の製造方法により製造されてなる導電性基板。
 基板上に、還元剤に対して触媒活性を有する金属を含む層を形成する工程と、
 該層上に、コア部が銅であり、シェル部が銅酸化物であるコア/シェル構造を有する粒子と、銅酸化物からなる粒子とを含有する塗布液を用いて任意の配線パターンを描画する工程と、
 描画した塗布液による配線パターンに対し、銅酸化物をイオン化又は錯体化する薬剤と、銅イオン又は銅錯体を還元して金属銅とする還元剤とを含む処理液を用いて処理する工程と、
を含むことを特徴とする銅導体配線の製造方法。
 請求項23に記載の銅導体配線の製造方法により製造されてなる銅導体配線。
 コア部が銅であり、シェル部が銅酸化物であるコア/シェル構造を有する粒子を含む塗布液を基板上に塗布し塗膜を形成する工程と、
 形成した塗膜に対して、該塗膜の表層部から基板側にかけて銅酸化物成分の分布が漸減するように酸化処理を施す工程と、
 酸化処理を施した塗膜に対し、銅酸化物をイオン化又は錯体化する薬剤と、銅イオン又は銅錯体を還元して金属銅とする還元剤とを含む処理液を用いて処理する工程と、
を有することを特徴とする導電性基板の製造方法。
 前記酸化処理を、空気中において加熱することにより行うことを特徴とする請求項25に記載の導電性基板の製造方法。
 前記銅酸化物をイオン化又は錯体化する薬剤が、塩基性含窒素化合物、塩基性含窒素化合物の塩、無機酸、無機酸塩、有機酸、有機酸塩、ルイス酸、ジオキシム、ジチゾン、ヒドロキシキノリン、EDTA、及びβ-ジケトンからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項25または26に記載の導電性基板の製造方法。
 前記銅イオン又は銅錯体を還元する還元剤が、水素化ホウ素化合物、水素化アルミニウム化合物、アルキルアミンボラン、ヒドラジン化合物、アルデヒド化合物、亜リン酸化合物、次亜リン酸化合物、アスコルビン酸、アジピン酸、蟻酸、アルコール、スズ(II)化合物、金属スズ、及びヒドロキシアミン類からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項25から27のいずれか1項に記載の導電性基板の製造方法。
 請求項25から28のいずれか1項に記載の導電性基板の製造方法により製造されてなる導電性基板。
 基板上に、コア部が銅であり、シェル部が銅酸化物であるコア/シェル構造を有する粒子を含む塗布液を用いて任意の配線パターンを描画する工程と、
 描画した塗布液による配線パターンに対して、該配線パターンの表層部から基板側にかけて銅酸化物成分の分布が漸減するように酸化処理を施す工程と、
 酸化処理を施した配線パターンに対し、銅酸化物をイオン化又は錯体化する薬剤と、銅イオン又は銅錯体を還元して金属銅とする還元剤とを含む処理液を用いて処理する工程と、処理液を洗浄する工程を含むことを特徴とする銅導体配線の製造方法。
 請求項30に記載の銅導体配線の製造方法により製造されてなる銅導体配線。
 還元剤に対して触媒活性を有する金属と、銅酸化物を含有する層又は積層体を導体化する処理液であって、
 前記銅酸化物をイオン化又は錯体化する薬剤と、銅イオン又は銅錯体を還元して金属銅にする還元剤とを含むことを特徴とする処理液。
 前記銅酸化物をイオン化又は錯体化する薬剤が、塩基性含窒素化合物、塩基性含窒素化合物の塩、無機酸、無機酸塩、有機酸、有機酸塩、ルイス酸、ジオキシム、ジチゾン、ヒドロキシキノリン、EDTA、及びβ-ジケトンからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項32に記載の処理液。
 前記銅イオン又は銅錯体を還元する還元剤が、水素化ホウ素化合物、水素化アルミニウム化合物、アルキルアミンボラン、ヒドラジン化合物、アルデヒド化合物、亜リン酸化合物、次亜リン酸化合物、アスコルビン酸、アジピン酸、蟻酸、アルコール、スズ(II)化合物、金属スズ、及びヒドロキシアミン類からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項32または33に記載の処理液。
Description:
銅導体膜及びその製造方法、導 性基板及びその製造方法、銅導体配線及び の製造方法、並びに処理液

 本発明は、銅導体膜及びその製造方法、 電性基板及びその製造方法、銅導体配線及 その製造方法、並びに処理液に関する。

 低エネルギー、低コスト、高スループッ 、オンデマンド生産等の優位点から印刷法 よる配線パターンの形成が有望視されてい 。この目的には、金属元素を含むインク・ ーストを用い印刷法によりパターン形成し 後、印刷された配線パターンに金属導電性 付与することにより実現される。

 従来この目的には、フレーク状の銀又は を熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂のバインダ 有機溶剤、硬化剤、触媒等と共に混合した ーストが用いられてきた。このペーストの 用方法は、対象物にディスペンサやスクリ ン印刷により塗布し、常温で乾燥するか、 は150℃程度に加熱してバインダ樹脂を硬化 、銅導体膜とすることで行われている。

 このようにして得られた銅導体膜の体積抵 率は、製膜条件にもよるが、10 -6  ~10 -7 ω・mの範囲であり、金属銀や銅の体積抵抗率 1.6×10 -8 ω・m、1.7×10 -8 ω・mに比べて、10~100倍の値となっており、金 属銀や銅の導電性にはとうてい及ばない値と なっている。

 このような従来の銀・銅ペーストからな 銅導体膜の導電性が低い理由は、銀・銅ペ ストから得られた銅導体膜内では、金属粒 の一部のみが物理的に接触しており、接触 が少なく、さらに接触点での接触抵抗があ こと、一部粒子の間にバインダが残存して 子の直接的な接触を阻害していることによ ものである。

 また、従来の銀ペーストでは、銀粒子が粒 1~100μmのフレーク状であるため、原理的に レーク状銀粒子の粒径以下の線幅の配線を 刷することは不可能である。
 また、配線の微細化やインクジェット法へ 適用からは、粒径が100nm以下の粒子を用い インクが求められており、これらの点から 来のペーストは微細な配線パターン形成に 不適である。

 これらの銀や銅ペーストの欠点を克服する のとして金属ナノ粒子を用いた配線パター 形成方法が検討されており、金又は銀ナノ 子を用いる方法は確立されている(例えば、 特許文献1、2参照)。具体的には、金又は銀ナ ノ粒子を含む分散液を利用した極めて微細な 回路パターンの描画と、その後、金属ナノ粒 子相互の焼結を施すことにより、得られる焼 結体型配線層において、配線幅及び配線間ス ペースが5~50μm、体積固有抵抗率が1×10 -7 ω・m以下の配線形成が可能となっている。

 しかしながら、金や銀といった貴金属ナノ 子を用いる際には、材料自体が高価である め、かかる超微細印刷用分散液の作製単価 高くなり、汎用品として幅広く普及する上 の、大きな経済的障害となっている。
 さらに、銀ナノ粒子では、配線幅及び配線 スペースが狭くなっていくにつれ、エレク ロマイグレーションに起因する回路間の絶 低下という欠点が問題として浮上している

 微細配線形成用の金属ナノ粒子分散液と ては、エレクトロマイグレーションが少な 、金や銀と比較して材料自体の単価も相当 安価な銅の利用が期待されている。銅の粒 は貴金属と比較して酸化されやすい性質を つため、表面処理剤には分散性の向上目的 外に酸化防止の作用を持つものが用いられ 。このような目的には銅表面と相互作用す 置換基を有する高分子や長鎖アルキル基を する処理剤(例えば、特許文献3、4)が用いら れている。

 従来、このような表面処理剤を有する銅 子の導体化法は(i)銅粒子表面の保護基の脱 、(ii)還元雰囲気による表面酸化層の還元及 び焼結中の酸化防止、(iii)粒子間接触部の融 、の3つのステップから成り立っている。こ れらのステップの中でも、(i)保護基の脱離と (iii)融着には大きなエネルギーを必要とし、2 00℃以上への加熱又はエネルギー線の併用が 須であり使用可能な基板が限られることが 題である。

 また、図1に示すように、融着温度によって 粒子間の融合状態は大きく変化し、焼結後の 銅導体膜物性に大きな影響を与える。図1は 平均粒径200nmの銅粒子(MDL-201、石原産業(株) 、商品名)塗工物の焼結状態を示す図であり N 2 気流下、300℃、1時間処理後、N 2 /H 2 =97/3気流下において各温度で焼成したもので る。これらの焼成方法については、例えば 非特許文献1に記載されている。

 一般に300℃以下の温度での処理では、粒 間の融合ではなく接触部のみが部分的に結 するネッキングが主に起こるため、導電パ が長くなり銅導体膜は高抵抗となる。この うな銅導体膜はポーラスであるため耐酸化 や耐折性、ヒートショックに劣ることも問 である。

特開2004-273205号公報

特開2003-203522号公報

特許第3599950号公報

特開2005-081501号公報 技術情報協会セミナー「銅ナノ粒子イン キ・ペーストによるインクジェット微細配線 形成技術」資料27ページ

 本発明は、以上の従来の問題点に鑑みなさ たものであり、以下の目的を達成すること 課題とする。すなわち、
 本発明の目的は、比較的低温で製造できる ともに、導電性及び配線パターン形成に優 、配線幅及び配線間スペースが狭くなって 、回路間の絶縁低下のない銅導体膜及びそ 製造方法並びにパターニングされた銅導体 線を提供することにある。
 また、本発明の別の目的は、1つの溶液中に 銅酸化物をイオン化又は錯体化し得る薬剤と 、銅イオン又は銅錯体を還元し金属銅とする 還元剤とを含む処理液を用いて銅酸化物など を含有する層を処理し、銅を析出させる工程 を含む導電性基板の製造方法であって、導電 層の抵抗率が低く、所望の領域以外への銅の 析出を抑えることができる導電性基板の製造 方法、及び該製造方法により得られる導電性 基板を提供することにある。
 さらに、本発明の別の目的は、1つの溶液中 に銅酸化物をイオン化又は錯体化し得る薬剤 と、銅イオン又は銅錯体を還元し金属銅とす る還元剤とを含む処理液を用いて銅酸化物な どを含有する塗布液による配線パターンを処 理し、銅を析出させる工程を含む銅配線基板 の製造方法であって、銅配線の抵抗率が低く 、所望の領域以外への銅の析出を抑えること ができる銅配線基板の製造方法、及び該製造 方法により得られる銅配線基板を提供するこ とにある。
 さらに、本発明の別の目的は、銅導体膜を 膜化及び緻密化することができ、かつ低抵 化を実現し得る導電性基板、及びその製造 法を提供することにある。
 さらに、本発明の別の目的は、銅配線が緻 で低抵抗の銅導体配線、及びその製造方法 提供することにある。
 さらに、本発明の別の目的は、銅酸化物な を含有する層を処理し、銅を析出させ該層 導体化する処理液を提供することにある。

 本発明者らは、上記問題の解決には、高温 すること以外の何らかの手法を用いて銅原 の一部を銅粒子間の隙間に移動させ緻密な 導体膜にする必要があると考え、鋭意検討 行った結果、金属粒子堆積物に対し、一つ 溶液中の金属酸化物をイオン又は錯体とし 溶かしだす成分(薬剤)と、イオン化又は錯 として遊離した銅イオン又は銅錯体を還元 金属銅にする還元剤の両方を含む溶液で処 する方法を見出し、本発明を完成するに至 た。
 すなわち、前記課題を解決するための手段 以下の通りである。

(1)還元剤に対して触媒活性を有する金属と、 銅酸化物とを共に含有してなる銅系粒子含有 層を、一つの溶液中に銅酸化物をイオン化又 は錯体化する薬剤と、銅イオン又は銅錯体を 還元し金属銅にする還元剤とを含む処理液を 用いて処理してなることを特徴とする銅導体 膜。
 ここで、本明細書において、前記「銅系粒 」とは、全体が酸化銅単一からなる粒子、 はシェル部が銅酸化物でコア部がそれ以外 材料からなる粒子をいう。

(2)前記銅酸化物をイオン化又は錯体化する 薬剤が、塩基性含窒素化合物、塩基性含窒素 化合物の塩、無機酸、無機酸塩、有機酸、有 機酸塩、ルイス酸、ジオキシム、ジチゾン、 ヒドロキシキノリン、EDTA、及びβ-ジケトン らなる群より選択される少なくとも1種であ ことを特徴とする(1)に記載の銅導体膜。

(3)前記銅イオン又は銅錯体を還元する還元 剤が、水素化ホウ素化合物、水素化アルミニ ウム化合物、アルキルアミンボラン、ヒドラ ジン化合物、アルデヒド化合物、亜リン酸化 合物、次亜リン酸化合物、アスコルビン酸、 アジピン酸、蟻酸、アルコール、スズ(II)化 物、金属スズ、及びヒドロキシアミン類か なる群より選択される少なくとも1種である とを特徴とする(1)または(2)に記載の銅導体 。

(4)前記銅系粒子含有層に含まれる銅酸化物 が、酸化第一銅及び/又は酸化第二銅である とを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載 銅導体膜。

(5)還元剤に対して触媒活性を有する金属が 、金属状の遷移金属又は合金であることを特 徴とする(1)から(4)のいずれかに記載の銅導体 膜。

(6)前記遷移金属又は合金が、Cu、Pd、Ag、Ru Rh、Ni、Pt、及びAuからなる群より選択され 金属又は該金属を含む合金であることを特 とする(5)に記載の銅導体膜。

(7)前記銅系粒子含有層において、還元剤に 対して触媒活性を有する金属及び銅酸化物と して、コア部が該金属であり、シェル部が該 銅酸化物であるコア/シェル構造を有する粒 を含むことを特徴とする(1)から(6)のいずれ に記載の銅導体膜。

(8)前記銅系粒子含有層が、還元剤に対して 触媒活性を有する金属を成分とする粒子と、 銅酸化物を成分とする粒子とを任意の比率で 混合した混合粒子を堆積した層であることを 特徴とする(1)から(6)のいずれかに記載の銅導 体膜。

(9)前記銅系粒子含有層が、還元剤に対して 触媒活性を有する金属を成分とする粒子、銅 酸化物を成分とする粒子、及びコア部が還元 剤に対して触媒活性を有する金属であり、シ ェル部が銅酸化物であるコア/シェル構造を する粒子を任意の比率で混合した混合粒子 堆積した層であることを特徴とする(1)から(6 )のいずれかに記載の銅導体膜。

(10)前記銅系粒子含有層が、還元剤に対し 触媒活性を有する金属を成分とする粒子が 積してなる層上に、該層に接して銅酸化物 らなる粒子を含む層を1層以上堆積してなる であることを特徴とする(1)から(6)のいずれ に記載の銅導体膜。

(11)前記銅系粒子含有層が、還元剤に対し 触媒活性を有する金属を含む層上に銅酸化 からなる粒子を含む層を1層以上積層してな 層であることを特徴とする(1)から(6)のいず かに記載の銅導体膜。

(12)一つの溶液中に銅酸化物をイオン化又 錯体化する薬剤と、銅イオン又は銅錯体を 元し金属銅にする還元剤を含む処理液を用 て、還元剤に対して触媒活性を有する金属 、銅酸化物とを共に含有してなる銅系粒子 有層を処理する工程を含むことを特徴とす 銅導体膜の製造方法。

(13)還元剤に対して触媒活性を有する金属 、銅酸化物とを共に含有してなる銅系粒子 有層が印刷によりパターニングされており 該パターニングされた銅系粒子含有層を一 の溶液中に銅酸化物をイオン化又は錯体化 る薬剤と、銅イオン又は銅錯体を還元し金 銅にする還元剤を含む処理液を用いた処理 法により処理して得られることを特徴とす パターニングされた銅導体配線。

(14)銅系粒子含有層のパターニングに用い 印刷法が、インクジェット、スクリーン印 、転写印刷、オフセット印刷、ジェットプ ンティング法、ディスペンサ、カンマコー 、スリットコータ、ダイコータ、及びグラ アコータからなる群より選択されるいずれ 1種であることを特徴とする(13)に記載のパタ ーニングされた銅導体配線。

(15)基板上に、還元剤に対して触媒活性を有 る金属を含む層を形成する工程と、
 該層上に、コア部が銅であり、シェル部が 酸化物であるコア/シェル構造を有する粒子 と、銅酸化物からなる粒子とを含有する銅粒 子層を形成する工程と、
 前記銅粒子層に対し、銅酸化物をイオン化 は錯体化し得る薬剤と、銅イオン又は銅錯 を還元して金属銅とする還元剤とを含む処 液を用いて処理する工程と、
を含むことを特徴とする導電性基板の製造方 法。

(16)前記コア/シェル構造を有する粒子(x)と 前記銅酸化物からなる粒子(y)との重量比率( x/y)が、1/1~1/19であることを特徴とする前記(15 )に記載の導電性基板の製造方法。

(17)前記処理液中における薬剤(a)及び還元 (b)のモル比(a/b)が5000未満であることを特徴 する前記(15)または(16)に記載の導電性基板の 製造方法。

(18)前記銅酸化物をイオン化又は錯体化す 薬剤が、塩基性含窒素化合物、塩基性含窒 化合物の塩、無機酸、無機酸塩、有機酸、 機酸塩、ルイス酸、ジオキシム、ジチゾン ヒドロキシキノリン、EDTA、及びβ-ジケトン らなる群より選択される少なくとも1種であ ることを特徴とする前記(15)から(17)のいずれ に記載の導電性基板の製造方法。

(19)前記銅イオン又は銅錯体を還元する還 剤が、水素化ホウ素化合物、水素化アルミ ウム化合物、アルキルアミンボラン、ヒド ジン化合物、アルデヒド化合物、亜リン酸 合物、次亜リン酸化合物、アスコルビン酸 アジピン酸、蟻酸、アルコール、スズ(II)化 物、金属スズ、及びヒドロキシアミン類か なる群より選択される少なくとも1種である ことを特徴とする前記(15)から(18)のいずれか1 項に記載の導電性基板の製造方法。

(20)前記還元剤に対して触媒活性を有する 属が、金属状の遷移金属又は合金であるこ を特徴とする前記(15)から(19)のいずれかに記 載の導電性基板の製造方法。

(21)前記遷移金属、又は前記合金の少なく も1成分が、Cu、Pd、Ag、Ru、Rh、Ni、Pt、及びAu からなる群より選択される金属であることを 特徴とする前記(20)に記載の導電性基板の製 方法。

(22)前記(15)から(21)のいずれかに記載の導電 性基板の製造方法により製造されてなる導電 性基板。

(23)基板上に、還元剤に対して触媒活性を有 る金属を含む層を形成する工程と、
 該層上に、コア部が銅であり、シェル部が 酸化物であるコア/シェル構造を有する粒子 と、銅酸化物からなる粒子とを含有する塗布 液を用いて任意の配線パターンを描画する工 程と、
 描画した塗布液による配線パターンに対し 銅酸化物をイオン化又は錯体化し得る薬剤 、銅イオン又は銅錯体を還元して金属銅と る還元剤とを含む処理液を用いて処理する 程と、
を含むことを特徴とする銅導体配線の製造方 法。

(24)前記(23)に記載の銅導体配線の製造方法 より製造されてなる銅導体配線。

(25)コア部が銅であり、シェル部が銅酸化物 あるコア/シェル構造を有する粒子を含む塗 液を基板上に塗布し塗膜を形成する工程と
 形成した塗膜に対して、該塗膜の表層部か 基板側にかけて銅酸化物成分の分布が漸減 るように酸化処理を施す工程と、
 酸化処理を施した塗膜に対し、銅酸化物を オン化又は錯体化し得る薬剤と、銅イオン は銅錯体を還元して金属銅とする還元剤と 含む処理液を用いて処理する工程と、
を有することを特徴とする導電性基板の製造 方法。

(26)前記酸化処理を、空気中において加熱 ることにより行うことを特徴とする前記(25) 記載の導電性基板の製造方法。

(27)前記銅酸化物をイオン化又は錯体化す 薬剤が、塩基性含窒素化合物、塩基性含窒 化合物の塩、無機酸、無機酸塩、有機酸、 機酸塩、ルイス酸、ジオキシム、ジチゾン ヒドロキシキノリン、EDTA、及びβ-ジケトン らなる群より選択される少なくとも1種であ ることを特徴とする前記(25)または(26)に記載 導電性基板の製造方法。

(28)前記銅イオン又は銅錯体を還元する還 剤が、水素化ホウ素化合物、水素化アルミ ウム化合物、アルキルアミンボラン、ヒド ジン化合物、アルデヒド化合物、亜リン酸 合物、次亜リン酸化合物、アスコルビン酸 アジピン酸、蟻酸、アルコール、スズ(II)化 物、金属スズ、及びヒドロキシアミン類か なる群より選択される少なくとも1種である ことを特徴とする前記(25)から(27)のいずれか 記載の導電性基板の製造方法。

(29)前記(25)から(28)のいずれかに記載の導電 性基板の製造方法により製造されてなる導電 性基板。

(30)基板上に、コア部が銅であり、シェル部 銅酸化物であるコア/シェル構造を有する粒 を含む塗布液を用いて任意の配線パターン 描画する工程と、
 描画した塗布液による配線パターンに対し 、該配線パターンの表層部から基板側にか て銅酸化物成分の分布が漸減するように酸 処理を施す工程と、
 酸化処理を施した配線パターンに対し、銅 化物をイオン化又は錯体化し得る薬剤と、 イオン又は銅錯体を還元して金属銅とする 元剤とを含む処理液を用いて処理する工程 、処理液を洗浄する工程を含むことを特徴 する銅導体配線の製造方法。

(31)前記(30)に記載の銅導体配線の製造方法 より製造されてなる銅導体配線。

(32)還元剤に対して触媒活性を有する金属と 銅酸化物を含有する層又は積層体を導体化 る処理液であって、
 前記銅酸化物をイオン化又は錯体化する薬 と、銅イオン又は銅錯体を還元して金属銅 する還元剤とを含むことを特徴とする処理 。

(33)前記銅酸化物をイオン化又は錯体化す 薬剤が、塩基性含窒素化合物、塩基性含窒 化合物の塩、無機酸、無機酸塩、有機酸、 機酸塩、ルイス酸、ジオキシム、ジチゾン ヒドロキシキノリン、EDTA、及びβ-ジケトン らなる群より選択される少なくとも1種であ ることを特徴とする前記(32)に記載の処理液

(33)前記銅イオン又は銅錯体を還元する還 剤が、水素化ホウ素化合物、水素化アルミ ウム化合物、アルキルアミンボラン、ヒド ジン化合物、アルデヒド化合物、亜リン酸 合物、次亜リン酸化合物、アスコルビン酸 アジピン酸、蟻酸、アルコール、スズ(II)化 物、金属スズ、及びヒドロキシアミン類か なる群より選択される少なくとも1種である ことを特徴とする前記(32)または(33)に記載の 理液。

 本発明によれば、比較的低温で製造できる ともに、導電性及び配線パターン形成に優 、配線幅及び配線間スペースが狭くなって 、回路間の絶縁低下のない銅導体膜及びそ 製造方法並びにパターニングされた銅導体 線を提供することができる。
 また、本発明によれば、1つの溶液中に銅酸 化物をイオン化又は錯体化し得る薬剤と、銅 イオン又は銅錯体を還元し金属銅とする還元 剤とを含む処理液を用いて銅酸化物などを含 有する層を処理し、銅を析出させる工程を含 む導電性基板の製造方法であって、導電層の 抵抗率が低く、所望の領域以外への銅の析出 を抑えることができる導電性基板の製造方法 、及び該製造方法により得られる導電性基板 を提供することができる。
 さらに、本発明によれば、1つの溶液中に銅 酸化物をイオン化又は錯体化し得る薬剤と、 銅イオン又は銅錯体を還元し金属銅とする還 元剤とを含む処理液を用いて銅酸化物などを 含有する塗布液による配線パターンを処理し 、銅を析出させる工程を含む銅配線基板の製 造方法であって、銅配線の抵抗率が低く、所 望の領域以外への銅の析出を抑えることがで きる銅配線基板の製造方法、及び該製造方法 により得られる銅配線基板を提供することが できる。
 さらに、本発明によれば、銅導体膜を厚膜 及び緻密化することができ、かつ低抵抗化 実現し得る導電性基板の製造方法を提供す ことができる。
 さらに、本発明によれば、銅配線が緻密で 抵抗の銅導体配線、及びその製造方法を提 することができる。
 さらに、本発明によれば、銅酸化物などを 有する層を処理し、銅を析出させ該層を導 化する処理液を提供することができる。

平均粒径200nmの銅粒子(MDL-201、石原産業 (株)製、商品名)塗工物の焼結状態を示す顕微 鏡写真である。 銅酸化物の溶出と金属イオンの還元析 を説明するための概略図である。 金属酸化物と金属成分の構成を示す概 図である。 銅パターンを有するポリイミド基板を す概略図である。 実施例1の反応の経過を説明するための 図面代用写真である。 実施例2~5の還元後の外観を示す図面代 写真である。 Pdシーダー処理基板上に銅酸化物粒子 堆積した基板の還元処理を示す図面代用写 である。 インクジェット印刷された銅ナノ粒子 積基板の処理状況を示す図面代用写真であ 。 比較例1~3の還元後の外観を示す図面代 写真である。 実施例10の銅粒子層のFIB加工断面のSIM を示す図面代用写真である。 比較例7の銅粒子層の(A)FIB加工断面のSI M像、(B)断面のTEM像を示す図面代用写真であ 。 実施例11の銅粒子層のFIB加工断面のSIM を示す図面代用写真である。 比較例10の銅粒子層のFIB加工断面のSIM を示す図面代用写真である。 比較例12の銅粒子層の(A)FIB加工断面のS IM像、(B)断面のTEM像を示す図面代用写真であ 。

符号の説明

10 基板

<銅導体膜及びその製造方法>
 本発明の銅導体膜は、還元剤に対して触媒 性を有する金属と、銅酸化物とを共に含有 てなる銅系粒子含有層を、一つの溶液中に 酸化物をイオン化又は錯体化する薬剤と、 イオン又は銅錯体を還元し金属銅にする還 剤とを含む処理液を用いて処理してなるこ を特徴としている。
 また、本発明の銅導体膜の製造方法は、一 の溶液中に銅酸化物をイオン化又は錯体化 る薬剤と、銅イオン又は銅錯体を還元し金 銅にする還元剤を含む処理液を用いて、還 剤に対して触媒活性を有する金属と、銅酸 物とを共に含有してなる銅系粒子含有層を 理する工程を含むことを特徴としている。
 ここで、本発明において「銅導体膜」とは 導体化された銅の膜を意味する。
 以下に、本発明の銅導体膜及び本発明の銅 体膜の製造方法について、両者を交えて説 する。

 本発明の銅導体膜は銅膜が緻密で低抵抗で ることに特徴を有するが、まずその原理に いて説明する。本発明の銅導体膜の製造過 について、図2(A)、(B)に示す。図2(A)は、イ ン化又は錯体化する薬剤により銅酸化物12が 一部溶出された状態を示し、図2(B)は、(A)に いて得られた銅イオン又は銅錯体が触媒活 を有する金属14の表面において還元剤と反応 して金属銅16として析出した状態を示す。つ り、製造において、大まかに以下の(1)、(2) 二つの反応により進行する。(1)一つの溶液 の銅酸化物をイオン化又は錯体化する薬剤 より、銅イオン又は銅錯体として溶液中に 離させる(図2(A))。(2)遊離した銅イオン又は 錯体を還元剤に対して触媒活性を有する金 表面において還元剤と反応させ金属銅とし 析出させる(図2(B))。この方法では、溶液中 銅原子が遊離するため比較的長距離を移動 ることができ、金属成分と銅酸化物成分の 合にもよるが、粒子間を銅酸化物由来の銅 埋めることができる。このようにして形成 れた銅膜は緻密な構造となり、バルクの銅 近い性質を示すことになる。
 これに対して、従来の300℃以下の焼結では 表面エネルギーにより高いエネルギー状態 ある粒子表面の銅原子のみが融着してネッ ングし、粒子間の隙間はそのまま残ること なり、低抵抗とするには限度がある。
 また、銅酸化物のみからなる粒子含有層を 本発明に係る処理液で処理した場合、塗布 た銅酸化物の溶失や塗布部以外や溶液中へ 銅の析出が起こり、効率的な導体化は進行 ない。

 一方、本発明のように、還元剤に対して触 活性を有する金属が銅系粒子含有層の中又 近傍に存在する場合、その金属上に選択的 金属銅が析出することとなり、パターニン された粒子堆積部のみの選択的な導体化が 能となる。
 以下、本発明の銅導体膜の各構成要素につ て説明する。

[銅系粒子含有層]
 銅系粒子含有層は、還元剤に対して触媒活 を有する金属(以下、「触媒活性金属」と呼 ぶ。)と、銅酸化物とを共に含有する。

(銅酸化物)
 銅酸化物成分は、酸化第一銅及び/又は酸化 第二銅が挙げられ、処理液中の薬剤と反応し て銅イオン又は銅錯体を溶液に供給する。
 本発明においては、銅酸化物は、該銅酸化 を成分として含む粒子(以下、銅酸化物粒子 と呼ぶ。)として用いる態様と、後述する触 活性金属の表面を銅酸化物が被覆する粒子 すなわちコア部が触媒活性金属で、シェル が銅酸化物であるコア/シェル構造を有する 子(以下、「コア/シェル粒子」と呼ぶ。)と て用いる態様とがある。以下にまず、銅酸 物粒子について説明する。

~銅酸化物粒子~
 銅酸化物粒子としては、酸化第一銅、酸化 二銅あるいはその混合物からなる球状ある は塊状の粒子であり、例えば、シーアイ化 製の気相蒸発法により作成された酸化銅ナ 粒子や日清エンジニアリング製のプラズマ 法により合成された酸化銅ナノ粒子のよう 市販品として入手可能なものを用いてもよ 。

 本発明において、銅酸化物が粒子として 用される場合、アンモニアなど処理液中の 剤との反応速度のコントロールという観点 ら、一次平均粒子径が10,000~1nmであることが 好ましく、1,000~10nmであることがより好まし 、500~10nmであることが好ましい。

(触媒活性金属)
 触媒活性金属としては、金属状の遷移金属 は合金が好ましく、具体的には、前記遷移 属、又は前記合金の少なくとも1成分が、Cu Pd、Ag、Ru、Rh、Ni、Pt、及びAuからなる群よ 選択される金属又はこれらの金属を含む合 を用いることができ、その還元剤に対する 媒能により銅酸化物から供給された銅イオ 又は銅錯体をその表面で還元し金属銅とし 析出させる。

 本発明においては、触媒活性金属は、粒 として用いる態様と、膜を形成して用いる 様とがある。各態様についての詳細は後述 る。

 銅系粒子含有層において、前述の銅酸化物 分と触媒活性金属成分とは図3に示すように 構成できる。具体的には、
(a)触媒活性金属及び銅酸化物が、コア部が触 媒活性金属であり、シェル部が該銅酸化物で あるコア/シェル構造を有する粒子の状態で 在する態様、すなわち触媒活性金属成分16の 周りに銅酸化物成分18が存在する粒子を用い 態様であり、より具体的には、表面を積極 に修飾して銅酸化物シェルを持たせたもの 、粒子の複合化技術を用いて触媒活性金属 子の周りに銅酸化物を持たせたもの、意図 ず表面が酸化されてできた酸化物皮膜を有 る粒子が使用できる。
(b)触媒活性金属を成分とする粒子と、銅酸化 物を成分とする粒子とを任意の比率で混合し た混合粒子を堆積した層とする態様、すなわ ち触媒活性金属成分を含んでなる粒子20と銅 化物成分を含んでなる粒子22とを混ぜて層 形成した態様である。
(c)触媒活性金属を成分とする粒子が堆積して なる層上に、該層に接して銅酸化物からなる 粒子を含む層を1層以上堆積してなる層とす 態様、すなわち基板24上に触媒活性金属成分 からなる粒子層26を一層設けその上に銅酸化 成分からなる粒子堆積層28を設けた態様で る。
(d)触媒活性金属を含む層上に銅酸化物からな る粒子を含む層を1層以上堆積してなる層と る態様、すなわち基板24上に触媒活性金属成 分の膜30を設け、その上に銅酸化物成分から る粒子堆積層32を設けた態様である。
 さらには、(a)、(b)及び(c)のそれぞれを組み わせた構成でもよい。例えば、(a)及び(b)を み合わせた態様(「(e)の態様」と呼ぶ。)、 なわち、触媒活性金属を成分とする粒子、 酸化物を成分とする粒子、及びコア部が触 活性金属であり、シェル部が銅酸化物であ コア/シェル構造を有する粒子を任意の比率 混合した混合粒子を堆積した層とする態様 挙げられる。

 以下に、上記(a)~(e)の各態様における銅系 粒子含有層の形成方法について説明する。

 前記(a)の態様の銅系粒子含有層は、以下 ようにして得られるコア/シェル粒子を含む 分散液を調製し、該分散液を塗布液として基 板上に塗布し、乾燥することにより形成する ことができる。

~コア/シェル粒子~
 コア部が触媒活性金属で、シェル部が銅酸 物であるコア/シェル粒子は、触媒活性金属 粒子と銅酸化物粒子の複合化、触媒活性金属 粒子上に銅酸化物を析出させる、触媒活性金 属粒子上に銅を析出させた後に銅層を酸化す る、金属銅粒子を作成後その表面を除酸化し て銅酸化物のシェルを形成させることにより 作製することができる。
 特に、コア部の触媒活性金属が銅である場 、すなわちコア部及びシェル部の双方に銅 含まれる場合には、例えば、還元作用を示 ない有機溶剤中に分散させた原料金属化合 (銅化合物)にレーザー光を攪拌下で照射し 作製することができる。また、不活性ガス のプラズマ炎に原料金属化合物(銅化合物)を 導入し、冷却用不活性ガスで急冷して製造す ることもできる。レーザー光を用いて得られ るコア/シェル粒子の特性は、原料銅化合物 種類、原料銅化合物の粒子径、原料銅化合 の量、有機溶剤の種類、レーザー光の波長 レーザー光の出力、レーザー光の照射時間 温度、銅化合物の攪拌状態、有機溶剤中に 入する気体バブリングガスの種類、バブリ グガスの量、添加物などの諸条件を適宜選 することによって制御される。
 以下に詳細について説明する。

A.原料
 原料は銅化合物であって、具体的には、酸 銅・亜酸化銅・硫化銅・オクチル酸銅・塩 銅などを用いることができる。
 なお、原料の大きさは重要であり、同じエ ルギー密度のレーザー光を照射する場合で 、原料の金属化合物粉体の粒径が小さいほ 粒径の小さなコア/シェル粒子が効率よく得 られる。また、形状は真球状、破砕状、板状 、鱗片状、棒状など種々の形状の原料を用い ることができる。

B.レーザー光
 レーザー光の波長は銅化合物の吸収係数が るべく大きくなるような波長とすることが ましいが、ナノサイズの銅微粒子の結晶成 を抑制するためには、熱線としての効果が い短波長のレーザー光を使用することが好 しい。
 例えば、レーザー光は、Nd:YAGレーザー、エ シマレーザー、半導体レーザー、色素レー ーなどを用いることができる。また、高エ ルギーのレーザーを同じ条件で多くの銅化 物に照射するためにはパルス照射が好まし 。

C.有機溶剤(粒子生成時の分散媒)
 粒子生成の際の銅化合物の分散媒に用いる 機溶剤としては、アセトン、メチルエチル トン、γ-ブチロラクトン、シクロヘキサノ などのケトン系溶剤を使用することがナノ イズの粒子を得る際には好ましいが、ジメ ルアセトアミド、N-メチルピロリドン、プ ピレングリコールモノエチルエーテルなど 極性溶剤やトルエン、テトラデカンなどの 化水素系溶剤を用いることもできる。また 1種を単独で又は2種以上を組合わせて使用し てもよい。なお、還元性を示す有機溶剤を用 いると、銅粒子のシェルを形成する酸化皮膜 を還元し、金属が露出することにより、凝集 体を形成するために、粒子の分散安定性を損 なうことになる。従って、還元作用を示さな い有機溶剤を用いることが好ましい。
 なお、以上のコア/シェル粒子の作製手法は 一例であり、本発明はそれに限定されること はない。また、例えば、市販のものがあれば それを用いてもよい。

 本発明において使用されるコア/シェル粒 子は、一次粒子の数平均粒子径が1~1,000nmであ ることが好ましく、1~500nmであることがより ましく、10~100nmであることがさらに好ましい 。

 ここで、コア/シェル粒子を含む分散液を調 製する際に用いる分散媒としては、例えば、 アセトン、メチルエチルケトン、γ-ブチロラ クトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶 剤、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリ ン、プロピレングリコールモノエチルエー ルなどの極性溶剤やトルエン、テトラデカ などの炭化水素系溶剤を用いることができ 。
 分散は、超音波分散機、ビーズミルなどの ディア分散機、ホモミキサーやシルバーソ 攪拌機などのキャビテーション攪拌装置、 ルテマイザーなどの対向衝突法、クレアSS5 どの超薄膜高速回転式分散機、自転公転式 キサなどを用いて行うことができる。

 前記分散液中のコア/シェル粒子の濃度は 、塗布あるいは印刷手法に使用できる粘度、 分散性から主に制約を受け、5~80重量%とする とが好ましく、10~60重量%とすることがより ましく、10~50重量%とすることがさらに好ま い。

 前記(b)の態様の銅系粒子含有層は、触媒活 金属を成分とする粒子と、銅酸化物を成分 する粒子とを任意の比率で混合した分散液 調製し、該分散液を塗布液として基板上に 布し、乾燥することにより形成することが きる。当該分散液の分散媒としては、前記( a)において示した分散媒と同様である。
 なお、触媒活性金属を成分とする粒子とは 触媒活性金属の他に銅酸化物、触媒性を有 ない金属、最終生成物の抵抗を上げない程 の量でかつ導体化する処理反応に関与しな 絶縁性物質を含む粒子を意味し、銅酸化物 成分とする粒子とは、銅酸化物の他に、触 性を有さない金属、最終生成物の抵抗を上 ない程度の量でかつ導体化する処理反応に 与しない絶縁性物質を含む粒子を意味する
 触媒活性金属を成分とする粒子(x)、及び銅 化物を成分とする粒子(y)の混合比率(x:y)と ては、緻密で低抵抗な銅導体膜を得るとい 観点から、100:1~1:100000が好ましく、10:1~1:10000 0 がより好ましく、1:1~1:10000がさらに好まし 。

 前記触媒活性金属は、本態様のように粒 として使用する場合、触媒活性を有する表 積が大きい方が好ましいことから、その数 均一次粒子径は、1~1000nmとすることが好ま く、1~100nmとすることがより好ましい。

 前記(c)の態様の銅系粒子含有層を形成する は、まず、前記触媒活性金属を成分とする 子が堆積してなる層を形成するが、この層 形成する手法としては、例えば、金属粒子 散液の塗布、噴霧や印刷、酸性Pdシーダー 理、アルカリPdシーダー処理、金属粒子の静 電的吸着等が挙げられる。
 金属粒子分散液を塗布して層形成する場合 該分散液中の触媒活性金属粒子の濃度は、0 .01~50重量%とすることが好ましく、0.05~10重量% とすることがより好ましく、0.1~5重量%とする ことがさらに好ましい。
 当該分散液の分散媒としては、前記(a)にお て示した分散媒と同様であり、触媒活性金 を成分とする粒子の数平均粒子径は前記(b) おいて示した数値と同様である。また、当 堆積層の層厚(乾燥後)は、1~500nmとすること 好ましい。

 次いで、形成した触媒活性金属を成分とす 粒子による堆積層上に、銅酸化物の粒子を 散させた分散液を塗布液として塗布し、乾 することで得られる堆積層を1層以上積層す る。当該堆積層を2層以上形成するには、塗 液の塗布・乾燥を繰り返し行えばよい。当 堆積層は、1~10層積層することが好ましい。
 前記分散中の銅酸化物粒子の濃度は、塗布 るいは印刷手法に使用できる粘度、分散性 ら主に制約を受け、5~80重量%とすることが ましく、10~60重量%とすることがより好まし 、10~50重量%とすることがさらに好ましい。 該分散液の分散媒としては、前記(a)におい 示した分散媒と同様である。また、当該堆 層の層厚(乾燥後)は、0.1~100μmとすることが ましい。

 前記(d)の態様の銅系粒子含有層を形成する は、まず、前記触媒活性金属を含む層を形 するが、このような膜を形成する手法とし は、金属箔の貼合せ、蒸着、スパッタリン 、触媒活性金属を含む金属基板の使用、CVD 金属メッキ、金属粉塗布焼結膜が挙げられ 。
 次いで、形成した触媒活性金属を含む層上 、銅酸化物の粒子を分散させた分散液を塗 液として塗布し、乾燥することで得られる 積層を1層以上積層する。当該堆積層を2層 上形成するには、塗布液の塗布・乾燥を繰 返し行えばよい。当該堆積層は、1~10層積層 ることが好ましい。
 なお、銅酸化物の粒子を分散させた分散液 しては、前記(c)で説明した分散液と同様で る。

 前記(e)の態様の銅系粒子含有層は、既述の 媒活性金属を成分とする粒子と、銅酸化物 成分とする粒子と、コア/シェル粒子とを任 意の比率で混合した分散液を調製し、該分散 液を塗布液として基板上に塗布し、乾燥する ことにより形成することができる。当該分散 液の分散媒としては、前記(a)において示した 分散媒と同様である。
 触媒活性金属を成分とする粒子(x)、銅酸化 を成分とする粒子(y)の混合比率(x:y)として 、1:1~1:100000が好ましく、1:1~1:100000がより好 しく、1:10~1:10000 がさらに好ましい。銅酸化 物を成分とする粒子(y)、及びコア/シェル粒 (z)の混合比率(y:z)としては、100:1~1:100が好ま く、50:1~1:10がより好ましく、20:1~1:1がさら 好ましい。

 以上の銅系粒子含有層の層厚は、いずれ 態様においても、0.1~100μmとすることが好ま しく、0.1~80μmとすることがより好ましく、0.1 ~50μmとすることがさらに好ましい。

[基板]
 本発明の銅導体膜は、基板上に形成される とが好ましく、当該基板の材料としては、 体的には、ポリイミド、ポリエチレンナフ タート、ポリエーテルスルホン、ポリエチ ンテレフタレート、ポリアミドイミド、ポ エーテルエーテルケトン、ポリカーボネー 、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、フェノー 樹脂、シアネートエステル樹脂、繊維強化 脂、無機粒子充填樹脂、ポリオレフィン、 リアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポ プロピレン、架橋ポリビニル樹脂、ガラス セラミックス等からなるフィルム、シート 板が挙げられる。
 なお、本発明においては、比較的低温での 結を可能としているため、耐熱性が低い基 を使用することができるなど、使用する基 の制約が少ない。

[処理液]
 以上のように構成された銅系粒子含有層を 理し導体化するための処理液、すなわち本 明の処理液は、銅酸化物成分を銅イオンや 錯体として溶出させる薬剤と、溶出された イオン又は銅錯体を還元し金属上に析出さ る還元剤と、必要に応じてこれらを溶かす 媒とを含む溶液である。当該処理液は、通 は銅イオンを含まない。
 以下に、各成分について詳述する。

(薬剤)
 薬剤としては、銅酸化物をイオン化又は錯 化して溶かすものであればよく、塩基性含 素化合物、塩基性含窒素化合物の塩、無機 、無機酸塩、有機酸、有機酸塩、ルイス酸 ジオキシム、ジチゾン、ヒドロキシキノリ 、EDTA、及びβ-ジケトンからなる群より選択 される少なくとも1種が好ましい。

 以上の薬剤の中でも、還元剤の多くが塩基 で活性となることから、塩基性含窒素化合 が好ましく、特にアミン、アンモニアが好 しく、銅酸化物を溶かす能力が高いことか 、1級アミン、アンモニアがより好ましい。
 また、塩基性含窒素化合物の他の例として 第3級アミンとしては、エチレンジアミン4 酸塩、トリエタノールアミン、トリイソパ ールアミンが好ましい。

 有機酸、有機酸塩としては、カルボン酸 カルボン酸塩が挙げられ、中でも、多価カ ボン酸、多価カルボン酸塩、芳香族カルボ 酸、芳香族カルボン酸塩、ヒドロキシカル ン酸、ヒドロキシカルボン酸塩が好ましく 具体的には、酒石酸、フタル酸、マレイン 、コハク酸、フマル酸、サリチル酸、リン 酸、クエン酸及びこれらの塩などが好まし 。

 ジオキシムとしては、ジメチルグリオキ ムやベンジルジグリオキシム、1,2-シクロヘ キサンジオンジグリオキシムなどがあり、β- ジケトンとしてはアセチルアセトン、アミノ 酢酸としてはグリシンなどのアミノ酸が挙げ られる。

 銅酸化物をイオン化又は錯体化する薬剤 濃度としては、0.001~30mol/Lが好ましく、0.01~1 5mol/Lがより好ましく、0.1~8mol/Lがさらに好ま い。0.001mol/L未満の場合、銅酸化物を十分な 度で溶かすことができないことがある。

(還元剤)
 還元剤は、水素化ホウ素化合物、水素化ア ミニウム化合物、アルキルアミンボラン、 ドラジン化合物、アルデヒド化合物、亜リ 酸化合物、次亜リン酸化合物、アスコルビ 酸、アジピン酸、蟻酸、アルコール、スズ( II)化合物、金属スズ、及びヒドロキシアミン 類からなる群より選択される少なくとも1種 好適に使用でき、特に、ジメチルアミンボ ン(DMAB)、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、 スコルビン酸等が好ましく、その他クエン 等も好適に使用できる。

 処理液に用いる還元剤の濃度としては、0 .001~30mol/Lが好ましく、0.01~15mol/がより好まし 、0.01~10mol/Lがさらに好ましい。還元剤濃度 0.001mol/L未満の場合、十分な速度で金属銅が 生成しないことがある。

 また、銅酸化物をイオン化又は錯体化す 薬剤の濃度と還元剤の濃度のモル比が5,000 上では溶液中に遊離する銅イオン濃度が高 なり粒子堆積部以外への銅の析出が生じる め好ましくない。

 溶媒としては、上記の溶解剤、還元剤及び イオン又は銅錯体を溶かす必要から高極性 溶媒が好ましく、具体的には水、グリセリ 、ホルムアミドを用いることができる。
 本発明の処理は室温で進行するが、反応の 速、減速、生成する銅膜の状態を変える必 に応じて加熱又は冷却してもよい。また銅 の均質性や反応速度、反応時の発泡を制御 るため添加物の添加、攪拌や基板の動揺、 音波の付加を行ってもよい。

<処理液による処理>
 本発明においては、既述のようにして形成 た銅系粒子含有層に対し、処理液を用いて 理する。具体的には、処理液が満たされた 器中に、銅系粒子含有層が形成された基板 浸漬することや、あるいは銅系粒子含有層 処理液を連続的に噴霧する、など挙げられ 。いずれの場合であっても、銅系粒子含有 中の銅酸化物は処理液中の薬剤によりイオ 化又は錯体化され、次いで還元剤により金 銅に還元され、粒子間を金属銅で埋めるこ ができ、緻密な銅導体膜が形成される。

 処理液による処理時間は処理液の濃度や 度によって異なるから適宜設定するが、例 ば、処理時間は0.5~6時間とし、温度は室温 ら90℃とすることができる。

 銅導体膜が形成された基板は、超純水等に らした後、風乾、ホットプレート、温風乾 、オーブン等により乾燥する。この際、乾 しやすくするために、アセトン、メタノー 、エタノール等をかけて、水を溶媒に置換 た後乾燥してもよい。
 以上のようにして銅導体膜を製造すること できる。

<パターニングされた銅導体配線>
 本発明のパターニングされた銅導体配線は 還元剤に対して触媒活性を有する金属と、 酸化物とを共に含有してなる銅系粒子含有 が印刷によりパターニングされており、そ パターニングされた銅系粒子含有層を一つ 溶液中に銅酸化物をイオン化又は錯体化す 薬剤と、銅イオン又は銅錯体を還元し金属 にする還元剤を共に含む処理液を用いた処 方法により処理して得られることを特徴と ている。
 すなわち、本発明のパターニングされた銅 体配線は、本発明の銅導体膜において説明 た銅系粒子含有層の形成に際し、銅系粒子 有層形成用の塗布液を配線パターン様に基 上に印刷して配線パターンとなる層を形成 、その配線パターンに対し、処理液を用い 処理し導体化するのである。

 前記銅系粒子含有層のパターニングに用 る印刷法は、インクジェット、スクリーン 刷、転写印刷、オフセット印刷、ジェット リンティング法、ディスペンサ、カンマコ タ、スリットコータ、ダイコータ、及びグ ビアコータからなる群より選択されるいず 2種を採用することが好ましい。

 本発明においては、銅系粒子含有層を印 してパターンを形成するため、銅系粒子含 層の形成に使用する塗布液(分散液)に使用 る銅酸化物粒子などの各粒子の分散時の数 均粒子径は、配線の微細化や各印刷装置へ 適用を考慮し、500nm以下のものを用いること が好ましい。

 また、前記塗布液中の前記粒子の濃度は 1~70重量%とすることが好ましく、 10~60重量% とすることがより好ましく、10~50重量%とする ことがさらに好ましい。

 本発明のパターニングされた銅導体配線に いて使用される基板の材質として、具体的 は、ポリイミド、ポリエチレンナフタレー 、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテ フタレート、ポリアミドイミド、ポリエー ルエーテルケトン、ポリカーボネート、液 ポリマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂 シアネートエステル樹脂、繊維強化樹脂、 リオレフィン、ポリアミド、ポリフェニレ スルフィド等が挙げられる。
 なお、本発明の製造方法は、高温を要する 結などの工程がないため、耐熱性はそれほ 考慮せずに基板を選定することができる。

 以上のようにして配線パターンを描画し 後は、既述の本発明の銅導体膜の製造方法 同様に処理をする。すなわち、必要に応じ 乾燥させた後、形成された配線パターンに し、既述の処理液によって処理を施す。す と、既述の銅導体膜の製造方法と同様に、 系粒子含有層において金属銅が析出し導体 し、しかも、粒子間や層の深部においても 属銅が析出するため、緻密な銅の導体配線 得られる。従って、原理的には既述の本発 の銅導体膜が緻密で低抵抗であるのと同様 、本発明のパターニングされた銅導体配線 緻密で低抵抗な配線である。

<導電性基板及びその製造方法>
 本発明の導電性基板の製造方法は、第1の態 様によると、基板上に、還元剤に対して触媒 活性を有する金属を含む層を形成する工程と 、該層上に、コア部が銅であり、シェル部が 銅酸化物であるコア/シェル構造を有する粒 と、銅酸化物からなる粒子とを含有する銅 子層を形成する工程と、前記銅粒子層に対 、銅酸化物をイオン化又は錯体化し得る薬 と、銅イオン又は銅錯体を還元して金属銅 する還元剤とを含む処理液を用いて処理す 工程と、を含むことを特徴としている。
 本態様の導電性基板の製造方法では、所望 領域以外への銅の析出を抑えつつ、導電層 抵抗率が低い導電性基板を製造することが きる。
 以下に、本発明の導電性基板の製造方法(第 1の態様)の各工程について説明する。

<基板上に金属を含む層を形成する工程>
 本工程においては、基板上に、還元剤に対 て触媒活性を有する金属を含む層(以下、「 金属蒔種層」と称する。)を形成する。

[基板]
 使用し得る基板としては、既述の本発明の 導体膜の説明において示した基板と同様で る。また、本発明の銅導体膜と同様に、本 明の製造方法は、それ以上の高温を要する 結の工程がないため、耐熱性はそれほど考 せずに基板を選定することができる。

[還元剤に対して触媒活性を有する金属]
 還元剤に対する触媒活性を有する金属とし は、既述の本発明の銅導体膜の説明におい 示した触媒活性金属と同様である。
 また、基板上に金属蒔種層を形成する手法 しては、既述の本発明の銅導体膜の説明中 (c)の態様で示した手法と同様である。

<銅粒子層を形成する工程>
 形成した金属蒔種層上に、コア部が銅であ 、シェル部が銅酸化物であるコア/シェル構 造を有する粒子と、銅酸化物からなる粒子と を含有する銅粒子層を形成する。以下にまず 、銅/銅酸化物コアシェル粒子について説明 る。

[銅/銅酸化物コアシェル粒子]
 コア部が銅であり、シェル部が銅酸化物で るコア/シェル構造を有する粒子(以下、「 /銅酸化物コアシェル粒子」と称する。)は、 既述の本発明の銅導体膜の説明中に示したコ ア/シェル粒子のおいてコア部が銅の場合と 様であり、好ましい形態も同様である。

[銅酸化物粒子]
 銅酸化物からなる粒子(以下、「銅酸化物粒 子」と称する。)としては、既述の本発明の 導体膜の説明において示した銅酸化物粒子 同様であり、好ましい形態も同様である。

[分散媒]
 銅粒子層は、前記粒子を分散媒に分散させ 分散液を調製し、該分散液を塗布液として 板などに塗布し塗膜を形成することができ 。ここで、前記粒子を含有する分散液を調 する際に用いる分散媒としては、例えば、 セトン、メチルエチルケトン、γ-ブチロラ トン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶 、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリ ン、プロピレングリコールモノエチルエー ルなどの極性溶剤やトルエン、テトラデカ などの炭化水素系溶剤を用いることができ 。

 前記粒子の分散は、超音波分散機、ビー ミルなどのメディア分散機、ホモミキサー シルバーソン攪拌機などのキャビテーショ 攪拌装置、アルテマイザーなどの対向衝突 、クレアSS5などの超薄膜高速回転式分散機 自転公転式ミキサなどを用いて行うことが きる。

 前記分散液中の前記全粒子の濃度は、分散 の印刷あるいは塗布方法に適切な粘度の点 ら1~70重量%とすることが好ましく、5~60重量% とすることがより好ましく、10~50重量%とする ことがさらに好ましい。
 また、銅/銅酸化物コアシェル粒子(x)と銅酸 化物粒子(y)との重量比率(x/y)は、銅酸化物か の銅イオンの供給と銅コアへの銅の析出の ランスのため、1/1~1/19とすることが好まし 、1/1~1/15とすることがより好ましく、1/1~1/10 することがさらに好ましい。

〈銅粒子層の形成〉
 銅粒子層の形成は、銅/銅酸化物コアシェル 粒子及び銅酸化物粒子を含む既述の分散液を 塗布液として基板表面に塗布し、得られた塗 膜を乾燥することにより行うことができる。 塗布液の塗布は、バーコーター、カンマコー タ、ダイコータ、スリットコータ、グラビア コータなどを用いて行うことができる。塗布 膜厚は、0.01~100μmとすることが好ましく、0.1~ 50μmとすることがより好ましく、0.1~20μmとす ことがさらに好ましい。塗布膜の乾燥は、 えば、ホットプレート、オーブン、赤外線 熱、マイクロ波加熱等により、50~200℃で、5 ~30分間載置することにより行うことができる 。その他、周知の乾燥手段により乾燥するこ ともできる。この際、銅/銅酸化物コアシェ 粒子は表面が銅酸化物であるため金属銅粒 のように酸素を除いた雰囲気で乾燥する必 はない。

<処理液による処理>
 次いで、形成した銅粒子層を処理液によっ 処理して、金属銅を析出させ、銅粒子層を 体化する。処理液については、既述の本発 の銅導体膜の説明において示した処理液と じであり、好ましい形態も同様である。

〈処理液による処理〉
 前記処理液に用いて、既述の本発明の銅導 膜の説明において示した処理液による処理 よる処理と同様にして銅粒子層を処理する
 ここで、本発明においては、銅粒子層を処 液によって処理し、金属銅を析出させ導体 するが、このとき、基板上に蒔種した金属 子を核として銅の析出が生じるため、銅粒 層の深部に銅が析出し、緻密な銅導体膜が られる。また、銅粒子層に混ぜた金属銅の アからも銅の析出が生じて未反応銅粒子の 定と、基板の金属粒子処理のみでは溶液中 拡散する余剰の銅イオンが銅コア上からの 出で消費されるため、銅粒子層のみに金属 が析出し、それ以外の領域に銅が析出する とがない。従って、抵抗率が低く、所望の 域以外に銅が析出することなく導電性基板 製造することができる。

<導電性基板>
 本発明の導電性基板は、上記本発明の導電 基板の製造方法(第1の態様)により製造され 。従って、深層部まで緻密な銅から形成さ ているため抵抗率が低く、しかも厚膜化し 場合であっても深層部まで緻密な状態であ 。

<銅導体配線の製造方法>
 次に、本発明の銅導体配線の製造方法につ て説明する。
 本発明の銅導体配線の製造方法は、第1の態 様によると、基板上に、還元剤に対して触媒 活性を有する金属を含む層を形成する工程と 、該層上に、コア部が銅であり、シェル部が 銅酸化物であるコア/シェル構造を有する粒 と、銅酸化物からなる粒子とを含有する塗 液を用いて任意の配線パターンを描画する 程と、描画した塗布液による配線パターン 対し、銅酸化物をイオン化又は錯体化し得 薬剤と、銅イオン又は銅錯体を還元して金 銅とする還元剤とを含む処理液を用いて処 する工程と、を含むことを特徴とする。
 なお、本発明の銅導体配線の製造方法にお ては、銅/銅酸化物コアシェル粒子と、銅酸 化物からなる粒子とを含有する塗布液を用い て配線パターンを描画する点、及び使用し得 る基板において既述の本発明の銅導体膜の製 造方法(第1の態様)と異なり、それ以外の構成 は実質的に同じである。従って、以下に当該 相違点についてのみ説明する。

[塗布液]
 銅/銅酸化物コアシェル粒子と、銅酸化物粒 子とを含む塗布液は、これらの粒子を既述の 分散媒に分散させることにより得ることがで きる。これらの粒子は、既述の本発明の導電 性基板の製造方法(第1の態様)において使用す る銅/銅酸化物コアシェル粒子、銅酸化物粒 と同様であるが、粒子の分散時の数平均粒 径は、配線の微細化や後述する各塗布装置 の適用を考慮し、500nm以下のものを用いるこ とが好ましい。
 また、前記塗布液中の前記粒子の濃度は、1 ~70重量%とすることが好ましく、10~60重量%と ることがより好ましく、10~50重量%とするこ がさらに好ましい。使用する銅/銅酸化物コ シェル粒子と、銅酸化物粒子との混合比(重 量比)は既述の本発明の導電性基板の製造方 (第1の態様)と同様である。

 本発明の銅導体配線の製造方法(第1の態様) おいて使用される基板の材質として、具体 には、ポリイミド、ポリエチレンナフタレ ト、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン レフタレート、ポリアミドイミド、ポリエ テルエーテルケトン、ポリカーボネート、 晶ポリマー、エポキシ樹脂、フェノール樹 、シアネートエステル樹脂、繊維強化樹脂 ポリオレフィン、ポリアミド、ポリフェニ ンスルフィド等が挙げられる。
 なお、本発明の製造方法は、高温を要する 結などの工程がないため、耐熱性はそれほ 考慮せずに基板を選定することができる。

〈配線パターンの描画〉
 前記塗布液を用い、基板上に任意の配線パ ーンを描画する手法としては、従来からイ クを塗布するのに用いられている印刷ある は塗工を利用することができる。配線パタ ンを描画するには、前記塗布液を用い、ス リーン印刷、ジェットプリンティング法、 ンクジェット印刷、転写印刷、オフセット 刷、ディスペンサを用いることができる。

 前記塗布液を用い、配線パターンの描画 終えた後、分散媒の揮発性にあわせた温度 乾燥を行う。この際、表面が銅酸化物であ ため金属銅粒子のように酸素を除いた雰囲 で乾燥する必要はない。

 以上のようにして配線パターンを描画し 後の処理は、既述の本発明の銅導体膜の製 方法(第1の態様)と同様である。すなわち、 要に応じて乾燥させた後、形成された配線 ターンに対し、既述の処理液によって処理 施す。すると、既述の銅導体膜の製造方法( 第1の態様)と同様に、銅粒子層において金属 が析出し導体化する。しかも、銅粒子層の 部においても金属銅が析出するため、緻密 銅の導体配線が得られる。

<銅導体配線>
 本発明の銅導体配線は、第1の態様によると 、上記本発明の銅導体配線(第1の態様)の製造 方法により製造される。従って、各銅配線が 中心部まで緻密な銅から形成されているため 抵抗率が低い。

 本発明の導電性基板の製造方法は、第2の態 様によると、コア部が銅であり、シェル部が 銅酸化物であるコア/シェル構造を有する粒 を含む塗布液を基板上に塗布し塗膜を形成 る工程と、形成した塗膜に対し、該塗膜の 層部から基板側にかけて銅酸化物成分の分 が漸減するように酸化処理を施す工程と、 化処理を施した塗膜に対し、銅酸化物をイ ン化又は錯体化し得る薬剤と、銅イオン又 銅錯体を還元して金属銅とする還元剤とを む処理液を用いて処理する工程と、を有す ことを特徴とする。
 本態様の導電性基板の製造方法では、銅導 膜を厚膜化及び緻密化することができ、か 低抵抗化を実現し得る導電性基板を製造す ことができる。
 以下に、本発明の導電性基板の製造方法(第 2の態様)の構成要素について順次説明する。

[銅/銅酸化物コアシェル粒子]
 コア部が銅であり、シェル部が銅酸化物で るコア/シェル構造を有する粒子(以下、「 /銅酸化物コアシェル粒子」と称する。)は、 既述の本発明の銅導体膜の説明中に示したコ ア/シェル粒子のおいてコア部が銅の場合と 様であり、好ましい形態も同様である。

[分散媒]
 本発明の導電性基板の製造方法(第2の態様) おいて、前記粒子を分散媒に分散させた分 液を調製し、該分散液を塗布液として基板 どに塗布し塗膜を形成する。ここで、前記 子を含有する分散液を調製する際に用いる 散媒としては、既述の本発明の導電性基板 製造方法(第1の態様)の説明において示した 散媒と同様の分散媒を使用することができ 分散に用いる分散機、分散液中の粒子濃度 第1の態様と同様である。

[基板]
 本発明の導電性基板の製造方法(第2の態様) おいて使用される基板としては、既述の本 明の銅導体膜の説明において示した基板と 様である。
 なお、本発明の製造方法(第2の態様)は、後 する酸化処理時の加熱に耐え得る基板であ ばよく、それ以上の高温を要する焼結の工 がないため、耐熱性はそれほど考慮せずに 板を選定することができる。

[処理液]
 塗膜を処理し導体化するための処理液は、 述の本発明の銅導体膜の説明において示し 処理液と同じである。

 次に、本発明の導電性基板の製造方法の 順、及び各工程における操作の詳細につい 順次説明する。

〈塗膜の成膜〉
 塗膜の成膜は、銅/銅酸化物コアシェル粒子 を含む既述の分散液を塗布液として基板表面 に塗布し、得られた塗膜を乾燥することによ り行うことができる。塗布液の塗布は、バー コーター、カンマコータ、ダイコータ、スリ ットコータ、グラビアコータなどを用いて行 うことができる。塗布膜厚は、0.01~100μmとす ことが好ましく、0.1~50μmとすることがより ましく、1~10μmとすることがさらに好ましい 。塗布膜の乾燥は、例えば、ホットプレート 、オーブン、赤外線加熱等により、20~300℃で 、1~30分間載置することにより行うことがで る。その他、周知の乾燥手段により乾燥す こともできる。この際、銅/銅酸化物コアシ ル粒子は表面が銅酸化物であるため金属銅 子のように酸素を除いた雰囲気で乾燥する 要はない。

〈酸化処理〉
 次いで、乾燥した塗膜に対し酸化処理を行 が、当該酸化処理は、塗膜の表層部から基 側にかけて銅酸化物成分の分布が漸減する 態となるように行う。
 当該酸化処理の手法としては、例えば、空 中において所定の温度で加熱する、オゾン 理をする、酸化剤を含む溶液に浸漬する、 どの手法が挙げられる。空気中で塗膜を加 すれば、通常は表層部から酸化が始まり、 時的に深層部(基板側)に向けて進行するが 途中で加熱を止めて冷却したり、酸素を遮 したりすれば、酸化の進行はそこで停止し 表層部近傍のみが酸化された状態、又は表 部から基板側にかけて銅酸化物成分の分布 漸減する状態とすることができる。
 空気中において加熱する場合における温度 しては、室温~800℃が好ましく、60~300℃がよ り好ましく、100~250℃がさらに好ましい。ま 、加熱時間は,1~1200分とすることが好ましく 5~120分とすることがより好ましく、5~60分と ることがさらに好ましい。もっとも、加熱 度と加熱時間は、使用した粒子の一次粒径 ,塗膜における酸化された部分の範囲や、塗 膜の厚み等により変動するため、適宜設定す ることができる。
 なお、加熱により酸化処理を施す場合には 上述した塗膜の乾燥も同時に行うことがで るため、乾燥の工程を別途単独で設ける必 はない。

〈処理液による処理〉
 酸化処理後の塗膜を、既述の処理液に用い 処理する。具体的には、処理液が満たされ 容器に酸化処理後の塗膜が形成された基板 浸漬させることや、処理液を噴霧する、な が挙げられる。

 処理液による処理時間は処理液の濃度や 度によって異なるから適宜設定するが、例 ば、0.1~24時間とすることができる。また、 理液の温度は、室温~100℃とすることが好ま しい。

 ここで、前記塗膜に対する酸化処理の工程 ら処理液による処理の工程について説明す 。
 本発明においては、銅/銅酸化物コアシェル 粒子を含む塗膜に対し、既述のように、表層 部に対して部分的に酸化処理を施しているが 、この状態では、銅酸化物成分は塗膜の表層 部に最も多く分布し、基板側ほど少なくなっ ている。具体的には、深層部よりも表層部の 方が、銅/銅酸化物コアシェル粒子のシェル (銅酸化物)が厚い粒子が多く分布している。 そして、このような塗膜に対し、前記処理液 を用いて処理すると、まず、処理液中の薬剤 により銅酸化物がイオン化又は錯体化されて 溶出するが、塗膜の表層部よりも深層部の方 がシェル部(銅酸化物)の厚い粒子の分布が少 く、深層部に存在する銅/銅酸化物コアシェ ル粒子の方が先に銅のコアを外部に露出する ようになる。
 ここで、一般に、銅イオンを還元して銅に すプロセスは金属表面でその触媒作用を受 て進行し、その金属表面に銅が析出する。 のプロセスは銅酸化物のみの部分ではほと ど進行せず銅が析出しない。
 従って、上述のように深層部において金属 る銅のコアが露出すれば、選択的にその銅 コア表面において銅イオンなどが還元され 銅の析出が進行する。つまり、深層部から の析出が始まって全体に広がっていくため 全体として緻密な銅導体膜を形成すること できる。しかも、厚膜化した場合であって 、処理液が深層部にまで浸透することがで るため、緻密な状態とすることができる。

 銅導体膜が形成された基板は、超純水等に らした後、風乾,ホットプレート,温風乾燥 ,恒温槽,乾燥窒素気流,乾燥空気気流,赤外線 熱,電磁波加熱等により乾燥する。この際, 燥しやすくするためにアセトン、メタノー ,エタノール,メチルエチルケトン等をかけて ,水を溶媒に置換した後乾燥してもよい。
 以上のようにして、低抵抗の導電性基板を 造することができる。

<導電性基板>
 本発明の導電性基板は、第2の態様によると 、上記本発明の導電性基板の製造方法により 製造される。従って、深層部まで緻密な銅か ら形成されているため抵抗率が低く、しかも 厚膜化した場合であっても深層部まで緻密な 状態である。また,緻密な銅で形成されるた ,空気中での酸化や水分などによる腐食を受 にくい。

<銅導体配線の製造方法>
 次に、本発明の銅導体配線の製造方法につ て説明する。
 本発明の銅導体配線の製造方法は、第2の態 様によると、基板上に、コア部が銅であり、 シェル部が銅酸化物であるコア/シェル構造 有する粒子を含む塗布液を用いて任意の配 パターンを描画する工程と、描画した塗布 による配線パターンに対して、該配線パタ ンの表層部から基板側にかけて銅酸化物成 の分布が漸減するように酸化処理を施す工 と、酸化処理を施した配線パターンに対し 銅酸化物をイオン化又は錯体化し得る薬剤 、銅イオン又は銅錯体を還元して金属銅と る還元剤とを含む処理液を用いて処理する 程と、を含むことを特徴としている。
 なお、本発明の銅導体配線の製造方法(第2 態様)においては、銅/銅酸化物コアシェル粒 子を含む塗布液を用いて配線パターンを描画 する点、及び使用し得る基板において既述の 本発明の導電性基板の製造方法(第2の態様)と 異なり、それ以外の構成は実質的に同じであ る。従って、以下に当該相違点についてのみ 説明する。

[塗布液]
 銅/銅酸化物コアシェル粒子を含む塗布液は 、当該粒子を既述の分散媒に分散させること により得ることができる。当該粒子は、既述 の本発明の導電性基板の製造方法において使 用する銅/銅酸化物コアシェル粒子と同様で るが、粒子の数平均一次粒子径は、配線の 細化や後述する各塗布装置への適用を考慮 、500nm以下のものを用いることが好ましい。
 また、前記塗布液中の前記粒子の濃度は、1 ~70重量%とすることが好ましく、5~60重量%とす ることがより好ましく、10~50重量%とすること がさらに好ましい。

 本発明の銅導体配線の製造方法において 用される基板の材質としては、既述の本発 の銅導体配線の製造方法の説明において示 た基板と同様である。

〈配線パターンの描画〉
 前記塗布液を用い、基板上に任意の配線パ ーンを描画する手法としては、既述の本発 の銅導体配線の製造方法(第1の態様)の説明 おいて示した描画手法と同様である。

 以上のようにして配線パターンを描画し 後の処理は、既述の本発明の導電性基板の 造方法と同様である。すなわち、必要に応 て乾燥させた後、酸化処理を施し、その後 形成された配線パターンに対し、既述の処 液によって処理を施す。すると、既述の導 性基板の製造方法と同様に、配線パターン 深層部の銅/銅酸化物コアシェル粒子の銅酸 化物コアが還元されて金属銅が露出して、そ の金属銅から銅の析出が始まり全体に広がり 、緻密な銅導体配線が得られる。

<銅導体配線>
 本発明の銅導体配線は、上記本発明の銅導 配線の製造方法により製造される。従って 各銅配線が中心部まで緻密な銅から形成さ ているため抵抗率が低い。

 以下、実施例により本発明を説明する。
[実施例1]
 銅ナノ粒子を堆積した基板として、図4の銅 パターンを有するポリイミド基板(MCF-5000I、 立化成工業(株)製、商品名)上に、溶液中レ ザーアブレーション法で作製した銅ナノ粒 (試作品、福田金属工業(株)製)5mass%のγ-ブチ ラクトン分散液をアプリケータにより塗布 、窒素雰囲気下100℃、乾燥を3度繰り返して 得た銅ナノ粒子の堆積膜(銅系粒子含有層)を する基板を用いた。
 本粒子はオージェ分光法、STEM-EDX観察から 属銅の周りに銅酸化物層があるコア・シェ 構造を有することが分かっている。

 処理液は表1の1に従って秤量し溶液とし 。シャーレの底部に銅ナノ粒子堆積膜を有 る基板を置き、端にガラスの小片を乗せて 板が浮かないようにして、処理液を注いで 体化処理を行った(図5)。図5において、(A)は 反応前の銅ナノ粒子塗布基板を示し、(B)は 反応中の様子(1時間後)を示し、(C)は、反応5 時間後の様子を示す。室温(20℃)で処理を行 た結果、当初〔図5(A)〕では黒色であった銅 ノ粒子の堆積膜は発泡を伴って徐々に銅色 と変化し〔図5(B)〕、5時間後には鮮やかな 光沢を示した〔図5(C)〕。なお、図はいずれ 白黒ではあるが、実際には上記のような色 なっている。

 図5に示すように比較例3とは異なり、溶 の着色や銅酸化物ナノ粒子の堆積部分以外 の銅の析出は見られず粒子堆積部のみが選 的に金属銅膜(銅導体膜)となった。5時間処 後、基板を純水で洗浄した後、室温で風乾 た。

 その後、図4の同心円上の銅パターンの中心 と外周の銅パターン間をテスター(CD800a、三 電気計器(株)製)で抵抗を測定して導通を確 した。その結果、同心円状の銅パターンの ャップが1mm、2mm及び5mmおいて、それぞれ2.0ω 、2.1ω及び1.0ωと低い抵抗を示した。この処 後の金属銅膜(銅導体膜)をFIB/SIMSによりトレ チ加工し断面を観察したところ、膜厚は8μm mであった。この膜厚を用いて計算した体積 抗はそれぞれ2.0×10 -5 ω・m、2.1×10 -5 ω・m及び1.1×10 -5 ω・mであった。

[実施例2]
 実施例1で用いた銅ナノ粒子の堆積膜(銅系 子含有層)を有する基板を配合表(表1の2)に従 って調製した、2,2’ビピリジルとEDTAを含ま い導体化処理液(処理液)により、実施例1と 様に処理を行った。その結果、同心円状の パターンのギャップが1mm、2mm及び5mmおいて それぞれ25ω、28ω及び238ωと高い導電性を示 た。

[実施例3]
 実施例1で用いた銅ナノ粒子の堆積膜(銅系 子含有層)を有する基板を配合表(表1の3)に従 って調製した、アンモニアではなくエチレン ジアミンを用いた導体化処理液(処理液)によ 、実施例1と同様に処理を行った。その結果 、同心円状の銅パターンのギャップが1mm、2mm 及び5mmおいて、それぞれ9.8Mω、∞及び131ωと 電性を示した。

[実施例4]
 実施例1で用いた銅ナノ粒子の堆積膜(銅系 子含有層)を有する基板を配合表(表1の4)に従 って調製した、アンモニアではなくn-ブチル ミンを用いた導体化処理液(処理液)により 実施例1と同様に処理を行った。その結果、 心円状の銅パターンのギャップが1mm、2mm及 5mmおいて、それぞれ1.7Mω、1.5kω及び∞と導 性を示した。

[実施例5]
 実施例1の銅ナノ粒子と銅酸化物ナノ粒子( ノテックCuO、シーアイ化成(株)製)を粒子の 量で、1:1で混ぜた分散液を実施例1と同様の 法で基板に塗布し、配合表(表1の1)に従って 調製した導体化処理液(処理液)により、実施 1と同様に処理を行った。
 その結果、同心円状の銅パターンのギャッ が1mm、2mm及び5mmおいて、抵抗を4探針法微小 抵抗測定装置(LorestaMCP-T610、三菱化学(株)製) 測定した結果、それぞれ0.17ω、0.99ω及び0.9ω と高い導電性を示した。
 図6に、実施例2~5の還元後の外観を示す。図 6において、(A)は実施例2を示し、(B)は実施例3 を示し、(C)は実施例4を示し、(D)は実施例5を す。

[実施例6]
 銅/銅酸化物コアシェル粒子(平均粒径41nm)、 日清エンジニアリング製)をγ-ブチロラクト に懸濁し超音波洗浄機で20分処理して調製し た10mass%分散液を実施例1と同様に基板に塗布 乾燥した後、実施例1と同様に処理を行った 。その結果、同心円状の銅パターンのギャッ プが1mm、2mm及び5mmおいて、それぞれ0.9ω、1.2 及び26ωと高い導電性を示した。

[実施例7]
 銅ナノ粒子の30mass%トルエン分散液(CulT、ア バック社製)を実施例1と同様に基板に塗布 、実施例1と同様に処理を行った。その結果 同心円状の銅パターンのギャップが1mm、2mm び5mmおいて、それぞれ5.2kω、107ω及び11ωと 電性を示した。

 以上の実施例1~7の銅導体膜の詳細を表2に 示す。

[実施例8]
 実施例1で用いている基板を酸性パラジウム シーダ溶液(日立化成工業(株)製、商品名:PD301  250g/L、日立化成工業(株)製、商品名:HS202B 30 mL/L)に室温で10分間浸漬後、1M硫酸水溶液で1 間処理した後室温で乾燥し、基板表面にPd粒 子を蒔種した基板を得た。

 この基板に酸化銅ナノ粒子(ナノテックCuO、 シーアイ化成製、商品名)10mass%のγ-ブチロラ トン分散液を実施例1と同様に基板に塗布し 、配合表(表1の1)に従って調製した導体化処 液(処理液)により、実施例1と同様に処理を った。
 処理液による処理中~処理後の基板の様子を 図7に示す。図7において、(A)は、反応開始直 の様子を示し、(B)は、反応停止時を示し、( C)は、表面をピンセットで削った様子を示す
 図7(A)及び図7(B)に見られるように処理の間 比較例3とは異なり、溶液の着色や酸化銅ナ 粒子堆積部分以外への銅の析出は見られな った。処理の結果、粒子堆積部分の表面は やの無いくすんだ銅色をしているが、尖っ ピンセットなどで表面を削ると銅光沢が見 れ、深部まで金属銅になっていることが確 できた〔図7(C)〕。

 同心円状の銅パターンのギャップが2mm及び5 mmおいて、抵抗を4探針法微小抵抗測定装置(Lo resta MCP-T610、三菱化学(株)製、商品名)で測定 した結果、それぞれ0.035ω及び0.171ωであった この処理後の粒子堆積層をFIB/SIMSによりト ンチ加工し断面を観察したところ、膜厚は2 mであった。この膜厚を用いて計算した体積 抗はそれぞれ8.9×10 -8 ω・cm及び4.5×10 -7 ω・cmと高い導電性を示した。

[実施例9]
 実施例1で用いた銅ナノ粒子の12mass%分散液 インクジェット印刷装置でインクジェット 刷を行い、銅ナノ粒子塗布膜を矩形にパタ ンニングした試料を得た。図8(A)は、インク ェット印刷された銅ナノ粒子の外観を示す この、インクジェット印刷法により作製さ た銅粒子塗布基板を実施例1と同様の方法で 3時間処理した結果、処理前は黒色であった 子塗布物は銅色となった。図8(B)は、反応中( 10分後)の様子を示し、(C)は反応終了後の様子 を示す。

 処理後の粒子塗布基板において銅箔電極 の抵抗をテスター(CD800a、三和電気計器(株) 、商品名)で測ったところ、間隔5mmと20mmそ ぞれにおいて12Mω及び28Mωであった。なお還 前の測定では、電極間の抵抗はいずれも測 限界以上、すなわち導通は無かった。なお 図はいずれも白黒ではあるが、実際には上 のような色になっている。

[比較例1]
 実施例1と同様の銅ナノ粒子の堆積膜を有す る基板をアミン成分の無いジメチルアミンボ ランのみの水溶液(0.1mol/L)で処理を行った。 理中の溶液は、透明のまま進行した実施例1 場合と異なり茶褐色に着色した。その様子 図9(A)に示す。処理の結果、同心円状の1mm、 2mm及び5mmのギャップを有するすべての銅パタ ーン間で、導通が見られなかった。

[比較例2]
 実施例1と同様の銅ナノ粒子の堆積膜を有す る基板に対し、還元剤のジメチルアミンボラ ンを含まないアンモニア、ビピリジル、EDTA 水溶液で処理を行った。処理中の溶液は、 明のまま進行した実施例1の場合と異なり青 に着色し、酸化銅が銅アンミン錯体として 液中に溶け出した。着色した様子を図9(B)に 示す。処理の結果、処理基板は黒色のまま変 化せず、同心円状の1mm、2mm及び5mmのギャップ を有するすべての銅パターン間で、導通が見 られなかった。

[比較例3]
 酸化銅ナノ粒子(ナノテックCuO、シーアイ化 成(株)製、商品名)10mass%のγ-ブチロラクトン 散液を実施例1同様に基板に塗布し、配合表( 表1の1)に従って調製した導体化処理液により 、実施例1と同様に処理を行った。処理の結 、処理基板に塗布した酸化銅粒子は大半が 失し、銅が銅パターン上やガラスの器壁に 出した。その様子を図9(C)に示す。同心円状 1mm、2mm及び5mmのギャップを有するすべての パターン間で、導電性が見られなかった。

[比較例4]
 実施例1で得た銅ナノ粒子の堆積膜(銅系粒 含有層)を有する基板を用い、処理液による 理の代わりに、水素下、1気圧、200℃におい て、1時間加熱処理し導体化を試みた。その 果、同心円状の銅パターンのギャップが1mm 2mmにおいて、導通は見られなかった。

[比較例5]
 実施例5で得た銅ナノ粒子の堆積膜(銅系粒 含有層)を有する基板を用い、比較例4と同様 に処理した。その結果,同心円状の銅パター のギャップが1mm、2mmにおいてそれぞれ、2.3  × 10 7  ωおよび導通なしであった。

 実施例1~7においては、表1に示すように、い ずれも処理液中に銅酸化物をイオン化又は錯 体化する薬剤及び還元剤を含むことで、銅酸 化物が最終的に銅に還元され、その銅が銅粒 子の間隙を埋めるという効果が得られ、低抵 抗を示しているが、比較例1は還元剤を含む 薬剤は含まず、比較例2は薬剤を含むが還元 を含まず、いずれの比較例も欠落した成分 作用がなく、金属銅の生成にまで至らなか た。
 また、実施例1~7においてはいずれも触媒活 金属を使用しており、還元された銅の析出 触媒活性金属の周囲で選択的に起きたこと ら、塗布層でのみ銅の析出が見られた。こ に対し、比較例3においては触媒活性金属を 使用していないため、酸化銅を含む塗布層の 大半が溶質するとともに、塗布層以外への銅 の析出が見られた。
 一方、焼結による導体化を試みた比較例4及 び5においては、高抵抗あるいは導通が見ら ず、導電性に問題があった。

[実施例10]
(Pdシーダー蒔種基板の作製~銅粒子層の形成)
 まず、図4に示す銅箔(F0WS、古河電工製)パタ ーン(図4においてハッチング部分)を有するエ ポキシ基板(MCL-679FB、日立化成工業製)10を、 性パラジウムシーダ溶液(HS202B(日立化成工業 製)とPD301(日立化成工業製)の水溶液)に25℃5分 間浸漬した後、密着促進処理剤(ADP601、日立 成工業製)の水溶液に5分間浸漬して基板上に Pd粒子を蒔種した(金属蒔種層)。銅/銅酸化物 アシェル粒子(数平均粒径41nm、日清エンジ アリング製)と銅酸化物ナノ粒子(数平均粒径 50nm、シーアイ化成製)を重量比で1:9で混合し 、γ-ブチロラクトンに20重量%となるように 加し、超音波洗浄機にかけて分散し分散液 得た。この分散液を上記基板上にバーコー ーを用いて塗布し、ホットプレート上で窒 気流下、100℃10分の条件で塗布膜を乾燥し 銅粒子の堆積膜を有する基板を作製した。

(銅粒子層の作製)
 次に、表1の1に記載の各成分を秤量して、 合して処理液Aを得た。この処理液A中の薬剤 (a)及び還元剤(b)のモル比(a/b)は10.2であった。 シャーレの底部に銅ナノ粒子堆積膜を有する 基板を置き、端にガラスの小片を載せて基板 が浮かばないようにして、処理液Aを注いで5 間処理(反応)を行ったところ、器壁などに が析出することなく、銅系粒子塗布部のみ 選択的に変色して処理が進行した。この処 により銅粒子層はくすんだ銅色に変色した 処理終了後、超純水に浸して洗浄を行った 、空気中で乾燥した。図4の1mm、5mmそれぞれ ギャップを有する電極間における抵抗を4探 針法微小抵抗測定装置(Loresta MCP-T610、三菱化 学(株)製)にて測定し、FIB/SIM断面観察で求め 膜厚9.3μmを用いて体積抵抗率を求め、それ れ2.3×10 -7 ω・m、1.0×10 -6 ω・mであった。図10に示すように、FIB/SIM断面 観察から、原料である銅ナノ粒子からなる構 造は見られなくなり、ミクロンオーダーの銅 の構造が生成していた。

[比較例6]
 実施例10のPdを蒔種したエポキシ基板上に、 銅/銅酸化物コアシェル粒子(数平均粒径41nm、 日清エンジニアリング製)をγ-ブチロラクト に20重量%となるように添加して得られた分 液をバーコーターにて塗布、ホットプレー 上で窒素気流下、100℃10分乾燥して銅粒子層 を有する基板を作製した。次いで、該基板を 実施例10と同様に処理した。この処理中、銅 子塗布部のみが選択的に銅色に変色して処 が進行した。また、処理中一部の銅粒子が 板より剥離した。次いで、実施例10と同様 乾燥した。図4の1mm、2mm、5mmそれぞれのギャ プを有する電極間における抵抗は、130kω、1 .9ω、1.0ωとなり、実施例10と比較してやや高 抵抗を示した。

[比較例7]
 ポリイミド基板(MCF-5000l)上に、溶液中レー ーアブレーション法で作製した銅/銅酸化物 アシェル粒子(試作品、福田金属工業製)5重 %のγ-ブチロラクトン分散液をバーコーター にて塗布、ホットプレート上で窒素気流下、 100℃10分乾燥、この塗布と乾燥を3回繰り返し て銅粒子層を有する基板を作製した。該基板 を実施例10と同様に処理したところ、この処 中、銅粒子層のみが選択的に銅色に変色し 処理が進行した。実施例10と同様に乾燥後 体積抵抗率を求め、それぞれ2.0×10 -5 ω・m、1.1×10 -5 ω・mであり、実施例10と比較して高い体積抵 率であった。
 図11に示すように、銅粒子層の表面に緻密 薄い膜状の構造が生成し、膜状構造の下に 銅ナノ粒子からなる構造が見られた。

[比較例8]
 銅/銅酸化物コアシェル粒子(数平均粒径41nm 日清エンジニアリング製)と銅酸化物ナノ粒 子(数平均粒径50nm、シーアイ化成製)とを重量 比で1:9で混合して、γ-ブチロラクトンに20重 %となるように添加し、超音波洗浄機にかけ て分散し分散液を得た。この分散液を、図4 示す銅箔(F0WS、古河電工製)パターンを有す エポキシ基板(MCL-679FB、日立化成工業製)上に バーコーターを用いて塗布し、ホットプレー ト上で窒素気流下、100℃10分の条件で塗布膜 乾燥して銅粒子層を有する基板を作製した 該基板を実施例10と同様に処理、洗浄した 本実施例では、銅粒子層以外にも銅の析出 見られた。また、図4の1mm、2mm、5mmそれぞれ ギャップを有する電極間における抵抗は、0 .2ω、0.4ω、3.0ωとなり、実施例10と比較して や高い抵抗を示した。

[比較例9]
 実施例10のPdを蒔種したエポキシ基板上に、 酸化銅ナノ粒子(数平均50nm、シーアイ化成製) 20重量%のγ-ブチロラクトン分散液をバーコー ターにて塗布、ホットプレート上で窒素気流 下、100℃10分乾燥して酸化銅粒子の堆積膜を する基板を作製した。該基板を実施例10と 様に処理したところ、この処理中、銅粒子 布部以外にも多量の銅が析出した。その後 実施例10と同様に、洗浄、乾燥した。図4の1m m、2mm、5mmそれぞれのギャップを有する電極 における抵抗は、0ω、0ω、0.1ωと、テスター の測定下限以下となった。

 以上の実施例・比較例の結果を表3に示す 。

 表3より、実施例10では、低抵抗であり、 つ銅導体膜以外の領域に銅の析出がなかっ 。これに対して、比較例6~9は、高抵抗であ か、あるいは低抵抗ではあるものの銅導体 以外の領域に銅の析出が見られたなど、満 できる結果が得られなかった。

[実施例11]
(基板の作製~酸化処理)
 銅/銅酸化物コアシェル粒子(平均粒径41nm、 清エンジニアリング製)をγ-ブチロラクトン に20重量%となるように混合し、超音波洗浄機 にかけて分散し分散液を得た。この分散液を 、図4に示す銅箔パターン(図4においてハッチ ング部分)を有するポリイミド基板(日立化成 業(株)製、MCF-5000l)10上にバーコーターを用 て塗布した。次いで、ホットプレート上で 素気流下、100℃10分の条件で塗膜を乾燥して 銅粒子の塗膜を有する基板を作製した。該基 板を200℃のホットプレート上で空気中10分間 熱処理することで酸化処理を施し、これに り塗膜の表面は濃い茶色から緑がかった黒 に変化した。

(処理液による処理)
 次に、実施例1で示した表1の1に記載の各成 を秤量して、混合し処理液Aを得た。塗膜が 形成された基板をシャーレの底部に置き、端 にガラスの小片を載せて基板が浮かばないよ うにして処理液Aを注いで5時間処理を行った この処理により、銅粒子塗布膜はくすんだ 色に変化した。処理終了後、超純水に浸し 洗浄を行った後、空気中で乾燥した。次い 、図4の1mm、5mmそれぞれのギャップを有する 電極間に関し、4探針法微小抵抗測定装置(Lore sta MCP-T610、三菱化学(株)製)を用いて抵抗を 定し、FIB/SIM断面観察で求めた膜厚8.3μmから 積抵抗率を求めたところ、それぞれ、4.0 ×  10  -7 ω・m、5.7 × 10  -7 ω・mであった。図12に示したようにFIB/SIM断面 観察から基板付近の銅の構造が成長し粗大化 していた。

[実施例12]
 200℃のホットプレート上で空気中20分間加 処理したこと以外は実施例11と同様に処理、 洗浄を行った。抵抗をテスターで測定したと ころ、いずれも0ωを示し測定下限以下であっ た。そこで、1mm、5mmギャップを有する電極間 に関し、4探針法微小抵抗測定装置(Loresta MCP- T610、三菱化学(株)製)を用いて抵抗を測定し ところ、それぞれ、0.129ω、0.060ωであった。

[比較例10]
 実施例11と同様に作製した銅ナノ粒子塗布 板を、200℃のホットプレート上で空気中10分 間加熱処理せずに(酸化処理をせずに)、実施 11と同様に液相処理、洗浄を行った。次い 、図4の1mm、5mmそれぞれのギャップを有する 極間に関し、4探針法微小抵抗測定装置(Lores ta MCP-T610、三菱化学(株)製)を用いて抵抗を測 定し、FIB/SIM断面観察で求めた膜厚9.7μmから 積抵抗率を求めたところ、それぞれ、4.2 × 10  -6 ω・m、1.3 × 10  -6 ω・mであった。
 図13に示すように、図12のような基板付近で の銅構造の粗大化は見られなかった。

[比較例11]
 200℃のホットプレート上で空気中30秒間加 処理したこと以外は実施例11と同様に処理、 洗浄を行った。抵抗をテスターで測定したと ころ、それぞれ、0.041 ω、0.061 ωであった。

[比較例12]
 ポリイミド基板(MCF-5000l)上に、溶液中レー ーアブレーション法で作製した銅/銅酸化物 アシェル粒子(試作品、福田金属工業製)5重 %のγ-ブチロラクトン分散液をバーコーター にて塗布、ホットプレート上で窒素気流下、 100℃10分乾燥、この塗布と乾燥を3回繰り返し て銅系粒子の塗膜を有する基板を作製した。 該基板を実施例11と同様にして処理液Aによる 処理を施した。この処理中、銅粒子塗布部の みが選択的に銅色に変色して処理が進行した 。実施例11と同様に乾燥後、体積抵抗率を求 、それぞれ2.0×10 -5 ω・m、1.1×10 -5 ω・mであり、実施例11と比較して高い体積抵 率であった。
 図14に示すように、銅系粒子層の表面に緻 で薄い膜状の構造が生成し、膜状構造の下 は銅ナノ粒子からなる構造が見られた。

 以上の実施例11~12、及び比較例10~12の結果 を表4に示す。

 表4より、実施例11、12においては、比較 10~12と比較して、低抵抗の銅導体膜が得られ たことが分かる。これは、実施例では、表層 部のみならず、深層部にまで緻密な銅の膜が 形成されたことに起因すると推察される。