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Title:
CURABLE COMPOSITION, FLUORINE-CONTAINING CURED PRODUCT, OPTICAL MATERIAL USING THE CURED PRODUCT, AND LIGHT-EMITTING DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/096342
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a curable composition having high curing rate and excellent productivity. Since the curable composition is suppressed in volumetric contraction due to foaming during the curing reaction, a fluorine-containing cured product obtained therefrom exhibits excellent dimensional stability. A method for producing the curable composition is also disclosed. The curable composition contains a polymerizable compound having a polymerizable double bond, and is characterized in that the mass ratio of a polymerizable compound (P) having a molecular weight of not less than 1,000 in the total polymerizable compounds contained in the curable composition is not less than 90% by mass and the polymerizable compound (P) contains a fluoropolymer (X) having a specific repeating unit and a molecular weight of not less than 1,000.

Inventors:
SUGIYAMA NORIHIDE (JP)
OHKURA MASAHIRO (JP)
MORIZAWA YOSHITOMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/051124
Publication Date:
August 06, 2009
Filing Date:
January 23, 2009
Export Citation:
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Assignee:
ASAHI GLASS CO LTD (JP)
SUGIYAMA NORIHIDE (JP)
OHKURA MASAHIRO (JP)
MORIZAWA YOSHITOMI (JP)
International Classes:
C08F214/18; H01L33/56
Domestic Patent References:
WO2007145181A12007-12-21
WO2005085303A12005-09-15
WO2005037818A12005-04-28
WO2007145181A12007-12-21
WO2005085303A12005-09-15
Foreign References:
JPH06248026A1994-09-06
JP2003008073A2003-01-10
JPH0284456A1990-03-26
JPH02129254A1990-05-17
JP2003008073A2003-01-10
Other References:
J. FLUORINE CHEMISTRY, vol. 36, 1987, pages 449
See also references of EP 2239284A4
Attorney, Agent or Firm:
SENMYO, Kenji et al. (SIA Kanda Square17, Kanda-Konyacho, Chiyoda-k, Tokyo 35, JP)
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Claims:
 重合性二重結合を有する重合性化合物を含む硬化性組成物であって、
 前記硬化性組成物中の全重合性化合物に占める分子量1000以上の重合性化合物(P)の質量割合が90質量%以上であり、かつ前記重合性化合物(P)が下記に示すフルオロポリマー(X)を含むことを特徴とする硬化性組成物。
 フルオロポリマー(X):フルオロモノエン、および環化重合性のフルオロジエンからなる群から選択される1種以上のフルオロモノマー(a)に由来する繰り返し単位と、不飽和側鎖残存性のフルオロジエン(b)に由来する繰り返し単位とを有する共重合体であるフルオロポリマー(X)’のうち、分子量1000以上の共重合体。
 前記フルオロポリマー(X)の質量平均分子量が3000~20000である、請求項1に記載の硬化性組成物。
 前記フルオロモノマー(a)がペルフルオロモノマーであり、かつ前記フルオロジエン(b)がペルフルオロジエンである、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
 前記フルオロモノマー(a)がテトラフルオロエチレンである、請求項1~3のいずれかに記載の硬化性組成物。
 前記フルオロジエン(b)が、CF 2 =CFO-Q F1 -OCF=CF 2 (ただし、式中、Q F1 は、ペルフルオロアルキル基の側鎖を有していてもよいペルフルオロアルキレン基であって、該ペルフルオロアルキレン基における炭素原子数は3~8であり、かつ炭素原子間にエーテル性酸素原子を有していてもよい、2価のペルフルオロアルキレン基である。)で示される化合物である、請求項1~4のいずれかに記載の硬化性組成物。
 請求項1~5のいずれかに記載の硬化性組成物の製造方法であって、
 前記フルオロポリマー(X)’の合成に用いる前記フルオロモノマー(a)および前記フルオロジエン(b)の全使用量のうちの一部を予め反応容器内に投入して重合反応を開始させ、重合反応の進行中に残りのフルオロモノマー(a)およびフルオロジエン(b)を逐次添加しながら重合させて前記フルオロポリマー(X)’を製造する工程を含むことを特徴とする硬化性組成物の製造方法。
 請求項1~5のいずれかに記載の硬化性組成物を100~250℃で硬化させる工程を含むことを特徴とする含フッ素硬化物の製造方法。
 請求項1~5のいずれかに記載の硬化性組成物を波長150~400nmの紫外線で硬化させる工程を含む含フッ素硬化物の製造方法。
 請求項1~5のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化させて得られることを特徴とする含フッ素硬化物。
 請求項9に記載の含フッ素硬化物を用いることを特徴とする光学材料。
 請求項9に記載の含フッ素硬化物により透光封止されることを特徴とする発光素子。
Description:
硬化性組成物、含フッ素硬化物 それらを用いた光学材料および発光素子

 本発明は、硬化性組成物および含フッ素 化物ならびにそれらの製造方法、さらには れらを用いた光学材料および発光素子に関 る。

 近年、次世代の高効率照明光源として白 LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)等の 光素子の開発が進められている。これらの 光素子は保護のためにシリコーン樹脂等の 光性封止樹脂により封止される。しかし、 入される電力が大きくなるにつれて発光素 での発熱量が増大しており、発光素子が高 になるために透光性封止樹脂が劣化するこ が問題となっている。透光性封止樹脂の劣 は、発光素子からの発光出力を低下させ、 源としての寿命を短くしてしまう。

 一方、フルオロポリマーを接着剤やコー ィング剤として種々の用途に用いる方法が されている(特許文献1および2参照)。このフ ルオロポリマーは、主鎖に含フッ素脂肪族環 状構造を有しており、低屈折率性、低表面エ ネルギー性を示す。また、透明性、耐光性( りわけ短波長光に対する耐久性)、耐薬品性 に優れており、特定の溶媒に溶解させるこ ができる。そのため、このフルオロポリマ を用いた接着剤やコーティング剤は前記性 を有する被膜を形成する。

 そこで、白色LEDを封止する透光性封止樹脂 して、前記フルオロポリマーと含フッ素溶 とからなるコーティング剤により形成され 被膜を利用することが開示されている(特許 文献3参照)。
 しかし、特許文献3のコーティング剤は、含 有されるフルオロポリマーの濃度が最大でも 25質量%程度であるため、LEDを封止するために 必要な厚さ(100μm以上)を得ることが困難であ という問題がある。封止に充分な厚さを得 にはコーティング剤を重ね塗りする方法が げられるが、この方法では重ね塗りの際に 膜に発生するクラックや、溶剤の揮発によ 生じる発泡等により均一な封止が困難であ 。

 また、非晶質フルオロポリマーも透明性 耐光性(とりわけ短波長光に対する耐久性) 耐薬品性等に優れており、耐久性が高い。 のため、シリコーン樹脂に代わる透光性封 樹脂の形成に有用である。例えば、特許文 4には、フルオロポリマーとフルオロモノマ を含む液状の硬化性組成物を利用したLEDの 光性封止が示されている。

 しかし、特許文献4の硬化性組成物における フルオロポリマーは、構造が特殊でかつ多く の成分から構成されているため、含フッ素硬 化物を得るまでの製造工程が長く生産性が低 かった。また、硬化反応の条件によっては、 硬化性組成物中に含まれる未反応のフルオロ モノマー成分が揮発することにより体積収縮 が起きるため、得られる含フッ素硬化物の寸 法安定性が低下することがあった。このよう な未反応のフルオロモノマー成分の揮発は、 環境にも好ましくない。そのため、硬化反応 時の温度を高く設定することができないこと から、硬化性組成物の硬化速度が遅かった。
 そのため、硬化速度が高く、かつ得られる フッ素硬化物の寸法安定性が、未反応のフ オロモノマーを含む低分子量成分の揮発に って低下することが抑えられる硬化性組成 が望まれている。

特開平2-84456号公報

特開平2-129254号公報

特開2003-8073号公報

国際公開第07/145181号パンフレット

 そこで、本発明は、硬化速度が速く生産性 優れ、かつ硬化反応中の未反応のフルオロ ノマーを含む低分子量成分の揮発による体 収縮を抑えることにより、得られる含フッ 硬化物が優れた寸法安定性を示す硬化性組 物の製造方法の提供を目的とする。
 さらには、本発明は、前記硬化性組成物に り得られる含フッ素硬化物および該製造方 、ならびに該含フッ素硬化物からなる光学 料および含フッ素硬化物により透光封止さ た発光素子の提供を目的とする。

 本発明の硬化性組成物は、重合性二重結合 有する重合性化合物を含む硬化性組成物で って、前記硬化性組成物中の全重合性化合 に占める分子量1000以上の重合性化合物(P)の 質量割合が90質量%以上であり、かつ前記重合 性化合物(P)が下記に示すフルオロポリマー(X) を含むことを特徴とする組成物である。
 フルオロポリマー(X):フルオロモノエン、お よび環化重合性のフルオロジエンからなる群 から選択される1種以上のフルオロモノマー(a )に由来する繰り返し単位と、不飽和側鎖残 性のフルオロジエン(b)に由来する繰り返し 位とを有する共重合体であるフルオロポリ ー(X)’のうち、分子量1000以上の共重合体。
 また、本発明の硬化性組成物は、前記フル ロポリマー(X)の質量平均分子量が3000~20000で あることが好ましい。
 また、本発明の硬化性組成物において、前 フルオロモノマー(a)がペルフルオロモノマ であり、かつ前記フルオロジエン(b)がペル ルオロジエンであることが好ましい。
 また、本発明の硬化性組成物において、前 フルオロモノマー(a)がテトラフルオロエチ ンであることが好ましい。
 また、本発明の硬化性組成物において、前 フルオロジエン(b)が、CF 2 =CFO-Q F1 -OCF=CF 2 (ただし、式中、Q F1 は、ペルフルオロアルキル基の側鎖を有して いてもよいペルフルオロアルキレン基であっ て、該ペルフルオロアルキレン基における炭 素原子数は3~8であり、かつ炭素原子間にエー テル性酸素原子を有していてもよい、2価の ルフルオロアルキレン基である。)で示され 化合物であることが好ましい。

 また、本発明の硬化性組成物の製造方法は 前記いずれかの硬化性組成物の製造方法で って、前記フルオロポリマー(X)’の合成に いる前記フルオロモノマー(a)および前記フ オロジエン(b)の全使用量のうちの一部を予 反応容器内に投入して重合反応を開始させ 重合反応の進行中に残りのフルオロモノマ (a)およびフルオロジエン(b)を逐次添加しな ら重合させて前記フルオロポリマー(X)’を 造する工程を含む方法である。
 また、本発明の含フッ素硬化物の製造方法 、前記いずれかの硬化性組成物を100~250℃で 硬化させる工程を含む方法である。
 また、本発明の含フッ素硬化物の製造方法 、前記いずれかに記載の硬化性組成物を波 150~400nmの紫外線で硬化させる工程を含む方 である。

 また、本発明は、前記いずれかの硬化性組 物を硬化させて得られる含フッ素硬化物で る。
 また、本発明は、前記含フッ素硬化物を用 た光学材料である。
 また、本発明は、前記含フッ素硬化物によ 透光封止した発光素子である。

 本発明の硬化性組成物は、硬化速度が速く 生産性に優れている。また、硬化反応中の 反応のフルオロモノマーを含む低分子量成 の揮発による体積収縮を抑えることができ 得られる含フッ素硬化物が優れた寸法安定 を示す。
 また、本発明の製造方法によれば、高い生 性で、優れた寸法安定性を有する含フッ素 化物が得られる。
 また、本発明によれば、前記硬化性組成物 より得られる含フッ素硬化物、ならびに該 フッ素硬化物を用いた光学材料および該含 ッ素硬化物により透光封止された発光素子 提供できる。

<硬化性組成物>
 本発明の硬化性組成物は、重合性二重結合( 炭素-炭素二重結合)を有する重合性化合物を んでおり、その全重合性化合物中に占める 子量が1000以上の重合性化合物(P)の質量割合 が90質量%以上である。前記重合性化合物(P)の 質量割合は、95質量%以上であることが好まし く、98質量%以上であることがより好ましく、 99質量%以上であることが特に好ましい。
 分子量1000未満のものは、主として重合性化 合物(P)を合成する際に残存する未反応モノマ ー、または重合が不充分なオリゴマーで構成 されている(以下、この成分を単に低分子量 分という場合がある)。
 硬化性組成物中の分子量1000未満の重合性化 合物が少ないことにより、硬化反応時に低分 子量成分が揮発することを抑え、寸法安定性 に優れた含フッ素硬化物を高い生産性で得る ことができる。

[重合性化合物(P)]
 重合性化合物(P)は、少なくとも、重合性二 結合を有する分子量が1000以上のフルオロポ リマー(X)を含む。

(フルオロポリマー(X))
 フルオロポリマー(X)は、フルオロモノマー( a)に由来する繰り返し単位と、不飽和側鎖残 性のフルオロジエン(b)(以下、単にフルオロ ジエン(b)という)に由来する繰り返し単位と 有する、熱硬化性の共重合体であるフルオ ポリマー(X)’のうち、分子量が1000以上の共 合体である。すなわち、フルオロモノマー( a)とフルオロジエン(b)とを共重合させて得ら るフルオロポリマー(X)’のうち、分子量1000 以上のものである。

 フルオロモノマー(a)は、フルオロモノエン および環化重合性のフルオロジエンからな 群から選択される1種以上である。フルオロ モノマー(a)は、熱安定性の点から、ペルフル オロモノマーであることが好ましい。
 フルオロモノマー(a)におけるフルオロモノ ンは、分子内に重合性二重結合を1つ有する 含フッ素化合物である。
 フルオロモノエンとしては、たとえば、テ ラフルオロエチレン、トリフルオロエチレ 、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビ リデン等のフルオロエチレンや、ヘキサフ オロプロピレン、ペルフルオロアルコキシ チレン、下記式(a-1)、下記式(a-2)に示す化合 物等が挙げられる。

 式中、R 1 、およびR 2 はそれぞれ独立にフッ素原子またはOCF 3 基であり、R 3 、およびR 4 はそれぞれ独立にフッ素原子またはCF 3 基である。また、R 5 、およびR 6 はそれぞれ独立にフッ素原子、ペルフルオロ アルキル基、ペルフルオロアルコキシ基また はペルフルオロアルコキシアルキル基である 。

 フルオロモノマー(a)における環化重合性の ルオロジエンは、分子内に2つの重合性二重 結合を有する含フッ素化合物であり、これら が共に環化重合反応に寄与し、重合後に二重 結合を残存させない含フッ素化合物である。
 環化重合性のフルオロジエンとしては、た えば、CF 2 =CFOCX 1 X 2 CX 3 X 4 CF=CF 2 等が挙げられる。ただし、式中、X 1 、およびX 2 はそれぞれ独立に、フッ素原子、CF 3 基、塩素原子、または水素原子のいずれかで あり、X 3 、およびX 4 はそれぞれ独立に、フッ素原子、CF 3 基または水素原子である。

 フルオロモノマー(a)を用いることにより、 化性組成物の熱安定性が高くなるので硬化 応時の温度を高くすることができる。その め、分子量が1000未満の重合性化合物や溶剤 がなくても成形時の硬化性組成物の流動性を 高くすることができる。また、硬化速度を速 くすることができる。さらに、フルオロモノ マー(a)を用いることにより、得られる含フッ 素硬化物の機械的強度も向上する。
 フルオロモノエンとしては、ペルフルオロ ノマーが好ましく、テトラフルオロエチレ がより好ましい。特にテトラフルオロエチ ンをフルオロモノマー(a)として用いる場合 、フルオロポリマー(X)および(X)’は、熱安 性、流動性に最も優れる。

 フルオロジエン(b)は、炭素-炭素二重結合を 2つ有しており、炭素-炭素二重結合の少なく も一部が重合反応に寄与せず、重合後も二 結合のまま残存する化合物である。すなわ 、フルオロジエン(b)の一方の炭素-炭素二重 結合における2つの炭素原子は重合後に主鎖 形成する。もう一方の炭素-炭素二重結合の ち少なくとも一部は重合反応に寄与せず、 ルオロポリマー(X)中に炭素-炭素二重結合を 有する不飽和側鎖を形成させる。フルオロジ エン(b)を用いることにより、フルオロポリマ ー(X)中に不飽和側鎖が残存するため、この不 飽和側鎖を利用した硬化反応により含フッ素 硬化物が得られる。
 フルオロジエン(b)としては、炭素原子とフ 素原子のみから構成されるか、または炭素 子とフッ素原子と酸素原子のみから構成さ るペルフルオロジエンが挙げられる。また 前記ペルフルオロジエンの1つもしくは2つ フッ素原子が水素原子で置換されたフルオ ジエンが挙げられる。フルオロジエン(b)は 熱安定性の点から、ペルフルオロジエンで ることが好ましい。

 フルオロジエン(b)は、2つの炭素-炭素二重 合を連結する連結鎖の原子数が5~10であるこ が好ましく、5~8であることがより好ましい
 前記連結鎖の原子数が5以上であれば、重合 反応時にこれら2つの炭素-炭素二重結合が反 して分子内環化が起こることを抑えて、フ オロポリマー(X)中に炭素-炭素二重結合を有 する不飽和側鎖を残存させやすい。また、前 記連結鎖の原子数が10以下であれば、硬化前 各々のフルオロポリマー(X)の側鎖に残存し 炭素-炭素二重結合により架橋反応が起こり 、フルオロポリマー(X)の高分子量化やゲル化 が生じてしまうことを防ぎやすい。これによ り、硬化性組成物を硬化させる前の流動性が 著しく低下することを防止するのが容易にな る。また、連結鎖の長すぎるフルオロジエン (b)は、それ自体を合成し、高純度に精製する ことが容易でない。

 フルオロジエン(b)は、分子内に脂肪族環 造を有するフルオロ環状ジエンであっても く、脂肪族環構造を有さないフルオロ非環 ジエンであってもよい。その中でも、フル ロジエン(b)は、硬化性組成物を硬化して得 れる含フッ素硬化物に柔軟性を付与する効 が大きい点、流動性が低下しすぎない点か 、脂肪族環構造を有さないフルオロ非環状 エンであることが好ましい。

 また、フルオロ非環状ジエンは、前記のよ な脂肪族環構造を有さない化合物である。 た、2個の炭素-炭素二重結合を連結する連 鎖は、流動性が低下しすぎることを防ぐ点 ら、環構造を有さない直鎖構造であること 好ましい。
 フルオロ非環状ジエンとしては、下記式に す化合物が好ましい。
 CF 2 =CFO-Q F1 -OCF=CF 2
 CF 2 =CFOCH 2 -Q F2 -CH 2 OCF=CF 2
 CH 2 =CFCF 2 O-Q F3 -OCF 2 CF=CH 2
 ただし、式中、Q F1 およびQ F3 は、それぞれ独立に、ペルフルオロアルキル 基の側鎖を有していてもよいペルフルオロア ルキレン基であって、該ペルフルオロアルキ レン基における炭素原子数は3~8、好ましくは 3~6であり、かつ炭素原子間にエーテル性酸素 原子を有していてもよい、2価のペルフルオ アルキレン基である。Q F2 は、ペルフルオロアルキル基の側鎖を有して いてもよいペルフルオロアルキレン基であっ て、該ペルフルオロアルキレン基における炭 素原子数は2~6、好ましくは2~4であり、かつ炭 素原子間にエーテル性酸素原子を有していて もよい、2価のペルフルオロアルキレン基で る。
 フルオロジエン(b)としては、CF 2 =CFO-Q F1 -OCF=CF 2 で示される化合物がより好ましい。

 前記フルオロ非環状ジエンの具体例として 、下記式に示す化合物が挙げられる。
 CF 2 =CFO(CF 2 ) 4 OCF=CF 2
 CF 2 =CFO(CF 2 ) 5 OCF=CF 2
 CF 2 =CFO(CF 2 ) 6 OCF=CF 2
 CF 2 =CFO(CF 2 ) 4 OCF(CF 3 )CF 2 OCF=CF 2
 CF 2 =CFOCH 2 (CF 2 ) 2 CH 2 OCF=CF 2
 CF 2 =CFOCH 2 (CF 2 ) 4 CH 2 OCF=CF 2
 CH 2 =CFCF 2 OCF(CF 3 )CF 2 OCF=CF 2
 CH 2 =CFCF 2 OCF(CF 3 )CF 2 OCF(CF 3 )CF 2 OCF=CF 2
 これらフルオロジエン(b)は、1種のみを単独 で使用してもよく、2種以上を併用してもよ 。

 フルオロ環状ジエンは、脂肪族環構造を1つ または2つ有する化合物である。フルオロ環 ジエンにおける脂肪族環構造は、炭素原子 みから構成されるか、または炭素原子と酸 原子とから構成される。脂肪族環構造を構 する原子数は4~8であることが好ましく、5ま は6であることがより好ましい。特に好まし い脂肪族環構造は、1つまたは2つの酸素原子 含む5員環または6員環である。
 フルオロ環状ジエンが脂肪族環構造を2つ有 する場合は、それらの脂肪族環同士は単結合 や2価以上の連結基で連結されていてもよく 縮合(1個の炭素結合を共有する場合も含む) ていてもよい。前記連結基としては、たと ば、酸素原子、ペルフルオロアルキレン基( 素原子数8以下が好ましい)、一方もしくは 方の末端、または炭素原子間にエーテル性 素原子を有するペルフルオロアルキレン基( 素原子数8以下が好ましい)等が挙げられる

 脂肪族環構造を構成する炭素原子には、 ッ素原子以外の置換基が結合していてもよ 。置換基としては、炭素原子数15以下のペ フルオロアルキル基、炭素原子間に1つ以上 エーテル性酸素原子を有する炭素原子数15 下のペルフルオロアルキル基、炭素原子数15 以下のペルフルオロアルコキシ基、炭素原子 間に1つ以上のエーテル性酸素原子を有する 素原子数15以下のペルフルオロアルコキシ基 等が好ましい。

 フルオロ環状ジエンが有する2つの炭素- 素二重結合のうち、少なくとも1つの炭素-炭 素二重結合における一方または両方の炭素原 子は、前記脂肪族環構造を構成する炭素原子 である。すなわち、フルオロ環状ジエンでは 、前記脂肪族環構造を構成する隣接する炭素 原子間において炭素-炭素二重結合が形成さ ているか、または前記脂肪族環構造を構成 る1つの炭素原子と該炭素原子に結合する炭 原子との間に炭素-炭素二重結合が形成され ている。フルオロ環状ジエンが脂肪族環構造 を2つ有する場合は、2つの炭素-炭素二重結合 はそれぞれの脂肪族環構造が有する。

 フルオロ環状ジエンの全炭素原子数は、そ 沸点や得られる含フッ素硬化物の耐熱性の 点から、8~24であることが好ましく、10~18で ることがより好ましい。
 また、フルオロ環状ジエンとしては、前記 肪族環構造を2つ有し、その脂肪族環のそれ ぞれが炭素-炭素二重結合を有する化合物で ることが好ましく、ペルフルオロ(2-メチレ -1,3-ジオキソラン)構造を2つ有する化合物が り好ましい。また、下記式(b-1)に示す、ペ フルオロ(2-メチレン-1,3-ジオキソラン)構造 2つ有し、それらの脂肪族環同士を、4位を連 結位として単結合や2価の連結基で結合した 合物(以下、化合物(b-1)という)、または下記 (b-2)に示すペルフルオロ(2-メチレン-1,3-ジオ キソラン)構造を2つ有し、それらの脂肪族環 士を、4位および5位を連結位として単結合 2価の連結基で結合した化合物であることが らに好ましく、化合物(b-1)が特に好ましい
 また、その他のフルオロ環状ジエンとして 、下記式(b-3)に示す化合物が挙げられる。

 式中、Q F4 は、単結合、酸素原子、またはエーテル性酸 素原子を有していてもよい炭素原子数1~10の ルフルオロアルキレン基のいずれかである また、Q F5 およびQ F6 は、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、ま たはエーテル性酸素原子を有していてもよい 炭素原子数1~5のペルフルオロアルキレン基で ある。

 化合物(b-1)に由来する繰り返し単位におい 側鎖に残存した炭素-炭素二重結合は、ラジ ル重合性が高い。そのため、硬化性組成物 硬化反応の際に充分に反応することができ 得られる含フッ素硬化物中に炭素-炭素二重 結合を有する側鎖が残存してしまうことが抑 えられることから、含フッ素硬化物の熱安定 性が向上する。
 化合物(b-1)の具体例としては、下記式に示 化合物が挙げられる。化合物(b-1)は、国際公 開第2005/085303号パンフレットに記載された方 により製造することが好ましい。

 以上のように、フルオロモノマー(a)とフル ロジエン(b)とを共重合させることにより、 ルオロジエン(b)に由来する繰り返し単位の なくとも一部に、炭素-炭素二重結合を有す る不飽和側鎖が残存している共重合体である フルオロポリマー(X)が得られる。
 たとえば、フルオロジエン(b)として、CF 2 =CF-O-(CF 2 ) 4 -O-CF=CF 2 を使用した場合、フルオロポリマー(X)は、下 記式に示す繰り返し単位を少なくとも有する 。

 フルオロポリマー(X)’中に占めるフルオロ リマー(X)の質量割合は90質量%以上であり、9 5質量%以上であることが好ましく、98質量%以 であることがより好ましく、99質量%以上で ることが特に好ましい。
 フルオロポリマー(X)中に分子量1000未満の重 合性化合物が含まれないことにより、これを そのまま硬化性組成物として用いても硬化反 応時に低分子量成分が揮発することを抑え、 寸法安定性に優れた含フッ素硬化物を高い生 産性で得ることができる。

 フルオロポリマー(X)’は、前記フルオロモ マー(a)と前記フルオロジエン(b)とを共重合 せることにより得られる。フルオロモノマ (a)とフルオロジエン(b)とを共重合させる重 方法は特に限定されず、懸濁重合、溶液重 、乳化重合、塊状重合等の公知の重合方法 採用することができ、溶媒で希釈した状態 重合でき、側鎖に残存する炭素-炭素二重結 合による分子間の架橋反応を抑制できる点か ら、溶液重合が特に好ましい。
 溶液重合における重合媒体としては、生成 るフルオロポリマー(X)’が溶解できる含フ 素溶媒であることが好ましい。含フッ素溶 としては、たとえば、ジクロロペンタフル ロプロパン(HCFC-225)、CF 3 CH 2 CF 2 H(HFC-245fa)、CF 3 CF 2 CH 2 CF 2 H(HFC-365mfc)、ペルフルオロヘキサン、ペルフ オロオクタン、ペルフルオロ(2-ブチルテト ヒドロフラン)、ペルフルオロ(トリブチルア ミン)、CF 3 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 H、CF 3 CH 2 OCF 2 CF 2 H、CF 3 CH 2 OCH 2 CF 3 、CF 3 CF 2 OCF 2 CF 2 OCF 2 CF 3 等が挙げられる。

 また、フルオロポリマー(X)’の製造におい は、フルオロポリマー(X)’の合成に用いる ルオロモノマー(a)とフルオロジエン(b)の全 用量を一度に反応させずに、その全使用量 うちの一部を予め反応容器内に投入して重 反応を開始させ、重合反応の進行中に残り フルオロモノマー(a)およびフルオロジエン( b)を逐次添加しながら重合させる工程を含む とが特に好ましい。これにより、得られる ルオロポリマー(X)’及びフルオロポリマー( X)の分子量分布および組成分布を狭くするこ ができ、フルオロポリマー(X)’中の分子量1 000未満の低分子量成分の含有量を10質量%未満 にすることが容易になり、フルオロポリマー (X)の収率が向上する。また、フルオロポリマ ー(X)’中には、重合性化合物である低分子量 成分以外に、特にフルオロジエン(b)含量が少 なく、実質的に重合性化合物とならない成分 が含まれるが、このような化合物を低減する ことが容易になる。
 フルオロポリマー(X)’を得た後の工程とし は、後述する重合性化合物(Y)や添加剤等を 合する工程等が挙げられる。

 フルオロポリマー(X)’の製造における、 ルオロモノマー(a)とフルオロジエン(b)との ル比は、60:40~95:5であることが好ましい。ま た、フルオロモノマー(a)としてフルオロエチ レンを用いる場合、フルオロエチレンとフル オロジエンのモル比は60:40~95:5であることが り好ましく、70:30~90:10であることが特に好ま しい。フルオロモノマー(a)の仕込み割合が大 きくなりすぎると、フルオロポリマー(X)’の 分子量が高くなりすぎて流動性が低下する。 また、得られる含フッ素硬化物の透明性が低 下する傾向がある。

 重合反応に用いる重合開始剤としては、10 間半減温度が20~120℃の有機過酸化物の多く 使用可能であるが、重合開始剤中の水素原 の引き抜き反応による反応率の低下が起き ことを防ぐ点から、含フッ素ジアシルペル キシド等の含フッ素過酸化物を用いること 好ましい。
 反応溶液中の重合開始剤の濃度は、0.1~5質 %が好ましく、0.5~2質量%がより好ましい。
 また、重合温度は、開始剤の10時間半減温 とモノマーの重合速度によっても異なるが 20~120℃が好ましく、40~90℃がより好ましい。

 重合反応においては、連鎖移動剤を用いる とが好ましい。
 連鎖移動剤としては、たとえば、CCl 4 、CH 3 Cl、SO 2 Cl 2 、CHFCl 2 等の塩素化合物、メタノール、エタノール、 イソプロパノール、ヘキサン、ジエチルエー テル等の炭化水素化合物が挙げられる。なか でも、連鎖移動効率が高く、高収率でフルオ ロポリマー(X)が得られる点から、SO 2 Cl 2 が好ましい。
 連鎖移動剤の使用量は、連鎖移動定数によ ても異なるが、SO 2 Cl 2 を用いた場合、フルオロモノマー(a)とフルオ ロジエン(b)との混合物の合計量に対し、モル 比で0.001~0.1であることが好ましく、0.001~0.05 あることがより好ましい。前記モル比が0.001 以上であれば、ポリマーの分子量が高くなり すぎることを防ぎやすい。また、前記モル比 が0.1以下であれば、フルオロポリマー(X)’の 分子量が低下しすぎるのを防ぎやすい。
 本発明におけるフルオロポリマー(X)は、上 で得たフルオロポリマー(X)’から分子量1000 未満の低分子量成分を除去することにより、 容易に得ることができる。分子量1000未満の 分子量成分の除去方法としては、フルオロ リマー(X)’を減圧下に加熱し除去する方法 超臨界二酸化炭素によりフルオロポリマー(X )’から低分子量成分を抽出する方法、フル ロポリマー(X)’の溶液を貧溶媒中に投入し フルオロポリマー(X)を沈殿させ、沈殿しな 低分子量成分を除去する方法、ゲルパーミ ーションクロマトグラフィーを用いて、低 子量成分を分割し除去する方法等が挙げら る。好ましい低分子量成分の除去方法は、 圧下に加熱し除去する方法である。
 減圧下に加熱することにより、分子量1000未 満のものを除去する条件としては圧力が1~100h Paが好ましく、1~20hPaがより好ましく、1~10hPa 最も好ましい。温度は、100~150℃が好ましく 120~150℃がより好ましい。圧力は低い(真空 が高い)ほど良いが、装置サイズが大きくな につれ、圧力を低くすることは一般的に容 ではない。温度は低すぎると、低分子量成 の除去に長い時間を要したり、除去できな 場合もある。また、温度が高すぎる場合、 熱中に部分的にゲル化反応が生じる場合が るので好ましくない。
 より好ましい実施様態としては、減圧下に 熱する方法を用いて、フルオロポリマー(X) に含有される低分子量体の含有量を低下さ た後に、更に超臨界状態にある抽出溶媒を いて低分子量体を除去し、フルオロポリマ (X)を得る方法である。
 フルオロポリマー(X)’を超臨界状態にある 出溶媒と接触させた後にフルオロポリマー( X)と抽出溶媒を分離することで、フルオロポ マー(X)’に含まれている低分子量体の量を 減することができる。
 上記抽出における抽出溶媒は、上記低分子 体を溶解することにより、該低分子量体と ルオロポリマー(X)とを分離することができ 媒体である。
 抽出溶媒としては、用いる抽出溶媒の臨界 度以上、130℃未満の温度、且つ、該抽出溶 の臨界圧力以上の圧力下に、上述の低分子 体を抽出することができるものであれば特 限定されない。例えば、二酸化炭素の他、 ルオロホルム(CF 3 H;R23)、パーフルオロエタン(C 2 F 6 ;R116)等の炭素数1~3のフルオロカーボン等が挙 げられる。なかでも、容易に超臨界状態にす ることができ、抽出効率に優れる点で、二酸 化炭素、フルオロホルム又はパーフルオロエ タンが好ましく、二酸化炭素がより好ましい 。
 抽出溶媒は、1種のみを用いてもよいし、2 以上を混合して用いてもよいが、二酸化炭 、フルオロホルム及びパーフルオロエタン 、それぞれ1種のみを用いても充分にフルオ ポリマー(X)を精製することができる。
 抽出における抽出溶媒の温度は、上記抽出 媒の臨界温度以上、130℃未満の温度であり 且つ、上記抽出溶媒の臨界圧力以上の圧力 にある。即ち、上記抽出は、用いる抽出溶 を130℃未満の超臨界流体にしてフルオロポ マー(X)’に接触させることにより行う。
 上記温度は、上記範囲内であれば、使用す 抽出溶媒に応じて適宜設定することができ が、好ましい下限が臨界温度より0.1℃高い 度であり、好ましい上限は100℃であり、よ 好ましい上限は80℃である。
 上記圧力は、上記範囲内であれば、使用す 抽出溶媒に応じて適宜設定することができ が、好ましい下限は、臨界圧力より10000Pa高 い圧力であり、好ましい上限は、臨界圧力よ り70MPa高い圧力である。
 上記記載の精製方法において、二酸化炭素 フルオロホルム等の上記抽出溶媒の密度を くすることにより、低分子量体の抽出効率 向上することができる。この機構として、 出溶媒の密度が高い方が低分子量体の抽出 媒に対する溶解度が上昇することが考えら る。
 二酸化炭素、フルオロホルム等の抽出溶媒 密度は、抽出の場、即ち、抽出溶媒が上述 温度と圧力である条件下において、0.2g/cm 3 以上、1.3g/cm 3 以下であることが好ましい。
 また、助溶媒として、超臨界状態にある抽 溶媒と併用してハロゲン化炭化水素系溶媒 たは炭化水素系溶媒(以下、エントレーナー という)を用いても良い。用いるエントレー ーは、単独で使用しても良いし、混合して いても良い。用いる含フッ素系溶媒の具体 としては、以下の化合物が挙げられる。
 例えば、CF 3 CF 2 CHCl 2 、CF 2 ClCF 2 CHClF、CF 3 CF 2 CHCl 2 、CFC12CF2Cl、CCl 4 、CF 3 CHFCHFCF 2 CF 3 、CF 3 CH 2 OCF 2 CF 2 Hなどである。
 用いる炭化水素系の溶媒としては、メタノ ル、エタノール、プロパノール、イソプロ ノール、ジメチルエーテルなどが挙げられ 。
 上記記載の精製方法は、超臨界状態にある 出溶媒を用いて抽出を行うものであるので 低分子量体を効率的に低減することができ 得られるフルオロポリマー(X)は、分子量分 が狭分散なものとして得ることができる。
 上記記載の精製方法は、上記低分子量体を 減することができるものであるので、得ら るフルオロポリマー(X)は、GPCにより測定し 数平均分子量Mnと質量平均分子量Mwとの比で あるMw/Mnで表される分子量分布がより小さく 分散なものとすることができる。

 フルオロポリマー(X)’及びフルオロポリマ (X)は、質量平均分子量が3,000~20,000であるこ が好ましく、5,000~15,000であることがより好 しい。フルオロポリマー(X)’及びフルオロ リマー(X)の質量平均分子量は、ゲルパーミ ーションクロマトグラフィー(GPC)により、PM MA(ポリメチルメタクリレート)換算分子量と て算出できる。
 フルオロポリマー(X)の質量平均分子量が3,00 0以上であれば、硬化性組成物の硬化反応中 おける低分子量成分の揮発を防止しやすい また、フルオロポリマー(X)の質量平均分子 が20,000以下であれば、成形時に硬化反応が こる最低温度以下での流動性が確保される 分子量が高すぎて流動性が悪い場合には、 望の形状に成形ができなかったり、流動が 均一になり成形物の特性に偏りが発生する
 また、フルオロポリマー(X)の質量平均分子 を前記範囲内において高く設定することに り、より高い熱安定性を有する含フッ素硬 物が得られやすい。

 また、フルオロポリマー(X)’及びフルオロ リマー(X)は、分子中の側鎖に残存する炭素- 炭素二重結合の含有量が、0.1~2mmol/gであるこ が好ましく、0.5~1.0mmol/gであることがより好 ましい。前記炭素-炭素二重結合の含有量は F 19 -NMRによる測定により算出できる。
 前記炭素-炭素二重結合の含有量が0.1mmol/g以 上であれば、硬化性組成物を硬化して得られ る含フッ素硬化物において架橋が不足して硬 度が低下したり、硬化性組成物の表面の粘性 が高くなりすぎたりすることを防ぎやすい。 また、前記炭素-炭素二重結合の含有量が2mmol /g以下であれば、フルオロポリマー(X)同士の 橋反応によるゲル化や高分子量化により、 合反応時における溶媒に対する溶解性や硬 反応時に溶剤を用いる場合の溶解性が低く りすぎることを防ぎやすい。また、得られ 含フッ素硬化物中に未反応の炭素-炭素二重 結合が残り、熱安定性を低下させることを防 ぎやすい。

 フルオロポリマー(X)は、高分子量であるた に室温では高粘度液状であるが、加熱され ば粘度が下がり、流動性を得ることができ 。フルオロポリマー(X)は、50~100℃において 度が1~100Pa・sとなることが好ましい。
 また、フルオロポリマー(X)は、100℃以下に いては実質的に硬化せず、100~200℃、好まし くは150~200℃において熱硬化する。

 重合性化合物(P)(100質量%)中のフルオロポリ ー(X)の含有量は、60~100質量%であることが好 ましく、80~100質量%であることがより好まし 、90~100質量%であることが特に好ましい。
 フルオロポリマー(X)の含有量が60質量%以上 あれば、硬化速度が速い硬化性組成物が得 れやすく、寸法安定性に優れた含フッ素硬 物が得られやすい。

(その他の重合性化合物(Y))
 重合性化合物(P)は、フルオロポリマー(X)以 に、その他の重合性化合物(Y)を含んでいて よい。重合性化合物(Y)は、単体で分子量が1 000以上であるモノマーか、または、重合させ て分子量を1000以上としたものである。
 重合性化合物(Y)は、フルオロポリマーまた フルオロオリゴマーが好ましく、ペルフル ロポリマーまたはペルフルオロオリゴマー より好ましい。ペルフルオロポリマーまた ペルフルオロオリゴマーを構成するモノマ としては、たとえば、CF 2 =CFO-Rf-OCF=CF 2 、またはCF 2 =CFOCH 2 -Rf-CH 2 OCF=CF 2 が挙げられる。
 ただし、式中、Rfは、側鎖にペルフルオロ ルキル基を有していてもよいペルフルオロ ルキレン基またはペルフルオロオキシアル レン基である。
 Rfの具体例としては、たとえば、-CF 2 -、-CF 2 O-、-CF 2 CF 2 O-、-CF 2 CF 2 CF 2 O-、-CF(CF 3 )CF 2 O-等の繰り返し単位を含有するペルフルオロ リエーテルが挙げられる。

 また、本発明の硬化性組成物は、重合性化 物以外に、必要に応じて添加物が添加され いてもよい。
 前記添加物としては、たとえば、光学素子 としての蛍光体、色素、シリカまたはアル ナ微粒子等の光拡散剤等が挙げられる。ま 、光学材料以外の耐熱性、耐薬品性を必要 する用途における添加物としては、各種の 機フィラー、ガラス繊維、PTFE(ポリテトラ ルオロエチレン)粒子等が挙げられる。
 添加物としてジルコニアナノ粒子、チタニ ナノ粒子などを用いた場合、透明性を維持 たまま添加量に応じて屈折率を0.05から0.15 度高めることが可能である。

<含フッ素硬化物>
 本発明の含フッ素硬化物は、前記硬化性組 物を硬化させることにより得られる硬化物 ある。
 本発明における含フッ素硬化物は、耐光性( 特に波長200~500nmの短波長光に対する耐久性) よび透明性が高く、かつ耐熱性に優れる。

(製造方法)
 本発明の含フッ素硬化物の製造方法は、前 硬化性組成物を100~250℃で硬化させる工程を 含む方法である。
 硬化温度は、125~220℃であることが好ましく 、150~200℃であることがより好ましい。
 硬化温度を100℃以上にすることにより、短 間で含フッ素硬化物を得ることができ、生 性が高くなる。また、硬化温度を250℃以下 することにより、寸法安定性に優れた含フ 素硬化物を得ることが容易になる。

 硬化性組成物を硬化させる方法は、特に限 されず、硬化性組成物を50~100℃で加熱して 動させ、これを塗布した後に硬化させる方 、溶剤を使用して塗布した後に硬化させる 法等が挙げられ、前者が好ましい。
 硬化反応は、段階的に温度が高くなるよう 多段階で行ってもよい。硬化反応を多段階 行う場合は、硬化温度は少なくともその最 温度が前記範囲内となるようにすればよい

 また、硬化性組成物の硬化反応においては 含フッ素有機過酸化物等の硬化剤を用いて よく、用いなくてもよい。本発明の硬化性 成物は前記硬化剤を用いない場合であって 、加熱によって硬化させることができる。 フッ素有機過酸化物としては、たとえば、( C 6 F 5 C(CO)O) 2 、((CF 3 ) 3 CO) 2 等が挙げられる。

 前記硬化剤を用いない場合の架橋反応の機 は明らかでないが、フルオロポリマー(X)中 溶解している酸素がラジカル源となること フルオロポリマー(X)中の構造の一部が熱分 してラジカルを発生すること、フルオロポ マー(X)中の側鎖-CF=CF 2 基同士の熱カップリング反応等が要因である と考えられる。

 また、本発明の含フッ素硬化物の製造方法 、硬化性組成物を波長150~400nmの紫外線で硬 させる工程を含む方法が好ましい。この場 は室温でも硬化反応は進行し、熱硬化させ ものよりも硬度の高い硬化物が得られる。
 紫外線の波長は、150~400nmが好ましく、193~365 nmがより好ましく、248~365nmが最も好ましい。
 250~400nmにおいてはメタルハライドランプ、2 54nm、313nm、および365nmには高圧水銀ランプが いられる。また、248nmにはKrFエキシマーレ ザー、193nmにはArFエキシマーレーザー、157nm はF 2 レーザーが用いられる。

 特に、254nmの短波長紫外線を照射する場合 光開始剤を用いなくても良く、紫外線照射 度に応じて照射時間を調節することにより 硬化物を作製できる。硬化は、照射強度が0. 1~500mW/cm 2 の範囲で1分~10時間程度照射することにより えばよい。
 また、光開始剤を用いれば300~400nmの紫外線 照射することにより硬化させることができ 。

 なお、254nmの短波長紫外線を用いた場合に 光開始剤を用いなくても硬化する機構につ ては明らかではない。しかし、 19 F-NMRによる構造解析によれば、硬化物中に、 ルオロポリマー(X)中の側鎖の-CF=CF 2 基同士の熱カップリングで生じるシクロブタ ン環が存在しないことが確認できた。このこ とから、フルオロポリマー(X)中の-CF=CF 2 基の重合が進行していることが示唆される。 開始源としては、フルオロポリマー(X)の末端 に存在するCOOHなどのカルボニル基を有する 端基が紫外線により脱CO 2 を起こすか、または、微量に存在するO 2 が-CF=CF 2 基と反応して生成した-COFが紫外線により脱CO Fを起こしてラジカルを発生する(J.Fluorine Chem istry,(1987)Vol.36、449)こと等が考えられる。

 光開始剤としては、アセトフェノン系、ベ ゾインエーテル系、ベンジルケタール系、 ンゾフェノン、ベンジルなどのケトン系、 シルフォスフォンオキサイド系、O-アシル キシム系、チタノセン系、2,4,6-トリス(トリ ロロメチル)-1,3,5-トリアジンなどのハロメ ルトリアジン系の各種の化合物が挙げられ 。好ましくは、フルオロポリマー(X)との相 性から、水素の一部がフッ素またはフルオ アルキル基に置換された含フッ素系光開始 である。
 光開始剤の使用量は、0.01~10質量%が好まし 、0.1~1質量%がより好ましい。光開始剤の使 量が前記範囲にあれば、硬化速度を低下さ ずに着色の少ない透明な硬化物を得ること 容易になる。
 また、本発明の含フッ素硬化物の製造方法 、硬化性組成物を1kGy~500kGyの放射線で硬化 せる工程を含む方法も好ましい。

[光学材料および発光素子]
 本発明における含フッ素硬化物は、耐光性( 特に波長200~500nmの短波長光に対する耐久性) よび透明性が高く、かつ耐熱性に優れるこ から、光学材料として有用である。
 光学材料としては、光ファイバーのコア材 またはクラッド材料、光導波路のコア材料 たはクラッド材料、ペリクル材料、ディス レイ(たとえば、PDP(Plasma Display Panel)、LCD(Li quid Crystal Display)、FED(Field Emission Display)、 機EL等)用表面保護材料、レンズ(たとえば、 光素子用集光レンズ、人工水晶体レンズ、 ンタクトレンズ、低屈折率レンズ等)用表面 保護材料、レンズ(たとえば、発光素子用集 レンズ、人工水晶体レンズ、コンタクトレ ズ、低屈折率レンズ等)用材料、素子(たとえ ば、発光素子、太陽電池素子、半導体素子等 )用封止材料等の用途が挙げられる。

 本発明の光学材料は、前記硬化性組成物 任意形状の型中で硬化させて、任意形状(た とえば、板型、管状、棒状等)を有する含フ 素硬化物からなる成形品として用いるか、 たは前記硬化性組成物等を任意基材(たとえ 、前記のディスプレイ、レンズ、素子等)上 で硬化させて、形成された含フッ素硬化物の 被膜により任意基材を透光封止するようにし て用いることが好ましい。

 前記成形品としては、光ファイバーのコア 料やクラッド材料、光導波路のコア材料や ラッド材料、レンズ用材料が好ましい。
 前記被膜としては、半導体素子、太陽電池 子、発光素子(たとえば、LED、レーザーダイ オード(LE)、エレクトロルミネッセンス素子 )等を透光封止する素子用の封止材料が好ま く、本発明における含フッ素硬化物が前記 質を有する観点から、短波長光発光素子を 光封止する封止材料が特に好ましい。短波 光発光素子としては、白色LEDが挙げられる

 このように、本発明は、前記光学材料で 光封止した発光素子を得ることができる。 発明の発光素子が、波長200~500nmの短波長光 光素子である場合、前記硬化性組成物には 必要に応じてLEDの発光波長変換用の蛍光体 が添加されてもよい。

 以上のように、本発明の硬化性組成物は 硬化速度が速く、短時間で含フッ素硬化物 得ることができるため、生産性が高くなる これは、硬化性組成物中の全重合性化合物 占める分子量1000未満の重合性化合物の割合 が小さく、硬化反応における温度が高くても 環境に好ましくない低分子量成分の揮発が少 ないため、高温で硬化反応を行えるためであ る。

 また、本発明の硬化性組成物は、硬化反 中における体積収縮による、含フッ素硬化 の寸法安定性の低下が抑えられる。そのた 、本発明の含フッ素硬化物を用いることに り精密な成形体が製造できる。これは、硬 性組成物中の全重合性化合物に占める分子 1000未満の重合性化合物の割合が小さいため 、低分子量成分の揮発が抑えられるためであ ると考えられる。

 また、フルオロモノマー中の重合性二重 合は、重合反応に用いられた際に一般に体 収縮を伴うことが知られている。本発明の 化性組成物では、全重合性化合物中に占め 分子量1000未満の重合性化合物の割合が小さ く、単位体積あたりの重合性二重結合の割合 が少ないことも、体積収縮が抑えられて含フ ッ素硬化物の寸法安定性が向上する要因とな っていると考えられる。

 また、特許文献4に記載の硬化性組成物では 、硬化後の含フッ素硬化物の硬度を上げるた めに硬化性組成物中に環状モノエンを含有し ていた。そのため、仮にこの成分を用いずに 硬化すると表面に粘性を生じてしまい、充分 な硬度を得られないものであった。
 しかし、本発明では、フルオロポリマー(X) 用いているため、硬化性組成物を硬化させ 際に、架橋構造が形成されるため前記環状 ノエンを用いなくても充分な硬度を有する フッ素硬化物が得られる。とくに、254nmの 外線により硬化させると、熱硬化よりも効 的に架橋構造が形成され、硬度および熱安 性がより高い硬化物が得られる。

 以下、実施例および比較例を示して本発明 詳細に説明する。ただし、本発明は以下の 載によっては限定されない。
 本実施例では、フルオロポリマー(X)及び(X) における二重結合の含有量は、 19 F-NMRにより測定した。また、質量平均分子量 、CF 2 ClCF 2 CHClF(旭硝子社製、商品名:AK225cb、以下、AK225cb という。)を溶媒として用いて、ゲルパーミ ーションクロマトグラフィー(GPC)によりPMMA( リメチルメタクリレート)換算分子量として 算出した。

 本実施例に用いたフルオロポリマーの製造 法について説明する。
[合成例1]フルオロポリマー(X1)の製造
 内容積が1Lの撹拌機付きステンレス製オー クレーブを脱気した後、このオートクレー に、フルオロモノマー(a)であるテトラフル ロエチレン(以下、TFEという)(21g)、フルオロ エン(b)であるCF 2 =CFOC 4 F 8 OCF=CF 2 (ペルフルオロテトラメチレンジビニルエー ル(以下、C4DVEという))(78g)、AK225cb(1050g)、連 移動剤であるSO 2 Cl 2 (9.0g)、および重合開始剤であるペルフルオロ シクロヘキサンカルボニルペルオキシド(12g) 圧入し、撹拌しながらオートクレーブ内を5 0℃に昇温した。その後、TFE(全仕込み量51g)お よびC4DVE(全使用量129g)を、圧力を0.13MPaに保ち ながら逐次添加して4時間重合反応を行った
 ついで、オートクレーブを冷却して内容物 取り出し、内容積が2Lのガラスビーカーに した。該ガラスビーカーに、撹拌しながら タノール500gを投入して共重合体を析出させ 。上澄みを除去してAK225cbに再溶解した後、 これを細孔径1μmのポリテトラフルオロエチ ン(以下、PTFEという)製メンブランフィルタ でろ過して重合体溶液を得た。ついで、エ ポレーターを用いて得られた重合体溶液の 媒を留去することにより、無色透明な高粘 液状のフルオロポリマー(X1)’(72g)が得られ 。
 ついで、120℃で2時間真空下に加熱すること により、フルオロポリマー(X1)の70gを得た。 ルオロポリマー(X1)の質量平均分子量をGPCに り測定したところ、12,000であった。また、 ルオロポリマー(X1)は、分子量1000未満の重 性化合物を含有しなかった。
 GPCの測定は以下の条件下に実施した。
 東ソー社製高速GPC「HLC-8220」を用いて測定 た。溶媒としてヘキサフルオロイソプロパ ール/アサヒクリンAK225G=1/99(体積比)を流量1.0 mL/分でカラム(Varian,Inc.社製PLgel5μMIXED-C)に流 た。圧力は40MPa、温度40℃であった。測定試 としてアサヒクリンAK225Gにフルオロポリマ (X1)を溶解して0.5質量%の溶液を用いて、Allte ch Associates,Inc.社製500ELSD検出器により分子量 測定した。
 また、 19 F-NMRによりフルオロポリマー(X1)の組成および 二重結合含有量を測定したところ、フルオロ ポリマー(X1)中のTFEに基づく繰り返し単位とC4 DVEに基づく繰り返し単位とのモル比は70/30で り、二重結合含有量は1.0mmol/gであった。

[合成例2]フルオロポリマー(X2)の製造
 内容積が1Lの撹拌機付きステンレス製オー クレーブを脱気した後、このオートクレー に、フルオロモノマー(a)であるペルフルオ プロピルビニルエーテル(以下、PPVEという)(1 12g)とTFE(20g)、フルオロジエン(b)であるC4DVE(28g )、AK225cb(994g)、連鎖移動剤であるSO 2 Cl 2 (4.5g)、および重合開始剤であるペルフルオロ シクロヘキサンカルボニルペルオキシド(12g) 圧入し、撹拌しながらオートクレーブ内を5 0℃に昇温した。その後、TFE(全仕込み量48g)お よびC4DVE(全仕込み量43g)を、圧力を0.15MPaに保 ながら逐次添加して4時間重合反応を行った 。
 ついで、オートクレーブを冷却して内容物 取り出し、内容積が2Lのガラスビーカーに した。該ガラスビーカーに、撹拌しながら タノール500gを投入して共重合体を析出させ 。上澄みを除去してAK225cbに再溶解した後、 細孔径1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ して重合体溶液を得た。ついで、エバポレ ターを用いて得られた重合体溶液の溶媒を 去することにより、無色透明な高粘度液状 フルオロポリマー(X2)’(67g)が得られた。
 ついで、120℃で2時間真空下に加熱すること により、フルオロポリマー(X2)の65gを得た。 ルオロポリマー(X2)の質量平均分子量をGPCに り測定したところ、7,600であった。また、 ルオロポリマー(X2)は、分子量1000未満の重合 性化合物を含有しなかった。
 また、 19 F-NMRによりフルオロポリマー(X2)の組成および 二重結合含有量を測定したところ、フルオロ ポリマー(X2)中のTFEに基づく繰り返し単位とC4 DVEに基づく繰り返し単位とPPVEに基づく繰り し単位とのモル比は61/12/27であり、二重結合 含有量は0.6mmol/gであった。

[合成例3]フルオロポリマー(X3)’の製造
 内容積が1Lの撹拌機付きステンレス製オー クレーブを脱気した後、このオートクレー に、フルオロモノマー(a)であるTFE(17g)、フル オロジエン(b)であるC4DVE(79g)、AK225cb(880g)、連 移動剤であるSO 2 Cl 2 (10g)、および重合開始剤であるペルフルオロ クロヘキサンカルボニルペルオキシド(5g)を 圧入し、撹拌しながらオートクレーブ内を50 に昇温した後に5時間重合反応を行った。
 ついで、オートクレーブを冷却して内容物 取り出し、内容積が2Lのガラスビーカーに した。該ガラスビーカーに、撹拌しながら タノール500gを投入して共重合体を析出させ 。上澄みを除去してAK225cbに再溶解した後、 細孔径1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ して重合体溶液を得た。ついで、エバポレ ターを用いて得られた重合体溶液の溶媒を 去することにより、無色透明な高粘度液状 フルオロポリマー(X3)’の60gが得られた。
 フルオロポリマー(X3)’の質量平均分子量を GPCにより測定したところ、3,500であり、分子 1000未満の重合性化合物を3質量%含有してい 。また、 19 F-NMRによりフルオロポリマー(X3)’の二重結合 含有量を測定したところ、0.9mmol/gであった。

[合成例4]フルオロポリマー(X4)’の製造
 内容積が1Lの撹拌機付きステンレス製オー クレーブを脱気した後、このオートクレー に、フルオロモノマー(a)であるPPVE(120g)とTFE( 36g)、フルオロジエン(b)であるC4DVE(40g)、AK225cb (800g)、連鎖移動剤であるSO 2 Cl 2 (5.0g)、および重合開始剤であるペルフルオロ シクロヘキサンカルボニルペルオキシド(10g) 圧入した以外は、合成例3と同様にしてフル オロポリマー(X4)’の69gを得た
 フルオロポリマー(X4)’の質量平均分子量を GPCにより測定したところ、3,400であり、分子 1000未満の重合性化合物を3質量%含有してい 。
 また、 19 F-NMRによりフルオロポリマー(X4)’の組成およ び二重結合含有量を測定したところ、フルオ ロポリマー(X4)’中のTFEに基づく繰り返し単 とC4DVEに基づく繰り返し単位とPPVEに基づく り返し単位とのモル比は58/11/32であり、二重 結合含有量は0.5mmol/gであった。

 以下、実施例および比較例について説明す 。
[実施例1]
 合成例1で得られたフルオロポリマー(X1)の からなる硬化性組成物を、ガラス製サンプ ビン中において200℃で2時間硬化反応をさせ ところ、無色透明の含フッ素硬化物が得ら た。得られた含フッ素硬化物の硬度をデュ メータ硬度計にて測定した。また、硬化前 硬化性組成物の質量(Ma)と、得られた含フッ 素硬化物の質量(Mb)とを測定することにより これらの質量から下記式により質量減少(%) 算出して、硬化反応時における揮発成分量( 発した低分子量成分量)を確認した。
 質量減少(%)=(1-Mb/Ma)×100

[実施例2]
 合成例2で得られたフルオロポリマー(X2)の からなる硬化性組成物を、ガラス製サンプ ビン中において200℃で2時間硬化反応をさせ ところ、無色透明の含フッ素硬化物が得ら た。得られた含フッ素硬化物について、実 例1と同様にして硬度と質量減少を測定した 。

[比較例1]
 合成例3で得られたフルオロポリマー(X3)’(7 0部)、下記式(Z1)に示す重合性化合物Z1(30部)、 および硬化剤である(C 6 F 5 C(CO)O) 2 (0.2部)を、ガラス製サンプルビン中で混合し 粘度(振動式粘度計、20℃)が10Pa・sのシロッ 状の硬化性組成物を調製した。該硬化性組 物をガラス製サンプルビン中において、60 で2時間、70℃で2時間、90℃で2時間、120℃で1 時間、150℃で1時間、さらに180℃で1時間の硬 反応をさせたところ、無色透明の含フッ素 化物が得られた。得られた含フッ素硬化物 ついて、実施例1と同様にして、200℃で2時 加熱後の硬度と質量減少を測定した。

[比較例2]
 合成例4で得られたフルオロポリマー(X4)’(7 0部)、前記式の重合性化合物Z1(30部)、および 化剤である(C 6 F 5 C(CO)O) 2 (0.2部)を、ガラス製サンプルビン中で混合し 粘度(振動式粘度計、20℃)が6Pa・sのシロッ 状の硬化性組成物を調製した。該硬化性組 物をガラス製サンプルビン中において、60℃ で2時間、70℃で2時間、90℃で2時間、120℃で1 間、150℃で1時間、さらに180℃で1時間硬化 応をさせたところ、無色透明の含フッ素硬 物が得られた。得られた含フッ素硬化物に いて、実施例1と同様にして硬度と質量減少 測定した。
 実施例1~2および比較例1~2で得られた含フッ 硬化物について、硬度および質量減少の測 結果、ならびに硬化反応に要した時間を表1 に示す。また、硬度の表示はAよりもDの方が く、数値は大きい方が硬い。

 表1に示すように、本発明の硬化性組成物 を使用した実施例1および2では、硬化時間が2 時間であり、非常に硬化速度が速かった。ま た、質量減少が小さく、硬化反応時の低分子 量成分の揮発が抑えられていた。また、得ら れた含フッ素硬化物は、従来の方法である比 較例と同程度の硬度を有していた。

 一方、比較例1では、揮発性を有する重合性 化合物Z1およびフルオロポリマー(X3)’中に含 まれる分子量1000未満の低分子量成分による 発を抑えるため、特に硬化反応初期におけ 反応温度を低く設定しなければならなかっ 。また、その条件においても、フルオロモ マー(a)成分が同じ(1種)である実施例1と比べ 質量減少が大きく、硬化反応時において低 子量成分の揮発が多く見られた。また、硬 反応は反応温度が低いために重合開始剤が 要であり、硬化速度も遅かった。
 また、比較例2も比較例1と同様に、フルオ モノマー(a)成分が同じ(2種)である実施例2と べて質量減少が大きく、硬化反応時におい 低分子量成分の揮発が多く見られた。また 硬化反応は反応温度が低いために重合開始 が必要であり、硬化速度も遅かった。

[実施例3]
 合成例2で得られたフルオロポリマー(X2)を いて、LED素子を封止した。
 具体的には、GaN系LED(発光波長460nm)をワイヤ ーボンディング接続したカップ型のLED素子の 凹部にフルオロポリマー(X2)を注入し、100℃ 30分加熱して泡(空気)を除去して緊密に充填 た。その後、150℃で30分、200℃で2時間加熱 ることにより硬化反応を行ってLED素子を封 した。
 該LED素子に3.5V、350mAの電流を通電したとこ 、2週間後においても電流量は変化せず、透 明性を維持していた。

[実施例4]
 合成例2で得られたフルオロポリマー(X2)の からなる硬化性組成物をガラス板に流延し 窒素雰囲気下にセン特殊光源社製1kW高圧水 ランプ(単位長出力80W/cm)を用いて、10cmの距 から20分間紫外線(波長254nmを含む)を照射し ところ無色透明の含フッ素硬化物が得られ 。
 得られた含フッ素硬化物をガラス板から剥 し、デュロメーター硬度を測定したところ A60であり、実施例1の加熱硬化により得られ た硬化物よりも架橋密度が増加し、硬度が高 くなることが確認された。また、硬化時の質 量減少は0.4%以下であった。
 また、得られた含フッ素硬化物の0.1gを、パ ーフルオロベンゼンの0.4g中に入れて硬化物 膨潤した状態で、積算回数256回で 19 F-NMRを測定した。
 フルオロポリマー(X)中の側鎖の-CF=CF 2 基同士のカップリングで生じるシクロブタン 環が存在しないことが確認できた。一方、実 施例1の含フッ素硬化物について同様にして 19 F-NMRを測定した結果、シクロブタン環に由来 るCF 2 Oのシグナルが存在することが確認できたた 、熱硬化と紫外線硬化では反応機構が異な ことが示唆された。

 本発明の硬化性組成物は、光学材料、特に ンズ用材料、素子用封止材料(特に発光素子 (白色LED等の短波長発光素子)、有機EL素子封 材、無機EL蛍光体分散材、太陽電子セル封止 材など)、光導波路用材料として有用である さらには各種の充填材を添加した状態でも いられるため、耐熱・耐薬品性のシーリン 材、接着剤、コーティング材にも有用であ 。高絶縁性・低誘電率であるためガラスク スに含浸させて硬化することにより回路基 としても使用される。
 UV硬化性を利用した場合には、室温で硬化 可能であるためLCD、色素増感太陽電池など セル用サイドシール材、あるいは各種のパ ーニング用材料、フレキシブルディスプレ 等の反射防止コーティングとしても用いら る。
 また、食塩電解や燃料電池材料として用い れるフッ素系イオン交換膜の架橋ポリマー 分としても有用である。
 なお、2008年1月28日に出願された日本特許出 願2008-016631号及び2008年9月18日に出願された日 本特許出願2008-239342号の明細書、特許請求の 囲、及び要約書の全内容をここに引用し、 発明の明細書の開示として、取り入れるも である。