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Patent Searching and Data


Title:
DOUBLE GLASS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/111455
Kind Code:
A1
Abstract:
In a double glass having two plate glasses disposed opposite to each other with a given spacing therebetween, a low-resistance film composed of, sequentially laminated, a first Ag film, a second metal oxide film, a second Ag film and a third metal oxide film is disposed on the hollow layer side thereof. Each of the first metal oxide film, second metal oxide film and third metal oxide film is a metal oxide film composed mainly of ZnO film. The diffraction angle of diffraction peak by crystal face (002) of the ZnO film is 33.9° or less. Each of the plate glasses has a thickness of 3 mm or more, and, based on the sum, t1, of the thicknesses of the two plate glasses, the visible light transmission ratio of the double glass is at least (70.0-0.3Œt1)% and the solar radiation heat acquisition ratio thereof is 0.38 or below.

Inventors:
KATO KAZUHIRO (JP)
OMOTO HIDEO (JP)
FUJII KENJI (JP)
KABAYASHI TAKASHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/053949
Publication Date:
September 18, 2008
Filing Date:
March 05, 2008
Export Citation:
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Assignee:
CENTRAL GLASS CO LTD (JP)
KATO KAZUHIRO (JP)
OMOTO HIDEO (JP)
FUJII KENJI (JP)
KABAYASHI TAKASHI (JP)
International Classes:
C03C27/06
Foreign References:
JP2004058592A2004-02-26
JP2006206424A2006-08-10
JPH04357025A1992-12-10
JPH0524149A1993-02-02
JPH0971441A1997-03-18
JP2003104758A2003-04-09
Attorney, Agent or Firm:
HASHIMOTO, Takeshi et al. (Ekisaikai Bldg. 1-29,Akashi-cho, Chuo-k, Tokyo 44, JP)
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Claims:
2枚の板ガラスが所定の間隔で対向隔置され、該2枚の板ガラスの周縁部に該所定の間隔を保持するようにスペーサーが配設され、該2枚の板ガラスの間に密封された中空層が形成され、1枚の板ガラスに低抵抗膜が形成されている複層ガラスにおいて、低抵抗膜が中空層側に配せられ、該低抵抗膜は第1金属酸化物膜、第1Ag膜、第2金属酸化物膜、第2Ag膜、第3金属酸化物膜が順次積層されてなる積層膜であり、第1金属酸化物膜、第2金属酸化物膜、第3金属酸化物膜の各々はZnO膜を主とする金属酸化物膜でなり、該ZnO膜はCuKα線を用いたX線回折法による、該ZnO膜の(002)結晶面による回折ピークの回折角度2θが33.9°以下であり、複層ガラスの2枚の板ガラスは共に3mm以上の厚みを有し、2枚の板ガラスの厚みの合計t1(mm)に対し、該複層ガラスのJISR3106:1998に準拠した可視光透過率が(70.0-0.3×t1)%以上であり、該複層ガラスのJISR3106:1998に準拠した日射熱取得率が0.38以下であることを特徴とする複層ガラス。
積層膜が、第1Ag膜の厚みと第2Ag膜の厚みとの合計をt2(nm)とし、低抵抗膜の表面抵抗が(3.4-0.04×t2)ω/□以下であることを特徴とする請求項1に記載の複層ガラス。
第1金属酸化物膜の光学厚みが57nm~77nmの範囲にあり、第1Ag膜の厚みが12nm~16nmの範囲にあり、第2金属酸化物膜の光学厚みが160nm~200nmの範囲にあり、第2Ag膜の厚みが12nm~16nmの範囲にあり、第3金属酸化物膜の光学厚みが62nm~82nmの範囲にあることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の複層ガラス。
低抵抗膜が形成されている板ガラスの、ガラス面の反射色が、CIEL*a*b*色度座標図において、-20≦a*≦-5、-10≦b*≦5、であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の複層ガラス。
Description:
複層ガラス

 本発明は、建築物や車両などの窓に用い れる複層ガラスに関する。

発明の背景

 近年、住宅やビル等の建築物の窓ガラス は、夏季には日射エネルギーの室外から室 への流入を抑制し、冬季には室内から室外 の熱流出を抑制する省エネルギー窓材とし 、2枚の透明ガラスをスペーサーを介して合 わせ、2枚の透明ガラスの間に断熱空気層を 成した複層ガラスが用いられるようになっ 。

 また、住宅やビル等の建築物の窓ガラス 、居住性、室外の視認性の向上を目的とし 大面積化しており、それに伴い、夏季には 日射エネルギーの室内への流入が増大して 冷房負荷の増加となっている。

 そこで、夏季の日射エネルギーの室内へ 流入を抑制し、冷房負荷を軽減させるため 複層ガラスの室内側ガラスに、赤外線反射 を形成した低放射ガラスが多く用いられる うになった。

 赤外線反射膜として、ZnO膜とAg膜とを交 に積層した積層膜が知られている。

 特許文献1には、ZnO膜と厚みが110Å以下の Ag膜とを交互に積層する赤外線反射膜が開示 れ、Ag膜が1層の場合と2層の場合の実施例で 、可視光透過率が80%、太陽エネルギーの透過 率が44%以上の低放射ガラスが記載されている 。

 特許文献2には、ガラスにZnO膜、Ag膜、ZnO と順次積層し、その上にアモルファス層(SiN X)を積層して、耐久性を向上させたものが開 されている。また、可視光透過率が78~83%の 施例が記載されている。また、特許文献3に は、可視光透過率が71.2~80.0%、日射透過率が30 .4~45.6%の、ZnO膜とAg膜を交互に5層積層する積 膜が記載されている。

 さらに、特許文献4には、Ag膜1層用いた遮 熱膜と反射防止膜を用いて、可視光透過率が 49~51%、日射透過率が30~32%の複層ガラスが記載 されている。

 ZnO膜とAg膜とを交互に積層する赤外線反 膜は、Ag膜の抵抗値が小さいほど赤外線の反 射率が大きくなり、従って、赤外線反射率を 大きくして遮蔽性能を高めるためには、Ag膜 厚くしてその抵抗を低くすればよいが、Ag を厚くすると、可視光透過率が小さくなっ 、窓の採光性能が悪くなってしまう。

 Ag膜の抵抗に関しては、特許文献5に、ZnO膜 Ag膜を交互に積層する積層膜で、厚み12nmのA g膜を4層積層させ、4.2ω/□の低抵抗膜が得ら ることが記載されている。さらに、特許文 6には、Ag膜をマグネトロンスパッタリング で成膜する時の、放電電圧とAgターゲット 面の磁界の強さとを調整して、Ag膜が1層の 合、Ag膜の厚みt1が5~30nmの範囲で、積層膜の 抵抗が(35.8/t1+2.3)×10 -6 ωcm以下の赤外線反射積層膜、および、Ag膜が 2層の場合、Ag膜の総厚みt2が15~35nmの範囲で、 積層膜の比抵抗が(168.6/t2+1.3)×10 -6 ωcm以下である赤外線反射積層膜が記載され いる。

 高い可視光透過性を得るためには、金属 であるAg膜の膜厚を薄くすることが有効で るが、Ag膜の膜厚を薄くすると、赤外線反射 率が低下し、赤外線反射率の低下に伴い、日 射反射率が低下し、日射エネルギーの室内へ の流入が増加することで、遮熱性が低下して しまう。

 従って、Ag膜の膜厚は、可視光透過率と 射反射率との兼ね合いで決定される。

 さらに、ZnO膜とAg膜とを交互の積層する赤 線反射膜に関して、耐久性が向上するもの して、特許文献7には、ZnO膜の結晶性に関す X線回折の記載が、また、特許文献8には、Ag の結晶性に関するX線回折の記載がなされて る。

特開昭63-134232号公報

特開2002-173343号公報

特開2004-58592号公報

特開2006-143525号公報

特開昭63-239044号公報

特開2006-206424号公報

特開平4-357025号公報

特開平5-24149号公報

発明の概要

 本発明は、高い可視光透過率を有し、か 日射エネルギーの室内への流入が小さい高 遮熱性を有する複層ガラスの提供を課題と る。

 本発明の複層ガラスは、2枚の板ガラスが 所定の間隔で対向隔置され、該2枚の板ガラ の周縁部に該所定の間隔を保持するように ペーサーが配設され、該2枚の板ガラスの間 密封された中空層が形成され、1枚の板ガラ スに低抵抗膜が形成されている複層ガラスに おいて、低抵抗膜が中空層側に配せられ、該 低抵抗膜は第1金属酸化物膜、第1Ag膜、第2金 酸化物膜、第2Ag膜、第3金属酸化物膜が順次 積層されてなる積層膜であり、第1金属酸化 膜、第2金属酸化物膜、第3金属酸化物膜はZnO 膜を主とする金属酸化物膜でなり、該ZnO膜は CuKα線を用いたX線回折法による、該ZnO膜の(00 2)結晶面による回折ピークの回折角度2θが33.9 °以下であり、複層ガラスの2枚の板ガラスは 共に3mm以上の厚みを有し、2枚の板ガラスの みの合計t1(mm)に対し、該複層ガラスのJISR3106 :1998に準拠した可視光透過率が(70.0-0.3×t1)%以 であり、該複層ガラスのJISR3106:1998に準拠し た日射熱取得率が0.38以下であることを特徴 する複層ガラスである。

 また、本発明の複層ガラスは、前記複層 ラスにおいて、積層膜が、第1Ag膜の厚みと 2Ag膜の厚みとの合計をt2(nm)とし、低抵抗膜 表面抵抗が(3.4-0.04×t2)ω/□以下であること 特徴とする複層ガラスであってもよい。

 また、本発明の複層ガラスは、前記複層 ラスにおいて、第1金属酸化物膜の光学厚み が57nm~77nmの範囲にあり、第1Ag膜の厚みが12nm~1 6nmの範囲にあり、第2金属酸化物膜の光学厚 が160nm~200nmの範囲にあり、第2Ag膜の厚みが12n m~16nmの範囲にあり、第3金属酸化物膜の光学 みが62nm~82nmの範囲にあることを特徴とする 層ガラスであってもよい。

 また、本発明の複層ガラスは、前記複層 ラスにおいて、低抵抗膜が形成されている ガラスの、ガラス面の反射色が、CIEL*a*b*色 座標図において、-20≦a*≦-5、-10≦b*≦5、で あることを特徴とする複層ガラス複層ガラス であってもよい。

本発明の複層ガラスの構成を示す断面 である。 低抵抗膜の膜構成を示す断面図である マグネトロンスパッタリング装置の概 図である。 透明ガラスの厚みに対する可視光透過 の関係を示すグラフである。

詳細な説明

 本発明の複層ガラスは、日射熱取得率が さく、しかも可視光透過率の大きい複層ガ スを提供することにより、明るく、しかも 熱性に優れた窓を実現する。

 本発明の複層ガラスは、透明性が高く、 宅やビル等の建築物等において日射を遮る とを目的とする窓ガラスに用いる。

 本発明の複層ガラスは、図1に示すように 、低抵抗膜2が形成されている透明な板ガラ 1ともう1枚の透明な板ガラス1´とを対向配置 し、板ガラス1、1´の周辺部をスペーサー4に 着剤3で接着し、さらに、シーリング材5で 辺部をシールして、2枚の透明な板ガラス1、 1´の間に密閉された中空層を形成するもので ある。

 本発明の複層ガラスを、建物の窓に設置 るときには、低抵抗膜2が形成されている透 明な板ガラス1を室外側にすることが好まし 。

 また、中空層の結露を防ぐために、スペ サー4には、乾燥材(図示しない)を充填した ペーサーを用いることが好ましい。

 透明な2枚の板ガラス1には、図2に示すよ な、金属酸化物膜とAg膜とを交互に積層し なる低抵抗膜2が形成されている。

 各Ag膜の板ガラスとは反対側の面には、 属酸化物膜形成時にAg膜が酸化されることを 防ぐため、保護金属膜(図示しない)を形成す ことが好ましい。

 透明な板ガラスには、ソーダライムガラ や、ソーダライムガラスに比べて酸化鉄含 量が少ない高透過ガラスなど、廉価なフロ ト板ガラスが好適であるが、透明ガラスの にも、ポリカーボネートやポリエチレンテ フタレート等の透明な樹脂基材あるいはフ ルム基材等を好適に用いることができる。

 金属酸化物膜は、板ガラスとAg膜との密 性や、低抵抗膜の膜相互の密着性を高めて 低放射ガラスの積層膜の強度と耐久性を高 るために、さらには、低放射ガラスの可視 の透過率を高めるために用いられる。

 金属酸化物膜は、低放射ガラスの好適な 強度や耐久性および高い透過率を得るため 、Ag膜の透明ガラス側に隣接して、ZnO膜を いることが好適である。

 さらに金属酸化物膜には、ZnO膜の他に、S i、Sn、Al、Ti等の酸化物膜、Si、Sn、Zn、Al、Ti の窒化物膜や窒酸化物膜の中から少なくと 1種類以上を選んでなる金属酸化物膜を用い てもよい。

 金属酸化物膜は、図3に示されるような、 マグネトロンスパッタリング装置によって、 ターゲット20に金属ターゲットを用い、ガス 入管26から酸素ガスを導入して成膜するか あるいは、ターゲット20に、金属酸化物ター ゲットを用いて誘電体成膜することができる 。

 透明なガラス板21を基板ホルダー22で保持 し、真空チャンバー23内をメインバルブ24を 放することで真空ポンプ25を用いて排気し、 さらに、真空チャンバー内にガス導入管26よ 、金属酸化物膜を作製する場合には酸素ガ またはArと酸素の混合ガスを、マスフロー ントローラー27によりガス流量を制御して導 入し、真空チャンバー23内の圧力を調整する とが好ましい。

 また、透明な板ガラス21を保持した基板 ルダー22は移動可能な構造となっていて(図 せず)、板ガラス21がターゲット20を通過する 時間を、基板ホルダー22の移動速度を変えて 整し、成膜する膜の厚みを制御することが ましい。

 例えば、ZnOを成膜する場合、Znターゲッ をターゲット20に用いて、ガス導入管26から 当な混合比のArガスと酸素ガスを導入して 膜することができる。あるいは、ZnOターゲ トをターゲット20に用いて、ガス導入管26か Arガスのみを導入し、ZnO膜の成膜をしても い。

 さらに、ZnO膜は、X線回折測定によるZnO(00 2)面による回折ピーク最大強度位置が33.9°以 になることが好ましい。

 成膜時の真空チャンバー23内の圧力は、 空ポンプとマスフローコントローラーによ 制御して導入する酸素ガス流量とにより調 されるが、安定な放電が維持できる範囲で できるだけ低い圧力にして成膜することが ましい。真空チャンバー23内の圧力は、真空 計26によって測定される。

 CuKα線を用いたX線回折法により測定され 、ZnO(002)面による回折ピーク最大強度の回 角度2θが34°以上になると、Ag膜の単位厚み たりの抵抗値が大きい。したがって、CuKα線 を用いたX線回折法により測定される、ZnO(002) 面による回折ピーク最大強度の回折角度2θが 34°以上の場合は、Ag膜の抵抗値を小さくする ために、Ag膜を厚くしなければならず、好ま い可視光透過率が得にくくなる。

 ZnO膜の回折角度2θが33.9°以下となるため は、酸素ガスの流量は200sccm以下で、真空チ ャンバー23内の圧力は0.9Pa以下とすることが ましく、真空チャンバー23内の圧力はできる 限り低くすることが望ましい。

 Ag膜も金属酸化物膜と同様に、図3に示す グネトロンスパッタリング装置によって成 することができ、金属酸化物膜のZnO膜に接 て成膜をすることが、Ag膜と金属酸化物膜 の密着性を保つので、好ましい。

 ターゲット20にAgの金属ターゲットを用い 、透明な板ガラス21を基板ホルダー22で保持 、真空チャンバー23内をメインバルブ24を開 することで真空ポンプ25を用いて排気し、 らに、真空チャンバー内にガス導入管26より Arガスを、マスフローコントローラー27によ ガス流量を制御して導入し、透明板ガラス21 を保持した基板ホルダー22を、所望の速度で ーゲットを通過させ、透明な板ガラス上にA g膜を形成する。

 Ag膜には、Pt、Bi、Cu、Au等の金属を、0.0~10 .0重量%程度含むAgターゲットを用いて、金属 を成膜し、Agを主成分とするPt、Bi、Cu、Au等 の金属を0.0~10.0重量%含む金属膜を用いても良 い。

 前述する金属酸化物膜の選択は、可視域 光学特性、金属酸化物膜自体の機械強度、 接する金属酸化物膜およびAg膜との密着性 考慮して、行うことが望ましい。

 金属酸化物膜の波長550nmにおける屈折率 n、金属酸化物膜の幾何学的膜厚をd(nm)とし 時の、光学的膜厚をndとすると、第1金属酸 物膜のndが57nm~77nmの範囲にあり、第2金属酸 物膜のndが160nm~200nmの範囲にあり、第3金属酸 化物膜のndが62nm~82nmの範囲とすることが好ま い。

 金属酸化物膜の光学的膜厚の下限値(透明 ガラスに直接成膜される第1金属酸化物膜の 合は、57nm、第2金属酸化物膜の場合は160nm、 3金属酸化物膜の場合は62nm)を下回る場合、 たは、金属酸化物膜の光学的膜厚がその上 値(透明ガラスに直接成膜される第1金属酸 物膜の場合は、77nm、第2金属酸化物膜の場合 は、200nm、第3金属酸化物膜の場合は、82nm)を えると、可視光透過率が低下し、さらに建 物用途として好ましい反射色調が得られな なる。

 さらに、第1Ag膜の幾何学的膜厚と第2Ag膜 幾何学的膜厚の和、すなわちAg膜の総幾何 的膜厚は、24~32nmの範囲にあることが好まし 。総幾何学的膜厚が24nm未満の場合、日射反 射率が低下し、有効な遮熱性が得られず、ま た、総幾何学的膜厚が32nmを越えると、可視 透過率が低下し、さらに建築物用途として ましくない、赤味を帯びた反射色調となる

 さらに、第2金属酸化物膜を形成中に第1Ag 膜がプラズマによるダメージを受けることを 防ぐ目的で、第1Ag膜と第2金属酸化物膜の間 幾何学的膜厚が2nm程度の保護金属膜を成膜 ることが望ましい。第2Ag膜と第3金属酸化物 の間にも同様に、保護金属膜を成膜するこ が望ましい。

 保護金属膜には、Zn、Sn、Ti、Al、NiCr、Cr Zn合金、Sn合金、および各金属にAl,Sb金属を0. 0~10.0重量%含んだもの等を用いることができ 。

 また、保護金属膜の代わりに、Alを2~12重 %含む酸化亜鉛(ZnAlOx)(以後AZO膜と呼ぶ)を用 ることができる。

 Ag膜および金属酸化物膜は、スパッタリ グ法で成膜することが好ましく、特に図3に すような、マグネトロンスパッタリング装 を用いて成膜することが好ましい。

 金属酸化物膜は、ターゲットに金属ター ットを用い、ガス導入管から酸素ガスを導 して成膜するか、あるいは、ターゲットに 成膜される酸化物と同じ酸化物ターゲット 用いて成膜することができる。

 以下、図面を参照しながら、本発明を実 例によって詳細に説明する。ただし、本発 は実施例に限定されるものではない。

 実施例1
 図2に示すような、板ガラス1に、第1金属酸 物膜10、第1Ag膜13、第2金属酸化物膜11、第2Ag 膜14、第3金属酸化物膜12を、図3に示すマグネ トロンスパッタリング装置を用いて、積層し 、低抵抗膜2を形成した。板ガラス1には、厚 3mmのソーダライムガラスを用いた。

 第1金属酸化物膜10として、厚み3mmのソー ライムガラス上にZnO膜を成膜した。ターゲ ト20にZnターゲットを用い、ソーダライムガ ラスを基板ホルダー22に保持させた後、真空 ャンバー23内を真空ポンプ25によって排気し た。成膜中、真空ポンプ25は連続して稼働さ た。

 真空チャンバー23内の雰囲気ガスは、ガ 導入管26より、酸素ガスを導入し、酸素ガス の流量をマスフローコントローラー27により 御して調整した。

 真空ポンプ25にはクライオポンプを用い 。成膜中の真空チャンバ-内の圧力は、マス ローコントローラー27により酸素ガス流量 60sccm以下に制御して圧力チャンバー23内に導 入して、圧力チャンバー23内の圧力を、所望 0.3Paに調節した。

 第1金属酸化物膜にはZnO膜を用い、32nmの 何学的膜厚で成膜した。ZnO膜の幾何学的な 厚は、板ガラスの搬送速度により調整した

 成膜したZnO膜の波長550nmにおける屈折率( 素屈折率の実数部)は2.1であり、第1金属酸 物10のZnO膜の光学的膜厚ndは67nmであった。

 次に、真空チャンバー23内の酸素ガスを 気した後、Arガスをガス導入管26からマスフ ーコントローラー27で制御して真空チャン ー23内に導入して、真空チャンバー23内をAr ス雰囲気にし、第1Ag膜13を成膜した。

 第1Ag膜は、Agターゲットをターゲット20に 用いて、第1金属酸化物膜(ZnO膜)の上に成膜し た。第1Ag膜の幾何学的膜厚は、14nmとした。

 第1Ag膜の成膜中、真空チャンバー内の圧 は、真空ポンプと開閉バルブによって0.5Pa した。

 次に、第1Ag膜の上に、ZnAl(Al4wt%含有ZnO)タ ゲットを用い、図2には図示しない、2nmの幾 何学的膜厚のZnAl膜を成膜した。

 ZnAl膜の成膜中、圧力チャンバー内のガス 雰囲気および圧力は、Ag膜の成膜と同様にし 。

 さらに、ZnAl膜の上に第2金属酸化物膜11と して、ZnO膜を182nmの光学的膜厚で成膜した。 膜条件は、板ガラス21の表面に成膜した第1 属酸化物膜10のZnO膜と同様にした。

 さらに、第2金属酸化物膜11の上に第2Ag膜1 4を14nmの幾何学的膜厚で成膜した。第2Ag膜14 成膜は、第1Ag膜と同様にして行った。

 次に、第2Ag膜の上に、ZnAl(Al4wt%含有ZnO)タ ゲットを用い、図2には図示しない、2nmの幾 何学的膜厚のZnAl膜を成膜した。成膜は、第1A g膜上に成膜したZnAl膜と同様にして行った。

 さらに、ZnAl膜の上に第3金属酸化物膜12と して、ZnO膜を72nmの光学的膜厚で成膜した。 膜は、板ガラスの表面に第1金属酸化物膜10 して成膜した、ZnO膜と同様にして行った。

 このようにして低抵抗膜2を形成した板ガ ラス1を用いて、図1に示すような複層ガラス 作製した。板ガラス1´には、厚み3mmのソー ライムガラスを用いた。

 複層ガラスの構成は、室外側から、低抵 膜2を形成した厚み3mmのソーダライムガラス 、空気層6mm、厚み3mmのソーダライムガラスと した。

 可視光透過率および日射熱取得率をJISR310 6:1998に準拠して算出した結果、可視光透過率 は69.3%であり、日射熱取得率は0.36であった。 また、垂直入射光の非膜面の反射色がCIEL*a*b* 色度座標図において、a*が-9.2、b*が-5.3であっ た。

 実施例2
 板ガラス1、1´に厚み6mmのソーダライムガラ スを用いた他は、全て実施例1と同様にして 層ガラスを作製した。

 板ガラス1を室外側にした時の、JISR3106:199 8に準拠して算出した可視光透過率は67.0%であ り、日射熱取得率は0.36であった。また、垂 入射光の非膜面の反射色は、a*が-9.3、b*が-6. 1であった。

 後述する、同じ厚み12mmのソーダライムガ ラスを用いた比較例6に比べ、実施例2の複層 ラスは、可視光透過率が高い。従って、本 発明の複層ガラスは、従来のAg膜が2層の遮 性能を有しながら、Ag膜が1層の可視光透過 よりも良いものが得られる。

 実施例3
 板ガラス1、1´に厚み12mmのソーダライムガ スを用いた他は、全て実施例1と同様にした

 板ガラス1を室外側にした時の、JISR3106:199 8に準拠して算出したところ、可視光透過率 63.7%であり、日射熱取得率は0.35であった。 た、垂直入射光の非膜面の反射色は、a*が-10 .5、b*が-5.6であった。

 実施例4
 板ガラス1、1´に厚み6mmの可視光透過率が91% の高透過ガラスを用いた他は、全て実施例1 同様にした。

 板ガラス1を室外側にした時の、JISR3106:199 8に準拠して算出したところ、可視光透過率 69.9%であり、日射熱取得率は0.35であった。 た、垂直入射光の非膜面の反射色はa*が-11.2 b*が-6.6であった。

 実施例5
 板ガラス1に厚み6mmの可視光透過率が91%の高 透過ガラスを用い、板ガラス1´に厚み12mmの 視光透過率が90%の高透過ガラスを用いた他 、全て実施例1と同様にした。

 板ガラス1を室外側にした時の、JISR3106:199 8に準拠して算出したところ、可視光透過率 69.2%であり、日射熱取得率は0.34であった。 た、垂直入射光の非膜面の反射色は、a*が-11 .2、b*が-6.6であった。

 実施例6
 板ガラス1に、実施例5と同様の、厚み6mmの 透過ガラスを用い、第1金属酸化物膜10とし 、板ガラス1にSnO 2 膜を成膜し、次いでSnO 2 膜の上にZnO膜を成膜した。

 SnO 2 膜の成膜は、ターゲット20にSnターゲットを い、高透過ガラスを基板ホルダー22に保持さ せた後、真空チャンバー23内を真空ポンプ25 よって排気した。成膜中、真空ポンプ25は連 続して稼働させた。

 真空チャンバー23内の雰囲気ガスは、ガ 導入管26より、酸素ガスを導入し、酸素ガス の流量をマスフローコントローラー27により 御して調整した。

 真空ポンプ25にはクライオポンプを用い 。成膜中の真空チャンバ-内の圧力は、マス ローコントローラー27により酸素ガス流量 60sccm以下に制御して圧力チャンバー23内に導 入して、圧力チャンバー23内の圧力を、所望 0.3Paに調節した。

 ZnO膜の成膜は、ターゲット20にZnターゲット を用い、SnO 2 膜を成膜した高透過ガラスを基板ホルダー22 保持し、SnO 2 膜の成膜と同様に、マスフローコントローラ ー27により酸素ガス流量を60sccm以下に制御し 圧力チャンバー23内の圧力を、所望の0.3Paに 調節して行った。

 第1金属酸化物膜10として成膜したSnO 2 膜の光学的膜厚は46.2nm、ZnO膜の光学的膜厚は 21nmとした。

 第1金属酸化物膜10の上に、幾何学的厚み 14nmの第1Ag膜13を、実施例1と同様にして成膜 した。

 第2金属酸化物膜11として、光学的膜厚が119. 1nmのSnO 2 膜と光学的膜厚が63nmのZnO膜を用いた。第2金 酸化物膜11の成膜は、第1金属酸化物膜10と 様にして行った。

 第2金属酸化物膜11の上に、第1Ag膜13と同 に幾何学的厚みが14nmの第2Ag膜14を成膜し、 1Ag膜13と第2Ag膜14との幾何学的厚みの合計を2 8nmとした。

 第2Ag膜14の上に第3金属酸化物膜12として 光学的膜厚が71.8nmのZnO膜を成膜した。成膜 法は、第1金属酸化物膜10のZnO膜と同様にし 。

 板ガラス1´に厚み6mmの高透過ガラスを用 、図1に示すような複層ガラスを作製した。

 この複層ガラスの可視光透過率および日 熱取得率をJISR3106:1998に準拠して算出した結 果、可視光透過率は71.6%であり、日射熱取得 は0.36であった。また、垂直入射光の非膜面 の反射色がCIEL*a*b*色度座標図において、a*が- 7.8、b*が-3.4であった。

 比較例1
 厚み3mmの板ガラス1に形成した低抵抗膜の構 成は、第1金属酸化物膜10に、光学的膜厚が50n mのZnO膜を用い、第2金属酸化物膜11に、光学 膜厚が191nmのZnO膜を用い、第3金属酸化物膜12 に、光学的膜厚が80nmのZnO膜を用い、さらに 第1Ag膜13と第2Ag膜14との幾何学的厚みの合計 31nmとした。

 第1金属酸化物膜10、第2金属酸化物膜11お び第3金属酸化物膜12のZnO膜の成膜は、ター ット20にZnターゲットを用い、真空チャンバ ー23内の排気を、真空ポンプ25を連続して稼 させて、真空チャンバー23内の雰囲気ガスは 、ガス導入管26より、酸素ガスを導入し、酸 ガスの流量をマスフローコントローラー27 より100sccm以下に制御して調整し、圧力チャ バー23内の圧力を、1.0~1.2Paに調節して、行 た。また、第1Ag膜13と第2Ag膜は、実施例1と 様の成膜方法で成膜した。

 厚み3mmの板ガラス1´にソーダライムガラ を用い、実施例1と同様にして、図1に示す 層ガラスを作製した。

 この複層ガラスの可視光透過率および日 熱取得率をJISR3106:1998に準拠して算出した結 果、可視光透過率は60.4%であり、日射熱取得 は0.35であった。また、垂直入射光の非膜面 の反射色がCIEL*a*b*色度座標図において、a*が- 3.0、b*が-9.3であった。

 比較例2
 板ガラス1、1´に厚み6mmの可視光透過率が91% の高透過ガラスを用いた他は、全て比較例1 同様にして複層ガラスを作製した。

 板ガラス1を室外側にした時の、JISR3106:199 8に準拠して算出した可視光透過率は62.2%であ り、日射熱取得率は0.35であった。また、垂 入射光の非膜面の反射色は、a*が-2.4、b*が-10 .0であった。

 比較例3
 板ガラス1、1´に厚み12mmのソーダライムガ スを用いた他は、全て比較例1と同様にして 層ガラスを作製した。

 板ガラス1を室外側にした時の、JISR3106:199 8に準拠して算出した可視光透過率は56.5%であ り、日射熱取得率は0.35であった。また、垂 入射光の非膜面の反射色は、a*が-1.97、b*が-9 .40であった。

 比較例4
 板ガラス1、1´に厚み10mmのソーダライムガ スを用い、第1金属酸化物膜10に、光学的膜 が61nmのZnO膜を用い、第2金属酸化物膜11に、 学的膜厚が221nmのZnO膜を用い、第3金属酸化 膜12に、光学的膜厚が69nmのZnO膜を用い、さ に、第1Ag膜13と第2Ag膜14との幾何学的厚みの 合計を22nmとして、比較例1と同様の成膜方法 成膜し、その他は実施例1と同様にして、図 1に示す複層ガラスを作製した。

 板ガラス1を室外側にした時の、JISR3106:199 8に準拠して算出した可視光透過率は61.5%であ り、日射熱取得率は0.37であった。また、垂 入射光の非膜面の反射色は、a*が-6.50、b*が1. 70であった。

 比較例5
 板ガラス1、1´に厚み12mmのソーダライムガ スを用いた他は、全て比較例4と同様にして 図1に示す複層ガラスを作製した。

 板ガラス1を室外側にした時の、JISR3106:199 8に準拠して算出した可視光透過率は60.3%であ り、日射熱取得率は0.37であった。また、垂 入射光の非膜面の反射色は、a*が-6.50、b*が1. 70であった。

 比較例6
 板ガラス1、1´に厚み12mmのソーダライムガ スを用い、第1金属酸化物膜10に、光学的膜 が48nmのZnO膜を用い、第2金属酸化物膜11に、 学的膜厚が139nmのZnO膜を用い、さらに、第1A g膜13の幾何学的厚みを12nmとし、第3金属酸化 膜および第2Ag膜は成膜せずに、図1に示す複 層ガラスを作製した。

 第1、第2金属酸化物膜および第1Ag膜の成 方法は比較例1と同様にして行った。

 板ガラス1を室外側にした時の、JISR3106:199 8に準拠して算出した可視光透過率は65.5%であ るが、日射熱取得率は0.48で、遮熱性の劣る のあった。また、垂直入射光の非膜面の反 色は、a*が-2.38、b*が-16.79であった。

 表1に、実施例1~5及び比較例1~5の低抵抗膜の 膜構成を、また、表2に実施例1~5及び比較例1~ 5の、JISR3106:1998に準拠した可視光透過率、日 熱取得率および反射色を示す。

 表3は、実施例と比較例で成膜したZnO膜の、 CuKα線を用いたX線回折法による、ZnO膜の(002) 晶面による回折ピークの回折角度と抵抗膜 表面抵抗の値を示す。

 実施例1~6の回折角は全て33.9°以下であり 比較例では33.9°より大きいものであった。

 実施例の低抵抗膜の表面抵抗は、第1Ag膜 厚みと第2Ag膜の厚みとの合計t2は28nmで、3.4- 0.04×t2の値2.28に対し、いずれも低い抵抗値で あった。

 比較例1~3の低抵抗膜の表面抵抗は、第1Ag の厚みと第2Ag膜の厚みとの合計t2は31nmで、3 .4-0.04×t2の値2.16に対し、いずれも高い抵抗値 であった。

 また、比較例4、5の低抵抗膜の表面抵抗 、第1Ag膜の厚みと第2Ag膜の厚みとの合計t2は 22nmで、3.4-0.04×t2の値2.52に対し、いずれも高 抵抗値であった。

 図4に示されるとおり、実施例1~6の可視光 透過率の値は、「70.0-0.3×t1」で表される直線 よりも高かったのに対して、比較例1~5の可視 光透過率の値は該直線よりも低かった。