Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
FLUORINE-CONTAINING POLYCYCLIC AROMATIC COMPOUND, FLUORINE-CONTAINING POLYMER, ORGANIC THIN FILM AND ORGANIC THIN FILM DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/111461
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a fluorine-containing polycyclic aromatic compound represented by the general formula (I) below. This fluorine-containing polycyclic aromatic compound is a novel compound which is applicable as an organic n-type semiconductor having excellent electron transport property. (In the formula (I), Ar1 and Ar2 independently represent an aromatic hydrocarbon group having 6 or more carbon atoms or a heterocyclic group having 4 or more carbon atoms; R1, R2, R3 and R4 independently represent a hydrogen atom, a halogen atom or the like; R5 and R6 independently represent a hydrogen atom or an optionally substituted monovalent organic group; and s1 and t1 independently represent an integer of not less than 2. In this connection, at least one of R5 and R6 is a monovalent organic group wherein at least one of hydrogen atoms including one in a substituent is substituted by a fluorine atom.)

Inventors:
IE YUTAKA (JP)
ASO YOSHIO (JP)
NITANI MASASHI (JP)
UEDA MASATO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/053968
Publication Date:
September 18, 2008
Filing Date:
March 05, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
SUMITOMO CHEMICAL CO (JP)
IE YUTAKA (JP)
ASO YOSHIO (JP)
NITANI MASASHI (JP)
UEDA MASATO (JP)
International Classes:
C07C25/22; C07C49/813; C08G61/12; G01N21/27; H01L31/04
Domestic Patent References:
WO2006015862A12006-02-16
WO2003010778A12003-02-06
Foreign References:
JP2004339516A2004-12-02
JP2001247498A2001-09-11
JP2004107257A2004-04-08
US20040186266A12004-09-23
US20040183068A12004-09-23
EP1279689A22003-01-29
JP2004339516A2004-12-02
JP2005235923A2005-09-02
JPH06135869A1994-05-17
JPH05110069A1993-04-30
JP2004006476A2004-01-08
Other References:
CHEMISTRY LETTERS, vol. 36, no. 11, 2007, pages 1326 - 1327, XP008117616
PAOLO COPPO ET AL., J. MAT. COMMUN., vol. 12, no. 9, 2002, pages 2597
JACOB, JOSEMON ET AL., J. AMERICAN CHEM. SOC., vol. 126, no. 22, 2004, pages 6987
"Organic Reactions", vol. 35, 1988, article "Fluorination with DAST", pages: 315
BULL. SOC. CHIM. FR., vol. 910, 1986
See also references of EP 2133321A4
Attorney, Agent or Firm:
HASEGAWA, Yoshiki et al. (Ginza First Bldg. 10-6, Ginza 1-chome, Chuo-k, Tokyo 61, JP)
Download PDF:
Claims:
 下記一般式(I)で表される含フッ素多環芳香族化合物。
[式(I)中、
 Ar 1 及びAr 2 は各々独立に、炭素数6以上の芳香族炭化水素基又は炭素数4以上の複素環基を示し、
 R 1 、R 2 、R 3 及びR 4 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又は1価の基を示し、
 R 5 及びR 6 は各々独立に、水素原子又は置換基で置換されていてもよい1価の有機基(当該1価の有機基は、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基及び複素環基から選ばれ、当該1価の有機基において、置換基を含め全水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換されていてもよい。)を示し、
 s 1 及びt 1 は各々独立に、2以上の整数を示す。
 但し、R 5 及びR 6 の少なくとも1つは、置換基を含め全水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換された前記1価の有機基である。
 また、複数存在するR 5 は同一でも異なっていてもよく、複数存在するR 6 は同一でも異なっていてもよい。]
 前記一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(II)で表される化合物である、請求項1記載の含フッ素多環芳香族化合物。
[式(II)中、
 R 1 、R 2 、R 3 、R 4 、R 5 及びR 6 は、前記と同義であり、
 Z 1 及びZ 2 は各々独立に、下記式(i)~(ix)で表される基のいずれかを示す。
 但し、R 5 及びR 6 の少なくとも1つは、置換基を含め全水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換された前記1価の有機基である。
 また、R 7 、R 8 、R 9 及びR 10 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又は1価の基を示し、R 7 とR 8 とは互いに結合して環を形成していてもよい。更に、下記式(ii)で表される基は左右反転していてもよい。]
 前記Z 1 及び前記Z 2 が、前記式(i)で表される基である、請求項2記載の含フッ素多環芳香族化合物。
 前記R 1 及び前記R 2 が、フッ素原子である、請求項1~3のいずれか一項に記載の含フッ素多環芳香族化合物。
 下記一般式(III)で表される繰り返し単位を有する含フッ素重合体。
[式(III)中、
 Ar 1 及びAr 2 は各々独立に、炭素数6以上の芳香族炭化水素基又は炭素数4以上の複素環基を示し、
 R 1 、R 2 、R 3 及びR 4 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又は1価の基を示し、
 R 5 及びR 6 は各々独立に、水素原子又は置換基で置換されていてもよい1価の有機基(当該1価の有機基は、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基及び複素環基から選ばれ、当該1価の有機基において、置換基を含め全水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換されていてもよい。)を示し、
 s 2 及びt 2 は各々独立に、1以上の整数を示す。
 また、s 2 が2以上の場合、複数存在するR 5 は同一でも異なっていてもよく、t 2 が2以上の場合、複数存在するR 6 は同一でも異なっていてもよい。]
 前記一般式(III)で表される繰り返し単位が、下記一般式(IV)で表される繰り返し単位である、請求項5記載の含フッ素重合体。
[式(IV)中、
 R 1 、R 2 、R 3 、R 4 、R 5 及びR 6 は、前記と同義であり、
 Z 1 及びZ 2 は各々独立に、下記式(i)~(ix)で表される基のいずれかを示す。
 R 7 、R 8 、R 9 及びR 10 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又は1価の基を示し、R 7 とR 8 とは互いに結合して環を形成していてもよい。なお、下記式(ii)で表される基は左右反転していてもよい。]
 前記Z 1 及び前記Z 2 が、前記式(i)で表される基である、請求項6記載の含フッ素
重合体。
 前記一般式(III)で表される繰り返し単位の少なくとも1つと、下記一般式(V)で表される繰り返し単位の少なくとも1つとを有する、請求項5~7のいずれか一項に記載の含フッ素重合体。
[式(V)中、Ar 3 は、2価の芳香族炭化水素基又は2価の複素環基(これらの基は置換基で置換されていてもよい。)を示す。]
 前記Ar 3 が、下記一般式(VI)で表される基である、請求項8記載の含フッ素重合体。
[式(VI)中、
 R 11 及びR 12 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又は1価の基を示し、Z 3 は、下記式(i)~(ix)で表される基のいずれかを示す。但し、R 11 とR 12 とは互いに結合して環を形成していてもよい。
 R 7 、R 8 、R 9 及びR 10 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又は1価の基を示し、R 7 とR 8 とは互いに結合して環を形成していてもよい。なお、下記式(ii)で表される基は左右反転していてもよい。]
 前記Z 3 は、前記式(v)で表される基である、請求項9記載の含フッ素重合体。
 前記R 1 及び前記R 2 は、フッ素原子である、請求項5~10のいずれか一項に記載の含フッ素重合体。
 請求項1~4のいずれか一項に記載の含フッ素多環芳香族化合物、及び/又は、請求項5~11のいずれか一項に記載の含フッ素重合体を含む、有機薄膜。
 真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法、フレキソ印刷法、ノズルコート法又はキャピラリーコート法により形成される請求項12記載の有機薄膜。
 請求項12又は13に記載の有機薄膜を備える有機薄膜素子。
 ソース電極及びドレイン電極と、これら電極の間の電流経路となる有機半導体層と、前記電流経路を通る電流量を制御するゲート電極と、を備えた有機薄膜トランジスタであって、前記有機半導体層が請求項12又は13に記載の有機薄膜を備える有機薄膜トランジスタ。
 請求項12又は13に記載の有機薄膜を備える有機太陽電池。
 請求項12又は13に記載の有機薄膜を備える光センサ。
Description:
含フッ素多環芳香族化合物、含 ッ素重合体、有機薄膜及び有機薄膜素子

 本発明は、含フッ素多環芳香族化合物、 フッ素重合体、有機薄膜及び有機薄膜素子 関する。

 電子輸送性又はホール輸送性を有する有 材料を含む薄膜は、有機薄膜トランジスタ 有機太陽電池、光センサ等の有機薄膜素子 の応用が期待されているが、有機p型半導体 (ホール輸送性を示す)に比べ、有機n型半導体 (電子輸送性を示す)が得難いことから、有機n 型半導体の開発が種々検討されている。

 フルオロアルキル基を導入したπ共役化 物は電子受容性が増加するため、有機n型半 体等の電子輸送性材料への展開が見込まれ 化合物である。この観点から、近年、チオ ェン環にフルオロアルキル基を導入した化 物の研究が盛んに行われている(特許文献1~4 )。

 一方、分子構造の平面性を向上させるた 、架橋した構造を有するポリチオフェンや ダー型のフルオレンが種々検討されている( 非特許文献1、2及び特許文献5)。

 また、平面性の高いペンタセンをフッ素化 たテトラフルオロペンタセン等が、有機n型 半導体として検討されている(特許文献6)。

米国特許出願公開第2004/186266号明細書

米国特許出願公開第2004/183068号明細書

国際公開第2003/010778号パンフレット

欧州特許出願公開第1279689号明細書

特開2004-339516号公報

特開2005-235923号公報 Paolo Coppo et al., J. Mat. Commun. 2002, 12(9 ), 2597. Jacob, Josemon et al., J. American Chem. Soc.  2004, 126(22), 6987.

 しかし、上述したような公知の材料では 有機n型半導体としての性能が十分であると は言い難く、さらに電子輸送性が向上した有 機n型半導体が求められている。

 そこで、本発明の目的は、電子輸送性の れた有機n型半導体として利用可能な新規化 合物及び新規重合体を提供することにある。 本発明の目的はまた、この新規化合物及び/ は新規重合体を含有する有機薄膜、並びに の有機薄膜を備える有機薄膜素子を提供す ことにある。

 上記目的を達成するために、本発明は、下 一般式(I)で表される含フッ素多環芳香族化 物を提供する。
 式(I)中、Ar 1 及びAr 2 は各々独立に、炭素数6以上の芳香族炭化水 基又は炭素数4以上の複素環基を示し、R 1 、R 2 、R 3 及びR 4 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又は 1価の基を示し、R 5 及びR 6 は各々独立に、水素原子又は置換基で置換さ れていてもよい1価の有機基(当該1価の有機基 は、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、 アリール基、アリールオキシ基、アリールア ルキル基、アリールアルコキシ基及び複素環 基から選ばれ、当該1価の有機基において、 換基を含め全水素原子の少なくとも1つがフ 素原子で置換されていてもよい。)を示し、 s 1 及びt 1 は各々独立に、2以上の整数を示す。但し、R 5 及びR 6 の少なくとも1つは、置換基を含め全水素原 の少なくとも1つがフッ素原子で置換された 記1価の有機基である。また、複数存在する R 5 は同一でも異なっていてもよく、複数存在す るR 6 は同一でも異なっていてもよい。
 なお、Ar 1 が、炭素数6以上の芳香族炭化水素基である は、式(I)中における「Ar 1 」の記号を取り囲む環が全体として炭素数6 上の芳香族炭化水素基を形成していること いい(Ar 2 についても同様である)、Ar 1 が、炭素数4以上の複素環基であるとは、式(I )中における「Ar 1 」の記号を取り囲む環が全体として炭素数4 上の複素環基を形成していることをいう(Ar 2 についても同様である)。
 また、s 1 及びt 1 の値については以下のように考えることがで きる。Ar 1 が、炭素数6以上の芳香族炭化水素基である 合、s 1 が0と仮定したときの当該基における炭素に 合した水素の総数を計算する。その値がN1 all であるならば、s 1 =N1 all となる(Ar 1 が、炭素数4以上の複素環基である場合も同 である)。また、Ar 2 が、炭素数6以上の芳香族炭化水素基である 合、t 1 が0と仮定したときの当該基における炭素に 合した水素の総数を計算する。その値がM1 all であるならば、t 1 =M1 all となる(Ar 2 が、炭素数4以上の複素環基である場合も同 である)。したがって、s 1 及びt 1 の値は、炭素数6以上の芳香族炭化水素基又 炭素数4以上の炭素に結合した水素数にした って一義的に決定できる。

 本発明はまた、下記一般式(III)で表される り返し単位を有する含フッ素重合体を提供 る。
 式(III)中、Ar 1 及びAr 2 は各々独立に、炭素数6以上の芳香族炭化水 基又は炭素数4以上の複素環基を示し、R 1 、R 2 、R 3 及びR 4 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又は 1価の基を示し、R 5 及びR 6 は各々独立に、水素原子又は置換基で置換さ れていてもよい1価の有機基(当該1価の有機基 は、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、 アリール基、アリールオキシ基、アリールア ルキル基、アリールアルコキシ基及び複素環 基から選ばれ、当該1価の有機基において、 換基を含め全水素原子の少なくとも1つがフ 素原子で置換されていてもよい。)を示し、 s 2 及びt 2 は各々独立に、1以上の整数を示す。また、s 2 が2以上の場合、複数存在するR 5 は同一でも異なっていてもよく、t 2 が2以上の場合、複数存在するR 6 は同一でも異なっていてもよい。
 なお、Ar 1 が、炭素数6以上の芳香族炭化水素基である は、式(III)中における「Ar 1 」の記号を取り囲む環が全体として炭素数6 上の芳香族炭化水素基を形成していること いい(Ar 2 についても同様である)、Ar 1 が、炭素数4以上の複素環基であるとは、式(I II)中における「Ar 1 」の記号を取り囲む環が全体として炭素数4 上の複素環基を形成していることをいう(Ar 2 についても同様である)。
 また、s 2 及びt 2 の値については以下のように考えることがで きる。Ar 1 が、炭素数6以上の芳香族炭化水素基である 合、s 2 が0と仮定したときの当該基における炭素に 合した水素の総数を計算する。その値がN2 all であるならば、s 2 =N2 all となる(Ar 1 が、炭素数4以上の複素環基である場合も同 である)。また、Ar 2 が、炭素数6以上の芳香族炭化水素基である 合、t 2 が0と仮定したときの当該基における炭素に 合した水素の総数を計算する。その値がM2 all であるならば、t 2 =M2 all となる(Ar 2 が、炭素数4以上の複素環基である場合も同 である)。したがって、s 2 及びt 2 の値は、炭素数6以上の芳香族炭化水素基又 炭素数4以上の炭素に結合した水素数にした って一義的に決定できる。

 このような骨格を備えた含フッ素多環芳 族化合物及び含フッ素重合体は、環同士の 共役平面性が良好であるとともに、フッ素 子の導入により十分に低いLUMOを示すことが き、電子輸送性に優れた有機n型半導体とし て利用可能である。また、これらの含フッ素 多環芳香族化合物及び含フッ素重合体は、化 学的に安定で、有機溶剤への溶解性が優れて いるため、これらを用いて薄膜を形成するこ とで、性能の優れた有機薄膜素子が製造可能 となる。

 本発明は更に、上記含フッ素多環芳香族 合物及び/又は含フッ素重合体を含む有機薄 膜、並びに、当該有機薄膜を備える有機薄膜 素子を提供する。

 かかる有機薄膜及び有機薄膜素子は、本 明の含フッ素多環芳香族化合物や含フッ素 合体を含有するため、十分に低いLUMOを有し 、優れた電子輸送性を示す。

 本発明によれば、電子輸送性の優れた有 n型半導体として利用可能な新規の含フッ素 多環芳香族化合物及び新規の含フッ素重合体 を提供することができる。また、この含フッ 素多環芳香族化合物や含フッ素重合体を含む 有機薄膜、並びに、この有機薄膜を備える有 機薄膜素子を提供することができる。また、 前記含フッ素多環芳香族化合物及び含フッ素 重合体は電子輸送性に優れることから、前記 有機薄膜を備える有機薄膜トランジスタは、 通常、良好なId-Vg特性を示し、有機薄膜太陽 池は、通常、優れた電圧-電流特性を示し、 光センサは、通常、良好な光電流と暗電流と の比を示す。

第1実施形態に係る有機薄膜トランジス タの模式断面図である。 第2実施形態に係る有機薄膜トランジス タの模式断面図である。 第3実施形態に係る有機薄膜トランジス タの模式断面図である。 第4実施形態に係る有機薄膜トランジス タの模式断面図である。 第5実施形態に係る有機薄膜トランジス タの模式断面図である。 第6実施形態に係る有機薄膜トランジス タの模式断面図である。 第7実施形態に係る有機薄膜トランジス タの模式断面図である。 実施形態に係る太陽電池の模式断面図 ある。 第1実施形態に係る光センサの模式断面 図である。 第2実施形態に係る光センサの模式断 図である。 第3実施形態に係る光センサの模式断 図である。 一般式(IV)で表される繰り返し単位の と一般式(VI)で表される繰り返し単位の環と なす二面角を表す図である。

符号の説明

 1…基板、2…活性層、2a…活性層、3…絶 層、4…ゲート電極、5…ソース電極、6…ド イン電極、7a…第1の電極、7b…第2の電極、8 電荷発生層、100…第1実施形態に係る有機薄 膜トランジスタ、110…第2実施形態に係る有 薄膜トランジスタ、120…第3実施形態に係る 機薄膜トランジスタ、130…第4実施形態に係 る有機薄膜トランジスタ、140…第5実施形態 係る有機薄膜トランジスタ、150…第6実施形 に係る有機薄膜トランジスタ、160…第7実施 形態に係る有機薄膜トランジスタ、200…実施 形態に係る太陽電池、300…第1実施形態に係 光センサ、310…第2実施形態に係る光センサ 320…第3実施形態に係る光センサ。

 以下、場合により図面を参照しつつ、本 明の好適な実施形態について詳細に説明す 。なお、図面中、同一要素には同一符号を すこととし、重複する説明は省略する。ま 、上下左右等の位置関係は、特に断らない り、図面に示す位置関係に基づくものとす 。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限 れるものではない。

 本発明の含フッ素多環芳香族化合物は、 記一般式(I)で表される構造を有している。

 上記一般式(I)において、Ar 1 及びAr 2 は各々独立に、炭素数6以上の芳香族炭化水 基又は炭素数4以上の複素環基を表し、1又は 複数の任意の置換基で置換されていてもよく 、R 1 、R 2 、R 3 及びR 4 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又は 1価の基を表す。R 5 及びR 6 は各々独立に、水素原子又は1価の有機基を し、この有機基は1又は複数の任意の置換基 置換されていてもよく、置換基を含め全水 原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換さ れていてもよい。但し、R 5 及びR 6 の少なくとも1つは、置換基を含め全水素原 の少なくとも1つがフッ素原子で置換された 記1価の有機基である。また、この有機基は 、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、ア リール基、アリールオキシ基、アリールアル キル基、アリールアルコキシ基及び1価の複 環基であることが好ましい。s 1 及びt 1 は各々独立に、2以上の整数を示す。また、Ar 1 及びAr 2 は同一でも異なっていてもよいが、製造上の 容易さからは、Ar 1 及びAr 2 は同一であることが好ましい。また、複数存 在するR 5 は同一でも異なっていてもよく、複数存在す るR 6 は同一でも異なっていてもよい。

 また、上記一般式(I)で表される化合物は、 記一般式(II)で表される化合物であることが 好ましい。

 上記一般式(II)において、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 、R 5 及びR 6 は、前記と同義であり、Z 1 及びZ 2 は各々独立に、下記式(i)~(ix)で表される基の ずれかである。但し、R 5 及びR 6 の少なくとも1つは、置換基を含め全水素原 の少なくとも1つがフッ素原子で置換された 記1価の有機基である。また、R 7 、R 8 、R 9 及びR 10 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又は 1価の基を表し、R 7 とR 8 とは互いに結合して環を形成していてもよい 。更に、下記式(ii)で表される基は左右反転 ていてもよい。

 また、本発明の含フッ素重合体は、上記一 式(III)で表される繰り返し単位を有してい 。すなわち、本発明の含フッ素重合体は、 記一般式(III)で表される繰り返し単位を(例 ば後述の一般式(IV)で表される繰り返し単位 して)1以上、好ましくは2以上有しており、 の繰り返し単位を有するものであってもよ 。含フッ素重合体中には、R 1 、R 2 、R 3 及びR 4 が複数個存在するが、これらは、それぞれ同 一であっても異なっていてもよい。なお、製 造上の容易さからは、複数存在するR 1 、R 2 、R 3 及びR 4 のそれぞれは同一であることが好ましい。

 上記一般式(III)において、Ar 1 及びAr 2 は各々独立に、炭素数6以上の芳香族炭化水 基又は炭素数4以上の複素環基を表し、1又は 複数の任意の置換基で置換されていてもよく 、R 1 、R 2 、R 3 及びR 4 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又は 1価の基を表す。R 5 及びR 6 は各々独立に、水素原子又は1価の有機基を し、この有機基は1又は複数の任意の置換基 置換されていてもよく、置換基を含め全水 原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換さ れていてもよい。この有機基は、アルキル基 、アルコキシ基、アシル基、アリール基、ア リールオキシ基、アリールアルキル基、アリ ールアルコキシ基及び1価の複素環基である とが好ましい。s 2 及びt 2 は各々独立に、1以上の整数を示す。また、Ar 1 及びAr 2 は同一でも異なっていてもよいが、製造上の 容易さからは、Ar 1 及びAr 2 は同一であることが好ましい。また、s 2 が2以上の場合、複数存在するR 5 は同一でも異なっていてもよく、t 2 が2以上の場合、複数存在するR 6 は同一でも異なっていてもよい。

 上記一般式(III)で表される繰り返し単位は 下記一般式(IV)で表される繰り返し単位であ ことが好ましい。このような繰り返し単位 有することで、電子輸送性に特に優れた有 n型半導体として利用可能となる。

 上記一般式(IV)において、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 、R 5 及びR 6 は、前記と同義であり、Z 1 及びZ 2 は各々独立に、上記式(i)~(ix)で表される基の ずれかを示す。R 7 、R 8 、R 9 及びR 10 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又は 1価の基を示し、R 7 とR 8 とは互いに結合して環を形成していてもよい 。更に、上記式(ii)で表される基は左右反転 ていてもよい。

 本発明の含フッ素重合体は、一分子中に 上記一般式(III)で表される繰り返し単位と て、異なる複数種の繰り返し単位を有して ても、一種の繰り返し単位を有していても いが、製造上の容易さを考慮すると、一種 繰り返し単位を有することが好ましい。

 本発明の含フッ素重合体は、上記一般式(III )で表される繰り返し単位の少なくとも1つと 上記一般式(III)で表される繰り返し単位と 異なる下記一般式(V)で表される繰り返し単 の少なくとも1つとを有することが好ましく 上記一般式(III)で表される繰り返し単位の なくとも1つと、下記一般式(VI)で表される繰 り返し単位の少なくとも一つとを有すること が更に好ましい。このような構成にすること により、溶解性、機械的、熱的又は電子的特 性を変化させ得る範囲が広くなる。なお、下 記一般式(V)中、Ar 3 は、2価の芳香族炭化水素基又は2価の複素環 (これらの基は置換基で置換されていてもよ い)を示す。一般式(III)で表される繰り返し単 位(好ましくは上記一般式(IV)で表される繰り し単位)と、一般式(V)で表される繰り返し単 位(好ましくは下記一般式(VI)で表される繰り し単位)との比率は、好ましくは、前者100モ ルに対して後者10~1000モルであり、より好ま くは、前者100モルに対して後者25~400モルで り、さらに好ましくは、前者100モルに対し 後者50~200モルである。

 この場合において、Ar 3 は、下記一般式(VI)で表される基であると好 である。このような繰り返し単位を有する とで、溶解性又は電子的特性を制御しやす なる。式中、Z 3 は、Z 1 又はZ 2 と同一又は異なり、上記式(i)~(ix)で表される のいずれかである。また、R 11 及びR 12 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又は 1価の基を示し、R 11 とR 12 とは互いに結合して環を形成していてもよい 。但し、R 7 、R 8 、R 9 及びR 10 は、上記と同義である。

 一般式(I)において、Ar 1 で表される炭素数6以上の芳香族炭化水素基 は、炭素数6以上のベンゼン環又は縮合環か (2+s 1 )個の水素原子を除いた残りの原子団をいい Ar 2 で表される炭素数6以上の芳香族炭化水素基 は、炭素数6以上のベンゼン環又は縮合環か (2+t 1 )個の水素原子を除いた残りの原子団をいう また、一般式(III)において、Ar 1 で表される炭素数6以上の芳香族炭化水素基 は、炭素数6以上のベンゼン環又は縮合環か (3+s 2 )個の水素原子を除いた残りの原子団をいい Ar 2 で表される炭素数6以上の芳香族炭化水素基 は、炭素数6以上のベンゼン環又は縮合環か (3+t 2 )個の水素原子を除いた残りの原子団をいう 以上述べた基の炭素数は通常6~60、好ましく 6~20である。縮合環としては、例えば、ナフ タレン環、アントラセン環、ピレン環、ペリ レン環、フルオレン環が挙げられる。なお、 芳香族炭化水素基上に置換基を有していても よい。ここで、芳香族炭化水素基の炭素数に は、置換基の炭素数は含まれない。なお、置 換基としては、ハロゲン原子、飽和若しくは 不飽和炭化水素基、アリール基、アルコキシ 基、アリールオキシ基、1価の複素環基、ア ノ基、ニトロ基、シアノ基が挙げられる。

 一般式(I)において、Ar 1 で表される炭素数4以上の複素環基とは、複 環式化合物から(2+s 1 )個の水素原子を除いた残りの原子団をいい Ar 2 で表される炭素数4以上の複素環基とは、複 環式化合物から(2+t 1 )個の水素原子を除いた残りの原子団をいう また、一般式(III)において、Ar 1 で表される炭素数4以上の複素環基とは、複 環式化合物から(3+s 2 )個の水素原子を除いた残りの原子団をいい Ar 2 で表される炭素数4以上の複素環基とは、複 環式化合物から(3+t 2 )個の水素原子を除いた残りの原子団をいう 以上述べた基の炭素数は、通常4~60、好まし は4~20である。なお、複素環基上に置換基を 有していてもよく、複素環基の炭素数には、 置換基の炭素数は含まれない。なお、置換基 としては、ハロゲン原子、飽和若しくは不飽 和炭化水素基、アリール基、アルコキシ基、 アリールオキシ基、1価の複素環基、アミノ 、ニトロ基、シアノ基が挙げられる。

 Ar 3 で表される2価の芳香族炭化水素基とは、ベ ゼン環又は縮合環から水素原子2個を除いた りの原子団をいい、通常、炭素数6~60、好ま しくは6~20である。縮合環としては、例えば ナフタレン環、アントラセン環、テトラセ 環、ペンタセン環、ピレン環、ペリレン環 フルオレン環が挙げられる。これらの中で ベンゼン環又はフルオレン環から水素原子2 を除いた残りの原子団が特に好ましい。な 、芳香族炭化水素基上に置換基を有してい もよい。ここで、2価の芳香族炭化水素基の 炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。 なお、置換基としては、ハロゲン原子、飽和 若しくは不飽和炭化水素基、アリール基、ア ルコキシ基、アリールオキシ基、1価の複素 基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基が挙げ れる。

 また、Ar 3 で表される2価の複素環基とは、複素環式化 物から水素原子2個を除いた残りの原子団を い、炭素数は、通常4~60、好ましくは4~20で る。前記複素環式化合物としては、チオフ ン環、チエノチオフェン環、ジチエノチオ ェン環等のチオフェン環が2~6個縮環した化 物、チアゾール環、ピロール環、ピリジン 、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン が挙げられ、チオフェン環、チエノチオフ ン環、ジチエノチオフェン環等のチオフェ 環が2~6個縮環した化合物が好ましい。なお 2価の複素環基上に置換基を有していてもよ 、2価の複素環基の炭素数には、置換基の炭 素数は含まれない。なお、置換基としては、 ハロゲン原子、飽和若しくは不飽和炭化水素 基、アリール基、アルコキシ基、アリールオ キシ基、1価の複素環基、アミノ基、ニトロ 、シアノ基が挙げられる。

 ここで、複素環式化合物とは、環式構造 もつ有機化合物のうち、環を構成する元素 炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、 ン、ホウ素、ケイ素等のヘテロ原子を環内 含むものをいう。

 一般式(II)及び(IV)中のZ 1 及びZ 2 は、例えば、上記式(i)~(v)で表される基のい れかで表されることが好ましく、式(i)、(iii) 、(v)のいずれかで表されることがより好まし く、式(i)で表されることが特に好ましい。一 般式(VI)中のZ 3 は、例えば、上記式(i)~(v)で表される基のい れかで表されることが好ましく、式(i)、(iii) 、(v)のいずれかで表されることがより好まし く、式(v)で表されることが特に好ましい。チ オフェン環、フラン環及びピロール環、特に チオフェン環は、特徴的な電気的性質を示し 、種々の電気的特性が発揮される。

 式(i)、(ii)及び(iii)、並びに、一般式(I)、(II) 、(III)、(IV)及び(VI)中、R 1 ~R 4 及びR 7 ~R 12 はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子 又は1価の基を表し、R 7 とR 8 との間、及び、R 11 とR 12 との間に環を形成していてもよい。

 R 1 ~R 4 及びR 7 ~R 12 である1価の基としては、直鎖状若しくは分 状の低分子鎖、1価の環状基(この環状基は、 単環でも縮合環でも、炭素環でも複素環でも 、飽和でも不飽和でもよく、置換基を有して いてもいなくてもよい)が好ましい。1価の基 電子供与基であっても電子吸引基であって よい。

 また、R 1 ~R 4 及びR 7 ~R 12 である1価の基としては、直鎖状若しくは分 状の低分子鎖(炭素数が1~20のものをいう)、 構成原子数が3~60である1価の環状基(この環 基は、単環でも縮合環でも、炭素環でも複 環でも、飽和でも不飽和でもよく、置換基 有していてもいなくてもよい)、飽和若しく 不飽和炭化水素基、ヒドロキシ基、アルコ シ基、アルカノイルオキシ基、アミノ基、 キシアミノ基、アルキルアミノ基、ジアル ルアミノ基、アルカノイルアミノ基、シア 基、ニトロ基、スルホ基、1個以上のハロゲ ン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ スルホニル基(ただし、そのアルキル基は1個 上のハロゲン原子で置換されてもよい。)、 アルキルスルホニル基(ただし、そのアルキ 基は1個以上のハロゲン原子で置換されても い。)、スルファモイル基、アルキルスルフ ァモイル基、カルボキシル基、カルバモイル 基、アルキルカルバモイル基、アルカノイル 基、又はアルコキシカルボニル基であること がより好ましい。

 なお、本明細書においてハロゲン原子と ては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及 ヨウ素原子が挙げられる。

 また、アルキル基には制限がなく、例え 、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イ プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec -ブチル基及びtert-ブチル基等が挙げられ、ア ルキル基をその構造中に含む基(例えば、ア コキシ基、アルキルアミノ基、アルコキシ ルボニル基等)についても同様である。アル ル基としては、炭素数1~12のアルキル基がよ り好ましく、炭素数1~10のアルキル基がより ましい。

 不飽和炭化水素基には制限がなく、例え 、ビニル基、1-プロペニル基、アリル基、 ロパルギル基、イソプロペニル基、1-ブテニ ル基及び2-ブテニル基等が挙げられる。好ま い不飽和炭化水素基としては、ビニル基が げられる。

 アルカノイル基としては、特に限定され いが、例えば、ホルミル基、アセチル基、 ロピオニル基、イソブチリル基、バレリル 及びイソバレリル基等が挙げられ、アルカ イル基をその構造中に含む基(アルカノイル オキシ基、アルカノイルアミノ基等)につい も同様である。また、炭素数1のアルカノイ 基とはホルミル基を指すものとし、アルカ イル基をその構造中に含む基についても同 とする。好ましいアルカノイル基としては ホルミル基、アセチル基が挙げられる。

 一般式(I)、(II)、(III)、(IV)中、R 1 及びR 2 はハロゲン原子であることが特に好ましく、 フッ素原子であることが特に好ましく、これ により、有機n型半導体として有機薄膜素子 薄膜材料に好適なものとなる。特に、本発 の含フッ素多環芳香族化合物及び含フッ素 合体は、フッ素原子導入によるLUMOレベルの 下だけでなく、有機溶剤に対する溶解度の 上、π共役平面性の保持等の観点から、有 半導体としての性能向上及び製造コスト低 への寄与が期待できる。本発明の有機薄膜 子は、前記含フッ素多環芳香族化合物又は フッ素重合体を含有することにより、高い 能を得ることができる。

 一般式(I)、(II)、(III)、(IV)中の、R 3 及びR 4 はとしては、水素原子、フッ素原子、アルキ ル基又はアルコキシ基が好ましく、各々独立 に水素原子またはフッ素原子がより好ましい 。

 一般式(I)、(II)、(III)、(IV)中のR 5 及びR 6 としては、各々独立に、水素原子、アルキル 基、アルコキシ基、アシル基、置換又は無置 換のアリール基、置換又は無置換のアリール オキシ基、置換又は無置換のアリールアルキ ル基、置換又は無置換のアリールアルコキシ 基、置換又は無置換の1価の複素環基である とが好ましい。置換基としては、ハロゲン 子、アルキル基、フルオロアルキル基、ア コキシ基、フルオロアルコキシ基、アセチ 基、フルオロアセチル基、電子供与基又は 子吸引基が例示され、ハロゲン原子、フル ロアルキル基、フルオロアルコキシ基、フ オロアセチル基、電子吸引基が好ましい。

 上記一般式(I)又は(II)中のR 5 及びR 6 としては、少なくとも一つは置換基を含めた 基の一つ以上の水素原子がフッ素原子で置換 されている必要がある。このような基を有す ることで、LUMOレベルの低下及び有機溶剤に する溶解度が向上する。電子輸送性を高め という観点からは、R 5 及びR 6 のうち少なくとも一つは、フルオロアルキル 基、フルオロアルコキシ基、フルオロアリー ル基、フルオロアルキル基で置換されたアリ ール基、フルオロアルコキシ基で置換された アリール基、フルオロアルキル基で置換され た複素環基またフルオロアルコキシ基で置換 された1価の複素環基が特に好ましく、R 5 及びR 6 の両方がフルオロアルキル基、フルオロアル コキシ基、フルオロアリール基、フルオロア ルキル基で置換されたアリール基、フルオロ アルコキシ基で置換されたアリール基、フル オロアルキル基で置換された1価の複素環基 たフルオロアルコキシ基で置換された1価の 素環基であることが特に好ましい。

 本発明の含フッ素重合体は、一般式(III) は(IV)で表される繰り返し単位を含んでいれ よく、一般式(III)又は(IV)で表される繰り返 単位を2種類以上含んでいてもよい。また、 一般式(III)又は(IV)で表される繰り返し単位に 加えて、一般式(V)又は(VI)で表される繰り返 単位を含んでいてもよく、一般式(V)又は(VI) 表される繰り返し単位を2種類以上含んでい てもよい。

 本発明の含フッ素重合体は、上記一般式( III)又は(IV)で表される繰り返し単位と、上記 般式(V)又は(VI)で表される繰り返し単位とが 隣り合う構造を有することが好ましい。一般 式(III)又は(IV)で表される繰り返し単位と、一 般式(V)又は(VI)で表される繰り返し単位とが り合う場合、隣接する芳香環又は複素環同 の二面角を小さくすることができ、分子内 平面性が向上しやすく、分子内でのπ共役が 広くなり、また、LUMOレベルも低くなること ら、電子輸送性が向上する。ここで、二面 とは、一般式(III)又は(IV)で表される芳香環 は複素環を含む平面と、その隣に結合した 香環又は複素環を含む平面とのなす角度の ち、0度以上90度以下の角度で定義される。 記一般式(III)又は(IV)で表される繰り返し単 と、上記一般式(V)又は(VI)で表される繰り返 単位とが隣り合う場合、二面角は通常0~45度 、典型的には0~40度、より典型的には0~30度で る。

 図12は、一般式(IV)で表される繰り返し単位 環と一般式(VI)で表される繰り返し単位の環 とがなす二面角を表す図である。二面角は図 12において、C 2 -C 1 -C 5 で形成される面と、C 1 -C 5 -C 6 で形成される面とがなす角を意味する。

 また、本発明の含フッ素重合体は、電子輸 性を高めるという観点から、下記一般式(VII I)、(IX)又は(X)で表されるものが好ましい。

 ここで、Z 1 、Z 2 、Z 3 、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 、R 5 、R 6 、R 11 及びR 12 は、上記と同義である。なお、複数存在する 場合には、Z 1 、Z 2 、Z 3 、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 、R 5 、R 6 、R 11 及びR 12 は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。 mは2~500の整数を表し、2~100の整数が好ましく 3~20の整数がより好ましい。nは1~500の整数を 表し、1~100の整数が好ましく、2~20の整数がよ り好ましい。pは1~500の整数を表し、1~100の整 が好ましく、1~10の整数がより好ましい。こ れらの中で、Z 1 、Z 2 及びZ 3 がすべて式(i)であり、かつR 1 及びR 2 がフッ素原子であるものが特に好ましい。

 また、含フッ素重合体の末端基として重合 性基を有している場合、それらは含フッ素 合体の前駆体として用いることもできる。 の場合、含フッ素重合体は分子内に2つの重 合活性基を有していることが好ましい。重合 活性基としては、ハロゲン原子、アルキルス ルホネート基、アリールスルホネート基、ア リールアルキルスルホネート基、アルキルス タニル基、アリールスタニル基、アリールア ルキルスタニル基、ホウ酸エステル残基、ス ルホニウムメチル基、ホスホニウムメチル基 、ホスホネートメチル基、モノハロゲン化メ チル基、ホウ酸残基、ホルミル基、又はビニ ル基が例示され、ハロゲン原子、アルキルス タニル基、ホウ酸エステル残基が好ましい。 ここで、ホウ酸残基とはホウ素に水酸基が置 換した基を表し、ホウ酸エステル残基とはホ ウ素にアルキルオキシ基が置換した基を表す 。ホウ酸エステル残基としては、下記式(α)~( δ)が例示される。

 また、本発明の含フッ素重合体を有機薄 として用いる場合、末端基に重合活性基が のまま残っていると、素子にしたときの特 や耐久性が低下する可能性があるため、安 な基で保護するようにしてもよい。

 末端基としては、水素原子、フッ素原子 アルキル基、アルコキシ基、アシル基、ア ノケト基、アリール基、1価の複素環基(こ らの基に結合している水素原子の一部又は 部はフッ素原子と置換されていてもよい)、 び電子供与基又は電子吸引基が挙げられ、 子輸送性を高めるという観点からフルオロ ルキル基、フルオロアルコキシ基、フルオ アリール基又は電子吸引基が好ましく、水 原子がすべてフッ素原子で置換された基、 えばパーフルオロアルキル基、パーフルオ アルコキシ基、パーフルオロフェニル基が り好ましい。また、主鎖の共役構造と連続 た共役結合を有しているものも好ましく、 えば、炭素-炭素結合を介してアリール基又 は1価の複素環基と結合している構造が挙げ れる。

 本発明の含フッ素重合体の中で、特に好ま いのは、例えば、下記一般式(1)~(5)で表され るものである。

 ここで、R 13 及びR 14 は末端基を表し、同一でも異なっていてもよ く、上述した末端基が例示され、フルオロア ルキル基が好ましく、パーフルオロアルキル 基がより好ましい。R 15 、R 16 、R 17 及びR 18 はそれぞれ独立に、水素原子又は任意の置換 基を示し、アルキル基、アルコキシ基又はア リール基が好ましく、アルキル基がさらに好 ましい。含フッ素重合体中にR 15 、R 16 、R 17 及びR 18 が複数存在する場合、それらは同一であって も異なっていてもよい。なお、製造上の容易 さからは、複数存在するR 15 、R 16 、R 17 及びR 18 はそれぞれ同一であることが好ましい。また 、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 、R 5 及びR 6 は、上記と同義である。qは、含フッ素重合 を用いた有機薄膜の形成方法に応じて適宜 ぶことができる。含フッ素重合体が昇華性 有していれば真空蒸着法等の気相成長法を いて有機薄膜にすることができ、この場合 qは1~10が好ましく、2~10がより好ましく、2~5 さらに好ましい。一方、含フッ素重合体を 機溶剤に溶解した溶液を塗布する方法を用 て有機薄膜にする場合、qは3~500が好ましく 6~300がより好ましく、20~200がさらに好ましい 。塗布で成膜したときの膜の均一性の観点か ら含フッ素重合体のポリスチレン換算の数平 均分子量は、1×10 3 ~1×10 8 が好ましく、1×10 4 ~1×10 6 がより好ましい。

 本発明の含フッ素多環芳香族化合物及び含 ッ素重合体の具体例としては、以下のもの 挙げられる。

 本発明の含フッ素多環芳香族化合物又は フッ素重合体の製造方法は特に限定されず どのような方法により製造してもよいが、 下に説明する製造方法により製造すること 好ましい。

 まず、本発明の含フッ素多環芳香族化合物 製造方法について説明する。上記一般式(I) 表される含フッ素多環芳香族化合物は、前 体として下記一般式(VII)で表される化合物 用い、この前駆体をフッ素化剤と反応させ フッ素化工程を含む製造方法により製造す ことが可能である。すなわち、上記一般式(I )で表される化合物は、下記一般式(VII)で表さ れる化合物を前駆体として用い、例えば、ア ルコールをフッ素化させるOrganic Reactions vol. 35, p.315 (1988) Chap.3 "Fluorination with DAST"に記 載された方法と同様にして、上記前駆体をフ ッ素化剤と反応させる工程を含む製造方法に より製造することが可能である。この反応工 程の一例として、下記反応式(a)に示した化合 物(6)から化合物(7)への変換工程が挙げられる 。

 なお上記一般式(VII)において、Ar 1 、Ar 2 、R 3 、R 4 、R 5 、R 6 、s 1 、t 1 は上記と同義であり、Vは水素原子、ハロゲ 原子又は1価の基を表す。

 また、上記一般式(I)で表される本発明の含 ッ素多環芳香族化合物のうち、R 1 及びR 2 がフッ素原子である化合物は、下記一般式(b) で表される化合物を前駆体として用い、この 前駆体を、ハロニウムイオン発生剤の存在下 、フッ化物イオン源と反応させる工程を含む 製造方法、Ar 1 およびAr 2 に結合した水素原子をハロゲン化する工程を 含む製造方法、ハロゲン原子と下記一般式(c) とを反応させる工程を含む方法により製造す ることが好ましい。この反応工程の一例とし て、下記反応式(d)に示した化合物(8)から化合 物(9)、化合物(11)、化合物(12)への変換工程、 は化合物(8)から化合物(10)、化合物(12)への 換工程が挙げられる。

 なお一般式(b)において、Ar 1 及びAr 2 は各々独立に、炭素数6以上の芳香族炭化水 基又は炭素数4以上の複素環基を表し、R 3 及びR 4 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又は 1価の基を表す。X及びYは各々独立に、アルキ ルチオ基(ここで、X及びYはアルキル部分が連 結してアルキレンジチオ基を形成していても よく、X及びYが一体となって、結合する炭素 子とともにチオカルボニル基を形成してい もよい)を表す。

 なお上記式(c)において、R X は、一般式(1)で表されるR 5 またはR 6 を表し、Wは重合活性基を表す。

 上記一般式(b)で表される化合物を前駆体 して用いた上記反応工程における反応条件 特に限定されず、例えば、アルキルスルフ ニル基(アルキルチオ基)等からフルオロ基 の公知の変換反応における条件(例えば、特 平6-135869号公報等参照)を参考にして適宜選 してもよい。以下、具体的に説明する。

 上記反応工程における上記ハロニウムイ ン発生剤としては、公知のものを適宜用い ことができ、例えば、1,3-ジブロモ-5,5-ジメ ルヒダントイン(DBH)、N-ブロモコハク酸イミ ド(NBS)、N-ブロモアセトアミド(NBA)、2,4,4,6-テ ラブロモ-2,5-シクロヘキサジエノン、N-ヨー ドコハク酸イミド(NIS)等が挙げられる。上記 ロニウムイオン発生剤の使用量は、特に限 されないが、例えば、ハロニウムイオン換 で3当量~大過剰量の範囲であり、反応効率 びコストの観点から、例えば3~5当量が好ま い。

 上記フッ化物イオン源としては、例えば、 ッ化水素、フッ化水素とアミンとの錯体、 ッ化水素とピリジンとの錯体、二水素三フ 化四級アンモニウム、又は二水素三フッ化 級ホスホニウムが好ましく、これらは単独 用いても2種類以上を併用してもよい。好適 なフッ化物イオン源としては、例えば、(フ 化水素) 9 /ピリジン錯体が挙げられる。また、上記フ 化物イオン源の使用量は、特に限定されな が、例えば、フッ化物イオン換算で3当量~大 過剰量の範囲が好ましく、反応効率及びコス トの観点から、3~5当量がさらに好ましい。

 なお、上記アミンとしては、例えば、ピリ ン等の含窒素環式化合物、トリエチルアミ 、ジイソプロピルエチルアミン等のアルキ アミン等が挙げられる。また、二水素三フ 化四級アンモニウム及び二水素三フッ化四 ホスホニウムは特に限定されず、公知の化 物を適宜用いることができる。二水素三フ 化四級アンモニウムとしては、例えば下記 般式(XI)で表される化合物が挙げられ、二水 素三フッ化四級ホスホニウムとしては、例え ば下記一般式(XII)で表される化合物が挙げら る。
R 19 R 20 R 21 R 22 N + H 2 F 3 -   ・・・(XI)
R 23 R 24 R 25 R 26 P + H 2 F 3 -   ・・・(XII)

 上記一般式(XI)及び(XII)において、R 19 、R 20 、R 21 、R 22 、R 23 、R 24 、R 25 及びR 26 はそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基 、ベンジル基等の炭化水素基を表す。一般式 (XI)で表される二水素三フッ化四級アンモニ ムとしては、例えば、二水素三フッ化テト メチルアンモニウム、二水素三フッ化テト エチルアンモニウム、二水素三フッ化テト ブチルアンモニウム(TBAH2F3)、二水素三フッ ベンジルトリメチルアンモニウム、二水素 フッ化ベンジルトリエチルアンモニウム、 水素三フッ化セチルトリメチルアンモニウ 等が挙げられる。これらは、例えば、50%フ 酸、フッ化カリウム及びフッ化四級アンモ ウムから容易に合成できる(例えば、Bull. Soc . Chim. Fr., 910 (1986)等参照)。また、上記一 式(XII)で表される二水素三フッ化四級ホスホ ニウムとしては、例えば、二水素三フッ化テ トラメチルホスホニウム、二水素三フッ化テ トラエチルホスホニウム、二水素三フッ化テ トラブチルホスホニウム、二水素三フッ化ベ ンジルトリメチルホスホニウム、二水素三フ ッ化ベンジルトリエチルホスホニウム、二水 素三フッ化セチルトリメチルホスホニウム等 が挙げられる。

 また、上記反応工程において、必要に応 て溶媒を適宜用いてもよい。上記溶媒は特 限定されないが、なるべく目的の反応を阻 しないものであることが好ましく、例えば ヘキサン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、 ルエン等の芳香族炭化水素、アセトニトリ 等のニトリル、ジエチルエーテル、テトラ ドロフラン、1,2-ジメトキシエタン等のエー テル、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン 四塩化炭素等のハロゲン化溶媒等が挙げら る。これらは、単独で用いてもよいし2種類 上併用してもよい。好適な溶媒としては、 えばジクロロメタンが挙げられる。

 反応温度及び反応時間は特に限定されず 前駆体の種類を考慮して適宜選択すること できる。なお、上記反応温度は、例えば、- 100℃~100℃の範囲が好ましい。

 上記本発明の製造方法により、従来は困 であった、フルオロアルキルで架橋した環 化合物、特にジフルオロアルキルで架橋し ターフェニル構造を含む化合物を、簡便に つ高収率で製造できるようになる。また、 発明の製造工程におけるフッ素化反応では 安価で取り扱いが容易なフッ素化試薬を用 てフッ素化を行うこともできる。

 本発明の含フッ素多環芳香族化合物を有 薄膜素子用の材料として用いる場合、その 度が素子特性に影響を与えるため、製造し 化合物を蒸留、昇華精製、再結晶等の方法 純化処理することが好ましい。

 上記製造方法における反応条件、反応試 等は、上記の例示以外にも適宜選択可能で る。また、上記一般式(I)で表される本発明 含フッ素多環芳香族化合物は、上述の通り 上記製造方法により製造することが好まし が、これに限定されず、どのような方法に り製造してもよい。

 次に、本発明の含フッ素重合体の製造方法 ついて説明する。本発明の含フッ素重合体 、例えば、下記一般式(XIII)~(XVI)で表される 合物を原料として、これらを反応させるこ により製造することができる。

 上記一般式(XIII)~(XVI)中、Ar 1 、Ar 2 、Ar 3 、Z 1 、Z 2 、Z 3 、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 、R 5 、R 6 、R 11 、R 12 、s 2 及びt 2 は、上記と同義である。W 1 及びW 2 はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル スルホネート基、アリールスルホネート基、 アリールアルキルスルホネート基、アルキル スタニル基、アリールスタニル基、アリール アルキルスタニル基、ホウ酸エステル残基、 スルホニウムメチル基、ホスホニウムメチル 基、ホスホネートメチル基、モノハロゲン化 メチル基、ホウ酸残基、ホルミル基、又はビ ニル基を示す。

 一般式(XIII)~(XVI)で表される化合物の合成上 反応のしやすさの観点から、W 1 及びW 2 はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル スルホネート基、アリールスルホネート基、 アリールアルキルスルホネート基、アルキル スタニル基、ホウ酸エステル残基又はホウ酸 残基であることが好ましい。

 また、本発明の含フッ素重合体の製造に用 る反応方法としては、例えば、Wittig反応を いる方法、Heck反応を用いる方法、Horner-Wadsw orth-Emmons反応を用いる方法、Knoevenagel反応を いる方法、Suzukiカップリング反応を用いる 法、Grignard反応を用いる方法、Stille反応を用 いる方法、Ni(0)触媒を用いる方法、FeCl 3 等の酸化剤を用いる方法、電気化学的な酸化 反応を用いる方法、あるいは適当な脱離基を 有する中間体化合物の分解による方法等が例 示される。

 これらのうち、Wittig反応を用いる方法、H eck反応を用いる方法、Horner-Wadsworth-Emmons反応 用いる方法、Knoevenagel反応を用いる方法、Su zukiカップリング反応を用いる方法、Grignard反 応を用いる方法、Stille反応を用いる方法、及 びNi(0)触媒を用いる方法が、構造制御のしや さから好ましい。さらに、Suzukiカップリン 反応を用いる方法、Grignard反応を用いる方 、Stille反応を用いる方法、Ni(0)触媒を用いる 方法が、原料の入手しやすさと反応操作の簡 便さから好ましい。

 モノマー(上記一般式(XIII)~(XVI)で表される 化合物)は、必要に応じ、有機溶媒に溶解し 例えばアルカリや適当な触媒を用い、有機 媒の融点以上沸点以下で、反応させること できる。

 有機溶媒としては、用いる化合物や反応 よっても異なるが、一般に副反応を抑制す ために、用いる溶媒は十分に脱酸素処理を し、不活性雰囲気下で反応を進行させるこ が好ましい。また、同様に、脱水処理を行 ことが好ましい(但し、Suzukiカップリング反 応のような水との2相系での反応の場合には の限りではない)。

 反応させるために、適宜アルカリや適当 触媒を添加する。これらは用いる反応に応 て選択すればよい。このアルカリ又は触媒 、反応に用いる溶媒に十分に溶解するもの 好ましい。

 本発明の含フッ素重合体を有機薄膜素子 の材料として用いる場合、その純度が素子 性に影響を与えるため、反応前のモノマー 蒸留、昇華精製、再結晶等の方法で精製し のちに重合することが好ましい。また含フ 素重合体を合成後、再沈精製、クロマトグ フィーによる分別等の純化処理をすること 好ましい。

 反応に用いられる溶媒としては、ペンタ 、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロ キサン等の飽和炭化水素、ベンゼン、トル ン、エチルベンゼン、キシレン等の不飽和 化水素、四塩化炭素、クロロホルム、ジク ロメタン、クロロブタン、ブロモブタン、 ロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘ サン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキ ン、ブロモシクロヘキサン等のハロゲン化 和炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベ ゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化 飽和炭化水素、メタノール、エタノール、 ロパノール、イソプロパノール、ブタノー 、t-ブチルアルコール等のアルコール類、 酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸類 ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メ ル-t-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン テトラヒドロピラン、ジオキサン等のエー ル類、塩酸、臭素酸、フッ化水素酸、硫酸 硝酸等の無機酸等が挙げられる。上記溶媒 1種を単独で用いても2種以上を併用してもよ い。

 反応後は、例えば水でクエンチした後に 機溶媒で抽出し、溶媒を留去する等の通常 後処理で得ることができる。生成物の単離 及び精製は、クロマトグラフィーによる分 や再結晶等の方法により行うことができる

 次に本発明の有機薄膜について説明する 本発明の有機薄膜は、本発明の含フッ素多 芳香族化合物及び/又は含フッ素重合体(以 これらをあわせて「本発明の含フッ素化合 」という)を含むものである。

 有機薄膜の膜厚としては、通常1nm~100μm程 度であり、好ましくは2nm~1000nmであり、さら 好ましくは5nm~500nmであり、特に好ましくは20 nm~200nmである。

 有機薄膜は、本発明の含フッ素化合物の1 種類を単独で含むものであってもよく、また 本発明の含フッ素化合物の2種類以上を含む のであってもよい。また、有機薄膜の電子 送性又はホール輸送性を高めるため、本発 の含フッ素化合物以外に電子輸送性又はホ ル輸送性を有した低分子化合物又は高分子 合物を混合して用いることもできる。

 ホール輸送性材料としては、公知のものが 用でき、例えばピラゾリン誘導体、アリー アミン誘導体、スチルベン誘導体、トリア ールジアミン誘導体、オリゴチオフェン及 その誘導体、ポリビニルカルバゾール及び の誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側 及び主鎖に芳香族アミンを有するポリシロ サン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体 ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロ ル及びその誘導体、ポリアリーレンビニレ 及びその誘導体、又はポリチエニレンビニ ン及びその誘導体等が挙げられ、電子輸送 材料としては公知のものが使用でき、例え オキサジアゾール誘導体、アントラキノジ タン及びその誘導体、ベンゾキノン及びそ 誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、ア トラキノン及びその誘導体、テトラシアノ ンスラキノジメタン及びその誘導体、フル レノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレ 及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、 は8-ヒドロキシキノリン及びその誘導体の 属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポ キノキサリン及びその誘導体、ポリフルオ ン及びその誘導体、C 60 等のフラーレン類及びその誘導体等が挙げら れる。

 また、本発明の有機薄膜は、有機薄膜中で 収した光により電荷を発生させるために、 荷発生材料を含んでいてもよい。電荷発生 料としては公知のものが使用でき、アゾ化 物及びその誘導体、ジアゾ化合物及びその 導体、無金属フタロシアニン化合物及びそ 誘導体、金属フタロシアニン化合物及びそ 誘導体、ペリレン化合物及びその誘導体、 環キノン系化合物及びその誘導体、スクア リウム化合物及びその誘導体、アズレニウ 化合物及びその誘導体、チアピリリウム化 物及びその誘導体、C 60 等のフラーレン類及びその誘導体が例示され る。

 さらに、本発明の有機薄膜は、種々の機 を発現させるために必要な材料を含んでい もよい。例えば、吸収した光により電荷を 生させる機能を増感するためのため増感剤 安定性を増すための安定化剤、UV光を吸収 るためのUV吸収剤等が挙げられる。

 また、本発明の有機薄膜は、機械的特性 高めるため、本発明の含フッ素化合物以外 高分子化合物材料を高分子バインダーとし 含んでいてもよい。高分子バインダーとし は、電子輸送性又はホール輸送性を極度に 害しないものが好ましく、また可視光に対 る吸収が強くないものが好ましく用いられ 。

 このような高分子バインダーとして、ポ (N-ビニルカルバゾール)、ポリアニリン及び その誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体 、ポリ(p-フェニレンビニレン)及びその誘導 、ポリ(2,5-チエニレンビニレン)及びその誘 体、ポリカーボネート、ポリアクリレート ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタ リレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル ポリシロキサン等が例示される。

 本発明の有機薄膜の製造方法に制限はな が、例えば、本発明の含フッ素化合物、必 に応じて混合する電子輸送性材料又はホー 輸送性材料、高分子バインダーを含む溶液 らの成膜による方法が挙げられる。また、 発明の含フッ素化合物が昇華性を有する場 は真空蒸着法により薄膜に形成することも きる。

 溶液からの成膜に用いる溶媒としては、 発明の含フッ素化合物及び混合する電子輸 性材料又はホール輸送性材料、高分子バイ ダーを溶解させるものであれば特に制限は い。

 本発明の有機薄膜を溶液から成膜する場 に用いる溶媒としては、トルエン、キシレ 、メシチレン、テトラリン、デカリン、ビ クロヘキシル、n-ブチルベンゼン、sec-ブチ ベンゼン、tert-ブチルベンゼン等の不飽和 化水素系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロ タン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブ モペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキ ン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロ キサン等のハロゲン化飽和炭化水素系溶媒 クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリ ロロベンゼン等のハロゲン化不飽和炭化水 系溶媒、テトラヒドロフラン、テトラヒド ピラン等のエーテル類系溶媒等が例示され 。本発明の含フッ素化合物の構造や分子量 もよるが、通常はこれらの溶媒に0.1重量%以 溶解させることができる。

 溶液からの成膜には、スピンコート法、 ャスティング法、マイクログラビアコート 、グラビアコート法、バーコート法、ロー コート法、ワイアーバーコート法、ディッ コート法、スプレーコート法、スクリーン 刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法 インクジェット印刷法、ディスペンサー印 法、ノズルコート法及びキャピラリーコー 法等の塗布法を用いることができ、スピン ート法、フレキソ印刷法、インクジェット 刷法、ディスペンサー印刷法、ノズルコー 法及びキャピラリーコート法を用いること 好ましい。

 本発明の有機薄膜を製造する工程には、 発明の含フッ素化合物を配向させる工程が まれていてもよい。この工程により含フッ 化合物を配向させた有機薄膜は、主鎖分子 は側鎖分子が一方向に並ぶので、電子移動 又はホール移動度が向上する。

 含フッ素化合物を配向させる方法として 、液晶の配向手法として知られている方法 用いることができる。中でもラビング法、 配向法、シェアリング法(ずり応力印加法) 引き上げ塗布法が配向手法として簡便かつ 用で利用しやすく、ラビング法、シェアリ グ法が好ましい。

 本発明の有機薄膜は、電子輸送性又はホ ル輸送性を有することから、電極から注入 れた電子又はホール、あるいは光吸収によ 発生した電荷を輸送制御することにより、 機薄膜トランジスタ、有機太陽電池、光セ サ等、種々の有機薄膜素子に用いることが きる。本発明の有機薄膜をこれらの有機薄 素子に用いる場合は、配向処理により配向 せて用いることが電子輸送性又はホール輸 性がより向上するため好ましい。

 次に、本発明の有機薄膜の有機薄膜トラ ジスタへの応用について説明する。有機薄 トランジスタは、ソース電極及びドレイン 極、これらの間の電流経路となり本発明の フッ素化合物を含む有機薄膜層(活性層)、 流経路を通る電流量を制御するゲート電極 備えた構造であればよく、電界効果型、静 誘導型などが例示される。

 電界効果型有機薄膜トランジスタは、ソ ス電極及びドレイン電極、これらの間の電 経路となり本発明の含フッ素化合物を含む 機薄膜層(活性層)、電流経路を通る電流量 制御するゲート電極、並びに、活性層とゲ ト電極との間に配置される絶縁層を備える とが好ましい。特に、ソース電極及びドレ ン電極が、本発明の含フッ素化合物を含む 機薄膜層(活性層)に接して設けられており、 さらに有機薄膜層に接した絶縁層を挟んでゲ ート電極が設けられていることが好ましい。

 静電誘導型有機薄膜トランジスタは、ソ ス電極及びドレイン電極、これらの間の電 経路となり本発明の含フッ素化合物を含有 る有機薄膜層、並びに電流経路を通る電流 を制御するゲート電極を有し、該ゲート電 が有機薄膜層中に設けられていることが好 しい。特に、ソース電極、ドレイン電極及 有機薄膜層中に設けられたゲート電極が、 発明の含フッ素重合体を含有する有機薄膜 に接して設けられていることが好ましい。 ート電極の構造としては、ソース電極から レイン電極へ流れる電流経路が形成され、 つゲート電極に印加した電圧で電流経路を れる電流量が制御できる構造であればよく 例えば、くし形電極が挙げられる。

 図1は第1実施形態に係る有機薄膜トラン スタ(電界効果型有機薄膜トランジスタ)の模 式断面図である。図1に示す有機薄膜トラン スタ100は、基板1と、基板1上に所定の間隔を 持って形成されたソース電極5及びドレイン 極6と、ソース電極5及びドレイン電極6を覆 ようにして基板1上に形成された活性層2と、 活性層2上に形成された絶縁層3と、ソース電 5とドレイン電極6との間の絶縁層3の領域を うように絶縁層3上に形成されたゲート電極 4と、を備えるものである。

 図2は第2実施形態に係る有機薄膜トラン スタ(電界効果型有機薄膜トランジスタ)の模 式断面図である。図2に示す有機薄膜トラン スタ110は、基板1と、基板1上に形成されたソ ース電極5と、ソース電極5を覆うようにして 板1上に形成された活性層2と、ソース電極5 所定の間隔を持って活性層2上に形成された ドレイン電極6と、活性層2及びドレイン電極6 上に形成された絶縁層3と、ソース電極5とド イン電極6との間の絶縁層3の領域を覆うよ に絶縁層3上に形成されたゲート電極4と、を 備えるものである。

 図3は第3実施形態に係る有機薄膜トラン スタ(電界効果型有機薄膜トランジスタ)の模 式断面図である。図3に示す有機薄膜トラン スタ120は、基板1と、基板1上に形成されたゲ ート電極4と、ゲート電極4を覆うようにして 板1上に形成された絶縁層3と、ゲート電極4 下部に形成されている絶縁層3の領域を一部 覆うように、絶縁層3上に所定の間隔を持っ 形成されたソース電極5及びドレイン電極6と 、ソース電極5及びドレイン電極6を一部覆う うに絶縁層3上に形成された活性層2と、を えるものである。

 図4は第4実施形態に係る有機薄膜トラン スタ(電界効果型有機薄膜トランジスタ)の模 式断面図である。図4に示す有機薄膜トラン スタ130は、基板1と、基板1上に形成されたゲ ート電極4と、ゲート電極4を覆うようにして 板1上に形成された絶縁層3と、ゲート電極4 下部に形成されている絶縁層3の領域を一部 覆うように絶縁層3上に形成されたソース電 5と、ソース電極5を一部覆うようにして絶縁 層3上に形成された活性層2と、ゲート電極4が 下部に形成されている活性層2の領域を一部 うように、ソース電極5と所定の間隔を持っ 絶縁層3上に形成されたドレイン電極6と、 備えるものである。

 図5は第5実施形態に係る有機薄膜トラン スタ(静電誘導型有機薄膜トランジスタ)の模 式断面図である。図5に示す有機薄膜トラン スタ140は、基板1と、基板1上に形成されたソ ース電極5と、ソース電極5上に形成された活 層2と、活性層2上に所定の間隔を持って複 形成されたゲート電極4と、ゲート電極4の全 てを覆うようにして活性層2上に形成された 性層2a(活性層2aを構成する材料は、活性層2 同一でも異なっていてもよい)と、活性層2a に形成されたドレイン電極6と、を備えるも である。

 図6は第6実施形態に係る有機薄膜トラン スタ(電界効果型有機薄膜トランジスタ)の模 式断面図である。図6に示す有機薄膜トラン スタ150は、基板1と、基板1上に形成された活 性層2と、活性層2上に所定の間隔を持って形 されたソース電極5及びドレイン電極6と、 ース電極5及びドレイン電極6を一部覆うよう にして活性層2上に形成された絶縁層3と、ソ ス電極5が下部に形成されている絶縁層3の 域とドレイン電極6が下部に形成されている 縁層3の領域とをそれぞれ一部覆うように、 絶縁層3上に形成されたゲート電極4と、を備 るものである。

 図7は第7実施形態に係る有機薄膜トラン スタ(電界効果型有機薄膜トランジスタ)の模 式断面図である。図7に示す有機薄膜トラン スタ160は、基板1と、基板1上に形成されたゲ ート電極4と、ゲート電極4を覆うようにして 板1上に形成された絶縁層3と、ゲート電極4 下部に形成されている絶縁層3の領域を覆う ように形成された活性層2と、ゲート電極4が 部に形成されている活性層2の領域を一部覆 うように絶縁層3上に形成されたソース電極5 、ゲート電極4が下部に形成されている活性 層2の領域を一部覆うように、ソース電極5と 定の間隔を持って絶縁層3上に形成されたド レイン電極6と、を備えるものである。

 第1~第7実施形態に係る有機薄膜トランジ タにおいては、活性層2及び/又は活性層2aは 、本発明の含フッ素化合物を含有しており、 ソース電極5とドレイン電極6の間の電流通路( チャネル)となる。また、ゲート電極4は、電 を印加することにより活性層2及び/又は活 層2aにおける電流通路(チャネル)を通る電流 を制御する。

 このような電界効果型有機薄膜トランジ タは、公知の方法、例えば特開平5-110069号 報記載の方法により製造することができる また、静電誘導型有機薄膜トランジスタは 公知の方法、例えば特開2004-006476号公報記載 の方法により製造することができる。

 基板1としては有機薄膜トランジスタとし ての特性を阻害しなければ特に制限されない が、ガラス基板やフレキシブルなフィルム基 板やプラスチック基板を用いることができる 。

 活性層2を形成する際に、有機溶媒可溶性 の化合物を用いることが製造上非常に有利で あり好ましいことから、上記で説明した本発 明の有機薄膜の製造方法を用いて、活性層2 なる有機薄膜を形成することができる。

 活性層2に接した絶縁層3としては、電気の 縁性が高い材料で有れば特に制限はなく、 知のものを用いることができる。例えばSiOx, SiNx、Ta 2 O 5 、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ ビニルフェノール、有機ガラス、フォトレジ スト等が挙げられる。低電圧化の観点から、 誘電率の高い材料の方が好ましい。

 絶縁層3の上に活性層2を形成する場合は、 縁層3と活性層2の界面特性を改善するため、 シランカップリング剤等の表面処理剤で絶縁 層3表面を処理して表面改質した後に活性層2 形成することも可能である。表面処理剤と ては、長鎖アルキルクロロシラン類、長鎖 ルキルアルコキシシラン類、フッ素化アル ルクロロシラン類、フッ素化アルキルアル キシシラン類、ヘキサメチルジシラザン等 シリルアミン化合物等があげられる。表面 理剤で処理する前に、絶縁層表面をオゾンU V、O 2 プラズマで処理をしておくことも可能である 。

 有機薄膜トランジスタを作製後、素子を 護するために有機薄膜トランジスタ上に保 膜を形成することが好ましい。これにより 有機薄膜トランジスタが、大気から遮断さ 、有機薄膜トランジスタの特性の低下を抑 ることができる。また、保護膜により有機 膜トランジスタの上に駆動する表示デバイ を形成する工程からの影響を低減すること できる。

 保護膜を形成する方法としては、UV硬化 脂、熱硬化樹脂や無機のSiONx膜等でカバーす る方法等があげられる。大気との遮断を効果 的に行うため、有機薄膜トランジスタを作製 後保護膜を形成するまでの工程を大気に曝す ことなく(例えば、乾燥した窒素雰囲気中、 空中等)行うことが好ましい。

 次に、本発明の有機薄膜の太陽電池への応 を説明する。
 図8は、実施形態に係る太陽電池の模式断面 図である。図8に示す太陽電池200は、基板1と 基板1上に形成された第1の電極7aと、第1の 極7a上に形成された本発明の含フッ素化合物 を含有する有機薄膜からなる活性層2と、活 層2上に形成された第2の電極7bと、を備える のである。

 本実施形態に係る太陽電池においては、 1の電極7a及び第2の電極7bの一方に透明又は 透明の電極を用いる。電極材料としては、 ルミニウム、金、銀、銅、アルカリ金属、 ルカリ土類金属等の金属又はそれらの半透 膜、透明導電膜を用いることができる。高 開放電圧を得るためには、それぞれの電極 して、仕事関数の差が大きくなるように選 れることが好ましい。活性層2(有機薄膜)中 は光感度を高めるために電荷発生剤、増感 等を添加して用いることができる。基板1と しては、シリコン基板、ガラス基板、プラス チック基板等を用いることができる。

 次に、本発明の有機薄膜の光センサへの応 を説明する。
図9は、第1実施形態に係る光センサの模式断 図である。図9に示す光センサ300は、基板1 、基板1上に形成された第1の電極7aと、第1の 電極7a上に形成された本発明の含フッ素化合 を含有する有機薄膜からなる活性層2と、活 性層2上に形成された電荷発生層8と、電荷発 層8上に形成された第2の電極7bと、を備える ものである。

 図10は、第2実施形態に係る光センサの模 断面図である。図10に示す光センサ310は、 板1と、基板1上に形成された第1の電極7aと、 第1の電極7a上に形成された電荷発生層8と、 荷発生層8上に形成された本発明の含フッ素 合物を含有する有機薄膜からなる活性層2と 、活性層2上に形成された第2の電極7bと、を えるものである。

 図11は、第3実施形態に係る光センサの模 断面図である。図11に示す光センサ320は、 板1と、基板1上に形成された第1の電極7aと、 第1の電極7a上に形成された本発明の含フッ素 化合物を含有する有機薄膜からなる活性層2 、活性層2上に形成された第2の電極7bと、を えるものである。

 第1~第3実施形態に係る光センサにおいて 、第1の電極7a及び第2の電極7bの一方に透明 は半透明の電極を用いる。電荷発生層8は光 を吸収して電荷を発生する層である。電極材 料としては、アルミニウム、金、銀、銅、ア ルカリ金属、アルカリ土類金属等の金属又は それらの半透明膜、透明導電膜を用いること ができる。活性層2(有機薄膜)中には光感度を 高めるために電荷発生剤、増感剤等を添加し て用いることができる。また基板1としては シリコン基板、ガラス基板、プラスチック 板等を用いることができる。

 以下、実施例及び比較例に基づいて本発 をさらに具体的に説明するが、本発明は以 の実施例に何ら限定されるものではない。

(測定条件等)
 核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、JEOL(日本電子 株式会社)製の商品名JMN-270( 1 H測定時270MHz)、又は同社製の商品名JMNLA-600( 19 F測定時600MHz)を用いて測定した。ケミカルシ トは百万分率(ppm)で表している。内部標準0p pmには、テトラメチルシラン(TMS)を用いた。 合定数(J)は、ヘルツで示しており、略号s、d 、t、q、m及びbrは、それぞれ、一重線(singlet) 二重線(doublet)、三重線(triplet)、四重線(quarte t)、多重線(multiplet)及び広幅線(broad)を表す。 た、質量分析(MS)は、株式会社島津製作所製 のGCMS-QP5050A(商品名)を用い、電子イオン化(EI) 法、直接試料導入(DI)法により測定した。カ ムクロマトグラフィー分離におけるシリカ ルは、関東化学株式会社製の商品名Silicagel  60N(40~50μm)を用いた。全ての化学物質は、試 級であり、和光純薬工業株式会社、東京化 工業株式会社、関東化学株式会社、ナカラ テスク株式会社、シグマアルドリッチジャ ン株式会社、又はダイキン化成品株式会社 り購入した。

 サイクリックボルタンメトリーは、測定装 としてビー・エー・エス株式会社(BAS社)製 商品名「CV-50W」を使用し、作用電極としてBA S社製Pt電極、対電極としてPt線、参照電極と てAg線を用いて測定した。この測定時の掃 速度は100mV/sec、走査電位領域は-2.8V~1.6Vであ た。還元電位及び酸化電位の測定は、化合 及び重合体を1×10 -3 mol/L、支持電解質としてテトラブチルアンモ ウムヘキサフルオロフォスフェート(TBAPF6)0. 1mol/Lをモノフルオロベンゼン溶媒に完全に溶 解し測定した。

参考合成例1
<化合物Aの合成>
 ナスフラスコにインデノ[1,2-b]フルオレン-6, 12-ジオン(2.23g、7.91mmol)、三フッ化ホウ素-酢 錯体(5.94g、31.6mmol)、エタンジチオール(2.98mg 31.6mmol)、クロロホルム(50mL)を入れた後90℃ 反応させた。12時間後、水を加えクロロホル ムで抽出した。有機相を硫酸マグネシウム上 で乾燥させ減圧濃縮した。固体をエーテルで 洗浄し、目的物(3.41g、収率99%)を白色固体と て得た(化合物A)。

TLC R f =0.3(hexane:chloroform=2:1): 1 H-NMR(270MHz,CDCl 3 ):δ7.90(s,2H),7.65(m,4H),7.33(m,4H),3.70(s,8H):GC-MS(DI):m/ z=434(M + ).

参考合成例2
<化合物Bの合成>
 加熱乾燥した三つ口フラスコにN-ヨードス シンイミド(6.00g、26.7mmol)を入れ窒素置換し 後、ジクロロメタン(50mL)を加えた。反応溶 を-78℃に冷却し、フッ化水素-ピリジン(10mL) 滴下した。-78℃で30分撹拌した後、化合物A( 1.50g、3.45mmol)のジクロロメタン溶液(50mL)を滴 した。-78℃で4時間撹拌した後、室温まで昇 温し、さらに2時間撹拌した。反応液をベー ックアルミナカラムに通した。減圧濃縮後 シリカゲルカラムクロマトグラフィー(hexane/ クロロホルム)で精製を行い、目的物(1.01g、 率95%)を白色固体として得た(化合物B)。
TLC R f =0.7(hexane:chloroform=2:1): 1 H-NMR(270MHz,CDCl 3 ):δ7.81(s,2H),7.63(t,4H,J=8.2Hz),7.52(t,2H,J=6.9Hz),7.41(t, 2H,J=7.3Hz):GC-MS(EI):m/z=326(M + ).

参考合成例3
<化合物Cの合成>
 ナスフラスコに化合物B(718mg、2.20mmol)、四塩 化炭素(40mL)を入れた後、[ビス(トリフルオロ セトキシ)ヨード]ベンゼン(1.23g、4.87mmol)、 ウ素(1.97g、4.78mmol)を加え室温で反応させた 17時間後、チオ硫酸ナトリウム水溶液を加え クロロホルムで抽出した後、有機相を硫酸マ グネシウムで乾燥させた。減圧濃縮後、固体 をメタノール、ヘキサン、アセトンで洗浄し 、目的物(1.20g、収率94%)を黄白色固体として た(化合物C)。
TLC R f =0.6(hexane:chloroform=4:1): 1 H-NMR(270MHz,CDCl 3 ):δ7.97(s,2H),7.85(d,2H,J=8.0Hz),7.77(s,2H),7.34(d,2H,J=8.0  Hz):GC-MS(EI):m/z=578(M + ).

参考合成例4
<化合物Dの合成>
 加熱乾燥したナスフラスコに化合物C(318mg、 0.55mmol)、テトラヒドロフラン(26mL)を入れた。 窒素置換し、-78℃に冷却した後n-ブチルリチ ム(1.6Mヘキサン溶液、0.80mL、1.43mmol)を加え 応させた。1時間後、-78℃で塩化トリブチル ズ(500mg、1.54mmol)を加え室温まで昇温させた 1時間後、水を加え酢酸エチルで抽出した。 有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ減圧 濃縮した。GPC (クロロホルム)で精製を行い 目的物(274mg、収率55%)を淡黄色液体として得 (化合物D)。
TLC R f =0.8(hexane):δ7.78(s,2H),7.73(s,2H),7.60(d,2H,J=7.1Hz),7.54 (d,2H,J=7.1Hz)),1.33(m,54H):MS(MALDI-TOF,1,8,9-trihydroxyant hracene matrix)m/z=903.1(M + ,Calcd 904.4).

実施例1
<化合物Eの合成>
 加熱乾燥した蓋付き試験管に化合物C(50mg、0 .09mmol)、4-フルオロフェニルボロン酸(38mg、0.2 7mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン) ラジウム(0)(10mg、0.009mmol)、炭酸ナトリウム( 29mg、0.27mmol)、1,2-ジメトキシエタン(2mL)、水(0 .5mL)を入れた後、窒素置換し80℃で反応させ 。24時間後、水を加えクロロホルムで抽出し た。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ 減圧濃縮した。シリカゲルカラム(クロロホ ム)で精製を行い、目的物(32mg、収率37%)を白 固体として得た(化合物E)。

TLC R f =0.3(hexane:クロロホルム): 1 H-NMR(270MHz,CDCl 3 ):δ8.22(m,2H),7.84(m,2H),7.69(s,2H),7.61(m,2H):GC-MS(DI):m/ z=514(M + ).

実施例2
<化合物Fの合成>
 加熱乾燥した蓋付き試験管に化合物C(50mg,0.0 87mmol)、ペンタフルオロフェニルボロン酸(45mg 、0.21mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフ ン)パラジウム(0)(7mg、0.006mmol)、酸化銀(I)(25mg 、0.10mmol)、フッ化セシウム(120mg、0.790mmol)、1, 2-ジメトキシエタン(3mL)を入れた後、窒素置 し70℃で反応させた。60時間後、水を加えク ロホルムで抽出した。有機相を硫酸マグネ ウム上で乾燥させ減圧濃縮した。シリカゲ カラム(hexane/クロロホルム)で精製を行い、 的物(35mg、収率62%)を淡黄色固体として得た( 化合物F)。
TLC R f =0.2(クロロホルム): 1 H-NMR(270MHz,CDCl 3 ):δ7.89(s,2H),7.75(d,2H,J=7.8Hz),7.73(s,2H),7.60(d,2H,J=7.8 Hz):GC-MS(DI):m/z=658(M + ).

実施例3
<化合物Gの合成>
 加熱乾燥した蓋付き試験管に化合物D(274mg、 0.303mmol)、4-アセチルフェニルボロン酸(306mg、 1.21mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィ )パラジウム(0)(35mg、0.010mmol)、トルエン(15mL) 入れた後、窒素置換し120℃で反応させた。4 2時間後、固体を濾取しメタノールで洗浄し 。昇華で精製を行い、目的物(139mg、収率60%) 黄色固体として得た(化合物G)。
1 H-NMR(400MHz,CDCl 3 ):δ8.18(m,4H),7.83(m,12H):GC-MS(DI):m/z=670(M + ).

実施例4
<有機薄膜素子Aの作成および太陽電池特性 評価>
 実施例1で合成した化合物E及びポリ-3-ヘキ ルチオフェン(P3HT、Aldrich製)を用い、それぞ の2.0重量%o-ジクロロベンゼン溶液を調整し 0.2μmメンブランフィルターで濾過した。化 物Eの溶液及びP3HTの溶液を1:1の容量比で混 し、混合塗布液とした。スパッタ法により15 0nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、上記 混合塗布液を用いスピンコートにより70nmの みの有機薄膜を形成した。得られた有機薄 の上に真空蒸着法により、フッ化リチウム 約4nm、次いでアルミニウムを70nm蒸着した。 らに、その上にガラス板をUV硬化樹脂で接 して封止し、化合物EとP3HTを用いた有機薄膜 素子Aを作製した。得られた有機薄膜素子Aに ーラシミュレーターを用いてAM1.5(100mW/cm 2 )の疑似太陽光を照射しながら、電圧-電流特 を測定したところ、短絡電流20μA/cm 2 、開放電圧0.75Vの太陽電池特性を得た。

実施例5
<光センサの評価>
 実施例4で作成した有機薄膜素子Aを用いて 200 lxの白色光を照射した時の光電流と、未 射時の暗電流を測定したところ、印加電圧- 0.5Vで光電流と暗電流の電流比2.1×10 2 が得られ、光センサとして動作することを確 認できた。

実施例6
<有機薄膜素子Bの作成および太陽電池特性 評価>
 実施例4と同様にし、化合物Eの代わりに実 例2で合成した化合物Fを用いて、化合物FとP3 HTを用いた有機薄膜素子Bを作製した。得られ た有機薄膜素子Bにソーラシミュレーターを いてAM1.5(100mW/cm 2 )の疑似太陽光を照射しながら、電圧-電流特 を測定したところ、短絡電流35μA/cm 2 、開放電圧1.08Vの太陽電池特性を得た。

実施例7
<光センサの評価>
 実施例6で作成した有機薄膜素子Bを用いて 200 lxの白色光を照射した時の光電流と、未 射時の暗電流を測定したところ、印加電圧- 0.5Vで光電流と暗電流の電流比1.1×10 2 が得られ、光センサとして動作することを確 認できた。

実施例8
<有機薄膜素子Cの作成および太陽電池特性 評価>
 実施例4と同様にし、化合物Eの代わりに実 例3で合成した化合物Gを用いて、化合物GとP3 HTを用いた有機薄膜素子Cを作製した。得られ た有機薄膜素子Cにソーラシミュレーターを いてAM1.5(100mW/cm 2 )の疑似太陽光を照射しながら、電圧-電流特 を測定したところ、短絡電流64μA/cm 2 、開放電圧1.08Vの太陽電池特性を得た。

実施例9
<光センサの評価>
 実施例8で作成した有機薄膜素子Cを用いて 200 lxの白色光を照射した時の光電流と、未 射時の暗電流を測定したところ、印加電圧- 0.5Vで光電流と暗電流の電流比2.3×10 2 が得られ、光センサとして動作することを確 認できた。

実施例10
<有機薄膜素子Dの作製及びトランジスタ特 の評価>
 ゲート電極となる高濃度にドープされたn- シリコン基板の表面上に、熱酸化により絶 層となるシリコン酸化膜を形成した基板を 意し、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)に50℃で 浸漬し、シリコン酸化膜表面を処理する。次 に、この表面処理した基板上に、真空蒸着法 により、化合物Gの有機薄膜を堆積させる。 いで、この有機薄膜の上に、シャドウマス を通してAuを蒸着し、ソース電極及びドレイ ン電極を形成し、有機薄膜素子Dを作製する 得られた有機薄膜素子Dに、真空中でゲート 圧V G 、ソース-ドレイン間電圧V SD を変化させてトランジスタ特性を測定するこ とにより良好なId-Vg特性が得られる。

 本発明の含フッ素多環芳香族化合物、含 ッ素重合体、有機薄膜及び有機薄膜素子は 有機薄膜トランジスタ、有機太陽電池、光 ンサなどに使用することができる。