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Patent Searching and Data


Title:
FERMENTED WHEY PREPARATION AND METHOD FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/136309
Kind Code:
A1
Abstract:
A fermented whey preparation obtained by sterilizing an aqueous whey protein solution, which has a solid concentration of 11 to 35% by weight and is adjusted to pH 6.5 to 8.0, at a high temperature, subjected it to lactic acid fermentation and then homogenizing the thus obtained fermented liquor as such. This fermented whey preparation has both of a unique and favorable flavor owing to the fermentation and a crispy and refreshing flavor. Also, it has a smooth texture on the tongue. Further, this fermented whey preparation is excellent in heat stability and safety.

Inventors:
SAKATA TADASHI (JP)
AKAMATSU AYUMI (JP)
HONDA TAKESHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/057750
Publication Date:
November 13, 2008
Filing Date:
April 22, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MEIJI DAIRIES CORP (JP)
SAKATA TADASHI (JP)
AKAMATSU AYUMI (JP)
HONDA TAKESHI (JP)
International Classes:
A23C21/02; A23L2/38
Domestic Patent References:
WO2007032459A12007-03-22
Foreign References:
JPS6240248A1987-02-21
JP2007116597A2007-05-10
JPS61170341A1986-08-01
JPS6240248A1987-02-21
JPH0751046A1995-02-28
JPH09238614A1997-09-16
JP3417513B22003-06-16
Other References:
KRASAEKOOPT W. ET AL.: "Comparison of texture of yogurt made from conventionally treated milk and UHT milk fortified with low-heat skim milk powder", JOURNAL OF FOOD SCIENCE, vol. 69, no. 6, 2004, pages E276 - E280, XP008125301
See also references of EP 2149307A4
Attorney, Agent or Firm:
YOSHITAKE, Kenji et al. (Room 323 Fuji Bldg., 2-3, Marunouchi 3-chom, Chiyoda-ku Tokyo 05, JP)
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Claims:
 固形分濃度が11~35重量%で、かつ、pHが6.5~8.0に調整された、ホエイタンパク質水溶液を、高温殺菌した後、乳酸発酵させ、得られた発酵液を均質化することによって得られる、発酵ホエイ調製物。
 高温殺菌が91℃~99℃、5~15分間で行うことによる、請求項1に記載の発酵ホエイ調製物。
 高温殺菌が100℃~150℃、1~30秒間で行うことによる、請求項1に記載の発酵ホエイ調製物。
 ホエイタンパク質水溶液のpHが6.6~7.6に調整されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の発酵ホエイ調製物。
 高温殺菌後の水溶液が凝集物を含む場合、その粒径が2~100μmの大きさであり、かつ、この水溶液をそのまま乳酸発酵工程に付すことを含んでなる、請求項1~4のいずれか一項に記載の発酵ホエイ調製物。
 乳酸発酵が、乳酸菌または酵母を用いた発酵によって乳酸を生成するものである、請求項1~5のいずれか一項に記載のホエイ調製物。
 請求項1~6のいずれか一項に記載の発酵ホエイ調製物を含んでなる、飲料。
 請求項1~6のいずれか一項に記載の発酵ホエイ調製物へ、飲料用添加成分を加え、これを100℃~150℃、1~30秒間の高温殺菌処理を行うことによって得られる、飲料。
 固形分濃度が11~35重量%で、かつ、pHが6.5~8.0に調整された、ホエイタンパク質水溶液を、高温殺菌した後、乳酸発酵させ、得られた発酵液を均質化することによって発酵ホエイ調製物を得ることを含んでなる、発酵ホエイ調製物の製造方法。
 高温殺菌を91℃~99℃、5~15分間で行う、請求項9に記載の方法。
 高温殺菌を100℃~150℃、1~30秒間で行う、請求項9に記載の方法。
 ホエイタンパク質水溶液のpHが6.6~7.6に調整されている、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
 高温殺菌後の水溶液が凝集物を含む場合、その粒径が2~100μmの大きさであり、かつ、この水溶液をそのまま乳酸発酵工程に付すことを含んでなる、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
 乳酸発酵が、乳酸菌または酵母を用いた発酵によって乳酸を生成するものである、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
 請求項9~14のいずれか一項に記載の方法により得られた発酵ホエイ調製物へ、飲料用添加成分を加えて、これを100℃~150℃、1~30秒間で高温殺菌処理を行い、飲料を得ることを含んでなる、飲料の製造方法。
Description:
発酵ホエイ調製物およびその製 方法 関連出願の参照

 本願は、先行する日本国特許出願である 願2007-116597号(出願日:2007年4月26日)に基づく のであって、その優先権の利益を主張する のであり、その開示内容全体は参照するこ により、ここに組み込まれる。

発明の背景

発明の分野
 本発明は、独特でかつスッキリとした風味 、良好な食感を有する発酵ホエイ調製物、 よびそのようなホエイ調製物の製造方法に する。

背景技術
 チーズ等の製造時に副生するホエイは、各 の必須アミノ酸、タンパク質、ビタミン類 糖類を多量に含んでおり、栄養価の高いこ が知られている。一方で、ホエイは、単に 燥させただけでは風味が悪く、そのままで 食用としては不十分である。そこで、従来 ホエイの栄養価を利用する食品の製造が種 試みられてきた。

 例えば、特開昭61-170341号公報は、ホエイ 酵飲料の製造方法に関するものである。特 昭62-040248号公報は、ホエイサワーベースの 造法に関するものである。また、特公平07-0 51046号公報は発酵ホエイ粉末の製造法に関す ものである(これら公報は、いずれも本出願 人による出願である)。これら公報には、ホ イ水溶液の固形分濃度を2~20重量%程度(すな ち、ホエイタンパク質の濃度を1~13重量%程度 )に調整し、例えば90℃、10分間の様な比較的 温条件で殺菌した後に、乳酸菌で発酵させ 、発酵ホエイ調製物を製造することが開示 れている。これらでは比較的低温条件での 菌(低温殺菌)を必須としている。これは、 の条件よりも高温条件であると、タンパク の熱変性(熱凝固)による凝集物が生じて、製 品の品質上、望ましくないと考えられるから である。一方で、低温殺菌は殺菌効率として 、必ずしも満足のいくものとは言えなかった 。

 特開平09-238614号公報(特許第3417513号公報) 、ホエイの調製方法に関するものであり、 こには、ホエイ水溶液の固形分濃度を0.1~10 量%程度(すなわち、ホエイタンパク質の濃 を0.5~1.2重量%程度)、pHを5.5~6.5に調整した後 、例えば120℃、2秒間の様な90℃以上の高温 件で殺菌(高温殺菌)して、ホエイタンパク質 をミセル(粒径が20~600μmのコロイド状の粒子) させ、熱安定性の優れた白色ホエイ調製物 製造することが開示されている。ここでは 特にホエイ水溶液の固形分濃度を10重量%以 (すなわち、ホエイタンパク質の濃度を1.2重 量%以下)とし、かつ、pHを5.5~6.5の弱酸性とす ことを必須としている。これら条件は、ホ イタンパク質のミセル化と、白色ホエイを る上で必要であるとされている。したがっ 、ここでは、ホエイ水溶液の固形分濃度を1 0重量%より大きくしたり、pHを6.5より大きく たりする場合については想定されておらず 当然ながら、このような場合に良好な熱安 性を確保する方法は示唆されていない。ま 、乳酸菌や酵母等で発酵させることも、こ では想定されていない。

発明の概要

 本発明者らは今般、固形分濃度が11~35重 %で、かつ、pHが6.5~8.0に調整された、ホエイ ンパク質水溶液を高温殺菌したところ、凝 物を含む水溶液が得られたが、これをその ま乳酸発酵させて、得られた発酵液を均質 すると、予想外にも、従来にない優れた風 と食感を併せもつ、良好な発酵ホエイ調製 を得ることができた。このとき、乳酸菌を いて乳酸発酵する場合だけでなく、酵母を いて乳酸発酵を行っても同様に良好はホエ 調製物を得ることができた。その得られた 酵ホエイ調製物は、発酵による独特で良好 風味が強いことに加えて、発酵物に珍しい スッキリとして爽やかな風味があるもので った。さらに、得られた発酵ホエイ調製物 、舌触りが滑らかで好適な粘性もありなが 、熱安定性にも優れるものであった。また この発酵ホエイ調製物は、高温菌等の雑菌 含まずに衛生面でも優れたものであった。 らに、この発酵ホエイ調製物を果汁系の飲 等の原料として用いて、飲料を調製すると 風味と物性の優れた飲料を得ることができ 。本発明は、このような知見に基づくもの ある。

 よって、本発明は、発酵による独特で良 な風味であると同時に、スッキリとした爽 かな風味を持ち、かつ、舌触りが滑らかな 感を持ち、さらに、熱安定性と安全性にも れる発酵ホエイ調製物を提供することをそ 目的とする。また本発明は、そのような発 ホエイ調製物の製造法を提供することをそ 目的とする。

 本発明による発酵ホエイ調製物は、固形 濃度が11~35重量%で、かつ、pHが6.5~8.0に調整 れた、ホエイタンパク質水溶液を、高温殺 した後、乳酸発酵させ、得られた発酵液を 質化することによって得られるものである

 本発明の好ましい態様によれば、高温殺 は91℃~99℃、5~15分間で行う。本発明の別の ましい態様によれば、高温殺菌は100℃~150℃ 、1~30秒間で行う。

 本発明のさらに別の好ましい態様によれ 、前記ホエイタンパク質水溶液のpHは6.6~7.6 調整されてなる。

 また前記工程において、高温殺菌後の水 液が凝集物を含む場合、その粒径は2~100μm 大きさであり、かつ、この水溶液をそのま 乳酸発酵工程に付すことを含んでなる。

 また本発明において、ホエイタンパク質 溶液を乳酸発酵させる際、乳酸発酵は、乳 菌または酵母を用いた発酵によって乳酸を 成するものである。

 本発明による飲料は、本発明による発酵ホ イ調製物を含んでなる。
 好ましくは、本発明による飲料は、本発明 よる発酵ホエイ調製物へ、飲料用の添加成 を加え、これを100℃~150℃、1~30秒間の高温 菌処理を行うことによって得られる。

 本発明による発酵ホエイ調製物の製造方 は、固形分濃度が11~35重量%で、かつ、pHが6. 5~8.0に調整された、ホエイタンパク質水溶液 、高温殺菌した後、乳酸発酵させ、得られ 発酵液を均質化することによって発酵ホエ 調製物を得ることを含んでなる。ここで好 しくは、高温殺菌を91℃~99℃、5~15分間で行 か、または、高温殺菌を100℃~150℃、1~30秒 で行う。また好ましくは、高温殺菌するホ イタンパク質水溶液はpH6.6~7.6に調整されて る。

 また該方法は、好ましくは、高温殺菌後 水溶液が凝集物を含む場合、その粒径が2~10 0μmの大きさであり、かつ、この水溶液をそ まま乳酸発酵工程に付すことを含んでなる

 本発明の好ましい態様によれば、本発明 よる飲料の製造方法は、前記で得られた発 ホエイ調製物へ、飲料用の添加成分を加え 、これを100℃~150℃、1~30秒間で高温殺菌処 を行い、飲料を得ることを含んでなる。

 本発明は、従来、タンパク質の熱変性に る凝集物が生じるとして避けられていた条 で殺菌した後、凝集物を含んだまま、乳酸 酵を行い、さらに均質化を行うことによっ 、従来にない風味と食感、熱安定性を持ち さらに安全性においても優れた発酵ホエイ 製物およびそれによる飲料を得ることがで る。本発明による発酵ホエイ調製物は、前 したように、発酵による独特で良好な風味 あると同時に、スッキリとした爽やかな風 を持ち、かつ、舌触りが滑らかな食感を持 、さらに熱安定性と安全性にも優れたもの ある。これは、ホエイに由来する原料、調 物や飲料等としては、従来にない物性(食感 )と風味(濃厚感)を持つものと言える。このた め、このような性質をもつ飲料は、従来の製 品に対して有利に差別化可能であり、商品価 値の高いものであると言える。

本発明による発酵ホエイ調製物の製造 程の例を示す。 本発明による飲料の製造工程の例を示 。 実施例の例1の結果を示す図である。 実施例の例6の結果を示す図である。

発明の具体的説明

発酵ホエイ調製物
 本発明による発酵ホエイ調製物は、前記し ように、固形分濃度が11~35重量%で、かつ、p Hが6.5~8.0に調整された、ホエイタンパク質水 液を、高温殺菌した後、乳酸発酵させ、得 れた発酵液をそのまま均質化することによ て得られるものである。

 本発明者らの知る限り、従来、ホエイタ パク質水溶液の固形分濃度を10重量%より高 してから、90℃よりも高温で殺菌した後に 乳酸菌もしくは酵母で発酵させて、発酵ホ イ調製物を製造した例は報告されていない これは、ホエイタンパク質水溶液を、例え 超高温(UHT)殺菌すると、ホエイタンパク質が 加熱凝集し、品質が著しく劣化するからであ ると考えられる。例えばホエイタンパク質水 溶液を高濃度に調製してから、pHを6.5以下の 酸性にして、90℃よりも高温で殺菌すると 巨大な凝集物が生成してしまう。

 このため、商業規模の大量生産では、タ クや配管等で凝集物を分散させにくくなり また、タンク、配管、バルブへの付着や沈 が著しくなり、汚染の原因にもなる。従来 、凝集物の生成を回避する一方、もし凝集 が生じたとしても均質化等の処理を行った 、発酵工程に付すのが通常であった。また ホエイタンパク質水溶液のpHを6.5以下の弱 性にして発酵させると、乳酸菌の機能が発 されにくくなり、発酵が進行しにくくなる め、発酵による独特で良好な風味を得にく なる場合がある。一方で、ホエイタンパク 水溶液のpHが8.0より大きいと、アルカリ性に 由来する風味が強すぎるため、飲料の原料と して好ましくない風味となることがある。

 本発明による発酵ホエイ調製物の製造工 について説明する。なお、製造工程の工程 の例として、図1のものを挙げることができ る。

 本発明において、ホエイタンパク質とは ホエイの原液や濃縮液、ホエイ粉等の還元 液を含む意味である。使用可能なホエイタ パク質としては、ホエイタンパク濃縮物(WPC (Whey Protein Concentrate))、ホエイタンパク分離 (WPI(Whey Protein Isolate))、甘性ホエイ粉、脱 ホエイ粉、および、脱脂粉乳などが包含さ 、これらは組み合わせて使用しても良い。 た、これらは市販品を使用しても良い。ホ イの主要な成分組成は、典型例を挙げると WPCでは、例えば、固形分が95.5%であり、この とき、タンパク質が76.0%、乳糖が12.0%、灰分 2.5%である。WPIでは、例えば、固形分が94.1% あり、このとき、タンパク質が90.0%、乳糖が 1.7%、灰分が1.8%である。また、甘性ホエイ粉 は、例えば、固形分が97.0%であり、このと 、タンパク質が12.0%、乳糖75.5%、灰分8.5%であ る。脱塩ホエイ粉では、例えば、固形分が98. 1%であり、このとき、タンパク質が11.8%、乳 が79.7%、灰分が5.6%である。そして、脱脂粉 では、例えば、固形分が95.5%であり、このと き、タンパク質が34.0%、乳糖53.5%、灰分8.0%で る。

 なおタンパク質の量(濃度)は、必要であ ば、例えば、ケルダール法、ローリー法な のような慣用の方法・装置により容易に測 することができる。

 使用するホエイタンパク質は、好ましく 、WPC、甘性ホエイ粉、脱塩ホエイ粉、また 、これらの混合物であり、より好ましくは 甘性ホエイ粉とWPCとの混合物である。この うな混合物を使用する場合、好ましくはそ 混合比(重量基準)は、1:2~2:1であり、より好 しくは、1:1~2:1である。

 使用するホエイタンパク質水溶液におい 、固形分濃度は、好ましくは、11~35重量%、 り好ましくは、13~30重量%、さらに好ましく 、15~25重量%に調整する。このとき、ホエイ ンパク質の濃度は、好ましくは、1.3~4.5重量 %、より好ましくは、1.5~4重量%、さらに好ま くは、1.7~3重量%である。このような範囲で ることは、ホエイタンパク質を変性させて 適度な粒径の凝集物を形成させる観点から ましい。

 ホエイタンパク質を水へ溶解させる場合 必要により温度を40~60℃程度にし、さらに 解機として、パワーブレンダー、ホモミキ ー、高速攪拌機等を必要により使用しても い。

 通常の乳性飲料等において、固形分濃度 5~15重量%程度とすることが多い。これは、 造工程での付着等の問題の回避や、風味や 感等の観点を考慮したものである。本発明 おいては、ホエイタンパク質水溶液の固形 濃度を高め、乳成分を高濃度にして、乳酸 もしくは酵母で発酵させることにより、発 による独特で良好な風味を強くすることが きた。このとき、過大な凝集物の生成を防 することも、実際の製品での製造特性の観 から重要となるが、本発明では、凝集物の きさを適度な大きさに抑え、凝集物をその ま利用することによって、良好な風味のホ イ発酵調製物を得ることに成功したのであ 。

 なお、本発明において、水溶液中の固形 濃度は、例えば、簡易水分測定法、混砂法 どのような慣用の方法・装置により容易に めることができる。

 使用するホエイタンパク質水溶液は、また 高温殺菌処理前に、pHを6.5~8.0、好ましくは6 .6~7.8、より好ましくは6.6~7.6、さらに好まし は6.8~7.4、さらにより好ましくは6.8~7.2、最も 好ましくは約7.0に調整する。
ここで、pH調整は好ましくは、pH調整剤を使 して行う。ここで、使用可能なpH調整剤は、 上記の領域にpHを調整でき、かつ、食品とし 使用可能な安全性を有するものであれば特 限定されないが、典型的には、水酸化ナト ウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウ および炭酸ナトリウムからなる群より選択 れる。そして、これらは組み合わせて使用 ても良い。本発明の好ましい態様によれば pH調整剤は水酸化ナトリウムである。

 pH調整剤を使用する場合、その使用量は 使用するpH調整剤の種類、上昇させようとす る目標pH値、添加する水溶液の状態(例えば、 その温度、pH等)等に応じて適宜変更すること ができるが、例えばpH調整剤として水酸化ナ リウムを使用する場合、その使用量を濃度 して定義すると、典型的には0.01~0.5重量%、 ましくは0.01~0.3重量%である。

 本発明においては、まず、固形分濃度が1 1~35重量%で、かつ、pHが6.5~8.0に調整された、 エイタンパク質水溶液を、高温殺菌処理に す。ここで、高温殺菌処理における加熱条 は、通常の殺菌処理条件に相当するもので る。通常、乳やホエイを含む飲料は、製品 して出荷する前に、各種方法により殺菌処 が行われるが、ここでいう高温の加熱殺菌 件は、このような通常の殺菌処理の一態様 されている条件を意味する。したがって、 発明における高温殺菌処理の加熱条件は、 料や食品の分野において慣用の加熱殺菌処 条件であれば特に制限なく使用することが きるが、本発明においては、特に90℃を越 た加熱条件を使用する。この条件はタンパ 質の熱変性を生じうる条件である。高温殺 すると、高温菌等の雑菌を充分に死滅させ ことができるため、衛生面が改善され、後 程の発酵での汚染等を抑制しやすくなる。

 本発明の好ましい態様によれば、高温殺 処理は、例えば91℃~99℃で、約5~15分間、好 しくは、92~98℃で、約7~13分間、より好まし は、93~97℃で、約8~12分間、特に好ましくは 95℃で約10分間である。別の好ましい態様に よれば、高温殺菌処理は、例えば100℃~150℃ 、約1~30秒間、好ましくは、110~140℃で、約1~2 0秒間、より好ましくは、115~135℃で、約1~10秒 間、さらに好ましくは、120~130℃で、約1~5秒 であり、特に好ましくは約120℃で約3秒間で る。高温殺菌の後、必要により、処理した 溶液を冷却する。冷却する温度は、次の発 工程での発酵温度に基づいて設定すること でき、例えば30~50℃程度である。

 また、この高温殺菌処理の際、水溶液に圧 をさらに負荷しても良い。通常、加熱殺菌 理を行う場合、水溶液の沸騰を防止するこ 等を目的として、例えば、殺菌圧力を1~10kg/ cm 2 程度とする。本発明における殺菌処理では、 加熱に加えて、このような圧力を加えても良 い。そして、高温殺菌処理する装置は、例え ばプレート式熱交換器、チューブ式熱交換器 、スチームインジェクション式殺菌機、スチ ームインフュージョン式殺菌機、通電加熱式 殺菌機などがある。

 本発明においては、このような高温殺菌処 を行うと、得られる水溶液は、凝集物を含 。この凝集物の粒径は巨大ではなく、直ぐ は沈殿しない適度な寸法である。典型的に 水溶液に粒径が1~100μmの範囲、好ましくは 2~80μm、より好ましくは、4~60μm、さらに好ま しくは、5~50μmの大きさの凝集物を含むこと できる。
このように凝集物は、直ぐには沈殿しないよ うな寸法であるため、そのまま、ここに乳酸 菌もしくは酵母を加えて、次の乳酸発酵処理 に付すことができる。
 なお、凝集物の粒径は、レーザー回折式粒 分布測定装置SALD-2100(株式会社島津製作所製 )などを利用することにより測定することが きる。

 本発明において、乳酸発酵とは、ホエイ ンパク質水溶液を、所定の微生物を用い、 述するような所定の発酵条件にて発酵させ 有機酸(乳酸、コハク酸、リンゴ酸など)、 に乳酸を生成するものをいう。乳酸発酵に 用できる微生物としては、乳酸菌または酵 のいずれかを使用することが好ましい。本 明の乳酸発酵において、有機酸、特に乳酸 発酵に生成しているかどうか、およびその 度については、対象とする溶液の酸度(%)を 定することにより確認することができる。

 ここで、「酸度」は、牛乳関係法令集(乳 業団体衛生連絡協議会(日本)、平成16年(2004年 )3月)第56頁の「5 乳及び乳製品の酸度の測定 」に従って求めることができる。具体的に 、試料10mlに、同量の炭酸ガスを含まない水 を加えて希釈し、指示薬としてフェノールフ タレイン液0.5mlを加えて、0.1mol/L水酸化ナト ウム溶液で30秒間、微紅色の消失しない点を 限度として滴定し、その滴定量から試料100g たりの乳酸のパーセント量を求め、これを 度(%)とする。乳酸の酸度を求める場合、特 これを「乳酸酸度」(%)という。なお、0.1mol/L 水酸化ナトリウム溶液1mlは、乳酸9mgに相当す る。指示薬は、フェノールフタレイン1gを50% タノールに溶かして100mlとする。

 ここで使用可能な乳酸菌としては、ホエイ 酵に使用可能なものであれば特に制限はな 、例えば、ラクトバチルス( Lactobacillus )属、ストレプトコッカス( Streptococcus )属、ビフィドバクテリウム( Bifidobacterium )属等が使用でき、具体例としては、乳酸菌 ラクトバチルス・ブルガリカス( Lactobacillus   bulgaricus )、ストレプトコッカス・サーモフィルス( Streptococcus   thermophilus )等が挙げられる。

 また、ここで使用可能な酵母としては、ホ イ発酵に使用可能なものであれば特に制限 なく、例えば、カンジダ( Candida )属、クルベロミセス( Kluveromyces )属等が使用でき、具体例としては、酵母株 カンジダ・ケフィア( Candida   Kefyr )、クルベロミセス・マルキシアヌス( Kluyveromyces   Marxianus )等が挙げられる。

 このように、本発明においては、乳酸菌 用いて乳酸発酵を行う場合の他に、酵母を いて乳酸発酵を行うことができる。酵母を って乳酸発酵を行うことで、乳酸菌を使用 る場合と異なる風味を得ることができ、良 で多様なホエイ調製物を得ることが可能と る。本発明においては、必要に応じて、乳 菌を使用して乳酸発酵させて得られた発酵 (もしくはホエイ調製物)と、酵母を使用し 得られた発酵液(もしくはホエイ調製物)とを 混合して使用しても良い。

 添加する菌量(スターターとしての量)とし は、例えば、水溶液中の乳酸菌(もしくは酵 )の濃度が10 9 cfu/mL程度となるような量であり、好ましくは 、殺菌後のホエイタンパク質水溶液の重量に 対して0.1~3重量%程度の量であり、具体例を挙 げれば2重量%である。

 乳酸菌による発酵の条件としては、例え 、30~50℃、1~40時間であり、好ましくは、35~4 5℃、2~20時間であり、より好ましくは、37~43 、3~10時間である。

 酵母による発酵の条件としては、例えば 20~40℃、1~72時間であり、好ましくは、25~35 、12~60時間であり、より好ましくは、27~33℃ 24~48時間である。

 本発明においては、乳酸発酵した後、得 れた発酵液に対して均質化処理を行う。こ により、発酵液に含まれる凝集物を微粒化 ることができる。また、発酵液を均質化す 場合、そこに含まれる乳酸菌(もしくは酵母 )および代謝産物を含んだまま行う。すなわ 、発酵液をそのまま均質化する。そのまま 質化することは、発酵液に適度な粘度(粘性) と安定性、つまり、優れた食感や風味と安定 した保存性を付与する観点で重要である。

 発酵液の粘度としては、例えば、10~300cp あり、好ましくは、15~250cpであり、より好ま しくは、20~200cpである。本発明の発酵液を用 て飲料を調製すると、その発酵液の粘度の 響を受けて、その飲料へ適度な粘度を付与 きることになる。なお、発酵液や飲料の粘 が高すぎると、実際の製造において、その 扱いが困難となる場合があるので、必要で れば、製造工程等の取扱い性を考慮して発 液の製造条件を変更したり、得られた後に 酵液の粘度を調整したりしてもよい。

 均質化処理は、例えばホモジナイザーを 用する場合、例えば10~60℃程度にして約10~50 MPa、約100~1000L/h程度の条件、好ましくは、12~2 5MPaの条件にて行うことができる。また、必 であれば、条件を変えて複数回で行っても い。均質化処理の具体例として、20℃程度に して、第一段目を8MPaで行い、第二段目を4MPa 行う条件が挙げられる。

飲料
 本発明の別の態様によれば、本発明による 酵ホエイ調製物を含んでなる飲料が提供さ る。したがって、本発明による発酵ホエイ 製物へ、任意に添加成分を加えることによ て所望の飲料を製造しても良い。

 本発明による飲料の製造工程の工程図の として、図2のものを挙げることができる。

 具体的に説明すると、原料となる水(例え ば、脱イオン水)に、安定剤を含む飲料用の 加成分を溶解させ、これを前記発酵ホエイ 製物と混合する。混合した後、必要により さらに乳化処理を行い、高温殺菌処理に付 。このときの条件は、飲料等に慣用的に適 される高温殺菌条件であり、例えば100~150℃ 約1~30秒間の条件にて行われる。

 したがって、本発明の別の好ましい態様 よれば、この飲料は、本発明による発酵ホ イ調製物へ、さらに飲料用添加成分を加え 、これを100~150℃、約1~30秒間で高温殺菌す ことによって得られる。

 本発明の好ましい態様によれば、飲料製 工程での高温殺菌処理は、当業者に周知の 用の加熱条件であることができ、好ましく 、110~140℃、約1~20秒間の加熱により行われ 。このとき、より好ましくは、115~135℃、約1 ~10秒間であり、さらに好ましくは、120~130℃ 1~5秒間であり、特に好ましくは120℃、約3秒 である。

 また、本発明による飲料製造において、 用可能な添加成分(飲料用添加成分)として 、飲料用の添加成分として慣用されている のであれば特に制限はない。このような成 としては、例えば、ペクチン、大豆多糖類 CMC(カルボキシメチルセルロース)などのよう な安定剤、砂糖、グラニュー糖、液糖(例え 、ブドウ糖果糖液糖)、カゼイン、結晶セル ース、プロテアーゼ類、香料(例えば、オレ ンジフレーバー、アップルフレーバー、ヨー グルトフレーバー)、果汁(例えば、リンゴ果 )、果物もしくはピューレ類(例えば、リン ピューレ)、酸味料(例えば、クエン酸)等が げられる。

 添加成分の使用量は、例えば、発酵ホエ 調製物に対して、砂糖や果汁等では、20~40 量%程度であり、香料や酸味料等では、数重 %程度である。この程度の量であると、発酵 ホエイ調製物の本来の風味や食感を維持した 飲料を調製する上で有利である。

 殺菌処理した後、得られた飲料に、必要 より、さらに均質化処理を施しても良い。 えば、80~85℃、25MPa(第一段目:20MPa、第二段 :5MPa)の条件にて、ホモゲナイザーを使用し 均質化処理を施しても良い。

 その後、必要により、冷却工程(例えば、 25℃程度に冷却)を経て、本発明による飲料を 得ることができる。

 本発明に従い得られた飲料は、風味等に れた飲料であり、粒度が例えば0.5~5μm程度 粒子を含んでいても良い。また、本発明に る飲料は、このように微小な粒子を含んで ても良いが、この場合、遠心分離しても沈 率は、好ましくは、2%以下である。これは、 実質的には、沈殿を生じない性状(物性)であ 。

 なお本明細書において、「約」や「程度 を用いた値の表現は、その値を設定するこ による目的を達成する上で、当業者であれ 許容することができる値の変動を含む意味 ある。

 本発明を以下の例によって詳細に説明す が、本発明はこれらに限定されるものでは い。

例1: 発酵ホエイ調製物の調製(乳 菌を使用した場合)
 ホエイタンパク質として、甘性ホエイ粉と 脂粉乳(いずれも明治乳業株式会社製)を17.5g で用意し、これを脱イオン水に溶解して、固 形分濃度17重量%のホエイタンパク質水溶液( エイ水溶液と脱脂粉乳水溶液)を調製し、さ に、ホエイ水溶液では、pH調整剤として水 化ナトリウムを用いて、pHを約7.0に調整した 。次いで、プレート式熱交換器を用いて、該 ホエイタンパク質水溶液を95℃、15秒間で加 殺菌した。殺菌した後、水溶液を観察した ころ、100μm未満(平均粒径3μm(ホエイ水溶液) 1μm(脱脂粉乳水溶液))の凝集物粒子が含まれ ていた。この得られた水溶液を、43℃まで冷 した。

 次いで、これらのホエイタンパク質水溶液 、乳酸菌スターター( Lactobacillus   bulgaricus  JCM 1002Tと Streptococcus   thermophilus  ATCC 19258の混合培養物)の凍結濃縮物を、水 液の全量に対して0.1重量%で加え、43℃に保 して乳酸発酵を行った。
 乳酸発酵の10時間後まで1時間毎に、ホエイ ンパク質水溶液(ホエイ水溶液と脱脂粉乳水 溶液)のpHと酸度(%)を測定した。結果は図3に されるとおりであった。
 そして、これらの乳酸菌とその代謝産物を んだ発酵液を、約12MPa、約100L/hに設定した モゲナイザーを用いて均質化した。これら 得られた発酵ホエイ調製物は、本発明での 望の風味と物性とを有するものであった。

例2: 発酵ホエイ発酵物の調製(酵 を使用した場合)
 ホエイタンパク質として、甘性ホエイ粉(明 治乳業株式会社製)を14.5gで用意し、これを脱 イオン水に溶解して、固形分濃度14重量%のホ エイタンパク質水溶液(ホエイ水溶液)を調製 、さらに、pH調整剤として炭酸水素ナトリ ムを用いて、ホエイ水溶液のpHを約6.7に調整 した。次いで、湯煎にて、該ホエイタンパク 質水溶液を95℃、10分間で加熱殺菌した。こ 得られた水溶液を、30℃まで冷却した。

 次いで、このホエイタンパク質水溶液に、 母( Candida   Kefyr  No.4142、明治乳業株式会社製)の培養液を、 溶液の全量に対して2重量%で加え、30℃に保 して酵母発酵を行った。なおここで酵母は ブドウ糖、酵母抽出物、および麦芽抽出物 含む培養液を用いて賦活させたものを使用 た。
 酵母発酵の開始では、pHが6.70、乳酸酸度が0 .1%であったが、酵母発酵の2日後には、pHが6.1 0、乳酸酸度が0.22%となった。さらに、酵母発 酵の6日後には、pHが4.57、乳酸酸度が0.67%とな った。酵母発酵の2日後の発酵液を、約12MPa、 約100L/hに設定したホモゲナイザーを用いて均 質化した。得られた発酵ホエイ調製物では、 確かな発酵臭が感じられ、ホエイ由来の加熱 臭がマスクされ、酵母由来の香気成分により 、食品として好ましい風味となっていた。

例3: 発酵ホエイ調製物および飲 の調製(乳酸菌を使用した場合)
 ホエイタンパク質として、甘性ホエイ粉(明 治乳業株式会社製)を17.5gで用意し、これを脱 イオン水に溶解して、固形分濃度17重量%のホ エイタンパク質水溶液を調製し、さらに、pH 整剤として炭酸カリウムを用いて、pHを約7. 0に調整した。次いで、湯煎により、該ホエ タンパク質水溶液を95℃、10分間の条件にて 熱殺菌した。殺菌した後、水溶液を観察し ところ、100μm未満(平均粒径10μm)の凝集物粒 子が含まれていた。この得られた水溶液を、 43℃まで冷却した。
 なお、このとき、ホエイ水溶液の組成を調 たところ、タンパク質2.04%、乳糖12.8%、灰分 1.4%、および脂肪0.17%(全て重量基準)であった

 次いで、このホエイタンパク質水溶液に、 酸菌スターター( Lactobacillu bulgaricus  JCM 1002Tと Streptococcus   thermophilus  ATCC 19258の混合培養物)を、液体重量で水溶 の全量に対して2重量%で加え、43℃に保持し て乳酸発酵を行った。乳酸発酵の6時間後に 乳酸菌数が10 9 cfu/mLとなったところで、この乳酸菌とその代 謝産物を含んだ発酵液を、約10MPa、約100L/hに 定したホモゲナイザーを用いて均質化した この得られた発酵ホエイ調製物は、本発明 の所望の風味と物性とを有するものであっ 。

 さらに、この発酵ホエイ調製物に、大豆 糖類0.5重量%またはペクチン0.4重量%で加え 、120℃、2秒間で高温殺菌し、冷却して、本 明による飲料を得た。この得られた飲料は 粒度が0.5~5μm程度の粒子を生成しており、 酵による独特で良好な風味を持つと同時に スッキリとした爽やかな風味を持ち、かつ 舌触りが滑らかな食感を持つものであった

例4: ホエイタンパク質水溶液の 度による熱安定性の違い
 ホエイタンパク質として、甘性ホエイ粉とW PC(ホエイタンパク濃縮物)との混合物を用意 た。ここで、甘性ホエイ粉とWPCとは、それ れ19.38gと9.5gとした(混合比(重量基準)として 、2:1)。
 なお、使用した甘性ホエイ粉は、固形分97.0 %で、タンパク質12.0%、乳糖75.5%、および灰分8 .5%(全て重量基準)であり、WPC(オランダ、DOMO 製)は、固形分95.5%で、タンパク質76.0%、乳糖 12.0%、灰分2.5%、およびその他5.0%(全て重量基 )であった。また、混合して得られた混合ホ エイ粉は、固形分96.5%で、タンパク質33.0%、 糖54.6%、灰分6.5%、およびその他2.4%となるも であった。

 この混合ホエイ粉を用いて、固形分濃度が れぞれ下記表のようになるように脱イオン を用いて調整し、試料i~vを調製した。「試 v」以外は、NaOH(10%)水溶液によりpHを7.0に調 した。各試料の組成比は下記表1に示したと おりであった。
 次いで、卓上恒温槽を用いて、各試料を95 、10分間で加熱し、高温殺菌処理を施した。 処理後の各試料を採取し、目視により観察を 行い、下記基準に従って評価した。

   評価基準:
  A: 凝集物は小さく、目視ではほとんど観 できないレベルである。
  B: 柔らかな凝集物が観察されたが、パワ ブレンダー等を使用することで、タンクか の回収は可能である。
  C: 固い凝集物が観察された。タンパク質 明らかに変性しており、タンクからの回収 困難である。

 結果は下記表1に示される通りであった。

例5: ホエイタンパク質の組成に る発酵ホエイ調製物の特性の違い
 混合ホエイ粉として、下記表2に示した試料 a~dのものを使用し、かつ、固形分濃度を下記 のように17.0重量%とした以外は、例3と同様に して、ホエイタンパク質水溶液を高温殺菌し た。

 次いで、その得られた水溶液それぞれに重 基準で2%となる乳酸菌を、例3に従って加え 、乳酸発酵を43℃、6時間で行い、発酵させ 。
 この得られた発酵液を、15MPa(第一段目:10MPa 第二段目:5MPa)の条件にて順次、ホモゲナイ ーを用いて均質化し、発酵ホエイ調製物を た。その得られた調製物を、10℃、6日間で 存し、保存後の調製物について、粘度(cp)、 pHおよび酸度(%)を調べた。
 粘度はB型粘度計(LVT、Brookfield社製)を使用し て、10℃の条件下にて測定した。また、pHはpH メーター(HORIBA社製)を使用して、20℃の条件 にて測定した。さらに、酸度はフェノール タレインにより滴定する常法を用いて測定 た。

 結果は下記表3に示されるとおりであった。
 タンパク質濃度が増加するに従い、得られ 調製物の粘度も増加した。すなわち、WPCを むものの方が得られる調製物が高い粘度を した。また、実際の風味や食感についても WPCを含むものの方がミルク感や発酵乳感が 厚であった。さらにこれら得られた発酵ホ イ調製物での傾向は、これらを用いて飲料 調製した場合でも、各飲料について同様の 向が観察された。

例6: ホエイタンパク質水溶液の ンパク質濃度とpHによる殺菌後に生成する凝 集物の粒径の違い
 甘性ホエイ粉を用意し、重量基準で11%、14% 17%、20%、24%、28%および32%の各濃度のホエイ 溶液を調製した。各ホエイ水溶液のpHを、 酸化ナトリウムを用いて、それぞれpH6.50、6. 65、6.80、6.95、7.5および8.0に調整したものを 意し、各サンプルをメディウム壜に入れ、 煎の95℃、15分間で加熱し、平均粒径を測定 た。なお、平均粒径はレーザー回折式粒度 布測定装置SALD-2100(株式会社島津製作所製) て測定した。
 結果は図4に示されるとおりであった。

例7: ホエイタンパク質水溶液のpH によるホエイ発酵調製物の物性の違い
 例3と同様にして、固形分濃度17重量%のホエ イタンパク質水溶液を調製し、pH調製剤とし 、20重量%クエン酸水溶液もしくは10重量%の 酸化ナトリウム水溶液を用いて、pHを6.0と7. 0とにそれぞれ調整した試料を作製した。次 で、各ホエイタンパク質水溶液を95℃、10分 の条件にてタンク内にて加熱殺菌した。加 後、水溶液を観察したところ、平均粒径は 記表の通りであった。
 次いで、これらのホエイタンパク質水溶液 、乳酸菌スターター( Lactobacillus   bulgaricus  JCM 1002Tと Streptococcus   thermophilus  ATCC 19258の混合培養物)の凍結濃縮物を、水 液の全量に対して0.1重量%で加え、43℃で6時 間保持して発酵させた。
 これら得られた発酵液をそれぞれ、15MPa(第 段目:10MPa、第二段目:5MPa)の条件にて順次、 モゲナイザーを用いて均質化し、発酵ホエ 調製物αおよびβを得た。この発酵ホエイ調 製物の粘度(cp)を例5に従って測定した。また 発酵ホエイ調製物の遠沈率を、溶液10mlを、 2000rpm、10分間で遠心分離処理し、沈殿物量(ml )を測定することにより求めた。

 結果は下記表4に示されるとおりであった 。

 pHを6.0に調整した場合、発酵後の凝集物 サラサラした物性であったが、pHを7.0に調整 した場合、トロミのある独特な物性であった 。ホエイタンパク質水溶液を乳酸菌発酵させ ると、乳酸菌が粘性のある多糖類を分泌する が、水溶液のpHをより酸性側にすると、酸凝 などにより、凝集物(タンパク質の粒子)の 径が大きくなり過ぎ、多糖類を介した凝集 同士のネットワークが形成されにくくなる 考えられた。このため、均質化後の調製物 粘度にも差異が生じたと考えられた。なお れら考察は理論であって本発明を限定する のではない。

例8: 飲料の製造
  製造方法:
 例1に従って調製した、発酵ホエイ調製物( 下において「ホエイ発酵乳1」という)を用い て、下記配合に従って本発明による飲料1~3を 製造した。
 具体的には、まず砂糖と安定剤とを粉体で 合した後、水に加えて約50℃にて溶解させ 。ここに、液糖、香料およびホエイ発酵乳1 順に加え、クエン酸とクエン酸ナトリウム を用いて、pHを調整した。
 pHを調整した後、サンプルとして一部を採 して熱安定性を評価した。熱安定性の評価 、採取サンプルを130℃で加熱し、凝集物が 生するまでの時間を測定することで測定し 。

 次いで、pH調整後の溶液を、オートクレー (110℃、1分間)で処理し、殺菌を行った。な 、この殺菌条件は、例えば130℃、数秒間で うのと同等の条件を想定している。
 殺菌処理した後、溶液を25MPaにて均質化し 所望の飲料1~3を得た。
 これらの得られた各飲料において、含まれ 凝集物の平均粒径と、遠沈率を測定した。
なお、平均粒径はレーザー回折式粒度分布測 定装置SALD-2100(株式会社島津製作所製)で測定 、遠沈率は溶液10mlを、2000rpm、10分間で遠心 分離処理し、沈殿物量(ml)を測定することに り求めた。

 なお、以下において比率もしくは%は、特 に断りの無い限り重量基準での比率もしくは %を意味する。

  配合例1(飲料1):

  配合例2(飲料2):

  配合例3(飲料3):

 結果は下記表8に示されるとおりであった。




 
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