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Patent Searching and Data


Title:
FIXED CONSTANT VELOCITY UNIVERSAL JOINT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/041280
Kind Code:
A1
Abstract:
A fixed constant velocity universal joint that is reduced in size and weight with sufficient strength of a cage achieved, has increased strength at high angle, and has enhanced durability. In the fixed constant velocity universal joint, the curvature center of an outer spherical surface (28a) of the cage (28) is set on the joint opening side of the joint center, and the curvature center of an inner spherical surface (28b) of the cage (28) is set on the joint inner side of the joint center. The curvature centers are axially equidistantly away from each other from the joint center. The angle θCAGE of offset of the cage (28) formed when the angle of operation of the joint is 0˚ is set within the range of 2.7˚ ≤ θCAGE ≤ 5.7˚, where the angle θCAGE of offset is defined between straight lines that are a line interconnecting the curvature center of each of the inner and outer spherical surfaces (28a, 28b) of the cage (28) and the center of a torque transmission ball (27) and a line interconnecting the center of the torque transmission ball (27) and the joint center.

Inventors:
HOSHINO MANABU (JP)
FUJIO TERUAKI (JP)
NAKAGAWA TOHRU (JP)
SUGANUMA WASABURO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/066429
Publication Date:
April 02, 2009
Filing Date:
September 11, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NTN TOYO BEARING CO LTD (JP)
HOSHINO MANABU (JP)
FUJIO TERUAKI (JP)
NAKAGAWA TOHRU (JP)
SUGANUMA WASABURO (JP)
International Classes:
F16D3/223; F16D3/2237
Foreign References:
JP2000230570A2000-08-22
JP2007064264A2007-03-15
JPS60179521A1985-09-13
JP2005337306A2005-12-08
JP2006194268A2006-07-27
JPH11303882A1999-11-02
US2046584A1936-07-07
GB441718A1936-01-24
Other References:
See also references of EP 2192315A4
Attorney, Agent or Firm:
TANAKA, Hideyoshi et al. (15-26 Edobori 1-chome,Nishi-ku, Osaka-shi, Osaka 02, JP)
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Claims:
 内球面に軸方向に延びた6本のトラック溝を形成した外側継手部材と、外球面に軸方向に延びた6本のトラック溝を形成した内側継手部材と、前記外側継手部材のトラック溝と前記内側継手部材のトラック溝との対で形成されるボールトラックに1個ずつ配置した6個のトルク伝達ボールと、前記外側継手部材の内球面と前記内側継手部材の外球面との間に介在すると共に前記トルク伝達ボールを保持するケージを備えた固定式等速自在継手において、
 前記ケージの外球面の曲率中心を継手中心に対して継手開口側に、前記ケージの内球面の曲率中心を継手中心に対して継手奥側に、それぞれ、軸方向に互い反対側に等距離だけオフセットすると共に、
 継手作動角が0°の状態における、前記ケージの内外球面の曲率中心と前記トルク伝達ボールの中心を結ぶ直線と、前記トルク伝達ボールの中心と継手中心とを結ぶ直線とが成すケージのオフセット角θ CAGE を、2.7°≦θ CAGE ≦5.7°の範囲に設定したことを特徴とする固定式等速自在継手。
 内球面に軸方向に延びた6本のトラック溝を形成した外側継手部材と、外球面に軸方向に延びた6本のトラック溝を形成した内側継手部材と、前記外側継手部材のトラック溝と前記内側継手部材のトラック溝との対で形成されるボールトラックに1個ずつ配置した6個のトルク伝達ボールと、前記外側継手部材の内球面と前記内側継手部材の外球面との間に介在すると共に前記トルク伝達ボールを保持するケージを備えた固定式等速自在継手において、
 ケージのポケット中心位置におけるケージ肉厚を tCAGE とするとともに、作動角が0°のときのボールのピッチ円半径をPCR BALL とし、この比であるt CAGE /PCR BALL を0.20以上0.23以下としたことを特徴とする固定式等速自在継手。
 継手作動角が0°の状態における、前記ケージの内外球面の曲率中心と前記トルク伝達ボールの中心を結ぶ直線と、前記トルク伝達ボールの中心と継手中心とを結ぶ直線とが成すケージのオフセット角θ CAGE を、2.7°≦θ CAGE ≦5.7°の範囲に設定したことを特徴とする請求項2に記載の固定式等速自在継手。
 前記外側継手部材のトラック溝の曲率中心を継手中心に対して継手開口側に、前記内側継手部材のトラック溝の曲率中心を継手中心に対して継手奥側に、それぞれ、軸方向に互い反対側に等距離だけオフセットすると共に、
 継手作動角が0°の状態における、前記内外継手部材の各トラック溝の曲率中心と前記トルク伝達ボールの中心を結ぶ直線と、前記トルク伝達ボールの中心と継手中心とを結ぶ直線とが成すトラック溝のオフセット角θ TRACK を、前記ケージのオフセット角θ CAGE と略同一となるように設定したことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の固定式等速自在継手。
 前記トルク伝達ボールのピッチ円径(PCD BALL )と前記トルク伝達ボールの直径(D BALL )との比r1(=PCD BALL /D BALL )を、3.0≦r1≦3.3の範囲に設定したことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の固定式等速自在継手。
 前記外側継手部材の外径(D OUTER )と前記トルク伝達ボールの直径(D BALL )との比r2(=D OUTER /D BALL )を、4.6≦r2≦4.8の範囲に設定したことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の固定式等速自在継手。
 前記内外継手部材の各トラック溝を、周方向不等ピッチに配設すると共に、前記外側継手部材のトラック溝相互間に配設された複数の内球面のうち、最小の前記ピッチ内に配設された内球面の開口側端部の周方向長さを、前記ケージのポケットの幅より小さく設定したことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の固定式等速自在継手。
 前記内外継手部材の各トラック溝相互間のピッチのうち、継手中心に対して対称に位置する2つのピッチの位相を60°より小さく設定すると共に、残りの4つのピッチの位相を60°より大きく設定し、前記60°より小さい位相のピッチ内に配設された外側継手部材の内球面の開口側端部の周方向長さを、前記ケージのポケットの幅より小さく設定したことを特徴とする請求項7に記載の固定式等速自在継手。
 前記60°より小さい位相のピッチ内に配設された前記ケージの柱部を除去して、ケージに2個の前記トルク伝達ボールを保持可能な長ポケットを形成すると共に、前記長ポケットの周方向長さを、前記内側継手部材の幅より大きく設定したことを特徴とする請求項8に記載の固定式等速自在継手。
 前記60°より小さい位相のピッチ内に配設された前記ケージの柱部の一部を除去して、ケージに2個の前記トルク伝達ボールを保持可能な長ポケットを形成すると共に、前記長ポケットの周方向長さを、前記内側継手部材の幅より大きく設定したことを特徴とする請求項8に記載の固定式等速自在継手。
 前記60°より小さい位相のピッチ内に配設された前記ケージの柱部を、プレス加工にて除去したことを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の固定式等速自在継手。
 前記60°より小さい位相のピッチ内に配設された前記ケージの柱部を、ミーリング加工にて除去したことを特徴とする請求項9又は10に記載の固定式等速自在継手。
 前記内側継手部材の少なくとも1つのトラック溝の継手奥側の末端縁部に、切欠部を設けたことを特徴とする請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の固定式等速自在継手。
 前記切欠部を塑性加工にて成形したことを特徴とする請求項13に記載の固定式等速自在継手。
 前記内外継手部材の各トラック溝底面にストレート部を設けたアンダーカットフリー型であることを特徴とする請求項1~請求項14のいずれか1項に記載の固定式等速自在継手。
 前記内外継手部材の各トラック溝底面にテーパ部を設けたことを特徴とする請求項1~請求項14のいずれか1項に記載の固定式等速自在継手。
 前記外側継手部材のトラック溝又は前記内側継手部材のトラック溝の少なくとも一方を、塑性加工にて成形したことを特徴とする請求項1~請求項16のいずれか1項に記載の固定式等速自在継手。
 前記外側継手部材のトラック溝又は前記内側継手部材のトラック溝の少なくとも一方を、研削加工又は焼入れ鋼切削加工にて成形したことを特徴とする請求項1~請求項16のいずれか1項に記載の固定式等速自在継手。
Description:
固定式等速自在継手

 本発明は、自動車や各種産業機械の動力 達系において使用され、駆動側と従動側の 軸間で作動角変位を許容しながら回転トル を伝達する固定式等速自在継手に関する。

 自動車及びこれに準ずる各種車両におい は、エンジンからの駆動力をホイールに伝 する動力伝達経路に、二軸間で角度変位や 方向変位があった場合でも等速で回転動力 伝達することが可能な等速自在継手を配設 ることが行われている。等速自在継手には プランジング運動(軸方向変位)を行わない 定式等速自在継手とプランジング運動を行 摺動式等速自在継手がある。固定式等速自 継手としては、バーフィールド型(BJ)やアン ーカットフリー型(UJ)が広く知られている。

 例えば、UJタイプの固定式等速自在継手 、図23と図24に示すように内球面1に複数のト ラック溝2が円周方向等間隔に軸方向に沿っ 形成された外側継手部材としての外輪3と、 球面4に外輪3のトラック溝2と対をなす複数 トラック溝5が円周方向等間隔に軸方向に沿 って形成された内側継手部材としての内輪6 、外輪3のトラック溝2と内輪6のトラック溝5 の間に介在してトルクを伝達する複数のボ ル7と、外輪3の内球面1と内輪6の外球面4と 間に介在してボール7を保持するケージ8とを 備えている。ケージ8には、ボール7が収容さ るポケット9が周方向に沿って複数配設され ている。

 また、外輪3のトラック溝2は、奥側が円 部2aとされ、開口側が直線部2bとされる。内 6のトラック溝5は、奥側が直線部5aとされ、 開口側が円弧部5bとされる。内輪6のトラック 溝5の曲率中心O1および外輪3のトラック溝2の 率中心O2は、継手中心Oに対して等距離F、F け軸方向に逆向きにオフセットされている

 近年においては、コンパクト化を図るため 、図24に示すようにボールを8個としたもの ある(特許文献1)。この場合、ケージのポケ ト中心位置におけるケージ肉厚をtCAGEとす とともに、作動角が0°のときのボールのピ チ円半径をPCRBALLとし、この比であるt CAGE /PCR BALL を0.11~0.19程度とされる。

 また、従来のUJ型等速自在継手には、図26に 示すように、小型軽量化のために、上記内外 輪3,6の各トラック溝2,5の曲率中心O1,O2とトル 伝達ボール7の中心Qを結ぶ直線と、トルク 達ボール7の中心Qと継手中心Oを結ぶ直線と 成すトラック溝のオフセット角θ TRACK を、4°≦θ TRACK ≦6°の範囲に設定するものがある(特許文献2) 。

 このような特許文献2に記載のものでは、外 輪3の内球面1の曲率中心O10(ケージ8の外球面8a の曲率中心)及び内輪6の外球面4の曲率中心O20 (ケージ8の内球面8bの曲率中心)も、それぞれ 手中心Oを挟んで軸方向に等距離だけオフセ ットされている。そして、ケージ8の内外球 8a,8bの曲率中心O10,O20とトルク伝達ボール7の 心Qを結ぶ直線と、トルク伝達ボール7の中 Qと継手中心Oを結ぶ直線とが成すケージ8の フセット角θ CAGE を、0°<θ CAGE <1°の範囲に設定している。このように、 ージ8は、そのオフセット角θ CAGE が非常に小さく設定されているため、略均一 な厚さに成形される。

特許第3859264号公報

特開2005-337304号公報

 近年、固定式等速自在継手の更なる小型軽 化のため、ケージ8の厚さを更に薄くするこ とが試みられている。特許文献1に記載の等 自在継手において、t CAGE /PCR BALL を0.11~0.19に保ったまま、更なるコンパクト化 、つまりピッチ円半径を小さくしようとすれ ば、ケージ8の肉厚が必然的に薄くなる。こ ように薄くなれば、ポケット9間の柱部、及 ポケット9の側枠(軸方向に対面する窓枠)の 性が低下する。すなわち、継手が高作動角 とった状態で回転する場合、ケージ8の継手 開口側の端部に大きな負荷がかかるため、そ の部分の強度は確保しなければならない。し かしながら、高作動角時において、等速自在 継手としての強度を確保することが困難であ る。

 また、前記特許文献2に示す継手の構成に おいて、ケージ8の厚さを薄く設定すると、 ージ8が均一に薄く成形されるため、ケージ8 の継手開口側の端部の強度を十分に確保する ことが困難であった。また、このケージ8の 型軽量化に伴う継手開口側の端部の強度低 は、特に小型車・軽自動車用等に適用する サイズの固定式等速自在継手に顕著に認め れる。

 そこで、本発明は斯かる実情に鑑み、ケ ジの強度を確保しつつ、小型軽量化を図り ることが可能であり、また高角度強度およ 耐久性を向上させることができる固定式等 自在継手を提供しようとするものである。

 本発明の第1の固定式等速自在継手は、内球 面に軸方向に延びた6本のトラック溝を形成 た外側継手部材と、外球面に軸方向に延び 6本のトラック溝を形成した内側継手部材と 前記外側継手部材のトラック溝と前記内側 手部材のトラック溝との対で形成されるボ ルトラックに1個ずつ配置した6個のトルク 達ボールと、前記外側継手部材の内球面と 記内側継手部材の外球面との間に介在する 共に前記トルク伝達ボールを保持するケー を備えた固定式等速自在継手において、前 ケージの外球面の曲率中心を継手中心に対 て継手開口側に、前記ケージの内球面の曲 中心を継手中心に対して継手奥側に、それ れ、軸方向に互い反対側に等距離だけオフ ットすると共に、継手作動角が0°の状態に ける、前記ケージの内外球面の曲率中心と 記トルク伝達ボールの中心を結ぶ直線と、 記トルク伝達ボールの中心と継手中心とを ぶ直線とが成すケージのオフセット角θ CAGE を、2.7°≦θ CAGE ≦5.7°の範囲に設定したものである。

 本発明の第1の固定式等速自在継手によれば 、ケージのオフセット角θCAGEを、従来のケー ジのオフセット角(0°<θ CAGE <1°)より大きく設定することによって、ケ ジの継手開口側の端部の肉厚が、他の部分 比べて厚く成形される。ケージのオフセッ 角が、2.7°未満であると、ケージの継手開 側の端部が薄くなり、十分な強度が確保で ない。また、5.7°を越えると、ケージの継手 奥側の端部の肉厚が極端に薄くなる。ケージ の製造工程において一般的に熱処理を施すが 、ケージの肉厚が極端に薄くなると、その肉 厚の薄い部分では熱処理による未硬化層が少 なくなり、靱性が低下し十分な強度が確保で きなくなる。また、ケージの継手開口側の端 部と継手奥側の端部とで、肉厚差が大きいと 加工性の悪化も懸念される。

 本発明の第2の固定式等速自在継手は、内球 面に軸方向に延びた6本のトラック溝を形成 た外側継手部材と、外球面に軸方向に延び 6本のトラック溝を形成した内側継手部材と 前記外側継手部材のトラック溝と前記内側 手部材のトラック溝との対で形成されるボ ルトラックに1個ずつ配置した6個のトルク 達ボールと、前記外側継手部材の内球面と 記内側継手部材の外球面との間に介在する 共に前記トルク伝達ボールを保持するケー を備えた固定式等速自在継手において、ケ ジのポケット中心位置におけるケージ肉厚 tCAGE とするとともに、作動角が0°のときのボール のピッチ円半径をPCR BALL とし、この比であるt CAGE /PCR BALL を0.20以上0.23以下としたものである。

 本発明の第2の固定式等速自在継手によれば 、ボールの数が6個であるので、比較的大き ボールを使用することができ、しかもケー のポケット間の柱幅も厚くすることができ 。ところで、t CAGE /PCR BALL が0.20未満となると、外径が大きくなり、コ パクト化が困難になったり、ケージの肉厚 薄くなったり、大角度時の必要継手強度を 保することが困難となる。一方、t CAGE /PCR BALL が0.23を越えると、内径セレーション部(シャ ト嵌合部)における内輪(内側継手部材)の肉 が薄くなり、大角度時(高作動角時)の必要 手強度の確保が困難になったり、内側継手 材及び外側継手部材の球面が小さくなるこ により、許容可能なトルクレベルが低下し りする。この結果、ボールが内側継手部材 び外側継手部材のトラック溝のエッジ部に り上げ易くなり、耐久性が著しく低下して まうおそれがある。このため、0.20≦t CAGE /PCR BALL ≦0.23とすることによって、小型化及びケー 強度の向上を図ることができ、しかも、ボ ルのトラック溝のエッジ部への乗り上げを 止できる。

 前記第2の固定式等速自在継手においても、 ケージの内外球面の曲率中心とトルク伝達ボ ールの中心を結ぶ直線と、トルク伝達ボール の中心と継手中心とを結ぶ直線とが成すケー ジのオフセット角θ CAGE を、2.7°≦θ CAGE ≦5.7°の範囲に設定するのが好ましい。

 また、前記各固定式等速自在継手において 前記外側継手部材のトラック溝の曲率中心 継手中心に対して継手開口側に、前記内側 手部材のトラック溝の曲率中心を継手中心 対して継手奥側に、それぞれ、軸方向に互 反対側に等距離だけオフセットすると共に 継手作動角が0°の状態における、前記内外 手部材の各トラック溝の曲率中心と前記ト ク伝達ボールの中心を結ぶ直線と、前記ト ク伝達ボールの中心と継手中心とを結ぶ直 とが成すトラック溝のオフセット角θ TRACK を、前記ケージのオフセット角θ CAGE と略同一となるように設定してもよい。すな わち、ケージのオフセット量をトラック溝の オフセット量と略同一として大きくするのが 好ましい。これによって、継手奥側のトラッ ク溝深さが浅くなるのを防止できるとともに 、開口側のケージの肉厚(径方向厚さ)を大き することができる。

 前記トルク伝達ボールのピッチ円径(PCD BALL )と前記トルク伝達ボールの直径(D BALL )との比r1(=PCD BALL /D BALL )を、3.0≦r1≦3.3の範囲に設定することができ る。これにより、等速自在継手としての強度 ・耐久性を確保することができる。

 ピッチ円直径とボールの直径との比が3.0 満であると、ボールの直径が大きい場合は 側継手部材の肉厚が薄くなりすぎて、強度 点で懸念が生じ、ボールのピッチ円直径が さい場合は内側継手部材(内輪)・外側継手 材(外輪)とボール間の面圧が大きくなり、耐 久性の点で懸念が生じる。逆に、3.3を越える と、ボールの直径が小さい場合はボールの負 荷容量が小さくなり、耐久性の点で懸念が生 じ、ボールのピッチ円直径が大きい場合は、 外側継手部材外径が大きくなり、コンパクト 化が達成できない。

 前記外側継手部材の外径(D OUTER )と前記トルク伝達ボールの直径(D BALL )との比r2(=D OUTER /D BALL )を、4.6≦r2≦4.8の範囲に設定することができ る。外側継手部材の外径とボールの直径との 比が4.6未満であると、ボールの直径が大きい 場合は外側継手部材の肉厚が薄くなりすぎて 、強度の点で懸念が生じ、外側継手部材の外 径が小さい場合は内側継手部材・外側継手部 材とボール間の面圧が大きくなり、耐久性の 点で懸念が生じる。逆に、4.8を越えると、ボ ールの直径が小さい場合はボールの負荷容量 が小さくなり、耐久性の点で懸念が生じ、外 側継手部材の外径が大きい場合はコンパクト 化が達成できない。

 また、前記内外継手部材の各トラック溝 、周方向不等ピッチに配設すると共に、前 外側継手部材のトラック溝相互間に配設さ た複数の内球面のうち、最小の前記ピッチ に配設された内球面の開口側端部の周方向 さを、前記ケージのポケットの幅より小さ 設定してもよい。

 ところで、等速自在継手を組み立てる場 、外側継手部材にケージを組み込むことに る。外側継手部材にケージを組み込む工程 、一般的に、ケージのポケットを、外側継 部材の最小のピッチ内に配設された内球面 対向させて組み込むことになる。前記のよ に、構成することによって、最小のピッチ に配設された内球面の開口側端部の周方向 さが、対向するケージのポケットの幅より さく設定される。このため、前記内球面が ージの外周面に干渉することなく、ケージ 外側継手部材に容易に組み込むことができ 。

また、前記内外継手部材の各トラック溝相 互間のピッチのうち、継手中心に対して対称 に位置する2つのピッチの位相を60°より小さ 設定すると共に、残りの4つのピッチの位相 を60°より大きく設定し、前記60°より小さい 相のピッチ内に配設された外側継手部材の 球面の開口側端部の周方向長さを、前記ケ ジのポケットの幅より小さく設定したもの あってもよい。

 このような場合、外側継手部材にケージ 組み込む際は、ケージのポケットを、60°よ り小さい位相のピッチ内に配設された外側継 手部材の内球面に対向させて組み込むことに なる。この際、この60°より小さいピッチ内 配設された内球面の開口側端部の周方向長 が、対向するケージのポケットの幅より小 く設定されているので、前記内球面がケー の外周面に干渉することなく、ケージを外 継手部材に容易に組み込むことができる。 た、ポケットの幅より小さい周方向長さの 球面(開口側端部)が、継手中心に対して対称 に配置されるので、一層組み込みやすいもの となる。

 前記60°より小さい位相のピッチ内に配設 された前記ケージの柱部を除去して、ケージ に2個の前記トルク伝達ボールを保持可能な ポケットを形成すると共に、前記長ポケッ の周方向長さを、前記内側継手部材の幅よ 大きく設定したものであってもよい。

 このような場合、内側継手部材をケージ 組み込む際は、内側継手部材のトラック溝 互間に配設された外球面の一つを、ケージ 長ポケットに挿入して、内側継手部材をケ ジ内に収納することになる。この際、長ポ ットの周方向の長さが、内側継手部材の幅 り大きく設定されているため、内側継手部 の外球面を長ポケットに干渉させずに容易 挿入することが可能である。

 さらに、前記60°より小さい位相のピッチ 内に配設された前記ケージの柱部の一部を除 去して、ケージに2個の前記トルク伝達ボー を保持可能な長ポケットを形成すると共に 前記長ポケットの周方向長さを、前記内側 手部材の幅より大きく設定したものであっ もよい。

 この場合も、内側継手部材をケージに組 込む際は、内側継手部材のトラック溝相互 に配設された外球面の一つを、ケージの長 ケットに挿入して、内側継手部材をケージ に収納することになる。この際、長ポケッ の周方向の長さが、内側継手部材の幅より きく設定されているため、内側継手部材の 球面を長ポケットに干渉させずに容易に挿 することが可能である。

 前記60°より小さい位相のピッチ内に配設 された前記ケージの柱部は、プレス加工やミ ーリング加工にて除去しても良い。

 また、内側継手部材の少なくとも1つのト ラック溝の継手奥側の末端縁部に、切欠部を 設けるのが好ましい。切欠部を塑性加工にて 成形しても良い。

 内側継手部材をケージに組み込む際、切 部(例えば、傾斜部又は段差部等で構成され る)を設けた内側継手部材のトラック溝を、 ージの入口部に跨がせる。このとき、内側 手部材は、傾斜部又は段差部を設けたトラ ク溝を、(傾斜部等のない)従来の内側継手部 材のトラック溝よりも、全体的にケージの入 口部へ近づけて配置することができる。これ により、傾斜部又は段差部を設けた案内溝と 反対側にある内側継手部材の外球面と、ケー ジの入口部との間の隙間を大きく確保するこ とができる。

 前記内外継手部材の各トラック溝底面に トレート部を設けたアンダーカットフリー であったり、内外継手部材の各トラック溝 面にテーパ部を設けたものであったりする

 前記外側継手部材のトラック溝又は前記 側継手部材のトラック溝の少なくとも一方 、塑性加工にて成形したり、研削加工又は 入鋼切削加工にて成形したりすることがで る。ここで、焼入鋼切削は、単に切削のこ であり、切削は通常生材の状態で行うので 熱処理後(焼入れ後)の切削であることを明 にするために焼入鋼切削と称した。

 本発明の第1の固定式等速自在継手では、 ケージの継手開口側の端部の肉厚が、他の部 分に比べて厚く成形することが可能である。 これにより、継手の小型軽量化を図るために ケージを薄く成形しても、ケージの継手開口 側の端部は、継手の高作動角回転時に付与さ れる負荷に耐え得る強度を確保することがで きる。

本発明の第2の固定式等速自在継手では、 較的大きなボールを使用することができる で、ボール1個の許容できるトルク容量が確 でき、小さいPCDに配置、つまり外径をコン クトにすることができる。ケージのポケッ 間の柱部の肉厚も厚くすることができるの 、高作動角時の強度を確保できる。

 0.20≦t CAGE /PCR BALL ≦0.23とすることによって、小型化及びケー 強度の向上を図ることができ、しかも、ボ ルのトラック溝のエッジ部への乗り上げを 止できる。すなわち、本発明によれば、コ パクト化(小型化)を可能とするとともに、小 型化してもケージの強度を確保でき、さらに は、高角捩りトルク負荷時のケージ損傷を防 止できて、高角強度の向上を図ることができ る。このため、よりコンパクトなフォルムに て継手強度耐久性を従来品(8個ボールの固定 ジョイント)と同等以上に確保することがで きる。

 ボールのピッチ円直径とボールの直径と 比を、3.0以上3.3以下としたことによって、 速自在継手としての強度・耐久性を確保す ことができ、高精度の等速自在継手を提供 ることができる。また、外側継手部材の外 とボールの直径との比を、4.6以上4.8以下と ることによって、一層強度・耐久性を確保 ることができる。ケージのオフセット角度 、2.7°以上5.7°以下に設定することによって 、ケージの継手開口側の端部の肉厚を、他の 部分に比べて厚く成形することができ、継手 の小型軽量化を図るためにケージを薄く成形 しても、ケージの継手開口側の端部は、継手 の高作動角回転時に付与される負荷に耐え得 る強度を確保することができる。

 ケージのオフセット量をトラック溝のオ セット量と略同一として大きくすることに って、継手奥側のトラック溝深さが浅くな のを防止できるとともに、開口側のケージ 肉厚(径方向厚さ)を大きくすることができ 。このため、高角時のボールがトラックエ ジに乗り上げるのを防止でき、エッジに過 な応力が作用することがなくなる。すなわ 、高角時の捩りトルク負荷容量の低下を防 、高角耐久寿命の向上(改善)や高角時の内側 継手部材と外側継手部材のトラック溝の塑性 変形に起因する破損強度の向上(改善)を図る とができる。

 内側継手部材のトラック溝及び外側継手 材のトラック溝を円周方向に不等ピッチで 設したものであれば、ケージのポケットも 周方向に不等ピッチで配設される。これに って、ケージに内輪を組み込む際に、この 立時に周方向長さが大となるポケットを利 することができ、組立性の向上を図ること できる。

 最小の前記ピッチ内に配設された内球面 開口側端部の周方向長さを、前記ケージの ケットの幅より小さくしたり、60°より小さ い位相のピッチ内に配設された外側継手部材 の内球面の開口側端部の周方向長さを、前記 ケージのポケットの幅より小さくすることに よって、外側継手部材にケージを組み込む際 の組み込み性の向上を図ることができる。

 ケージに2個の前記トルク伝達ボールを保 持可能な長ポケットを形成すると共に、前記 長ポケットの周方向長さを、内側継手部材の 幅より大きく設定したものであれば、内側継 手部材をケージに組み込む際の組み込み性の 向上を図ることができる。

 また、ケージ長ポケットを形成するにあ って、柱部を除去する方法としてはプレス 工であっても、ミーリング加工であっても く、これらの種々の塑性加工にて安定して 形することができる。

 内側継手部材のトラック溝の継手奥側の 端縁部に切欠部を設けものでは、組み込み に、ケージの入口部において形成される隙 を大きくとることができ、組み込み性の向 を図ることができる。

 また、トラック溝の成形は、塑性加工、 削加工、又は焼入鋼切削加工等の種々の加 方法を採用することができ、生産性に優れ 。

本発明の第1の実施形態を示す固定式等 速自在継手の縦断面図である。 前記固定式等速自在継手の縦断面図で る。 前記固定式等速自在継手の横断面図で る。 前記固定式等速自在継手の要部縦断面 である。 本発明の他の実施形態を示す固定式等 自在継手の横断面図である。 図5に示す固定式等速自在継手の外輪と ケージとの関係を示す正面図である。 図5に示す固定式等速自在継手の内輪と ケージとの関係を示す側面図である。 図5に示す固定式等速自在継手のケージ へに内輪の組み込み状態を示す側面図である 。前記固定式等速自在継手の内輪の断面図で ある。 前記図5の固定式等速自在継手のケー の側面図である。 ケージの第1の変形例を示す側面図で る。 ケージの第2の変形例を示す側面図で る。 ケージの第3の変形例を示す側面図で る。 ケージの第4の変形例を示す側面図で る。 ケージの第5の変形例を示す側面図で る。 ケージの第6変形例を示す側面図であ 。 ケージの第6変形例を示す斜視図であ 。 内輪の変形例を示す斜視図である。 前記図13に示す内輪の正面図である。 前記図13に示す内輪の断面図である。 前記図13に示す内輪を用いたケージへ 組み込み方法を示す断面図である。 ケージへの組み込み時に形成される隙 間の説明図である。 内輪の他の変形例を示す斜視図である 。 前記図18に示す内輪の正面図である。 前記図18に示す内輪の断面図である。 内輪に形成される切欠部の第1変形例 示す拡大断図である。 内輪に形成される切欠部の第2変形例 示す拡大断図である。 内輪に形成される切欠部の第3変形例 正面図である。 内輪に形成される切欠部の第3変形例 断面図である。 本発明の別の実施形態を示す固定式等 速自在継手の縦断面図である。 従来の固定式等速自在継手の縦断面図 である。 従来の固定式等速自在継手の横断面図 である。 従来の固定式等速自在継手の縦断面図 である。

符号の説明

21   内球面
22   トラック溝
24   外球面
25   トラック溝
27   トルク伝達ボール
28   ケージ
28a 外球面
28b 内球面
29   ポケット
30   長ポケット
31   短ポケット
33   柱部
45   切欠部

以下本発明の実施の形態を図1~図22に基づ て説明する。

 この固定式等速自在継手は、図1と図2に すように内球面21に複数(6個)のトラック溝22 軸方向に沿って形成された外側継手部材と ての外輪23と、外球面24に外輪23のトラック 22と対をなす複数(6個)のトラック溝25が軸方 向に沿って形成された内側継手部材としての 内輪26と、外輪23のトラック溝22と内輪26のト ック溝25との間に介在してトルクを伝達す 複数(6個)のボール27と、外輪23の内球面21と 輪26の外球面24との間に介在してボール27を 持するポケット(ポケット)29を有するケージ2 8とを備えている。この場合、図2に示すよう 、ポケット29は円周方向に沿って等ピッチ(6 0°ピッチ)で6個配設されている。

 前記外輪23のトラック溝22は、トラック溝 底が円弧部となる奥側トラック溝22aと、トラ ック溝底が外輪軸線と平行なストレート部と なる開口側トラック溝22bとからなる。奥側ト ラック溝22aは、その曲率中心O1を継手中心Oか ら軸方向に外輪23の開口側にずらしている。 た、内輪26のトラック溝25は、トラック溝底 が内輪軸線と平行なストレート部となる奥側 トラック溝25aと、トラック溝底が円弧部とな る開口側トラック溝25bとからなる。開口側ト ラック溝25bの曲率中心O2を継手中心Oから軸方 向に外輪23の奥側トラック溝22aの曲率中心O1 反対側の奥側に等距離kだけ離して設けてい 。

 外輪23のトラック溝22や内輪26のトラック 25は、塑性加工、研削、又は焼入鋼切削等 て成形することができる。ここで、焼入鋼 削は、単に切削のことであり、切削は通常 材の状態で行うので、熱処理後(焼入れ後)の 切削であることを明確にするために焼入鋼切 削と称した。焼き入れ後に切削を行うため、 素材の熱処理変形をこの切削過程で除去する ことができる。焼入れを行うと、引張残留応 力が残り易く、そのままでは疲労強度が低下 する。このため、表面を切削すれば、最表面 部に圧縮残留応力を付与させることができ、 これにより疲労強度が向上する。

 ケージ28は、外球面28aの曲率中心O3と内球 面28bの曲率中心O4とを、継手中心(ケージ中心 )Oに対して等距離k2だけ軸方向に逆向きにオ セットさせ、このケージ28のオフセット量を トラック溝のオフセット量と略同一として大 きくしている。

 このため、ケージ28の外球面28aは、外輪23 の奥側トラック溝22aの溝底とほぼ同心円弧( 率半径は相違する同心円弧)を形成すること でき、継手奥側のトラック溝深さが浅くな のを防止できるとともに、ケージ28の開口 の肉厚(径方向厚さ)を大きくすることができ る。

 図3に示すように、ケージ28のポケット中心 置におけるケージ肉厚をt CAGE とするとともに、作動角が0°のときのボール 27のピッチ円半径をPCR BALL とし、この比であるt CAGE /PCR BALL を0.20以上0.23以下とする。

 また、図3に示すように、ボール27のピッチ 直径PCD BALL とボール27の直径DBALLとの比r1を、3.0以上3.3以 下とする。すなわち、3.0≦r1≦3.3としている 外輪23の外径D OUTER とボール27の直径PCDBALLとの比r2を、4.6以上4.8 下とする。すなわち、4.4≦r2≦4.8としてい 。

 ここで、ピッチ円半径PCR BALL とは、ボール中心が描く円の軌跡の半径であ り、ピッチ円直径PCD BALL とは、ボール中心が描く円の軌跡の直径であ る。すなわち、ピッチ円直径PCD BALL は、外輪23のトラック溝22の曲率中心O1、又は 、内輪26のトラック溝25の曲率中心O2と、トル ク伝達ボール7の中心Qとを結ぶ線分の長さPCR 2倍と定義する(PCD BALL =PCR×2)。

 図4に示すように、作動角が0°のときにおい て、ケージ28の外球面28aの曲率中心O3とボー 中心Qとを結んだ直線L3と、継手中心Oとボー 中心Qとを結んだ直線Lとの成す角度θ3、及 ケージ28の内球面28bの曲率中心O4とボール中 Qとを結んだ直線L4と、継手中心Oとボール中 心Qとを結んだ直線Lとの成す角度θ4をそれぞ 2.7°以上5.7°以下に設定している。なお、角 度θ3及びθ4は、ケージオフセット角(θ CAGE )と呼ぶ。また、作動角が0°とは、外輪23の軸 線と内輪の軸線とが一致する状態である。す なわち、2.7°≦θ CAGE ≦5.7°に設定される。

 このように、上記ケージのオフセット角θ CAGE を、図26に示す従来のケージのオフセット角( 0°<θ CAGE <1°)より大きく設定することによって、ケ ジ28の継手開口側の端部の肉厚が、他の部 に比べて厚く成形される。これにより、継 の小型軽量化を図るためにケージ28を薄く成 形しても、ケージ28の継手開口側の端部は、 手の高作動角回転時に付与される負荷に耐 得る強度を確保することができる。

 ケージのオフセット角θ CAGE が、θ CAGE <2.7°であると、ケージ28の継手開口側の端 が薄くなり、十分な強度が確保できない。 た、5.7°<θ CAGE である場合は、ケージ28の継手奥側の端部の 厚が極端に薄くなる。ケージの製造工程に いて一般的に熱処理を施すが、ケージ28の 厚が極端に薄くなると、その肉厚の薄い部 では熱処理による未硬化層が少なくなり、 性が低下し十分な強度が確保できなくなる また、ケージ28の継手開口側の端部と継手奥 側の端部とで、肉厚差が大きいと加工性の悪 化も懸念される。

 また、作動角が0°のときにおいて、外輪23 トラック溝22の曲率中心O1とボール中心Qとを 結んだ直線L1と、継手中心Oとボール中心Qと 結んだ直線Lとの成す角度θ1、及び内輪26の ラック溝25の曲率中心O2とボール中心Qとを結 んだ直線L2と、継手中心Oとボール中心Qとを んだ直線Lとの成す角度θ2をそれぞれ前記オ セット角(θ CAGE )と略同一に設定される。なお、角度θ1及び 度θ2は、トラックオフセット角(θ TRACK )と呼ぶ。この実施形態では、外輪23のトラッ ク溝22の曲率中心O1をケージ28の外球面28aの曲 率中心O3よりも反継手中心側に配置するとと に、内輪26のトラック溝25の曲率中心O2を、 ージ28の内球面28bの曲率中心O4よりも反継手 中心側に配置している。このため、この実施 形態では、トラックオフセット角(θ TRACK )がケージオフセット角(θ CAGE )よりも僅かに大きく設定されている。

 本発明では、ボールの数が6個であるので 、比較的大きなボールを使用することができ る。このため、ボール1個の許容できるトル 容量が確保でき、小さいPCDに配置、つまり 径をコンパクトにすることができる。ケー 28のポケット間の柱部の肉厚も厚くすること ができるので、高作動角時の強度を確保でき る。

 ところで、t CAGE /PCR BALL が0.20未満となると、外径が大きくなり、コ パクト化が困難になったり、ケージの肉厚 薄くなったり、大角度時の必要継手強度が 保することが困難となる。一方、t CAGE /PCR BALL が0.23を越えると、内径セレーション部(シャ ト嵌合部)における内輪(内側継手部材)の肉 が薄くなり、大角度時(高作動角時)の必要 手強度の確保が困難になったり、内輪26及び 外輪23の球面が小さくなることにより、許容 能なトルクレベルが低下したりする。この 果、ボール27が内輪26及び外輪23のトラック 25、22のエッジ部に乗り上げ易くなり、耐久 性が著しく低下してしまうおそれがある。

 このため、0.20≦t CAGE /PCR BALL ≦0.23とすることによって、小型化及びケー 強度の向上を図ることができ、しかも、ボ ル27のトラック溝のエッジ部への乗り上げを 防止できる。すなわち、本発明によれば、コ ンパクト化(小型化)を可能とするとともに、 型化してもケージ28の強度を確保でき、さ には、高角捩りトルク負荷時のケージ損傷 防止できて、高角強度の向上を図ることが きる。このため、よりコンパクトなフォル にて継手強度耐久性を従来品(8個ボールの固 定式ジョイント)と同等以上に確保すること できる。

 また、ボール27のピッチ円直径 PCDBALL とボール27の直径との比を、3.0以上3.3以下と たことによって、等速自在継手としての強 ・耐久性を確保することができ、高精度の 速自在継手を提供できる。ピッチ円直径PCD BALL とボール27の直径との比をr1としたときに、r1 <3.0であると、ボール27の直径が大きい場合 は内輪26の肉厚が薄くなりすぎて、強度の点 懸念が生じ、ボール27のピッチ円直径が小 い場合は内・外輪26、23とボール間の面圧が きくなり、耐久性の点で懸念が生じる。逆 、r1>3.3であると、ボール27の直径が小さ 場合はボール27の負荷容量が小さくなり、耐 久性の点で懸念が生じ、ボール27のピッチ円 径が大きい場合は、外輪23の肉厚が薄くな すぎて、強度の点で懸念が生じたり、或い 外輪外径が大きくなり、コンパクト化が達 できない。

 外輪23の外径とボール27の直径との比を、 4.6以上4.8以下とするのが好ましい。これによ って、一層強度・耐久性を確保できる。外輪 23の外径とボール27の直径との比r2としたとき に、r2<4.6であると、ボール27の直径が大き 場合は外輪23の肉厚が薄くなりすぎて、強 の点で懸念が生じ、外輪23の外径が小さい場 合は内・外輪26、23とボール27間の面圧が大き くなり、耐久性の点で懸念が生じる。逆に、 r2>4.8であると、ボール27の直径が小さい場 はボールの負荷容量が小さくなり、耐久性 点で懸念が生じ、外輪23の外径が大きい場 は、コンパクト化が達成できない。

 ケージ28の角度θ3及びθ4を、2.7°以上5.7° 下に設定することによって、ケージ28の継 開口側の端部の肉厚を、他の部分に比べて く成形することができ、継手の小型軽量化 図るためにケージ28を薄く成形しても、ケー ジ28の継手開口側の端部は、継手の高作動角 転時に付与される負荷に耐え得る強度を確 することができる。ケージ28の角度(オフセ ト角)θ3及びθ4を、2.7°以上5.7°以下に設定 ることによって、ケージ28の継手開口側の端 部の肉厚が、他の部分に比べて厚く成形され る。ケージ28のオフセット角θ3、θ4が、2.7° 満であると、ケージ28の継手開口側の端部が 薄くなり、十分な強度が確保できない。また 、5.7°を越えると、ケージ28の継手奥側の端 の肉厚が極端に薄くなる。ケージの製造工 において一般的に熱処理を施すが、ケージ28 の肉厚が極端に薄くなると、その肉厚の薄い 部分では熱処理による未硬化層が少なくなり 、靱性が低下し十分な強度が確保できなくな る。また、ケージ28の継手開口側の端部と継 奥側の端部とで、肉厚差が大きいと加工性 悪化も懸念される。

 また、本発明では、ケージ28のオフセッ 量kをトラック溝22、25のオフセット量と略同 一として大きくしている。このため、継手奥 側のトラック溝深さが浅くなるのを防止でき るとともに、開口側のケージ28の肉厚(径方向 厚さ)を大きくすることができる。このため 高角時のボール27がトラックエッジに乗り上 げるのを防止でき、エッジに過大な応力が作 用することがなくなる。すなわち、高角時の 捩りトルク負荷容量の低下を防ぎ、高角耐久 寿命の向上(改善)や高角時の内輪26と外輪23の トラック溝25、22の塑性変形に起因する破損 度の向上(改善)を図ることができる。

 外輪23のトラック溝22や内輪26のトラック 25は、塑性加工や切削又は焼入れ鋼切削等 て成形することができるので、内輪26や外輪 23のトラック溝成形は、なんら特別な成形方 によることなく簡単に行うことができる。

 図5は他の実施形態を示し、この場合のケ ージ28は、周方向間隔が大の一対の長ポケッ 30と、周方向間隔が小の一対の短ポケット31 との4個を有している。そして、一対の長ポ ット30を周方向に沿って180度ずらせるととも に、一対の短ポケット31を周方向に沿って180 ずらせて、長ポケット30と短ポケット31とを 周方向に沿って交互に配置している。このた め、ポケット間に設けられる柱部(ケージ柱 )33が4個となる。そして、長ポケット30には2 のボール27を収容するとともに、短ポケッ 31には1個のボール27を収容する。

 長ポケット30に収容される2個のボール27 PCD上のピッチ角eを60度よりも小さくすると もに、その他のボール27のピッチ角dを60度よ りも大きくしている。このため、図6に示す うに、ケージ28の長ポケット30に対応する外 23の2つのトラック溝間肩幅寸法fを、ケージ 軸方向におけるポケット幅gよりも小さく設 している。すなわち、内輪26及び外輪23の各 ラック溝25、22を、周方向不等ピッチに配設 すると共に、外輪23のトラック溝相互間に配 された複数の内球面のうち、最小の前記ピ チ内に配設された内球面の開口側端部の周 向長さ(トラック溝間肩幅寸法)fを、ケージ2 8のポケット幅gより小さく設定している。さ に、図7に示すように、長ポケット30の周方 間隔hよりも内輪26の軸方向長さiを短くして いる。

 ところで、長ポケット30には、図6と図7に 示すように、長ポケット30の相対面する長辺3 5a、35bの長手方向中央部に、長ポケット内方 へ張り出す膨出部36、36を設けて、長ポケッ ト30にスリット37を介して連設される2つのボ ル収容部38、38を形成している。また、膨出 部36、36は、その外面がケージ28の外球面28aと 同一曲率半径の連続した球面であり、内面が ケージ28の内球面28bと同一曲率半径の連続し 球面である。なお、この実施形態では、膨 部36の形状を、ケージ外周側からみて側辺 円弧面とされた台形状である。このため、 膨出部36の突出端面36aは、ケージ周方向に沿 って延びる平面であり、所定間隔Mをもって 向(対面)している。

 所定間隔Mとしては、図7に示すように、 立時に内輪26の肩部47(隣合うトラック溝間の 突部)に干渉しない寸法とする。また、膨出 36の大きさや形状としても、作動角を付けて 回転したとき等において、ボール収容部38に 容されるボール27の動きを阻害しないよう する必要がある。なお、膨出部36としては、 長ポケット30を形成する際に、機械加工や塑 加工で形成することができる。

 このように、周方向間隔が大の一対の長 ケット30と、周方向間隔が小の一対の短ポ ット31との4個を有し、一対の長ポケット30を 周方向に沿って180度ずらせるとともに、一対 の短ポケット31を周方向に沿って180度ずらせ 、長ポケット30と短ポケット31とを周方向に 沿って交互に配置したことによって、ケージ 28のポケット間の柱部33の数を4つとすること でき、1本あたりの柱部33の周方向長さを長 することができる。

 これにより、各ケージ柱部33の剛性を大 くすることができるので、小さなPCDに大き ボール27を配置することができ、負荷容量を 低下させずにコンパクト化が可能となる固定 式等速自在継手として小型化を図ることがで き、しかも、高角度時の捩りトルク負荷に対 して、ケージ28の破損を防止できる。また、 ポケット30を有することによって、内輪26の ケージ28への組込みが容易となる。すなわち 内輪26のケージ28への組み込みは、図6と図7 示すように、内輪26の一の肩部47を一の長ポ ケット30に落とし込むことになるから、肩部4 7を落とし込むポケット29に、長ポケット30を いることによって、その作業性の向上を図 ことができる。

 長ポケット30に膨出部36、36を設けること よって、この長ポケット30を構成するため 枠(窓枠)の剛性を向上できる。これによって 、窓枠の剛性不足によるケージ28の変形を防 でき、この継手の作動性を損なわずに済み 長期に亘って安定した作動性を発揮するこ ができる。

 さらに、継手開口側の長辺35a側の膨出部3 6によって、作動角をとる際に、外輪23の開口 (入口)のインローエッジ部と、ケージ外球面2 8a側のポケットエッジ部との干渉を遅らせた 、無くしたりすることができ、継手奥側の 辺35bの膨出部36によって、内輪26の外球面24 奥側エッジ部とケージ内球面28b側のポケッ エッジ部との干渉を遅らせたり、無くした することができる。このため、ケージ28の 側継手部材の内球面21や内側継手部材の外球 面24に案内しやすくなり、継手の作動性が悪 するのを防止でき、窓枠の剛性向上による 手の作動性の悪化防止と相俟って、ケージ2 8の欠けや割れを有効に防止できる。

 このように前記図5等に示す固定式等速自 在継手では、内輪26及び外輪23の各トラック 25,22を、周方向不等ピッチに配設すると共に 、外輪23のトラック溝相互間に配設された複 の内球面のうち、最小のピッチ内に配設さ た内球面の開口側端部の周方向長さfを、ケ ージ28のポケット29の幅gより小さく設定して る。

 このように構成することによって、外輪2 3にケージ28を組み込む際は、ケージ28のポケ ト29を、外輪23の最小のピッチ内に配設され た内球面に対向させて組み込むことになる。 この場合、最小のピッチ内に配設された内球 面の開口側端部の周方向長さが、対向するケ ージ28のポケット29の幅より小さく設定され いるので、内球面がケージ28の外周面に干渉 することなく、ケージ28を外輪23に容易に組 込むことができる。

 また、内輪26及び外輪23の各トラック溝相 互間のピッチのうち、継手中心に対して対称 に位置する2つのピッチの位相を60°より小さ 設定すると共に、残りの4つのピッチの位相 を60°より大きく設定し、前記60°より小さい 相のピッチ内に配設された外輪23の内球面 開口側端部の周方向長さfを、前記ケージ28 ポケット29の幅より小さく設定していること になる。

 このような場合、ケージ28を外輪23に容易 に組み込むことができる。また、ポケット29 幅より小さい周方向長さの内球面(開口側端 部)が、継手中心に対して対称に配置される で、一層組み込みやすいものとなる。

 前記実施形態の長ポケット30は図9Aに記載 のように、膨出部36、36がいわゆる台形形状 あったが、図9B、9C、9Dのような形状であっ もよい。すなわち、図9Bの膨出部36、36は、 出部36の突出端面36aのコーナ部がアール状と され、図9Cの膨出部36、36は、基部コーナ部が なだらかでない台形状とされ、図9Dの膨出部3 6、36は矩形状とされている。

 この図9B、9C、9Dのような形状の長ポケッ 30を有するケージ28であっても、図9Aのケー 28と同様の作用効果を奏する。

 また、図10に示すように、一対の膨出部36 、36のうちいずれか一方を省略してもよい。 10Aでは膨出部36を継手開口部側の長辺35a側 のみ設け、図10Bでは膨出部36を継手開口部側 の長辺35b側にのみ設けている。

 図10Aに示すものでは、外輪23の開口(入口) のインローエッジ部と、ケージ外球面28a側の ポケットエッジ部との干渉を遅らせたり、無 くしたりすることができ、図10Bに示すもので は、内輪26の外球面24の奥側エッジ部とケー 内球面28b側のポケットエッジ部との干渉を らせたり、無くしたりすることができる。

 また、図11と図12に示すように、長ポケッ ト30に膨出部36を設けない長円孔としてもよ 。このようなものでは、膨出部36に基づく作 用効果を享受できないが、内輪26のケージ28 の組込性向上や軽量性向上を達成できる。

 ところで、長ポケット30を有するケージ28 を製造する場合、周方向に沿って60°ピッチ ポケットが形成された既存のケージにおい 、周方向に隣合うポケット間の柱部を除去 ればよい。すなわち、ケージ中心に関して18 0°反対方向の一対の柱部を除去すればよい。 この除去方法としては、例えば、プレス加工 やミーリング加工等で行うことができる。図 9や図10に示すケージ28の場合、除去すべき柱 の一部を残しているが、図11と図12に示すケ ージ28では除去すべき柱部の全体(全部)を除 している。なお、長ポケット30を形成する場 合、大ピッチ内に配設された柱部を除去して もよいが、ケージ28の強度を確保するために 、小ピッチ内に配設される柱部を除去して 大ピッチ内に配設された太い柱部を残す方 望ましい。

 このように、このケージ28としては、既 のケージにおいて、柱部を除去することに って簡単に成形することができ、しかも、 の柱部の除去としては、プレス加工であっ も、ミーリング加工であってもよく、これ の種々の塑性加工にて安定して成形するこ ができる。

 ケージ28に2個の前記トルク伝達ボール27 保持可能な長ポケット30を形成すると共に、 長ポケット30の周方向長さhを、内輪26の幅iよ り大きく設定したものであれば、内輪26をケ ジ28に組み込む際の組み込み性の向上を図 ことができる。

 図13~図15に示すように、内輪26の一つのト ラック溝25(25A)の奥側端部(継手奥側の末端縁 )に切欠部45を設けてもよい。この場合の切 部45は、奥側端と内輪端面46とのコーナ部に 形成されるテーパ面にて構成される。なお、 この切欠部45は傾斜部から構成されている。 の場合、機械加工による成形であっても、 性加工による成形であってもよい。

 ところで、内輪26をケージ28に組み込むに 際しては、ケージ28の軸線に対して内輪26を の軸線が垂直になるように配置した状態(ケ ジ28に対して内輪26を90°回転させた状態)と る。その状態で、図16に示すように、その 輪26の外球面24の一部(周方向に隣合うトラッ ク溝25間の突部47A)をケージ28のポケット29(長 ケット30)に落とし込む。すなわち、切欠部4 5が形成されたトラック溝25Aを、ポケット30よ りも薄肉側の側枠部48に嵌合させて、トラッ 溝25Aよりも反時計廻り側の突部47Aをケージ2 8のポケット30に落とし込んで、切欠部45の底 中心に矢印X方向に内輪26を回転させること なる。この際、この回転半径Cを、切欠部45 有さない回転半径B(従来品の回転半径)より 小さくすることができる。ここで、この回 半径Cは、切欠部45の底中心部と、このトラ ク溝25Aと180度反対のトラック溝25Bの一方の 口縁50との間の寸法である。

 このため、ケージ28のインロー径をAとし 内輪26の回転半径を従来品をBとし、本発明 をCとしたときには、B>Cであるので、A-B< ;A-Cとなる。これにより、従来品よりも本発 品のインロー径Aを小さくすることができ、 肉側の側枠部48の厚さを大きくすることが きる。

 内輪26がケージ28に嵌入された後は、内輪 26をケージ28に対して90°回転させて、ケージ2 8の軸線に内輪26の軸線を一致させて正規の姿 勢に配置する。これによって、内輪26をケー 28内に組み込むことができる。

 トラック溝25の奥側端部に切欠部45を設け たので、ケージ28に組み込む際に、この切欠 45を起点として、内輪26を回転させることが でき、内輪26の回転半径を小さくすることが きる。このためケージ28のインロー内径と 内輪26との間でより大きなスペースを確保す ることができ、その分、ケージ28のインロー Aを小さく設定できる。すなわち、切欠部45 形成した内輪26のトラック溝25を、ケージ28 入口部に跨がせた状態では、図17に示すよ に、切欠部45が入口部(インロー部)に接近な し接触している。つまり、切欠部45を有さ い従来の内輪に比べて、切欠部45を有する内 輪26は、さらに下方に落とし込んで挿入する とができる。これにより、内輪26の上端面 、入口部との間の隙間Sを大きく確保するこ ができるので、組み付けが容易となる。

 これによって、ケージ28のインロー側の 面積を拡大させることができ、ケージ28の薄 肉の側枠部48の剛性の向上を図ることができ と共に、球面接触面積を確保することがで るので、接触面圧の増加を防止し、発熱や 久性の低下を回避することができ、さらに ケージ28の変形や強度の低下も回避できる すなわち、内輪26の負荷容量や球面面積を減 少させることなく、ケージ28の剛性を向上さ ることができる。また、ケージ28の内球面28 bの面積も拡大できるので、内輪26の外球面24 の接触面積を拡大でき、剛性向上に加え、 久性の安定化という利点もある。

 切欠部45の大きさとしては、ケージ28への 内輪26の組み込み時における内輪26の回転半 を小さくできる範囲で変更できるが、大き ぎると、内輪26が強度不足となったり、トラ ック溝25のボール転動範囲が小さくなったり 、また、小さすぎると、回転半径をあまり さくできない。

 次に図18から図20は、全トラック溝25の奥 端部に切欠部45を形成したものである。こ ため、この内輪26であっても、前記図13から 15に示す内輪26と同様、組み込む際に、この 切欠部45を起点として、内輪26を回転させる とができ、内輪26の回転半径を小さくするこ とができる。このため、この図18から図20に す内輪26は、図11から図13に示す内輪26と同様 の作用効果を奏する。

 特に、全トラック溝25の奥側端部に切欠 45を形成しているので、この内輪26をケージ2 8に組み込む際に、いずれの突部47をポケット 30に挿入してもよい。このため、組み込み性 向上を図ることができる利点がある。

 ところで、前記各実施形態では、切欠部4 5を、開口側トラック溝25b側から内輪端面46側 に向かって順次縮径するテーパ面にて形成し ていたが、切欠部45としては図21A、21Bに示す 状であってもよい。図21Aに示す切欠部45は アール状とされ、図21Bに示す切欠部45は凸ア ール状とされている。

 この図21A、21Bに示す切欠部45であっても 組み込む際に、この切欠部45を起点として、 内輪26を回転させることができ、内輪26の回 半径を小さくすることができる。また、図22 A、22Bに示すように、この切欠部45はトラック 溝端の一部(図例では底部)に形成されていて 良い。

 切欠部45としては、図示省略するが、図13 から図15に示すもの、図21A、21Bに示すもの、 は図22A、22Bに示すもの以外、例えば段差部 で構成してもよい。このような段差部等の 欠部45であっても、切欠部45としての機能を 発揮する。

 次に、図23は別の実施形態を示し、この 合、内輪26および外輪23のトラック溝底が円 部とテーパ部とを備えたものである。すな ち、トラック溝底が円弧部となる奥側トラ ク溝22cと、トラック溝底が奥側から開口側 向かって外径側へ傾斜する開口側トラック 22dとからなる。奥側トラック溝22cは、その 率中心O1を継手中心Oから軸方向に外輪23の 口側にずらしている。また、内輪26のトラッ ク溝25は、トラック溝底が開口側から奥側に かって外径側へ傾斜する奥側トラック溝25c 、トラック溝底が円弧部となる開口側トラ ク溝25dとからなる。開口側トラック溝25bの 率中心O2を継手中心Oから軸方向に外輪23の 側トラック溝22aの曲率中心O1と反対側の奥側 に等距離kだけ離して設けている。

 この場合も、ケージ28の外球面28aの曲率 心O3とケージ28の内球面28bの曲率中心O4とを 継手中心Oに対して等距離だけ軸方向に逆向 にオフセットさせ、このケージ28のオフセ ト量kをトラック溝22、25のオフセット量k2と 同一としている。

 図23の固定式等速自在継手の他の構成は 記図1に示す固定式等速自在継手と同様であ 、同一部材には図1と同一の符号を付してそ れらの説明を省略する。

 このため、図23に示す固定式等速自在継 においても、図1に示す固定式等速自在継手 同様の作用効果を奏する。図1においては、 内輪26および外輪23のトラック溝底が円弧部 ストレート部とを備えたアンダーカットフ ー型を採用することによって、継手作動角 高角化を図ることができる。これに対して 図23に示す固定式等速自在継手のように、ト ラック溝底が円弧部とテーパ部とを備えたも のであれば、より一層の高角化が可能である 。

 以上、本発明の実施形態につき説明した 、本発明は前記実施形態に限定されること く種々の変形が可能であって、例えば、前 実施形態では、曲率中心O1と曲率中心O3とは 僅かにずれた位置に配置されるとともに、曲 率中心O2と曲率中心O4とは僅かにずれた位置 配置されているが、曲率中心O1と曲率中心O3 が同一位置であっても、曲率中心O2と曲率 心O4とが同一位置であってもよい。また、曲 率中心O1と曲率中心O3とがずれたり、曲率中 O2と曲率中心O4とがずれたりする場合、その れ量は、任意に設定できるが、オフセット kとずれ量(k-k2)との比は(k-k2)/k≦0.3と設定す のが好ましい。(k-k2)/k>0.3になると、図24 示す従来の固定式等速自在継手と差異が無 なって、継手奥側のトラック溝深さが浅く るとともに、開口側のケージ28の肉厚を大き くできなくなり、ジョイントの必要強度を下 回る。

 また、長ポケット30の周方向間隔hとして 、内輪26へのケージ28の組込み性の向上が図 れて、しかも、柱部33の剛性が低下しない範 で種々設定できる。さらに、トラック溝間 幅寸法fやケージ28のケージ軸方向における ケット幅g等も、ケージ28の外輪23への組込 性等を考慮して設定できる。なお、膨出部36 の突出端面36aを平面とすることなく、曲面で あってもよい。

 図23に示す固定式等速自在継手において ケージ28に図9~図12に示すような長ポケット30 を有するものを用いてもよい。また、内輪26 図13や図17に示すような切欠部45を有する内 26を用いてもよい。

 図5等に示すように、内輪26のトラック溝2 5及び外輪23のトラック溝22を円周方向に不等 ッチで配設する場合、ボール27の円周方向 不等ピッチで配設されることになる。この め、前記実施形態では、60°未満で配設され 2個のボールを一つの長ポケット30に収容さ ていた。すなわち、60°未満で配設される2 のボール間の柱部を省略した形状となって る。これに対して、この柱部を省略しない うなものであってもよく、この場合、図1に すように柱部が6個形成されることになり、 ケージ全体の強度が向上するとともに、剛性 が大となる。

 本発明における固定式等速自在継手にお ては、トラック溝底の円弧部とストレート とを有するアンダーカットフリー型(UJ)であ っても、トラック溝底に円弧部のみが形成さ れたバーフィールド型(BJ)であってもよい。