Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
GAMMA RAY DETECTOR, RADIATION ANALYZER, CROSS-SECTIONAL IMAGING APPARATUS AND ITS ANALYSIS METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/157071
Kind Code:
A1
Abstract:
A gamma ray detector for detecting gamma rays emitted from an object to be measured comprises an organic scintillator for detecting Compton electrons bumped out by the gamma rays emitted from the object to be measured, an inorganic scintillator for detecting Compton gamma rays, and a detector module consisting of optical detectors for detecting light emission from the respective scintillators. The gamma ray detection window of the gamma ray detector is adjusted in compliance with the characteristics of the organic scintillator. Using this gamma ray detector, a radiation analyzer which has an ultrahigh S/N ratio and is inexpensive can be realized.

Inventors:
NAKAMURA HIDEHITO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/061586
Publication Date:
December 30, 2009
Filing Date:
June 25, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
NAT INST RADIOLOG (JP)
NAKAMURA HIDEHITO (JP)
International Classes:
G01T1/29; G01T1/161; G01T1/20
Foreign References:
JP2007071858A2007-03-22
US6346706B12002-02-12
JP2002116256A2002-04-19
Other References:
FARID AIT-OUAMER ET AL.: "Calibration and performance of the UCR double Compton gamma ray telescope", IEEE TRANSACTIONS ON NUCLEAR SCIENCE, vol. 37, no. 2, April 1990 (1990-04-01), pages 535 - 540
TOSHIJI SUZUKI ET AL.: "Performance of Prototype Hard X-ray Polarimeter Utilizing Compton Scattering", JAPANESE JOURNAL OF APPLIED PHYSICS, vol. 45, no. 1A, 2006, pages 274 - 278, XP008138571, DOI: doi:10.1143/JJAP.45.274
C. A. BURNHAM ET AL.: "A LOW-Z PET DETECTOR", IEEE TRANSACTIONS ON NUCLEAR SCIENCE, vol. 37, no. 2, April 1990 (1990-04-01), pages 832 - 834
HIDEHITO NAKAMURA: "Keiko Kenshutsuho to Chokokando Iryoyo Hoshasen Kenshutsuki no Kaihatsu", HEISEI 18 NENDO KENKYU JOSEI, THE SCIENCE AND TECHNOLOGY FOUNDATION OF JAPAN, February 2007 (2007-02-01), pages 20 - 21
Attorney, Agent or Firm:
TAKAYA, Satoshi et al. (JP)
High arrow 諭 (JP)
Download PDF:
Claims:
 測定対象から放出されるガンマ線を検出するためのガンマ線検出器において、
 測定対象から放出されるガンマ線によるコンプトン電子を検出するための有機シンチレータと、
 同じくコンプトンガンマ線を検出するための無機シンチレータと、
 各シンチレータでの発光を検出する光検出器から構成される検出器モジュールを備え、
 ガンマ線の検出ウインドウを有機シンチレータの特性に合わせたことを特徴とするガンマ線検出器。
 前記検出器モジュールが対になっている場合は、両検出ウインドウを、所定時間幅の同期計測ウインドウ内で生成するようにしたことによりノイズ排除性能を高めたことを特徴とする請求項1に記載のガンマ線検出器。
 有機シンチレータのガンマ線の検出ウインドウと無機シンチレータのガンマ線の検出ウインドウが重なっている場合と、重なっていない場合で、同期計測ウインドウの生成幅を変えることで計測精度を高めたことを特徴とする請求項1及び2に記載のガンマ線検出器。
 同時計測の計測時間を、前記同期計測ウインドウを基準とし、計測時間精度を高めたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のガンマ線検出器。
 前記2種のシンチレータで同期計測したガンマ線のエネルギー吸収量を合算して測定対象から放出されたガンマ線を再構築することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のガンマ線検出器。
 測定対象を挟んで前記検出器モジュールを対に構成し、それぞれの検出器モジュールでガンマ線を再構築することにより、測定対象の放出領域を限定することを特徴する請求項1乃至4のいずれかに記載に記載のガンマ線検出器。
 測定対象を挟んで前記検出器モジュールを対に構成し、それぞれの有機シンチレータの発光位置を結ぶことにより、測定対象の放出位置をそのライン上に特定することを特徴する請求項1乃至4のいずれかに記載に記載のガンマ線検出器。
 請求項6で限定した放出領域を請求項7によりライン上に特定することを特徴するガンマ線検出器。
 請求項6で限定した放出領域で、飛行時間解析により、測定対象の有機シンチレータからの距離を求めることを特徴するガンマ線検出器。
 前記対となる検出器モジュールぞれぞれの出力により飛行時間解析を行なうことを特徴とする請求項8に記載のガンマ線検出器。
 前記無機シンチレータが、有機シンチレータの側面に配置されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のガンマ線検出器。
 前記無機シンチレータが、測定対象側が狭い楔形とされていることを特徴とする請求項11に記載のガンマ線検出器。
 光検出器の光検出部を前記シンチレータの光取出面の一部と光学対面するように設け、該光学対面部に蛍光分布解析法に基づくX方向の発光分布を検出する光検出器とY方向の発光分布を検出する光検出器とを設けたことを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のガンマ線検出器。
 前記シンチレータの光取出面のXY中心軸に沿って光検出器を配設したことを特徴とする請求項13に記載のガンマ線検出器。
 同期計測を行ったイベントに対し同時計測して得たデータで画像構成することで、画像精度を高めたことを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載のガンマ線検出器。
 前記ガンマ線検出器が1検出器モジュールであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のガンマ線検出器。
 前記ガンマ線検出器がSPECT装置用の検出器であることを特徴とする請求項1乃至3並びに請求項7乃至10のいずれかに記載のガンマ線検出器。
 前記ガンマ線検出器がPET装置用の検出器であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のガンマ線検出器。
 請求項1乃至9のいずれかに記載のガンマ線検出器が、測定対象の周りに配置されていることを特徴とする放射線診断装置。
 請求項1乃至9のいずれかに記載のガンマ線検出器が、測定対象から互いに反対方向に放射される一対の消滅ガンマ線を検出するよう、対で配置されていることを特徴とする断層像撮影装置。
 前記対となるガンマ線検出器の出力により飛行時間解析を行なうことを特徴とする請求項20に記載の断層像撮影装置。
 請求項19に記載の断層像撮影装置において、
 有機シンチレータの特性に合わせたガンマ線の検出ウインドウでエネルギーを識別する手順と、
 有機シンチレータと無機シンチレータでのエネルギーの和でガンマ線を識別する手順と、
 有機シンチレータでのシンチレーション分布より、有機シンチレータでの蛍光座標を算出する手順と、
 対となる2つの有機シンチレータの蛍光座標を線で結ぶことにより、エネルギー情報のみで特定した領域を、線上に特定する手順と、
 対となる2つの有機シンチレータに到着したガンマ線の時間差から、前記線上の放射線核種の位置を特定する手順と、
 を含むことを特徴とする断層像撮影装置の解析方法。
 請求項22に記載の断層像撮影装置の解析方法をコンピュータに実行させるための、記憶媒体から読取可能なコンピュータプログラム。
 請求項23に記載のコンピュータプログラムが記憶された、コンピュータで読取可能な記憶媒体。
Description:
ガンマ線検出器、放射線診断装 、断層像撮影装置、及び、その解析方法

 本発明は、ガンマ線検出器、放射線診断 置、断層像撮影装置、及び、その解析方法 係り、特に、コリメータを用いることなく 高感度で且つ安価に実現可能なガンマ線検 器、該ガンマ線検出器を用いた放射線診断 置、断層像撮影装置、及び、その解析方法 関する。

 近年、癌検出、良悪性度鑑別、治療効果 定、再発診断、予後予測等の治療計画に反 できる情報を得るために、感度と定量性に れる標識薬剤による陽電子断層像撮影(PET) 臨床で広く使われるようになっている。PET 査の普及に伴い、被検者及び医療従事者(医 、放射線技師、看護師)の放射線被曝が懸念 されており、それを如何に抑えるかが重要な 課題になっている。又、被検者の検査中の不 安感を和らげるためにも、迅速且つ適切に判 断できる高い解像度と高い検出効率を持つ放 射線診断装置を安価に提供することが求めら れている。

 このような放射線診断装置に用いられる ンマ線検出器として、例えば特許文献1には 、コリメータ、NaI(ヨウ化ナトリウム)、及びP MT(光電子増倍管)が積層配置され、平行な細 を開けた鉛製のコリメータによって、穴の 向から来たガンマ線だけがNaIの単結晶に到 し、そこでガンマ線のエネルギー付与に比 した強さの蛍光を発し、この光をPMTで検出 、ガンマ線の強度と位置を検出するものが 載されている。

 又、特許文献2には、測定対象を挟むよう にガンマ線検出器を配置したSPECT(シングルフ ォトン断層像撮影装置)/PET兼用装置が記載さ ている。

 更に、特許文献3には、多数の柱状シンチ レータが密着されて結合されたシンチレータ 群と、該シンチレータに密着された多数のア バランシュフォトダイオード(APD)からなるAPD レイが光学的に結合されたガンマ線検出器 記載されている。

特開平5-66275号公報

特開2001-159682号公報

特開平7-311270号公報

 しかしながら、特許文献1に記載の技術の ようにコリメータを用いる方法は、検出器が 重く、大きくなってしまう。又、特許文献2 記載の技術では、放射線核種の位置を高精 で特定するのが困難である。更に、特許文 3に記載の技術では、複雑な構成の放射線検 器が必要である等の問題点を有していた。

 本発明は、前記従来の問題点を解消する くなされたもので、超高S/N比さらには高エ ルギー分解能、高空間分解能及び高時間分 能も実現可能なガンマ線検出器を安価に提 することを課題とする。

 本発明は、測定対象から放出されるガン 線を検出するためのガンマ線検出器におい 、測定対象から放出されるガンマ線による ンプトン電子を検出するための有機シンチ ータと、同じくコンプトンガンマ線を検出 るための無機シンチレータと、各シンチレ タでの発光を検出する光検出器から構成さ る検出器モジュールを備え、ガンマ線の検 ウインドウを有機シンチレータの特性に合 せるようにして前記課題を解決したもので る。

 ここで、前記検出器モジュールが対にな ている場合は、両検出ウインドウを、所定 間幅の同期計測ウインドウ内で生成するよ にしたことによりノイズ排除性能を高める とができる。

 又、有機シンチレータのガンマ線の検出 インドウと無機シンチレータのガンマ線の 出ウインドウが重なっている場合と、重な ていない場合で、同期計測ウインドウの生 幅を変えることで計測精度を高めることが きる。

 又、同時計測の計測時間を、前記同期計 ウインドウを基準とし、計測時間精度を高 ることができる。

 又、前記2種のシンチレータで同期計測し たガンマ線のエネルギー吸収量を合算して測 定対象から放出されたガンマ線を再構築する ことができる。

 又、測定対象を挟んで前記検出器モジュ ルを対に構成し、それぞれの検出器モジュ ルでガンマ線を再構築することにより、測 対象の放出領域を限定することができる。

 又、測定対象を挟んで前記検出器モジュ ルを対に構成し、それぞれの有機シンチレ タの発光位置を結ぶことにより、測定対象 放出位置をそのライン上に特定することが きる。

 又、前記のように限定した放出領域を前 のようにライン上に特定することができる

 又、前記のように限定した放出領域で、 行時間解析により、測定対象の有機シンチ ータからの距離を求めることができる。

 又、前記対となる検出器モジュールぞれ れの出力により飛行時間解析を行なうこと できる。

 又、前記無機シンチレータを、有機シン レータの側面に配置することができる。

 更に、前記無機シンチレータを、測定対 側が狭い楔形とすることができる。

 又、光検出器の光検出部を前記シンチレ タの光取出面の一部と光学対面するように け、該光学対面部に蛍光分布解析法に基づ X方向の発光分布を検出する光検出器とY方 の発光分布を検出する光検出器とを設ける とができる。

 更に、前記シンチレータの光取出面のXY 心軸に沿って光検出器を配設することがで る。

 又、同期計測を行ったイベントに対し同 計測して得たデータで画像構成することで 画像精度を高めることができる。

 又、前記ガンマ線検出器を1検出器モジュ ールとすることができる。

 又、前記ガンマ線検出器をSPECT装置用の 出器とすることができる。

 又、前記ガンマ線検出器をPET装置用の検 器とすることができる。

 本発明は、又、前記のガンマ線検出器が 測定対象の周りに配置されていることを特 とする放射線診断装置を提供するものであ 。

 又、前記のガンマ線検出器が、測定対象 ら互いに反対方向に放射される一対の消滅 ンマ線を検出するよう、対で配置されてい ことを特徴とする断層像撮影装置を提供す ものである。

 又、前記対となるガンマ線検出器の出力 より飛行時間解析を行なうことを特徴とす 断層像撮影装置を提供するものである。

 本発明は、又、前記の断層像撮影装置に いて、有機シンチレータの特性に合わせた ンマ線の検出ウインドウでエネルギーを識 する手順と、有機シンチレータと無機シン レータでのエネルギーの和でガンマ線を識 する手順と、有機シンチレータでのシンチ ーション分布より、有機シンチレータでの 光座標を算出する手順と、対となる2つの有 機シンチレータの蛍光座標を線で結ぶことに より、エネルギー情報のみで特定した領域を 、線上に特定する手順と、対となる2つの有 シンチレータに到着したガンマ線の時間差 ら、前記線上の放射線核種の位置を特定す 手順と、を含むことを特徴とする断層像撮 装置の解析方法を提供するものである。

 又、断層像撮影装置の解析方法をコンピ ータに実行させるための、記憶媒体から読 可能なコンピュータプログラムを提供する のである。

 又、前記コンピュータプログラムが記憶 れた、コンピュータで読取可能な記憶媒体 提供するものであり。

 本発明は、従来、密度が低くガンマ線の 収率が非常に低いため、ガンマ線の検出に 向きとされていた有機シンチレータの性能 うまく引き出し、無機シンチレータと複合 することにより、超高解像度の広エネルギ 領域(数keV~数MeV)ガンマ線検出器を実現した のである。

 本発明の特徴を以下にまとめる。
1.高感度(S/N)の実現による放射線診断装置の 出効率向上
1-1.高感度の実現
 高感度(S/N)を実現するためには、如何にバ クグラウンドを落とすかが重要な鍵となる 医療用診断装置において、主なバックグラ ンドN(counts/sec)は二つある。一つは、シンチ ータ内におけるコンプトン散乱によるイベ トB DE である。もう一つは、偶発的に起こった同時 計測イベントB DT である。

 バックグランドは、次式で表すことが出来 。
N = B DE  + b DT …(1)

1-2.コンプトン散乱イベントの再利用
 ここでは、両バックグラウンドを次のよう して落とす。

 従来のPETでは、測定したいガンマ線のエ ルギー領域に、コンプトン散乱によるガン 線のノイズ信号が含まれる。

 このコンプトン散乱によるバックグランド ベントは、検出器のエネルギーウインドウD E(keV)を用いて次式で表すことが出来る。b(coun ts/sec/keV)は、コンプトン散乱によるエネルギ ウインドウ内のバックグランド数である。
B DE  = DE×b…(2)

1-3.有機シンチレータと無機シンチレータを いたガンマ線の測定
 そこでbを小さくするため検出器のシンチレ ータを次のようなモジュール構成とした。

 有機シンチレータと無機シンチレータと 検出器を1モジュールとして構成し、測定対 象内から放出されたガンマ線を有機シンチレ ータと無機シンチレータの二段構えで測定す る。

 まず有機シンチレータでコンプトン電子 検出し、続いて無機シンチレータでコンプ ンガンマ線を検出する。両シンチレータで られたエネルギーを足し合わせることによ 、ガンマ線のピークを構築することで検出 る。

 この構成により、bが、ほぼ0になる。そ ために、ガンマ線のエネルギー領域におい 、コンプトン散乱によるノイズの影響は、 ぼ無くなる。

1-4.偶発的イベントの除去
 光検出器モジュールは、シンチレータ及び の後段の処理部を含む。

 偶発的に発生するバックグランドイベント 、検出器モジュールの検出ウインドウ(時間 幅)δT(sec)を用いて、次のように表すことが出 来る。N1(counts/sec)およびN2(counts/sec)は、2つの ンチレータのガンマ線検出率である。
B DT  = 2*DT×N 1 ×N 2 …(3)

 そこで、有機シンチレータの特徴を活か 。有機シンチレータの時間応答は、無機シ チレータの応答関数より数ケタ(1/1000)のオ ダーで早い。そのため、ガンマ線を検出す 際の検出ウインドウDTを有機シンチレータの 特性に合わせて短く設定することにより、こ れまでの診断装置と比較して数ケタのオーダ ーで偶発的に発生するバックグラウンド事象 を減らすことができる。

 S/Nは、次式で表すこと出来る。

 故に、Bを構成するδTおよびbを短縮する とで、高感度S/Nを実現することが可能とな 。

2.高分解能の実現による放射線診断装置の解 度向上
2-1.高性能TOF型診断装置
 TOF型検出器として、有機シンチレータは様 な実験装置で使われてきた。これまでのPET は、時間応答の遅い無機シンチレータを主 して扱ってきたために、TOF型PETとしての実 化が難しかった。

 しかし、本発明による有機シンチレータ 無機シンチレータのハイブリッド型診断装 では、有機シンチレータの特徴である早い 間応答を活かすことでTOF型PETの実用化が可 となる。

2-2.高エネルギー分解能の実現
 ガンマ線を再構築した際のエネルギー分解 は、必ず無機シンチレータと有機シンチレ タのエネルギー分解能の間になるので、ガ マ線を再構築した際のエネルギー分解能σ σ は、次式で表わすことができる。

  E σ =E Org +E Inorg        …(5)
  σ σ 2 =(E Org /E σ ) 2 σ 2 Org +{(E σ -E Org )/E σ } 2 σ 2 Inorg  …(6)
  σ Inorg ≦σ σ ≦σ Org        …(7)
 ここで、E σ は再構築したガンマ線のエネルギー、E Org は有機シンチレータで得られたエネルギー、 E Inorg は無機シンチレータで得られたエネルギー、 σ Org は有機シンチレータのエネルギー分解能、σ Inorg は無機シンチレータのエネルギー分解能であ る。

 以上のように、両シンチレータの組み合 せにより、再構築した際に無機シンチレー と同等のエネルギー分解能を得ることがで る。

 例えば、有機シンチレータにプラスチッ シンチレータ、無機シンチレータにNaIを採 した場合、662keVのガンマ線に対して約7.5%(FW HM)のエネルギー分解能が得られる(これに対 て、一般のPETで用いられるBGOであると、17%(F WHM)程度である)。

2-3.高空間分解能の実現
 高空間分解能を実現するために、無機シン レータのピクセル化が世界各地で競われて る。しかし、無機シンチレータは構成する 質の密度が高いため、入射したガンマ線が ンチレータ内部で多重散乱を起こし、シン レータ内において蛍光源が多数発生する。 空間分解能を得るには、正しく蛍光源を評 しなければならないにも関わらず、無機シ チレータでは質量数が大きいことが仇とな 、近距離(数mm以内)で多数の蛍光源を作るに も関わらず蛍光源があたかも一ヵ所であるか のように見せる。これが空間分解能を劣化さ せる原因となっている。

 そこで、本発明では、有機シンチレータ 特徴を活かす。有機シンチレータは構成す 密度が低いため、入射したガンマ線がシン レータ内部で多重散乱を起こす確率が非常 低く、シンチレータ内における蛍光源は多 発生しない。また、シンチレータで発生し シンチレーション光の減衰率が非常に低い とから、測定で得られたシンチレーション の分布を用いて、シンチレータ内部におけ ガンマ線の相互作用点を精度良くかつ3次元 座標で求めることができる。

3.検出器モジュール及びその処理部のコスト ウン
 有機シンチレータをベースに検出器を構成 るので、通常の無機シンチレータをベース した検出器モジュールより大幅なコストダ ンが可能になる。

 さらに、本発明の蛍光分布解析法に基づ ば、シンチレータの光取出面にその(XY平面) 上方のX軸方向の発光分布を検出する光検出 とY軸方向の発光分布を検出する光検出器を 学対面させて設ければ、シンチレータ内の 光発光位置を検出できる。これは、検出器 真上で発生しない発光現象であっても、発 はシンチレータ光取出面に向かって円錐投 されるので、その発光位置の真下に存在し い(光学対面しない)検出器でも検出するこ ができることを利用するものである。シン レータ光取出面の全域に光検出器の光検出 子をまんべんなく光学対面するように配設 る必要がないので、検出素子数を減らすこ ができ、光検出器のコストダウン及び検出 ータ処理の高速化ができる。

4.小型の診断装置
 検出器をモジュール化することで、短期間 医療用診断装置を開発できる。各検出器モ ュールは、独立した検出器として扱うこと 可能となるため、個別検出器モジュールの 能評価が、最終形態の診断装置へと活かさ る。又、これにより診断装置のエネルギー 正等が容易になる。

 無機シンチレータは、有機シンチレータ 側面に設ける。各シンチレータからのシン レーションは、シンチレータの光取出面に 置した光検出器で集める。

 さらに、加工が容易であるだけでなく安 な有機シンチレータを使うことにより、医 用診断装置の早期実用化と量産化が可能に る。又、有機シンチレータを装置内に組み んだことで、ガンマ線(X線)のみならず、ア ファ線、ベータ線に対する感度も実現でき 。これにより、放射線事故が発生した際の 緊急被曝時には皮膚又は衣服上に沈着した 質の位置、放出される放射線粒子の識別及 線量測定、崩壊時間の測定が可能となる。 れらの性能により、人体からの放出される 射線の計測時間を短縮させ、迅速且つ適切 被検者の診断を可能にするだけでなく、被 者の精神的な負担を最小限に抑えることが 能になる。

 複合型シンチレータを用いた検出器の確 は、放射線が検出効率・エネルギー分解能 空間分解能・時間分解能の技術的なブレイ スルーを実現するのみならず、放射線物理 医学物理、地球環境物理等の様々な分野に ける放射線計測の基礎原理としての普遍性 持つことになる。

 検出器のモジュール化により、用途に合 せてモジュール数やサイズを変化させるこ で、多種多様の放射線検出器へと応用が可 となる。又、検出器モジュールのシンチレ タを有機シンチレータと無機シンチレータ 構成することにより、アルファ、ベータ、 ンマ(X)線の検出が可能になる。コリメータ 使用しなくても高性能を発揮する。そのた 、このような1検出器モジュールをポータブ ルな放射線検出器としても扱うことが可能に なる。

本発明に係る検出器モジュールの第1実 施形態を示す断面図 検出器モジュールにおける光検出器の 置例を示す平面図 同じく斜視図 検出器モジュールを用いたPET装置の全 構成を示す断面図 図4のV部拡大断面図 前記PET装置でガンマ線を同時計測した の様子を示す断面図 図6のVII部拡大断面図 本発明の概要を示すブロック図 本発明の概要を示すタイムチャート 本発明の概要を示すフロー図 エネルギー解析の概要を示す断面図 シンチレーション分布から相互作用座 標を求める方法で、(A)光の伝搬の様子及び(B) 光源からの立体角を示す図 空間解析時における蛍光分布解析法を 説明するための、(A)2次元座標を算出する場 と(B)3次元座標を算出する場合を示す図 時間解析の概要を示す断面図 図14のXV拡大断面図 空間解析の概要を示す断面図 本発明に係る検出器モジュールの第2 施形態を示す断面図 同じく第3実施形態を示す断面図 同じく第4実施形態を示す断面図

 以下、図面を参照して、本発明の実施形 を詳細に説明する。

 図1に示す如く、本発明に係るガンマ線検 出器の第1実施形態の検出器モジュール10は、 測定対象6内の放射性核種8から放出されるガ マ線によるコンプトン電子を検出するため 有機シンチレータ12と、同じくコンプトン ンマ線を検出するための無機シンチレータ14 と、各シンチレータ12、14での発光を検出す ためのPMTあるいは半導体検出器等の光検出 16、18と、前記2種のシンチレータ12、14にお て同期計測したガンマ線のエネルギー吸収 を合算して測定対象から放出されたガンマ を再構築すると共に、前記有機シンチレー 12に吸収されたコンプトン電子により到達時 刻を決定する演算装置20を含んで構成される

 前記検出器モジュール10のサイズは、測 したい放射線のエネルギーに合わせて変え ことができる。

 前記有機シンチレータ12としては、例え 、プラスチックシンチレータやp-テルフェニ ル等を用いることができる。

 前記無機シンチレータ14としては、例え 、BGO、GSO、NaI(Tl)、GaF2(EU)、CsI(TI)、CsI(pure)、B aF2等を用いることができる。

 前記有機シンチレータ12の光検出器16は、 光検出器の光検出部を有機シンチレータ12の 取出面の一部と光学対面するように設け、 光学対面部に蛍光分布解析法に基づくX方向 の発光分布を検出する光検出器とY方向の発 分布を検出する光検出器とを設けることが きる。具体的には、図2(平面図)及び図3(斜視 図)に例示する如く、有機シンチレータ12の光 取出面のXY中心軸に沿って光検出器16の光検 部163を配置することができる。図3は有機シ チレータ12の、光検出器16の光検出部と光学 対面していない光取出面位置の上方(Z方向)で の蛍光発光位置121を、X方向に延びた光検出 161とY方向に延びた光検出部162とで検出する 領を示す。なお、XY方向の交差部は互いに 検出部を共有している。勿論、光取出面の 面に光検出器を設けても良い。図3において 線163及び曲線164は、各々高さZ位置における 発光121をX方向の光検出部161が検出した光量 布と、Y方向の光検出部162が検出した光量分 とを示す。

 多数の検出器モジュール10を、図4(全体断 面図)及び図5(図4のV部拡大図)に例示する如く 、測定対象(人体や物)6の周りに配置すること で、診断装置(例えばPET装置)や検出装置を構 する。図4のPET装置では、体内から放出され る2本の511keVガンマ線を同時計測するため、 6(全体図)及び図7(VII部拡大図)に示す如く、 いに対向するペアーとなる二つの検出器モ ュールで各々1モジュール当たり、1本の511keV のガンマ線を検出する。

 解析装置について、図8のブロック図、図 9のタイムチャート及び図10のフロー図を用い て説明する。

 図8において、検出器モジュールAは、有 シンチレータ12A、二つの無機シンチレータ14 A及び各シンチレータの発光を光電変換する 電変換器16A、18Aで構成され、光電変換器16A 有機シンチレータ12Aに二つ、光電変換器18A 各無機シンチレータ14Aに一つずつ光学結合 れている例を示し、シンチレータで発光が こると光電変換し、後段へ出力する。

 処理回路A1は、上段の光電変換器16Aの出 をA/D変換し、処理回路A2は、上段の光電変換 器18Aの出力をA/D変換して、それぞれ入力され る情報を時間情報(T情報)とエネルギー情報(E 報)に分離し、後段へ出力する。

 時間情報は、有機シンチレータ12Aと無機 ンチレータ14Aの各々の発光により入力され 信号の立ち上がりを検出してそれぞれの発 時間とし、その情報を後段へ出力する。ま 、図9に示すように、有機シンチレータ12Aか らの入力があるとその発光時間幅に見合う非 常に短い所定時間幅のショートタイムウイン ドウδTSWを生成し、一方処理回路A2では、無 シンチレータの発光時間幅に見合う比較的 い所定時間幅のロングタイムウインドウδTLW を生成し、それら二種類の時間幅間のエネル ギーウインドウ情報を後段へ出力する。

 同期計測回路Aは、上段の処理回路A2と処 回路A1の二系列から出力される時間情報に づき、両発光時間が同期計測ウインドウ内 収まっているか否かにより同期計測の判定 行う。すなわち、二系列の処理回路からの 力の時間差が所定時間幅の同期計測ウイン ウ内に出力された1ペアーを探し、検出する 同一イベントに基づくペアー出力と判定し そのペアー出力を同期計測とする。そして 同期計測と判定したペアー出力のイベント 生時間すなわち同期計測時間を算出し、後 にその同期計測時間を出力する。

 検出器モジュールBに対しても同様の処理 が行われる。

 演算回路ABでは、上段の処理回路A2と処理 回路A1の二系列の処理回路から出力されるエ ルギー情報及と同時計測回路ABから出力さ る時間情報に基づき、後述のエネルギー解 、空間解析及び時間解析を行い、放射線核 の位置を求める。

 各処理回路、各同期計測回路、同時計測 路AB及び演算回路ABは、演算装置20内に設け れている。

 次に、図10に示すフローチャートを用い ステップごとにより詳しく説明する。図に いて、放射性核種からガンマ線が放出され(S 0)、検出器モジュールAにおいて、有機シンチ レータ12Aと二つの無機シンチレータ14Aで発光 すると、光電変換されて(Sa1-1,Sa1-2)、処理回 A1及び処理回路A2へ入力される(Sa2-1,Sa2-2)。有 機シンチレータ12Aでの発光は、コンプトン電 子による発光であり、無機シンチレータ14Aで の発光はコンプトンガンマ線による発光であ る。

 処理回路A1及び処理回路A2は、それぞれ光 電変換された出力信号を受けると、順次A/D変 換して時間情報(T情報)を同期回路Aへ、時間 報(T情報)とエネルギー情報(E情報)を演算回 ABへ出力する。また、光電変換された出力信 号を受信の際に、各々その入力順にイベント IDNo.を付与することで(Sa2-3)、ステップSa2-3以 の処理においてのデータの対応付けを可能 する。

 同期計測回路Aは、処理回路A1及び処理回 A2の出力を受け同期計測の判定を行う。す わち、まず、図9(C)に示すように、処理回路A 1から出力されるショートタイムウインドウδ TSWと処理回路A2から出力されるロングタイム インドウδTLWの立ち上がり時間差がショー タイムウインドウδTSWの立ち上がりを基準に 作成される所定時間幅の同期計測ウインドウ 内に収まっているかを検出し(Sa3)、収まって る場合にその1ペアーを同一イベントに基づ く発光と見なし、同期計測と判定し(Sa4)、そ 時間差の平均時間を同期計測時間と見なし その情報を処理回路ABへ出力する(Sa5)。

 さらに、同期計測と判定すると検出ウイ ドウδTの生成を行う。すなわち、図9(A)と図 9(B)において、ショートタイムウインドウδTSW と、ロングタイムウインドウδTLWの両ウイン ウの時間的な重なりを検出し(Sa6)、重なっ いる場合は重なり時間幅を検出ウインドウδ Tとし(Sa7-1)、無機シンチレータの発光が遅れ 重なっていない場合はショートタイムウイ ドウδTSWを検出ウインドウδTとする(Sa7-2)。 のように、有機シンチレータのガンマ線の 出ウインドウと無機シンチレータのガンマ の検出ウインドウが重なっている場合と、 なっていない場合で、同期計測ウインドウ 生成幅を変えることでさらに計測精度を高 ることができる。二点差線で囲んだステッ Sa3からSa7-1及びSa7-2までが同期計測のための 処理部となる。

 検出器モジュールBでも同様の処理が行わ れる。

 同時計測回路ABは、図9(D)に示すように、 期計測回路Aから次々と出力される同期時間 情報と同期計測回路Bから次々と出力される 期時間情報に基づき、両時間情報が同時計 ウインドウ内に収まっているか否かにより 時計測の判定を行う。すなわち、それらの 間差を検出し(S12)、所定時間幅の同時計測ウ インドウ内に出力された1ペアーの時間情報 同時計測と判定し(S13)、その二つの同期計測 時間情報を1ペアーとして演算回路ABへ出力す る。図の例では、同期計測回路Aからの信号 基準にその前後の所定時間内に同期計測回 Bからの信号の入力があった場合に同時計測 判定している。二点差線で囲んだステップS a12からSa13までが同時計測のための処理部と る。

 この方法のように、同時計測の計測時間 、前記同期計測ウインドウを基準として同 計測イベントの判定を行うと、一対の検出 モジュールの両方に生成されている各々の 出ウインドウδTの時間幅が非常に短いので 効果的に偶発的なバックグランドを除去し 計測精度を高めることができる。

 次いで、演算回路ABでは、エネルギー解 を行う。

 演算回路ABは、処理回路A1から出力される ショートタイムウインドウδTSWと処理回路A2 ら出力されるロングタイムウインドウδTLWの 時間幅中に生成したエネルギー、すなわちコ ンプトン電子エネルギーの積算とコンプトン ガンマ線エネルギーの積算を合算してガンマ 線を構築することでエネルギー解析し、図11 示す如く、放射線核種8の位置を帯状の領域 Iの内部に限定する。

 すなわち、処理回路A1からショートタイ ウインドウδTSWの時間幅のエネルギー情報が 入力されるとそのエネルギーを積算し(Sa8)、 理回路A2からロングタイムウインドウδTLWの 時間幅のエネルギー情報が入力されるとその エネルギーを積算し(Sa9)、ステップSa2-3で付 したIDNo.を参照してステップ4で同期計測と 定したデータのみを選択し、二つのエネル ーを合算し総エネルギーを得る(Sa10)。次に た総エネルギー情報から後述の空間解析の 法を用いてシンチレータ内の発光位置(P位置 )を算出する(Sa11)。

 次にステップS14でやはり同時計測情報と 応させて、同時計測イベントIDNo.順の発光 間(T)、エネルギー(E)及び発光位置(P)リスト 作成する(S14)。

 この方法によるエネルギー解析は、ノイ とされてきたコンプトン散乱による信号を 記のように真の信号として扱うため、測定 たいガンマ線のエネルギー領域において、 ンプトン散乱によるノイズの影響は、考慮 る必要が無くなっている。

 次いでステップS15で空間解析して、有機 ンチレータ12に接続された光検出器16で得ら れたシンチレーション分布により、有機シン チレータ12A及び有機シンチレータ12B内でのガ ンマ線相互作用点の座標を求める。

 以下、ステップS15で用いる空間解析時に るガンマ線相互作用点の座標を求める方法 ついて、詳細に説明する。

 図12に示すような蛍光板30の光源32を算出 る方法として、従来から重心法が使われて る。この重心法とは、蛍光板30の左右に設 した光検出器(例えば、光電子増倍管)で得ら れた光量の比から重心を求め位置を算出する 方法である。しかし、この方法は、光源の「 相対位置」(左右の光検出器のどちら側で蛍 したのか)しか求めることが出来ない。この 来の方法と異なり、直接光源の絶対位置を 出する新しい分析法である蛍光分布解析法 以下に述べる。これは、炭素や水素のよう 質量数が小さな分子で構成される有機シン レータ(例えば、プラスチックシンチレータ やp-テルフュニル)を使うことで、性能が発揮 される。蛍光板30にて発生した光は、図12(A) 示す如く、全方向に一様に放出される。放 された光は、図12(B)に示す如く、蛍光板30の 面で全反射を繰り返しながら側面に到達す 。有機シンチレータは、質量数が少ないた に伝搬中における光の吸収が非常に小さい そのため、側面で得られる光量の分布は、 出された時の光の立体角で記述することが 来る。(この方法を質量数の大きな無機シン チレータの場合に対して使うことも可能であ る。しかし、伝搬中での光の吸収や蛍光板中 の密度分布による影響の要素を考慮した計算 をせねばならず、立体角だけでは算出できな い。)

 そこで、光量分布を得るために、図12(B) あるように側面に複数の光検出器(例えば、 電子増倍管や複数のセルで構成されるマル アノード光電子増倍管や半導体光検出器)を 1列に配置する。

 ある側面に配置された半径rの面積を持つ光 検出器(距離間隔dで、光検出器がi=1,8まであ 場合)を光源から見た立体角ω i は、次の式で表すことが出来る。
 ω i  = (πr 2 ×y)/(x i 2 +y 2 ) 3/2 …(8)
 ここで、iは光検出器の番号を示す。x i は光源からi番目の光検出器までのx軸に対す 距離、yは光源から光検出器の配置された側 面までの距離を示す。

 ここで重要なのは、同じ面に配置されてい 光検出器の立体角において、yは光検出器の 場所(i=1,8)に依存することなく同じなことで る。またx i は、光源から光検出器(i=1)までの距離x 1 と光検出器間の距離dを用いることにより次 ように表すことが出来る。
  x i =x 1 -d×(i-1)…(9)

 質量数が小さい有機シンチレータの場合、 検出器(i)で測定できる光量Piは、立体角で 述できるので、次のように表すことが出来 。
  P i ∝ω i =A×ω i …(10)
 ここでAは、比例係数である。

 (8)、(9)、(10)式をまとめると、側面で得られ る光量分布は、3つの変数(A、x 1 、y)で表すことが出来る。

  P i  = A × (πr 2 ×y)/({x - d×(i-1)} 2 +y 2 ) 3/2 …(11)
 この(11)式を、実際に光検出器(i=1,8)で得ら た光量分布Piに対してフィッティングするこ とにより、蛍光の絶対位置(x 1 、y)を求めることが可能になる。

 この方法を用いることにより、図13(A)に す如く、2次元座標(X方向)を算出することが きる。更に、図13(B)に示す如く、1枚の蛍光 を光学的に対向する数段の光検出群(図では 高さ方向に2段)で見るようにすれば、Z方向に 対する情報も得られる。

 そして、対称に配置された2つの有機シン チレータの相互作用点座標を線で結ぶことに より、図11に示したエネルギー情報でのみ特 した帯状の領域Iを、図14(全体図)及び図15(XV 部拡大図)にある線状の領域IIのライン上にま で特定できる。

 これに対して従来は、フーリエ解析を行 って、このラインを求めていたため、解析 間が長く必要で、場合によっては、検査当 に診断結果が出ない場合も多かった。本発 によれば、難しい解析を一切行なわず、計 時にラインまで求められるので、解析時間 大幅に短縮して、その日のうちに診断結果 出る。従って、患者の不安も解消できる。

 更に、ガンマ線の放出角が分かるため、 れまでのPETシステムに使用していたコリメ タを必要としない。そのため、PETシステム 大幅な軽量化が図れる。

 次いでステップS16に進み、TOF原理を用い 時間解析を行って、図16に示す如く、対向 て配置された2つの有機シンチレータに到着 たガンマ線の到着時間(飛行時間)I及びIIの から飛距離を絞り込むことで、エネルギー 空間情報から得られた線状の領域IIのどの位 置に放射線核種8があるか特定することがで る(S17)。以上図10で示したプログラムは、コ ピュータで読取可能な記憶媒体、例えばハ ドディスクやROMなどに記憶させることがで る。

 なお、図10においてステップSa11及びSa12の 処理の代わりに、従来のようにフーリエ変換 を用いて解析することで領域Iを領域IIのライ ン上にまで特定する事もできる。

 あるいは、領域Iに限定したのち、TOF解析 方法用いて、測定対象の有機シンチレータか らの距離を求めることが出来る。

 これまでのPET装置では、時間応答の遅い 機シンチレータでTOFを試みていたが、時間 答が早い有機シンチレータを導入したこと より、PET装置におけるTOFの実用が可能にな 。偶発的に起こるノイズ信号の除去率は、 途の検出ウインドウの時間幅に比例する。 れまでの無機シンチレータと比べて検出ウ ンドウδT幅が著しく狭くなった分だけ、ノ ズ信号を除去できる。つまり、高S/Nでの測 が可能になる。

 なお、前記実施形態においては、モジュ ルが直方体状とされていたが、図17に示す 2実施形態の如く、図4のような円周状の配置 において無機シンチレータ14を測定対象側に った楔状とすることが出来る。本実施形態 よれば、PET装置等において、モジュールを 率的に配置することができる。更に、有機 ンチレータ12を台形状とすることもできる

 又、前記実施形態においては、いずれも 有機シンチレータ12の両側に無機シンチレ タ14が配置されていたが、図18に示す第3実施 形態の如く、無機シンチレータ14を有機シン レータ12の片側にのみ配置したり、図19に示 す第4実施形態の如く、有機シンチレータ12の 途中まで配置することも可能である。

 なお、前記説明では図10に示すPET装置を にとっていたが、本発明の適用対象は、こ に限定されず、図10においてその一部を点線 で囲んだSPECT装置や、他の断層像撮影装置、 射線診断装置等にも適用できる。

 また、光検出器に取り込むシンチレーシ ン光を増やすために、有機シンチレータ12 無機シンチレータ14、それぞれを反射材で囲 むことができる。

産業上の利用の可能性

 コリメータを用いることなく超感度を安 に実現可能なガンマ線検出器、該ガンマ線 出器を用いた放射線診断装置、PETやSPECT等 断層像撮影装置、及び、その解析方法を実 できる。