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Patent Searching and Data


Title:
ELASTIC SIGNAL TRANSMISSION CABLE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/157070
Kind Code:
A1
Abstract:
An elastic signal transmission cable which has a shape deformation tracking capability, can transmit high-speed signals, and has a length of several centimeters to several meters. The elastic signal transmission cable has an elasticity of 10% or above and has a transmission loss of 10 dB/m or less in a relaxed state at 250 MHz. The elastic signal transmission cable consists of an elastic cylindrical body having an elasticity of 10% or above and a conductor portion including at least two conductor lines wound in the same direction around the elastic cylindrical body.

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Inventors:
TATSUMI SHUNJI (JP)
YUUKI YASUNORI (JP)
MAKINO HIROYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/061585
Publication Date:
December 30, 2009
Filing Date:
June 25, 2008
Export Citation:
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Assignee:
ASAHI KASEI FIBERS CORP (JP)
TATSUMI SHUNJI (JP)
YUUKI YASUNORI (JP)
MAKINO HIROYUKI (JP)
International Classes:
H01B7/06; H01B11/00
Foreign References:
JPH0163010U1989-04-24
JP2003217359A2003-07-31
JP2002313145A2002-10-25
JP2004134313A2004-04-30
JPS61163513A1986-07-24
JPS60119013A1985-06-26
JP2008047505A2008-02-28
JP2007149346A2007-06-14
JP2002313145A2002-10-25
JP2004134313A2004-04-30
JPS60119013A1985-06-26
JP3585465B22004-11-04
JP2005347247A2005-12-15
US20070264124A12007-11-15
Other References:
See also references of EP 2293307A4
Attorney, Agent or Firm:
AOKI, Atsushi et al. (JP)
Aoki 篤 (JP)
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Claims:
 10%以上の伸縮性を有し、250MHzにおける伝送ロスが弛緩状態において10dB/m以下である伸縮性伝送ケーブルであって、10%以上の伸縮性を有する弾性円筒体および該弾性円筒体の周囲に同一方向に捲回された少なくとも2本の導体線を含む導体部からなることを特徴とする伸縮性信号伝送ケーブル。
 導体部が、導体線の外側に導体線と逆方向に捲回されている絶縁性糸状体を含むことを特徴とする請求項1に記載の伸縮性信号伝送ケーブル。
 導体部が、1本または複数本の導体線の外側と内側(弾性円筒体側)を交互に通って、導体線と逆方向に捲回されている絶縁性糸状体を含むことを特徴とする請求項1に記載の伸縮性信号伝送ケーブル。
 導体線が並列に捲回され、近接する導体線の間隔のばらつきrが0≦r≦4d(dは弛緩時の近接する導体線の平均間隔)であり、伸張限界までの任意の伸張によって伸張時平均間隔d’が1/2d~4dの範囲にあり、繰り返し伸縮によっても、この範囲を逸脱することがないことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の伸縮性信号伝送ケーブル。
 導体線の捲回径が0.05~30mmであり、導体線が並列に捲回され、導体線の捲回ピッチが0.05~50mmであり、近接する導体線の間隔が0.01~20mmであることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の伸縮性信号伝送ケーブル。
 導体部の外周に絶縁繊維からなる外部被覆層をさらに有することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の伸縮性信号伝送ケーブル。
 導体部の外周にゴム弾性を持つ樹脂からなる外部被覆層をさらに有することを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の伸縮性信号伝送ケーブル。
 20%伸張荷重が5000cN未満であり、20%伸張回復率が50%以上であることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の伸縮性信号伝送ケーブル。
 弾性円筒体を伸張する機能と、該弾性円筒体の周囲に複数の導体線または複数の導体線と少なくとも1本の絶縁性糸状体とを同一方向に捲回する機能と、少なくとも1本の絶縁性糸状体を前記方向と逆方向に捲回する機能とを有する装置により、弾性円筒体を伸張した状態で、該弾性円筒体の周囲に複数の導体線または複数の導体線と少なくとも1本の絶縁性糸状体とを同一方向に捲回し、さらに該導体線と逆方向に少なくとも1本の絶縁性糸条体を導体線の外側に捲回することを特徴とする請求項2に記載の伸縮性信号伝送ケーブルの製造方法。
 弾性円筒体を伸張する機能と、該弾性円筒体の周囲に複数の導体線または複数の導体線と少なくとも1本の絶縁性糸状体とを同一方向に捲回する機能と、少なくとも1本の絶縁性糸状体を前記方向と逆方向に捲回する機能とを有する装置により、弾性円筒体を伸張した状態で、該弾性円筒体の周囲に複数の導体線または複数の導体線と少なくとも1本の絶縁性糸状体とを同一方向に捲回し、さらに該導体線と逆方向に1本または複数本の導体線の外側と内側(弾性円筒体側)を交互に通って少なくとも1本の絶縁性糸条体を捲回することを特徴とする請求項3に記載の伸縮性信号伝送ケーブルの製造方法。
Description:
伸縮性信号伝送ケーブル

 本発明は、伸縮性を有し、高速の信号伝 性に優れた伸縮性信号伝送ケーブルに関す ものである。

 信号伝送ケーブルには、主に、同軸ケー ル、ツイストペアケーブルおよびフレキシ ルフラットケーブルがある。柔軟性や屈曲 にすぐれたケーブルとして、低誘電層にポ オレフイン樹脂を用いたフレキシブルフラ トケーブル(特許文献1参照)やフレキシブル リント基板を芯材に対してスパイラル状に き付けたフレキシブルフラットケーブル(特 許文献2参照)が知られている。しかし、これ はいずれも屈曲には強いが、伸縮性を発現 るものでは無い。

 高速の信号伝送ケーブルを設計する場合、2 本の導体線間の距離や、導体線周囲の誘電体 が伝送性を左右することが知られている。こ のため、2本の導体線間の距離を一定に保ち 脂などで固めることが常識となっており、 立した2本の導体線を別々に捲回し、伸縮性 発現させつつ、信号伝送させるという発想 皆無である。
 一方、同軸ケーブルは一般に剛直で、所謂 ールコードとして伸縮性を付与したものが られているが、伸縮自在な芯材の周囲に捲 し、伸縮性を付与させたものは無い。
 また、ツイストペアケーブルは2本の導体線 が強固にツイストされており、伸縮性を付与 したものは無い。

 また、伸縮性を持つ電線として、例えば特 文献3には、カバーリング装置を用い、弾性 長繊維などを芯部にし、その周囲に2本の導 線をS/Z(2方向)に捲回し、これを複数本束ね 1本にする方法が開示されている。当該特許 献によると、イヤホンコードや、USBの単体 ーブルとして使用できる旨開示されている しかし、伝送特性については一切記載され いない。
 伸縮自在な芯材に1方向のみに導体線を巻き つけると、捲回トルクが大きく残り、捻じれ が生じる。このため、伸縮自在な芯材の周囲 に2本の導体線を捲回する場合は、S/Z(2方向) 捲回することが一般的である。

 信号伝送糸状体に関する特許文献6には、信 号伝送用糸条を芯材の周囲に捲回する旨の記 載があるが、銅平形線に代表される金属線を 1本捲回したものであり、2本以上の導体線を 回したものではない。また、伝送特性に関 る記載は一切無く、本発明者らの知見によ と、当該ケーブルは高速の信号伝送ができ ものでは無い。
 弾性支持体とワイヤーの接続方法について 弾性支持体にワイヤーを捲回する技術が特 文献7に開示されているが、これは接続部品 に対する技術開示であり、ケーブルとして使 用する技術開示ではなく、伸縮性と伝送性に ついての記載は一切無い。
 ローターブレード用ケーブルに関する特許 献8には、弾性体へ導体線を捲回する旨の記 載があるが、高い抗張力を有するものであり 、伸縮性は無い。

 最近、ロボットやウエアラブル電子機器の 展が著しく、カメラにより得た画像(動画) 瞬時に演算機(コンピューター)とやりとりさ せること(すなわち高速の信号伝送)が求めら るケースが増えている。
 しかし、信号伝送ケーブルには伸縮性が無 ため、屈曲部(例えばロボットの関節部)の 線長さは動作時の最大長さ以上が必要とな 。このため、動作時にケーブルがたるみ、 曲部に挟まったり、ひっかかったりし、ケ ブルが断線したりコネクター接続部がはず るという問題がある。

 また、ウエアラブル電子機器においては、 線に伸縮性が無いため大きめのジャケット どとして使用せざるを得ず、身体にフィッ したウエアラブル電子機器を作ることがで ない、着用感が悪いといった問題がある。
 これらの問題を解決するために、形態変形 随性があり、高速の信号を伝送できる、長 が数cm~数mのケーブルが求められている。

特開2008-47505号公報

特開2007-149346号公報

特開2002-313145号公報

特開2004-134313号公報

特開昭60-119013号公報

特許第3585465号公報

特開2005-347247号公報

米国特許出願公開第2007/264124号明細書

 本発明の目的は、形態変形追随性があり 高速の信号を伝送できる、長さが数cm~数mの 伸縮性信号伝送ケーブルを提供することであ る。

 本発明者等は、多彩な動きに追随して変形 、高速の信号伝送ができるケーブルにつき 意研究した結果、10%以上の伸縮性を有し、2 50MHzにおける伝送ロスが弛緩状態において10dB /m以下である伸縮性信号伝送ケーブルであっ 、10%以上の伸縮性を有する弾性円筒体およ 該弾性円筒体の周囲に同一方向に捲回され いる少なくとも2本の導体線を含む導体部か らなることを特徴とする伸縮信号伝送ケーブ ルが上記目的を達成できることを見出し、本 発明を完成させたものである。
 すなわち、本発明は下記の発明を提供する

 (1)10%以上の伸縮性を有し、250MHzにおける 送ロスが弛緩状態において10dB/m以下である 縮伝送ケーブルであって、10%以上の伸縮性 有する弾性円筒体および該弾性円筒体の周 に同一方向に捲回されている少なくとも2本 の導体線を含む導体部からなることを特徴と する伸縮性信号伝送ケーブル。

 (2)導体部が、導体線の外側に導体線と逆方 に捲回されている絶縁性糸状体を含むこと 特徴とする上記(1)に記載の伸縮性信号伝送 ーブル。
 (3)導体部が、1本または複数本の導体線の外 側と内側(弾性円筒体側)を交互に通って、導 線と逆方向に捲回されている絶縁性糸状体 含むことを特徴とする上記(1)に記載の伸縮 信号伝送ケーブル。
 (4)導体線が並列に捲回され、近接する導体 の間隔のばらつきrが0≦r≦4d(dは弛緩時の近 接する導体線の平均間隔)であり、伸張限界 での任意の伸張によって伸張時平均間隔d’ 1/2d~4dの範囲にあり、繰り返し伸縮によって も、この範囲を逸脱することがないことを特 徴とする上記(1)~(3)のいずれか一項に記載の 縮性信号伝送ケーブル。

 (5)導体線の捲回径が0.05~30mmであり、導体線 並列に捲回され、導体線の捲回ピッチが0.05 ~50mmであり、近接する導体線の間隔が0.01~20mm あることを特徴とする上記(1)~(4)のいずれか 一項に記載の伸縮性信号伝送ケーブル。
 (6)導体部の外周に絶縁繊維からなる外部被 層をさらに有することを特徴とする上記(1)~ (5)のいずれか一項に記載の伸縮性信号伝送ケ ーブル。
 (7)導体部の外周にゴム弾性を持つ樹脂から る外部被覆層をさらに有することを特徴と る上記(1)~(6)のいずれか一項に記載の伸縮性 信号伝送ケーブル。
 (8)20%伸張荷重が5000cN未満であり、20%伸張回 率が50%以上であることを特徴とする上記(1)~ (7)のいずれか一項に記載の伸縮性信号伝送ケ ーブル。

 (9)弾性円筒体を伸張する機能と、該弾性 筒体の周囲に複数の導体線または複数の導 線と少なくとも1本の絶縁性糸状体とを同一 方向に捲回する機能と、少なくとも1本の絶 性糸状体を前記方向と逆方向に捲回する機 とを有する装置により、弾性円筒体を伸張 た状態で、該弾性円筒体の周囲に複数の導 線または複数の導体線と少なくとも1本の絶 性糸状体とを同一方向に捲回し、さらに該 体線と逆方向に少なくとも1本の絶縁性糸条 体を導体線の外側に捲回することを特徴とす る上記(2)および(4)~(8)のいずれか一項に記載 伸縮性信号伝送ケーブルの製造方法。

 (10)弾性円筒体を伸張する機能と、該弾性 円筒体の周囲に複数の導体線または複数の導 体線と少なくとも1本の絶縁性糸状体とを同 方向に捲回する機能と、少なくとも1本の絶 性糸状体を前記方向と逆方向に捲回する機 とを有する装置により、弾性円筒体を伸張 た状態で、該弾性円筒体の周囲に複数の導 線または複数の導体線と少なくとも1本の絶 縁性糸状体とを同一方向に捲回し、さらに該 導体線と逆方向に1本または複数の導体線の 側と内側(弾性円筒体側)を交互に通って少な くとも1本の絶縁性糸条体を捲回することを 徴とする上記(3)および(4)~(8)のいずれか一項 記載の伸縮性信号伝送ケーブルの製造方法

 本発明の伸縮性信号伝送ケーブルは、高 の信号を乱れず減衰せずに伝播でき、かつ 縮性を有し、形態変形追随性があるので、 ボットやウエアラブル電子機器用の伝送ケ ブルとして有用である。

本発明の伸縮性信号伝送ケーブルの弛 時の模式図である。 本発明の伸縮性信号伝送ケーブルの伸 時の模式図である。 本発明の伸縮性信号伝送ケーブルの絶 性糸状体の捲回方法の一例を示した図であ 。 本発明の伸縮性信号伝送ケーブルの絶 性糸状体の捲回方法の別の一例を示した図 ある。 繰り返し伸縮性測定装置の模式図であ 。 差動特性インピーダンスの測定方法を 明する図である。

符号の説明

 1  弾性円筒体
 2  導体線
 3  導体線
 4  絶縁性糸状体
 11  導体線
 12  シグナルライン
 13  シグナルライン
 14  導体線
 20  試料
 21  チャック部
 22  チャック部
 23  ステンレス棒
 30  SMAコネクター
 31  シグナル端子
 32  グランド端子
 40  SMAコネクター
 41  シグナル端子
 42  グランド端子
 aおよびa‘  導体線のピッチ
 dおよびd‘  近接する導体線の間隔

 本発明について、以下具体的に説明する。
 本発明の伸縮性信号伝送ケーブルにおいて 高周波信号が乱れず減衰せずに伝播するた には伸縮しても、シグナルラインとして用 る2本の導体線の間の距離が全長に亘って変 化が少ないことが肝要である。また、伸縮性 を発現させるためには、柔軟性の高い導体線 を、伸縮性のある構造体と一体化することが 必要である。本発明者等は、10%以上の伸縮性 を有する弾性円筒体の周囲に少なくとも2本 導体線を同一方向に捲回することにより得 れる信号伝送ケーブルがこれらの要求を満 することを見出した。

 本発明の伸縮性信号伝送ケーブルは10%以 の伸縮性を発現する必要がある。好ましく 20%以上、さらに好ましくは30%以上である。1 0%未満の場合、変形追随性に乏しく、上記目 を達成することができない。ここでいう伸 性とは、所定の程度、例えば10%伸張した後 弛緩することによる回復率が50%以上である のを言う。

 本発明の伸縮性信号伝送ケーブルは、多 節ロボットや、身体装着の電子機器の配線 して使用されるために、関節に相当する部 を経由する配線として使用することを目的 している。このため、長さは1mを目安とす 。また、高速の信号伝送として、250MHzの高 波における伝送ロスが10dB/m以下である必要 ある。本発明で言う伝送ロスとは、所謂ネ トワークアナライザーにて、試料長1mのSパ メーター測定を行い、S21(S21:透過係数=透過 /入射波)を測定し、得られた値(単位:dB)の絶 値を言う。これ以上の場合は、伝送性が悪 高速伝送に適さない。好ましくは7dB/m以下 より好ましくは6dB/m以下、特に好ましくは5dB /m以下である。

 本発明の伸縮性信号伝送ケーブルは、図1 および2に示したように、10%以上の伸縮性を する弾性円筒体(1)および該弾性円筒体の周 に同一方向に捲回されている少なくとも2本 導体線(2および3)を含む導体部からなる。さ らに、導体部の外周に絶縁性の外部被覆層を 有することが好ましい(外部被覆層は図示さ ていない)。なお、導体線の少なくとも一部 弾性円筒体の表層内部に存在してもよい。

 弾性円筒体は、弾性長繊維、弾性チューブ たはコイルバネ等から形成することができ 。
 また、弾性円筒体は内部に空隙を有してい ことが好ましい。空隙は、伸縮性を阻害せ 、導体線の捲回径を大きくできるため、伸 性を高める効果がある。空隙を形成する方 は、例えば、弾性長繊維の周囲に絶縁繊維 配置する方法、弾性長繊維または、弾性長 維の周囲に絶縁繊維を配置した糸状体を編 組みする方法、弾性長繊維を発泡させる方 、弾性長繊維を中空にする方法、またはこ らを組み合わせた方法などがある。弾性チ ーブまたはコイルバネから形成した場合は 然中空になる。

 弾性円筒体を形成するために用いる弾性 繊維は10%以上の伸縮性を有することが必要 ある。50%以上の伸縮性を有することが好ま い。伸縮性が50%未満の場合は、伸縮性能が しく、伸縮性信号伝送ケーブルを伸縮させ 際の応力が大きくなる。100%以上の伸縮性を 有する弾性長繊維を用いることがさらに好ま しく、300%以上であることが特に好ましい。

 本発明で用いる弾性長繊維は、上述した程 の伸縮性に富むものであればよく、ポリマ の種類は特に限定されない。例えば、ポリ レタン系弾性長繊維、ポリオレフィンン系 性長繊維、ポリエステル系弾性長繊維、ポ アミド系弾性長繊維、天然ゴム系弾性長繊 、合成ゴム系弾性長繊維および天然ゴムと 成ゴムの複合ゴム系弾性長繊維等をあげる とができる。
 ポリウレタン系弾性長繊維は、伸びが大き 、耐久性にもすぐれるため本発明の弾性長 維として最適である。
 天然ゴム系長繊維は、断面積あたりの応力 他の弾性長繊維に対比して小さく、低応力 伸縮する伸縮性信号伝送ケーブルを得やす という利点がある。しかし、劣化しやすい め、長期にわたり伸縮性を保持することが しい。従って、短期の使用を目的とする用 に好適である。
 合成ゴム系弾性長繊維は、耐久性にはすぐ るが、伸びの大きな物が得にくい。従って あまり大きな伸びを要求しない用途に好適 ある。
 弾性長繊維は、モノフィラメントでもマル フィラメントでも良い。

 弾性長繊維の直径は0.01~20mmの範囲が好まし 。より好ましくは0.02~10mmである。さらに好 しくは0.03~5mmである。直径が0.01mm以下の場 、伸縮性が得られず、直系が20mmを超えると 伸張させるのに大きな力が必要となる。
 弾性長繊維をあらかじめ、双糸もしくは多 撚りとしたもの、または、弾性長繊維を芯 してその回りに別の弾性長繊維を捲回した のとすることで、弾性円筒体と導体部との 体化(伸縮した場合に導体部がずれないよう にすること)を容易にすることもできる。

 本発明において弾性円筒体を形成するため 用いるコイルバネは、金属以外のコイルバ であっても、金属コイルバネであっても良 。金属以外のコイルバネは、伝送性に及ぼ 影響が少ない。金属のコイルバネは高温下 も劣化せず、高温環境下で使用される用途 適する。コイル形状のバネは、コイリング シーンの選定と選定したコイリングマシー の条件設定で任意に設計できる。
 コイルバネ単独では、その周囲に導体線を 回できないため、あらかじめコイルバネの 囲に絶縁繊維の編み組み等を形成すること 弾性円筒体を得ることができる。
 コイル直径Cdと伸線(コイルを形成する線材 こと)直径Sdが24>Cd/Sd>4であることが好ま しい。Cd/Sdが24以上の場合は、安定な形態の ネが得られず、変形しやすく好ましくない 好ましくはCd/Sdが、16以下である。一方Cd/Sd 4以下では、コイルを形成することが困難と ると同時に、伸縮性が発現しにくい。好ま くは6以上である。

 伸線の直径Sdは3mm以下であることが好まし 。3mm以上となると、バネが重くなり、伸縮 力もコイル直径も大きくなるため好ましく い。一方、伸線の直径が0.01mm以下となると 形成できるバネが弱すぎて、横から力が加 ると変形しやすく、実用的ではない。
 コイルのピッチ間隔は1/2Cd以下であること 望ましい。これ以上の間隔であってもコイ 状のバネを形成することはできるが、コイ 外周への絶縁繊維の編み組み等の形成が困 となる。さらに、伸縮性が低下するととも 、外力により変形しやすくなるので好まし ない。好ましくは1/10Cd以下である。
 ピッチ間隔をほぼゼロとしたものは、伸縮 を最も高くすることができ、バネそのもの からまりにくく、巻き取ったバネを引き出 やすいという特徴があり、外力による変形 も強いという利点があり、好ましい。

 コイル直径は0.02~30mmの範囲が好ましい。よ 好ましくは0.05~20mmであり、さらに好ましく 0.1~10mmである。外径が0.02mm以下のコイルバ は製造が困難であり、30mmを越えると、導体 の捲回径が大きくなりすぎ、好ましくない
 コイルバネの材料は、公知の伸線から任意 選ぶことができる。線材の材料は、ピアノ 、硬鋼線、ステンレス鋼線、オイルテンパ 線、燐青銅線、ベリウム銅線および洋白線 どがある。耐食性および耐熱性に優れ、か 入手しやすい点から、ステンレス鋼線が望 しい。

 弾性チューブは、内部に空隙を有しており そのままで弾性円筒体として用いることも 弾性チューブの外層に繊維層を形成し、弾 円筒体とすることもでききる。導体線と弾 チューブが直接接触すると、弾性チューブ 傷が付きやすいため、弾性チューブの外層 繊維層を形成することが好ましい。
 また、弾性チューブの中に導体線を埋め込 こともできる。例えば、ステンレス棒に導 線を捲回し、これをゴムラテックス中に浸 または塗布した後、公知の方法(例えば、加 硫処理、熱処理および乾燥処理等)を行った 、内部のステンレス棒を抜き去る等するこ により、弾性チューブの中に導体線を埋め むことができる。

 弾性円筒体の伸縮性は10%以上必要であり、3 0%以上が好ましく、50%以上であるとさらに好 しい。伸縮性が30%未満と低い場合は、導体 および外部被覆層の被覆によって伸びが低 し伸縮性の低い伝送ケーブルになる場合が る。
 弾性円筒体の20%伸長荷重は5000cN以下である とが好ましい。さらに好ましくは2000cN以下 特に好ましくは1000cN以下である。
 弾性円筒体の直径は、30mm以下、好ましくは 20mm以下、より好ましくは10mm以下である。直 が30mm以上となると、太く、重くなり、実用 上好ましくない。

 本発明で用いられる導体線は、導電性のよ 物質からなる細線の集合線であることが好 しい。金属細線の集合線は、やわらかく、 線しにくいため、伸縮性信号伝送ケーブル 伸縮性や、耐久性の向上に寄与する。
 信号線を構成する導体線として細線を単独 用いることもできるが、電気抵抗が大きく ると、伝送性が低下する。このため、細線 2本以上集合して1つの導体線として用いる とが好ましい。集合本数の上限は特に無い 、柔軟性と、電気抵抗を勘案して任意に決 ることができる。集合本数を増やすと生産 が低下するため、10000本以下が好ましい。よ り好ましくは1000本以下である。

 導電性の良い物質とは比抵抗が1×10 -4 ω・cm以下の電気伝導体を言う。特に好まし は1×10 -5 ω・cm以下の金属を言う。具体的な例として 、所謂銅(比抵抗が0.2×10 -5 ω・cm)およびアルミ(比抵抗が0.3×10 -5 ω・cm)などを挙げることができる。

 銅線は、比較的安価で電気抵抗が低く細 化も容易で、最も好ましい。アルミニウム は軽量であるから、銅線に続いて好ましい 銅線は軟銅線または錫銅合金線が一般的で るが、強力を高めた強力銅合金(例えば、無 酸素銅に鉄、燐およびインジウム等を添加し たもの)、錫、金、銀または白金などでメッ して酸化を防止したもの、電気信号の伝送 性を向上させるために金その他の元素で表 処理したものなどを用いることもできるが これらに限定されるものではない。

 導体線を構成する細線の単線直径は0.5mm 下であることが好ましく、さらに好ましく 0.1mm以下であり、特に好ましくは0.05mm以下で ある。細線化することにより、柔軟性を高め ることができる。さらに、高周波特有の表皮 効果に対して、細線化により、表面積が高ま り伝送性を高めることができる。あまり細す ぎると加工時に断線し易いため、0.01mm以上が 好ましい。

 細線を集合させるには様々な方法が知ら ており、本発明においても公知のどのよう 方法で集合させてもよい。しかし、ストレ トにひきそろえるだけでは捲回しづらいた 、撚り線とすることが好ましい。また、可 性を発揮するために、集合線を絶縁繊維で 回したものを用いることもできる。

 本発明で用いられる導体線は、細線各々ま は導体線として、絶縁されていることが好 しい。絶縁層の厚みや種類は伸縮性信号伝 ケーブルの用途により任意に設計される。
 絶縁材は、絶縁性、伝送性および柔軟性を 味して選択される。絶縁材は、公知の絶縁 料から任意に選ぶことができる。
 細線各々に絶縁被覆を行う絶縁材料として 、所謂エナメル被覆剤を用いることができ 。例えばポリウレタン被覆剤、ポリウレタ -ナイロン被覆剤、ポリエステル被覆剤、ポ リエステル-ナイロン被覆剤、ポリエステル- ミド被覆剤、及びポリエステルイミド・ア ド被覆剤などを挙げることができる。
 導体線として絶縁被覆を行う絶縁材として 、伝送性の観点からは、誘電率の低い素材 好ましく、フッ素系およびポリオレフィン 等の絶縁材が挙げられる。柔軟性の点から 、塩化ビニール系およびゴム系等の絶縁材 挙げられる。

 空気を含んだ絶縁材を用いることもできる 空気を含んだ絶縁材を得るためには、上記 縁材を発泡させたものを用いることもでき 。空気は誘電率が低く、誘電率を下げる効 がある。
 絶縁性の繊維の集合体により、導体線を覆 ことにより、空気を含んだ絶縁層を形成す こともできる。絶縁性の繊維は特に限定さ るものでは無いが、安価で、強度が強く、 り扱い性に優れるものとして、ポリエステ 繊維およびナイロン繊維が挙げられる。伝 性を高めるために、誘電率の低いフッ素繊 、ポリプロピレン繊維を用いることもでき 。絹、綿およびレーヨンスフ系を用いるこ もできる。
 水分の影響を受けにくくするために、撥水 工を施した繊維を用いることもできる。
 空気を含んだ絶縁材として、絶縁紙または 縁不織布からなるテープ状物により導体線 覆うこともできる。絶縁性を高めるために 縁油剤を含浸させることもできる。

 本発明の伸縮性信号伝送ケーブルは、10%以 の伸縮性を有する弾性円筒体の周囲に2本以 上の導体線を同一方向に捲回することにより 得ることができる。
 当該導体線同志は、並列に捲回されること 好ましい。並列とは、導体線同志がクロス て重なり合うことが無く、好ましくは部分 にも重なり合うことがなく、同一方向に捲 されている状態を言う。重なりあう部分は 伝送性の低下の要因となり、かつ、繰り返 伸縮における断線の原因となるため、好ま くない。また、並列に捲回することで、コ パクトで伸縮性に富んだ、伸縮性信号伝送 ーブルが得やすくなる。
 従来から知られている、S/Zの捲回は、導線 間隔がほぼゼロとなる点と、大きく広がる を持つため伝送性低下の要因となる。さら 伸縮により、交差部分がこすられ、容易に 絡または断線し、実用上好ましくない。

 本発明の伸縮性信号伝送ケーブルは、各々 導体線の間に空気を保有していることが好 しい。空気は、誘電率の低い媒体であり、 送性を高める効果がある。
 空気を保有させるために、導体線間に絶縁 維からなる糸状体を介在させることも、導 線間に中空チューブを介在させることも、 た導体線全体を発泡性の樹脂で覆うことも きる。

 本発明の伸縮性信号伝送ケーブルは、弾性 筒体の周囲に極細同軸ケ-ブルを捲回するこ とによっても得ることができる。極細同軸ケ ーブルは、中心導体と、周囲の導体の実質的 に2本の導体線で構成されており、当該2本の 体線は、同一方向に捲回されるとみなすこ ができる。極細同軸ケーブルは、導体間の 電体の状態が一定しており、伝送ロスを小 くできる。
 当該極細同軸ケーブルは、太さ3mm以内が好 しい。中でも、屈曲性及び柔軟性の高いも を用いることが好ましい。許容曲げ半径は1 0mm以下のものが好ましく、5mm以下だとさらに 好ましい。曲げ半径が10mm以上の場合は、捲 径が大きく成りすぎるか、または、伸縮性 低下する。

 本発明の伸縮性信号伝送ケーブルは、弾 円筒体の周囲に、所謂ツイストペアケーブ を捲回することによっても得ることができ 。ツイストペアケーブルを他のツイストペ ケーブルと共に捲回することも、他の導体 と他のツイストペアケーブルと共に捲回す こともできる。複数本のツイストペアケー ルを捲回する場合は、ツイストピッチの違 ものを捲回することが好ましい。同一ピッ のものは、所謂クロストークが発生しやす 。いずれの場合も同一方向に捲回されてい ことが必要である。2方向に捲回されたもの は、導体線同志の重なる部分があり、伝送性 が低下し、高速伝送に適さない。また、繰り 返し伸縮により断線しやすく、本発明の目的 を達することができない。

 本発明の伸縮性伝送ケーブルは、弾性円筒 の周囲に、所謂フレキシブルフラットケー ルを捲回することによっても得ることがで る。フレキシブルフラットケーブルの幅は
10mm以下が好ましい。より好ましくは5mm以下 ある。厚みは3mm以下が好ましい。より好ま くは2mm以下である。これ以上のものは、弾 円筒体の周囲に捲回しても伸縮性が発現し くい。当該フレキシブルフラットケーブル 中に、導体線は2本以上含まれることが必須 ある。伸縮性の制約から、使用できるケー ルの幅に限界があり、含まれる導体線の数 自ずと限界がある。伝送性との兼ね合いか 20本以内が好ましい。より好ましくは10本以 内である。

 使用される導体線は2本以上が必要である 。使用される導体線が1本では、伝送ケーブ として使用できない。汎用で用いられるケ スとしては、2本、3本、4本、5本、6~10本など がある。上限は特に限定されるものでは無い が、30本以上となると、伸縮性が阻害されや い。好ましくは20本以内である。特に好ま くは3本~10本である。

 2本の導体線のみを用いる場合は、1本を グナルライン、他をグランドラインとする 3本の導体線を用いる場合は、シグナルライ 2本、グランドラインとすることも、シグナ ルライン1本、電源ライン1本、グランドライ 1本とすることもできる。

 汎用性が高いケーブルとして、シグナルラ ンと電源ラインを併せ持つものが好まれる 特に高周波の領域では、差動伝送方式が用 られる傾向が強いが、シグナルライン2本、 電源ライン1本、グランドライン1本の合計4本 とすることで、差動伝送方式による信号伝送 と、電源供給を併せ持つ伸縮性信号伝送ケー ブルを得ることができる。
 電源ラインにはシグナルラインよりも大き 電流が流れるため、電源ラインの太さは、 グナルラインと同等以上であることが好ま い。
 高周波領域に置いては電気抵抗の影響は小 くなるため、シグナルラインには比較的抵 値の高い導体線を用いることもできる。一 電源ラインは、電気抵抗が小さいことが好 しい。弛緩状態における伸縮性信号伝送ケ ブル1m当たり、シグナルラインの電気抵抗 100ω/m以下であることが好ましい。より好ま くは10ω/m以下である。一方電源ラインの電 抵抗は、20ω/m以下であることが好ましく、 り好ましくは5ω/m以下である。
 グランドラインはシグナルライン同等の電 抵抗であることが好ましく、電源ライン同 の電気抵抗であることがさらに好ましい。

 導体線は捲回1周毎に1箇所以上、絶縁性の 状体で拘束されていることが好ましい。非 束の場合は、伸縮により導体線間の間隔が 動し、伝送性が低下するため、実用上好ま くない。導体線と絶縁性糸状体で導体部が 成される。
 絶縁性糸状体には、公知の絶縁性糸状体を 意に用いることができる。例えば、マルチ ィラメント、モノフィラメント、または、 績糸を用いることができる。好ましくはマ チフィラメントである。細く、柔らかく、 束力が強く(高強度)、安価という観点から 、ポリエステル繊維、ナイロン繊維が挙げ れる。誘電率が低いという観点からはフッ 繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン 維が挙げられる。難燃性の観点からは、塩 ビニル繊維、サラン繊維、ガラス繊維を挙 ることができる。伸縮性の観点からは、ポ ウレタン繊維または、ポリウレタン繊維の 部を他の絶縁繊維で被覆したもの等を挙げ ことができる。その他、絹、レーヨン繊維 キュプラ繊維、コットン紡績糸を用いるこ もできる。しかし、これらに限定されるも ではなく、公知の絶縁繊維を任意に用いる とができる。

 導体線を1方向(例えばZ方向)に捲回し、その 上から絶縁性糸条体を逆方向(S方向)に捲回す ることで、導体線を拘束し、伸縮によるズレ を防止することができる。
 図3に示したように、カバーリングマシーン により導体線の外側に絶縁性糸状体を捲回す る場合は、捲回速度を高める(スピンドル回 数を上げる)ことで、捲回張力(バルーニング 張力)が増し、拘束力を高めることができる

 さらに好ましくは、図4に示したように、導 体線と逆方向に導体線の内側(弾性円筒体側) 外側を交互に通って絶縁性糸状態を捲回し 体線を拘束することである。導体線の内側 外側を交互に通って、導体線と逆方向に絶 性糸状体を捲回することで、繰り返し伸縮 、伸縮を伴う屈曲動作によっても、伸張時 弛緩時の導体線間隔の変化が少なく、かつ り返し伸縮によって導体線間隔の変化が少 い伸縮性信号伝送ケーブルを得ることがで る。導体線の内側と外側を交互に通す場合 導体線1本ずつ交互に通してもよいし、複数 の導体線を纏めて交互に通してもよい。
 当該絶縁性糸条体は、導体線より細いもの 好ましい。太い絶縁性糸状態を用いると、 体線そのものが、変形せざるをえなくなり 伸縮しにくくなる。

 拘束力を高めるためには、1周につき1箇所 上好ましくは4箇所以上さらに好ましくは8箇 所以上拘束点を持つように、絶縁性糸状態を 導体線の内側と外側を交互に通って捲回する ことが好ましい。
 捲回する糸に荷重をかけることで、捲回張 を高めることができ、拘束力を増すことが きる。

 また、互いの導体線の位置がずれないよ に、導体線間に絶縁性の糸状体を介在させ 、導体線と介在させた糸状体を一緒にして または別々に、それらの内側と外側を交互 通って前記絶縁性糸状体を捲回することも きる。この介在物により、導体線間の距離 制御し、特性インピーダンスを調整するこ もできる。

 本発明の伸縮性信号伝送ケーブルは、導 線と弾性円筒体が接着していてもよい。通 接着剤は伸縮性が乏しく、弾性円筒体全体 被覆するように塗布すると弾性円筒体の伸 性が失われやすい。これを防ぐため、弾性 あるポリウレタンなどを用いて接着する方 や、導体線と弾性円筒体との接触面のみを 着させるなどの方法がある。

 導体線は同一方向に一定のピッチで、捲回 れていることが好ましい。長さ方向でピッ がばらつくと、導体線の特性インピーダン がばらつき、伝送性が低下する。
 図1のaで示される導体線の捲回ピッチは0.05~ 50mmが好ましい。0.05mm以下の場合は、捲回さ る導体線の長さが長くなりすぎ、伝送性が 下する。50mm以上の場合は、伸縮性が乏しく る。好ましくは、捲回ピッチが0.1~20mmであ 、特に好ましくは捲回ピッチが1~10mmである

 並列に捲回される独立した近接する導体 の間隔(図1においてdが近接する導体線の間 である)は、弛緩状態で、30箇所の捲回状態 観察し求めた弛緩時平均間隔dと、ばらつき r(r=最大間隔-最小間隔)との関係が0≦r<4dで ることが好ましい。4d以上のばらつきがあ 場合は、伝送性が低下する。好ましくは3d以 下、さらに好ましくは2d以下である。なお、 発明において、近接する導体線の間隔は隣 する導体線間の距離のうち短い方で、中心 の距離で表すものとする。

 本発明の伸縮伝送ケーブルは、伸張限界ま の任意の伸張時において、近接する導体線 平均間隔d’が1/2d<d’<4dであることが好 ましい。好ましくは3d以下、さらに好ましく 2d以下である。繰り返し伸張によっても、 の範囲を逸脱しないことが好ましい。この 囲を逸脱すると伝送性が低下する。
 なお、本発明で言う伸張限界とは、伸張後 緩しても伸張率が20%以下に回復しなくなる 界伸張率に、0.7をかけた値を言う。

 近接する2本の導体線の間隔は、0.01~20mmで あることが好ましい。0.01mm未満の場合は、伸 縮によりショートする危険性がある。20mm以 の場合は、伸縮により特性インピーダンス 値が大きくなり、伝送性が低下する。さら 好ましくは0.02~10mmであり、特に好ましくは0. 05~5mmである。

 導体線の捲回径は0.05~30mmが好ましい。さ に好ましくは0.1~20mmであり、特に好ましく 0.5~10mmである。30mm以上の場合は、できあが 外径が大きくなりすぎるため好ましくない さらに、伸張によりインピーダンスの値が きく変化し、伝送性を低下させる。0.05mm以 の場合は、導体線を捲回することが困難と る。

 導体線のピッチ、間隔および捲回径を上 のような範囲にすると、コンパクトで伸縮 の良い伸縮性信号伝送ケーブルを得やすく かつ、特性インピーダンスを500ω以下に設 しやすく、伝送性の良いケーブルを得やす 。

 本発明の伸縮性信号伝送ケーブルは外部 覆層を有していても良い。外部被覆層を有 ることにより、物理的な刺激や、化学的な 激から保護され、耐久性が向上する。外部 覆層は絶縁繊維またはゴム弾性を持つ弾性 脂により形成することが好ましい。

 絶縁繊維による被覆は伸縮性を阻害しにく 、ソフトな伸縮性を求める用途に適する。 た、絶縁繊維は、誘電率の低い空気を多量 含むため、伝送性の低下が少ない被覆を行 ことができる。
 誘電率の低い絶縁繊維は、伝送性を低下さ ることが少なく、好ましい。誘電率の低い 縁繊維として、フッ素繊維、ポリエチレン 維、ポリプロポレン繊維を挙げることがで る。
 撥水性の絶縁繊維は、誘電率の高い水の浸 を防ぐ効果があり、好ましい。具体的には フッ素繊維や、ポリプロピレン繊維などの 水性の絶縁繊維を用いることも、ポリエス ル繊維や、ナイロン繊維に撥水加工を施し 用いることもできる。撥水加工剤は、公知 加工剤から任意に選定することができる。 体的にはフッ素系、シリコン系の撥水加工 等を挙げることができる。

 絶縁繊維は、マルチフィラメント、モノフ ラメント、または紡績糸を用いることがで る。マルチフィラメントは、被覆性が良く 毛羽も発生しにくく好ましい。
 絶縁繊維は、伸縮伝送ケーブルの用途や想 される使用条件に合わせて、公知の絶縁性 維から任意に選ぶことができる。絶縁繊維 生糸のままでも良いが、意匠性や劣化防止 観点から原着糸や先染め糸を用いることも きる。仕上げ加工により、柔軟性や摩擦性 向上を図ることもできる。さらに、難燃加 、撥油加工、防汚加工、抗菌加工、制菌加 および消臭加工など、公知の繊維の加工を すことにより、実用時の取り扱い性を向上 せることもできる。

 耐熱性と耐磨耗性を両立させる絶縁繊維 しては、アラミド繊維、ポリスルホン繊維 よびフッ素繊維が挙げられる。耐火性の観 からは、ガラス繊維、耐炎化アクリル繊維 フッ素繊維およびサラン繊維が挙げられる 耐磨耗性や強度の観点からは、高強力ポリ チレン繊維およびポリケトン繊維が付加さ る。コストと耐熱性の観点からは、ポリエ テル繊維、ナイロン繊維およびアクリル繊 がある。これらに、難燃性を付与した難燃 リエステル繊維、難燃ナイロン繊維および 燃アクリル繊維(モダクリル繊維)なども好 である。摩擦熱による局部的な劣化に対し は、非溶融繊維を用いることが好ましい。 の例としては、アラミド繊維、ポリスルホ 繊維、コットン、レーヨン、キュプラ、ウ ル、絹およびアクリル繊維を挙げることが きる。強度を重視する場合は、高強力ポリ チレン繊維、アラミド繊維およびポリフェ レンサルファイド繊維が挙げられる。摩擦 を重視する場合は、フッ素繊維、ナイロン 維およびポリエステル繊維が挙げられる。

 意匠性を重視する場合は、発色の良いアク ル繊維を用いることもできる。
 さらに、人との接触による触感を重視する 合は、キュプラ、アセテート、コットンお びレーヨンなどのセルロース系繊維や、絹 たは繊度の細い合成繊維を用いることがで る。

 弾性樹脂による被覆、または、ゴムチュー による被覆は、液体が内部に侵入する危険 のある用途に好ましく用いられる。
 弾性樹脂は、様々な弾性の絶縁樹脂から任 に選ぶことができ、伸縮伝送ケーブルの用 及び同時に使用する他の絶縁繊維との相性 考慮しながら、選定することができる。
 考慮すべき性能として、伝送性、伸縮性、 磨耗性、耐熱性および耐薬品性などが挙げ れる。
 伝送性に優れるものとしては、誘電率の低 弾性樹脂が好ましい。代表例としてはフッ 系またはオレフィン系の弾性樹脂が挙げら る。
 伸縮性に優れるものとしては、所謂天然ゴ 系の弾性樹脂、スチレンブタジエン系の弾 樹脂が挙げられる。
 耐磨耗性、耐熱性、耐薬品性に優れるもの しては合成ゴム系弾性体が挙げられ、フッ 系ゴム、シリコーン系ゴム、エチレン・プ ピレン系ゴム、クロロプレン系ゴムおよび チル系ゴムが好ましい。
 絶縁体からなる外部被覆層は、絶縁繊維に り編組されたものと弾性樹脂とを組み合わ ることもできる。伸縮伝送ケーブルは小さ 力で伸縮させることを望むケースが多いが 弾性樹脂のみでの被覆の場合は、弾性樹脂 厚みが厚くなる傾向があり、伸縮させる力 大きくなりやすい。このような場合は、厚 の薄い弾性樹脂と、絶縁繊維による編組を み合わせることで、被覆性と伸縮性を両立 せることができる。

 本発明の伸縮性信号伝送ケーブルは、シ ルドされていても良い。シールドの方法は 電気伝導性のある有機繊維または、電気伝 性の良い金属細線により編み組すること、 気伝導性の良いテープ状物(例えばアルミ箔 )を捲回することなどにより得ることができ 。

 弾性円筒体の周囲に導体線を並列に捲回 た後、絶縁繊維により、絶縁層を構成し、 の外周にシールド層を形成する。シールド は電気伝導性のある有機繊維又は電気伝導 の良い金属細線又はその組み合わせで編み することにより得ることができる。シール 層を保護する目的から、シールド層の外層 絶縁体による外部被覆層を形成ことが好ま い。

 電気伝導性のある有機繊維とは、比抵抗1 ω・cm以下のものを言う。例えばメッキ繊維 、導電性フィラーを充填した繊維が上げら る。より具体的には銀メッキ繊維などが挙 られる。

 本発明の伸縮性信号伝送ケーブルは、伸 限界までの任意の伸張において250MHzの伝送 スが10dB以下であることが好ましい。さらに 、好ましくは、伸張時と弛緩時の250MHzにおけ る伝送ロスの最大値-最小値が2dB以下である この範囲を超えると、伸縮により、信号伝 が乱れ、信号伝送ができなくなるなどのト ブルが発生する。特に好ましくは、伸張限 までの任意の伸張において500MHzの伝送ロス 10dB以下である。高速の信号伝送において用 られる矩形波は、高調波を合成して成され 。高い周波数領域での伝送ロスが少ないケ ブルは高調波を含めて伝送することができ 高速の情報伝送に優れる。

 本発明の伸縮性信号伝送ケーブルは信号ラ ンとして用いる導体線の特性インピーダン が20ω~500ωであることが好ましい。さらに好 ましくは50~300ωである。
 特性インピーダンスは、接続される様々な 子機器とのインピーダンスマッチングの観 から重要で、この範囲を逸脱すると、電子 器と接続した場合の実用上の伝送性が低下 る。使用される電子部品に応じて特性イン ーダンスを調整することが好ましい。
 特性インピーダンスは、高周波域では、イ ダクタンスとキャパシタンスが支配する。 れらは、捲回径、捲回ピッチ、導体線間隔 に大きく依存する。同一方向に捲回するこ で、伸縮によるインダクタンスの変化とキ パシタンスの変化が相殺される効果があり 伝送性を維持することができる。

 本発明の伸縮性信号伝送ケーブルは、2本の 導体線のTDR法による差動特性インピーダンス が20~500ωであることが好ましい。さらに好ま くは50ω~300ωの範囲である。特に好ましくは 100~200ωである。この範囲以外の場合、信号の 入出力双方で反射が起こり、伝送性が低下す る。
 差動信号は、対をなして信号が伝送される め、対をなす一組の導体線は所謂平衡であ ことが好ましい。ここで言う平衡とは、対 なす導体線が同じ構造で電磁気的にも平衡 た電圧がかかるようになっている状態をい 。このため、対をなす導体線と他の導体線 捲回する場合、他の導体線が奇数本の場合 、対をなす1組の導体線の間に他の導体線1 を配置し、対をなす導体線の両側に残りの 体線を等しく配置することが好ましい。他 導体線が偶数本の場合は、対をなす導体線 両側に他の導体線を等しく配置することが ましい。対をなす導体線の間に他の導体線 存在すると、差動信号の電磁結合が遮断さ 伝送性が低下することがある。

 差動信号を流す1組の導体線の外側に他の導 体線(好ましくはグランドライン)を配置する とが好ましい。他の導体線は、シグナルラ ンから放射される電波や外部から飛来する 波に対して、遮蔽する効果がある。
 一方シングルモードの伝送において、複数 シグナルラインを用いる場合は、シグナル インの間に、他の導体線(好ましくはグラン ドライン)を配置することが好ましい。近接 るグランドラインには所謂シールド効果が り、クロストークを低減すると共に、放射 波や入射電波を遮蔽する効果もある。
 シグナルラインと他の導体線の位置関係が 縮により変化すると伝送性が低下する。こ ため全ての導体線が同一方向に捲回される とが必須である。

 本発明の伸縮性信号伝送ケーブルは、伸 回復率の高いものが好ましい。20%伸張後の 復率(20%伸張回復率)は50%以上が好ましい。20 %伸張した後に50%以上回復しないものは、形 変形追随性が乏しい。20%伸張した後、70%以 回復するものがさらに好ましい。特に好ま くは30%伸張後に70%以上回復するものである 最も好ましくは40%以上伸張した後に70%以上 復するものである。

 本発明の伸縮性信号伝送ケーブルは、容 に伸張するものが好ましい。20%伸張荷重は5 000cN未満が好ましい。さらに好ましくは2000cN 下、より好ましくは1000cN以下である。5000cN 上のものは、伸張させるために大きな負荷 必要となり好ましくない。

 本発明の伸縮性信号伝送ケーブルは、使 時の所定伸張を、1万回以上好ましくは10万 以上、さらに好ましくは50万回以上繰り返 ても断線せず、伝送性が低下しないものが ましい。本発明は、耐繰り返し性に優れ、 用に適した伸縮伝送ケーブルを提供するも である。

 本発明の伸縮性信号伝送ケーブルは、弾 円筒体を伸張する機能と、その周囲に複数 導体線を並列に捲回する機能と、導体線の 回方向と逆方向に絶縁性糸状体を捲回する 能を有する装置により、伸張した状態の弾 円筒体に2本以上の導体線を並列に捲回し、 導体線と反対方向に絶縁性糸状体を導体線の 外側に捲回することによって得ることができ る。

 より好ましくは、導体線の捲回方向と逆方 に絶縁性糸状体を捲回する機能を、絶縁性 状体を導体線の内側(弾性円筒体側)と外側 交互に通って捲回できる機能とし、2本以上 導体線を並列に捲回し、かつ、導体線と反 方向に1本または複数本の導体線の内側と外 側を交互に通って絶縁性糸状体を捲回し、導 体線を拘束する構造とすることである。
 上記機能を有する装置であれば、用いる装 は特に限定されない。

 上記機能を有する装置が備える主たる機構 次の通りである。
 (1)弾性円筒体を供給する機構。
 (2)弾性円筒体を把持し、一定速度でフィー する機構(好ましくはニップせずに把持して 一定速度でフィードする機構、例えば複数の V溝を有する2連のロールのV溝に8の字掛けに わせて把持し、フィードする機構)。
 (3)弾性円筒体を把持し、一定速度で巻き取 機構(好ましくはニップせずに把持して一定 速度で巻き取る機構、例えば複数のV溝を有 る2連のロールのV溝に8の字掛けに沿わせて 持し、巻き取る機構か、または、V溝を持っ 直径の大きなドラムのV溝に複数回巻き付け て巻き取る機構)。

 (4)弾性円筒体を伸張した状態で、導体線 たは導体線と絶縁性糸状体とを弾性円筒体 並列に捲回する機構(例えば導体線または絶 縁性糸状体を巻いたボビンを把持された弾性 円筒体の周囲を旋回させる機構、把持された 弾性円筒体を回転させて導体線または絶縁性 糸状体を弾性円筒体の周囲に捲回する機構、 または、導体線または絶縁性糸状体を巻いた 複数の中空ボビンを直列に配置し、弾性円筒 体を中空ボビンの中空部を通過させつつ、中 空ボビンを回転させて導体線を弾性円筒体に 捲回させる機構)。

 (5)弾性円筒体を伸張した状態で、絶縁性 状体を導体線の捲回方向と逆方向に弾性円 体に並列に捲回する機構、特に好ましくは 弾性円筒体を伸張した状態で、導体線の捲 方向と逆方向に導体線の内側と外側を交互 通って絶縁性糸状体を捲回する機構(例えば 、導体線を巻いた1本以上のボビンと絶縁性 状体を巻いた1本以上のボビンが、前後また 上下に移動し、相互に逆方向に弾性円筒体 回りを旋回する機構)。

 以下に、本発明を実施例および比較例に基 き詳細に説明するが、本発明はこれらの実 例にのみ限定されるものではない。
 本発明で用いた評価方法は以下の通りであ 。

 (1)伸縮性
 伸縮性信号伝送ケーブルに20cm間隔で印をつ ける。その外側を手で持ち、印の位置が22cm なるまで引き伸ばしたのち、弛緩して長さ 測定する。下記基準で区別し、22cmまで引き ばすことができ、かつ弛緩後21cm未満に回復 したもの(A)を10%以上の伸縮性があると判断し た。
 A:22cmまで伸張させることができ、弛緩させ と21cm未満に回復したもの。
 B:22cmまで伸張させることができないか、ま は、22cmまで伸張させることができたが、弛 緩しても21cm未満に回復しないもの。

 (2)同一方向性
 導体線を捲回する方向によって、下記基準 より区別した。
  A:導体線の捲回方向が1方向のもの。
  B:導体線の捲回方向が2方向のもの。
 (3)並列性
 導体線を捲回した状態で、目視により100cm 長さを観察し、導体線同志が重なる部分の 無により、下記基準で判定した。
  A:重なる部分が全く無い。
  B:重なる部分があるが、クロスしている部 分はない。
  C:クロスして重なる部分がある。

 (4)捲回径
 導体線捲回後、弛緩状態で、ノギスにより3 箇所の捲回外径を測定し、その平均値を求め L1とした。また、導体線の外径をノギスによ 3箇所測定し平均値を求めL2とし、次式によ 捲回径を求めた。
          捲回径=L1-L2
 (5)ピッチ間隔
 同一導体線の任意の30ピッチの距離を測定 、その平均値をピッチ間隔とした。

 (6)近接導体線間隔
 近接する導体線の中心間距離を任意に30箇 測定し、その平均値を近接導体線間隔(d)と た。最大値-最小値をばらつき(r)とした。
 (7)20%伸張荷重
 標準状態(温度20℃、相対湿度65%)に試料を2 間以上静置したのち、標準状態下でテンシ ン万能試験機((株)エーアンドディ社製)を用 、長さ100mmの試料を引張り速度100mm/minで引 り、20%伸張時の荷重を求めた。

 (8)伸張回復性
 長さ100mmの試料をテンシロン測定機にて引 り速度100mm/minで引張り、所定伸張率で伸張 リターンし、応力がゼロになる距離(Amm:伸張 ゼロ位置から当該位置までの距離)を求め次 により回復率を求めた。回復性は下記基準 より判定した。
          回復率(%)=((100-A)/100)×100
  A:回復率≧70%
  B:70%>回復率≧50%
  C:50%>回復率

 (9)繰り返し伸張試験
 デマッチャー試験機((株)大栄科学精機製作 製)を用い、図5に示したように、チャック (21)およびチャック部(22)を試料(20)の長さ20cm セットし、その中間に直径1.27cmのステンレ 棒(23)を配置する。チャック部(22)の可動位 を試料の伸張時である30cmに設定し、室温で 初期伸張11%および引っ張り時伸張59%で100回/ minで所定回伸縮を繰り返し、繰り返し伸張試 験を行う。
 繰り返し伸張試験の前後で試料の全ての導 線の電気抵抗を測定し、最も変化の大きい 体線につき、次式により繰り返し伸張試験 後での電気抵抗の変化率(δR)を求める。
      δR=100×(R2-R1)/R1
   (但し、R1:試験前の電気抵抗、R2:試験後 電気抵抗)
 電気抵抗の変化率(δR)に基づいて、下記基 により、耐断線性を判定した。
     AA:50万回後のδR<1%
     A:10万回後のδR<1%
     B:1%≦10万回後のδR<20%
     C:20%≦10万回後のδR<∞
     D:10万回で断線(10万回後のδRが無限大)

 (10)伝送ロス
 測定装置:Lightwave Component Analyzer(Hewlett Packa rd 8703A)
 測定方法:弛緩状態で1mのケーブルを採取し 端の、シグナルラインとシグナルラインに 接する導体線の先端を約5mm引き出し、先端 3mmをハンダ浴に浸漬し細線間の導通を高め 後、各々SMA(Sub-Miniature-type-A)コネクターのシ グナル端子とグランド端子にハンダ付けをし 、上記装置に接続して、Sパラメータ測定を い、130MHz~1000MHzのS21(S21:透過係数=透過波/入 波;単位はdB)を測定し、得られたチャートか 所定の周波数の値を読み取り、その絶対値 伝送ロスとした。

 (11)特性インピーダンス(TDR(time domain reflecto metry)法による)
 測定装置:Digital Oscillocope (Hewlett-Packard 54750 A )/ Differential TDR module (Agilent 54754A)
 測定方法:上記測定装置に1mの50ω同軸ケーブ ルを接続し、その先端に、上記伝送ロス測定 (10)で得た、両端にSMAコネクターが接続され ケーブルの一端を接続し、他端(終端)をオー プンとし、TDR法により最大20ns(ナノ秒)の間の 特性インピーダンス(単位ω)を測定し、その ャートからコネクター部分及び終端部分の を除き、最小値および最大値を読み取った

 (12)差動特性インピーダンス(TDR法による)
 測定装置:Digital Oscillocope (Hewlett-Packard 54750 A )/ Differential TDR module (Agilent 54754A)
 測定方法:弛緩状態で1mのケーブルを採取し その一端の全ての導体線の先端を約5mm引き し、先端約3mmをハンダ浴に浸漬し細線間の 通を高めた後、差動信号を送るシグナルラ ン2本を2個のSMAコネクターのシグナル端子 ハンダ付けを行い、その他の導体線をまと て、あらかじめ接合されたグランド端子に ンダ付けをした(図6参照)。このコネクター 、各々50ω同軸ケーブル(1m)を接続し、当該同 軸ケーブルを上記装置の2つのポートに接続 、他端(終端)をオープンとし、TDR法により最 大20ns(ナノ秒)の間の差動特性インピーダンス 測定を行なった。得られたチャートからコネ クター部分及び終端部分の値を除き、最小値 および最大値を読み取った。

 (13)USBデバイス動作テスト
 測定方法:弛緩状態で1mのケーブルを採取し 端の導体線の先端を約5mm引き出し、先端約3 mmをハンダ浴に浸漬し細線間の導通を高めた 、各々USBコネクター(Aタイプ オス)の端子 置2および3にシグナルライン(特に断らない り、隣接する2本の導体線)、端子位置1およ 4に他の2本の導体線をそれぞれハンダ付けし 、接合部分を絶縁性ビニールテープで被覆し 、USBコネクター(Aタイプ オス)を両端に接続 たケーブルを得た。当該ケーブルの一端を 30万画素WEBカメラ(WCU204SV Arvel社製)付属のソ フトウエアーをあらかじめインストールし、 当該WEBカメラを直接パーソナルコンピュータ に接続し、動作することを確認しておいたパ ーソナルコンピュータ(Dynabook Satelitet12 PST101 MD4H41LX 株式会社東芝製)のUSBポートに差込み 他端にUSB変換アダプター(Aタイプメス→Aタ プメス( アイネックス(株)社製ADV-104))を差 み、当該アダプターに、30万画素WEBカメラ(WC U204SV Arvel社製)のUSBコネクターを差込み、作 を調べ、下記基準で判定した。
  A:動作して、動画の動きがスムーズ。
  B:動作するが動画の動きが不安定。
  C:動作しない。

 (14)電気抵抗
 弛緩状態において、長さ1mの試料を切り取 、その両端の導体線の先端を約5mm引き出し 先端約3mmをハンダ浴に浸漬し細線間の導通 高めた後、ミリオームハイテスター3540(日置 電機(株))により電気抵抗を測定した。
 (15)耐水性
 上記(13)のUSBデバイス動作テストにおいて、 下記基準により判定した。
  A:ケーブル中央部50cmを水中に30分以上浸漬 した状態下でUSBデバイスが動作する。
  B:ケーブル中央部に20mlの水をかけてもUSB バイスが正常に動作するが、水中に30分以上 浸漬するとUSBデバイスが動作しなくなる。
  C:ケーブルにスポイトで1滴水を垂らして USBデバイスが正常に作動するが、20mlの水を けるとデバイスが動作しなくなる。
  D:ケーブルにスポイトで1滴の水を垂らし だけで、USBデバイスが動作しなくなる。

 (実施例1および2)
 940dtexのポリウレタン弾性長繊維(旭化成せ い(株)製、商品名:ロイカ)を芯にして、伸張 率を4.2倍下で、230dtexのウーリーナイロン( 染め糸)を700T/Mの下撚りおよび500T/Mの上撚り 捲回し、ダブルカバー糸を得た。得られた ブルカバー糸を製紐用ボビンに巻き取り、 該ボビン4本を、8本打ち製紐機((有)桜井鉄 製)のS方向に2本、Z方向に2本、均等に配置し て組み紐を作製し、直径1.8mmの弾性円筒体を た。当該弾性円筒体を、特殊製紐機((1)弾性 円筒体を芯部として供給する機構、(2)弾性円 筒体を、複数のV溝を有する2連のロールのV溝 に8の字掛けに沿わせて把持し、フィードす 機構、(3)弾性円筒体を、複数のV溝を有する2 連のロールのV溝に8の字掛けに沿わせて把持 、巻き取る機構、(4)弾性円筒体を伸張した 態で、導体線を弾性円筒体に並列に捲回す 機構、および(5)弾性円筒体を伸張した状態 、導体線の捲回方向と逆方向に導体線の内 と外側を交互に通って絶縁性糸状体を捲回 る機構を備えた製紐機)により、2.2倍に伸張 しながら、弾性円筒体に所定の導体線((有)竜 野電線社製2USTC:30μ*48本および30μ*90本)4本をZ 向に並列に等間隔で捲回し、ポリエステル 維(56dtex(12f))4本をS方向に導体線の内側と外 を交互に通して並列に等間隔で捲回して本 明の伸縮性信号伝送ケーブルを得た。
 得られた伸縮性信号伝送ケーブルの構成お び評価結果を表1に示す。

 (実施例3および4)
 天然ゴムのNo.18角ゴム(丸栄日産株式会社製) を芯にして、4倍伸張下で、ウーリーナイロ (230dtex(黒染め糸)*3本引き揃え)を用いて、16 打ち製紐機にて外部被覆を行い、直径が2.5mm の弾性円筒体を得た。得られた弾性円筒体を 用いたことを除いて、実施例1および2と同様 して本発明の伸縮性信号伝送ケーブルを作 した。得られた伸縮性信号伝送ケーブルの 成および評価結果を表1に併せて示す。

 (実施例5)
 市販ゴム紐(自転車荷造り用:直径6mm)を弾性 筒体として用い、当該弾性円筒体を芯部に て、当該芯部を1.4倍に伸張しながら導体線( (有)竜野電線製2USTC:30μ*90本)4本をZ方向に並列 に等間隔で捲回し、本発明の伸縮性信号伝送 ケーブルを得た。得られた伸縮性信号伝送ケ ーブルの構成および評価結果を表1に併せて す。

 (実施例6)
 ダブルカバーリングマシーン(片岡機械工業 株式会社製型番SSC)を用いて、実施例3で得ら た弾性円筒体を芯にして、当該芯部を3倍に 伸張しつつ、導体線((有)竜野電線製2USTC:30μ*9 0本)を下撚りZ方向133T/M、上撚りZ方向125T/Mで ブルカバーし、伸縮性信号伝送ケーブルの 間体を得た。さらに、当該中間体を芯にし 、特殊ダブルカバーリングマシーン(有限会 カタオカテクノ社製型式SP-D-400:(1)弾性円筒 を芯部として供給する機構、(2)弾性円筒体 、複数のV溝を有するロールのV溝に沿わせ 把持し、フィードする機構、(3)弾性円筒体 、複数のV溝を有するロールのV溝に沿わせて 把持し、巻き取る機構、(4)弾性円筒体を伸張 した状態で、導体線を弾性円筒体に並列に捲 回する機構、および(5)弾性円筒体を伸張した 状態で、導体線の捲回方向と逆方向に導体線 の外側に絶縁性糸状体を捲回する機構を備え る)を用いて、当該芯部を2.9倍に伸張しつつ 導体線((有)竜野電線製2USTC:30μ*90本)を下撚り Z方向120T/M、上撚りZ方向110T/Mでダブルカバー 、4本の導体線をZ方向に捲回した本発明の 縮性信号伝送ケーブルを得た。得られた伸 性信号伝送ケーブルの構成および評価結果 表1に併せて示す。

 (比較例1)
 市販USBケーブル(Elecom USB2-20)の中央部を1m切 り出し、両端の外部被覆を1cmの長さで剥がし 、4本の導体線を露出させた。4本の中から、 イストされている2本(緑と白)をシグナルラ ンとし、他の2本(赤と黒)を電源ライン及び ランドラインとして実施例1~6と同様の評価 行った。得られた評価結果を表1に併せて示 す。
 表1から、本発明の伸縮伝送ケーブルは、伸 縮性があり、高速の信号伝送性ができる画期 的な信号伝送ケーブルであることがわかる。

 (実施例7および8)
 実施例1に記載の特殊製紐機を用いて、実施 例3および4で得られた伸縮性信号伝送ケーブ を芯部として、1.8倍伸張下で、ウーリーナ ロン(230dtex*2本引き揃え)をS方向に8本、Z方 に8本捲回し、絶縁繊維による外部被覆層を する伸縮性信号伝送ケーブルを得た。得ら た伸縮性信号伝送ケーブルの構成および評 結果を表2に示す。

 (実施例9)
 導体線((有)竜野電線製2USTC:30μ*90本)を4本引 揃えて1つのボビンに巻き取った。当該ボビ ンを実施例6で用いた特殊ダブルカバーリン マシーン(有限会社カタオカテクノ社製型式S P-D-400)の下段に前記ボビンをセットした。実 例3で得られた弾性円筒体を芯部として、当 該特殊カバーリングマシーンを用いて、当該 芯部を3倍に伸張しながら、1つのボビンに巻 取られた4本の導体線をZ方向133T/Mでカバー ングした。さらに、実施例7と同様にして外 被覆層を形成し、本発明の伸縮性信号伝送 ーブルを得た。
 得られた伸縮性信号伝送ケーブルの構成お び評価結果を表2に併せて示す。

 (実施例10)
 実施例9と同様にして、導体線を捲回し、引 き続いてS方向にポリエステル繊維(167dtex(48f)) を210T/Mで捲回し、導体線を拘束した。さらに 、実施例7と同様にして外部被覆層を形成し 本発明の伸縮性信号伝送ケーブルを得た。 られた伸縮性信号伝送ケーブルの構成およ 評価結果を表2に併せて示す。

 (実施例11)
 実施例1と同様にして得られた弾性円筒体を 芯部とし、当該芯部を、2.2倍に伸張しながら 、導体線((有)竜野電線製2USTC:30μ*90本)4本の各 々の間に、ウーリーナイロン690dtex(230dtex*3本 き揃え)4本を配置し、Z方向に並列に捲回し S方向にポリエステル繊維(56dt(12f))8本を交差 させながら捲回して外部被覆前伸縮性信号伝 送ケーブルを得た。当該ケーブルを1.8倍伸長 下で、実施例1記載の特殊製紐機にてエステ ウーリー(330dtex*2本引き揃え)をS方向に8本、Z 方向に8本交互に捲回し、外部被覆層を形成 、本発明の伸縮性信号伝送ケーブルを得た 得られた伸縮性信号伝送ケーブルの構成お び評価結果を表2に併せて示す。

 (比較例2)
 実施例3で得られた弾性円筒体を芯部にして 、実施例6記載のダブルカバーリングマシー を用いて、当該芯部を3倍に伸張しながら、 体線((有)竜野電線製2USTC:30μ*90本)を下撚りZ 向133T/M、上撚りS方向125T/Mでダブルカバーし 、信号伝送ケーブルを得た。さらに、当信号 伝送ケーブルを芯にして、当該芯部を2.9倍に 伸張しながら、導体線((有)竜野電線製2USTC:30 *90本)を下撚りZ方向133T/M、上撚りS方向125T/M ダブルカバーし、4本の導体線をS撚り2本とZ り2本の2方向に捲回した伸縮性信号伝送ケ ブルを得た。得られた伸縮性信号伝送ケー ルの構成および評価結果を表2に併せて示す

 (比較例3)
 1870dtexのポリウレタン弾性長繊維(旭化成せ い(株)製、商品名:ロイカ)2本を引き揃えて 部にし、ダブルカバーリングマシーン(片岡 械工業株式会社製型番SSC)を用いて、当該芯 部を3倍に伸張しながら、導体線((有)竜野電 製2USTC:30μ*24本)を下撚りZ方向426T/M、上撚りS 向370T/Mでダブルカバーし、伸縮性導体線を た。実施例1に記載の特殊製紐機を用い、当 該伸縮性導体線4本を芯部にし、1.8倍伸張下 ウーリーナイロン(230dtex*2本引き揃え)をS方 に8本、Z方向に8本捲回し、外部被覆層を形 し、4本の導体線を含む伸縮性信号伝送ケー ルを得た。得られた伸縮性信号伝送ケーブ の構成および評価結果を表2に併せて示す。 なお、この伸縮性信号伝送ケーブルは、各伸 縮性導体線のS/Zに捲回された2本の導体線を1 に纏めて結線して使用した。
 表2より、導体線と逆方向に絶縁性糸状体を 捲回することで繰り返し耐久性が向上し、よ り好ましくは、導体線の内側と外側を交互に 通って絶縁性糸状体を捲回しているものであ ることがわかる。また導体線間に他の絶縁繊 維糸状体(空気を含む介在物)を介在させるこ で、伸張による導体線間隔のばらつきを低 おさえることができ、繰り返し伸縮による 久性を向上させることができることがわか 。

 実施例3、5および6の伸縮性信号伝送ケーブ を1m採取し、30%伸張し、導体線間隔を測定 た。続いて当該ケーブルの中に含まれるシ ナルラインと、シグナルラインに隣接する2 の導体線をSMAコネクターに接続し、中央部 50cmを30%(15cm)伸張し固定し、伸張時の伝送特 性を調べた。また、差動特性インピーダンス 測定用コネクター(図6)の2箇所のシグナル端 に、当該ケーブルの中に含まれる2本のシグ ルラインを接続し、残りの2本をまとめてグ ランド端子に接続し、弛緩状態で、差動特性 インピーダンスを測定した。これらの結果を 表3に示した。
 この結果より本発明の伸縮伝送ケーブルは 張により、導体線間隔がほとんど変化しな ことがわかる。さらに、特性インピーダン の変化も小さく、伝送ロスの変化も2dB未満 あることがわかる。

 (実施例12)
 実施例3で得られた伸縮性信号伝送ケーブル を合成ゴム熱収縮性ゴムチューブNPR1241-01(ア ム(株)製)の中に挿入し、120℃下で10分間熱 理をして外部被覆層を形成し、伸縮性信号 送ケーブルを得た。

 (実施例13)
 実施例7で得られた伸縮性信号伝送ケーブル を、AG7000(明成化学(株)社製)5%およびイソプロ パノール1%を含有する水溶液中に室温下で5分 間浸漬した後、濾紙上に置き30秒間脱液し、 の後80℃乾燥機中で30分間乾燥した。引き続 き、あらかじめ160℃に設定した乾燥機中で2 間熱処理を行った。乾燥機から取り出し、 温で放冷し、外部被覆層が撥水処理された 縮性信号伝送ケーブルを得た。

 実施例7、12および13で得られた伸縮性信号 送ケーブルを用い耐水試験を行い、その評 結果を表4に示した。ゴムチューブ被覆によ 、耐水性が著しく向上することがわかる。 た、撥水処理により、簡易防水の効果を得 ことができることがわかる。

 本発明の伸縮性信号伝送ケーブルは、ロ ット分野をはじめとして、身体装着機器お び衣服装着機器等の曲げ伸ばしなどの屈曲 を有する装置の信号配線として好適であり 特にヒューマノイド型ロボット(内部配線及 び外皮配線)、パワーアシスト装置およびウ アラブル電子機器等に好適である。その他 各種ロボット(産業用ロボット、家庭用ロボ ト、ホビーロボット等)、リハビリ用補助具 、バイタルデータ測定機器、モーションキャ プチャー、電子機器付き防護服、ゲーム用コ ントローラー(人体装着型を含む)およびマイ ロヘッドフォン等の分野に好適に利用でき 。