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Patent Searching and Data


Title:
GREASE FOR HIGH-SPEED BEARING
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/139371
Kind Code:
A1
Abstract:
A grease for a high-speed bearing which can sufficiently accommodate high-speed rotation with a dmN value of 1,700,000 or above and which enables compactification of machine tools and operating cost reduction, more specifically, a grease for high-speed bearings which comprises both a urea grease containing a urea compound as the thickening agent and a non-urea grease containing a composite amide lithium soap having an amide linkage in the molecule as the thickening agent, wherein the urea compound is a compound prepared by reacting a polyisocyanate component with a monoamine component, with the monoamine component containing an aliphatic monoamine in an amount of 46% by mole or above of the whole monoamine component.

Inventors:
KAWAMURA TAKAYUKI
SAITA OSAMU
Application Number:
PCT/JP2009/058818
Publication Date:
November 19, 2009
Filing Date:
May 12, 2009
Export Citation:
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Assignee:
NTN TOYO BEARING CO LTD (JP)
KYODO YUSHI (JP)
KAWAMURA TAKAYUKI
SAITA OSAMU
International Classes:
C10M123/02; C10M169/00; F16C33/66; C10M105/18; C10M105/32; C10M107/02; C10M115/08; C10M117/02; C10M135/18; C10M137/10; C10M139/00; C10N10/00; C10N10/02; C10N10/12; C10N20/02; C10N30/00; C10N30/06; C10N40/02; C10N50/10
Foreign References:
JP2003193081A2003-07-09
JP2005054007A2005-03-03
JPS61185599A1986-08-19
JPS63108098A1988-05-12
JPH0218497A1990-01-22
Other References:
MICHIO HOSHINO ET AL.: "Tribology Sosho 8 Junkatsu Grease to Gosei Junkatsuyu", SAIWAI SHOBO, 25 December 1983 (1983-12-25), pages 31 - 37
Attorney, Agent or Firm:
WAKI, MISAO (JP)
Wake 操 (JP)
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Claims:
 ウレア系化合物を増ちょう剤とするウレアグリースに、分子内にアミド結合を有する複合アミドリチウム石けんを増ちょう剤とする非ウレアグリースを配合してなる高速軸受用グリースであって、
 前記ウレア系化合物は、ポリイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応して得られ、前記モノアミン成分が脂肪族モノアミンをモノアミン全体に対して 46 モル%以上含有するモノアミン成分であることを特徴とする高速軸受用グリース。
 前記非ウレアグリースは、前記グリース全体に対する配合割合が 10~80 重量%であることを特徴とする請求項1記載の高速軸受用グリース。
 前記複合アミドリチウム石けんは、前記非ウレアグリース全体に対する配合割合が 3~40 重量%であることを特徴とする請求項1記載の高速軸受用グリース。
 前記ウレアグリースおよび前記非ウレアグリースに用いる基油は、40℃における動粘度が 10~40 mm 2 /sec であることを特徴とする請求項1記載の高速軸受用グリース。
 前記ウレアグリースおよび前記非ウレアグリースに用いる基油は、合成炭化水素油、エステル油およびアルキルジフェニルエーテル油から選ばれた少なくとも1つの油であることを特徴とする請求項1記載の高速軸受用グリース。
 前記高速軸受用グリースは、添加剤として有機モリブデン化合物および有機亜鉛化合物から選ばれる少なくとも一つを添加したことを特徴とする請求項1記載の高速軸受用グリース。
 前記ポリイソシアネート成分は、芳香族ジイソシアネートであることを特徴とする請求項1記載の高速軸受用グリース。
 前記芳香族ジイソシアネートは、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートであることを特徴とする請求項7記載の高速軸受用グリース。
 前記脂肪族モノアミンは、オクチルアミンであることを特徴とする請求項1記載の高速軸受用グリース。
 前記分子内にアミド結合を有する複合アミドリチウム石けんは、Nアルキル置換モノアミド酸のリチウム塩であることを特徴とする請求項1記載の高速軸受用グリース。
 前記Nアルキル置換モノアミド酸のリチウム塩は、下記式(1)に示すものであることを特徴とする請求項10記載の高速軸受用グリース。
Description:
高速軸受用グリース

 この発明は、工作機械主軸(スピンドル) どの高速回転軸を支持する転がり軸受に用 られる高速軸受用グリースに関する。

 工作機械の主軸は、加工能率を上げるた に高速で回転するものが好ましく、その軸 には種々の潤滑技術が適用されている。高 回転する主軸に適した潤滑方法としては、 えば、オイルミスト潤滑、エアオイル潤滑 ジェット潤滑などの方法が知られている。 かし、このような潤滑方法は、圧縮空気や 油装置などの付帯設備が必要なものであり 工作機械のイニシャルコストおよびランニ グコストを高める原因の一つである。これ に対してグリース潤滑は、メンテナンスの 要が少なくて好ましい潤滑方法であるとい る。例えば、2000~8000 rpm またはそれ以上の 高速で回転する回転軸を支持する高速転がり 軸受としては、工作機械主軸(スピンドル)な を支持するアンギュラ玉軸受や円筒ころ軸 などが挙げられる。

 図2に示すようにアンギュラ玉軸受11は、 ジアル荷重のほかに一方向からのアキシア 荷重を負荷することができるものであり、 球14と内輪12および外輪13との接触点を結ぶ 線がラジアル方向に対して角度(接触角)αを もっている。内輪12と外輪13と鋼球14とで形成 される軸受空間に、グリースが封入されてい る。このようなアンギュラ玉軸受や、円筒こ ろ軸受などからなる高速転がり軸受に使用さ れる潤滑剤としては、給油などのメンテナン スが必要でなく、周囲の環境を汚染しないち ょう度に調整された潤滑グリースを採用する ことが好ましい。

 以下に、スピンドル用転がり軸受などの高 軸受用グリースに要求される潤滑特性と問 点をまとめて示す。
 (a)長寿命性転がり軸受の潤滑寿命を可及的 延長するためには、以下の(i) ~(iii) に説明 するように、転がり軸受から潤滑剤(グリー またはその基油)が漏れにくいこと、グリー の耐熱性に優れること、潤滑に必要な油膜 さを形成できることが必要である。

 (i) 転がり軸受を高速運転するとき、遠 力によって転がり軸受内のグリースまたは リースが軸受外部へ流出するか、またはグ ース中の基油が分離流出して、潤滑への寄 が大きい転走面近傍に留まり難く、潤滑不 になりやすい。そのような事態を防止する めに、シールド板などのシール部材を転が 軸受に装着する対応がなされるが、軸受の 造によっては装着できない場合があり、ま シール部材を装着しても潤滑剤や潤滑油を 全に密封できない場合もある。

 高速運転されない転がり軸受の場合、転 体や保持器の運動により摩擦部分から押し されてしまう余分なグリースは、回転条件 よっては軸受内部をある程度還流して再び 滑に寄与することが考えられる。しかし、 速で回転する工作機械などの回転軸支持用 がり軸受では、軸受内部に発生する風圧が の還流を妨げるため潤滑不良を起こしやす なる。このため、高速で回転する転がり軸 では、僅かな量のグリースしか潤滑に寄与 ておらず、グリースの性状は特に重要とな 。また、高速軸受用グリースは、少量のグ ースでも潤滑性能を維持する必要がある。

 (ii) 運転条件が高速化すると軸受の転が 面は局部的に発熱して高温度になり、この き耐熱性の乏しいグリースは熱劣化し、グ ースの寿命は著しく縮まる。このような問 に対しては、耐熱性のある増ちょう剤や基 を使用したり、酸化防止剤を添加したりす 試みがなされた。しかし、これらの試みは 耐久性の十分な向上には至らなかった。

 (iii) 潤滑性(油膜厚さ)を向上させた従来 グリースは、基油粘度を高くすると剪断摩 抵抗が上昇して回転トルクが増加し、発熱 が増大するので、これらを抑制するために 油粘度は低く抑えている。そのため、高速 伴う温度上昇で低粘度となった潤滑油の油 は薄くなって摺動摩耗を起こす場合があっ 。

 (b)低トルク性(温度上昇の抑制性)につい 既存の高速軸受用のグリースは、前述のよ に基油粘度を低く抑えているが、軸受が高 度で回転すると、温度上昇により粘度が著 く低下し、潤滑に必要な厚さの油膜を形成 きなくなるという問題がある。

 (c)低振動性については、グリースの増ち う剤の種類によって軸受の振動を増大させ 場合がある。すなわち、大きくて硬い凝集 を形成する増ちょう剤を含有するグリース は潤滑する転がり軸受の振動は大きくなる

 このように従来のグリースは、高速転が 軸受に用いた場合に軸受の長寿命性、低ト ク性および低振動性といった所要物性を満 させることができないという問題点があっ 。対策として、ウレア化合物を配合したグ ースが提案されている(特許文献1~特許文献3 参照)が、より高速性能を得るためには不十 である。

 例えば、特許文献3には、40 ℃における動 度が 15 mm 2 /sec 以上 40 mm 2 /sec 以下である基油と、含有量がグリース組 成物全体の 9 質量%以上 14 質量%以下であ ジウレア化合物の増ちょう剤とを含有し、 和ちょう度が 220 以上 320 以下であるグリ ース組成物が開示されている。しかしながら 、上記グリース組成物においても、グリース 封入量を少なくすることが困難であり、軸受 の高速回転に十分に対応できず、工作機械の コンパクト化や運転経費の削減をすることは 困難である。

 また、近年ますます転がり軸受の使用状 が過酷になり、ピッチ円径dm( mm )と回転数 N( rpm )との積であるdmN値が 170 万以上とい 高速回転で使用されるスピンドル用転がり 受なども多くなってきている。このような 受の回転速度の高速化に伴って、既存のグ ースで軸受に要求される性能を全て満足さ ることは困難である。

特開2000-169872号公報

特開2003-83341号公報

特開2006-29473号公報

 本発明はこのような問題に対処するため なされたものであり、少ないグリース封入 であっても、例えばピッチ円径dm( mm )と回 転数N( rpm )との積であるdmN値が 170 万以上 いう高速回転に十分に対応でき、工作機械 コンパクト化や運転経費の削減を可能にす 高速軸受用グリースの提供を目的とする。

 本発明の高速軸受用グリースは、ウレア 化合物を増ちょう剤とするウレアグリース 、分子内にアミド結合を有する複合アミド チウム石けんを増ちょう剤とする非ウレア リースを配合してなる高速軸受用グリース あって、上記ウレア系化合物は、ポリイソ アネート成分とモノアミン成分とを反応し 得られ、上記モノアミン成分が脂肪族モノ ミンをモノアミン全体に対して 46 モル%以 上含有するモノアミン成分であることを特徴 とする。

 上記非ウレアグリースは、上記グリース 体に対する配合割合が 10 重量%~80 重量%で あることを特徴とする。

 上記複合アミドリチウム石けんは、上記 ウレアグリース全体に対する配合割合が 3 重量%~40 重量%であることを特徴とする。

 上記ウレアグリースおよび上記非ウレアグ ースに用いる基油は、40℃における動粘度  10 mm 2 /sec~40 mm 2 /sec であることを特徴とする。

 上記ウレアグリースおよび上記非ウレア リースに用いる基油は、合成炭化水素油、 ステル油およびアルキルジフェニルエーテ 油から選ばれた少なくとも1つであることを 特徴とする。

 上記高速軸受用グリースは、添加剤とし 有機モリブデン化合物および有機亜鉛化合 から選ばれる少なくとも一つを添加したこ を特徴とする。

 上記ポリイソシアネート成分は、芳香族 イソシアネートであることを特徴とする。 に、上記芳香族ジイソシアネートは、4,4’- ジフェニルメタンジイソシアネートであるこ とを特徴とする。

 上記脂肪族モノアミンは、オクチルアミ であることを特徴とする。

 上記分子内にアミド結合を有する複合アミ リチウム石けんは、Nアルキル置換モノアミ ド酸のリチウム塩であることを特徴とする。 特に、上記Nアルキル置換モノアミド酸のリ ウム塩は、下記式(1)に示すものであること 特徴とする。

 本発明の高速軸受用グリースは、所定の レア系化合物を増ちょう剤とするウレアグ ースに、分子内にアミド結合を有する複合 ミドリチウム石けんを増ちょう剤とする非 レアグリースを配合してなるので、少量の リース封入量であっても、このグリースを 入した転がり軸受の耐荷重性を保ちつつ高 回転下で軌道面への油の供給能力に優れる

 ウレア系化合物を構成するモノアミン成 は、脂肪族モノアミンをモノアミン全体に して 46 モル%以上含有するので、高速下で のせん断力に対して、増ちょう剤が容易に破 壊されず、増ちょう剤繊維の毛細管現象によ り、転走面に安定的にグリース中の油分を供 給することができる。

本発明の高速軸受用グリースが封入さ たアンギュラ玉軸受を示す縦断面図である アンギュラ玉軸受を示す断面図である

 本発明の高速軸受用グリースが封入される 速軸受の一例として、図1に示されるアンギ ュラ玉軸受を例示することができる。図1は 発明の高速軸受用グリースが封入されたア ギュラ玉軸受を示す縦断面図である。
 このアンギュラ玉軸受1は、図1に示すよう 、内輪2と外輪3との間に転動体4が保持器5で 持された軸受空間を、外輪3の内周面に設け られた係止溝に固定したシール部材6で密封 た軸受である。本発明の高速軸受用グリー 8は、内輪2と外輪3と転動体4とで形成される 受空間内で、少なくとも転動体4の周囲に封 入される。アンギュラ玉軸受1では、外輪3の 径面に周溝状のグリースポケット7を形成し て、グリースの漏洩を物理的に防止している 。転動体4と、内輪2および外輪3との接触点を 結ぶ直線がラジアル方向に対して接触角βを しており、ラジアル荷重と一方向のアキシ ル荷重を負荷することができる。また、転 体4は、窒化珪素や炭化珪素等のセラミック 製とすることもできる。

 本発明の高速軸受用グリースは、軸受に 入する際には、軸受空隙部の容積の 1 体 %以上 10 体積%未満の量を封入することが好 ましい。1 体積%未満であると、潤滑に必要 グリース量が不足して枯渇し、耐久性に劣 。10 体積%以上であると、撹拌によるトルク 増による発熱で耐久性が向上しないし、また 、コスト増につながり環境上も好ましくない 。

 本発明の高速軸受用グリースを封入でき 高速軸受としては、図1に示すアンギュラ玉 軸受のほか、深溝玉軸受、円筒ころ軸受、円 すいころ軸受、自動調心ころ軸受、針状ころ 軸受、スラスト円筒ころ軸受、スラスト円す いころ軸受、スラスト針状ころ軸受、スラス ト自動調心ころ軸受等が挙げられる。

 本発明においてウレアグリースおよび非ウ アグリースに使用できる基油は、40℃にお る動粘度(以下、単に動粘度と記す)が 10~40  mm 2 /sec の潤滑油を用いることが好ましい。特に 、動粘度が 18~30 mm 2 /sec の潤滑油がより好ましい。動粘度が 10  mm 2 /sec 未満の場合、粘度が低すぎて十分な耐荷 重性が得られない。また、動粘度が 40 mm 2 /sec をこえる場合、高速回転に伴って軌道面 への油の供給が不足し、早期に軸受寿命に至 るようになる。

 上記ウレアグリースおよび非ウレアグリ スの基油の種類としては、合成炭化水素油 エステル油、アルキルジフェニルエーテル 、鉱油、GTL油等が挙げられる。これらの基 は、単独で、または 2 種類以上組み合わ て用いることができる。これらの中で合成 化水素油、エステル油、アルキルジフェニ エーテル油を用いることが好ましい。

 また、合成炭化水素油、エステル油、アル ルジフェニルエーテル油、それぞれの動粘 が 10~40 mm 2 /sec であることが好ましい。この範囲である と混合油とした場合であっても、動粘度の範 囲を上述の 10~40 mm 2 /sec とすることができる。混合油とする場合 、合成炭化水素油を必須成分とすることが好 ましく、また、合成炭化水素油はエステル油 またはアルキルジフェニルエーテル油よりも 重量割合で同量以上であることが好ましい。

 合成炭化水素油としては、例えばノルマ パラフィン、イソパラフィン、ポリブテン ポリイソブチレン、1-デセンオリゴマー、1- デセンとエチレンコオリゴマー等のポリ-α- レフィン等が挙げられる。

 エステル油としては、例えばジブチルセ ケート、ジ-2-エチルヘキシルセバケート、 オクチルアジペート、ジイソデシルアジペ ト、ジトリデシルアジペート、ジトリデシ タレート、メチル・アセチルシノレート等 ジエステル油、トリオクチルトリメリテー 、トリデシルトリメリテート、テトラオク ルピロメリテート等の芳香族エステル油、 リメチロールプロパンカプリレート、トリ チロールプロパンベラルゴネート、ペンタ リスリトール-2-エチルヘキサノエート、ペ タエリスリトールベラルゴネート等のポリ ールエステル油、炭酸エステル油等が挙げ れる。

 アルキルジフェニルエーテル油としては モノアルキルジフェニルエーテル、ジアル ルジフェニルエーテル、ポリアルキルジフ ニルエーテル等が挙げられる。

 鉱油としては、原油から得られる潤滑油 減圧蒸留、油剤脱れき、溶剤抽出、水素化 解、溶剤脱ろう、硫酸洗浄、白土精製、水 化精製等の精製を行なったものを用いるこ ができる。

 本発明におけるウレアグリースは、上記 油に増ちょう剤としてウレア系化合物を配 してなるグリースである。本発明に使用で るウレア系化合物(ウレア系増ちょう剤)は ポリイソシアネート成分とモノアミン成分 を反応して得られる。

 上記ポリイソシアネート成分としては、 ェニレンジイソシアネート、トリレンジイ シアネート、ジフェニルジイソシアネート ジフェニルメタンジイソシアネート、オク デカンジイソシアネート、デカンジイソシ ネート、ヘキサンジイソシアネー卜等が挙 られる。これらの中でも芳香族ジイソシア ートが好ましい。また、ジアミンと該ジア ンに対してモル比で過剰のジイソシアネー との反応で得られるポリイソシアネートを 用することができる。ジアミンとしては、 チレンジアミン、プロパンジアミン、ブタ ジアミン、ヘキサンジアミン、オクタンジ ミン、フェニレンジアミン、トリレンジア ン、キシレンジアミン、ジアミノジフェニ メタン等が挙げられる。

 上記モノアミン成分は、脂肪族モノアミ をモノアミン全体に対して 46 モル%以上、 好ましくは 80 モル%以上含有するモノアミ 成分である。46 モル%以上含むことにより増 ちょう剤のせん断安定性が強く、高速下でも 容易に破壊されず、増ちょう剤の毛細管現象 により、グリース中の基油を転走部に供給で きる。上記モノアミン成分を構成する脂肪族 モノアミン以外のモノアミンとしては、脂環 式モノアミン、芳香族モノアミンが挙げられ る。

 脂肪族モノアミンとしては、ヘキシルア ン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘ サデシルアミン、オクタデシルアミン、ス アリルアミン、オレイルアミンが挙げられ これらの中でもオクチルアミンが好ましい 脂環式モノアミンとしては、シクロヘキシ アミンなどが挙げられる。芳香族モノアミ としては、アニリン、p-トルイジンが挙げ れ、これらの中でアニリンを用いることが ましい。

 本発明においてウレア系増ちょう剤は、 レアグリース全体に対して、3~20 重量%の割 合で配合することが好ましい。特に、5~16 重 量%の配合量とすることが好ましい。配合量  3 重量%未満では基油保持能力が十分では く、特に回転初期に一時に大量の油分が分 してグリースの漏洩が起こり、軸受耐久寿 が短くなる。また、配合量が 20 重量%をこ ると、相対的に基油の量が少なくなり、油 給性が不十分で、早期に潤滑不足に陥って 様に軸受耐久寿命が短くなる。

 本発明における非ウレアグリースは、ウ ア系化合物を含まず、上記基油に増ちょう として複合アミドリチウム石けんを配合し なる金属複合石けん系のグリースである。

 本発明に使用する複合アミドリチウム石 んは、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族モノア ン、水酸化リチウムなどから合成され、特 分子内にアミド結合を有するものである。 合アミドリチウム石けんを増ちょう剤とす 非ウレアグリースの市販品としては、協同 脂社製:パルマックスRBGが挙げられる。

 本発明において複合アミドリチウム石け は、非ウレアグリース全体に対して 3~40  量%の割合で配合することが好ましい。配合 が 3 重量%を未満では、グリースが軟質で ん断により軸受から容易に漏れやすくなる また、配合量が 40 重量%をこえるとグリー ス中の油分が少なく、油供給性が悪くなるお それがある。

 本発明の高速軸受用グリースにおいて非 レアグリースは、グリース全量に対して 10 ~80 重量%の割合で配合することが好ましい。 特に、20~50 重量%の配合量とすることが好ま い。非ウレアグリースとして、配合量が 10  重量%未満では転走部への油供給性が悪い。 また、配合量が 80 重量%をこえると、高速 で増ちょう剤の繊維が破壊されやすく、増 ょう剤の毛細管現象により基油を転走部へ 給できない。

 また、本発明においてウレアグリースと ウレアグリースとの混合グリースには、必 に応じて公知のグリース用添加剤を含有さ ることができる。この添加剤として、例え 、有機亜鉛化合物、アミン系、フェノール 化合物等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾー などの金属不活性剤、ポリメタクリレート ポリスチレン等の粘度指数向上剤、二硫化 リブデン、グラファイト等の固体潤滑剤、 属スルホネート、多価アルコールエステル どの防錆剤、有機モリブデン化合物などの 擦低減剤、エステル、アルコールなどの油 剤、りん系化合物などの摩耗防止剤等が挙 られる。これらを単独または 2 種類以上 み合せて添加できる。

 これらの添加剤のうち、有機亜鉛化合物 有機モリブデン化合物は、極圧性に優れ、 走面への油の供給が不足した状態でも、焼 付きを防止させるため効果的である。

 これらの添加剤の含有量は、個別にはグ ース全量の 0.05 重量%以上、合計量でグリ ス全量の 0.15~10 重量%の範囲となることが ましい。特に、合計量で 10 重量%をこえる 場合は、含有量の増加に見合う効果が期待で きないばかりか、相対的に他の成分の含有量 が少なくなり、またグリース中でこれら添加 剤が凝集し、トルク上昇等の好ましくない現 象を招くこともある。

 以下に実施例を挙げて本発明をさらに説 するが、本発明はこれにより何ら制限され ものではない。

<ウレアグリースの調製>
ウレアグリースU1~U7
 表1に示した基油の半量に、4,4’-ジフェニ メタンジイソシアネート(日本ポリウレタン 業社製:ミリオネートMT、以下、MDIと記す)を 表1に示す割合で溶解し、残りの半量の基油 MDIの2倍当量となるモノアミンを溶解した。 れぞれの配合割合および種類は表1のとおり である。MDIを溶解した溶液を撹拌しながらモ ノアミンを溶解した溶液を加えた後、100℃~12 0℃で 30分間撹拌を続けて反応させて、ジウ ア化合物を基油中に生成させウレアグリー 試料を得た。

<非ウレアグリースの調製>
非ウレアグリースNU1~NU4
 表1に示した基油に、複合アミドリチウム石 けんを含む混合物(Nアルキル置換モノアミド のリチウム塩(下記式(1)参照)と、二塩基酸 リチウム塩と、Nアルキル置換ジアミドとの 合物)を増ちょう剤として配合してなる非ウ レアグリース試料を得た。それぞれの配合割 合および種類は表1のとおりである。

実施例1~実施例12
 上記ウレアグリースと非ウレアグリースと 表2に示す割合で混合しグリース試料を得た 。なお、実施例11には、ジチオりん酸亜鉛お びモリブデンジチオカーバメートを、上記 レアグリースと非ウレアグリースとの混合 リース 100 重量%に対してそれぞれ 2 重量 %添加した。得られたグリース試料を以下に す遠心油分離試験および深溝玉軸受(6204)に る常温高速グリース試験に供し、遠心離油 およびグリース寿命時間を測定した。実施 1、実施例4、実施例6、実施例9、実施例11お び実施例12については以下に示すアンギュラ 玉軸受による常温高速グリース試験も実施し た。これらの測定結果を表2に併記する。

<遠心油分離試験>
 遠心分離機を用い、50 g のグリース試料を 遠心分離管に入れ、40℃で 23000 G の加速度  7 時間かけたときの遠心離油度を次式に り求めた。遠心離油度が 20 重量%以上であ と油の供給能力が十分となる。
 (遠心離油度、重量%)=(1-試験前の増ちょう剤 濃度/試験後の増ちょう剤濃度)×100

<常温高速グリース試験-深溝玉軸受(6204)>
 深溝玉軸受(6204)に、グリース試料を転走面 いで 0.14 g (軸受全空間容積の約 3 体積%) 封入し、非接触シールして試験軸受を作製し た。試験軸受に、アキシアル荷重 670 N と ジアル荷重 67 N とを負荷し、常温環境下  15000 rpm の回転速度で回転させ、焼き付き に至るまでの時間をグリース寿命時間として 測定した。この試験において、グリース寿命 時間が 1000 時間以上であると耐久性に優れ 。この耐久試験における軸受のピッチ円径( mm)と回転数(rpm)との積であるdmN値は 52 万で る。

<常温高速グリース試験-アンギュラ玉軸受& gt;
 アンギュラ玉軸受(外径 150 mm×内径 100 mm 内外輪SUJ2、転動体 13/32 インチ窒化珪素球 )に、グリース試料を転走面狙いで 3.0 g (軸 受全空間容積の約 10 体積%)封入し、非接触 ールして試験軸受を作成した。試験軸受を 1.8 GPa 定圧与圧下で、外筒冷却により軸受 を冷却し、軸受外輪を 50℃以下に保ちつつ  14500 rpm の回転速度で回転させ、焼き付きに 至るまでの時間をグリース寿命時間として測 定した。この耐久試験における軸受のピッチ 円径(mm)と回転数(rpm)との積であるdmN値は 185 万である。

比較例1~比較例10
 表2に示したウレアグリースまたは非ウレア グリースをグリース試料とした。このグリー ス試料について実施例1と同様の項目を測定 た。比較例1および比較例7については上述の アンギュラ玉軸受による常温高速グリース試 験も実施した。これらの測定結果を表2に併 する。

 表2に示すように、本発明に使用されるグリ ースでは、(1)ウレアグリースと非ウレアグリ ースとを配合したグリースであり、ウレアグ リースの増ちょう剤がポリイソシアネート成 分とモノアミン成分とを反応して得られ、モ ノアミン成分が脂肪族モノアミンをモノアミ ン全体に対して 46 モル%以上含有するモノ ミン成分であること、(2)複合アミドリチウ 石けんを増ちょう剤とする非ウレアグリー のグリース全体に対する配合割合が 10~80  量%であること、(3)基油は動粘度が 10~40 mm  2 /sec であることが好ましいことがわかる。

 本発明の高速軸受用グリースは、所定の レアグリースと、複合アミドリチウム石け を増ちょう剤とする非ウレアグリースとを 合したグリースであるので、高速回転下で 軸受耐久寿命を向上させることができる。 のため、旋盤、ボール盤、中ぐり盤、フラ ス盤、研削盤、ホーニング盤、超仕上盤、 ップ盤等の高速で摺動、回転する工作機械 主軸支持部に組み込まれる転がり軸受に封 する高速軸受用グリースとして好適に利用 きる。しかも、オイルエア潤滑法等のよう 潤滑油を連続して供給する方式と異なり、 リースを封入して使用できるため、運転コ トの削減、省スペース化も可能になる。

 1、11 アンギュラ玉軸受
 2、12 内輪
 3、13 外輪
 4、14 転動体(鋼球)
 5 保持器
 6 シール部材
 7 グリースポケット
 8 グリース