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Title:
HEAT ACCUMULATOR, METHOD FOR MANUFACTURING THE HEAT ACCUMULATOR, AND VEHICLE-MOUNTED THERMAL SYSTEM USING THE HEAT ACCUMULATOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/026532
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a heat accumulator having a vacuum heat-insulating layer (2) in the outer peripheral portion of a liquid reserving portion (1). The liquid reserving portion (1) and the vacuum heat-insulating layer (2) are formed by laminating tank-constituting elements (10) of plate members of an identical sectional shape in a plurality of sheets. Specifically, the liquid reserving portion (1) is constituted of liquid reserving portion spaces (10f) made to communicate by the laminations of the tank constituting elements (10), and the vacuum heat-insulating layers (2) are constituted by evacuating heat-insulating layer spaces (10e) made to communicate by the laminations of the tank constituting elements (10). Moreover, the laminated tank constituting elements (10) are closed at their two-end openings by an entrance-side cover plate (8) and an exit-side cover plate (9).

Inventors:
HIYAMA JINICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/066527
Publication Date:
March 06, 2008
Filing Date:
August 27, 2007
Export Citation:
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Assignee:
CALSONIC KANSEI CORP (JP)
HIYAMA JINICHI (JP)
International Classes:
F28D20/02; B23K1/00; B23K1/008; F01P3/20; B23K101/14
Foreign References:
JP2003247793A2003-09-05
JP2004225964A2004-08-12
JP2006132806A2006-05-25
JP2004101157A2004-04-02
JP2000073764A2000-03-07
JP2004020027A2004-01-22
Attorney, Agent or Firm:
NISHIWAKI, Tamio (6-7 Ginza 6-chome, Chuo-ku, Tokyo 61, JP)
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Claims:
 貯液部の外周部に断熱層を有する蓄熱器において、
 前記貯液部と前記断熱層とを、同一断面形状の板部材によるタンク構成要素を複数枚積層することにより形成したことを特徴とする蓄熱器。
 請求項1に記載された蓄熱器において、
 構成部品として、入口側蓋板と出口側蓋板とタンク構成要素を有し、
 前記入口側蓋板には、入口パイプを固定し、
 前記出口側蓋板には、出口パイプを固定し、
 前記タンク構成要素は、同心状に第1隔壁部と第2隔壁部とを有し、前記第1隔壁部と前記第2隔壁部との間に断熱層空間を形成し、前記第2隔壁部に囲まれて貯液部空間を形成し、
 前記タンク構成要素を複数枚積層し、積層したタンク構成要素の両端開口部を、前記入口側蓋板と前記出口側蓋板とにより閉塞することにより容器を構成し、
 前記貯液部は、前記タンク構成要素の積層により連通する貯液部空間により構成し、
 前記断熱層は、前記タンク構成要素の積層により連通する断熱層空間を真空化することにより構成したことを特徴とする蓄熱器。
 請求項1または2に記載された蓄熱器において、
 前記タンク構成要素にロウを塗布して複数枚積層し、積層したタンク構成要素の両端開口部を、前記入口側蓋板と前記出口側蓋板とにより閉塞することにより仮組み立てをし、仮組立容器を炉中内で真空引きした後、昇温する真空ロウ付け法により製造したことを特徴とする蓄熱器。
 請求項1に記載された蓄熱器において、
 前記貯液部と前記断熱層との間に、液相・固相間の相変化に伴い熱の吸収と放出を行う蓄熱材を充填した蓄熱層を設けたことを特徴とする蓄熱器。
 請求項4に記載された蓄熱器において、
 前記蓄熱材は、潜熱蓄熱性素材として、融解点以上の温度域での固相から液相への相変化時に融解熱分を蓄熱し、凝固点以下の温度域での液相から固相への相変化時に凝固熱分を放熱するパラフィン系素材を用いたことを特徴とする蓄熱器。
 請求項5に記載された蓄熱器において、
 前記蓄熱材は、球状皮膜の内部にパラフィン系素材を封入してマイクロカプセル化したパラフィン封入カプセルであり、
 前記蓄熱層には、前記パラフィン封入カプセルの集合体を、液相・固相間の相変化に伴う体積変化分を考慮して充填したことを特徴とする蓄熱器。
 請求項4乃至6の何れか1項に記載された蓄熱器において、
 構成部品として、入口側端板及び入口側蓋板と、出口側端板及び出口側蓋板と、タンク構成要素と、を有し、
 前記入口側端板と入口側蓋板の少なくとも一方には、入口パイプを固定し、
 前記出口側端板と出口側蓋板の少なくとも一方には、出口パイプを固定し、
 前記タンク構成要素の貯液部空間を仕切る隔壁部に、熱媒体の入口から出口への流れに直交する方向に突出する内リブを形成したことを特徴とする蓄熱器。
 請求項4乃至7の何れか1項に記載された蓄熱器において、
 前記タンク構成要素は、同心状に第1隔壁部と第2隔壁部と第3隔壁部を有し、前記第1隔壁部と前記第2隔壁部との間に断熱層空間を形成し、前記第2隔壁部と前記第3隔壁部との間に蓄熱層空間を形成し、前記第3隔壁部に囲まれて貯液部空間を形成し、
 前記タンク構成要素を複数枚積層し、積層したタンク構成要素の両端開口部を、前記入口側蓋板と前記出口側蓋板とにより閉塞することにより容器を構成し、
 前記貯液部は、前記タンク構成要素の積層により連通する貯液部空間により構成し、
 前記断熱層は、前記タンク構成要素の積層により連通する断熱層空間を真空化することにより構成し、
 前記蓄熱層は、前記タンク構成要素の積層により連通する蓄熱層空間により構成したことを特徴とする蓄熱器。
 請求項4乃至8の何れか1項に記載された蓄熱器において、
 前記タンク構成要素にロウを塗布して複数枚積層し、積層したタンク構成要素の両端開口部を、前記入口側蓋板と前記出口側蓋板とにより閉塞することにより仮組み立てをし、仮組立容器を炉中内で真空引きした後に昇温して断熱層と蓄熱層を共に真空化する真空ロウ付け法を行った後、前記真空化した蓄熱層に対し真空吸引により蓄熱材を充填することにより製造したことを特徴とする蓄熱器。
 貯液部の外周部に真空断熱層を有する蓄熱器の製造方法において、
 前記蓄熱器を構成する構成部品を加工する部品加工工程と、
 前記加工した構成部品を容器状に組み立てる仮組み立て工程と、
 前記仮組み立てした容器を、炉中で真空引きした後、昇温することで、真空雰囲気の中で各構成部品を一体にロウ付けするロウ付け工程と、
 を備えたことを特徴とする蓄熱器の製造方法。
 請求項10に記載された蓄熱器の製造方法において、
 前記蓄熱器は、貯液部の外周部に真空断熱層を有し、
 前記部品加工工程は、貯液部空間と真空断熱層空間とを有する同一断面形状の板部材によるタンク構成要素と、入口側蓋板と、出口側蓋板と、を加工し、
 前記仮組み立て工程は、タンク構成要素を複数枚積層し、積層したタンク構成要素の開口部を入口側蓋板と出口側蓋板とで塞ぐことにより前記貯液部と前記真空断熱層を形成することを特徴とする蓄熱器の製造方法。
 請求項11に記載された蓄熱器の製造方法において、
 前記仮組み立て工程は、タンク構成要素に対しロウ材を塗布するロウ材塗布工程と、ロウ材を塗布したタンク構成要素を積層するサブ組み立て工程と、積層したタンク構成要素の開口部を入口側蓋板と出口側蓋板とで塞いで容器状に組み立てる組み立て工程と、を有することを特徴とする蓄熱器の製造方法。
 請求項10に記載された蓄熱器の製造方法において、
 前記蓄熱器は、貯液部の外周部に蓄熱層と真空断熱層を有し、前記蓄熱層には、液相・固相間の相変化に伴い熱の吸収と放出を行う蓄熱材を充填し、
 前記部品加工工程は、貯液部空間と蓄熱層空間と真空断熱層空間とを有する同一断面形状の板部材によるタンク構成要素と、入口側蓋板と、出口側蓋板と、を加工し、
 前記仮組み立て工程は、タンク構成要素を複数枚積層し、積層したタンク構成要素の開口部を入口側蓋板と出口側蓋板とで塞ぐことにより前記貯液部と前記蓄熱層と前記真空断熱層を形成することを特徴とする蓄熱器の製造方法。
 請求項13に記載された蓄熱器の製造方法において、
 前記タンク構成要素の積層接合面のうち、蓄熱層空間を挟んで貯液部空間と真空断熱層空間とを連結する連結部にエアー抜け溝を設け、
 前記ロウ付け工程は、炉中での真空引き時、前記エアー抜け溝を介して貯液部空間と真空断熱層空間とを連通し、炉中での昇温によるロウ付け時に毛細管現象によりロウ材を充填して塞ぐことを特徴とする蓄熱器の製造方法。
 請求項13または14に記載された蓄熱器の製造方法において、
 前記ロウ付け工程は、工程終了時、前記真空断熱層と共に前記蓄熱層も大気圧より減圧とする真空化状態とし、
 前記ロウ付け工程の後、真空化した前記蓄熱層に対し真空吸引により蓄熱材を充填し、その後、充填部分を封止する蓄熱材封入工程を追加したことを特徴とする蓄熱器の製造方法。
 請求項15に記載された蓄熱器の製造方法において、
 前記入口側部材もしくは出口側部材に形成した蓄熱材封入部に、基準板厚に対して厚みを薄くした薄肉部を形成し、
 前記蓄熱材封入工程は、蓄熱材を充填した封入機の先端部を、前記蓄熱材封入部に差し込み薄肉部を突き破ることで、真空吸引力により蓄熱材を蓄熱層に吸い込ませ、蓄熱層に蓄熱材が充填されると、突き破られた蓄熱材封入部にキャップを差し込み係合することで塞ぐことを特徴とする蓄熱器の製造方法。
 請求項10に記載された蓄熱器の製造方法において、
 前記蓄熱器は、貯液部の外周部に蓄熱層と真空断熱層を有し、前記蓄熱層には、液相・固相間の相変化に伴い熱の吸収と放出を行う蓄熱材を充填し、
 前記部品加工工程は、貯液部と蓄熱層と真空断熱層とを形成する3つの筒状部材と、入口側板部材と、出口側板部材と、を加工し、
 前記仮組み立て工程は、3つの筒状部材を同心状に組み立て、その開口部を入口側板部材と出口側板部材とで塞ぐことにより前記貯液部と前記蓄熱層と前記真空断熱層を形成することを特徴とする蓄熱器の製造方法。
 パワーユニット駆動状態で熱媒体を加熱する車載熱発生源と、熱媒体の温度が降下するパワーユニット停止状態からの始動時に高温の熱媒体を要求する車載熱要求源と、が熱媒体回路により接続された車載熱システムにおいて、
 前記熱媒体回路に、入口側を前記車載熱発生源に接続し、出口側を前記車載熱要求源に接続した蓄熱器を設定し、
 前記蓄熱器は、貯液部と断熱層との間に、液相・固相間の相変化に伴い熱の吸収と放出を行う蓄熱材を充填した蓄熱層を設け、
 前記車載熱発生源と前記蓄熱器の入口側とを接続する回路に第1バルブを設け、
 前記蓄熱器の出口側と前記車載熱要求源とを接続する回路に第2バルブを設け、
 パワーユニット駆動状態で前記第1バルブと前記第2バルブとを開き、パワーユニットが停止すると前記第1バルブと前記第2バルブとを閉じ、パワーユニットの始動時に前記第1バルブと前記第2バルブとを開く熱媒体循環制御手段を設けたことを特徴とする蓄熱器を用いた車載熱システム。
 請求項18に記載された蓄熱器を用いた車載熱システムにおいて、
 前記車載熱発生源は、駆動状態で冷却水を加熱するエンジンであり、
 前記車載熱要求源は、停止状態で冷却水の温度が降下するエンジンと、エンジン冷却水を加熱媒体とするエアーコンディショナーのヒータコアと、であり、
 前記熱媒体循環制御手段は、エンジン始動時であってエンジン暖機優先時、前記第2バルブを前記エンジン側に開き、エンジン始動時であって車室内暖房優先時、前記第2バルブを前記ヒータコア側に開くことを特徴とする蓄熱器を用いた車載熱システム。
 請求項18に記載された蓄熱器を用いた車載熱システムにおいて、
 前記車載熱発生源は、駆動状態で冷却水を加熱するエンジンであり、
 前記車載熱要求源は、停止状態で冷却水の温度が降下するエンジンと、エンジン冷却水を加熱媒体とするエアーコンディショナーのヒータコアと、であり、
 前記第2バルブと前記ヒータコアとを接続する回路にポンプを設け、
 前記熱媒体循環制御手段は、エンジン始動時であってエンジン暖機優先時、前記第2バルブを前記エンジン側に開き、エンジン始動時であって車室内暖房優先時、前記第2バルブを前記ヒータコア側に開くと共に、前記ポンプを作動させて蓄熱器からヒータコアへ送る流量を調整することを特徴とする蓄熱器を用いた車載熱システム。
 請求項18に記載された蓄熱器を用いた車載熱システムにおいて、
 前記車載熱発生源は、駆動状態でインバータ冷却水を加熱するインバータ冷却器と、駆動状態でバッテリー冷却水を加熱するバッテリー冷却器であり、
 前記車載熱要求源は、インバータ冷却水とバッテリー冷却水を加熱媒体とするエアーコンディショナーのヒータコアであり、
 前記熱媒体循環制御手段は、エンジン始動時、前記第1バルブと前記第2バルブを開くことを特徴とする蓄熱器を用いた車載熱システム。
 請求項18に記載された蓄熱器を用いた車載熱システムにおいて、
 前記車載熱発生源は、駆動状態でインバータ冷却水を加熱するインバータ冷却器と、駆動状態でバッテリー冷却水を加熱するバッテリー冷却器であり、
 前記車載熱要求源は、インバータ冷却水とバッテリー冷却水を加熱媒体とするエアーコンディショナーのヒータコアであり、
 前記第2バルブと前記ヒータコアとを接続する回路にポンプを設け、
 前記熱媒体循環制御手段は、エンジン始動時、前記第1バルブと前記第2バルブを開くと共に、前記ポンプを作動させて蓄熱器からヒータコアへ送る流量を調整することを特徴とする蓄熱器を用いた車載熱システム。
Description:
蓄熱器と蓄熱器の製造方法と蓄 器を用いた車載熱システム

 本発明は、エンジン暖機を促進させるた 、もしくは、暖房能力を向上させるためエ ジン冷却水循環回路等に適用される蓄熱器 蓄熱器の製造方法と蓄熱器を用いた車載熱 ステムに関する。

 従来、エンジン冷却水を保温貯蔵する蓄 器としては、金属製の内容器と外容器との 重構造であって、両容器間の空隙部が真空 熱されているものが知られている(例えば、 特許文献1参照)。

 そして、従来の蓄熱器を用いた車載熱シス ムでは、車両走行時に高温となったエンジ 冷却水を蓄熱器の取り込み、車両が停止し いる間、高温のエンジン冷却水を蓄熱器内 保温貯蔵する。そして、次回のエンジン始 時、蓄熱機内の高温のエンジン冷却水がエ ジンや車室内暖房用のヒータコアに送り込 れ、エンジンの早期暖機や早期暖房に使用 れる。

特開2004-20027号公報

 しかしながら、従来の蓄熱器にあっては 金属製の平板を絞り加工した内容器と外容 とによる構成であるため、異なる車種の車 への適用等で、蓄熱器の必要容積に変更が った場合、必要容積の変更に全く対応する とができず、加工型の変更や加工型の新規 成が必要であり、コストアップや製造時の 取りロス等が生じる、という問題があった

 また、従来の蓄熱器は、製造の際、金属 の平板を絞り加工し、溶接して内容器と外 器との主構成部品を製造し、さらに、内容 と外容器とを間隔を保って他の構成部品と に組み付け、各構成部品間を溶接等により 定して容器を製造する。この容器製造後、 く別の工程で、真空断熱層を形成するため 真空引きを行って蓄熱器を製造する。この 空引き工程において、大気雰囲気の中で真 ポンプを用いて真空引きを行うと、製品毎 真空断熱層の真空度にバラツキが出てしま 。加えて、各構成部品間を固定する固定工 と、真空断熱層を形成する真空引き工程と 、全く別工程による作業となるため、蓄熱 を製造するのに多大な手間と工数を要して まう、という問題があった。

 さらに、従来の蓄熱器を用いた車載熱シ テムにあっては、エンジン始動時、エンジ 冷却水の循環サイクルのうち、1サイクル目 は高温のエンジン冷却水がエンジンや車室内 暖房用のヒータコアに送り込まれるが、2サ クル目以降は、エンジンや大気等のシステ 環境の温度影響を受けるし、低温のエンジ 冷却水とも混合されるため、一気に熱が奪 れてしまい、低温のエンジン冷却水が循環 ることになる。したがって、期待に応える ンジンの早期暖機性能や車室内の早期暖房 能を望めない、という問題があった。

 本発明は、上記問題に着目してなされた ので、必要容積の変更要求に対し、タンク 成要素の積層枚数を増減するだけで、コス 増を招くことなく容易に対応することがで る蓄熱器を提供することを第1の目的とする 。

 また、バラツキのない安定した真空度品 の真空断熱層を形成できると共に、工程の 略化により製造手間を減少し製造時間を短 することができる蓄熱器の製造方法を提供 ることを第2の目的とする。

 さらに、コンパクトでありながら、高い 熱性能を発揮する蓄熱器を提供することを 的とする。また、簡単な熱媒体循環制御と ながら、パワーユニット始動時、期待に応 るエンジンの暖機促進や車室内の暖房能力 上を達成することができる蓄熱器を用いた 載熱システムを提供することを第3の目的と する。

 上記第1の目的を達成するため、本発明では 、貯液部の外周部に断熱層を有する蓄熱器に おいて、
前記貯液部と前記断熱層とを、同一断面形状 の板部材によるタンク構成要素を複数枚積層 することにより形成したことを特徴とする。

 上記第2の目的を達成するため、本発明では 、貯液部の外周部に真空断熱層を有する蓄熱 器の製造方法において、
前記蓄熱器を構成する構成部品を加工する部 品加工工程と、
前記加工した構成部品を容器状に組み立てる 仮組み立て工程と、
前記仮組み立てした容器を、炉中で真空引き した後、昇温することで、真空雰囲気の中で 各構成部品を一体にロウ付けするロウ付け工 程と、
を備えたことを特徴とする。

 上記第3の目的を達成するため、本発明では 、パワーユニット駆動状態で熱媒体を加熱す る車載熱発生源と、熱媒体の温度が降下する パワーユニット停止状態からの始動時に高温 の熱媒体を要求する車載熱要求源と、が熱媒 体回路により接続された車載熱システムにお いて、
前記熱媒体回路に、入口側を前記車載熱発生 源に接続し、出口側を前記車載熱要求源に接 続した蓄熱器を設定し、
前記蓄熱器は、貯液部と断熱層との間に、液 相・固相間の相変化に伴い熱の吸収と放出を 行う蓄熱材を充填した蓄熱層を設け、
前記車載熱発生源と前記蓄熱器の入口側とを 接続する回路に第1バルブを設け、
前記蓄熱器の出口側と前記車載熱要求源とを 接続する回路に第2バルブを設け、
パワーユニット駆動状態で前記第1バルブと 記第2バルブとを開き、パワーユニットが停 すると前記第1バルブと前記第2バルブとを じ、パワーユニットの始動時に前記第1バル と前記第2バルブとを開く熱媒体循環制御手 段を設けたことを特徴とする。

 よって、本発明の蓄熱器にあっては、必要 積の変更要求に対し、同一断面形状の板部 によるタンク構成要素の積層枚数を増減す だけで対応することができる。
すなわち、蓄熱器を絞り加工により製造され る内容器と外容器等による構造とした場合、 蓄熱器の必要容積に変更があった場合、絞り 加工型の変更や絞り加工型の新規作成が必要 であり、コストアップや製造時の段取りロス 等が生じる。
これに対し、本発明は、タンク構成要素を複 数枚積層する積層構造による蓄熱器としたた め、タンク構成要素を複数枚用意しておけば 、1枚のタンク構成要素による容積分を容積 更の最小単位とし、ある容積を持つ蓄熱器 ら、直ちに異なる容積を持つ蓄熱器に変更 ることができるというように、必要容積の 更要求に対し、積層枚数の増減で対応する とができ、コスト増を招く加工型の変更等 要しない。
この結果、必要容積の変更要求に対し、タン ク構成要素の積層枚数を増減するだけで、コ スト増を招くことなく容易に対応することが できる。

 また、本発明の蓄熱器の製造方法にあって 、部品加工工程において、蓄熱器を構成す 構成部品が加工され、仮組み立て工程にお て、加工した構成部品が容器状に組み立て れ、ロウ付け工程において、仮組み立てし 容器を、炉中で真空引きした後、昇温する とで、真空雰囲気の中で各構成部品が一体 ロウ付けされ、貯液部の外周部に真空断熱 を有する蓄熱器が製造される。
このように、ロウ付け工程において、炉中の 真空雰囲気を、安定した真空雰囲気とする管 理を行うことにより、個別管理により大気雰 囲気の中で真空引きを行う場合に比べ、バラ ツキのない安定した真空度品質の真空断熱層 を形成することができる。
また、ロウ付け工程では、部品間固定と真空 化とが共に達成されるため、部品間を溶接等 により固定した後の別工程にて真空断熱層を 真空化する場合に比べ、工程が簡略化され、 製造手間の減少や製造時間の短縮が図られる 。
この結果、バラツキのない安定した真空度品 質の真空断熱層を形成できると共に、工程の 簡略化により製造手間を減少し製造時間を短 縮することができる。

 さらに、本発明の蓄熱器を用いた車載熱シ テムにあっては、パワーユニット駆動状態 とき、熱媒体循環制御手段において、第1バ ルブと第2バルブとが開かれる。したがって 蓄熱器の入口側から出口側を経過する高温 熱媒体から熱を受け、蓄熱材の温度が融解 に達すると、蓄熱材が固相から液相に相変 し、この相変化に伴い熱エネルギーを吸収 る。
そして、パワーユニットが停止すると、熱媒 体循環制御手段において、第1バルブと第2バ ブとが閉じられる。したがって、断熱層と 熱層との2層に囲まれた貯液部に高温の熱媒 体が封じ込められる。
さらに、パワーユニットの始動時には、熱媒 体循環制御手段において、第1バルブと第2バ ブとが開かれる。したがって、熱媒体の循 サイクルのうち、1サイクル目は、蓄えられ ていた高温の熱媒体が車載熱要求源に送り込 まれる。その後、システム環境の温度影響を 受けるし低温の熱媒体と混合されることで、 蓄熱器内の熱媒体温度が低下する。しかし、 熱媒体温度の低下に伴い蓄熱材の温度が凝固 点に達する2サイクル目以降は、蓄熱材が液 から固相に相変化し、この相変化に伴い蓄 材に吸収されていた熱が放出される。この 熱材からの熱放出により熱媒体の温度低下 抑えられ、高温を保った熱媒体が車載熱要 源に送り込まれる。
この結果、簡単な熱媒体循環制御としながら 、パワーユニット始動時、例えば、車載熱要 求源をエンジンとした場合には、期待に応え るエンジンの暖機促進を達成することができ るし、車載熱要求源をヒータコアとした場合 には、期待に応える車室内の暖房能力の向上 を達成することができる。

実施例1の蓄熱器を示す縦断正面図であ る。 実施例1の蓄熱器を示す図1のA部拡大図 ある。 実施例1の蓄熱器を示す外観斜視図であ る。 実施例1の蓄熱器を示す断面斜視図であ る。 実施例1の蓄熱器を示す分解斜視図であ る。 実施例1の蓄熱器S1の真空ロウ付け法を す工程図である。 実施例2の蓄熱器を示す縦断正面図であ る。 実施例2の蓄熱器を示す図7のB部拡大図 ある。 実施例2の蓄熱器を示す外観斜視図であ る。 実施例2の蓄熱器を示す断面斜視図で る。 実施例2の蓄熱器を示す分解斜視図で る。 実施例2の蓄熱器S2の真空ロウ付け法を 示す工程図である。 実施例2の蓄熱器S2の炉中内での真空引 き工程で真空度を向上させるためのエアー抜 き溝を示す図である。 実施例2の蓄熱器S2の真空ロウ付け法に おける蓄熱材封入工程を示す説明図である。 実施例2の蓄熱器S2を用いたエンジン冷 却水循環システムの第1例を示すエンジン冷 水循環回路図である。 実施例2の蓄熱器S2を用いたエンジン冷 却水循環システムの第2例を示すエンジン冷 水循環回路図である。 実施例2の蓄熱器S2を用いた駆動モータ 用電装品冷却水循環システムの第1例を示す 却水循環回路図である。 実施例2の蓄熱器S2を用いた駆動モータ 用電装品冷却水循環システムの第2例を示す 却水循環回路図である。 実施例3の製造方法により製造された 熱器を示す縦断正面図である。 実施例3の製造方法により製造された 熱器を示す図19のC部拡大図である。 実施例3の製造方法により製造された 熱器を示す外観斜視図である。 実施例3の製造方法により製造された 熱器を示す断面斜視図である。 実施例3の製造方法により製造された 熱器を示す分解斜視図である。 実施例3の蓄熱器での蓄熱作用と放熱 用を説明する作用説明図である。 エンジン始動時における蓄熱器無し・ 従来の蓄熱器有り・実施例3の蓄熱器有りの 合のエンジン冷却水温度比較特性図である 実施例4の蓄熱器Sを用いたエンジン冷 水循環システム(車載熱システムの一例)を すエンジン冷却水循環回路図である。 実施例4のエンジン冷却水循環システ におけるエンジン冷却水循環作用説明図で る。 実施例5の蓄熱器Sを用いたエンジン冷 水循環システム(車載熱システムの一例)を すエンジン冷却水循環回路図である。 実施例5のエンジン冷却水循環システ におけるエンジン冷却水循環作用説明図で る。 実施例6の蓄熱器Sを用いた駆動モータ 電装品冷却水循環システム(車載熱システム の一例)を示す冷却水循環回路図である。 実施例6の駆動モータ用電装品冷却水 環システムにおける冷却水循環作用説明図 ある。 実施例7の蓄熱器Sを用いた駆動モータ 電装品冷却水循環システム(車載熱システム の一例)を示す冷却水循環回路図である。 実施例7の駆動モータ用電装品冷却水 環システムにおける冷却水循環作用説明図 ある。

符号の説明

S1 蓄熱器
1 貯液部
2 真空断熱層(断熱層)
6 入口パイプ
7 出口パイプ
8 入口側蓋板
9 出口側蓋板
10 タンク構成要素
10a 第1隔壁部
10b 第2隔壁部
10c 内リブ
10d 外リブ
10e 断熱層空間
10f 貯液部空間
10g 位置決め突起
S2 蓄熱器
2 側面真空断熱層(断熱層)
3 入口側端面真空断熱層(断熱層)
4 出口側端面真空断熱層(断熱層)
15 入口側端板
16 入口側蓋板
17 出口側端板
18 出口側蓋板
19 タンク構成要素
19a 第1隔壁部
19b 第2隔壁部
19c 第3隔壁部
19d 内リブ
19e 外リブ
19f 断熱層空間
19g 蓄熱層空間
19h 貯液部空間
19i 位置決め突起
19j エアー抜け溝
20 キャップ
21 エンジン
22 ヒータコア
23 第1バルブ
24 第2バルブ
25 ラジエータ
26 サーモバルブ
27 循環ポンプ
28 コントローラ
29 ポンプ
30 インバータ冷却器
31 バッテリー冷却器
S3 蓄熱器
38 第1円筒側板(筒状部材)
39 第1入口側端板(入口側板部材)
40 第1出口側端板(出口側板部材)
41 第2円筒側板(筒状部材)
42 第2入口側端板(入口側板部材)
43 第2出口側端板(出口側板部材)
44 蛇腹円筒板(筒状部材)

 以下、本発明の蓄熱器を実現する最良の 態を、図面に示す実施例1~実施例7に基づい 説明する。

 まず、構成を説明する。
図1は実施例1の蓄熱器を示す縦断正面図、図2 は実施例1の蓄熱器を示す図1のA部拡大図、図 3は実施例1の蓄熱器を示す外観斜視図、図4は 実施例1の蓄熱器を示す断面斜視図、図5は実 例1の蓄熱器を示す分解斜視図である。

 実施例1の蓄熱器S1は、図1~図5に示すよう 、貯液部1と、真空断熱層2(断熱層)と、入口 パイプ6と、出口パイプ7と、入口側蓋板8と、 出口側蓋板9と、タンク構成要素10と、を備え ている。

 実施例1の蓄熱器S1は、貯液部1の外周部に 真空断熱層2を有し、前記貯液部1と前記真空 熱層2とを、同一断面形状の板部材によるタ ンク構成要素10を複数枚積層することにより 成している。

 実施例1の蓄熱器S1は、構成部品として、 口側蓋板8と出口側蓋板9とタンク構成要素10 を有し、前記入口側蓋板8には、入口パイプ6 固定し、前記出口側蓋板9には、出口パイプ 7を固定している。

 実施例1の蓄熱器S1のタンク構成要素10は 図5に示すように、同心状に第1隔壁部10aと第 2隔壁部10bと内リブ10cと外リブ10dとを有する 前記第1隔壁部10aと前記第2隔壁部10bとの間は 、全周のうち4箇所程度で径方向に連結し、 結部間に断熱層空間10eを形成している。前 第2隔壁部10bに囲まれた空間を貯液部空間10f している。前記内リブ10cは、前記第2隔壁部 10bから貯液部1に向かって突出する。前記外 ブ10dは、第1隔壁部10aから外方に向かって突 するもので、全周のうち一部には積層時の 形位置合わせのために軸方向の折り曲げ部 有する。なお、第1隔壁部10aと第2隔壁部10b の連結部には、タンク軸方向に突出する位 決め突起10gを形成している(図2参照)。

 実施例1の蓄熱器S1は、前記タンク構成要 10を1枚ずつ断面の向きを反転させながら複 枚積層し、積層したタンク構成要素10の両 開口部を、入口側蓋板8と出口側蓋板9により 閉塞することで容器を構成している。

 前記貯液部1は、前記タンク構成要素10の 層により連通する貯液部空間10fにより構成 ている。

 前記真空断熱層2は、前記タンク構成要素 10の積層により連通する断熱層空間10eを真空 することにより構成している。

 実施例1の蓄熱器S1は、製造方法として、 記タンク構成要素10にロウを塗布して複数 積層し、積層したタンク構成要素10の両端開 口部を、前記入口側蓋板8と前記出口側蓋板9 により閉塞することにより仮組み立てをし 仮組立容器を炉中内で真空引きした後、昇 する真空ロウ付け法を採用している。

 次に、作用を説明する。
  [蓄熱器の製造方法]
図6は実施例1の蓄熱器S1の真空ロウ付け法を す工程図である。以下、図6を用い実施例1の 蓄熱器S1の真空ロウ付け法を説明する。

 ・部品加工工程
ステップS1の第1部品加工工程では、タンク構 成要素10がプレスや打ち抜き成形により板材 ら加工される。
ステップS2の第2部品加工工程では、入口側蓋 板8と出口側蓋板9がプレスや打ち抜き成形に り板材から加工される。
ステップS3の部品加工工程では、入口パイプ6 と出口パイプ7がパイプ成形により板材から 工、又は、引き抜き等により加工される。

 ・ロウ材塗布工程
ステップS4のロウ材塗布工程では、前記ステ プS1の第1部品加工工程において加工された 数のタンク構成要素10(例えば、ステンレス )に対し、ロウ材を塗布する。

 ・部品サブ組み立て工程(積層工程)
ステップS5の部品サブ組み立て工程では、前 ステップS4のロウ材塗布工程においてロウ を塗布した複数のタンク構成要素10を、貯液 容量の設計値に応じて所要枚数積層する。な お、実施例1の場合は、図1~図5に示す積層状 となるように、複数のタンク構成要素10を1 毎に裏返ししながら積層する。

 ・組み立て工程
ステップS6の組み立て工程では、ステップS5 部品サブ組み立て工程にて組み立てられた 層したタンク構成要素10に対し、ステップS2 第2部品加工工程とステップS3の第3部品加工 工程にて加工された、入口側蓋板8、出口側 板9、入口パイプ6、出口パイプ7の各部品を 5に示すように組み付け、全体として容器形 となるように仮に組み立てる。このとき、 層したタンク構成要素10以外のロウ付け必 部分についてもロウ材を塗布する。

 ・治具セット工程
ステップS7の治具セット工程では、前記ステ プS6の組み立て工程にて容器形状に仮に組 立てられた各部品が位置ずれすることなく 一体性を確保するためのロウ付け用治具を ットする。

 ・ロウ付け工程
ステップS8のロウ付け工程では、下記の炉中 工程により、各部品間を真空ロウ付け法に り固定する。
炉中内工程は、炉中内を真空化する真空引き 工程(ステップS8a)と、炉中内の温度を上昇さ る昇温工程(ステップS8b)と、溶けたロウに り部品間を固定するロウ付け工程(ステップS 8c)と、ロウ付け固定した容器を冷却する冷却 工程(ステップS8d)と、を有する。

 ・気密工程
ステップS9の気密工程では、炉中から取り出 たロウ付け容器の真空断熱層2の真空状態を 保つ気密性を確保する。

 ・出荷検査工程
ステップS10の出荷検査工程では、ロウ付け不 良箇所が無く、真空断熱層2の真空性が保た ているか等のチェック項目についての出荷 査を行う。

 ・梱包工程
ステップS11の梱包工程では、出荷検査をパス した製品について、梱包を行う。

 ・出荷工程
ステップS12の出荷工程では、梱包を行った製 品の工場出荷を行う。

 [蓄熱・放熱作用]
実施例1の蓄熱器S1では、貯液部1を経過する 温熱媒体の流通が停止すると、真空断熱層2 囲まれた貯液部1に高温の熱媒体が封じ込め られ、蓄熱器S1内の貯液部1に蓄えられた熱媒 体の温度の低下が抑えられ、熱媒体が高温状 態のままで保たれる。
そして、蓄熱器S1の貯液部1内の高温熱媒体を 使う場合、貯液部1の高温熱媒体が、出口パ プ7を経過して放出される。この高温熱媒体 高温エンジン冷却水とし、エンジン始動時 エンジンへ放出するようにした場合には、 ンジンの暖機を促進することができる。ま 、エンジン始動時にヒータコアへ放出する うにした場合には、車室内の暖房性能を向 させることができる。

 [必要容量の変更への対応作用]
実施例1の蓄熱器S1では、貯液部1と真空断熱 2とを、同一断面形状の板部材によるタンク 成要素10を複数枚積層することにより形成 た。
このため、必要容積の変更要求に対し、同一 断面形状の板部材によるタンク構成要素10の 層枚数を増減するだけで対応することがで る。
すなわち、従来技術のように、蓄熱器を絞り 加工により製造される内容器と外容器等によ る構造とした場合、蓄熱器の必要容積に変更 があった場合、絞り加工型の変更や絞り加工 型の新規作成が必要であり、コストアップや 製造時の段取りロス等が生じる。
これに対し、実施例1では、タンク構成要素10 を複数枚積層する積層構造による蓄熱器S1と たため、必要容積の変更要求に対し、積層 数の増減で対応することができ、コスト増 招く加工型の変更等を要しない。
つまり、実施例1の場合、タンク構成要素10を 複数枚用意しておけば、1枚のタンク構成要 10による容積分を容積変更の最小単位とし、 ある容積を持つ蓄熱器から、必要容積の増大 要求があると積層するタンク構成要素10の枚 を増やし、必要容積の減少要求があると積 するタンク構成要素10の枚数を減らすこと 、直ちに異なる容積を持つ蓄熱器に変更す ことができる。

 次に、効果を説明する。
実施例1の蓄熱器S1にあっては、下記に列挙す る効果を得ることができる。
  (1) 貯液部1の外周部に真空断熱層2を有す 蓄熱器において、前記貯液部1と前記真空断 熱層2とを、同一断面形状の板部材によるタ ク構成要素10を複数枚積層することにより形 成したため、必要容積の変更要求に対し、タ ンク構成要素の積層枚数を増減するだけで、 コスト増を招くことなく容易に対応すること ができる。

 (2) 構成部品として、入口側蓋板8と出口 蓋板9とタンク構成要素10を有し、前記入口 蓋板8には、入口パイプ6を固定し、前記出 側蓋板9には、出口パイプ7を固定し、前記タ ンク構成要素10は、同心状に第1隔壁部10aと第 2隔壁部10bとを有し、前記第1隔壁部10aと前記 2隔壁部10bとの間に断熱層空間10eを形成し、 前記第2隔壁部10bに囲まれて貯液部空間10fを 成し、前記タンク構成要素10を複数枚積層し 、積層したタンク構成要素10の両端開口部を 前記入口側蓋板8と前記出口側蓋板9とによ 閉塞することにより容器を構成し、前記貯 部1は、前記タンク構成要素10の積層により 通する貯液部空間10fにより構成し、前記真 断熱層2は、前記タンク構成要素10の積層に り連通する断熱層空間10eを真空化すること より構成したため、貯液部1の外周部に真空 熱層2を有し、必要容積の変更要求への対応 性を持たせた積層型の蓄熱器S1を提供するこ ができる。

 (3) 前記タンク構成要素10にロウを塗布し て複数枚積層し、積層したタンク構成要素10 両端開口部を、前記入口側蓋板8と前記出口 側蓋板9とにより閉塞することにより仮組み てをし、仮組立容器を炉中内で真空引きし 後、昇温する真空ロウ付け法により製造し 、つまり、部品間固定と真空化とを共に真 ロウ付け工程で行うため、部品間を溶接や ウ付け等により固定した後の別工程にて真 断熱層を真空化する場合に比べ、真空断熱 2の真空度のバラツキを低く抑えることがで ると共に、工程の簡略化により製造時間を 縮することができる。

 実施例1の蓄熱器S1の製造方法にあっては、 記に列挙する効果を得ることができる。
  (1) 貯液部1の外周部に真空断熱層2を有す 蓄熱器S1の製造方法において、前記蓄熱器S1 を構成する構成部品を加工する部品加工工程 (ステップS1,S2,S3)と、前記加工した構成部品 容器状に組み立てる仮組み立て工程(ステッ S4,5,6)と、前記仮組み立てした容器を、炉中 で真空引きした後、昇温することで、真空雰 囲気の中で各構成部品を一体にロウ付けする ロウ付け工程(ステップS8)と、を備えたため バラツキのない安定した真空度品質の真空 熱層2を形成できると共に、工程の簡略化に り製造手間を減少し製造時間を短縮するこ ができる。

 (2) 前記蓄熱器S1は、貯液部1の外周部に 空断熱層2を有し、前記部品加工工程(ステッ プS1~ステップS3)は、貯液部空間10fと真空断熱 層空間10eとを有する同一断面形状の板部材に よるタンク構成要素10と、入口側蓋板8と、出 口側蓋板9と、を加工し、前記仮組み立て工 (ステップS4~ステップS6)は、タンク構成要素1 0を複数枚積層し、積層したタンク構成要素10 の開口部を入口側蓋板8と出口側蓋板9とで塞 ことにより前記貯液部1と前記真空断熱層2 形成するため、貯液部1の外周部に真空断熱 2を有し、必要容積の変更要求への対応性を 持たせた積層型の蓄熱器S1の製造方法を提供 ることができる。

 (3) 前記仮組み立て工程は、タンク構成 素10に対しロウ材を塗布するロウ材塗布工程 (ステップS4)と、ロウ材を塗布したタンク構 要素10を積層するサブ組み立て工程(ステッ S5)と、積層したタンク構成要素10の開口部を 入口側蓋板8と出口側蓋板9とで塞いで容器状 組み立てる組み立て工程(ステップS6)と、を 有するため、ロウ材を塗布したタンク構成要 素10を積層するサブ組み立ての採用により、 ウ付け工程(ステップS8)において、積層した 複数のタンク構成要素10間のロウ付け固定を 実に達成することができる。

 実施例2は、実施例1が貯液部と真空断熱 を有する蓄熱器であるのに対し、貯液部と 空断熱層と蓄熱層を有する蓄熱器とした例 ある。

 まず、構成を説明する。
図7は実施例2の蓄熱器を示す縦断正面図、図8 は実施例2の蓄熱器を示す図7のB部拡大図、図 9は実施例2の蓄熱器を示す外観斜視図、図10 実施例2の蓄熱器を示す断面斜視図、図11は 施例2の蓄熱器を示す分解斜視図である。

 実施例2の蓄熱器S2は、図7~図11に示すよう に、貯液部1と、側面真空断熱層2(断熱層)と 入口側端面真空断熱層3(断熱層)と、出口側 面真空断熱層4(断熱層)と、蓄熱層5と、入口 イプ6と、出口パイプ7と、入口側端板15と、 入口側蓋板16と、出口側端板17と、出口側蓋 18と、タンク構成要素19と、を備えている。

 実施例2の蓄熱器S2は、貯液部1の外周部に 真空断熱層2,3,4を有し、前記貯液部1と前記側 面真空断熱層2との間には、液相・固相間の 変化に伴い熱の吸収と放出を行う蓄熱材を 填した蓄熱層5を設けている。

 実施例2の蓄熱器S2は、構成部品として、入 側端板15及び入口側蓋板16と、出口側端板17 び出口側蓋板18と、タンク構成要素19と、を 有する。
そして、前記入口側端板15には、入口パイプ6 を固定し、前記出口側端板17には、出口パイ 7を固定している。

 さらに、図8に示すように、前記タンク構 成要素19の貯液部空間19hを仕切る第3隔壁部19c に、熱媒体の入口から出口への流れに直交す る方向に突出する内リブ19dを形成している。 なお、図8に示すように、隣接する第3隔壁部1 9cと内リブ19d,19dとの重なり合いにより、流れ に直交する凹凸が形成される。

 前記蓄熱層5に充填される蓄熱材は、潜熱蓄 熱性素材として、融解点以上の温度域での固 相から液相への相変化時に融解熱分を蓄熱し 、凝固点以下の温度域での液相から固相への 相変化時に凝固熱分を放熱するパラフィン系 素材を用いている。
前記蓄熱材は、球状皮膜の内部にパラフィン 系素材を封入してマイクロカプセル化したパ ラフィン封入カプセルであり、前記蓄熱層5 は、前記パラフィン封入カプセルの集合体 、液相・固相間の相変化に伴う体積変化分(1 0%程度)を考慮して充填している。
ここで、蓄熱性素材として、パラフィン系素 材を用いた理由は、融解点(融解温度)や凝固 (凝固温度)による相変化温度を設定するに し、炭素鎖数に対応し広範な温度域(-50℃~80 )をカバーすることができるし、蓄熱量(溶 潜熱)も130~250kJ/kg程度であり、他の素材に比 て高いことによる。
例えば、エンジン冷却水をヒータコアに循環 させる車載熱システムに蓄熱器を用いる場合 には、相変化温度は、50℃~60℃程度もしくは これ以上が好ましい。その理由は、エンジ 冷却水温は冬季等では80℃に満たないケー もあり、かつ、暖かいと感じられる吹き出 温度は30℃であるため、吹き出し温度30℃以 を得るのに必要な相変化温度は、上記のよ に、50℃~60℃程度もしくは、これ以上の温 となる。

 実施例2の蓄熱器S2の出口側端板17には、 11に示すように、蓄熱器S2を真空ロウ付けに り製造する場合、蓄熱材を封入するための 熱材封入部17aが、出口側蓋板18に向かって 出される。前記出口側蓋板18には、前記蓄熱 材封入部17aを貫通する封入部穴18aが形成され 、前記蓄熱材封入部17aは、蓄熱材を封入した 後、樹脂系やゴム系等によるキャップ20にて がれる。

 前記タンク構成要素19は、同心状に第1隔 部19aと第2隔壁部19bと第3隔壁部19cと内リブ19 dと外リブ19eとを有する。前記第1隔壁部19aと 記第2隔壁部19bとの間は、全周のうち4箇所 度で径方向に連結し、連結部間に断熱層空 19fを形成している。前記第2隔壁部19bと前記 3隔壁部19cとの間は、全周のうち4箇所程度 径方向に連結し、連結部間に蓄熱層空間19g 形成している。前記第3隔壁部19cに囲まれた 間を貯液部空間19hとしている。前記内リブ1 9dは、前記第3隔壁部19cから貯液部1に向かっ 突出する。前記外リブ19eは、第1隔壁部19aか 外方に向かって突出するもので、全周のう 一部には積層時の外形位置合わせのために 方向の折り曲げ部を有する。なお、第1隔壁 部19aと第2隔壁部19bとの連結部には、タンク 方向に突出する位置決め突起19iを形成して る(図8参照)。

 実施例2の蓄熱器S2は、前記タンク構成要 19を1枚ずつ反転させながら複数枚積層し、 層したタンク構成要素19の両端開口部を、 記入口側端板15及び入口側蓋板16と、前記出 側端板17及び出口側蓋板18と、により閉塞す ることで容器を構成している。

 前記貯液部1は、前記タンク構成要素19の積 により連通する貯液部空間19hにより構成し いる。
前記側面真空断熱層2は、前記タンク構成要 19の積層により連通する断熱層空間19fを真空 化することにより構成している。前記入口側 端面真空断熱層3は、入口側端板15と入口側蓋 板16とで形成される空間を真空化することに り構成している。前記出口側端面真空断熱 4は、出口側端板17と出口側蓋板18とで形成 れる空間を真空化することにより構成して る。
前記蓄熱層5は、前記タンク構成要素19の積層 により連通する蓄熱層空間19gにより構成して いる。

 実施例2の蓄熱器S2は、製造方法として、 ンク構成要素19にロウを塗布して複数枚積 し、積層したタンク構成要素19の両端開口部 を、前記入口側蓋板16と前記出口側蓋板18と より閉塞することにより仮組み立てをし、 組立容器を炉中内で真空引きした後に昇温 て各真空断熱層2,3,4と蓄熱層5を共に真空化 る真空ロウ付け法を行った後、前記真空化 た蓄熱層5に対し真空吸引により蓄熱材を充 することにより製造する方法を採用してい 。

 次に、作用を説明する。
  [蓄熱器の製造方法]
図12は実施例2の蓄熱器S2の真空ロウ付け法を す工程図、図13は実施例2の蓄熱器S2の炉中 での真空引き工程で真空度を向上させるた のエアー抜き溝を示す図、図14は実施例2の 熱器S2の真空ロウ付け法における蓄熱材封入 工程を示す説明図である。以下、図12~図14を い実施例2の蓄熱器S2の真空ロウ付け法を説 する。

 ・部品加工工程
ステップS1の第1部品加工工程では、タンク構 成要素19がプレスや打ち抜き成形により板材 ら加工される。
ステップS2の第2部品加工工程では、入口側蓋 板16と出口側蓋板18がプレスや打ち抜き成形 より板材から加工される。
ステップS3の第3部品加工工程では、入口側端 板15と出口側端板17とがプレスや打ち抜き成 により板材から加工される。
ステップS4の第4部品加工工程では、入口パイ プ6と出口パイプ7がパイプ成形により板材か 加工される。
ステップS5の第5部品加工工程では、キャップ 20がプレスや打ち抜きにより板材から加工、 は、引き抜き等により加工される。

 ・ロウ材塗布工程
ステップS6のロウ材塗布工程では、前記ステ プS1の第1部品加工工程において加工された 数のタンク構成要素19(例えば、ステンレス )に対し、ロウ材を塗布する。

 ・部品サブ組み立て工程(積層工程)
ステップS7の部品サブ組み立て工程では、前 ステップS6のロウ材塗布工程においてロウ を塗布した複数のタンク構成要素19を、貯液 容量の設計値に応じて所要枚数積層する。な お、実施例2の場合は、図7~図11に示す積層状 となるように、複数のタンク構成要素19を1 毎に裏返ししながら積層する。

 ・組み立て工程
ステップS8の組み立て工程では、ステップS7 部品サブ組み立て工程にて組み立てられた 層したタンク構成要素19に対し、第2部品加 工程~第5部品加工工程にて加工された、入口 側蓋板16、出口側蓋板18、入口側端板15、出口 側端板17、入口パイプ6、出口パイプ7、キャ プ20の各部品を組み付け、全体として容器形 状となるように仮に組み立てる。このとき、 積層したタンク構成要素19以外のロウ付け必 部分についてもロウ材を塗布する。

 ・治具セット工程
ステップS9の治具セット工程では、前記ステ プS8の組み立て工程にて容器形状に仮に組 立てられた各部品が位置ずれすることなく 一体性を確保するためのロウ付け用治具を ットする。

 ・ロウ付け工程
ステップS10のロウ付け工程では、下記の炉中 内工程により、各部品間を真空ロウ付け法に より固定する。
炉中内工程は、炉中内を真空化する真空引き 工程(ステップS10a)と、炉中内の温度を上昇さ せる昇温工程(ステップS10b)と、溶けたロウに より部品間を固定するロウ付け工程(ステッ S10c)と、ロウ付け固定した容器を冷却する冷 却工程(ステップS10d)と、を有する。
上記ステップS10aの真空引き工程において、 り真空度を向上させるために、図13(a)に示す ように、第2隔壁部19bと第3隔壁部19cとを径方 に連結する連結部にエアー抜け溝19jを形成 ている。したがって、タンク構成要素19を 層した場合、図13(b)に示すように、貯液部1 側面真空断熱層2とが、対向する一対のエア 抜け溝19j,19jにより連通する。

 ・気密工程
ステップS11の気密工程では、炉中から取り出 したロウ付け容器の真空断熱層2,3,4と蓄熱層5 の真空状態を保つ気密性を確保する。

 ・蓄熱材封入工程
ステップS12の蓄熱材封入工程では、真空化さ れた蓄熱層5による真空引きを利用して蓄熱 が封入される。
すなわち、図14(a)に示すように、真空ロウ付 法の場合、蓄熱層5も真空化される。また、 出口側端板17に形成した蓄熱材封入部17aには 基準板厚に対して厚みを薄くした薄肉部17a が形成されている。
そこで、蓄熱材P(パラフィン系)を充填した封 入機の先端部を、図14(b)に示すように、蓄熱 封入部17aに差し込み、薄肉部17a″を突き破 と、蓄熱層5による真空吸引力により、一気 に蓄熱材Pが蓄熱層5に吸い込まれる。なお、 熱層5が真空であるため、蓄熱材Pの封入時 が短く、かつ、均一に充填される。
そして、蓄熱層5に蓄熱材Pが充填されると、 き破られた蓄熱材封入部17aを塞ぐため、図1 4(c)に示すように、キャップ20を差し込み係合 する。

 ・出荷検査工程
ステップS13の出荷検査工程では、ロウ付け不 良箇所が無く、真空断熱層2,3,4の真空性が保 れているか、蓄熱層5に蓄熱材Pが充填され いるか等のチェック項目についての出荷検 を行う。

 ・梱包工程
ステップS14の梱包工程では、出荷検査をパス した製品について、梱包を行う。

 ・出荷工程
ステップS15の出荷工程では、梱包を行った製 品の工場出荷を行う。

 [蓄熱・放熱作用]
実施例2の蓄熱器S2による蓄熱・放熱作用につ いて説明する。
蓄熱材による熱吸収作用について説明すると 、蓄熱器S2内の貯液部1に、入口パイプ6から 口パイプ7に向かっての流れにより高温の熱 体が流通しているとき、高温の熱媒体から 熱を、内リブ19dを有する第3隔壁部19cを介し て蓄熱層5内の蓄熱材が受ける。そして、熱 受けて蓄熱材の温度が上昇し、蓄熱材の融 点に達すると、蓄熱材が固相から液相に相 化し、この相変化に伴い熱エネルギーを吸 する。
ちなみに、実施例2ではパラフィン封入カプ ルを蓄熱材としているため、蓄熱材の温度 融解点未満で低いときは、封入されている ラフィンが、蝋のように固まった固体であ のに対し、蓄熱材の温度が融解点以上にな と、固体のパラフィンが徐々に液化し、最 に吸熱した状態ではカプセル内で完全に液 となる。

 貯液部1内の熱媒体への蓄熱作用について説 明すると、貯液部1を経過する高温熱媒体の 通が停止すると、真空断熱層2,3,4と蓄熱層5 の2層に囲まれた貯液部1に高温の熱媒体が封 じ込められ、蓄熱器S2内の貯液部1に蓄えられ た熱媒体の温度の低下が抑えられ、熱媒体が 高温状態のままで保たれる。
すなわち、熱媒体流通が停止状態となったま まで長時間が経過し、蓄熱器S2を囲む外気温 低温となっても、真空断熱層2,3,4と蓄熱層5 の二重断熱構造により、貯液部1に蓄えられ た熱媒体から逃げようとする熱エネルギーが 最小に抑えられ、長時間を経過しても貯液部 1の熱媒体を高温状態のままで保つ高い保温 が達成される。

 高温熱媒体の放出作用について説明する 、蓄熱器S2の貯液部1内の高温熱媒体を使う 合、まず、貯液部1の高温熱媒体が、出口パ イプ7を通過して放出される。この高温熱媒 の放出に伴い、蓄熱器S2の貯液部1内へ入口 イプ6を経過して低温熱媒体を導入すること 、高温と低温の両熱媒体が混合し、蓄熱器S 2の貯液部1内の熱媒体温度が低下する。

 蓄熱材からの放熱作用について説明すると 蓄熱器S2の貯液部1内の熱媒体温度が低下し 内リブ19dを有する第3隔壁部19cを介して蓄熱 層5内の蓄熱材から熱を奪うと、蓄熱材の温 が低下する。そして、蓄熱材の温度が凝固 に達すると、蓄熱材が液相から固相に相変 し、この相変化に伴い蓄熱材に吸収されて た熱が放出され、潜熱による熱エネルギー 、内リブ19dを有する第3隔壁部19cを介して熱 体に対し供給し続け、熱媒体の温度低下を える。
ちなみに、実施例2ではパラフィン封入カプ ルを蓄熱材としているため、蓄熱材の温度 凝固点より高いときは、封入されているパ フィンが液体であるのに対し、蓄熱材の温 が凝固点以下に低下すると、液体のパラフ ンが徐々に固体化して放熱し、最大に放熱 た状態ではカプセル内で固体となる。

 このように、実施例2の蓄熱器S2は、保温性 保ちつつ熱媒体に蓄えた「顕熱」と、蓄熱 5の蓄熱材から放出される「潜熱」と、を有 効に併用するものである。
このため、エンジン冷却水循環回路に適用し た場合であって、エンジン始動時、高温のエ ンジン冷却水をエンジン側に導けば、エンジ ン暖機温度に達する時間を大幅に短縮するこ とができる。また、エンジン冷却水循環回路 に適用した場合であって、エンジン始動時、 高温のエンジン冷却水をヒータコア側に導け ば、車室内の暖房性能を向上させることがで きる。
ちなみに、「顕熱」とは、相変化なしに蓄え られる熱エネルギーをいい、「潜熱」とは、 固相と液相間の相変化に伴って吸収あるいは 放出される熱エネルギーをいう。
そして、「潜熱」の場合は、「顕熱」の場合 に比べ、桁違いに大きい熱量を蓄えることが できる。

 [熱交換促進作用]
実施例2の蓄熱器S2は、構成部品として、入口 側端板15及び入口側蓋板16と、出口側端板17及 び出口側蓋板18と、タンク構成要素19と、を し、前記入口側端板15には、入口パイプ6を 定し、前記出口側端板17には、出口パイプ7 固定し、前記タンク構成要素19の貯液部空間 19hを仕切る第3隔壁部19cに、熱媒体の入口か 出口への流れに直交する方向に突出する内 ブ19dを形成している。

 このため、入口パイプ6から出口パイプ7 向かう熱媒体の流れは、第3隔壁部19cと内リ 19dにより形成される凹凸形状に沿って蛇行 て流れることになり、蓄熱層5に充填した蓄 熱材にて熱媒体からの熱を吸収するときには 、熱吸収する有効面積が、ストレートの円筒 パイプの場合に比べて拡大し、熱吸収効率が 高くなる。同様に、蓄熱層5に充填した蓄熱 から熱媒体へ熱を放出するときには、熱放 する有効面積が、ストレートの円筒パイプ 場合に比べて拡大し、熱放出効率が高くな 。つまり、第3隔壁部19cと内リブ19dにより形 される凹凸形状により、熱交換効率が促進 れる。

 [蓄熱器S2をエンジン冷却水循環システムへ 用した例]
図15は実施例2の蓄熱器S2を用いたエンジン冷 水循環システムの第1例を示すエンジン冷却 水循環回路図である。

 エンジン駆動状態でエンジン冷却水を加熱 るエンジン21と、エンジン冷却水の温度が 下するエンジン停止状態からのエンジン始 時に加熱したエンジン冷却水を要求するエ ジン21及びヒータコア22と、がエンジン冷却 循環回路により接続されている。
前記エンジン冷却水循環回路には、入口側を 前記エンジン21に接続し、出口側を前記エン ン21とヒータコア22に接続した蓄熱器S2を設 している。

 前記エンジン21と前記蓄熱器S2の入口側と を接続する回路に第1バルブ23を設け、前記蓄 熱器S2の出口側と前記エンジン21及びヒータ ア22とを接続する回路に第2バルブ24を設けて いる。なお、エンジン21とラジエータ25とを ぶエンジン冷却水循環回路には、サーモバ ブ26と循環ポンプ27とが設けられている。

 前記第1バルブ23と第2バルブ24と循環ポンプ2 7とは、コントローラ28によりその作動が制御 される。
前記コントローラ28は、エンジン駆動状態で 記第1バルブ23と前記第2バルブ24とを開き、 ンジン21が停止すると前記第1バルブ23と前 第2バルブ24とを閉じ、エンジン21の始動時で あってエンジン暖機優先時、前記第2バルブ24 を前記エンジン21側に開き、エンジン始動時 あって車室内暖房優先時、前記第2バルブ24 前記ヒータコア22側に開く制御を行う。

 したがって、エンジン始動時、「顕熱」 「潜熱」を併用する蓄熱器S2から高温のエ ジン冷却水を送り続けることで、エンジン 機優先時には、期待に応えるエンジン21の暖 機促進を達成することができるし、車室内暖 房優先時には、期待に応える車室内の暖房能 力の向上を達成することができる。

 図16は実施例2の蓄熱器S2を用いたエンジン 却水循環システムの第2例を示すエンジン冷 水循環回路図である。
この第2例は、図15に示すエンジン冷却水循環 システムにおいて、第2バルブ24とヒータコア 22とを接続する回路にポンプ29を追加した例 ある。
したがって、この第2例では、第1例の効果に し、エンジン始動時であって、車室内暖房 先時、流量調整により暖房性能をコントロ ルすることができるという効果が追加され 。

 [蓄熱器S2を駆動モータ用電装品冷却水循環 ステムへ適用した例]
図17は実施例2の蓄熱器S2を用いた駆動モータ 電装品冷却水循環システムの第1例を示す冷 却水循環回路図である。
この第1例では、車載熱発生源を、駆動状態 インバータ冷却水を加熱するインバータ冷 器30と、駆動状態でバッテリー冷却水を加熱 するバッテリー冷却器31とし、車載熱要求源 、インバータ冷却水とバッテリー冷却水を 熱媒体とするエアーコンディショナーのヒ タコア22としている。
コントローラ28は、エンジン始動時、蓄熱器S 2の入口側に設けられた第1バルブ23と、蓄熱 S2の出口側に設けられた第2バルブ24を開く制 御を行う。
したがって、ハイブリッド車でのエンジン始 動時、期待に応える車室内の暖房能力の向上 を達成することができる。

 図18は実施例2の蓄熱器S2を用いた駆動モー 用電装品冷却水循環システムの第2例を示す 却水循環回路図である。
この第2例は、図17に示す駆動モータ用電装品 冷却水循環システムにおいて、第2バルブ24と ヒータコア22とを接続する回路にポンプ29を 加した例である。
したがって、この第2例では、第1例の効果に し、エンジン始動時、流量調整により暖房 能をコントロールすることができるという 果が追加される。

 次に、効果を説明する。
実施例2の蓄熱器S2にあっては、実施例1の蓄 器S1における(1)の効果に加え、下記に列挙す る効果を得ることができる。
  (4) 前記貯液部1と前記真空断熱層2,3,4との 間に、液相・固相間の相変化に伴い熱の吸収 と放出を行う蓄熱材を充填した蓄熱層5を設 たため、蓄熱層5の蓄熱材から放出される「 熱」により、例えば、エンジン始動時の暖 性能や車室内暖房性能を向上させることが きる高い蓄熱性能を持った蓄熱器S2を提供 きる。

 (5) 前記蓄熱材は、潜熱蓄熱性素材とし 、融解点以上の温度域での固相から液相へ 相変化時に融解熱分を蓄熱し、凝固点以下 温度域での液相から固相への相変化時に凝 熱分を放熱するパラフィン系素材を用いた め、少ない充填量にて高い蓄熱量を得るこ ができると共に、相変化温度の設定自由度 高いことにより、用途に応じた適切な相変 温度に設定することができる。

 (6) 前記蓄熱材は、球状皮膜の内部にパ フィン系素材を封入してマイクロカプセル したパラフィン封入カプセルであり、前記 熱層5には、前記パラフィン封入カプセルの 合体を、液相・固相間の相変化に伴う体積 化分を考慮して充填したため、パラフィン 素材の欠点である揮発性が球状皮膜により えられるし、体積変化による変形力の作用 抑えられることで、長期間の使用に対して 久信頼性を確保することができる。

 (7) 構成部品として、入口側端板15及び入 口側蓋板16と、出口側端板17及び出口側蓋板18 と、タンク構成要素19と、を有し、前記入口 端板15には、入口パイプ6を固定し、前記出 側端板17には、出口パイプ7を固定し、前記 ンク構成要素19の貯液部空間19hを仕切る第3 壁部19cに、熱媒体の入口から出口への流れ 直交する方向に突出する内リブ19dを形成し ため、蓄熱層5に充填した蓄熱材の熱吸収効 率と熱放出効率が高くなるというように熱交 換が促進され、蓄熱材による高い潜熱効果を 達成することができる。

 (8) 前記タンク構成要素19は、同心状に第 1隔壁部19aと第2隔壁部19bと第3隔壁部19cを有し 、前記第1隔壁部19aと前記第2隔壁部19bとの間 断熱層空間19fを形成し、前記第2隔壁部19bと 前記第3隔壁部19cとの間に蓄熱層空間19gを形 し、前記第3隔壁部19cに囲まれて貯液部空間1 9hを形成し、前記タンク構成要素19を複数枚 層し、積層したタンク構成要素19の両端開口 部を、前記入口側蓋板16と前記出口側蓋板18 により閉塞することにより容器を構成し、 記貯液部1は、前記タンク構成要素19の積層 より連通する貯液部空間19hにより構成し、 記真空断熱層2は、前記タンク構成要素19の 層により連通する断熱層空間19fを真空化す ことにより構成し、前記蓄熱層5は、前記タ ク構成要素19の積層により連通する蓄熱層 間19gにより構成したため、貯液部1の外周部 蓄熱層5と真空断熱層2を有し、高い蓄熱性 を持つと共に必要容積の変更要求への対応 を持たせた積層型の蓄熱器S2を提供すること ができる。

 (9) 前記タンク構成要素19にロウを塗布し て複数枚積層し、積層したタンク構成要素19 両端開口部を、前記入口側蓋板16と前記出 側蓋板18とにより閉塞することにより仮組み 立てをし、仮組立容器を炉中内で真空引きし た後に昇温して断熱層2と蓄熱層5を共に真空 する真空ロウ付け法を行った後、前記真空 した蓄熱層5に対し真空吸引により蓄熱材P 充填することにより製造した、つまり、部 間固定と真空化とを共に真空ロウ付け工程 行うため、部品間を溶接やロウ付け等によ 固定した後の別工程にて真空断熱層を真空 する場合に比べ、真空断熱層2の真空度のバ ツキを低く抑えることができると共に、工 の簡略化により製造時間を短縮することが きる。加えて、蓄熱層5の真空化を利用し、 真空吸引により蓄熱材Pを充填するため、短 封入時間で、均一に蓄熱材Pを充填すること できる。

 実施例2の蓄熱器S2の製造方法にあっては、 施例1の蓄熱器S1の製造方法における(1)の効 に加え、下記に列挙する効果を得ることが きる。
  (4) 前記蓄熱器S2は、貯液部1の外周部に蓄 熱層5と真空断熱層2を有し、前記蓄熱層5には 、液相・固相間の相変化に伴い熱の吸収と放 出を行う蓄熱材Pを充填し、前記部品加工工 (ステップS1~ステップS5)は、貯液部空間19hと 熱層空間19gと断熱層空間19fとを有する同一 面形状の板部材によるタンク構成要素19と 入口側蓋板16と、出口側蓋板18と、を加工し 前記仮組み立て工程(ステップS6~ステップS8) は、タンク構成要素19を複数枚積層し、積層 たタンク構成要素19の開口部を入口側蓋板16 と出口側蓋板18とで塞ぐことにより前記貯液 1と前記蓄熱層5と前記真空断熱層2を形成す ため、貯液部1の外周部に蓄熱層5と真空断 層2を有し、高い蓄熱性能を持つと共に必要 積の変更要求への対応性を持たせた積層型 蓄熱器S2の製造方法を提供することができ 。

 (5) 前記タンク構成要素19の積層接合面の うち、蓄熱層空間19gを挟んで貯液部空間19hと 断熱層空間19fとを連結する連結部にエアー抜 け溝19jを設け、前記ロウ付け工程(ステップS1 0)は、炉中での真空引き時、前記エアー抜け 19jを介して貯液部空間19hと真空断熱層空間1 9fとを連通し、炉中での昇温によるロウ付け に毛細管現象によりロウ材を充填して塞ぐ め、ロウ付け工程での真空引きにおいて断 層空間19fからスムーズにエアー抜きがなさ 、真空断熱層2の真空度をより向上させるこ とができる。

 (6) 前記ロウ付け工程(ステップS10)は、工 程終了時、前記真空断熱層2と共に前記蓄熱 5も大気圧より減圧とする真空化状態とし、 記ロウ付け工程の後、真空化した前記蓄熱 5に対し真空吸引により蓄熱材Pを充填し、 の後、充填部分を封止する蓄熱材封入工程( テップS12)を追加したため、真空化した蓄熱 層5を利用し、蓄熱層5に蓄熱材Pを封入するに 際し、大気圧雰囲気で流し込みにより封入す る場合に比べ、短い封入時間にて、かつ、均 一に蓄熱材Pを封入することができる。

 (7) 出口側端板17に形成した蓄熱材封入部 17aに、基準板厚に対して厚みを薄くした薄肉 部17a″を形成し、前記蓄熱材封入工程(ステ プS12)は、蓄熱材Pを充填した封入機の先端部 を、前記蓄熱材封入部17aに差し込み薄肉部17a ″を突き破ることで、真空吸引力により蓄熱 材Pを蓄熱層5に吸い込ませ、蓄熱層5に蓄熱材 Pが充填されると、突き破られた蓄熱材封入 17aにキャップ20を差し込み係合することで塞 ぐため、真空化した蓄熱層5を利用し、蓄熱 5に蓄熱材Pを封入するに際し、予め形成して おいた薄肉部17a″を有する蓄熱材封入部17aを 利用し、簡単な差し込み操作のみで蓄熱層5 蓄熱材Pを封入し、また、簡単なキャップ20 差し込み操作により充填部分を封止するこ ができる。

 実施例3は、実施例2が積層型の蓄熱器の 造方法であるのに対し、貯液部と真空断熱 と蓄熱層を有する多重容器型の蓄熱器の製 方法とした例である。

 まず、構成を説明する。
図19は実施例3の製造方法により製造された蓄 熱器を示す縦断正面図、図20は実施例3の製造 方法により製造された蓄熱器を示す図19のC部 拡大図、図21は実施例3の製造方法により製造 された蓄熱器を示す外観斜視図、図22は実施 3の製造方法により製造された蓄熱器を示す 断面斜視図、図23は実施例3の製造方法により 製造された蓄熱器を示す分解斜視図である。

 実施例3の蓄熱器S3は、図19~図23に示すよ に、貯液部1と、側面真空断熱層2(真空断熱 )と、入口側端面真空断熱層3(真空断熱層)と 出口側端面真空断熱層4(真空断熱層)と、蓄 層5と、入口パイプ6と、出口パイプ7と、第1 円筒側板38(筒状部材)と、第1入口側端板39(入 側板部材)と、第1出口側端板40(出口側板部 )と、第2円筒側板41(筒状部材)と、第2入口側 板42(入口側板部材)と、第2出口側端板43(出 側板部材)と、蛇腹円筒板44(筒状部材)と、を 備えている。

 実施例3の蓄熱器S3は、貯液部1の外周部に 真空断熱層2,3,4を有し、前記貯液部1と前記側 面真空断熱層2との間には、液相・固相間の 変化に伴い熱の吸収と放出を行う蓄熱材を 填した蓄熱層5を設けている。

 前記貯液部1には、熱媒体を流入させる入口 パイプ6と、熱媒体を流出させる出口パイプ7 、が設けられ、前記貯液部1と蓄熱層5とを 切る壁部材を、熱媒体の入口から出口への れに直交する方向に断面波形状の凹凸を有 る蛇腹円筒板44としている。
前記入口パイプ6は、第2入口側端板42と第1入 側端板39とを貫通して固定され、前記出口 イプ7は、第2出口側端板43と第1出口側端板40 を貫通して固定される。

 前記蓄熱層5に充填される蓄熱材は、潜熱蓄 熱性素材として、融解点以上の温度域での固 相から液相への相変化時に融解熱分を蓄熱し 、凝固点以下の温度域での液相から固相への 相変化時に凝固熱分を放熱するパラフィン系 素材を用いている。
前記蓄熱材は、球状皮膜の内部にパラフィン 系素材を封入してマイクロカプセル化したパ ラフィン封入カプセルであり、前記蓄熱層5 は、前記パラフィン封入カプセルの集合体 、液相・固相間の相変化に伴う体積変化分(1 0%程度)を考慮して充填している。

 前記内容器は、第1円筒側板38と、第1入口 側端板39と、第1出口側端板40と、を有する。 して、前記第1円筒側板38の内側位置に、第1 円筒側板38とは同心に蛇腹円筒板44を配置し いる。

 前記外容器は、前記内容器の外側に配置 れ、第2円筒側板41と、第2入口側端板42と、 2出口側端板43と、を有する。

 前記貯液部1は、蛇腹円筒板44と第1入口側 端板39と第1出口側端板40とで囲まれる円柱状 間により構成される。なお、両端板39,40に する蛇腹円筒板44の位置決めは、第1入口側 板39に形成された段差部39aと、第1出口側端 40に形成された段差部40aと、により行われる 。

 前記断熱層としては、側面真空断熱層2と、 入口側端面真空断熱層3と、出口側端面真空 熱層4と、を有し、内容器と外容器との間に 成される間隙を真空化することにより構成 れる。
前記側面真空断熱層2は、第1円筒側板38と第2 筒側板41との間に円筒状の層として形成さ る。前記入口側端面真空断熱層3は、第1入口 側端板39と第2入口側端板42との間に形成され 。前記出口側端面真空断熱層4は、第1出口 端板40と第2出口側端板43との間に形成される 。なお、側面真空断熱層2の径方向間隙は、 2入口側板42に形成された環状突部42aと、第2 口側端板43に形成された環状突部43aとによ 位置決めされることで、外力が加わっても 対位置関係を変えることなく、一定の間隙 保たれる。

 前記蓄熱層5は、第1円筒側板38と蛇腹円筒 板44との間に形成される円筒状空間により構 される。なお、蓄熱層5の径方向間隙は、第 1円筒側板38が環状突部42a,43aにより位置決め れ、蛇腹円筒板44が段差部39a,40aにより位置 めされることにより、一定の間隙に保たれ 。

 次に、作用を説明する。
  [蓄熱作用]
蓄熱材による熱吸収作用について説明すると 、蓄熱器S3内の貯液部1に、入口パイプ6から 口パイプに向かっての流れにより高温の熱 体が流通しているとき、高温の熱媒体から 熱を、蛇腹円筒板44を介して蓄熱層5内の蓄 材が受ける。そして、熱を受けて蓄熱材の 度が上昇し、蓄熱材の融解点に達すると、 熱材が固相から液相に相変化し、この相変 に伴い熱エネルギーを吸収する。
ちなみに、実施例3ではパラフィン封入カプ ルを蓄熱材としているため、蓄熱材の温度 融解点未満で低いときは、封入されている ラフィンが、蝋のように固まった固体であ のに対し、蓄熱材の温度が融解点以上にな と、固体のパラフィンが徐々に液化し、最 に吸熱した状態ではカプセル内で完全に液 となる。

 貯液部1内の熱媒体への蓄熱作用について説 明すると、貯液部1を経過する高温熱媒体の 通が停止すると、図24(a)に示すように、真空 断熱層2,3,4と蓄熱層5との2層に囲まれた貯液 1に高温の熱媒体が封じ込められ、蓄熱器S3 の貯液部1に蓄えられた熱媒体の温度の低下 抑えられ、熱媒体が高温状態のままで保た る。
すなわち、熱媒体流通が停止状態となったま まで長時間が経過し、蓄熱器S3を囲む外気温 低温となっても、真空断熱層2,3,4と蓄熱層5 の二重断熱構造により、貯液部1に蓄えられ た熱媒体から逃げようとする熱エネルギーが 最小に抑えられ、長時間を経過しても貯液部 1の熱媒体を高温状態のままで保つ高い保温 が達成される。

 [放熱作用]
高温熱媒体の放出作用について説明すると、 蓄熱器S3の貯液部1内の高温熱媒体を使う場合 、まず、貯液部1の高温熱媒体が、出口パイ 7を経過して放出される。この高温熱媒体の 出に伴い、図24(b)に示すように、蓄熱器S3の 貯液部1内へ入口パイプ6を経過して低温熱媒 を導入することで、高温と低温の両熱媒体 混合し、蓄熱器S3の貯液部1内の熱媒体温度 低下する。

 蓄熱材からの放熱作用について説明すると 蓄熱器S3の貯液部1内の熱媒体温度が低下し 蛇腹円筒板44を介して蓄熱層5内の蓄熱材か 熱を奪うと、蓄熱材の温度が低下する。そ て、蓄熱材の温度が凝固点に達すると、図2 4(c)に示すように、蓄熱材が液相から固相に 変化し、この相変化に伴い蓄熱材に吸収さ ていた熱が放出され、潜熱による熱エネル ーを、蛇腹円筒板44を介して熱媒体に対し供 給し続け、熱媒体の温度低下を抑える。
ちなみに、実施例3ではパラフィン封入カプ ルを蓄熱材としているため、蓄熱材の温度 凝固点より高いときは、封入されているパ フィンが液体であるのに対し、蓄熱材の温 が凝固点以下に低下すると、液体のパラフ ンが徐々に固体化して放熱し、最大に放熱 た状態ではカプセル内で固体となる。

 [蓄熱性能の比較]
図25に示すエンジン始動時のエンジン冷却水 度の比較特性により蓄熱性能を比較する。
図25において、点線特性はエンジン冷却水の 環回路の途中位置に蓄熱器が無い場合のエ ジン冷却水温度特性、1点鎖線特性はエンジ ン冷却水の循環回路の途中位置に従来の蓄熱 器を設定した場合のエンジン冷却水温度特性 、実線特性はエンジン冷却水の循環回路の途 中位置に実施例3の蓄熱器を設定した場合の ンジン冷却水温度特性である。

 エンジン冷却水の循環回路の途中位置に 熱器が無い場合にエンジンを始動すると、 25の点線特性に示すように、始動時点にお る外気温度レベルによるエンジン冷却水温 から、エンジン駆動による熱エネルギーを け、時間の経過と共にエンジン冷却水温度 上昇する。なお、図25では一定勾配によりエ ンジン冷却水温度が上昇すると仮定する。

 エンジン冷却水の循環回路の途中位置に 来の蓄熱器(真空断熱層のみを有する)を設 した場合にエンジンを始動すると、図25の1 鎖線特性に示すように、エンジン始動時点 蓄熱器から高温のエンジン冷却水が送られ ことにより、始動直後にエンジン冷却水温 立ち上がるが、直ぐに冷たいエンジン冷却 と混じり合うことで温度が低下し、その後 、点線特性に沿ってエンジン冷却水温度が 昇する。

 エンジン冷却水の循環回路の途中位置に 施例3の蓄熱器S3を設定した場合にエンジン 始動すると、図25の実線特性に示すように エンジン始動時点で蓄熱器から高温のエン ン冷却水が送られることにより、始動直後 エンジン冷却水温が立ち上がる。そして、 たいエンジン冷却水と混じり合うことで温 が低下しようとすると、蓄熱材に蓄えられ いた熱を放出することでエンジン冷却水の 度低下が抑えられ、2サイクル目以降からも ンジン冷却水温度が上昇する。

 上記エンジン冷却水温度特性により蓄熱 の性能を比較する場合、「顕熱」と「潜熱 とが関係する。前記「顕熱」とは、相変化 しに蓄えられる熱エネルギーをいい、前記 潜熱」とは、固相と液相間の相変化に伴っ 吸収あるいは放出される熱エネルギーをい 。そして、「潜熱」の場合は、「顕熱」の 合に比べ、桁違いに大きい熱量を蓄えるこ ができる。

 これに対し、従来の蓄熱器(例えば、特開 2004-20027号公報参照)は、高温のエンジン冷却 を蓄える、つまり、上記「顕熱」のみを利 するものであるため、図25に示すように、 えた高温のエンジン冷却水を使い切ってし えば、その後、熱エネルギーの追加が無い いうように、顕熱効果代が低い。このため エンジン冷却水の循環回路の途中位置に蓄 器が無い場合の暖機温度に達する時間T3に対 し、暖機温度に達する時間T2はわずかに短縮 れるのみである。

 一方、実施例3の蓄熱器S3は、保温性を保 つつ熱媒体に蓄えた「顕熱」と、蓄熱層5の 蓄熱材から放出される「潜熱」と、を有効に 併用するものであるため、図25に示すように 顕熱効果代に、熱エネルギーを追加する潜 効果代が加わる。このため、エンジン冷却 の循環回路の途中位置に蓄熱器が無い場合 暖機温度に達する時間T3に対し、暖機温度 達する時間T1が大幅に短縮される。

 [蓄熱器の製造方法]
実施例3の蓄熱器S3は、部品加工工程と、仮組 み立て工程と、ロウ付け工程と、による真空 ロウ付け方法により製造される。

 ・部品加工工程
部品加工工程では、蓄熱器S3を構成する構成 品が加工される。すなわち、貯液部1と蓄熱 層5と真空断熱層2とを形成する3つの筒状部材 38,41,44と、入口側板部材39,42と、出口側板部 40,43と、入口パイプ6と、出口パイプ7と、が レスや打ち抜き成形等により加工される。

 ・仮組み立て工程
仮組み立て工程では、加工した構成部品が容 器状に組み立てられる。すなわち、3つの筒 部材38,41,44を同心状に組み立て、その開口部 を入口側板部材39,42と、出口側板部材40,43と 塞ぐことにより、貯液部1と蓄熱層5と真空断 熱層2が形成される。

 ・ロウ付け工程
ロウ付け工程では、ロウ材を塗布し、治具に より容器状に形を整えた後、炉に入れ、炉中 内を真空化する真空引き工程と、炉中内の温 度を上昇させる昇温工程と、溶けたロウによ り部品間を固定するロウ付け工程と、ロウ付 け固定した容器を冷却する冷却工程を経過し てロウ付け固定を完了する。
なお、蓄熱層5への蓄熱材の封入に関しては 実施例2の場合と同様に、真空引きにより充 しても良いし、また、大気圧雰囲気の蓄熱 5へ流し込みにより蓄熱材を封入しても良い 。
以上の工程により蓄熱器S3が製造される。

 したがって、ロウ付け工程において、炉 の真空雰囲気を、安定した真空雰囲気とす 管理を行うことにより、個別管理により大 雰囲気の中で真空引きを行う場合に比べ、 ラツキのない安定した真空度品質の真空断 層2,3,4を形成することができる。

 また、ロウ付け工程では、部品間固定と 空化とが共に達成されるため、部品間を溶 等により固定した後の別工程にて真空断熱 を真空化する場合に比べ、工程が簡略化さ 、製造手間の減少や製造時間の短縮が図ら る。

 次に、効果を説明する。
実施例3の蓄熱器S3の製造方法にあっては、実 施例1の蓄熱器S1の製造方法における(1)の効果 に加え、下記の効果を得ることができる。
  (8) 前記蓄熱器S2は、貯液部1の外周部に蓄 熱層5と真空断熱層2を有し、前記蓄熱層5には 、液相・固相間の相変化に伴い熱の吸収と放 出を行う蓄熱材Pを充填し、部品加工工程で 、貯液部1と蓄熱層5と真空断熱層2とを形成 る3つの筒状部材38,41,44と、入口側板部材39,42 と、出口側板部材40,43と、を加工し、仮組み て工程では、3つの筒状部材38,41,44を同心状 組み立て、その開口部を入口側板部材39,42 、出口側板部材40,43とで塞ぐことにより、貯 液部1と蓄熱層5と真空断熱層2を形成したため 、貯液部1の外周部に蓄熱層5と真空断熱層2を 有し、高い蓄熱性能を持つ多重容器型の蓄熱 器S3の製造方法を提供することができる。

 実施例4は、実施例2の蓄熱器S2または実施 例3の蓄熱器S3(以下、「蓄熱器S」という。)を 、車載熱発生源と車載熱要求源とが熱媒体回 路により接続された車載熱システムに適用し た例である。

 まず、構成を説明する。
図26は実施例4の蓄熱器Sを用いたエンジン冷 水循環システム(車載熱システムの一例)を示 すエンジン冷却水循環回路図である。
エンジン駆動状態でエンジン冷却水(熱媒体) 加熱するエンジン21(車載熱発生源)と、エン ジン冷却水の温度が降下するエンジン停止状 態からのエンジン始動時に加熱したエンジン 冷却水を要求するエンジン21(車載熱要求源) びヒータコア22(車載熱要求源)と、がエンジ 冷却水循環回路により接続されている。
前記エンジン21は、駆動状態で冷却水を加熱 ることで車載熱発生源といえるし、停止状 で冷却水の温度が降下することで車載熱要 源ともいえる。
前記ヒータコア22は、車室内の温度を制御す エアーコンディショナーのユニット内に配 され、エンジン冷却水を加熱媒体とするこ で車載熱要求源といえる。

 前記エンジン冷却水循環回路には、入口側 前記エンジン21に接続し、出口側を前記エ ジン21とヒータコア22に接続した蓄熱器Sを設 定している。
前記蓄熱器Sは、貯液部1と断熱層2,3,4との間 、液相・固相間の相変化に伴い熱の吸収と 出を行う蓄熱材を充填した蓄熱層5を設けて る(実施例2,実施例3を参照)。

 前記エンジン21と前記蓄熱器Sの入口側と 接続する回路に第1バルブ23を設け、前記蓄 器Sの出口側と前記エンジン21及びヒータコ 22とを接続する回路に第2バルブ24を設けて る。なお、エンジン21とラジエータ25とを結 エンジン冷却水循環回路には、サーモバル 26と循環ポンプ27とが設けられている。

 前記第1バルブ23と第2バルブ24と循環ポン 27とは、コントローラ28(熱媒体循環制御手 )によりその作動が制御される。

 前記コントローラ28は、基本的に、エンジ 駆動状態で前記第1バルブ23と前記第2バルブ2 4とを開き、エンジン21が停止すると前記第1 ルブ23と前記第2バルブ24とを閉じ、エンジン 21の始動時に前記第1バルブ23と前記第2バルブ 24とを開く制御をする。
これに対し、実施例4の場合、車載熱要求源 2つ存在することで、エンジン始動時であっ エンジン暖機優先時、前記第2バルブ24を前 エンジン21側に開き、エンジン始動時であ て車室内暖房優先時、前記第2バルブ24を前 ヒータコア22側に開く制御を行う。

 次に、作用を説明する。
  [蓄熱作用]
エンジン駆動による通常走行状態のとき、コ ントローラ28において、第1バルブ23が開かれ 暖房使用時には、第2バルブ24がヒータコア2 2側に開かれ、循環ポンプ27が駆動される。
したがって、図27(a)に示すように、エンジン2 1からの高温のエンジン冷却水は、蓄熱器Sの 口側から出口側を経過し、暖房使用時、ヒ タコア22を介してエンジン21に送られる。こ のため、エンジン冷却水の温度が上昇して蓄 熱材の融解点に達すると、蓄熱材が固相から 液相に相変化し、この相変化に伴い熱エネル ギーを吸収する。

 そして、エンジン21が停止すると、コント ーラ28において、第1バルブ23と第2バルブ24が 閉じられ、かつ、循環ポンプ27が停止される
したがって、図27(b)に示すように、断熱層2,3, 4と蓄熱層5との2層に囲まれた貯液部1にエン ン冷却水が封じ込められ、蓄熱器S内に蓄え れたエンジン冷却水の温度の低下が抑えら 、エンジン冷却水が高温状態のままで保た る。

 [エンジン暖機優先時]
その後、エンジン21の始動時であって、エン ン暖機優先時には、コントローラ28におい 、第1バルブ23が開かれ、第2バルブ24がエン ン21側に開かれ、循環ポンプ27が駆動される
したがって、図27(c)に示すように、エンジン 却水の循環サイクルのうち、1サイクル目は 、蓄熱器Sに蓄えられていた高温のエンジン 却水がエンジン21に送り込まれる。そして、 システム環境の温度影響を受けるし低温のエ ンジン冷却水と混合されることで、蓄熱器S のエンジン冷却水の温度が低下する。
しかし、蓄熱器S内のエンジン冷却水温度低 により蓄熱材が凝固点に達する2サイクル目 降は、蓄熱材が液相から固相に相変化し、 の相変化に伴い蓄熱材に吸収されていた熱 放出され、潜熱による熱エネルギーをエン ン冷却水に対し供給し続ける。つまり、2サ イクル目以降においては、蓄熱材からの熱放 出によりエンジン冷却水の温度低下が抑えら れ、高温を保ったエンジン冷却水がエンジン 21に送り込まれる。

 [車室内暖房優先時]
一方、エンジン21の始動時であって、車室内 房優先時には、コントローラ28において、 1バルブ23が開かれ、第2バルブ24がヒータコ 22側に開かれ、循環ポンプ27が駆動される。
したがって、図27(d)に示すように、エンジン 却水の循環サイクルのうち、1サイクル目は 、蓄熱器Sに蓄えられていた高温のエンジン 却水がヒータコア22に送り込まれる。そして 、システム環境の温度影響を受けるし低温の エンジン冷却水と混合されることで、蓄熱器 S内のエンジン冷却水が低下する。
しかし、蓄熱器S内のエンジン冷却水温度低 により蓄熱材が凝固点に達する2サイクル目 降は、蓄熱材が液相から固相に相変化し、 の相変化に伴い蓄熱材に吸収されていた熱 放出され、潜熱による熱エネルギーをエン ン冷却水に対し供給し続ける。つまり、2サ イクル目以降においては、蓄熱材からの熱放 出によりエンジン冷却水の温度低下が抑えら れ、高温を保ったエンジン冷却水がヒータコ ア22に送り込まれる。

 次に、効果を説明する。
実施例4の蓄熱器Sを用いたエンジン冷却水循 システムにあっては、下記に列挙する効果 得ることができる。
  (1) パワーユニット駆動状態で熱媒体を加 熱する車載熱発生源と、熱媒体の温度が降下 するパワーユニット停止状態からの始動時に 高温の熱媒体を要求する車載熱要求源と、が 熱媒体回路により接続された車載熱システム において、前記熱媒体回路に、入口側を前記 車載熱発生源に接続し、出口側を前記車載熱 要求源に接続した蓄熱器Sを設定し、前記蓄 器Sは、貯液部1と断熱層2,3,4との間に、液相 固相間の相変化に伴い熱の吸収と放出を行 蓄熱材を充填した蓄熱層5を設け、前記車載 熱発生源と前記蓄熱器Sの入口側とを接続す 回路に第1バルブ23を設け、前記蓄熱器Sの出 側と前記車載熱要求源とを接続する回路に 2バルブ24を設け、パワーユニット駆動状態 前記第1バルブ23と前記第2バルブ24とを開き パワーユニットが停止すると前記第1バルブ 23と前記第2バルブ24とを閉じ、パワーユニッ の始動時に前記第1バルブ23と前記第2バルブ 24とを開くコントローラ28を設けたため、簡 な熱媒体循環制御としながら、パワーユニ トの始動時、「顕熱」と「潜熱」を併用す 蓄熱器Sから、車載熱要求源に対して高温の 媒体を送り続けることで、期待に応えるエ ジン暖機促進や、期待に応える車室内の暖 能力の向上を達成することができる。

 (2) 前記車載熱発生源は、駆動状態で冷 水を加熱するエンジン21であり、前記車載熱 要求源は、停止状態で冷却水の温度が降下す るエンジン21と、エンジン冷却水を加熱媒体 するエアーコンディショナーのヒータコア2 2と、であり、前記コントローラ28は、エンジ ン始動時であってエンジン暖機優先時、前記 第2バルブ24を前記エンジン21側に開き、エン ン始動時であって車室内暖房優先時、前記 2バルブ24を前記ヒータコア22側に開くため 簡単なエンジン冷却水の循環制御としなが 、エンジン始動時であって、エンジン暖機 先時には、期待に応えるエンジン21の暖機促 進を達成することができるし、エンジン始動 時であって、車室内暖房優先時には、期待に 応える車室内の暖房能力の向上を達成するこ とができる。

 実施例5は、実施例4の蓄熱器Sを用いたエ ジン冷却水循環システムにおいて、第2バル ブ24とヒータコア22とを接続する回路にポン 29を追加した例である。

 まず、構成を説明する。
図28は実施例5の蓄熱器Sを用いたエンジン冷 水循環システム(車載熱システムの一例)を示 すエンジン冷却水循環回路図である。
実施例5において、車載熱発生源は、駆動状 で冷却水を加熱するエンジン21であり、車載 熱要求源は、停止状態で冷却水の温度が降下 するエンジン21と、エンジン冷却水を加熱媒 とするエアーコンディショナーのヒータコ 22と、である。

 そして、第2バルブ24とヒータコア22とを 続する回路にポンプ29を設け、前記コントロ ーラ28は、エンジン始動時であってエンジン 機優先時、前記第2バルブ24を前記エンジン2 1側に開き、エンジン始動時であって車室内 房優先時、前記第2バルブ24を前記ヒータコ 22側に開くと共に、前記ポンプ29を作動させ 蓄熱器Sからヒータコア22へ送る流量を調整 る。なお、他の構成は、実施例4と同様であ るので、対応する構成に同一符号を付して説 明を省略する。

 次に、作用を説明する。
  [蓄熱作用]
エンジン駆動による通常走行状態のとき、コ ントローラ28において、第1バルブ23が開かれ 暖房使用時には、第2バルブ24がヒータコア2 2側に開かれると共にポンプ29と循環ポンプ27 駆動される。
したがって、図29(a)に示すように、エンジン2 1からの高温のエンジン冷却水は、蓄熱器Sの 口側から出口側を経過し、暖房使用時、ヒ タコア22を介してエンジン21に送られる。こ のため、エンジン冷却水の温度が上昇して蓄 熱材の融解点に達すると、蓄熱材が固相から 液相に相変化し、この相変化に伴い熱エネル ギーを吸収する。

 そして、エンジン21が停止すると、コント ーラ28において、第1バルブ23と第2バルブ24が 閉じられ、かつ、ポンプ29と循環ポンプ27が 止される。
したがって、図29(b)に示すように、断熱層2,3, 4と蓄熱層5との2層に囲まれた貯液部1にエン ン冷却水が封じ込められ、蓄熱器S内に蓄え れたエンジン冷却水の温度の低下が抑えら 、エンジン冷却水が高温状態のままで保た る。

 [エンジン暖機優先時]
その後、エンジン21の始動時であって、エン ン暖機優先時には、コントローラ28におい 、第1バルブ23が開かれ、第2バルブ24がエン ン21側に開かれ、循環ポンプ27が駆動される
したがって、図29(c)に示すように、エンジン 却水の循環サイクルのうち、1サイクル目は 、蓄熱器Sに蓄えられていた高温のエンジン 却水がエンジン21に送り込まれる。そして、 システム環境の温度影響を受けるし低温のエ ンジン冷却水と混合されることで、蓄熱器S のエンジン冷却水の温度が低下する。
しかし、蓄熱器S内のエンジン冷却水温度低 により蓄熱材が凝固点に達する2サイクル目 降は、蓄熱材が液相から固相に相変化し、 の相変化に伴い蓄熱材に吸収されていた熱 放出され、潜熱による熱エネルギーをエン ン冷却水に対し供給し続ける。つまり、2サ イクル目以降においては、蓄熱材からの熱放 出によりエンジン冷却水の温度低下が抑えら れ、高温を保ったエンジン冷却水がエンジン 21に送り込まれる。

 [車室内暖房優先時]
一方、エンジン21の始動時であって、車室内 房優先時には、コントローラ28において、 1バルブ23が開かれ、第2バルブ24がヒータコ 22側に開かれると共にポンプ29が駆動制御さ 、循環ポンプ27が駆動される。
したがって、図29(d)に示すように、エンジン 却水の循環サイクルのうち、1サイクル目は 、蓄熱器Sに蓄えられていた高温のエンジン 却水がヒータコア22に送り込まれる。そして 、システム環境の温度影響を受けるし低温の エンジン冷却水と混合されることで、蓄熱器 S内のエンジン冷却水が低下する。
しかし、蓄熱器S内のエンジン冷却水温度低 により蓄熱材が凝固点に達する2サイクル目 降は、蓄熱材が液相から固相に相変化し、 の相変化に伴い蓄熱材に吸収されていた熱 放出され、潜熱による熱エネルギーをエン ン冷却水に対し供給し続ける。つまり、2サ イクル目以降においては、蓄熱材からの熱放 出によりエンジン冷却水の温度低下が抑えら れ、高温を保ったエンジン冷却水が、流量を 調整するポンプ29を介し、ヒータコア22に送 込まれる。

 次に、効果を説明する。
実施例5の蓄熱器Sを用いたエンジン冷却水循 システムにあっては、実施例4の(1)の効果に 加え、下記の効果を得ることができる。
  (3) 前記車載熱発生源は、駆動状態で冷却 水を加熱するエンジン21であり、車載熱要求 は、停止状態で冷却水の温度が降下するエ ジン21と、エンジン冷却水を加熱媒体とす エアーコンディショナーのヒータコア22と、 であり、前記第2バルブ24と前記ヒータコア22 を接続する回路にポンプ29を設け、前記コ トローラ28は、エンジン始動時であってエン ジン暖機優先時、前記第2バルブ24を前記エン ジン21側に開き、エンジン始動時であって車 内暖房優先時、前記第2バルブ24を前記ヒー コア22側に開くと共に、前記ポンプ29を作動 させて蓄熱器Sからヒータコア22へ送る流量を 調整するため、エンジン始動時であって、エ ンジン暖機優先時には、期待に応えるエンジ ン21の暖機促進を達成することができるし、 ンジン始動時であって、車室内暖房優先時 は、期待に応える車室内の暖房能力の向上 達成することができると共に、流量調整に り暖房性能をコントロールすることができ 。

 実施例6は、実施例4及び実施例5がエンジ 車のエンジン冷却水循環システムへの適用 であるのに対し、ハイブリッド車の駆動モ タ用電装品冷却水循環システムへの適用例 ある。

 まず、構成を説明する。
図30は実施例6の蓄熱器Sを用いた駆動モータ 電装品冷却水循環システム(車載熱システム 一例)を示す冷却水循環回路図である。

 実施例6において、車載熱発生源は、駆動状 態でインバータ冷却水を加熱するインバータ 冷却器30と、駆動状態でバッテリー冷却水を 熱するバッテリー冷却器31であり、車載熱 求源は、インバータ冷却水とバッテリー冷 水を加熱媒体とするエアーコンディショナ のヒータコア22である。
ここで、ハイブリッド車の駆動モータとして は、高定格出力の三相交流モータ等が使用さ れる。このため、交流(モータ側)と直流(バッ テリ側)とを相互に変換するインバータも大 となり、スイッチング回路やコンデンサ等 熱を持つ関係上、水冷が必要となる。また 駆動用バッテリーも他の車載電装品用のバ テリーとは別に、大型の駆動モータ専用バ テリーを搭載していて、このバッテリーも 冷が必要となる。

 前記コントローラ28は、エンジン始動時 前記第1バルブ23と前記第2バルブ24を開く制 を行う。なお、他の構成は、実施例4及び実 例5と同様であるので、対応する構成に同一 符号を付して説明を省略する。

 次に、作用を説明する。
  [蓄熱作用]
エンジンまたはモータの一方を駆動する通常 走行状態のとき、コントローラ28において、 1バルブ23と第2バルブ24が開かれ、循環ポン 27が駆動される。
したがって、図31(a)に示すように、インバー 冷却器30及びバッテリー冷却器31からの高温 の冷却水は、蓄熱器Sの入口側から出口側を 過し、ラジエータ25とヒータコア22に送られ 。このため、冷却水の温度が上昇して蓄熱 の融解点に達すると、蓄熱材が固相から液 に相変化し、この相変化に伴い熱エネルギ を吸収する。

 そして、エンジン停止時には、コントロー 28において、第1バルブ23と第2バルブ24が閉 られ、かつ、循環ポンプ27が停止される。
したがって、図31(b)に示すように、断熱層2,3, 4と蓄熱層5との2層に囲まれた貯液部1に冷却 が封じ込められ、蓄熱器S内に蓄えられた冷 水の温度の低下が抑えられ、冷却水が高温 態のままで保たれる。

 [エンジン始動時]
エンジン始動時(車室内暖房時)には、コント ーラ28において、第1バルブ23と第2バルブ24 開かれ、循環ポンプ27が駆動される。
したがって、図31(c)に示すように、冷却水の 環サイクルのうち、1サイクル目は、蓄熱器 Sに蓄えられていた高温の冷却水がヒータコ 22に送り込まれる。そして、システム環境の 温度影響を受けるし低温の冷却水と混合され ることで、蓄熱器S内の冷却水の温度が低下 る。
しかし、蓄熱器S内の冷却水温度低下により 熱材が凝固点に達する2サイクル目以降は、 熱材が液相から固相に相変化し、この相変 に伴い蓄熱材に吸収されていた熱が放出さ 、潜熱による熱エネルギーを冷却水に対し 給し続ける。つまり、2サイクル目以降にお いては、蓄熱材からの熱放出により冷却水の 温度低下が抑えられ、高温を保った冷却水が ヒータコア22に送り込まれる。

 次に、効果を説明する。
実施例6の蓄熱器Sを用いた駆動モータ用電装 冷却水循環システムにあっては、実施例4の (1)の効果に加え、下記の効果を得ることがで きる。
  (4) 前記車載熱発生源は、駆動状態でイン バータ冷却水を加熱するインバータ冷却器30 、駆動状態でバッテリー冷却水を加熱する ッテリー冷却器31であり、車載熱要求源は インバータ冷却水とバッテリー冷却水を加 媒体とするエアーコンディショナーのヒー コア22であり、前記コントローラ28は、エン ン始動時、前記第1バルブ23と前記第2バルブ 24を開く制御を行うため、ハイブリッド車で エンジン始動時、期待に応える車室内の暖 能力の向上を達成することができる。

 実施例7は、実施例6の蓄熱器Sを用いた駆 モータ用電装品冷却水循環システムにおい 、第2バルブ24とヒータコア22とを接続する 路にポンプ29を追加した例である。

 まず、構成を説明する。
図32は実施例7の蓄熱器Sを用いた駆動モータ 電装品冷却水循環システム(車載熱システム 一例)を示す冷却水循環回路図である。

 実施例7において、車載熱発生源は、駆動 状態でインバータ冷却水を加熱するインバー タ冷却器30と、駆動状態でバッテリー冷却水 加熱するバッテリー冷却器31であり、車載 要求源は、インバータ冷却水とバッテリー 却水を加熱媒体とするエアーコンディショ ーのヒータコア22である。

 そして、前記第2バルブ24と前記ヒータコ 22とを接続する回路にポンプ29を設け、前記 コントローラ28は、エンジン始動時、前記第1 バルブ23と前記第2バルブ24を開くと共に、前 ポンプ29を作動させて蓄熱器Sからヒータコ 22へ送る流量を調整する制御を行う。なお 他の構成は、実施例4及び実施例5と同様であ るので、対応する構成に同一符号を付して説 明を省略する。

 次に、作用を説明する。
  [蓄熱作用]
エンジンまたはモータの一方を駆動する通常 走行状態のとき、コントローラ28において、 1バルブ23と第2バルブ24が開かれ、循環ポン 27が駆動され、暖房使用時にはポンプが駆 される。
したがって、図33(a)に示すように、インバー 冷却器30及びバッテリー冷却器31からの高温 の冷却水は、蓄熱器Sの入口側から出口側を 過し、ラジエータ25に送られるし、暖房使用 時にはヒータコア22に送られる。このため、 却水の温度が上昇して蓄熱材の融解点に達 ると、蓄熱材が固相から液相に相変化し、 の相変化に伴い熱エネルギーを吸収する。

 そして、エンジン停止時には、コントロー 28において、第1バルブ23と第2バルブ24が閉 られ、かつ、循環ポンプ27とポンプ29が停止 れる。
したがって、図33(b)に示すように、断熱層2,3, 4と蓄熱層5との2層に囲まれた貯液部1に冷却 が封じ込められ、蓄熱器S内に蓄えられた冷 水の温度の低下が抑えられ、冷却水が高温 態のままで保たれる。

 [エンジン始動時]
エンジン始動時(車室内暖房時)には、コント ーラ28において、第1バルブ23と第2バルブ24 開かれ、循環ポンプ27が駆動され、ポンプ29 流量調整のために駆動される。
したがって、図33(c)に示すように、冷却水の 環サイクルのうち、1サイクル目は、蓄熱器 Sに蓄えられていた高温の冷却水がポンプ29を 介してヒータコア22に送り込まれる。そして システム環境の温度影響を受けるし低温の 却水と混合されることで、蓄熱器S内の冷却 水の温度が低下する。
しかし、蓄熱器S内の冷却水温度低下により 熱材が凝固点に達する2サイクル目以降は、 熱材が液相から固相に相変化し、この相変 に伴い蓄熱材に吸収されていた熱が放出さ 、潜熱による熱エネルギーを冷却水に対し 給し続ける。つまり、2サイクル目以降にお いては、蓄熱材からの熱放出により冷却水の 温度低下が抑えられ、高温を保った冷却水が 、流量を調整するポンプ29を介し、ヒータコ 22に送り込まれる。

 次に、効果を説明する。
実施例7の蓄熱器Sを用いた駆動モータ用電装 冷却水循環システムにあっては、実施例4の (1)の効果に加え、下記の効果を得ることがで きる。
  (5) 車載熱発生源は、駆動状態でインバー タ冷却水を加熱するインバータ冷却器30と、 動状態でバッテリー冷却水を加熱するバッ リー冷却器31であり、車載熱要求源は、イ バータ冷却水とバッテリー冷却水を加熱媒 とするエアーコンディショナーのヒータコ 22であり、前記第2バルブ24と前記ヒータコア 22とを接続する回路にポンプ29を設け、前記 ントローラ28は、エンジン始動時、前記第1 ルブ23と前記第2バルブ24を開くと共に、前記 ポンプ29を作動させて蓄熱器Sからヒータコア 22へ送る流量を調整するため、ハイブリッド でのエンジン始動時、期待に応える車室内 暖房能力の向上を達成することができると に、流量調整により暖房性能をコントロー することができる。

 以上、本発明の蓄熱器と蓄熱器の製造方 と蓄熱器を用いた車載熱システムを実施例1 ~実施例7に基づき説明してきたが、具体的な 成については、これらの実施例に限られる のではなく、特許請求の範囲の各請求項に る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変 や追加等は許容される。

 実施例1及び実施例2では、複数のタンク 成要素を1枚おきに裏返して積層する例を示 たが、複数のタンク構成要素を同じ断面形 のまま積層するような例としても良い。ま 、実施例1及び実施例2では、入口側蓋部材 出口側蓋部材とタンク構成要素を構成部品 する例を示したが、タンク構成要素を、例 ば、蓋部材を兼用する断面形状に設定した 合には、蓋部材を省略しても良い。要する 、貯液部と断熱層とを、同一断面形状の板 材によるタンク構成要素を複数枚積層する とにより形成したものであれば、本発明に まれる。

 実施例2では、蓄熱性素材としてパラフィ ン系素材を用いた例を示したが、例えば、相 変化温度を重合度に応じて設定可能なポリエ チレングリコールや、相変化温度域が広範な 無機塩・水和物/水溶液(例えば、酢酸ナトリ ム、酢酸ナトリウム混合物、塩化カルシウ 六水塩等)等のように、他の蓄熱性素材を用 いても良い。

 また、実施例2では、蓄熱材として、球状 皮膜の内部にパラフィン系素材を封入してマ イクロカプセル化したパラフィン封入カプセ ルを用いた例を示したが、蓄熱性素材を樹脂 製容器に充填するパッケージ化や、樹脂に蓄 熱性素材を練り込み成形したものをラミネー ト被覆する等、他の処理・加工を行ったもの を用いても良い。

 蓄熱器の製造方法において、蓄熱器を構 する構成部品の形状としては、実施例1~実 例3に示す形状に限られるものではなく、蓄 器の構造タイプに応じた様々な形状として 良い。また、仮組み立て工程では、サブ組 立てを行うことなく、加工した構成部品を 々と組み付けて容器状に組み立てるように ても良い。要するに、蓄熱器を構成する構 部品を加工する部品加工工程と、加工した 成部品を容器状に組み立てる仮組み立て工 と、仮組み立てした容器を、炉中で真空引 した後、昇温することで、真空雰囲気の中 各構成部品を一体にロウ付けするロウ付け 程と、を備えたものであれば本発明に含ま る。

 実施例1,2では、熱媒体を水とする蓄熱器 の適用例を示したが、熱媒体が水以外の液 の蓄熱器としても良い。また、エンジン車 エンジン冷却水循環システムやハイブリッ 車の駆動モータ用電装品冷却水循環システ への適用例を示したが、車両以外の様々な 途の蓄熱器としても適用することができる

 実施例1では貯液部と真空断熱層を有する 積層型の蓄熱器の製造方法の例を示し、実施 例2では貯液部と蓄熱層と真空断熱層を有す 積層型の蓄熱器の製造方法の例を示し、実 例3では貯液部と蓄熱層と真空断熱層を有す 多重容器型の蓄熱器の製造方法の例を示し 。しかし、例えば、貯液部と真空断熱層を する多重容器型の蓄熱器の製造方法として 適用できる。要するに、少なくとも、貯液 と真空断熱層を有する蓄熱器の製造方法と て適用することができる。

 実施例4,5では、車載熱システムとしてエ ジン車のエンジン冷却水循環システムの例 示し、実施例6,7では、車載熱システムとし ハイブリッド車の駆動モータ用電装品冷却 循環システムの例を示したが、電気自動車 駆動モータ用電装品冷却水循環システム等 も適用できる。要するに、パワーユニット 動状態で熱媒体を加熱する車載熱発生源と 熱媒体の温度が降下するパワーユニット停 状態からの始動時に高温の熱媒体を要求す 車載熱要求源と、が熱媒体回路により接続 れた車載熱システムには適用することがで る。