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Title:
METHOD OF PLASMA OXIDATION PROCESSING
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/026531
Kind Code:
A1
Abstract:
The surface of a processing object is subjected to plasma oxidation processing using a plasma of 1Œ1012 cm-3 orhigher O(1D2) radical density and using an oxygenous processing gas in a processing chamber of plasma processing apparatus, thereby forming a silicon oxide film. During the plasma oxidation processing, plasma processing condensations are corrected while measuring the density of O(1D2) radical in plasma by means of VUV monochrometer (63).

Inventors:
HORI MASARU (JP)
SHIOZAWA TOSHIHIKO (JP)
KABE YOSHIRO (JP)
KITAGAWA JUNICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/066526
Publication Date:
March 06, 2008
Filing Date:
August 27, 2007
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Assignee:
UNIV NAGOYA NAT UNIV CORP (JP)
TOKYO ELECTRON LTD (JP)
HORI MASARU (JP)
SHIOZAWA TOSHIHIKO (JP)
KABE YOSHIRO (JP)
KITAGAWA JUNICHI (JP)
International Classes:
H01L21/316; H01L21/31; H01L21/76
Domestic Patent References:
WO2004008519A12004-01-22
WO2004085704A12004-10-07
Attorney, Agent or Firm:
TAKAYAMA, Hiroshi (10-8 Akasaka 2-chome, Minato-ku, Tokyo 52, JP)
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Claims:
 プラズマ処理装置の処理室内で、酸素を含む処理ガスを用い、O( 1 D 2 )ラジカルの密度が1×10 12 [cm -3 ]以上のプラズマを生成し、該プラズマにより被処理体の表面を酸化処理する、プラズマ酸化処理方法。
 前記プラズマは、前記処理ガスと、複数のスロットを有する平面アンテナにより前記処理室内に導入されるマイクロ波と、によって形成されるマイクロ波励起プラズマである、請求項1に記載のプラズマ酸化処理方法。
 被処理体表面のシリコンを酸化処理してシリコン酸化膜を形成する、請求項1に記載のプラズマ酸化処理方法。
 前記プラズマにより、被処理体に形成された凹部に露出しているシリコン表面を酸化してシリコン酸化膜を形成する、請求項3に記載のプラズマ酸化処理方法。
 前記シリコン酸化膜を形成することにより、前記凹部を構成する側壁の上端のシリコンの角部に曲面形状を導入する、請求項4に記載のプラズマ酸化処理方法。
 前記シリコンは、単結晶シリコンまたは多結晶シリコンであることを特徴とする、請求項3に記載のプラズマ酸化処理方法。
 プラズマ酸化処理の際の処理室内の圧力が、1.33~334Paである、請求項1に記載のプラズマ酸化処理方法。
 前記処理ガス中の酸素の割合が0.2~1%である、請求項1に記載のプラズマ酸化処理方法。
 前記処理ガスは、水素を1%以下の割合で含むことを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のプラズマ酸化処理方法。
 プラズマを励起させるためのマイクロ波パワーが、1W/cm 2 以上であることを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のプラズマ酸化処理方法。
 プラズマ処理装置の処理室内で、酸素を含む処理ガスを用い、マイクロ波励起プラズマを生成させるステップと、
 前記プラズマ中のO( 1 D 2 )ラジカル密度を計測するステップと、
 前記O( 1 D 2 )ラジカル密度が1×10 12 [cm -3 ]以上のプラズマを用いて被処理体を酸化処理するステップと、
を含む、プラズマ酸化処理方法。
 前記O( 1 D 2 )ラジカル密度の計測結果に基づき、プラズマ形成条件を補正するステップ、をさらに含む、請求項11に記載のプラズマ酸化処理方法。
 前記プラズマ形成条件が、処理圧力、前記処理ガス中の酸素の割合、またはプラズマを励起させるためのマイクロ波パワーのうちの1つ以上である、請求項12に記載のプラズマ酸化処理方法。
 コンピュータ上で動作し、プラズマ処理装置を制御するプログラムであって、前記プログラムは、実行時に、プラズマ処理装置の処理室内で、酸素を含む処理ガスを用い、O( 1 D 2 )ラジカルの密度が1×10 12 [cm -3 ]以上のプラズマを生成し、該プラズマにより被処理体の表面を酸化処理する、プラズマ酸化処理方法が行なわれるように前記プラズマ処理装置を制御する、プログラム。
 コンピュータ上で動作し、プラズマ処理装置を制御するプログラムであって、前記プログラムは、実行時に、プラズマ処理装置の処理室内で、酸素を含む処理ガスを用い、マイクロ波励起プラズマを生成させるステップと、前記プラズマ中のO( 1 D 2 )ラジカル密度を計測するステップと、前記O( 1 D 2 )ラジカル密度が1×10 12 [cm -3 ]以上のプラズマを用いて被処理体を酸化処理するステップと、を含む、プラズマ酸化処理方法が行なわれるように前記プラズマ処理装置を制御する、プログラム。
 コンピュータ上で動作し、プラズマ処理装置を制御するプログラムが記憶された記憶媒体であって、
 前記プログラムは、実行時に、プラズマ処理装置の処理室内で、酸素を含む処理ガスを用い、O( 1 D 2 )ラジカルの密度が1×10 12 [cm -3 ]以上のプラズマを生成し、該プラズマにより被処理体の表面を酸化処理する、プラズマ酸化処理方法が行なわれるように前記プラズマ処理装置を制御する、記憶媒体。
 コンピュータ上で動作し、プラズマ処理装置を制御するプログラムが記憶された記憶媒体であって、
 前記プログラムは、実行時に、プラズマ処理装置の処理室内で、酸素を含む処理ガスを用い、マイクロ波励起プラズマを生成させるステップと、前記プラズマ中のO( 1 D 2 )ラジカル密度を計測するステップと、前記O( 1 D 2 )ラジカル密度が1×10 12 [cm -3 ]以上のプラズマを用いて被処理体を酸化処理するステップと、を含む、プラズマ酸化処理方法が行なわれるように前記プラズマ処理装置を制御する、記憶媒体。
 被処理体をプラズマ処理するための真空排気可能な処理室と、
 前記処理室内にマイクロ波を導入するための複数のスロットを有する平面アンテナと、
 前記プラズマ中のO( 1 D 2 )ラジカル密度を計測する計測手段と、
 前記処理室内で、酸素を含む処理ガスを用い、O( 1 D 2 )ラジカルの密度が1×10 12 [cm -3 ]以上のプラズマを生成し、該プラズマにより被処理体の表面を酸化処理する、プラズマ酸化処理方法が行なわれるように制御する制御部と、
を具備する、プラズマ処理装置。
 被処理体をプラズマ処理するための真空排気可能な処理室と、
 前記処理室内にマイクロ波を導入するための複数のスロットを有する平面アンテナと、
 前記プラズマ中のO( 1 D 2 )ラジカル密度を計測する計測手段と、
 前記処理室内で、酸素を含む処理ガスを用い、マイクロ波励起プラズマを生成させるステップと、前記プラズマ中のO( 1 D 2 )ラジカル密度を計測するステップと、前記O( 1 D 2 )ラジカル密度が1×10 12 [cm -3 ]以上のプラズマを用いて被処理体を酸化処理するステップと、を含む、プラズマ酸化処理方法が行なわれるように制御する制御部と、
を具備する、プラズマ処理装置。
 被処理体をプラズマ処理するための真空排気可能な処理室と、
 前記処理室内にマイクロ波を導入するための複数のスロットを有する平面アンテナと、
 前記プラズマ中のO( 1 D 2 )ラジカル密度を計測する計測手段と、
 前記O( 1 D 2 )ラジカルの計測結果に基づき、前記O( 1 D 2 )ラジカル密度が1×10 12 [cm -3 ]以上となるようにプラズマ形成条件を制御する制御部と、
を具備する、プラズマ処理装置。
Description:
プラズマ酸化処理方法

 本発明は、プラズマ酸化処理方法に関し 詳細には、例えば、半導体装置の製造過程 シリコンの表面にシリコン酸化膜を形成す 場合などに適用可能なプラズマ酸化処理方 に関する。

 各種半導体装置の製造過程では、半導体ウ ハの表面のシリコン(単結晶シリコンまたは 多結晶シリコン)を酸化することにより、例 ば絶縁膜として有用なシリコン酸化膜[酸化 素(SiO 2 )膜]を形成することが行なわれている。従来 シリコン酸化膜は例えば熱酸化法により形 されていた。しかし、熱酸化処理の場合、1 000℃を超える高温によってシリコン基板に熱 歪みが生じる懸念がある。

 このため、酸素ガスを含む処理ガスによ 形成された酸素含有プラズマを被処理体に 用させてシリコンを酸化処理するプラズマ 化処理方法が提案されている(例えば、国際 公開番号WO2004/008519)。

 上記国際公開番号WO2004/008519に開示されるよ うなプラズマ酸化処理においては、プラズマ 中の活性種であるOラジカルやO 2 + などの作用により、Si-Si結合の切断とSi-O結合 の形成が行なわれると考えられている。これ らプラズマ中の活性種の種類やその密度など は、プラズマ形成条件によって異なり、プラ ズマ処理結果、すなわちシリコン酸化膜の形 成速度(酸化レート)、膜質などに大きな影響 与える。

 従来のプラズマ酸化処理では、プラズマ の活性種の絶対値を把握することが困難で ったため、プラズマ処理の結果であるシリ ン酸化膜の状態から最適な酸化レートや所 の膜質が得られるようにプラズマ処理条件 選定することが行なわれてきた。

 このため、プラズマ処理条件のわずかな 動などにより、期待するようなプラズマ処 結果が得られずに、例えば酸化レートが変 してシリコン酸化膜の膜厚や膜質などにば つきが生じるという問題がある。また、単 晶シリコンを酸化処理する際には、酸化レ トに面方位依存性があることが知られてお 、従来のプラズマ酸化プロセスでは、例え シリコンの(110)面と(100)面で酸化レートに差 異が生じ、面方位が異なる部位において膜厚 を均一に揃えることが困難であるという問題 がある。このように、プラズマ酸化処理には 熱酸化処理とは異なる制御の困難さが存在す るため、シリコン酸化膜を構成要素に含む半 導体デバイスの歩留りを低下させたり、電気 的性能にばらつきが生じて信頼性を低下させ たりする要因となっている。

 本発明の目的は、プラズマ処理結果にばら きを生じさせることなく、安定的かつ確実 酸化処理を行なうことが可能なプラズマ酸 処理方法を提供することにある。
 本発明の他の目的は、被処理体表面をプラ マ酸化処理する際に、プラズマ中の活性種 絶対値を正確に把握することができるプラ マ酸化処理方法を提供することにある。

 本発明の第1の観点によれば、プラズマ処理 装置の処理室内で、酸素を含む処理ガスを用 い、O( 1 D 2 )ラジカルの密度が1×10 12 [cm -3 ]以上のプラズマを生成し、該プラズマによ 被処理体の表面を酸化処理する、プラズマ 化処理方法が提供される。

 上記第1の観点において、前記プラズマと しては、前記処理ガスと、複数のスロットを 有する平面アンテナにより前記処理室内に導 入されるマイクロ波と、によって形成される マイクロ波励起プラズマを用いることができ る。

 また、前記プラズマ酸化処理方法は、被 理体表面のシリコンを酸化処理してシリコ 酸化膜を形成する場合に適用することがで る。この場合、前記プラズマにより、被処 体に形成された凹部に露出しているシリコ 表面を酸化してシリコン酸化膜を形成する のであってもよく、前記シリコン酸化膜を 成することにより、前記凹部を構成する側 の上端のシリコンの角部に曲面形状を導入 るものであってもよい。

 また、前記シリコンは、単結晶シリコンで っても、多結晶シリコンであってもよい。 た、プラズマ酸化処理の際の処理室内の圧 を1.33~334Paとすることができ、また、前記処 理ガス中の酸素の割合を0.2~1%とすることがで きる。前記処理ガスは、水素を1%以下の割合 含んでいてもよい。また、プラズマを励起 せるためのマイクロ波パワーを1W/cm 2 以上とすることができる。

 本発明の第2の観点によれば、プラズマ処理 装置の処理室内で、酸素を含む処理ガスを用 い、マイクロ波励起プラズマを生成させるス テップと、前記プラズマ中のO( 1 D 2 )ラジカル密度を計測するステップと、 前記 O( 1 D 2 )ラジカル密度が1×10 12 [cm -3 ]以上のプラズマを用いて被処理体を酸化処 するステップと、を含む、プラズマ酸化処 方法が提供される。

 上記第2の観点において、前記O( 1 D 2 )ラジカル密度の計測結果に基づき、プラズ 形成条件を補正するステップ、をさらに含 でもよい。また、前記プラズマ形成条件は 処理圧力、前記処理ガス中の酸素の割合、 たはプラズマを励起させるためのマイクロ パワーのうちの1つ以上であってもよい。

 本発明の第3の観点によれば、コンピュータ 上で動作し、プラズマ処理装置を制御するプ ログラムであって、前記プログラムは、実行 時に、プラズマ処理装置の処理室内で、酸素 を含む処理ガスを用い、O( 1 D 2 )ラジカルの密度が1×10 12 [cm -3 ]以上のプラズマを生成し、該プラズマによ 被処理体の表面を酸化処理する、プラズマ 化処理方法が行なわれるように前記プラズ 処理装置を制御する、プログラムが提供さ る。

 本発明の第4の観点によれば、コンピュータ 上で動作し、プラズマ処理装置を制御するプ ログラムであって、前記プログラムは、実行 時に、プラズマ処理装置の処理室内で、酸素 を含む処理ガスを用い、マイクロ波励起プラ ズマを生成させるステップと、前記プラズマ 中のO( 1 D 2 )ラジカル密度を計測するステップと、前記O( 1 D 2 )ラジカル密度が1×10 12 [cm -3 ]以上のプラズマを用いて被処理体を酸化処 するステップと、を含む、プラズマ酸化処 方法が行なわれるように前記プラズマ処理 置を制御する、プログラムが提供される。

 本発明の第5の観点によれば、コンピュータ 上で動作し、プラズマ処理装置を制御するプ ログラムが記憶された記憶媒体であって、
 前記プログラムは、実行時に、プラズマ処 装置の処理室内で、酸素を含む処理ガスを い、O( 1 D 2 )ラジカルの密度が1×10 12 [cm -3 ]以上のプラズマを生成し、該プラズマによ 被処理体の表面を酸化処理する、プラズマ 化処理方法が行なわれるように前記プラズ 処理装置を制御する、記憶媒体が提供され 。

 本発明の第6の観点によれば、コンピュータ 上で動作し、プラズマ処理装置を制御するプ ログラムが記憶された記憶媒体であって、前 記プログラムは、実行時に、プラズマ処理装 置の処理室内で、酸素を含む処理ガスを用い 、マイクロ波励起プラズマを生成させるステ ップと、前記プラズマ中のO( 1 D 2 )ラジカル密度を計測するステップと、前記O( 1 D 2 )ラジカル密度が1×10 12 [cm -3 ]以上のプラズマを用いて被処理体を酸化処 するステップと、を含む、プラズマ酸化処 方法が行なわれるように前記プラズマ処理 置を制御する、記憶媒体が提供される。

 本発明の第7の観点によれば、被処理体をプ ラズマ処理するための真空排気可能な処理室 と、前記処理室内にマイクロ波を導入するた めの複数のスロットを有する平面アンテナと 、前記プラズマ中のO( 1 D 2 )ラジカル密度を計測する計測手段と、前記 理室内で、酸素を含む処理ガスを用い、O( 1 D 2 )ラジカルの密度が1×10 12 [cm -3 ]以上のプラズマを生成し、該プラズマによ 被処理体の表面を酸化処理する、プラズマ 化処理方法が行なわれるように制御する制 部と、を具備する、プラズマ処理装置が提 される。

 本発明の第8の観点によれば、被処理体をプ ラズマ処理するための真空排気可能な処理室 と、前記処理室内にマイクロ波を導入するた めの複数のスロットを有する平面アンテナと 、前記プラズマ中のO( 1 D 2 )ラジカル密度を計測する計測手段と、前記 理室内で、酸素を含む処理ガスを用い、マ クロ波励起プラズマを生成させるステップ 、前記プラズマ中のO( 1 D 2 )ラジカル密度を計測するステップと、前記O( 1 D 2 )ラジカル密度が1×10 12 [cm -3 ]以上のプラズマを用いて被処理体を酸化処 するステップと、を含む、プラズマ酸化処 方法が行なわれるように制御する制御部と を具備する、プラズマ処理装置が提供され 。

 本発明の第9の観点によれば、被処理体をプ ラズマ処理するための真空排気可能な処理室 と、前記処理室内にマイクロ波を導入するた めの複数のスロットを有する平面アンテナと 、前記プラズマ中のO( 1 D 2 )ラジカル密度を計測する計測手段と、前記O( 1 D 2 )ラジカルの計測結果に基づき、前記O( 1 D 2 )ラジカル密度が1×10 12 [cm -3 ]以上となるようにプラズマ形成条件を制御 る制御部と、を具備する、プラズマ処理装 が提供される。

 本発明によれば、高エネルギーの活性種で るO( 1 D 2 )ラジカルの密度が1×10 12 [cm -3 ]以上のプラズマを効率良く生成し、該プラ マによって被処理体の表面を酸化処理する とにより、高い酸化レートでプラズマ酸化 理を行なうことができる。また、例えば単 晶シリコンを酸化処理する際の面方位依存 も改善できるので、凹部や凸部などが形成 れたシリコン表面を酸化処理する際にも有 に適用することができる。

 また、本発明によれば、被処理体表面をプ ズマ酸化処理する際に、プラズマ中の活性 であるO( 1 D 2 )ラジカルの密度をモニターし、プラズマ処 条件に反映させることによって、効率良くO( 1 D 2 )を生成させ得る最適な条件で安定的にプラ マ酸化処理を行なうことができる。

本発明に係るプラズマ酸化処理方法の 施に適したプラズマ処理装置の一例を示す 略断面図。 平面アンテナ部材の構造を示す図面。 プラズマ中のラジカルを計測する計測 の概略構成図。 レーザー光を発振した際における第3 調波の発生過程を示す図。 レーザーにより発振される2波長の光 用いた2光子共鳴4光波混合過程を示す図。 O( 1 D 2 )計測用VUVレーザー光プロファイルとして同 された第3高調波発生過程におけるVUVレーザ 光プロファイル 。 O( 3 P J )計測用VUVレーザー光プロファイルとして同 された2光子共鳴4光波混合過程におけるVUVレ ーザー光プロファイル。 凹部形成工程およびプラズマ酸化処理 によるシリコン酸化膜形成工程を説明するた めの工程断面図。 凹部形成工程およびプラズマ酸化処理 によるシリコン酸化膜形成工程を説明するた めの工程断面図。 凹部形成工程およびプラズマ酸化処理 によるシリコン酸化膜形成工程を説明するた めの工程断面図。 凹部形成工程およびプラズマ酸化処理 によるシリコン酸化膜形成工程を説明するた めの工程断面図。 凹部形成工程およびプラズマ酸化処理 によるシリコン酸化膜形成工程を説明するた めの工程断面図。 凹部形成工程およびプラズマ酸化処理 によるシリコン酸化膜形成工程を説明するた めの工程断面図。 凹部形成工程およびプラズマ酸化処理 によるシリコン酸化膜形成工程を説明するた めの工程断面図。 凹部形成工程およびプラズマ酸化処理 によるシリコン酸化膜形成工程を説明するた めの工程断面図。 凹部形成工程およびプラズマ酸化処理 によるシリコン酸化膜形成工程を説明するた めの工程断面図。 本発明のプラズマ酸化処理方法の処理 順の一例を示すフローチャート。 処理圧力とラジカル密度との関係を示 グラフ。 処理圧力とシリコン酸化膜の膜厚との 係を示すグラフ。 O 2 流量比とラジカル密度との関係を示すグラフ 。 O 2 流量比とシリコン酸化膜の膜厚との関係を示 すグラフ。 マイクロ波パワーとラジカル密度との 関係を示すグラフ。 マイクロ波パワーとシリコン酸化膜の 膜厚との関係を示すグラフ。 プラズマ酸化処理における酸化レートとO( 1 D 2 )密度との関係を示すグラフ。 本発明のプラズマ処理を行った場合と 熱酸化処理を行った場合とで酸化レートを比 較した結果を示す図。 処理時間30秒での酸化膜厚と各活性種 フラックスとの関係を示す図。 本発明のモデルを説明するためのフロ ーチャート。 本発明のプラズマ酸化処理の初期段階 を示すモデル図。 プラズマ酸化処理におけるシリコンの 面方位依存性を示すグラフ。 熱酸化膜とプラズマ酸化膜に関するTDD B測定結果を示すグラフ。 ラジカル密度の空間分布測定の説明に 供する原理図。

 以下、図面を参照しながら、本発明の好ま い形態について説明する。
 図1は、本発明のプラズマ酸化処理方法の実 施に適したプラズマ処理装置の一例を模式的 に示す断面図である。このプラズマ処理装置 は、複数のスロットを有する平面アンテナ、 特にRLSA(Radial Line Slot Antenna;ラジアルライン スロットアンテナ)にて処理室内にマイクロ を導入してプラズマを発生させることによ 、高密度かつ低電子温度のマイクロ波プラ マを発生させ得るRLSAマイクロ波プラズマ処 装置として構成されており、半導体装置の 造過程で、例えばトランジスタにおけるゲ ト絶縁膜としてのシリコン酸化膜の形成や 素子分離技術であるシャロートレンチアイ レーション(Shallow Trench Isolation;STI)におけ トレンチ内壁面のシリコン酸化膜形成など 目的で好適に用いられる。

 このプラズマ処理装置100は、気密に構成 れ、接地された略円筒状のチャンバー1を有 している。チャンバー1の底壁1aの略中央部に は円形の開口部10が形成されており、底壁1a はこの開口部10と連通し、下方に向けて突出 する排気室11が設けられている。

 チャンバー1内には被処理基板である半導 体ウエハ(以下、「ウエハ」と記す)Wを水平に 支持するためのAlN等のセラミックスからなる サセプタ2が設けられている。このサセプタ2 、排気室11の底部中央から上方に延びる円 状のAlN等のセラミックスからなる支持部材3 より支持されている。サセプタ2の外縁部に はウエハWをガイドするためのガイドリング4 設けられている。また、サセプタ2には抵抗 加熱型のヒータ5が埋め込まれており、この ータ5はヒータ電源6から給電されることによ りサセプタ2を加熱して、その熱で被処理体 あるウエハWを加熱する。このとき、例えば 温から800℃まで範囲で処理温度を制御でき ようになっている。なお、チャンバー1の内 周には、石英からなる円筒状のライナー7が けられている。また、サセプタ2の外周側に 、チャンバー1内を均一排気するため、多数 の排気孔8aを有する石英製のバッフルプレー 8が環状に設けられ、このバッフルプレート 8は、複数の支柱9により支持されている。

 サセプタ2には、ウエハWを支持して昇降 せるためのウエハ支持ピン(図示せず)がサセ プタ2の表面に対して突没可能に設けられて る。

 チャンバー1の側壁には環状をなすガス導入 部材15が設けられており、均等にガス放射孔 形成されている。このガス導入部材15には ス供給系16が接続されている。なお、ガス導 入部材15はシャワー状に配置してもよい。こ ガス供給系16は、例えばArガス供給源17、O 2 ガス供給源18、H 2 ガス供給源19を有しており、これらのガスが それぞれガスライン20を介してガス導入部 15に至り、ガス導入部材15のガス放射孔から ャンバー1内に均一に導入される。ガスライ ン20の各々には、マスフローコントローラ21 よびその前後の開閉バルブ22が設けられてい る。なお、Arガスに代えて他の希ガス、例え Kr、He、Ne、Xeなどのガスを用いてもよく、 た、後述するように希ガスは含まなくても い。

 上記排気室11の側面には排気管23が接続さ れており、この排気管23には高速真空ポンプ 含む排気装置24が接続されている。そして の排気装置24を作動させることによりチャン バー1内のガスが、排気室11の空間11a内へ均一 に排出され、排気管23を介して排気される。 れによりチャンバー1内を所定の真空度、例 えば0.133Paまで高速に減圧することが可能と っている。

 チャンバー1の側壁には、プラズマ処理装 置100に隣接する搬送室(図示せず)との間でウ ハWの搬入出を行うための搬入出口25と、こ 搬入出口25を開閉するゲートバルブ26とが設 けられている。

 チャンバー1の上部は開口部となっており、 この開口部の周縁部に沿ってリング状の支持 部27が設けられている。この支持部27に誘電 、例えば石英やAl 2 O 3 等のセラミックスからなり、マイクロ波を透 過するマイクロ波透過板28がシール部材29を して気密に設けられている。したがって、 ャンバー1内は気密に保持される。

 マイクロ波透過板28の上方には、サセプ 2と対向するように、円板状の平面アンテナ 材31が設けられている。この平面アンテナ 材31はチャンバー1の側壁上端に係止されて る。平面アンテナ部材31は、例えば8インチ イズのウエハWに対応する場合には、直径が3 00~400mm、厚みが1~数mm(例えば5mm)の導電性材料 らなる円板である。具体的には、例えば表 が銀または金メッキされた銅板またはアル ニウム板からなり、多数のマイクロ波放射 32(スロット)が所定のパターンで貫通して形 成された構成となっている。このマイクロ波 放射孔32は、例えば図2に示すように長溝状を なし、典型的には隣接するマイクロ波放射孔 32同士が「T」字状に配置され、これら複数の マイクロ波放射孔32が同心円状に配置されて る。マイクロ波放射孔32の長さや配列間隔 、マイクロ波の波長(λg)に応じて決定され、 例えばマイクロ波放射孔32の間隔は、λg/4、λ g/2またはλgとなるように配置される。なお、 図2においては、同心円状に形成された隣接 るマイクロ波放射孔32同士の間隔をδrで示し ている。また、マイクロ波放射孔32は、円形 、円弧状等の他の形状であってもよい。さ に、マイクロ波放射孔32の配置形態は特に 定されず、同心円状のほか、例えば、螺旋 、放射状に配置することもできる。

 この平面アンテナ部材31の上面には、真 よりも大きい誘電率を有する例えばポリテ ラフルオロエチレン、ポリイミドなどの樹 からなる遅波材33が設けられている。この遅 波材33は、真空中ではマイクロ波の波長が長 なることから、マイクロ波の波長を短くし プラズマを調整する機能を有している。な 、平面アンテナ部材31とマイクロ波透過板28 との間、また、遅波材33と平面アンテナ部材3 1との間は、それぞれ密着または離間させて 置することができる。

 チャンバー1の上面には、これら平面アン テナ部材31および遅波材33を覆うように、例 ばアルミニウムやステンレス鋼、銅等の金 材からなる導波管の機能を有するシールド 体34が設けられている。チャンバー1の上面 シールド蓋体34とはシール部材35によりシー されている。シールド蓋体34には、冷却水 路34aが形成されており、そこに冷却水を通 させることにより、シールド蓋体34、遅波材 33、平面アンテナ部材31、マイクロ波透過板28 を冷却するようになっている。なお、シール ド蓋体34は接地されている。

 シールド蓋体34の上壁の中央には開口部36 が形成されており、この開口部36には導波管3 7が接続されている。この導波管37の端部には 、マッチング回路38を介してマイクロ波発生 置39が接続されている。これにより、マイ ロ波発生装置39で発生した例えば周波数2.45GH zのマイクロ波が導波管37を介して上記平面ア ンテナ部材31へ伝搬されるようになっている なお、マイクロ波の周波数としては、8.35GHz 、1.98GHz等を用いることもできる。

 導波管37は、上記シールド蓋体34の開口部 36から上方へ延出する断面円形状の同軸導波 37aと、この同軸導波管37aの上端部にモード 換器40を介して接続された水平方向に延び 矩形導波管37bとを有している。矩形導波管37 bと同軸導波管37aとの間のモード変換器40は、 矩形導波管37b内をTEモードで伝播するマイク 波をTEMモードに変換する機能を有している 同軸導波管37aの中心には内導体41が延在し おり、この内導体41の下端部は、平面アンテ ナ部材31の中心に接続固定されている。これ より、マイクロ波は、同軸導波管37aの内導 41を介して平面アンテナ部材31へ均一に効率 よく伝播される。

 プラズマ処理装置100は、測定手段としての 測部60を備えている。この計測部60により、 例えば、波長可変真空紫外レーザーによる真 空紫外吸収分光法(Vacuum Ultra Violet Laser Absor ption Spectroscopy)を利用して、プラズマパラメ タとして、ラジカルの一種であるO( 1 D 2 )の密度を光学的に計測することができる。 の方法では、1台もしくは2台の色素レーザー と希ガスセルを用いることによって、測定対 象の酸素原子の共鳴ライン近傍の真空紫外レ ーザー光を波長可変で発振し、ここでは吸収 体であるプラズマ中を通過させたときの前記 レーザー光の吸収プロファイルと、前記レー ザー光の発光プロファイルを分光器によって 測定し、その比からO( 1 D 2 )などのラジカル密度を決定することができ 。この方法は、光を用いた非接触の測定法 あるため、測定対象であるプラズマに影響 与えることなく、リアルタイムでインライ 測定できる。

 計測部60は、図3に示すように、レーザー 源61と、このレーザー光源61に対しチャンバ ー1内のプラズマ形成空間を間に挟むように 向してチャンバー1の反対側に外部配備され 受光部(検出部)としてのVUVモノクロメータ 63と、を備えている。レーザー光源61から発 されたレーザー光は、チャンバー1の側壁に 設けられた透過窓65を介してチャンバー1内に 導入され、チャンバー1内のプラズマ形成空 を通過してチャンバー1の側壁の対向する部 に設けられた透過窓67を介してチャンバー1 に導かれ、光電子増倍管(PMT)69を備えたVUVモ ノクロメーター63により受光できるように構 されている。

 また、レーザー光源61と透過窓65の間には、 レーザー光源61からのレーザー光を集光する めの合成石英レンズ71と、2光子共鳴4光波混 合過程や第3高調波による所定波長の光を発 させるための希ガスセル73と、が設けられて いる。希ガスセル73には、イオン検出器75が 備されている。
 また、受光側の透過窓67とVUVモノクロメー ー63との間には、差動ポンプ77とMgF 2 レンズ79とが設けられている。

 レーザー光源61は、例えば波長308nmのレー ザー光を発振するXeClエキシマレーザー81と、 このXeClエキシマレーザー81をポンプ光として 所定波長の光を発振する2台の色素レーザー83 a,83bを備えている。なお、図3における符号85 、レーザー光を反射させるミラーである。

 VUVモノクロメーター63は、コンピュータ 備えたプロセスコントローラ50(後述)に接続 れており、そこで計測データの処理やプロ ス条件の制御が行なわれる。計測部60によ てマイクロ波プラズマを測定する場合、レ ザー光源61からVUVモノクロメーター63へ向か レーザー光が通過する光路Rは、マイクロ波 透過窓28の下面を基準にして、例えば所定の 離Lだけ下方に設定することができる。ここ で、距離Lは60~80mmとすることが好ましく、本 施形態では70mmとしている。この場合、サセ プタ2のウエハ載置面から光路Rまでの距離は2 0mmに設定できる。

 計測部60では、以下のようにしてプラズマ のラジカルの密度を測定することができる
 例えば、酸素ラジカルとしてO( 1 D 2 )を測定する場合には、希ガスセル73にXeとAr 混合希ガスを導入し、この混合希ガスを非 形媒質としてレーザー光源61より波長115.2nm 近のO( 1 D 2 )検出用レーザー光を発振し、第3高調波の発 過程における波長をVUVモノクロメーター63 検出することによって、O( 1 D 2 )の密度を測定することができる。

 すなわち、図4Aに示すように、XeClエキシマ ーザー81をポンプ光とする1台の色素レーザ を用い、ω UV の波長の光を、希ガスセル内73に集光し、Xe Arの混合希ガス内おいて波長115.2nm付近の第3 調波(ω VUV =3ω UV )を発振させ、処理容器内のプラズマに照射 て、O( 1 D 2 )の吸収に基づく真空紫外域光の波長をVUVモ クロメーター63により検出する。

 なお、O( 1 D 2 )の計測に際しても、十分な測定精度を得る めに、予めO( 1 D 2 )計測用VUVレーザー光のプロファイルを同定 ておく必要がある。例えば室温(26.85℃;300K) おいて、波長114.938nm近傍に存在するCOの吸収 率プロファイルを計測することで第3光調波 生過程におけるVUVレーザー光のプロファイ を同定することができる。この計測の条件 しては、圧力0.13Pa(1×10 -3 Torr)、温度26.85℃(300K)、遷移波長114.938nm辺り ある。図5Aに、O( 1 D 2 )計測用VUVレーザー光プロファイルとして同 された第3高調波発生過程におけるVUVレーザ 光プロファイルを示した。このプロファイ は、半値全幅0.44cm -1 のガウス型分布である。

 また、酸素ラジカルとしてO( 3 P J )を測定する場合には、Krの2光子共鳴ライン 用い、Krの非線形特性を利用することによっ て、130nm付近のVUVレーザー光を発振し、2光子 共鳴4光波混合過程における波長をVUVモノク メーターで検出することにより、O( 3 P J )の密度を測定することができる。
 すなわち、図4Bに示すように、XeClエキシマ ーザー81をポンプ光とする2台の色素レーザ により発振される、ω 1 とω 2 の2波長の光を用い、これら2波長の光を、Kr 充填した希ガスセル内で集光し、Kr原子の2 子吸収を利用した4光波混合差周波技術を用 て波長130nm付近(ω VUV =2ω 1 2 )の真空紫外域の光を発振させて処理容器内 プラズマに照射し、O( 3 P J )の吸収に基づく真空紫外域の光の波長をVUV ノクロメーター63により検出する。

 なお、O( 3 P J )の測定に際しては、十分な測定精度を得る めに、予めO( 3 P J )計測用VUVレーザー光のプロファイルを同定 ておく必要がある。例えば室温(26.85℃;300K) おいて、波長129.559nm辺りに存在するXeの吸収 率プロファイルを計測することで2光子共鳴4 波混合過程におけるVUVレーザー光のプロフ イルを同定することができる。この計測の 件は、例えば圧力0.04Pa(3×10 -4 Torr)、温度26.85℃(300K)、遷移波長129.559nm( 1 S 0 - 1 P 1 )とすることができる。図5Bに、O( 3 P J )計測用VUVレーザー光プロファイルとして同 された2光子共鳴4光波混合過程におけるVUVレ ーザー光プロファイルを示した。このプロフ ァイルは、半値全幅0.40cm -1 のガウス型分布である。

 以上のような手法で生成されるレーザー光 、計測対象ラジカルの吸収波長範囲にわた 波長をスキャンし、計測することで各波長 の吸収率を把握することができる。この吸 率の波長依存性とレーザー光の発光プロフ イルと下記の数式(1)から、計測対象ラジカ の吸収プロファイルf 2 (ν)と、中心周波数における吸収係数kを求め ことができる。これらと数式(2)から、計測 象ラジカルの絶対密度が算出される。

(式中、I 0 はレーザー光の出力、Iはプラズマ通過後の ーザー光の出力、f 1 (ν)はレーザー光の発光プロファイル、f 2 (ν)は吸収体(ここではプラズマ)の吸収プロフ ァイル、kは吸収体の中心周波数における吸 係数、Lは吸収体の長さ、kLは吸収体の光学 み、をそれぞれ意味する。)

 そして、計測対象ラジカルの絶対密度Nは、 下式(2)に基づき算出することができる。
(式中、f 2 (ν)は吸収体の吸収プロファイル、v 0 は吸収体の中心周波数、g u 、g 1 は統計重率、AはアインシュタインA係数、cは 光速、をそれぞれ意味する。)

 以上のように、波長可変真空紫外レーザー を利用した真空紫外吸収分光法による吸収 ロファイルの計測では、プラズマ処理装置1 00のマイクロ波プラズマ源により生成された 素含有プラズマ中の各種ラジカル(O( 1 D 2 )、O( 3 P J )など)に該ラジカルの共鳴線の波長に同期さ た真空紫外レーザー光を照射し、ラジカル 吸収した真空紫外域の光の波長をVUVモノク メーター63で検出し、光電子増倍管(PMT)69に り電気信号に変換することによって、リア タイムで各種ラジカルの絶対密度を検出す ことができる。

 また、上記計測方法では、背景吸収が存 する条件下においても、正確な計測が可能 あるとともに、計測結果により、吸収体の 進温度を求めることができるので、温度の 定を必要とせずに、正確に絶対密度を計測 ることができる。

 なお、レーザー光源61ではなく、例えば イクロホロカソードランプなどのインコヒ レント光源を用いる場合は、計測対象ラジ ルの吸収プロファイルを仮定(一般的にはラ カルの温度)する必要があるため、正確なラ ジカル密度を把握することができない。

 また、130nm近傍のO( 3 P J )のエネルギー準位を考えた場合に、O( 3 P 0 )が波長130.604nm、O( 3 P 1 )が波長130.487nm、O( 3 P 2 )が波長130.217nmに遷移線を持つ一方で、VUVモ クロメーターの分解能は0.4nm程度に過ぎない ことから、これら3本の遷移線を分解するこ ができず、仮定を必要とする。そこで、計 においては、基底状態の密度分布をボルツ ン分布(400K)と仮定し、密度比O( 3 P 0 ):O( 3 P 1 ):O( 3 P 2 )=0.09:0.34:1として計測を行なうことが必要で る。

 プラズマ処理装置100の各構成部は、CPUを えたプロセスコントローラ50に接続されて 御される構成となっている。プロセスコン ローラ50には、工程管理者がプラズマ処理装 置100を管理するためにコマンドの入力操作等 を行うキーボードや、プラズマ処理装置100の 稼働状況を可視化して表示するディスプレイ 等からなるユーザーインターフェース51が接 されている。

 また、プロセスコントローラ50には、プ ズマ処理装置100で実行される各種処理をプ セスコントローラ50の制御にて実現するため の制御プログラム(ソフトウエア)や処理条件 ータ等が記録されたレシピが格納された記 部52が接続されている。

 そして、必要に応じて、ユーザーインタ フェース51からの指示等にて任意のレシピ 記憶部52から呼び出してプロセスコントロー ラ50に実行させることで、プロセスコントロ ラ50の制御下で、プラズマ処理装置100での 望の処理が行われる。また、前記制御プロ ラムや処理条件データ等のレシピは、コン ュータ読み取り可能な記憶媒体、例えばCD-RO M、ハードディスク、フレキシブルディスク フラッシュメモリなどに格納された状態の のを利用したり、あるいは、他の装置から 例えば専用回線を介して随時伝送させてオ ラインで利用したりすることも可能である

 このように構成されたプラズマ処理装置1 00は、800℃以下の低い温度でもダメージフリ なプラズマ処理により、良質な膜を形成で るとともに、プラズマ均一性に優れており プロセスの均一性を実現できる。

 このプラズマ処理装置100は、上述したよう 、トランジスタのゲート絶縁膜の形成や、S TIにおけるトレンチの内壁の酸化処理などの 的で好適に利用可能なものである。プラズ 処理装置100によりプラズマ酸化処理を行う には、酸素を含む処理ガスを用い、以下の 順でO( 1 D 2 )ラジカルの密度が1×10 12 [cm -3 ]以上、好ましくは1×10 12 ~1×10 13 [cm -3 ]、さらに好ましくは1×10 12 ~5×10 12 [cm -3 ]のプラズマを用いて被処理体を酸化処理す 。
 まず、ゲートバルブ26を開にして搬入出口25 から例えばトレンチが形成されたウエハWを ャンバー1内に搬入し、サセプタ2上に載置す る。

 そして、ガス供給系16のArガス供給源17およ O 2 ガス供給源18から、ArガスおよびO 2 ガスを所定の流量でガス導入部材15を介して ャンバー1内に導入し、所定の処理圧力に維 持する。この際、O( 1 D 2 )ラジカルの密度が1×10 12 [cm -3 ]以上のプラズマを形成する上で、処理ガス の酸素の割合は例えば1%以下が好ましく、0.2 ~1%がより好ましい。ガス流量は、例えばArガ :500~10000mL/min(sccm)、O 2 ガス:5~100mL/min(sccm)の範囲から、全ガス流量に 対する酸素の割合が上記値となるように選択 することができる。

 また、Arガス供給源17およびO 2 ガス供給源18からのArガスおよびO 2 ガスに加え、H 2 ガス供給源19からH 2 ガスを所定比率で導入することもできる。こ の場合、H 2 ガスの割合は、例えば処理ガス全体の量に対 して1%以下となるようにすることが好ましく 0.01~1%がより好ましい。

 また、チャンバー内処理圧力は、O( 1 D 2 )ラジカルの密度が1×10 12 [cm -3 ]以上のプラズマを形成する上で334Pa以下が好 ましく、267Pa以下がより好ましく、90~133.3Paの 範囲が望ましい。また、処理温度は室温~500 から選択可能であり、400~500℃が好ましい。

 次いで、マイクロ波発生装置39からのマイ ロ波を、マッチング回路38を経て導波管37に く。マイクロ波は、矩形導波管37b、モード 換器40、および同軸導波管37aを順次通って 面アンテナ部材31に供給され、平面アンテナ 部材31からマイクロ波透過板28を経てチャン ー1内におけるウエハWの上方空間に放射され る。マイクロ波は、矩形導波管37b内ではTEモ ドで伝搬し、このTEモードのマイクロ波は ード変換器40でTEMモードに変換されて、同軸 導波管37a内を平面アンテナ部材31に向けて伝 されていく。この際、マイクロ波発生装置3 9のパワーは、1W/cm 2 以上例えば1~3W/cm 2 とすることが好ましく、1.4~2.8W/cm 2 がより好ましい。

 平面アンテナ部材31からマイクロ波透過板28 を経てチャンバー1に放射されたマイクロ波 よりチャンバー1内で電磁界が形成され、Ar スおよびO 2 ガスがプラズマ化し、このプラズマによりウ エハWに形成された凹部内に露出したシリコ 表面を酸化する。このマイクロ波プラズマ 、マイクロ波が平面アンテナ部材31の多数の マイクロ波放射孔32から放射されることによ 、略1×10 10 ~5×10 12 /cm 3 あるいはそれ以上の高密度のプラズマとなり 、その電子温度は、0.5~2eV程度、プラズマ密 の均一性は±5%以下である。従って、低温か 短時間で酸化処理を行って薄い酸化膜を形 することができ、しかも酸化膜へのプラズ 中のイオン等によるダメージが小さく、良 な酸化膜を形成できる。

 次に、図6A~6Iを参照しながら、本発明の ラズマ酸化処理方法をSTIにおけるトレンチ 部の酸化処理へ適用した例について説明を なう。図6A~6Iは、STIにおけるトレンチの形成 とその後で行なわれる酸化膜形成までの工程 を示す工程断面図である。

 まず、図6Aおよび図6Bにおいて、シリコン基 板101に例えば熱酸化などの方法によりSiO 2 などのシリコン酸化膜102を形成する。次に、 図6Cでは、シリコン酸化膜102上に、例えばCVD( Chemical Vapor Deposition)によりSi 3 N 4 などのシリコン窒化膜103を形成する。さらに 、図6Dでは、シリコン窒化膜103の上に、フォ レジストを塗布した後、フォトリソグラフ ー技術によりパターニングしてレジスト層1 04を形成する。

 次に、レジスト層104をエッチングマスク し、例えばハロゲン系のエッチングガスを いてシリコン窒化膜103とシリコン酸化膜102 選択的にエッチングすることにより、レジ ト層104のパターンに対応してシリコン基板1 01を露出させる(図6E)。つまり、シリコン窒化 膜103により、トレンチのためのマスクパター ンが形成される。図6Fは、例えば酸素などを む処理ガスを用いた酸素含有プラズマによ 、いわゆるアッシング処理を実施し、レジ ト層104を除去した状態を示す。

 図6Gでは、シリコン窒化膜103およびシリコ 酸化膜102をマスクとして、シリコン基板101 対し選択的にエッチングを実施することに り、トレンチ110を形成することができる。 のエッチングは、例えばCl 2 、HBr、SF 6 、CF 4 などのハロゲンまたはハロゲン化合物や、O 2 などを含むエッチングガスを使用して行なう ことができる。

 図6Hは、STIにおけるエッチング後のウエハW トレンチ110に対しプラズマ酸化処理を施す 化処理工程を示している。この酸化処理工 を、プラズマ中のO( 1 D 2 )密度が1×10 12 [cm -3 ]以上の条件で実施することによって、トレ チ110の肩部110aに丸みを持たせ、かつ、シリ ンの面方位に依存することなく、トレンチ1 10の内面(側壁部、底部)に均一な膜厚で酸化 111a,111bを形成できる。

 酸化処理工程における処理ガスとしては、 えばO 2 と希ガスとの混合ガスを用いることができる 。この場合、全処理ガスに対する酸素の割合 (百分率)を1%以下にすることが好ましい。ま 、酸化処理工程の圧力は、334Pa以下とするこ とが好ましい。このように、処理ガス中のO 2 の割合と処理圧力を調節することによって、 プラズマ中のO( 1 D 2 )ラジカルの量を制御することができる。な 、処理ガス中には、O 2 ガスに加え、H 2 ガスを所定比率で添加することもできる。

 そして、O( 1 D 2 )ラジカルの密度が1×10 12 [cm -3 ]以上のプラズマを用いてプラズマ酸化処理 行なうことにより、酸化膜111の膜質を緻密 することができるとともに、面方位依存性 抑制し、トレンチ110の部位による膜厚差を 消し、例えばトレンチ110の側壁部と底部と 均一な膜厚で良質な酸化膜111a,111bを形成で る。

 また、プラズマ中のO( 1 D 2 )ラジカルの量を制御することによって、図6I に示すように、トレンチ110の肩部110aにおい 、内部のシリコン101に丸み(曲面)を形成する ことができる。このように、トレンチ110の肩 部110aや底部コーナー部110bのシリコン101に丸 形状を導入することによって、鋭角に形成 れている場合と比較して、リーク電流の発 を抑制することができる。

 なお、本発明のプラズマ酸化処理方法によ て酸化膜111を形成した後は、STIによる素子 離領域形成の手順に従い、例えばCVD法によ トレンチ110内にSiO 2 などの絶縁膜を埋込んだ後、シリコン窒化膜 103をストッパー層としてCMPによって研磨を行 ない平坦化する。平坦化した後は、エッチン グによってシリコン窒化膜103および埋込み絶 縁膜の上部を除去することにより、素子分離 構造を形成できる。

 図7は、本発明のプラズマ酸化処理方法の手 順の一例を示すフロー図である。この例では 、計測部60によりプラズマ中のO( 1 D 2 )密度をモニターしながらプラズマ酸化処理 行なう。
 まず、ステップS1では、プラズマ処理装置10 0のチャンバー1内に図示しない搬送装置によ てウエハWを搬入し、サセプタ2上に載置す 。次に、ステップS2では、チャンバー1内に ス供給系16からArガスおよびO 2 ガスを所定の流量で導入する。ステップS3で 、排気装置24を作動させ、チャンバー1内を 定の圧力に減圧し、安定化させる。

 次に、ステップS4では、マイクロ波発生 置39で所定の周波数のマイクロ波を発生させ 、マッチング回路38、導波管37および平面ア テナ部材31を介してチャンバー1内空間に導 し、酸素含有プラズマを生成させる。この 素含有プラズマによって、ウエハW表面のシ コンをプラズマ酸化処理してシリコン酸化 を形成する。

 プラズマ酸化処理の間は、計測部60により ラズマ中のO( 1 D 2 )密度を計測し、モニタリングする(ステップS 5)。このステップS5で計測されたO( 1 D 2 )密度は、プロセスコントローラ50へ送出され る。そして、ステップS6では、計測されたO( 1 D 2 )密度が、予め設定された基準値(例えば1×10 12 [cm -3 ])以上であるか否かをプロセスコントローラ5 0が判断する。この基準値は、工程管理者が ーザーインターフェース51を介して入力した り、あるいは、プラズマ酸化処理のレシピの 一部として、記憶部52に保存しておいたもの 利用できる。

 このステップS6でO( 1 D 2 )密度が基準値(例えば1×10 12 [cm -3 ])以上である(Yes)と判断された場合には、プ ズマ処理条件は良好な状態であることから ステップS7でプラズマ処理が継続される。そ して、レシピによって規定された処理時間が 経過した後は、ステップS8でマイクロ波を「 フ」にし、プラズマ酸化処理を終了させる 引き続き、ステップS9では、チャンバー内 昇圧し、さらにステップS10でウエハWをチャ バー1内から搬出し、1枚のウエハWに対する 理が終了する。

 一方、ステップS6で、O( 1 D 2 )密度が基準値(例えば1×10 12 [cm -3 ])以上ではない(No)と判断された場合には、ス テップS11でプラズマ処理条件を補正する。こ のステップS11において補正されるプラズマ処 理条件としては、例えば、処理ガス中のO 2 の流量比率、処理圧力、マイクロ波パワーな どを挙げることができる。このステップS11で は、計測されたO( 1 D 2 )密度に応じて、どの条件をどの程度補正す ばよいかを、予め規定しておいたテーブル を利用することができる。そして、ステッ S11でプラズマ処理条件を補正した後は、ス ップS5に戻り再び計測部60によりプラズマ中 O( 1 D 2 )密度をモニタリングしながら、所定時間経 するまでプラズマ酸化処理が継続される。

 このように、プラズマ中のO( 1 D 2 )密度を計測してモニターし、その結果に応 てその値が基準値以上となるようにプラズ 生成条件を制御することによって安定的に 望の処理結果(膜厚、膜質など)が得られる。 従って、高い信頼性の下で、プラズマ酸化処 理を行なうことができるようになり、半導体 デバイスの信頼性と歩留りを向上させること ができる。

 なお、図7では、1枚のウエハWを処理する過 でプラズマ中のO( 1 D 2 )密度をモニターし、その結果に基づき直ち 同じウエハWに対する処理条件を補正するよ にしたが、ある1枚のウエハWに対する処理 おいてプラズマ中のO( 1 D 2 )密度を計測し、その結果に基づき次に処理 れるウエハWのプラズマ処理条件を補正する うにしてもよい。この場合、プラズマ中のO ( 1 D 2 )密度の計測は任意の間隔例えば1ロットのウ ハWを処理する中で1枚だけについて実施す ようにすることもできる。

 次に、本発明の基礎となった試験結果につ て説明する。
 まず、図8は、プラズマ処理装置100内で生成 するプラズマ中のラジカルであるO( 1 D 2 )およびO( 3 P 2 )の原子密度と処理圧力との関係について示 ており、図9は、ウエハWを30秒間プラズマ酸 処理した場合のシリコン酸化膜の膜厚と処 圧力との関係について示している。プラズ 形成条件は、Ar流量500mL/min(sccm)、O 2 流量5mL/min(sccm)[O 2 ガス混合比率1%]、処理温度400℃、マイクロ波 パワー1500W(1.46W/cm 2 )で処理圧力を90~666.7Paの間で変化させた。

 図8より、O( 3 P 2 )密度に比べてO( 1 D 2 )密度は、処理圧力が高くなるに従い速やか 減少する傾向が見られ、300Paを超えると、O( 1 D 2 )の密度は1×10 12 [cm -3 ]を下回ることがわかる。
 また、図9より、シリコンの酸化レートは、 処理圧力が高くなるに伴い低下しており、図 8に示すプラズマ中のO( 1 D 2 )密度の挙動と相関があることが示された。

 図10は、プラズマ中のO( 1 D 2 )密度およびO( 3 P 2 )密度と処理ガスの流量比率との関係につい 示しており、図11は、ウエハWを30秒間プラズ マ酸化処理した場合のシリコン酸化膜の膜厚 と処理ガスの流量比との関係について示して いる。プラズマ形成条件は、処理圧力133.3Pa(1 Torr)、処理温度400℃、マイクロ波パワー1500W(1 .46W/cm 2 )とし、Ar流量300~500mL/min(sccm)、O 2 流量1~200mL/min(sccm)[O 2 ガス流量比率;ここでは、(O 2 /Ar)×100として0.2~66.7%]の間で変化させた。

 図10より、O( 3 P 2 )密度は、処理ガス中のO 2 流量比率[(O 2 /Ar)×100]が増加してもほとんど変化しないが O( 1 D 2 )密度は、処理ガス中のO 2 流量比率が1%を超えると急激に減少している とがわかる。また、図11より、シリコンの 化レートは、処理ガス中のO 2 流量比率が1%で最大になった後は処理圧力が くなるに伴い減少しており、図10に示すプ ズマ中のO( 1 D 2 )密度の挙動と相関があることが示された。

 また、図12は、プラズマ中のO( 1 D 2 )密度およびO( 3 P 2 )密度とマイクロ波パワーとの関係について しており、図13は、ウエハWを30秒間プラズマ 酸化処理した場合のシリコン酸化膜の膜厚と マイクロ波パワーとの関係について示してい る。プラズマ形成条件は、処理圧力133.3Pa(1Tor r)、Ar流量500mL/min(sccm)、O 2 流量5mL/min(sccm)[O 2 ガス混合比率1%]、処理温度400℃、処理時間30 とし、マイクロ波パワーを1000~2750W(0.97~2.67W/ cm 2 )の間で変化させた。

 図12より、O( 3 P 2 )密度は、マイクロ波パワーの増加に伴い直 的に増加する傾向を示したが、O( 1 D 2 )密度は、マイクロ波パワーが1.5kWに達するま での間に急激に増加している。また、図13よ 、シリコンの酸化レートは、マイクロ波パ ーが1.5kW[1.46(W/cm 2 )]以上で約0.09[nm/s]となっており、実用上充分 な値に達していることがわかる。

 次に、図14は、プラズマ中のO( 1 D 2 )密度と酸化レートとの関係を示している。 こでは、プラズマ処理の際の処理圧力、O 2 流量比率[ここでは、(O 2 /Ar)×100]およびマイクロ波パワーを変化させ ことにより、種々のO( 1 D 2 )密度のプラズマを形成し、シリコンに対す 酸化レートを測定した。この図14より、O( 1 D 2 )密度が、1×10 12 [cm -3 ]以上であれば、約0.08[nm/s]という実用上充分 酸化レートが得られることが確認された。

 次に、本発明のプラズマ酸化処理のメカニ ムについて説明する。上述のように、本発 のプラズマ酸化処理では、O( 1 D 2 )ラジカルの密度が1×10 12 [cm -3 ]以上のプラズマを利用することにより、高 酸化レートで安定してプラズマ酸化処理を うことが可能である。図15は、本発明のプラ ズマ酸化処理を行った場合と、熱酸化処理を 行った場合とで、酸化レートを比較した結果 を示す図である。酸化処理条件は以下のとお りである。

<プラズマ酸化処理の条件(本発明条件A)>
 処理圧力:133.3Pa(1Torr)
 処理温度:400℃
 マイクロ波パワー:1500W(マイクロ波透過板28 面積1cm 2 当り、1.46W/cm 2 )
 Ar流量:500mL/min(sccm)、
 O 2 流量:5mL/min(sccm)
 O 2 ガス比率:約1%
 ウエハ径:200mm
 マイクロ波透過板28の面積:1027mm 2

<熱酸化処理の条件(比較条件)>
 処理温度:900℃
 処理ガス:H 2 ガス/O 2 ガス
 流量:H 2 ガス0.45mL/min(sccm)
    O 2 ガス0.9mL/min(sccm)

 図15から読み取ることができるように、O( 1 D 2 )ラジカルを主な酸化活性種とする本発明の ラズマ酸化処理では、酸化開始当初の初期 階(初期酸化、第1の酸化)で、熱酸化処理よ も大きな酸化レートを示している。その一 で、ある程度酸化膜の形成が進んだ段階(定 酸化、第2の酸化)では、熱酸化処理に比べ 酸化レートが低下している。

 そこで、本発明のプラズマ酸化処理におい 、酸化初期段階と酸化後半段階での酸化レ トが変化する原因について検討を行った。 こでは、様々なプロセス条件でプラズマを 成して酸化膜を形成する試験を行い、その の処理時間30秒での酸化膜厚と活性種のフ ックスとの関係を求めた。その結果を図16に 示す。図16は、横軸に処理時間30秒での酸化 厚をとり、縦軸に各活性種のフラックスを って、これらの関係を示す図である。ここ 「活性種のフラックス」とは、1cm 2 の面積を1秒間あたりに通過する活性種の粒 数を意味する。本試験では、活性種として O( 1 D 2 )ラジカル、O( 3 P 2 )ラジカルおよびO 2 + イオンを計測した。この図16から、O( 1 D 2 )ラジカルおよびO 2 + イオンのフラックスが大きくなるに伴い、30 間に形成される酸化膜厚も増加する傾向が 出される。一方、O( 3 P 2 )ラジカルのフラックスは、試験をしたどの 件においてもほぼ一定の値で推移しており 酸化膜厚との関係は見出せない。

 以上の結果から、プラズマ中のO( 1 D 2 )ラジカルとO 2 + イオンは、シリコン酸化膜の形成に何らかの 形で関与しているが、O( 3 P 2 )ラジカルは、ほとんど関与していないもの 推測される。この推測の妥当性は、ラジカ およびイオンのポテンシャルエネルギーお び電子状態からも説明できる。

 シリコンを酸化してシリコン酸化膜を形成 るには、シリコンのSi-Si結合を切断してSi-O 合を形成する必要がある。Si-Siの結合エネ ギーは2.3[eV]であるのに対し、O( 1 D 2 )ラジカルのポテンシャルエネルギーは4.6[eV] あり、O( 3 P 2 )ラジカルのポテンシャルエネルギーは2.6[eV] ある。従って、O( 1 D 2 )ラジカルはSi-Si結合を切断するために必要な エネルギーレベルを十分に超える高いポテン シャルエネルギーを有しているが、O( 3 P 2 )ラジカルの場合は、かろうじてSi-Si結合を切 断できる程度のポテンシャルエネルギーしか 有していないことがわかる。

 また、ラジカルの電子状態から、O( 1 D 2 )ラジカルの場合にはSi-O結合の形成にスピン 転はなく、O( 3 P 2 )ラジカルの場合はスピン反転を有するため O( 3 P 2 )ラジカルはO( 1 D 2 )ラジカルに比べてSi-O結合を形成し難い。こ ように、O( 1 D 2 )ラジカルとO( 3 P 2 )ラジカルとを比較すると、シリコンを酸化 る場合に、O( 1 D 2 )ラジカルは反応障壁が低く、O( 3 P 2 )ラジカルは反応障壁が高いことがわかる。 上のことから、本発明のプラズマ酸化処理 おいて、酸化反応に寄与するラジカルの主 は、O( 1 D 2 )ラジカルであり、O( 3 P 2 )ラジカルはほとんど酸化に寄与していない とが理解される。

 一方、図16から何らかの形でO( 1 D 2 )ラジカルと同様に酸化反応に寄与している 考えられるO 2 + イオンのポテンシャルエネルギーは、12.1[eV] 非常に大きいものの、O 2 + イオンはシリコン表面に到達すると、該シリ コン表面に付着している電子と結合して内部 エネルギーが0の分子状酸素になる(O 2 + +e - →O 2 )ため、この状態では直接シリコン酸化反応 寄与することは考えられない。しかし、O 2 + イオンはシリコン表面に到達する直前に、プ ラズマシースを通過する際に加速されること から、大きな並進エネルギー(運動エネルギ )を持つようになる。この並進エネルギーの きさは、例えば上記の本発明条件Aで形成さ れたプラズマの場合で8~10[eV]程度であり、シ コン表面のSi-Si結合を十分に活性化(切断)で きる大きさである。

 以上を総合すると、図17のフローチャート 示す次のようなモデルが考えられる。
 プラズマ酸化の初期段階(酸化開始段階)で 、図18のモデル図に示すように、まず、大き な並進エネルギーを有するO 2 + イオンが、シリコン最表面に衝突し、シリコ ンのSi-Si結合を切断し活性化し、シリコン表 が酸化されやすい状態になる(第1ステップ) 次いで、そこにO( 1 D 2 )ラジカルが供給されることによりSi-O結合が 速で形成される(第2ステップ)。この第1ステ ップおよび第2ステップにより上述した初期 化である第1の酸化が進行する。つまり、O 2 + イオンによるアシスト効果によって、O( 1 D 2 )ラジカルによる酸化反応が促進され、高い 化レートでシリコン酸化膜の形成が進行す 。

 プラズマ酸化が進行してある程度酸化膜の 成が進んだ段階(上述した定常酸化である第 2の酸化)では、O 2 + イオンのほとんどは、酸化反応が起こるSi-SiO 2 界面まで到達できないため、O 2 + イオンによるアシスト効果は生じないが、O 2 + イオンアシストがなくても、O( 1 D 2 )ラジカルの拡散により酸化反応が進行する( 3ステップ)。しかし、この段階では、ラジ ルの失活確率も高くなるため、初期段階(酸 開始段階)に比べて酸化レートが大幅に低下 する(図15参照)。

 このように、本発明のプラズマ酸化処理方 においては、酸化活性種の主役はあくまで O( 1 D 2 )ラジカルであり、O 2 + イオンは、O( 1 D 2 )ラジカルによる酸化反応をアシストしてい ものと推察される。以上のような酸化反応 メカニズムを考慮すると、本発明のプラズ 酸化処理では、O( 1 D 2 )ラジカルの密度が1×10 12 [cm -3 ]以上(好ましくは、1×10 12 ~1×10 13 [cm -3 ]、より好ましくは、1×10 12 ~5×10 12 [cm -3 ])であることに加え、さらにO 2 + イオンの密度が1×10 11 [cm -3 ]以上(好ましくは、1×10 11 ~1×10 12 [cm -3 ])のプラズマを利用してプラズマ酸化処理を うことにより、O 2 + イオンによるアシスト効果が十分に得られ、 高い酸化レートでのプラズマ酸化処理が可能 になるものと考えられる。なお、1×10 11 [cm -3 ]以上のO 2 + イオン密度を持つプラズマを生成させるため の条件は、1×10 12 [cm -3 ]以上のO( 1 D 2 )ラジカル密度を有するプラズマを生成させ る条件と同様であり、例えば以下に示す条 を挙げることができる。

<イオンアシスト効果が得られるプラズマ 化処理条件>
 処理ガスとしてArガスとO 2 ガスを用い、例えばArガス:500~10000mL/min(sccm)、 O 2 ガス:5~100mL/min(sccm)の流量範囲の中で、全ガス 流量に対する酸素の割合が例えば1%以下、好 しくは0.2~1%となるようにする。O 2 /Arの流量比は0.0005~0.2が好ましい。さらに、H 2 ガスを処理ガス全体に対して1%以下、好まし は0.01~1%の範囲で混合してもよい。また、処 理圧力は、90~334Paが好ましく、90~267Paがより ましく、90~133.3Paの範囲が一層好ましい。ま 、処理温度は室温~600℃から選択可能であり 、400~500℃が好ましい。マイクロ波パワーは 1W/cm 2 以上例えば1~3W/cm 2 とすることが好ましく、1.4~2.8W/cm 2 がより好ましい。

 次に、本発明の効果を確認した試験結果に いて説明する。
 図19は、図1のプラズマ処理装置100を用いて 面方位が異なるシリコン表面をプラズマ酸 処理した結果を示している。図19のグラフ 横軸は時間であり、縦軸はシリコンの(110)面 に形成された酸化膜厚[Tox(110)]と、シリコン (100)面に形成された酸化膜厚[Tox(100)]との比[T ox(110)/Tox(100)]を示している。

 この試験におけるプラズマ形成条件は、以 のとおりである。
<条件A;図19中の符号A>
 処理圧力:133.3Pa(1Torr)
 処理温度:400℃
 マイクロ波パワー:1500W(マイクロ波透過板28 面積1cm 2 当り、1.46W/cm 2 )
 Ar流量:500mL/min(sccm)、
 O 2 流量:5mL/min(sccm)
 O 2 ガス比率:約1%
 ウエハ径:200mm
 マイクロ波透過板28の面積:1027mm 2

<条件B;図19中の符号B>
 処理圧力:666.7Pa(5Torr)
 処理温度:400℃
 マイクロ波パワー:1500W(マイクロ波透過板28 面積1cm 2 当り、1.46W/cm 2 )
 Ar流量:120mL/min(sccm)
 O 2 流量:37mL/min(sccm)
 H 2 流量:3ml/min(sccm)
 O 2 ガス比率:約25%
 ウエハ径:200mm
 マイクロ波透過板28の面積:1027mm 2

 図19より、O( 1 D 2 )密度が高い条件A(低圧・低酸素濃度条件)で 、O( 1 D 2 )密度が低い条件B(高圧・高酸素濃度条件)に べ、明らかに等速酸化ラインに近く、面方 依存性が少ないことがわかる。

 次に、上記条件Aおよび条件Bにより、図6G に示すものと同様のシリコンの凹部110内をプ ラズマ酸化処理した。その結果、条件Aでシ コン酸化膜を形成した凹部110の肩部110aには みが導入されたのに対し、条件Bでシリコン 酸化膜を形成した凹部110の肩部110aには丸み 形成されず、シリコンの肩部が鋭角となり リーク電流の発生などが懸念された。

 次に、上記条件Aおよび条件Bにより形成し シリコン酸化膜を用いてMOSキャパシタ(図示 略)を作成し、TDDB(経時絶縁破壊試験;Time
Dependent Dielectric Breakdown)測定を行なった。TDD B測定対象のシリコン酸化膜の膜厚(Tox)は8nm、 面積(S)は1×10 -4 cm 2 、定電流値(CCS)は-0.1A/cm 2 、測定箇所(N)は28ポイント(pts)とした。

 また、比較のため、O 2 ガスとH 2 ガスからH 2 O(水蒸気)を作るWVG(Water
Vapor Generation)法によって950℃で熱酸化処理す ることにより得られた熱酸化膜についても、 同様にTDDB測定を実施した。

 図20はTDDB測定の結果を示しており、縦軸はQ bd(酸化膜破壊電荷)の平均値を意味している 図20より、本発明のO( 1 D 2 )密度が1×10 12 [cm -3 ]以上のプラズマを用いたプラズマ酸化処理 よって形成されたシリコン酸化膜の場合に 、熱酸化膜に比べ、Qbdが有意に大きく、耐 性能に優れていることが確認された。

 なお、本発明は上記実施形態に限定され ことはなく、種々の変形が可能である。例 ば図1では、RLSA方式のプラズマ処理装置100 例に挙げたが、例えばリモートプラズマ方 、ICPプラズマ方式、ECRプラズマ方式、表面 射波プラズマ方式、マグネトロンプラズマ 式等のプラズマ処理装置であってもよい。

 また、上記実施形態では、本発明をSTIに けるトレンチ内の酸化膜形成を適用した場 を例に挙げたが、これに限らず、例えばト ンジスタにおけるゲート絶縁膜としてのシ コン酸化膜の形成にも適用することができ 。

 さらに、凹凸が形成されて部位により面 位が相違するシリコン表面例えばフィン構 や溝ゲート構造の3次元トランジスタの製造 過程でゲート絶縁膜等としてのシリコン酸化 膜を形成する場合にも、本発明を適用するこ とが可能である。

 また、上記実施形態では、チャンバー1に 設けられた互いに対向する1対のポート(透過 65,67)を介してレーザー光を照射・受光しプ ズマ中のラジカル密度を計測したが、複数 対向ポートを介してラジカル密度の計測を なうことも可能である。例えば、図21に示 ように、複数のレーザー光源(例えばレーザ 光源61a,61b,61c)から、それぞれ複数のポート( 透過窓65,67)を介して複数の受光部(例えば、VU Vモノクロメーター63a,63b,63c)へ向けてレーザ 光を照射し、その結果を例えばアーベル変 等の手法で解析することによって、チャン ー1内におけるプラズマ中のラジカル密度の 間分布を把握することができる。この場合 ラジカル密度の空間分布の計測結果に基づ フィードバックを行なってプラズマ処理条 を補正することにより、プラズマ中のラジ ル密度を均一化することが可能である。

 本発明は、半導体デバイスの製造過程に いて単結晶シリコンまたは多結晶シリコン 酸化膜を形成する処理に好適に用いること できる。