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Title:
ISOTOPE DIAMOND LAMINATE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/044882
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a high-performance device which can solve or reduce various problems with physical property limits of materials and hetero junction without being restricted by the current concept of superlattice. An isotope diamond laminate comprising a 12C diamond thin film and a 13C diamond thin film stacked on top of each other is produced by epitaxially growing a 12C diamond thin film and a 13C diamond thin film on a substrate.

Inventors:
WATANABE HIDEYUKI (JP)
NEBEL CHRISTOPH (JP)
SHIKATA SHINICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/068091
Publication Date:
April 09, 2009
Filing Date:
October 03, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NAT INST OF ADVANCED IND SCIEN (JP)
WATANABE HIDEYUKI (JP)
NEBEL CHRISTOPH (JP)
SHIKATA SHINICHI (JP)
International Classes:
C30B29/04; C23C16/27; H01L21/205
Domestic Patent References:
WO2000063956A12000-10-26
Foreign References:
JP2003051609A2003-02-21
JPH11297624A1999-10-29
JPH04270193A1992-09-25
JPH05270987A1993-10-19
JP2000026974A2000-01-25
JPH11500580A1999-01-12
JPH11297624A1999-10-29
EP1414079A12004-04-28
US6653212B12003-11-25
Other References:
"Growth and characterization of 28Sin/38Sin isotope superlattices", APPLIED PHYSICS LETTERS, vol. 83, 2003, pages 2318
See also references of EP 2196564A4
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Claims:
 基板上に、炭素の同位体元素 13 Cからなる 13 C薄膜と炭素の同位体元素 12 Cからなる 12 C薄膜をエピタキシャル成長させた同位体ダイヤモンド積層体であって、少なくとも、前記 13 C薄膜の上に前記 12 C薄膜が積層された構造を有することを特徴とする同位体ダイヤモンド積層体。
 前記 12 C薄膜及び前記 13 C薄膜の厚さが、単一原子層~350nm以上である請求項1に記載の同位体ダイヤモンド積層体。
 前記 12 C薄膜と前記 13 C薄膜が交互に複数回積層されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の同位体ダイヤモンド積層体。
 前記 12 C薄膜の厚さと前記 13 C薄膜の厚さがほぼ同じである請求項3に記載の同位体ダイヤモンド積層体。
 前記基板が、ダイヤモンド基板である請求項1~4のいずれか1項に記載の同位体ダイヤモンド積層体。
 前記ダイヤモンド基板が単結晶ダイヤモンドであり、前記エピタキシャル成長がホモエピタキシャル成長である請求項1~5のいずれかに1項に記載の同位体ダイヤモンド積層体。
 同位体精製された原料ガスを用いて、基板上に、CVD法により、炭素の同位体元素 13 Cからなる 13 C薄膜及び炭素の同位体元素 12 Cからなる 12 C薄膜をエピタキシャル成長させる方法であって、薄膜を形成する前、及び前記同位体精製された原料ガスを変更する際に、高純度に純化された水素ガスのフロー及び基板の加熱によって反応容器内の不要な炭素を含む残留ガスの除去を行う工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載の同位体ダイヤモンド積層体の製造方法。
Description:
同位体ダイヤモンド積層体

 本発明は、新規な同位体ダイヤモンド積 体及びその製造方法に関する。

 結晶成長技術の進歩により新しい物理概 を基盤とする新たな半導体デバイスが実現 れている。その画期的な結晶設計技術の一 は、異なる半導体材料を面状(1次元)、線状( 2次元)及び点状(3次元)に交互に積層させた半 体超格子である。この技術の重要なコンセ トはバンドギャップの異なる半導体を2層ま たはそれを基本単位とした繰り返しによる周 期構造を作ることによって、結晶の電子構造 を変調させることができるという点である。 現在、人工的に作りだされたポテンシャルの 周期構造を有する超格子は、半導体材料の物 性限界を克服する局限化技術の一つとしてそ の利用が注目されている。具体的には、超格 子は、異なる半導体を人工的に単原子層~数 nm(典型的には、50nm程度)の間隔で積層して長 周期構造をもたせた結晶(以下、「ヘテロ構 超格子」という。)であり、バルク単体結晶 はない物理現象が数多く示されており、物 学の分野だけでなく新しい応用へつながる うな基本問題を様々提供している。

 一次元超格子構造(以下、「超格子構造」も しくは単に「超格子」という。)による結晶 、そのエネルギーバンドギャップ構造の特 によって、タイプI、タイプI´、タイプIIと て分類されていることが多いので、それに って説明する。
 図1(a)~(c)は、それぞれ、タイプI、タイプI´ タイプIIの超格子を示す図であり、図中、Ec とEvはそれぞれ伝導帯、荷電子帯を示す。タ プI及びタイプI´は、2種類の半導体1,2の伝 帯及び価電子帯がそれぞれオーバーラップ 、バンドギャップが不連続に変化する特徴 持つ。タイプIの超格子の代表的な積層構造 しては、半導体1にGaAs、半導体2にAl x Ga 1-x Asを使用したものがあり、タイプI´の超格子 代表的な積層構造としては、半導体1と半導 体2に、それぞれIn 1-x Ga x AsとGaSb 1-y As y を使用したものがある。一方、タイプIIは、 方の伝導帯ともう一方の価電子帯がオーバ ラップする特徴を示し、このタイプの超格 の代表的な積層構造には、半導体1にInAs、 導体2にGaSbを使用したものがある。

 超格子の電子状態を特徴づけるパラメータ は、上述した伝導帯と価電子帯におけるエ ルギーバンドの不連続の大きさδEc、δEvの に、例えばタイプIの超格子を考えた場合、 2に示すような近似的に井戸型ポテンシャル で表現することができ、井戸の幅L W と障壁の幅L B の計4つのパラメータによって依存される。
 このとき、L W とL B をそれぞれ、電子のド・ブロイ波長と同程度 (例えば、タイプIのGaAs-Al x Ga 1-x Asにおいて、L w を30nm以下、L B を10nm以下)とした場合、結晶中に通常の結晶 子間隔よりも長い周期ポテンシャルが導入 れ、ミニバンドが形成される結果、量子効 の役割が顕著に示されるようになり、例え 、高移動度で電子が物質内を伝搬可能とな 。事実このような電子を利用したデバイス 実用化されている。その代表的なデバイス 高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron  Mobility Transistor)である。ここでは、タイプI 超格子の半導体2の層だけにドーピング(例え ばn型不純物の導入)を行った変調ドーピング 格子構造により、半導体1の層に非常に高い 移動度を示す2次元電子ガスが形成される。 常電流が流れる活性層には伝導のための不 物が存在しており、逆にこれが電子移動度 対する支配的な散乱因子となる。しかし、 導体1の井戸に落ち込んだ電子は不純物から 間的に分離されるため散乱を受けにくくな ことから移動度の大幅な改善が実現され、 用化されている。特に、近年の著しい携帯 報機器の普及とその無線通信によるデータ 量・通信速度の増加に伴い、高電力変換や 周波数動作可能なHEMTが求められている。現 在、高温・大電流・高耐圧動作が期待される ワイドバンドギャップ半導体によるHEMTが注 されており、これまでのGaAs-AlGaAs系-HEMTに変 るGaN-AlGaN系-HEMTが提案されている。

 一方、L B をL W と比較して十分大きく取った場合、キャリア を所望の半導体層に閉じこめる単一井戸の状 態を作り出すことができる。これは、バンド ギャップの差によって生じるエネルギーバリ アを利用したキャリアの閉じ込め作用による もので、これも超格子の大きな特徴の一つで ある。その代表が量子井戸レーザーであり、 例えば、L W の減少(例えば、タイプIのGaAs-Al x Ga 1-x Asにおいて、GaAs層を20nmよりもさらに減少)と に、レーザー発振の短波長化、しきい値電 密度の温度変化の改善、及び発光の高効率 を実現させている。

 しかしながら、上述のヘテロ構造超格子は 格子定数の異なる異種半導体の接合である め、格子定数のミスマッチによる欠陥や歪 の導入がさけられない。これに対し、最近 は同一元素によるシリコンの同位体を利用 た超格子構造が提案されている(特許文献1~3 、非特許文献1参照)。
  (特許文献1)特開2000-26974号公報
  (特許文献2)特表平11-500580号公報
  (特許文献3)特開平11-297624号公報
  (非特許文献1)Applied Physics Letters 83, 2318  (2003)“Growth and characterization of  28 Si n / 30 Si n  isotope superlattices”

 現在、超格子構造を実現するにあたり、 子線エピタキシー法(MBE:Molecular Beam Epitaxy) 有機金属を用いた気相エピタキシー法(OMVPE) などによる薄膜結晶技術が利用されている。 この技術は、成長速度を遅くすることができ 、膜厚の制御性が高い。さらに、成長の開始 及び停止をシャッターにより行えることから 急峻な組成や不純物分布を形成できるなどの メリットがある。また、様々な材料による成 長が可能なのもメリットのひとつである。し かし、現実には、超格子を実現している半導 体の周期が単一原子層から数十nmであり、そ が何十層も必要となる周期性構造を精密に 現するために、原子レベルでの高度なエピ キシャル成長技術が要求される。つまり、 格子による量子効果や閉じ込め効果による バイス性能を最大限引き出すには、層界面 揺らぎやひずみによるみだれ、結晶欠陥や 造の不均一性抑制への要求はよりいっそう している。さらに、超格子構造を実現して るGaAsをはじめとする化合物は化学量論的ず れによる結晶欠陥の導入だけでなく、上述し た超格子構造は、いわゆるヘテロ構造であり 、格子定数の異なる異種半導体の接合である ため、格子定数のミスマッチによる欠陥や歪 みの導入も避けることができない。

 この課題に対し、同一元素による 28 (Si) n 30 (Si) n 70 (Ge) n 74 (Ge) n の同位体を利用した超格子構造が提案されて いるが、同位体効果から得られるバンドギャ ップの相対的な差は、Geで0.36meV、Siで1meVと小 さく、現在までに、バンドギャップの差によ って生じるエネルギーバリアを利用したキャ リアの閉じ込め作用は観測されていない。す なわち、障壁の効果を十分に生かせるような 超格子効果も同時に引き出すことは困難であ る。

 またさらに、現在超格子構造が実現され いるのはGaAs、InSb、Si、GaNなどの半導体材料 などがメインであり材料固有の物性限界の克 服には材料を置き換える以外ない。例えば、 今日の電子・光エレクトロニクス分野の技術 的中核をなす半導体材料のSiやGaAsは、バンド ギャップによる制約から素子の上限動作温度 が200℃程度に制限され、最近の素子のさらな る高集積化や高速化に対する熱の問題は、す でに物性的な限界に達している。GaNによるワ イドバンドギャップ半導体の採用は期待が持 てるが、発熱による動作チャネルの温度上昇 の問題は依然大きな課題の一つとなっている 。

 本発明は、以上のような事情に鑑みてな れたものであって、現在の超格子の概念に 約されることなく、材料の物性限界、およ ヘテロ接合に掛かる諸問題を解消、もしく 緩和し得る高性能なデバイスを得ることを 的とするものであり、具体的には、所望の 障壁高さ、障壁間幅、積層繰り返し回数、 いは結晶形状を自由に形成でき、所望の性 を有するデバイスを提供することを目的と るものである。

 発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研 を重ねた結果、主たるキャリア生成領域も くはキャリア(電子・正孔)通路、動作・非 作チャネルを、同位体炭素の 12 Cで合成された同位体ダイヤモンド(以下、「 12 Cダイヤモンド」という。)と同位体炭素の 13 Cで合成された同位体ダイヤモンド(以下、「 13 Cダイヤモンド」という。)により構成し、 12 Cダイヤモンドと 13 Cダイヤモンドが有する同位体効果から形成 れるバンドギャップの差によって生じるエ ルギーバリア(量子障壁)を利用した接合界面 を設け、これにより材料の物性限界およびヘ テロ接合に掛かる諸問題を解消、もしくは緩 和し得る高性能なデバイスの基本構成を提供 し得ることを見いだした。
 なお本発明では、背景記述として超格子と う言葉を用いてきたが、これは複数の種類 結晶格子の重ね合わせにより、その周期構 が基本単位格子より変わった結晶格子のこ である。しかしここで、本発明により得ら る効果は、必ずしも基本単位格子が変わる うなナノサイズでなくとも発現することか 、積層構造という呼称を用いる。

 本発明は、かかる知見に基づいて完成され ものであって、以下の発明を提供するもの ある。
[1]基板上に、炭素の同位体元素 13 Cからなる 13 C薄膜と炭素の同位体元素 12 Cからなる 12 C薄膜をエピタキシャル成長させた同位体ダ ヤモンド積層体であって、少なくとも、前 13 C薄膜の上に前記 12 C薄膜が積層された構造を有することを特徴 する同位体ダイヤモンド積層体。
[2]前記 12 C薄膜及び前記 13 C薄膜の厚さが、単一原子層~350nm以上である[1 ]の同位体ダイヤモンド積層体。
[3]前記 12 C薄膜と前記 13 C薄膜が交互に複数回積層されていることを 徴とする[1]又は[2]の同位体ダイヤモンド積 体。
[4]前記 12 C薄膜の厚さと前記 13 C薄膜の厚さがほぼ同じである[3]の同位体ダ ヤモンド積層体。
[5]前記基板が、ダイヤモンド基板である[1]~[4 ]のいずれかの同位体ダイヤモンド積層体。
[6]前記ダイヤモンド基板が単結晶ダイヤモン ドであり、前記エピタキシャル成長がホモエ ピタキシャル成長である[1]~[5]のいずれかの 位体ダイヤモンド積層体。
[7]同位体精製された原料ガスを用いて、基板 上に、CVD法により、炭素の同位体元素 13 Cからなる 13 C薄膜及び炭素の同位体元素 12 Cからなる 12 C薄膜をエピタキシャル成長させる方法であ て、薄膜を形成する前、及び前記同位体精 された原料ガスを変更する際に、高純度に 化された水素ガスのフロー及び基板の加熱 よって反応容器内の不要な炭素を含む残留 スの除去を行う工程を含むことを特徴とす 、[1]の同位体ダイヤモンド積層体の製造方 。

 本発明によると、所望の、障壁高さ、障 間幅、積層繰り返し回数、或いは結晶形状 、相当の自由度で形成できることから、既 デバイス構造をそのまま利用しながら、単 同位体ダイヤモンドへ置き換えることによ その特性を1桁から2桁以上の性能改善され 高発光効率を有する発光デバイス、高受光 率を有する受光デバイスが提供できる。ま 、本発明により種々の展開が可能であり、 界効果トランジスタ(例えば、HEMT, JFET, MESFE T等々)のチャネル領域やパワーデバイスのド フト層に採用することで、超高速、低ノイ の高周波デバイス、超高電流密度パワーデ イスなどの実現が可能になる。特にダイヤ ンドによるすぐれた熱伝導性により、デバ スの熱設計が自動的に緩和される利点があ 。

超格子のタイプを示す図。 井戸型ポテンシャルの概念図。 ダイヤモンド成長中の 13 CH 4 ガス濃度(x)を変化させたときのエキシトン発 光ピーク位置の変化を示す図。 積層構造の模式図。 実施例1~3で製造された、 12 Cダイヤモンド薄膜及び 13 Cダイヤモンド薄膜の積層構造の模式図。 実施例1で得られた同位体ダイヤモンド の組成評価図。 実施例1で得られた同位体ダイヤモンド の電子状態の評価図 キャリア蓄積の概念図 実施例1及び2で得られた同位体ダイヤ ンド積層体からのカソードルミネッセンス 光強度の変化を示す図。 実施例3で得られた同位体ダイヤモン の積層最小単位構造からのカソードルミネ センスと発光強度の変化を示す図。

符号の説明

 1: 13 Cダイヤモンド薄膜
 2: 12 Cダイヤモンド薄膜
 3:高圧高温合成ダイヤモンド
 4:キャリアの流れ
 5:電子
 6:正孔
 7:エキシトン
 8: 12 Cダイヤモンド薄膜からの再結合発光過程

 次に、本発明について更に詳細に説明する
 本発明の同位体ダイヤモンド積層体は、基 上に、炭素の同位体元素 13 Cからなる 13 C薄膜と炭素の同位体元素 12 Cからなる 12 C薄膜をエピタキシャル成長させた同位体ダ ヤモンド積層体であって、少なくとも、前 13 C薄膜の上に前記 12 C薄膜が積層された構造を有することを特徴 するものである。
 本発明の同位体ダイヤモンド積層体が、材 の物性限界を克服しえる理由は、ダイヤモ ドが有する物性より明らかである。事実ダ ヤモンドは、室温で強い化学的不活性と耐 を持ち、硬度、熱伝導率、結晶中の音の伝 速度は現存する物質中で最大で、摩擦係数 物質最小値を示す。また、同位体効果によ バンドギャップのチューニング範囲は、約1 9meVであって、相対的に大きい。さらに、物 中最小とされる石英ガラスに匹敵する熱膨 係数を持ち、ダイヤモンドは、高絶縁破壊 度や低誘電率を有し、GaAsで見られるような 子、正孔のキャリア移動度に極端な差が無 、高速で均整のとれた移動度を持つ。特に デバイスの応用に際しては、これらの物性 を組み合わせた性能指数が提案されており 例えば、高パワー・高周波数素子に対する 能指数として用いられているJohonson指数の イヤモンドの能力値は、Siの46656倍、4H-SiCの8 1倍、GaNの49倍を示す。さらに、ダイヤモンド が、半導体としての高い能力を示す他の特性 には、低い誘電率と高い熱伝導率がある。こ れは、素子の高密度化と高速化に対し直接要 請される特性であり、高密度、高速スイッチ ング素子の能力を表現するKeyes指数は、他の 導体材料と比較し高く、Siの33倍、4H-SiCの約 7倍、そしてGaNの19倍の素子能力の可能性を示 し、他の半導体材料の性能を遙かに凌駕する 。

 一方、超格子効果を得る技術の重要なコン プトはチューニングされたバンドギャップ 有する半導体をいかに準備するかであり、 発明の着眼点は、通常、単一原子層から数 nmに最適化された層状異種半導体による接 から超格子効果を得ようとするが、そのよ な接合ではなく、同一元素からなる同種半 体による接合を同位体ダイヤモンドにより 現しようとするものである。この実現には 12 Cダイヤモンド及び 13 Cダイヤモンドを合成する技術が不可欠であ 。

 本発明で用いる基板は、特に限定されな が、ダイヤモンド基板が好ましく用いられ 特に、結晶構造が(001)、(110)、(111)、又は(113 )表面のダイヤモンドが好ましく用いられる また、ダイヤモンド基板は、単結晶ダイヤ ンドでも多結晶ダイヤモンドでも良いが、 欠陥で高品質なダイヤモンド薄膜を合成す ためには、高圧高温合成された単結晶ダイ モンドプレートを基板として使用し、ホモ ピタキシャル成長させることが好ましい。

 本発明の同位体ダイヤモンド積層体を合 する方法は、マイクロ波プラズマCVD(周波数 915MHz、2.45GHzなど)法をはじめとし、hot-filament 、電子衝撃(electron assisted)法、Plasma Torche法 、電子サイクロトロン共鳴(ECR: Electron Cyclotr on Resonance)法、直流放電プラズマ(DC discharge  plasma)法、高周波プラズマ(RF plasma)法、高周 誘導熱プラズマ(RF induction thermal Plasma)法、 直流プラズマジェット(DC plasma Jet)法、燃焼 法等すべての化学気相堆積法により実施す ことができる。特に、マイクロ波プラズマC DVを用いて成長させるダイヤモンド薄膜合成 は、低欠陥で超格子構造に不可欠な原子レ ルでの平坦性を有する成長制御が可能であ (Diamond and Related Materials 6 (1999) 1272-1276. Homoepitaxial diamond film with an atomically flat s urface over a large area”参照)。

 以下、マイクロ波プラズマCVD法を用いた、 発明の同位体ダイヤモンド積層体の製造方 について記載する。
 本発明の同位体ダイヤモンド積層体の製造 は、ステンレス製の反応容器を持つマイク 波プラズマCVD装置を用いる。本装置は、主 マイクロ波電源、反応容器、基板温度制御 、原料ガス供給系、真空排気系から構成さ る。

 本発明の同位体ダイヤモンド積層体を製造 るための原料ガスは、メタンガス、二酸化 素、一酸化炭素など炭素を含むすべてのガ がダイヤモンドの原料ガスの対象となるが 通常、原料にメタンガス(CH 4 )が使用される。このCH 4 の炭素(C)が同位体精製された 12 CH 4 ガスと 13 CH 4 ガスに変更することによって同位体精製され た同位体ダイヤモンド薄膜を実現する。
 これらの原料には、商用レベルの高純度水 ガス及び同位体精製された高純度メタンガ を使用するが、原料ガスの大部分を占める 素ガス中の残留炭素の影響を抑制するため 水素ガスには、一酸化炭素(CO)、炭酸ガス(CO 2 )、炭化水素(CH 4 等)などの残留不純物を除去した純度9Nの水素 ガスを使用する

 反応容器内に表面の汚染物を除去した基板 セットした後、反応容器内の残留炭素系ガ の除去を行うために、上述の純化された水 ガスをフローさせながら、基板を加熱し、 定温度に保持した後、前記原料ガスを反応 器に導入し、 12 Cダイヤモンド薄膜及び 13 Cダイヤモンド薄膜を交互に堆積させる。
 積層構造を形成するために同位体ガスを変 するときは、基板を反応容器から取り出す となく、前述の高純度に純化された水素ガ のフロー及び基板の加熱によって反応容器 の残留炭素系ガスの除去を行う。

 薄膜の厚みのコントロールは、あらかじめ 長速度をモニターしておくことによって、 成時間の管理によりコントロールする。
 加えて、同位体ダイヤモンドのバンドギャ プチューニングは、同位体効果が結晶内の 位体組成比によって決まることを利用し、 イヤモンドの原料ガスである 12 CH 4 ガスと 13 CH 4 ガスの混合比を調整することによって形成す る。
 図3は、ダイヤモンド成長中の 13 CH 4 ガス濃度(x)を変化させたときのエキシトン発 光ピーク位置の変化を示す。エキシトン発光 ピークの観察はカソードルミネッセンス法に より行った。試料は、電子ビーム加速電圧13k V、電子ビーム電流2μで励起した。観測温度 80Kである。 12 CH 4 ガスと 13 CH 4 ガスの混合比の制御はマスフローコントロー ラーにより行い、原料ガスは合成チャンバー に導入する前に、マスフローコントローラー によって流量制御されたガスを一旦マニホー ルドにより混合し、所望の混合比で合成チャ ンバーに導入した。
 図3からわかるように、バンドギャップの変 化に付随しているエキシトン発光ピークは、 所望のガス混合比の制御によって一定に変化 する。これは、同位体炭素組成比の制御によ ってバンドギャップのチューニングが可能で あることを意味する。

 以上の技術により、所望する障壁高さ、障 間幅、積層繰り返し回数の多重積層構造を 当の自由度で形成することができる。また の基本手法をもとに、キャリアが生成する 性層には、不純物をダイヤモンド薄膜成長 境中に導入することでp型ダイヤモンドもし くはn型ダイヤモンドの形成も自在である。
 また、上述した内容は主にタイプI超格子構 造について示したが、図4に示すようなダイ モンドの二次元、三次元積層構造実現手法 して、半導体プロセスを用いた作製方法が る。ここで、例えば、図中、黒を 13 Cダイヤモンド、白を 12 Cダイヤモンドとする。一次元積層後に、リ グラフィーやエッチングを用いたプロセス より尾根状、または山状に加工する方法が り、これを用いることにより所望の形状に る二次元及び三次元積層構造とすることが 能である。

 次に、本発明を実施例に基づいてさらに具 的に説明するが、本発明は、以下の実施例 よって何ら限定されるものではない。
 図5(a)、(b)、(c)は、それぞれ、実施例1~4で製 造した 12 Cダイヤモンド薄膜と 13 Cダイヤモンド薄膜の積層構造を模式的に示 ものである。図中、1は、 13 Cダイヤモンド薄膜、2は、 12 Cダイヤモンド薄膜、3は、基板に使用した高 高温合成ダイヤモンドを示す。

 (実施例1)
 本実例では、基板として、結晶構造(001)表 を有する、高圧高温合成された単結晶ダイ モンドプレートを用い、ステンレス製の反 容器を持つエンドランチ型マイクロ波プラ マCVD装置により、図5(a)に示す構造の積層体 製造した。なお、マイクロ波電源部は、最 出力1.5kW、周波数2.45GHzのマグネトロンを使 した。
 前記ダイヤモンドプレートは、反応容器へ ットする前に、酸過水の加熱洗浄、ふっ酸 浄、有機溶剤による超音波洗浄、及び超純 煮沸洗浄を行って、表面の汚染物の除去を った。
 原料ガスには、商用レベルの高純度水素ガ 及び同位体精製された高純度メタンガスを 用し、該水素ガスはメタンガスとの混合す 直前で、白金触媒の化学吸着方式による水 精製器により、一酸化炭素(CO)、炭酸ガス(CO 2 )、炭化水素(CH 4 等)などの水素ガス中の残留不純物を除去し 、純度9Nの水素ガスとした。

 洗浄されたダイヤモンドプレートを反応容 内のステージにセットし、反応容器内を10 -8 Torr台の真空度を保ち、分圧計により炭素系 留ガスが10 -9 Torr台もしくは検出限界以下であることを確 した。
 ついで、ダイヤモンド薄膜を堆積させる前 、反応容器内の残留炭素系ガスの除去を行 ために、上述した水素精製によりさらに純 された水素ガスをフローさせながら、基板 800℃に5時間以上保った。
 その後、上述した混合ガスを、マスフロー ントローラーによって流量制御された状態 、マニホールドによって均一に混合し、混 されたガスを反応容器上部のシャワーヘッ からガスシャワーとして反応容器に導入し 基板温度800℃、マイクロ波パワー750W、全ガ ス圧力25Torr、全ガス流量400SCCM、水素/メタン 合比0.15%の条件で、 12 Cダイヤモンド薄膜及び 13 Cダイヤモンド薄膜を交互に堆積された。こ ときのガスの混合比は、99.85%が水素で、残 0.15%がメタンであった。
 なお、積層構造を形成するために同位体ガ を変更するときは、基板を反応容器から取 出すことなく、高純度に純化された水素ガ のフロー及び基板の加熱によって反応容器 の残留炭素系ガスの除去を行った。

 実施例1で得られたダイヤモンドの積層構造 を確認するため、得られた試料について、二 次イオン質量分析法(SIMS)による結晶組成分析 を行った結果を図6に示す。SIMS観測は、試料 面に5.5kVに加速されたO 2+ イオンビームを使用した。図中、実線は 12 Cダイヤモンド薄膜、点線は 13 Cダイヤモンド薄膜を示す。
 図6から分かるように、 12 Cダイヤモンド薄膜と 13 Cダイヤモンド薄膜は約350nmの膜厚により積層 された構造が実現されている。

 本発明によると、図3の結果から 13 Cダイヤモンド薄膜と比較して相対的にバン ギャップの小さい 12 Cダイヤモンド薄膜においてキャリアを半導 層に閉じこめることができる量子井戸の状 を作り出せることになる。
 そこで、図5(a)構造の電子状態を調べるため にカソードルミネッセンス法による評価結果 を行った。図7は、その結果を示す。発光ス クトル観測には、電子ビーム加速電圧13kV、 子ビーム電流2μAを使用した。発光スペクト ルの観測温度は80Kである。電子ビームの進入 長(観測深さ)は1.4μmである。
 該図からわかるように、明瞭なエキシトン ら発光が観測されている。このとき、図6(a) に示したとおり、結晶構造は明らかに 12 Cダイヤモンド薄膜と 13 Cダイヤモンド薄膜の組み合わせによって構 されているのにもかかわらず、図7に示した 光スペクトルは、そのピーク位置から 12 Cダイヤモンド薄膜からのみの発光となって る。この結果は、キャリアの再結合領域が 12 Cダイヤモンド薄膜で限定されており、いわ る超格子の特徴の一つである「キャリアの じ込め作用」を裏付ける結果である。この 層構造にキャリアを外部からの刺激(光・電 ビーム・放射線・x線・荷電粒子・電界等) より生成させることにより、生成されたキ リアは 12 Cダイヤモンド薄膜へ蓄積される。キャリア 井戸となる半導体層に蓄積されることから 結合確率が自由空間に比べて増加し、効率 く再結合が行われることにより発光強度の 加を導く。

 図8にその概念図を示す。図中、1と2は、そ ぞれ 13 Cダイヤモンド薄膜と 12 Cダイヤモンド薄膜を示し、4は、そのキャリ の流れを示す。また、5と6は、電子と正孔 ある。そして、7と8は、それぞれエキシトン と 12 Cダイヤモンド薄膜からの再結合発光過程を す。

 図9(a)は、同一励起条件の電子ビームを各試 料に照射したときに発光するエキシトンから のカソードルミネッセンス強度をプロットし た結果を示す。ここで、「natural-C」は、同位 体精製されていないCH 4 ガスを使用して合成されたダイヤモンド、「 12 C」は、 12 Cダイヤモンド薄膜、そして、「( 12 C 13 C) n 」は、図5(a))構造の試料を示す。図では、比 のためnatural-Cからの積分発光強度を1とした ときの相対的な変化を示す。図に示すとおり 、同位体組成比が天然存在比のままであるnat ural-C試料と 12 Cダイヤモンド薄膜試料と比較すると、積層 造を持つ図5(a)構造の試料[( 12 C 13 C) n 試料]で発光強度が一桁近く改善されている

 (実施例2)
 図6より算出された成長速度から、合成時間 のみを変化させた以外は、実施例1と同様に て、図5(b)に示す構造を有する同位体ダイヤ ンド積層体を製造した。得られたダイヤモ ド薄膜の膜厚は、それぞれ、上から875nm、35 0nm、1750nmであった。実施例1で得られた図5(a) 造が多重積層(または量子井戸)構造とする らば、本実施例では単一積層(または量子井 )構造といえる。
 図9(b)は、実施例2の結果を示す図である。 9(b)から分かるように、図5(b)構造[( 13 C 12 C 13 C)]からも図5(a)構造と同様に光の増幅作用が 認される。この構造は単純であるため、最 な障壁高さや障壁間幅を調整するためのテ ト構造にも用いることができる。

 (実施例3)
 基板温度900℃、マイクロ波パワー1200W、全 ス圧力80Torr、全ガス流量100SCCM、水素/メタン 混合比1.2%の条件とした以外は実施例2と同様 して、図5(b)に示す構造を有する同位体ダイ ヤモンド積層体を製造した。得られたダイヤ モンド薄膜の膜厚は、それぞれ、上から875nm 350nm、1750nmであった。図5(a)及び図5(b)と同様 に、光の増幅作用が確認された。このことか ら、本発明は合成条件によらないということ がわかる。

 (実施例4)
 図6より算出された成長速度から、合成時間 のみを変化させた以外は、実施例1と同様に て、図5(c)に示す構造を有する同位体ダイヤ ンド積層体を製造した。得られたダイヤモ ド薄膜の膜厚は、それぞれ上から350nm、3150n mであった。
 図10は、実施例3の結果を示す図であり、(a) ペクトルと(b)発光強度の変化を示す。図10(a )からわかるように、スペクトルには2つのピ クが観測された。それぞれのピーク位置か 低エネルギー側に位置するピークが 12 Cダイヤモンド薄膜であり、高エネルギー側 位置するピークが 13 Cダイヤモンド薄膜からの発光と帰属するこ ができる。これは、エキシトンの再結合発 が 13 Cダイヤモンド薄膜でも起こっていることが かり、これは、電子ビーム励起によって発 したキャリアの拡散長に起因すると考えら る。しかし、図10(b)に示すとおり、 12 Cダイヤモンド薄膜の自由空間(試料タイプ 12 C)と比較して図5(c)の構造を作るだけで発光強 度が単位量あたりの換算で約2倍に増大され いる。この結果は、図5(c)のような構造、つ り、 12 Cダイヤモンド薄膜の一方が真空レベルにあ ような状態であっても、本発明の効果が有 であることを示している。このことは、図5( c)のような構造を最小単位とし、 12 Cダイヤモンド薄膜の一方の状態は、キャリ の障壁となれば接合物に制約されないこと 意味する。

 他の半導体材料が同位体を精製すること自 が研究レベルであり入手方法が非常に困難 ある現状を勘案すると、炭素の同位体は、 療、環境調査、考古学年代測定、などの広 分野ですでに活用されており、その計測技 、精製技術の発達から非常に高純度の炭素 同位体の原料を確保することが容易である そのため、炭素で構成されているダイヤモ ドの同位体を利用した本発明は、原材料の 保の意味で産業上へ利用する場合に非常に 易であることが最大の利点である。
 本発明は、高温・大電流・高耐圧動作が要 されるパワーデバイス、高速トランジスタ 高周波デバイス、深紫外線発光デバイス、 外線受光デバイス、超伝導デバイス、放射 検出器、バイオセンサー、量子計算素子な への応用が検討されている次世代の半導体 料であるダイヤモンドに対して可能な原理 成を提供し、産業上の利用を加速する。




 
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