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Patent Searching and Data


Title:
JUNCTION STRUCTURE AND METHOD OF JOINING
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/008308
Kind Code:
A1
Abstract:
A junction structure comprising a first adherend including a first base material and, superimposed thereon, a first junction film having an Si skeleton and an eliminable group bonded to the Si skeleton and a second adherend including a second base material and, superimposed thereon, a second junction film having an Si skeleton and an eliminable group bonded to the Si skeleton. In the first junction film and second junction film, the Si skeleton has a random atomic arrangement containing a siloxane bond. When energy is given to the first junction film and second junction film, adherence is developed to thereby attain junction between the first junction film and the second junction film. Thus, a junction structure is obtained.

Inventors:
MATSUO YASUHIDE (JP)
OTSUKA KENJI (JP)
HIGUCHI KAZUO (JP)
WAKAMATSU KOSUKE (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/062007
Publication Date:
January 15, 2009
Filing Date:
July 02, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SEIKO EPSON CORP (JP)
MATSUO YASUHIDE (JP)
OTSUKA KENJI (JP)
HIGUCHI KAZUO (JP)
WAKAMATSU KOSUKE (JP)
International Classes:
C09J5/02; B32B9/00; B41J2/16; H01L21/02; H01L27/12
Foreign References:
JP2007161912A2007-06-28
JPH09324152A1997-12-16
JP2002524597A2002-08-06
JPH0766549A1995-03-10
JPH01207475A1989-08-21
JPH05194770A1993-08-03
JP2005246707A2005-09-15
JP2004325158A2004-11-18
JP2004532137A2004-10-21
JPS6366237A1988-03-24
JP2003238808A2003-08-27
Attorney, Agent or Firm:
ASAHI, Kazuo et al. (18-9 Nishi-Shinbashi 1-chom, Minato-ku Tokyo 03, JP)
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Claims:
 第1の基材と、該第1の基材上に設けられ、シロキサン(Si-O)結合を含むランダムな原子構造を有するSi骨格と、該Si骨格に結合する脱離基とを含む第1の接合膜とを有する第1の被着体と、
 第2の基材と、該第2の基材上に設けられ、前記第1の接合膜と同様の第2の接合膜とを有する第2の被着体とを有し、
 前記第1の接合膜の少なくとも一部の領域および前記第2の接合膜の少なくとも一部の領域にそれぞれエネルギーを付与し、前記第1の接合膜および前記第2の接合膜の少なくとも表面付近に存在する前記脱離基が前記Si骨格から脱離することにより、前記第1の接合膜の表面の前記領域および前記第2の接合膜の表面の前記領域にそれぞれ発現した接着性によって、前記第1の被着体と前記第2の被着体とが接合されていることを特徴とする接合体。
 前記第1の接合膜および前記第2の接合膜の少なくとも一方において、構成する全原子からH原子を除いた原子のうち、Si原子の含有率とO原子の含有率の合計が、10~90原子%である請求項1に記載の接合体。
 前記第1の接合膜および前記第2の接合膜の少なくとも一方において、Si原子とO原子の存在比は、3:7~7:3である請求項1に記載の接合体。
 前記Si骨格の結晶化度は、45%以下である請求項1に記載の接合体。
 前記第1の接合膜および前記第2の接合膜の少なくとも一方は、Si-H結合を含んでいる請求項1に記載の接合体。
 前記Si-H結合を含む接合膜についての赤外光吸収スペクトルにおいて、シロキサン結合に帰属するピーク強度を1としたとき、Si-H結合に帰属するピーク強度が0.001~0.2である請求項5に記載の接合体。
 前記脱離基は、H原子、B原子、C原子、N原子、O原子、P原子、S原子およびハロゲン系原子、またはこれらの各原子が前記Si骨格に結合するよう配置された原子団からなる群から選択される少なくとも1種で構成されたものである請求項1に記載の接合体。
 前記脱離基は、アルキル基である請求項7に記載の接合体。
 前記脱離基としてメチル基を含む接合膜についての赤外光吸収スペクトルにおいて、シロキサン結合に帰属するピーク強度を1としたとき、メチル基に帰属するピーク強度が0.05~0.45である請求項8に記載の接合体。
 前記第1の接合膜および前記第2の接合膜の少なくとも一方は、その少なくとも表面付近に存在する前記脱離基が前記Si骨格から脱離した後に、活性手を有する請求項1に記載の接合体。
 前記活性手は、未結合手または水酸基である請求項10に記載の接合体。
 前記第1の接合膜および前記第2の接合膜の少なくとも一方は、プラズマ重合法により形成されたものである請求項1に記載の接合体。
 前記第1の接合膜および前記第2の接合膜の少なくとも一方は、ポリオルガノシロキサンを主材料として構成されている請求項12に記載の接合体。
 前記ポリオルガノシロキサンは、オクタメチルトリシロキサンの重合物を主成分とするものである請求項13に記載の接合体。
 前記プラズマ重合法において、プラズマを発生させる際の高周波の出力密度は、0.01~100W/cm 2 である請求項12に記載の接合体。
 前記第1の接合膜および前記第2の接合膜の少なくとも一方の平均厚さは、1~1000nmである請求項1に記載の接合体。
 前記第1の接合膜および前記第2の接合膜の少なくとも一方は、流動性を有しない固体状のものである請求項1に記載の接合体。
 前記第1の接合膜および前記第2の接合膜の少なくとも一方の屈折率は、1.35~1.6である請求項1に記載の接合体。
 前記第1の基材および前記第2の基材の少なくとも一方は、板状をなしている請求項1に記載の接合体。
 前記第1の基材の少なくとも前記第1の接合膜を形成する部分および前記第2の基材の少なくとも前記第2の接合膜を形成する部分の少なくとも一方は、シリコン材料、金属材料またはガラス材料を主材料として構成されている請求項1に記載の接合体。
 前記第1の基材の前記第1の接合膜を備える面および前記第2の基材の前記第2の接合膜を備える面の少なくとも一方には、あらかじめ、前記各接合膜との密着性を高める表面処理が施されている請求項1に記載の接合体。
 前記表面処理は、プラズマ処理である請求項21に記載の接合体。
 前記第1の基材と前記第1の接合膜との間および前記第2の基材と前記第2の接合膜との間の少なくとも一方に、中間層が介挿されている請求項1に記載の接合体。
 前記中間層は、酸化物系材料を主材料として構成されている請求項23に記載の接合体。
 第1の基材と、該第1の基材上に設けられ、シロキサン(Si-O)結合を含むランダムな原子構造を有するSi骨格と、該Si骨格に結合する脱離基とを含む第1の接合膜とを有する第1の被着体と、第2の基材と、該第2の基材上に設けられ、前記第1の接合膜と同様の第2の接合膜とを有する第2の被着体とを用意する工程と、
 前記第1の接合膜の表面の少なくとも一部の領域および前記第2の接合膜の表面の少なくとも一部の領域にそれぞれエネルギーを付与する工程と、
 前記第1の接合膜の表面の前記領域と前記第2の接合膜の表面の前記領域とを密着させるように、前記第1の被着体と前記第2の被着体とを接合し、接合体を得る工程とを有することを特徴とする接合方法。
 第1の基材と、該第1の基材上に設けられ、シロキサン(Si-O)結合を含むランダムな原子構造を有するSi骨格と、該Si骨格に結合する脱離基とを含む第1の接合膜とを有する第1の被着体と、第2の基材と、該第2の基材上に設けられ、前記第1の接合膜と同様の第2の接合膜とを有する第2の被着体とを用意する工程と、
 前記第1の接合膜と前記第2の接合膜とを密着させるように、前記第1の被着体と前記第2の被着体とを重ね合わせ、仮接合体を得る工程と、
 前記仮接合体中の前記第1の接合膜の少なくとも一部の領域および前記第2の接合膜の少なくとも一部の領域にそれぞれエネルギーを付与することにより、前記第1の被着体と前記第2の被着体とを接合し、接合体を得る工程とを有することを特徴とする接合方法。
 前記エネルギーの付与は、前記各接合膜にエネルギー線を照射する方法、前記各接合膜を加熱する方法、および前記各接合膜に圧縮力を付与する方法のうちの少なくとも1つの方法により行われる請求項25に記載の接合方法。
 前記エネルギー線は、波長150~300nmの紫外線である請求項27に記載の接合方法。
 前記加熱の温度は、25~100℃である請求項27に記載の接合方法。
 前記圧縮力は、0.2~10MPaである請求項27に記載の接合方法。
 前記エネルギーの付与は、大気雰囲気中で行われる請求項25に記載の接合方法。
 さらに、前記接合体に対して、その接合強度を高める処理を行う工程を有する請求項25に記載の接合方法。
 前記接合強度を高める処理を行う工程は、前記接合体にエネルギー線を照射する方法、前記接合体を加熱する方法、および前記接合体に圧縮力を付与する方法のうちの少なくとも1つの方法により行われる請求項32に記載の接合方法。
Description:
接合体および接合方法

 本発明は、接合体および接合方法に関す ものである。

 2つの部材(基材)同士を接合(接着)する際に 、従来、エポキシ系接着剤、ウレタン系接 剤、シリコーン系接着剤等の接着剤を用い 行う方法が多く用いられている。
 接着剤は、部材の材質によらず、接着性を すことができる。このため、種々の材料で 成された部材同士を、様々な組み合わせで 着することができる。
 例えば、インクジェットプリンタが備える 滴吐出ヘッド(インクジェット式記録ヘッド )は、樹脂材料、金属材料、シリコン系材料 の異種材料で構成された部品同士を、接着 を用いて接着することにより組み立てられ いる。
 このように接着剤を用いて部材同士を接着 る際には、液状またはペースト状の接着剤 接着面に塗布し、塗布された接着剤を介し 部材同士を貼り合わせる。その後、熱また 光の作用により接着剤を硬化させることに り、部材同士を接着する。

 ところが、このような接着剤では、以下の うな問題がある。
 ・接着強度が低い
 ・寸法精度が低い
 ・硬化時間が長いため、接着に長時間を要 る
 また、多くの場合、接着強度を高めるため プライマーを用いる必要があり、そのため コストと手間が接着工程の高コスト化・複 化を招いている。

 一方、接着剤を用いない接合方法として、 体接合による方法がある。
 固体接合は、接着剤等の中間層が介在する となく、部材同士を直接接合する方法であ (例えば、特許文献1参照)。
 このような固体接合によれば、接着剤のよ な中間層を用いないので、寸法精度の高い 合体を得ることができる。

 しかしながら、固体接合には、以下のよう 問題がある。
 ・接合される部材の材質に制約がある
 ・接合プロセスにおいて高温(例えば、700~80 0℃程度)での熱処理を伴う
 ・接合プロセスにおける雰囲気が減圧雰囲 に限られる
 このような問題を受け、接合に供される部 の材質によらず、部材同士を、高い寸法精 で強固に、かつ低温下で効率よく接合する 法が求められている。

特開平5-82404号公報

 本発明の目的は、2つの基材同士を、高い 寸法精度で強固に、かつ低温下で効率よく接 合してなる信頼性の高い接合体、および、2 の基材同士を、低温下で効率よく接合する 合方法を提供することにある。

 上記目的を達成するために、本発明は、
 第1の基材と、該第1の基材上に設けられ、 ロキサン(Si-O)結合を含むランダムな原子構 を有するSi骨格と、該Si骨格に結合する脱離 とを含む第1の接合膜とを有する第1の被着 と、
 第2の基材と、該第2の基材上に設けられ、 記第1の接合膜と同様の第2の接合膜とを有す る第2の被着体とを有し、
 前記第1の接合膜の少なくとも一部の領域お よび前記第2の接合膜の少なくとも一部の領 にそれぞれエネルギーを付与し、前記第1の 合膜および前記第2の接合膜の少なくとも表 面付近に存在する前記脱離基が前記Si骨格か 脱離することにより、前記第1の接合膜の表 面の前記領域および前記第2の接合膜の表面 前記領域にそれぞれ発現した接着性によっ 、前記第1の被着体と前記第2の被着体とが接 合されていることを特徴とする接合体である 。
 このような本発明によれば、2つの基材同士 を、高い寸法精度で強固に、かつ低温下で効 率よく接合してなる接合体が得られる。

 また、本発明の接合体では、前記第1の接合 膜および前記第2の接合膜の少なくとも一方 おいて、構成する全原子からH原子を除いた 子のうち、Si原子の含有率とO原子の含有率 合計が、10~90原子%であることが好ましい。
 これにより、各接合膜は、Si原子とO原子と 強固なネットワークを形成し、接合膜自体 強固なものとなる。また、かかる接合膜は 基材および他の接合膜に対して、特に高い 合強度を示すものとなる。

 また、本発明の接合体では、前記第1の接合 膜および前記第2の接合膜の少なくとも一方 おいて、Si原子とO原子の存在比は、3:7~7:3で ることが好ましい。
 これにより、接合膜の安定性が高くなり、 合膜同士をより強固に接合することができ ようになる。
 また、本発明の接合体では、前記Si骨格の 晶化度は、45%以下であることが好ましい。
 これにより、Si骨格は特にランダムな原子 造を含むものとなる。そして、寸法精度お び接着性に優れた接合膜が得られる。

 また、本発明の接合体では、前記第1の接合 膜および前記第2の接合膜の少なくとも一方 、Si-H結合を含んでいることが好ましい。
 Si-H結合は、シロキサン結合の生成が規則的 に行われるのを阻害すると考えられる。この ため、シロキサン結合は、Si-H結合を避ける うに形成されることとなり、Si骨格の規則性 が低下する。このようにして、接合膜中にSi- H結合が含まれることにより、結晶化度の低 Si骨格を効率よく形成することができる。

 また、本発明の接合体では、前記Si-H結合を 含む接合膜についての赤外光吸収スペクトル において、シロキサン結合に帰属するピーク 強度を1としたとき、Si-H結合に帰属するピー 強度が0.001~0.2であることが好ましい。
 これにより、接合膜中の原子構造は、相対 に最もランダムなものとなる。このため、 合膜は、接合強度、耐薬品性および寸法精 において特に優れたものとなる。

 また、本発明の接合体では、前記脱離基は H原子、B原子、C原子、N原子、O原子、P原子 S原子およびハロゲン系原子、またはこれら の各原子が前記Si骨格に結合するよう配置さ た原子団からなる群から選択される少なく も1種で構成されたものであることが好まし い。
 これらの脱離基は、エネルギーの付与によ 結合/脱離の選択性に比較的優れている。こ のため、エネルギーを付与することによって 比較的簡単に、かつ均一に脱離する脱離基が 得られることとなり、接合膜付き基材の接着 性をより高度化することができる。

 また、本発明の接合体では、前記脱離基は アルキル基であることが好ましい。
 これにより、耐候性および耐薬品性に優れ 接合膜が得られる。
 また、本発明の接合体では、前記脱離基と てメチル基を含む接合膜についての赤外光 収スペクトルにおいて、シロキサン結合に 属するピーク強度を1としたとき、メチル基 に帰属するピーク強度が0.05~0.45であることが 好ましい。
 これにより、メチル基の含有率が最適化さ 、メチル基がシロキサン結合の生成を必要 上に阻害するのを防止しつつ、接合膜中に 要かつ十分な数の活性手が生じるため、接 膜に十分な接着性が生じる。また、接合膜 は、メチル基に起因する十分な耐候性およ 耐薬品性が発現する。

 また、本発明の接合体では、前記第1の接合 膜および前記第2の接合膜の少なくとも一方 、その少なくとも表面付近に存在する前記 離基が前記Si骨格から脱離した後に、活性手 を有することが好ましい。
 これにより、接合膜同士を、化学的結合に づいて強固に接合してなる接合体が得られ 。
 また、本発明の接合体では、前記活性手は 未結合手または水酸基であることが好まし 。
 これにより、接合膜同士が、特に強固に接 される。

 また、本発明の接合体では、前記第1の接合 膜および前記第2の接合膜の少なくとも一方 、プラズマ重合法により形成されたもので ることが好ましい。
 これにより、接合膜同士を、特に強固に接 してなる接合体が得られる。また、プラズ 重合法で形成された接合膜は、エネルギー 付与されて脱離基が脱離した状態(活性化状 態)が比較的長時間にわたって維持されるた 、得られる接合体の製造過程の簡素化、効 化を図ることができる。

 また、本発明の接合体では、前記第1の接合 膜および前記第2の接合膜の少なくとも一方 、ポリオルガノシロキサンを主材料として 成されていることが好ましい。
 これにより、接着性により優れた接合膜が られる。また、この接合膜は、耐候性およ 耐薬品性に優れたものとなり、例えば、薬 類等に長期にわたって曝されるような接合 の作製に際して、有効に用いられるものと る。
 また、本発明の接合体では、前記ポリオル ノシロキサンは、オクタメチルトリシロキ ンの重合物を主成分とするものであること 好ましい。
 これにより、接着性に特に優れた接合膜が られる。

 また、本発明の接合体では、前記プラズマ 合法において、プラズマを発生させる際の 周波の出力密度は、0.01~100W/cm 2 であることが好ましい。
 これにより、高周波の出力密度が高過ぎて 料ガスに必要以上のプラズマエネルギーが 加されるのを防止しつつ、ランダムな原子 造を有するSi骨格を確実に形成することが きる。

 また、本発明の接合体では、前記第1の接合 膜および前記第2の接合膜の少なくとも一方 平均厚さは、1~1000nmであることが好ましい。
 これにより、接合膜同士を接合した接合体 寸法精度が著しく低下するのを防止しつつ これらをより強固に接合することができる
 また、本発明の接合体では、前記第1の接合 膜および前記第2の接合膜の少なくとも一方 、流動性を有しない固体状のものであるこ が好ましい。
 これにより、接合体の寸法精度は、従来に べて格段に高いものとなる。また、従来に べ、短時間で強固な接合が可能になる。

 また、本発明の接合体では、前記第1の接合 膜および前記第2の接合膜の少なくとも一方 屈折率は、1.35~1.6であることが好ましい。
 このような接合膜は、その屈折率が水晶や 英ガラスの屈折率に比較的近いため、例え 、接合膜を貫通するような構造の光学部品 製造する際に好適に用いられる。
 また、本発明の接合体では、前記第1の基材 および前記第2の基材の少なくとも一方は、 状をなしていることが好ましい。
 これにより、基材が撓み易くなり、基材は 他の基材の形状に沿って十分に変形可能な のとなるため、これらの密着性がより高く る。また、基材が撓むことによって、接合 面に生じる応力を、ある程度緩和すること できる。

 また、本発明の接合体では、前記第1の基材 の少なくとも前記第1の接合膜を形成する部 および前記第2の基材の少なくとも前記第2の 接合膜を形成する部分の少なくとも一方は、 シリコン材料、金属材料またはガラス材料を 主材料として構成されていることが好ましい 。
 これにより、表面処理を施さなくても、十 な接合強度が得られる。

 また、本発明の接合体では、前記第1の基材 の前記第1の接合膜を備える面および前記第2 基材の前記第2の接合膜を備える面の少なく とも一方には、あらかじめ、前記各接合膜と の密着性を高める表面処理が施されているこ とが好ましい。
 これにより、基材の表面を清浄化および活 化し、基材と接合膜との接合強度を高める とができる。
 また、本発明の接合体では、前記表面処理 、プラズマ処理であることが好ましい。
 これにより、接合膜を形成するために、基 の表面を特に最適化することができる。

 また、本発明の接合体では、前記第1の基材 と前記第1の接合膜との間および前記第2の基 と前記第2の接合膜との間の少なくとも一方 に、中間層が介挿されていることが好ましい 。
 これにより、信頼性の高い接合体を得るこ ができる。
 また、本発明の接合体では、前記中間層は 酸化物系材料を主材料として構成されてい ことが好ましい。
 これにより、基材と接合膜との間の接合強 を特に高めることができる。

 上記目的を達成するために、本発明は、
 第1の基材と、該第1の基材上に設けられ、 ロキサン(Si-O)結合を含むランダムな原子構 を有するSi骨格と、該Si骨格に結合する脱離 とを含む第1の接合膜とを有する第1の被着 と、第2の基材と、該第2の基材上に設けられ 、前記第1の接合膜と同様の第2の接合膜とを する第2の被着体とを用意する工程と、
 前記第1の接合膜の表面の少なくとも一部の 領域および前記第2の接合膜の表面の少なく も一部の領域にそれぞれエネルギーを付与 る工程と、
 前記第1の接合膜の表面の前記領域と前記第 2の接合膜の表面の前記領域とを密着させる うに、前記第1の被着体と前記第2の被着体と を接合し、接合体を得る工程とを有すること を特徴とする接合方法である。
 このような本発明によれば、2つの基材同士 を、低温下で効率よく接合することができる 。

 上記目的を達成するために、本発明は、
 第1の基材と、該第1の基材上に設けられ、 ロキサン(Si-O)結合を含むランダムな原子構 を有するSi骨格と、該Si骨格に結合する脱離 とを含む第1の接合膜とを有する第1の被着 と、第2の基材と、該第2の基材上に設けられ 、前記第1の接合膜と同様の第2の接合膜とを する第2の被着体とを用意する工程と、
 前記第1の接合膜と前記第2の接合膜とを密 させるように、前記第1の被着体と前記第2の 被着体とを重ね合わせ、仮接合体を得る工程 と、
 前記仮接合体中の前記第1の接合膜の少なく とも一部の領域および前記第2の接合膜の少 くとも一部の領域にそれぞれエネルギーを 与することにより、前記第1の被着体と前記 2の被着体とを接合し、接合体を得る工程と を有することを特徴とする接合方法である。
 このような本発明によれば、2つの基材同士 を、低温下で効率よく接合することができる 。また、仮接合体の状態では、接合膜同士の 間は接合されていないので、第1の被着体と 2の被着体とを重ね合わせた後、これらの位 を容易に微調整することができる。その結 、接合膜の表面方向における位置精度を高 ることができる。

 また、本発明の接合方法では、前記エネル ーの付与は、前記各接合膜にエネルギー線 照射する方法、前記各接合膜を加熱する方 、および前記各接合膜に圧縮力を付与する 法のうちの少なくとも1つの方法により行わ れることが好ましい。
 これにより、接合膜に対して比較的簡単に 率よくエネルギーを付与することができる

 また、本発明の接合方法では、前記エネル ー線は、波長150~300nmの紫外線であることが ましい。
 これにより、接合膜に付与されるエネルギ 量が最適化されるので、接合膜中のSi骨格 必要以上に破壊されるのを防止しつつ、Si骨 格と脱離基との間の結合を選択的に切断する ことができる。その結果、接合膜の特性(機 的特性、化学的特性等)が低下するのを防止 つつ、接合膜に接着性を発現させることが きる。

 また、本発明の接合方法では、前記加熱の 度は、25~100℃であることが好ましい。
 これにより、接合体が熱によって変質・劣 するのを確実に防止しつつ、接合強度を確 に高めることができる。
 また、本発明の接合方法では、前記圧縮力 、0.2~10MPaであることが好ましい。
 これにより、圧力が高すぎて基板や被着体 損傷等が生じるのを防止しつつ、接合体の 合強度を確実に高めることができる。
 また、本発明の接合方法では、前記エネル ーの付与は、大気雰囲気中で行われること 好ましい。
 これにより、雰囲気を制御することに手間 コストをかける必要がなくなり、エネルギ の付与をより簡単に行うことができる。

 また、本発明の接合方法では、さらに、前 接合体に対して、その接合強度を高める処 を行う工程を有することが好ましい。
 これにより、接合体の接合強度のさらなる 上を図ることができる。
 また、本発明の接合方法では、前記接合強 を高める処理を行う工程は、前記接合体に ネルギー線を照射する方法、前記接合体を 熱する方法、および前記接合体に圧縮力を 与する方法のうちの少なくとも1つの方法に より行われることが好ましい。
 これにより、接合体の接合強度のさらなる 上を容易に図ることができる。

図1は、基板と対向基板とを接合する本 発明の接合方法の第1実施形態を説明するた の図(縦断面図)である。 図2は、基板と対向基板とを接合する本 発明の接合方法の第1実施形態を説明するた の図(縦断面図)である。 図3は、本発明の接合体において、接合 膜のエネルギー付与前の状態を示す部分拡大 図である。 図4は、本発明の接合体において、接合 膜のエネルギー付与後の状態を示す部分拡大 図である。 図5は、本発明の接合方法に用いられる プラズマ重合装置を模式的に示す縦断面図で ある。 図6は、基板上に接合膜を作製する方法 を説明するための図(縦断面図)である。 図7は、基板と対向基板とを接合する本 発明の接合方法の第2実施形態を説明するた の図(縦断面図)である。 図8は、基板と対向基板とを接合する本 発明の接合方法の第3実施形態を説明するた の図(縦断面図)である。 図9は、基板と対向基板とを接合する本 発明の接合方法の第4実施形態を説明するた の図(縦断面図)である。 図10は、本発明の接合体を適用して得 れたインクジェット式記録ヘッド(液滴吐出 ヘッド)を示す分解斜視図である。 図11は、図10に示すインクジェット式 録ヘッドの主要部の構成を示す断面図であ 。 図12は、図10に示すインクジェット式 録ヘッドを備えるインクジェットプリンタ 実施形態を示す概略図である。

 以下、本発明の接合体および接合方法を、 付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細 説明する。
 本発明の接合体は、2つの基板(基材)21、22と 、これらの基板21、22間に設けられた2層の接 膜31、32とを有しており、この2層の接合膜31 、32を介して、2つの基板21、22が接合されて るものである。
 この接合体のうち、各接合膜31、32は、シロ キサン(Si-O)結合を含みランダムな原子構造を 有するSi骨格と、このSi骨格に結合する脱離 とを含むものである。

 このような接合膜31、32は、その平面視にお ける少なくとも一部の領域、すなわち、平面 視における接合膜31、32の全面または一部の 域に対して、エネルギーを付与することに り、接合膜31、32の少なくとも表面付近に存 する脱離基がSi骨格から脱離するものであ 。そして、この接合膜31、32は、脱離基の脱 によって、その表面のエネルギーを付与し 領域に、相互の接着性が発現するという特 を有する。
 このような特徴を有する各接合膜31、32は、 2つの基板21、22間を、高い寸法精度で強固に かつ低温下で効率よく接合可能となる。そ て、かかる接合膜31、32を用いることにより 、基板21と対向基板22と(2つの基板)が強固に 合してなる信頼性の高い接合体が得られる

 <第1実施形態>
 まず、本発明の接合体および接合方法の各 1実施形態について説明する。
 図1および図2は、基板と対向基板とを接合 る本発明の接合方法の第1実施形態を説明す ための図(縦断面図)、図3は、本発明の接合 において、接合膜のエネルギー付与前の状 を示す部分拡大図、図4は、本発明の接合体 において、接合膜のエネルギー付与後の状態 を示す部分拡大図である。なお、以下の説明 では、図1ないし図4中の上側を「上」、下側 「下」と言う。

 本実施形態にかかる接合方法は、基板21 一方の面に接合膜31を形成してなる接合膜付 き基材1aを用意する工程と、接合膜付き基材1 aの接合膜31に対してエネルギーを付与して、 接合膜31中から脱離基を脱離させることによ 、接合膜31を活性化させる工程と、対向基 22の一方の面に前記接合膜31と同様の接合膜3 2を形成してなる接合膜付き基材1b(他の接合 付き基材)を用意し、各接合膜付き基材1a、1b が備える接合膜31、32同士が密着するように これらを貼り合わせ、接合体5を得る工程と 有する。

 以下、本実施形態にかかる接合方法の各工 について順次説明する。
 [1]まず、接合膜付き基材1aを用意する。
 接合膜付き基材1aは、図1(a)に示すように、 状をなす基板(基材)21と、基板21上に設けら た接合膜31とを有している。
 このうち、基板21は、接合膜31を支持する程 度の剛性を有するものであれば、いかなる材 料で構成されたものであってもよい。

 具体的には、基板21の構成材料は、ポリ チレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピ ン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体 (EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィ 、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、 リ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリア ド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリ ーボネート、ポリ-(4-メチルペンテン-1)、ア イオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメ タクリレート、アクリロニトリル-ブタジエ -スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニト ル-スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン- チレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポ ビニルアルコール(PVA)、エチレン-ビニルア コール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフ レート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポ リブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロ キサンテレフタレート(PCT)等のポリエステ 、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、 ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエー テルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェ レンオキシド、変性ポリフェニレンオキシ 、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォ 、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリ ート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー) ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化 ニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン 、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、 リウレタン系、ポリエステル系、ポリアミ 系、ポリブタジエン系、トランスポリイソ レン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレ 系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキ 樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラ ン樹脂、アラミド系樹脂、不飽和ポリエス ル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、ま はこれらを主とする共重合体、ブレンド体 ポリマーアロイ等の樹脂系材料、Fe、Ni、Co Cr、Mn、Zn、Pt、Au、Ag、Cu、Pd、Al、W、Ti、V、M o、Nb、Zr、Pr、Nd、Smのような金属、またはこ らの金属を含む合金、炭素鋼、ステンレス 、酸化インジウムスズ(ITO)、ガリウムヒ素 ような金属系材料、単結晶シリコン、多結 シリコン、非晶質シリコンのようなシリコ 系材料、ケイ酸ガラス(石英ガラス)、ケイ酸 アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、カリ石 灰ガラス、鉛(アルカリ)ガラス、バリウムガ ス、ホウケイ酸ガラスのようなガラス系材 、アルミナ、ジルコニア、フェライト、窒 ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、 化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化 タン、炭化タングステンのようなセラミッ ス系材料、グラファイトのような炭素系材 、またはこれらの各材料の1種または2種以 を組み合わせた複合材料等が挙げられる。

 また、基板21は、その表面に、Niめっきのよ うなめっき処理、クロメート処理のような不 働態化処理、または窒化処理等を施したもの であってもよい。
 また、基板(基材)21の形状は、接合膜31を支 する面を有するような形状であればよく、 状のものに限定されない。すなわち、基材 形状は、例えば、塊状(ブロック状)、棒状 であってもよい。

 なお、本実施形態では、基板21が板状をな ていることから、基板21が撓み易くなり、対 向基板22の形状に沿って十分に変形可能なも となるため、これらの密着性がより高くな 。また、接合膜付き基材1aにおいて、基板21 と接合膜31との密着性が高くなるとともに、 板21が撓むことによって、接合界面に生じ 応力を、ある程度緩和することができる。
 この場合、基板21の平均厚さは、特に限定 れないが、0.01~10mm程度であるのが好ましく 0.1~3mm程度であるのがより好ましい。なお、 述する対向基板22の平均厚さも、前述した 板21の平均厚さと同様の範囲内であるのが好 ましい。

 一方、接合膜31は、基板21と後述する対向基 板22との間に位置し、これらの基板21、22の接 合を担うものである。
 かかる接合膜31は、図3、4に示すように、シ ロキサン(Si-O)結合302を含み、ランダムな原子 構造を有するSi骨格301と、このSi骨格301に結 する脱離基303とを有するものである。

 本発明の接合体は、主にこの接合膜31に特 を有する。なお、この接合膜31については、 後に詳述する。
 また、基板21の少なくとも接合膜31を形成す べき領域には、基板21の構成材料に応じて、 合膜31を形成する前に、あらかじめ、基板21 と接合膜31との密着性を高める表面処理を施 のが好ましい。

 かかる表面処理としては、例えば、スパ タリング処理、ブラスト処理のような物理 表面処理、酸素プラズマ、窒素プラズマ等 用いたプラズマ処理、コロナ放電処理、エ チング処理、電子線照射処理、紫外線照射 理、オゾン暴露処理のような化学的表面処 、または、これらを組み合わせた処理等が げられる。このような処理を施すことによ 、基板21の接合膜31を形成すべき領域を清浄 化するとともに、該領域を活性化させること ができる。これにより、基板21と接合膜31と 接合強度を高めることができる。

 また、これらの各表面処理の中でもプラズ 処理を用いることにより、接合膜31を形成 るために、基板21の表面を特に最適化するこ とができる。
 なお、表面処理を施す基板21が、樹脂材料( 分子材料)で構成されている場合には、特に 、コロナ放電処理、窒素プラズマ処理等が好 適に用いられる。
 また、基板21の構成材料によっては、上記 ような表面処理を施さなくても、接合膜31の 接合強度が十分に高くなるものがある。この ような効果が得られる基板21の構成材料とし は、例えば、前述したような各種金属系材 、各種シリコン系材料、各種ガラス系材料 を主材料とするものが挙げられる。

 このような材料で構成された基板21は、そ 表面が酸化膜で覆われており、この酸化膜 表面には、比較的活性の高い水酸基が結合 ている。したがって、このような材料で構 された基板21を用いると、上記のような表面 処理を施さなくても、基板21と接合膜31との 着強度を高めることができる。
 なお、この場合、基板21の全体が上記のよ な材料で構成されていなくてもよく、少な とも接合膜31を形成すべき領域の表面付近が 上記のような材料で構成されていればよい。

 また、表面処理に代えて、基板21の少なく も接合膜31を形成すべき領域には、あらかじ め、中間層を形成しておくのが好ましい。
 この中間層は、いかなる機能を有するもの あってもよく、例えば、接合膜31との密着 を高める機能、クッション性(緩衝機能)、応 力集中を緩和する機能等を有するものが好ま しい。このような中間層を介して基板21と接 膜31とを接合することになり、信頼性の高 接合体を得ることができる。

 かかる中間層の構成材料としては、例えば アルミニウム、チタンのような金属系材料 金属酸化物、シリコン酸化物のような酸化 系材料、金属窒化物、シリコン窒化物のよ な窒化物系材料、グラファイト、ダイヤモ ドライクカーボンのような炭素系材料、シ ンカップリング剤、チオール系化合物、金 アルコキシド、金属-ハロゲン化合物のよう な自己組織化膜材料、樹脂系接着剤、樹脂フ ィルム、樹脂コーティング材、各種ゴム材料 、各種エラストマーのような樹脂系材料等が 挙げられ、これらのうちの1種または2種以上 組み合わせて用いることができる。
 また、これらの各材料で構成された中間層 中でも、酸化物系材料で構成された中間層 よれば、基板21と接合膜31との間の接合強度 を特に高めることができる。

 [2]次に、接合膜付き基材1aの接合膜31の表面 351に対してエネルギーを付与する。
 エネルギーが付与されると、接合膜31では 脱離基303がSi骨格301から脱離する。そして、 脱離基303が脱離した後には、接合膜31の表面3 51および内部に活性手が生じる。これにより 接合膜31の表面351に、他の接合膜付き基材1b との接着性が発現する。

 その結果、接合膜付き基材1aは、接合膜付 基材1bと、活性手による化学的結合に基づい て強固に接合可能なものとなる。
 ここで、接合膜31に付与するエネルギーは いかなる方法で付与されてもよく、例えば エネルギー線を照射する方法、接合膜31を加 熱する方法、接合膜31に圧縮力(物理的エネル ギー)を付与する方法、プラズマに曝す(プラ マエネルギーを付与する)方法、オゾンガス に曝す(化学的エネルギーを付与する)方法等 挙げられる。

 また、本実施形態では、接合膜31にエネル ーを付与する方法として、特に、接合膜31に エネルギー線を照射する方法を用いるのが好 ましい。これらの方法は、接合膜31に対して 較的簡単に効率よくエネルギーを付与する とができるので、エネルギー付与方法とし 好適である。
 このうち、エネルギー線としては、例えば 紫外線、レーザー光のような光、X線、γ線 電子線、イオンビームのような粒子線等、 たはこれらのエネルギー線を組み合わせた のが挙げられる。

 これらのエネルギー線の中でも、特に、 長150~300nm程度の紫外線を用いるのが好まし (図1(b)参照)。かかる紫外線によれば、付与 れるエネルギー量が最適化されるので、接 膜31中のSi骨格301が必要以上に破壊されるの を防止しつつ、Si骨格301と脱離基303との間の 合を選択的に切断することができる。これ より、接合膜31の特性(機械的特性、化学的 性等)が低下するのを防止しつつ、接合膜31 接着性を発現させることができる。

 また、紫外線によれば、広い範囲をムラな 短時間に処理することができるので、脱離 303の脱離を効率よく行わせることができる さらに、紫外線には、例えば、UVランプ等 簡単な設備で発生させることができるとい 利点もある。
 なお、紫外線の波長は、より好ましくは、1 60~200nm程度とされる。
 また、UVランプを用いる場合、その出力は 接合膜31の面積に応じて異なるが、1mW/cm 2 ~1W/cm 2 程度であるのが好ましく、5mW/cm 2 ~50mW/cm 2 程度であるのがより好ましい。なお、この場 合、UVランプと接合膜31との離間距離は、3~300 0mm程度とするのが好ましく、10~1000mm程度とす るのがより好ましい。

 また、紫外線を照射する時間は、接合膜31 表面351付近の脱離基303を脱離し得る程度の 間、すなわち、接合膜31の内部の脱離基303を 多量に脱離させない程度の時間とするのが好 ましい。具体的には、紫外線の光量、接合膜 31の構成材料等に応じて若干異なるものの、0 .5~30分程度であるのが好ましく、1~10分程度で あるのがより好ましい。
 また、紫外線は、時間的に連続して照射さ てもよいが、間欠的(パルス状)に照射され もよい。
 一方、レーザー光としては、例えば、エキ マレーザー(フェムト秒レーザー)、Nd-YAGレ ザー、Arレーザー、CO 2 レーザー、He-Neレーザー等が挙げられる。

 また、接合膜31に対するエネルギー線の 射は、いかなる雰囲気中で行うようにして よく、具体的には、大気、酸素のような酸 性ガス雰囲気、水素のような還元性ガス雰 気、窒素、アルゴンのような不活性ガス雰 気、またはこれらの雰囲気を減圧した減圧( 空)雰囲気等が挙げられるが、特に大気雰囲 気中で行うのが好ましい。これにより、雰囲 気を制御することに手間やコストをかける必 要がなくなり、エネルギー線の照射をより簡 単に行うことができる。

 このように、エネルギー線を照射する方法 よれば、接合膜31に対して選択的にエネル ーを付与することが容易に行えるため、例 ば、エネルギーの付与による基板21の変質・ 劣化を防止することができる。
 また、エネルギー線を照射する方法によれ 、付与するエネルギーの大きさを、精度よ 簡単に調整することができる。このため、 合膜31から脱離する脱離基303の脱離量を調 することが可能となる。このように脱離基30 3の脱離量を調整することにより、接合膜付 基材1aと接合膜付き基材1bとの間の接合強度 容易に制御することができる。

 すなわち、脱離基303の脱離量を多くするこ により、接合膜31の表面351および内部に、 り多くの活性手が生じるため、接合膜31に発 現する接着性をより高めることができる。一 方、脱離基303の脱離量を少なくすることによ り、接合膜31の表面および内部に生じる活性 を少なくし、接合膜31に発現する接着性を えることができる。
 なお、付与するエネルギーの大きさを調整 るためには、例えば、エネルギー線の種類 エネルギー線の出力、エネルギー線の照射 間等の条件を調整すればよい。
 さらに、エネルギー線を照射する方法によ ば、短時間で大きなエネルギーを付与する とができるので、エネルギーの付与をより 率よく行うことができる。

 ここで、エネルギーが付与される前の接 膜31は、図3に示すように、Si骨格301と脱離 303とを有している。かかる接合膜31にエネル ギーが付与されると、脱離基303(本実施形態 は、メチル基)がSi骨格301から脱離する。こ により、図4に示すように、接合膜31の表面35 1に活性手304が生じ、活性化される。その結 、接合膜31の表面に接着性が発現する。

 ここで、接合膜31を「活性化させる」と 、接合膜31の表面351および内部の脱離基303が 脱離して、Si骨格301において終端化されてい い結合手(以下、「未結合手」または「ダン グリングボンド」とも言う。)が生じた状態 、この未結合手が水酸基(OH基)によって終端 された状態、または、これらの状態が混在 た状態のことを言う。

 したがって、活性手304とは、未結合手(ダン グリングボンド)、または未結合手が水酸基 よって終端化されたもののことを言う。こ ような活性手304によれば、接合膜付き基材1b に対して、特に強固な接合が可能となる。
 なお、後者の状態(未結合手が水酸基によっ て終端化された状態)は、例えば、接合膜31に 対して大気雰囲気中でエネルギー線を照射す ることにより、大気中の水分が未結合手を終 端化することによって、容易に生成すること ができる。

 また、本実施形態では、接合膜付き基材1 aと接合膜付き基材1bとを貼り合わせる前に、 あらかじめ、接合膜付き基材1aの接合膜31に してエネルギーを付与する場合について説 しているが、かかるエネルギーの付与は、 合膜付き基材1aと接合膜付き基材1bとを貼り わせる(重ね合わせる)際、または貼り合わ た(重ね合わせた)後に行われるようにしても よい。このような場合については、後述する 第2実施形態において説明する。

 [3]次に、接合膜付き基材1bを用意する。そ て、図1(c)に示すように、活性化させた接合 31と接合膜付き基材1bとが密着するように、 接合膜付き基材1aと接合膜付き基材1bとを貼 合わせる。これにより、図1(d)に示すような 合体5を得る。
 このようにして得られた接合体5では、従来 の接合方法で用いられていた接着剤のように 、主にアンカー効果のような物理的結合に基 づく接着ではなく、共有結合のような短時間 で生じる強固な化学的結合に基づいて、接合 膜付き基材1aと接合膜付き基材1bとが接合さ ている。このため、接合体5は短時間で形成 ることができ、かつ、極めて剥離し難く、 合ムラ等も生じ難いものとなる。

 また、このような接合膜付き基材1aを用い 得られた接合体5を得る方法によれば、従来 固体接合のように、高温(例えば、700℃以上 )での熱処理を必要としないことから、耐熱 の低い材料で構成された基板21および対向基 板22をも、接合に供することができる。
 また、各接合膜31、32を介して基板21と対向 板22とを接合しているため、基板21や対向基 板22の構成材料に制約がないという利点もあ 。

 以上のことから、本発明によれば、基板21 よび対向基板22の各構成材料の選択の幅をそ れぞれ広げることができる。
 また、固体接合では、接合層を介していな ため、基板21と対向基板22との間の熱膨張率 に大きな差がある場合、その差に基づく応力 が接合界面に集中し易く、剥離等が生じるお それがあったが、接合体(本発明の接合体)5で は、各接合膜31、32によって応力の集中が緩 され、剥離を防止することができる。

 ここで、用意する対向基板22は、基板21と同 様、いかなる材料で構成されたものであって もよい。
 具体的には、対向基板22は、基板21の構成材 料と同様の材料で構成される。
 また、対向基板22の形状も、基板21と同様、 接合膜32が密着する面を有する形状であれば 特に限定されず、例えば、板状(層状)、塊 (ブロック状)、棒状等とされる。

 ところで、対向基板22の構成材料は、基板21 と異なっていても同じでもよい。
 また、基板21と対向基板22の各熱膨張率は、 ほぼ等しいのが好ましい。基板21と対向基板2 2の熱膨張率がほぼ等しければ、接合膜付き 材1aと接合膜付き基材1bとを貼り合せた際に その接合界面に熱膨張に伴う応力が発生し くなる。その結果、最終的に得られる接合 5において、剥離等の不具合が発生するのを 確実に防止することができる。

 また、後に詳述するが、基板21および対向 板22の各熱膨張率が互いに異なる場合でも、 接合膜付き基材1aと接合膜付き基材1bとを貼 合わせる際の条件を以下のように最適化す ことにより、接合膜付き基材1aと接合膜付き 基材1bとを高い寸法精度で強固に接合するこ ができる。
 すなわち、基板21と対向基板22の熱膨張率が 互いに異なっている場合には、できるだけ低 温下で接合を行うのが好ましい。接合を低温 下で行うことにより、接合界面に発生する熱 応力のさらなる低減を図ることができる。

 具体的には、基板21と対向基板22との熱膨 張率差にもよるが、基板21および対向基板22 温度が25~50℃程度である状態下で、接合膜付 き基材1aと接合膜付き基材1bとを貼り合わせ のが好ましく、25~40℃程度である状態下で貼 り合わせるのがより好ましい。このような温 度範囲であれば、基板21と対向基板22の熱膨 率差がある程度大きくても、接合界面に発 する熱応力を十分に低減することができる その結果、接合体5における反りや剥離等の 生を確実に防止することができる。

 また、この場合、基板21と対向基板22との間 の熱膨張係数の差が、5×10 -5 /K以上あるような場合には、上記のようにし 、できるだけ低温下で接合を行うことが特 推奨される。
 また、基板21と対向基板22は、互いに剛性が 異なっているのが好ましい。これにより、接 合膜付き基材1aと接合膜付き基材1bとをより 固に接合することができる。

 また、基板21と対向基板22のうち、少なく とも一方の構成材料が、樹脂材料で構成され ているのが好ましい。樹脂材料は、その柔軟 性により、接合膜付き基材1aと接合膜付き基 1bとを接合した際に、その接合界面に発生 る応力(例えば、熱膨張に伴う応力等)を緩和 することができる。このため、接合界面が破 壊し難くなり、結果的に、接合強度の高い接 合体5を得ることができる。

 なお、対向基板22の接合膜32を形成すべき領 域にも、前記基板21の場合と同様に、あらか め、対向基板22と接合膜32との密着性を高め る表面処理または中間層の形成を施すのが好 ましい。
 また、対向基板22の構成材料によっては、 記のような表面処理を施さなくても、対向 板22と接合膜32との密着強度が十分に高くな ものがある。このような効果が得られる対 基板22の構成材料には、前述した基板21の構 成材料と同様のもの、すなわち、各種金属系 材料、各種シリコン系材料、各種ガラス系材 料等を用いることができる。

 ここで、本工程において、接合膜付き基材1 aと接合膜付き基材1bとが接合されるメカニズ ムについて説明する。
 この接合は、以下のような2つのメカニズム (i)、(ii)の双方または一方に基づくものであ と推察される。
 (i)例えば、各接合膜31、32の表面351、352に水 酸基が露出している場合を例に説明すると、 本工程において、各接合膜31、32同士が密着 るように、2枚の接合膜付き基材1a、1b同士を 貼り合わせたとき、各接合膜付き基材1a、1b 接合膜31、32の表面351、352に存在する水酸基 士が、水素結合によって互いに引き合い、 酸基同士の間に引力が発生する。この引力 よって、2枚の接合膜付き基材1a、1b同士が 合されると推察される。
 また、この水素結合によって互いに引き合 水酸基同士は、温度条件等によって、脱水 合する。その結果、2枚の接合膜付き基材1a 1b同士の間では、水酸基が結合していた結 手同士が酸素原子を介して結合する。これ より、2枚の接合膜付き基材1a、1b同士がより 強固に接合されると推察される。

 (ii)2枚の接合膜付き基材1a、1b同士を貼り わせると、各接合膜31、32の表面351、352や内 部に生じた終端化されていない結合手(未結 手)同士が再結合する。この再結合は、接合 31と接合膜32との間で、互いに重なり合う( み合う)ように複雑に生じることから、接合 面にネットワーク状の結合が形成される。 れにより、各接合膜31、32を構成するそれぞ れの母材(Si骨格301)同士が直接接合して、各 合膜31、32同士が一体化する。

 以上のような(i)または(ii)のメカニズムによ り、図1(d)に示すような接合体5が得られる。
 なお、前記工程[2]で活性化された各接合膜3 1、32の表面351、352は、その活性状態が経時的 に緩和してしまう。このため、前記工程[2]の 終了後、できるだけ早く本工程[3]を行うよう にするのが好ましい。具体的には、前記工程 [2]の終了後、60分以内に本工程[3]を行うよう するのが好ましく、5分以内に行うのがより 好ましい。かかる時間内であれば、各接合膜 31、32の表面が十分な活性状態を維持してい ので、本工程で接合膜付き基材1aと接合膜付 き基材1bとを貼り合わせたとき、これらの間 十分な接合強度を得ることができる。

 換言すれば、活性化させる前の各接合膜3 1、32は、Si骨格301を有する接合膜であるため 化学的に比較的安定であり、耐候性に優れ いる。このため、活性化させる前の各接合 31、32は、長期にわたる保存に適したものと なる。したがって、例えば、そのような接合 膜31を備えた接合膜付き基材1aを多量に製造 たは購入して保存しておき、本工程の貼り わせを行う直前に、必要な個数のみに前記 程[2]に記載したエネルギーの付与を行うよ にすれば、接合体5の製造効率の観点から有 である。

 以上のようにして、図1(d)に示す接合体(本 明の接合体)5を得ることができる。
 なお、図1(d)では、接合膜付き基材1aの接合 31の全面を覆うように接合膜付き基材1bを重 ね合わせているが、これらの相対的な位置は 、互いにずれていてもよい。すなわち、接合 膜31から接合膜付き基材1bがはみ出るように 接合膜付き基材1aと接合膜付き基材1bとが重 合わされていてもよい。

 このようにして得られた接合体5は、基板21 対向基板22との間の接合強度が5MPa(50kgf/cm 2 )以上であるのが好ましく、10MPa(100kgf/cm 2 )以上であるのがより好ましい。このような 合強度を有する接合体5は、その剥離を十分 防止し得るものとなる。そして、後述のよ に、接合体5を用いて、例えば液滴吐出ヘッ ドを構成した場合、耐久性に優れた液滴吐出 ヘッドが得られる。また、接合膜付き基材1a よれば、基板21と対向基板22とが上記のよう な大きな接合強度で接合された接合体5を効 よく作製することができる。

 なお、従来のシリコン直接接合のような 体接合では、接合に供される表面を活性化 せても、その活性状態は、大気中で数秒~数 十秒程度の極めて短時間しか維持することが できなかった。このため、表面の活性化を行 った後、接合する2つの基板21、22を貼り合わ る等の作業に要する時間を、十分に確保す ことができないという問題があった。

 これに対し、本発明によれば、Si骨格301を する接合膜31を用いて接合を行っているため 、数分以上の比較的長時間にわたって活性状 態を維持することができる。このため、貼り 合わせ作業に要する時間を十分に確保するこ とができ、接合作業の効率化を高めることが できる。
 なお、接合体5を得た後、この接合体5に対 て、必要に応じ、以下の3つの工程([4A]、[4B] よび[4C])のうちの少なくとも1つの工程(接合 体5の接合強度を高める工程)を行うようにし もよい。これにより、接合体5の接合強度の さらなる向上を図ることができる。

 [4A]図2(e)に示すように、得られた接合体5を 基板21と対向基板22とが互いに近づく方向に 加圧する。
 これにより、基板21の表面および対向基板22 の表面に、接合膜31の表面および接合膜32の 面がより近接し、接合体5における接合強度 より高めることができる。
 また、接合体5を加圧することにより、接合 体5中の接合界面に残存していた隙間を押し して、接合面積をさらに広げることができ 。これにより、接合体5における接合強度を らに高めることができる。
 このとき、接合体5を加圧する際の圧力は、 接合体5が損傷を受けない程度の圧力で、で るだけ高い方が好ましい。これにより、こ 圧力に比例して接合体5における接合強度を めることができる。

 なお、この圧力は、基板21および対向基板22 の各構成材料や各厚さ、接合装置等の条件に 応じて、適宜調整すればよい。具体的には、 基板21および対向基板22の各構成材料や各厚 等に応じて若干異なるものの、0.2~10MPa程度 あるのが好ましく、1~5MPa程度であるのがよ 好ましい。これにより、接合体5の接合強度 確実に高めることができる。なお、この圧 が前記上限値を上回っても構わないが、基 21および対向基板22の各構成材料によっては 、基板21および対向基板22に損傷等が生じる それがある。
 また、加圧する時間は、特に限定されない 、10秒~30分程度であるのが好ましい。なお 加圧する時間は、加圧する際の圧力に応じ 適宜変更すればよい。具体的には、接合体5 加圧する際の圧力が高いほど、加圧する時 を短くしても、接合強度の向上を図ること できる。

 [4B]図2(e)に示すように、得られた接合体5を 熱する。
 これにより、接合体5における接合強度をよ り高めることができる。
 このとき、接合体5を加熱する際の温度は、 室温より高く、接合体5の耐熱温度未満であ ば、特に限定されないが、好ましくは25~100 程度とされ、より好ましくは50~100℃程度と れる。かかる範囲の温度で加熱すれば、接 体5が熱によって変質・劣化するのを確実に 止しつつ、接合強度を確実に高めることが きる。
 また、加熱時間は、特に限定されないが、1 ~30分程度であるのが好ましい。

 また、前記工程[4A]、[4B]の双方を行う場 、これらを同時に行うのが好ましい。すな ち、図2(e)に示すように、接合体5を加圧しつ つ、加熱するのが好ましい。これにより、加 圧による効果と、加熱による効果とが相乗的 に発揮され、各接合膜31、32の界面における 酸基の脱水縮合や未結合手同士の再結合が 進される。そして、各接合膜31、32同士の一 化がより進行する。その結果、図2(f)に示す ように、ほぼ完全に一体化された接合膜30が られる。

 [4C]得られた接合体5に紫外線を照射する。
 これにより、接合膜31と基板21および対向基 板22との間に形成される化学結合を増加させ 基板21と接合膜31との間、対向基板22と接合 32との間、および接合膜31と接合膜32との間 接合強度をそれぞれ高めることができる。 の結果、接合体5の接合強度を特に高めるこ とができる。
 このとき照射される紫外線の条件は、前記 程[2]に示した紫外線の条件と同等にすれば い。

 また、本工程[4C]を行う場合、基板21および 向基板22のうち、いずれか一方が透光性を していることが必要である。そして、透光 を有する基板側から、紫外線を照射するこ により、接合膜31に対して確実に紫外線を照 射することができる。
 以上のような工程を行うことにより、接合 5における接合強度のさらなる向上を容易に 図ることができる。

 ここで、前述したように、本発明の接合体 、各接合膜31、32に特徴を有している。接合 膜31および接合膜32は同様であるので、以下 代表として接合膜31について詳述する。
 前述したように、接合膜31は、図3、4に示す ように、シロキサン(Si-O)結合302を含み、ラン ダムな原子構造を有するSi骨格301と、このSi 格301に結合する脱離基303とを有するもので る。このような接合膜31は、シロキサン結合 302を含みランダムな原子構造を有するSi骨格3 01の影響によって、変形し難い強固な膜とな 。これは、Si骨格301の結晶性が低くなるた 、結晶粒界における転位やズレ等の欠陥が じ難いためであると考えられる。このため 接合膜31自体が接合強度、耐薬品性および寸 法精度の高いものとなり、最終的に得られる 接合体5においても、接合強度、耐薬品性お び寸法精度が高いものが得られる。

 このような接合膜31は、エネルギーが付与 れると、脱離基303がSi骨格301から脱離し、図 4に示すように、接合膜31の表面351および内部 に、活性手304が生じるものである。そして、 これにより、接合膜31の表面351に接着性が発 する。
 かかる接着性が発現すると、接合膜31を備 た接合膜付き基材1aは、接合膜付き基材1bに して、高い寸法精度で強固に効率よく接合 能なものとなる。

 また、このような接合膜31は、流動性を しない固体状のものとなる。このため、従 、流動性を有する液状または粘液状の接着 に比べて、接着層(接合膜31)の厚さや形状が とんど変化しない。これにより、接合膜付 基材1aを用いて得られた接合体5の寸法精度 、従来に比べて格段に高いものとなる。さ に、接着剤の硬化に要する時間が不要にな ため、短時間で強固な接合が可能となる。

 このような接合膜31としては、特に、接 膜31を構成する全原子からH原子を除いた原 のうち、Si原子の含有率とO原子の含有率の 計が、10~90原子%程度であるのが好ましく、20 ~80原子%程度であるのがより好ましい。Si原子 とO原子とが、前記範囲の含有率で含まれて れば、接合膜31は、Si原子とO原子とが強固な ネットワークを形成し、接合膜31自体が強固 ものとなる。また、かかる接合膜31は、基 21および接合膜付き基材1bに対して、特に高 接合強度を示すものとなる。

 また、接合膜31中のSi原子とO原子の存在比 、3:7~7:3程度であるのが好ましく、4:6~6:4程度 であるのがより好ましい。Si原子とO原子の存 在比を前記範囲内になるよう設定することに より、接合膜31の安定性が高くなり、接合膜 き基材1aと接合膜付き基材1bとをより強固に 接合することができるようになる。
 なお、接合膜31中のSi骨格301の結晶化度は、 45%以下であるのが好ましく、40%以下であるの がより好ましい。これにより、Si骨格301は十 にランダムな原子構造を含むものとなる。 のため、前述したSi骨格301の特性が顕在化 、接合膜31の寸法精度および接着性がより優 れたものとなる。

 また、接合膜31は、その構造中にSi-H結合 含んでいるのが好ましい。このSi-H結合は、 プラズマ重合法によってシランが重合反応す る際に重合物中に生じるものであるが、この とき、Si-H結合がシロキサン結合の生成が規 的に行われるのを阻害すると考えられる。 のため、シロキサン結合は、Si-H結合を避け ように形成されることとなり、Si骨格301の 子構造の規則性が低下する。このようにし 、プラズマ重合法によれば、結晶化度の低 Si骨格301を効率よく形成することができる。

 一方、接合膜31中のSi-H結合の含有率が多 れば多いほど結晶化度が低くなるわけでは い。具体的には、接合膜31の赤外光吸収ス クトルにおいて、シロキサン結合に帰属す ピークの強度を1としたとき、Si-H結合に帰属 するピークの強度は、0.001~0.2程度であるのが 好ましく、0.002~0.05程度であるのがより好ま く、0.005~0.02程度であるのがさらに好ましい Si-H結合のシロキサン結合に対する割合が前 記範囲内であることにより、接合膜31中の原 構造は、相対的に最もランダムなものとな 。このため、Si-H結合のピーク強度がシロキ サン結合のピーク強度に対して前記範囲内に ある場合、接合膜31は、接合強度、耐薬品性 よび寸法精度において特に優れたものとな 。

 また、Si骨格301に結合する脱離基303は、 述したように、Si骨格301から脱離することに よって、接合膜31に活性手を生じさせるよう る舞うものである。したがって、脱離基303 は、エネルギーを付与されることによって 比較的簡単に、かつ均一に脱離するものの エネルギーが付与されないときには、脱離 ないようSi骨格301に確実に結合しているも である必要がある。

 かかる観点から、脱離基303には、H原子、 B原子、C原子、N原子、O原子、P原子、S原子お よびハロゲン系原子、またはこれらの各原子 を含み、これらの各原子がSi骨格301に結合す よう配置された原子団からなる群から選択 れる少なくとも1種で構成されたものが好ま しく用いられる。かかる脱離基303は、エネル ギーの付与による結合/脱離の選択性に比較 優れている。このため、このような脱離基30 3は、上記のような必要性を十分に満足し得 ものとなり、接合膜付き基材1aの接着性をよ り高度なものとすることができる。

 なお、上記のような各原子がSi骨格301に結 するよう配置された原子団(基)としては、例 えば、メチル基、エチル基のようなアルキル 基、ビニル基、アリル基のようなアルケニル 基、アルデヒド基、ケトン基、カルボキシル 基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、ハロゲ ン化アルキル基、メルカプト基、スルホン酸 基、シアノ基、イソシアネート基等が挙げら れる。
 これらの各基の中でも、脱離基303は、特に ルキル基であるのが好ましい。アルキル基 化学的な安定性が高いため、アルキル基を む接合膜31は、耐候性および耐薬品性に優 たものとなる。

 ここで、脱離基303がメチル基(-CH 3 )である場合、その好ましい含有率は、赤外 吸収スペクトルにおけるピーク強度から以 のように規定される。
 すなわち、接合膜31の赤外光吸収スペクト において、シロキサン結合に帰属するピー の強度を1としたとき、メチル基に帰属する ークの強度は、0.05~0.45程度であるのが好ま く、0.1~0.4程度であるのがより好ましく、0.2 ~0.3程度であるのがさらに好ましい。メチル のピーク強度がシロキサン結合のピーク強 に対する割合が前記範囲内であることによ 、メチル基がシロキサン結合の生成を必要 上に阻害するのを防止しつつ、接合膜31中に 必要かつ十分な数の活性手が生じるため、接 合膜31に十分な接着性が生じる。また、接合 31には、メチル基に起因する十分な耐候性 よび耐薬品性が発現する。

 このような特徴を有する接合膜31の構成材 としては、例えば、ポリオルガノシロキサ のようなシロキサン結合を含む重合物等が げられる。
 ポリオルガノシロキサンで構成された接合 31は、それ自体が優れた機械的特性を有し いる。また、多くの材料に対して特に優れ 接着性を示すものである。したがって、ポ オルガノシロキサンで構成された接合膜31は 、基板21に対して特に強固に被着するととも 、接合膜付き基材1bに対しても特に強い被 力を示し、その結果として、基板21と対向基 板22とを強固に接合することができる。
 また、ポリオルガノシロキサンは、通常、 水性(非接着性)を示すが、エネルギーを付 されることにより、容易に有機基を脱離さ ることができ、親水性に変化し、接着性を 現するが、この非接着性と接着性との制御 容易かつ確実に行えるという利点を有する

 なお、この撥水性(非接着性)は、主に、 リオルガノシロキサン中に含まれたアルキ 基による作用である。したがって、ポリオ ガノシロキサンで構成された接合膜31は、エ ネルギーを付与されることにより、表面351に 接着性が発現するとともに、表面351以外の部 分においては、前述したアルキル基による作 用・効果が得られるという利点も有する。し たがって、接合膜31は、耐候性および耐薬品 に優れたものとなり、例えば、薬品類等に 期にわたって曝されるような基板の接合に して、有効に用いられるものとなる。これ より、例えば、樹脂材料を浸食し易い有機 インクが用いられる工業用インクジェット リンタの液滴吐出ヘッドを製造する際に、 リオルガノシロキサンで構成された接合膜3 1を備えた接合膜付き基材1aを用いることによ り、耐久性および耐薬品性の高い液滴吐出ヘ ッドを得ることができる。

 また、ポリオルガノシロキサンの中でも 特に、オクタメチルトリシロキサンの重合 を主成分とするものが好ましい。オクタメ ルトリシロキサンの重合物を主成分とする 合膜31は、接着性に特に優れることから、 発明の接合体に対して特に好適に適用でき ものである。また、オクタメチルトリシロ サンを主成分とする原料は、常温で液状を し、適度な粘度を有するため、取り扱いが 易であるという利点もある。

 また、接合膜31の平均厚さは、1~1000nm程度で あるのが好ましく、2~800nm程度であるのがよ 好ましい。接合膜31の平均厚さを前記範囲内 とすることにより、接合膜付き基材1aと接合 付き基材1bとを接合してなる接合体5の寸法 度が著しく低下するのを防止しつつ、これ をより強固に接合することができる。
 すなわち、接合膜31の平均厚さが前記下限 を下回った場合は、十分な接合強度が得ら ないおそれがある。一方、接合膜31の平均厚 さが前記上限値を上回った場合は、接合体5 寸法精度が著しく低下するおそれがある。

 さらに、接合膜31の平均厚さが前記範囲内 あれば、接合膜31にある程度の形状追従性が 確保される。このため、例えば、基板21の接 面(接合膜31に隣接する面)に凹凸が存在して いる場合でも、その凹凸の高さにもよるが、 凹凸の形状に追従するように接合膜31を被着 せることができる。その結果、接合膜31は 凹凸を吸収して、その表面に生じる凹凸の さを緩和することができる。そして、接合 付き基材1aと接合膜付き基材1bとを貼り合わ た際に、接合膜31と接合膜32との密着性を高 めることができる。
 なお、上記のような形状追従性の程度は、 合膜31の厚さが厚いほど顕著になる。した って、形状追従性を十分に確保するために 、接合膜31の厚さをできるだけ厚くすればよ い。

 このような接合膜31は、いかなる方法で 製されたものでもよく、プラズマ重合法、CV D法、PVD法のような各種気相成膜法や、各種 相成膜法等により作製することができるが これらの中でも、プラズマ重合法により作 されたものが好ましい。プラズマ重合法に れば、緻密で均質な接合膜31を効率よく作製 することができる。これにより、プラズマ重 合法で作製された接合膜31は、接合膜付き基 1bに対して特に強固に接合し得るものとな 。さらに、プラズマ重合法で作製された接 膜31は、エネルギーが付与されて活性化され た状態が比較的長時間にわたって維持される 。このため、接合体5の製造過程の簡素化、 率化を図ることができる。

 以下、一例として、プラズマ重合法により 合膜31を作製する方法について説明する。
 まず、接合膜31の作製方法を説明するのに 立って、基板21上にプラズマ重合法を行いて 接合膜31を作製する際に用いるプラズマ重合 置について説明する。
 図5は、本発明の接合方法に用いられるプラ ズマ重合装置を模式的に示す縦断面図である 。なお、以下の説明では、図5中の上側を「 」、下側を「下」と言う。

 図5に示すプラズマ重合装置100は、チャン バー101と、基板21を支持する第1の電極130と、 第2の電極140と、各電極130、140間に高周波電 を印加する電源回路180と、チャンバー101内 ガスを供給するガス供給部190と、チャンバ 101内のガスを排気する排気ポンプ170とを備 ている。これらの各部のうち、第1の電極130 よび第2の電極140がチャンバー101内に設けら れている。以下、各部について詳細に説明す る。

 チャンバー101は、内部の気密を保持し得る 器であり、内部を減圧(真空)状態にして使 されるため、内部と外部との圧力差に耐え る耐圧性能を有するものとされる。
 図5に示すチャンバー101は、軸線が水平方向 に沿って配置されたほぼ円筒形をなすチャン バー本体と、チャンバー本体の左側開口部を 封止する円形の側壁と、右側開口部を封止す る円形の側壁とで構成されている。

 チャンバー101の上方には供給口103が、下方 は排気口104が、それぞれ設けられている。 して、供給口103にはガス供給部190が接続さ 、排気口104には排気ポンプ170が接続されて る。
 なお、本実施形態では、チャンバー101は、 電性の高い金属材料で構成されており、接 線102を介して電気的に接地されている。

 第1の電極130は、板状をなしており、基板21 支持している。
 この第1の電極130は、チャンバー101の側壁の 内壁面に、鉛直方向に沿って設けられており 、これにより、第1の電極130は、チャンバー10 1を介して電気的に接地されている。なお、 1の電極130は、図5に示すように、チャンバー 本体と同心状に設けられている。

 第1の電極130の基板21を支持する面には、静 チャック(吸着機構)139が設けられている。
 この静電チャック139により、図5に示すよう に、基板21を鉛直方向に沿って支持すること できる。また、基板21に多少の反りがあっ も、静電チャック139に吸着させることによ 、その反りを矯正した状態で基板21をプラズ マ処理に供することができる。

 第2の電極140は、基板21を介して、第1の電極 130と対向して設けられている。なお、第2の 極140は、チャンバー101の側壁の内壁面から 間した(絶縁された)状態で設けられている。
 この第2の電極140には、配線184を介して高周 波電源182が接続されている。また、配線184の 途中には、マッチングボックス(整合器)183が けられている。これらの配線184、高周波電 182およびマッチングボックス183により、電 回路180が構成されている。
 このような電源回路180によれば、第1の電極 130は接地されているので、第1の電極130と第2 電極140との間に高周波電圧が印加される。 れにより、第1の電極130と第2の電極140との 隙には、高い周波数で向きが反転する電界 誘起される。

 ガス供給部190は、チャンバー101内に所定の スを供給するものである。
 図5に示すガス供給部190は、液状の膜材料( 料液)を貯留する貯液部191と、液状の膜材料 気化してガス状に変化させる気化装置192と キャリアガスを貯留するガスボンベ193とを している。また、これらの各部とチャンバ 101の供給口103とが、それぞれ配管194で接続 れており、ガス状の膜材料(原料ガス)とキ リアガスとの混合ガスを、供給口103からチ ンバー101内に供給するように構成されてい 。

 貯液部191に貯留される液状の膜材料は、プ ズマ重合装置100により、重合して基板21の 面に重合膜を形成する原材料となるもので る。
 このような液状の膜材料は、気化装置192に り気化され、ガス状の膜材料(原料ガス)と ってチャンバー101内に供給される。なお、 料ガスについては、後に詳述する。
 ガスボンベ193に貯留されるキャリアガスは 電界の作用により放電し、およびこの放電 維持するために導入するガスである。この うなキャリアガスとしては、例えば、Arガ 、Heガス等が挙げられる。

 また、チャンバー101内の供給口103の近傍に 、拡散板195が設けられている。
 拡散板195は、チャンバー101内に供給される 合ガスの拡散を促進する機能を有する。こ により、混合ガスは、チャンバー101内に、 ぼ均一の濃度で分散することができる。

 排気ポンプ170は、チャンバー101内を排気す ものであり、例えば、油回転ポンプ、ター 分子ポンプ等で構成される。このようにチ ンバー101内を排気して減圧することにより ガスを容易にプラズマ化することができる また、大気雰囲気との接触による基板21の 染・酸化等を防止するとともに、プラズマ 理による反応生成物をチャンバー101内から 果的に除去することができる。
 また、排気口104には、チャンバー101内の圧 を調整する圧力制御機構171が設けられてい 。これにより、チャンバー101内の圧力が、 ス供給部190の動作状況に応じて、適宜設定 れる。

 次に、上記のプラズマ重合装置100を用いて 基板21上に接合膜31を作製する方法について 説明する。
 図6は、基板21上に接合膜31を作製する方法 説明するための図(縦断面図)である。なお、 以下の説明では、図6中の上側を「上」、下 を「下」と言う。
 接合膜31は、強電界中に、原料ガスとキャ アガスとの混合ガスを供給することにより 原料ガス中の分子を重合させ、重合物を基 21上に堆積させることにより得ることができ る。以下、詳細に説明する。

 まず、基板21を用意し、必要に応じて、基 21の上面251に前述したような表面処理を施す 。
 次に、基板21をプラズマ重合装置100のチャ バー101内に収納して封止状態とした後、排 ポンプ170の作動により、チャンバー101内を 圧状態とする。
 次に、ガス供給部190を作動させ、チャンバ 101内に原料ガスとキャリアガスの混合ガス 供給する。供給された混合ガスは、チャン ー101内に充填される(図6(a)参照)。

 ここで、混合ガス中における原料ガスの占 る割合(混合比)は、原料ガスやキャリアガ の種類や目的とする成膜速度等によって若 異なるが、例えば、混合ガス中の原料ガス 割合を20~70%程度に設定するのが好ましく、30 ~60%程度に設定するのがより好ましい。これ より、重合膜の形成(成膜)の条件の最適化を 図ることができる。
 また、供給するガスの流量は、ガスの種類 目的とする成膜速度、膜厚等によって適宜 定され、特に限定されるものではないが、 常は、原料ガスおよびキャリアガスの流量 、それぞれ、1~100ccm程度に設定するのが好 しく、10~60ccm程度に設定するのがより好まし い。

 次いで、電源回路180を作動させ、一対の電 130、140間に高周波電圧を印加する。これに り、一対の電極130、140間に存在するガスの 子が電離し、プラズマが発生する。このプ ズマのエネルギーにより原料ガス中の分子 重合し、図6(b)に示すように、重合物が基板 21に付着・堆積する。これにより、基板21上 プラズマ重合膜で構成された接合膜31が形成 される(図6(c)参照)。
 また、プラズマの作用により、基板21の表 が活性化・清浄化される。このため、原料 スの重合物が基板21の表面に堆積し易くなり 、接合膜31の安定した成膜が可能になる。こ ようにプラズマ重合法によれば、基板21の 成材料によらず、基板21と接合膜31との密着 度をより高めることができる。

 原料ガスとしては、例えば、メチルシロキ ン、オクタメチルトリシロキサン、デカメ ルテトラシロキサン、デカメチルシクロペ タシロキサン、オクタメチルシクロテトラ ロキサン、メチルフェニルシロキサンのよ なオルガノシロキサン等が挙げられる。
 このような原料ガスを用いて得られるプラ マ重合膜、すなわち接合膜31は、これらの 料が重合してなるもの(重合物)、すなわちポ リオルガノシロキサンで構成されることとな る。

 プラズマ重合の際、一対の電極130、140間に 加する高周波の周波数は、特に限定されな が、1kHz~100MHz程度であるのが好ましく、10~60 MHz程度であるのがより好ましい。
 また、高周波の出力密度は、特に限定され いが、0.01~100W/cm 2 程度であるのが好ましく、0.1~50W/cm 2 程度であるのがより好ましく、1~40W/cm 2 程度であるのがさらに好ましい。高周波の出 力密度を前記範囲内とすることにより、高周 波の出力密度が高過ぎて原料ガスに必要以上 のプラズマエネルギーが付加されるのを防止 しつつ、ランダムな原子構造を有するSi骨格3 01を確実に形成することができる。すなわち 高周波の出力密度が前記下限値を下回った 合、原料ガス中の分子に重合反応を生じさ ることができず、接合膜31を形成すること できないおそれがある。一方、高周波の出 密度が前記上限値を上回った場合、原料ガ が分解する等して、脱離基303となり得る構 がSi骨格301から分離してしまい、得られる接 合膜31において脱離基303の含有率が著しく低 なったり、Si骨格301のランダム性が低下す (規則性が高くなる)おそれがある。

 また、成膜時のチャンバー101内の圧力は、1 33.3×10 -5 ~1333Pa(1×10 -5 ~10Torr)程度であるのが好ましく、133.3×10 -4 ~133.3Pa(1×10 -4 ~1Torr)程度であるのがより好ましい。
 原料ガス流量は、0.5~200sccm程度であるのが ましく、1~100sccm程度であるのがより好まし 。一方、キャリアガス流量は、5~750sccm程度 あるのが好ましく、10~500sccm程度であるのが り好ましい。
 処理時間は、1~10分程度であるのが好ましく 、4~7分程度であるのがより好ましい。
 また、基板21の温度は、25℃以上であるのが 好ましく、25~100℃程度であるのがより好まし い。

 以上のようにして、接合膜31を得るととも 、接合膜付き基材1aを得ることができる。
 また、接合膜付き基材1aと同様にして、接 膜付き基材1bを得ることができる。
 なお、接合膜31は、光を透過させることが きる。また、接合膜31の形成条件(プラズマ 合の際の条件や原料ガスの組成等)を適宜設 することにより、接合膜31の屈折率を調整 ることができる。具体的には、プラズマ重 の際の高周波の出力密度を高めることによ 、接合膜31の屈折率を高めることができ、反 対に、プラズマ重合の際の高周波の出力密度 を低くすることにより、接合膜31の屈折率を くすることができる。

 具体的には、プラズマ重合法によれば、 折率の範囲が1.35~1.6程度の接合膜31が得られ る。このような接合膜31は、その屈折率が、 晶や石英ガラスの屈折率に近いため、例え 接合膜31を光路が貫通するような構造の光 部品を製造する際に好適に用いられる。ま 、接合膜31の屈折率を調整することができる ので、所望の屈折率の接合膜31を作製するこ ができる。

 <第2実施形態>
 次に、本発明の接合体および接合方法の各 2実施形態について説明する。
 図7は、基板と対向基板とを接合する本発明 の接合方法の第2実施形態を説明するための (縦断面図)である。なお、以下の説明では、 図7中の上側を「上」、下側を「下」と言う

 以下、第2実施形態にかかる接合方法につい て説明するが、前記第1実施形態との相違点 中心に説明し、同様の事項については、そ 説明を省略する。
 本実施形態にかかる接合方法は、接合膜付 基材1aと接合膜付き基材1bとを重ね合わせた 後に、各接合膜31、32にエネルギーを付与す ようにした以外は、前記第1実施形態と同様 ある。

 すなわち、本実施形態にかかる接合方法 、接合膜付き基材1aを用意する工程と、接 膜付き基材1aと同様の接合膜付き基材1bを用 し、接合膜付き基材1aが備える接合膜31と接 合膜付き基材1bが備える接合膜32とが密着す ように、これらを重ね合わせる工程と、重 合わせてなる仮接合体中の各接合膜31、32に してエネルギーを付与して、各接合膜31、32 を活性化させ、これにより、接合膜付き基材 1aと接合膜付き基材1bとを接合してなる接合 5を得る工程とを有する。

 以下、本実施形態にかかる接合方法の各工 について順次説明する。
 [1]まず、前記第1実施形態と同様にして、接 合膜付き基材1aを用意する(図7(a)参照)。
 [2]次に、図7(a)に示すように、接合膜付き基 材1bを用意し、接合膜31の表面351と接合膜32の 表面352とが密着するように、接合膜付き基材 1aと接合膜付き基材1bとを重ね合わせ、仮接 体を得る。なお、この仮接合体の状態では 接合膜付き基材1aと接合膜付き基材1bとの間 接合されていないので、接合膜付き基材1a 接合膜付き基材1bに対する相対位置を調整す ることができる。これにより、接合膜付き基 材1aと接合膜付き基材1bとを重ね合わせた後 互いをずらすことによって、これらの位置 容易に微調整することができる。その結果 接合膜付き基材1aの接合膜付き基材1bに対す 位置精度を高めることができる。

 [3]次に、図7(b)に示すように、仮接合体中の 各接合膜31、32に対してエネルギーを付与す 。各接合膜31、32にエネルギーが付与される 、各接合膜31、32に接着性が発現する。これ により、接合膜付き基材1aと接合膜付き基材1 bとが接合され、図7(c)に示す接合体5が得られ る。
 ここで、各接合膜31、32に付与するエネルギ ーは、いかなる方法で付与されてもよいが、 例えば、前記第1実施形態で挙げたような方 で付与される。

 また、本実施形態では、各接合膜31、32にエ ネルギーを付与する方法として、特に、各接 合膜31、32にエネルギー線を照射する方法、 接合膜31、32を加熱する方法、および各接合 31、32に圧縮力(物理的エネルギー)を付与す 方法のうちの少なくとも1つの方法を用いる のが好ましい。これらの方法は、各接合膜31 32に対して比較的簡単に効率よくエネルギ を付与することができるので、エネルギー 与方法として好適である。
 このうち、各接合膜31、32にエネルギー線を 照射する方法としては、前記第1実施形態と 様の方法を用いることができる。

 なお、この場合、エネルギー線は、基板21 たは対向基板22を透過して各接合膜31、32に 射されることとなる。したがって、基板21ま たは対向基板22は、透光性を有するものであ のが好ましい。
 一方、各接合膜31、32を加熱することにより 、各接合膜31、32に対してエネルギーを付与 る場合には、加熱温度を25~100℃程度に設定 るのが好ましく、50~100℃程度に設定するの より好ましい。かかる範囲の温度で加熱す ば、基板21が熱によって変質・劣化するのを 確実に防止しつつ、各接合膜31、32を確実に 性化させることができる。
 また、加熱時間は、各接合膜31、32の脱離基 303を脱離し得る程度の時間とすればよく、具 体的には、加熱温度が前記範囲内であれば、 1~30分程度であるのが好ましい。

 また、各接合膜31、32は、いかなる方法で加 熱されてもよいが、例えば、ヒータを用いる 方法、赤外線を照射する方法、火炎に接触さ せる方法等の各種方法で加熱することができ る。
 なお、赤外線を照射する方法を用いる場合 は、基板21または対向基板22は、光吸収性を 有する材料で構成されているのが好ましい。 これにより、赤外線を照射された基板21また 対向基板22は、効率よく発熱する。その結 、各接合膜31、32を効率よく加熱することが きる。
 また、ヒータを用いる方法または火炎に接 させる方法を用いる場合には、基板21また 対向基板22は、熱伝導性に優れた材料で構成 されているのが好ましい。これにより、基板 21または対向基板22を介して、各接合膜31、32 対して効率よく熱を伝えることができ、各 合膜31、32を効率よく加熱することができる 。

 また、各接合膜31、32に圧縮力を付与するこ とにより、各接合膜31、32に対してエネルギ を付与する場合には、接合膜付き基材1aと接 合膜付き基材1bとが互いに近づく方向に、0.2~ 10MPa程度の圧力で圧縮するのが好ましく、1~5M Pa程度の圧力で圧縮するのがより好ましい。 れにより、単に圧縮するのみで、各接合膜3 1、32に対して適度なエネルギーを簡単に付与 することができ、各接合膜31、32に十分な接 性が発現する。なお、この圧力が前記上限 を上回っても構わないが、基板21と対向基板 22の各構成材料によっては、基板21および対 基板22に損傷等が生じるおそれがある。
 また、圧縮力を付与する時間は、特に限定 れないが、10秒~30分程度であるのが好まし 。なお、圧縮力を付与する時間は、圧縮力 大きさに応じて適宜変更すればよい。具体 には、圧縮力の大きさが大きいほど、圧縮 を付与する時間を短くすることができる。

 以上のようにして接合体5を得ることができ る。
 なお、接合体5を得た後、この接合体5に対 て、必要に応じ、前記第1実施形態の工程[4A] 、[4B]および[4C]のうちの少なくとも1つの工程 を行うようにしてもよい。

 <第3実施形態>
 次に、本発明の接合体および接合方法の各 3実施形態について説明する。
 図8は、基板と対向基板とを接合する本発明 の接合方法の第3実施形態を説明するための (縦断面図)である。なお、以下の説明では、 図8中の上側を「上」、下側を「下」と言う
 以下、第3実施形態にかかる接合方法につい て説明するが、前記第1実施形態または前記 2実施形態との相違点を中心に説明し、同様 事項については、その説明を省略する。

 本実施形態にかかる接合方法は、2枚の接 合膜付き基材1a、1bを用意し、接合膜付き基 1aにおいて、接合膜31の表面351の全面を活性 させるとともに、接合膜付き基材1bにおい 、接合膜32の一部の所定領域350のみを選択的 に活性化させた後、各接合膜31、32同士が接 するように、接合膜付き基材1aと接合膜付き 基材1bとを重ね合わせることにより、2枚の接 合膜付き基材1a、1b同士を前記所定領域350に いて部分的に接合するようにした以外は、 記第1実施形態と同様である。

 すなわち、本実施形態にかかる接合方法 、接合膜付き基材1aを用意する工程と、接 膜付き基材1aと同様の接合膜付き基材1bを用 し、各接合膜31、32に対して、それぞれ異な る領域にエネルギーを付与して、その領域を 活性化させる工程と、2枚の接合膜付き基材1a 、1b同士を貼り合わせ、2枚の接合膜付き基材 1a、1b同士が、前記所定領域350において部分 に接合されてなる接合体5aを得る工程とを有 する。

 以下、本実施形態にかかる接合方法の各工 について順次説明する。
 [1]まず、前記第1実施形態と同様にして、接 合膜付き基材1aを用意する(図8(a)参照)。
 [2]次に、図8(b)に示すように、接合膜付き基 材1aの接合膜31の表面351の全面にエネルギー 付与する。これにより、接合膜31の表面351の 全面に接着性が発現する。

 一方、接合膜付き基材1bを用意し、接合 付き基材1bの接合膜32の表面352には、一部の 定領域350に対して選択的にエネルギーを付 する。所定領域350に対して選択的にエネル ーを付与する方法としては、いかなる方法 もよいが、特に接合膜32にエネルギー線を 射する方法を用いるのが好ましい。この方 は、接合膜32に対して比較的簡単に効率よく エネルギーを付与することができるので、エ ネルギー付与方法として好適である。

 また、本実施形態では、エネルギー線とし 、特に、レーザー光、電子線のような指向 の高いエネルギー線を用いるのが好ましい かかるエネルギー線であれば、目的の方向 向けて照射することにより、所定領域に対 てエネルギー線を選択的にかつ簡単に照射 ることができる。
 また、指向性の低いエネルギー線であって 、接合膜32の表面352のうち、エネルギー線 照射すべき所定領域350以外の領域を覆うよ に(隠すように)して照射すれば、所定領域350 に対してエネルギー線を選択的に照射するこ とができる。
 具体的には、図8(b)に示すように、接合膜32 表面352の上方に、エネルギー線を照射すべ 所定領域350の形状に対応する形状をなす窓 61を有するマスク6を設け、このマスク6を介 してエネルギー線を照射すればよい。このよ うにすれば、所定領域350に対して、エネルギ ー線を選択的に照射することが容易に行える 。

 各接合膜31、32にそれぞれエネルギーが付与 されると、各接合膜31、32では、脱離基303がSi 骨格301から脱離する(図3参照)。そして、脱離 基303が脱離した後には、各接合膜31、32の表 351、352および内部に活性手304が生じる(図4参 照)。これにより、接合膜31の表面351の全面と 、接合膜32の表面352の所定領域350とに、それ れ接着性が発現する。また、その一方、接 膜32の所定領域350以外の領域には、該接着 はほとんど発現しない。
 このような状態の接合膜付き基材1aおよび 合膜付き基材1bは、所定領域350において部分 的に接着可能なものとなる。

 [3]次に、図8(c)に示すように、接着性が発現 した各接合膜31、32同士が密着するように、 合膜付き基材1aと接合膜付き基材1bとを貼り わせる。これにより、図8(d)に示す接合体5a 得る。
 このようにして得られた接合体5aは、接合 付き基材1aと接合膜付き基材1bとを対向面全 で接合するのではなく、一部の領域(所定領 域350)のみを部分的に接合してなるものであ 。そして、この接合の際、接合膜32に対して エネルギーを付与する領域を制御することの みで、接合される領域を簡単に選択すること ができる。これにより、例えば、接合体5aの 合強度を容易に調整することができる。

 また、図8(d)に示す接合膜付き基材1aと接合 付き基材1bとの接合部(所定領域350)の面積や 形状を適宜制御することにより、接合部に生 じる応力の局所集中を緩和することができる 。これにより、例えば、基板21と対向基板22 の間で熱膨張率差が大きい場合でも、接合 付き基材1aと接合膜付き基材1bとを確実に接 することができる。
 さらに、接合体5aでは、接合膜付き基材1aと 接合膜付き基材1bとの間隙のうち、接合して る所定領域350以外の領域では、わずかな間 が生じている(残存している)。したがって この所定領域350の形状を適宜調整すること より、接合膜付き基材1aと接合膜付き基材1b の間に、閉空間や流路等を容易に形成する とができる。

 なお、前述したように、接合膜付き基材1a 接合膜付き基材1bとの接合部(所定領域350)の 積を制御することにより、接合体5aの接合 度を調整可能であると同時に、接合体5aを分 離する際の強度(割裂強度)を調整可能である
 かかる観点から、容易に分離可能な接合体5 aを作製する場合には、接合体5aの接合強度は 、人の手で容易に分離可能な程度の大きさで あるのが好ましい。これにより、接合体5aを 離する際、装置等を用いることなく、簡単 行うことができる。

 以上のようにして接合体5aを得ることがで る。
 なお、接合体5aを得た後、この接合体5aに対 して、必要に応じ、前記第1実施形態の工程[4 A]、[4B]および[4C]のうちの少なくとも1つの工 を行うようにしてもよい。
 例えば、接合体5aを加圧しつつ、加熱する とにより、接合体5aの各基板21、22同士がよ 近接する。これにより、各接合膜31、32の界 における水酸基の脱水縮合や未結合手同士 再結合が促進される。そして、所定領域350 形成された接合部において、一体化がより 行し、最終的には、ほぼ完全に一体化され 。

 なお、このとき、接合膜31の表面351と接合 32の表面352との界面のうち、所定領域350以外 の領域(非接合領域)では、各表面351、352間に ずかな間隙が生じている(残存している)。 たがって、接合体5aを加圧しつつ、加熱する 際には、この所定領域350以外の領域において 、各接合膜31、32が接合されないような条件 行うようにするのが好ましい。
 また、上記のことを考慮して、前記第1実施 形態の工程[4A]、[4B]および[4C]のうちの少なく とも1つの工程を行う場合、これらの工程を 所定領域350に対して選択的に行うのが好ま い。これにより、所定領域350以外の領域に いて、各接合膜31、32が意図せず接合される を防止することができる。

 <第4実施形態>
 次に、本発明の接合体および接合方法の各 4実施形態について説明する。
 図9は、基板と対向基板とを接合する本発明 の接合方法の第4実施形態を説明するための (縦断面図)である。なお、以下の説明では、 図9中の上側を「上」、下側を「下」と言う

 以下、第4実施形態にかかる接合方法につい て説明するが、前記第1実施形態ないし前記 3実施形態との相違点を中心に説明し、同様 事項については、その説明を省略する。
 本実施形態にかかる接合方法は、各基板21 22の上面251、252のうち、それぞれ一部の所定 領域350のみに選択的に接合膜3a、3bを形成す ことにより、接合膜付き基材1aと接合膜付き 基材1bとを各接合膜3a、3bを介して部分的に接 合するようにした以外は、前記第1実施形態 同様である。

 すなわち、本実施形態にかかる接合方法 、各基板21、22と、この基板21、22の各所定 域350に形成された接合膜3a、3bとを有する接 膜付き基材1aおよび接合膜付き基材1bを用意 する工程と、各接合膜付き基材1a、1bの接合 3a、3bに対してエネルギーを付与して、各接 膜3a、3bを活性化させる工程と、接合膜付き 基材1aと接合膜付き基材1bとを貼り合わせ、 合膜付き基材1aと接合膜付き基材1bとが、前 所定領域350において部分的に接合されてな 接合体5bを得る工程とを有する。

 以下、本実施形態にかかる接合方法の各工 について順次説明する。
 [1]まず、図9(a)に示すように、各基板21、22 上方に、所定領域350の形状に対応する形状 なす窓部61を有するマスク6をそれぞれ設け 。
 次に、マスク6を介して、各基板21、22の上 251、252に、それぞれ接合膜3a、3bを成膜する 例えば、図9(a)に示すように、マスク6を介 てプラズマ重合法により接合膜3a、3bを成膜 る場合、プラズマ重合法によって生成され 重合物は、各基板21、22の上面251、252上に堆 積するが、このときマスク6を介することに り、それぞれの所定領域350にのみ重合物が 積する。その結果、各基板21、22の上面251、2 52の一部の所定領域350に、接合膜3a、3bがそれ ぞれ形成される。

 [2]次に、図9(b)に示すように、各接合膜3a、3 bにエネルギーを付与する。これにより、接 膜3a、3bに接着性が発現する。
 なお、本工程でエネルギーを付与する際に 、各接合膜3a、3bに選択的にエネルギーを付 与してもよいが、各接合膜3a、3bを含む基板21 、22の上面251、252の全体に、それぞれエネル ーを付与するようにしてもよい。
 また、各接合膜3a、3bに付与するエネルギー は、いかなる方法で付与されてもよいが、例 えば、前記第1実施形態で挙げたような方法 付与される。

 [3]次に、図9(c)に示すように、接着性が発現 した各接合膜3a、3b同士が密着するように、 合膜付き基材1aと接合膜付き基材1bとを貼り わせる。これにより、図9(d)に示す接合体5b 得る。
 このようにして得られた接合体5bは、接合 付き基材1aと接合膜付き基材1bとを対向面全 で接合するのではなく、一部の領域(所定領 域350)のみを部分的に接合してなるものであ 。そして、この接合の際、各接合膜31、32を 成する領域を制御することのみで、接合さ る領域を簡単に選択することができる。こ により、例えば、接合体5bの接合強度を容 に調整することができる。

 また、接合体5bの各基板21、22間には、所 領域350以外の領域に、接合膜3aと接合膜3bと の合計の厚さに相当する離間距離の間隙3cが 成されている(図9(d)参照)。したがって、所 領域350の形状や各接合膜3a、3bの厚さを適宜 調整することにより、各基板21、22間に、所 の形状の閉空間や流路等を容易に形成する とができる。

 以上のようにして接合体5bを得ることがで る。
 なお、接合体5bを得た後、この接合体5bに対 して、必要に応じ、前記第1実施形態の工程[4 A]、[4B]および[4C]のうちの少なくとも1つの工 を行うようにしてもよい。
 例えば、接合体5bを加圧しつつ、加熱する とにより、接合体5bの各基板21、22同士がよ 近接する。これにより、各接合膜31、32の界 における水酸基の脱水縮合や未結合手同士 再結合が促進される。そして、所定領域350 形成された接合部において、一体化がより 行し、最終的には、ほぼ完全に一体化され 。

 以上のような前記各実施形態にかかる接合 法は、種々の複数の部材同士を接合するの 用いることができる。
 このような接合に供される部材としては、 えば、トランジスタ、ダイオード、メモリ ような半導体素子、水晶発振子のような圧 素子、反射鏡、光学レンズ、回折格子、光 フィルターのような光学素子、太陽電池の うな光電変換素子、半導体基板とそれに搭 される半導体素子、絶縁性基板と配線また 電極、インクジェット式記録ヘッド、マイ ロリアクタ、マイクロミラーのようなMEMS(Mi cro Electro Mechanical Systems)部品、圧力センサ 加速度センサのようなセンサ部品、半導体 子や電子部品のパッケージ部品、磁気記録 体、光磁気記録媒体、光記録媒体のような 録媒体、液晶表示素子、有機EL素子、電気泳 動表示素子のような表示素子用部品、燃料電 池用部品等が挙げられる。

 <液滴吐出ヘッド>
 ここでは、本発明の接合体をインクジェッ 式記録ヘッドに適用した場合の実施形態に いて説明する。
 図10は、本発明の接合体を適用して得られ インクジェット式記録ヘッド(液滴吐出ヘッ )を示す分解斜視図、図11は、図10に示すイ クジェット式記録ヘッドの主要部の構成を す断面図、図12は、図10に示すインクジェッ 式記録ヘッドを備えるインクジェットプリ タの実施形態を示す概略図である。なお、 10は、通常使用される状態とは、上下逆に されている。

 図10に示すインクジェット式記録ヘッド10は 、図12に示すようなインクジェットプリンタ9 に搭載されている。
 図12に示すインクジェットプリンタ9は、装 本体92を備えており、上部後方に記録用紙P 設置するトレイ921と、下部前方に記録用紙P を排出する排紙口922と、上部面に操作パネル 97とが設けられている。

 操作パネル97は、例えば、液晶ディスプレ 、有機ELディスプレイ、LEDランプ等で構成さ れ、エラーメッセージ等を表示する表示部( 示せず)と、各種スイッチ等で構成される操 部(図示せず)とを備えている。
 また、装置本体92の内部には、主に、往復 するヘッドユニット93を備える印刷装置(印 手段)94と、記録用紙Pを1枚ずつ印刷装置94に り込む給紙装置(給紙手段)95と、印刷装置94 よび給紙装置95を制御する制御部(制御手段) 96とを有している。

 制御部96の制御により、給紙装置95は、記 録用紙Pを一枚ずつ間欠送りする。この記録 紙Pは、ヘッドユニット93の下部近傍を通過 る。このとき、ヘッドユニット93が記録用紙 Pの送り方向とほぼ直交する方向に往復移動 て、記録用紙Pへの印刷が行なわれる。すな ち、ヘッドユニット93の往復動と記録用紙P 間欠送りとが、印刷における主走査および 走査となって、インクジェット方式の印刷 行なわれる。

 印刷装置94は、ヘッドユニット93と、ヘッド ユニット93の駆動源となるキャリッジモータ9 41と、キャリッジモータ941の回転を受けて、 ッドユニット93を往復動させる往復動機構94 2とを備えている。
 ヘッドユニット93は、その下部に、多数の ズル孔111を備えるインクジェット式記録ヘ ド10(以下、単に「ヘッド10」と言う。)と、 ッド10にインクを供給するインクカートリッ ジ931と、ヘッド10およびインクカートリッジ9 31を搭載したキャリッジ932とを有している。
 なお、インクカートリッジ931として、イエ ー、シアン、マゼンタ、ブラック(黒)の4色 インクを充填したものを用いることにより フルカラー印刷が可能となる。

 往復動機構942は、その両端をフレーム(図示 せず)に支持されたキャリッジガイド軸943と キャリッジガイド軸943と平行に延在するタ ミングベルト944とを有している。
 キャリッジ932は、キャリッジガイド軸943に 復動自在に支持されるとともに、タイミン ベルト944の一部に固定されている。

 キャリッジモータ941の作動により、プーリ 介してタイミングベルト944を正逆走行させ と、キャリッジガイド軸943に案内されて、 ッドユニット93が往復動する。そして、こ 往復動の際に、ヘッド10から適宜インクが吐 出され、記録用紙Pへの印刷が行われる。
 給紙装置95は、その駆動源となる給紙モー 951と、給紙モータ951の作動により回転する 紙ローラ952とを有している。

 給紙ローラ952は、記録用紙Pの送り経路( 録用紙P)を挟んで上下に対向する従動ローラ 952aと駆動ローラ952bとで構成され、駆動ロー 952bは給紙モータ951に連結されている。これ により、給紙ローラ952は、トレイ921に設置し た多数枚の記録用紙Pを、印刷装置94に向かっ て1枚ずつ送り込めるようになっている。な 、トレイ921に代えて、記録用紙Pを収容する 紙カセットを着脱自在に装着し得るような 成であってもよい。

 制御部96は、例えばパーソナルコンピュー やディジタルカメラ等のホストコンピュー から入力された印刷データに基づいて、印 装置94や給紙装置95等を制御することにより 刷を行うものである。
 制御部96は、いずれも図示しないが、主に 各部を制御する制御プログラム等を記憶す メモリ、圧電素子(振動源)14を駆動して、イ クの吐出タイミングを制御する圧電素子駆 回路、印刷装置94(キャリッジモータ941)を駆 動する駆動回路、給紙装置95(給紙モータ951) 駆動する駆動回路、および、ホストコンピ ータからの印刷データを入手する通信回路 、これらに電気的に接続され、各部での各 制御を行うCPUとを備えている。
 また、CPUには、例えば、インクカートリッ 931のインク残量、ヘッドユニット93の位置 を検出可能な各種センサ等が、それぞれ電 的に接続されている。

 制御部96は、通信回路を介して、印刷デ タを入手してメモリに格納する。CPUは、こ 印刷データを処理して、この処理データお び各種センサからの入力データに基づいて 各駆動回路に駆動信号を出力する。この駆 信号により圧電素子14、印刷装置94および給 装置95は、それぞれ作動する。これにより 記録用紙Pに印刷が行われる。

 以下、ヘッド10について、図10および図11を 照しつつ詳述する。
 ヘッド10は、ノズル板11と、インク室基板12 、振動板13と、振動板13に接合された圧電素 子(振動源)14とを備えるヘッド本体17と、この ヘッド本体17を収納する基体16とを有してい 。なお、このヘッド10は、オンデマンド形の ピエゾジェット式ヘッドを構成する。

 ノズル板11は、例えば、SiO 2 、SiN、石英ガラスのようなシリコン系材料、 Al、Fe、Ni、Cuまたはこれらを含む合金のよう 金属系材料、アルミナ、酸化鉄のような酸 物系材料、カーボンブラック、グラファイ のような炭素系材料等で構成されている。
 このノズル板11には、インク滴を吐出する めの多数のノズル孔111が形成されている。 れらのノズル孔111間のピッチは、印刷精度 応じて適宜設定される。

 ノズル板11には、インク室基板12が固着(固 )されている。
 このインク室基板12は、ノズル板11、側壁( 壁)122および後述する振動板13により、複数 インク室(キャビティ、圧力室)121と、インク カートリッジ931から供給されるインクを貯留 するリザーバ室123と、リザーバ室123から各イ ンク室121に、それぞれインクを供給する供給 口124とが区画形成されている。
 各インク室121は、それぞれ短冊状(直方体状 )に形成され、各ノズル孔111に対応して配設 れている。各インク室121は、後述する振動 13の振動により容積可変であり、この容積変 化により、インクを吐出するよう構成されて いる。

 インク室基板12を得るための母材としては 例えば、シリコン単結晶基板、各種ガラス 板、各種樹脂基板等を用いることができる これらの基板は、いずれも汎用的な基板で るので、これらの基板を用いることにより ヘッド10の製造コストを低減することができ る。
 一方、インク室基板12のノズル板11と反対側 には、振動板13が接合され、さらに振動板13 インク室基板12と反対側には、複数の圧電素 子14が設けられている。
 また、振動板13の所定位置には、振動板13の 厚さ方向に貫通して連通孔131が形成されてい る。この連通孔131を介して、前述したインク カートリッジ931からリザーバ室123に、インク が供給可能となっている。

 各圧電素子14は、それぞれ、下部電極142と 部電極141との間に圧電体層143を介挿してな 、各インク室121のほぼ中央部に対応して配 されている。各圧電素子14は、圧電素子駆動 回路に電気的に接続され、圧電素子駆動回路 の信号に基づいて作動(振動、変形)するよう 成されている。
 各圧電素子14は、それぞれ、振動源として 能し、振動板13は、圧電素子14の振動により 動し、インク室121の内部圧力を瞬間的に高 るよう機能する。
 基体16は、例えば各種樹脂材料、各種金属 料等で構成されており、この基体16にノズル 板11が固定、支持されている。すなわち、基 16が備える凹部161に、ヘッド本体17を収納し た状態で、凹部161の外周部に形成された段差 162によりノズル板11の縁部を支持する。

 以上のような、ノズル板11とインク室基板12 との接合、インク室基板12と振動板13との接 、およびノズル板11と基体16とを接合する際 、少なくとも1箇所において本発明の接合方 法が適用されている。
 換言すれば、ノズル板11とインク室基板12と の接合体、インク室基板12と振動板13との接 体、およびノズル板11と基体16との接合体の ち、少なくとも1箇所に本発明の接合体が適 用されている。

 このようなヘッド10は、接合部の接合界面 接合強度および耐薬品性が高くなっており これにより、各インク室121に貯留されたイ クに対する耐久性および液密性が高くなっ いる。その結果、ヘッド10は、信頼性の高い ものとなる。
 また、非常に低温で信頼性の高い接合がで るため、線膨張係数の異なる材料でも大面 のヘッドができる点でも有利である

 このようなヘッド10は、圧電素子駆動回 を介して所定の吐出信号が入力されていな 状態、すなわち、圧電素子14の下部電極142と 上部電極141との間に電圧が印加されていない 状態では、圧電体層143に変形が生じない。こ のため、振動板13にも変形が生じず、インク 121には容積変化が生じない。したがって、 ズル孔111からインク滴は吐出されない。

 一方、圧電素子駆動回路を介して所定の 出信号が入力された状態、すなわち、圧電 子14の下部電極142と上部電極141との間に一 電圧が印加された状態では、圧電体層143に 形が生じる。これにより、振動板13が大きく たわみ、インク室121の容積変化が生じる。こ のとき、インク室121内の圧力が瞬間的に高ま り、ノズル孔111からインク滴が吐出される。

 1回のインクの吐出が終了すると、圧電素 子駆動回路は、下部電極142と上部電極141との 間への電圧の印加を停止する。これにより、 圧電素子14は、ほぼ元の形状に戻り、インク 121の容積が増大する。なお、このとき、イ クには、インクカートリッジ931からノズル 111へ向かう圧力(正方向への圧力)が作用し いる。このため、空気がノズル孔111からイ ク室121へ入り込むことが防止され、インク 吐出量に見合った量のインクがインクカー リッジ931(リザーバ室123)からインク室121へ供 給される。

 このようにして、ヘッド10において、印刷 せたい位置の圧電素子14に、圧電素子駆動回 路を介して吐出信号を順次入力することによ り、任意の(所望の)文字や図形等を印刷する とができる。
 なお、ヘッド10は、圧電素子14の代わりに電 気熱変換素子を有していてもよい。つまり、 ヘッド10は、電気熱変換素子による材料の熱 張を利用してインクを吐出する構成(いわゆ る、「バブルジェット方式」(「バブルジェ ト」は登録商標))のものであってもよい。

 かかる構成のヘッド10において、ノズル 11には、撥液性を付与することを目的に形成 された被膜114が設けられている。これにより 、ノズル孔111からインク滴が吐出される際に 、このノズル孔111の周辺にインク滴が残存す るのを確実に防止することができる。その結 果、ノズル孔111から吐出されたインク滴を目 的とする領域に確実に着弾させることができ る。

 以上、本発明の接合体および接合方法を、 示の実施形態に基づいて説明したが、本発 はこれらに限定されるものではない。
 例えば、本発明の接合方法は、前記各実施 態のうち、任意の1つまたは2つ以上を組み わせたものであってもよい。
 また、本発明の接合方法では、必要に応じ 、1以上の任意の目的の工程を追加してもよ い。
 また、前記各実施形態では、基板と対向基 の2枚の基材を接合する方法について説明し ているが、3枚以上の基材を接合する場合に 本発明の接合方法を用いるようにしてもよ 。

 次に、本発明の具体的実施例について説明 る。
 1.接合体の製造
 以下、各実施例および各比較例では、それ れ接合体を20個作製する。なお、各実施例16 ~23および各比較例16~20、24~26で得られた接合 は、それぞれ、基板および対向基板の対向 のうちの一部を部分的に接合したものであ 。

 (実施例1)
 まず、基板として、縦20mm×横20mm×平均厚さ1 mmの単結晶シリコン基板を用意し、対向基板 して、縦20mm×横20mm×平均厚さ1mmのガラス基 を用意した。
 次いで、単結晶シリコン基板を図5に示すプ ラズマ重合装置100のチャンバー101内に収納し 、酸素プラズマによる表面処理を行った。

 次に、表面処理を行った面に、平均厚さ200n mのプラズマ重合膜を成膜した。なお、成膜 件は以下に示す通りである。
 <成膜条件>
 ・原料ガスの組成  :オクタメチルトリシ キサン
 ・原料ガスの流量  :50sccm
 ・キャリアガスの組成:アルゴン
 ・キャリアガスの流量:100sccm
 ・高周波電力の出力 :100W
 ・高周波出力密度  :25W/cm 2
 ・チャンバー内圧力 :1Pa(低真空)
 ・処理時間     :15分
 ・基板温度     :20℃

 このようにして成膜されたプラズマ重合膜 、オクタメチルトリシロキサン(原料ガス) 重合物で構成されており、シロキサン結合 含み、ランダムな原子構造を有するSi骨格と 、アルキル基(脱離基)とを含むものである。
 これにより、単結晶シリコン基板上にプラ マ重合膜を形成してなる接合膜付き基材を た。
 また、これと同様にして、ガラス基板に表 処理を行った後、この表面処理を行った面 プラズマ重合膜を形成した。これにより、 合膜付き基材を得た。

 次に、得られた各プラズマ重合膜に以下に す条件で紫外線を照射した。
 <紫外線照射条件>
 ・雰囲気ガスの組成 :大気(空気)
 ・雰囲気ガスの温度 :20℃
 ・雰囲気ガスの圧力 :大気圧(100kPa)
 ・紫外線の波長   :172nm
 ・紫外線の照射時間 :5分

 次に、紫外線を照射してから1分後に、プラ ズマ重合膜の紫外線を照射した面同士が接触 するように、単結晶シリコン基板とガラス基 板とを重ね合わせた。これにより、接合体を 得た。
 次に、得られた接合体を3MPaで加圧しつつ、 80℃で加熱し、15分間維持した。これにより 接合体の接合強度の向上を図った。

 (実施例2)
 加熱の温度を80℃から25℃に変更した以外は 、前記実施例1と同様にして接合体を得た。
 (実施例3~12)
 基板の構成材料および対向基板の構成材料 、それぞれ表1に示す材料に変更した以外は 、前記実施例1と同様にして接合体を得た。

 (実施例13)
 まず、前記実施例1と同様にして、単結晶シ リコン基板とガラス基板(基板および対向基 )を用意し、それぞれに酸素プラズマによる 面処理を行った。
 次に、シリコン基板の表面処理を行った面 、前記実施例1と同様にして、プラズマ重合 膜を成膜した。これにより、接合膜付き基材 を得た。
 また、ガラス基板の表面処理を行った面に 前記実施例1と同様にして、プラズマ重合膜 を成膜した。これにより、接合膜付き基材を 得た。
 次に、プラズマ重合膜同士が接触するよう 、接合膜付き基材同士を重ね合わせた。こ により、仮接合体を得た。
 そして、仮接合体に対して、ガラス基板側 ら以下に示す条件で紫外線を照射した。

 <紫外線照射条件>
 ・雰囲気ガスの組成 :大気(空気)
 ・雰囲気ガスの温度 :20℃
 ・雰囲気ガスの圧力 :大気圧(100kPa)
 ・紫外線の波長   :172nm
 ・紫外線の照射時間 :5分
 これにより、各基板を接合し、接合体を得 。
 続いて、得られた接合体を3MPaで加圧しつつ 、80℃で加熱し、15分間維持した。これによ 、接合体の接合強度の向上を図った。

 (実施例14)
 高周波電力の出力を150W(高周波出力密度を37 .5W/cm 2 )に変更した以外は、前記実施例1と同様にし 接合体を得た。
 (実施例15)
 高周波電力の出力を200W(高周波出力密度を50 W/cm 2 )に変更した以外は、前記実施例1と同様にし 接合体を得た。

 (比較例1)
 まず、基板として、縦20mm×横20mm×平均厚さ1 mmの単結晶シリコン基板を用意し、対向基板 して、縦20mm×横20mm×平均厚さ1mmのガラス基 を用意した。
 次いで、単結晶シリコン基板を図5に示すプ ラズマ重合装置100のチャンバー101内に収納し 、酸素プラズマによる表面処理を行った。

 次に、表面処理を行った面に、平均厚さ200n mのプラズマ重合膜を成膜した。なお、成膜 件は以下に示す通りである。
 <成膜条件>
 ・原料ガスの組成  :オクタメチルトリシ キサン
 ・原料ガスの流量  :50sccm
 ・キャリアガスの組成:アルゴン
 ・キャリアガスの流量:100sccm
 ・高周波電力の出力 :100W
 ・高周波出力密度  :25W/cm 2
 ・チャンバー内圧力 :1Pa(低真空)
 ・処理時間     :15分
 ・基板温度     :20℃

 次に、得られたプラズマ重合膜に以下に示 条件で紫外線を照射した。
 <紫外線照射条件>
 ・雰囲気ガスの組成 :大気(空気)
 ・雰囲気ガスの温度 :20℃
 ・雰囲気ガスの圧力 :大気圧(100kPa)
 ・紫外線の波長   :172nm
 ・紫外線の照射時間 :5分
 続いて、紫外線を照射してから1分後に、プ ラズマ重合膜の紫外線を照射した面とガラス 基板の表面処理を施した面とが接触するよう に、各基板を重ね合わせた。これにより、接 合体を得た。
 次に、得られた接合体を3MPaで加圧しつつ、 80℃で加熱し、15分間維持した。これにより 接合体の接合強度の向上を図った。

 (比較例2)
 加熱の温度を80℃から25℃に変更した以外は 、前記比較例1と同様にして接合体を得た。
 (比較例3~12)
 基板の構成材料および対向基板の構成材料 、それぞれ表1に示す材料に変更した以外は 、前記比較例1と同様にして接合体を得た。

 (比較例13)
 まず、前記比較例1と同様にして、単結晶シ リコン基板とガラス基板(基板および対向基 )を用意し、それぞれに酸素プラズマによる 面処理を行った。
 次に、シリコン基板の表面処理を行った面 、前記比較例1と同様にしてプラズマ重合膜 を成膜した。これにより、接合膜付き基材を 得た。
 次に、プラズマ重合膜とガラス基板の表面 理を施した面とが接触するように、シリコ 基板とガラス基板とを重ね合わせ、仮接合 を得た。
 そして、仮接合体に対して、ガラス基板側 ら以下に示す条件で紫外線を照射した。

 <紫外線照射条件>
 ・雰囲気ガスの組成 :大気(空気)
 ・雰囲気ガスの温度 :20℃
 ・雰囲気ガスの圧力 :大気圧(100kPa)
 ・紫外線の波長   :172nm
 ・紫外線の照射時間 :5分
 これにより、各基板を接合し、接合体を得 。
 続いて、得られた接合体を3MPaで加圧しつつ 、80℃で加熱し、15分間維持した。これによ 、接合体の接合強度の向上を図った。

 (比較例14)
 高周波電力の出力を150W(高周波出力密度を37 .5W/cm 2 )に変更した以外は、前記比較例1と同様にし 接合体を得た。
 (比較例15)
 高周波電力の出力を200W(高周波出力密度を50 W/cm 2 )に変更した以外は、前記比較例1と同様にし 接合体を得た。

 (実施例16)
 まず、基板として、縦20mm×横20mm×平均厚さ1 mmの単結晶シリコン基板を用意し、対向基板 して、縦20mm×横20mm×平均厚さ1mmのガラス基 を用意した。
 次いで、単結晶シリコン基板とガラス基板 双方を、図5に示すプラズマ重合装置100のチ ャンバー101内に収納し、酸素プラズマによる 表面処理を行った。

 次に、単結晶シリコン基板とガラス基板の 面処理を行った各面に、それぞれ平均厚さ2 00nmのプラズマ重合膜を成膜した。これによ 、接合膜付き基材を得た。なお、成膜条件 以下に示す通りである。
 <成膜条件>
 ・原料ガスの組成  :オクタメチルトリシ キサン
 ・原料ガスの流量  :50sccm
 ・キャリアガスの組成:アルゴン
 ・キャリアガスの流量:100sccm
 ・高周波電力の出力 :100W
 ・高周波出力密度  :25W/cm 2
 ・チャンバー内圧力 :1Pa(低真空)
 ・処理時間     :15分
 ・基板温度     :20℃
 次に、得られたプラズマ重合膜に、それぞ 以下に示す条件で紫外線を照射した。なお 紫外線を照射した領域は、単結晶シリコン 板に形成したプラズマ重合膜の表面全体と ガラス基板に形成したプラズマ重合膜の表 のうち、周縁部の幅3mmの枠状の領域とした

 <紫外線照射条件>
 ・雰囲気ガスの組成 :大気(空気)
 ・雰囲気ガスの温度 :20℃
 ・雰囲気ガスの圧力 :大気圧(100kPa)
 ・紫外線の波長   :172nm
 ・紫外線の照射時間 :5分
 次に、各プラズマ重合膜の紫外線を照射し 面同士が接触するように、単結晶シリコン 板とガラス基板とを重ね合わせた。これに り、接合体を得た。
 次に、得られた接合体を3MPaで加圧しつつ、 80℃で加熱し、15分間維持した。これにより 接合体の接合強度の向上を図った。

 (実施例17)
 加熱の温度を80℃から25℃に変更した以外は 、前記実施例16と同様にして接合体を得た。
 (実施例18~23)
 基板の構成材料および対向基板の構成材料 、それぞれ表2に示す材料に変更した以外は 、前記実施例16と同様にして接合体を得た。

 (比較例16)
 まず、基板として、縦20mm×横20mm×平均厚さ1 mmの単結晶シリコン基板を用意し、対向基板 して、縦20mm×横20mm×平均厚さ1mmのステンレ 鋼基板を用意した。
 次いで、シリコン基板を、図5に示すプラズ マ重合装置100のチャンバー101内に収納し、酸 素プラズマによる表面処理を行った。

 次に、表面処理を行った面に、平均厚さ200n mのプラズマ重合膜を成膜した。なお、成膜 件は、前記実施例16と同様である。
 次に、前記実施例16と同様にして、プラズ 重合膜に紫外線を照射した。なお、紫外線 照射した領域は、シリコン基板に形成した ラズマ重合膜の表面のうち、周縁部の幅3mm 枠状の領域とした。

 次に、ステンレス鋼基板にも、シリコン基 と同様にして、酸素プラズマによる表面処 を行った。
 次に、プラズマ重合膜の紫外線を照射した と、ステンレス鋼基板の表面処理を行った とが接触するように、シリコン基板とステ レス鋼基板とを重ね合わせた。これにより 接合体を得た。
 次に、得られた接合体を3MPaで加圧しつつ、 80℃で加熱し、15分間維持した。これにより 接合体の接合強度の向上を図った。

 (比較例17)
 加熱の温度を80℃から25℃に変更した以外は 、前記比較例16と同様にして接合体を得た。
 (比較例18~20)
 基板の構成材料および対向基板の構成材料 、それぞれ表2に示す材料に変更した以外は 、前記比較例16と同様にして接合体を得た。

 (比較例21~23)
 基板の構成材料および対向基板の構成材料 、それぞれ表1に示す材料とし、各基材間を エポキシ系接着剤で接着した以外は、前記実 施例1と同様にして、接合体を得た。
 (比較例24~26)
 基板の構成材料および対向基板の構成材料 、それぞれ表2に示す材料とし、各基材間を 、周縁部の幅3mmの枠状の領域において、エポ キシ系接着剤で部分的に接着した以外は、前 記実施例16と同様にして、接合体を得た。

 (比較例27)
 プラズマ重合膜に代えて、以下のようにし 接合膜を形成するようにした以外は、前記 施例1と同様にして、接合体を得た。
 まず、シリコーン材料としてポリジメチル ロキサン骨格を有するものを含有し、溶媒 してトルエンおよびイソブタノールを含有 る液状材料(信越化学工業社製、「KR-251」: 度(25℃)18.0mPa・s)を用意した。

 次いで、単結晶シリコン基板の表面に酸素 ラズマによる表面処理を行った後、この面 液状材料を塗布した。
 次いで、得られた液状被膜を常温(25℃)で24 間乾燥させた。これにより、接合膜を得た
 また、これと同様にして、ガラス基板に酸 プラズマによる表面処理を行った後、この に接合膜を得た。
 そして、各接合膜に紫外線を照射した。
 次いで、シリコン基板とガラス基板とを加 しつつ加熱した。これにより、シリコン基 とガラス基板とが接合膜を介して接合され 接合体を得た。

 (比較例28~33)
 基板の構成材料および対向基板の構成材料 、それぞれ表1に示す材料に変更した以外は 、前記比較例27と同様にして接合体を得た。
 (比較例34)
 プラズマ重合膜に代えて、以下のようにし 接合膜を形成するようにした以外は、前記 施例1と同様にして、接合体を得た。
 まず、単結晶シリコン基板の表面に酸素プ ズマによる表面処理を行った後、この面に キサメチルジシラザン(HMDS)の蒸気をあてる とによって、HMDSで構成された接合膜を得た 。
 また、これと同様にして、ガラス基板に酸 プラズマによる表面処理を行った後、この にHMDSで構成された接合膜を得た。
 そして、各接合膜に紫外線を照射した。
 次いで、シリコン基板とガラス基板とを加 しつつ加熱した。これにより、シリコン基 とガラス基板とが接合膜を介して接合され 接合体を得た。

 2.接合体の評価
 2.1 接合強度(割裂強度)の評価
 各実施例および各比較例で得られた接合体 ついて、それぞれ接合強度を測定した。
 接合強度の測定は、各基材を引き剥がした き、剥がれる直前の強度を測定することに り行った。また、接合強度の測定は、接合 後と、接合後に-40℃~125℃の温度サイクルを 100回繰り返した後のそれぞれにおいて行った 。そして、接合強度を以下の基準にしたがっ て評価した。
 なお、部分的に接合してなる接合体(表2に 載の接合体)は、いずれも全面を接合してな 接合体(表1に記載の接合体)に比べて、接合 度が大きかった。

 <接合強度の評価基準>
 ◎:10MPa(100kgf/cm 2 )以上
 ○: 5MPa( 50kgf/cm 2 )以上、10MPa(100kgf/cm 2 )未満
 △: 1MPa( 10kgf/cm 2 )以上、 5MPa( 50kgf/cm 2 )未満
 ×: 1MPa( 10kgf/cm 2 )未満

 2.2 寸法精度の評価
 各実施例および各比較例で得られた接合体 ついて、それぞれ厚さ方向の寸法精度を測 した。
 寸法精度の測定は、正方形の接合体の各角 の厚さを測定し、4箇所の厚さの最大値と最 小値の差を算出することにより行った。そし て、この差を以下の基準にしたがって評価し た。
 <寸法精度の評価基準>
 ○:10μm未満
 ×:10μm以上

 2.3 耐薬品性の評価
 各実施例および各比較例で得られた接合体 うち10個を、80℃に維持したインクジェット プリンタ用インク(エプソン社製、HQ4)に、以 の条件で3週間浸漬した。その後、各基材を 引き剥がし、接合界面にインクが浸入してい ないかを確認した。また、接合体の残りの10 を、同様のインクに100日間浸漬した。そし 、各基材を引き剥がし、接合界面にインク 浸入していないか確認した。そして、その 果を以下の基準にしたがって評価した。

 <耐薬品性の評価基準>
 ◎:全く浸入していない
 ○:角部にわずかに浸入している
 △:縁部に沿って浸入している
 ×:内側に浸入している

 2.4 結晶化度の評価
 各実施例および各比較例で得られた接合体 の接合膜について、それぞれSi骨格の結晶 度を測定した。そして、以下の評価基準に たがって結晶化度を評価した。
 <結晶化度の評価基準>
 ◎:結晶化度が30%以下である
 ○:結晶化度が30%超45%以下である
 △:結晶化度が45%超55%以下である
 ×:結晶化度が55%超である

 2.5 赤外線吸収(FT-IR)の評価
 各実施例および各比較例で得られた接合体 の接合膜について、それぞれ赤外光吸収ス クトルを取得した。そして、各スペクトル ついて、(1)シロキサン(Si-O)結合に帰属する ークに対するSi-H結合に帰属するピークの相 対強度と、(2)シロキサン結合に帰属するピー クに対するCH 3 結合に帰属するピークの相対強度とを算出し た。
 2.6 屈折率の評価
 各実施例および各比較例で得られた接合体 の接合膜について、それぞれ屈折率を測定 た。

 2.7 光透過率の評価
 各実施例および各比較例で得られた接合体 うち、光透過率の測定が可能なものについ 、光透過率を測定した。そして、得られた 透過率を以下の評価基準にしたがって評価 た。
 <光透過率の評価基準>
 ◎:95%超
 ○:90%超95%未満
 △:85%超90%未満
 ×:85%未満

 2.8 形状変化の評価
 各実施例16~23および各比較例16~20、24~26で得 れた接合体について、それぞれの接合体の 合前後における形状変化を測定した。
 具体的には、接合体の反り量を、接合前後 測定し、以下の基準にしたがって評価した

 <反り量の評価基準>
 ◎:接合前後で反り量がほとんど変化しなか った
 ○:接合前後で反り量がわずかに変化した
 △:接合前後で反り量がやや大きく変化した
 ×:接合前後で反り量が大きく変化した
 以上、2.1~2.8の各評価結果を表1、2に示す。

 表1、2から明らかなように、各実施例で得 れた接合体は、接合強度、寸法精度、耐薬 性および光透過率のいずれの項目において 優れた特性を示した。
 また、各実施例で得られた接合体では、赤 光吸収スペクトルの解析から、接合膜中にS i-H結合が含まれていることが認められた。ま た、Si-H結合が含まれている接合膜は、結晶 度が低いことが明らかとなった。前述した うな各実施例の優れた特性は、接合膜がプ ズマ重合法により形成され、これにより接 膜中にSi-H結合が含まれるとともに、接合膜 結晶化度が低くなっている(接合膜の構造の ランダム性が高くなっている)ことに起因す ものと考えられる。

 また、各実施例で得られた接合体は、接合 同士を貼り合わせたことによって、接合界 の密着性が高くなり、接合強度および耐薬 性において、接合膜と対向基板とを貼り合 せた接合体(各比較例1~15)に比べて優れてい 。
 さらに、各実施例で得られた接合体では、 合膜形成時の高周波出力密度を変化させる とにより、屈折率が変化することが認めら た。
 一方、各比較例で得られた接合体は、耐薬 性、接合強度および光透過率が十分ではな った。

 本発明の接合体は、第1の基材と、該第1 基材上に設けられ、シロキサン(Si-O)結合を むランダムな原子構造を有するSi骨格と、該 Si骨格に結合する脱離基とを含む第1の接合膜 とを有する第1の被着体と、第2の基材と、該 2の基材上に設けられ、前記第1の接合膜と 様の第2の接合膜とを有する第2の被着体とを 有し、前記第1の接合膜の少なくとも一部の 域および前記第2の接合膜の少なくとも一部 領域にそれぞれエネルギーを付与し、前記 1の接合膜および前記第2の接合膜の少なく も表面付近に存在する前記脱離基が前記Si骨 格から脱離することにより、前記第1の接合 の表面の前記領域および前記第2の接合膜の 面の前記領域にそれぞれ発現した接着性に って、前記第1の被着体と前記第2の被着体 が接合されていることを特徴とする。その め、2つの基材同士を、高い寸法精度で強固 、かつ低温下で効率よく接合してなる信頼 の高い接合体が得られる。また、前記第1の 接合膜および第2の接合膜は、シロキサン結 を含みランダムな原子構造を有するSi骨格の 影響によって、変形し難い強固な膜となる。 このため、第1の接合膜および第2の接合膜自 は、接合強度、耐薬品性および寸法精度の いものとなり、接合体においても、接合強 、耐薬品性および寸法精度が高いものが得 れる。従って、本発明の接合体は、産業上 利用可能性を有する。