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Title:
MAGNETIC MEMORY CELL AND MAGNETIC RANDOM ACCESS MEMORY
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/145161
Kind Code:
A1
Abstract:
A highly-integrated magnetic memory which does not require switching of the current direction at the time of rewrite and to which spin torque magnetization reversal is applied. The magnetic memory includes a memory cell in which a magnetization fixed layer of a ferromagnetic material, a nonmagnetic layer, a recording layer of a ferromagnetic material, a nonmagnetic layer, and a magnetization rotation assist layer of a ferromagnetic material are formed.  Whether the magnetization direction of the recording layer is generally parallel or antiparallel to that of the magnetization fixed layer brings about recording.  The magnetization directions of the magnetization fixed layer, recording layer, and magnetization rotation assist layer are all generally parallel to the plane of the magnetization layer, and the magnetization direction of the magnetization rotation assist layer is generally perpendicular to that of the magnetization fixed layer.  The write current is flowed from the magnetization fixed layer to the recording layer when the magnetization direction of the recording layer is changed from the direction parallel to the magnetization direction of the magnetization fixed layer to the that antiparallel to the magnetization direction thereof and also when the magnetization direction of the recording layer is changed from the direction antiparallel to the magnetization direction of the magnetization fixed layer to that parallel to the magnetization direction thereof.

Inventors:
ITO KENCHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/059560
Publication Date:
December 03, 2009
Filing Date:
May 26, 2009
Export Citation:
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Assignee:
HITACHI LTD (JP)
ITO KENCHI (JP)
International Classes:
H01L21/8246; G11C11/15; H01L27/105; H01L43/08
Domestic Patent References:
WO2005020251A22005-03-03
Foreign References:
JP2008028362A2008-02-07
JP2008041217A2008-02-21
JP2006128579A2006-05-18
US5734605A1998-03-31
JP2006128579A2006-05-18
Other References:
A.D.KENT ET AL.: "Spin- transfer-induced precessional magnetization reversal", APPLIED PHYSICS LETTERS, vol. 84, no. 19, 10 May 2004 (2004-05-10), pages 3897 - 3899, XP012061416
PHYSICS LETTERS, vol. 84, 2004, pages 3118 - 3120
APPLIED PHYSICS LETTERS, vol. 84, 2004, pages 3897 - 3899
JOURNAL OF MAGNETISM AND MAGNETIC MATERIALS, vol. 159, 1996, pages L1 - 6
APPLIED PHYSICS LETTERS, vol. 84, 2004, pages 3118 - 3120
APPLIED PHYSICS LETTERS, vol. 88, 2006, pages 152505
PHYSICAL REVIEW B, vol. 75, 2007, pages 064402
Attorney, Agent or Firm:
HIRAKI YUSUKE (JP)
Yusuke Hiraki (JP)
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Claims:
 強磁性体からなる固定層、非磁性層、強磁性体からなる記録層、非磁性層、強磁性体からなる磁化回転アシスト層が順次積層された磁気抵抗効果素子を備え、
 前記固定層、記録層、磁化回転アシスト層の磁化はすべて面内方向を向き、前記磁化回転アシスト層の磁化の方向は前記固定層の磁化の方向と略直交しており、
 前記固定層の磁化方向に対する前記記録層の磁化方向が略平行か、略反平行かによって情報の記録を行うことを特徴とする磁気メモリセル。
 請求項1記載の磁気メモリセルにおいて、前記固定層の前記記録層とは反対側の面に反強磁性層が接触して設けられていることを特徴とする磁気メモリセル。
 請求項1記載の磁気メモリセルにおいて、前記磁化回転アシスト層の前記記録層とは反対側の面に反強磁性層が接触して設けられていることを特著とする磁気メモリセル。
 請求項1記載の磁気メモリセルにおいて、前記磁気抵抗効果素子に、前記固定層から前記記録層の方向に電流を通電可能なダイオードが接続されていることを特徴とする磁気メモリセル。
 請求項4記載の磁気メモリセルにおいて、前記記録層の磁化方向を前記固定層の磁化方向と平行な方向から反平行な方向に書き換える場合も、反平行な方向から平行な方向に書き換える場合も、前記固定層から記録層の方向に電流を流すことを特徴とする磁気メモリセル。
 請求項5記載の磁気メモリセルにおいて、前記書き換えのための電流は、前記記録層の磁化の歳差運動の周期をTとするとき、書き換え開始からT/4まで通電し、その後ゼロに低減することを特徴とする磁気メモリセル。
 請求項6記載の磁気メモリセルにおいて、その後、前記書き換えのための電流を3T/4から5T/4まで通電することを特徴とする磁気メモリセル。
 請求項1記載の磁気メモリセルにおいて、前記磁気抵抗効果素子に電流を通電するためのトランジスタが接続されていることを特徴とする磁気メモリセル。
 請求項8記載の磁気メモリセルにおいて、前記記録層の磁化方向を前記固定層の磁化方向と平行な方向から反平行な方向に書き換える場合も、反平行な方向から平行な方向に書き換える場合も、前記固定層から記録層の方向に電流を流し、前記磁気メモリの情報を読み出すときは、読出し電流を前記記録層から固定層の方向へ流すことを特徴とする磁気メモリセル。
 請求項9記載の磁気メモリセルにおいて、前記書き換えのための電流は、前記記録層の磁化の歳差運動の周期をTとするとき、書き換え開始からT/4まで通電し、その後ゼロに低減することを特徴とする磁気メモリセル。
 請求項10記載の磁気メモリセルにおいて、その後、前記書き換えのための電流を3T/4から5T/4まで通電することを特徴とする磁気メモリセル。
 複数のソース線が接続された第一のドライバ回路と、
 複数のビット線が接続された第二のドライバ回路と、
 前記ソース線と前記ビット線の交差領域にそれぞれ配置された複数の磁気メモリセルと、
 前記複数のビット線にそれぞれ接続され前記磁気メモリセルからの読み出し信号を増幅する複数のアンプとを有し、
 前記磁気メモリセルは、強磁性体からなる固定層、非磁性層、強磁性体からなる記録層、非磁性層、強磁性体からなる磁化回転アシスト層が順次積層された磁気抵抗効果素子と、前記磁気抵抗効果素子に一端が接続されたダイオードとを備え、前記固定層、記録層、磁化回転アシスト層の磁化はすべて面内方向を向き、前記磁化回転アシスト層の磁化の方向は前記固定層の磁化の方向と略直交しており、前記固定層の磁化方向に対する前記記録層の磁化方向が略平行か、略反平行かによって情報の記録を行い、
 前記ダイオードは、前記磁気抵抗効果素子に、前記固定層から前記記録層の方向に電流を通電可能に他端が前記ソース線に接続され、
 前記磁気抵抗効果素子の前記磁化回転アシスト層は前記ビット線に接続されていることを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリ。
 複数のソース線が接続された第一のドライバ回路と、
 複数のビット線が接続された第二のドライバ回路と、
 複数のワード線が接続された第三のドライバ回路と、
 前記ソース線と前記ビット線と前記ワード線の交差領域にそれぞれ配置された複数の磁気メモリセルと、
 前記複数のビット線にそれぞれ接続され前記磁気メモリセルからの読み出し信号を増幅する複数のアンプとを有し、
 前記磁気メモリセルは、強磁性体からなる固定層、非磁性層、強磁性体からなる記録層、非磁性層、強磁性体からなる磁化回転アシスト層が順次積層された磁気抵抗効果素子と、前記磁気抵抗効果素子に一端が接続されたトランジスタとを備え、前記固定層、記録層、磁化回転アシスト層の磁化はすべて面内方向を向き、前記磁化回転アシスト層の磁化の方向は前記固定層の磁化の方向と略直交しており、前記固定層の磁化方向に対する前記記録層の磁化方向が略平行か、略反平行かによって情報の記録を行い、
 前記トランジスタの他端は前記ソース線に接続され、
 前記磁化回転アシスト層は前記ビット線に接続され、
 前記ワード線によって前記トランジスタの抵抗が制御され、
 情報の書き込み時には、前記第一のドライバ回路によって書き込みを行う磁気メモリセルが接続されたソース線を書き込み電圧に昇圧すると共に、前記第三のドライバ回路で当該磁気メモリセルのトランジスタを通電制御し、
 情報の読み出し時には、前記第二のドライバ回路によって読み出しを行う磁気メモリセルが接続されたビット線を読み出し電圧に昇圧すると共に、前記第三のドライバ回路で当該磁気メモリセルのトランジスタを通電制御することを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリ。
Description:
磁気メモリセル及び磁気ランダ アクセスメモリ

 本発明は、スピントルク磁化反転を応用 た磁気メモリセル及び磁気ランダムアクセ メモリに関するものである。

 近年、従来のダイナミック・ランダム・ クセスメモリ(DRAM)を置きかえる可能性を有 る磁気ランダム・アクセスメモリ(MRAM)が注 されている。従来のMRAMでは、例えば米国特 許第5734605号明細書に記載されているように 磁性膜/非磁性絶縁膜/磁性膜の多層構造を有 するトンネル磁気抵抗効果(TMR)素子の一方の 化を、TMR素子の上下に互いに直交する方向 設けられた2つの金属配線に流れる電流が作 る合成磁界を用いて反転させることにより記 録を行う方式が採用されている。しかしなが ら、MRAMにおいても、大容量化のためTMR素子 サイズを小さくすると磁化反転に要する磁 の大きさが大きくなり、たくさんの電流を 属配線に流すことが必要となり、消費電力 増加、ひいては配線の破壊を招いてしまう いう課題が指摘されている。

 磁界を用いずに磁化反転する方法として 磁気再生ヘッドで用いられる巨大磁気抵抗 果(GMR)膜やトンネル磁気抵抗効果(TMR)膜に、 一定以上の電流を流すだけで磁化反転が可能 であることが理論的に示され、たとえば、App lied Physics Letters, Vol.84, pp.3118-3120(2004)に記 されているように、TMR膜を用いたナノピラ を用いて、スピントルク磁化反転が実証さ た。特にTMR膜を用いたスピントルク磁化反 では、従来のMRAMと同等以上の出力が得られ ため、大いに注目を集めている。

 以上言及したスピントルク磁化反転の模 図を図1に示す。図1において、ビット線1に 磁化方向が変化する第1の強磁性層(記録層)2 、中間層3、磁化方向が固定された第2の強磁 層(固定層)4からなる磁気抵抗効果素子と、 ート電極5で伝導を制御されたトランジスタ 6が接続され、トランジスタのもう一方の端 はソース線7に接続されている。図1(a)のよう に、固定層4と記録層2の磁化を反平行(高抵抗 )状態から平行(低抵抗)状態に変化させる場合 には、電流8はビット線1からソース線7に流す 。このとき、電子9はソース線7からビット線1 に流れる。一方、図1(b)のように、固定層4と 由層2の磁化を平行(低抵抗)状態から反平行( 高抵抗)状態に変化させる場合には、電流8は ース線7からビット線1の方向に流せばよい このとき、電子9はビット線1からソース線7 方向に流れる。

 Applied Physics Letters, Vol.84, pp.3897-3899(2004) には、磁性膜面に垂直な磁化を用いて、電流 方向を変えることなく、スピントルク磁化反 転を行う方法が提案されている。この例にお いては、図2に示すように、膜面に垂直な磁 方向を有する固定層21、非磁性の第一の中間 層22、膜面内の磁化方向を有する記録層23、 磁性の第二の中間層24、膜面内に磁化方向を 有する参照層25を積層してなる磁気抵抗効果 子を用いる。例えば記録層23の磁化が参照 25の磁化と平行の場合、まず正の電流26を流 記録層の磁化にスピントルクを与える。正 電流を流す時間は、スピントルクによる磁 の歳差運動の周期Tの1/4の時間である。その 後は電流の向きを反対の方向27に切り替え、 化の運動を止めるトルクを与えて、僅かT/2 時間でスピントルク磁化反転が可能である とを示している。

 特開2006-128579号に記載には、図3のように 膜面内方向に磁化を固定層31、非磁性層32、 膜面内方向に磁化を有する自由層(記録層)33 非磁性層34、膜面に垂直な磁化を有するスピ ントルク駆動層35を有する磁気抵抗効果素子 用い、電流8を流すだけで、自由層33の磁化 方向を、固定層31の磁化方向と平行な方向 ら反平行な方向へ、あるいは反平行な方向 ら平行な方向へ、いずれの方向にも反転さ ることが可能であることが開示されている 磁化反転を行うか行わないかは、パルス時 を制御することにより行うことも合わせて 示されている。

米国特許第5734605号明細書

特開2006-128579号公報

Journal of Magnetism and Magnetic Materials, 159 , L1-6 (1996) Applied Physics Letters, Vol.84, pp.3118-3120(2004 ) Applied Physics Letters, Vol.84, pp.3897-3899(2004 )

 しかし、従来のスピントルク磁化反転を 用したTMR型のMRAMには、以下のような問題が ある。

 スピントルク磁化反転を応用して磁気メ リの情報の書換えを行う場合、図1に示した ように平行状態から反平行状態への書換えの 場合と、反平行状態から平行状態への書換え の場合で電流方向を反対にしなければならな い。これには、電流方向切り替え用のスイッ チなどの特別な回路を要する。また図2の場 も、動作は高速になるものの、やはり電流 り替えのスイッチ、しかも極めて高速に動 するスイッチが必要となる。また電流の向 を切り替える書換え方式を採用すると、ダ オードを素子選択のために使用することが きない。これはセル面積の低減を妨げる要 となる。

 一方、図3に示される構造では、電流の向 きを変えることなく、平行状態から反平行状 態の書換え、及び反平行状態から平行状態の 書換えの双方を行うことができる。しかしな がら、磁性膜面に垂直に磁化したスピントル ク駆動層35が最上層にあるため、磁性膜35の 気異方性の制御が容易でないばかりでなく 磁性膜の磁化の方向を一定に保つことも難 いという課題がある。

 本発明の目的は、現実的に作製が可能で り、かつ情報書換え時の電流方向の切り替 が不要な、スピントルク磁化反転を応用し 磁気メモリセル及び磁気ランダムアクセル モリを提供することである。

 本発明では、強磁性体からなる固定層、 磁性層、強磁性体からなる記録層、非磁性 、強磁性体からなる磁化回転アシスト層が 次積層されたメモリセルを構成する。固定 、記録層、磁化回転アシスト層の磁化の向 はすべて磁性層の略面内方向とし、磁化回 アシスト層の磁化の方向は固定層の磁化の 向と略90度とする。かつまた、固定層の磁 を記録層とは反対の面に固定層と接触して けられた反強磁性層からの交換結合力で固 する。あるいはまた、磁化回転アシスト層 磁化を記録層とは反対の面に磁化回転アシ ト層と接触して設けられた反強磁性層から 交換結合力で固定する。

 さらに磁気メモリセルに、固定層から記 層の方向に電流を通電可能なダイオード素 を接続する。あるいは、磁気メモリセルに 流を通電するためのトランジスタを接続す 。

 ダイオードが接続された磁気メモリセル おいては、ダイオードの一端を第一の書込 ドライバ回路に接続されたソース線に電気 に接続し、磁化回転アシスト層を、第二の 込みドライバ回路と読出し信号を増幅する ンプに接続されたビット線に接続する。磁 メモリセルにトランジスタを接続する場合 は、トランジスタの一端を第一の書込みド イバ回路に接続されたソース線に電気的に 続し、磁化回転アシスト層の一端を、第二 書込みドライバ回路と読出し信号を増幅す アンプに接続されたビット線に接続し、ト ンジスタの抵抗を制御するワード線を備え ワード線を第三の書込みドライバ回路に接 するようにする。

 ダイオードを接続した磁気メモリセルに いては、記録層の磁化方向を固定層の磁化 向と平行な方向から反平行な方向に書き換 る場合も、反平行な方向から平行な方向に き換える場合も、固定層から記録層の方向 電流を流すようにする。

 一方、トランジスタを接続した磁気メモ セルにおいては、記録層の磁化方向を固定 の磁化方向と平行な方向から反平行な方向 書き換える場合も、反平行な方向から平行 方向に書き換える場合も、固定層から記録 の方向に電流を流し、かつまた磁気メモリ ルの情報を読み出す場合は、読出し電流を 録層から固定層の方向へ流すようにする。

 磁気メモリセルへ情報を書き込む電流波形 関しては、電流パルスを印加しはじめてか の時間tに対し、次の形で制御する。ここで I 0 は所定の書込み電流、Tは記録層の磁化の歳 運動の周期である。

  I=I 0 (0≦t≦T/4)
    0 (T/4<t≦3T/4)
    I 0 (3T/4<t≦5T/4)
       :
    0(T/4+(n-1)T<t≦3T/4+(n-1)T)
    I 0 (3T/4+(n-1)T<t≦5T/4+(n-1)T)

 本発明によれば、書換え時の電流方向の り替えが不要で、かつ高集積のスピントル 磁化反転応用の磁気メモリを提供すること できる。

スピントルク磁化反転の原理を示す図 あり、(a)は反平行状態から平行状態への磁 反転を示す図、(b)は平行状態から反平行状 への磁化反転を示す図。 公知例の説明図。 他の公知例の説明図。 本発明で用いる磁気抵抗効果素子の構 例を示す図。 平行状態から反平行状態への書き込み 法を示す図。 反平行状態から平行状態への書き込み 法を示す図。 本発明の磁気抵抗効果素子の磁化回転 シスト層からの漏洩磁界を示す図。 本発明において、磁化反転が終了する での磁化の回転数を、時間ゼロにおける記 層の磁化が磁化容易軸となす角度θの正弦(s inθ)と、電流の値の関数としてプロットした 。 従来例において、磁化反転が終了する での磁化の回転数を、時間ゼロにおける記 層の磁化が磁化容易軸となす角度θの正弦(s inθ)と、電流の値の関数としてプロットした 。 ダイオードを用いた磁気ランダムアク セスメモリの構成例を示す図。 トランジスタを用いた磁気ランダムア クセスメモリの構成例を示す図。

 以下、本発明を、図面を用いて詳細に説 する。

 図4に、本発明を用いた磁気メモリセルの 主要な構成例を示す。本発明の磁気抵抗効果 素子は、下地膜41、反強磁性膜42、固定層43、 絶縁障壁層44、記録層45、非磁性の中間層46、 磁化反転アシスト層47、反強磁性層48、適当 キャップ層49を順次積層した構造を有する。 固定層43の磁化の向きは、反強磁性膜42から 交換結合力によって膜面内の所定の方向に 定されている。記録層45の磁化は、膜面に平 行で、固定層43の磁化の向きと略平行、又は 平行である。非磁性の中間層46としては、 常は絶縁層が用いられる。磁化反転アシス 層47は、磁化の向きが膜面に平行でかつ固定 層43の磁化の向きと略垂直であり、反強磁性 48により磁化の向きが固定されている。ダ オード50は、ソース線7からビット線1に流れ 電流8(電子は方向9に流れる)をオン、オフす るためのスイッチとして用いられる。

 次に、この磁気メモリセルの書込み動作 ついて説明する。図5は、図4に示した磁気 抗効果素子において、記録層45の磁化方向を 固定層43の磁化方向に対して平行(低抵抗状態 )から反平行(高抵抗状態)に変化させる場合の 電流値の時間変化と、それに伴う記録層の磁 化方向の変化の一例を示した図である。まず 時間ゼロで電流を所定の大きさまで増加させ 、その後、記録層45の磁化の歳差運動の周期T の1/4の時間まで、その電流値を保ち、その後 ゼロまで低減する。この電流から記録層の磁 化に与えられるスピントルクにより、図5(b) ように記録層の磁化の歳差運動が励起され 。この歳差運動は、電流がオフになってい 時間T/4から3T/4の間も図5(c)、(d)のように継続 する。再び時間3T/4で電流を所定の値まで増 させ、時間5T/4まで一定の値に保つ。この間 びこの電流から記録層の磁化にスピントル が作用し、記録層の磁化の歳差運動が図5(e) 、(f)のように増幅され、電流を切ったのち図 5(g)のように磁化が初期状態と反対の方向に イッチングして歳差運動が停止する。

 図6は、図4に示した磁気抵抗効果素子に いて、記録層45の磁化方向を固定層43の磁化 向に対して反平行(高抵抗状態)から平行(低 抗状態)の向きに変化させる場合の電流値の 時間変化と、それに伴う記録層の磁化方向の 変化の一例を示した図である。この場合も図 5の場合と同じように、まず時間ゼロで電流 所定の大きさまで増加させ、その後、記録 の磁化の歳差運動の周期Tの1/4の時間まで、 の電流値を保ち、その後ゼロまで低減する この電流から記録層の磁化に与えられるス ントルクにより、図6(b)のように記録層の磁 化の歳差運動が励起される。その後この歳差 運動は、電流がオフになっている時間T/4から 3T/4の間も図6(c)、(d)のように継続する。再び 間3T/4で電流を所定の値まで増加させ、時間 5T/4まで一定の値に保つ。この間再びこの電 から記録層の磁化にスピントルクが作用し 記録層の磁化の歳差運動が図6(e)、(f)のよう 増幅され、電流を切ったのち図6(g)のように 磁化が初期状態と反対の方向にスイッチング して歳差運動が停止する。

 図5と図6では、歳差運動での記録層の磁 の回転方向が反対になっていることに注意 れたい。すなわち、電流の向きを図4の矢印8 の方向、すなわち電子の向きを図4の矢印9の 向に向ける場合、時間ゼロからT/4までは、 電電流の電子の持つスピンから記録層45の 化に作用するスピントルクは、記録層45の磁 化の向きを磁化回転アシスト層47の磁化の向 にそろえようとする方向に働く。したがっ 図5(b)、図6(b)に示されたような歳差運動が 起される。しかし、もし時間T/4以降も電流 切らずに持続させたとすると、時間T/4から 間3T/4の間は、図5においても図6においても スピントルクは記録層45の磁化を磁化回転ア シスト層47の方向にそろえる方向、すなわち 差運動をダンピングする方向に働いてしま 、結果として電流を無駄にしてしまうこと なる。そこで、この時間の間は電流をオフ する。再び時間3T/4で電流をオンにすると、 時間5T/4まで、再びスピントルクは記録層の 化の歳差運動を励起する方向に働くことな 、結果としてスピントルクによる記録層磁 の反転を完了する。このように、記録層45の 磁化方向を固定層43の磁化方向に対して平行( 低抵抗状態)から反平行(高抵抗状態)の向きに 変化させる場合でも、記録層45の磁化方向を 定層43の磁化方向に対して反平行(高抵抗状 )から平行(低抵抗状態)の向きに変化させる 合でも、同一の電流方向と電流パルスの時 軸上の波形を用いることができることが、 発明の第一の特徴である。

 次に、本発明の第二の特徴を説明する。例 ば、Applied Physics Letters, Vol.88, p.152505 (2006 )に記載されているように、一般にスピント クによる磁化反転は、
(1)パルス幅が10ns以下の領域で、パルス幅の 少とともに急速に書込み電流が増大する
(2)磁化反転が確率的に生じ、スイッチング時 間に分布が生じる
ということが示されている。上記(1)は消費電 力の増大という観点から、(2)はメモリの安定 な書込み動作を阻害するという観点で好まし くない。パルス幅が10ns以下の領域では、書 込みに必要な電流Iは次式で表される。

I=I c0  +I c0  ln(π/2θ)(αγH eff ) -1 p     (1)
I c0 ∝ sinθ [p/2 / (1+p 2 cosθ)]-1  (2)
 ここでαは記録層磁化膜のダンピング定数 γは磁気回転比、H eff は記録層45にかかる実効磁界、τ p は電流パルス幅、pは記録層及び磁化回転ア スト層の磁性膜のスピン分極率、θはパルス 電流が与えられる前の記録層と磁化回転アシ スト層の磁化のなす角である。式(2)で表され るI c0 は、記録層や磁化回転アシスト層の磁性膜の 材料や形状で決まるイントリンシックなしき い電流値、すなわち直流電流を用いた場合の しきい電流値である。本実施例では、θが略9 0度であるので、式(2)より、同一の材料や構 の素子におけるイントリンシックなしきい 流値I c0 を最小にすることができる。さらに式(1)にお いても、θが略90度であることにより、式(1) 第2項が小さくなるので、上記(1)の問題点が いに緩和されるという効果がある。

 また本発明では、図7のように、磁化回転 アシスト層47の磁化は記録層45の磁化と垂直 方向に向いているため、磁化回転アシスト 47から発生される漏洩磁界71は、記録層45の 化方向と略垂直方向を向いている。よく知 れているように、本発明のような磁気メモ において、図4に示されている記録層45の磁 方向のエネルギー的に安定な方向は、磁化 易軸と呼ばれている。一方、この方向と垂 な方向は磁化困難軸と呼ばれている。本実 例のように記録層の磁化困難軸方向に磁界 かけた場合、例えば、Physical Review B, Vol.75,  p.064402(2007)に記載されているように、スイ チング確率の分布を大きく低減することが 能である。したがって本発明は、上記課題(1 )(2)を同時に解決する効果があることがわか 。

 次に、電流パルスの時間波形をどのように めるかという点について述べる。図8は、磁 化回転アシスト層からの漏洩磁界Hが、記録 の磁化を磁化容易軸方向から磁化困難軸方 へ向けるのに必要な磁界Hk(これを異方性磁 と呼ぶ)の1/4であった場合の、磁化反転が終 するまでの磁化の回転数を、時間ゼロにお る記録層の磁化が磁化容易軸となす角度θ 正弦(sinθ)と、電流の値の関数としてプロッ したものである。この場合、たとえば電流 値をI c0 とした場合、熱擾乱によって記録層の磁化が 磁化容易軸となす角度が図8に示す範囲Aで揺 いでいたとしても、必ず図5、図6で示した うに、5/4回転で磁化反転が終了することが かる。このように、磁化反転までに要する 差運動の回転数は、磁化回転アシスト層か の漏洩磁界Hと与えられる電流値で一義的に めることができるので、それに応じてパル 波形を決めることができる。すなわち、一 的に磁化反転が終了するまでの記録層の磁 の歳差運動の回転数が1/4+n(nは1以上の整数) ある場合は、電流波形は時間tに対し以下の ようにすればよい。

  I=I 0 (0≦t≦T/4)
    0 (T/4<t≦3T/4)
    I 0 (3T/4<t≦5T/4)
       :        (3)
    0(T/4+(n-1)T<t≦3T/4+(n-1)T)
    I 0 (3T/4+(n-1)T<t≦5T/4+(n-1)T)
 ただし、I 0 は図8から決められる複数の領域をまたがな 通電電流の値、Tは歳差運動の1回転に要する 時間である。式(3)では、電流はパルス状にON/ OFFするように記述されているが、回路の容量 による波形のなまりがあるので、実際の波形 は図5、図6のように必ずしもパルス状にはな ない。一般的に、nはゼロないし1の場合が とんどであり、必要な電流I 0 もほぼI c0 と小さくできる。すなわち本発明によれば、 与えられた磁気抵抗効果素子の構造や材料に 対して適切な電流のパルス波形を設定するこ とで、極めて精度よくスピントルク磁化反転 の過程を制御できる。

 図9は、図1(従来例)のスピントルク磁化反転 の場合の、磁化反転が終了するまでの磁化の 回転数を、時間ゼロにおける記録層の磁化が 磁化容易軸となす角度θの正弦(sinθ)と、電流 の値の関数としてプロットしたものである。 例えば、書込み電流を3I c0 とした場合、熱擾乱によって記録層の磁化が 磁化容易軸となす角度が図9に範囲Bで示す程 ばらつくので、スピントルク磁化反転が終 するまでに要する回転数は8/4回転から18/4回 転の広い回転数の間に分布し、それにともな って磁化反転に要する時間も大きくばらつく 。図8と図9を比較すると、本実施例の場合、 化反転に要する電流を極めて小さくでき、 つ極めて精度よくスピントルク磁化反転に する時間を制御できることがわかる。

 以上、本発明によれば、上記で述べた困 軸磁界印加によるスイッチング確率のばら きの一般的な低減効果以上に、スピントル 磁化反転の反転確率を完全に制御し、反転 率ばらつきの課題を根本的に解決する効果 あることがわかる。

 次に、本発明による磁気メモリセルの膜 造の例と、磁気メモリセルアレイの構成例 ついて説明する。

(1)磁気メモリセルの膜構造の例
 以下、具体的な磁気メモリセルの構造につ て説明する。

 第一の膜構成例:図4において、下地膜41と してTa、反強磁性膜42としてMnIr、固定層43と てCoFeB、絶縁障壁層44としてMgO、記録層45と てCoFeB、非磁性の中間層46としてMgO、磁化反 アシスト層47としてCoFeB、反強磁性層48とし PtMn、キャップ層49としてTaを用いる。この 成は基本構成であり、上記で述べたすべて 効果を達成しうる構成である。

 第二の膜構成例:図4において、下地膜41と してTa、反強磁性膜42としてMnIr、固定層43と てCoFe/Ru/CoFeBの積層フェリ構造(CoFeとCoFeBとが Ru膜を介して反交換結合している構造)、絶縁 障壁層44としてMgO、記録層45としてCoFeB、非磁 性の中間層46としてMgO、磁化反転アシスト層4 7としてCoFeB、反強磁性層48としてPtMn、キャッ プ層49としてTaを用いる。この構成では、固 層の磁化が互いに反平行結合して反対の向 を向いているため、固定層43からの漏洩磁束 が記録層45にかかることがないため、記録層4 5の性能を決める磁界-抵抗ヒステリシスの磁 に対するオフセット(ヒステリシスの中心が ゼロ磁界からずれること)を低減することが きる。

 第三の膜構成例:図4において、下地膜41と してTa、反強磁性膜42としてMnIr、固定層43と てCoFe/Ru/CoFeBの積層フェリ構造、絶縁障壁層4 4としてMgO、記録層45としてCoFeB/Ru/CoFeBの積層 ェリ構造、非磁性の中間層46としてMgO、磁 反転アシスト層47としてCoFeB、反強磁性層48 してPtMn、キャップ層49としてTaを用いる。こ の構成では、固定層43の磁化が互いに反平行 合して反対の向きを向いているため、固定 43からの漏洩磁束が記録層45にかかることが なくなることに加え、記録層自身の漏洩磁界 も記録層を構成する2枚の磁化膜内で閉じる め、記録層の磁界-抵抗ヒステリシスの磁界 対するオフセットをほとんどゼロにするこ ができる。また、記録層全体の体積を増大 せ、かつ記録層を構成する2枚の磁化膜の膜 厚を近づけることで記録層の保磁力を増大さ せることができるので、熱的に安定な磁気メ モリセルを提供することができる。

 第四の膜構成例:図4において、下地膜41と してTa、反強磁性膜42としてMnIr、固定層43と てCoFe/Ru/CoFeBの積層フェリ構造、絶縁障壁層4 4としてMgO、記録層45としてCoFeB/Ru/CoFeの積層 ェリ構造、非磁性の中間層46としてCu、磁化 転アシスト層47としてCoFe、反強磁性層48と てPtMn、キャップ層49としてTaを用いる。この 構成では、上記第三の膜構成に比べ中間層46 金属のCuを用いていることで、素子全体の 抗を減少させることができる。

 以上において、反強磁性膜42,48としてMnIr,PtM n以外の反強磁性材料を用いても、本発明の 本的な効果は変わらない。また固定層43の材 料にCoFeベースの材料を用いても、本発明の 本的な効果は変わらない、また固定層43の材 料にCo 2 MnSiなどのいわゆるホイスラー合金を用いて さらに分極率pを高めると、さらにI c0 を低減する効果がある。障壁層材料44として 、Alの酸化物、Tiの酸化物や、TiNやAlNなどの 窒化物材料を用いても本発明の基本的な効果 は変わらない。

(2)磁気ランダムアクセスメモリの構成例
(2-1)ダイオードを用いた磁気ランダムアクセ メモリの構成例
 図10に、本発明による磁気ランダムアクセ メモリの構成例を示す。図10において、1は ース線、50はダイオード、91は本発明の磁気 抗効果素子あり、7はビット線、92は一つの 気メモリセルを表す。ソース線1とビット線 7は、別々の書き込みドライバ回路で駆動さ る。ビット線7には磁気メモリセルからの読 出し信号を増幅するセンスアンプが接続さ ている。図示の例では、ダイオード50は、 気抵抗効果素子91に、固定層から記録層の方 向に電流を通電可能に接続されている。また 、ダイオードの一端はソース線に電気的に接 続され、磁気抵抗効果素子91の磁化回転アシ ト層がビット線に接続されている。

 書き込みの際には、ソース線書き込みドラ バで1つのソース線1のみを書込み電圧Vに昇 し、その他のソース線はグランドに落とし おき、ビット線書込みドライバでは1つのビ ット線7のみグランドに落とし、そのほかを 圧Vに維持しておく。このようにすれば選択 れたメモリセル92のみに電流が流れるので 選択された磁気抵抗素子91にのみに書き込み が行われる。読出しの際は、同様の手順でメ モリセル91のみに通電をするが、流す電流はI c0 より十分小さい値として、誤書き込みを防止 する。この構造は最も単純なクロスポイント 配置なので、単位セルの占める面積は2F×2F=4F 2 と高集積なものにすることができる。

(2-2)トランジスタを用いた磁気ランダムアク スメモリの構成例
 図11に、本発明による磁気ランダムアクセ メモリの他の構成例を示す。図11において、 1はソース線、101は本発明の磁気抵抗効果素 であり、7はビット線、102はセル選択トラン スタ、103はワード線、104は一つの磁気メモ セルを表す。ビット線7には磁気メモリセル からの読み出し信号を増幅するセンスアンプ が接続されている。図示の例では、トランジ スタ102の一端がソース線1に電気的に接続さ 、磁気抵抗効果素子101の磁化回転アシスト がビット線7に接続され、トランジスタ102は ード線103によって制御される。

 本構成の場合の書込みは、書込みドライ で書込みたいメモリセルにつながった1つの ソース線1のみを書込み電圧Vに昇圧し、その モリセルのセル選択トランジスタ102につな っているワード線のみを他方の書込みドラ バで選択してトランジスタ102をONにして電 を流し、書込みを行う。

 読出しの際は、上記とは逆に、読出したい モリセルにつながったビット線7のみを読出 し電圧Vに昇圧し、選択トランジスタ102につ がっているワード線のみを他方の書込みド イバで選択してトランジスタ102をONにして電 流を流して、読出しを行う。この場合、読出 し時の電流方向が書込み時の電流方向と逆な ので、読出し電流による誤書込みの心配がな い。したがってより大きな読出し電流を流す ことが可能となり、高速の読み出しが可能と なる。この構造は最も単純な1トランジスタ+1 メモリセルの配置なので、単位セルの占める 面積は2F×4F=8F 2 と高集積なものにすることができる。

1…ビット線、2…強磁性層(記録層)、3…中 層、4…強磁性層(固定層)、5…ゲート電極、 6…トランジスタ、7…ソース線、8…電流方向 、9…電子が移動する方向、21…磁性膜に垂直 な磁化方向を有する強磁性固定層、22…非磁 中間層、23…強磁性層(記録層)、24…非磁性 間層、25…参照層、26、27…電流の方向、31 固定層、32…非磁性層、33…記録層、34…非 性層、35…スピントルク駆動層、41…下地膜 42…反強磁性膜、43…固定層、44…絶縁障壁 、45…記録層、46…中間層、47…磁化回転ア スト層、48…反強磁性層、49…キャップ層、 50…ダイオード、71…漏洩磁束、91…磁気抵抗 効果素子、92…メモリセル、101…メモリセル 102…トランジスタ、103…ワード線、104…メ リセル