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Patent Searching and Data


Title:
MAGNETIC RECORDING MEDIUM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/035075
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a magnetic recording medium comprising a nonmagnetic substrate and at least a magnetic layer, a protective layer, and a lubricating layer provided on the nonmagnetic substrate. The magnetic recording medium is characterized in that the lubricating layer is formed of a lubricating agent represented by general formula (1), (2) or (3), substituents R1, R2, R3, and R4 in the lubricating agent represent an organic group, at least one of the substituents R1 and R2 at the end part of the lubricating agent and the substituents R3 and R4 contain a plurality of functional groups, and the shortest distance between the functional groups is a distance of three or more atoms, preferably five atoms. The magnetic recording medium may be used for a heat assisted recording method in which the temperature of the magnetic layer reaches 150°C to 200°C. The magnetic recording medium is characterized in that the amount of the lubricating agent volatilized in the lubricating layer is less than 10% of the initial layer thickness.

Inventors:
IMAI KUNIHIRO (JP)
MATSUMOTO TAKAKO (JP)
WATANABE TAKESHI (JP)
FURUTA AKIRA (JP)
KUSAKAWA KAZUHIRO (JP)
KURODA MASAMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/066531
Publication Date:
March 19, 2009
Filing Date:
September 12, 2008
Export Citation:
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Assignee:
FUJI ELEC DEVICE TECH CO LTD (JP)
IMAI KUNIHIRO (JP)
MATSUMOTO TAKAKO (JP)
WATANABE TAKESHI (JP)
FURUTA AKIRA (JP)
KUSAKAWA KAZUHIRO (JP)
KURODA MASAMI (JP)
International Classes:
G11B5/725; C10M107/38; C10N20/00; C10N30/08; C10N40/18
Foreign References:
JP2004152460A2004-05-27
JP2006328418A2006-12-07
Attorney, Agent or Firm:
TANI, Yoshikazu et al. (Akasaka 2-chome Minato-k, Tokyo 52, JP)
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Claims:
 非磁性基板上に少なくとも磁性層、保護層および潤滑層からなる磁気記録媒体であって、前記潤滑層を構成する潤滑剤が下記の一般式(1)、(2)または(3)で表される潤滑剤であり、前記潤滑剤の末端部分の置換基R 1 、R 2 、R 3 およびR 4 は有機基であり、且つ置換基R 1 およびR 2 の少なくとも一方、並びに置換基R 3 およびR 4 が複数の官能基を有し、前記官能基間の最短距離が、3原子以上離れていることを特徴とする磁気記録媒体。
(式中、pおよびqはそれぞれ独立に、正の整数である。)
(式中、rは正の整数である。)
(式中、sは正の整数である。)
 前記潤滑剤の置換基の複数の官能基は、同一または異なっており、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アルデヒド基、1級および2級アミン基、ニトロ基、二トリル基、イソニトリル基、イソシアナート基、チオール基、スルホ基、リン酸基、亜リン酸基、1級および2級ホスフィン基、または複素環基から選択されることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
 前記官能基間の距離が、5原子離れていることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
 前記置換基R 1 、R 2 、R 3 およびR 4 は、前記複数の官能基間の構造が、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素若しくはそのフッ素化誘導体、芳香族炭化水素若しくはそのフッ素化誘導体(これらは、エーテル性酸素および/または3級アミン性窒素を1以上含んでいてもよい)、またはこれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
 磁性層温度が150℃から200℃となる熱アシスト記録方式に使用される磁気記録媒体であって、前記磁気記録媒体が非磁性基板上に少なくとも磁性層、保護層および潤滑層からなり、前記潤滑層の潤滑剤揮発量が、初期膜厚量の10%未満であることを特徴とする磁気記録媒体。
 前記潤滑層の初期膜厚量が1.2nm以下であることを特徴とする請求項5に記載の磁気記録媒体。
 前記潤滑層を構成する潤滑剤が下記の一般式(1)、(2)または(3)で表される潤滑剤であり、前記潤滑剤の末端部分の置換基R 1 、R 2 、R 3 およびR 4 は有機基であり、且つ置換基R 1 およびR 2 の少なくとも一方、並びに置換基R 3 およびR 4 が複数の官能基を有し、前記官能基間の最短距離が、3原子以上離れており、前記潤滑剤の分子量が500~10000の間であることを特徴とする請求項5に記載の磁気記録媒体。
(式中、pおよびqはそれぞれ独立に、正の整数である。)
(式中、rは正の整数である。)
(式中、sは正の整数である。)
 前記複数の官能基は、同一または異なっており、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アルデヒド基、1級アミン基、2級アミン基、ニトロ基、二トリル基、イソニトリル基、イソシアナート基、チオール基、スルホ基、または複素環から選択されることを特徴とする請求項7に記載の磁気記録媒体。
 前記官能基間の距離が、5原子離れていることを特徴とする請求項7に記載の磁気記録媒体。
 前記置換基R 1 、R 2 、R 3 およびR 4 は、前記複数の官能基間の構造が、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素若しくはそのフッ素化誘導体、芳香族炭化水素若しくはそのフッ素化誘導体(これらは、エーテル性酸素および/または3級アミン性窒素を1以上含んでいてもよい)、またはこれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
Description:
磁気記録媒体

 本発明は磁気記録媒体に関し、特にコン ュータの外部記憶装置等として用いられる 気記録媒体に関する。

 磁気記録媒体には、保護層とヘッド間に ずる摩擦力を減少させ、耐久性や信頼性を 上させる目的で、これまで磁気記録媒体、 に磁気ディスク用の潤滑剤が開発されてき 。

 例えば、従来、ダイヤモンド状カーボン( DLC)保護層上に、磁気記録媒体表面層の潤滑 性を改良するために、分子内に水酸基など 有極性末端基または環状トリホスファゼン 端基を有するパーフルオロポリエーテル系 滑剤が塗布されてきた。

 ダイヤモンド状カーボン(DLC)保護層の表 には、カルボキシル基や水酸基、アミン基 の官能基が多数存在しており、これらの官 基には、前記潤滑剤の末端基が積極的に吸 または結合して存在する。

 しかしながら、前記官能基には、潤滑剤 端基以外にも、水分や酸性ガスなどの汚染 も積極的に吸着する特性がある。そのため 保護層表面上に潤滑剤末端基が結合してい い残留官能基が存在する場合、汚染物の吸 量が増大する恐れがある。

 よって、ディスク媒体表面に水分や酸性 スなどの汚染物が吸着することを抑制する は、カーボン表面に存在する官能基と潤滑 との結合量(結合割合)を極力高める必要が る(特許文献1、特許文献2など参照)。

 加えて、近年、高記録密度化の要請が高く 磁気記録媒体において、1Tbits/in 2 を超える面記録密度を実現することが必要と なってきている。このためには、磁性層の粒 子サイズを小さくしてノイズを低減する必要 がある。しかし、粒子サイズを小さくしすぎ ると磁性層に記録した磁気信号が熱減磁によ り消滅してしまうという問題が生じる。この ため、高密度記録化には、熱的安定性の高い 、高保磁力を有する磁性層を用いる必要があ る。

 そこで、高保磁力の記録層を有する磁気 録媒体の記録すべき領域に、例えばレーザ 光を照射することによって加熱して保磁力 低下させ、保磁力が低下した領域に磁気ヘ ドを用いて情報に応じた磁界を印加して情 を記録する方法が提案されている(特許文献 3および4参照)。上記の記録方法を熱アシスト 磁気記録と称する。

 熱アシスト磁気記録方式において、レー ー光を記録面へ照射することにより、記録 は150℃から200℃程度まで加熱される。この め、前述の潤滑剤は記録層からの熱伝導に る高温に晒されることとなる。

 しかしながら、従来の潤滑剤は、熱アシ ト磁気記録で想定されるような高温環境で 使用は考慮されておらず、前述の高温環境 は、揮発による潤滑剤の減少が懸念される

特開平5-247200号公報

特開2004-253110号公報

特開2003-45004号公報

特開2006-12249号公報

特許第3223238号

米国特許5,959,058号明細書

 本発明が解決しようとする課題は、従来 術に比較し、潤滑剤とダイヤモンド状カー ン(DLC)保護層表面間の高吸着性を有する磁 記録媒体を提供することにある。さらに、 発明の解決しようとする課題は、前述の潤 剤の耐熱特性に関する問題を改善し、高耐 性を有する磁気記録媒体を提供することで る。

 本発明の磁気記録媒体は、非磁性基板上に なくとも磁性層、保護層および潤滑層から る磁気記録媒体であり、この潤滑層を構成 る潤滑剤が下記の一般式(1)、(2)または(3)で される潤滑剤であり、前記潤滑剤の末端部 の置換基R 1 、R 2 、R 3 およびR 4 は有機基であり、且つ置換基R 1 およびR 2 の少なくとも一方、並びに置換基R 3 およびR 4 が複数の官能基を有し、前記官能基間の最短 距離が、3原子以上、好ましくは5原子離れて ることを特徴とする。

(式中、pおよびqはそれぞれ独立に、正の整数 である。)

(式中、rは正の整数である。)

(式中、sは正の整数である。)

 本発明では、潤滑剤の置換基の複数の官 基は、同一または異なっており、ヒドロキ 基、カルボキシル基、アルデヒド基、1級お よび2級アミン基、ニトロ基、二トリル基、 ソニトリル基、イソシアナート基、チオー 基、スルホ基、リン酸基、亜リン酸基、1級 よび2級ホスフィン基、複素環基から選択さ れることが好ましい。

 置換基R 1 、R 2 、R 3 およびR 4 は、前記複数の官能基間の構造が、飽和また は不飽和の脂肪族炭化水素若しくはそのフッ 素化誘導体、芳香族炭化水素若しくはそのフ ッ素化誘導体(これらは、エーテル性酸素お び/または3級アミン性窒素を1以上含んでい もよい)、またはこれらの組み合わせから選 されるものであることが好ましい。

 本発明の磁気記録媒体は、磁性層温度が1 50℃から200℃となる熱アシスト記録方式に使 される磁気記録媒体であり、前記磁気記録 体が非磁性基板上に少なくとも磁性層、保 層および潤滑層からなり、前記潤滑層の潤 剤揮発量が、初期膜厚量の10%未満あること 特徴とする。この潤滑層の初期膜厚量は1.2n m以下であることが好ましい。

 本発明では、潤滑層を構成する潤滑剤が 記の一般式(1)、(2)または(3)で表される潤滑 であることが好ましい。

 本発明における潤滑剤をダイヤモンド状 ーボン(DLC)保護層上に塗布することにより 従来技術に比較し、潤滑剤とダイヤモンド カーボン(DLC)保護層表面間の高結合性を有す る磁気記録媒体を提供することが可能となる 。

 本発明の磁気記録媒体を用いることで、 性層温度が150~200℃となる熱アシスト記録方 式において、従来技術に比較し、揮発潤滑剤 量を抑制した高耐熱特性を有する磁気記録媒 体を提供することが可能となる。

図1は、本発明の磁気記録媒体の例示的 な層構造を示す概略図である。 図2は、加熱減量評価における本発明の 磁気記録媒体と従来技術の磁気記録媒体の比 較結果(潤滑層膜厚0.8nm)を示す図である。 図3は、加熱減量評価における本発明の 磁気記録媒体と従来技術の磁気記録媒体の比 較結果(潤滑層膜厚1.2nm)を示す図である。

 本発明の第一は、磁気記録媒体用の特定 潤滑剤を塗布した磁気記録媒体に関する。

 一般には、カーボン表面へ潤滑剤を塗布 た後、加熱処理を施すことにより、カーボ 表面上の官能基と潤滑剤末端基の間の結合 合を高めることができる。加熱処理温度が いほど、両者間の結合割合の増加は促進さ る。しかしながら、カーボン表面に存在す 官能基と潤滑剤末端基との間の結合割合を めることには、限界が伴う。具体的には、 来技術である、分子内に水酸基などの有極 末端基や、環状トリホスファゼン末端基を するパーフルオロポリエーテル系潤滑剤を いた場合では、加熱温度が100℃を超えると ディスク表面から潤滑剤が揮発する「加熱 量」と呼ばれる現象が顕著となり、温度が くなるほどこの現象は大きくなる。従って 高温で処理した場合、ディスク表面上に存 する潤滑剤量は、加熱処理以前に比較し、 しく減少してしまう。このため、加熱処理 より結合割合を増加させるには、制約が伴 。

 一般に、カーボン表面に存在する官能基 潤滑剤末端基との間の結合割合は、フッ素 溶媒による洗浄前の潤滑層膜厚に対するフ 素系溶媒による洗浄後の潤滑層膜厚の割合 して表され、その百分率値は「ボンド率」 呼ばれる。

 ここで、洗浄前の潤滑層膜厚は「トータ 潤滑剤膜厚」、洗浄後の潤滑層膜厚は「ボ ド潤滑剤膜厚」、トータル潤滑剤膜厚とボ ド潤滑剤膜厚の差を「フリー潤滑剤膜厚」 呼ぶ。「ボンド潤滑剤膜厚」は、実際にカ ボン表面と結合している潤滑剤の厚さ(量) 表しており、汚染物の抑制には、この量を やす必要がある。なお、本明細書において 「初期膜厚量」の用語を、「トータル潤滑 膜厚」と同義に用いる。

 この「ボンド率」を向上させるためのパ フルオロポリエーテル系潤滑剤として、Fomb lin Z-Tetraol(ソルベイソレクシス社製)が開発 れ、媒体への適用が行われた(特許文献5)。Fo mblin Z-Tetraolは、浸漬法による塗布の後、加 硬化を行うとボンド率が上昇するが、ボン 率の上限は70%程度となる。この時、トータ 潤滑剤膜厚は、現在、通常のハードディス の潤滑剤に用いられる膜厚である1.0、1.2お び1.4nmの場合、ボンド潤滑剤膜厚はそれぞれ 、0.7、0.84および0.98nmとなる。

 一方、近年の磁気ディスクの高密度化傾 に伴い、潤滑剤特性に対する要求が厳しく っている。この要求に応えるには、今後、 ンド潤滑剤膜厚の上限を、さらに引き上げ ことが必要とされる。

 加えて、近年のハードディスクドライブ 、これまでの屋内で使用されるパソコン用 から、携帯機器やカーナビゲーションシス ムなど屋外環境において用いられるケース 増大している。特に、高温高湿環境におい 、磁気ヘッドスライダが浮上しにくくなる 象が存在し、高湿度空気に含まれる水分の 着現象によるものと考えられている。その め、磁気ディスク表面へ凝着する水分量を 少させること、すなわち、ディスク表面の 水化が大きな課題となっている。

 この疎水化には、ボンド潤滑剤膜厚の増 が必要であるが、ボンド率の上限が規定さ る場合、その量を増加させるには、単純に トータル潤滑剤膜厚を増加させれば良いこ になる。しかしながら、単純に膜厚を増加 せた場合、浮上スライダへの潤滑剤ピック ップ現象が生じやすくなり、スライダの浮 不安定性を生じさせる恐れがある。

 そのため、トータル潤滑剤膜厚を増加さ る手法ではなく、トータル潤滑剤膜厚を変 させることなく、従来手法に比較して潤滑 とカーボン表面との結合割合を高める手法 必要とされる。

 本発明の磁気記録媒体は、少なくとも非 性基板上に設けられた磁性層、保護層およ 潤滑層からなり、以下に説明する潤滑剤を 滑層に用いることを特徴とする。

 また、本発明の磁気記録媒体は、熱アシ ト磁気記録方式に用いることができる。こ 磁気記録媒体は、少なくとも非磁性基板上 設けられた磁性層、保護層および潤滑層か なり、磁性層温度が150℃から200℃となる熱 シスト記録方式に使用された場合、潤滑層 潤滑剤揮発量が、初期膜厚量の10%未満であ ものである。本発明の磁気記録媒体は、こ ような熱アシスト記録方式に最適である。 のように、本発明では、磁性層温度が150℃ ら200℃となる温度下で、潤滑剤の揮発量を 期膜厚量の10%未満に抑えることができる潤 剤を潤滑層に用いることを特徴とする。磁 記録媒体用潤滑剤で上記条件を満たす限り 潤滑剤は特に限定されないが、本発明では 以下に説明する潤滑剤を潤滑層に用いるこ が好ましい。

 本発明で用いる潤滑剤は、下記の一般式(1) (2)または(3)で表される潤滑剤である。この 滑剤は、末端部分に置換基R 1 、R 2 、R 3 およびR 4 を有し、該置換基は有機基であり、その末端 部分の置換基R 1 およびR 2 の少なくとも一方、並びに置換基R 3 およびR 4 が複数の官能基を有している。この官能基は 、その最短距離は、官能基の結合している原 子を含めて3原子以上、好ましくは5原子であ 。また、前記潤滑剤の分子量は500~10000の間 あることが好ましい。

(式中、pおよびqはそれぞれ独立に、正の整数 である。)

(式中、rは正の整数である。)

(式中、sは正の整数である。)

 各置換基に含まれる複数の官能基は、ヒ ロキシ基、カルボキシル基、アルデヒド基 1級および2級アミン基、ニトロ基、二トリ 基、イソニトリル基、イソシアナート基、 オール基、スルホ基、リン酸基、亜リン酸 、1級および2級ホスフィン基、複素環基から 選択されることが好ましい。また、複数の官 能基は、同一であってもよく、異なっていて もよい。

 置換基R 1 、R 2 、R 3 およびR 4 は、炭素数3から12の有機基であり、置換若し くは無置換の直鎖若しくは分岐脂肪族炭化水 素、または、置換若しくは無置換芳香族炭化 水素である。該有機基には複数の官能基が含 まれ、その複数の官能基間の構造は、飽和ま たは不飽和の脂肪族炭化水素若しくはそのフ ッ素化誘導体、芳香族炭化水素若しくはその フッ素化誘導体またはこれらの組み合わせか ら選択されるものであることが好ましい。ま た、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素若し くはそのフッ素化誘導体、および芳香族炭化 水素若しくはそのフッ素化誘導体は、エーテ ル性酸素または3級アミン性窒素を1以上含ん いてもよく、エーテル性酸素または3級アミ ン性窒素が複数含まれる場合は、これらの組 み合わせを含んでいてもよい。

 本発明で使用される潤滑剤は、一般式(1) (2)または(3)に示すような分子構造を有する とにより、従来技術のZ-Tetraolと比較して、 端置換基内の官能基が互いに離れており、 能基同士の分子内相互作用が弱まっている このため、保護層表面に多数存在するカル キシル基やヒドロキシル基、アミン基など 官能基と、潤滑剤末端置換基内の官能基と 相互作用が相対的に強まり、保護層との結 性が増大する。この結果、上記潤滑剤を磁 記録媒体表面に塗布することで、従来に比 し、ボンド率を増大させることができる。 らに、上記潤滑剤を磁気記録媒体表面に塗 することで、従来に比較し、高温での潤滑 の揮発現象を抑制することができ、高耐熱 を有する磁気記録媒体を実現できる。

 次に、本発明の磁気記録媒体について説 する。本発明の磁気記録媒体は、非磁性基 上に、少なくとも磁性層、保護層および潤 層が含まれる。一例を示せば、図1に示され るような構造を有する。すなわち、非磁性基 板100上に、磁性層102、保護層104および潤滑層 106を有する。

 非磁性基板は、磁気記録媒体に従来から いられているものであれば特に限定されな 。例えば、図1に示したような従来から汎用 的に使用されているアルミ合金などの基板110 上に無電解メッキによりNi-Pなどの非磁性金 層(メッキ層)120を形成したものであってよく 、あるいは、ガラス、セラミック、プラスチ ックなどの材料から構成されていてもよい。

 本発明の磁気記録媒体では、必要に応じ 、非磁性基板と磁性層との間に、非磁性下 層、軟磁性層、シード層、中間層などを設 てもよい。

 任意選択的に設けてもよい非磁性下地層 、Ta、Ti、またはCrTi合金のようなCrを含む非 磁性材料を用いて形成することができる。

 任意選択的に設けてもよい軟磁性層は、F eTaC、センダスト(FeSiAl)合金などの結晶性材料 ;FeTaC、CoFeNi、CoNiPなどの微結晶性材料;または CoZrNd、CoZrNb、CoTaZrなどのCo合金を含む非晶質 料を用いて形成することができる。軟磁性 の膜厚は、磁性層に垂直方向磁界を集中さ るための層であり、記録に使用する磁気ヘ ドの構造や特性によって最適値が変化する 、おおむね10nm以上500nm以下であることが、 産性との兼ね合いから望ましい。

 任意選択的に設けてもよいシード層は、 心立方格子構造を有する金属または合金や TaあるいはTa合金を用いて形成することがで きる。面心立方格子構造を有する金属または 合金としては、Cu、Pd、Pt、Niまたはこれらの ち1つ以上を含む合金;NiFe、NiFeSi、NiFeNb、NiFe B、NiFeCrなどのようなパーマロイ系材料;CoNiFe CoNiFeSi、CoNiFeB、CoNiFeNb、CoNiFeCrなどのような パーマロイ系材料にCoをさらに添加した材料; Co;あるいはCoB、CoSi、CoNi、CoFeなどのCo基合金 用いて形成することができる。シード層は 磁性層の結晶構造を制御するのに充分な膜 を有することが望ましく、通常の場合、3nm 上50nm以下の膜厚を有することが望ましい。

 任意選択的に設けてもよい中間層は、Ru もしくはRuを主成分とする合金、またはCo、 しくはCoを主成分とする合金を用いて形成 ることができる。また、これらの金属ある は合金は積層して用いることもできる。中 層は、通常0.1nm以上30nm以下の膜厚を有する このような範囲内の膜厚とすることによっ 、磁性層の磁気特性や電磁変換特性を劣化 せることなしに、高密度記録に必要な特性 磁性層に付与することが可能となる。

 前述の下地層、軟磁性層、シード層およ 中間層の形成は、スパッタ法(DCマグネトロ スパッタ法、RFマグネトロンスパッタ法な を含む)、真空蒸着法など当該技術において られている任意の方法を用いて実施するこ ができる。

 磁性層は、好適には、少なくともCoとPtを 含む合金の強磁性材料を用いて形成すること ができる。垂直磁気記録を行うためには、磁 性層の材料の磁化容易軸(六方最密充填(hcp)構 造のc軸)が、記録媒体表面(すなわち磁気記録 媒体用基板の主表面)に垂直方向に配向して ることが必要である。磁性層は、たとえばCo Pt、CoCrPt、CoCrPtB、CoCrPtTaなどの合金材料を用 て形成することができる。磁性層の膜厚は 特に限定されるものではない。しかしなが 、生産性および記録密度向上の観点から、 性層は、好ましくは30nm以下、より好ましく は15nm以下、さらに好ましくは5nmから30nm、最 好ましくは5nmから15nmの膜厚を有する。磁性 層の形成は、スパッタ法(DCマグネトロンスパ ッタ法、RFマグネトロンスパッタ法などを含 )、真空蒸着法など当該技術において知られ ている任意の方法を用いて実施することがで きる。

 別法として、非磁性酸化物または非磁性窒 物のマトリクス中に磁性結晶粒子が分散さ ているグラニュラー構造を有する材料を用 て、磁性層を形成してもよい。用いること できるグラニュラー構造を有する材料は、C oPt-SiO 2 、CoCrPtO、CoCrPt-TiO 2 、CoCrPt-SiO 2 、CoCrPt-Al 2 O 3 、CoPt-AlN、CoCrPt-Si 3 N 4 などを含むが、これらに限定されるものでは ない。グラニュラー構造を有する材料を用い た場合、磁性層内で近接する磁性結晶粒間の 磁気的分離を促進し、ノイズの低減、SNRの向 上および記録分解能の向上といった磁気記録 特性の改善を図ることができる。

 保護層は、カーボン(ダイヤモンド状カー ボン(DLC)、アモルファスカーボンなど)、ある いは磁気記録媒体保護層用の材料として知ら れている種々の薄層材料を用いて形成するこ とができる。保護層は、その下にある磁性層 以下の各構成層を保護するための層である。 本発明の磁気記録媒体を、高耐熱性を有する 磁気記録媒体として使用する場合には、保護 層はダイヤモンド状カーボンであることが好 ましい。保護層は、一般的にスパッタ法(DCマ グネトロンスパッタ法、RFマグネトロンスパ タ法などを含む)、真空蒸着法、CVD法などを 用いて形成することができる。

 潤滑層は、記録/読み出し用ヘッドが磁気 記録媒体に接触している際の潤滑を付与する ための層であり、上述の潤滑剤を使用して形 成することができる。潤滑層は、ディップコ ート法、スピンコート法などの当該技術にお いて知られている任意の塗布方法を用いて形 成することができる。

 以下に本発明を実施例によりさらに詳細 説明するが、下記実施例は例示であり、本 明を制限することを意図するものではない

 以下に示す構造を持つ化合物(A)の潤滑剤 調製し、磁気記録媒体へ塗布し、磁気記録 体の特性を評価した。

1.潤滑剤(化合物(A))の合成方法
 米国特許5,959,058号明細書(特許文献6)に記載 方法従い、Fomblin-Z-DOL2000(100g)、カリウムtert- ブトキシド(23.95g)およびtert-ブタノール(150ml) らなる溶液を調製し、これを70℃に加熱し エピブロモヒドリン(100g)およびtert-ブタノー ル(100g)からなる溶液に、4時間かけて滴下し さらに1時間同温度で保持した。

 反応終了後、析出物をろ別し、濃縮して 80℃で加熱することにより、前駆体である フッ素オリゴマージグリシジルエーテル(93g) を黄色オイルとして得た。

 さらに、攪拌子を備えた1,000mlのナス型フラ スコに、前記の前駆体(重量平均分子量(Mw)=2.4 ×10 3 、70.0g)、エチレングリコール(100g)、トリフェ ニルフォスフィン(0.7g)を仕込み、攪拌しなが ら180℃で46時間反応を行った。

 反応終了後、室温まで冷却し、分液し、5 0gのエチレングリコールで洗浄後、ろ過およ 濃縮を行い、生成物(72.3g)を得た。また、生 成物の分析を行い、下記の通りの結果を得た 。この結果から、生成物が目的の化合物(A)の 潤滑剤であることを確認した。

  1 H-NMR(400MHz、C 6 F 6 )σ3.30~5.00(m、11H)。

  19 F-NMR(376MHz、C 6 F 6 )σ-91.80,-90.14,-82.00,-80.00,-56.56,-54.83,-53.23。

 GPC:重量平均分子量(Mw)=5.2×10 3 、数平均分子量(Mn)=1.9×10 3 、Mw/Mn=2.8。

 なお、分析は下記装置で実施した。

  1 H-NMR、 19 F-NMR:BRUKER製AVANCE II 400。

 分子量分布(GPC):装置;東ソー製HLC8120GPC、 ラム;東ソー製TSKgel super AW(6.0mmID×150mmL、2本 )、検出器;RI8020(示差屈折率計)、溶媒;1,1,1,3,3, 3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール、流量;0.6ml/ min、サンプル注入量;20μL(濃度1mg/ml)、システ ・カラム温度;40℃、検量線;標準PMMA。

2.磁気記録媒体(サンプル)の作製
 非磁性基板(材料AL合金からなる直径95mmの磁 気ディスク用基板)の主面上に、スパッタ法 用いて、膜厚2nmのCrTiからなる下地層、膜厚5 0nmのCoZrNbからなる軟磁性層、膜厚5nmのCoNiFeSi らなるシード層、膜厚10nmのRuからなる中間 、膜厚16nmのCoCrPt-SiO2とCoCrPrBからなる磁性層 を順次形成した。

 次に、プラズマCVD法で膜厚3.5nmの非晶質 ーボン保護層を形成した。この保護層で覆 れた磁気ディスク基板に対し、上記合成法 より合成された化合物(A)の潤滑剤溶液をデ ップ法により塗布した。具体的には、ディ ク基板を溶媒としてVertrel XFを用いた潤滑剤 溶液(濃度:膜厚0.8nmの時は50ppm、膜厚1.2nmの時 100ppm)に浸漬(膜厚0.8nmの時は60秒、膜厚1.2nm 時は480秒)させ、磁気ディスクを2.0mm/secの速 で引上げ、その後、室温22℃で乾燥させた

 また、比較のため、従来から用いられて るZ-tetraol(ソルベイ・ソレクシス社製)潤滑 も、ディップ法により、塗布膜厚が上記実 例と同等になる条件で基板上に塗布した。 体的には、ディスク基板を溶媒としてVertrel XFを用いた潤滑剤溶液(濃度:膜厚0.8nmの時は12 0ppm、膜厚1.2nmの時は500ppm)に浸漬(60秒)させ、 気ディスクを膜厚0.8nmの時は0.5mm/sec、膜厚1. 2nmの時は1.5mm/sec)の速度で引上げ、その後、 温22℃で乾燥させた。

3.磁気記録媒体の評価
3-1.ボンド率
 上記手法により作製したサンプルについて 洗浄前と洗浄後の潤滑層の膜厚を測定し、 ンド率を算出した。結果を表1に示す。なお 、潤滑層の膜厚は、フーリエ変換式赤外分光 光度計(FT-IR)により測定した。

 表1より、塗布工程を経た時点で、従来潤 滑剤よりも厚いボンド潤滑剤膜厚が実現でき ることが分かる。例えば、トータル潤滑剤膜 厚が0.8nmでほぼ同一である比較例1と実施例1 比較した場合、従来潤滑剤を用いた比較例1 りも化合物(A)を用いた実施例1の方が、ボン ド潤滑剤膜厚が1.8倍大きくなっている。同様 に、トータル潤滑剤膜厚が1.2nmである比較例2 と実施例2の比較でも、従来潤滑剤を用いた 較例2よりも化合物(A)を用いた実施例2の方が 、ボンド潤滑剤膜厚が2.4倍大きくなっており 、本願発明の磁気記録媒体のボンド率と従来 技術のそれとで大きな差が生じることが分か る。

 なお、表1に示した「トータル潤滑剤膜厚 」、「ボンド潤滑剤膜厚」、「ボンド率」は 、先に説明した通りである。

 また、潤滑剤に対する洗浄用フッ素系溶 としては、Vertrel XF(三井デュポンフロロケ カル社製)を用いることが一般的であり、本 評価においてもこの溶媒を用いている。洗浄 は、上記フッ素系溶媒を各サンプルにディッ プ法により、22℃、5分適用することによって 行った。

3-2.加熱減量評価
 上記手順で作製した表1に示す初期膜厚量を 有する各サンプルに対し、加熱減量評価を実 施した。

 本試験では、各サンプルに対し、25℃、10 0℃、150℃、180℃環境において各10分間放置し 、各温度における膜厚をFT-IRにより測定した さらに180℃環境においては20分間放置(計30 間放置)し、膜厚を測定して、従来品と本発 品との比較を行った。

 初期膜厚量0.8nm(表1の実施例1および比較 1)における比較結果を図2に、初期膜厚量1.2nm (表1の実施例2および比較例2)における比較結 を図3に示す。

 図2および図3の結果より、磁気ディスク 塗布した潤滑剤においても、トータル潤滑 膜厚によらず、本発明における潤滑剤は、 熱による減量が少なく、高温環境下におい もディスク表面に留まりやすいことが分か 。

 また、熱アシスト記録方式において想定 れる温度である180℃において、30分間放置 たところ、従来品では潤滑層膜厚が0.8nmおよ び1.2nmの両方共に23%程度の潤滑剤の減量が認 られるのに対し、本発明品では、潤滑剤膜 が1.2nmの時には6.6%の減量であり、0.8nmの時 は3.75%の減量に留まった。この結果から、本 発明の潤滑剤は加熱による揮発量が初期量の 10%未満となる耐熱特性を有すると認められる 。

 よって、本発明品を用いれば、温度150℃ ら200℃の環境において初期潤滑剤量を維持 た熱アシスト記録用磁気記録媒体が実現す ことが可能となる。

 また、上記潤滑剤の特性は、潤滑剤分子 が500~10000の間の範囲内であれば、従来技術 おける潤滑剤に比べ、優位性が認められる